Microsoft Word - クレームにおける使用目的に関する陳述 ☆米国特許判例紹介☆ -第105号-

Similar documents
Microsoft Word - CAFC Update(107)

Microsoft Word - CAFC Update(112)

O-27567

☆米国特許判例紹介☆ -第129号-

CAFC Update(135)

☆米国特許判例紹介☆ -第141号-

外観設計(1校)

☆米国特許判例紹介☆ -第125号- IPRにおけるもっとも広い合理的解釈

インド特許法の基礎(第35回)~審決・判例(1)~

☆米国特許判例紹介☆ -第142号-

Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

, -1463

☆米国特許判例紹介☆ -第128号-

KSR判決のその後

審決取消判決の拘束力

1 アルゼンチン産業財産権庁 (INPI) への特許審査ハイウェイ試行プログラム (PPH) 申請に 係る要件及び手続 Ⅰ. 背景 上記組織の代表者は

第28回 クレームの補正 ☆インド特許法の基礎☆

PowerPoint Presentation

Microsoft Word - Unanimously confirmed invalidity - JAN.doc

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

例 2: 組成 Aを有するピアノ線用 Fe 系合金 ピアノ線用 という記載がピアノ線に用いるのに特に適した 高張力を付与するための微細層状組織を有するという意味に解釈される場合がある このような場合は 審査官は 請求項に係る発明を このような組織を有する Fe 系合金 と認定する したがって 組成

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第24号-

Microsoft Word - CAFC Update(115)

freee・マネーフォワード特許訴訟の解説

米国特許保護適格性に関するガイドラインの解説

☆米国特許判例紹介☆ -第121号- 方法クレームを複数人が実行した場合の特許権侵害判断

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

目次 1. 訂正発明 ( クレーム 13) と控訴人製法 ( スライド 3) 2. ボールスプライン最高裁判決 (1998 年 スライド 4) 3. 大合議判決の三つの争点 ( スライド 5) 4. 均等の 5 要件の立証責任 ( スライド 6) 5. 特許発明の本質的部分 ( 第 1 要件 )(

第29回 クレーム補正(2) ☆インド特許法の基礎☆

untitled

Microsoft Word - 中国における機能的クレームの権利範囲解釈 ☆中国特許判例・審決紹介☆ -第25号-

第26回 知的財産権審判部☆インド特許法の基礎☆

<4D F736F F D F93FC82E D835382CC82DD816A2E646F63>

米国情報 国際活動センターからのお知らせ 米国情報 2016 年 7 月 28 日 担当 : 外国情報部那須威夫 特許権者による特許製品の米国内外での制限付き販売は 米国特許権を消尽させるか否かについて判断した CAFC 判決の紹介 Lexmark International, Inc., v. I

第1回 基本的な手続きの流れと期限について ☆インド特許法の基礎☆

Microsoft Word - 米国特許判例紹介 -第110号-

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

限され 当事者が商標を使用する能力に直接の影響はありません 異議申し立て手続きと取消手続きで最もよく見られる問題とは 混同のおそれ と 単なる記述 です TTAB は登録の内容のみを評価するため その分析の局面には 想定に基づくものもあります 通常 TTAB では どのように標章が実際の製品において

第20回 特許要件(1)☆インド特許法の基礎☆

Microsoft Word - 中国商標判例(5)-HPメルマガ 3/10UP

米国特許ニュース AIA102( 条 (a)(1) の出願日前の販売 (on sale) は たとえ販売内容が秘密であっても旧法 102 条 (b) の オンセール と同じで 特許を無効にすると最高裁判決 服部健一米国特許弁護士 2019 年 2 月 HELSINN HEALTHCARE S. A.

平成 27 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書 商標制度におけるコンセント制度についての 調査研究報告書 平成 28 年 2 月 株式会社サンビジネス

Microsoft Word - US Duty of Disclosure-Japanese.doc

Microsoft Word - T 訳文.doc

実体審査における審査官面接に関して GPE には面接における協議の方法 時期および内容など 詳細な要件が定められている 例えば GPE には 最初のオフィスアクションの応答書が出願人により提出された後 審査官は当該出願の審査を継続しなければならない と規定されている (GPE 第 II 部第 2 章

Microsoft Word - 10_資料1_コンピュータソフトウエア関連発明に関する審査基準等の点検又は改訂のポイントについてv08

Microsoft PowerPoint - IPRフォローアップミーティング(田村) (2)

untitled

特許出願の審査過程で 審査官が出願人と連絡を取る必要があると考えた場合 審査官は出願人との非公式な通信を行うことができる 審査官が非公式な通信を行う時期は 見解書が発行される前または見解書に対する応答書が提出された後のいずれかである 審査官からの通信に対して出願人が応答する場合の応答期間は通常 1

間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

グローバル出願に適した特許明細書

35 U.S.C. 101 Inventions patentable Whoever invents or discovers any new and useful process, machine, manufacture, or composition of matter, or any ne

米国特許クレームにおける “at least one of”の用法の考察

参加人は 異議申立人が挙げていない新たな異議申立理由を申し立てても良い (G1/94) 仮 にアピール段階で参加した参加人が 新たな異議申立理由を挙げた場合 その異議申立手続は第 一審に戻る可能性がある (G1/94) 異議申立手続中の補正 EPCにおける補正の制限は EPC 第 123 条 ⑵⑶に

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

欧州特許庁(EPO)拡大審判部の決定と今後のヨーロッパにおけるコンピュータプログラム保護について

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

出願人のための特許協力条約(PCT) -国際出願と優先権主張-

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

KSR事件連邦最高裁判決を踏まえた、米国特許法103条に規定する非自明性の判断基準に関する米国特許商標庁の審査指針の概要及び本審査指針を踏まえた実務

日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ ベトナム国家知的財産庁 (IP Viet Nam) と日本国特許庁 (JPO) との間の特許審査ハイウェイ試行プログラムに関するベトナム国家知的財産庁への申請手続 ( 仮訳 ) 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ

欧州特許出願における同一カテゴリーの複数の独立クレーム

2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

B0B820DFD845F9DE49256B7D0002B34

なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

<4D F736F F F696E74202D E82C582E08F6F978882E98AC FA967B93C18B9692A182C582CC93C18B9692B28DB895FB B8CDD8AB B83685D>

第22回 特許要件(3)☆インド特許法の基礎☆

平成 29 年度 新興国等における知的財産 関連情報の調査 インドにおける医薬用途発明の 保護制度 DePenning & DePenning ( インド特許法律事務所 ) Shakira ( 弁理士 ) DePenning & DePenning は 1856 年に創立されたインド有数の歴史と規模

主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

00表紙

IO412245筑波法政75_本文.indd

Notes and Points for TMPR454 Flash memory

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

BE874F75BE48D E002B126

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -SA S A 1 頁 サウジ特許庁 (SPO) ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 SA.Ⅰ 略語のリスト国内官庁 : サウジ特許庁 (SPO) Law: 特許, 集積回路配置デザイン, 植

Ⅰ. はじめに 近年 企業のグローバル化や事業形態の多様化にともない 企業では事業戦略上 知的財産を群として取得し活用することが重要になってきています このような状況において 各企業の事業戦略を支援していくためには 1 事業に関連した広範な出願群を対象とした審査 2 事業展開に合わせたタイミングでの

Equivalent Patent Infringement in Germany

untitled

templates

Microsoft Word - 01.表紙、要約、目次

(Microsoft Word \224\255\225\\\201yMSH\201z \224\273\214\210\201i\217\244\225W\201j.doc)

【資料1-2】脳神経外科手術用ナビゲーションユニット基準案あ

何故 IDS をする必要があるのか? 米国特許出願をするときは 発明者が以下の要件に対して宣誓をする宣誓書 (37 CFR 1.63) に署名しなければならない (1) 明細書 ( クレームを含む ) の内容を検討し 理解している (2) 真実であり 最初の発明者であると信じる ; (3) 規則 1

平成 25 年度特許庁産業財産権制度各国比較調査研究等事業 各国における特許の審査基準 審査マニュアル に関する調査研究報告書 平成 26 年 3 月 一般社団法人日本国際知的財産保護協会 AIPPI JAPAN

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

特許制度 1. 現行法令について 2001 年 8 月 1 日施行 ( 法律 14/2001 号 ) の2001 年改正特許法が適用されています 2. 特許出願時の必要書類 (1) 願書 (Request) 出願人の名称 発明者の氏名 現地代理人の氏名 優先権主張の場合にはその情報等を記載します 現

1. 主な機能追加項目 以下の検索項目をサポートしました 書誌 全文検索コマンド検索 国内 査定日 最新の査定日 ( 登録査定日または拒絶査定日 ) を検索します 査定種別 最新の登録 拒絶査定 または査定なしを検索します 審査最終処分日 最新の審査最終処分日を検索します 審査最終処分種別 最新の審

第41回 アクセプタンス期間と聴聞手続(2016年版) ☆インド特許法の基礎☆

実施可能要件を肯定した審決が取り消された事例

米国情報 米国情報 担当 : 外国情報部鈴木孝章 P&G vs Teva (KSR 後の非自明性判決 ) United States Court of Appeals for the Federal Circuit , -1405, P&G vs Teva May. 1

中国における機能クレームの解釈方法―中国最高裁判決の考察を中心として―

A Bit flipping Reduction Method for Pseudo-random Patterns Using Don’t Care Identification on BAST Architecture

 

判例研究 Westlaw Japan WLJPCA 1. 本判決の意義 FOI FOI FOI X FOI FOI Y Y Y Y FOI Y Y FOI D- Law.com ID < <

Microsoft Word - 【6.5.4】特許スコア情報の活用

PowerPoint Presentation

訂正情報書籍 170 頁 173 頁中の 特許電子図書館 が, 刊行後の 2015 年 3 月 20 日にサービスを終了し, 特許情報プラットフォーム ( BTmTopPage) へと模様替えされた よって,

優先権意見及び回答

<4D F736F F D E90528DB88AEE8F8095F18D908F915B8FA D25D62>

Transcription:

クレームにおける使用目的に関する陳述 ~ クレーム発明の認定 ~ 米国特許判例紹介 (105) 2013 年 3 月 18 日 執筆者弁理士河野英仁 In re Jasinski 1. 概要クレーム発明が新規性 ( 米国特許法第 102 条 ) 及び非自明性 ( 米国特許法第 103 条 日本の進歩性に相当 ) を具備するか否か審査する際には クレームに係る発明の認定を行い その上で 先行技術との一致点 相違点の認定を行う この点は 世界各国で共通した取り扱いである クレームに記載した文言であっても 単に使用目的を陳述しているにすぎない または 意図される効果を陳述しているにすぎない場合 特許性の重み (Patentable Weight) が付与されず これらの記載がクレームの限定要素とならず 新規性及び進歩性の判断に利用されない場合がある 本事件では 検証する に関する記載について 審査官及び審判部は 単なる使用目的にすぎず クレームの限定要素ではないとし 当該記載を評価せず 新規性無しとの判断を下した CAFC は 問題となった記載は発明の本質であることから クレームの限定要素であると判断した 2. 背景 (1) 特許の内容 IBM 社の発明者 Jasinski 氏ら ( 原告 ) は 2005 年 2 月 23 日メモリテストソフトウェアの検証方法及び装置と称する特許出願を USPTO へ提出した 出願番号は 10/906,508 ( 以下 508 出願 ) である 参考図 1は 508 出願の代表図である 1

参考図 1 508 出願の代表図 508 特許は メモリ装置の不具合診断に関する技術である メモリテスターがメモリ装置の不具合を発見した場合 メモリエラーの論理アドレスは メモリ装置内にて 物理アドレスに変換しなければならない 当該変換は 一般的に論理 物理マッピングソフトウェアにより実行される 508 出願はこの論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証するシステム及び方法をクレームしている 508 出願は ビルトインセルフテスト (built in self-test ( 以下 BIST)) 制御機能を記載している BIST 制御機能は メモリ装置の所定物理位置にて シミュレーションされた メモリの不具合を生成するものである 次いで メモリテスターはメモリ装置をテストし エラーを有する位置の論理メモリアドレスを記録する 論理 物理マッピングソフトウェアは メモリ装置内にて論理メモリアドレスを物理 メモリアドレスにマッピングする 最後に 論理 物理マッピングソフトウェアの正 2

確性を検証すべく 論理 物理マッピングソフトウェアによりマッピングされた物理 アドレスと BIST 制御機能がメモリの不具合を生成した所定のまたはシミュレートさ れた物理アドレスとが比較される 508 出願のクレーム 1 1 は以下のとおりである 下線が争点となった箇所である メモリ装置をテストするために 論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証する方法において (a) メモリ装置のメモリアレーの内 予め定められた様々な位置にて 複数のシミュレートされたメモリの不具合を生成するために BIST 不具合制御機能を提供し (b) メモリテスターを通じてメモリアレーをテストし (c) 前記論理 物理マッピングソフトウェアにより 前記メモリテスターにより表示される全てのメモリ不具合に基づき ビット不具合マップを生成し 前記ビット不具合マップは 前記論理 物理マッピングソフトウェアにより抽出された全ての不具合メモリ位置の物理的な位置を示し (d) 前記論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証するために 前記論理 物理マッピングソフトウェアにより抽出された前記不具合メモリ位置を 前記様々な予め定められたメモリ位置と比較する (2) 審査及び審判 USPTOは 508 出願における全クレームを 同社の先願である USP No. 5,912,901( 以下 Adams) により新規性が無いとして拒絶した 特に クレーム 1 の下線部を付したプリアンブルの テストするために 論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検 1 A method for verifying the accuracy of logical-to physical mapping software designed for testing memory devices, said method comprising: [a] providing a built-in self test (BIST) fail control function to generate multiple simulated memory fails at various predetermined locations within a memory array of a memory device; [b] testing said memory array via a memory tester; [c] generating a bit fail map by said logical-tophysical mapping software based on all memory fails indicated by said memory tester, wherein said bit fail map indicates physical locations of all fail memory locations derived by said logical-tophysical mapping software; and [d] comparing said fail memory locations derived by said logical-to-physical mapping software to said various predetermined memory locations to verify the accuracy of said logical-to-physical mapping software. 3

証する方法 と ボディの最後構成要件である 前記論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証するために の記載が 使用目的の陳述であり クレームを限定する要素でないと判断した 原告は審判を請求したが 審判部は審査官の判断を支持する決定をなした 原告はこれを不服として控訴した 3.CAFC での争点争点 : 使用目的の陳述であるか否か原告は クレーム 1のプリアンブルの文言 論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証する 及びボディの文言 前記論理 物理マッピングソフトウェアの正確性を検証するために は本発明の本質であり これらに 特許性の重み を付与せず クレームの限定要素でないと判断した審判部の判断は誤りであると主張した 一方 USPTO は これらは単なる使用目的の陳述 (statement of intended use) にす ぎず クレームを限定するものではないと主張した また これらの文言に特許の重み を持たせたいのであれば 一構成要件において明確に記載すべきと主張した 4.CAFC の判断 結論 : 発明の本質的部分であり使用目的の陳述ではない CAFC は 原告の主張に同意した CAFC は Visio 事件 2 を参照した Visio 事件では デコードする decoding の文言が クレームの限定要素となるか否かについて争われた CAFC は デコードする が クレーム発明の本質または基本特徴であることから 単なる発明の目的 使用目的ではなく 発明の限定要素であると判断した 本事件においても プリアンブルにおける 検証する の文言は 論理 物理マッピングソフトウェアにおけるエラー検出に関する 本発明の本質 に言及している また当該文言は 比較 構成要件において 論理 物理マッピングソフトウェアにより抽出された前記不具合メモリ位置を 様々な予め定められたメモリ位置と比較する 際の分析基準を明確に記載している 以上のことから CAFC は使用目的の陳述にすぎず 発明の構成要件から除外して新規性の判断を行った審判部の決定を取り消す判決をなした 2 Vizio, Inc. v. Int l Trade Comm n, 605 F.3d 1330, 1341 (Fed. Cir. 2010) 4

5. 結論 CAFC はクレームの文言を限定要素と認定せず そして新規性なしと判断した審判部 の審決を取り消す判決をなした 6. コメント本事件で述べたように のために用いる することができる 等の記載は使用目的 意図される効果を単に作用的に記載したにすぎず クレームを限定する要素として判断されない場合がある 例えば Minton 事件 3 では方法クレームにおいて whereby( それによって ~ する ) クローズが用いられていた CAFC は 単に方法ステップの意図される効果を表現して いるにすぎず 当該記載には特許の重みが付与されないと判断した とりわけ プリアンブルではその傾向が強く 4 争いになることが多い 例えば Pitney 事件 5 では クレームのボディが完全かつ本質的にクレームされた発明の限定の全てを述べており プリアンブルがクレーム発明の何らかの限定の明確な定義というより むしろ当該発明の目的または意図した用途を述べているだけの場合 当該プリアンブルは限定とみなされず クレームの解釈にとって何ら意味はない と判示された 本事件で示されたように発明の本質に関する記載であれば クレームの限定要素として認定され得るが 使用目的 効果に関する陳述はクレームの限定要素から排除される可能性が高く 無用の争いを招くことから やむを得ない場合を除き できるだけ当該陳述を含めないようクレームを作成することが望まれる 判決 2013 年 2 月 15 日以上 関連事項 判決の全文は連邦巡回控訴裁判所のホームページから閲覧することができる [PDFファイル ] 3 Minton v. Nat'l Ass'n of Securities Dealers, Inc., 336 F.3d 1373 (Fed. Cir. 2003) 4 MPEP2111.02 II, Rev. 9, August 2012 5 Pitney Bowes, Inc. v. Hewlett-Packard Co., 182 F.3d 1298, 1305 (Fed. Cir. 1999) 5

http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/12-1482.opinion.2-12-2 013.1.PDF 6