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2. 栄養管理計画のすすめ方 給食施設における栄養管理計画は, 提供する食事を中心とした計画と, 対象者を中心とした計画があります 計画を進める際は, それぞれの施設の種類や目的に応じて,PDCA サイクルに基づき行うことが重要です 1. 食事を提供する対象者の特性の把握 ( 個人のアセスメントと栄

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カテゴリー別人数 ( リスク : 体格 肥満 に該当 血圧 血糖において特定保健指導及びハイリスク追跡非該当 ) 健康課題保有者 ( 軽度リスク者 :H6 国保受診者中特定保健指導外 ) 結果 8190 リスク重なりなし BMI5 以上 ( 肥満 ) 腹囲判定値以上者( 血圧 (130 ) HbA1

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(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

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状況を全国平均と比較すると 総エネルギー摂取量には差はないが 脂肪エネルギー比率が 25% 以上の者の割合は男女ともに 60% を越えており 全国平均の 40~50% をはるかに上回っている ( 2 ) この間の交通手段の発達などによる身体活動の低下に加えて このような脂質栄養の過剰摂取が日本人にお

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日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

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肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

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ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

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1-1 栄養素の代謝と必要量 : 糖質 炭水化物 1 糖質の消化吸収 デンプンは唾液中のα アミラーゼの作用により加水分解され かなりの部分が消化を受ける ヒト の唾液中に存在するデンプン消化酵素は α アミラーゼがほとんどである 胃では糖質の消化酵素は 分泌されないが 食道から胃内に流入した食塊が

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平成 21 年循環器疾患登録の年集計について 喫煙習慣の割合は 男性で約 4 割 女性で約 1 割である 週 1~2 回以上の運動習慣のある割合は1 割程度と 男女共に運動習慣のある者の割合が低い 平成 21 年における循環器疾患登録者数 ( 循環器疾患にかかった人のうち届出のあった人 ) について

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2 11. 脂肪 蓄 必 12. 競技 引退 食事 気 使 13. 日 練習内容 食事内容 量 気 使 14. 競技 目標 達成 多少身体 無理 食事 仕方 15. 摂取 16. 以外 摂取 17. 自身 一日 摂取 量 把握 18. 一般男性 ( 性. 一日 必要 摂取 把握 19. 既往歴 図

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調査の概要 本調査は 788 組合を対象に平成 24 年度の特定健診の 問診回答 (22 項目 ) の状況について前年度の比較から調査したものです 対象データの概要 ( 全体 ) 年度 被保険区分 加入者 ( 人 ) 健診対象者数 ( 人 ) 健診受診者数 ( 人 ) 健診受診率 (%) 評価対象者

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

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資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

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栄養素は食事として摂取されると 消化管で分解され 糖質はグルコースに タンパク質はアミノ酸に 脂肪は脂肪酸となって体の細胞に取り込まれ 身体活動のエネルギーとなり 体を構成する組織になって 生命を維持しています 不要になったものは体外に排泄されます このような代謝経路が正しく働くためには たくさんの

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Transcription:

日本人の食事摂取基準 (2010 年版 ) ブロック別講習会 講習会スライド作成 : 木戸康博 ( たんぱく質 WG) 江崎治 ( 脂質 WG) 佐々木敏 ( 策定検討会 活用 WG) たんぱく質ワーキンググループ 炭水化物ワーキンググループ 木戸康博 ( 京都府立大学 ) 青江誠一郎 ( 大妻女子大学 ) 志塚ふじ子 ( 長野県短期大学 ) 合田敏尚 ( 静岡県立大学 ) 下村吉治 ( 名古屋大学 ) 齋藤京子 ( 東京都健康長寿医療 杉山隆 ( 三重大学 ) センター研究所 ) 山田和彦 ( 女子栄養大学 ) 脂質ワーキンググループ 山内俊一 ( 帝京大学 ) 磯博康 ( 大阪大学 ) 横山徹爾 ( 国立保健医療科学院 ) 江崎治 ( 国立健康 栄養研究所 ) 佐藤眞一 ( 千葉県衛生研究所 ) 三宅吉博 ( 福岡大学 ) 厚生労働省主要栄養素 1

p.4 ~ 食事摂取基準の各指標を理解するための模式図 ~ 主要栄養素の食事摂取基準 主要栄養素 推定平均必要量 (EAR) 推奨量 (RDA) 目安量 (AI) 耐容上限量 (UL) 目標量 (DG) たんぱく質 - - 脂質 - - - 特記事項 DG がなくなった / 乳児の年齢区分 / 妊婦の区分 炭水化物 - - - - 厚生労働省主要栄養素 2

タンパク質 アミノ酸の必要量の求め方 窒素出納窒素出納法 p.62 標識アミノ酸酸化法 p.69 タンパク質の推定平均必要量は 窒素出納が0( ゼロ ) に アミノ酸の推定平均必要量は 標識アミノ酸の酸化量が一定 なるときのタンパク質摂取量になるときのアミノ酸摂取量に基づいている に基づいている 0 80 100 120 +5 必要量 必要量 -5-10 -15 窒素摂取量 (mg/kg 体重 / 日 ) ミノ酸の酸化量 13 CO2 への標識ア アミノ酸摂取量 (mg/kg 体重 / 日 ) (WHO Technical Report Series 935,WHO, Geneva, 2007 一部改編 ) タンパク質 アミノ酸の代謝 窒素出納法 NB=IN (FN+UN+DN) 標識アミノ酸酸化法 食事タンパク質 (IN) 13 CPhe (60g) 消化管壁消化液など (70g) 体タンパク 筋肉 結合組織 血液 (230g) 酵素 ホルモンなど (230g) 皮膚毛髪爪 (DN) (4.5g) 消化 (119.5g) アミノ酸プール 脂肪 (6g) 糞 (FN) (10.5g) (4.5g) (Nutritional Biochemistry and Metabolism. Appleton & Lange, Connecticut,1991, 一部改編 ) 窒素 尿素サイクル 尿 (UN) (45g) 13 CO2 13 CO2 炭素骨格 TCA サイクル H2O 糖新生 厚生労働省主要栄養素 3

たんぱく質の食事摂取基準 (2010 年版 ) p.64 推定平均必要量 (EAR) = 窒素平衡維持量 消化率 =0.65(g/kg/day) 0.90=0.72 (g/kg/day) 推奨量 (RDA)=EAR 個人差変動 ( 推奨量算定係数 ) =0.72 (g/kg/day) 1.25=0.90 (g/kg/day) 良質タンパク質の窒素平衡維持量 (0.65g/kg/day) /d 消化率 (90%) 個人差変動 (12.5 2 = 25%) 乳児の年齢区分 p.67 目安量 = 母乳中たんぱく質濃度 哺乳量 + 離乳食からの摂取量 年齢区分 0 5 か月 6 8 か月 9 11 か月 母乳中たんぱく質濃度 (g/l) 12.6 10.6 9.2 哺乳量 (L/ 日 ) 0.78 0.60 0.45 離乳食からの摂取量 (g/ 日 ) - 6.1 17.9 妊婦の区分 妊娠各期における体たんぱく質蓄積比 ( 初期 : 中期 : 末期 =0:1:3.9) 対象人数 体カリウム増加量 (mmol/ 日 ) 体たんぱく質蓄積量 (g/ 日 ) 妊娠中における観察期間 妊娠中期の体たんぱく質蓄積量 (g/ 日 ) 妊娠末期の体たんぱく質蓄積量 (g/ 日 ) 観察期間蓄積量 (g 日 ) 蓄積量 (g 日 ) 10 3.41 9.91 末期 - 9.91 27 1.71 4.97 中期 末期 2.03 7.91 22 2.02 5.87 中期 末期 2.40 9.35 34 1.18 3.43 中期 末期 1.40 5.46 平均値 1.94 8.16 たんぱく質蓄積量 (g/ 日 )= 体カリウム蓄積量 2.15 6.25 厚生労働省主要栄養素 4

たんぱく質の食事摂取基準 (2010 年版 ) p.76 変更点 :1) 乳児の年齢区分 2) 妊婦の区分 3) 推奨量と目安量 男性 女性 年齢 EAR RDA AI UL DG EAR RDA AI UL DG 0 5 ( 月 ) - - 10 - - - - 10 - - 6 8 ( 月 ) - - 15 - - - - 15 - - 9 11 ( 月 ) - - 25 - - - - 25 - - 1 2( 歳 ) 15 20 - - - 15 20 - - - 3 5( 歳 ) 20 25 - - - 20 25 - - - 6 7( 歳 ) 25 30 - - - 25 30 - - - 8 9( 歳 ) 30 40 - - - 30 40 - - - 10 11( 歳 ) 40 45 - - - 35 45 - - - 12 14( 歳 ) 45 60 - - - 45 55 - - - 15 17( 歳 ) 50 60 - - - 45 55 - - - 18 29( ( 歳 ) 50 60 - - - 40 50 - - - 30 49( 歳 ) 50 60 - - - 40 50 - - - 50 69( 歳 ) 50 60 - - - 40 50 - - - 70 以上 ( 歳 ) 50 60 - - - 40 50 - - - 妊婦 ( 付加量 ) 初期 + 0 + 0 中期 + 5 + 5 末期 +20 +25 - - - 授乳婦 ( 付加量 ) +15 +20 - - - 成人の不可欠アミノ酸必要量 p.70 アミノ酸 WHO/FAO/UNU (2007) FAO/WHO/UNU (1985) (mg/kg/day) (mg/g protein) (mg/kg/day)(mg/g protein) His 10 15 8 12 15 Ile 20 30 10 15 Leu 39 59 14 21 Lys 30 45 12 18 Met + Cys 15 22 13 20 Methionine 10 16 Cysteine 4 6 Phe + Tyr 25 38 14 21 Thr 15 23 7 11 Trp 4 6 3.5 5 Val 26 39 10 15 不可欠アミノ酸の合計 184 277 93.5 141 成人のたんぱく質推定平均必要量は0.66g/kg 体重 / 日として計算されている ( 日本人のたんぱく質推定平均必要量は0.65g/kg 体重 / 日である ) (WHO Technical Report Series 935, WHO, Geneva, 2007) 厚生労働省主要栄養素 5

目安量 : 必須脂肪酸としての基準 目標量 : 疾病 ( 生活習慣病 ) 罹患を少なくするための基準 厚生労働省主要栄養素 6

PubMed 検索方法 ( 例 : 一価不飽和脂肪酸の場合 ) Limitation human 5 years 脂質の種類 食事由来 疫学研究 (Fatty acids, Monounsaturated OR MUFA OR oleic acids OR oleic acid OR oleate) AND (dietary y OR intake OR consumption) AND ((randomized controlled trial [PTYP] OR random [WORD]) OR (cohort studies [MESH] OR risk [MESH] OR (odds [WORD] AND ratio [WORD]) OR (relative [WORD] AND risk [WORD]) OR case control [WORD] OR case-control studies [MESH])) n=358 (2008 年 7 月 31 日 ) アブストラクトのチェック数 総脂肪 :326 飽和脂肪酸 :186 一価不飽和脂肪酸 :358 n-6 系脂肪酸 :534 n-3 系脂肪酸 :445 コレステロール :100 トランス脂肪酸 :155 計 2104 論文の精読数 総脂肪 :80 飽和脂肪酸 :59 一価不飽和脂肪酸 :55 n-6 系脂肪酸 :46 n-3 系脂肪酸 :73 コレステロール :45 トランス脂肪酸 : 79 計 437 脂肪エネルギー比率の目標量の下限 (20%% エネルギー以上 ) p.79 1. エネルギー補給 : 脂質はエネルギー密度が最も高いので 摂取量が少ないとエネルギー摂取不足になりやすい 2. 吸収 : 極端な低脂肪食は脂溶性ビタミンの吸収を悪くする 3. n-6 系脂肪酸やn-3 系脂肪酸の必須脂肪酸の目安量 (AI) を含む量であること 4. 日常の献立がたてやすいこと 5. 脂質のグリセロール部分の考慮 1-3 を考慮すると 10-15% エネルギー 更に 4-5 を考慮すると 20% エネルギー程度 厚生労働省主要栄養素 7

脂肪エネルギー比率の目標量の上限 (30 又は 25% エネルギー未満 ) p.79 1. エネルギー補給 : 脂質はエネルギー密度が最も高いので 摂取量が多いとエネルギー摂取過剰になりやすく 肥満しやすい Yu-Poth S, et al. Effects of the National Cholesterol Education Program's Step I and Step II dietary intervention programs on cardiovascular disease risk factors: a meta-analysis. Am J Clin Nutr 1999; 69: 632-646. 2. 日本人の中央値に近い値であり 実行しやすい 脂肪エネルギー比率の低下は体重減少をもたらす ( 介入研究 メタ アナリシス ) 4 Yu-Poth S, et al. : Am J Clin Nutr 69:632-46,1999 体重重の変化量 (Kg) 2 r =046 0.46, P < 0.001001 0-2 -4-6 -8-10 -12-30 -25-20 -15-10 -5 0 5 10 脂質摂取の変化量 ( エネルギー比率 ) 厚生労働省主要栄養素 8

肥満者 (BMI>30) の脂肪エネルギー比率 (6ヶ月間の介入研究) インスリン抵抗性の弱い肥満者 75gGTT30 分インスリン濃度 <57.5μIU/mL (Kg) 体重減少 インスリン抵抗性の強い肥満者 75gGTT30 分インスリン濃度 >57.5μIU/mL 体重減少 (Kg) 5 0-5 -10 5 0-5 -10 P =.90 Ebbeling CB, et al JAMA, 297; 2092-2102, 2007 0 6 12 18月 P =.02 低炭水化物食 低脂肪食 ( 脂質 :20 en% 炭水化物 :55 en%) 低炭水化物食 ( 脂質 :35 en% 炭水化物:40 en%) 0 6 12 18月 低脂肪食 飽和脂肪酸の目標量の下限 p.80 (18 歳以上で 4.5% % エネルギー以上 ) 飽和脂肪酸摂取量が少ないと脳出血が増加する可能性がある Iso H, et al. Fat and protein intakes and risk of intraparenchymal hemorrhage among middle-aged Japanese. Am J Epidemiol. 2003;157:32-39. McGee D, et al. The relationship of dietary fat and cholesterol to mortality in 10 years: the Honolulu Heart Program. Int J Epidemiol. 1985;14:97-105. 厚生労働省主要栄養素 9

10 年間の脳卒中死亡者数 (1000 人当たり ) 20 Honolulu Heart Program, 1985 10 0 <10 10~20 20~30 30~40 40~50 50g 以上 飽和脂肪酸の摂取量 (g/ 日 ) P<0.05 飽和脂肪酸摂取量と脳出血罹患 Iso H, Am J Epidemiol, 2003, 157, 32-39 1.2 相対危険 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 5.2g 8.4g 11.9g 17.1g 飽和脂肪酸摂取量 (g/ 日 ) 3 項目調整 10 項目調整 は有意差あり 厚生労働省主要栄養素 10

飽和脂肪酸の目標量の上限 p.81 (18 歳以上で 7.0% % エネルギー未満 * ) 米国での飽和脂肪酸摂取量を 10% エネルギー 未満 又は7% エネルギー未満にした多くの介入研究で LDL-コレステロール値低下 体重減少が認められている Yu-Poth S, et al. Effects of the National Cholesterol Education Program's Step I and Step II dietary intervention programs on cardiovascular disease risk factors: a meta-analysis. Am J Clin Nutr 1999; 69: 632-646. *2006 年の米国 AHA の基準と同じ ールの変化量 (mmo ol/l) LDL コレステロ 飽和脂肪酸摂取量 ( エネルギー比率 ) の低下は LDL-コレステロール値の減少をもたらす ( 介入研究 メタ アナリシス ) Yu Poth S, et al. : Am J Clin Nutr 69:632 46,1999 0.5 r = 0.70,P < 0.0001 0.0-0.5-1.0-1.5-14 -12-10 -8-6 -4-2 0 飽和脂肪酸摂取の変化量 ( エネルギー比率 ) 厚生労働省主要栄養素 11

n-6 系脂肪酸の目安量 p.84 必須脂肪酸としての役割から設定 現在 日本人で普通に食事を摂取している人は 欠乏症状が現れていないと考え 平成 17 年 /18 年国民健康 栄養調査摂取量の中央値を目安量とした n-6 系脂肪酸の食事摂取基準 p.106 男性 女性 年齢目安量目標量目安量目標量 (g/ 日 ) (% エネルキ ー ) (g/ 日 ) (% エネルキ ー ) 0~5 ( 月 ) 4 4 6~11 ( 月 ) 5 5 1~2( 歳 ) 5 5 3~5( 歳 ) 7 6 6~7( 歳 ) 8 7 8~9( 歳 ) 9 8 10~11( 歳 ) 10 9 12~14( 歳 ) 11 10 15~17( 歳 ) 13 11 18~29( 歳 ) 11 10 未満 9 10 未満 30~49( 歳 ) 10 10 未満 9 10 未満 50~69( 歳 ) 10 10 未満 8 10 未満 70 以上 ( 歳 ) 8 10 未満 7 10 未満 妊婦 +1 授乳婦 +0 厚生労働省主要栄養素 12

n-6 系脂肪酸の目標量の上限 p.84 酸化の問題 炎症を惹起するプロスタグランディンン (PGE2) ロイコトリエン(LTB4) 多量摂取時の安全性を考慮し 10% エネルギー未満 p.85 n-3 系脂肪酸の目安量 必須脂肪酸としての役割から設定 現在 日本人で普通に食事を摂取している人は 欠乏症状が現れていないと考え 摂取量の中央値を目安量とした 厚生労働省主要栄養素 13

n-3 系脂肪酸の食事摂取基準 (g/ 日 ) p.107 男性 女性 年齢 目安量 目標量 目安量 目標量 0~5 ( 月 ) 0.9 0.9 6~11 ( 月 ) 09 0.9 09 0.9 1~2( 歳 ) 0.9 0.9 3~5( 歳 ) 1.2 1.2 6~7( 歳 ) 1.6 1.3 8~9( 歳 ) 1.7 1.5 10~11( 歳 ) 1.8 1.7 12~14( 歳 ) 2.1 2.1 15~17( 歳 ) 2.5 2.1 18~29( 歳 ) 2.1 以上 1.8 以上 30~49( 歳 ) 2.2 以上 1.8 以上 50~69( 歳 ) 2.4 以上 2.1 以上 70 以上 ( 歳 ) 2.2 以上 1.8 以上 妊婦 1.9 授乳婦 1.7 注 : 目標量では EPA+DHA を 1g/ 日以上摂取することが望ましい 日本の最近の大規模 STUDY JPHC Study;Circulation, 2006 4 万人の日本人を 11 年間観察 EPA+DHA を 1g/ 日 以上摂取することが望ましい JACC Study;J Am Coll Cardiol, 2008 6 万人の日本人を 12.7 年間観察 JELIS;Lancet, 2007 9000 人の高コレステロール患者を対象に 1.8gEPA を 4-6 年投与した介入研究 厚生労働省主要栄養素 14

EPA+DHA 摂取量と非致死性心筋梗塞 (JPHC Study) 41,578 人 約 10 年間観察 罹患者 196 人 1.2 1 ハザード比 0.8 年齢 性調整 0.6 17 項目調整 0.4 0.2 P-trend 0 <0.001 001 0.003003 0.3 0.6 0.9 1.3 2.1 EPA + DHAの摂取量 (g/ 日 ) は有意差あり 非致死性心筋梗塞では用量依存性の関係が認められる Iso H, et al. Circulation, 113:195-202, 2006 コレステロールの目標量の上限 p.90 18 歳以上男性 :750 mg/ 日未満 18 歳以上女性 :600 mg/ 日未満 厚生労働省主要栄養素 15

死亡亡者数 1000 人当当たり 日系人男性のコレステロール摂取量と虚血性心疾患による死亡率 25 20 15 10 5 0 <125 125-175 175-225 225-275 Honolulu Heart Program, 1985 275-325 >325 CHD 死亡率 P<0.05 コレステロール摂取量 (mg/1000kcal) 脂質基準使用時の注意点 1. 脂質で用いられている目標量の値は 疾病 ( 生活習慣病 ) 罹患をエンドポイントとした RCT 研究にもとづいたものではない 2. 個人の代謝特性は考慮されておらず 目安量や目標量がその個人に当てはまるかどうかは明らかでない 3. 疾病罹患には栄養だけでなく 多くの環境 遺伝因子 ( リスク ) が存在する 各個人で各リスクの重要性は異なる 柔軟な適応が大切 厚生労働省主要栄養素 16

炭水化物 食物繊維 アルコール p.109 炭水化物 : 単糖あるいはそれを最小単位とする重合体 糖類 ( 重合度が 1~2) 少糖類 ( 重合度が 3~9) 多糖類 ( 重合度が 10 以上 ) 炭水化物 : 栄養学的な主な役割 単糖類 二糖類 約 4kcal/g でんぷん非でんぷん性多糖類 食物繊維 腸内細菌の発酵分解脳 神経組織など 通常はぶどう糖しかによる :0~2kcal/g エネルギー源として利用できない組織に ( さまざま ) ぶどう糖を供給すること 脳の消費エネルギーは 300kcal/ 日程度 ぶどう糖 75g/ 日 しかし 肝臓は糖新生によって他の栄養素からぶどう糖を産生し 血中に供給できるため 上記の値は炭水化物の必要量にはならない では どうするか? 厚生労働省主要栄養素 17

炭水化物 食物繊維 アルコール p.110 摂取基準の算定方法 総エネルギー摂取量から たんぱく質由来のエネルギーと脂質由来のエネルギーを引いた差分のエネルギーを与える炭水化物量総エネルギー摂取量 = 推定エネルギー必要量たんぱく質 = 推奨量付近またはそれ以上脂質 = 目標量の範囲内 炭水化物 脂質 たんぱく質 アルコールの扱い ( 通常飲酒量の範囲 ) 炭水化物に含めても大きな支障はないと考えられる 炭水化物の代わりにアルコールを摂取してもよいという意味ではない とくに摂取を勧める理由のない栄養素なので 指標は策定しない 食物繊維の食事摂取基準 (g/ 日 ) p.111 指標の根拠 生活習慣病の発症に関連するという報告が多いことから 目標量とする 関連する疾患 研究結果が比較的一致しているもの : 心筋梗塞 糖尿病 : 発症率と死亡率と負の関連 血圧 血清血清 LDL コレステロール 肥満度 : 負の関連 研究結果が必ずしも一致していないが示唆されるもの : がん ( 特に大腸がん ): 発症率 死亡率と負の関連 便秘 : 罹患率と負の関連 厚生労働省主要栄養素 18

食物繊維の食事摂取基準 (g/ 日 ) p.111 値の算定根拠 心筋梗塞死亡率が 12g/ 日未満で増加し 24g/ 日以上で低下する ( メタアナリシス :Arch Intern Med 2004; 164: 370-6) 現在の日本人で習慣的な摂取量が 24g/ 日に達している者は稀であると思われる ( 平成 17-18 年国民健康 栄養調査 ) 12g/ 日と 24g/ 日の中間値 (=18g/ 日 ) を目標量とする 男女の基準体重の差を考慮し 表のとおりとする 性別 男性 女性 年齢 目標量 目標量 0~11 ( 月 ) - - 1~17 ( 歳 ) - - 18 以上 ( 歳 ) 19 以上 17 以上 妊婦 ( 付加量 ) - 授乳婦 ( 付加量 ) - 目標量 の使い方を熟知して正しく活用してください 厚生労働省主要栄養素 19