九州電力における再エネ接続の現状と今後の対応 2 0 1 7 年 6 月 8 日九州電力株式会社
九州では既にこうなっている 1 今年の正月の需給バランスは 再エネ比率 64% ( うち太陽光 57%) ( 万 kw) 1,000 800 揚水発電 揚水動力 需要 ( 万 kw) 800 需要 694 万 kw 600 600 火力原子力 火力 400 400 200 太陽光 200 太陽光 393 万 kw 再エネ 442 万 kw 0 水力 地熱 風力 ハ イオマス原子力 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 ( 時 ) 0 水力 地熱等 49 万 kw
目次 2 1 九州における再生可能エネルギーの現状 2 現状の課題と対応状況 3 今後に向けた実証試験等 4 まとめ
1 九州における再生可能エネルギーの現状 3
アジアの中の九州 4 アジアの主要都市と九州 ウラジオストクナホトカ 北京 大連 青島南京杭州 上海 ソウル仁川釜山 九州 日本 東京名古屋大阪 広州香港 台北 4
九州には再エネの適地が多い 5 日照条件がよい 太陽光 風況がよい 風力 火山が多い 地熱 森林が多い畜産が盛ん バイオマス 山地がある 水力 揚水 用地コストが比較的安い
FIT 導入で太陽光が爆発的に増加 6 + 契約済 1,100 万 kw 1,000 FIT 導入 (2012.7) 800 600 470 616 697 682 400 271 200 56 74 111 0 2010 11 12 13 14 15 17.01 16 FIT 買取価格 (10kW 以上税抜 ) 40 円 36 円 32 円 27 円注 24 円 ( 年度 ) 注 )H27/4~6:29 円 H27/7~:27 円
風力も着実に増加 7 ( 万 kw) 80 FIT 導入 (2012.7) + 契約済 62 万 kw 60 40 40 41 43 43 46 47 49 20 0 2010 11 12 13 14 15 17.01 16 FIT 買取価格 (20kW 以上税抜 ) 22 円 22 円 22 円 22 円 22 円 ( 年度 )
太陽光接続量の全国シェアは経済規模の約 2 倍 8 全国に占める割合 九州は日本の 1 割経済 11% 10% 9% 約 2 倍 19% 面積 人口 販売電力量 太陽光 接続量 ( 出所 ) 資源エネルギー庁 2015 年度総需要電力量速報 固定価格買取制度情報公表用ウェブサイト 九州経済調査協会 図説九州経済 2017 をもとに作成
2 現状の課題と対応状況 9
再エネ大量導入で電気の量と質に課題が発生 10 量 主な課題 余剰電力 熱容量 現在の対応 火力の抑制 揚水の活用 大容量蓄電池の活用 再エネの出力制御 ( 離島 ) 送変電設備の増強 質 周波数 再エネへの蓄電池併設 ( 離島 ) 系統電圧 電圧調整装置の増設
電気の消費量と発電量をバランスさせることが必要 バランスのとれた状態 バランスが崩れた状態 漕ぐ力 負 荷 供 給 需 要 漕ぐ力 負 荷 供 給 需 要 漕ぐ力 発電 供給 11 回転数 が減少 転倒 停電 車輪の回転数 周波数 漕ぐ力 負 荷 供 給 需 要 回転数が一定 回転数 が増加 転倒 停電 負荷 消費 需要
火力の抑制 揚水の活用により需給を調整 o 2016 年 5 月 4 日の再エネ kw 比率 : 最大 78%( 太陽光 62%) o 当日の再エネ kwh 比率 :38% ( 万 kw) 2016 年 5 月 4 日の需給バランス 1,200 1,000 余剰電力を揚水動力で吸収 2015 年度実績 :17% 2030 年のベストミックス :22~24% 需要 12 800 揚水発電 600 400 火力 太陽光 78% 200 0 水力 地熱 風力 ハ イオマス 原子力 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 ( 時 )
( 参考 ) 蓄電池と同様の機能を持つ揚水発電所 13 (70%) (100%)
( 参考 ) 九州の揚水発電所 14 天山 60 万 kw (30 万 kw 2 台 ) 大平 50 万 kw (25 万 kw 2 台 ) 小丸川 120 万 kw (30 万 kw 4 台 ) 合計 230 万 kw
再エネ余剰電力対策の実施順序 15 出力の抑制等を行う順番 1 火力の出力抑制 揚水の活用 2 九州地区外への供給 3 バイオマスの出力抑制 4 太陽光 風力の出力制御 5 広域機関の指示による九州地区外への融通 6 水力 地熱等の出力抑制
( 参考 ) 離島では既に出力制御を実施 16 鹿児島県種子島の例 (2017 年 1 月 3 日 ) (kw) 20,000 出力制御 980kW 需要 15,000 10,000 再エネ 8,120kW 内燃力最低出力 5,000 0 内燃力太陽光出力風力出力 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 ( 時 )
太陽光出力の予測と実績に大きなずれが発生 17 ( 万 kw) 400 350 170 万 kw 下振れ 400 350 220 万 kw 上振れ 300 300 250 200 予測 250 200 実績 150 150 予測 100 50 実績 100 50 0 0 6 8 10 12 14 16 18 20 ( 時 ) 薄曇りの予報 一部地域で雨 6 8 10 12 14 16 18 20 ( 時 ) 曇り 雨の予報 一部地域で晴れ
太陽光出力は大きく変動 18 ( 万 kw) 500 150 万 kw の振れ 500 190 万 kw 急降下 400 400 300 300 実績 200 実績 予測 200 予測 100 100 1.5 時間 0 0 6 8 10 12 14 16 18 20( 時 ) 6 8 10 12 14 16 18 20( 時 ) 晴れ時々曇り 天候の急激な悪化
再エネ大量導入により配電線電圧が上昇 19 変電所 6,600V 100/200V 100/200V 電圧調整装置 通常の電気 太陽光の電気 逸脱 太陽光 107V 95V 適正電圧範囲 (101±6V) 変電所からの距離 太陽光連系後 対策後 太陽光連系前
再エネ大量導入により熱容量が不足 再エネの電気の流れ 再エネ 20 増強が必要 発電所 変電所 お客さま 通常の電気の流れ
九州では広範囲で系統増強が必要な状況 21 容量面で制約が発生している地域
離島では再エネの出力変動による周波数変動が発生 22 長崎県壱岐島 (kw) 1,500 風力出力 1,000 500 (Hz) 60.3 1 風力出力急減 4 風力出力急増 0 0:19 0:20 0:21 0:22 周波数 5 周波数上昇 60.0 2 周波数低下 3 周波数上昇 ( 内燃力機出力増 ) 59.7 0:19 0:20 0:21 0:22 ( 時 )
3 今後に向けた実証試験等 23
今後に向けた実証試験等を実施中 24 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
今後に向けた実証試験等を実施中 25 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
太陽光出力予測の精度向上 26 現行 1 気象衛星データ 画像 2 日射量予測 ( 県単位 ) 3 出力予測 ( 県単位 ) 発電量 過去実績 精度向上 1 気象衛星データ 画像 日射量 2 日射量予測 ( 点単位 ) 3 出力予測 ( 点単位 ) + 過去 ( 同月 ) の日射量実績 + 過去 ( 至近 ) の気象変化 発電量 補正過去実績至近実績日射量
今後に向けた実証試験等を実施中 27 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
蓄電池の効果 28 再エネ出力 大 蓄電池 充電 小 放電 1 余剰電力の吸収 2 周波数変動の抑制
大容量蓄電池による需給バランス改善の実証 29 豊前発電所に設置の蓄電池 経産省の補助を受け実施 PCS 収納パッケージ 2 号バンク ( H28.3.3 運用開始 ) 1 号バンク ( H28.2.10 運用開始 ) 140m NAS 電池サブユニット (800kW 63 台 ) 6kV 受電設備収納パッケージ 66/6kV 連系用変圧器 (30,000kVA 2 台 ) 容量 :5 万 kw(30 万 kwh) 世界最大級 100m NAS 電池コンテナ全 252 台 出力 200kW/ 台 合計 50,400kW
今後に向けた実証試験等を実施中 30 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
きめ細やかな太陽光の出力制御に向けた実証 遠隔操作 定格出力の % 制御 [ 九州電力 ] [ 太陽光発電所 ] 31 専用回線 PCS 自動制御 66kV 以上 66kV 未満 インターネット PCS 自動制御 出力制御スケジュール スケジュール取得
今後に向けた実証試験等を実施中 32 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
( 参考 )VPP 実証試験への協力 [ 九州電力 ] 出力制御スケジュール 1 出力制御スケジュール提示インターネット [ アグリゲータ ] 33 スケジュール取得 長崎県壱岐島 従来 3 出力制御量削減 2 充電制御 [ 太陽光発電所 ] 経産省の補助を受け実施
今後に向けた実証試験等を実施中 34 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
離島での蓄電池による周波数変動抑制の実証 35 実証設備 ( 蓄電池 ) 壱岐 (4,000kW) 対馬 (3,500kW) 60.2 リチウムイオン電池 長崎県壱岐島での試験結果 奄美大島 (2,000kW) 種子島 (3,000kW) 経産省 環境省の補助を受け実施 60.1 蓄電池制御 (Hz) 60 59.9 0.08Hz 59.8 16:30 16:37 16:45 16:52 0.22Hz ( 時 )
今後に向けた実証試験等を実施中 36 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
( 参考 )EV リユース蓄電池の実証試験への協力 37 鹿児島県甑島 ( 薩摩川内市 ) [ 内燃力発電所 ] EVリユース蓄電池 (24kWh 36 台 ) 2 蓄電池で 複数の再エネの出力変動を緩和 1 再エネの出力を送信 出力 出力 [ 太陽光発電所 ] [ 風力発電所 ] 環境省の補助を受け実施
今後に向けた実証試験等を実施中 38 量 質 主な課題余剰電力熱容量周波数系統電圧 取組み 太陽光出力予測の精度向上 大容量蓄電池の実証試験 太陽光出力制御に向けた実証試験 ( VPP 実証試験 ) - 離島での蓄電池実証試験 ( EVリユース蓄電池実証試験) 配電線適正電圧維持の実証試験 ( ) は他の事業者が実施中の実証試験への協力
ローカルグリッドの適正電圧維持のための実証 [ 変電所 ] 6,600V PV1 PV2 PV3 PV4 39 (V) 113 109 105 101 97 93 実証設備 太陽光 蓄電池 模擬設備等 1 2 3 試験結果の例 1 2 適正電圧範囲 (101±6V) 薩摩川内市 約 280kW 118kW (130kWh) 模擬配電線路等 電圧調整装置 変電所からの距離 最適配置検討 対策前 対策後 模擬設備 3 電圧調整装置 太陽光
4 まとめ 40
まとめ 41 o 九州では 今後も その地域特性から再エネの導入拡大が期待される o 当社は 再エネ大量導入の先駆者として また 電力の安定供給を前提として 今後も課題解決に積極的に取り組む
ご清聴ありがとうございました 42