新 楽天銀行 FX レポート 勝てる場面はチャートが教えてくれる!? -FX 取引で収益を上げるには通貨ペアと取引タイムフレームの分散投資が必要!- ファンドマネージャー 石原順 勝てる場面はチャートが教えてくれる!? 楽天証券で 外為市場アウトルック という FX のレポートを書いている石原順です 筆者はファンド マネージャーとして 4 半世紀にわたり FX をメインに取引してきました FX の取引で収益を上げる には何が必要なのでしょうか? 運用の世界に身を置いて 30 年になりますが 取引手法の競争激化で 過去に流行したほとんどの売買手法は長期にわたって収益を上げることが難しくなっています 相場をどう認識するか? という手段の一つとして 現在ではテクニカル分析の手法を理解することは不可欠です 自由裁量の投資家であってもシステマティックなアプローチと損切り ( ストップロス注文 ) を使わないと 相場で長期的に利益を上げることは難しいと思っています 今回のレポートでは 筆者が 25 年以上使っている ボリンジャーバンドと ADX を組み合わせた売 買手法 を紹介したいと思います すぐれた取引手法は すべての市場 ( 株式 債券 FX コモディティなど ) とタイムフレーム ( 週足 日足 4 時間足 1 時間足 15 分足 5 分足など ) に拡張が可能です 筆者は 1990 年以降この手 法をずっと使っていますが 現在も収益を上げてくれる売買手法の一つです 誰でも簡単に出来る売買手法です では さっそくやってみましょう トレードで収益を上げるにはテクニカル分析という道具 ( ツール ) が必要ですが 楽天銀行の マー ケットスピード FX (PC 用トレードツール ) か ispeedfx( スマホ用トレードツール ) で 2 つのテクニ カル指標を表示させればいいだけです マーケットスピード FX のチャートで < テクニカル選択 > をクリックし < トレンド系 > から < ボリンジ ャーバンド > を < オシレーター系 > から <DMI> というテクニカル指標を選択します ispeedfx でも同様の手順で設定可能です 1
ドル / 円の日足チャート < テクニカル選択 > < トレンド系 > < ボリンジャーバンド > を選択 ドル / 円の日足チャート < テクニカル選択 > < オシレーター系 > <DMI> を選択 2
これで チャートの設定は完了です ボリンジャーバンドのパラメータを 21 ADX のパラメータを 14 に設定してください ボリンジャーバンドのパラメータの設定 DMI(ADX) のパラメータの設定 3
ドル / 円 ( 日足 ) ボリンジャーバンド (21) と DMI(ADX14) が表示されたチャート画面 ボリンジャーバンドと ADX を組み合わせた売買手法 ボリンジャーバンドと ADX を組み合わせた売買手法の概要は以下の通りです 1 パラメータ 21 のボリンジャーバンドを表示させる ( マーケットスピード FX では BandWIdth(= ボリンジャーバンドの幅 ) も自動的に表示されます ) 2 パラメータ 14 の DMI(ADX) を表示させる トレンドの発生 ( 保ち合い離れの判定方法 ) ADX が上昇しはじめた時 新規建玉のポイント エントリー ( 新規注文 ) ポイントは ADX が上昇しはじめて 相場がボリンジャーバンド ±1 シグマの 外に飛び出している時 4
損失を限定しつつ利益を伸ばす手仕舞いのポイント 手仕舞い ( イグジット ) は相場がボリンジャーバンド ±1 シグマの内側に入った時に トレーリングス トップ注文で決済 < 注 : トレーリングストップ注文とは> 逆指値 ( ストップロス ) 注文をより効率的に用いるための注文方法で ストップロスのための逆指値注文を置いておくだけではなく 実勢の取引レートとほぼ同じ値幅間隔で ストップ注文の指定レートを徐々に有利な方向へ自動的に追尾してくれます 買いポジションの場合は 相場の上昇に合わせてストップロス注文の指定レートを切り上げてくれます 逆に売りポジションの場合は 相場の下落に合わせてストップロス注文の指定レートを切り下げてくれます このように損失の最小化と利益の最大化をはかる注文方法がトレール注文です ADX ( 平均方向指数 Average Directional Movement Index) とは? 相場のトレンドの有無を判定するというテクニカル ツール ( 道具 ) で最もポピュラーなのは J W ワ イルダーの考案した ADX ( 平均方向指数 ) という指標です ADX は RSI やピボット パラボリックと同じく J W ワイルダーが考案したテクニカル指標 DMI の中 のトレンド判定指標で 通常は DMI と合わせて使われています 相場に方向性が出てくると ADX は上昇します ADX が低い位置から上昇する場合は 相場がもちあいを離れ 強い方向性をもつシグナルとなります 相場に大きなトレンドが発生する可能性のある局面は ADX が上昇し ボリンジャーバンドの+1 シグマか-1シグマをブレイクしている時です 当然ダマシもありますが 日足でも年 2~3 回程度は大きなトレンドに発展する確率が高いので タイトなストップロス注文を置いてリスクを取るに値する局面と言えます 一方 ADX ( 方向性指数 ) がピークアウト ( 天井をつけ下落 ) すると トレンド期とはやや逆方向に バイアスがかかった レンジ内での乱高下相場 となります 相場のトレンドの発生は ADX が低い位置から上がっていく局面で これを相場用語では 保ち合 い放れ レンジ ブレイク ボラティリティ ブレイクアウト などと呼んでいます 5
ADX とボリンジャーバンドを組み合わせた売買手法 ( サンプル : ドル / 円の日足 ) ドル / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場上段 :21 日ボリンジャーバンド ( 緑のラインが ±1シグマ ) ( 新規建玉 )= 赤色の矢印 イグジット ( 手仕舞い )= 黄色の矢印 チャートの白い枠でかこんだ部分が相場のトレンド期で 相場に強いトレンドが発生する兆候は ADX が低い位置から上昇しはじめたところです エントリー ( 新規注文 ) ポイントは ADX が上昇しはじめて 相場がボリンジャーバンド ±1 シグマの 外に飛び出している時です 手仕舞い ( イグジット ) は相場がボリンジャーバンド ±1 シグマの内側に入った時か トレーリングス トップ注文で決済します ボリンジャーバンドと ADX を使う売買手法は トレンド形成期待の高い局面だけ売買するという手 法ですが 当然のことながら すべての売買がうまくいくわけではありません 必ずストップロス注 文を置いてトレードしましょう 6
ドル / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 7
取引通貨ペアの分散で収益機会を増やす ここで重要なのは 運用成績を毎年安定したものにするためには< 分散投資 >が必要だということです 分散投資とは投資金額を分散していくつかのものに投資する手法ですが 一つのものに投資するとなんらかの要因で投資対象の価値が下落した場合は投資資金がほとんどなくなってしまうので そうしたリスクを軽減するために行われる投資手法です 筆者が分散投資を推奨するのは 一つの通貨ペアだけ売買していても収益機会は限られるから です 収益機会を増やし資金効率を上げるためには 資金を分散してできるだけ多くの通貨ペア を取引するのがよいでしょう ポンド / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 8
ポンド / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 9
ランド / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 10
ランド / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 11
トルコリラ / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 12
トルコリラ / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 13
豪ドル / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 14
豪ドル / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 15
タイムフレーム ( 取引時間枠 ) の分散で収益機会を増やす 今年の相場は 4 時間足以下のタイムフレームで収益期待の高い相場が続いています 以下は ユーロ / 円の日足 4 時間足 1 時間足 30 分足 5 分足のチャートです 日足というタイムフレームだけ取引しているよりも より短期のタイムフレームの相場に参入することで 資金効率は劇的によくなります どの時間帯で取引するかは 標準偏差ボラティリティの形状が重要となります 循環的にトレンド が発生しているタイムフレームを選択するのが重要です 筆者は今年のトレードでは 4 時間足 1 時間足 30 分足 15 分足 5 分足を選択することが多いです 以下はユーロ / 円の日足 4 時間足 1 時間足 30 分足 5 分足のチャートです 日足だけではなく 他のタイムフレームに目を転じると 収益機会が多いことが判ると思います ユーロ / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 16
ユーロ / 円 ( 日足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 17
ユーロ / 円 (4 時間足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 18
ユーロ / 円 (4 時間足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 19
ユーロ / 円 (1 時間足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 20
ユーロ / 円 (1 時間足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 21
ユーロ / 円 (30 分足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 22
ユーロ / 円 (30 分足 ) 白枠でかこっている ADX の上昇局面がトレンド相場 ( 出所 :ispeedfx) 23
相場は確率に賭けるゲーム 相場に絶対の法則はありません また 相場を正確に予測することは誰も出来ません 筆者も 30 年にわたり相場と関わってきましたが 投資の世界はつきつめてやりだすと 終わりの見えないこ とばかりです それでも相場とは一体何かと言うと それは 確率に賭けるゲーム だと思います 筆者が心がけ ていることは 勝つ確率の高い局面で投資を行うということです グッドラック アンド グッドトレーディング! 皆さん ストップロス注文をお忘れなく! 24