3 はじめに 第 23 回柔道整復師国家試験の結果が3 月 27 日に発表されました 結果 ( 合格率 ) は新卒者 80.8% 既卒者 14.7% でした さて ご承知のように国家試験問題が 1 必修問題の導入と それに伴う2 問題数の増加 さらには3 出題形式の変更 4 臨床実地問題数の増加 4 合否基準の変更等々 大幅な見直しが行われ 第 13 回の試験から実施されています しかも必修問題においては 80%( 必修問題以外については 60%) をクリアしないと合格できないという厳しい条件が課せられました 問題においてもそれまではみられなかった難易度の高い問題が各教科で出題されるようになり しっかりと腰を据えて頑張らないと合格も容易でなくなってきました しかしこれは怠惰をむさぼっている者にとっての心配事で 普段から学習している者にとってはさほど問題にすることではありません とはいえ合格を確実なものにするためには やはり過去の国家試験のチェックは欠かせません なぜなら過去の問題に当たることで問題の傾向や問題の内容が把握でき 受験対策を立てるうえで あるいは勉強を進めるうえで道標となるからです 本書は諸君の受験勉強に少しでも役に立つならばとの思いから編纂したもので 第 13 回から第 23 回までの全問題を収録し 諸君の学習に最もよいと思われる方法でまとめました 本書が諸君の受験勉強に大きな力となることは間違いないでしょう なお 第 1 回 ~ 第 7 回 第 8 回 ~ 第 12 回の柔道整復師国家試験問題解答集が同社から出版されていますので 併せてご利用ください 諸君の頭上に合格という栄冠が輝くことを祈って止みません [ 本書の特色 ] 1 柔道整復師国家試験問題の第 13 回から第 23 回までの問題のすべてを収録した 2 解説は簡潔に要点を要領よくまとめた ( 第 21 ~ 23 回国試解説では 正解の選択肢には 印を そうでない選択肢には 印を付した ) 3 各教科の出題傾向がわかるように問題を教科ごとに類別した 4 問題 正解 解説を1か所にまとめ使いやすくした ( 正解はの中に数字で示した ) 2015 年 6 月 あ は き師 柔整師教育研究会編者代表
CONTENTS はじめに 3 必修問題 7 第 14 回 8 第 15 回 13 第 16 回 19 第 17 回 25 第 18 回 31 第 19 回 37 第 20 回 43 第 21 回 49 第 22 回 56 第 23 回 63 解剖学 71 第 13 回 72 第 14 回 79 第 15 回 84 第 16 回 89 第 17 回 95 第 18 回 101 第 19 回 106 第 20 回 113 第 21 回 120 第 22 回 127 第 23 回 133 生理学 141 第 13 回 142 第 14 回 148 第 15 回 153 第 16 回 159 第 17 回 165 第 18 回 169 第 19 回 174 第 20 回 180 第 21 回 185 第 22 回 191 第 23 回 197 運動学 205 第 13 回 206 第 14 回 208 第 15 回 211 第 16 回 213 第 17 回 215 第 18 回 217 第 19 回 218 第 20 回 221 第 21 回 223 第 22 回 225 第 23 回 228 病理学 231 第 13 回 232 第 14 回 234 第 15 回 237 第 16 回 240 第 17 回 243 第 18 回 245 第 19 回 248 第 20 回 251 第 21 回 253 第 22 回 256 第 23 回 259 衛生学 公衆衛生学 263 第 13 回 264 第 14 回 267 第 15 回 270 第 16 回 272 第 17 回 274 第 18 回 277 第 19 回 279 第 20 回 282 第 21 回 284 第 22 回 287 第 23 回 291
もくじ 関係法規 295 第 13 回 296 第 14 回 297 第 15 回 300 第 16 回 302 第 17 回 305 第 18 回 306 第 19 回 308 第 20 回 310 第 21 回 312 第 22 回 314 第 23 回 316 リハビリテーション医学 319 第 13 回 320 第 14 回 322 第 15 回 324 第 16 回 327 第 17 回 329 第 18 回 331 第 19 回 334 第 20 回 336 第 21 回 339 第 22 回 341 第 23 回 344 一般臨床医学 347 第 13 回 348 第 14 回 352 第 15 回 357 第 16 回 362 第 17 回 366 第 18 回 370 第 19 回 374 第 20 回 379 第 21 回 384 第 22 回 390 第 23 回 395 外科学概論 403 第 13 回 404 第 14 回 406 第 15 回 408 第 16 回 411 第 17 回 413 第 18 回 415 第 19 回 418 第 20 回 420 第 21 回 422 第 22 回 425 第 23 回 428 整形外科学 433 第 13 回 434 第 14 回 437 第 15 回 440 第 16 回 443 第 17 回 445 第 18 回 448 第 19 回 451 第 20 回 454 第 21 回 456 第 22 回 458 第 23 回 462 柔道整復理論 465 第 13 回 466 第 14 回 481 第 15 回 492 第 16 回 507 第 17 回 522 第 18 回 535 第 19 回 549 第 20 回 561 第 21 回 573 第 22 回 591 第 23 回 607 参考ならびに引用図書 622
柔道整復理論 柔道整復理論 465
柔道整復理論 607 第 23 回問題 470 検査と疾患との組合せで正しいのはどれか 2つ選べ 1. トーマステスト 腸腰筋炎 2. リフトオフテスト 小円筋断裂 3. 大腿神経伸展テスト 下位腰椎椎間板ヘルニア 4. 前方引き出しテスト 前距腓靭帯断裂解説 1-トーマステストは腸腰筋や大腿直筋 縫工筋などの障害によって発生する股関節屈曲拘縮のテストである 2-リフトオフテストは肩甲下筋の筋力を調べるテストである 3- 大腿神経伸展テストは上位腰椎椎間板ヘルニアのテストである 下位腰椎椎間板ヘルニアのテストは坐骨神経伸展テスト ( ラセーグテスト ) である 4- 前方引き出しテストは前距腓靭帯断裂のテストである 前十字靱帯断裂のときも同じ用語を使う 1 4 問題 471 骨挫傷で正しいのはどれか 1. 高齢者に特有な損傷である 2. 疼痛がないのが特徴である 3.MRI により診断が可能である 解説 骨挫傷とは海綿質の微小な骨折をいう 4. 緻密質に限局した損傷である 1- 骨挫傷は年齢に関係なくみられる 高齢者に多いのは骨粗鬆症に伴う骨折で ある 2- 持続性の疼痛を伴う 3- 単純 X 線や CT での検出は不可能だが MRI により検出できる 4- 海綿質に限局した損傷である 3 問題 472 小児骨折で正しいのはどれか 1. 解剖学的整復が必要である 2. 捻転転位は自家矯正されやすい 3. 偽関節の発生はまれである 4. 関節拘縮が生じやすい 解説 1- 小児骨折は多少の変形を残して癒合したとしても自然に矯正される ( 自家矯 正能 ) ので 解剖学的整復を必要としない 解剖学的整復とは折れた骨を元の状態に戻して固定することである 2- 捻転転位に基づく変形は自然に矯正されない 3- 小児骨折は骨癒合が良好で 偽関節を生じることが少ない 4- 小児の関節は成人の関節と異なり 拘縮を起こしにくい 3 問題 473 骨端成長軟骨板で起こるのはどれか 2つ選べ 1. リトルリーガー肩 2. 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎 3. 大腿骨頭すべり症 4. 腰椎分離症解説骨端成長軟骨板は長管骨の長軸成長をつかさどる ( 内軟骨性骨化 ) 1 骨端軟骨は抵抗が弱いため損傷を受けやすい 2 骨端成長軟骨板損傷 ( 骨端線損傷または離開 ) はⅠ 型からⅤ 型に分類 ( ソルターハリス分類 ) される 3 成長軟骨板あるいは小児では外傷により同部で骨端線離開を生じやすい 1-リトルリーガー肩は発育期の野球選手 ( とくに投手 ) に多くみられる上腕骨近位の骨端成長軟骨板損傷 ( ソルター ハリス分類 Ⅰ 型 ) である 2- 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は投球動作によって発生する肘の障害 ( 野球肘 ) のことである 関節遊離体を生じロッキングを生じることがある
608 3- 大腿骨頭すべり症は思春期 (10 ~ 17 歳 ) の肥満傾向の男子に多い ホルモンの異常により成長軟骨板が弱くなることが原因といわれる 4- 腰椎分離症は椎弓を構成する上下関節突起の中間にある峡部が分離しているものをいう 1 3 問題 474 高齢者の骨折の特徴で正しいのはどれか 1. 海綿質の多い部位に好発する 2. 竹節状骨折になりやすい 3. 骨癒合しやすい 4. 骨癒合完了までベッド上で安静にする 解説 高齢者の骨折の原因は骨粗鬆症が多い 1- 高齢者の骨折は海綿質の多い部位に好発する 骨粗鬆症は海綿質が薄くなる 病態である ( 骨密度減少 ) 2- 竹節状骨折は小児骨折にみられる 3- 高齢者の骨折は骨癒合が遅い 4- 日常生活に支障が出ないようにできるだけ早期に離床させる 1 問題 475 骨癒合に不利な条件はどれか 1. 軟部組織損傷が少ない 2. 転位が少ない 3. 細菌感染が認められない 4. 血腫が少ない 解説 骨癒合に関しては下表を参照 骨癒合に好適な条件 1 軟部組織の損傷が少ない 2 両骨片への血行が良好な場合 3 細菌感染のない場合 4 噛合した骨折 5 年齢が若い など 骨癒合が不適な条件 1 骨折部に血腫が消失している場合 2 骨折端が広く離開している場合 3 高度な粉砕骨折がある場合 4 関節内骨折の場合 5 栄養状態が悪い場合 など 4 問題 476 フォルクマン (Volkmann) 拘縮に対する passive stretch test の疼痛部位で正しいのはどれか 1. 上腕屈側 2. 前腕屈側 3. 手背部 4. 手掌部解説フォルクマン拘縮とは 小児の肘関節部や前腕の骨折のときにみられる合併症で 主に前腕屈筋群の変性と阻血性の神経麻痺が起こり 手指に麻痺特有の拘縮をきたすものをいう 症状は受傷後 24 時間以内に始まり 1 疼痛 2 蒼白 3 知覚異常 4 麻痺 5 脈拍消失 (5P) が出現する 疼痛は手指の他動伸展時に前腕屈筋群に激痛が出現する 2 問題 477 単独脱臼で整復後でも疼痛が軽減しにくいのはどれか 1. 肩鎖関節上方脱臼 2. 肩関節前方脱臼 3. 膝蓋骨外側脱臼 4. 第 1 中足趾節関節背側脱臼解説単独脱臼とは1ヵ所の関節の脱臼である 症状は 疼痛 腫脹および関節血腫 変形 弾発性固定である 1- 肩鎖関節上方脱臼 ( 最も多い ) では転位により変形性治癒 ( 階段状の突出変形 ) を残すことが多く 上肢への放散痛 肩の違和感 倦怠感などを長く残す
柔道整復理論 609 2- 肩関節前方脱臼では整復が不十分だと反復性脱臼に移行しやすい 合併症と しては腋窩神経麻痺がある 3- 膝蓋骨外側脱臼は大半は膝を伸展することで容易に自然整復されるので 疼 痛を残すことはない 4- 第 1 中足趾節関節背側脱臼は整復後の予後は一般に良好である 1 問題 478 チネル徴候で正しいのはどれか 1.neurapraxia で特徴的にみられる 3.Waller 変性が起こる前にみられる 2. 経時的に近位に移動していく 4. 末梢神経の再生状況を評価できる 解説チネル徴候とは 損傷神経幹で再生知覚神経が前進している部分を軽く叩くとその 神経の支配領域に痛みが放散する徴候をいう 1- チネル徴候はサンダーランド分類 2 度の損傷や神経縫合の軸索再生期にみら れる neurapraxia はサンダーランド分類 1 度である 2- 経時的に遠位に移動していく 3- チネル徴候は Waller 変性が起こった後でみられる Waller 変性とは末梢神 経線維が軸索の切断などにより分断された場合 分断された末梢側の軸索 髄鞘が変性消失する現象をいう その後 中枢側の軸索より 再生軸が発芽 する 再生軸索はシュワン細胞と強い親和性を持ち 末梢断端から入り込み シュワン管に沿って伸びていき 軸索の周囲に再び髄鞘が形成される 4- チネル徴候は損傷の部位診断 回復 ( 再生 ) の程度を知るのに有効である 4 問題 479 胸骨骨折で誤っているのはどれか 1. 体部骨折が多い 2. 横骨折が多い 3. 腹式呼吸となる 4. 偽関節になりやすい 解説胸骨骨折は交通事故のハンドル損傷やシートベルト損傷などで発生する 直達外力 により発生するものが多い 1- 体部骨折が最も多い 2- 横骨折が多い 3- 呼吸時に激痛があるため腹式呼吸をとる 4- 偽関節になりにくい 4 問題 480 肋骨骨折で正しいのはどれか 1. 小児に多い骨折である 2. ゴルフによる疲労骨折は下位肋骨に多い 3. 多発 複数骨折でフレイルチェストがみられる 4. 固定は最大吸気時に素早く施行する 解説肋骨骨折の好発部位は第 5~ 第 8 肋骨である とくに第 7 肋骨に多い 1- 小児の肋骨は弾力性に富んでいるため骨折は稀である 骨粗鬆症を起こして いる高齢者に多い 2- ゴルフによる骨折は第 5 第 6 肋骨に多い 3- フレイルチェスト ( 胸壁動揺 ) とは 3 本以上の隣接する肋骨が 2 ヵ所で骨 折したとき 胸壁の支持力が失われ胸壁が呼気時に膨隆し 吸気時に陥没す るといった異常な胸壁運動 ( 奇異呼吸 ) のことである 4- 固定は最大呼気時に素早く行う 3
623 柔道整復師国家試験問題解答集 平成 28 年 (2016 年 ) 度用第 13 回 ~ 第 23 回 (2005 年 ~ 2015 年 ) 2015 年 7 月 5 日第 1 刷発行 編著者 あ は き師 柔整師教育研究会 発行者高橋友也 発行所 桐書房 113-0021 東京都文京区本駒込 2-10-3 TEL 03-5940-0682 FAX 03-5940-0599 E-mail kiri@ kirisyobo. com URL http://www. kirisyobo. com 印刷 製本株式会社シナノパブリッシングプレス 定価はカバーに表記してあります落丁 乱丁本はお取り替えいたします ISBN978-4-87647-853-8 C3047