「医療情報システムの基本」

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データの利活用も見据えた標準規格策定の方向性に関する研究 澤智博 ( 代 )( 帝京大学 ) 岡田美保子 ( 先端医療振興財団 ) 木村通男 ( 浜松医科大学 ) 小出大介 ( 東京大学 ) 嶋田元 ( 聖路加国際大学 ) 美代賢吾 ( 国立国際医療研究センター ) 平成 29 年度 調査視点 国内

05 資料5 データの利活用も見据えた標準規格策定_研究概要

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内容 1. はじめに 大規模治験ネットワーク登録医療機関への支援内容 治験実施医療機関情報の登録と公開 登録の条件 事前確認 大規模治験ネットワーク への登録方法 登録の手順 登録でき

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( 別添 ) 保険医療機関又は保険薬局に係る電子情報処理組織等を用いた費用の請求に関する取扱要領 1 電子情報処理組織による診療 ( 調剤 ) 報酬の請求の届出保険医療機関又は保険薬局 ( 以下 保険医療機関等 という ) は 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令 ( 以下 請求

トップページログイン ( 利用者認証 ) システムへのログイン ( 利用者認証 ) の方法について説明します 1 デスクトップ上の HumanBrige のアイコンをダブルクリックします 3 画面左上に 医療機関名 利用者名 利用権限 が表示されたら ログイン完了です 2HumanBridge の初

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員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付するこ ととしていることを申し添えます 記 1. 基本要件基準第 13 条第 5 項及び第 6 項への適合性確認の基本的な考え方について (1)2023 年 ( 平成 35 年 )2 月 28 日 ( 以下 経過措置期間終了日 という )

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目次 ペトリネットの概要 適用事例

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5 分でわかる 医療情報の標準化 地域医療連携の拡大 電子カルテや大規模なオーダリングシステムの導入によって 病院間 病院と診療所間 病院内のシステム間での情報交換が問題になっています 人と人との間で情報を交換する すなわちコミュニケーションを進めるためには 同じ言語で話すことや 双方が共通に理解できる単語を使うことなどが必要です コンピュータは人間より 頭が固いので ルールがないとコミュニケーションが進みません 自分の部門だけ 病院内だけで通じるルールではなく 日本全国で通じるルールによって 問題に対処しませんか? 1

一般的に 情報を利用 共有するためには 平文の情報は 情報共有には不適当 事情が判っている人が聞けば関連づけできるが 判っていない人には関連づけが難しい まして コンピュータにはサッパリ理解できない システム稼働事例を平文で表現すると 亀田総合研究所のシステムが 京都の音羽会にて稼動している 昭和大学横浜市北部病院は 平成 20 年に富士通の電子カルテをレベルアップした 大阪の国立循環器センターは 2005 年に NEC のオーダリングシステムを導入した JAHIS/ 月刊新医療調査より編集 2

一般的に 情報を利用 共有するためには 平文で表記するのではなく 項目を決めて 記入ルールを決めることが要件 これが標準化の基本 記入ルール項目は 病院名 所在地 病床数 システム区分 ベンダー名 導入時期とする 病床数は 一般病床数とする システム名は 基幹システムとする 項目設定 コード都道府県施設名病床数システム区分システム名ベンダー名稼動年月 13 東京都東京医科大学病院 1091 オーダエントリー PC-ORDERING/AD NEC 2004 年 5 月 14 神奈川県 昭和大学横浜市北部病院 661 電子カルテ HOPE/EGMAIN-FX 富士通 2008 年 5 月 22 静岡県 静岡県立総合病院 720 電子カルテ e-カルテ ソフトウェアS 2006 年 7 月 26 京都府 洛和会音羽病院 618 電子カルテ Kai シーメンス亀田 /IBM 2000 年 10 月 27 大阪府 国立循環器病センター 640 オーダエントリー PC-ORDERING/AD NEC 2005 年 9 月 JIS コード 県別 一般病床数 基幹システム 記入ルール 西暦 3

一般的に 情報を利用 共有するためには 共有のルールを定めるとは 標準化の視点では 項目や記入ルールの決め事 都道府県の欄には 東京都と記入し練馬区と書かない 病床数の欄には 一般病床数を記入する 交換規約 データの決め事 都道府県コードは JIS のコードを使う 用語 コード フォーマットの決め事 A4 横書き 日本語 フォーマット 4

医療情報の共有 連携に必要な標準化とは 1. 交換規約 ( プロトコル ) の標準化 交換するデータ項目 氏名 生年月日 検査項目 検査結果 データ項目毎の記載ルール 氏名は 姓 名 ミドルネーム 交換メッセージの形式 依頼情報に含む項目 結果情報に含む項目 2. 用語 コードの標準化 用語 GAMMA-GTP と γ -GTP の統一 コード 医事コードと物品コードの連携 3. フォーマットの標準化 画像フォーマット DICOM フォーマット JPEG BMP 波形フォーマット 心電図 脳波計 HL7 DICOM 病名 ICD-10 処方 HOT 検査 JLAC10 画像 JJ1017 DICOM MFER 5

医療情報システムの標準化の背景 システムが大規模化し かつ多機能となったため全てのシステムを一社で開発することは不可能となり マルチベンダーによるシステム構築と システム間の接続が必要になった システム間接続が拡大し その費用が増大したため 費用軽減要求が高まった 病院完結型医療から地域完結型医療となり 他院から自院 自院から他院への情報受け渡しが必要になった 電子化された情報が増大し システムリプレース時 情報の継続利用 ( 移行 ) 要求が高まった 蓄積データの検索 分析 活用の要求が高まった etc. 6

マルチベンダー化による接続プログラムの増大 少し以前 全て A 社製システム オータ リンク 全て A 社手順 A 社手順 X 社検査システム 放射線システム 薬剤システム A 社手順 Y 社給食システム 医事システム DICOM T 社 PACS 現在 A 社製 B 社製放射線システム オータ リンク 薬剤システム C 社製 接続プログラムの数は システムが 7 つあれば最悪 7 6 個の組合わせ分が必要! T 社 PACS X 社検査システム A 社製医事システム Y 社給食システム この費用を抑制したい! 日本医療情報学会セミナー資料 ( 浜松医科大学木村通男教授 ) を参考に編集 7

医療機関の内外で 情報交換の必然性が高まるが 地域医療連携のためには 施設間で標準化されたデータが必須 例えば同じ薬品でも 部門ごとに名称やコードをつけると 物品管理名称マーデン錠 物品コード 406345 オータ リンク 名称塩酸トリヘキシフェニシ ル 薬品コード 223456 医事会計名称塩酸トリヘキシフェニシ ル錠 薬品コード 40634508 例えば同じ検査でも A 病院名称 γ -GTP 検査結果 120 正常値 6-38 B 病院名称 Gamma-GTP 検査結果 110 正常値 8-50 検査法が違う マスタ変換で無理やり! 連携困難 例えば放射線画像でも A 病院 CT 画像 JPEG2000 B 病院 CT 画像 DICOMフォーマット A 病院 オータ リンク B 病院 物品 医事 検査 放射線 γ-gtp=120 JPEG GAMMA-GTP=120 DICOM 検査 放射線 8

推奨する解決策は 保健医療情報分野の厚生労働省標準規格の採用 9

保健医療情報分野の標準規格として認めるべき規格について ( 別紙 ) 1 厚生労働省標準規格厚生労働省標準規格は以下の規格等とする HS001 医薬品 HOT コードマスター HS005 ICD10 対応標準病名マスター HS007 患者診療情報提供書及び電子診療データ提供書 ( 患者への情報提供 ) HS008 診療情報提供書 ( 電子紹介状 ) HS009 IHE 統合プロファイル 可搬型医用画像 およびその運用指針 HS010 保健医療情報 - 医療波形フォーマット - 第 92001 部 : 符号化規則 HS011 医療におけるデジタル画像と通信 (DICOM) HS012 JAHIS 臨床検査データ交換規約 標準規格の称は 医療情報標準化指針 ( 医療情報標準化推進協議会 ) における名称を使用 規格の詳細については 医療情報標準化推進協議会のホームページを参照すること http://helics.umin.ac.jp/ 2 厚生労働省標準規格について医療機関等における医療情報システムの構築 更新に際して 厚生労働省標準規格の実装は 情報が必要時に利用可能であることを確保する観点から有用であり 地域医療連携や医療安全に資するものである また 医療機関等において医療情報システムの標準化や相互運用性を確保していく上で必須である このため 今後厚生労働省において実施する医療情報システムに関する各種施策や補助事業等においては 厚生労働省標準規格の実装を踏まえたものとする なお 厚生労働省標準規格については 医療機関等に対し その実装を何ら強制するものではないが 実装によるメリットを十分考慮することを求めるものである 医療機関等に求められている標準化 相互運用性確保については 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 4.1 版 第 5 章を参照すること 3 厚生労働省標準規格の更新について厚生労働省標準規格については 今後 保健医療情報標準化会議 の提言等を踏まえ 適宜更新していくものである 10

推奨する解決策は 保健医療情報分野の厚生労働省標準規格の採用 標準プロトコルに対応する基幹システムや部門システムを採用することによりシステム間接続の確認打ち合わせや接続テストの期間の削減システム間の接続費用 システム更新時の再接続費用の削減が実現可能です 標準マスタや標準データフォーマットを使用することにより医療機関内のシステム間のデータ交換医療機関外とのデータ交換 ( 地域医療連携 ) システムリプレース時のデータ継続性確保蓄積されたデータの分析が容易になります また現在お使いのプロトコルやマスタを 標準規格のものに変更する場合に 現在のプロトコルを継続する方が 更新費用が安価であったり 現行マスタを継続する方が マスタを更新する労力が少ない場合もあります こうしたケースにおいても 長い目で見ると標準規格の採用はメリットがあります 全てをいちどきに採用するのではなく 中長期の計画をたて段階的に採用していく手法をお勧めいたします 11

既存システムを活用し 地域連携に参加する場合に 地域医療連携は喫緊の課題であり 既存システムのリプレースまで待てない または既存システムを標準マスタに置換すると影響が大きいという理由で すぐにはできないケースがあります こうした場合に 既存システムを活用しつつ 地域医療連携に必要なデータを既存システムから抽出し 標準化して情報交換を可能とするしかけが 厚生労働省電子的診療情報交換推進事業 (SS-MIX) です 主な電子カルテベンダーも データ抽出までパッケージ機能として有しており 厚生労働省医療分野の情報化の推進について http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/johoka/ 等も参考に検討をお勧めします 12