(b) マカッサル パレパレ間 1. Trans-Sulawesi Makassar-Parepare( 約 150Km 4 車線以上 ) 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状及び問題点 インドネシア国においては これまで実施してきた開発政策の実施により 国全体としての国民の生活と福祉の質の向

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架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

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欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

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112 条においても 自由特区の拡大が謳われている 現在ゲシュム島と本国を結ぶ橋を建設中 (3 年後に完成予定 ) で 島内の港を拡張する計画もあり イランにのみならず 独立国家共同体 ( 以下 CIS) 諸国等への物流経路としても ゲシュム島の経済的重要性は今後益々高まると考えられる ゲシュム島の

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目次 1. 市街化調整区域の土地利用方針について... 1 (1) 策定の目的... 1 (2) 方針の位置付け 市街化調整区域の課題 土地利用の方針... 3 (1) 土地利用の基本的な方針... 3 (2) 地区ごとの土地利用方針 開発計画等の調整

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Transcription:

事業事前評価表 ( 開発調査 ) 1. 案件名 インドネシア国スラウェシ島地域開発支援道路計画調査 作成日 : 平成 18 年 10 月 3 日担当グループ : インドネシア事務所 (The Study on Arterial Road Network Development Plan for Sulawesi Island and Feasibility Study on Priority Arterial Road Development South Sulawesi Province) 2. 協力概要 (1) 事業の目的 スラウェシ島内の物流状況や経済活動状況を踏まえ 各分野の整合性の取れたスラウェシ島地域開発支援のための幹線道路整備計画 ( マスタープラン ) が整備され スラウェシ島全体のバランスの取れた開発が促進される また 南スラウェシ州で整備 / 改善の優先度の高い道路が整備 改善されることにより 南スラウェシ州の経済 社会活動がより活発になり 南スラウェシ州を始とする東部インドネシア地域の開発が促進される なお 調査を通じてインドネシア側カウンターパートその他インドネシア国側関係機関の能力向上を行うものである (2) 調査期間 2006 年 11 月 ~2008 年 3 月 (3) 総調査費用 約 3.8 億円 (4) 協力相手先機関 公共事業省道路総局および南スラウェシ州政府 (5) 計画の対象 ( 対象分野 対象規模等 ) A. マスタープランの作成 スラウェシ島地域開発支援のための幹線道路整備計画 ( マスタープラン ) の策定については スラウェシ島全体を対象とする 物流状況や地域経済活動に関する調査についてはスラウェシ島を拠点として必要に応じて島内外の調査を行う B. フィージビリティースタディー 東部インドネシアの開発を牽引することが期待される南スラウェシ州において 優先される 2025 年を目標とした道路整備 改善案件のフィージビリティースタディー調査を実施する 対象路線は以下のとおり (a) マミナサタ広域都市圏の幹線道路 1. Mamminasa Bypass( 約 40Km 4 車線以上 ) 2. Trans-Sulawesi Mamminasata Section( 約 55Km 4 車線以上 ) 3. Heltasning Road( 約 21Km 4 車線以上 ) 4. Abdullah Daeng Sirua Road( 約 15Km 4 車線以上 )

(b) マカッサル パレパレ間 1. Trans-Sulawesi Makassar-Parepare( 約 150Km 4 車線以上 ) 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状及び問題点 インドネシア国においては これまで実施してきた開発政策の実施により 国全体としての国民の生活と福祉の質の向上に成功した一方で 地域間の発展 ( 貧富 ) 格差が生じている 特にインドネシア西部地域 (KBI) と東部インドネシア地域 (KTI) の間の開発格差の拡大は顕著であり 政府が早急に取り組むべき重要な課題として顕在化している 後進地域開発推進担当国務大臣府が 2005 年 2 月に発表した統計によると 後進地域 と指定された県は全国で 199 県あり そのうち 62% にあたる 123 県が東部インドネシア地域に存在している また 貧困者の割合についても 東部インドネシア地域は 23.30% であり インドネシア全国の貧困者層平均 16.66% を大きく上回っている このような地域間の発展格差は ジャワ及びバリ島の大都市への人口の過度の集中 環境破壊 汚染等の問題を生むとともに 後進地において社会不安 分離独立運動を引き起こす一因ともなっている このような状況下 我が国は東部インドネシアの開発を支援すべく ODA 事業の全てのスキームを活用することを視野に入れた 東部インドネシア地域開発支援プログラム の形成 実施過程にあり 特に東部インドネシア地域の開発を牽引する南スラウェシ州において南スラウェシ州地域開発プログラムを展開している このプログラムの一環として JICA は 南スラウェシ州マミナサタ広域都市圏総合計画調査 を実施した この調査により マミナサタ広域都市圏では 年々増加し続ける交通量のため 道路交通環境が悪化の一途を辿っていることが判明した 現況の交通量調査及び将来交通量推計の結果によると 交通渋滞が激しさを増し 特にマカッサル市内及び周辺部の幹線道路における交通渋滞が深刻度を増していく傾向にあり 経済発展を妨げる障害となりかねない状況にある また 交通渋滞は大気汚染 騒音といった環境の悪化を招くことからも適切な対策が求められている状況にある このため 道路網整備については 南スラウェシ州全体のバランスの取れた経済発展を支える経済基盤として 都市と地方部を結ぶ幹線道路の拡幅 整備 ( マカッサルーパレパレ間道路改善 ) 及びマカッサル市への一極集中から環境調和にも配慮した多極分散での地域発展のため 主要道路拡幅 拡張 市中心から郊外に延びる放射状道路敷設及び市内渋滞緩和等のための環状道路敷設の必要性が提案されている また 現在インドネシア政府は各地域 ( 主要各島 ) の幹線道路整備計画を作成中であり スラウェシ島全体のバランスの取れた開発を推進する基幹となる幹線道路の整備については スラウェシ島の経済活動や物流状況の現状を分析した上で 限られた財源をもって 既存施設の維持管理と新規道路の整備のバランスがとれた投資計画に基づいた効率的なスラウェシ島幹線道路整備マスタープランの策定が併せて必要とされている 住民の経済状況 人的資源 インフラ 地方財政能力 アクセス度 地方特性の 6 項目の基準により分類 (2) 相手国政府国家政策上の位置づけ 東部インドネシア地域の開発については 過去数次に亘り国家開発計画における重点課題とされており 新たに策定された 国家中期開発計画 2005-2009 においても 大項目 国民の福祉向上 アジェンダの一つ 地域開発の格差の是正 において重点事項として定められており とりわけスラウェシなどを含む東部インドネシア地域の開発が大きな課題となっている また 同開発計画における政策目標の 1 つとして 開発を支えるインフラストラクチャーの質的量的な向上が掲げられており 取り分け経済的に戦略的重要性を持つインフラストラクチャー 地方間を結び付けるインフラストラクチャー 貧困層のためのインフラストラクチャーが併せて優先課題とされている (3) 他国機関の関連事業との整合性 インドネシア国内のスマトラ島 ジャワ島 カリマンタン島については世銀や ADB が幹線道路の整備計画 ( マスタープラン ) に関する支援を行っている また スラウェシ島については 既存道路の補修 維持管理に関する支援を世銀 ADB AUSAID が支援を行っているが スラウェシ島の道路整備

に関する整備計画 ( マスタープラン ) の作成は未着手であり 今後も実施される計画はない (4) 我が国援助政策との関連 JICA 国別事業実施計画上の位置づけ 対インドネシア国別援助計画における支援の 三つの柱 のうち 民主的で公正な社会造り のための支援として 貧困削減 ( 農漁村開発による雇用機会の創出及び所得 福祉の向上 教育及び保健 医療などの公共サービスの向上等 ) が謳われており 貧困地域である東部インドネシア地域を支援の対象とする妥当性は高い また 援助のプログラム化を進めることが現地のニーズに的確に応えるためには不可欠であり その方法として特定地域を モデル地域 として支援を集中的に行う必要性が述べられている また これに合わせて インドネシアにおける JICA 事業についても 選択と集中 という観点から 貧困対策のための地域開発については 基本的に東部インドネシアにて集中して実施するという方針が打ち出された このため 現地 ODA タスクフォース主導の下 開発の中心 東部インドネシア開発の牽引役と位置付けられる南スラウェシ州をモデル地域とする 南スラウェシ州地域開発プログラム が形成され プログラムの基本構想いついて現地 ODA タスクフォースと南スラウェシ州政府 知事 との間で合意文書が取り交わされた 本プログラムの基本構想は 1. 地域の発展を牽引する都市の開発 2. 地域全体のバランスの取れた開発 3. 社会開発の促進という 3 本柱から構成されている 当該案件は上記 1. 都市開発の促進 と都市と地域を結ぶ交通ネットワークの強化という観点から 2. 地域全体のバランスの取れた開発 に関する取組と位置付けられる 同時に 現地 ODA タスクフォースでは この南スラウェシ州地域開発プログラムの成果が東部インドネシア地域に効果的 効率的に波及 / 普及していくために 東部インドネシアの他地域 ( 主にスラウェシ島 6 州 ) 全体の能力向上に関する取組を進めることを計画している ( 東北インドネシア地域開発プログラムを形成中である ) この中で 特に開発を促進する基礎的な基盤整備 ( 人材 / 能力 基礎的なインフラ等 ) を強化していくことを当面の課題と位置付けており この点からも本案件のスラウェシ島地域開発支援道路整備に関する調査は重要な位置づけとなっている 4. 協力の枠組み (1) 調査項目 パート 1: スラウェシ島幹線道路整備開発計画 ( マスタープラン作成 ) A. 既存資料の整理収集 B. スラウェシ島 (6 州 ) における現状把握 / 分析 (a) 既存開発計画のレビュー (b) 社会 経済 自然基礎状況の整理 / 分析 (c) 土地利用状況の把握 (d) 道路インベントリー調査 / 評価 (e) 交通状況調査 (f) 物流 貿易状況の把握 (g) 地域経済 産業構造の分析 (h) 関連法制度の確認 C. 開発課題の整理 D. 社会 経済フレームの設定 E. 将来土地利用計画 ( 土地利用フレーム ) 案の作成 F. 現況交通分析と交通需要予測 G. 将来道路整備基本方針案の作成 H. 道路網開発課題の整理 I. 将来道路網計画案の作成 J. 配分交通量の推計 K. マスタープランの提案 L. 道路網計画実施に向けたアクションプランの作成

パート 2: 南スラウェシ州幹線道路整備計画 ( フィージビリティースタディー ) A. 既存資料の整理収集 B. 対象地域の現況把握 (a) 社会経済状況 (b) 空間計画の把握 (c) 土地利用状況 (d) 道路網および交通状況 C. 将来交通需要の推計 D. 調査対象道路の整備コンセプトの提案及び路線選定 E. 自然条件調査 (a) 地形測量 (b) 地質調査 (c) 水文調査 F. 補足交通調査 (a) 交通量観測 (b) 路側 OD 調査 (Makassar-Parepare 間 ) (c) 交通速度調査 G. 設計基準 仕様案の作成 H. 自然環境調査および社会環境調査 I. 優先案件道路の概略設計 J. 道路整備と合わせた都市整備手法の提案 K. 事業化計画案の作成 L. 施工計画案の作成 M. 概略事業費の積算 N. 事業実施計画の策定 O. 維持管理計画の策定 P. プロジェクト評価 Q. 事業実施に向けた体制の整備 (2) アウトプット ( 成果 ) A. スラウェシ島におけるバランスの取れた開発を促進することを目的とし 島内の物流状況や経済活動状況を踏まえ 整合性の取れた スラウェシ島地域開発支援のための 2023 年を目標とした幹線道路整備計画 ( マスタープランの策定 ) が作成される B. 東部インドネシアの開発を牽引することが期待される 南スラウェシ州において 優先される道路整備 / 改善案件のフィージビリティーが確認される C. フィージビリティー調査対象路線の事業を円滑に我が国資金協力案件 ( 円借款 ) 事業の実施へと繋げていくための実施体制整備などが整備される D. 調査を通じてマスタープラン作成およびフィージビリティースタディー実施に関する技術がインドネシア側カウンターパートへ移転される (3) インプット ( 投入 ): 以下の投入による調査の実施 (a) コンサルタント ( 分野 / 人数 ) 1. 総括 / 交通計画 2. 副総括 / 地域開発 3. 道路計画 4. 土地利用計画 5. 地域経済 / 産業振興 6. 貿易 物流 7. 交通調査 / 需要予測 8. 環境 社会配慮 1

9. 環境 社会配慮 2 10. 副総括 / 交通管理システム / 維持管理 11. 自然条件 ( 地形 地質 ) 12. 自然条件 ( 水理 水文 ) 13. 道路設計 1 14. 道路設計 2 15. 橋梁設計 16. 事業化計画 / 資金調達 / 組織制度 17. 経済財務分析 18. 施工計画 積算 (b) その他研修員受入れ 本邦におけるカウンターパート研修の実施は予定していない 他方 現地におけるワークショップ セミナー等を相当程度開催する予定 5. 協力終了後に達成が期待される目標 (1) 提案計画の活用目標 (a) マスタープラン部分については 調査により策定された提言内容が スラウェシ島における幹線道路整備のための国家計画あるいは州開発計画として採用される また 公共事業道路総局および道路整備関係機関により上記計画が実施される (b) フィージビリティースタディー部分については 実現可能性が確認された事業が円滑に実施される (2) 活用による達成目標 (a) マスタープラン部分については スラウェシ島における各分野 ( 地域の経済社会開発 物流等 ) の現状および計画と整合性を保った道路網が整備され 島内物流の効率化と地域の経済社会活動の振興に寄与することである (b) フィージビリティースタディー部分については 都市と地方部を結ぶ幹線道路 ( マカッサルーパレパレ間道路 ) が改善 され 南スラウェシ州の経済活動および地域開発が促進される また マカッサル市への一極集中から環境調和にも配慮した多極分散での地域発展を促す幹線道路が整備あるいは改善され 併せてマカッサル市内渋滞等が緩和される 6. 外部要因 (1) 協力相手国内の事情 (a) 政策的要因 : 政権交代等による開発政策の変更 (b) 行政的要因 : 地方政府による道路管理体制整備の遅れ (c) 経済的要因 : インドネシア国内外の経済状況の急激な悪化や対外債務の増大 (d) 社会的要因 : 対象地区における治安の悪化 用地取得 住民移転の遅延 (2) 関連プロジェクトの遅れ 特になし 7. 貧困 ジェンダー 環境等への配慮 ( 注 ) 環境社会配慮事項のうち 最も大きな検討項目となるのは 非自発的移転住民への配慮である ルート選定 道路構造の検討に当たっては 住民移転が極力生じないように努めることが重要であるが やむを得ず住民移転が生じる場合には JICA および JBIC 環境社会配慮ガイドラインの趣旨に則り インドネシア国政府の責任のもとに十分な措置が講じられるような仕組みを構築する また 現地の

ニーズを的確に反映し 住民の理解と協力を得やすい熟度の高い事業実施計画を策定するため 適切なタイミングで情報公開やステークホルダー協議を行い 意思決定過程の透明性を確保する この他 既存交通と本事業の接合地点における住民への裨益についても十分留意した上で事業計画を検討する 8. 過去の類似案件からの教訓の活用 ( 注 ) マミナサタ広域都市圏計画調査 等の経験から 開発調査等で提案した地方での案件を事業化する場合において 地方政府のみならず中央政府の関連機関等の協議 調整が事前に十分なされる必要があるという教訓を得た このため 調査期間中に中央政府とも必要な協議 調整し事業化に向けた実施体制の構築を支援する また 過去の開発調査から円借款事業へ繋がっていた事業の経験から 環境社会配慮に関しては JICA および JBIC の双方のガイドラインを踏まえたものとし 特にフィージビリティースタディー対象路線については 調査終了時までにインドネシア政府がインドネシア国 EIA 制度に則った手続きを完了させられるよう支援を行う 更に 事業に係る用地取得手続きの遅延による建設事業工程への影響を回避するため 本設計計画調査において 先方政府の用地取得に係る方針 及び関連法令を確認して 用地取得計画 ( 案 ) の策定を支援する 9. 今後の評価計画 (1) 事後評価に用いる指標 A. 活用の進捗度 スラウェシ島幹線道路整備計画 ( マスタープラン ) (a) スラウェシ島幹線道路整備計画の先方政府 ( 地方政府含む ) 事業計画への採用 (b) アクションプランに事業化に関する先方政府による必要な予算の確保 南スラウェシ州幹線道路整備計画 ( フィージビリティースタディー ) (c) 実施計画立案事業の先方政府事業計画への採用 (d) 先方政府による必要な予算措置 (e) 実施計画立案事業の進捗度 B. 活用による達成目標の指標 スラウェシ島幹線道路整備計画 ( マスタープラン ) (a) 対象都市圏の経済成長率に関する指標 (b) 対象地域における交通及び流通の効率化促進に関する指標 南スラウェシ州幹線道路整備計画 ( フィージビリティースタディー ) (c) 南スラウェシ州における経済活動や物流状況の変化 (d) マミナサタ都市圏における渋滞緩和や適当な都市圏の形成 (2) 上記 (a) および (b) を評価する方法および時期 (a) 調査終了後 3 年目を目処にフォローアップ調査によるモニタリングを実施 (b) 事後評価 : 調査終了後 5 年目以降 必要に応じて実施 ( 注 ) 調査にあたっての配慮事項