Annual Report

Similar documents
ジャワ島西部国立公園 住民参加型環境保全推進事業 (JICA草の根技術協力 2009~2012)

Slide 1

CSRコミュニケーションブック

トヨタの森づくり 地域・社会の基盤である森づくりに取り組む

07 SDGsとCSV演習

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

受付番号 Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs [ 国内助成 ] 2019 年募集 新規助成応募企画書 ( 様式 1) パナソニック株式会社御中 応募要項に記載の 個人情報の取り扱い に同意の上 応募します 応募日 :2019 年月日 (1) 応募団体

平成 25 年度農林水産省委託業務報告書 平成 25 年度 水資源循環の見える化 調査 検討事業 報告書 平成 26 年 3 月 みずほ情報総研株式会社

ディスクロージャー2012.indd

1 自然に対する関心 (1) 自然に対する関心 平成 24 年 6 月 平成 26 年 7 月 関心がある( 小計 ) 90.4% 89.1% 非常に関心がある 29.5% 21.9%( 減 ) ある程度関心がある 60.9% 67.2%( 増 ) 関心がない( 小計 ) 8.8% 10.5% あま

<4D F736F F F696E74202D CA48B8689EF EE3CE8E B8CDD8AB B83685D>


121022資料1さっぽろビジョン(素案)

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

総合計画及び国土利用計画アンケート調査結果 平成 20 年度 地域別構想 土地利用の方向性について 上位3つ ①無秩序な開発を抑制し 農地等は極力保全する ②主要な沿道等への店舗の立地を進め 利便性を高める ③身近な公園 生活道路 下水道などの生活環境基盤を整備する 住みよい 25.6% 22.9%

加賀市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 1 月 26 日制定 加賀市農業委員会 第 1 指針の目的 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の一部改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等

スライド 1

問 1 あなたは, 景観について関心をお持ちですか? 1 非常に関心を持っている 関心を持っている 関心を持っていない 全く関心を持っていない % 5 全く関心を持っていない 0.6% 1.1% 1 非常に関心を

(1) 生活排水について 地域の実状に応じ 下水道 浄化槽 農業集落排水施設 コミュニティ プラント等の生活排水処理施設の整備及び高度処理化 適正な施設維持管理等の対策を計画的に推進すること 加えて 合流式下水道の改善の取組を推進すること (2) 指定地域内事業場について これまで行われてきた汚濁負

日本企業による国外での環境への取り組みに係る

1 国際協力機構 (JICA) の概要 (1) 事業政府ベースの技術協力等を実施する機関として 開発途上地域が社会 経済面で自立的 持続的に発展できるよう 制度構築 組織強化 人材育成のための協力活動を実施 HIV/ エイズやSARSなど感染症対策支援 市場経済化や法整備に対する支援 平和構築 復興

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

中井町緑の基本計画(概要版)


エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

ブラジルにおけるアグロフォレストリー普及のための技術交流事業 サンパウロ州セッテバーラス市リオプレット村は 近年減少著しい大西洋岸林 ( マッタアトランチカ ) に所在する貧困なコミュニティーの一つである コミュニティー住民は 森林に自生し換金性の高いジュサラ椰子のパルミット違法伐採で生計を立ててお

PowerPoint プレゼンテーション

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

Microsoft PowerPoint - 08economics4_2.ppt

確認テスト解答_地理 indd

Ⅰ. 経緯 国際金融コミュニティにおける IAIS の役割は ここ数年大幅に増加している その結果 IAIS は 現行の戦略計画および財務業績見通しを策定した際には想定していなかった システム上重要なグローバルな保険会社 (G-SIIs) の選定支援やグローバルな保険資本基準の策定等の付加的な責任を

Taro-08緊急間伐最終.jtd

Carefully-selected materials Encounter with bilberry The branch office in Helsinki Visitation for checking quality of bilberry

平成22年○月○日

企画書タイトル - 企画書サブタイトル -

三ケ島工業団地周辺地区 第一回勉強会

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

1 県土の利用に関する基本構想 (1) 県土利用の現況 分散型の都市構造 豊かで恵まれた自然環境を有する一方 山陽沿岸部では臨界工業地帯を形成 森林面積の割合が大きく 平地が乏しい 都市と農山漁村が近接 中山間地域が県土面積の約 7 割を占める (2) 県土利用をめぐる基本的条件の変化 本格的な人口

<8EA98CC8955D89BF92B28F B9E924F946792AC816A2E786C73>

02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

外部評価地域かかわりシート 1 〇外部評価 ( 地域かかわりシート 1) は A~F までの 6 項目となります〇項目 A については 事業所自己評価 をお読みいただき 適当と思われる箇所に を記入ください わかりにくい場合は 運営推進会議当日に事業者から説明がありますので 空欄のまま持参し 当日記

<819A837D836A B8E6292E894C F4390B3816A2E786477>

News Release 2014 年 3 月 24 日 伊丹市と新関西国際空港株式会社が 伊丹市域におけるまちづくりの推進 について合意 伊丹市と新関西国際空港株式会社は 伊丹市域の生活環境の改善 地域コミュニティの再生等を図るためのまちづくりを連携して推進するため 2014 年 3 月 24 日

広報たかす

(Microsoft Word \214\244\213\206\212\210\223\256)

幸福度指標の持続可能性面での指標の在り方に関する調査研究報告書

中小企業等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置

p01.`32

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

2 5, ,3 6, % 8.% % 8.%.%.%.6%.5% 2.9%.%.9% 6.3% 6.3%.% 88.%.% 9.6% 9.8% 9.8% A B C D E B/A C/B E/B


< F2D D F97D18F57978E B8367>

No_05_A4.ai


Microsoft Word - 平成27年度報告書.docx

第 1 部 施策編 4

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F D FAC8AE98BC68ED C991CE82B782E98BE0975A82CC897E8A8A89BB82F0907D82E982BD82DF82CC97D58E9E915

<4D F736F F D C A838A815B B438CF395CF93AE91CE8DF D48505F205F F8DC58F4994C5205F838D835393FC82E88F4390B3816A2E646F63>

Microsoft PowerPoint - 資料8 家計相談支援事業について

利水補給


( 新 ) 藤沢都市計画住宅市街地の開発整備の方針 平成年月 神奈川県 藤沢 住宅 -1

資料 3 1 ごみ減量化についての課題分析 1) 原因の抽出 課題 : どうして 家庭ごみの排出量が減らないのか? ごみが 減らな い原因 1 使い捨て製品やすぐにごみになるものが身の回りに多い 2ごみを減らしたり リサイクルについての情報が少ない 3 分別収集しているごみの品目が少なく 資源化が十

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

< A838B D D862E696E6464>

平成

宮城県 競争力のある大規模土地利用型経営体の育成 活動期間 : 平成 27~29 年度 ( 継続中 ) 1. 取組の背景震災により多くの生産基盤が失われ, それに起因する離農や全体的な担い手の減少, 高齢化の進行による生産力の低下が懸念されており, 持続可能な農業生産の展開を可能にする 地域営農シス

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

Daikin Industries Czech Republic s.r.o 年度サイトレポート Daikin Industries Czech Republic s.r.o. サイトレポート 2017 年度 所在地 チェコ共和国ピルゼン市 敷地面積 117,000m 2 設立 2003

フィリピン・ベンゲット州における

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

4

責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

平成 30 年度事業報告について ( 平成 30 年 4 月 1 日 ~ 平成 31 年 3 月 31 日 ) ( 特定非営利活動に係る事業 ) 1. 特定非営利活動に係る事業 (1) 事業の成果 地球温暖化対策の推進に関する法律 第 24 条の規定に基づき 川崎市において設置された 川崎市地球温暖

報道関係者各位 NEWS RELEASE 2018 年 10 月 9 日ジョンソン エンド ジョンソン株式会社ビジョンケアカンパニー 10 月 10 日は 目の愛護デー 小 中 高校の養護教諭 288 名へのアンケート結果を発表 目を取り巻く環境が悪化!? 子どもたちの視力低下が浮き彫りに 6 割の

条例施行規則様式第 26 号 ( 第 46 条関係 ) ( 第 1 面 ) 産業廃棄物処理計画書 平成 30 年 6 月日 長野県知事 様 提出者 住 所 東御市下之城畔 ( 法人にあっては 主たる事業所の所在地 ) 氏 名 川西保健衛生施設組合長花岡利夫 ( 法人にあっては 名称及び代


かたがみ79PDF用

攻めのCSR小冊子_1203_4

IAEA Report DOC

唐津市農業委員会 農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 2 9 年 11 月 8 日 唐津市農業委員会 第 1 基本的な考え方農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 といいます ) の改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地

2014年度_三木地区概要

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF EE682E882DC82C682DF816988C4816A816A2E B8CDD8AB B83685D>

CICDJob Description

2009 首都大学東京 2010 リーディング プロジェクト特別講演 Tocal Eco-Camping Facility 病院建築とファシリティー マネージメント シンガポールのグリーン マーク 廣田桂子 PhD 木造建築スタジオ岐阜県立森林文化アカデミー

<4D F736F F F696E74202D E718E848F9194A05F96AF8AD497988A F896988E48F4390B32E707074>

Microsoft Word - ⑦内容C【完成版】生物育成に関する技術.doc

ipbes2.pptx

過去問セミナーTM

Microsoft Word - 文書 1

なぜ社会的責任が重要なのか

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(第7次地方分権一括法)の概要

Transcription:

グリーン ウォール の確立グヌングデ パングランゴ国立公園住民参加型森林再生プロジェクト - 次世代を守る生態系サービス - 年間活動レポート (2013 年 7 月 ~2014 年 6 月 ) 背景 インドネシア ジャワ島は全インドネシア人口の 62% に当たる 1 億 2400 万の人口を抱える地球上で最も人口密度の高い島の一つです 巨大な人口を支えるのに必要とされている量の水に対する島内の水供給量が大幅に不足しており インドネシア全体では 470 の水源地の内 60 の水源地が既に危機的な状態にあると報告されています 本プロジェクトの対象地であるグヌングデ パングランゴ国立公園及びハリムン サラク国立公園一帯 (Gedepahala ランドスケープ ) は 3 千万人の人々に水を供給する重要な水源地です 現在 グヌングデ パングランゴ国立公園の下流 ( ボゴール及びスカブミ ) では 20 を超える飲料水企業が操業しており 年間 2,310 億リットルの水をもたらす水源地にビジネスを依存しています 一方 公共の水道が利用可能な人口は 都市部人口の 40% 農村部人口の 30% に留まるという状況にあります 2008 年から始まった グリーン ウォール プロジェクトでは ダイキン工業株式会社の支援に基づき 3 年間で 200 ヘクタールに自生種や果樹による植林と環境教育 生物多様性調査など組み合わせた 包括的な取組みを行ってきました 2011 年 7 月からの第二期においては 生態系サービスを改善し 次世代のために森林を守るためことの重要性を啓発する目的で 第一期から継続している活動内容に 森林がもたらす恵みである電気と水を届ける項目等を追加して取組みを行っています プロジェクトの活動内容 1. 植林活動 第二期第三年度の 2013 年 7 月から 2014 年 6 月 (1) 50 ヘクタールへの植林 ( 図 1 赤色部分 ) (2) これまでに植林した 250 ヘクタールの植林地域 ( 同図 緑及び黄色の部分 ) の管理維持を実施しました 1

図 1. グヌングデ パングランゴ国立公園におけるグリーンウォールプロジェクト対象地 1.1 植林地域の拡大 前年度に特定した植林予定の 50 ヘクタールを対象に 参加農家がこの土地を森として管理しながら使うための手続き 詳細な地図作り 簡単な作業道作り 斜面を考慮した畝作り 施肥 苗を植える穴堀りといった準備を実施し 2013 年 12 月 苗を植えました 本年度植えたのは モクレン科の Manglid を 20,000 本 キョウチクトウ科の Lame を 7,500 本 ホルトノキ科の Janitri を 7,500 本です これで プロジェクトの目標である合計 300 ヘクタールへの苗の植え付けが完了しました 1.2 植林地域の管理 これまでに植えられた 250 ヘクタールとの合計 300 ヘクタールの植林地の管理を継続しました 苗がきちんと育つよう 国立公園のレンジャー及び地元コミュニティと協力し 毎月植林地をモニタリングし 枯死率を調査すると共に 苗の回りの雑草を除去しました 今期中 枯死していた苗 20,000 本を植え替えました 植え替えに用いた苗は 全て地元農家グループが育てた苗です 植林地の一部では木々が既に大きく育ち 荒廃地だった土地が森になっています 2

図 2. 植林の前後 3

2. アグロフォレストリー開発 コミュニティにとって 代替的な収入源は 国立公園への直接的な依存を低減させるために大変重要です プロジェクトでは 様々な代替収入源の開発を通じて コミュニティ開発 貧困削減に取り組んでいます プロジェクトでは 森林再生地を囲むように果樹等の有用な木を植えています これまでに植えられたグアバ サトウヤシ ジャックフルーツ ランブータン等に加え 今期 パンギノキ ( 現地名 Klewek; 学名 Pangium edule) とキャンドルナッツ ( 現地名 Kemiri; 学名 Aleurites moluccana) を植えました グアバの木は 既に成熟し 果実を実らせています 農業に適した土地では 農業も支援しています 市場で良く売れると農家に選ばれたキュウリ インゲン ショウガが今期も収穫され 農家の家計を支えています 収穫されたショウガを使って Bandrek と呼ばれるインドネシアで良く飲まれているショウガ飲料の生産と販売も始まりました 図 3. 収穫されたショウガ 2010 年度 特に植林管理に貢献した農家組織へ贈呈された 14 匹のヤギは 順調に増え続け 2011 年度に 26 匹 2012 年度に 30 匹 そして今期 50 匹になりました 獣医による家畜の健康管理も実施しています その他 植林木の苗木の生産 プロジェクトで引いた水源地からの水で満たされた養殖池での淡水魚養殖からもコミュニティは収入を得ることが出来るようになりました 森からの恵みが人々の生活を豊かにしつつあります 3. グリーンドクター と移動環境教育 水源地の保全と気候変動問題に対する知識と関心を高めるため 現地のパートナーや国立公園レンジャーと協力し コミュニティへの普及活動に取組んでいます これまで同様 4WD の車 1 台に環境教育用の教材や映画などを載せ 学校やコミュニティを訪れ 参加型ゲームや 映画やミニ図書室の提供 ディスカッションなどを行いました この一年で 7 校を回り 合計約 350 名の生徒を対象に教育を提供しました 昨年よ 4

り さらに コミュニティが国立公園の自然から得ている便益を分かりやすく伝え 普及活動をより効果的にするため 保健師の協力を得て 保健に関する情報と無料の健康診断も提供する取り組みを始めました 国立公園に隣接して暮らす人々に自分たちの生活が森からの恩恵によって支えられていることを伝えることで 森林保全の大切さがより理解されると考えています 保健 健康の要素は コミュニティにメッセージを伝える上で 大切なツールとなっています 図 4. 移動環境教育の様子 4. 生物多様性調査 野生生物の生息状況を適切かつ迅速に国立公園管理に反映させるため 生物多様性調査を続けています グヌングデ パングランゴ国立公園に生息する哺乳類の状況を把握するため カメラトラップ 6 台が公園の東部 ( ボゴール ) 南部 ( スカブミ ) 西部 ( チアンジュール ) に設置されています 5. 超小型水力発電 ( ピコハイドロ ) と安全な水の供給 森 水 そして健康に対する意識の向上のため プロジェクトに参加している Lamping 村に公共トイレを設置しました この地域では まだまだトイレは当たり前ではありません ダイキン殿の視察があった 11 月 コミュニティに地元政府も加わり 総勢約 80 人によるトイレ譲渡式が執り行われました 村の人々の健康を守り 自然の大切さを伝えています 5

図 5. Lamping 村に建てられたトイレ 6. 普及啓発 今年度 プロジェクトを多くの人に知ってもらう機会となるイベントがいくつかありました ジャカルタにあるオーストラリア インターナショナル スクールでは 生徒約 100 人にプロジェクトの紹介をしました 図 6. ジャカルタの学校でプロジェクトを紹介 また ジャカルタで 4 日間にわたって開催された約 3 千人が参加する Indogreen Forestry Expo でブースを開き 期間中毎日 300 人程の来場者にプロジェクトを紹介しました ダイキン インドネシア社のイベントにも参加し プロジェクトを紹介することが出来ました 図 7. Indogreen Forestry Expo( 左 ) ダイキン インドネシア社のイベント ( 右 ) 6

7. プロジェクトのモニタリングと評価 四半期報告書と年次報告書を作成 提出し ダイキン工業殿に進捗状況を報告するのに加え 国立公園に対しても定期的な報告書の提出と進捗報告を継続しました 2014 年 1 月には地元コミュニティリーダーと 2014 年 3 月には国立公園スタッフとの会合を開催しました 各回約 50 人が参加し プロジェクトの取り組みを振り返り 今後の計画について話し合いました 地元コミュニティのリーダーからは 生計向上を始めとしたプロジェクトの取り組み そして以前は遠い存在だったコミュニティと国立公園をつないだグリーン ウォール プロジェクトという 橋 への感謝が伝えられました 地元コミュニティと国立公園の両者から このプロジェクトをさらに拡げていきたいという声が上がりました 図 8. 参加農家代表者 ( 左 ) 及び国立公園スタッフ ( 右 ) とのプロジェクト評価会 2011 年に始まったグリーンウォール プロジェクトの第二期は第 3 年度をもって終了し 2014 年 7 月に新たな期に入ります 第二期の終わりに グヌングデ パングランゴ国立公園長がプロジェクト サイトを訪れました 荒廃した土地が地元農家との協同により森林として再生される様子を視察し プロジェクトの成果を改めて大きく評価しました 図 9. グヌングデ パングランゴ国立公園長の視察 グヌングデ パングランゴ国立公園とハリムン国立公園の一帯には 森林再生を必要としている土地が約 1 万ヘクタールあります 第一期 第二期の 6 年間を通じた活動で 森に隣接して暮らすコミュニティの貧困削減と森の再生 保全をコミュニティと共に進めるモデルを作り上げることができました 次は このモデルの展開です 第三期には これまでに植えられた 300 ヘクタールの植林地の管理に加え パートナーシップを更に拡げるための取組も始めます また プロジェクトに参加する農家の代替生計手段をより持続可能かつ強化するため 組合作りやその運営のためのトレーニングなども実施する計画です 7