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普遍的に使用可能なデジタルインクの技術がもたらす革新とは?

はじめに ここ数年にわたって 大小さまざまな IT 企業やアプリケーションメーカー スタートアップ 研究機関や教育ソリューション企業などがデジタルインク技術に対して資金やリソースを投じてきた結果 デジタルインクを活用した文具ソリューションは着実に増加し その注目度も上がってきました 昨今 従来の文具製品企業も デジタル文具 ( デジタルインク スタイラス デジタルペーパー等 ) のもたらす可能性について関心を寄せています その一端を示す例として 株式会社ワコムのテクノロジー ソリューション事業担当 EVP である井出信孝氏は 2017 年 8 月にベルリンで開催されたデジタルインク普及イベント コネクティド インク にて ワコムとパートナー企業各社が実現してきた数々の事例を 以下のように紹介しています y台湾 E Ink 社 ( 電子ペーパーデバイス ) y富士通クライアントコンピューティング株式会社 ( 教育におけるデジタルインク利用 ) y米 マイクロソフト社 (Windowsインク ) y独 モンブラン社 ( 紙とデジタルの両方の魅力を引き出す文具製品 ) yノルウェー リマーカブル社 ( 電子ペーパーを使ったタブレットやスケッチブック ) y韓 サムスン電子社 ( デジタルインクを利用した自然な手書き入力機能を備えた製品群 ) y独 ステッドラー社 ( デジタルペン用カートリッジを使ったデジタル鉛筆 ) yテラダ ミュージック スコア株式会社 ( 電子ペーパーを使った楽譜専用端末 ) yワコム ( ペンタブレットからビジネスワークフロー デジタルペン用ソリューションの OEM 供給 インクアプリやサービスの開発 提供など ) 2017 年 11 月に東京で開催されたコネクティド インク東京では 以下の事例が紹介されました yntt ドコモ 富士通コネクテッドテクノロジーズ ワコム ( WILL ユースケース arrows tab 新製品における連携 ) yコクヨ ( 文房具のコクヨが取り組む手書きのデジタル化 ) yワコム ( ペンタブレットからビジネスワークフロー デジタルペン用ソリューションの OEM 供給 インクアプリやサービスの開発 提供など ) DSC 発足の背景 新たなデジタル文具市場の形成が進む中 デジタルインク技術の重要性日を追うごとに高まり その進化における転換期に差し掛かろうとしています ここ 10 年間程 デジタルインク技術はいわば個別分野ごとに発展 進歩してきました そのため 多様な基準やファイル形式が存在し プラットフォーム間での互換性もなく それらをまたがって協働することができる状態ではありません この問題を解決するため 2016 年 9 月 E Ink モンブラン 富士通クライアントコンピューティング サムスン電子 ワコムをはじめ 手書 ( 描 ) き技術への情熱を共有するパートナー各社は デジタルステーショナリーコンソーシアムインク (DSC) を設立しました このコンソーシアムのメンバーは いかなるソフトウェア ハードウェア アプリケーションも プラットフォームに関わらず機能する新しいデジタル文具を実現するため ユニバーサル ( 普遍的 ) なデジタルインク技術の枠組みとして WILL (Wacom Ink Layer Language) を活用 推進していきます 2

DSC の取り組みと方向性 現在 DSC では WILL の持つデジタルインクの技術的可能性を高め 成長の期待されるデジタル文具市場の事業機会を具現化に取り組んでいます この デジタル文具白書 では 世界中のイノベーターや開発業者たちに デジタル文具市場を実現するためにデジタルインク技術が果たす役割について理解していただくことを目的としています 現在 DSC 傘下にあるワーキンググループ (WG) は 幅広い業界から専門家たちを招き グローバルなデジタル文具市場を形成して デジタルインクを利用した製品およびサービスの全く新しい体験を提供するための活動を行っています ディベロッパーエンゲージメント WG は開発業者による WILL の採用促進について カスタマーユースケース WG はアナログとデジタルの文具を橋渡しする効果の検証や精査を テクノロジー WG は人工知能 (AI) 拡張現実 (AR) 仮想現実 (VR) IoT 3D など 今後登場する技術とデジタルインクがどのように関わっていくことになるのかを研究しています 現在進行している案件は 人工知能 (AI) を使うことでデジタルインクのノートテイキングやリアルタイム コラボレーション等の体験をいかに高めることができるか 仮想現実 (VR) を使うことでデジタルインクの 3D クリエイティブ作業がどれだけ進化するか などといったものがあります また 開発業者のコミュニティと DSC のメンバーの間のコラボレーションを推進し アイデアの具現化やアプリ等の商用化を支援することで デジタルインク普及の促進を図っています DSC に加盟し デジタルインクのイノベーションによって デジタル文具市場を共に発展させましょう DSC およびワーキンググループの詳細については 下記をご覧ください https://digitalstationeryconsortium.org/work-groups/ カスタマーユースケース WG 議長 : Markus Weber 氏 ワコムの WILL およびデジタルインク製品におけるマネージャー 副議長 : Felix Obschonka 氏 モンブランのニューテクノロジー部門アソシエイトディレクター テクノロジー WG 議長 : Markus Weber 氏 ワコムの WILL およびデジタルインク製品におけるマネージャー 副議長 : Joohoon Lee 氏 サムスン電子モバイル通信主席エンジニア ディベロッパーエンゲージメント WG 議長 : Ken Kasischke 氏 ワコムの技術営業ディレクター 3

普遍的に利用可能なデジタルインク技術がもたらす革新とは? はじめに 人類が初めて粘土板に象形文字を刻んで以来 われわれは指やスタイラス 筆記具を使って記号を作り 記録を残し 取引を成立させてきました 今でも 72% を超える人が 1 日 1 時間以上ペンと紙を使っており その内 32% は 1 日 3 時間以上ペンと紙を使っています ( マイクロソフトの調査 1 より ) また デジタル機器上での手書き入力 指を使った入力 デジタルスタイラスなどによって 様々なものが生み出され やり取りされ 共有されています 72% を超える人が 1 日 1 時間以上ペンと紙を使っている 従来からの文房具 ( ペン 紙 インク ) のデジタルへの置き換えが進めば 10 億ドル規模の市場が誕生するとみられています たとえば 世界全体の筆記用具市場は 2019 年までには 220 億米ドル 2 に達すると見られています 現時点で 10 億 3930 万米ドル 3 規模とされる全世界の手書き文字認識市場は 2025 年まで年平均 15.7% も成長すると言われています 世界全体のデジタル署名市場は 2020 年までには 20 億米ドル 4 を超えると予測されています ただし上述の予測は デジタルペン インタラクティブディスプレイ 人工知能 (AI) 拡張現実 (AR) 仮想現実 (VR) などの要素がもたらす効果を含んでいません こうした要素を加味すると アイデア形成やコラボレーションなどといった作業の質は高まるために より大きな成長が期待できます デジタル文具市場の発展は 業界 プラットフォーム OS クラウドなどの環境をまたいで機能するため そうしたソリューションを作る開発業者やメーカーに事業機会をもたらしますが これには AI AR VR などの技術とともに進化し続ける普遍的なインクのテクノロジーが重要な役割を果たします WILL 普遍的なデジタルインクとしての特性を持つコンピューターの共通言語 デジタルインク技術は現在販売されている数々のハードウェア ソフトウェア OS に組み込まれています ワコムの提供する WILL (Wacom Ink Layer Language) は 高い柔軟性を持つフレームワークで 指のタッチやペンの入力に加えて クラウド 3D AI AR VR など さまざまな技術に対応可能な普遍的なコンピューティング言語です タブレット端末やスマートフォンでも デジタルインクを使った手書き入力に対応しているものがあります 一方で 市場での新たなユースケースを広げるため デジタルインク技術を用いて実現できる AI AR VR の新機能について さらなる調査も行われています 4

図 1: 普遍的なデジタルインク技術で実現するデジタル文具体験 人によっては 普遍的なデジタルインク技術の枠組みである WILL について コンピューター言語における ASCII や文書管理における PDF のようなものであると例えられることがあります しかし オープンでマルチプラットフォームかつ普遍的なソリューションである WILL は 一つ一つのストローク 感情に関する記号 楽譜 数式をスマートコンテンツとして保存する枠組みを開発業者やパートナー企業に最初から利用できるように提供するものです このように共有や編集が可能でスマートなデジタルインクに関するデータのポイントは OS クラウドサービス ハードウェア ソフトウェアのどのような組み合わせに対しても有効です 将来へ向けたディベロッパーエンゲージメント 新しいユースケース 技術の進歩といった側面において協力することを可能にするため DSC のメンバーには WILL SDK for ink が提供されており ( 本白書の最後に掲載の WILL 概要を参照 ) これには ウェブアプリケーション アップルの ios グーグルの Android マイクロソフトの Windows UWP( ユニバーサル Windows プラットフォーム ) それぞれのプラットフォームに特化したパッケージが用意されています 未来へ 人口知能 (AI) 仮想現実 (VR) 拡張現実 (AR) DSC のワーキンググループは デジタルインクの発展と採用を促進するために パートナー各社や開発業者 研究機関等の支援を行っています AI VR AR の専門家を招き ノートテイキング リアルタイムでの共同作業や 3D アートワークの制作 仮想現実環境などのユースケースに新たなイノベーションを起こします 5

人工知能 (AI): 最もエキサイティングな開発領域は 手書 ( 描 ) きのシステムと AI のインテグレーションでしょう ノートテイキングがその好例です AI はすでにデジタルインクの手書き認識において重要な役割を果たしています さらに AI にデジタルインクの画像や単語から意味を汲み取って解釈させることも研究されています たとえば 手書きの水素原子構造図をデジタルインクで認識したり 英単語の bark のように 同じ綴りでありながら ( 犬が ) 吠える と 木皮 という異なる言葉を識別することも AI の補助を借りて行うことができます 図 2:AI のパワーを利用して 手書で表したデジタルインクの記号や図デジタル文具のアプリケーションで解釈し 電子的に補正して処理することができる モンブラン ワコム ドイツ人工知能研究センター (DFKI) をはじめとする DSC のユースケース WG のメンバーは WILL の普遍的なデジタルインク技術を AI によってさらに強化し デジタル文具市場の発展に役立てる研究を進めています 例えばノートテイキングでは デジタルインクの画像や単語から意味を汲み取って解釈させるようなスマートサービスも視野に入れています 単語や記号などの入力情報を関連付けて認識することにより 情報同士をリンクすることが可能となるため 会議の日時をカレンダーに記入する というようなことも行えるようになります 科学や建築 その他デザイン言語を有するコミュニティは それぞれ 固有の記号 略語 チャートなど 共同作業の効率を上げるためのデジタルインクの ボキャブラリー がある場合もありますが ( 例 回路設計 ) 業界をまたいだ共同作業では 単一の業界 OS 機器 アプリケーションに限定したデジタルインク技術ではなく 全てのシステム プラットフォーム サービスをまたいで利用できる技術が必要です 仮想現実 (VR):VR はコンピューターによって生成され 装置と VR ヘッドセットにより再現される環境です 見るためのアプリケーションを作るマイクロソフトの Windows Mixed reality のような開発業者向けキットはありますが スケッチ 描画 手書き機能を加えた VR ベースのデジタル文具市場ソリューションができれば VR をさらに前進させることになります この分野のユースケースとしては VR アイディエ ション (AR や VR を通して 3D の世界で直接アイデアを形成すること ) や ワークフロー統合など VR 環境下でのデジタル イン ( 発想として取り込むこと ) のプロセスを可能にします 6

図 3:VR の世界で物事を書いたり学んだりすることも デジタル文具体験 の一つであり デジタルインク技術の革新により可能になります ハンドコントローラーを使って 3D 空間に絵を描くことができるオキュラス社の Quill を考えてみましょう グーグルのチルトブラシも同様の方式で機能します ただし そのブラシではゴツゴツした仕上がりになり ペイントツールのイラストというよりはレゴのようなイメージになってしまいますが VR の世界は デザイナー アーティストなど視覚的な思考力を強く求められる人たちのクリエイティブプロセスをサポートするのに役立ちます 紙やデジタル機器に描かれた手書きの絵を変換する際にデジタルインク技術が果たす役割を深く分析することで 3D 仮想世界にデジタルインクのコンテンツを展開し 的確に操作できる機能を整備することができます 拡張現実 (AR): デジタルで無から画像を生成する VR 環境とは違い AR は現実世界の上にコンピューターで作成した情報を重ねます アップルの ARKit やグーグルの ARCore のような AR の開発業者向けキットの存在が AR 市場が急速に成長していることを示しています AR の意義は現実世界に VR 生成した情報を追加することで 現実を拡張できる点にあります たとえば手書きのタトゥーを肌の上に重ね 最終デザインを決める前に目で見て確認することもできるのです このほかにも 建築の製図 グラフィックデザイン 絵画などをプレビューし 現実世界でどのように見えるか試すことができます テクノロジー WG は 業界の垣根を越えた専門家グループと AR ベースのデジタルインクを WILL によって普遍的なものにするために議論を重ねています 書くため そして描くためには全員の協力が必要 デジタル世界で当たり前の存在ながら 現実には見ることも聞くこともできないものは いくらでもあります たとえば Bluetooth がスマートフォンをカーステレオに接続し スマートフォンをかざすだけでコーヒーの支払いをしてくれますが これらはすべて 裏でテクノロジーが機能しているおかげです 詩人や技術に明るい人たちは これをエコシステムと呼びます さまざまな業界をまたぐ複数の業者がともに取り組み 日々の生活をスムーズにしてくれているのです 最初に普遍的なデジタルインクの枠組みを同意して DSC では業界をまたいで関係者の考えを集約することができました ここでいう 関係者 とは ペン ディスプレイ デジタイザーなどのメーカーから OS API ソフトウェア開発キット (SDK) コンピューターグラフィックス 人工知能 そしてアプリケーションなどのソフトウェア開発業者などです 7

本コンソーシアムは テクノロジーやユースケース開発 業界のエンゲージメントにフォーカスしてワーキンググループ (WG) を設置し デジタル文具市場のパートナー各社の活動を支援します 1. 文具の領域 : 緻密なインプットが可能で 本物の紙ともデジタルペーパーとも連携し 会話などの特徴を捕捉して記録できる筆記具など 2. デザインの領域 : デジタルとアナログ世界の区別なく新たな体験をデザインするための建築 イラスト デザインのプロ向けツールなど 3. 教育の領域 : 科学や工学などの分野で注釈等を記入するのに使う先進的な学習テクノロジー 4. ビジネス : モバイルワークや企業向けソリューションにおいて 生産性を高めるビジネス機器やアプリケーションなど 5. 法務の領域 : 契約書 作業指示書 宣誓供述書 遺言など 6. 商取引の領域 : 受領と証明のための小売りおよび配送における署名システムなど 7. 認証とセキュリティ ( 文書および契約管理 ) 8. 一般消費者の領域 : デジタル文具アプリの普及に伴って実現される 書 ( 描 ) く 創造する つながる ための新しいツール ( 例 : ペン スマートパッド その他の新しいソリューション ) など 9. エンターテインメントの領域 : 写真にコメントを付けたり 即席でキャラクターを作ったり AR や VR 上で吹き出しを付けるアプリなど 10. ヘルスケアの領域 : デジタルインクに記録した感情データにより表示される利用者の感情を見ることで 認知症などの疾病診断サポートについて 11. 共同作業の領域 : ユーザーグループや研究者間などでもコラボレーション作業 終わりに あなたが書 ( 描 ) いたものや創造したものすべてが ほぼリアルタイムで デバイスやアプリ環境などを気にすることなく 見てほしい人たちに共有できて さらに編集してもらうことができたら どうでしょう? 開発業者たちにとって あたかも世界はまっさらなキャンバスのようであり そこに描き 共同で作業を進めることができるようになります これは ハードウェアやソフトウェア OS などに縛られたデジタルインクの技術をオープン化 マルチプラットフォーム化 普遍化することで可能となります 手書きのストローク 感情を表す表現 音符 数式などを 共有可能なスマートデジタルインクのデータとして保存でき AI AR VR を使った無限の可能性の組み合わせで利用できるようになります 紙とペン で人類が行ってきた様々な コト モノ が デジタル技術でさらに便利で 豊かになっていくデジタル文具の世界 イノベーターや開発業者から老舗の文具業界までを巻き込み デジタル文具の可能性追求は これからもますます加速していくことでしょう ペン 紙 インクで成り立っていた世界は 常につながったデジタル文具の世界へと オー 図 4: 未来のデジタル文具アプリケーションでは AI AR VR と デジタルインクの描画機能や現在はタブレットに使用されているスタイラスペンを組み合わせて使う ( 画像はワコム提供 ) 8

バーフロー ( 溢れだすように進行 ) することでしょう そこでは 誰もがデジタルペンとインクによって新しい文具体験を手にするチャンスが待っています これから先は 指のタッチやデジタルペンから得られた位置情報 角度 筆圧 感情のデータを伴ったストロークのデジタルインクデータの重要性が増していくでしょう AI の力を借りて 言語 数学 音楽 科学などを記述するスクリプト ( 文字列 ) に意味づけが行われ VR 世界で可視化されるようになるでしょう 意味づけられることで 単語や記号などが 自ら 知的に 振る舞うようになり スケジューリングや回路を設計するようになる時も来るかもしれません It was a bright cold day in April and the clocks were striking thirteen 17 (±6) Female 3325 2.23 DSC は デジタル文具市場がもたらす未来の可能性を探りながら 現在では想像し得ないような次世代のデジタルインク ペーパー ペンのイノベーションを広く市場全体で享受できることを目指しています ぜひこのムーブメントに加わって 一緒に新しい体験を生み出しましょう ジョン ペディ氏と Jon Peddie Research (JPR) について Jon Peddie Research(JPR) はグラフィックスとマルチメディアを対象とした業界の調査およびコンサルティング会社です ジョン ペディ氏はグラフィックス業界の第一人者として グラフィックスとマルチメディアの分野で 30 年以上活躍し 多くのコンファレンスや大学等で グラフィックス技術 またデジタルメディア技術の新たなトレンドに関して講義を行っています 最近では最も影響力のあるアナリストの一人に選ばれ テクノロジー分野について投資家にアドバイスする機会も増えています 過去には Siggraph Pioneers という団体のプレジデントを務めた経歴もあるペディ氏は 業界およびビジネス関係の書物でも頻繁に引用され 現在でも数多くの出版物にそのコメントが掲載されます 2015 年には CAAD の分野から Lifetime Achievement 賞を受賞しました ペディ氏の著作または共著には Graphics User Interfaces and Graphics Standards (1992 年 ) High-Resolution Graphics Display Systems (1994 年 ) Multimedia and Graphics Controllers (1994 年 ) The History of Visual Magic in Computers (2013 年 ) Contributing Editor, Handbook of Visual Display Technology (2016 年 ) Augmented Reality, Where We Will All Live (2017 年 ) などがあります 9

普遍的なデジタルインク技術の世界へと踏み出そう :WILL の概要 WILL (Wacom Ink Layer Language) は 新しいスマートデジタル文具ソリューションの誕生とクリエイティブユーザーたちに 自然で直感的な最高のインク体験を提供するデジタルインク技術です WILL は DSC から提供される SDK によって あらゆる種類のアプリにデジタルインク技術を最も迅速かつ簡便に追加することを容易にします また ハードウェアとソフトウェアを接続して 直感的で高品質なデジタルインクの使用を可能にします 現在 WILL SDK シリーズでは 4 つの SDK があります デジタルステーショナリーコンソーシアムのメンバーに配布される WILL SDK for ink に加えて WILL SDK for devices と WILL SDK for signature WILL SDK for documents が用意されています さらに新たな WILL SDK が 2018 年には公開される予定です DSC は WILL を普遍的なデジタルインク技術の枠組みとして発展させ 新たなユースケースを調査 研究しながら 世界中の開発業者コミュニティとの連携を確立することを目指しています たとえば WILL SDK for devices を使うと 生のペンデータから WILL データ形式のデジタルインクを生成でき x 軸 y 軸 筆圧 タイムスタンプ さらには傾きの情報を取ることができます ( 傾き情報は使用するペン技術により 取得できない場合もあります ) デジタルインクを使用できるペンのテクノロジー ( スタイラス スマートペン スマートパッド ) は どれも類似したペン入力データあるいはタッチ入力データを 固定された間隔で取得します yどのペンでも利用可能な機能 : X Y 座標 タイムスタンプ - サンプルが生成された時間です yセンサー技術によって利用可能な機能 : 筆圧 画面に加わる力から測定します ペンの傾き 任意の2つの軸から測定される角度によって表わされます ペンの回転 - センサーにより得られる回転感度によって異なる効果を表現します WILL は すべてのデジタルペン ( スタイラス スマートペン スマートパッド ) から生成されるインクデータを どのハードウェア OS アプリケーション上でも取り出し 編集 共有できるように変換します WILL は 筆圧 速度 傾きの情報を アルゴリズムに変換して デジタルインクによる視覚表現へ変換します WILL には デジタルインクを操作 保存 生成するツールが含まれ すべてペンから得られる生のインクデータがベースとなります 複数の技術を組み合わせて多様なデータ同士を掛け合わせたり 蓄積 分析し それらを形にすることで 新たな製品やブランドの体験を生みだすことができるでしょう これはもちろん さらなり事業機会の創出へと通じます WILL SDK for ink(will データ形式とその操作に必要な基本的なツールが揃ったデジタルインク技術のツールキット ) は 手書 ( 描 ) きインプットをうけてデジタルインクを生成 保存できます この SDK によってデジタルインクを操作したり カスタマイズすることも可能になります WILL のラスターレンダリングという機能を使うと 生成したある型のデジタルインクを違う型のインクに変えることができ 例えば万年筆のインクのように見せることもできます このように 様々なインクの型に変える ( レンダリング ) ことができるこの機能によって デジタル文具やデジタルインクの体験をさらに豊かなものにすることが可能です これは ios Android Windows といった開発環境に依存せずに享受できるメリットです WILL ソフトウェアライブラリには 幅広いユーティリティのアルゴリズムも用意されています 例えば ストロークモデルを用いた筆致の境界を計測するアルゴリズムがあり これを Catmull-Rom スプライン曲線 ( 任意の通過点から曲線を導き出す手法で Edwin Catmull 氏と Raphael Rom 氏により開発されました ) として なめらかに表現します 角度 回転 傾き ペンの回転と傾き 10

このアルゴリズムは従来の 2D ベクターグラフィックスのモデルを使ってストロークを表現することもできます WILL のレンダリングは OpenGL に基づいています 出来上がったデジタルインクのコンテンツは PDF や SVG といった従来のベクター形式でエクスポートすることも 2D グラフィックスのライブラリ (Quartz 2D や Direct2D HTML 5 canvas elements Android Canvas Instances) を使って描くことも可能です また インクを書いたツールごとに個別の識別子 (unique identifier) を生成するアルゴリズムによって ペンごとに入力されたデジタルインクの使用者を見分けることもできます たとえば ワコムのペンは独自のペン ID を持っており それは WILL SDK for ink により抽出することができます WILL SDK for ink は 開発業者向けの一通りの機能を備えたツールキットです DSC のメンバーになると入手 利用でき スケッチ ノートテイキング 共同作業 AR 創作作業 デジタル学習 教育などの基本的なアプリを作成することができます WILL SDK for devices を使うと 開発業者はワコムのハードウェアをお使いのアプリケーションに統合することができます 対応する機器に応じて ios Android Windows UWP/ デスクトップ ウェブ用にプラットフォームに特化したパッケージを提供しています Bluetooth Stylus と低レベルドライバ API を使うことで さらに充実したワコム機器のサポートが可能になります WILL SDK for signature は デジタルインクに埋め込まれたメタデータを使って ハードウェア アプリケーション O S などに依存せず 署名された手書きのプロセスを復元することができます WILL SDK for documents によって 手書きのインクを利用してきた様々な書類 ( 記入フォーム 文章の加筆 修正 契約書など ) や 法的に有効なデジタル署名 手書きサインによる企業内ワークフロー内での承認作業 生体データによる認証 時には法医学的な利用までも可能となります プラットフォームのサポート WILL SDK は ios Android Windows ストア ウェブ用に 各プラットフォーム専用のパッケージを提供しています それぞれのパッケージは ホストするプラットフォームと綿密に連携して動くよう ネイティブパッケージング や プログラミング といった技術を使い ソフトウェアのライブラリ内にある全モジュール向けに プラットフォームごとの言語バインディング ( 紐づけ ) を行っています ソフトウェアアプリケーションはしばしば インクを別のコンテンツ ( キーボード入力されたテキストや画像など ) と組み合わせますが 各プラットフォーム専用パッケージは 両者を緊密に連携させるために必要な柔軟性と拡張性を備えています WILL: スマートインク ナチュラルインク アクティブインク が 1 つの SDK に スマートインク : 生体データ 時間 場所 ID 変更履歴を追跡 WILL のスマートインクを使うと デジタルインクでした手書きサインデータを生体認証することによって コンピューターにサインインしたり 重要な書類に署名したりすることができます 場所や著者の ID など保存したメタデータを利用すると 時間や変更順を追跡し 誰が変更 追加 削除したかを特定したり 文書に手書きコメントを加筆するなど 今までできなかったことが可能になります スマートインク : インクデータにメタデータをカスタマイズして埋め込む 11

ナチュラルインク : 高度なオプションと性能 画面上でダイレクトに記入 WILL SDK for ink には手書きとスケッチ用の高性能ツールが備わっています スケッチツールはラスターレンダリングを使用し 高い表現力を発揮するための柔軟性を確保しています 手書きツールはベクターレンダリングを使用しており 手書きに最適化されています WILL SDK for ink のフレームワークは 高いキャプチャ性能 デジタルインクデータ変換のほか さまざまなやり取り 共同作業用のオプションを備えています 自然で迅速なインクのレンダリングにより 画面に直接記入する感覚と相まって 自然な手書き入力の使用感を得ることができます 見た目にも美しい自然な筆致のダイナミズムが さらに一歩上の手書き体験を実現します WILL にはスケッチ ノートテイキング コラボレーションなどの基本的なアプリを作成するための開発業者向けのツールキットが一通り備わっています WILL SDK for devices と WILL SDK for ink を組み合わせることで 開発業者は 直感の重要性が高い比重を占めるクリエイティビティ領域から デジタル学習や教育の領域まで 様々なアプリケーションを実現できます アクティブインク : シームレスでリアルタイムな共有が どこでも システムを超えて可能に WILL を使用したアプリは共通のインクデータ形式での共有性能を有し 利用者はどこからでも共有されたインクデータを編集でき アプリケーション クラウドプラットフォーム サービス エコシステムの間でやり取りでき 共同作業も容易でシームレスに行うことができます WILL は ユニバーサル インクエンジン及びインクレイヤーの枠組みでもあるため ハードウェア ソフトウェア アプリケーション間を接続し 異なるプラットフォーム間での共同作業を容易にします 自分の作ったコンテンツをやりとりするのにも WILL の技術を使った機器ならば簡単にできます ワコムの技術で インクは編集可能なままの状態でやり取りでき WILL を搭載して互換性を有するアプリ ソフトウェア サービスで利用可能となります 動作原理 :WILL はさまざまな入力技術をサポートし 最上のインク体験を実現しますが これには以下のような専用モジュールが重要な役割を担っています パス y (Path) モジュール は 生のインプットデータをストロークモデルへ変換します ストロークモデルとは インクのストローク ( 筆致 ) を表現するために最適化された数理モデルです 2Dグラフィックスのモデルに基づき改善を加えたもので 連続する制御点の間にCatmull-Romスプライン曲線 ( 前述 ) でストロークを補間して表現します ただし これら制御点のx 座標とy 座標の値には 一定の幅と あいまい性 を備えています y スムージング (Smoothing) モジュール は ストロークの表現力を高めます naituiriaili wriitiinigi ナチュラルインク : ペンで紙に書くように簡単に そして速く アクティブインク : 独立した共同作業を実現 y ラスタライザ (Rasterizer) モジュール は ストロークモデルと互換性のある APIを備えています OpenGL ES 2.0 DirectX 11.1 WebGL のそれぞれに対応した 3つのレンダリングバックエンドを使用しており ほとんどのプラットフォームでハードウェアのアクセラレーションを完全にサポートしています キャッシング (Caching) やマスキング (Masking) などのラスターベース技術は APIによって容易に使用することができます これらは 予備曲線 ピクセル変換 フリーフォームでのピクセルベース操作といった機能を実行する際に使用できます y マニピュレーション (Manipulation) モジュール は ストロークモデル上で動作するアルゴリズム一式を備えています これらのアルゴリズムは 選択 消去 切り取り コピー 貼り付けなどの機能を実行するための基本要素となります 12

y シリアライザーション (Serialization) モジュール は ストロークモデルをサポートするバイナリー符号化用アルゴリズムを備えています このアルゴリズムは Googleプロトコルバッファーに基づいており 出来上がったバイナリコードはオープンで プラットフォームに依存しないのが特長です パス (Path) とスムージング (Smoothing) のモジュールは 入力形式の特徴を考慮して構成されています ラスタライザ (Rasterizer) モジュールは 高度なストロークレンダリングをリアルタイムで実現します マニピュレーション (Manipulation) モジュールは WILL ストロークの数理モデルを利用した編集機能をサポートしています シリアライザーション (Serialization) モジュールは ストロークデータのエンコード ( 符号化 ) とデコード ( 復号 ) を行います WILL SDK やデジタルステーショナリーコンソーシアムの詳細については https://digitalstationeryconsortium.org をご覧ください Endnotes 1 Windows Blogs, Create, Ideate, and Collaborate: Build Apps Powered By Windows Ink, April 6, 2016 2 Researchnester, Global Writing Instruments Market Analysis & Opportunity Outlook 2021, September 14, 2017 3 Credence Research, Handwriting Recognition (HWR) Market By Type 2017 2025, August 1, 2017 4 Research and Markets, Digital Signature Market - Global Forecast to 2020, March 7, 2016 13