研究成果報告書

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ゆきあさぶき
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1 様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書平成 21 年 6 月 16 日現在研究種目 : 基盤研究 (B) 研究期間 : 平成 17 年度 ~20 年度課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) 太行山脈一帯に点在する仏教石窟群の包括的保護計画策定に関する日中共同研究研究課題名 ( 英文 ) Japan-China joint study for making the master plan of conservation of Buddhist caves groups dotted on Taihan mountains in Shanxi province, China 研究代表者岡田健 (OKADA KEN) 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所文化遺産国際協力センター国際情報研究室長研究者番号 : 研究成果の概要 : 中国山西省と河北省の境界に位置する太行山脈に点在する小石窟群のうち約 20 カ所の小石窟について現地調査を行った結果と資料によって所在を確認したその他の石窟とについて地図情報システム GIS を利用してその地理的環境に関する分析を行い成果報告書にまとめた交付額 ( 金額単位 : 円 ) 直接経費間接経費合計平成 17 年度 4,600,000 円 0 円 4,600,000 円平成 18 年度 3,800,000 円 0 円 3,800,000 円平成 19 年度 3,800,000 円 1,140,000 円 4,940,000 円平成 20 年度 1,800,000 円 540,000 円 2,340,000 円総計 14,000,000 円 1,680,000 円 15,680,000 円研究分野 : 総合領域科研費の分科細目 : 文化財科学文化財科学 (1801) キーワード : 太行山脈石窟寺院文化ゾーン保存計画日中共同 1. 研究開始当初の背景南北に走る太行山脈によって東西に分かれる山西省と河北省は仏教文化の発展史のうえで重要な位置を占めている中国の仏教芸術は西方から中国へと伝来して次第に中国化の傾向を強め北魏末期に洛陽龍門石窟 ( 河南省 ) においてその頂点を示したが北魏が東西に分裂した後仏教文化と芸術には急激な変化を遂げ東魏と北斉は独特の仏教造像の様式を誕生させるこの時期の政治的な中心地は鄴城 ( 現在の河北省臨漳県の西南部 ) であり鄴城の周辺にある南北響堂山石窟は北斉期の典型例として知られ現在まで保存されている当時の鄴城と同様に名高く密接な関係を持っていたのが北斉皇室の本拠地であった晋陽 ( 現在の山西省太原 ) である晋陽から鄴城への太行山脈を越えるルートこそ当時の文化交流の要衝であったこの古代の幹線沿いには現在も多くの北朝の仏教石窟が残されており明確に北魏東魏

2 北斉各時代の造像の伝播と変遷の状況を反映しており一層重要視されるべき存在であるといえるしかし残念なことにこれらの独特の価値を持つ石窟はあるものは山中に放置されあるものは道路開発の沿道に取り残され盗掘や破壊の危険性が極めて高くその保護対策は政策的にも技術的にも十分な状況ではないと言える 2. 研究の目的本研究は太行山脈一帯に点在するこれらの石窟寺院について保護対策が遅れ破損の危機に瀕している現状にかんがみこれらを包括的に保護するための計画案策定を日中共同で行おうとするものである 3. 研究の方法本研究では晋陽から鄴城へいたる沿線の山西省内に残る北朝仏教石窟について日中共同による以下のような調査研究を行おうとした 1) 石窟の分布構造技術内容主題地理歴史に関する学術調査を実施し石窟の文化財としての正確な価値付けを行いこれらを一括の文化ゾーンと位置づけ石窟がこのルートに存在する意義を明らかにし 2) 石窟の風化亀裂や崩落人為的破壊等について調査を行って現状を把握し 3) これらの石窟が山西省のみならず中国文化史上の貴重な財産として適切に保存されかつ文化的資源として適切に活用されるため調査研究を基礎として具体的な保護計画案を提出する 4. 研究成果本研究はその目的と方法論が中国側共同研究者から評価され実施を決断するに至ったものであるその過程で当然外国人としての中国国内での調査活動を許可してもらうため国家文物局への打診も行い当該部門の責任者からは意義のあることとして評価を得ていたもちろん申請手続きは別の問題であるので中国側研究者および日本側からそれぞれ申請書を提出し許可を仰いだ結果的に中国側のみへの通達という形ではあったものの正式に共同研究と調査についての許可が出たしかしその後国家文物局とは別系統の国土資源部が交付した法律によって外国人の測量本研究においては地図情報システムを活用するための GPS を用いた位置情報の取得と石窟周辺の考古学的測量調査について新たな規制が加えられ一度は許可を出した国家文物局からの指導によって再度関係機関への申請を行っただが結局は黙殺という形で調査を実現することができなくなったこのため研究自体は調査の実施という根幹部分を実行できず再申請に対する許可をひたすら待つという状態の中で結局目的とする内容のほとんどを実現できなかったしかしそれでも若干の石窟調査と既刊出版物を活用した GIS のシミュレーション研究を行ったのでこれによって収集したデータと研究の成果を本報告書に示した (1) 平成 17(2005) 年度の活動実績中国において外国人研究者が考古学的調査を実施する場合には中華人民共和国文物保護法以下の関係法規に従って許可申請を行う必要がある平成 17 年度は本調査に向けての合意文書作成と申請手続きを進めつつ現地視察調査成果の管理と分析のための地図情報システム (GIS) に関する研究を行った 1) 現地視察 8 月 21 日から28 日の日程で山西省に赴き太原市晋祠を中心に点在するに所在する天龍山

3 石窟童子寺石窟を視察したほか太原市では最近発見された徐顕秀壁画墓 ( 北斉時代 ) を視察したさらに関連地域として応県木塔大同市雲岡石窟を視察した ( 岡田山内 ) 2) 地図情報システム (GIS) に関する研究小石窟寺院はいずれも山地に所在しておりその位置に関しては単なる緯度経度情報のみならず地勢地質水分布植生付近の村落等との関係石窟間の距離や経路など各種の情報を収集しそれらを総合的に分析する必要があるこの研究にはGISを活用することが有効でありそのための準備作業と研究を行った ( 岡田後藤久保田津村 ) 3) 合意文書作成作業 8 月の太原視察時に合意書の基本内容を検討した 10 月に再度太原市へ赴き中国側と作成した共同研究に関する合意書の内容をもとに同年秋に中国側が山西省文物局を通じて国家文物局に対する許可申請を行った 1 月には日本側として北京の国家文物局文物保護司を訪ね計画案の概要を示し許可についての要請を行った ( 岡田張夏 ) 4) 中国側研究者招聘 3 月 5 日から 12 日の日程で中国側参加メンバー 4 名を日本へ招聘し来年度から開始する本調査についての打ち合わせを行うとともに文化遺産国際協力センター客員研究員津村宏臣氏 ( 同志社大学 ) による GIS に関する指導を受けたこのほか京都大学総合博物館京都平等院同二条城奈良東大寺同平城京遺跡奈良国立博物館等を視察し日本における文化遺産保護について相互理解をはかった ( 岡田津村張夏祝趙 ) (2) 平成 18(2006) 年度の活動実績 1) 国家文物局への申請と承認平成 17 年秋に中国側が山西省文物局を通じて国家文物局に対する許可申請を行ったその後平成 18 年春になって国家文物局から日本側からの申請も必要であることが通知され 5 月中旬に申請書を提出した提出された書類は山西省文物局山西省公安部門人民解放軍のほか中国社会科学院の専門家等の審査を受けようやく平成 19(2007) 年 1 月になって許可の通知が出されたただしそれは中国側に対する文書だけであり日本側へも文書の提出を求めておきながらそれへの回答はなされていない ( 岡田張夏 ) 2) 合意文書調印交換中国側への許可通知をうけ共同研究に関する2007 年度 (1 月 ~12 月 ) の合意書に東京文化財研究所山西省考古研究所山西省民俗博物館の長が署名し研究計画書には研究担当者が署名し交換を行った ( 岡田張夏 ) 3) 現地調査 3 月 2 日から13 日の日程で日本側 5 名中国側 6 名のチームを編成し太原から太行山を越え河北省邯鄲へ抜ける南北 2ルートのうち南ルートについて石窟寺院寺院遺跡博物館所蔵作品の調査を実施した ( 岡田津村後藤久保田川嶋安藤張夏祝趙 ) 調査日程 3 月 2 日打合せ調査機材等調達 3 月 3 日西山大仏晋祠 ( 以上太原市 ) 3 月 4 日移動 ( 太原市沁県 ) 3 月 5 日南涅水石刻館河底石窟 ( 以上沁県 ) 3 月 6 日聖窰溝石窟 ( 沁県 ) 3 月 7 日九連山石窟東山村廟 ( 以上沁県 ) 3 月 8 日三泉寺遺跡南涅水石刻発掘地 ( 以上沁県 ) 3 月 9 日北良侯村石刻東良千仏造像碑良侯店石窟 ( 以上武郷県 ) 3 月 10 日武郷県文物管理所収蔵庫良侯店石窟石窰会村石窟 ( 以上武郷県 )

4 3 月 11 日小門口村摩崖造像仏爺凹摩崖造像 ( 以上黎城県 ) 3 月 12 日黎城県文博館白岩山石窟 ( 以上黎城県 ) 3 月 13 日子洪石窟 ( 祁県 ) 4) 外国人の中国国内における測量調査の規制について上記日程で 3 月 1 日日本発太原着で現地へ赴いたところ 2 日の打ち合わせ冒頭中国側共同研究者から前日の日付の新聞に国土資源部が同日付で発布した外国人あるいは組織が中国境内において行う測量調査に関する管理のための暫定的法律を示されたこれは中国側共同研究者にとっても初めて接するもので両者ともに困惑したことは言うまでもない法律は外国人が無許可で中国に来てその国土を各種手段を用いて測量することを禁じたもので実施においては中国側のしかるべき機関との共同合資であることを求めているここでの判断は意見が分かれた日本側としてはすでに国家文物局によって GIS の利用と考古学的手法による石窟調査が認可されている以上法律が求める要件を満たしているとしたもちろん中国側は慎重で日本側の手による測量調査の自粛を求めた結局測量調査は中国側が行うということにして予定の調査を実行に移した (3) 平成 19(2007) 年度の活動実績 1) 文献資料及び写真資料の収集整理研究代表者が 1984 年以降数次にわたって山西省において実施してきた調査で収集した該当地域所在の石窟寺院の写真資料をディジタル化して整理した ( 岡田後藤川嶋 ) 2) 現地調査と研究会の実施当初計画においては山西省太原市から太行山脈にいたる北回りルートの 13 カ所の石窟寺院において調査を実施する予定であったが中国の境界内における外国人による測量に際しての法律が施行されたのにともない本調査を所管する国家文物局が 8 月になって中国側に通達してきた内容によってすでに国家文物局によって測量を伴う考古学的調査は認められていたものの中国国土資源部をはじめとする関係部門への調査申請をし直すことになったこのため測量を必要とする調査を中止し 8 月末から 9 月初めの日程で測量技術を中国側に移転することを目的とする講習会と研究会を山西省考古研究所及び山西省博物院において実施した太原市所在の天龍山石窟においては写真撮影を主体とした調査を実施するとともに中国側メンバーが測量実習を行うのに立ち会いこれを指導した再申請の結果を待って年度内での調査実施を目指したが結局回答はなく測量を主体とする考古学的調査は実施できなかった ( 岡田後藤久保田夏祝趙 ) 3) 調査資料の整理昨年度に実施した南回りルートの調査と今年度に実施した天龍山石窟での調査で収集した画像資料及びノートを整理保存した ( 岡田後藤川嶋 ) 4) 地図情報システム (GIS) に関する研究測量及び GPS による位置情報取得による調査についての再申請を行いその回答を待っている状態であるため現地調査によるデータは少ないが中国国家文物局編中国文物地図集 ( 山西分冊 ) に網羅的に報告されている山西省内石窟寺院の位置をその地図に示されたポイントから類推し地図情報を作成して GIS によるシミュレーション的なデータ蓄積とそれに基づく解析研究を進めた

5 ( 後藤久保田岡田 ) (4) 平成 20(2008) 年度の活動実績 2) 追加調査 10 月 21 日から 25 日の日程で太原市西方に位置する天龍山 ( 天龍山石窟 ) 龍山( 龍山石窟童子寺 ) 太山 ( 龍泉寺 ) 蒙山( 蒙山大仏 ) 周辺の立地古道の存在についてと晋城遺跡晋祠周辺の仏教道教等宗教施設の存在について山西省民俗博物館等の協力を得て現場踏査を行ったまた GIS を活用した文化財データベースの構築に関する研究会を実施した ( 岡田後藤 ) 3) 地図情報システム (GIS) を活用した分析研究現地調査で収集した資料及び文献等関連資料を基礎として GIS を活用した分析研究を行ってその成果をまとめた ( 後藤岡田 ) 4) 報告書の作成研究のまとめとして報告書を執筆作成した (5) 報告書 ( タイトル ) 太行山脈一帯に点在する仏教石窟群の包括的保護計画策定に関する日中共同研究 ( 目次 ) [ 報告 ] 一太原及び太行山脈一帯に点在する小石窟に関する調査研究その目的経緯成果岡田健 1. 研究組織 2. 研究経費 3. 研究目的 4. 研究の進行状況と結果 ( 附録一 ) 共同研究の合意書計画書 ( 附録二 ) 日本側から中国国家文物局への申請書 ( 附録三 ) ( 附録三 ) 東京外国語大学海外学術研究班へ提出した報告二文化財分野における GIS 活用事例石窟寺院基礎データの管理と分析についてのシミュレーション研究後藤健三調査を実施した石窟寺院に関するデータ 1. 蒙山大仏 ( 太原市 ) 2. 河底石窟 ( 沁県 ) 3. 聖窰溝石窟 ( 沁県 ) 4. 九連山石窟 ( 沁県 ) 5. 良侯店石窟 ( 武郷県 ) 6. 石窰会村石窟 ( 武郷県 ) 7. 南野寺遺跡 8. 南涅水石刻発掘地 9. 小門上村摩崖造像 ( 黎城県 ) 10. 仏爺凹摩崖造像 ( 黎城県 ) 11. 白岩寺石窟 ( 黎城県 ) 12. 子洪石窟 ( 祁県 ) 13. 天龍山石窟 ( 太原市 ) 14. 童子寺石窟 ( 太原市 ) 四天龍山石窟の現状岡田健楊剛亮 ( 第二章後藤健文化財分野における GIS 活用事例石窟寺院基礎データの管理と分析についてのシミュレーション研究については中国語翻訳版を作成し日本語報告書に添付して中国側へ提供した ) 5. 主な発表論文等今回の研究における成果物は上記 4(5) に示す報告書である雑誌論文学会発表図書等での発表は現在のところない

6 6. 研究組織 (1) 研究代表者岡田健 (OKADA KEN) 東京文化財研究所文化遺産国際協力センター国際情報研究室長 ( 研究当時保存計画研究室長 ) 研究者番号 : (2) 研究分担者山内和也 (YAMAUCHI KAZUYA) 東京文化財研究所文化遺産国際協力センター地域環境研究室長研究者番号 : (3) 連携研究者 ( 中国側 ) 張慶捷 (ZHANG QINGJIE) 山西省考古研究所元所長夏路 (XIA LU) 山西省民俗博物館長趙曙光 (ZHAO SHUGUANG) 山西省博物院辨公室主任祝振東 (ZHU ZHENDONG) 山西省民俗博物館宣教部主任楊剛亮 (YANG GANGLIANG) 龍門石窟研究院研究員 ( 日本側 ) 津村宏臣 (TSUMURA HIROOMI) 同志社大学文化情報学部准教授研究者番号 : 後藤健 (GOTO KEN) 早稲田大学文学研究科助教久保田慎二 (KUBOTA SHINJI) 日本学術振興会研究員 ( 中国社会科学院研修 ) 川嶋陶子 (KAWASHIMA TOKO) 山東大学留学生安藤房枝 (ANDO FUSAE) 京都大学人文科学研究所助教研究者番号 :

Powered by TCPDF ( Title 組織のスラック探索に関する包括的モデルの構築と実証研究 Sub Title On the comprehensive model of organizational slack search Author 三橋, 平 (M

Powered by TCPDF ( Title 組織のスラック探索に関する包括的モデルの構築と実証研究 Sub Title On the comprehensive model of organizational slack search Author 三橋, 平 (M Powered by TCPDF (www.tcpdf.org) Title 組織のスラック探索に関する包括的モデルの構築と実証研究 Sub Title On the comprehensive model of organizational slack search Author 三橋, 平 (MITSUHASHI, HITOSHI) Publisher Publication year 2009