平成23年度問題別研究会資料|牛における人工授精の現状と今後の研究展開

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1 畜産草地研究所 平 23 1 資 料 平成 23 年度問題別研究会 牛における人工授精の現状と今後の研究展開 平成 23 年 10 月 日 独立行政法人 農業 食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所

2 目 次 開催要領 牛人工授精の現状 1) 大家畜生産技術向上対策事業 ( 牛受胎率改善対策事業 ) における受胎率向上に関する取り組み結果の概要 酪農学園大学酪農学部堂地修 2) 生産現場における肉用牛の受胎率に関するアンケート調査結果から 1 畜産草地研究所 2 九州沖縄農業研究センター 3 農林水産省農林水産研修所吉ざわ努 1,3 平子誠 1 下司雅也 1 高橋昌志 2 1 永井卓 3) 人工授精の現場の問題 北海道家畜人工授精師協会石塚隆司 4) 牛選別精液の子宮角内深部注入による人工授精 ( 野外事例 ) リプロ ETサポート砂川政広 5) 人工授精用牛 X,Y 精子の選別 信州大学農学部濱野光市 特別講演 1) 動物保護の歴史と動物実験のあり方 ~ 欧米と日本の比較から 東京財団橳島次郎 17 牛人工授精における低受胎に関する今後の研究展開 1) 乳牛における歩数計を用いた発情検出 北海道農業研究センター坂口実 2) 精漿成分による牛の子宮機能調節 酪農学園大学獣医学部片桐成二 3) 独立行政法人家畜改良センター新冠牧場における排卵同期化発情同期化を活用したホルスタイン種の人工授精の成績について 家畜改良センター新冠牧場木村嘉孝 4) 機能性サプリメントを活用した栄養管理の高度化による高泌乳牛の繁殖性改善技術の開発 畜産草地研究所平子誠 5) 雌を妊娠させやすい雄牛の評価と新規精液凍結法による繁殖性向上技術の開発とその実証 畜産草地研究所渡辺伸也 参考資料 1) 家畜改良目標 農林水産省 37

3 平成 23 年度問題別研究会 牛における人工授精の現状と今後の研究展開 - 開催要領 - 1. 開催趣旨近年 欧米先進国やわが国では牛の人工受精における低受胎が問題となっているが 有性生殖動物である牛の受胎率向上のためには 雌雄両側からのアプローチが必要である そこで 牛の人工授精に関する現状を再確認すると同時に 低受胎の発生要因を取り除くため 今後 取り組んでいくべき雌雄の研究展開の方向性を議論する 併せて これまでの問題別研究会等において問題提起されてきた家畜繁殖領域における生命に関する研究の高度化に伴う研究内容と市民感覚との乖離の克服を目指した議論も行う これらによって 牛の受胎率低下の研究に取り組む研究者にとって有用な情報を提供する 2. 開催日時 10 月 24 日 ( 月 )13:00 ~ 17:15 10 月 25 日 ( 火 ) 9:00 ~ 11:40 3. 開催場所日本教育会館 ( 東京都千代田区一ツ橋 2 6 2) 4. 主催畜産草地研究所 5. 内 容 第 1 日目 10 月 24 日 ( 月 ) 挨 拶 13:00-13:15 テーマ : 牛人工授精の現状 (1) 新しい家畜改良増殖目標と牛の受胎率について 13:15-13:30 農林水産省生産局 大藪武史 (2) 牛の人工授精における受胎率の調査 1 大家畜生産技術向上対策事業 ( 牛受胎率改善対策事業 ) における 受胎率向上に関する取り組み結果の概要 13:30-13:50 酪農学園大学酪農学部 堂地修 2 生産現場における肉用牛の受胎率に関するアンケート調査結果から 13:50-14:10 畜産草地研究所 下司雅也 (3) 牛の人工授精現場における最新動向 1 人工授精の現場の問題 14:10-14:30 北海道家畜人工授精師協会 石塚隆司 2 性判別精液を用いた牛の人工授精 ア. 牛選別精液の子宮角内深部注入による人工授精 ( 野外事例 ) 14:30-14:50 リプロ ETサポート 砂川政広 イ. 人工授精用牛 X,Y 精子の選別 14:50-15:10 信州大学農学部 濱野光市 ( 休 憩 )

4 (4) 特別講演動物保護の歴史と動物実験のあり方 ~ 欧米と日本の比較から 15:30 16:15 東京財団研究員橳島次郎 (5) 総合討論 16:15-17:15 第 2 日目 10 月 25 日 ( 火 ) テーマ : 牛人工授精における低受胎に関する今後の研究展開 (1) 牛の人工授精時の受胎率を高めるための研究取組 1 乳牛における歩数計を用いた発情検出 9:00-9:20 北海道農業研究センター坂口実 2 精漿成分による牛の子宮機能調節 9:20-9:40 酪農学園大学獣医学部片桐成二 3 独立行政法人家畜改良センター新冠牧場における排卵同期化 発情同期化を活用したホルスタイン種の人工授精の成績について 9:40-10:00 家畜改良センター新冠牧場木村嘉孝 ( 休憩 ) (2) 実用技術事業を活用した牛の人工授精の受胎率を改善するための研究取組 1 機能性サプリメントを活用した栄養管理の高度化による高泌乳牛の繁殖性改善技術の開発 10:20-10:35 畜産草地研究所 平子誠 2 雌を妊娠させやすい雄牛の評価と新規精液凍結法による繁殖性向上技術の開発とその実証 10:35-10:50 畜産草地研究所 渡辺伸也 (3) 総合討論 10:50-11:35 (4) その他 11:35-11:40 閉 会 11:40 6. 参集範囲農林水産省生産局 地方農政局 農林水産技術会議事務局 独立行政法人試験研究機関 都道府県試験研究機関 行政機関 指導普及機関 大学 民間企業等 7. 事務局農研機構畜産草地研究所企画管理部業務推進室運営チーム 茨城県つくば市池の台 2 Tel: ( 直通 )Fax:

5 牛人工授精の現状

6 大家畜生産技術向上対策事業 ( 牛受胎率改善対策事業 ) における 受胎率向上に関する取り組み結果の概要 酪農学園大学 堂地修 本事業は牛の繁殖成績の低下傾向に歯止めをかけ 全国の受胎率を 50% に回復させることを目標として平成 20 年度から22 年度までの3 年間実施された 北海道の道北に位置する A およびB 地区をモデルとして平成 17 年度から平成 21 年度までの農家別の受胎率を調査した また 本事業では現地の酪農家および人工授精技術者を対象とした研修会も実施し 繁殖成績に影響を与える重要管理点を定め それをチェックするシートを作成した A 地区 ( 酪農家 8 戸 ) の平均初回受胎率は 平成 17 年度 39.3% 平成 18 年度 42.3% 平成 19 年度 43.7% 平成 20 年度 44.2% 平成 21 年度 46.4% で 当初はA 地区が位置する町内 支庁管内および全道平均より低かったが 平成 21 年度にはほぼ同じ値にまで上昇した B 地区 ( 酪農家 7 戸 ) の平均初回受胎率は 平成 17 年度 41% 平成 18 年度 39% 平成 19 年度 34 % 平成 20 年度 37% 平成 21 年度 32% で B 地区が位置する町内 支庁管内および全道平均より低く推移した 特に平成 21 年度は急落した これは長雨等の天候不良に伴う粗飼料の品質低下の影響が大きいと考えられた AおよびB 地区とも 酪農家別の受胎率の推移はさまざまであった 年度を追うごとに受胎率が上昇する農家 徐々に低下する農家 および変動しない農家がみられた しかし ほぼ毎年度 50% 以上の受胎率を確保している多頭数飼養農家もみられた また A 地区の平均総受胎率は88% で B 地区は85% であった 総受胎率においても農家間の差は大きく ほぼ毎年度 90% 以上を確保している農家もみられた 以上より 本事業で実施した受胎率調査では 地区による差 農家による差がみられた 今後 受胎率の向上を図るためには 本事業で作成した重要管理チェックシート等を活用し 農家および人工授精技術者の双方に対して 各地域の酪農経営体系に適合した技術支援体制を充実させる必要があると考えられた 1 -

7 生産現場における肉用牛の受胎率に関するアンケート調査結果から (1) ( 独 ) 農研機構畜産草地研究所 (2) ( 独 ) 農研機構九州沖縄農業研究センター (3) 現所属 : 農林水産省農林水産研修所 吉ざわ努 (1,3) 平子誠 (1) 下司雅也 (1) 高橋昌志 (2) (1) 永井卓 目的 わが国では 乳用牛及び肉用牛のほぼ100% が凍結精液を用いた人工授精によって繁殖している このような状況の中 近年 牛の人工授精による受胎率が低下している ( 図 1) 受胎率の低下は 空胎期間の長期化につながり 生産性を低下させ 農家の収益に直接影響する大きな問題となっており その解決が急務である しかし 牛の受胎率低下にはいろいろな要因が複雑に関与していると考えられることから まず その要因および研究 技術開発要素を抽出し それらに対する明確な対策を考えた上で 生産現場で活用できる技術を確立しなければならない そこで 受胎率低下の原因を明らかにするために 和牛繁殖農家 家畜人工授精師 獣医師を対象とした人工授精及び受胎率に関するアンケート調査を実施した 乳用牛 肉用牛 受胎率 (%) 元年 2 年 3 年 4 年 5 年 6 年 7 年 8 年 9 年 10 年 11 年 12 年 13 年 14 年 15 年 16 年 17 年 18 年 19 年 年次 ( 平成 ) 図 1 初回受胎率の推移 ( 家畜改良事業団 : 平成 19 年度受胎成績より ) 材料および方法 アンケート調査は 社団法人畜産技術協会が実施する平成 20 年度 民間活力を活用した畜産技術開発事業 の支援を受け 農家 ( 和牛繁殖農家 ) 技術者( 家畜人工授精師 獣医師 ) を対象に実施した 調査は 九州 沖縄各県の畜産関係試験研究機関に趣旨を説明し 各県が対応できる方法でのアンケートを依頼した 調査の方法は 郵送 戸別訪問 関係者が集まる講習会などを活用し 具体的な対応は各県に一任した 2 -

8 調査時期 : 平成 20 年 8 月 ~10 月調査地域 : 九州 沖縄 8 県調査対象 : 和牛繁殖農家約 800 戸 家畜人工授精師 獣医師約 300 名とした 平成 21 年 3 月の日本畜産学会第 110 回大会では 乳用牛および肉用牛について 種付きが悪くなっている実感があるか 発情兆候が弱くなっているかなど 発情に関する直接的事項について農家 技術者の回答を分析し 技術者の約 2/3 農家の約 1/2は発情兆候が弱くなっていると感じていることから 牛における生理的変化の可能性を示唆した 更に平成 21 年 10 月の肉用牛研究会では 農家を和牛繁殖農家に限定し さらに項目を 種付きが悪くなっている実感があるか 発情兆候が弱くなっているか に絞り 農家の経営形態による違いを明らかにするため 飼養規模 主専従者の年齢 繋養方法 給餌方法 粗飼料の自給といった飼養環境との関係を検討した ここでは 肉用牛研究会で報告した調査結果に加え 現地調査で行った聞き取り調査から 受胎率に関連があると考えられる項目について報告する 結果と考察 Ⅰ アンケート調査から 1 飼養規模と種付き 発情兆候との関係 については 飼養規模が小さい農家( 繁殖雌牛 9 頭以下 ) の方が 種付きが悪くなっている 発情徴候が弱くなっていると感じる傾向が強いことが示された わが国の和牛繁殖農家の多くが9 頭以下の飼養であることを考えると 小規模農家における対策が受胎率向上のためには重要であると考えられた ( 表 1) 2 主専従者の年齢と種付き 発情兆候との関係 については 50~59 歳で 発情兆候が弱くなったという回答が多い一方 種付きは悪くなっていないという回答が多いなど相反する状況であった 主専従者の年齢については 後継者の有無とも関係しており 更なる検討が必要ではないかと考えられた ( 表 2) 3 -

9 3 繋養方法と種付き 発情兆候との関係 については 群管理( フリーストール 群飼 ) の方が単独管理 ( 個別単房 繋ぎ ) よりも発情兆候が弱くなったという回答が少なく 判定に熟練を要する鳴き声 粘液 行動等で発情を確認せざるを得ない単独管理の方が スタンディング発情を確認できる群管理より発情兆候の微弱化を感じているという結果となった ( 表 3) 4 給餌方法と種付き 発情兆候との関係 については 繋養方法と同様に 群で飼料を給与する方が 発情兆候が弱くなったという回答が少なく 発情兆候を発見しやすいことが示された また 種付きが悪くなったという回答も群飼の方が少なかった ( 表 4) 給餌作業の際に発情観察を行う農家が多く 牛を放す際に確認しやすいなど 群飼にメリットがあると考えられた 5 粗飼料自給の程度と種付き 発情兆候との関係 については 粗飼料を完全自給している農家の方が購入している農家に比べて 種付きは悪くなっていない 発情兆候も弱くなっていない という回答が多かった この理由については 粗飼料を自らの手で生産 調達しようとする意欲が結果として表れているなど 正の要素と 輸入粗飼料の品質の安定性 価格高騰による給与量の節減など 負の要素が考えられるが 今後 技術的な検証が必要である ( 表 5) 4 -

10 Ⅱ 現地調査から 1 現地調査の概要現地調査は 平成 21 年 2 月にアンケート調査結果を踏まえ アンケート調査の主要なテーマである 種付けが悪くなっているか 発情兆候が弱くなっているかについて 種付けが悪くなっている 発情兆候が弱くなっていると回答があった和牛繁殖農家 酪農家 家畜人工授精師 獣医師を中心に アンケート調査の実施を依頼した窓口機関に調査先の選定を依頼し実施した 調査先は 4 県で 延べ和牛繁殖農家 25 酪農家 3 家畜人工授精師 獣医師 7であった 2 調査結果から 発情の発見は飼養者の都合ではなく 牛の気持ちになって朝牛舎に行ったとき 餌を与えるのではなく まず 発情の監視を行うこと 餌を与えてしまうと 餌に夢中になってしまい 発情の徴候を示していても 餌の方に関心が行ってしまう 乗駕行動で発情発見を行う場合は 特に気をつける必要が有る 一通り牛の行動を監視したら 餌を与え 今度は牛の後ろから粘液などの発情を示す状態を監視する これを朝晩繰り返す 人工授精の依頼は家畜人工授精師 獣医師の立場に立って 農家から発情しているので診てほしいという連絡があり 農家に行ってその牛を診ると 2 ~3 割は発情ではない ( 空振り ) という家畜人工授精師からの聞き取り 農家は直腸検査をする必要はないが 発情の見方が甘かったり 家畜の番号を間違えたり いろいろな要因が考えられる 多くの家畜人工授精師から同じようなコメントがあったことを考えると 何らかの対応が必要と考える ( 対応 ) 発情の行動と外陰部の状況を合わせて判断する 記録を残し 前回の種付け記録や分娩記録徒との比較を行い 判断する 家畜人工授精師への報告( 連絡 ) の際も 家畜の番号 状況 ( どのような行動 状況か ) 前回の発情や種付けの時期など 報告項目をあらかじめ整理し 授精師に説明するとわかりやすいとのこと わかりやすく報告 ( 連絡 ) 状況が説明できる農家ほど受胎率が高いようです 記録を付けることは受胎率の向上には重要な要因です 和牛繁殖農家は兼業農家が多いことにも要因があると考えられる和牛繁殖農家は兼業農家が多く 忙しい稲の収穫時期には受胎率が下がるそうです じっくり 5 -

11 牛の行動を診ることが重要です 稲の収穫時期は 暑い夏が過ぎこれから涼しくなる時期ですから この時期に受胎を逃すのは経済的にも損出が大きい また 酪農家でも 牧草を栽培 自給飼料を確保する農家が増えている状況で 収穫時期には受胎率が下がるようです 常日頃から発情や人工授精の記録をつけることは これらの損出をカバーすることができると考えられる まとめ 今回は 飼養環境と種付き 発情兆候の良否との関係について検討し 飼養頭数 繋養方法 粗飼料自給の程度と種付き 発情兆候についての意識に特定の傾向が見られた また 現地調査の結果から 牛のサイドに立った発情の発見 記録を付けることと利用すること 家畜人工授精師 獣医師との信頼関係の構築など家畜の飼養管理の基本といえる事項を重視し日頃から励行することが重要であると整理された 受胎率を向上させるためには 農家の飼養形態による差を認識するとともに 高齢化や兼業化が進んだ飼養頭数の少ない農家について 発情発見方法を指導するなど 農家 技術者 指導者が互いに信頼関係を築き 一体となっての飼養管理における基本事項の励行ときめ細かい取り組みの必要性が示唆された 6 -

12 人工授精の現場の問題 北海道家畜人工授精師協会副会長 石塚隆司 1. はじめに近年 乳牛の人工授精成績に於いて 受胎率の低下が問題になっている その原因は不明なところが多く依然として毎年低下傾向にある そこで今回その一因を知るため 特に農家と授精技術者の現状について 北海道家畜人工授精師協会の数支部開催の意見交換等と関係協会の調査およびデータをもとに考察したので報告する 2. 調査方法平成 23 年 8 月 25 日に開かれた上川 留萌 宗谷支部で構成される道北三地区連絡協議会のパネルディスカッションでの意見交換 同年 8 月 26 日に開催された 根室支部役員会での検討意見 同年 9 月 北見支部が集めたオホーツクNOSAIの各家畜診療所 ( 授精所 ) の意見 釧路支部の会員の意見等 平成 22 年に北海道家畜人工授精師協会が調査した牛の受胎率 同年の北海道酪農検定検査協会が調査した分娩間隔を基に考察した 3. 結果受胎するための条件は 1). 精液の性状 2). 農家および牛の状況 3). 技術者の状況が良好である必要がある 1). 精液の性状については 融解温度や 衛生的な作業には細心の注意を払い取り扱っていることがうかがえる また 種雄牛別受胎率調査を実施して 低受胎種雄牛の除外をしている地域もある 2). 農家の状況は 1 多頭化による精神的 肉体的な余裕不足 2 天候不順による良質粗飼料の不足 3 粗飼料の保管場所の不備 4 農家の世代交代 5 農家の飼養管理技術の格差等 牛の状況は 1 発情がはっきりしないため 授精しても妊娠鑑定するまで発情が分からない 2 分娩後 子宮が回復しない 3 周産期病などの増加 4 薬剤の多用 3). 技術者の状況は 1 広域合併や統合による 往診距離 授精頭数の増加 2 事務処理の多忙化 3 新卒者の産業動物離れ 4 授精業務受付時間の延長 5 一部の地域で 組織間の連携の不備などが挙げられる 初回授精受胎率と分娩間隔のグラフを見ると 初回授精受胎率は低いが分娩間隔の短い支部がある ( 図 -1) 経産牛の初回授精受胎率の高い日高支部と低い宗谷支部を例に取り 平均授精回数を比較すると 日高支部では 1.88 回 宗谷支部では 2.51 回 ( 表 -1) また その支部の中で 初回授精受胎率の高いA( 日高支部 ) 授精所は 1.87 回 低いB( 宗谷支部 ) 授精所では 3.03 回となっている ( 表 -2) 7 -

13 4. 考察農家の問題としては 多頭化による発情発見の見逃しや遅れ 余裕の無さから授精時に畜主が不在なため 授精技術者が牛の状態を聞けない場合も多くなっている また 牛の問題として 近年の高泌乳化に飼養管理が追いつかず 無発情や微弱発情などの繁殖障害が増加し P GやCIDRなどの薬剤の多用化傾向にある また 授精技術者側の問題としては 広域合併による 往診距離 授精頭数の増加 非効率地域の存在 授精受付時間の延長 業務煩雑化等により多忙化してきている このような事から適期授精が難しくなってきている そこで 近年の受胎率低下の原因のひとつとして 早期授精開始や 積極的授精の影響が関わっているのではないかと考え 今年 北海道家畜人工授精師協会が会誌に毎年掲載している同協会が調査した支部の受胎率と 北海道酪農検定検査協会の分娩間隔をグラフ化し 各支部の受胎率と分娩間隔の比較をした その結果 初回授精受胎率の低い宗谷支部の分娩間隔が他支部に比べ短い事が視覚で捕らえる事ができた ( 図 -1 参照 ) また 北海道乳用牛人工授精実施成績を更に調査を進めると 平均授精回数において宗谷支部が 2.51 回 初回授精受胎率の高い日高支部では 1.88 回となっている ( 表 -1 参照 ) その中で更に授精所の比較をすると 初回授精受胎率の高いA( 日高支部 ) 授精所は 1.87 回 低いB( 宗谷支部 ) 授精所では 3.03 回となっている ( 表 -2 参照 ) 分娩間隔が短いにも関わらず 平均授精回数が多いのは 受胎までに多くの授精を実施しているということである 前出の農家の状況 牛の状況を考えると 授精技術者は積極的早期授精を選択せざるを得ない状況の中にあり 授精回数が増える傾向にあるものと考えられる その結果 初回授精受胎率が低くなる傾向にあることが示唆された 5. おわりに今回の調査の中で 非常に厳しい状況の中で 農家経済を考慮し分娩間隔をできるだけ短くするために 現場の授精技術者は奮闘している様子が伺えた 今後 授精開始の時期の検討や授精実施の選択など考慮すれば初回授精受胎率は上がって来ると思われるが そのためには 現在の農家や牛の状況また 精液の性状が変わらなくては実施困難である 現場担当者としては より良い飼養管理技術の確立 改良効果のみならず生存時間の長い精液の開発を待ち望むところである 8 -

14 平成 22 年 分娩間隔と初回授精受胎率の推移 ( 経産 ) 日数 分娩間隔初回授精受胎率 全道檜山渡島後志胆振日高石狩空知上川留萌宗谷北見十勝釧路根室 図 C/(A-D) , , , % ,155 1,603 26, ,904 1, % , , , % 42 31,985 2,155 80, ,655 2,029 1, % 371,415 27, , ,630 21,996 15, % , ,665 1,034, ,946 94,375 18, % 表 -2 平成 22 年 2 授精所の比較 1 1 C/(A-D) % 1, , , % 2, , , % 1,119 3, ,555 1, % , , % 1,779 23, ,966 1, % 9 -

15 牛選別精液の子宮角内深部注入による人工授精 ( 野外事例 ) リブロ ET サポート砂川政広 1. はじめに牛の人工授精において性選別精液 ( 選別精液 ) を使用することで雌あるいは雄を選択的に生産できるようになりました これは畜産農家からの特に要望が強かった技術であります 選別精液は 国産のものは 2007 年 2 月から 外国産のものは 2006 年 10 月から販売され野外に供給されています 社団法人家畜改良事業団 (LIAJ) では選別精液の流通に先立ち野外試験を実施しました その結果 ホルスタイン種経産牛の受胎率が同未経産牛に比べ有意に低下 (34.7% 対 52.1%) していたことから LIAJ では選別精液を未経産牛に利用することを推奨しています しかし 野外では能力 体型既知の面から また難産回避の手段からもホルスタイン種の選別精液を経産牛に利用できればより有効と考える畜産農家 技術者が少なくないと考えられます 実際 LIAJ がとりまとめた~ 性判別精液を用いた人工授精事例集 ~(2010 年 3 月 ) によると 調査場所 13 箇所中 11 箇所では経産牛にも利用され なかには未経産 経産牛の区分なく利用している場所もあります これによると受胎率は多くのところが概ね 30% 程度と答えており LIAJ の野外試験と同様の結果となっています したがって 現在 経産牛における受胎率向上への取り組みを行っている人工授精実施機関も多いと考えられ 第 39 回家畜人工授精優良技術発表全国大会では受胎率向上のための調査や工夫が発表されています 演者は同様の観点から ホルスタイン種の過剰排卵誘起発情およびシダーシンク法の定時授精に選別精液を子宮角内深部に注入していますが これらの成績についてご紹介いたします 2. 子宮角内深部注入の取り組み演者はホルスタイン種および黒毛和種からの受精卵採取を主な業務としております 年間に依頼されるホルスタイン種の採卵頭数は非常に少ないのが現状ですが 選別精液を利用する採卵が大半となっております 流通当初の頃にも選別精液を使用した採卵を実施しましたが思うような成績は得られず 1 採卵当たり 5 6 本のストローを使うことも奨められました しかし これでは農家の負担が増し 実用技術に成りにくく 農家からの依頼も殆どありませんでした そんな中 乳牛改良に熱心な酪農家から選別精液での採卵を依頼され 気重なまま引き受けたところ 同酪農家さんから 受精卵移植に使われている深部注入器で授精するといいらしいよ との情報を得ました そこで移植用の深部注入器を使った選別精液の授精を初めて行いました 以後数例の採卵を重ねても 未受精卵率が特に高いということもなく 正常卵率は安定していました このことから 子宮角内深部注入は選別精液の通常授精にも効果が期待できる考えられ 一酪農家にお願いし 現在 当該農家が行っているシダーシンク法の定時授精で試しています また 自ら授精を行っている酪農家の後継者らに選別精液の深部注入に取り組んでもらいました 選別精液の子宮角内深部注入は動物用受精卵注入カテールモ 4 号 ( ミサワ医科工業製 ) で行っています 器材 10 -

16 の構造および注入部位は図 1 2 に示したとおりです 深部注入用深部注入用 155 通常授精用通常受精用 動物用受精卵注入カテーテルモ 4 号 ( ミサワ医科工業 ) 418 図 1 深部注入器の構造 雌選別精液雌選別精液 外側分岐部 通常精液通常精液 内側分岐部 図 2 選別精液と通常精液の注入部位 1) 採卵成績 選別精液を深部注入したホルスタイン種の採卵は経産牛および未経産牛でそれぞれ延べ 12 頭 8 頭について行いました 注入時期は発情兆候が発現してから 20 ~ 24 時間としま 11 -

17 した 選別精液は国内産 3 種類 外国産 9 種類を使いました 成績は表 1 2 に示したと おりでした 表 1 雌選別精液を深部注入した過剰排卵処理における採卵成績 ( 経産牛 ) 表 2 雌選別精液を深部注入した過剰排卵処理における採卵成績 ( 未経産牛 ) n 回収卵数正常胚数 % n 回収卵数正常胚数 % 雌選別精液 ± ± 通常精液 ± ± 平均値 ± 標準偏差 雌選別精液 8 6.9± ± 通常精液 8 9.1± ± 平均値 ± 標準偏差 経産牛および未経産牛における選別精液と通常精液の正常胚率は同程度であり 経産牛の平均未受精卵率は選別精液が 24.4% で通常精液 (31.2%) よりも高いということはなく この傾向は未経産牛 (14.5% vs 15.1%) でも同様でありました また 個体毎の成績では 選別精液を使って採卵した全頭において正常胚が回収でき 最も多い正常胚数はそれぞれ 19 個 13 個でした 本来 野外データー収集において選別精液の子宮角浅部注入の成績があれば 深部注入の有効性が証明できた思いますが 深部注入を実施した最初の数例の成績に満足し 浅部注入を実施することはできませんでした 2) シダーオブシンク法における受胎成績シダーシンク法 (CSy) の定時授精に選別精液の子宮角内深部注入を適応したホルスタイン種の概要と受胎成績はそれぞれ表 3 表 4 のとおりです 選別精液の受胎率は 50%(17/34) で 同時期に実施した CSy における通常精液の子宮体 ~ 角浅部に授精した成績との比較 表 3 シダーオブシンクに供試したホルスタイン種の授精時の概要 ( 1 フリーストール牛群 ) 頭 数 雌選別精液 34 通常精液 38 産次数 分娩後日数 授精回数 授精日乳量 表 4 雌選別精液を深部注入したシダーオブシンクにおける受胎成績 ( 1 フリーストール牛群 ) 授精頭数受胎頭数 % 雌選別精液 通常精液 期間 ~ 期間 ~ で後者がやや高い (55.3%) ものの有意な差は認められませんでした 選別精液の種類は LIAJ のホルスタイン種雌精液を 3 種類 同団の黒毛和種雄精液を 1 種類使用しましたがそれぞれの受胎性に大きな違いはありませんでした 3) 深部注入を取り入れ始めた人工授精師および酪農後継者らの受胎成績 酪農後継者 3 人 人工授精師 1 人 獣医師 1 人にホルスタイン種経産牛へのモ 4 号によ る深部注入を奨めましたが 現在までの成績は表 5 に示したとおりです 12 -

18 5 人の選別精液の合計授精頭数は 39 頭で 51.2% の受胎率です 例数は多少相違しますが個人別では 40%~ 60% の受胎率でした 5 人中 3 人は既に通常の授精器で選別精液の授精を行っていましたがその受胎率は 27.1%(32/118) でありました 深部注入への期待がたかまる成績であると思われます 表 5 ホルスタイン種経産牛に雌選別精液の子宮角内深部注入を始めた各実施者の受胎成績 実施者 S M T I F 深部注入頭数授精受胎 % 浅部注入頭数授精受胎 % 課題と今後の展望今後 選別精液を安心してホルスタ S,I,F: 酪農家, M: 人工授精師, T: 獣医師 イン種経産牛に利用するため 適正な注入方法 ( 特に発情後の授精時間 子宮内の注入場所 注入に適した媒体 授精前処理等 ) に係わる情報収集を図る必要があります また 選別精液は通常精液に比べ高価な特殊精液でもあることから種雄牛別の受胎性などについての情報も重要と考えられます 受胎率向上のための情報が多く発信されることを期待するところです 選別精液が流通したことによって牛群を多様な繁殖方法に仕分けることができます まず1 選別精液で 2 年後の更新頭数の何割かを確保する 2 選別精液にない新しい血液を通常精液で導入する 12で充分な雌生産が予想できたら4 黒毛和種の通常精液 選別精液あるいは5 受精卵利用等によって副次生産部門の強化を図るなどのことができます これらのことは 受精卵の性判別技術が開発されたころからいわれていたことですが選別精液の実用化で より現実化したといえます 5. おわりにホルスタイン種経産牛には卵巣の周期性は正常と診断されても尿膣や子宮内膜炎が存在しているかも知れません 高位生産の影響で繁殖能力を低下させている牛もいるでしょう 繁殖に悪影響を及ぼす要因が多々あるなかで極短時間で状態の良し悪し 受胎の可能性を総合的に判断して人工授精は行われています こんな中で 通常精液に比べ1ストロー当たりの精虫数が少ない選別精液で通常精液と同等の受胎率を期待することは難しいと思いますが 選別精液を良く理解し 何らかの工夫によって受胎率を向上させたいものです なお 今回の成績は第 17 回 (2010 年 9 月 ) および第 18(2011 年 9 月 ) の回日本胚移植研究大会において発表したものです 13 -

19 人工授精用牛 X,Y 精子の選別 信州大学農学部 濱野光市 1. はじめに安心 安全な食料の生産と供給が求められている現在, 飼料価格の高騰, 伝染病の発生等, 特に牛を中心とした家畜の生産をとりまく情勢は極めてきびしい さらに, 近年の牛の人工授精における受胎率低下は, 生産性の低下を招く重大な問題になっている このような状況において, 効率的な牛の改良, 増殖が可能な雌雄産み分け技術の確立が望まれてきたが, その技術の実用化が進み, 普及の段階に入ってきている ここでは, 性予知産子を作出するための X 精子あるいは Y 精子を選別するフローサイトメーター法の原理と選別精子の特性について概説する 2. 牛の雌雄産み分け技術牛の雌雄産み分けは, 胚と精子の両レベルで行うことができる 胚の性判別技術は, バイオプシー等で胚から得た細胞の DNA を調べる方法であるが, 望まない性の胚は廃棄されることになり無駄が生ずる これに対し, 精子レベルでの雌雄産み分けは,X,Y 精子を選別後, 授精して希望する性の産子を得ようとする技術であり, 選別精液は通常の精液と同様に利用することができる 3. 牛 X,Y 精子の選別これまで,X,Y 精子の大きさ, 密度, 荷電性, 抗原性等に違いがあると想定し, これらの差に基づく精子の選別が試みられてきた しかしながら, 現時点では DNA 量の違いに基づきフローサイトメーターで選別する方法以外, 再現性のある有効な精子の選別法は見いだされていない フローサイトメーターはレーザーを試料に照射し, そこから発する蛍光や散乱光を分析して, 大きさや DNA 量の違いから細胞を選択, 回収することができる装置である 牛では,X 染色体が Y 染色体より大きく,X 精子は相対的 DNA 含量が Y 精子よりも約 3.8% 多く, フローサイトメーターを用いた X,Y 精子の選別は, 蛍光色素 (Hoechst33342) で染色した精子をこの DNA 量に比例した蛍光量の違いに基づいて判別し, 分離する方法である 1989 年,Johnson らはフローサイトメーターで分離した X,Y 精子を外科的に卵管内に人工授精して,8~9 割の精度でウサギの雌雄産み分けに世界で初めて成功し, その後牛をはじめ多くの動物種で X,Y 精子の選別が高精度でできることが確認されている 4. 人工授精用牛 X,Y 精子の選別フローサイトメーターによる精子の選別は米国農務省が有する国際特許技術であり, その独占的使用権は米国の XY 社が有している 日本国内では複数の精液生産供給団体が XY 社と契約を結び, 実証試験を経て商業化している 現在, 精子選別専用の高速フローサイトメーター (SX-MoFlo および SX-MoFlo XDP) が開発され, 精子の選別効率が飛躍的に向上し,1 時間あたり 1,000 万以上の精子が高精度 14 -

20 で選別することが可能になっている 選別精子の人工授精試験の結果では,X,Y 精子のいずれにおいても,90% 以上の精度で子牛が生産され, 生時体重, 妊娠期間, 発育性, 雌牛の繁殖性等に問題は認められなかった これらのことから, 選別精子を利用して作出した牛体外受精卵が 2006 年から, さらに, 人工授精用の選別精液は 2007 年から一般配布されている 選別精液の生産は, 新鮮精液が用いられるため, 一部の種雄牛に限定されている 5. 選別牛精子の特性フローサイトメーターによる選別精子は, 精液の採取から凍結保存までの処理に長時間を要することから, 選別直後および凍結 融解後の精子の生存性および運動性の低下, さらには人工授精後の受胎率の低下が懸念された しかし, 選別の段階で死滅精子は排除され, 生存精子のみが回収される仕組みになっているため, 通常精液と大差のない凍結融解後の精子活力を示す精液が生産されている 選別精液の人工授精後の受胎率は, 未経産牛では 50% 程度, 経産牛では 30~40% であり, 通常精液と比べやや低い傾向にある 海外の報告では, 選別精子の先体反応が比較的早期に誘起されることが示されている 現在, 選別精液が市販され, 人工授精や過排卵処理による受精卵生産に利用されているが, 受胎率や採卵成績を高めるために, フィールドにおいては授精方法の様々な改良, 改善が進められている 具体的には, 授精のタイミングを通常より遅らせる方法, 精液を子宮角深部に注入する方法などが精力的に実施されている 6. おわりに選別精液の利用により, 計画的な子牛生産が可能になり, 確実な収益の増大が期待される しかしながら, 選別精液の生産においては, その生産効率の低さが問題である 今後, 精子処理法, 精液保存液の改良, およびフローサイトメーターの性能の向上等により, 生産効率はさらに改善されると考えられるが, さらに, 精子 DNA 含量の違いを利用したフローサイトメーター法に替わり得る X,Y 精子の大量選別技術の開発が望まれる 引用文献 浜野晴三 (2010) 性判別精液を用いた人工授精技術,LIAJ News,122: 戸田昌平 (2009) 雌雄産み分け技術 : 選別精液 Sort 90,Dairy News,676: 木村博久 (2009) 牛 X,Y 選別精液の生産とその課題, 家畜人工授精,251: 湊芳明 (2008) 牛の雌雄産み分け用の選別精液の生産技術とその実用性, 家畜人工授精, 245: 湊芳明 壱岐直史 船内克俊 戸田昌平 上田大 内山京子 木村博久 (2007) フローサイトメーターによるウシ選別精液の人工授精成績に及ぼす選別時間および産暦の影響について, 第 107 回日本畜産学会大会講演要旨 :83. Hamano, K. (2007) Sex preselection in bovine by separation of X- and Y-chromosome bearing spermatozoa. J.Reprod.Dev., 53: Moce, E., Graham, J., Schenk, L. (2006) Effect of sex-sorting on the ability of fresh and cryopreserved bull sperm to undergo an acrosome reaction. Theriogenology, 66: Johnson, L.A., Flook, J.P., Hawk, H.W. (1989) Sex preselection in rabbits: live births from X and Y sperm separated by DNA and cell sorting. Biol. Reprod., 41:

21 特別講演

22 動物保護の歴史と動物実験のあり方 欧米と日本の比較から 東京財団橳島次郎 1. はじめに動物実験の倫理基準 / 動物保護と動物実験倫理の原点 2. 欧州における動物保護の歴史と動物実験の管理動物保護の始まり / その後の展開 / 欧州における動物の法的地位動物保護法の中の動物実験の位置付け / EUにおける動物実験管理規制 3. 米国における動物保護の歴史と動物実験の管理 4. 日本における動物保護の歴史と動物実験の管理近代日本における動物保護 / 日本法における動物の地位近年の動物保護の展開 / 日本の動物実験管理の問題点 5. おわりに日本と欧米の差異 / 文化的差異による説明はできるか動物実験の拠りどころは何か / 考えるべき問題 参照文献 青木人志 (2002) 動物の比較法文化 有斐閣. 橳島次郎 (2001) 先端医療のルール 講談社, 第四章 人と動物の境はどうなるか. D. ドゥグラツィア (2003) 動物の権利 岩波書店. 佐藤衆介 (2005) アニマルウェルフェア 東京大学出版会. 橳島次郎 (2010) 生命の研究はどこまで自由か 岩波書店. 17 -

23 牛人工授精における低受胎に関する今後の研究展開

24 乳牛における歩数計を用いた発情検出 ( 独 ) 農研機構北海道農業研究センター 坂口実 1. はじめに 乳牛における繁殖性低下については 遺伝的改良による乳量の増加と 不適切な 飼養管理が 大きな要因として議論されてきた ( Sakaguchi, 2011) 人工授精を前提 とした場合 牛が明瞭な発情行動を示すことと それを管理者側が適切に把握することが 受胎成立には最も重要である ( Stevenson, 2001) そこで 北海道農業研究センター ( 北農研 ) で飼養されるホルスタイン種乳牛群について 発情発現の状況を調べてみた ( Sakaguchi, 2010a) 総計 368 回 (92 頭 ) の排卵について 発情行動の有無とその強さを記録したところ 46% はスタンディング行動 ( ST) を示す発情であったが 17% では STを示さず マウンティング行動 ( MT) と他の徴候によって発情を確認でき 残りの 37% では 発情を伴わない排卵 ( 無発情排卵 ) であった また 平均の初回発情時期は分娩後 55 日であった 全発情回数に占める MTの割合は 図 1 に示すように 分娩後 5 ~ 16 週で大きく 9 ~ 12 週では約 1/3が MTであることがわかった さらに 初回発情後に無発情排卵 ( 無発情への回帰 ) となるケースは 92 頭中 14 頭にのぼった しかし一方で,3 回目排卵での初回発情のように やや遅く発情が回帰した牛でも 空胎期間を指標とした繁殖性は良好であった これらの結果から 分娩後早くない時期に発現する 一部微弱化した発情を確実にとらえることが 繁殖性向上には重要であることを再確認した そこで ST 以外の発情行動も検出できる 行動量 ( 歩数 ) による発情発見法の有効性を検証した図 1 総発情発現回数に占めるマウンティン ( 坂口, 2007a) グ発情の割合 2. 乳用育成牛での予備的検討最初に ウシ用の発情発見専用のシステム ( 牛歩 コムテック ( 株 ) 宮崎 ) の発情発見性能を 発情徴候の明瞭な乳用育成牛において評価した ( Sakaguchiら, 2007) 一般的に, 発情と判定する基準を厳しくすると発 観察による発情検出総数 (TOE) 歩数計で見逃した発情回数 歩数計で検出できた発情回数 ( PDE) 歩数計で発情とされた誤報の回数 歩数計による発情検出総数 (TPA) 図 2 歩数上昇による発情発見の効率と精度 発情発見効率 =(PDE)/(TOE) 100 (%) 発情発見精度 =(PDE)/(TPA) 100 (%) 発情発見指数 =( 発情発見効率 ) ( 発情発見精度 )/

25 見効率 ( 発見率 ) は低下, 発見精度 ( 的中率 ) は向上する 逆に基準を緩くすると, 効率は向上するが精度は低下する そこで図 2 に示すように 両者の積を求めることにより得られた発情発見指数を用い, 異なる条件下での発情発見性能を比較した ( 図 3 ) 昼夜放牧条件の頚装着では 閾値 ( 発情と判定する歩数の上昇倍率 ) を 1.2 倍, 参照期間 ( 倍率計算のため 24 時間の平均歩数を比較する過去の日数 ) を 3 ~ 7 日とした場合, 図 3 育成牛と搾乳牛における異なる飼養条件下での肢装着歩数計による発情発見指数の比較発見率は 100% であったが, 的中率は 20~ 23% と低かった 一方後肢装着では, 発見率および的中率とも 90% 以上と, 良好な成績が得られた 頚および後肢装着での発見指数の最大値はそれぞれ 32および 83となった 頚装着では 放牧時の採食行動をカウントしてしまうため 的中率が低下したものと考えられ, 搾乳牛でも同様の結果になると予想された パドック条件では, 発情観察とともに, その後の排卵確認も実施した 頚および後肢装着での発見指数の最大値はそれぞれ 59および 92となった これら最適条件下での歩数上昇による発情開始から排卵までの平均時間と範囲は, 頚装着で 24.2( 0 ~ 37) 時間, 後肢装着では 1.6 倍で 27.0( 22~ 36) 時間, 1.7 倍で 25.5( 21~ 35) 時間であった 歩数上昇をもとにした平均発情持続時間は, 頚で 16.6 時間 後肢で 21.6 時間 ( 1.6 倍 ) または 18.8 時間 ( 1.7 倍 ) となった 最後に繋ぎ飼養条件下では, 頚, 前肢および後肢にそれぞれ歩数計を装着し, 発情徴候から発情を判定し, 排卵確認を実施した 頚では 1.2~ 1.3 倍 3 ~ 7 日で発見率 61~ 91% 的中率 33~ 44% の結果が得られた 後肢および前肢では的中率が高くなり,1.3~ 1.4 倍 3 ~ 7 日で, 両者ともほぼ同様の発見率と的中率を記録した 前肢装着では後肢と比べて装着作業と歩数計の維持が容易で, 排泄物の付着も比較的少なかった 頚, 後肢および前肢の発情発見指数の最大値はそれぞれ, 31, 61および 72となった 発情開始から排卵までの平均時間と範囲は頚で 32.1( 0 ~ 48) 時間 後肢で 25.9( 9 ~ 36) 時間, 前肢で 26.3( 11~ 38) 時間となり 平均発情持続時間は頚で 23.4 時間 後肢で 17.4~ 17.9 時間, 前肢では 19.5 時間であった これらの平均時間に 装着部位による有意差は認められなかった したがって, タイストール条件では頚への装着は実用的ではなく, 少なくとも育成牛では後肢よりも前肢への装着が 20 -

26 有効と考えられた このように, 異なる飼養条件下の育成牛を用いた予備的検討結果から, 歩数計による発情発見システムの実用性を確認できた 発情開始時刻を適期授精の目安とすることを考えると, 発情開始から排卵までの時間が重要となる 頚装着では排卵までの時間にばらつきが大きいことから, 肢に歩数計を装着することにより 排卵時刻や授精適期をより正確に予測できることがわかった 3. 搾乳牛での実用性搾乳牛については, 育成牛のパドック飼養に相当するフリーストール飼養, 小牧区 1 日輪換の昼夜放牧, およびフリーストールを併用した中牧区での時間制限放牧の 3 条件について検討した ( 坂口, 2010b) 北農研の屋外パドックを併設するフリーストール牛舎において 頚 - 後肢および前肢 - 後肢間の比較を, それぞれ同時装着した搾乳牛を用いて実施した 頚装着では, 個体間に歩数変動のばらつきが大きかったが, 発情発見指数は後肢装着と同等であった 後肢では検出倍率 1.5 倍 平均歩数の参照期間 8-15 日で 発情発見指数が 76と最高になり, 頚では 1.7 倍 日で 78を記録した 前肢と後肢では参照日数の最適値は若干異なるものの, 最適な検出倍率の範囲は 後肢での 1.7~ 2.0 倍に対し 前肢では 1.5~ 2.2 倍と広かった 前肢装着は後肢装着と比べ, ふん尿による汚れが少ないことも考え合わせると, 一般的に推奨される装着部位と考えられたが, 搾乳時に装着ベルトの弛み等を定期的に観察しやすい後肢装着も 必要に応じて選択できるであろう そこで以下の比較では, 前肢または後肢に歩数計を装着して検討した 昼夜放牧条件下ではフリーストール条件と比較して, 発情検出の最適設定がほぼ同じであるにもかかわらず 発見率が約 30% 低下するため, 発情発見指数も低くなった ( 図 3 ) 一方 時間制限放牧条件下では, フリーストール条件下と同等の成績が得られた これらの原因として, 1 日輪換の昼夜放牧条件下では, 朝夕の搾乳前後 放牧地と搾乳施設間を移動する際の歩数が 転牧によって変動することが考えられた つまり, 放牧地と搾乳施設間の移動距離が前日よりも大きくなる場合, 発情ではなくても歩数が上昇し, 発情と検出される可能性が高くなるため 的中率が低下 ( 誤報率が上昇 ) する結果となる 逆の場合, 発情であっても十分な歩数上昇としては検出されない可能性が高まり, 発見率が低下 ( 見逃し率が上昇 ) すると考えられた このように小牧区, 1 日輪換による搾乳牛の昼夜放牧では 往復の移動距離が毎日変動する したがって, 高い発情検発見成績を得るためには搾乳施設への移動距離の変化に注意する必要がある また, 可能な限り 前日までの移動距離と大きく変化しないような順序で牧区を変えてゆくことも, 発情発見成績の向上に必要であろう 昼夜放牧条件下, 発情発見指数が最大となる設定 ( 1.5 倍 ) での発見率は 62.5 % であるが, 的中率は 87.0% と, 他の条件と同じ水準であった したがって, 判定倍率を 1.4あるいは 1.3 倍へと下げることにより, 的中率の低下を承知のうえで検出率向上を図ることも, 使用目的によっては有効かもしれない 21 -

27 4. おわりに以上 歩数計を用いて発情時の行動量の増加を検出することによる 乳牛の発情発見方法の有用性を確認できた ただし 転牧頻度の高い昼夜放牧条件下の搾乳牛での 比較的低い成績は, 歩数計による発情発見法の一つの問題点となりうる 現状の発情検出基準下での対応策としては, 前述のように転牧順序を工夫して, 平均歩数の日間変動の最小化を図るほかに, 他の発情検出方法 例えばテイルペイント等を併用する, ということが考えられる それ以外の方法としては, 発情検出の基準そのものを見直すという方向性もあり得る すなわち, 搾乳牛舎への移動は通常 朝夕の同一時間帯に実施されることから, この時間帯を平均歩数の計算から除外する, というような, 昼夜放牧条件に対応した発情判定アルゴリズム ( Koelsch et al., 1994) や, 根本的に異なるアルゴリズム ( Firk et al., 2003) を適用することにより, 発情発見成績を向上できるかもしれない 引用文献 Maatje, K. et al., (1997) Predicting optimal time of insemination in cows that show visual signs of estrus by estimating onset of estrus with pedometers. J. Dairy Sci., 80: 坂口実 (2007a) 新しい発情発見法の開発. 新しい畜産技術 近未来編, ( 社 ) 畜産技術協会, pp 坂口実 (2007b) 高泌乳牛の授精適期. 農業技術体系, 畜産編, 第 2 巻, 乳牛 1, 基本技術編, 農山漁村文化協会, pp. 技 154の 2-7. Sakaguchi, M. et al. (2007) Reliability of estrus detection in Holstein heifers using a radiotelemetric pedometer located on the neck or legs under different rearing conditions. J. Reprod. Dev., 53: Sakaguchi, M. (2010a) Oestrous expression and relapse back into anoestrus at early postpartum ovulations in fertile dairy cows. Vet. Rec., 167: 坂口実 (2010b) 搾乳牛における歩数計を用いた発情検出. 日本畜産学会報, 81: Sakaguchi, M. (2011) Practical aspects of the fertility of dairy cattle. J. Reprod. Dev. 57: Stevenson, J. S. (2001) A review of oestrous behaviour and detection in dairy cows. Fertility in the High-Producing Dairy Cows. Occ. Publ. Br. Soc. Anim. Sci., 26, pp

28 精漿成分による牛の子宮機能調節 酪農学園大学獣医学群獣医学類生産動物医療教育分野動物生殖学ユニット 片桐成二 1. はじめに演者は乳牛において子宮内膜の上皮増殖因子 (Epidermal growth factor, EGF) の発現と受胎性との関係を研究しており 卵巣機能回復後も受胎しない高産乳牛およびリピートブリーダー牛において子宮内膜での EGF の発現異常が不妊原因の一つとなっていることを報告してきた ( 図 1) 現在 その対策としてこれらの牛に精漿を投与して子宮での EGF 発現および免疫系の活性化をはかる試みを進めているところである 本稿では 子宮内膜における EGF 発現と受胎性の関係および精漿が子宮内膜でのサイトカイン発現および受胎性に及ぼす効果の概要を紹介する 2. 子宮内膜での EGF 発現とその異常リピートブリーダー牛では 発情時のエストラジオール (E 2 ) 濃度の上昇遅延とピーク濃度の低下および排卵後のプロジェステロン (P 4 ) 濃度の上昇遅延とピーク濃度の低下がみられ これらの変化が受精異常および胚死滅を増加させると考えられてきた ( 図 2) 子宮内膜での増殖因子発現は 主として E 2 および P 4 により調節されることから 子宮での増殖因子発現異常がリピートブリーダー牛にみられる内分泌異常と胚死滅の増加を結びつけるメカニズムとなり得る また 高産乳牛では乾物摂取量の増加による代謝の亢進により 血中 E 2 および P 4 濃度はリピートブリーダー牛と同じ異常を示すことから 高産乳牛における受胎性低下にも子宮内膜での増殖因子発現異常が関わるものと考えられる ( 図 2) 子宮での増殖因子発現と受胎性との関係に関する研究をはじめるにあたり まず 胚死滅との関連を考慮して妊娠認識機構の活性化時期に子宮内膜での発現が変化する増殖因子を検索した その結果 子宮内膜での EGF 濃度が発情後 2-4 および 日目に上昇することが分かった 次いで リピートブリー (Katagiri & Takahashi, 2004, 2006) (Katagiri & Takahashi, 2008) 1. Epidermal growth factor: EGF ダー牛の子宮内膜 EGF 濃度を調べたところ その約 70% では EGF 濃度のピークが低下し 周期性変動が消失していた ( 図 1)(Katagiri & Takahashi, 2004) また その異常が 3 回以上の発情周期にわたり持続することも分かった (Katagiri & Takahashi, 2006) 一方 高産乳牛では子宮内膜 EGF 濃度 ( 発情後 3 日目 ) が低下する傾向にあり その約 60 および 20% は それぞれ経産牛の平均値および正常範囲の下限値以下の濃度を示した (Katagiri, 2006) さらに 分娩後の子宮内膜での EGF 濃度周期性変動の回復時期を調べ 周期性の回復時期は子宮内膜の再生時期にあたる分娩後 4~7 週目に集中 (> 70%) することが分かった ( 図 3) 3. 子宮内膜 EGF 濃度と受胎性の関係受精卵移植のレシピエント牛において子宮内膜 EGF 濃度と受胎率の関係を調べたとこ EGF mg EB + CIDR EGF : 70% : 50-60% 3 EGF EGF < 4.9 ng/g > 4.9 ng/g 29/87 (33.3) 269/350 (76.9)* P 4 P 4 E 2 E 2 2 LH 23 -

29 ろ 発情後 3 日目の子宮内膜の EGF 濃度が低値を示した牛では正常値を示した牛に比べ受胎率が低下していた ( 図 1) また EGF 濃度の周期性が失われているリピートブリーダー牛に対する治療処置により EGF 濃度のピークが回復した牛では受胎性も回復することが分かった (Katagiri & Takahashi, 2006) さらに 最近の研究から EGF 濃度の周期性回復時期が遅れた牛では 分娩後の受胎時期が遅れることが明らかとなってきた ( 図 3) これらのデータは いずれも EGF 濃度の周期性回復が受胎性の指標となることを示している 周期性回復頭数 ホルスタイン種経 桐 髙橋 (2005) 内膜再 分娩後の日数 106 頭 医学会にデータを追加 (%) 周期性回復 0 90 日までに回復せず % of cows (103 頭 ) 図 3. EGF 周期性変化の回復時期と受胎成績 EGF 周期回復 < 40 日 日 > 70 日 初回受胎 64.6% 日まで 不受胎 4. 精漿による雌性生殖器の機能調節主に齧歯類を用いた研究により 精漿には胚および胎子の発育 胎盤形成および着床を促進し 受胎率および産子数を増加させる作用のあることが明らかになっている (Robertson, 2007) 精漿は精子の生存や受精能獲得などの精子への作用に加え 雌性生殖器および胚へのはたらきを介してこれらの作用を発現しており 雌性生殖器および胚への作用においては精漿による子宮内膜でのサイトカイン発現調節が重要な役割を果たすと考えられている ( 図 4) また 精漿はマウスの黄体におけるマクロファージの出現 豚では LH サージから排卵までの時間短縮および黄体形成および黄体でのステロイドホルモン産生の調節など卵巣機能にも影響を及ぼすことが知られている 多くの哺乳動物で交配後最初にみられる雌性生殖器内の変化は 子宮内への急速かつ 著明な免疫細胞 ( 好中球 マクロファージ 樹状細胞など ) の出現である マウスでは 発情時のエストロジェンに感作された子宮頸管および子宮内膜上皮に精漿蛋白が作用することにより顆粒球コロニー増殖因子 (GM-CSF) インターロイキン (IL)-6 IL-8 などのサイトカインおよびケモカインが産生され 免疫細胞の浸潤が誘起される 交配直後子宮腔内に出現した好中球は プロジェステロン濃度の上昇に伴い GM-CSF などのサイトカイン発現が低下すると急速に消失する (Robertson, 2007) 一方では免疫細胞の出現を ヒト 性交後のART(AI & IVF-ET) による受胎マウス / ラット 胚 / 胎子発育 胎盤形成 着床豚 受胎 子数馬 子宮内膜炎 抑制する TGF- の子宮での発現も増加している また TGF- は精漿中にも含まれている このように 精漿は子宮での炎症を誘起するが 一方でその反応が過度にならないよう調節する役割も果たすと考えられている 精漿による受胎促進効果は人および家畜においても報告されており 家畜の中では豚の精液が子宮への好中球の動員およびサイトカイン発現に及ぼす効果が比較的よく調べられている (Robertson, 2007) 5. 牛の精漿が雌性生殖器および受胎性に及ぼす効果牛の精漿には TGF- IL-6 IL-8 TNF およびプロスタグランジン E など子宮での免疫系を調節する作用のある多くの物質が含まれている しかし 牛では精漿が子宮でのサイトカイン発現および免疫系を介して受胎性に影響を及ぼすことを示した報告はみられない 人工授精の前および授精と同時に精漿および TGF- を乳牛および肉牛の子宮頸管内に注入して受胎率に及ぼす効果を調べた報告では いずれの処置も有意な受胎率の増加にはつながらなかったとしている (Odhiambo et al., 2009) 図 4. 雌 殖器における精漿の役割 子宮内膜の再構築 マクロファージ樹細胞顆粒 ( 好中 ) 精漿 胚発 免 機構の調節 精子選抜? 子宮内膜 子宮内腔 Robertson,

30 一方 牛では精漿中の蛋白質と受胎性の関連が調べられており いくつかの精漿蛋白質 と受胎性との関連が指摘されている (Maxwell et al., 2007) これらの蛋白質の多くは 精 子の生存性および精子と卵管上皮との相互作用による受精能獲得に関連すると考えられて いるが osteopontin PSP-IおよびIIなど子宮への免疫細胞の出現に対する調節作用により 妊娠成立およびその維持に関わると考えられているものもある 現在 これらの蛋白質に ついては受胎性との関連を調べる野外試験が実施されている 6 牛の精漿成分による子宮内膜でのEGF発現正常化と受胎性向上効果 われわれは子宮内膜EGF濃度の周期的変化が消失しているリピートブリーダー牛に対し 高用量のE 2 製剤およびP 4 徐放剤を組み合わせた治療をおこないEGF発現を正常化する治療 処置を実施してきた 治療後2回目までの人工授精による妊娠率は50 70 であり リピー トブリーダー牛に対する治療処置としては良好な成績である しかし この治療処置では 高用量のエストラジオール製剤を使用するため 高産乳牛群に対する受胎率改善策として 常用することは避けるべきであると考えている これに対し 精漿の雌生殖器に対する生 理作用を利用することにより子宮内膜でのEGF発現を正常化する試みは 本来牛がもつ生 殖機能を活用する方法であり 生産現場でのホルモン製剤使用量の抑制および安全 安心 な畜産製品の生産につながるものである われわれはこれまでに腟内に精漿を投与すると子宮内膜でのEGF発現が正常化し 受胎 性も回復することを報告してきた 図5 また この作用の程度には精漿を採取する雄牛 間で差異がみられることも分かっている 精漿をゲルろ過および電気泳動法を用いて分画 して子宮内膜のEGF濃度を増加させる蛋白質分画を調べたところ 分子量16 29 kda 等 電点pI の蛋白質分画にこの作用が認められており 図6 現在この活性をもつ精 漿蛋白質の同定を進めているところである PBS 子宮内膜EGF濃度 (ng/g tissue weight) 精漿 PBS * 精漿 群 EGF 濃度 正常 精 漿 低下 (36) 合計 8 正常 4h Days after SP 平均 + 標準誤差 pi 精漿投与が受胎性に及ぼす効果 PBS 低下 (31) 合計 頭数 (%) 21 (58.3)A 妊娠 13 (%) (61.9)a 3 (20.0)b 36 (100) 16 (44.4)A 3 (12.5) 31 (100) 6 (19.4)B a (42.9) 24 (77.4) (ng/g組織重量) pi 15 (41.7) 7 (22.6)B (kda) 子宮内膜EGF濃度 精漿 a b 10 bc cd 5 d 0 (6) (6) (6) (6) (6) SP PBS Fractions 図5. 精漿が子宮内膜EGF濃度と受胎性に及ぼす効果 d (3) (6) x60 図6. 精漿分 が子宮内膜EGF濃度に及ぼす効果 5 牛の精漿が好中球出現および子宮でのサイトカイン発現に及ぼす効果の検討 われわれは牛においても精漿が子宮機能調節作用を有し その作用には免疫系の活性化 が関与すると考えている そこで まず牛の精漿を雌生殖器内に投与し 子宮腔内への好 中球出現数の変化を調べた 試験にはいずれもリピートブリーダー牛において子宮内膜で のEGF発現を正常化する効果の高い精漿2サンプルを混合した精漿 精漿A および同効果 の低い精漿3サンプルを混合した精漿 精漿B を用いてその効果を比較した その結果 精漿を子宮内に投与した牛では対照群 無処置 との間で好中球数に違いはみられなかっ たが 精漿を腟内に投与した牛では対照群に比べ細胞数の増加がみられた 図7 しか し 好中球の出現数は精漿によって異なり 精漿Aを投与した牛では精漿Bを投与した牛に 比べ約1.5倍の好中球が出現した 次いで 精漿が子宮でのサイトカイン発現に及ぼす効果を調べるため精漿を腟内に投与 し 投与後4および40時間目に子宮内膜を採取してIL-6, IL-8およびGM-CSF発現を調べた その結果 精漿投与後40時間目のIL-6およびGM-CSFの発現は同4時間後に比べて増加した 25

31 が ( 図 8) 精漿の違いによる有意な差はみられなかった 一方 IL-8 発現は精漿および時間によって異なり 4 時間後の IL-8 発現は精漿 A を投与した牛では精漿 B を投与した牛に比べ高かった 40 時間後には両群の IL-8 発現はいずれも 4 時間後に比べて有意に高くなり 精漿間での IL-8 発現には違いがみられなかった 以上の結果は 牛においても精漿には子宮内膜でのサイトカイン発現を調節する作用のあることを示している また 従来の報告と同様に精漿を子宮内に投与すると子宮での免疫系調節に対する作用のみられないことが確認された 好中出数 精漿 A 精漿 B A 対照群精漿 B ( 無処置 ) 対照群子宮 a b 腟 好中出数 c 注入後の時間 (h) mrna 発量 IL-8 4 時間 40 時間 IL 時間 40 時間 精漿投与後の時間 0 GM-CSF 精漿 A 精漿 B 時間 40 時間 図 7. の精漿が子宮腔内への好中出に及ぼす効果 図 8. の精漿が子宮内膜でのサイトカイン発に及ぼす効果 7. おわりに精漿がもつ子宮機能調節作用は 現在の人工授精による牛の繁殖管理においては活用されていない生殖機能である 現在 乳牛では EGF の発現異常に代表される子宮機能異常が受胎性低下の一因となっており 精漿により子宮機能を回復させることができれば受胎性の向上が期待される したがって 子宮機能調節作用をもつ精漿蛋白を同定し 生産現場で活用することができれば低受胎牛群に対する受胎率向上技術への応用が可能と考えられる また 精漿投与により子宮内膜での EGF 発現異常が正常化される機序が明らかになれば 精漿蛋白質自体を使用せず子宮機能の回復を図る治療法の開発につながるものと期待される 参考文献 1. Katagiri S, Takahashi Y. Changes in EGF concentrations during estrous cycle in bovine endometrium and their alterations in repeat breeder cows. Theriogenology 2004; 62: Katagiri S, Takahashi Y. Potential relationship between normalization of endometrial epidermal growth factor profile and restoration of fertility in repeat breeder cows. Animal Reproduction Science 2006; 95: Katagiri S. Relationship between endometrial epidermal growth factor and fertility after embryo transfer. Journal of Reproduction and Development 2006; 52 (Suppl): S133-S Robertson SA. Seminal fluid signalingin the female reproductive tract: Lessons from rodents and pigs. Journal of Animal Science 2007; 85: E36-E Odhiambo JF, Poole DH, Hughes L, DeJarenette JM, Inskeep EK, Dailey RA. Pregnancy outcome in dairy and beef cattle after artificial insemination and treatment with seminal plasma or transforming growth factor beta-1. Theriogenology 2009; Maxwell WMC, de Graff SP, Ghaoui RE-H, Evans G. Seminal plasma effects on sperm handling and female fertility. In: Juengel JL, Murray JF, Smith MF (eds.), Reproduction in domestic ruminants VI: Proceedings of the seventh international symposium on reproduction in domestic ruminants, vol. 64. Nottingham: Nottingham University Press; 2007:

32 独立行政法人家畜改良センター新冠牧場における排卵同期化 発情 同期化を活用したホルスタイン種の人工授精の成績について ( 独 ) 家畜改良センター新冠牧場 木村嘉孝 1. はじめに ( 独 ) 家畜改良センター新冠牧場ではホルスタイン種の改良増殖業務を行っており 人工授精および受精卵移植技術を用いて種雄牛の作出や優良育種雌牛群の造成等を行っている 新冠牧場では これらの業務を計画的 効率的に行うため排卵同期化 発情同期化を活用している 今回は 新冠牧場が平成 14 年度から現在までに行ってきた同期化の成績を 人工授精成績を中心にまとめ その傾向を示した 2. 同期化による人工授精の成績平成 14 年 4 月 1 日から平成 23 年 7 月 31 日までに新冠牧場で行った人工授精成績を表 1 に示した 発情行動 徴候を確認後 AI を行った 自然発情 Ovsynch 処理後 AI を行った Ovsynch Heatsynch 処理後 AI を行った Heatsynch 黄体確認後プロスタグランジン F2α 類縁体製剤 (PG) を投与 発情を確認し AI を行った PG 発情行動 徴候を確認後 排卵誘起を目的に性腺刺激ホルモン放出ホルモン製剤 (GnRH) を投与し AI を行った 自然発情 +GnRH について未経産牛と搾乳牛の受胎率をとりまとめ 自然発情による AI 受胎率と各同期化処理との比較を行った 表 1. 同期化処理の違いによる人工授精受胎率 未経産牛 搾乳牛 自然発情 67.7%( 625/923 ) 48.9%( 334/688 ( 妊否不明 5)) Ovsynch 55.6%( 10/ 18 ) * 27.9%( 17/61 ) Heatsynch 100.0%( 1/ 1 ) 46.2%( 6/17 ( 妊否不明 4)) ** PG 50.0%( 26/ 52 ) 10.5%( 2/19 ) 自然発情 + GnRH 64.1%( 59/ 92 ) 43.4%( 36/84 ( 妊否不明 1)) **:P<0.01 *:P<0.05 で有意差あり 未経産牛については 自然発情の AI 受胎率に対し PG 処理による AI 受胎率が有意に低い数値であったが その他の処理に有意な違いは見られなかった ( Heatsynch については比較せず ) 搾乳牛では自然発情の AI 受胎率に対し Ovsynch および PG 処理が有意に低い受胎率となった 搾乳牛について 同期化処理開始から AI まで処理を行った頭数を表 2 に示した 27 -

33 Ovsynch は 83 頭の搾乳牛に処理を行い 最終的に AI を実施したものは 61 頭 (73.5%) そのうち受胎したのは 17 頭で 同期化処理頭数から算出した受胎率は 20.5% であった Heatsynch は 26 頭の搾乳牛に処理を行い AI を実施したものは 17 頭 (65.4%) 受胎は 6 頭 (27.3%( 妊否不明 4 頭 )) であった PG については 27 頭に処理を行い AI を実施したのは 19 頭 (70.4%) 受胎は 2 頭 (7.4%) だった 表 2. 同期化処理頭数と受胎率 ( 搾乳牛 ) GnRH1 PG E2 d0 d7 d8 GnRH2 発情 d9 AI 受胎処理開始からの 受胎率 Ovsynch % Heatsynch ( 妊否不明 4) 27.3% PG % 3. 同期化処理の違いによる発情誘起率および排卵率 Ovsynch および Heatsynch における発情誘起率および排卵率を調査するため 平成 22 年 4 月 1 日 ~ 平成 23 年 3 月 31 日に受精卵移植を目的として Ovsynch および Heatsynch を行った搾乳牛の発情誘起率および排卵率をとりまとめたものを表 3 に示した 表 3. 同期化処理の違いによる発情誘起 排卵率 ( 搾乳牛 ) GnRH1 PG E2 GnRH2 発情 d0 d7 d8 d9 排卵 排卵率 ( 排卵 / 発情 ) Ovsynch % 70.4% 59.9% Heatsynch % 81.3% 75.2% 58.4% 85.0% 77.6% Ovsynch は 142 頭に同期化処理を実施し PG 投与時に黄体を形成したものが 111 頭 (78.2%) PG 投与 2 日後に卵胞が確認されたものが 100 頭 (70.4%) そのうち排卵したものが 85 頭 (59.9%) で 卵胞確認牛の排卵率は 85.0% であった Heatsynch では 214 頭に同期化処理を実施し PG 投与時に黄体を形成したものが 175 頭 (81.8%) E2 投与後発情が確認されたものが 161 頭 (75.2%) そのうち排卵したものが 125 頭 (58.4%) で 発情確認牛の排卵率は 77.6% であった 4. 発情周期が排卵 発情同期化 (Ovsynch Heatsynch) に及ぼす影響処理開始の GnRH 投与時の発情周期が同期化に及ぼす影響を調査するため 平成 14 年 28 -

34 4 月 1 日から平成 23 年 7 月 31 日に同期化処理による人工授精成績を行った搾乳牛及び平成 22 年 4 月 1 日 ~ 平成 23 年 3 月 31 日に受精卵移植を目的として同期化処理を行った搾乳牛について Ovsynch および Heatsynch の処理開始時の GnRH 投与のタイミングを発情後の日数により 4 区分し ( 発情後 0~6 日 7~14 日 15~21 日 22 日以上または発情未確認 ) 算出した発情誘起率を表 4 表 5 に示した 表 4. 処理開始時の GnRH 投与のタイミングが Ovsynch 処理に及ぼす影響 GnRH1 d0 PG d7 GnRH2 d9 発情後 0~6 日 ( 84.6% ) -7.7% -8.3% 発情後 7~14 日 ( 79.0% ) -12.9% -9.3% 発情後 15~21 日 ( 66.7% ) -22.2% -14.3% 22 日以上または 発情周期未確認 ( 74.0% ) -17.1% -10.8% * 各矢印の下のパーセンテージは頭数の減少率 ( ) 内は処理頭数に対する発情誘起率 表 5. 処理開始時の GnRH 投与のタイミングが Heatsynch 処理に及ぼす影響 GnRH1 d0 PG E2 d7 d8 発情 d9 発情後 0~6 日 ( 66.7% ) -22.2% -14.3% 発情後 7~14 日 ( 77.1% ) -15.7% -8.5% 発情後 15~21 日 ( 66.7% ) -29.2% -5.9% 22 日以上または 発情周期未確認 ( 79.3% ) -13.3% -8.5% * 各矢印の下のパーセンテージは頭数の減少率 ( ) 内は処理頭数に対する発情誘起率 Ovsynch Heatsynch ともに有意な差は見られないものの 発情後 15~21 日目に処理開始の GnRH を投与した場合 発情誘起率は低い値を示した また Heatsynch においては発情後 0~6 日目に GnRH を投与した場合においても低い値を示した 次に 処理開始の GnRH 投与のタイミングによる PG 投与時の黄体形成率の違いを表 6 に示した 29 -

35 表 6. 処理開始時の GnRH 投与のタイミングが PG 投与時の黄体形成に及ぼす影響 (Ovsynch + Heatsynch) 黄体あり 黄体なし 黄体形成率 発情後 0~6 日 % ab 発情後 7~14 日 % a 発情後 15~21 日 % b 22 日以上または 分娩後発情未確認 % a 異符号間に有意差あり (P<0.05) Ovsynch および Heatsynch において 発情後 15~21 日に処理開始の GnRH を投与した場合 PG 投与時の黄体形成率が 発情後 7~14 日および 22 日以上または分娩後発情未確認の牛に比べて有意に低く 73.8% であった 発情後 22 日以上または分娩後発情未確認の牛では 84.9% の黄体形成率を示した 以上の事から 発情後 15~21 日に同期化処理を開始する場合 他の期間に比べて PG 投与時の黄体の形成率および発情の誘起率が低くなることが示唆された また 22 日以上発情が確認されていない もしくは分娩後発情が未確認の牛においても同期化処理により 7~8 割の牛で発情が誘起できる事が示された 5. おわりに同期化処理による人工授精は 自然発情による受胎率と同等 または下回る結果となった 搾乳牛の同期化処理による人工授精の受胎率は 処理開始時の頭数から算出した場合 Ovsynch で 20.5% Heatsynch で 27.3% であり 自然発情の 48.9% を大きく下回っている しかし 発情周期を正確に確認できていない牛についても発情を誘起することができる事が示されたことから 発情行動の微弱化や発情時間の短縮による発情の見逃し 繋ぎ飼いのような飼養形態により発情行動の発見 周期の特定が難しい場合において 早期に受胎させる方法の一つとして同期化処理を用いることは有効である また 今回とりまとめたデータから 発情後 15~21 日目を避けて同期化処理を開始することにより発情誘起率を向上させる可能性がある事も示された これらの事から 自然発情による人工授精とともに 同期化による人工授精を組み合わせることで発情発見の難しい牛を計画的 効率的に受胎させる事が可能であり 結果として牛群全体の受胎率の向上を図ることが期待できると考えられる 30 -

36 機能性サプリメントを活用した栄養管理の高度化による 高泌乳牛の繁殖性改善技術の開発 ( 独 ) 農研機構畜産草地研究所 平子誠 1. はじめに家畜の繁殖は畜産農家の経営を左右する極めて重要な問題である にもかかわらず 牛の初回人工授精受胎率は過去 20 年間低下し続けている 特に乳用経産牛の低下が顕著で 現在は 40% 程度まで落ち込んでおり 結果的に分娩間隔も延長し 乳牛の繁殖性低下が酪農業の収益圧迫の一因となっている このような状況の下 世界的な穀物需要の増大による飼料価格の高騰とも相まって 生産性の向上は今まで以上に重要な課題となっている 本研究会では 農林水産省の 新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業 の一環として 乳牛の繁殖性改善を目指して取り組んでいる標記課題の内容について紹介する なお 本課題の成果は未公表なものが多いため 本稿には課題の背景と研究内容しか記載できないが 講演ではこれまでの成果を含めて紹介したい 2. 牛の繁殖性低下要因動物の繁殖性は健康状態と密接に関係している 牛は反芻とルーメン発酵により難消化性の繊維質を栄養源として利用しており 牛の健康維持にはルーメン発酵の安定的な制御が重要である ルーメンの微生物叢は 発酵の遅い粗飼料の消化に適しており 発酵の速い濃厚飼料を多給すると異常を来たし 様々な疾病の原因となる つまり 摂取する栄養素のバランスが崩れると 牛は不健康となり 繁殖性も低下する 近年の乳牛は泌乳能力が飛躍的に向上しており その能力を最大限に発揮させるには充分な栄養補給が不可欠で 栄養価の高い濃厚飼料を多量に給与する必要がある しかし 牛が濃厚飼料を食い込める量には制約があり 乳量の多い泌乳初期 最盛期には栄養不足に陥り 体に蓄積した脂肪などの養分を動員して乳生産を賄っている 本来草食の牛は 栄養の過不足に弱く 変化が急激だったり 不足期間が長引いたりすると 様々な障害が生じる エネルギー不足に由来する繁殖性低下については多くの研究蓄積があり その因果関係をまとめると 中枢性の生理的な生殖機能抑制と肝機能や免疫機能の低下に伴う病的な生殖機能異常という主に 2つの経路が想定される 乳牛は泌乳量の増加に伴い 体内の酸化ストレスが増大する 乳生産に必要なエネルギーを確保するため 代謝が活発化することにより 活性酸素やフリーラジカルなどの産生量が増加する また 乳生産や恒常性の維持には充分な蛋白源の給与が必要だが 余剰な蛋白質は肝臓や腎臓などの代謝器官にとって負担となり 酸化ストレスを増大させる さらに 以下で述べるエンドトキシンの解毒過程でも酸化ストレスが発生する 結果的に 高泌乳牛は 卵巣や子宮などの生殖器官も含め強い酸化ストレスに曝されることになる 酸化ストレスの軽減 解消は乳牛の健康維持に直結しており 繁殖性向上の観点からも極めて重要な問題である 反芻動物のルーメンにはエンドトキシンの発生源となるグラム陰性菌が多く常在している 繊維質を 31 -

37 主体とする適切な飼料を給与すれば ルーメン環境の恒常性が保たれ エンドトキシンの産生は低く抑えられる しかし 泌乳に必要なエネルギーを補うため穀類など発酵しやすい飼料を多量に給与すると 乳酸産生グラム陽性菌が増加し ルーメン液の ph が低下するため グラム陰性菌が死滅して遊離するエンドトキシンの量が増加する ルーメンで生じたエンドトキシンは血中に移行して直接 あるいは腫瘍壊死因子等の炎症性サイトカインを介して間接的に多くの臓器に影響を及ぼす 繁殖への影響について見ると エンドトキシンは 体外受精系において濃度依存的に卵子の成熟と受精卵の発生率を低下させる また 腫瘍壊死因子は 生理的な黄体退行への関与が示唆されており 過剰量では卵胞の発育 黄体の形成と退行 子宮内膜上皮の増殖を阻害する これらのことから 高泌乳牛では ルーメンで発生する内因性のエンドトキシンが 卵巣や子宮などの生殖制御機能に負の影響を及ぼしていると考えられる また 不適切な濃厚飼料の多給によって生じるルーメン発酵の異常は 繁殖性の低下のみならず 吸収エネルギーの不足による乳量と乳質の低下 エンドトキシンによる潜在性肝機能障害を引き起こし さらには 消化器病 蹄病 乳房炎等 生産病の原因ともなっている これらのことを総括すると 乳牛の高泌乳化に伴う繁殖性低下は 主に図 1に示すような因果関係によって生じていると推察される そこで 分娩間隔延長の主要な原因である酸化ストレス エ図 1. 高泌乳牛の繁殖性低下原因ネルギー不足 ルーメン発酵異常に対処するため 本課題に取り組むこととした 3. 研究内容図 2に本課題の細部構成を示す 濃厚飼料の多給に起因して生殖機能に悪影響を及ぼす要因として 高泌乳化に伴う酸化ストレスの増大とルーメン内で多量に発生するエンドトキシンに着目し それらへの有効性が示唆されるビタミン (A E) ミネラル (Se) 抗酸化物質 ( アスタキサンチン ) 抗菌性蛋白質 ( ラクトフェリン ) 等の繁殖性改善効果を明らかにする 抗酸化機能を持つビタミンやアスタキサンチンなどの物質は 体内の過酸化状態を改善できる可能性がある また ラクトフェリンは グラム陰性菌の死滅によって生じるエンドトキシンに対して強力な結合親和性と失活作用を有している 本課題では ルーメン内のエンドトキシン発生に及ぼす飼料給与の影響を解明するとともに 抗酸化機能性物質の給与により体内の過酸化状態を改善し 抗菌性蛋白質であるラクトフェリンの給与によりルーメン内エンドトキシンを失活させ 全身性の代謝機能改善による繁殖機能向上を目指している ( 中課題ア 123) ビタミンやセレンなどの抗酸化機能性物質は 消化管から吸収された後 生体内で発生する過酸化物の処理に利用される そこで 培養細胞等を活用し 抗酸化機能性物質の生殖器官への直接作用についても検証する ( 中課題ア 2) また ラクトフェリンは子宮乳や子宮組織でも見つかっており 子宮内環境の維持に関与している可能性も高ことから 生殖器官における内因性ラクトフェリンの作用についても解析を行い 酸化ストレスやエンドトキシンとの関連性を明らかにする ( 中課題ア 3) 高泌乳牛の繁殖性改善については 酪農現場における実用技術開発ニーズが高く 緊急性を要するこ 32 -

38 とから 早急に現場の要望に応えるため 上述の基礎的な研究と並行して アスタキサンチン ラクトフェリン等の機能性物質を牛用の飼料添加剤として安定的に加工 貯蔵する技術を確立する ( 中課題イ 1) また 乳牛の協定研究によって得られた既存の成果に基づき 随時上述の研究で得られた新規の知見を活用しつつ 100 頭規模の大規模精密飼養試験を行い 短期間にその効果を実証し 速やかに技術の実用化を実現する ( 中課題イ 2) 図 2. 課題構成 4. おわりに本課題の目標は ヒトの予防医療や健康維持の分野で注目されている機能性サプリメントを活用し 乳牛の新たな栄養管理システムを構築することにより 給与飼料の栄養吸収率を高め 泌乳能力を最大限に発揮させつつ繁殖性を改善することである この目標が達成されれば 繁殖性の改善による分娩間隔の短縮のみならず 飼料利用効率の向上 乳量の増加や乳質の改善 生産病発症率の低減などにも繋がると考えられる しかし 牛の繁殖性低下の原因は様々であり 栄養面の管理だけで乳牛の繁殖性低下に係わる問題の全てが解決するわけではない これまでの研究から それ以外の要因による部分も大きいことを実感している 特に 牛自体の変化の問題が大きく 繁殖性を考慮した育種手法の見直しが喫緊かつ最重要な課題ではないかと思われる また 今後益々影響が大きくなると考えられる暑熱対策も重要であり これらの研究の進展にも期待したい 33 -

39 雌を妊娠させやすい雄牛の評価と新規精液凍結法による 繁殖性向上技術の開発とその実証 ( 独 ) 農研機構畜産草地研究所 渡辺伸也 1. はじめに近年 牛の受胎率低下が欧米先進国を中心に年々進行しており わが国も例外ではない たとえば わが国の乳用牛の人工授精における初回受胎率は 平成元年の63% が平成 19 年では48% まで低下している ( 吉ざわら, 2009) さらに 人工授精現場における問題も検討されている ( 畜草研と畜技協, 2009) それを受け 現在 いくつかの牛受胎率低下を改善しようとする研究アプローチが取り組まれているが それらのほとんどが雌側からのものである しかし 有性生殖である牛においては 受胎率を低下させている要因を取り除くため 雌雄両側からの研究アプローチを進めていくことが効果的である そこで 畜産草地研究所では 雄牛に起因する低受胎要因を取り除くための新しい切り口の研究を計画し 実用技術開発事業へ応募したところ採択された 2. 研究目的近年 欧米先進国やわが国で進行している牛の低受胎問題を解決するため 雄牛に起因する低受胎要因を取り除く新しい切り口の技術開発とその実証試験を行い 雌側で開発されている関連技術を補強する 3. 研究期間 2011~ 2013 年度 ( 3 年間 ) 4. 研究内容及び実施体制 1 雌を妊娠させやすい雄牛を評価する技術の開発 ( 静岡大学農学部 ( 独 ) 農研機構畜産草地研究所 ) 特殊蛍光プローブを用いた精子核染色による新しい牛精子受精能評価法の開発 精子核 DNAのメチル化や精子ミトコンドリア DNAの変異と人工授精における受胎性の関連性の解明を実施する 2 新しい精液品質評価法と受胎性の良好な凍結精液を製造する技術の開発 ( ( 社 ) 家畜改良事業団家畜改良技術研究所 ) 精子の受精能を簡易かつ正確に評価できる総合的な精液品質評価法の構築 凍結精液生産に用いるストローの容積を現状の 0.5mlから 0.25mlへの半減などの凍結条件の改良を行う 3 新編牛人工授精マニュアルの作成 ( ( 社 ) 家畜改良事業団家畜改良技術研究所 ) 本研究で得られた知見に基づき 新しい牛人工授精のマニュアルを作成する 4 普及支援業務 ( ( 社 ) 家畜改良事業団家畜改良技術研究所 ) 研究の最終年度において それぞれの小課題で開発される技術体系を統合して 34 -

40 作製した新しい凍結精液が牛生産現場に適用できるかどうかを見極めるための授精試験を実施する 5. 達成目標精子の特性評価による雌を妊娠させやすい雄牛を早期 確実に選択する技術や新規精液品質評価法を開発すると同時に 現行の凍結精液を作製する手法を 0.25mlストローによる新しい手法に進化させる 6. 期待される効果人工受精時の受胎率が高い凍結精液作成技術と人工授精マニュアルによって 牛の繁殖性向上とそれに伴う農家経営の安定化の実現が期待される 引用文献 吉ざわ努 平子誠 下司雅也 高橋昌志 永井卓 (2009) 生産現場における受胎に係る要因について-アンケート調査結果から-. 日本胚移植学雑誌,31: ( 独 ) 農研機構畜産草地研究所 ( 社 ) 畜産技術協会 (2009) 平成 20 年度民間活力を活用した畜産技術開発事業 牛の人工授精における受胎率低下要因の検討 報告書. 35 -

41 36 -

42 参考資料

43 家畜改良増殖目標 平成 22 年 7 月 37 -

44 Ⅰ まえがき 食料は 人間の生命の維持に欠くことができないものであり かつ 健康で充実した生活の基礎として重要なものである 中でも畜産物はたんぱく質に富み 国民の健康増進に大きく貢献しており 将来にわたって 良質な畜産物が合理的な価格で安定的に供給されなければならない また 例えば 酪農及び肉用牛生産は 寒冷地や中山間地域等牧草以外の作物の栽培に適さない地域において 人間の食用とはならない粗飼料を有効に活用できることから 地域の基幹産業となっている等 食料供給だけでなく 自然環境の保全や良好な景観の形成 放牧による耕作放棄地の有効活用等 多面的な機能を有している 家畜の改良 増殖は そのような畜産業の振興の基礎となる取組であることから 家畜改良増殖法 ( 昭和 25 年法律第 209 号 ) 第 3 条の2に基づき 平成 3 2 年度の家畜の能力 体型及び頭数に関する目標を定める本目標を策定したものである 本目標については 計 13 回にわたって開催された家畜改良増殖目標畜種別研究会において 家畜改良の専門家を中心に 畜産経営 消費者問題 流通 販売等の知見も踏まえながら 技術的見地から検討を行った 検討に当たっては 畜産物が高く売れる 生産量が多い といった従来からの価値観だけでなく 特色ある家畜による多様な畜産経営 消費者ニーズに応えた畜産物の供給 長期的なひっ迫基調の穀物需給への適応 という主題を軸に各畜種の特性やそれをとりまく状況に応じた目標の策定を目指した 具体的には 特色ある家畜による多様な畜産経営については チーズ加工に適性の高い生乳を生産可能なブラウンスイス種等 特色ある乳用牛の需要に応じた頭数の確保 成長が早い等の遺伝的特長を有する多様な和牛育種資源の確保 農家が多様な豚を生産できるよう どこでどのような種豚が利用可能かを示す全国データベースの作成 安らぎや癒し効果の発揮等 馬 めん山羊の多様な利活用の推進等の要素を盛り込んだ また 消費者ニーズに応えた畜産物の供給については 例えば 霜降りが多い ( 同時に生産コストが高くなる ) 和牛を目指すこれまでの和牛改良だけでなく 平均的な脂肪交雑を維持しつつ かつ早く育つ和牛の作出等の新しい方向性を示すとともに 引き続き家畜の生産性向上を進め 畜産経営に係るコストの低減を目指すことにより 手頃な畜産物の供給を支援することとした さらに 中国 インド等新興国を中心とした人口増や食生活の改善 世界的なバイオ燃料需要の高まり等を背景として 今後はとうもろこし等飼料穀物の需給 38 -

45 がひっ迫基調で推移する見通しであることを踏まえ 飼料効率の改善による飼料の給与量の低減 肥育期間の短縮等を盛り込んだ 特に 乳用牛に関しては 泌乳持続性の向上により泌乳曲線を平準化させる牛への改良を目指すことで エネルギー源である飼料穀物の節約の可能性を示した 畜産業振興の基礎となる家畜の改良 増殖には 長い年月と多大な労力を必要とするが 優秀な種畜がもたらす便益の大きさについて 国及び行政施策の実施機関である独立行政法人家畜改良センターをはじめ 都道府県 関係畜産団体等改良増殖に携わる関係者一同が認識を共有し 本目標に沿って 適切な家畜改良増殖の推進 畜産の健全な発展に不断の努力を注いでいくことが重要である また 本目標を踏まえ それぞれの生産現場において 適切な種畜の選択がなされ 消費者ニーズに応えた多様な形態の畜産物供給が図られるよう 都道府県 市町村その他地域で技術普及を進める方々と協力し 地域色の豊かな取組の推進を図ることとする 39 -

46 Ⅱ 乳用牛 1 改良目標 (1) 改良事業の概要乳用牛の改良は 登録事業により収集された血縁情報を基礎に 昭和 44 年度から優良な種雄牛を選抜するための後代検定が 昭和 49 年度から雌牛の能力測定を行う牛群検定が 本格的に推進されてきた ( 注 ) 一方 統計遺伝学理論に基づいた遺伝的能力評価法の改善を進めながら 両検定事業 登録事業等から得られる泌乳形質 体型形質及び血縁のデータを用いた遺伝的能力評価を行っている さらに 平成 15 年度からは 乳用牛精液の国際競争が激化していること等を踏まえ 更なる改良の効率化を目指し 国際的な種雄牛の遺伝的能力評価に参加している また 平成 22 年度からは 多様な乳用種の改良にも取り組めるよう牛群検定の品種区分にブラウンスイス種等の追加を行っている 注 : 遺伝的能力評価親から子へ伝えられる平均的な遺伝的価値 ( 育種価 ) を推定すること (2) 改良の現状我が国の経産牛 1 頭当たりの乳量は年々増加しており 過去 20 年間で約 1,900 kg 増加した 乳量の伸びについては 後代検定済種雄牛の供用開始前の平成元年頃までは 飼養環境の改善による効果が大きかったが 現在では遺伝的な改良による効果の占める部分が大きい 搾乳牛 1 頭当たり乳量の増加により生乳 1 kg 当たりの生産コストは低減しており 改良が酪農経営全体に係る生産コストの低減に大きく寄与している (3) 能力に関する改良目標 1 乳量酪農経営の生産性向上のため 引き続き1 頭当たりの乳量の増加に着目した改良を推進する 2 泌乳持続性泌乳曲線を平準化させた泌乳持続性が高い乳用牛への改良を進めることにより 泌乳能力の向上を図りながら 同時に 飼料利用性の向上及び繁殖性 40 -

47 抗病性の改善を推進することができる これにより 飼養管理が比較的容易となる乳用牛の作出が可能となり 併せて生涯生産性の向上にも寄与することが期待されている このため 総合指数 (NTP) ( 注 ) に泌乳持続性の評価形質を組み入れることにより 泌乳持続性に着目した改良を推進する 注 : 総合指数 (Nippon Total Profit Index:NTP) 泌乳能力と体型をバランス良く改良することで 長期間着実に供用できる経済性の高い乳用牛を作出するための指数である 3 乳成分消費者ニーズに即した良質な生乳を手頃な価格で安定的に確保することが基本であることから 今後とも乳量を増加させつつ 乳成分については維持していくものとする 4 繁殖性生産性向上のため 初産月齢の早期化に努めるとともに 分娩間隔については 必要以上の空胎期間の延長を避けるものとする 5 飼料利用性自給飼料基盤に立脚した酪農経営を実現するため 泌乳持続性の改良と併せて 個別の牛の飼料給与や放牧等に関するデータ収集の充実強化を図り 飼料利用性の向上を推進する 乳用雌牛の能力に関する育種価目標数値 ( ホルスタイン種全国平均 ) 乳成分 乳 量 乳脂肪 無脂乳固形分 乳蛋白質 現在 +113kg/ 年 +2.6kg/ 年 +9.2kg/ 年 +2.9kg/ 年 目標 ( 平成 32 年度 ) 現在の改良量を引き続き維持 注 : 目標数値は 乳量及び乳成分量の遺伝的な能力向上を示す数値であり 平成 22 年度から平成 32 年度にかけての改良量の年当たり平均量である 41 -

48 乳用種雄牛の能力に関する育種価目標数値 ( ホルスタイン種全国平均 ) 乳成分 乳量 乳脂肪 無脂乳固形分 乳蛋白質 現在 +137kg/ 年 +3.1kg/ 年 +10.9kg/ 年 +3.3kg/ 年 目 標 ( 平成 32 年度 ) 現在の改良量を引き続き維持 注 : 目標数値は 選抜された検定済種雄牛の乳量及び乳成分量の遺伝的な能力 向上を示す数値であり 平成 22 年度から平成 32 年度にかけての改良量 の年当たり平均量である ( 参考 ) 乳用雌牛の能力に関する目標数値 ( ホルスタイン種全国平均 ) 乳量 乳脂肪 乳成分 無脂乳固形分 乳蛋白質 初産月齢 現在 8,000kg 4.0 % 8.8 % 3.2 % 26 ヶ月 目標 8,000kg ~ ( 平成 32 年度 ) 9,000kg 現在の乳成分率を引き続き維持 24 ヶ月 注 : 泌乳能力は 搾乳牛 1 頭当たり 305 日 2 回搾乳の場合のものである (4) 体型に関する改良目標飼養環境に適した体型の斉一化及び体各部の均衡を図ることとする 特に 長命連産性 ( 耐久性 ) との関係が明らかな乳器及び肢蹄の改良を重視することで 乳量と併せた生涯生産性の向上を図ることとする (5) その他家畜能力向上に資する取組 1 改良手法ア牛群検定 42 -

49 牛群検定は 原則 牛群検定員が 飼養する全乳用牛を対象として1 頭ごとに毎月 1 回以上 定期的に実施し その検定結果は酪農経営の改善に用いられるとともに 得られたデータについては乳用牛改良への有効利用を図る イ後代検定牛群検定に加入する検定娘牛を一定数確保するとともに 検定娘牛の適正配置の下 独立行政法人家畜改良センターが実施する遺伝的能力評価に基づく選抜の実施 国内遺伝資源の効率的かつ高度な活用による候補種雄牛の国産比率の向上等により 生産者及び関係団体等を中心に関係者が一体となった後代検定を推進する ウ新技術の活用 SNP( 一塩基多型 ) 遺伝子解析技術を活用した能力評価法 ( ゲノミック評価法 ) 等有用な新技術の実用化 DNA 解析技術等を用いた遺伝的不良形質の排除及び雌雄判別技術の活用等により 効率的な種畜の生産を推進する エ乳製品市場の国際化に対応した改良体制国際競争力の強化及び酪農の安定的な発展に資するため 牛群検定のさらなる普及拡大や血縁及び体型データ収集の充実強化 ゲノミック評価法の実用化とその活用等により 乳用牛改良体制の強化を図るものとする さらに 改良を効率的に進めるため 総合指数 (NTP) を用いて総合的に遺伝的能力が高い種雄牛に限定した交配に努めるものとする なお 総合指数 (NTP) については 従来の泌乳や体型形質にデータの正確度が確保された管理形質等も組み込むほか 生産者ニーズに応えた改善を適宜行うものとする オ多様な乳用種の改良ジャージー種 ブラウンスイス種等については 様々な地域に多様な態様で飼養されていることから 各地域において 品種の特性 ( 乳成分 粗飼料利用性等 ) を活かした改良を進めることにより 地域の実情に即した能力の向上に努めるものとする 2 飼養管理乳用牛の遺伝的能力を十分に発揮させ 生産性を向上するためには 個体ごとの能力や乳質 繁殖成績等を適切に把握する必要があることから牛群検定情報の活用を図るとともに 暑熱対策 良質な飼料や新鮮な水の給与等をはじめとした家畜の快適性に配慮した飼養管理 ( アニマルウェルフェア ) を推進するものとする 43 -

50 3 衛生対策の推進 HACCP 方式の導入等の衛生対策を推進し 安全で質の高い生乳の供給により 消費者の信頼確保を図るとともに 乳房炎の減少等による生産性の向上も併せて図るものとする 2 増殖目標我が国の乳用牛改良基盤を維持するとともに 牛乳 乳製品の安定的な供給を確保し 牛乳 乳製品の需要動向に即した生産を行うことを旨として頭数の目標を以下のとおり設定する 総頭数 132 万頭 ( 現在 150 万頭 ) うち 2 歳以上の雌牛頭数 95 万頭 ( 現在 106 万頭 ) また ジャージー種 ブラウンスイス種等の乳用牛においては 多様化する消費者ニーズに応え 特色ある乳製品の需要に応じた生産が安定的に行われるよう 十分な頭数が確保されるよう努めるものとする なお 牛群検定情報を活用した乳用雌牛の選択的利用の推進と凍結精液等の雌雄判別技術の活用を図るとともに 肉専用種との交配状況に関する情報の共有等を通じ過度な交雑種生産を抑制することにより 優良後継牛の効率的な生産及びその確保を図ることとする 44 -

51 ( 参考 ) 乳用牛をめぐる情勢 1 乳用牛をめぐる情勢我が国の酪農は 土地利用型農業部門の一つとして 地域社会の維持 国土資源の有効利用等多様な役割を果たしながら着実に発展してきた この発展過程において 生産については 飼養戸数が減少する中で 多頭化 専業化が進み 1 戸当たりの飼養頭数を増加させるとともに乳用牛改良により1 頭当たり乳量を増加させることで生乳生産の基盤を維持してきた また 近年 一様な規模拡大を図るのではなく 1 法人化 協業化による規模拡大 2 放牧の活用 3 乳製品の加工 販売の取込み等多様な酪農経営形態が出現している このような多様な酪農経営形態の出現を可能とした背景には ミルキングパーラー 搾乳ロボット等の導入 フリーストール及びフリーバーンでの放し飼い方式の普及 地域の自然条件を生かした放牧方式の導入 牛の生理に適した多頭飼育を可能とするTMR( 完全混合飼料 ) 給与方式の増加等 酪農経営における飼養管理技術の進展が挙げられる 現在 我が国酪農は 家畜排せつ物の適正な管理 利用に努めつつ 土 草 牛 のバランスを図りながら 持続的に発展する方向を目指している 2 これまでの改良の取組と課題 (1) 改良事業の変遷乳用牛の改良は 乳用牛の能力向上を目的として 登録事業により収集された血縁情報を基礎に 雌牛の能力測定を行う牛群検定と優良な種雄牛を選抜するための後代検定により推進されてきた 牛群検定は 昭和 49 年度に開始され その成績は 乳用雌牛の選択的利用や牛群の飼養管理に活用されてきた また 後代検定は 昭和 44 年度に候補種雄牛の娘牛群を一カ所に集めて検定を行う いわゆるステーション検定として開始された 昭和 59 年度には 検定の対象を民間が所有する種雄牛まで拡大するとともに 検定の場としてステーションに加えて全国の牛群検定農家を活用する いわゆるステーション フィールド併用方式で実施された ついで平成 2 年度には 牛群検定農家だけを後代検定の場とする完全フィールド方式に移行した このような検定手法の改善を行う一方 統計遺伝学理論に基づいた遺伝的能力評価法の改善を進め 両検定事業 登録事業及び体型審査から提供される泌乳形質 体型形質及び血縁のデータを用いた遺伝的能力評価を行っている さらに WTO 体制の下 乳用牛精液についても国際競争が激化しているこ 45 -

52 と等を踏まえ さらなる改良の効率化を目指し 平成 15 年度から インターブル ( 注 ) が行う国際的な種雄牛の遺伝的能力評価に参加している 平成 22 年度からは 多様な乳用種の改良にも取り組めるよう牛群検定の品種区分にブラウンスイス種等の追加を行っている 注 : インターブル (INTERBULL:International Bull Evaluation Service 遺伝的素材としての凍結精液の国際間流通の拡大に伴い 1983( 昭和 58) 年に 牛の遺伝的能力評価の促進と標準化等を行うことを目的として設立された国際機関 1994( 平成 6) 年 8 月から 乳用種雄牛の国際能力評価を行っている (2) 成果我が国での牛群検定は 昭和 49 年度に約 5.7 千戸 約 80 千頭で開始された 平成 20 年度には約 10.1 千戸 約 千頭に拡大しており 戸数で約 45.5% 頭数で約 57.8% の実施率となっている また 後代検定については 検定の対象を民間が所有する種雄牛まで拡大した昭和 59 年度以降 平成 20 年度までに4,075 頭が検定に参加し うち697 頭が選抜 供用された また 検定の精度の指標となる候補種雄牛 1 頭当たり検定娘牛数は 着実に増加し 現在では52 頭に達している このような改良の結果に加え 飼養管理の改善もあって 我が国の経産牛 1 頭当たりの乳量は年々増加しており 過去 20 年間で約 1,900 kg 増加した すなわち 後代検定済種雄牛の供用により 牛群検定実施牛の年当たり遺伝的能力の改良量は 急速に向上しており このような能力向上の成果は 酪農先進諸外国と比肩する水準となっている また 飼料費 乳牛償却費等の各種要素の変動があるものの 搾乳牛 1 頭当たり乳量の増加により生乳 1 kg 当たりの生産コストは低減しており 改良が酪農経営全体に係る生産コストの低減に大きく寄与している 牛群検定実施牛と非実施牛を比較しても 実施牛の乳量が非実施牛の乳量を大きく上回っており 検定の実施 非実施が生産者の所得の格差につながっているものと考えられる このように乳用牛改良事業の成果は 遺伝的改良 経営効率の改善 生乳生産の効率化及びそれらに伴う生産コストの低減や酪農の体質強化 ひいては国全体としての生乳生産量の確保等多岐にわたり まさに我が国酪農の基盤を支えるものとなっている 46 -

53 Ⅲ 肉用牛 1 改良目標 (1) 改良事業の概要肉用牛の改良は 明治以後外国種と在来牛の交雑によって改良が進められ 役肉用牛として利用されていたが 昭和 30 年代後半以降 農作業の機械化等により役用としての役割が薄れ 農家による飼養目的が役肉用牛としての利用から肉用牛の生産へ転換された それに伴い 都道府県単位で肉用牛の産肉能力検定を実施し 優良種雄牛を選抜 供用する体制が確立されてきた また 昭和 55 年度から全国ベースでの産肉能力検定の実施により 全国的に利用可能な種雄牛の選抜 供用が始まり 平成 11 年度からは県域を越えた広域的な検定 能力評価体制による肉用牛改良が開始された 近年は 統計遺伝学理論を用いた遺伝的能力評価が導入され 種畜の選抜 交配の資料として広く利用されており 改良の中心となる基礎雌牛の整備においても積極的に利用されつつある (2) 改良の現状和牛の改良は 体型や肉量 ( 増体 ) を中心に進められてきたが 平成 3 年度の牛肉輸入自由化後は 輸入牛肉との差別化のため 肉質の向上や 斉一化を目指す改良が進められ 一定のレベルまで到達した また 遺伝的能力評価の導入により 特に脂肪交雑面での改良が顕著に進んでいる 黒毛和種では 牛肉輸入自由化後の12 年間では B.M.S.No. ( 注 ) が +1.9 枝肉重量が kg 向上している 今後 飼料穀物需給がひっ迫基調で推移し 飼料穀物価格が平成 18 年秋以降の高騰時以前の水準まで低下するとは見込み難いことから 生産コストの低減のために 種畜の資質について 現状の脂肪交雑を維持しつつ 飼料利用性 早熟性 増体能力や繁殖性の改善を進めることとする また 国内での多様な育種資源確保のため 全国的 長期的な視点での遺伝的多様性に配慮した種畜の選抜を行っていくこととする 注 :B.M.S. No.(Beef Marbling Standard) 牛肉の脂肪交雑の程度を示すもの 12 段階に分かれ 数字が大きい程 サシ ( 筋束や筋繊維間に蓄積された斑点状の脂肪組織 ) が細かくて多いとされる 47 -

54 (3) 能力に関する改良目標多様な消費者ニーズに応えるため 今後も生産コストの低減を図りつつ 国産牛肉の安定的供給を図っていく必要がある このため 肉専用種 乳用種 交雑種の品種特性を活かした改良目標を定めることとする 1 産肉能力飼料消費量を抑制する観点から 早期に十分な体重に達し 現状と同程度の脂肪交雑が入るといった資質をもつ種畜の作出に努めるものとする また 脂肪酸組成や肉の締まり きめ等 肉のおいしさ評価に関する科学的知見の蓄積に努め 将来的に消費者の視点に立った評価として利用可能な おいしさ に関する成分含有量等の指標化に向けた検討を行う 2 飼料利用性今後 飼料穀物需給がひっ迫基調で推移し 飼料穀物価格が平成 18 年秋以降の高騰以前の水準まで低下するとは見込み難いことから 生産コストの ( 注 1) 低減のために日齢枝肉重量等の遺伝的能力の向上を図り 飼料利用性の改善に努めるものとする 3 繁殖性初産月齢の早期化 受胎率向上及び分娩間隔の短縮に努めるため 繁殖雌牛の持つ繁殖能力を最大限活かし 1 年 1 産を確実に実施するための繁殖管理を徹底するとともに 繁殖性に優れ 供用年数が長く 生涯生産性の高い繁殖雌牛を選抜 利用する必要がある ( 注 2) また 子牛生産指数に着目した改良を早期に開始し 種畜の選抜に利用するものとする 注 1: 日齢枝肉重量 増体性に係る指標であり 次の式により算出される 日齢枝肉重量 = 肥育牛の枝肉重量と畜時日齢 注 2: 子牛生産指数 4 歳を超えて初めて迎えた分娩までに出産した頭数を 4 歳時点に換算 した値 48 -

55 種雄牛の能力に関する育種価向上値目標数値 ( 全国平均 ) 品種日齢枝肉重量脂肪交雑 現 在 g B.M.S. No. 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 目標 ( 平成 32 年度 ) 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 注 1: 育種価向上値は親牛がその子に及ぼす遺伝的能力向上効果のことであり 基準年 =0として算出されるもの 平成 32 年度の目標数値は 同年に評価される種雄牛のうち直近年度に生産された種雄牛の数値 ( 育種価 ) と基準年 ( 平成 13 年度 ) に生まれた種雄牛の数値 ( 育種価 ) の差である 注 2: 現在の欄の ( ) 内は 枝肉情報として収集した値の平均である 繁殖能力に関する目標数値 ( 全国平均 ) 初産月齢 分娩間隔 ( 日数 ) ヶ月 ヶ月 現 在 日 ) 目標 ( 平成 32 年度 ) 日 ) (4) 体型に関する改良目標 各登録団体が定める発育標準に応じた発育を示すとともに 繁殖雌牛にあっ 49 -

56 ては 品種や系統の特性に応じ 適度な体積であるものとし 過大や過肥は避 けるものとする 肥育もと牛にあっては 体幅体深及び肋張りに富み 背線が 強く肢蹄が強健なものとする ( 参考 ) 体型に関する目標数値 ( 全国平均 ) 品種体高胸囲かん幅体重備考 現在 目標 ( 平成 32 年度 ) cm cm cm kg 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 成熟時 注 1: 体重は適度な栄養状態にある牛のものである ただし 分娩前後を除く 注 2: 高知系の褐毛和種及び無角和種においては黒毛和種に準ずる (5) その他家畜能力向上に資する取組 1 改良手法ア的確な遺伝的能力評価に基づき選抜された種雄牛及び基礎雌牛による計画交配 広域的な後代検定による遺伝的能力評価に基づく優れた種雄牛の作出とその有効利用に努めるものとする イ産子の枝肉情報と血縁情報に基づく産肉能力等に係る遺伝的能力評価による改良用基礎雌牛群の整備 優良雌牛の増殖等を推進し 雌側からの改良の促進に努めるものとする ( 注ウ飼料利用性及び肉のおいしさに係る新たな改良形質 ( 余剰飼料摂取量 1) ( 注 2) 脂肪酸組成等 ) の的確性や選抜基準への利用について検証を行うものとする 注 1: 余剰飼料摂取量牛が摂取した飼料のうち 維持と増体に用いられた以外の飼料の量 注 2: 脂肪酸組成牛肉の脂肪の質を示す指標の一つ 50 -

57 エ産肉能力 繁殖性等の有用形質に関するSNP( 一塩基多型 ) を活用した遺伝子の同定や機能の解析に取り組み 効率的な種畜選抜の実用化に向けた検証等有用な新技術の実用化 DNA 解析技術等を用いた遺伝的不良形質の排除及び優良種畜選抜への活用を推進するものとする また 国内で特徴ある系統を維持改良し 遺伝資源の多様性を確保する必要があることから 多様性の分析に当たっては これまでの血統情報とともにSNPの活用と関連性について検討する 2 飼養管理ア繁殖雌牛については1 年 1 産を実現するため 妊娠ステージに応じた適正な栄養管理 適度な運動の実施 確実な発情発見 適期授精を行うとともに 生産された子牛の事故率低下に努めるものとする また 生産コストの低減や飼料自給率向上を図るため 放牧の活用を進めるとともに 耕畜連携等による粗飼料 飼料用米の利用 地域の未利用資源の利用を推進する 特に粗飼料利用性 放牧特性等に優れた褐毛和種 日本短角種については その品種特性を活かしつつ 放牧の活用等に積極的な取組を図るものとする イ肥育牛については 品質特性に応じた肉質の牛肉をより低コストで生産するため できるだけ早期から個体の能力に応じた効率的な肥育に努め 出荷目標体重に達した際に速やかに出荷するよう努めるものとする 特に 乳用種及び交雑種については 効率的な牛肉生産のために増体性を向上させる飼養管理を行うものとする 51 -

58 ( 参考 ) 去勢肥育もと牛の能力に関する目標数値 ( 全国平均 ) 肥育肥育枝肉 1 日肉質 品種開始終了平均 体重体重重量増体量等級 現 在 kg kg kg kg 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 乳用種 交雑種 目 標 ( 平成 32 年度 ) 黒毛和種 褐毛和種 日本短角種 乳用種 交雑種 注 1: 目標数値は 肥育期間短縮を目指したものであり 一般的な肥育方法で実施した終了月齢として 黒毛和種 24から26ヶ月まで 褐毛和種 2 3ヶ月 日本短角種 23ヶ月 乳用種 20ヶ月 交雑種 23ヶ月程度とした 注 2: 肉質等級 は 肉質の維持又は向上を目指しつつ 効率的な肥育を図るための目安である 注 3: 交雑種とは 異品種間の交配により生産されたもので 多くはホルスタイン種の雌牛に肉専用種 ( 黒毛和種 ) の種雄牛を交配することにより生産されている ウ遺伝的能力評価により選抜された種畜から生産された優良な肉用子牛の遺伝的能力を十分に発揮させ 生産性を向上するためには 暑熱対策 良質な飼料や水の給与等による快適性に配慮した飼養管理 ( アニマルウェルフェア ) を推進するものとする あわせて 食の安全と消費者の信頼確保のため HACCP 方式の導入等衛生対策の推進を図るものとする 52 -

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