会報第 24 号目次 会長あいさつ 1 各表彰状受賞 第 62 回九州地区獣医師大会 3 獣医師の誓い 95 年宣言 6 日本獣医師会 獣医師会活動指針 8 特別講演 ウィルス中和抗体価と狂犬病ワクチン接種回数の関連について 日本における犬の前向き調査 大分大学医学部微生物学講座渡辺一平 9 業績

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2 会報第 24 号目次 会長あいさつ 1 各表彰状受賞 第 62 回九州地区獣医師大会 3 獣医師の誓い 95 年宣言 6 日本獣医師会 獣医師会活動指針 8 特別講演 ウィルス中和抗体価と狂犬病ワクチン接種回数の関連について 日本における犬の前向き調査 大分大学医学部微生物学講座渡辺一平 9 業績 平成 25 年度獣医学術九州地区学会学会長賞受賞 ( 産業動物獣医学会 ) ウシ MHC 遺伝子マーカーを指標とした牛白血病発症抵抗性遺伝子保有黒毛和種種雄牛の造成農林水産研究指導センター畜産研究部藤田達男 17 平成 25 年度獣医学術九州地区学会学会長賞 フロアー賞受賞 ( 小動物獣医学会 ) 犬の頚部気管虚脱 Grade4 33 例に対する外科的矯正術の治療成績末松どうぶつ病院末松正弘 26 平成 25 年度獣医学術九州地区学会学会長賞受賞 ( 獣医公衆衛生学会 ) 豚の疣贅性心内膜炎由来 Streptococcus suis の農場別比較解析大分県食肉衛生検査所甲斐雅裕 29 平成 25 年度獣医学術九州地区学会九州地区獣医師会連合会会長賞受賞 ( 産業動物獣医学会 ) マイクロバイオスピンカラムを用いた簡易な IgM 検出法とその応用大分家畜保健衛生所長岡健朗 32 平成 25 年度獣医学術九州地区学会九州地区獣医師会連合会会長賞受賞 ( 産業動物獣医学会 ) 黒毛和種に発生したキョウチクトウ中毒とオレアンドリンの動態大分家畜保健衛生所河野泰三 36 産業動物論文 子牛の毛包虫症に関する調査報告 ゆふいん動物病院立川文雄 42 豚流行性下痢ウイルスの関与を疑う事例に関する一考察大分家畜保健衛生所壁村光恵 52 黒毛和種における牛白血病の経乳感染防除に向けた完全人工哺育の有効性の検討農林水産研究指導センター畜産研究部安達聡 54

3 黄色ブドウ球菌による乳房炎の効率的な検査方法の検討 豊後大野家畜保健衛生所山田倫史 57 小動物論文 全身性の免疫介在性疾患を疑った犬の 1 例 隼人どうぶつ病院穴井友加里 60 突然の大量出血を呈した兎の 1 例 みなはるペットクリニック藤野嘉雄 64 インターフェロン γ により分子標的薬の効果が増強された犬の皮膚肥満細胞腫 1 例 隼人どうぶつ病院添田久仁子 67 内視鏡下胃内異物摘出を行った幼齢猫の 2 例 末松どうぶつ病院山城識子 72 犬の緑内障における眼軸長測定の有用性の検討 大分小動物病院吉野信秀 75 難治性の肛門嚢炎に対して辛島式イオン泳動治療装置 による治療が奏功した犬 2 例 隼人どうぶつ病院添田健作 78 犬のレッグ カルベ ペルテス病の内科治療中に大腿骨頸部骨折を発症し ペルテス病および頸部骨折を同時に手術により完治させた1 治験例動物整形外科病院樋口飛鳥 82 犬の尺骨に発生した骨肉腫に対して同種骨移植および抗がん剤を用いた1 治験例わたなべ動物病院渡邉一仁 85 公衆衛生論文 1 生産者から搬入された牛の糞便からの志賀毒素産生性大腸菌検出状況大分県食肉衛生検査所西本清仁 89 天然ヒラメに寄生した Kudoa septempunctata による食中毒事例大分市保健所椎原良子 91 東部保健所に寄せられた食品に関する苦情 2 事例 東部保健所中瀬真紀 95 獣医師会 ボランティアと協働した犬 猫の譲渡推進体制食品安全 衛生課小林貴廣 99 Arcobacter butzleri のヒト下痢症検体からの検出大分県衛生環境研究センター成松浩志 102

4 と畜場の口蹄疫危機管理対策 ~ 口蹄疫の侵入をどう防ぐか ~ 大分県食肉衛生検査所江川英明 105 千村ギャラリー 109 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会について 117 資料及びトピックス 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会を終えて 121 第 62 回九州地区獣医師大会のオープニングを飾った市民公開講座 132 動物愛護支援事業の進捗状況 134 平成 25 年度大分県動物愛護フェスティバルについて 139 大分市高島におけるウミネコの標識調査報告及び今後の保護に向けて ( 第 9 報 ) 141 動物愛護関係先進施設視察報告 146 支部活動報告 日田支部 149 部会だより 産業動物部会だより 151 小動物部会だより 153 家畜衛生部会だより 165 公衆衛生部会だより 168 会員の声 エッセー ロードバイクにハマってしまいました!! 大分家畜保健衛生所長岡健朗 171 世界狂犬病デー 街頭啓発キャンペーンを行いました! 大分市保健所荒川和洋 176 僕の趣味永野どうぶつ病院永野克洋 179 病院紹介 庄の原どうぶつ愛護病院 181 かく動物病院 183 なた海岸動物病院 185 新入会員紹介 清田 友 ( 玖珠家畜保健衛生所 ) 187 江川 和 孝 ( 大分県食肉衛生検査所 ) 187 藤井 章 子 ( 北部保健所 ) 187 中出 圭 祐 ( 大分家畜保健衛生所 ) 187 西田 清 実 ( 玖珠家畜保健衛生所 ) 188 猪原 明 子 ( 大分県畜産振興課 ) 188 伊藤 由布子 ( 大分県農業共済組合連合会 ) 188 後藤 昌 司 ( 大分支部 ) 188

5 お知らせ 平成 25 年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会 ( 千葉市 ) について 189 自動車共済 ( 西日本自動車 ) 共済協同組合について 193 会務通信 事務局日誌 195 広告 大分県獣医師会館周辺見取図 表紙写真 豊後大野市 ( 原尻の滝 出會橋 轟橋 ) 姫島 ( 観音崎 ) 裏表紙 姫島 観音崎

6 会長あいさつ

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8 ご挨拶 公益社団法人大分県獣医師会 会長麻生 哲 明けましておめでとうございます 会員の皆様方には ご家族お揃いで清々しい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます 日頃から本会の運営や事業推進にご理解とご協力をいただき厚くお礼申し上げます また 昨年は 第 62 回九州地区獣医師大会並びに獣医学術九州地区学会を新装されたホルトホール大分等で900 名を超える参加者を得て 大成功裡に開催できましたのも 会員の皆様のご支援 ご協力の賜と心より感謝申し上げます さて 最近の社会情勢は 政権の交代等により政治 経済情勢は大きく変化しようとしています 2 年前の東日本大震災とそれに継発した原発事故により未だ不便な避難生活をされている被災者の方々も多く 動物の救護活動も長期化を余儀なくされています 一方 昨年国内では重要な家畜伝染病の発生はなかったものの 口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの侵入危機が増す中 台湾で52 年ぶりに狂犬病が発生し 25 年 11 月末日までにイタチアナグマ250 頭 ジャコウネズミ1 頭 犬 1 頭の計 252 頭に感染が確認されています 感染動物から人への咬傷事故も起こるなど その対応に追われていると聞いております 日本では昭和 31 年以来発生していませんが グローバルな時代を迎え益々侵入リスクが高まってきております 11 月に韓国では豚コレラの発生報告もありました このような中 昨年 日本獣医師会会長に就任された藏内勇夫前福岡県獣医師会長は 1 獣医療を提供する体制の整備 2 獣医学教育の改善 充実 3 勤務獣医師の処遇改善等を喫緊の課題とし 中でも従来から懸案となっていた狂犬病予防事業の適正化について スピード感を持った対応と 日本獣医師会と地方獣医師会が連携し一丸となって対応することが必要と強調されています 日本医師会と日本獣医師会で 学術協力の推進に関する協定書 が締結されたところでもあります 私たち獣医師は果たすべき社会的役割を考えながら 第 62 回九州地区獣医師大会のテーマであった 九州地区から実現しよう! 人と動物が共生できる豊かで健全な社会を を肝に命じ 動物の健康の確保や動物福祉の増進を基本に 越境性感染症等に対する防 1

9 疫体制の強化を図り 安全な畜産物の提供に努め 動物愛護精神の高揚と普及を図り かつ 獣医学術と人間性の研鑚に励まなければなりません 今年の干支は60 年に一度の 甲午 ( きのえうま ) です 甲午( こうご ) の年は 新しい時代に入りガラリと変わる重要な年と言われており 将来を決める節目の年になりそうです 本会も会員の皆様方のご意見 ご指導を仰ぎながら益々の発展を目指します 今後とも ご支援 ご協力をお願い致しますとともに 会員各位のご健康とご家族のご多幸を祈念申し上げ 新年のご挨拶と致します 2

10 各表彰状受賞

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12 第62回 九州地区獣医師大会 表 彰 状 受 賞 日本獣医師会会長褒章 浅 井 省 三 末 3 次 由 和

13 第62回 九州地区獣医師大会 表 彰 状 受 賞 九州地区獣医師会連合会 会長表彰功労者 飯 田 昌 昭 小 4 野 讓

14 第62回 九州地区獣医師大会 表 彰 状 受 賞 平成 25 年度獣医学術九州地区学会 学会会長表彰 木 原 滋 陽 久 5 木 義 一

15 人類は 地球の環境を保全し 他の生物と調和を図る責任をもっている 特に獣医師は 動物の健康に責任を有するとともに 人の健康についても密接に関わる役割を担っており 人と動物が共存できる環境を築く立場にある 獣医師は また 人々がうるおいのある豊かな生活を しむことができるよう 広範多岐にわたる専門領域において 社会の要請に積極的に応えていく必要がある 獣医師は このような重大な社会的使命を果たすことを りとし 自らの生活をも心豊かにすることができるよう 高い見識と厳正な態度で職務を 行しなければならない 以上の理念のもとに 私たち獣医師は 次のことを誓う 6

16 獣医師の誓い 95年宣言 について 説明 この 獣医師の誓い は 世代や獣医師の職域を越えて しかも実行性のあるものとして すべ ての獣医師に受け入れられるよう 獣医師倫理の総論的 最大公約数的な事項を集約したもので 基本理念としての前文と5項目からなる各論で構成されております この誓いは 新しいセオリーや意見を述べるものではありませんし また 高邁な精神訓話をし ようとするものでもありません 当たり前のことを羅列しただけです この当たり前のことを折に 触れて改めて考え そして自分自身の認識として 普段の行動の拠りどころとしていただきたいと 願うものです また 95年宣言 という副題は この誓いを獣医師自らが内に向かって誓うということだけ でなく 外に向かって 社会に対して宣言することにより 獣医師の責任を一層明確にすると同時 に これを尊守しなければならないという気持ちが喚起されることを期待して特に付したものであ ることを強調しておきます 前文について 獣医師とは何か 獣医師の役割は そして獣医師のありようについての議論の集約です また 獣医師としての誇りをその職務の遂行と表裏をなすものとして位置付け さらにプロフェッショナ ルとして自らを厳しく律するよう求めるとともに 獣医師自身の豊かさの追求にも触れております 各論について 前文の理解と前提にたって より具体的な目標として 次の5項目にわたる事項をとりあげまし た 獣医師の任務 職域が広範多岐にわたることから 盛るべき内容は多く その集約 整理 表 現などに苦労いたしましたが より明快な主張となるよう工夫しました 1は 獣医師の幅広い任務を象徴的にとりあげたもので 動物の生命に直接関わるだけでなく 公衆衛生分野あるいはバイオメディカル分野などにおいて人の健康にも密接に関わる専門職として の社会的な使命をこのような形で常に認識するよう 獣医師の自覚を促すものです 2は 近年 重要となっている人と動物との関係 ヒューマン アニマル ボンドをより良く築 くことについて 獣医師が両者に関わる専門職としてその職責を果たしていくことを通じて 平和 な社会の発展と環境の保全に寄与するよう求めるものです 3は 獣医師が社会性 広い市民性を身につける必要を述べたもので 獣医師に限らず職業的科 学者 専門家に往々にして見られる内面的な知性の狭隘性 社会性の欠如に対し より幅広く教養 を身につけるなど 専門分野以外のことに関する自己研鑽についても一層の努力を呼びかけるもの です 4は 科学者としての獣医師が 当然のこととして 日進月歩の獣医学術の研鑽に常に努め あ わせて医学や生物学などの自然科学さらには社会科学を含む関連科学との交流を積極的に推進する ことにより 獣医学術のみならず 獣医学術と密接に関連する科学の発展についても貢献するよう 願うものです 5は 独善的な傾向がみられがちな専門家 獣医師に対して 全体的なまとまりを強く呼びかけ るとともに 国際的にも獣医師相互が広く交流し 様々な関係情報の交換 伝達を積極的に図って いくことによって 日本だけでなく 世界の獣医界が発展するよう期待するものです いのちみつめる いのち育む 日本獣医師会 社団法人 7

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18 特別講演

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20 ウイルス中和抗体価と狂犬病ワクチン 接種回数の関連について 日本における犬の前向き調査 大分大学医学部微生物学講座 渡 要 辺 一 平 旨 日本では過去 60 年間にわたり毎年大規模な犬の狂犬病予防接種が行われてきた 現時点における犬の狂 犬病ウイルス中和抗体 VNA 獲得状況と現在の予防接種方法の合理性を評価するために 我々は迅速蛍 光フォーカス抑制試験を用いて動物病院を受診した 756 頭の犬の中和抗体価を調査した 1回だけワクチ ン接種した犬の 51.1 が感染防御できる中和抗体価 0.5 IU/ml を獲得し その中和抗体価の幾何平 均は 0.61 IU/ml であった 一方 2回以上予防接種した犬の 97.8 が感染防御できる中和抗体価を獲得し その中和抗体価の幾何平均は 7.86 IU/ml であった さらに 2回以上予防接種した犬の が 最後の予防接種から2年間 感染防御できる中和抗体価を保持していた 2回以上予防接種した犬の中和抗 体価が最後の予防接種から2年後に減少する傾向はあるが その 78.9 は依然として感染防御できる量の 中和抗体を保有していた このように 現状の狂犬病ワクチンの予防接種スケジュールにより十分な感染防 御が確保されているが 狂犬病の予防接種した犬の数をさらに増加させるには登録システムと予防接種スケ ジュールに改善が必要であろう はじめに 狂犬病は 狂犬病ウイルスにより急性の致死的脳炎を起こす 世界でおよそ 55,000 人の人が毎年狂犬 病で死亡している その 99 が犬から感染している 多くの国で狂犬病は依然として流行しているが 日 本を含むいくつかの国では根絶されている 1950 年に日本政府は狂犬病予防法を制定し 犬の登録 義務 的な犬の予防接種 野犬対策 迷子犬対策 海外から輸入される犬の検疫やその他を実施している 結果と して 1954 年から日本では国内感染した人の狂犬病の報告は無く 国内感染した犬や猫の狂犬病発生もそ れぞれ 1956 年と 1957 年から報告は無い 国際化により狂犬病が流行している発展途上の国々から人や動物の交流が増加し 日本に狂犬病が侵入す る可能性が増加している 自然災害もその危険性を増加させている 例えば 1923 年の関東大震災後の数 年にわたって狂犬病発生数は日本で増加し これは多数の迷子犬が発生したことが原因であった 東日本大 震災として知られている 2011 年3月 11 日の巨大地震と巨大津波の後にもやはり迷子犬が増加した もし 狂犬病にかかった動物が偶然に持ち込まれたら 狂犬病の予防接種をしていない多くの迷子犬の存在するこ とが原因で 狂犬病が急速に拡がるであろう これにより 日本の現在の狂犬病がいない状況が脅かされる 狂犬病に対する犬の大規模な予防接種により都市型狂犬病の自然循環を断ち切ることは 非常に合理的な 政策である 世界保健機関 WHO によると 少なくとも 70 の犬に狂犬病の予防接種を行えば狂犬病 地域流行の危険度を最小限にできる しかしながら 日本で感染防御できる中和抗体価を保有している犬の 頭数は 現在不明である さらに 現在毎年行っている狂犬病予防接種事業が充分であるかどうかを明らか にしようとした研究は ほとんど無い そこで 我々は 予防接種の回数と予防接種間隔が日本のペット犬 の血清中和抗体価に与える影響を評価するため 前向きで 病院を起点とした研究を行った 材料と方法 血清の収集と保存 総計 756 件の犬血清を 2010 年5月から 2011 年 11 月にかけて 30 カ所の動物病 9

21 院 ( 大分県 28 ヶ所 東京都 2 ヶ所 ) から集めた 生年月日 狂犬病予防接種回数 最後の予防接種からの日数 採血日の情報も集めた 756 件の血清の内訳は 649 件に予防接種歴があり 107 件が予防接種を受けていなかった 犬の平均年齢は 6.2 歳 (5 日 ~ 19 歳 ) であった 予防接種歴のある 249 頭はオスであり 280 頭はメスであった そして 120 頭は性別不明であった 予防接種歴のない犬 (0 12 カ月 ) は全て性別不明であった これらの母犬が狂犬病に対し感染防御できる中和抗体価を保有していたかは確認することはできなかったが 狂犬病の予防接種を複数回受けた公的な証明があるため 大部分の母犬が感染防御できる中和抗体価を持っていたと推定された 犬の予防接種は 6 種の商業的に供給される動物用狂犬病ワクチンが使用されており 全て RC-HL 株である 血液は 予防接種やその他の理由で動物病院を訪れた犬から採取した これらの犬は 免疫系に関連した疾病にはかかっていない 検査法の詳しい説明をした後に犬の飼い主から口頭で同意を得た 通常のガラス試験管に全血 10ml を採取した 室温に 15 分間置いた後 2,000g 4 10 分間の遠心で 血清を分離した 血清は- 20 で保管し 大分大学の我々の研究室に送られた 冷凍した検体を溶かし 中和抗体を測定する前に 分間加熱して 血清中の補体を不活化した この研究は大分大学の倫理委員会の承認 (M010003) を得て行った ( 中和抗体価の測定 ) 狂犬病中和抗体価は迅速蛍光フォーカス抑制試験 (RFFIT) で行った 最初に 血清を階段希釈したものと狂犬病ウイルス標準株 (CVS-11) を 96 穴マイクロプレートで 37 で 90 分間反応させた それぞれの穴に BHK-21 細胞を加え 37 で 18 時間反応させた 最後に 培養液を除き 細胞を 90% アセトンで固定し 抗狂犬病ウイルス N モノクローナル抗体 ( 富士レビオ ) を結合した FITC( 蛍光色素 ) で 分間反応させた そして 蛍光顕微鏡で観察した 中和抗体価は WHO の標準血清と比較して算出した WHO によると 0.5 IU/ml 以上の中和抗体価があれば 狂犬病を十分に予防できる この値は 犬についても国際獣疫事務局により同様であると勧告されている ( 統計分析 ) マン ホイットニーの U 検定を用いて 中和抗体価の統計分析を行った 変数間の相関性はスピアマンの順位相係数で検定した グラフはデルタグラフ v1.5 プログラムで作成した 結果 ( 中和抗体価と狂犬病予防接種回数の関係 ) 我々は日本の動物病院で集めた犬血清の中和抗体価を測定した 狂犬病を予防できると認められている 0.5 IU/ml 以上の中和抗体価を この研究では感染予防できる抗体価と考えた 表 1に中和抗体価と狂犬病予防接種の回数の関連を示す 107 頭の予防接種をしていない犬 (0 12 月齢 ) について 1 頭のみが感染予防できる中和抗体を保有していた 1 回予防接種歴のある 92 頭の犬の幾何平均中和抗体価は 0.61 IU/ml であり 51.1% が感染予防できる中和抗体を持っていた 一方 複数回予防接種歴のある 557 頭の犬の幾何平均中和抗体価は 7.86 IU/ml であり 97.8% の犬が感染予防できる中和抗体を持っていた ( 狂犬病予防接種後の感染予防可能な中和抗体価持続期間 ) 次に 我々は1 回 もしくは複数回狂犬病予防接種歴のある犬の中和抗体価の持続期間について分析した それぞれの条件での中和抗体価の分布をよりよく理解するために箱ひげ図を作成した 図 1A と図 1C に示すように 1 回予防接種した犬の 33.3 ~ 57.7% が予防接種してから 12 ヶ月以内に感染予防可能な中和抗体価を保有していた これらの犬の幾何平均中和抗体価は 0.43 ~ 0.83 IU/ml であった しかし 予防接種して 13 ヶ月では 1 回予防接種歴のある犬の 76.9% が感染予防可能中和抗体価を保有していた これとは対照的に 複数回予防接種歴のある犬の 97.3 ~ 100% が 最後の予防接種から 24 ヶ月以上経過後も感染予防可能中和抗体価を保有していた ( 図 1B 1C) 幾何平均中和抗体価は最後の予防接種から 18 ヶ月以内では極めて高く 7.56 ~ 8.78 IU/ml であった 中和抗体価は 最後の予防接種から 12 ヶ月以内のそれぞれの期間 (0~3 4~6 7~9 10 ~ 12 歳 :) に単独 又は複数回予防接種を受けた犬それぞれによりかなり異なっていた 一方 複数回予防接種を受け犬のうち 最後の予防接種から 25 ヶ月後の中和抗体価は低下していた これらの犬の幾何平均中和抗体価は 2.12 IU/ml であり 78.9% は感染予防可能中和抗体価を保有していた これらのデータより 2 回以上予防接種した犬では最後の予防接種 10

22 から2 年間は中和抗体価が十分に維持されていることが明らかとなった 複数回予防接種した 557 頭のうち 12 頭が感染予防可能な中和抗体価を保有していなかった この不十分な中和抗体価の犬の詳細は 最後の予防接種からの時期が短い順に表 2に示している この中で 5 件の血清 (Nos 1-5) は最後の予防接種後 1 年以内に採取され 7 件の血清 (Nos 6-12) は最後の予防接種から1 年以上経過後に採取された これらの犬に免疫異常は無かった 低中和抗体価と性別には直接的な相関は無かった ( スピアマンの順位相係数検定 ) ( 予防接種をしていない犬の母子免疫の可能性 ) 予防接種をしていない犬の 107 件の血清のうち 72 件は生後 90 日以内の犬から採取したものであり 35 件は生後 91 日 ~ 365 日に採取したものである 前に述べたように 我々は予防接種していないわずか 1 頭の犬のみが感染予防可能な中和抗体価を保有していたことを見つけたが 多くの予防接種していない犬は不十分な中和抗体価である 予防接種をしていない子犬に中和抗体を検出できた原因は母イヌからの移行抗体由来ではないかと考えられた これらの中和抗体価は狂犬病を予防するには十分な量ではない 母イヌからの移行抗体を確かめるために 我々は中和抗体のカットオフ値を 0.25 IU/ml に設定した これらの子犬の中和抗体価を表 3に示す 生後 90 日以内の予防接種していない子犬 72 頭のうち 11 件 (15.3%) は0.25 IU/ml 以上の中和抗体価を保有していた 一方 生後 90 日以上 (2.9%) で予防接種をしていない 35 頭の子犬の内わずか1 頭が 0.25 IU/ml 以上の中和抗体価を保有していた 考察 WHO は 狂犬病の再流行の危険性を最小限にするには 少なくとも地域の 70% の犬に免疫をつけるべきであると勧告している (1) 狂犬病がずっと排除されている日本で これはとても重要なことである 毎年 日本では大規模な狂犬病予防接種が行われているが 犬の中和抗体価の現状と毎年の予防接種事業の合理性については評価してこなかった そこで 我々は日本の動物病院を受診した犬の現在の中和抗体価を測定した 我々は 1 回予防接種した犬の約 50% が 予防接種してから1 年以内では血清中に感染予防できる中和抗体価が無いことを発見した つまり 1 回のみの予防接種では集団免疫状態を確立するには不十分であることを示している 以前の研究においても狂犬病ワクチンの1 回接種した犬の 50% が 120 日以内に中和抗体価が 0.5 IU/ml 以下に低下していた (11) しかし 今回の研究では 1 回のみ予防接種した犬の中和抗体価は 13 ヶ月後のほうが 12 ヶ月以内よりも高かった ( 図 1A 1C) この理由は不明である 違う個体から血清を採取し 同じ犬から時間を変えて繰り返し採取していないところが 我々の研究と以前の研究 (11) が異なっている さらに 予防接種 13 ヶ月後と予防接種 12 ヶ月以内の犬の中和抗体価には大きな違いが無かった (p>0.05, マン ホイットニーの U 検定 ) これとは対照的に 2 回以上予防接種した犬のほとんどが感染予防可能な中和抗体価を持っており その中和抗体価は 1 回のみ予防接種した犬よりはかなり高かった これらの結果は 以前の報告と矛盾しない (6, 12) 我々はまた 2 回以上予防接種したほとんどの犬について その中和抗体価が最後の予防接種から 2 年持続することを見つけ出した 2 回以上予防接種した 557 頭の犬の中で わずか 12 頭 (2.2%) の犬が感染防御可能な中和抗体価を持っていなかった これらの犬はワクチンに対して低応答性であり 次第に中和抗体価が減少していったのであろう しかし これは重要な問題点では無い なぜなら その頭数は少なく 大規模な犬の予防接種事業は人の公衆衛生を守るための集団免疫を目的で行われているからである 総合的に言うと 大部分の犬が登録され 予防接種を受ければ 現在の日本における狂犬病の大規模な予防接種計画により 十分な集団免疫を得ることができる 我々は 2 回以上予防接種歴のある犬は 最後の予防接種から2 年経過後も感染予防可能な中和抗体価を保持していることを確認した ( 図 1B) つまり 現在の毎年の予防接種スケジュールは狂犬病予防には十分であるが 2 年に1 回の予防接種スケジュールに変えることもできるであろう テキサス州では予防接種スケジュールは毎年から3 年毎に変更されつつある これにより 犬と猫の予防接種率は著しく増加した (13) 将来 日本で義務的な予防接種スケジュールを変更するにはいくつかの要因について慎重な検討 11

23 が必要である 例えば 中和抗体価の持続性の確認 血清調査用の簡単な検査法の導入 免疫の付きにくい犬を保護する手段等 我々は 予防接種が必要か調べるため毎年犬の中和抗体価を確認すべきであると提案する しかし 狂犬病に対する中和抗体価を測定するウイルス中和試験 ELISA などの方法は使いにくい これらの方法は 専門的な検査室や機器 訓練された人々が必要である 最近 我々は迅速 安全 安価な狂犬病の中和抗体試験法を開発した これは 中和モノクローナル抗体を用いたイムノクロマトの技術と競合的免疫試験法を組み合わせたものである (14, 15) この半定量的検査法により 生きたウイルスや高価な機器を使わず 60 分以内に犬が感染予防できる中和抗体価を持っているかを判定できる この方法は 犬に追加免疫が必要かを判断するのに便利な方法であろう 日本の厚生労働省は 688 万頭の犬が 2009 年に登録され その 74.3% が狂犬病の予防接種を受けていると報告している (16) しかし 日本ペットフード協会は日本の飼い犬の数は 2009 年では 1,232 万頭と報告している (17) もし 登録していない犬を総数に加えると わずか 41.5% の犬しか狂犬病の予防接種を受けていない これは 地域で狂犬病の流行を防ぐのに推奨されている予防接種率 70% を押し下げることになる 日本の農林水産省は約 500 万回分の狂犬病ワクチンが 2011 年に生産されたと報告した (18) つまり 日本の全ての犬に行き渡るだけの量のワクチンが無いことを示している そこで 我々は日本で狂犬病の流行が起きたら 2 回以上予防接種した犬よりも先に まだ予防接種をしていない犬や 1 回しか予防接種をしていない犬にワクチンを配布すべきであると提案する 日本では 約 50,000 頭の迷子犬が毎年 動物健康センターに持ち込まれ (16) おおよそ 5,000 件の犬咬傷例が報告されている (19) これらの予防接種を受けていない迷子犬は 狂犬病の蔓延と人間への伝染の危険因子となるであろう 迷子犬の狂犬病に対する血清疫学は 日本における狂犬病の再流行の危険性を正確に判断するのに重要であるが 本研究では調べられていない 小川らによると 2006 年と 2007 年に狂犬病予防員により兵庫県立動物愛護センターに捕獲され搬入された迷子犬のわずか 27.7% しか 感染予防可能な中和抗体価を保有していなかった (20) 日本の現実的な免疫状況を明らかにするため 別の地域で迷子犬の血清疫学調査を行うべきである 我々は 3 月齢以下の予防接種していない犬の 15.3% に狂犬病に対する母子移行抗体があり 3 月齢以上の犬ではわずか 1 頭しか検出されなかったことを見出した 日本で犬用に作られている狂犬病ワクチンは 不活化ワクチンである 子犬では母子移行抗体は不活化狂犬病ワクチンへの免疫応答に影響しない (21) しかし 母子移行抗体は弱毒狂犬病生ワクチンに対する免疫応答に影響する そこで 将来もし生ワクチンが大規模な犬の予防接種に導入されたら 子犬への予防接種の時期を考慮する必要がある この研究の結果により 現行の年 1 回の犬への予防接種体制は もし全ての犬が登録され毎年予防接種を受けるならば 完全に十分なものである しかし わずか約 50% の犬が登録され 約 40% の犬が狂犬病の予防接種を受けていると推定されている 狂犬病予防法が日本に導入されて 60 年以上経過した そして この 60 年間に日本人の生活スタイルと人間とペット犬との関係も劇的に変化した 従って 今が狂犬病予防体制を新しいものに更新することを考える丁度良い時期であろうと考える 謝辞 : 検体の収集にご協力いただきました須田動物病院 大分県獣医師会 共立製薬株式会社に感謝します 迅速蛍光フォーカス抑制試験 (REFIT) については 野口賀津子氏に感謝します この研究の一部は日本学術振興会の補助金 # で実施されました 12

24 a a e a a 2 e er e e V I M e e a a a Va a e 2 e M e e a a a a V 0 5 I GM V e e I 図 1 狂犬病予防接種後の犬の中和抗体価の持続期間 1 回予防接種を受けた犬 (A) と2 回以上予防接種を受けた犬 (B) の 最後に予防接種した後のいくつかの時点での中和抗体価の箱ひげ図 アスタリスクは最後の予防接種を受けてから期間で 1 回のみ予防接種を受けた犬との中和抗体価の重要な相違点を示す (p<0.01, マン ホイットニーの U 検定 ) (C) この表は 犬の感染予防可能な中和抗体価の詳細な持続期間である 0.5 IU/ml 以上の中和抗体価を持つ犬の数と各時点の幾何平均 (GM) 中和抗体価を示す 予防接種回数検体数平均年齢 表 1. 中和抗体価と狂犬病予防接種回数の関係 予防接種後平均日数 幾何平均中和抗体価 (IU/ml) 中和抗体価 0.5 IU/ml 以上ある検体数 (%) /107 (0.9%) /92 (51.1%) /557 (97.8%) /78 (96.2%) /71 (97.2%) /59 (98.3%) /67 (97.0%) /56 (100%) /42 (95.2%) 13

25 /30 (100%) /42 (100%) /42 (100%) /25 (96.0%) /19 (100%) /26 (96.2%) 表 2. 複数回予防接種し中和抗体価の不十分な 12 個体の犬の詳細 犬種性別生年月日年齢 予防接種回数 予防接種後日数 中和抗体 (IU/ml) 1 ミニチュア ダックスフンド オス 5/1/ ラブラドール レトリバー メス 4/22/ 紀州犬 メス 1/1/ 雑種 メス 4/1/ 雑種 メス 6/1/ スコティッシュ テリア メス 4/1/ ミニチュア ダックスフンド オス 5/7/ 雑種 メス 4/10/ ミニチュア ダックスフンド 不明 9/1/ ケアーン テリア オス 7/15/ 雑種 オス 1/11/ ラブラドール レトリバー オス 8/14/ 年齢幅 ( 日 ) 表 3. 予防接種していない犬の中和抗体価 検体数 中和抗体 (IU/ml) < 参考文献 1.WHO(2005): WHO Expert Consultation on rabies. 7.2 Canine mass parenteral vaccination campaigns. World Health Organ. Tech. Rep. Ser., 931, Inoue S. (2005): Rabies contingency plan in Japan. Nihon Rinsho, 63, (in Japanese) 3.Onda H. (1968): Rabies control in Japan. Bull Off Int. Epizoot., 69, Takahashi-Omoe H, Omoe K, Okabe N. (2008): Regulatory systems for prevention and control of rabies, Japan. Emerg. Infect. Dis., 14, Takayama N. (2000): Rabies control in Japan. Jpn. J. Infect. Dis., 53, Shimazaki Y, Inoue S, Takahashi C, et al. (2003): Immune response to Japanese rabies vaccine in domestic dogs. J. Vet. Med. B. Infect. Dis. Vet Public Health, 50, Smith JS, Yager PA, Baer GM. (1973): A rapid reproducible test for determining rabies neutralizing antibody. Bull World Health Organ., 48, Závadová J, Svrcek S, Madar M, et al. (1996): Titration of rabies antibodies with the rapid fluorescence focus inhibition test. Vet. Med. (Praha), 41, Kahn S, Stuardo L, Rahman SA. (2008): OIE guidelines on dog population control. Dev. Biol. (Basel), 131, Edwards S. (2007): OIE standards for vaccines and future trends. Rev. Sci. Tech., 26,

26 11.Minke J, Bouvet J, Cliquet F, et al. (2009): Comparison of antibody responses after vaccination with two inactivated rabies vaccines. Vet. Microbiol., 133, Hiromi Y, Morimasa Y, Shinsuke E, et al. (2008): Antibody levels of dogs vaccinated with Japanese inactivated tissue culture rabies vaccine and their antibody responses after re-vaccination. J.Jpn.Vet.Med. Assoc., 61, Rogers CL.(2011):Rabies vaccination compliance following introduction of the triennial vaccination intervalthe Texas experience. Zoonoses Public Health., 58, Shiota S, Mannen K, Matsumoto T, et al. (2009): Development and evaluation of a rapid neutralizing antibody test for rabies. J. Virol. Methods, 161, Nishizono A, Yamada K, Khawplod P, et al. (2012): Evaluation of an improved rapid neutralizing antibody detection kit (RAPINA)for qualitative and semiquantitative detection of rabies neutralizing antibody in humans and dogs. Vaccine, 30, Ogawa T., Gamoh K., Kanda K., et al. (2009): Rabies immune status of dogs brought into the Hyogo Prefecture Animal Well- being Center, Japan. J. Vet. Med. Sci., 71, Seghaier C, Cliquet F, Hammami S, et al. (1999): Rabies mass vaccination campaigns in Tunisia: are vaccinated dogs correctly immunized?. Am. J. Trop. Med. Hyg., 61, Lawson KF, Crawley JF. (1972): The ERA strain of rabies vaccine. Can. J. Comp. Med., 36, Aghomo HO, Oduye OO, Rupprecht CE. (1990): The serological response of young dogs to the Flury LEP strain of rabies virus vaccine. Vet. Res. Commun., 14,

27

28 業 績

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30 平成25年度獣医学術九州地区学会学会長賞受賞 産業動物獣医学会 ウシ MHC 遺伝子マーカーを指標とした牛白血病 発症抵抗性遺伝子保有黒毛和種種雄牛の造成 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 独 理化学研究所 独 理化学研究所 独 理化学研究所 要 藤 安 倉 竹 松 間 田 達 原 嶋 本 達 男 聡 貴 美 伸之輔 有 生 陽 子 旨 牛白血病ウイルス感染に起因する地方病性白血病は 届出伝染病に指定されており全国的に増加傾向にあ る 効果的な防疫対策がないため 対策に苦慮している Aida ら 2000 は 地方病性牛白血病の発症の 難易に関連するウシ主要組織適合性遺伝子複合体 MHC のクラスⅡ遺伝子群にある DRB3 遺伝子を同定 解析し 発症抵抗性 R アリルと感受性 S アリルを見出した 演者らは これらの MHC 遺伝子マー カーを指標として 発症牛と抗体陽性健康牛を調査するとともに 本マーカーを用いた黒毛和種種雄牛造成 に着手した 県内の食肉処理場で 2009 年に摘発された牛白血病発症牛群 黒毛和種 14 頭 と1年1産で 10 産以上連産した健康な BLV 抗体陽性繁殖雌牛群 黒毛和種 38 頭 を比較した結果 Rアリルは発症牛 群で頻度が低く 健康な BLV 抗体陽性牛群で高く 逆にSアリルは 発症牛群で高く 抗体陽性健康牛群 で低かった また Rアリル保有牛は感染していても発症しにくい いわゆる発症抵抗性を示す傾向がある ことが示唆され これらの結果は Aida らの同定 解析結果と一致していた 一方 S アリルと脂肪交雑 などの肉用牛経済形質との関連性を解析した結果 関連性がないことが判明した そこで 本県の黒毛和種 集団を 牛白血病が発症しにくい集団 とするため Sアリルの排除とRアリルの増殖を目指した種雄牛造 成に着手した 育種価情報 受精卵移植技術を応用し 牛白血病発症抵抗性遺伝子 RR 型の候補種雄牛の作 出に成功した キーワード 牛白血病 発症抵抗性遺伝子 経済形質 種雄牛造成 背景及び目的 よって水平感染を抑え 清浄化に成功した事例など 牛白血病は家畜伝染病予防法に定める届出伝染病 が報告されているが 十分なスペースや施設などを のひとつであり 牛白血病ウイルス BLV に感 要するため 効果的な防疫ができないことが課題で 染したリンパ球がアブ サシバエなどの吸血昆虫等 ある により媒介される水平感染と 母から子に感染する 理化学研究所 Aida ら 1 は 牛白血病発症に対 垂直感染とがある 感染牛の多くは不顕性感染であ する抵抗性遺伝子が 主要組織適合複合体 MHC り 病態が進むと 30 がリンパ球増多症 2 3 にあることを突き止めた MHC のクラスⅡ遺伝子 が 2 10 年以内に発症する 治療法が確立され 群にある DRB3 遺伝子の 78 位アミノ酸がバリンで ていないため 致死的であり農家の経済的損失は大 ある対立遺伝子をホモまたはヘテロで有するウシは きい これまでに抗体陽性牛と陰性牛の隔離飼育に 発症抵抗性が高く 78 位アミノ酸がチロシンのホ 2 17

31 モ型接合体であるウシは発症の可能性が非常に高くなることを報告している Aida らは この研究をさらに進展させ DRB3 領域にある 100 以上のアリルの検出とそれらの発症抵抗性 感受性との関連性を明らかにした 本研究はこれらの成果をもとに MHC 遺伝子型を指標として県内の発症牛及び育種集団の実態調査を行うとともに 遺伝子型と枝肉関係経済形質との関連性を明らかにし 肉用牛育種改良への利用方法について検討した この結果をもとに 牛白血病が発症しにくい黒毛和種育種集団 造成を目指して 発症抵抗性遺伝子を保有する種雄牛造成を目的とした 試験方法 (1) 牛白血病発症牛と BLV 抗体陽性健康牛の遺伝子型調査県内の食肉処理場で 2009 年に摘発された牛白血病発症牛群 ( 黒毛和種 14 頭 ) と1 年 1 産で 10 産以上連産した健康な BLV 抗体陽性繁殖雌牛群 ( 黒毛和種 38 頭 ) の遺伝子型を調べた 牛白血病発症牛のサンプルは 県食肉衛生検査所が血液検査 病理検査 抗体検査 ( 受身赤血球凝集反応 ) 等を基に牛白血病と診断した牛を供試し 発症牛の腎周囲脂肪組織から抽出した DNA を遺伝子型検査に使用した 一方 BLV 抗体陽性健康牛は 全国和牛登録協会大分県支部の繁殖記録から1 年 1 産で 10 産以上連産した繁殖雌牛を抽出し 血液検査により白血球数が 12,000 未満で異型リンパ球の見られないもの かつ BLV 抗体 ( 受身赤血球凝集反応 ) 陽性のものを選定し 血液から抽出した DNA を遺伝子型検査に使用した (2) 遺伝子型と経済形質との関連性調査県有種雄牛の中からSアリルを持つヘテロ型種雄牛 6 頭の後代去勢肥育牛 350 頭の遺伝子型を調べた 取り上げた経済形質として BMS ナンバー (BMS.No) 枝肉重量(CW) 日増体量(DG) ロース芯面積 (REA) バラの厚さ(RT) 皮下脂肪の厚さ (SFT) について解析を行った 発症抵抗性遺伝子型と経済形質との関連性の解析は GLM プロシジャー (SAS institute Japan) による最小二乗分散分析により行った (3) 発症抵抗性遺伝子保有候補種雄牛の作出本県基幹種雄牛の中から Rアリルを保有する 種雄牛 KおよびTを選抜した 種雄牛 Kの娘である繁殖雌牛 400 頭から BMS ナンバーと枝肉重量の両形質を加味した育種価評価上位 8 頭を選抜し 遺伝子型検査により目的のアリルを保有する雌牛 2 頭を選定した この2 頭を供胚牛として 定法に従い過剰排卵処理後 発情を確認して種雄牛 Tの凍結精液を人工授精した 人工授精後 7 日目に子宮から採取した胚を新鮮または凍結融解後 黒毛和種受胚牛に移植した 誕生した雄産子の遺伝子型を調べて候補種雄牛を選抜した 以上の遺伝子型検査は 独立行政法人理化学研究所が実施した 本報告では Aida らの報告に従い ウシ MHC のクラスⅡ 遺伝子群にある DRB3 遺伝子のアリルタイプ および 1101 アリルを発症抵抗性 (R) アリル 1601 アリルを発症感受性 (S) アリル その他 (O) アリルと分類した 結果 (1) 牛白血病発症牛と BLV 抗体陽性健康牛の遺伝子型調査ア ) 牛白血病発症牛の遺伝子型と場で摘発された黒毛和種の牛白血病発症牛 14 頭の遺伝子型 BLV 抗体価を表 1に示した 供試した 14 頭全てのゲノム DNA から BLV プロウイルスを検出し 地方病型牛白血病であることを確認した 発症牛の遺伝子型をみると 一方に 1101 アリルをもつ抵抗性ヘテロ型が2 頭 (RO と RS) いたものの 一方に 1601 アリルをもつ感受性ヘテロ (SO) 型が 6 頭 両方とも 1601 アリルをもつ感受性ホモ (SS) 型が3 頭と 1601 アリルが多く確認された 18

32 表 1 と場で摘発された黒毛和種の牛白血病発症牛 14 頭の遺伝子型 No. 品種性別月齢遺伝子型 BLV 抗体価 ( 受身 HI) BLV プロウイルス 診断名 1 黒毛和種 去勢 /1601 SO 牛白血病 2 黒毛和種 /1601 SO 牛白血病 3 黒毛和種 /1501 OO 牛白血病 4 黒毛和種 /1501 OO 牛白血病 5 黒毛和種 /1601 SS 牛白血病 6 黒毛和種 /1601 SO 牛白血病 7 黒毛和種 /1601 SS 牛白血病 8 黒毛和種 /1601 SO 牛白血病 9 黒毛和種 /1501 OO 牛白血病 10 黒毛和種 /1201 RO 牛白血病 11 黒毛和種 /1601 SO 牛白血病 12 黒毛和種 /1601 SS 牛白血病 13 黒毛和種 /1601 RS 牛白血病 14 黒毛和種 /1601 SO 牛白血病 イ )BLV 抗体陽性健康牛の遺伝子型 1 年 1 産を 10 産以上繰り返し BLV 抗体陽性で健康な黒毛和種雌牛 38 頭の遺伝子型および血液検査所見を表 2に示した 1601 アリル-ホモ (SS) 型が 2 頭 1601 アリル-ヘテロ (SO) 型が 6 頭認められたものの 0101 アリルまたは 1101 アリルをもつ抵抗性ヘテロ型 (RO と RS) が 17 頭確認され 発症牛群と比較して抵抗性 (R) アリルが多く確認された ウ ) 牛白血病発症牛群と BLV 抗体陽性健康牛群の遺伝子頻度牛白血病発症牛群 ( 黒毛和種 14 頭 ) と1 年 1 産で 10 産以上連産した健康な BLV 抗体陽性繁殖雌牛群 ( 黒毛和種 38 頭 ) の遺伝子型頻度を表 3に示 した 0101 および 1101 アリルを抵抗性 (R) アリル 1601 アリルを感受性 (S) アリル その他 (O) アリルと分類した 牛白血病発症牛群の遺伝子頻度は 抵抗性アリルが 7.2% 感受性アリルが 46.4% その他が 46.4% であり 14 頭中 3 頭が感受性ホモ (SS) 型であった 一方 BLV 抗体陽性健康繁殖雌牛群 38 頭のアリル頻度は 抵抗性アリルが 22.4% 感受性アリルが 17.1% その他が 60.5% であり 38 頭中 17 頭に RO 型が存在した これら両牛群を比較すると R アリルは発症牛群で頻度が低く BLV 抗体陽性健康牛群で高く 逆に S アリルは発症牛群で頻度が高く 抗体陽性健康牛群で低く この差は有意 (P=0.0022) であった 19

33 No. 品種年齢 表 2 1 年 1 産を 10 産以上連産 BLV 抗体陽性健康繁殖雌牛 38 頭の遺伝子型 分娩間隔 ( 日 ) 産子数 遺伝子型 WBC RBC ( 10 2 )( 10 4 ) BLV 抗体価 ( 受身 HI) 1 黒毛和種 /1601 SO ,024 2 黒毛和種 /1501 RO ,024 3 黒毛和種 /1001 OO 黒毛和種 /1302 OO ,024 5 黒毛和種 /1501 RO 黒毛和種 /new OO ,024 7 黒毛和種 /1501 RO 黒毛和種 /1601 SO 黒毛和種 /1201 RO , 黒毛和種 /1101 RO 黒毛和種 /1501 OO , 黒毛和種 /1601 RS , 黒毛和種 /1501 OO , 黒毛和種 /0601 OO 黒毛和種 /1601 SO 黒毛和種 /1601 SS , 黒毛和種 /1501 OO 黒毛和種 /20012 OO 黒毛和種 /1601 SO , 黒毛和種 /1601 RS 黒毛和種 /1101 RO , 黒毛和種 /1501 RO 黒毛和種 /1201 RO , 黒毛和種 /1201 OO 黒毛和種 /1501 RO , 黒毛和種 /1001 OO , 黒毛和種 /1601 SS , 黒毛和種 /1501 OO , 黒毛和種 /1501 RO , 黒毛和種 /1501 OO , 黒毛和種 /1501 OO , 黒毛和種 /1101 RO , 黒毛和種 /1501 RO , 黒毛和種 /1601 RS , 黒毛和種 /1601 SO , 黒毛和種 /1101 RO 黒毛和種 /1302 RO 黒毛和種 /1601 SO ,024 表 3 牛白血病発症牛群と BLV 抗体陽性健康牛群の遺伝子頻度 アリル型 発症牛群 (14 頭 ) 抗体陽性健康牛群 (38 頭 ) 度数頻度 ( %) 度数頻度 ( %) 抵抗性 (R) 感受性 (S) ** ** その他 (O) ** P=

34 (2) 遺伝子型と産肉性経済形質との関連性解析本研究では 1601 アリルの相同遺伝子が多数存在し 多くの遺伝子型があるため アリル型または遺伝子型の2 通りのアプローチから 経済形質に及ぼす効果について解析を行った 当場が保有す る肉用牛経済形質解析用データベース及び DNA サンプルの中から 1601 アリル-ヘテロ型種雄牛 6 頭を選抜し 表 7に示したように BMS ナンバー上位および下位 各々 10 ~ 32% の後代去勢肥育牛合計 345 頭を抽出し 調査対象牛とした 表 アリルヘテロ種雄牛 6 頭と各後代肥育牛の BMS ナンバーを指標としたサンプル構成 種雄牛名 遺伝子型 後代 BMSNo. 育種価による抽出サンプル数下位頭数上位頭数 検査頭数 F D 0201/ T N 0502/ I H 1302/ S / I K 1101/ T S 1501/ 合 計 調査対象牛 345 頭の遺伝子型は 1101/1601 (52 頭 ) 1501/1601 (39 頭 ) 1601/1601 (35 頭 ) 0201/1601 (18 頭 ) 1302/1601 (18 頭 ) 1201/1601 (17 頭 ) 0201/1101 (14 頭 ) 1101/1501 (12 頭 ) その他合計 54 種類 アリル型 ( 度数 ) は 1601 (243) 1101 (104) 1501 (101) 0201 (69) 1302 (48) 0502 (35) 1001 (31) 1201 (23) 0701 (14) 1103 (5) 0902 (5) 0801 (2) (2) その他合計 22 種類であった 遺伝子型と経済形質との関連性の解析には 2 通りの手法を試みた 1つは 肥育牛サンプル 345 頭の遺伝子型の中で少なくとも2 頭以上にみられた遺伝子型 (30 種 ) を要因として 1つは 肥育牛 345 頭にみられたアリルの中で 頻度の高かったアリル上位 9 種 ( および 1601 ) を要因として解析を行った 解析項目は BMS ナンバー (BMS) 枝肉重量 (CW) 日増体量 (DG) ロース芯面積(REA) バラの厚さ (RT) 皮下脂肪の厚さ(SFT) について解析を行った 表 5にアリル型を要因とした解析結果 表 6に遺伝子型を要因とした解析結果を示した いずれの解析方法においても 全ての項目で種雄牛を要因とする効果は有意 (P < ) であったものの アリル型または遺伝子型を要因とする有意な効果は認められなかった 21

35 表 5 アリル型と経済形質との関連性の解析結果 要因 自由度 不偏分散 BMS CW DG REA RT SFT 種雄牛 ** 3.29 ** ** ** ** ** アリル型 残差 ** P < BMS:BMSナンバー CW: 枝肉重量 DG: 日増体量 REA: ロース芯面積 RT: バラの厚さ SFT: 皮下脂肪の厚さ 表 6 遺伝子型と経済形質との関連性の解析結果 要因 自由度 不偏分散 BMS CW DG REA RT SFT 種雄牛 ** 1.23 ** 8.67 ** ** ** ** 遺伝子型 残 差 ** P < BMS:BMSナンバー CW: 枝肉重量 DG: 日増体量 REA: ロース芯面積 RT: バラの厚さ SFT: 皮下脂肪の厚さ (3) 発症抵抗性遺伝子保有候補種雄牛の作出遺伝子型と産肉性経済形質との関連性解析結果から 1601 アリルおよび 1601 アリルを含む遺伝子型は 肉質等の経済形質に影響を及ぼさないことが示唆された このことから 本県の肉用牛育種集団から感受性アリル 1601 を排除しても育種改良上の問題はないと推察された そこで 感受性アリル 1601 の排除と抵抗性アリルの増殖を目指して 抵抗性アリル-ホモ型種雄牛の造成に着手した 本県基幹種雄牛の中から 抵抗性アリル 0701 を保有する種雄牛 K 0701/1601 および抵抗性アリル 0101 を保有する種雄牛 T 0101/1601 を選抜した 種雄牛 K の娘である繁殖雌牛 400 頭から BMS ナンバーと枝肉重量の両形質を加味した育種価評価上位 8 頭を選抜し 遺伝子型検査により目的のアリルを保有する雌牛 2 頭 (D1: 0701/1101 D2: 0701/1601 ) を選定した この 2 頭を供胚牛として 定法に従い過剰排卵処理後 発情を確認して種雄牛 T の凍結精液を人工授精した 人工授精後 7 日目に子宮から採取した 15 胚を新鮮または凍結融解後 黒毛和種受胚牛に移植した その結果 8 頭が受胎し 5 頭の雄産子が誕生した これらの 5 頭の遺伝子型は D1 の産子 2 頭が 1601/ /1101 D2 の産子 3 頭が 0101/ /0701 および 1601/0701 であった この中で 2013 年 2 月 2 日に誕生した D1 の産子 0101/1101 は 抵抗性アリル-ホモ (RR) 型であったため これを候補種雄牛として選抜した 考察 牛白血病に対する治療法はないことから 本病の対策については 発生地域での定期検査 吸血昆虫の駆除 抗体陽性牛の分離飼育 生産子牛の隔離 陽性牛の初乳の子牛への給与中止 抗体陽性牛の早期摘発 淘汰等が挙げられる それらは疾病清浄化のための有効な方法となるが 現実には必ずしも実施されているとは言い難く 発生頭数の増加傾向は続いている ( 村上ら 10) 2009) このような背景から 間らは この慢性感染症を克服するためには その病態を制御する疾患責任遺伝子を同定し その抵抗性に関わる対立遺伝子を有する家畜を選別して 感染症になりにくいウシを作出するという戦略が有効であることを提唱している そこで我々は Aida らの研究成果に注目し ウシ MHC 遺伝子マーカーを指標とした牛白血病発症抵抗性遺伝子保有黒毛和種種雄牛の造成に取り組んだ まず最初に MHC 遺伝子マーカーを指標として 大分県の黒毛和種における牛白血病発症牛と BLV 抗体陽性健康牛の遺伝子型およびアリル頻度の調査を行った 県内の食肉処理場で摘発された牛白血病発症牛群 14 頭の遺伝子型を調べた結果 アリル頻度は R=7.2% O=46.4% S=46.4% であり 14 頭中 3 頭が SS 型であった 一方 一年一産を 10 産以上繰り返した健康な BLV 抗体陽性黒毛和種繁殖雌牛群 38 頭のアリル頻度は R=22.4% O=60.5 % S=17.1 % であり 38 頭中 17 頭に RO 型が存在した これら両牛群を比較すると R アリルは発症牛群で頻度が低く BLV 抗体陽性健康牛群で高く 逆にSアリルは発症牛群で頻度 22

36 が高く 抗体陽性健康牛群で低く この差は有意 (P=0.0022) であった また R アリル保有牛は感染していても発症しにくい いわゆる発症抵抗性を示す傾向が示唆され これらの結果は間らの同定 解析結果と一致していた これらの結果から 育種集団から発症感受性アリルを排除し 発症抵抗性アリルを増殖させることにより 牛白血病が発症しにくい 育種集団の構築が可能となると考えた 発症抵抗性アリル-ホモ (RR) 型種雄牛が造成できれば 雌側の遺伝子型に関わらず 全ての産子に発症抵抗性アリルを賦与することが可能で このことにより全ての産子に発症抵抗性の発現が期待される しかし 育種集団から特定の遺伝子を排除しようとするとき その特定の遺伝子の近傍に有用形質を支配する遺伝子があった場合には その特定の遺伝子の排除は 育種にとっては むしろ負の効果をもたらす危険性がある 従って 排除しようとする遺伝子が肉用牛経済形質と関連していないことを確認しておく必要がある 小林らは 6) 黒毛和種の遺伝性疾患であるクローディン 16 遺伝子において 藤田ら 7) は ウシモリブデン補酵素欠損症において 欠損遺伝子と肉用牛経済形質との関連性を解析し 関連性がないことを明らかにしている 本研究では 発症感受性アリル 1601 ヘテロ型種雄牛 6 頭の後代 345 頭を供試した 本遺伝子型と肉用牛経済形質との関連性を解析した結果 遺伝子型 アリル型のいずれにおいても主要経済形質 6 項目との関連性は検出されなかった このことから 黒毛和種育種集団から 1601 アリルを排除しても育種改良上の問題はないと推察された これらの結果をもとに 発症抵抗性アリル-ホモ (RR) 型種雄牛の造成に取り組んだ 本県基幹種雄牛の中から 抵抗性アリル 0701 を保有する種雄牛 Kおよび抵抗性アリル 0101 を保有する種雄牛 Tを選抜し 発症抵抗性アリル-ホモ型 0101/0701 種雄牛の造成を目指した ここで 発症抵抗性アリル-ホモ型と表記したが 異なるタイプの抵抗性 (R) アリルを組み合わせた RR 型を意味している 同一アリルのホモ型ではなく 異なる抵抗性アリルのホモ型にしたのは 将来の育種集団の遺伝的多様性の確保に配慮したためである 今回の報告では 目標とする発症抵抗性遺伝子型 0101/0701 の産子は得られなかったが 幸運にも供胚牛が保有していた 1101 アリルを保 有する発症抵抗性遺伝子型 0101/1101 の候補種雄牛作出となった 1101 アリルは アリルと比較して発症抵抗性がやや低いと推定され 今回のと場摘発発症牛 14 頭の中にも本アリル保有牛が2 頭含まれていた しかし BLV 抗体陽性健康牛 38 頭の中に 1101 アリル保有牛は多数存在し 発症抵抗性が期待できる 今後とも継続して 0101/0701 型種雄牛の造成を目指してプロジェクトを推進していく 黒毛和種育種集団の遺伝的多様性について 野村 (2000) 9) は 後代数の多かった上位 5 頭の種雄牛の後代が その年の全登録牛に占める割合を調査し 特に 牛肉の輸入自由化が実施された 1991 年以降にその集中が顕著になり始め 2000 年では全登録牛の半数以上が わずか5 頭の種雄牛の後代となっていることを報告している 和牛において 遺伝的多様性を確保する ために最も有効な方策は 改良目標に多様性を持たせる ことの必要性を提起している 今回の種雄牛造成では これまでの産肉能力による選抜に 新たに抗病性 すなわち牛白血病発症抵抗性遺伝子型による選抜を加えた 図 1. 発症抵抗性遺伝子保有候補種雄牛牛の効率的な育種改良に胚移植技術が有効であることは公知の事実である 今回 遺伝子型検査結果から選抜された供胚牛 2 頭は 県内の農家で飼育されている農家所有の繁殖雌牛であり 胚採取は その繁殖農家に出向いて現地で行われた 倉原ら (2012) 11) が報告しているように 現地農家で過排卵処理 人工授精 胚の採取 胚の検索 評価を行い 一部はあらかじめ同期化処理を施して準備した受胚牛に新鮮胚のまま移植した ゲノム情報を取り入れた胚移植では 胚の段階で 胚の一部または割球を切り取り 胚移植する前に行う着床前遺伝子 23

37 診断 (PGD) の技術開発が注目されている PGD は 遺伝性疾患の場合には 劣性ホモの発症牛を未然に防ぐ点では意義があるが 有用遺伝子を指標として育種改良に胚移植技術を活用する場合には 劣性ホモ疾患牛の発生がないため 多数の胚を多数の受胚牛に いかに早く移植し 多くの産子を生産するかが重要となる 胚の一部を切り取ることによる受胎率低下等を考慮すると 有用遺伝子では PGD の必要性は低いと思われた 安達ら (2013) 12) は 黒毛和種における牛白血病の経乳感染防除に向けた完全人工哺育の有効性について検証し 抗体陽性農場での牛白血病清浄化の有効性を示唆している 牛白血病対策では感染を拡大させないことが最も重要な事項であり 母子感染を遮断することは非常に重要となる 発症抵抗性遺伝子を増殖させ 発症しにくい育種集団 を目指して育種改良していくことと同時並行で母子感染の遮断による感染拡大の阻止が今後益々重要となると考えられる 今回選抜した RR 型候補種雄牛を種雄牛とした場合 交配する雌側の遺伝子型に関わらず 全ての産子に R アリルが伝わるため 全ての産子に 牛白血病発症抵抗性 の発現が期待できる 遺伝的多様性に配慮しつつ 黒毛和種の他の系統あるいはホル スタイン種においても今回と同様の手法により RR 型種雄牛を造成することができれば 家畜伝染病予防法に基づく防疫対策と合わせて 育種改良的アプローチにより牛白血病対策を展開することが可能と考える 今後 RR 型種雄牛が普及した場合 R 型アリルの増殖が真に牛白血病発生の抑制に効果があるかどうか さらに牛群として感染率 ( 抗体陽性率 ) の抑制に効果があるかどうかなど 新たに生じてくると思われる課題について 継続して検証していく必要がある 謝辞本研究において 牛白血病発症抵抗性遺伝子型が経済形質に及ぼす効果の検定について ご指導ご助言いただいた京都大学大学院農学研究科比較農業論講座三宅武博士に深謝します また 牛白血病発症牛のサンプルを快く提供していただいた大分県食肉衛生検査所 供胚牛の提供をいただいた2 戸の繁殖農家の方々 現場採胚を調整していただいた家畜保健衛生所の方々 育種価 血統情報を提供してくださった畜産研究部 全和大分県支部の方々 その他 本研究を支えていただいた多くの方々に深謝します 引用文献 1. Aida Y, Takeshima S, Nagaoka Y, et al. The relationship between polymorphism of MHC class II DR gene and resistance and susceptibility to bovine leukemia virus-induced lymphosarcoma. Proceedings of the International Veterinary Cytokine and Vaccine Conference, Japan.(2000)pp 小沼操 : 牛白血病ウイルスの伝播 家畜診療 (2003) 3. 竹嶋伸之輔 間陽子. ウシ主要組織適合遺伝子複合体 (BoLA) 領域の多様性と抗病性. 動物遺伝育種研究 (2007)35: Takeshima S, Ikegami M, Morita M, Nagai Y, Aida Y. Identification of new cattle BoLA- DRB3alleles by sequence-based typing. Immunogenetics. (2001)53: Takeshima S, Saitou N, Morita M, Inoko H, Aida Y. The diversity of bovine MHC class II DBR3 gene in Japanese Black, Japanees Shothorn, Jersey and Holstein cattle in Japan.Gene. (2003)316: 小林直彦 平野貴 揖斐隆之 大谷健 杉本喜憲. 黒毛和種における Claudin-16(CL-16) 欠損症遺伝子型と産肉成績との間のアソーシエーション解析.(2002) 日畜会報.73: 藤田達男 伊藤雅之 佐藤亘 倉原貴美 志賀一穂 佐々木義之. 黒毛和種におけるウシモリブデン補酵素 (MCSU) 欠損症遺伝子型と産肉成績との関連性の解析.(2004) 動物遺伝育種研究.32:

38 8. 間陽子アメリカ大陸における疾患感受性を規定するウシ主要組織適合遺伝子の検出技術の実用化科学研究費補助金研究成果報告書 H 野村哲郎黒毛和種集団の有効な大きさと遺伝的多様性 和牛誌 2000 年 1 月号 ( 全国和牛登録協会 ) 10. 村上賢二ほか我が国の地方病性牛白血病の発生動向と対策 ( その現状と課題 ) 日獣会誌 ~ 502(2009) 11. 倉原貴美 渡邉竜二 川部太一 安達聡 藤田達男.PRID を用いた過剰排卵処理 - 同期化処理と簡易採胚技術の実践 : 黒毛和種繁殖雌牛 ( 育種素材牛 ) を用いた胚移植による育種改良.2012 日本胚移植研究会富山大会講演要旨 12. 安達聡 倉原貴美 首藤洋三 長岡健朗 藤田達男. 黒毛和種における牛白血病の経乳感染防除に向けた完全人工哺育の有効性の検討.2013 九州獣医師会産業動物学術大会講演要旨 25

39 平成25年度獣医学術九州地区学会学会長賞 フロアー賞受賞 小動物獣医学会 犬の頚部気管虚脱Grade4 33例に対する 外科的矯正術の治療成績 末松どうぶつ病院 ケントペットクリニック 藤田犬猫病院 阿蘇動物病院 末松どうぶつ病院 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室 末松どうぶつ病院 はじめに 末 福 藤 小 山 小 末 松 井 田 嶋 城 山 松 正 健 尚 宗 識 秀 弘 弘 人 久 明 子 一 彰 工陽圧換気下において 頚部正中切開を行い 気管 気管虚脱は代表的な犬の呼吸器疾患の一つとされ に分岐する血管および神経を保存しながら気管周囲 ており その病因は不明である ヨークシャーテリ 組織をピンセットで慎重に剥離した 気管径にあわ ア ポメラニアン マルチーズなど小型犬で好発す せ症例ごとに の PLLP を設置し 5-0 る レントゲン検査 透視検査 気管内視鏡検査に 非吸収糸で非貫通式縫合法により1周あたり6 7 より診断される 重症度は Tangner らが 4 段階で 糸縫合 固定した 今回の検討では 虚脱した気管 分類しており Grade4 は気管内腔の完全消失また の拡張性 術後1ヶ月の生存率 臨床症状の改善 は完全虚脱を呈し 膜性壁は底部に接すると定義さ 合併症 術後再狭窄について調査した れている 治療には薬剤による内科療法 気管内ス 結果 テント設置 外科的矯正術があげられる Hobson Grade4 全例において 虚脱した気管に PLLP ら 1964 年 により外科的治療法が報告されて以 を装着した部位は拡張していた 術後 1 ヶ月の生 来 様々な術式が考案されたものの合併症の多さか 存率は 100% であり 臨床症状は 97% で改善し ら推奨されていなかったが 米澤ら 2010 年 が ていた 胸部気管および気管支虚脱 G4 を併発して 報告した気管外プロテーゼ 以下 PLLP を用いた いる 2 例 6% では時折 発咳がみられた 合併 外科的矯正術は 良好な結果が得られている 今回 症は1例 3% で反回神経麻痺が認められた ま 気管虚脱 Grade4 の 33 例に対して気管周囲血管 た術後 3 年経過した 1 例 3% で原因不明の気管 神経の温存および気管軟骨 膜性壁を非貫通式に 前部の再狭窄がみられたが 内科治療を実施し現在 PLLP を縫合固定した外科的矯正術を実施したので も生存している 考察 その治療成績の概要を報告する 症例 方法 今回の治療成績では 頚部気管虚脱 Grade4 に 対象症例はレントゲン検査により Grade4 と診 おける術後1ヶ月の生存率は 100% であり 非常 断した頚部気管虚脱の犬 33 例とした 体重は 2.0kg に難易度の高い手術ではあるが 血管 神経の保護 から 12 平均 4.8 年齢は1歳から 13 歳 平 に十分な注意を払い かつ本術式を用いることで対 均 7.3 歳 であった 術前に酸素化し 麻酔はミ 応が可能であると考えられた Kirby ら 1991 年 ダゾラム 0.2 / の前処置後 プロポフォール 6 は 20 例中4例で術後3日以内に死亡しており貫 / で導入しイソフルレンにて維持を行った 人 通性の壊死性気管炎や血栓症がみられたと報告して 26

40 いるが 当院での気管壊死はみられなかった 頚部気管の中央部は側副血行路に乏しく 術中の血流温存が重要であることは言うまでもない 気管周囲の血管温存 PLLP 固定の際に非貫通式にすることで気管への血流が温存されたのではないかと推察した 1 例で合併症 1 例で部分的再狭窄がみられたが全例で臨床症状は改善しており 重度に進行した症例でも本術式で十分施術可能であることが確認された 1976 年に Hobson は 血液供給と神経支配は気管粘膜の正常機能において非常に重要であり 術中に気管の広範囲にわたり取り去っている場合 術後の早期回復は難しいと断言する と提唱しているが プロテーゼの開発 血流温存を目的とした術式の確立により 気管虚脱の外科的矯正術は新しい時代の幕を開けたことを実感した 今後も同術式を実施し さらなる検討を行う予定である 27

41 28

42 平成25年度獣医学術九州地区学会学会長賞受賞 獣医公衆衛生学会 豚の疣贅性心内膜炎由来 Streptococcus suis の 農場別比較解析 大分県食肉衛生検査所 甲 斐 雅 裕 西 本 清 仁 背景と目的 Streptococcus suis S. suis による豚の疣贅性心内膜炎は 敗血症に関連する病変としてと畜検査でしばし ば認められる 当所が所管すると畜場では 2010 年 3 月より特定の 2 農場 N 農場および U 農場 から 搬入された豚で S. suis による疣贅性心内膜炎を伴う敗血症が急増し 2010 年度は 2 農場で合計 42 頭 N 農場 22 頭 U 農場 20 頭 に発生が認められた また その後の発生状況をみると N 農場では 2011 年 度に 12 頭 2012 年度に 18 頭と継続して発生が認められていたのに対し U 農場では 2011 年度には 5 頭に減少し 2012 年度には発生は認められなかった 図1 そこで今回 これら敗血症多発 2 農場に加 え 発生の少ない他の農場から搬入された豚の疣贅性心内膜炎病変部から分離された S.suis を用い 当該農 場での敗血症多発の原因を究明することを目的として 莢膜形成遺伝子型別 病原性関連遺伝子検出 線毛 関連遺伝子プロファイリングおよび薬剤感受性試験を行った さらに当所のフィードバック事業の活用によ り 解析結果を敗血症多発農場の管理獣医師へ提供するとともに 各農場の子豚導入元 衛生管理 薬剤使 用状況等について聞き取り調査を行った 材料と方法 ⑴ 被検菌株 2010 年3月 2013 年5月の間に 疣贅性心内膜炎を認めた豚の病変部から分離され た 10 農場由来合計 105 株の S. suis を用いた 菌株の内訳は 敗血症多発農場である N 農場 49 株 と U 農場 25 株に加え A農場9株 M 農場4株 H 農場3株およびその他の5農場から 15 株とし た 疣状病変部を 5% 羊血液寒天培地にスタンプし 37 一晩培養後 得られたコロニーを純培養し Rapid ID32 Strep API シスメックス ビオメリュー を用いて S. suis と同定されたものを被検菌株 とした ⑵ 莢膜形成遺伝子型別 病原性関連遺伝子検出 S. suis のハウスキーピング遺伝子の 1 つである gdh 遺伝子 莢膜形成遺伝子 cps1j cps2j cps7h cps9h および病原性関連遺伝子 epf sly mrp a rca の9 種類の遺伝子の保有状況について PCR による検出を行った [1] DNA の抽出はボイル法により行った ⑶ 線毛関連遺伝子プロファイリング S. suis の 3 種類の線毛関連遺伝子 sbp2 sep1 sgp1 の有無を 29

43 ⑷ PCR により確認することで 疾病リスクが高いとされる ST1 complex および ST28 complex に属する株の推定を行った PCR の結果 sbp2 のみが検出された株は ST1 complex と推定し sgp1 のみが検出された株は ST28 complex と推定した [2] 薬剤感受性試験 : センシディスク ( ベクトン ディッキンソン ) を用いて ペニシリン G(PCG) アンピシリン (ABPC) セフォタキシム(CTX) ストレプトマイシン(SM) ゲンタマイシン(GM) カナマイシン (KM) エリスロマイシン(EM) オキシテトラサイクリン(OTC) オフロキサシン (OFLX) クロラムフェニコール(CP) バンコマイシン(VCM) リンコマイシン(LCM) の 12 種類について測定を行った 基礎培地はパールコアミューラーヒントン S 寒天培地 ( 栄研化学株式会社 ) を用い 5% 濃度で羊脱線血を加えて使用した 結果 ⑴ 遺伝子解析 :gdh は 105 株すべてから検出された 莢膜形成遺伝子型は 102 株が cps2j 3 株が cps1j を示した 病原性関連遺伝子では mrp およびa rca は 105 株すべてから sly は 17 株から検出され epf はどの株からも検出されなかった 線毛関連遺伝子プロファイリングでは 88 株が ST28 complex 8 株が ST1 complex と推定された 遺伝子解析において 敗血症多発農場由来 74 株は すべての株が同一の遺伝子パターン (cps2j/mrp + /sly - /ST28 complex) を示した ( 図 2) ⑵ 薬剤感受性試験 :12 種類の薬剤のうち耐性がみられた薬剤は 5 種類で LCM は 90 株 OTC は 87 株 EM は 63 株 SM は 16 株 KM は 15 株がそれぞれ耐性を示した LCM および OTC 耐性株は多くの農場由来株に認められたのに対し 敗血症多発農場由来株では EM 耐性株率が 79,7% と 他の農場と比較して高い比率で認められた さらに SM 耐性 16 株中 15 株 (93,8%) および KM 耐性 15 株中 12 株 (80,0%) がこれら 2 農場由来株であった ( 図 3) 30

44 考察 N 農場と U 農場の敗血症由来 S. suis は すべての株が疾病リスクの高い遺伝子パターンを示し 薬剤感受性パターンも分離された時期ごとに同様の傾向を示した 農場管理獣医師への聞き取りにより N 農場のすべての子豚と U 農場の一部の子豚が 同一の S 農場から導入されていたことが確認されたことから S 農場由来の S. suis が両農場において疣贅性心内膜炎を伴う敗血症を引き起こしたと推察された しかし U 農場搬入豚では一旦敗血症発生が終息したのに対して N 農場搬入豚では 2010 年のピーク以降も継続的に発生しており 両農場間で発生に大きな差が認められた S. suis を原因とする豚レンサ球菌症の発生には 気温の変化や湿度の上昇等のストレスが関与していると報告されており [3] 今回確認できた両農場の衛生管理水準は U 農場は良好であったのに対して N 農場では不良であった 以上のことから 今回の両農場における敗血症発生の違いには 疾病リスクの高い病原体側の要因に加え 農場の衛生管理が関与していると推察された 今後 N 農場 U 農場の敗血症発生状況の監視とともに S. suis の遺伝子解析および薬剤感受性試験を継続的に実施し 生産サイドにフィードバックすることで 敗血症発生率の低減を推進していきたいと考える 参考文献 [1] Silva L.M.G et al: Veterinary Microbiology 115 (2006) [2] Onishi H et al:j Vet Med Sci Dec 74(12) [3] Dee SA et al:j Am Vet Med Assoc Jul (2)

45 平成25年度獣医学術九州地区学会九州地区獣医師会連合会会長賞受賞 産業動物獣医学会 マイクロバイオスピンカラムを用いた 簡易な IgM 検出法とその応用 大分家畜保健衛生所 長 はじめに 岡 健 朗 ス G-25 を用いた セファデックスのゲルビーズに 牛呼吸器病ウイルス等 多くのウイルスは すで は微小な穴があいており その中に入ることができ に農場に定着しており 病性鑑定を行う際 一時点 る分子量が小さい物質と 穴に入ることができずゲ での抗体保有だけでは 発病原因と特定できないこ ルを迂回して流れる大きな物質がその移動距離の差 とが一般的である 抗体検査で あるウイルスの感 によってふるい分けられる 今回使用した G-25 は 染とその症状の関連を裏付けるためには発症時期と 小さなサイズのタンパク質も入れない程度の小さな 感染時期の一致を確認する必要がある そのために 穴があいており 抗体のようなタンパク質と無機質 発症時期と回復時期の血清 ペア血清 での抗体価 等を分離するのに適している また G-25 は穴の の上昇を調べることが一般的である しかし 適切 大きさが小さいため ゲルが固く 遠心分離により なペア血清がそろわない場合に遭遇することもしば 大きな力を加えても変形せず 機能が保たれる そ しばある IgM は 感染直後に上昇するため IgM こで カラムにいれて遠心分離することにより 微 の検出は そのような場合に採血時直前の感染を知 量な検体を迅速に処理することができる 図2に るのに有効である IgM を 2- メルカプトエタノー 具体的な処理方法を示したが 2 分間の遠心分離を ル 以下 2-ME で不活化 以下 IgM 不活化処理 3または4回するだけなので計 10 分程度の操作で し 処理前後での抗体価を比較することによって検 2-ME 除去の処理を行うことができる 出することができる この方法は HI 試験等では ゲル濾過による 2-ME 除去の効果を検証するた 一般的であるが 中和試験では あまり応用されて め 2-ME 除去前後の血清を 2 倍段階希釈し細胞に いない 2-ME が中和試験に用いる細胞に対する毒 添加しその細胞障害性を比較した 性があるため 定法ではこれを除去するための透析 を行うことになっている 透析は日数がかかるだけ でなく 多量の血清を必要とするため 中和試験に おいては IgM 検査が普及してこなかったものと思 われる 今回 我々はマイクロバイオスピンカラム 以下カラム を用いたゲル濾過で 2-ME を除去し 簡単に IgM を検出する方法を検討したので報告す る 材料および方法 1 IgM 不活化処理 被検血清を等量 通常 100µl の 0.2M 2ME 液と混和後 37 で1時間インキュベートする この操作で IgM は不活化される 次にカラムを用 いたゲル濾過で細胞毒性がある 2-ME を除去する ゲル濾過の原理および使用したカラムについては図 1に示す 今回使用したゲル濾過にはセファデック 32 図1 ゲル濾過の原理とスピンカラム

46 図 2 ゲル濾過による 2-ME の除去方法図 3 ゲル濾過による 2-ME の除去の効果 (1) 2.IgM 不活化処理の中和試験への影響 IgM 不活化処理そのものの中和試験への影響を調べるために あらかじめペア血清での抗体価検査で抗体価の動きがなく当該ウイルスの感染直後ではない すなわち IgM を保有しないと推測された血清 (BHV-1:20 検体 PI-3 :15 検体 BRSV :14 検体 BCV :23 検体 BVDV-1: 15 検体 AD-7 :18 検体 合計 :105 検体 ) について IgM 不活化処理を行い IgM 不活化処理前の抗体価との変化を調べ 検体毎に IgM 不活化処理前の抗体価と比較した また 検査項目毎に IgM 不活化処理前後の GMT も変化を調べた 3.IgM 検出法の有効性の評価過去の症例で 当該ウイルスの関与があったもの または関与が疑われた症例について IgM の検出を行い IgM 検出の有用性の評価を行った 結果 1.IgM 不活化処理 2-ME 除去前後の血清を 2 倍段階希釈し細胞に添加しその細胞障害性を比較した 図 3および図 4 にその結果を示した 図中の写真は上から正常細胞 2-ME 除去前の血清 2-ME 除去後の血清それにウイルスによる CPE を示している 図 3では HmLu 細胞 MDBK 細胞 Vero 細胞を 図 4では HRT 細胞 BFM 細胞 BAT 細胞での成績を示している いずれの細胞でも 2-ME 除去前の血清では 16 倍まで希釈しているにも関わらず細胞障害が出ており ウイルスの CPE と区別困難になっている 一方 2-ME 除去後の血清では 希釈が 2 倍であるにも関わらず細胞障害が出ておらず 正常細胞と同様の像を示している 図 4 ゲル濾過による 2-ME の除去の効果 (2) 2.IgM 不活化処理の中和試験への影響 IgM を保有しないと推測された血清における IgM 不活化処理前後の抗体価の比較を表 1にまとめた 検査項目毎に処理前後での GMT 変化 ( 処理後 / 処理前 ) を調べたところ 0.92 ~ 1.0 の範囲であった 全体的にやや抗体価が低く出る傾向がみられた その原因としては ゲル濾過の過程で若干の血清のロスがあることが考えられたが いずれも 10% 以下であり実質的に無視できる程度であると思われた 個々の検体における抗体価の変化は 処理前後で変化がなかったものが 52.4% 1 管上がったものが 10.5% 1 管下がったものが 35.2% で ほとんどの検体が前後 1 管以内に入った これは中和試験における一般的な誤差の範囲と思われた したがって 処理前後で抗体価が2 管以上下がった場合は IgM が不活化されたことによると考えて良いものと思われた 33

47 図 5 IgM 不活化処理の応用例 1 表 1 IgM 不活化処理そのものの中和試験への影響 3.IgM 検出法の有効性の評価図 5は 呼吸器症状を示したホルスタインの成牛の症例で ペア血清での BRSV 抗体の有意な上昇により 牛 RS 病と診断されたものである ( 左グラフ ) この検体に IgM 不活化処理を行ったところ 右グラフのように前血清では5 管もの抗体価の減少 (32 から2 倍未満 ) がみられ 高い IgM 抗体レベルが示唆されている このような例では 仮に後血清がとれなかったような場合でも IgM 不活化処理を行うことにより採血時の直前での感染を裏付けることができると考えられた 図 6は 呼吸器症状を示した和牛 育成牛の例で 病性鑑定で BHV-1 BHV-4 BVDV-1 等の感染が確認され BRCD の状況になっていた症例である 後血清の採取が前血清採取のわずか7 日後であったため 抗体価の上昇は顕著ではなくアデノウイルスの感染については判断に困る状態であった この検体に対して IgM 不活化処理を行ったところ ( 右グラフ ) 前血清 後血清ともに IgM 抗体が示唆され アデノウイルスの感染もあったことが裏付けられた 図 7は 呼吸器症状を示した和牛 子牛の例で 前血清の段階で RSV 抗体価が 2 倍未満だった番号 4 5の2 頭は RS ウイルス簡易検査でも陽性であり さらに後血清で顕著な RS ウイルス抗体の顕著な上昇がみられたため牛 RS 病と診断されていた しかし 同居牛についてはペア血清で抗体価の上昇が顕著でなかったため これら2 頭のみの感染かと考えられた しかし IgM 不活化処理を行ったところ 同居牛にも前血清で IgM 抗体がみられ 牛群全体に RS ウイルスの感染が広がっていたことが示唆された 図 6 IgM 不活化処理の応用例 2 図 7 IgM 不活化処理の応用例 3 考察 IgM は 感染直後に上昇するため IgM の検出により一時点だけ検査でも採血時直前の感染を知ることができる そのため IgM を 2-ME で不活化し 処理前後での抗体価を比較することによって IgM を検出す 34

48 る方法は HI 試験等では一般的に利用されている この方法が 中和試験ではあまり応用されていないのは 通常の検査法では透析により 2-ME を除去しており 1) その方法が煩雑で時間を要することによる マイクロバイオスピンカラムで 2-ME を除去する本法により 中和試験での IgM の検出が非常に容易になり ルーチンの検査として広く応用することが可能になると思われた IgM は 2-ME を除去すると再活性化することが知られており 本法では厳密な IgM の定量ではないと思われるが IgM の有無の判定は可能であり そのことにより採血の直前に感染があったことの推察は十分可能である 病性鑑定の現場では ペア血清が得られなかった例や 前血清の段階で判定したいような場合にしばしば遭遇し そのような場合本法の応用は有効であると考えられた また 本法で用いるカラムやゲルは再生利用も可能であり 安価で簡易な IgM 検出法として病性鑑定現場で定着することが期待される 参考文献 1) ウイルス実験学総論 第二版 p

49 平成25年度獣医学術九州地区学会九州地区獣医師会連合会会長賞受賞 産業動物獣医学会 黒毛和種に発生したキョウチクトウ中毒と オレアンドリンの動態 大分家畜保健衛生所 河 はじめに 泰 三 し イタリアンライグラス等の粗飼料を自家生産し 学名 Nerium indicum ていた 加えて県外の住宅地の道路清掃等で排出 写真 1 は キョウチクト 集草された野草を知人から定期的に受入れ 粗飼料 キョウチクトウ 夾竹桃 Mill. 英名 oleander 野 ウ科の常緑低木で日本全国に分布し 庭の植栽や大 として給餌していた 気汚染に強いことから街路樹などとして広く利用さ れている その反面 強心 利尿等の薬理作用を 有すオレアンドリン olandrin を含有しており その毒性は極めて強く 中毒量を摂取した場合 特 異の心臓症状 疝痛 下痢 運動失調 食欲不振等 を引き起こすとされる しかしながら 症状はどれ も特徴的ではなく 急死によって気づくことが多く 牛での中毒量は乾草葉として 50 / 経口 と 報告されている 1 2011 年 10 月 県内の黒毛和種繁殖農家でキョ ウチクトウ枯葉の混入した粗飼料給餌によるオレア ンドリン中毒事例が発生したので その概要とオレ 発生の経過 発 生 の 経 過 を 図 1 に 示 し た 2011 年 10 月 アンドリンの動態について報告する 13 日の野草給与を皮切りに 翌日から成牛の死亡 が確認された このため開業獣医師による届出を受 け 伝染性疾病または給与飼料に起因する中毒を 疑い 病性鑑定のため立入検査を行った その後も牛の死亡は継続し5日間で子牛1頭を含 む 16 頭が死亡した 死亡牛は野乾草を給餌 運搬した牛舎に限局し 翌日に死亡したものが約半数を占めており 生後月 齢 産歴 妊否等に共通点は認められなかった 発症牛は元気消失 呼吸速拍 沈鬱状態を呈し 死亡牛では天然孔からの出血が認められた また 発生農場の概要 牛舎通路には給与された野乾草が放置されていた 発生農場の概要を表 1に示した 農場は黒毛和 写真 2 種を飼養する繁殖 肥育一貫経営で事故当時 子取 り用雌牛 150 頭 育成牛 15 頭 肥育牛5頭を飼 養していた また 肉用牛経営に加え 水稲や花 卉の生産 飲食店を営むなど複合経営農家であっ た 飼料は配合飼料とオーツヘイを JA 等から購入 36

50 成績 1. 病理学的検査剖検並びに組織所見を表 -3に示した 材料及び方法 病性鑑定の材料は 死亡した成牛 2 頭並びに同居牛の血液 23 頭延べ 46 検体を供試した 病理学的検査は 剖検後 主要臓器並びに第 1 胃 第 4 胃 小腸 大腸 膀胱を採材し 10% 中性ホルマリン固定後 定法に従い HE 染色を施し鏡検した 細菌学的検査は 5% 羊血液加寒天培地 DHL 寒天培地 卵黄加 CW 寒天培地 ES サルモネラⅡ 寒天培地を用い 好気 嫌気にて分離培養した 血液生化学検査は 多項目自動血球数計数装置 (SYSMEX K-4500) 乾式臨床化学分析装置( 富士 DRY CHEM 5500V) を用い 一般血球数等並びに血清中の各種酵素 BUN Ca 値を測定した 飼料検査は 給与した粗飼料を用い目視にて構成 ( 混入 ) する内容物 ( 野草 落葉等 ) を分類 同定し それらの含有量を調査した オレアンドリンの分析は 第 1 胃内容物を材料に定性分析として薄層クロマトグラフィーを 血清を材料に定量分析として液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS/MS) 法で行った なお その分析は独立行政法人動物衛生研究所に依頼した ( 表 -2) 1) 剖検所見 2 頭に共通して天然孔からの出血 心臓 肺 腎臓 小腸及び膀胱粘膜面の顕著な出血を確認した また 供試牛 No.2 では第 1 胃粘膜面でも出血が認められた ( 写真 -3) 2) 組織所見 2 頭に共通して脾臓 腎臓に出血病変 その他の臓器 器官でもそれぞれ出血病変が確認された ( 写真 -4) また 供試牛 No.2 では 肝臓に大型桿菌の増殖と空胞変性が認められた 37

51 4. 同居牛の血液検査同居牛の 11 頭の血液検査成績を表 -6に示した 赤血球数が 628 ~ 1, /µl 平均 935 ± /µl(n=11) Ht 値が 15.7 ~ 65.3% 平均 46.3 ± 13.1%(n=11) と上昇し 脱水症状を呈していた また 白血球数も増加傾向 (68 ~ 2, /µl 平均 ± /µl(n=11)) にあった なお 白血球数の著しく増加した成牛 10 号については 詳細検査の結果 牛白血病と診断した 血清生化学検査では 乳酸脱水素酵素 (LDH) が (1,590 ~ 9,140U/1 平均 2,862 ± 2,122U/1 (n=11)) クレアチンホスフォキナーゼ(CPK) が 48 ~ 815U/1 平均 251 ± 272U/1(n=11) と著しく上昇し 心筋や骨格筋損傷を反映した所見が認められた 尿素態窒素 (BUN) 値やカルシウム (Ca) 値に 変化は認められなかった 2. 細菌学的検査細菌学的検査成績を表 -4に示した 死亡牛の末梢血を用いたアスコリー反応は陰性で炭疽を否定した 一方 死亡牛の末梢血直接塗抹標本でグラム陽性大型桿菌を確認し また 肝臓から Clostridium Perfringens を分離した 小腸内容では E.coli と Clostridium Perfringens の増殖が認められた 3. 同居牛の臨床所見症状同居牛 11 頭の臨床所見を表 -5に示した 同居牛の多くに共通して 顕著な活力低下 体温 ( 皮温 ) 低下 脈拍亢進が認められた 発症牛は虚脱状態にあり 採材直後に死亡したものもあり その後 5 日間で 11 頭のうち4 頭が死亡した 5. 飼料検査成績県外の住宅地で採取され 当該農場で給与されたキョウチクトウの混入した野乾草飼料を写真 - 5に示した 野乾草の構成を調査した結果 下草として刈られた植物が優勢しており 併せて植栽樹木剪定後の枝葉や落葉を収集したものが混在していることを確認した 下草として刈られた植物は イネ科メリケンカルカヤ属のメリケンカルカヤ イネ科ススキ属のススキ イネ科メヒシバ属のメヒシバ イネ科メヒシバ属のアキメヒシバ マメ科ミヤコグサ属のミヤコグサ バラ科キジムシロ属のオヘビイチゴ キク科アキノキリンクサ属のセイタカアワダチソウ トクサ科トクサ属のスギナ タデ科ギシギシ属のエゾノギシギシであった 植栽樹木の剪定後枝葉や落葉として収集された 38

52 植物は ヒノキ科エンズミサシ属のカイズカイブキ メギ科ヒイラギナンテン属のヒイラギナンテン バラ科シャリンバイ属のシャリンバイ キョウチクトウ科キョウチクトウ属のキョウチクトウであった キョウチクトウは全て乾燥した枯葉の状態で 落葉後に下草等と一緒に収集されたものと推察された その含有割合は 部分的に偏りがあり 1.7 ~ 9.0% であった また その混在の様子はこれをもとに 野乾草 10kg相当に換算した場合 キョウチクトウの枯葉が 173.3g ~ 898.1g 含まれていたものと推測された このことは 体重 500kgの成牛の致死量 (50mg / kg 25g/500kg ) に比較して約 7 ~ 36 倍の極めて高い割合で摂取した可能性が示唆された ( 表 - 7 ) 2に示した キョウチクトウを誤食して数時間から一日後に採血した個体の平均値は 13.1ng/ ml(n=13) であった 特に立入り検査時に虚脱状態にあり後に死亡が確認された個体の平均値は 16.1ng/ml(n=6) と 耐過した牛より高い傾向にあった その後 血中オレアンドリン濃度は臨床症状の改善とともに経時的に低下したものの 10 日後の時点でも 0.4ng/ml(n=11) の値が検出され これまでの報告にあるとおり毒素が完全消失するまでに 時間を要することが改めて示唆された 6. 胃内容物検査成績剖検した牛の第 1 胃内容物からキョウチクトウ枯葉の断片を検出した ( 写真 -6) が 定性分析ではオレアンドリンは検出されなかった しかしながら キョウチクトウ葉が検出されたことから 本事例をキョウチクトウ中毒と診断した 7. 血中オレアンドリンの動態オレアンドリン血中濃度の経時的推移を図 - 対策 キョウチクトウ中毒の対策として 原因物質の除去 臨床症状の悪化した個体の摘発と対症療法を即時に行った 原因物質の除去は 野乾草の給与を即時停止するとともに 餌槽外や牛床 通路に散乱した枯葉の徹底除去と清掃を指示した 臨床症状の悪化した個体の摘発は 心音聴診 心拍数測定 体温測定 血液検査所見を臨床獣医師と共に経日的にモニタリングし その結果を参考に治療の優先順位 治療内容と予後の判定を行った 治療は 体内からの毒素の排泄促進と全身症状改善を主目的に対症療法を行った 体内からの毒素の排泄促進には 毒素吸着作用を有する薬用炭を成牛 39

53 1 頭あたり 50g/ 日を連日経口投与した また 代謝 解毒機能促進のため強肝剤を投与した 全身症状の改善は 脱水症状緩和のため 程度に応じて補液量を加減しながらを連日行った 補液に際しては 心臓への負担を考慮して最小限とするよう等張リンゲル液を用いた 併せて 死亡牛から C.Perfringens が分離されたことも考慮し アンピシリン系抗生物質の予防的投与も行った その後 妊娠牛への影響を調査するため 事故から約一月が経過した時点で 流死産の状況を調査するための妊娠診断を行った 予後経過と経済的損失 対策の結果 虚脱 脱水 心拍数の上昇を呈するも耐過した個体は日ごとに症状が改善し 脱水等に連動して上昇したと考えられる Ht 値 血中 BUN 値も徐々に低下した この間 日数として 10 日を要し 治療頭数は成牛延べ 71 頭 子牛延べ 12 頭に達した しかしながら LDH 値の高値は持続し 死亡牛の剖検でも認められたように心臓に対する損傷が想像以上に大きかったことが推測された ( 図 -3) 妊娠牛 25 頭への影響を調査した結果 1 頭が事故後に流産した可能性があることが確認された 今回の中毒事故に伴う被害状況を 牛の死亡に伴う損失額 診療費 妊娠牛死亡による将来的な子牛販売利益の損失額から推計した 死亡牛の損失は 1 頭ごとの導入価格と共用年数から事故発生時の資産額として評価した結果 3,756 千円にのぼった 診療費は 家畜共済の診療点数を用い算出した結果 298 千円となった 将来的な子牛販売利益の損失は 妊娠牛頭数と当該農場の直近の子牛市場平均売買価格から算出した結果 3,740 千円となり これらを合計したところ 7,794 千円が直接的な損失額と推計された 加えて 今後の育成牛等の導入経 費を考慮すると 最終的には 13,000 千円以上の甚大な被害になることが試算された まとめ及び考察 県内の黒毛和種繁殖農家で 成牛の多頭 急死事例が発生した 同居牛を含め発生時の臨床症状とキョウチクトウの混入した粗飼料給与の事実が明確となったことから 事例をキョウチクトウ中毒と診断した 発生時の臨床症状や検査成績は成書に記載されたものと同様で 心悸亢進 急死 出血病変が主徴として確認された 発症牛はキョウチクトウの混入した粗飼料を量的にどの程度摂取したかについては不明であったが 粗飼料中に混入したキョウチクトウ葉の含有量から 死亡牛は致死量の数十倍のキョウチクトウ葉を摂取した可能性が示唆された 血中オレアンドリン値は キョウチクトウを摂取して数時間後から急速に濃度が上昇すること 死亡した個体は耐過した個体に比べ高い傾向にあることが確認された その後の血中動態は経時的に減少するものの 10 日たった時点でも毒素が完全に消失していないことも判明した 今回の事例は偶発的なものであったため 生死を分けた要因を断定するまでには至らなかったが キョウチクトウの摂取量や個体ごとの感受性の違いが関与しているのではないかと推察した 一方 剖検した2 頭の胃内容物からオレアンドリンの検出を試みたが オレアンドリンは検出されなかった その要因については不明であるが 病性鑑定時に採材したサンプルが膨大な第 1 胃内容のごく一部であったこと それに伴って採取した部位または材料中のオレアンドリンが定性分析の検出限界以下であったことなどが要因として考えられた 事故の発生は 繁殖農家の財産である子取り用雌牛を一度に多数失うとともに その後の流産と妊娠牛の死亡による 子牛生産に大きな損失を与え 農家経営に大きな経済的被害をもたらした また 加療により回復したものも多く認められたが 生体に大きなダメージを与えた個体もあり 継続した監視の必要性が示唆された 昨今の肉用牛を取り巻く情勢は飼料価格の高騰など 依然として厳しい状況下にあり 生産性の向上と生産コストの削減が求められている こうした中 コスト削減の一手法として安価な飼料を利用することが多く 本事例と同様に野草を粗飼料として利用するケースが増加傾向にある 野草の利用は 有毒 40

54 植物の混入をはじめ注意する点が多くあり 今回の事例からあらためて その利用方法について注意喚起を図る必要性が強く示唆された 謝辞 オレアンドリン分析にご尽力頂いた独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所山中典子先生並びに粗飼料を構成する植物の鑑定にご尽力頂いたNPO 法人大分生物多様性保存センターの諸氏に深謝します 参考文献 1:Namera, A. et al Jpn. J. Legal Med. 51: : 宮崎茂動物衛生研究成果情報,NO.1, p39-40(2002) 41

55 産業動物論文 子牛の毛包虫症に関する調査報告 ゆふいん動物病院立川文雄 毛包虫症は現代 5000 種類が存在するとされ 節足動物門鋏角亜門クモ網ダニ目ケダニ亜科ニキビダニ科ニキビダニ属ニキビダニであり 人間では 2 種類のニキビダニが異なった寄生部位に寄生し終生ヒトを固有宿主として寄生し 母親から新生児への頬ずり等により感染が成立している 病原性については賛否両論がある 感染虫のステージは毛穴の外を徘徊する若ダニのステージと考えられている 牛毛包虫では どのステージのダニが感染しているか解明されていないが感染時期は人間同様に新生児時に感染していると考えられている また 子牛段階では皮膚の毛包に感染しても丘疹 結節として現れ掻痒感はないとされるが細菌 真菌などの二次感染により症状が複雑化する 毛包虫 10 種類の生息地の概略図を示したが種類により毛包 皮脂腺 マイボーム腺などに寄生し上皮細胞や皮脂を餌に生活している ヒトの場合は皮脂を餌にしているため美容に良いといわれ二次感染が併発しない限り治療されない 別の見方ではほとんどのヒトにすでに感染しているとも言われている 小動物においては通常は片利寄生で二次感染により治療対象となるが 牛毛包虫 (Demodex bovis) は市場性や販売後のクレームなどの関係により治療範囲が拡大する 材料と方法 材料は家畜市場前の子牛疫学調査として毛包虫体図 発症状況 発生時期 発生個所 発育ステージと計測値 BLV 抗体検査 発病牛の系統皮膚からの採取 形態的比較 母子感染と要因方法は痂疲並びに毛包の鋭匙による採材と虫体鏡検症状と治療で5 症例とアベルメクチン系駆虫薬の効果と薬価の比較検討 42

56 毛包虫各部の名称 雄成ダニ 雌成ダニ 腹部 交尾器 脚 腹部 疑胸部 陰門 顎体 毛包虫の各部の名称では雄成ダニは雌成ダニより体長 幅ともに大きく擬胸部に交尾器がある 子牛毛包虫症の発生状況 図1年間の毛包虫発生状状況ですが黄色の線が気温 で 棒グラフの赤い部分が発病頭数で気温の上昇とと もに結節症状等の増加がみられた 6月から9月の アブ サシバエなど発生時期の吸 血痕も毛包虫症の結節と似ており飼育環境によって差 があり牛舎内でも観察され また 牧野の放牧牛全頭 に結節症状が観察される場合がある アブ サシバエ などの吸血昆虫にも数種類あり農家により発生状況に 差があり飼育環境や農家の意識により異なる 図1 アブ サシバエについては他にも数種類あり牛舎内 Tabanus Stomoxys chrysurus calcitrans 牧野 時季で種類が異なる 毛包虫症発病時期 子牛発病時期ですが図2では 120 日齢から観察 され市場前の 210 日 260 日に多く見られ離乳時期 から市場前の飼料多給などストレスが考えられる 成 牛では発情 分娩なども発病の要因となる 図3 一つの毛包からの採材でプレパラートの黄色 い円で囲んでいるのが虫体となり この2か所で虫卵 虫体数で 1,044 個観察され雄成ダニの存在により虫 卵が多く観察された 図2 43

57 図 3 図 4 発育ステージでは全のステージが観察され 卵期: 卵膜は透明で内部には無定形な顆粒様物質を含み発育とともに卵内に頭部が形成され始め腹部の伸長を見る 幼ダニ期 : 孵出した虫体は先端に口器形成し尾部は伸長する 前若ダニ期 : 顎体部に区節を生じ尾部は伸長し体内に成虫形成が始まり 発育とともに触脚及び擬胸部が明瞭となる 若ダニ期 : 擬胸部に褶壁を形成し4 対の棘状の脚を認め尾部に環節に似た横輪がみられ成長し脱皮する 成虫期 : 顎体部は発達し胸肋甲板間溝も明瞭となり擬胸部 腹尾部の区節に横輪に褶壁を形成 雌成ダニ : 脱皮直後は被膜に覆われ経過とともに消失する その後腹部に虫卵と見られる球状物を形成する 雄成ダニ : 雌成ダニに比べ体長 幅ともに大きく擬胸部に交尾器を見る 図 4 44

58 毛包虫症発症牛の系統 図 5 Y 地区の系統を見ると但馬 気高 糸桜系の組み合わせで分け 父 祖父 祖々父の三代層を調べ それぞれの比率を見たものですが系統的に特徴的な流れはみられなかった 子牛白血病抗体調査 犬 猫では白血病等の感染で毛包虫症発病に関係があるといわれており 表 1 毛包虫症発症子牛による牛図 5 白血病の因果関係の有無について抗体検査を実施したが No11 が陽性のみで牛白血病の関与は考えられなかった 表 1 発生形態 表 2 発生形態ですが雄子牛 51% 雌子牛 48% で発病し雌雄の差はなく ヒトでは女性より男性のほうが多く若者より高齢者に多い 小動物では若齢型 成犬型に分類される 牛では子牛に多く成牛では少く 成牛の治療では再発しやすく後天的免疫異常や基表 2 礎疾患の関与が考えられる 痂疲内の毛包虫数 0 ~ 79 個とほとんどの個体から検出された 発性戸数では Y 地区で 30 戸中 19 戸 S 地区では 68 戸中 22 戸の農家で発病がみられた 表 3 検出頻度 毛包虫検出頻度 表 3ですが 体表面 10cm 10cm 面積当たり1~ 30 個の結節を確認した また 毛包からの材料では 10 検体中 2 個の毛包虫が検出されたがほとんどの毛包から虫体は視られなかった また 虫体検出は結節幅 15mm以上の結節からであった 毛包虫の計測的所見 表 4 成牛の毛包虫ライフサイクルでの体長 幅は雄成ダニの有無などにより差がある 同じ生体で別々の結節から採取した材料でも雄成ダニの寄生している結節では Natting(1971) 2) の記載に一致する形態や大きさが観察され 雄成ダニの寄生が見られない毛包虫のライフステージでは体長 幅ともに小さいことが観察された 45

59 表 4 雄成ダニ有無による発育ステージを見ると No1 ~ No5 は毛包内に雄成ダニが存在し繁殖が盛んで虫卵が多く ステージを点線で示したが No6の雄成ダニが存在しないと虫卵数も左肩下がりの発育ステージであった 毛包虫の発育期間はヒト 14 日間 犬で 12 日間 牛で 24 日間とされ雄は雌と交尾後に数日で死滅すると考えられている 図 6 痂疲は 図 6 毛包の丘疹から始まり結節となり痂疲を形成する 結節内の毛包虫の交尾により虫体の繁殖により毛包内に住めず機械的に排出されるか 生体の免疫反応により虫体が漿液とともに排出され痂疲を形成するか定かではないが痂疲内には高率に毛包虫が観察される 表 5 表 5 痂皮内の計測値では 毛包内の虫体の大きさに比較して全てのステージで小さく 16.5% の縮小傾向が見られた また 痂皮 20 検体中 19 検体より虫体が見られ 1 痂皮あたり0 ~ 79 個の虫体を確認した 下のグラフの雄成ダニの存在のわりに虫卵 幼ダニ 若ダニが減少し生活環が見られない 46

60 痂疲内毛包虫 通常毛包虫は湿度 40% 気温 20 度で 45 分から1 時間しか生存できないとされており 図 7 試験的に痂疲採取し室温で 30 日間放置し鏡検すると変質もなく観察されたが これら虫体は漿液に封入された状態ですでに死滅していると考えられる 図 7 左の雌成ダニ 虫卵 雄成ダニ 図 8 小動物の分野では体表を移動する Demodex gatoi などの若ダニ 成虫が確認されているが 子牛についても調査した 子牛皮膚の結節が多く認められる病巣部をブラッシングして角質などを採取し材料としA~ C は 10%KOH 滴下した後 D~Eはミネラルオイルを滴下した後鏡検した 発育ステージの中で図 8 雌成ダニが観察され小型の虫体も観察された 図 9 形態比較 形態的比較から毛包内の図 9 雌成ダニよりも角質や体表面のブラッシングにより採取した小型毛包虫は新種の毛包虫なのか それとも外気に触れることにより虫体が縮小する傾向があるのか これらを調査する必要がある 小動物では角質に存在する毛包虫は体長が短い種類が確認されている 47

61 表 6 痂疲内発育ステージと検出数 表 6 毛包からの D.vovis の検出率は少ないが 表には痂皮 10 材料で標記しているが検査は 20 検体検査し そのうち 19 検体で D.vovis が検出された また 痂皮虫では高率に雄成ダニが認められた 好酸球の推移 図 10 毛包虫とアレルギーの関係について好酸球検査値について No3 がやや高値を示したがアレルギー及び毛包虫症による好酸球増加は考えられなかった 表 7 図 10 母子感染 母子感染については生後 2 日目より感染が成立されるとされているが 分娩後 1 週間母乳に付けその後離乳した子牛で毛包虫症の感染を確認しており 表 7 分娩後の感染について調べてみた 検体母牛は前年度も子牛毛包虫症が発症した母牛を選び分娩 4 日目から 20 日目までの母牛 子牛について頸部 乳房などブラッシングして採取した鱗屑を 20% KOH にて溶解し1 時間後に鏡検したが虫体は観察できなかった また 検査した母牛も体表面の結節等は確認できなかった 感染率 図 11 母子感染率について同じ母牛から一産目 二産目と同じ症状を発症したものは 68% であった 感染要因 母子感染要因では 図 12 棒グラフが子牛の毛包虫感染頭数で 折れ線グラフが降水量で 2011 年の6 月 2012 年の7 月と降水量の多い時期には毛包虫の感染がなく 逆に降水量の少ない時期には感染の増加が見られた 図 11 48

62 図 12 症状発生箇所 症状発生個所ですが 図 13 頭部 15% 頸部 67% 肩 13% で9 割を占め 全身その他 5% であったが多岐にわたる症状が観察された 図 13 最も多く見られる症状 毛包虫症の症状で最も多く見られる頸部の結節症状と 希に診られる全身症状で 目視で仮診断できるが 診断しづらい5 症例について報告する 49

63 症例 1 慢性化した肩甲骨上部の脱毛と皮膚の苔癬化 掻痒感なく 角化亢進し象皮病に似ており わひ こせ と言われる症状で 鋭匙により採材し虫卵 若ダニ 雌成ダニを確認した その後患畜は牛白血病に感染していたため治療は行なわなかった 症例 2 子牛市場より購入後 耳裏側の脱毛確認 角質の異常に伴う鱗屑と小結節 掻痒感はなく患部掻把により雌成ダニ確認 イベルメクチンの皮下投与行った 治療 30 日目に発毛 鱗屑消失し治癒確認した 症例 3 一見 疥癬症と見間違える症状で 尾根部の矢印の脱毛 鱗屑掻痒感なく患部の掻把検査により雌成ダニを確認しイベルメクチン注を皮下注射し 30 日目に治癒を確認した 症例 4 胸垂上部で 30cm 20cmの脱毛があり被毛は裂毛で 皮膚はやや苔癬化 並びに肥厚し小さな結節が触診された 部のブラッシングにより採材し雌成ダニ確認 治療はエプリノメクチンの患部塗布 初診時から 30 日後 患部発毛し苔癬化も改善し治癒を確認した 50

64 症例5は 両頸部に点状に広がった境界明瞭な灰色の環状病変 と下顎に結節多数見られ 検査はモスキートにより環状病変部 より採取し鏡検 雌成ダニ 真菌を確認 ドラメクチン皮下注 とナナフロシン塗布 治療 21 目に環状病変と 結節が消失し治癒 毛包虫 症と皮膚真菌症の合併症で あり真菌症の早期治癒が望 めた 表8 治療と注射痕 注射痕と治癒期間を表8に示したが治癒期間 注射痕の 消失期間の短いドラメクチン注 イベルメクチン注 イベ ルメクチン PO の順であった 家畜市場前に使用する場合 ドラメクチンが最も治癒期間 注射痕とともに安定し注射 時にも疼痛感が少なく 特に冬場 使用できる 今後フル メトリン製剤も使用方法を検討することによりこれまでの 薬剤ように効果が期待できと考えられる 経費 表9 経費面では安価な順でイベルメクチン PO イベ ルメクチン注 ドラメクチン注で 休薬期間はドラメクチ 表9 ンが 70 日で最長であった 結果 1 毛包虫症は気温上昇とともに毛包虫症が増加傾向にあ り 離乳期から市場前に多発する 2 毛包の結節幅 15 以上で毛包虫が検出された 3 痂皮からは虫体検出率が高く毛包虫の診断に利用可能 4 痂皮から高率に雄成ダニが認められるが繁殖経過がな く虫体は死滅している 5 母子感染率は約7割で降水量が多い時季には感染がなく降水量の少ない時期に感染が多い 6 体表ブラッシングにより皮膚表面を徘徊する毛包虫を確認した 7 牛毛包虫症は結節症状だけでなく二次感染で症状が複雑化する 8 治療は個体の治療期間 薬剤休薬期間と経費を選択する 考察 毛包虫症は 近年増加傾向にあり若牛では自然治癒するものもあり軽視されてきた しかし 多伎にわた る症状や二次感染など複雑化し 経済的損出や蔓延が危惧される 予防面では市場前 200 日齢が有効と考 えられるが6月から9月の有害昆虫の刺創による結節症状も毛包虫症と似ているためこの時期での症状には 鑑別が必要である これら鑑別においても特別な検査器具も必要とせず短時間で検査でき原因究明と早期治 療によりアニマルウェルフェアの向上と経済損出の減少に努めなければならないと考える 51

65 豚流行性下痢ウイルスの関与を疑う事例に関する一考察 大分家畜保健衛生所壁村光恵 はじめに 豚流行性下痢 (PED) は過去 13 都道府県で確認されているが 2006 年を最後に国内での報告はない ( 表 1) その多くは発生規模が大きく 発症哺乳豚の死亡率が 70% に及ぶ事例も報告されている 県内では 過去 PED は確認されていなかったが 今回 PEDV の関与を疑う下痢症に遭遇したので 疫学調査と併せて報告する ⑶ 細菌学的検査 : 有意菌の分離は陰性であった ⑷ウイルス学的検査 :PEDV 特異遺伝子が No.1 No.2 の空腸内容 No.1 の直腸内容から検出された ウイルス分離は陰性であった ⑸ 遺伝子解析 : 検出された PEDV 特異遺伝子の同定と 過去症例由来株である NK94P6 株 ( 標準株 ) Nワクチン株 (N 株 ) Kワクチン株 (K 株 ) 3 株との比較を目的に Kim ら Park らの報告に基づき遺伝子解析を実施した 1 病原性に関与するとされるS 遺伝子領域 : 本症例株と対照株間の相同率は 標準株 97.3% N 株 97.4% K 株 99.7% であったことから 本症例株を PEDV と同定した ( 表 2) 病性鑑定 当該農場 (A 農場 ) は母豚 100 頭を飼養する一貫経営で PEDV ワクチンは未実施であり 半年以上 導入はない 2011 年の3 月から4 月に離乳豚の約半数で下痢が確認されたため 4 月に 水様性下痢を呈する 30 日齢 (No.1) 40 日齢 (No.2) の離乳豚 2 頭について病性鑑定を実施した なお この間 死亡豚は確認されていない 病性鑑定では 病理解剖 病理組織学的検査 細菌学的検査を定法により実施した ウイルス学的検査では 空腸内容 直腸内容を用い PEDV 豚伝染性胃腸炎ウイルス 豚ロタウイルスについて RT- PCR 簡易キット ウイルス分離による抗原検索を実施した ⑴ 病理解剖 : 著変なし No.1 No.2 ともに PED に特徴的な小腸壁の菲薄化は確認されなかった ⑵ 病理組織学的検査 : 結腸において慢性腸炎像と考えられる 腸絨毛の萎縮が確認された 2 ORF3 遺伝子領域 : 本症例株にワクチン株と同様の欠失は確認されず ワクチン株と異なる株であることが確認された 以上の検査成績から PEDV の関与を疑う下痢症と診断した また 本症例株は過去と同様の PEDV 野外株であると考察した 疫学調査 県内の PEDV 浸潤状況調査を PEDV ワクチン未実施のA 農場 (2006 ~ 2012) および県内 15 農場 (2005 ~ 2010) の 60 日齢以上の豚を対象に実施した 材料は 肉豚血清 1,605 検体 (A 農場 186 検体 15 農場 1,419 検体 ) 母豚血清 209 検体 (A 農場 15 農場 ) を用いた ( 表 3) これらの検体を供試し 標準株を用い PEDV 中和試験による抗体検査を実 52

66 施し 抗体価 2 倍以上を陽性と判定した ⑴ 肉豚 1A 農場 (186 検体 ):21 検体が陽性 ( 抗体価 2~ 32 倍 ) で 2008 年 2009 年を除いて抗体陽性豚が確認された ( 表 4) 2 15 農場 (1,419 検体 ):274 検体が陽性 ( 抗体価 2~ 128 倍 ) 2005 ~ 2010 年の過去 6 年間 すべての農場で抗体陽性豚が確認された ( 表 5 図 1) ⑵ 母豚 (209 検体 ):42 検体が陽性で うち抗体価 16 倍以上のものは 1 農場 8 検体のみであった ( 表 6 図 1) 疫学調査の結果 A 農場で過去 5 年間 抗体陽性豚が確認された また 県内 15 農場で過去 6 年間 抗体陽性豚が確認された 被験血清はすべてワクチン未実施農場の 60 日齢以上の豚由来であることから 移行抗体ではなく野外感染抗体と考えられ 過去 6 年間 県内への PEDV 浸潤と農場への常在化が示唆された また PEDV 感染防御可能な抗体価 16 倍以上を保有する母豚は わずか1 農場 8 検体のみで PEDV 防御能は不十分であることが示唆された 総括 本症例株は 過去と同様の PEDV 野外株であると考察した また 県内への過去 6 年間の PEDV 浸潤が示唆された しかし 今回調査した母豚群の PEDV 防御能は不十分であり さらに 県内養豚場での PEDV ワクチンは未実施で 全国的な接種率も 10 ~ 20% といわれている このことから 若齢豚に感染が及んだ場合 過去の発生事例のような甚大な被害が危惧される 2006 年以降 PED の大規模発生は確認されていないが 今後も注視が必要な感染症と考える 53

67 黒毛和種における牛白血病の経乳感染防除に 向けた完全人工哺育の有効性の検討 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 株 微生物化学研究所 大分家畜保健衛生所 大分県農林水産研究指導センター畜産研究部 要 安 倉 首 長 藤 達 原 藤 岡 田 貴 洋 健 達 聡 美 三 朗 男 旨 本研究は 黒毛和種における地方病性牛白血病の経乳感染防除対策の確立を目的としている 今回 母牛 からの初乳摂取の有無および母子分離日齢 分娩時の母牛血中牛白血病プロウイルス BLPV 遺伝子量の 違いによる牛白血病ウイルス BLV の母子感染発生リスクについて検証を行い その結果をもとに経乳感 染防除を目的とした完全人工哺育技術の確立に向けた検討を行った 1. 分娩時に母牛の血中 BLPV 遺伝子量が 2000 コピー /10ngDNA を超えて増殖している場合は 母子 感染発生リスクが高くなる可能性が示唆された 2. 母牛の初乳を与えずに完全人工哺育を行うことで 母子感染発生リスクを低減できる可能性が示唆さ れた 3. 市販の初乳粉末製品 初乳サプリメント 代用乳給与等により 完全人工哺育でも良好な発育が得られた 以上の結果から BLV の経乳感染防除には市販の初乳粉末製品等を用いた完全人工哺育技術が有効であ り 現場での牛白血病蔓延防止対策の一つとして活用可能であると考えた キーワード BLV経乳感染 BLPV遺伝子量 初乳粉末製品 完全人工哺育 背景および目的 感染牛の乳汁中には BLV 感染リンパ球が含まれ BLV による感染性疾病である地方病性牛白血病 ることから感染源となり 適切な凍結や加温処理に は 経乳感染 胎盤感染 アブやサシバエなどの吸 よりウイルスは不活化され経乳感染を防除できる 2 血昆虫による媒介など感染様式が多様であることか ことが知られているが 肉用牛繁殖農家においてこ ら現場での蔓延防止対策に苦慮しており 近年全 れは一般的に行える手法ではない 1) 国的に発生頭数が増加し 大分県内でも発生の多い 状況が続いている 図1 そこで 今回我々は黒毛和種における母牛からの 初乳摂取の有無および母子分離日齢 分娩時の母牛 血中 BLPV 遺伝子量の違いによる BLV 母子感染発 生リスクについて検証を行い その結果から 経乳 感染防除を目的に市販の初乳粉末製品や代用乳等を 活用した完全人工哺育技術の確立に向けた検討を 行ったので報告する 材料および方法 試験1 当研究部内で分娩した延べ 51 組の BLV 感染母牛およびその産子について 母牛初乳摂取後 3日齢で母子分離した [ 初乳 母3日 区 母牛 54

68 初乳摂取後速やかに母子分離した 初乳 母1日 結果 試験1 BLV 感染母牛の産子の感染頭数は [ 初 区 母牛初乳未摂取で母子分離した 初乳 母0日 区に分け 分娩時の母牛および生後約7日齢での産 乳 母3日 区で 24 頭中8頭 33.3% 初乳 子の血中 BLPV 遺伝子量をリアルタイム PCR 法に 母1日 区で 14 頭中3頭 21.4% 初乳 より検出し 母子感染の成立状況を調査した 母0日 区で 13 頭中0頭 0% であった 表1 試験2 当研究部内で分娩し初乳未摂取で母子分 また 感染子牛はすべて分娩時の血中 BLPV 遺伝 離した子牛計 22 頭 雄8頭 雌 14 頭 について 子量が 2000 コピー /10ngDNA 以上の母牛の産子 完全人工哺育を行い 発育調査を実施した で 感染頭数は同順に8頭中8頭 100% 4頭 分娩時には分娩予知通報システム 牛温恵 リモート ) を活用して確実に分娩に立ち会った 出 中3頭 75.0% 3頭中0頭 0% であった 表 1カッコ内 生子牛はしばらく母牛に舐めさせた後 哺乳意欲を 示し始めたら母子分離し 速やかに 生後2時間以 内 初乳粉末製品 ヘッドスタート バイエル薬品 2袋および初乳サプリメント ノックアウト 99 IMMUCELL 社 1本をストマックチューブにより 強制給与した 代用乳はカーフトップ EX ブラック 全国酪農業協同組合連合会 を用いた高蛋白 低 脂肪の強化哺育体系とし 生後約2週齢までカーフ ハッチ内 以降は哺乳ロボットによる哺乳を行い約 試験2 母牛の初乳未摂取で母子分離し完全人工 3ヶ月齢で離乳した 人工乳 育成期用飼料 乾草 哺育を行った子牛の8ヶ月齢までの体重増加の推移 については県の子牛飼養管理マニュアルに準じた標 は県の子牛飼養管理マニュアルの標準値と比較して 準的な給与法 図2 駆虫 ワクチン接種等は当 も差はなく 表2 疾病の増加等も認められなかっ 研究部で通常行っているプログラム 図3 で実施 た し 生後8ヶ月齢までの発育状況を調査した 考察 今回 試験1で調査を行った BLV 感染母牛およ びその産子延べ 51 組中 11 組で母子感染の発生 が認められた BLV の母子感染経路の一つに胎盤 感染があるが この感染率は数 % 程度と言われて いる 3 一方 Lassauzet らは感染牛の初乳中に は抗 BLV 抗体が含まれていることから子牛への感 染の可能性は低いと報告している 4 が これは調 査時の母牛の血中 BLPV 遺伝子量等には着目して いない 今回の調査で感染が認められた子牛はす べて分娩時の血中 BLPV 遺伝子量が 2000 コピー /10ngDNA 以上の母牛の産子であり 母牛の血中 BLPV 遺伝子量が本レベルを超えて増殖している場 合は母子感染発生のリスクが高くなる可能性が示唆 された また 感染が経乳感染と胎盤感染のいずれ 55

69 によるものかは判定できなかったものの [ 初乳 -, 母 0 日 ] 区の産子では母牛血中 BLPV 遺伝子量の増加に関わらず感染は認められず [ 初乳 +, 母 3 日 ] 区 [ 初乳 +, 母 1 日 ] 区ではいずれも高率に感染が認められたことから 血中 BLPV 遺伝子量が増加した母牛の初乳を 子牛が腸管のピノサイトーシスによる吸収能が十分発揮される早期に哺乳することで感染率が高まるのではないかと推察した また これらの結果を受け実施した試験 2では 母牛の初乳未摂取でも 脂肪分の高い初乳粉末製品 初乳サプリメント 高蛋白 低脂肪の強化哺育体系代用乳の給与や駆虫 ワクチンプログラムの徹底等により 標準的な子牛の発育が得られることが示された 以上の結果から BLV の経乳感染防除に向けた子牛の完全人工哺育技術の有効性が示され 現場での牛白血病蔓延防止対策の一つとして活用可能であると考えた 引用文献 1) 村上賢二ほか : 我が国の地方病性牛白血病の発生動向と対策, 日獣会誌,62(7), (2009) 2) 今内覚ほか : 増加している牛白血病, 北獣会誌, 56, (2004) 3) 清水悠紀臣ほか : 動物の感染症, 初版, , 近代出版, 東京 (2002) 4)Lassauzet,M.L.,et.al.:Protection of Colostral. Antibodies Against bovine leukemia virus infection in calves on a California dairy. Can J. Vet Res, 53, (1989) 56

70 黄色ブドウ球菌による乳房炎の 効率的な検査方法の検討 豊後大野家畜保健衛生所 山 田 倫 史 はじめに 黄色ブドウ球菌 SA による牛の乳房炎は その産生毒素等より急性症状を呈するが 多くは潜在性ま たは慢性の経過をとるため経済的損失が大きい SA の感染による乳房炎 SA 感染牛 の検査方法は 平 板寒天を用いた検査が一般的であるが 多検体の処理や間欠的に少量を排菌する潜在性乳房炎の摘発には十 分ではないため SA 感染牛を効率的に診断する検査方法として ELISA 法と増菌培養法について検討した ので報告する 図 1 方法 1 ELISA法の検討 SA の ELISA 法は 2002 年庭野らは Wood46 株のホ ルマリン死菌液を用いて実施したところ 乳房炎歴のある個 体に対して OD 値が高値を示す傾向があると報告している 今回は この庭野ら方法を改良し 実際の乳房炎分離個体の 成績と比較するとともに その特異性を向上するための検討 を行った ①固相抗原及び検体 血清 の希釈率の検討 図 2 固相抗原は ATCC29213 株を用いホルマリン固定後 620nm にて OD 値 1.0 に調整し 10 1,000 倍までの 10 倍希釈で供試し 血清は SA の乳房炎罹患牛の血清 2 検体と黒毛和種子牛去勢の血清 2 検体を用いて 40 倍 320 倍までの 2 倍希釈で行った ②固相抗原の作成方法の違いの検討 図 3 固相抗原には 620nm で吸光度値 1.0 に調整した全菌液をホルマリン固定 オートクレーブ処理 100 度2時間処理 凍結破砕処理のものと これら4種の全菌液遠心上清の計8種類で検討を実施した なお 供試血清は①と同時ものを使用した ③特異性と SA 分離成績との比較 上記①及び②で得られた条件で 分房乳において SA が ,000CFU/ml 分離された 7 検体 SA と同属の環境性ブドウ球菌による乳房炎罹患牛の6検体 SA と同じ科のミクロコッカス科の乳房炎 57

71 罹患牛の2検体 非乳房炎罹患牛として未経産及び去勢の 5検体の計 20 検体にて比較を実施した 2 増菌培養法の検討 図 4 材料は 管内2戸の酪農家で飼養されている 14 頭の分 娩後約2週間間隔で3回採取した分房乳計 226 検体を用い 平板培地に接種する直接培養法と 検体 1ml を 7.5%NaCl 加 Trypticase SoyBroth10ml に接種後 時間培養 し その後 培養液を 5% 卵黄加マンニット食塩培地 以 下 MSE に接種し培養する増菌培養法とで比較を行った 結果 ELISA法の検討結果 ①固相抗原及び検体 血清 の希釈率の検討 固相抗原の希釈率は 10 倍 100 倍では吸光度の大きな低下は見られないものの全般的には漸減し た このことから 吸光度が 1.0 以上の 250 倍希釈とし 血清は陽性血清と陰性血清のと差が最も大き い 160 倍希釈を設定した 図 5 ②固相抗原の作成方法の違いによる検討 凍結破砕処理の上清を用いたものにおいて マンホイットニーの U 検定において危険率 5% 未満にお いて有意差を求めた 図 6 ③特異性と SA 分離成績との比較 ①及び②の結果より 凍結破砕処理を行った菌液の上清により実施した場合 SA が概ね 104 以上分離 された検体について特異性が確認され SA 以外の菌による乳房炎罹患牛とは 交差を示さなかった 増菌培養法の検討結果 直接培養において 陽性の検体は 増菌培養でも陽性を示 した また 直接培養において 分離陰性を示した検体 222 検 体中3検体が 増菌培養法で陽性を示した この 陽性を示 した3検体は 経時的に連続して分離されなかった 図 7 まとめ及び考察 ELISA 法は 凍結破砕後遠心分離した抗原が最も検出感 度がよく 条件として 抗原は 250 倍 被血清は 60 培が 最も良好であった こ の 条 件 の も と で ELISA 法 を 実 施 し た 場 合 SA が 104CFU/ml 以上分離された検体について有意に陽性を示し 他の血清とは交差が認めらなかった これは 凍結破砕が SA の細胞膜成分であるタイコ酸等が効率よく破砕され 抗原提示がされた可能性が推察される 58

72 一方 増菌培養法は 直接培養で陰性を示した 222 検体中 2 検体が増菌培養法により分離されたが 経時的に連続して分離陽性は示さなかった このことより 増菌培養法は1 個体あたり複数回実施することで 慢性または潜在性感染牛の摘発に適した方法であると思われた 以上の結果から 今回検討した検査法の活用方法の一例として 日常の検査に増菌培養法を組み入れることで SA の検出率が向上することができ ELISA 法は SA の高排菌牛の摘発のためのスクリーニングとして活用し さらにその後 乳汁検査の増菌培養を用いることで 慢性及び潜在性乳房炎の摘発に利用できるものと思われる ( 図 8) 今後は ELISA 法においては毒素性ショック症候群毒素やブドウ球菌産生エンテロトキシンに対する抗体についても検討を行い 精度の向上を図るとともに 増菌培養法においては 培地の組成の検討等により感度の高い検査法の検討を行いたい 59

73 小動物論文 全身性の免疫介在性疾患を疑った犬の 1 例 隼人どうぶつ病院 穴 井 友加里 添 田 久仁子 添 田 健 作 はじめに 免疫介在性疾患は発生する部位により貧血 血小板減少 関節炎 皮膚病など多種多様な症状を示す 今回 肝酵素の上昇と低 Alb 血症を伴う嘔吐 下痢の治療中に血小板減少と貧血 急性腎不全が発症した症例に対し 免疫抑制治療を施し奏功したので経過を報告する 症例および経過 症例はパピヨン 8 歳齢の未去勢オス 既往歴としては捻挫があり 非ステロイド系消炎剤 (NSAIDs) にて治療を行った フィラリアの予防は毎年行っているが混合ワクチン接種は初年度のみである 嘔吐 粘血便を主訴に来院された ( 第 1 病日 ) 身体検査所見としては口腔内の乾燥 呼吸促拍 腸蠕動はなく腹部は緊張していた 血液検査では軽度の脱水と肝酵素の上昇が認められた レプトスピラの感染を疑ったが抗体 抗原ともに陰性であった X 線所見では腹腔内がやや不鮮明であった 第 1 病日より入院下で 輸液 抗生剤等を用いた 60

74 対症療法を開始した 入院中低 Alb 血症を発症したため人血清アルブミンの静脈内投与も行った 経過良好となったため第 6 病日に退院した 第 13 病日の再診時 状態は良好で 肝酵素は第 1 病日と 比較すると減少していたがまだ軽度の上昇が認められた 第 22 病日の再診時 肝酵素はさらに減少していたが 血小板減少 ( μ /L) が認められた 全身状態が良好であったため後日改めて検査をすることとした 帰宅後 跛行を呈したため頓服として処方されていた NSAIDs を投与したそうである そして 翌日嘔吐 粘血便を呈し再入院となった 前日の採血部位とバリカンの使用部位には紫斑が形成されていた 再入院となった第 23 病日の血液検査では 血小板の減少 フィブリノーゲンの上昇 肝酵素の軽度上昇が認められた この日より 対症療法とともに輸血を行い 翌日の第 24 病日に骨髄検査を実施した 骨髄では 三系統ともしっかり産生されていたため 免疫介在性血小板減少症と仮診断を下し免疫抑制療法を開始した 治療と経過のまとめである 第 23 病日再入院となり そこから輸血を行い 骨髄検査を実施 その 後プレドニゾロンの投薬を開始し 血小板数は少しずつ上昇しており 全身状態も改善傾向であった シクロスポリンを第 26 病日から導入したが 第 27 病日 嘔吐 粘血便が再燃し 第 28 病日は尿量の減少が認められ 急性腎不全を発症した 血小板数は少しずつ回復していたが Ht 値の減少も認められ 免疫抑制が不十分であると判断しパルス療法を行うと同時に マンニトール フロセミド ドパミン スピロノラクトンを用い急性腎不全に対して積極的な治療を行った その後は徐々に血小板数 Ht 値が上昇 BUN, Cre は速やかに減少し 全身状態が安定した第 36 病日に退院となった 61

75 急性腎不全を発症した第 28 病日の血液検査 ( 抜粋 ) と尿検査の結果である 電解質の異常はなかったが BUN > 140 (mg/dl),cre 2.9 (mg/dl),ca 7.1 (mg/dl),phos 12.3 (mg/dl) であった 尿検査では比重のわずかな減少 尿円柱が認められ UP/C は 8.5 とかなりの高蛋白尿であった 再入院時の第 23 病日と 免疫抑制療法を行っていた第 30 病日の X 線写真の比較である 第 30 病日では肺水腫となり 再入院初日にはみられなかった胸水 腹水 肝腫が顕著に認められたが 積極的な治療により改善し その後の経過は良好である パルス療法にはコハク酸メチルプレドニゾロンを用いた 1~3 日目は 20mg/kg, 4 日目は 10mg/ kg, 5 日目は5mg/kg, 6 日目は 2.5mg/kg を静脈内投与した 考察 肝障害が疑われる場合 ステロイドによる免疫抑制治療には注意が必要である 本症例もはじめから肝障害が疑われていたため プレドニゾロンを比較的早い段階から漸減していた そのため 免疫抑制が不十分となり 血小板減少以外の症状が出現したのではないかと思われる 急性腎不全となった場合 原因の追究が困難なことが多い 一般的には免疫抑制療法は推奨されないが 本症例は経過より自己免疫性の糸球体腎炎の発症が疑われたため より強力な免疫抑制療法を行った 免疫介在性疾患の原因の1つに薬物がある 本症例は嘔吐 下痢の治療に用いた薬剤がその引き金となった可能性がある しかし 第 1 病日から原因不明の肝酵素の上昇や黄疸があり その時点から何らかの免疫反応が起こっていた可能性も示唆される 現在 肝酵素の軽度上昇と軽度の蛋白尿を呈しているが良好に経過している しかし いつ再発するかわからないため 今後 免疫を刺激するようなワクチン接種や薬の処方などを行う際には十分な注意が必要となる 62

76 63

77 突然の大量出血を呈した兎の 1 例 みなはるペットクリニック藤野嘉雄 兎の発情休止期は1~2 日 雄許容期は4~ 17 日であり 妊娠期間は 30 ~ 32 日である 周年繁殖のため年に5~6 回妊娠出産を繰り返す 兎は交尾排卵動物であり 排卵後に形成される黄体から分泌される黄体ホルモンにより妊娠が維持されるが 交尾がなければ自然排卵がなく 従って黄体の形成もない しかし 交尾後不妊に終わった場合 黄体が形成され偽妊娠となる 出血の可能性として 血尿 血便 吐血 喀血 外傷 子宮からの分泌液が考えられますが 稟告から血尿と血便は排除いたしました 兎は嘔吐の出来ない動物ですので吐血も排除しました 肺野の聴診において雑音が聴取されなかったので喀血も除外しました 全身を精査しましたが外傷は認められませんでした 残る子宮からの分泌液を疑い検査を行いました 本症例は雌の兎です 年齢は2 歳 11 ヶ月です 雄の兎と同居しています 夜は別々のケージに分かれています 主訴は突然の大量出血です 朝見るとケージの底に大量の血液がたまっていたとのことで来院されました 食欲や元気は正常 便や尿も正常とのことでした 血液検査所見です CBC 生化学ともに異常な値は認められませんでした 64

78 レントゲン検査所見です 下腹部に腫大した子宮 の陰影が認められました 兎は重複子宮です 左右の子宮が完全に独立しているため子宮全体は存在せず それぞれの子宮口が直接 膣に開口します 摘出した子宮は全域にわたり不規則に隆起し暗赤色を呈していました エコー検査所見です 液体の貯留する子宮が認められました 以上の結果から 本症例は子宮からの出血の可能性が高いことを飼い主に説明しました 同時に内科的な治療では完治しにくく 出血を繰り返す可能性が高いこと 子宮を温存した場合 将来的に乳腺がんや子宮がんが高率で発症することを伝え 外科的に卵巣子宮全摘手術を行うことといたしました 子宮内膜面は乳頭上に隆起し 血様分泌液の貯留が認められました 膣内腔にも血様分泌液の貯留が認められました 術中の写真です 右側 左側卵巣ともに外観は正常でした 病理検査の結果です 卵巣重度に肥大した黄体を認め 成熟したグラーフ卵胞 比較的成熟した卵胞および一次卵胞を少数認める 診断名 : 黄体遺残 65

79 子宮粘膜固有層 ~ 筋層は水腫性に肥厚しており 粘膜上皮は乳頭状増生しており 子宮腺の過形成および嚢胞状拡張を認める 子宮内膜の腺上皮基底部に多量の核下空胞を認める ( 分泌亢進像 ) 筋層では筋繊維断裂および空胞化を認め 一部筋繊維の再生像を認める 診断名 : 嚢胞性子宮内膜過形成 本症例は雄と同居しており 交尾後不妊に終わったため黄体が形成されたと考えられる それが何らかの理由で退行することなく遺残したため その結果大型卵胞と黄体が同時に存在することとなり 子宮筋層筋繊維の断裂による内腔への出血および子宮腺の分泌亢進が生じ 陰部からの血様分泌液の大量排出をまねいたと考えられる 術後は出血も治まり一般状態も良好である 大型卵胞 ( グラーフ卵胞 ) の発育する卵胞完熟期には子宮腺は著しく開張し 粘膜上皮は乳頭上に隆起し 粘液分泌機能が最も盛んになり 同時に粘膜が内腔に離断脱落する また 交尾後 妊娠した場合は黄体期となり胎芽の生存ならびに胎仔の発育のため子宮粘膜表層の毛細血管は著しく太さを増し血流が増大する 偽妊娠の場合も黄体が存在するため粘膜は妊娠時と同様に変化する 雌の兎は1 年を通して繁殖する周年繁殖動物であり他種に比べ繁殖力が強いことが特徴である しかし それに伴い性ホルモンの不均衡が 特に雄と同居する個体において生じやすく生殖器疾患が多発する傾向が強い 生殖器疾患は外科的な治療が必要なケースが多いが 発症後に衰弱する経過が早く 手術の難易度が上がることを考慮すると早期の避妊手術を施し 生殖器疾患の危険性を回避することが望まれる 66

80 インターフェロンγにより分子標的薬の効果が増強された犬の皮膚肥満細胞腫 1 例 隼人どうぶつ病院 添田久仁子 犬の皮膚肥満細胞腫は孤立性で切除単独で根治可能な低グレードのものから 浸潤性が強く局所で悪性挙動をとる高グレードのものまで様々なものがある 高グレードの場合の治療選択として 外科単独では長期管理が困難な場合も多く 化学療法が併用されてきた ここ数年 放射線治療や分子標的薬により治療成績が向上している 現在 獣医学領域で用いられる分子標的薬は小分子化合物のタイプであり 腫瘍細胞に目的の標的分子が発現している場合には効果が得られる可能性がある 標的分子には様々なものが発見されており 代表的なものが細胞膜に存在しシグナル伝達に必要なチロシンキナーゼである イマチニブやトセラニブは この部位に拮抗的に作用するチロシンキナーゼ阻害薬である 幹細胞増殖因子の受容体 (KIT) に変異が生じ チロシンキナーゼが活性化することによる自己増殖が 肥満細胞の腫瘍化機構のひとつとして考えられている また 肥満細胞腫の 15 ~ 40% で KIT 遺伝子に変異が生じている (ITD-exon11 など ) ことも示されており チロシンキナーゼ阻害薬の施用前の評価として用いられる場合もある 副作用も従来の化学療法剤と比較し少ないが 問題点として コストが高いことと耐性獲得が上げられる インターフェロンγの投与により一部の担癌動物で治療効果が得られている 腫瘍細胞を直接攻撃することはないが 細胞性免疫を刺激することで腫瘍免疫に作用すると考えられている 今回 分子標的薬に耐性が生じた犬にインターフェロンγを投与したところ 再び分子標的薬の効果が得られるようになった症例に遭遇したので報告する 67

81 症例はヨークシャーテリア 未去勢オス 7 歳令である 他院にて左大腿部外側に発生した孤立性の皮膚肥満細胞腫の摘出を受けている ( 組織グレードは不明 ) その後再発と切除を繰り返し 最近急速増大してきたため 最初の手術から1 年 8カ月目に当院を受診された 初診時の血液検査所見では好中球数の減少が認められた 骨髄検査は実施していない 腫瘤ならびに鼠径リンパ節の細胞診では異型性の強い肥満細胞が多数採取された 腫瘤は左大腿と下腿を尾側から大きく被覆するように浸潤し 鼠径部皮膚にもいくつかの結節が生じていた 鼠径リンパ節の腫大も認められた 腫瘤は掻痒があり 一部自傷により出血していた 治療として 放射線療法を勧めたが遠方での治療という点で許容されなかったため 自宅から通院可能な治療を行う目的で 治療反応を見ながらスライドに示すような計画で治療を進めていった 抗ヒスタミン剤と抗生物質は必要に応じて併用した 68

82 ビンブラスチンでは 3 回目の投与までは腫瘤の縮 小を認めたが 4 回目の投与後は効果がなく増大した イマチニブでは部分反応が得られた しかし 分割が必要となるため処方の不便さと価格面からトセラニブへ変更した 次に投与したロムスチンではわずかに縮小を認めたのみであった 投与量の調整が困難であったため 3 剤目はロムスチンの同系統の注射剤であるニムスチンを用いた トセラニブでは速やかな退縮が認められた 完全寛解が得られ また副作用として軽度の骨髄抑制 ( グレード1) が認められたため 漸減 ( 投与間隔を延長 ) した 化学療法剤では治療効果が不十分と判断し 分子標的薬へ変更した 投与間隔を4 日おきにしたところ 再増大した 再び投与間隔を短くすると 60 日間の完全寛解が得られたが 再び増大を呈した 耐性が生じたと判断し 投与を中止した 69

83 インターフェロンγ( インタードッグ ) とインターフェロンω( インターキャット ) を使用したところ 50% 未満の縮小が得られたが 掻痒に変化はなかった 副作用として骨髄抑制 ならびに軽度の抗窒素血症が認められた そこでインターフェロンγとトセラニブを併用した 83 日間 大腿の肉眼病変はほぼ退縮したが 腹部の病変はわずかに残っていた しかし またもや効果が消失し 特に鼠径から腹部の病変が拡大した 他に PDHT などの治療を施したが 当院初診から 601 日に肺水腫により永眠した トセラニブは副作用が少ないが 用量依存性に骨髄抑制や腎毒性を起こす可能性がある 化学療法剤と同様に 定期的な血液検査 尿検査が必要である 最小の剤型が 10mgであったため 小型犬では推奨投与量 投与間隔で実施しにくい 錠剤の分割投与は暴露の点から好ましくなく そのための処方の手間やコストの点からも避けることが望ましい 治療目的が緩和治療との観点から 拮抗薬という作用機序と 32 時間という半減期から推奨できるものではないが 隔日投与を2 日おきあるいは週 2 回程度 70

84 に継続していれば より長く寛解期間が得られたのではないかと考えられた 一旦トセラニブが無効になり また インターフェロンγ 単独では治療効果が得られなかったにも関わらず 2 剤を併用することで効果がでたことから 肥満細胞腫に対する免疫療法の可能性が期待された 外科不適応な皮膚肥満細胞腫に対し放射線療法が治療成績を上げている 取り入れたいところだが 県内では現状施用不可能であり 遠方での治療を望まれない場合 別の治療選択が必要になる そのひとつが分子標的薬であるが 反応はさまざまである まずは分子標的薬単独の治療成績を明確にする必要があるが さらにその治療成績の向上の一助にインターフェロンγや免疫療法が関与できるか興味深いところである 71

85 内視鏡下胃内異物摘出を行った幼齢猫の 2 例 末松どうぶつ病院 山 城 識 子 末 松 正 弘 末 松 弘 彰 コープ 鉗子は W 字型把持鉗子 気管チューブは当院内にある一番細い気管チューブでは入らなかった為 3.0 の気管チューブの先と8フレンチの栄養カテーテルを約 8cm程にカットし代用した はじめに 犬猫の胃内異物は日常診療で遭遇する事が多い 犬でみられる異物には石 プラスチック ゴム 金属 タオル 種子 糸など様々なものがある 猫では被毛や糸が挙げられる 胃内異物による障害の発生は圧倒的に若齢動物で多いが 老齢動物でも認められる 診断には 凛告 触診 腹部 X 線検査 腹部超音波検査により確定する治療 処置は催吐処置や外科的胃切開術 内視鏡による異物摘出などがある 今回 幼齢猫の胃内異物を内視鏡を用いて摘出することができた2 症例に遭遇したので報告する 症例 1 推定 30 日齢 雌で体重 400g の雑種猫 主訴は哺乳時にプラスチック哺乳瓶の先を噛み切り誤飲してしまい 催吐処置を行ったが催吐できなかったとのことで紹介来院された 今回の症例に使用した器具 機材 内視鏡は OLYMPUS GIF-XP260 先端径が 5.5mmの電子ス レントゲン検査所見より長さ 約 16.2mmの哺乳瓶の先が認められた 留置針設置後 麻酔は希釈したケタミン塩酸塩 (5mg / kg ) にて導入し イソフルレン1 1.5% にて維持し 自発呼吸下で実施し 72

86 た 哺乳時にプラスチック哺乳瓶の先を噛み切り誤飲してしまったとのことで来院された 内視鏡下摘出時の動画フードをたくさん食べていたため 胃の中にはたくさんのフードがあり 異物を見つけるのに少し時間がかかった 異物を摘出するのに W 字型把持鉗子を使用した レントゲン検査所見より 長さ約 13.3mmと約 12.2mmの哺乳瓶の先が認められた 麻酔は症例 1 と同様に行った 摘出した胃内異物の写真長さ約 17mm 幅 7mmのシリコン製の哺乳びんの先端が摘出された 内視鏡下摘出時の動画症例 1と同様に W 字型把持鉗子を使用した 送気 吸気には十分に気をつけて 過剰に胃を拡張しないように注意して実施した このようなシリコン製のものには W 字型把持鉗子が非常に有効だと感じた 症例 2 推定 30 日齢 雄で体重 300g の雑種猫 主訴は 73

87 摘出した胃内異物の写真 右は長さ約 10 mm 幅約 7 mm 左は長さ約 15 mm 幅約 7 mmのシリコン製の哺乳びんの先が摘出された 考察 内視鏡下による摘出は外科的胃切開手術と比較して 動物にとって侵襲が少なく 多くの異物に対して適応可能である 当院で内視鏡下により胃内異物摘出が可能だった症例のうち 今回の2 症例は最も幼齢かつ低体重だった 内視鏡下による胃内異物摘出は スコープ操作に十分な注意が必要であるが 300g 400g の幼齢の動物にも実施することが可能だった 今後も 同様のケースでは内視鏡による摘出を実施していきたいと考えている 74

88 犬の緑内障における眼軸長測定の有用性の検討 大分小動物病院 吉 野 信 秀 はじめに 慢性緑内障における牛眼と同様に 急性緑内障においても眼球の拡張が起こる事が推測される その微小な拡張を確認できれば有用な緑内障診断法となりうる またシリコン義眼挿入術 ( 以下 ISP) において眼軸長測定はシリコンサイズ選択に有用な情報となる そこで今回 急性緑内障症例において罹患眼と対側眼の眼軸長を また ISP 実施症例において対側眼の角膜径と眼軸長をそれぞれ比較検討したので報告する 材料と方法 1 眼疾患の無い犬の両眼の眼軸長を測定して左右差を算出し 測定誤差の検討を行った ( 正常群 n=39) 眼軸長測定には GE 社の汎用超音波診断装置 LOGIQ P6(15MHz プローブ ) を用いた 次に眼圧測定と臨床経過により急性緑内障と診断した犬の眼軸長を計測し左右差を算出 ( 急性緑内障群 n=23) 正常群と急性緑内障群の左右差を比較した 75

89 2 ISP 時のシリコン選択において角膜径 眼軸長のどちらの指標が術後の外観に好影響かを検討するため ISP 実施症例 (n=20) を術後の眼球の陥凹 瞬膜の突出などの外観によって分類し検討した 2 ISP 実施症例 (n=20) において角膜径は ± 1.29 眼軸長は ± 1.30 であり眼軸長が有意に大きかった 角膜径 + 1mm + 2mm 眼軸長 - 1.5mm以内 を指標としてシリコンを選択した場合 適切なサイズを選択した率はそれぞれ 20% 63% 89% であった 結果 1 眼軸長の左右差は正常群 (n=39)0.05 ± 0.08 mm ( 平均 ± SD) であった 急性緑内障群 (n=23) は全症例で対側眼よりも罹患眼の眼軸長増加を認め その左右差は 1.11 ± 0.68 であった 正常群に比べ急性緑内障群は眼軸長の有意な拡大を認めた 76

90 考察 眼軸長の拡大を示す緑内障以外の眼疾患の存在に関して今後検討する必要があるが 測定誤差は最大 0.4mmであり それ以上の拡大を示す眼疾患においては緑内障の可能性が極めて高いと考える また初診時に眼軸長の拡大を示したが正常眼圧であり後に急性緑内障を発症した症例を認め 眼圧測定では診断困難な緑内障間欠期における自宅での眼圧上昇を眼軸長測定により診断できる可能性を示唆した また ISP 時のシリコン選択においては従来の角膜径を指標とした方法よりも信頼性が高い 以上の結果より緑内障における眼軸長測定は非常に有用性の高い検査項目と考える 77

91 難治性の肛門嚢炎に対して辛島式イオン泳動治療装置 による治療が奏功した犬 2 例 隼人どうぶつ病院 添田健作 はじめに 辛島式イオン泳動治療装置とは 歯周病治療装置で 界面活性剤を用い 直流電流を患部に通電することにより イオン泳動作用でイオン化された界面活性剤が組織に深く浸透し その消毒 殺菌効果を発揮するというものである 歯科医師故辛島宣美博士が 2005 年日本国特許 2011 年に米国特許取得している 2013 年には 褥瘡治療器として特許申請中である 獣医療分野においては 界面活性剤を利用した辛島式イオン泳動治療装置を用いて 小動物の皮膚感染症に劇的な治療効果が示された 歯科医療分野において 感染症治療の問題点としてバイオフィルム形成菌の存在があり その対策として この原理を利用し マクロライド系抗生剤と通電の併用が バイオフィルムの破壊効果及び抗菌効果が高いことが示されている 肛門嚢炎の一般的な治療として 洗浄 用手による肛門嚢圧迫 抗菌剤 外科切除がある 問題点として 対象動物に対する侵襲 手技の反復の必要性 薬剤の濃度分布 腸球菌などバイオフィルム形成菌に対する効果や耐性菌の出現 費用 侵襲性増大がある 78

92 マイナス電極端子 ( 写真右 ) に 3.0% 食塩水を含ませたスポンジを使用して被毛の少ない腹部に当てる 装置のインジケータを 1mA に調整し 約 1 分間通電する 症状が消失するまで 週 1 回イオン泳動治療を行う また難治性となる原因として軟便 肛門括約筋の 機能不全 分泌量や質の変化 排出管の狭窄や閉塞がある 症例 1 キングチャールズスパニエル 左肛門嚢より血様膿汁を排泄する主訴で来院 今回 肛門嚢炎へ応用した理由として 種々の感染に有効な界面活性剤の使用 イオン泳動による薬剤の組織浸透性の増強 バイオフィルムの破壊効果が期待されること 対象動物への負担の減少が挙げられる 用手による圧迫排液と感受性抗生物質で治療していたが変化なく イオン泳動治療を用いたところ 良好な結果を得た イオン泳動治療法 プラス電極端子 ( 写真左 ) に 3.0% に濃度調整したアルキルジアノエチルグリシン酸塩をガーゼに含浸させて肛門周囲に当てる 79

93 結果 感受性抗生物質であるセファレキシン3 週間連続投与とイオン泳動治療計 4 回により膿汁の排泄は消失した 肛門嚢の用手による圧迫とイオン泳動治療を週一回計五回行い 良好な結果が得られた 症例 2 トイプードル 2か月前より 肛門嚢炎を発症し 感受性抗生剤物質と肛門嚢の圧迫で治療していたが 治療反応が芳しくなかったため 当院へ紹介受診された まとめ 肛門嚢炎に両性界面活性剤 ( アルキルジアノエチルグリシン酸塩 ) を使用したイオン泳動治療と感受性抗生物質の利用により 2 症例とも良好な結果が得られた イオン泳動治療単独で 治療することとした理由として 症例 1で良好な治療効果が得られたこと 抗生物質に起因すると思われる消化器症状を有していたためである 考察 現在 イオン泳動治療装置を利用した研究が行われており in vitro であるが 細胞間の高分子物質の透過性が増した すなわち 種々の微生物に対して 消毒 殺菌作用があるアルキルジアノエチルグ 80

94 リシン酸塩が 接触する皮膚だけでなく 深部に達する可能性が示唆されている また 界面活性剤とイオン泳動は バイオフィルム形成菌に対して その破壊効果もすでに示されており 特に抗生物質の分布に乏しい部位や常に感染に曝される部位への応用が期待される イオン泳動治療は 難治性感染症治療の一助となり得ると考えられた 今後は 種々の感染症に対する症例を増やし効果を確認していきたい 謝辞 本発表に関しまして 故辛島歯学博士 敷田 梅島両氏 吉野信秀先生に深謝致します 81

95 犬のレッグ カルベ ペルテス病の内科治療中に大腿骨頸部骨折を発症し ペルテス病および頸部骨折を同時に手術により完治させた 1 治験例 動物整形外科病院 ケントペットクリニック 動物整形外科病院 樋口飛鳥 福井建人 樋口雅仁 はじめに 犬のレッグペルテス病 (Legg-Calve-Perthes syndromedisease) とは主に発育期若年の小型犬において発生する大腿骨頭の非炎症性無菌性壊死 ( 無菌性大腿骨頭壊死症 ) で 発症すると罹患関節の疼痛および進行性の跛行が生じる X 線検査では大腿骨の扁平化 亜脱臼などが認められる 軽度のものでは対症療法によって症状の改善を得られることもある 以下が概要である 82

96 カルベ ペルテス病と診断した 今回 対症療法にて経過が良好な症例において 大腿骨頸部骨折を併発し 同時に存在する病態に対し外科手術を適応し 完治させることが出来た症例に遭遇したので その概要を報告する 症例ポメラニアン 7ヵ月齢未去勢雄体重 2.34kg後肢挙上とのことで近医を受診 レントゲン検査によりレッグカルベペルテス病と診断され 内科療法となった 2ヵ月間 対症療法にて経過が良好に推移していたが 子どもの下敷きとなり 跛行したとのこと X 線検査により左大腿骨頸部骨折を伴う左レッグ 術式 大転子骨切りにて 大腿骨頭にアプローチを行った 関節包外にて大腿骨頸部骨折部を確認し 大腿骨頭靱帯を切離した 大腿骨頭を約 170 度回転させて固定させるために 大腿骨頚部骨折端を高速ドリルおよびロンジュールなどにて成形した その後 φ 1.4mm1 本 φ 1.0mm2 本のエリスピンを用いて 第 3 転子より大腿骨頭関節面へ先端が2 山だけ出るように挿入し 大腿骨頭と頚部を回転させて固定する その後 関 83

97 節面にエリスピン先端が見えなくなるまで抜く 股関節脱臼を予防するために 寛骨臼背側 11 時の位置にφ 1.5mmスクリュウを適応し 転子窩に穿った 1.1mmの孔を PDS にて結紮した 大転子は テンションバンド固定法にて整復固定した が可能な外科手術法として 昨年 世界初の症例として報告したが 今回大腿骨頸部骨折の併発例において 骨頭回転術と頚部骨折整復術を同時におこない早期に機能が回復した 以上より 骨頭回転術は大変有効な手術法であると考えられた 経過 術後の経過は予想以上に良好で 投薬なしでも術後早期より疼痛が消失し 術後 2 週間には 患肢に完全に負重を開始 術後 50 日で抜釘をおこなった 考察 大腿骨頭回転骨切り術は 犬のレッグペルテス病に対する関節大腿骨頭の温存および早期の機能回復 84

98 犬の尺骨に発生した骨肉腫に対して同種骨移植および抗がん剤を用いた 1 治験例 わたなべ動物病院 動物整形外科病院 鹿大 共同獣医学部臨床 渡邉一仁 樋口雅仁 はじめに 大型犬の四肢に発生した骨肉腫に対しては 一般的に断脚手術および抗がん剤の投与が行われている 多くの場合 断脚による患畜の QOL の低下は著しく飼い主への肉体的精神的負担も多い 今回演者らは ラブラドールの尺骨に発生した骨肉腫の症例に対して 患畜の QOL の改善と飼い主の負担軽減を目的として同種骨移植手術による断脚の回避を試みたのでその概要について報告する 症例 ラブラドールレトリーバー 去勢済雄 10 歳齢 体重 36.5kg 2011 年 10 月 26 日左前肢跛行にて来院 12 月跛行悪化のためX 線検査実施 骨膜の増殖を伴う骨破壊像がみられたため第 41 病日に骨生検を行った 病理検査結果は骨肉腫であった 同時に細菌培養も実施したが陰性であった 飼い主に同種骨移植による断脚の回避及び術後の抗がん剤投与についての承諾が得られたため第 61 病日に腫瘍摘出及び同種骨移植術を実施した 術後約 2 週間で跛行はあるものの患肢を使っての歩行が可能であった 術後約 1ヵ月で疼痛はなく跛行も軽度となった 第 82 病日より約 3 週間間隔でカルボプラチンの投与を4 回実施 2012 年 4 月上旬より患肢に疼痛が認められたため NSAID( フィロコキシブ ) 投与 4 月下旬には術部の腫大が見られたためアドリアマ イシン及びシクロフォスファミド投与 5 月下旬には患肢は更に腫大し疼痛管理が困難となったため5 月 29 日 ( 第 215 病日 ) 断脚術実施 手術時に摘出した腋窩リンパ節には転移はみられなかった また胸部 X 線検査 腹部超音波検査においても転移病変は認められなかった 8 月には右側肘関節の疼痛と後肢の不全麻痺がみられたが飼い主の希望により精査は実施せず 対症療法のみ実施 10 月突然の呼吸不全にて死亡 ( 第 351 病日 ) 原因は不明 考察 今回の症例では 最終的には断脚となったが一旦は断脚を回避し 約 4ヶ月にわたって QOL の改善を得ることができたと思われる 骨肉腫に対する早期診断と同種骨移植術によって 更に長期にわたる動物及び飼い主の負担軽減が期待される 適応条件等についてより詳細な検討が必要であると考える 85

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102 公衆衛生論文 1 生産者から搬入された牛の糞便からの志賀毒素産生性大腸菌検出状況 大分県食肉衛生検査所 西本清仁 1 はじめに (OXOID) に塗抹 常法に従い分離 同定及び血清 O157 を初めとする志賀毒素産生性大腸菌 ( 以下 STEC という ) は と畜場における衛生対策やその後流通する食肉等の安全性にとって非常に重要な病原体である 当所では 管轄する O と畜場に搬入される牛糞便を対象とした STEC 保菌状況調 型別検査を行った O157 以外の STEC は CT- Vi RX O26 寒天培地 ( 栄研化学 ) CT- ソルボースマッコンキー寒天培地 ( 基礎培地は DIFCO) に塗抹 常法に従い分離 同定及び血清型別検査 (O 抗原のみ ) を行った 査や枝肉の拭き取り検査を実施し その成績に基づ きと畜場の衛生指導を実施している 平成 24 年 6 月 7 月に 14 生産者から当所が管轄すると畜場に搬入された牛の糞便を対象に STEC の保菌状況を調査した結果 14 生産者すべてから STEC が 内 4 生産者からは O157 が検出された 4 生産者のうち 1 生産者 (A) から搬入された牛からは高率に O157 が検出された O157 を初めとする STEC の保菌状況の動態把握は と畜場の衛生対策にとって重要であることから 生産者 Aから搬入された牛を対象に平成 25 年 8 月まで継続的に糞便の STEC 保菌状況を実施したので報告する 3 成績 (1) 保菌状況調査 STEC は 生産者 Aで22 検体中 19 検体 (86.4%) 生産者 Bで 10 検体中 8 検体 (80%) 生産者 Cで5 検体中 4 検体 (80%) 生産者 Dで 5 検体中 2 検体 (40%) 生産者 Eで5 検体中 1 検体 (20%) 生産者 F で4 検体中 3 検体 (75%) 生産者 Gで4 検体中 2 検体 (50%) 生産者 H Iで 4 検体中 1 検体 (25%) 生産者 Jで3 検体中 3 検体 (100%) 生産者 Kで3 検体中 2 検体 (66.7%) 生産者 L で3 検体中 1 検体 (33.3%) 生産者 M Nで2 検体中 1 検体 (50%) から検出され 14 生産者すべての搬入牛糞便から STEC が検出され 2 材料および方法 た ( 図 -1) STEC のうち O157 は 生産者 A 保菌状況調査は 平成 24 年 6 月 7 月に 14 生産者から搬入された肥育牛 76 頭 (A;22 頭 B; 10 頭 C D E; 各 5 頭 F G H I; 各 4 頭 で 22 検体中 15 検体 (68.2%) 生産者 Bで 10 検体中 1 検体 (10%) 生産者 Eで5 検体中 1 検体 (20%) 生産者 Iで4 検体中 1 検体 (25%) から J K; 各 3 頭 M N; 各 2 頭 ) の糞便を材料と した 生産者 Aから搬入された牛糞便の継続調査は 平成 24 年 8 月 ~ 平成 25 年 8 月の間に搬入された 肥育牛 93 頭 ( 平成 25 年 8 月 ;4 頭 11 月 ;12 頭 12 月 ;4 頭 平成 25 年 1 月 ;4 頭 4 月 ;8 頭 5 月 ;19 頭 6 月 ;10 頭 7 月 ;16 頭 8 月 ; 16 頭 ) の糞便を材料とした なお 糞便は肛門か ら ST-25(ELMEX) を用いて採材した O157 は 増菌培養後 免疫磁気ビーズ O157 ( デンカ生研 ) 処理を行い クロモアガー O157 (CHROM) CT- ソルビットマッコンキー寒天培地 89

103 検出され 生産者 A 搬入牛は 他の3 生産者搬入牛よりも極めて高い検出率であった (2) 生産者 A から搬入された牛糞便の継続調査生産者 A 搬入牛糞便からは 検査したすべての月で STEC が検出された ( 図 -2) O157 は 平成 24 年 6 月 7 月 8 月 平成 25 年 6 月 8 月に検出された O157 以外の血清型は OUT が最も多く O103 O119 O26 等も検出された 査では STEC は検査したすべての月で検出されたのに対して O157 は平成 24 年 6 月 7 月 8 月 平成 25 年 6 月 8 月と夏期のみに検出された また O157 はヒトから検出される STEC の半分以上を占める ( 図 -4) 重要な血清型であるとともに O157 がヒトから検出される時期は 6 月から 10 月の5ヶ月間で年間の 71 から 87% と大部分を占めていた ( 図 -5) このように牛とヒトの O157 検出状況には 夏期を中心に増加するという類似した傾向が認められ ヒトの O157 の感染に牛由来の O157 が関与している可能性が示唆された 以上のことから 6 月から 10 月を O157 の重点対策期間と考え と畜場においては 糞便等による枝肉や肝臓等内臓肉への汚染防止の徹底を行うとともに 飲食店や消費者に対しては 食肉 内臓肉の十分な加熱 二次汚染防止の徹底について啓発することが必要であると考える O157 を含む STEC の検出率は 平成 25 年 4 月の 50% から平成 24 年 12 月の 100% と幅があったものの いずれの月も 50% 以上の高い割合であった O157 の検出率は 平成 24 年 6 月は 70% 7 月は 66.7% と高い割合であったが 8 月は 25% と減少傾向を示し 11 月から平成 25 年 5 月までは検出されなかった その後 O157 は平成 25 年 6 月に再び 40% 8 月には 31% から検出された ( 図 -3) 4 考察今回の保菌状況調査で と畜場搬入牛が高率に STEC を保菌していることが確認され O157 の保菌も確認された 生産者 A 搬入牛の糞便の継続調 90

104 天然ヒラメに寄生した Kudoa septempunctata による食中毒事例 大分市保健所衛生課 椎 原 良 子 矢 野 真利子 渡 邉 洋 子 岡 本 和 宏 指 原 憲 策 林 智 子 佐 藤 亨 はじめに Kudoa septempunctata( 以下 クドア という ) については これまで特定の条件下で飼育 ( 養殖 ) されたヒラメに感染していることが確認されていたが 今回 天然ヒラメを原因とする食中毒事例が確認されたので報告する 概要 2013 年 2 月 17 日 大分市内の魚介類販売店で購入した天然ヒラメの刺身を食べた 16 名のうち 12 名が 食後平均 6 時間後から吐気や嘔吐 下痢 腹痛等の食中毒様症状を呈した 患者便からは食中毒菌およびノロウイルスは検出されなかったが 食品の刺身の残品から健康被害を起こしうるクドアの胞子数が検出された したがって 今回は天然ヒラメを原因とする食中毒であると判断した ヒラメの遡り調査 2 月 17 日 市内の魚介類販売店は 大分県内の A 市の魚市場で天然ヒラメ (2.9kg)1 匹をせりおとした その後 店に持ち帰り 刺身用の柵としておろして8パック販売した 当日中に6パックが完売 2パックが売れ残った 完売した6パックのうち4パックについては購入者が特定できたが 2 パックについては不明であった 患者調査 購入者が特定された天然ヒラメの刺身 4パックについては 3グループ 16 名が食べており そのうち 12 名が食後 3~ 12 時間後にかけて吐気や嘔吐 下痢 腹痛等の食中毒様症状を呈した 調査の 結果 3グループに共通する食事は天然ヒラメの刺身のみであった クドアの検出 厚生労働省通知 ( 平成 23 年 7 月 11 日付け食安監発 0711 第 1 号 ) に基づく試験法 ( 暫定版 ) に従い 患者宅の刺身の残品 1 検体と店頭に売れ残っていた刺身の2 検体について検査したところ 筋肉 1g あたりのクドアの胞子数はそれぞれ 個 個 個であった この結果は 厚生労働省通知 ( 平成 24 年 6 月 7 日付け食安監発 0607 第 7 号 ) による筋肉 1gあたりのクドアの胞子数が 個を超えていたため 食品衛生法上 健康被害を引き起こすものとして判断した まとめ 最近まではクドアを原因とする食中毒は養殖ヒラメが対象であったが 今回 天然ヒラメを原因とするクドアの食中毒が確認された このことから 今後は天然ヒラメも対象にデータ収集が必要になってくると思われる 91

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108 東部保健所に寄せられた食品に関する苦情 2 事例 大分県東部保健所 大分県立病院 大分県東部保健所 中瀬真紀 渡邉和弥 阿部次男 はじめに 昨年度 東部保健所には 49 件の食品に関する苦情が寄せられており 有症苦情が最も多く ついで異物混入 異味異臭 容器の破損等 商品そのものに対する苦情となっている 今回 食品の製造に関する苦情について 再発防止の参考となる事例 2 例を報告する 今後同様の苦情があった時には この事例を参考に指導したい 事例 年 5 月 25 日 苦情者が 購入したチキン南蛮弁当を自ら店内の電子レンジで温めた 弁当を食べ終わったところ 弁当のフタに熱で溶けたような穴を発見した 調査及び指導結果 製造者に対し 問題となったチキン南蛮弁当を苦情品と同じ条件で製造し 苦情者の行った電子レンジによる加熱操作を同様に行い 穴あきの有無を確認するよう指示した 製造者が再現実験を行ったところ 電子レンジの加熱操作により容器のフタのタルタルソース付着部分が変形し 穴があいた まとめ 再現実験から 苦情品は 電子レンジによる加熱が原因で穴があいたと考えられる さらに タルタルソース付着部分に穴があいたことから 加熱によってタルタルソースの油分が高温になり穴があいたと考えられる 製造者は 苦情に対する改善策として 加熱時間の目安を掲示 耐熱性ポリプロピレンシートの使用 タルタルソースの別添付をおこなうことにした 事例 年 9 月 3 日 苦情者が 購入した鶏飯の素をご飯と混ぜて食べた際に 鶏肉にうじ虫様の異物が付着しているのを見つけた 調査及び指導結果 製造所への立入調査を実施し製造工程を確認したところ 苦情品は 製造工程において 真空包装された後 1 時間ボイル殺菌されていたことがわかった また 製造者が専門の検査機関に異物鑑定を依頼したところ 異物はケシキスイ科の幼虫であること 虫体は死滅しているが生態の特徴的色が残っており 加熱の影響を受けていないと判明した まとめ 混入異物の鑑定を専門の検査機関に依頼したことは 苦情者の理解を得る上で有効であったと考える また 食品製造業者の防虫対策の適切な対応等が不十分であることから 衛生害虫対策の基本的な方法についての啓発を行う必要があると考える 95

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112 獣医師会 ボランティアと協働した犬 猫の譲渡推進体制 大分県食品安全 衛生課 大分県廃棄物対策課 小林貴廣 佐藤久 1. はじめに動物の愛護及び管理に関する法律が平成 25 年 9 月に改正施行され 終生飼養を前提とした取り組みが強く出され その中で行政が引き取った犬 猫は譲渡に務めなくてはならなくなった 大分県では各保健所で随時譲渡を行うとともに動物管理所において定期的 ( 子犬月 2 回 子猫月 1 回 ) に譲渡会を開催しているが 譲渡の推進には公益社団法人大分県獣医師会とボランティア ( 動物愛護推進員 ) の協力が必要不可欠のものとなっている そこで 今回 動物管理所の譲渡会を主に 協力体制を組むに至った経緯と現状 今後の課題について報告する テーマとした第 1 期修了生が平成 16 年から子犬の譲渡会のサポート活動を開始するに至った 図 2 ボランティア養成講座の概要 図 3 ボランティア養成講座のグループ討議 図 1 獣医師会 ボランティア 行政の連携関係 2. 経緯 ⑴ボランティアの協力について大分県と大分市が大分県獣医師会に委託実施した 動物愛護ボランティアリーダー養成講座 が平成 15 ~ 17 年の3 年間 開催され 43 人の受講生が修了した 講座は講義形式ではなく テーマ別のグループに分かれて 討議し 解決策を導き出し 具体的なプランを組み立てるプログラムで 月 1 回のペースで半年にわたって開催され 譲渡の推進を 99 図 4 譲渡の推進をテーマとした班の提案書

113 ⑵ 大分県獣医師会の協力について動物管理所の子犬の譲渡会では雄が多く譲渡され 雌が残ることが多いことから 大分県獣医師会は平成 19 年度から単独の事業として 動物管理所で譲渡された雌の子犬について マイクロチップの挿入や県獣医師会主催の講習会受講など条件を付して 無料で避妊手術を実施することとした ( 日獣会誌 報告済み ) 表 1 大分県動物管理所の子犬の譲渡会の実績 図 5 大分県獣医師会の譲渡雌子犬への助成事業 3. 現状動物管理所の子犬の譲渡会は月 2 回開催し 平成 24 年度の譲渡実績は 130 頭であった 子猫の譲渡会は平成 24 年 10 月から月 1 回開催し 平成 24 年度の譲渡実績は 10 頭であった 動物愛護推進員を中心としたボランティアが約 10 人 / 回参加している 子犬の譲渡会への参加者人数は平成 20 年度の 623 人がピークで 子犬の展示頭数の減少に応じて減少しているが 参加人数 / 展示頭数は平成 23 年度までは増加傾向にある 図 7 子犬の譲渡会の参加者の年度別推移それにあわせて大分県獣医師会は子犬の雌に限っていた避妊手術の助成を犬 猫の雄 雌まで広げること ( ただし 飼主負担 5 千円とした ) とし 平成 24 年度までに犬で 470 頭 猫で 10 頭の助成を行っている 図 8 大分県獣医師会の不妊去勢手術助成の要件等 図 6 大分県動物管理所の譲渡会の現状大分県では子猫の譲渡会を開始することを契機に 犬 猫の譲渡には事前講習会を義務付けることとした 4. 課題大分県では ボランティア 大分県獣医師会 行政の良好な連携により 犬 猫の譲渡を進めてきた 今後 さらに譲渡を推進するためには 犬 猫の健康管理が現状の施設 スタッフでは不十分である そのほか 動物管理所では譲渡会時の駐車場が不足するなど多くの課題があり 譲渡を推進するために 100

114 表 2 大分県獣医師会の不妊去勢手術実績頭数 は施設 組織を大きく見直す必要がある 平成 25 年度には外部の有識者で構成する 大分県動物愛護推進体制あり方検討会 を設置し 検討を行っており 今後の大分県の動物愛護の推進体制について見直す予定である 101

115 Arcobacter butzleri のヒト下痢症検体からの検出 大分県衛生環境研究センター微生物担当 〇成松浩志 佐々木麻里 緒方喜久代 目的アルコバクターは 新しい人獣共通感染症起因菌とされ 食肉や環境中からよく検出されることが多数報告されています 特に鶏肉においてはカンピロバクターと同率によく検出されています しかし その割に日本におけるヒトからの検出報告は数例しかありません これは本菌に対する認知度がまだ低く日常的に検査されていないことによるものか その他の要因によるものかは追及されていません そこで 当所の日常の下痢症検査項目にアルコバクターを加え まず検出頻度から調査してみました 方法 2011 年 4 月 ~ 2013 年 8 月の間 ヒト下痢症由来便 94 検体 ( 散発例 60 検体 集団発生 8 事例 34 検体 ) について 通常の下痢症起因菌検査項目にアルコバクターを加えました 検査法については 下痢便を 10% に PBS(-) に懸濁した乳剤をパスツールピペットで1 滴 mccda に画線塗沫し 30 で2 日間好気培養後 発育した灰白色湿潤な集落について オキシダーゼ陽性でグラム陰性ラセン菌であれば 馬血液寒天で純培養後 DNA を抽出して PCR 法により同定しました mccda: Campylobacter Blood-Free Selective Medium(OXOID, CMO 0739) に CAT サプリメント (OXOID, SR174) を添加して調製 PCR 法 :Arcobacter butzleri, A.cryaerophilus 及び A.skirrowii の鑑別は Pentimalli ら 1) の方法で A.cryaerophilus1 A と同 1B の鑑別は Kabeya ら 2) の方法で行いました 結果 1 集団事例 2 検体中の1 検体から Arcobacter butzleri が検出されました その他の検体からは不検出でした なお 本事例は食中毒事件ではなく 原因不明の有症苦情として処理されました ( 参考参照 ) 全体の検出率は 1.1%(1/94) でした 検体数 Arcobacter 属菌 他の検出菌 ( 重複感染あり ) 散発下痢症 60 0 Campylobacter jejuni 7 Salmonella Typhimurium 1 ETEC O148 (ST) 1 EPEC 疑い 2 (O26, O121) EAggEC 疑い 2 ( O15, O86a) 黄色ブドウ球菌 4 Aeromonas sp. 3 Norovirus 4 集団下痢症 34 1 EIEC 2 (8 事例 ) ウエルシュ菌 11 ETEC O153(ST) 5 /EPEC O

116 考察西川らは 小児散発下痢症の 0.2%(2/1054) から A.butzleri が検出されたと報告しています ( 食品微生物学会学術総会 2011 東京) 我々の結果も これまでのところ 1 検体しか検出されておらず 検出率は 1.1% で 高くはありません ( 調査は今現在も継続中で検出率はこの時より下がっています ) 一方 カンピロバクターは本調査で7 件 (7.4% 7/94) 検出されています 鶏肉の汚染率から考えてカンピロバクターと同頻度でヒト下痢症検体から検出されてもおかしくはないのですが そうはなっていません これらから アルコバクターが日常的に検査されていないことによるものではなく ヒト下痢症からの検出頻度そのものが高くはないことが示唆されます しかし 大分県においてもヒト下痢症検体からアルコバクターが検出されたことから 今後の食中毒事件の調査にあたり 通常の検査項目で下痢症起因菌が検出されない場合は アルコバクターを視野に入れた検査も行う必要があるとは思います 一方 動物 家畜及び食肉や環境中から高頻度に検出される割に下痢症検体からの検出が多くはないことから 仮に病原性の強いタイプと弱いタイプがあるとすれば よく検出されているのは弱いタイプである可能性も考えられます 今後は病原因子 ( 研究途上 ) に着目した疫学的な調査研究が望まれるところです 最後に参考として今回の検出事例を以下に紹介します 参考 : アルコバクター検出事例 探知 2013 年 5 月 7 日某小児科医院から報告 中学生 3 名 6 日から嘔吐 下痢 腹痛 3 名とも3~5 日に某部活動関係の大会に参加 調査結果 大会参加団体中 下痢症等が確認されたのは上記 3 名の所属するR 中学校の団体のみ R 中参加者 : 生徒 12 名 ( 男 5 名 女 7 名 ) 引率者 3 名 内 有症者 : 生徒 8 名 ( 男 2 名 女 6 名 ) 主症状 : 下痢 (4), 腹痛 (6), 嘔気 (6), 嘔吐 (4) 初発は5 月 3 日 19 時 共通食は5 月 3 日 18 時過ぎの宿泊所での夕食同宿泊所を利用した他校の生徒には発症者なし ただし 5 月 3 日夜 宿泊所敷地内の体育館近くのトイレで嘔吐した他校の生徒 1 人あり R 中学校の欠席状況には著変なし 5/1 ~ 5/9 に嘔吐 下痢等による欠席 ( 本事例患者を除く ) なし R 中と一緒に練習 / 食事をした他の3 団体に有症者なし 患者 大会開催中 休校日 ID 年齢性別 3 日 4 日 5 日 6 日 7 日 8 日 9 日 10 日 A 14 女 19:00 腹痛, 下痢 2 検査下痢便 B 14 女 19:00 腹痛, 下痢 6, 嘔気 C 14 女 19:30 腹痛 検査普通便 D 13 女 19:00 腹痛, 嘔気 E 13 女 嘔吐, 下痢, 腹痛 発熱 受診 早退, 嘔吐, 倦怠感,38.1 欠席, 夕方時は無症状 F 13 女 受診 早退嘔吐 欠席, 夕方時は無症状 欠席, 用心で 欠席, 用心のため G 14 男腹痛 下痢受診 欠席 H 中 3 男嘔吐欠席, 症状? 検査結果 検体: 患者便 2 検体 ( 上記 A 及びC) 他の患者からは検体提供協力得られず ノロウイルス サポウイルス ロタウイルスは不検出 病原性大腸菌 赤痢菌 サルモネラ カンピロバクター 病原ビブリオ属菌 黄色ブドウ球菌 セレウス菌 エルシニア等は不検出 Arcobacter butzleri 1 検体 ( 患者 A) から検出 103

117 事例の結論 共通食が5 月 3 日 18 時過ぎの夕食で 初発が同日 19 時と極めて潜伏時間が短いこと及び有症者が1 団体に偏っていることから食中毒の可能性は低い また R 中学校で感染症が拡がっていた可能性は認められなかった アルコバクターが検出された 1 生徒については この菌が原因だった可能性もあるが 他の有症者の原因物質とは断定できない 引用文献 1)Pentimalli D, Pegeis N, Garcia T, Martin R, González I Specific PCR detection of Arcobacter butzleri, Arcobacter cryaerophilus, Arcobacter skirrowii, and Arcobacter cibarius in Chicken Meat. J. Food Prot., 72: )Kabeya H, Kobayashi Y, Maruyama S, Mikami T One-step polymerase chain reactionbased typing of Arcobacter species. Int. J. Food Microbiol., 81:

118 大分県食肉衛生検査所 と畜場の口蹄疫危機管理対策 ~ 口蹄疫の侵入をどう防ぐか~ 〇江川英明 奈須直子 伊東成巳 1 はじめに平成 22 年 4 月に隣県の宮崎県で口蹄疫が発生し 約 29 万頭の家畜が殺処分される未曾有の事態となった 終息から3 年を経過したが 世界的にみるとアジアを中心に現在も発生が継続しており 今後も国内に口蹄疫が侵入する可能性は高いと考えられる ( 図 1) 平成 22 年の宮崎県での発生時には 当所でも危機管理チームを設置し と畜検査の強化を行った 一方 当所が所管するOと畜場は県内唯一のと畜場であるため もし場内で口蹄疫が発生し と畜場が閉鎖された場合に本県の畜産や食肉流通に与える被害は計り知れないことから 口蹄疫侵入防止対策として と畜場外の守衛室前で車上検査の検討を行ってきたところである 1) ( 図 2) しかし 平成 23 年 10 月に 口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針 が改正され と畜場で口蹄疫が発生した場合 と畜場を中心とした半径 1km以内が移動制限区域に設定されることとなった このため 事前検査場所がと畜場の半径 1km区域の内側であった場合 と畜場も移動制限区域に入ることから 再度 と畜場から半径 1kmを超える場所で事前検査を行うことを検討した ( 図 3) また 併せてOと畜場や豊後大野家畜保健衛生所 ( 以下 家保 ) 等の関係機関と連携し 研修会等の取り組みも行ったので 概要を報告する 2 侵入防止対策の検討及び取り組み口蹄疫をと畜場内に持ち込まないため と畜場から半径 1kmを超える場所での車上での事前検査 ( 以下 事前検査という ) の検討を行った また 口蹄疫に罹患した患畜をまずは搬入させないことが 重要であることから 口蹄疫に関する情 図 1. アジアにおける口蹄疫発生状況 図 2. 平成 22 年における当所の対応 図 3. 事前検査イメージ 105

119 報収集体制の強化や 関係機関との情報共有や連携強化を目的に研修を実施した (1) 事前検査体制の検討 1 関係機関との協議事前検査に向けての協議を家保及びOと畜場と行った 家保とは 事前検査実施にあたっての防疫指針の解釈や事前検査場所選定の相談を主体に協議した 協議の中で 事前検査場所で口蹄疫が発生した場合 と畜場と同様に移動制限区域が半径 1km以内となるのか または農場発生時と同様に半径 10km以内となるのか疑義が生じた そこで 農林水産省 ( 以下 農水省 ) に家保から家畜衛生飼料室を通じて照会したところ と畜場と事前検査場所との検査員の行き来の実態や 異常畜を発見したタイミングとその状況等で異なるが 事前検査場所は飼養実態のない家畜集合施設とみなせる ので 移動制限区域は事前検査場所を中心とした半径 1km以内 との回答を得たことから 事前検査の検討を先に進めることとなった Oと畜場とは 防疫体制強化について意思の統一や事前検査方法について協議を行った 会社としても事業の継続に重要な対策であることを認識しており 共同で検討するという意思統一を図った ( 表 1) 表 1. 家保及びOと畜場との協議経過 平成 23 年 9 月 家保と事前検査方法について協議 9 月 Oと畜場に事前検査の必要性を説明 理解を得る 平成 24 年 6 月 家保と検査場所について協議 7 月 家保と候補地について協議 9 月 Oと畜場と事前検査等について協議 10 月 家保と協議 移動制限区域の解釈について疑義が生じ 国に照会する 12 月 家保と事前検査方法等について協議 12 月 Oと畜場と事前検査方法等について協議 2 候補地の選定家保の家畜防疫マップシステムを使用し と畜場から半径 1kmを超えた場所で家畜の飼養状況を考慮しながら マップ上で候補地を検討した また 実際に現地に出向いて確認を行い 最終的にと畜場周辺で6ヶ所の候補地 ( 案 ) を選定した 選定した候補地については 土地の利便性等を比較して優先順位をつけて 実際に検査場所を決定する際に参考となるようにリストアップした ( 表 2) 表 2. 候補地の比較 A B C D E F 検査に十分な広さがあるか 〇 〇 〇 〇 隔離場所 待機場所 〇 〇 舗装状況 〇 〇 〇 〇 半径 1km内の農場の有無 無 無 無 無 有 有 周囲への影響 と畜場からのアクセス 〇 設備 ( 水道 電気 トイレ 屋根等 ) 総合判定 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 6 位 3 事前検査方法の検討 ~シミュレーションの実施 ~ 平成 25 年 1 月 16 日 Oと畜場内において 実際の豚搬入車両 1 台を用いて 食肉衛生検査所 ( 以下 食検 ) とOと畜場合同で事前検査シミュレーションを実施した 106

120 シミュレーションは 実際に検査を行う検査員 2 名が 家畜を積載したままの状態 ( 肉豚 40 頭積載 4tトラック ) で検査を行い その様子を他の検査員 2 名が 検査時間 特定症状好発部位の視認性 検査の安全性 人員の必要数 必要資材等の項目別にチェックし 検証を行った ( 図 4) シミュレーションの結果 2 名の検査員で約 10 分程度で検査を行うことができた ただし 好発部位の中で 豚が重なり確認が困難な部位があったことから 通常の7~8 割程度の積載頭数に制限する方がスムーズに検査できることが分かった また トラックの誘導等の人員確保 安全に検査できる足場の準備 疑わしい家畜を発見した際の連絡手段の確保等の新たな課題も発見できた 図 4. 事前検査シミュレーション (2) 情報収集体制の強化口蹄疫の侵入防止対策として 常時から正確かつ最新の情報を入手することが重要である 特に家保からの最新情報をいち早く入手することが重要であることから 家保と協議した結果 家保が生産者等に発信している 農水省の発表する特定家畜伝染病発生の速報 を食検とOと畜場にもメールで緊急速報する体制を整備し家保との情報の共有を図った また 緊急連絡網を作成し 家保 食検 Oと畜場等の関係機関との連絡体制を整えた ( 図 5) 図 5. 情報収集体制の強化 (3) 口蹄疫研修の実施平成 25 年 1 月 22 日 食検会議室にて Oと畜場 食検 家保職員による研修会を開催した 口蹄疫の特徴や発生状況や家畜伝染病予防法の改正等について 家保の家畜防疫員による講習を実施し その内容をもとに意見交換を行った 合同で研修会を行ったことで 情報共有と危機管理意識の向上を図ることができた 107

121 図 6. 研修会風景 3 考察およびまとめ今回 口蹄疫の侵入防止対策としてと畜場から半径 1kmを超える場所での事前検査場所の候補地の選定を行った 検査場所の決定については 防疫措置の問題もあり最終的には農政部局の判断が必要である しかし いつ発生してもおかしくない状況にあることから 候補地リストを作成し発生に備えておくことは 初動対応が特に重要な口蹄疫の危機管理対策として重要であると考える 事前検査方法については シミュレーションにより実際の検査の有効性と課題が確認できた 今後も分析結果を基に検討を重ねて具体的な事前検査実施方法を確立していく予定である また 事前検査体制等の侵入防止対策については 口蹄疫の発生レベル ( 表 3) に応じて臨機応変に実施する必要がある 平成 22 年度の宮崎県での発生時には 農家に対して搬入前の口蹄疫症状の自主チェック ( 以下 事前チェック制度 ) を依頼したが 大分県での発生が危惧される段階では 速やかに同様の事前チェック制度を導入できるよう事前検査同様に準備を進めておく必要がある 現在 検討した侵入防止対策については と畜場への口蹄疫侵入防止に関する危機管理要領 としてまとめを行い 発生段階における対策が速やかに実施できるように整備を行っているところである Oと畜場は 県内唯一のと畜場であり 県民の食生活の維持および畜産の保護のため危機管理体制整備を進めていくことが重要と考える 表 3. 口蹄疫発生レベルと対応 ( 案 ) 対策レベルの分類 対 応 レベル1 国内で発生していない段階 情報の取集 レベル2 九州以外の国内で発生した段階 緊急時連絡体制の強化生産段階での事前チェック導入 レベル 3 レベル 4 九州の大分県と隣接していない県 もしくは隣接県であっても早急に大分県内に感染拡大をする恐れがない地域で発生した段階県内で発生又は隣接県で県内で感染拡大する恐れがある地域で発生した段階 と畜場外事前検査の体制の導入検討及び導入の可能性 と畜場外事前検査の体制の導入 参考文献 1) 小林貴廣 : 口蹄疫発生時の食肉衛生検査所の対応 ~ 危機管理として何をなすべきか~, 平成 22 年度食品衛生監視員 と畜食鳥検査員 狂犬病予防員研究発表会発表抄録集 108

122 千村ギャラリー 作者 : 千村収一 ( ちむらしゅういち ) 1953 年愛知県岩倉市生まれ帯広畜産大学獣医科卒業千村どうぶつ病院院長 飼っていたアニー ( ゴールデンレトリバー メス 2006 年 2 月亡 ) と生まれつき心臓病の病気のあるクリ ( シーズ メス 2009 年 7 月亡 ) を描いたカレンダーより掲載しました ( カレンダーの売り上げは 東日本大震災動物レスキューへの義援金となります ) 落ち葉から雪へ 109

123 雪原の足あと 水仙コーラス 110

124 沈丁花の香り 菜の花畑 111

125 牡丹のふわふわベッド 一期一会 112

126 鮎の頃 緑のカーテン 113

127 中秋の名月 赤とんぼ 114

128 落ち葉のジェットコースター 待ちくたびれたサンタさん 115

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130 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会について

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132 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会報告 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会が 平成 25 年 10 月 12 日 ( 土 ) ~ 13 日 ( 日 ) の2 日間 本会が主催し九州各県 市獣医師会の共催で 本年 7 月に完成した ホルトホール大分 で開催されました 大会には九州各県 市獣医師会会員をはじめ 900 名を超える参加者を得て盛大に開催されました 大会では 九州から実現しよう! 人と動物が共生できる豊かで健全な社会を のテーマのもと 下記の4 議案が提案 可決され 日本獣医師会を通じて関係省庁へ要請されることになりました 三学会については 本県から日本産業動物獣医学会 7 題 日本小動物獣医学会 9 題 日本獣医公衆衛生学会 7 題の計 23 題の発表がありました 産業動物獣医学会では 地区学会長賞 1 題 九州地区獣医師会連合会長賞 2 題 小動物獣医学会では地区学会長賞 1 題 フロアー賞 1 題 獣医公衆衛生学会で地区学会長賞 1 題と多くの発表者が受賞されました 第 1 号議案産業動物診療獣医師及び勤務獣医師の処遇改善と人材確保対策について 近年 獣医師及び獣医療は 人と動物の共通感染症対策や食品の安全 安心の確保をはじめ 畜水産業の生産振興と安全 安心な生産物の安定的な供給に深く関与するとともに 動物愛護や福祉 自然環境の保護まで その資格と高度な知識や技術を駆使して広範囲な業務に従事し 社会の経済発展と広く国民生活の安定に重要な役割を担っている また 世界的な物流のグローバル化の中 中国における口蹄疫の発生や鳥インフルエンザの浸潤 台湾においては 52 年ぶりに狂犬病が発生するなど 国内における越境性感染症の発生も危惧されるなど これらに対する危機管理対応が求められている このような中 産業動物診療獣医師及び勤務獣医師は 休日や夜間業務など不規則な勤務対応を余儀なくされることも多く 獣医学教育 6 年制に見合う処遇の改善が進展しないことなどから 就業希望者は少なく安定的な確保が困難となっており 業務に支障を来している 地方自治体等においては 勤務獣医師が関与すべき多くの事業の推進に支障を来し また 産業動物診療獣医師の減少による畜産振興への影響が危惧され それぞれの地方自治体は獣医師の人材確保のため修学資金の貸与制度や獣医学系大学の訪問活動などの様々な取り組みを行っているが 国においても積極的な獣医師確保支援対策が必要である さらに 獣医師自ら行動し 専門職として社会の要請に応えるためには 重要な職責に見合った処遇の改善が必要であり 下記事項について特段の配慮を要請する 記 1 公務員獣医師の給与改善については 医療職 ( 一 ) 表に準ずる医療職給料表を新設すること 2 産業動物診療の基盤となる家畜共済制度を充実し 魅力ある産業動物診療体制 ( 制度 運営 ) を確立すること 3 勤務獣医師の職場における管理職ポストへの積極的な登用制度を確立すること 4 産業動物診療獣医師及び勤務獣医師確保支援対策として 獣医学系大学において獣医師の就業優先入学枠の導入を図ること 117

133 第 2 号議案獣医療提供体制の推進と関係機関等との連携強化について 平成 22 年に発生した口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの対応に際し 防疫活動や経営再建対策に多大な人材と経費が投入されたところである 特に 口蹄疫が発生した宮崎県では飼育農家はもとより地域社会全体に甚大な被害が生じた 現在 発生地域の復興は 多くの人や関係機関 団体支援のもとで進められてきているが これまで家畜の飼養再開は6 割程度に留まっており 現在も地域経済に大きな影響を及ぼしている また 本年 7 月からは TPP 交渉が開始されており 交渉の結果如何では地域の農林水産業は計り知れない影響を受けることが考えられる このような中 家畜の防疫対策は これまでの教訓を生かし海外からの悪性伝染病の侵入防止や発生予防のため 国及び地方公共団体等が一丸となって防疫の強化対策を講じているものの 近隣諸国では依然として口蹄疫 高病原性鳥インフルエンザ 狂犬病などの悪性伝染病が発生しており 国内への侵入が危惧されることから 水際でのさらなる検疫強化や家畜飼養農場への侵入防止及びまん延防止などの防疫体制の強化が必要である 安全 安心な食料の安定供給を図るため 農畜産物等の食の安全 安心の確保とともに 人と動物の共通感染症や海外悪性伝染病に対する危機管理対策の強化が重要である 改めて 海外からの悪性伝染病侵入阻止に向けて 産業動物臨床 小動物臨床 家畜衛生 公衆衛生 獣医学術等のそれぞれの専門分野の獣医師がこれらの社会的要請に的確に応えていくために関係機関との連携をさらに密にして 獣医師が担うそれぞれの獣医療提供の質の確保と連帯感を強化する必要がある 記 1 越境性感染症に対する水際対策の更なる強化を図ること 2 家畜飼養農場への家畜伝染病の侵入及びまん延防止対策に向け 関係機関等の連携強化を図ること 第 3 号議案 狂犬病予防対策の強化について 狂犬病は 日本やオーストラリア ハワイなど ごく一部の国や地域を除き 世界中で広く発生しており 主な流行地域はアジア 南米 アフリカで 全世界では毎年約 5 万人の命が失なわれている最も危険かつ重要な疾病である 本年 7 月には 日本と並び世界でも数少ない狂犬病の清浄国であった台湾で 52 年ぶりに3 匹の野生のイタチアナグマが狂犬病に感染していたことが確認され ペットや犬 猫に予防注射をするためのワクチンを緊急輸入する事態になっている 我が国では昭和 31 年を最後に狂犬病の発生はなく 世界的にも例外的な清浄国であるが 全国における狂犬病予防注射の推定実施率は約 40%( 全国ペットフード工業会資料 ) であるといわれており 年々その接種率は低下傾向にある 狂犬病は 犬へ狂犬病予防注射を実施することで 人への感染が防止できることから 予防注射の接種率を上げることが最大の予防対策である しかしながら 現状は十分な接種率の向上対策が図られているとは言い難く また地域における的確な登録頭数の把握が不十分であると考えられる このため 狂犬病予防法に基づく犬の登録制度にマイクロチップの装着の義務化を取り入れた確実な登録頭数の把握や予防注射接種率の向上に向け 国及び地方行政との連携を強化し普及 啓発に努めることが重要である 118

134 記 1 国は狂犬病予防法に基づき地方行政 ( 県 市町村 ) との連携を強化するとともに 年間を通じた実効性のある広報活動等により予防注射接種率の向上に努めること 2 狂犬病予防法に基づく犬の登録制度にマイクロチップの装着を義務付け 確実な飼育頭数の把握に努めること 3 関係業界に対して狂犬病予防対策の普及 啓発 広報活動の協力を強く要請すること 第 4 号議案災害時におけるペット同行避難に対する理解の醸成について 平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災とそれに継発した原発事故により多くの人々とともに 飼育されていたペットも同行避難したが ペット用の避難施設が無く放置を余儀なくされたペットも多くいたと聞いている 災害が発生した場合 ペットとして飼育している犬や猫を連れて避難が出来るかどうかは ペットを飼っている人の大きな悩みである また 避難所には動物が苦手な人も身を寄せるため ペット用の避難場所やシェルターが必要である 環境省は 災害時におけるペットとの同行避難を位置づけしているが 動物を飼育していない人の理解は不十分であり 地方自治体の避難マニュアル等に同行避難に対するペット避難場所やシェルターの設置場所等を明記するとともに ペットの避難に対する理解の醸成を図ることが必要である 記 1 ペット用の避難場所やシェルターを設置し 避難マニュアル等に明記すること 2 ペット同行避難に対する理解の醸成を図るとともに 同行避難訓練を実施すること 119

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136 資料及びトピックス

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138 第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会を終えて 県獣事務局 岡正則 まえがき第 62 回九州地区獣医師大会並びに平成 25 年度獣医学術九州地区学会は 平成 25 年 10 月 12 日 ( 土 ) ~ 13 日 ( 日 ) の2 日間 晴天に恵まれ 大分駅南側に平成 25 年 7 月新装オープンしたばかりの ホルトホール大分 を主会場として 府内学園 並びに レンブラントホテル大分 において 九州各県 市獣医師会会員をはじめ 900 名を超える参加者を得て盛大に開催することができました 9 年ぶりの開催であり 右往左往するばかりでしたが 会員の皆様方にスタッフとしてご協力していただくとともに また三学会への発表や 獣医師大会 懇親会に多くの方のご参加とご協力 ご助力をいただき 無事に終了することができましたことを報告します 開催計画案の作成昨年 10 月 宮崎市で開催された第 61 回九州地区獣医師大会において 麻生会長が足利宮崎県獣医師会長より大会開催を引き継いだのが つい最近のことのようであるが さかのぼること1 年半前の 24 年 4 月 大分市が建設を計画していた ホルトホール大分 に大会 学会の開催計画を持ち込み 会場借用の申し込みを行ったが 会場の大きさ等が分からずなかなか決定には至らなかった 9 月 3 日以降に使用許可申請を出すよう大分市から指導があったため 25 年 10 月 13 日 ( 日 ) を開催日として 会場等の使用許可申請をした その後 9 月 27 日に開催した 第 62 回九州地区獣医師大会 学会準備委員会 において 1 学会の発表数 時間に制限があり 十分な討議時間がない 2 会場が狭い 3 展示会場を別室に設けると不便である 42 日間に分けて開催したらどうか などの意見が出されたため 急遽 ホルトホール事務局等と協議し 2 日間 10 月 12 日 ( 土 )~ 13 日 ( 日 ) の開催計画を立て会場等を確保した しかしながらどうしても学会会場が1つ足りなくなり 隣接する府内学園を紹介していただき 学会会場とすることとした 同時期には 大分県並びに大分市に対し 開催への協力と助成金確保の要請を行った 24 年 10 月 14 日 ( 日 ) に宮崎市で開催された 第 61 回九州地区獣医師大会並びに平成 24 年度獣学術九州地区学会 を準備委員会委員による視察 研修を行い それを踏まえ第 2 回 (10 月 24 日開催 ) の準備委員会を開催し 宮崎大会の反省点等を含めた報告は大分大会への大きな参考となった 年明けの 25 年 1 月 10 日に第 3 回準備委員会を開催し 開催場所や日程 ( 案 ) について了承を得るとともに 市民公開講座やセミナー等開催案の提案について検討し 計画に盛りいれることとした 開催準備 25 年度にはいり いよいよ本番まで6ヵ月余りとなり 4 月 25 日には 平成 25 年度獣医学術九州地区学会幹事会 を開催し 開催要領等を決定するとともに 学会別の幹事会の要望事項をいれた開催計画を作成することとした また 6 月 6 日 ( 木 ) 平成 25 年度九州各県 市獣医師会会長 事務局長並びに事務職員会議 を開催し 大会日程や開催要領等の説明をするとともに 獣医師大会への提出議案 表彰候補者等を提出するよう依頼した 8 月 8 日 ( 木 ) には 平成 25 年度九州各県 市獣医師会長 事務局長会議 を開催し 今回の獣医師大会のテーマ スローガンを了解していただくとともに 各県 市獣医師会からの提出議案について協議し決 121

139 定した 大会テーマ並びにスローガンについては 麻生会長及び各副会長から提案やご意見をいただきありがとうございました 大会テーマ 九州から実現しよう! 人と動物が共生できる豊かで健全な社会を 大会スローガン 1 産業動物診療獣医師と勤務獣医師の処遇改善を行い 人材の確保を図ろう 2 防疫体制の強化を図り 安全で生産性の高い畜産振興を推進しよう 3 狂犬病予防事業の強化と犬の登録制度の周知徹底を図ろう 4 動物愛護精神の高揚と普及 啓発に積極的に取り組もう 5 災害時の動物救護 支援活動体制を整備しよう この間 産業動物獣医学会 60 題 小動物獣医学会 60 題 獣医公衆衛生獣医学会 30 題を目標に 各県 市獣医師会を通じ発表演題を募集し 抄録の提出等をお願いした また 各地区学会を通じランチョンセミナーの協賛企業やナイトセミナー VT セミナー等の演題を決定することができました さらには 展示や大会 学会誌への協賛企業の募集等を行い 8 月末までには決定し 発表演題についても多くの獣医師会員の方々から申し込みいただき 地区学会長に発表順等を作成していただいた 大会 学会誌の原稿の締切が迫る中 抄録や表彰推薦書等の提出が遅れるところもあり 事務局泣かせであった さて 大会 学会誌の中身は決まったが 表紙を決めなくてなりません 表紙はセンスが問われかねない しかしながら センスを持ち合わせていない者にはつらいものがあるが やはり中には立派なセンスを持った方がいるものだと感心しながら 裏表紙には おんせん県おおいた を入れる心配りもしていただいた もう一つの大きな課題があった 大会準備や運営は委託している部分も多くあったが 多くの会員の協力なくして大会 学会が出来るはずもなく 8 月 29 日 ( 木 ) 第 1 回実行員会を開催した これまでの経過や開催計画を説明するとともに 各部会にスタッフの動員要請を行った 部会長さんや部会事務局のご協力と部会員のご理解をいただき 学会毎にスタッフをお願いすることとなった 県職や団体所属の会員の方々には総合受付等までもお願いした 直前の 10 月 7 日にようやくスタッフ説明会を行うことができましたが 十分理解して頂くような説明ができたかどうか不安でした 開催日当日の説明とたった2 回の説明でご理解いただき 何のトラブルもなく順調に実施できました スタッフの方々のご協力には感謝しております ありがとうございました 地区学会の開催学会は 大会と並ぶ大きな行事であり 発表スライドの準備や時間制限があること 初めての会場であることなどから会場 器材等準備は委託していましたが 運営については各会場の大きさが違うことや各地区学会で進行方法が異なることなどからスタッフの方々にお任せしてしまいました 何かと不行き届きの点がありお手数をおかけいたしました 特に 司会 進行係の先生方は会場の責任者としてお世話になりました 時間内に 大きなトラブルもなく 盛会裏に開催することができましたのも 多くのスタッフの方のご協力とお力添えがあったからこそと感謝に堪えません また 短時間で採点の集計や表彰者一覧表を作成していただきました先生方ありがとうございました 今回は学会以外にも新たに1 日目の学会終了後 主に各学会が主体となり 本会の各部会の全面的な協力のもと 多くのセミナーを計画 開催致しました 当初は聴講者が少ないのではと心配しましたが 多くの方々の参加を得ることができました また 学会開催前に行った市民公開講座では アフリカン サファリの神田岳委先生から 動物とともに生きる~サファリの動物たち~ と題して 豊かな経験と絶妙の話術で 会場いっぱいの参加者の感動と笑いと涙を誘った講演会であったと聞いています ありがとうございました 122

140 獣医師大会の開催大会は小ホールで行ったが 会場準備がわずか1 時間しかなく スタッフの方には十分なリハーサルもなくご迷惑をおかけしました 会場は 200 名の参加を予定し準備をしてきましたが 来場者が多く開会前に 40 席近くの席を追加しました 各獣医師会の功労のあった方 九獣連が行ってきましたヤマネコ保護支援活動に協力して頂いた企業の方 また地区学会の発展にご尽力された木原 久木両先生 受賞おめでとうございました 表彰式に続き 関係各省庁や大分県副知事 大分市長 岩屋衆議院議員等多くの来賓の方からあたたかい祝辞を戴きました また 地区学会での優秀な発表者には 各学会の審査委員会で地区学会長賞や九州地区獣医師会連会長賞などが選ばれ 会場で表彰式が行われた 本会会員の発表者も優秀な成績を収められ 表彰されました 大会の開催計画では2 時間の予定としていましたが 途中までは時間オーバー状態で 2 時間で終了するか心配で舞台裏に控えておりましたが 議長の進行と神田副委員長の提案説明も要領よく済ませていただき 議事もスムーズに終わり予定していた丁度 2 時間で終了することができました 決議した議案等については別項に記載しています 懇親会の開催懇親会は別会場のレンブラントホテル大分で開催した 会長や副会長から地区学会と獣医師大会の疲れを癒して頂くためにも楽しいものにと 三役会でアイディアを出しながらアトラクションと料理にはには少々気を使った 当初は 懇親会の開会前にゆっくりとギター演奏を聴きながらウェルカムドリンクでも と考えて準備をしていましたが 2 週間前になり日本文理大学 (NBU) チアリーディング部の演技は宴席ではダメと言われ 急遽開会前の演技となりましたが 元気なハツラツとした演技を大いに楽しんで頂いたと思っております さらに 会員の村上先生が所属するアフリカンミュージックグループ BEN-KAN にもアトラクションをお願いした アフリカから来日中の方も特別に参加していただいて迫力ある太鼓演奏と踊りを楽しんで頂きました 料理は 豊後牛 錦雲豚 りゅうきゅう カボスぶり かれい 鳥めし等の県産物を中心に出して頂きました ご満足いただけましたでしょうか NBU と BEN-KAN の皆さんには 元気を頂きました 機会がありましたらもう一度お願い致します 謝礼約 1 年半にわたり準備をして開催致しましたが 天気に恵まれ多くの方の参加を頂き 無事に終了することができました 会員の皆さんには心からご理解と ご協力いただきましたことに感謝いたします ありがとうございました また 関係機関や団体 関係者各位 大会 学会に協賛して頂きました展示企業や広告企業の方々にも厚くお礼申し上げます 今回の大会は 各県 市獣医師会員をはじめ関係者 一般市民 協賛会社等 900 名を超える多くのご参加を頂くとともに 日本獣医師会からは新しく会長になられた藏内勇夫会長 ( 前福岡県獣医師会長 ) ほか三役全員が揃って参加いただきました このような中で開催された大会で決議された要望事項等を各県や国に 確実に実現されるよう要望しているところです スタッフの方をはじめ 会員各位には不行き届きの点が多々あったことをご容赦願いますとともに 今後とも 本会の運営にご支援 ご協力をお願いし お礼のことばと致します 深謝 123

141 大会 学会の会場 ホルトホール大分 会場案内 受 付 スタッフ打合せ会 企業展示会場 会場外での骨密度測定 市民公開講座 ( 小ホール ) 麻生会長の挨拶 講師 : 神田岳委先生 公開講座風景 124

142 産業動物獣医学会 Ⅰ( 大会議室 ) 片本地区学会長 中尾学会長 司会 進行 発表風景 発表会 発表風景 産業動物獣医学会 Ⅱ( 会議室 ) 出口地区副学会長 発表会場 司会 進行 発表風景 発表風景 発表風景 125

143 小動物獣医学会 Ⅰ( 小ホール ) スライド受付 発表会場 発表風景 会場 会 場 審査委員 幹事打合会 小動物獣医学会 Ⅱ( 大ホール ) 萩尾地区学会長 岡本副学会長 126

144 獣医公衆衛生学会 府内学園 会 場 発表風景 会 場 座 長 司会 進行係 三澤地区学会長 大会会場準備 準備風景 大会会場 開会宣言 黙祷 獣医師の誓い 95 年宣言 第62回九州地区獣医師大会 小ホール 127

145 大会委員長挨拶 日本獣医師会長挨拶 日本獣医師会長表彰 表彰者 九州地区獣医師会連合会長表彰 表彰者 表彰者 ヤマネコ保護活動感謝状 獣医学術功労者表彰 地区学会長賞 産業動物 地区学会長賞 小動物 地区学会長賞 公衆衛生 学会表彰者 九獣連会長表彰 学会表彰式風景 128

146 来賓祝辞 農林水産大臣官房審議官 厚生労働省 環境省 小風大分県副知事 釘宮大分市長 岩屋衆議院議員 近藤大分県議会議長 来賓席 各県 市獣医師会長 大会議事 大会議長 議案上程 大会風景 129

147 第 61 回大会経過報告 大会風景 大会 学会懇親会 レンブラントホテル大分 130 次回大会へ引き継ぎ

148 131

149 第 62 回九州地区獣医師大会のオープニングを 飾った市民公開講座 動物愛護委員長 佐 伯 久 第 62 回九州地区獣医師大会の先陣を切って 平成 25 年 10 月 12 日 土 13 時から大分市の ホルトホー ル大分 小ホール で市民公開講座が開催されました 講師は 県獣医師会動物愛護委員でもある 九州アフリカライオンサファリ の神田岳委獣医師 大分県 の方なら誰でも知っていると言っても過言ではなく 新聞 ラジオ テレビなどメディアへの露出度は抜群 また 話術の巧さも秀でており 講師の選定については真っ先に名前が挙がり 即座に決定しました こ の市民公開講座は 動物愛護委員会が担当することになり 今年5月から講師選考作業を始めたものだった 参加者募集は 大分合同新聞の夕刊 ぶんぶん やチラシによって行いましたが 募集開始とともに 100 名弱の応募があり さすが 神田獣医師 知名度の高さを窺わせ 大成功する予感を覚えたのでした そして迎えたスタッフも緊張状態の大会初日 九州各県から獣医師が続々と受付に押し寄せる中 小ホー ルでは公開講座の開会を迎えましたが 会場は満席で 200 名近くの人たちが詰めかけて熱気が充満した状 態となっており 予感は的中 麻生会長のあいさつの後 神田獣医師の講演が始まりましたが すぐに会場は 神田岳委ワールド 一色 に染まり 聴衆者は話しに吸い込まれ 目を輝かせて聴き入る様子が感じ取られました 時には来場者に質問を投げかけ 時にはホロッと泣かせる話をしたり 巧みな話術を駆使したその内容と 進行は見事という他ありませんでした 九州アフリカライオンサファリでの体験談として 動物との触れあ いが人生を豊かにし 人を成長させていくということを 分かりやすく熱く語ってくれ 多くの聴衆者はう なずき 涙を流し そして感動した 80 分間があっという間に過ぎていきました その様子は 感動する映画を見て涙する人々を見るようでした 動物たちの命 を見続けてきた神田獣医師ならではの感性と表現によって 講演の内容が映像として想 像できるという類い希な経験をさせていただいた訳ですが この内容は人から人へと語り継がれ こうして 神田獣医師への講演依頼が増えていくのだろうと 納得することができました 特に印象に残っているのは 現場における神田獣医師とそれぞれの担当者 飼育員 とのやりとりです 現 場の経験豊富な担当者の話に良く耳を傾けながら 獣医師としての判断をしていく というやり方 現場 の職員を大事にしていく という考え方 これは聖徳太子の制定した 17 条の憲法の第1条 和を以て貴し と為す みんな仲良く そして 最後の 17 条 必ず衆とともに宜しく論うべし 物事はみんなで話し合っ て決めるように という昔から脈々と受け継がれている日本型マネジメントシステムの思想が背景にある ように感じます 組織経営という観点から見ると 西洋では管理する者と管理される者が明確に分かれており 契約 で 物事が決まり そのため 権利 と 義務 が発生します こういう欧米型のマネジメントシステムが導入 され始めている日本において 九州アフリカライオンサファリ の中で神田獣医師が実践している見事な日 本型の伝統的な組織作りは 今の日本の社会に警鐘を鳴らすものではないかと思わざるを得ませんでした 132

150 現在 マネジメントする側に立っている僕にとっては 思いやり 誠実 礼節 勤勉 の積み重 ねが信頼関係を生んでいくことを教えていただいた貴重な時間となりました 大会のオープニングを飾るイベントとして位置づけた今回の市民公開講座 満足げに感動した様子で帰路 につく市民の方々の背中を見つめながら 大成功で終わったことを実感し そして神田獣医師に感謝 感謝のオープニングイベントでした 133

151 動物愛護支援事業の進捗状況 県獣事務局 岡 正 則 平成 19 年度より取り組んできた動物愛護支援事業は 会員皆様のご協力により約 6 年を経過しました この間 譲渡子犬の無料避妊手術や健康診断 愛犬飼育講習会を行ってきた結果 犬の殺処分頭数は大幅に減少し大きな成果を上げることができました 一方 猫については 対策の遅れから ふん尿 や 鳴き声 などの苦情が増加するとともに 殺処分頭数は依然として年間 2 千頭をこえる状況にあります このような状況を踏まえ 24 年 10 月 事前講習会の受講を義務付け 子犬の譲渡会に加え子猫の譲渡会の開催 成犬 成猫の譲渡などの 大分県犬及び猫譲渡要領 の改正が行われました これを受け本会でも 動物愛護支援実施要領 の改正を行い 譲渡子犬に限って行っていた無料避妊手術を 飼い主さんが手術費用の一部を負担 ( 雄 雌とも 5,000 円 ) することで 動物管理所並びに保健所で譲渡された全ての犬及び猫の避妊 去勢手術を対象とするよう拡充したところであります また 25 年 8 月から大分市保健所の譲渡犬についても市の譲渡条件並びに本会の実施要領に基づき対象としたところであります 子犬 ( 月 2 回 ) 子猫( 月 1 回 ) の譲渡会は ボランティアグループの皆さんのご協力により開催されていますが 子猫は季節による展示頭数のバラツキや展示に適さないものなどまだまだ多くの課題があります 本会としても1 頭でも殺処分頭数を減らすためさらに協力したいと考えています また 21 年度から始めた譲渡犬対象の 愛犬しつけ講習会 は 昨年度に続き大分市田ノ浦にあるT- wave で6 月 2 日に開催しました 今回は動物愛護推進員の方々が計画した わんにゃんパラダイス と同時開催する予定でしたが 当日はあいにくの雨となり わんにゃんパラダイス は中止となりました 愛犬しつけ講習会はスタッフの先生方の排水等のお蔭で 園田千代香 敬德先生の熱心な指導と犬の同窓会で盛り上がった講習会となりました 来年こそは晴天のもとで開催できるように祈っています 動物愛護支援事業の概要は次のとおりです 1. 譲渡犬 猫への支援大分県動物管理所並びに保健所 ( 大分市を含む ) で譲渡された犬 猫について 1 無料健康診断 2 不妊手術の助成 3 飼育講習会等の技術的な支援を行っている 134

152 (1) 譲渡会での子犬 子猫の譲渡状況 ( 大分県動物管理所 ) 子犬の譲渡状況 平成 24 年度 譲渡年月日 展示内訳譲渡内訳頭数オスメス頭数オスメス 残頭数 備考 平成 24 年 4 月 10 日 月 24 日 月 8 日 月 22 日 月 12 日 中止 6 月 24 日 月 10 日 月 31 日 中止 8 月 14 日 月 28 日 月 11 日 月 25 日 月 9 日 月 30 日 月 13 日 月 27 日 月 11 日 月 22 日 平成 25 年 1 月 8 日 月 29 日 月 12 日 月 26 日 月 12 日 月 26 日 年度計 平成 25 年度譲渡年月日 展示内訳譲渡内訳頭数オスメス頭数オスメス 残頭数 平成 25 年 4 月 9 日 月 30 日 月 14 日 月 28 日 月 11 日 月 25 日 月 9 日 月 28 日 月 13 日 月 27 日 月 10 日 月 24 日 月 8 日 月 29 日 月 13 日 月 26 日 年度 11 月末計 備考 135

153 子猫の譲渡状況 平成 24 年度 (24 年度は 平成 24 年 10 月 23 日から開始 ) 譲渡年月日 展示内訳譲渡内訳頭数オスメス頭数オスメス 残頭数 備考 平成 24 年 10 月 23 日 月 20 日 月 18 日 平成 25 年 1 月 22 日 中止 2 月 19 日 月 19 日 中止 24 年度計 平成 25 年度譲渡年月日 展示内訳譲渡内訳頭数オスメス頭数オスメス 残頭数 平成 25 年 4 月 23 日 月 21 日 月 18 日 月 7 日 月 23 日 月 28 日 月 20 日 月 17 日 月 22 日 月 19 日 年度 11 月末計 備考 (2) 平成 25 年度譲渡犬 猫の避妊 去勢手術実績 譲渡メス子犬の無料避妊手術実施状況 メス子犬の無料避妊手術 実施頭数 備 考 平成 19 年度計 17 年度途中より実施 対象はメス子犬 平成 20 年度計 105 平成 21 年度計 90 平成 22 年度計 95 平成 23 年度計 84 平成 24 年度計 53 平成 24 年 9 月末日までの譲渡犬が対象 合 計 444 頭 譲渡犬 猫の避妊 去勢手術の状況 ( 平成 24 年 10 月譲渡分から対象 ) 犬猫オスメスオスメス 備考 平成 24 年度計 平成 25 年度 4 月 ~ 6 月 月 ~ 9 月 月 ~ 12 月 1 月 ~ 3 月 平成 25 年度計 注 : オス犬 猫については 平成 24 年 10 月 1 日譲渡分から対象 136

154 (3) 愛犬 愛猫飼育講習会受講者一覧 平成 24 年度 開催月日 参加人数愛犬飼育講習会愛猫飼育講習会 第 1 回 4 月 22 日 20 第 2 回 6 月 24 日 28 第 3 回 8 月 26 日 17 第 4 回 10 月 28 日 21 第 5 回 12 月 23 日 17 7 第 6 回 2 月 24 日 30 6 備考 偶数月第 4 日曜に開催 猫については 12 月から開催 計 平成 25 年度 開催月日 参加人数愛犬飼育講習会愛猫飼育講習会 第 1 回 4 月 28 日 35 5 第 2 回 6 月 23 日 第 3 回 8 月 25 日 第 4 回 10 月 20 日 第 5 回 12 月 22 日 第 6 回 2 月 23 日 備考 原則 偶数月第 4 日曜に開催 計 盲動犬への支援大分盲動犬協会に登録されている盲導犬を対象に 永く健康で活躍できるよう狂犬病予防接種やワクチン 診療費の一部を助成し 障害者の社会参加の支援を行っている 年度助成頭数備考平成 20 年度 17 平成 21 年度 19 平成 22 年度 17 平成 23 年度 17 平成 24 年度 17 平成 25 年度 17 大分盲導犬協会の登録犬を対象として 予防衛生対策費を助成 3. 身体障害者補助犬の認定審査への協力指定法人 ( 厚生労働大臣が指定した法人 ) が 身体障害者補助犬 ( 介助犬 ) の訓練が適正に実施されていることを検証 認定するために行う認定審査に 本会会員を派遣 協力するもので 25 年度は派遣要請がなかった 137

155 平成 25 年度愛犬しつけ講習会 ( 譲渡犬対象 ) 平成 25 年 6 月 2 日 ( 日 ) 大分市 : 田の浦 T-wave 譲渡犬同窓会 パン食い競争 138

156 平成 25 年度大分県動物愛護フェスティバルについて 県獣事務局 岡正則 平成 25 年度大分県動物愛護フェスティバルが 平成 25 年 11 月 4 日 ( 月 振休 ) 杵築市山香町 大分農業文化公園 みどりの広場 において 大分県及び ( 公社 ) 大分県獣医師会の主催で開催されました 大分農業文化公園に会場が移って以来 ここ数年は雨天での開催であったが 今回は前日の雨も上がり晴天が予想される天気の中での開催となった 当日は 雨は上がったものの風が強く寒い日となりましたが 開会式前から大勢の人が来場する中 午前 10 時の開会式に続き トリマーさんによる 抜け毛が減るマル秘テクニック のデモンストレーション 大分盲導犬協会による盲動犬の紹介を皮切りに 多くの愛犬 愛猫飼育者の方々やボランティアグループ 動物愛護推進員等の参加により盛会でした 愛犬しつけ教室は みどりの広場で行われ 園田先生によってしつけ方法やフラフープなどの器具を使い楽しみながら出来るしつけなどが行われた 午後には 愛犬と楽しむスポーツ ディスクドッグ 災害等で活躍する災害救助犬や警察犬の実演が行われ 長寿犬 長寿ねこの表彰式 動物ふれあいコーナーや獣医さんになってみようコーナー スタンプラリーなど多くの行事が行われ 最後に動物 クイズやお楽しみ抽選会で盛り上がり幕を閉じました また 会場ではペットなんでも相談 動物スケッチ ペットグッズの紹介 手入れ相談 愛犬 愛猫との写真撮影会など 関係者によるブースが展示されました 獣医師会は 愛犬しつけ講習会 長寿犬 長寿ねこの表彰 ペットなんでも相談 を担当しました 愛犬しつけ教室 基本的な犬のしつけについて 玖珠町の園田千代香先生 ( 家庭犬しつけインストラクター ) 園田敬德先生より 飼育犬を用いての丁寧な説明 実演によるしつけ教室が行われ 事前参加登録及び当日参加された 29 頭の愛犬 飼育者が熱心に受講されました 野外の芝生の上で 今回は基本的なしつけのできている犬が多く おやつを使いながら また遊具を使いながら 1 時間半大きな犬から小さな犬まで気持ちよさそうにしつけ教室を受けていました 長寿犬 長寿ねこの表彰 表彰資格は 犬は大型犬が 15 才以上 中 小型犬が 17 才以上 ねこは 20 才以上です 前年度に表彰され 今も健在な犬 ねこは特別賞として表彰しました 佐伯動物愛護委員長より 永年深い愛情をもって飼育された飼育者 ( 長寿犬 7 頭 ( 大型犬 4 頭 中小型犬 3 頭 ) 長寿ねこ 11 頭 ) に対し また特別賞として犬 2 頭 ねこ4 頭に対し 表彰状と副賞を授与しました 最高齢は犬で 21 才 ねこで 24 才でした 晴れの表彰式には 愛犬 愛ねこと同伴されている方や写真を持参された方などもおり さすがに衰えの見える犬 ねこもいましたが 表彰を受けたあと飼い主さん家族と誇らしげに写真に写っていました 来年も元気な姿で会えることを楽しみにしています ペットなんでも相談 しつけ教室に参加された方々などが相談ブースに来られ しつけや病気などについての疑問 悩みを先生に相談されました 今年も体脂肪測定を行いながら肥満防止のための飼育方法など大好評でした 井上先生 ( 日田支部 ) 中野先生( 別府支部 ) 園田先生( 玖珠支部 ) の3 名の先生が相談に対応されました 139

157 動物愛護フェスティバル 佐伯委員長のあいさつ 愛犬しつけ講習会 長寿犬 長寿ねこ 表彰者全員で記念撮影 長寿犬 長寿ねこ 表彰式 140

158 大分市高島におけるウミネコ (Larus crassirostris) の標識調査報告及び今後の保護に向けて ( 第 9 報 ) 大分バンディングネットワーク代表 中村茂 1. はじめにウミネコ (Larus crassirostris) は チドリ目カモメ科に属する海鳥である 分布は 日本を始めとする朝鮮半島 ロシア沿海州など極東アジアに限られており 世界的に非常に分布の狭い海鳥である しかし 国内での分布は 北海道から九州までと広く 繁殖地は 北海道利尻島 青森県蕪島 和歌山県白崎海岸など 九州では 大分市高島をはじめとして長崎県男女群島 鹿児島県甑島などと いずれも海岸や島嶼に点在しており そのうちのいくつかは 国あるいは県の天然記念物に指定されている ( 清棲 1965) 県内の繁殖地である大分市高島は 昭和 28 年に県の天然記念物に指定された県内唯一の集団繁殖地 ( 以下コロニー ) であり 九州最大級のコロニーとなっている 冬季 本種は 周辺海域に散らばって生息しているが 1 月末から3 月に島に回帰した後 4 月末から5 月にかけて2~3 個の卵を産み 雄雌で抱卵を行う 卵は 3~4 週間で孵化し 幼鳥は 8 月上旬に島を飛び立つ 高島において 九州最大級の個体群が維持されていることは 繁殖にとって良好な生息環境が保持されているものと推測され 希少野生動植物保護を謳った文化財的な価値は 高いものと考えられた 従って 県文化財の持つ価値観を広く県民にアピールし 併せて こうした良好な自然環境を次世代に継承する気運を高める下地となることを期して 2005 年から 2012 年と今まで8 度の調査を行っており ( 中村 ) 今回 2013 年は 9 回目の調査となった なお 今回は環境省九州地方環境事務所から職員 1 名が視察のため 調査に同行した 図 1: 高島のウミネコ繁殖地 図 2: バンディングのもよう 2. 環境及び方法調査地は 従来と同様 大分市大字高島 5682 番地 ( 緯度 N 経度 E 標高 70m) の海洋によって隔絶された孤島に設置した ( 図 1) 島の環境は 平坦な岩礁であり 部分的に植物が茂っていた 調査日は 6 月 15 日で ウミネコのヒナが巣立ちを迎える時期に当たり 当日も巣を離れたヒナが岩礁の上を歩き回っている状況であった ウミネコの調査法としては 以下の3つの調査法を用い 総合的なデータ収集を目指した (1) 鳥類標識調査法 ( 以下バンディング ): 本調査法は 固有のシリアルナンバーを刻印した環境省指定の金属足環 ( 以下リング ) を装着し 国内外での再捕獲をもって渡りの経路や生息状況などを解明する手法である 今回 2 名の標識調査員 ( 以下バンダー ) と2 名の調査補助員で 既に離巣したヒナの手捕りでのバンディングを行ったが ( 図 2) これは 島からの飛び立ち以降の再捕獲によって高島のウミネコの移動状況を調査することを目的としている また 従来から亜成鳥 成鳥の捕獲も行うため 霞網 1 枚の架設も行っていたが 今回は荒天で事故の発生が懸念されたため 実施していない 各調査員の役割については 以下のとおりである 141

159 バンダー : ウミネコを捕獲し 所定の計測を行い リングを装着して放鳥する また 調査全体の指揮を行う 記録係 : 読み上げられた計測値を記録用紙に記録し 捕獲ウミネコ及び調査風景の撮影を行う 捕獲したウミネコは 鳥類標識マニュアル ( 山階鳥類研究所標識調査室 2009) に従って リング取付用の特殊ラージプライアーを用いて個体別に8mm径の9 番リングを装着した 日々の成長による計測値の著変が考えられるため 本調査においてヒナについては 体サイズの計測は 有効でないと判断された よって 年齢査定と調査時点での栄養状態が把握できると考えられたため 従来と同様に体重 (bw: body weight) 測定のみを行って放鳥した また 今回も放鳥後の視認性の向上を目的として 標識足環に着色後拭き取り 刻印内にインク (SOFT99 コーポレーション社 ; タッチアップ使用 ) を残すという方法を実施した 一般的に年齢の表記は 孵化当初から正確な日齢の把握をしていないため 以下のようなアルファベット 表記で記載される ヒ ナ ( 在巣状態 ) N ( 早生ビナの離巣状態 : まだ飛ぶ力がないもの ) P 幼 鳥 ( 生後 1 年以内のもの ) J ( 第 1 回冬羽 ) 1W 亜成鳥 ( 幼鳥よりも成長しているが 成鳥には達していないもの ) SA ( 第 1 回夏羽 ) 1S * 以降 鳥種によって成鳥に達するまで2W 2S の段階がある 成鳥 ( 成鳥と区別できないものも含める ) A 不明 U( 性別表記にも不明な場合この記号を用いる ) なお 今回の調査は 県天然記念物の調査であり 調査地設営については 県教育委員会から文化財の現 状変更許可 ( 指令教委文第 571 号 ) 捕獲については 大分県一円を範囲とした環境省九州環境事務所鳥獣 捕獲許可証第 号の交付の下 合法的に調査を行った 図 3: 踏査風景 (2) 繁殖巣及び死鳥計数調査員 2 名を配置し 標識調査地であるフナマ岩礁一帯の踏査を行って 可能な限り全巣及びヒナの死鳥数の計数を行った ( 図 3) これは 経年的に当該調査地における毎年の繁殖数とヒナの死亡数を把握するという目的がある 巣の計数にあたっては ( 図 4) 発見した巣の中に約 10cm のマーカーを落とし 後に回収して個数を記録する方法をとった 本年の調査では紙製の荷札を利用したマーカーを導入し 誤嚥 回収漏れにより発生しうるリスクの低減につとめた なお 今回も事故を起こすことなく全てのマーカーの回収に成功している また 今回も草等で丸く成形してある皿状構造物を 巣 として計上した 死鳥数は 鳥体であることが明白なものを対象とし 摂食等による残滓などは カウントしていない 図 4: 巣 マーカー (3) 概数調査島から退去する際に フナマ岩礁で1カ所 島の側面を確認できる距離に停泊して2カ所の写真撮影を行い 写真判定により 高島全体の本種生息数の概数を調査した 調査時間の関係から 142

160 島の周回は不可能であったが 長側面 短側面の計数の2 倍の数の合計をもっておおよその数の確認につとめた 3. 調査結果と考察捕獲ウミネコの齢査定及び計測の結果は 表 1に示したとおりであり 今回の捕獲は新規放鳥ヒナ 61 個体であった ( 図 5) ヒナの年齢は 羽毛の状態と既に離巣している成長段階から P と判断されたが 性別については 判断基準がなく不明であった 計測が実施できたヒナの平均体重は 291.5g である 表 1. 標識ウミネコの計測値 ring no. kind of band sex age bw(g) memo. 9B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p

161 9B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p B newly u p 欠測 ave.(pullus) * 表中の kind of band の newly は新標識個体を示し 性別の u は不明 年齢の p はヒナを示す 今回も写真判定による当該調査地の概数調査を行ったが 島の長側面 短側面及びフナマ岩礁の飛翔 着地を問わず 本種と考えられる全ての被写体のカウントを行い 4690 羽を数えた また この手法は あくまで写真にとらえられた被写体をカウントしたものであって岩や樹木の陰にいるもの 遠方で判定不能なもの ぶれて写ったもの等がもれており 正確な生息数を反映したものではなく 参考値の意味合いとなる 巣及びヒナの死鳥計数については 繁殖巣数 234 卵 13 死鳥数 95 を数え 前回よりも繁殖巣 死鳥とも多いという結果が示された 調査時期は前回同様荒天の影響後 ( 中 ) の状況であり 調査時期もほぼ変わらないことから考えてフナマ岩礁での繁殖数は増加していると読み取ることもできる しかしながら 調査時間が短時間であり 崩壊 風化の著しいもの 岩礁内のクラックに深く落ち込んでいる死体等の正確なカウントが難しい カウントによる結果は 例え概数値であっても 経年的におおよその傾向が把握できるため 生息数の大きなレベルでの変動の把握に今後 重大な意味を持つものと考えられる また 今回の調査では成鳥 亜成鳥の捕獲を実施していないため 再捕獲の個体はなかったが コロニー周辺でリングを装着した成鳥が数羽飛翔していることが確認された 図 5: 捕獲された雛 当日 テグスに絡まったウミネコは最低 1 個体目撃され 放置されたテグスも数本回収したため 放置事故等今後とも注意が必要なものと思われる 著者は県内各地で行われる講演会等で放置テグスの事故防止のための啓発を盛り込んで講話を実施しているところである また 今回も捕食者に相当するほ乳類の生息は 144

162 確認できなかった しかし 本種を襲う可能性のあるハシブトガラスは2 羽カウントしており なお 今回 岩礁に降り立ち 索餌をするような行動は観察できたが 雛を襲う直接的な行動は観察されなかった 5. 謝辞今回の調査において 貴重な時間を割いて作業を補助していただいた大分市の磯崎香織氏 渡辺新十郎氏 渡辺了孔氏 日田市の奥森岳士氏 福岡県の木戸光代氏に深謝する なお 本調査は 一部大分県獣医師会から調査助成をいただき実施された 関係各位に対して厚くお礼申し上げる 6. 引用文献 1) 清棲幸保 増補改訂版日本鳥類大図鑑 Ⅱ, 講談社, 東京. 2) 中村茂 大分市高島におけるウミネコ (Larus crassirostris) の標識調査報告及び今後の 保護に向けて ( 第 1-8 報 ). 大分県獣医師会報. 3) 山階鳥類研究所 鳥類標識マニュアル ( 第 11 版 ), 山階鳥類研究所, 我孫子 * お願い : 本稿中で触れましたが 今年も標識リング刻印に青の着色を施したウミネコを放鳥しました 県内産の本種の分散状況は 未だ分かっておらず 非繁殖期のデータの収集が急務になっております そこで もし 読者の皆様が観察 死体拾得あるいは 保護個体として診療した本種の中に標識リングの刻印の青いものがいましたら 情報提供をお願いする次第です 知りたい情報は 1. 読み取れればリングナンバー 2. 分かれば性別 年齢 3. 観察 保護地点 ( 重要 ) 4. 観察 診療の状況 (100 羽の群れの中で3 羽観察 や カラスに追われ 外傷のため別府で保護 完治したため宇佐で放鳥 などといった記録 ) です どうかご協力をお願いいたします 連絡先 : 大分バンディングネットワーク佐賀関ウミネコ調査事務局 大分市ひばりヶ丘 1 丁目 8-13 中村茂方 TEL: whinchat@goo.jp 145

163 動物愛護関係先進施設視察報告 動物愛護委員長 佐 伯 久 麻生県獣医師会会長と佐伯 ( 動物愛護委員長 ) が県の担当者とともに動物愛護関係先進施設視察を行った ので報告します 奈良県うだ アニマルパーク ( 奈良県宇陀市大字宇陀小附 89) 訪問日時 : 平成 25 年 8 月 20 日 ( 火 ) 13:30 ~ 16:30 施設の概要 平成 14 年度同センター敷地再整備事業の一つとして うだ アニマルパーク基本構想 を策定 この中で動物愛護センターの建設を計画し 平成 15 年度より設計工事に着手 平成 20 年 4 月より動物愛護センターの施設供用を開始し うだ アニマルパーク が開園した パーク内は基幹施設として動物愛護センターと動物学習館があり 動物愛護センターでは犬猫の収容施設 譲渡に向けた社会化施設及び訓練施設 手術室 レントゲン施設 殺処分施設 ( 炭酸ガス ) 焼却炉等がある しかし近年殺処分頭数が2 千頭を下回るようになってからは 殺処分時に少しでも苦痛を減らすため 炭酸ガス施設は使用せず麻酔薬等 ( ドミトール ソムノペンチル ) により1 頭ごとに行っており 動物学習館では各種イベントやいのちの教育を行っている 北側のスペースにはふれあい動物園がある 展示や管理に力を入れており非常に清潔に保たれている 管理体制 衛生サイドのみならず振興局や教育庁が運営に参加しているのは全国でここだけのユニークな試みであり 年間入場者目標を 30 万人としている ( 平成 23 年度実績は 16 万 5 千人来場 ) 他の自治体と異なる点は動物愛護ばかりを前面に出さず 家族連れで気軽に行けて低予算で過ごせる動物テーマパークのようなものを目指している所にある 飼育管理は徹底しており 小動物舎やヤギ舎 ポニー 牛舎など 動物がいる場所の清掃や展示は非常にきれいで職員の努力が感じられた 人員 職員数は約 40 名で 獣医師はそれまで5 保健所等に配置されていた人員を集め現在 9 名配置されているが 獣医師が必要な食肉検査所でのと畜検査業務もあるので 県内 5 保健所で環境や食品行政を行う獣医師は殆んどいなくなった 教諭が2 名配属されており 教育委員会と連携して 小学校で動物愛護を通じて いのち に対する責任についての出前講座 いのちの教育プログラム を行っている 事業 参加者が愛護センターに出向いてくる教室やイベントの場合はセンターの収容犬やパートナードッグを使うこともある 常時飼養している犬 ( いわゆるスタッフ犬 ) はいない パートナードッグとは 県内の優良飼い主 7~8 名を指定し 報償費を支払いセンターのイベント等で飼い主と伴に犬に来てもらってイベントに協力してもらう制度 ( 報償費 11,000 円 / 日 ) 年間予算 250 万円 146

164 施設内の様子 犬は基本的に個室にて管理 清掃は徹底的に行われており 排泄物の臭いや犬の臭いもしなかった ホ ワイトボードを使い個体管理を行っている 手術室も整備されており 避妊や去勢 簡単な外科処置は十分に対応できる 和歌山県動物愛護センター 和歌山県海草郡紀美野町国木原372 訪問日時 平成 25 年8月 21 日 水 施設の概要 和歌山県紀美野町のパターゴルフ場横に県が土地を購入して平成 12 年にオープンした 施設はミカン 畑に囲まれた山の中にあり周囲に人家は無い 敷地面積 95,000 施 設 愛護棟 展示室 オリエンテーションルーム 図書室 治療処置室 事務室等 管理棟 スタッフ犬の飼養施設 犬猫の収容施設 殺処分施設 焼却炉等 100m ほど坂を下ったところに鳥獣保護センターがある 展示室の可動アトラクションが故障したりすることが多く ランニングコストやメンテナンス経費がか さむ 運営について 職員数 正規職員 13 名 獣医師5名 事務職2名 現業職6名 県内の保健所紀北4保健所分を地元保健所と伴に捕獲等苦情処理を行う 紀南3保健所及び1支所については以前と同様保健所独自で捕獲引取りを行うが センターより週に1 度 各保健所に収容された犬猫の回収にトラックで巡回している 147

165 事業 譲渡事業譲渡希望者に対して資格審査や講習会等を行い終生飼養等指導している また センターから譲渡された犬や猫の飼い主に対する事業として わうくらぶ というサークルを作り 里帰り研修会や運動会などのイベントを通じ地域の模範的な飼い主になってもらうよう啓蒙している動物愛護教室動物愛護センターを訪れた小学校等を対象に行う 動物介在運動 (AAA Animal Assisted Activity) 近隣の老人福祉施設などが施設外活動としてセンターを訪れた折に スタッフ犬等とふれあってもらい安らぎを与える活動を行っている わうくらす (Wakayama Animal Welfare Class) 小学校等に出向いて行う動物愛護教室 動物愛護センターを訪れた小学校に対しても行う 県内の小学校を対象に行い講師としてはセンター職員が行うが 学校の教諭にも講師講習会を行い講師として参加してもらっている 最後に今後 大分県において動物愛護センター構想を具現化するためには 獣医師会の役割は大きなものがあります 県の計画に対しあらゆる面から協力するとともに ハード ソフト両面で指導 助言できる体制を整え 官民一体となった施設整備を目指していくべきと考えています 148

166 支部活動報告

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168 日田支部 日田支部長末松弘彰 日田支部では年 5~6 回の 動物ふれあい活動 ( アニマル アシステッド アクティビティ ) を 特別養護老人ホーム中之島園 で行っています 参加する動物は 猫 4 頭 小型犬 6~8 頭 大型犬 3 頭の 15 頭前後です ホームでは 2 階に 20 名前後 3 階では 10 名前後の入居の方が迎えてくれます それぞれのフロアに小型犬 大型犬と分かれ 猫は2 階 3 階を移動してもらっています 初めはホームの方々も怖がったり びっくりした様子ですが 慣れてくると 昔飼っていた犬猫の話をしてくれたり自ら抱っこしたりと とても穏やかな表情で過ごしているように感じます 中には 猫や犬の名前を覚え 毎回楽しみにしてくれているおばあちゃんもいます 1 時間弱の時間ですが 参加者の方々も慣れ 大きなトラブルもなく進んでいます 今年 4 回目となる9 月 21 日 ( 土 ) には 獣医師 4 名 ( 樋口 井上 飯田 末松 ) と犬 13 頭 猫 3 頭が参加 5 回目は 11 月 30 日に実施しました 149

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170 部会だより

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172 産業動物部会だより 産業動物部会長立川文雄 畜産を取り巻く状況は年々厳しくなり 各県とも産業動物の頭数が減少しており食い止めることができません 一時的に子牛価格も高値が続いていますが 平成 26 年には TPP 協議も本格化し生産農家も先行きの見通しがつかない状況だと思います 我々臨床獣医師を取り巻く環境も変化し 生産者から消費者を見据えた意識改革が要求されている 今年度の産業動物部会の活動については 8 月 2 日に大分県農済連と合同で日本全薬工業の角田先生を講師としてお招きし 牛の輸液 について講演していただきました 会員 30 名の方々に出席いただき 輸液についての活発な意見と臨床に即した講義をうけることができました 講演終了後には アークレイの電解質機器の実演と説明もいただき有意義な会となりました また 今年は九州地区獣医師大会開催県として 4 月より役員会が毎月のように開かれ 事務局の皆さんの苦労はひとかたならぬものだったと思います 大会においてはトラブルもなくスムーズに進行され日本文理大学の勢いあるチアリーディングの演技と会員の村上天麻先生らの迫力あるアフリカ太鼓で盛り上がりました 大会終了後には大分県の獣医さんは元気がいい! といった話を耳に 8 月 2 日講習会 ( 大分県農済連 ) したところです また 産業動物部会の役員さんにもご協力いただき有難うございました みなさんのおかげで成功裏に終わることができました 産業動物部会としては 今年度あと1~2 回の講習会を計画しています 産業動物部会員の皆様の希望される講師の先生や聞きたい演題 講師の方がありましたら獣医師会まで申し出いただければと思います 今後とも大会で聞かれた元気のいい獣医さんが多いですねーの言葉どおり 部会員の積極的な講習会出席をお願いいたします 意見交換会終了後の府内パッチン 151

173 九州地区獣医師大会の取り組み 第 62 回九州地区獣医師大会 平成 25 年度獣医学術九州地区学会 が大分県において開催されました 無事 成功裏に終わることができ 事務局並びに役員の方々はお疲れ様でした 皆様のご協力により最高の大会となったのではと思っております 今回 産業動物部会といたしましては 九州地区学会初の ナイトセミナー を樋口副会長の勧めもあり開催いたしました 講師の選択では 部会役員の東光昭先生より酪農学園大学の鈴木一由先生の輸液の講演を紹介いただき また鈴木先生も快く引き受けていただき実現することとなりました ナイトセミナーについては 初めての取り組みで どの程度の人数が集まるかわからず 事務局の方々には無理をお願いして各県への開催計画の連絡と参加依頼 また 部会役員の個人連絡にも頼りました その結果講演中は立ち見が出るほどの盛況となりました また 講演後の先生との懇親会のメニューについても情報を集めていだき 大分のふぐと をからめて食べたいとのことで用意いたしました 店については知り合いの食事処で何かと無理がきき 関さば ふぐと用意し大分を丸ごと食べていただきました その夜の懇親会は美味しいお酒と肴で和やかな雰囲気の中 3 時間にわたり輸液から乳房炎などの貴重な話を聞くことができ 先生の食事というよりも自分たちの勉強となった懇親会だったのではないかと思います 産業動物の輸液については 小動物の診療のように電解質検査をルーチンに行われておらず五感に頼らなければならない時代が続いてきました 輸液については 生かすも殺すも輸液次第と言われ臨床現場では五感だけでは迷うことばかりで 経験だけが処方箋です 最近はようやく携帯用電解質検査機が普及しつつあり ( 宮崎県 鹿児島県から比べればまだまだですが ) これからの展開が期待されるところです 今回講習会を受講された先生方は明日の飯の種になったかと思います ただ一つ残念なのが大分県の先生方の参加がまだまだ少ないのが気にかかります 私たちの背中には多くの畜産経営とそこから広がる多くの動物の命が掛かっています 今回の講習内容も数年すれば また進歩していきます 講習会にはぜひ参加していただきたいと思っております 152

174 小動物部会だより 九州地区大会に参加して みなはるペットクリニック藤野嘉雄 突然の大量出血を呈した兎の1 例 これが本大会小動物学会での私の発表の演題である 何故兎なのか? 何故エキゾチックアニマルなのか? その理由は大会 2か月前の獣医師会館での症例検討会にさかのぼる 誰か九州大会で発表する先生おらんですかね 大分での開催じゃき 10 題は出さんといかんばい 犬猫ばかりじゃつまらんけん藤野先生なんか変わったの出してください と樋口先生のお言葉 私はおまけか? 刺身のつまか? という思いが頭をよぎったが先生に逆らえるはずもなく 是非やらせてください と即返答 当日 大会プログラムを見ると恐れていた通り兎どころかエキゾチック関連の発表は私一人だけ 小ホールといえども大ホールよりも一回り小さいだけでかなりの広さ 人数もそこそこ入っているのに 俺だけエキゾか という思いから孤独感が半端ではない まるで甲子園球場の一塁側内野席で巨人の帽子をかぶって一人で座っている気分だ 時間になり発表を始めたがフロアーの先生方の頭上に? マークが見えたのは気のせいだろうか 案の定 発表後の質疑タイムも誰一人手を挙げてくれない 逆に質問攻めにあうよりも辛い状況だ 見かねたどちらかの大学の先生が病理のスライドに関して質問というよりもアドバイスをしてくださった 座長の阿波根先生が再度会場に促すが反応がないのでご自身が兎の子宮疾患の多寡をご質問くださりそれに答えて私の孤独な発表は終了 席に戻ると添田先生 ( ) から よかったですよ とねぎらいの言葉をいただいたが ひげを生やした人はうそをつく とテレビで言っていたのであまり嬉しくない しかしここで腐ってはいけない この逆境を乗り越えなければ九州のエキゾの進歩はあり得ない 今後もあきらめずにエキゾ道を邁進するぞと決意を新たにする こうして大会初日は終了したが大分開催なので他県の先生方の夜の接待を担当する吉野信秀先生から 飲み会に参加する大分の先生が少ないので出てください と要請される 行ってみると他県の先生方は40 名以上に対し大分の先生は僅か5 名程度 さらに樋口先生は役員会があるため不参加 渡辺先生はイブニングセミナーが聞きたいからと言って出てこない まったく ひげを生やした人 は信用できない 大分勢の中では私が最年長であったために初めの挨拶をするはめになったが他県に出向くことがあまりない私を他県の先生が知っているはずもなくお互い 誰? 状態 お酌をして回る間中も名刺交換の嵐 最初の数人で名刺がなくなってしまったがその頃にはお酒がまわりお互い相手が誰かはどうでもいい状態 飲んで酔っ払うだけならいいが やれ今夜泊まる宿を手配しろ やれ誰々先生を呼んで来い やれ女の子のいる店に連れて行けなど言いたい放題 二次会が終わって帰路に就いたタクシーの中でもう二度と接待はしまいと決意した 二日目は発表がなかったので フロアー賞の集票 集計 の役を担当する 大会終了直後は少し忙しかったが特に混乱もなく終了 場所を変えて レンブラントホテル大分 にて懇親会に出席し 楽しいアトラクションや美味しい肉 魚を堪能した いろいろあったがいい大会だったなあ いろんな体験もできたし さあ帰ろう と思っていると吉野先生が泣きそうな顔で 藤野先生 二次会お願いします と縋りついてくる 結局はこうなるのかと自分の運命を呪いつつ二次会会場に移動 場所が違っても状況は前日と同じなため またもや初めの挨拶をする しかし 今回は始まってすぐに樋口先生が登場してくれたので肩の荷が下りて一安心 と思いきや樋口先生が他県の先生に 先生は フェチじゃけんねえ とその先生の性癖を暴露 すると同席していたウエヤマ先生が 藤野先生は 好きですものねえ と大分にはもっとすごいのがいる的な発言 全員の視線が自分に注がれる中 ウエヤマ先生のそれ以上の発言を制しようと手を伸ばした拍子にグラスを倒してしまいそれを動揺しているととられる始末 中にはウエヤマ先生の発言を信じたのか後でこっそり 実は私は 好きなんです と告白してくる先生がいて さながらミニ懺悔室状態 私は神父じゃないし そもそも誤解です と言ってもどうせ信じてもらえないだろうから何も言わずすべてを許す風に優しく微笑みかけて頷いてあげた 153

175 とにかく今回は私にとって得たものも大きいが失うものも少なくなかった大会であったような気がする 最後に今後 大分と他県の先生方との交流が支障なく続いていくことを祈念して筆をおく 154

176 VT セミナー に参加して アン動物病院 VT 楳園美咲 今回の VT セミナーでは様々なことを学ぶことができ とても充実した時間を過ごすことができました 鳥巣先生の講演では 実際の手術や内視鏡の映像などを解説しながら見せてくださったので とても分かりやすかったです そして講演の中の次のエピソードが私には最も印象に残りました ある日 異物を飲み込んだ可能性のある患者様のレントゲンを撮ったところ ピアスを誤飲していることが分かりました 先生が 奥様と旦那様にそのことを伝えたら 奥様が 私 ピアス空けてないですけど!!! と 少しご立腹になられたそうです 旦那様は 僕は知りません!!! と 明らかに挙動不審になり その場の空気と旦那様の反応でなんとなく察知された先生は ピアスは道端にも落ちていますから お散歩の際にでも誤飲してしまったのでしょう と説明し 何とか家庭崩壊の危機を救われたとのことです 患者様も様々 飼主様の家庭事情も様々だということを改めて知りました このように 鳥巣先生の講演には実際にあったエピソードも多々あり とても聞きやすい素敵な講演でした ハーネス動物病院 VT 長尾怜子 今回このセミナーに参加して 特に印象深かったのは以下の2 点です まず1 点目は 下痢の患者さんが食べているフードの品質状態まで気にかけるべきだ ということです 今まで私は 食べ慣れないものを与えてはいないか いつもと違う環境に置いていなかったか などは聞いていましたが いつも食べているものの保管状態まで聞くことはありませんでした それは 私が指導しなくても正しい品質管理が出来ているものだ と勝手に思い込んでいたからです しかし ドライフードと私たちが食べているスナック菓子は同じようなものだ と言われ フードを適切に管理することの大切さを再認識させられました その後は積極的に普段の食事について飼い主さんに質問するようにし 病院でフードを購入されている飼い主さんへは 内容量の少ない袋への切り替えをすすめたり管理方法の指導を行ったりするようにしています 中には 教えてもらって良かった と言ってくださる飼い主さんもいて もっと早く声をかけていれば と後悔することもありました 2 点目は 猫には投薬後に必ず水を与えるということです これまでも猫は薬が食道に引っ掛かりやすいので必ず水を与えるように との指導はしていましたが 1~2ml 程度の水を出来る範囲で与えれば良い と飼い主さんへ伝えていました しかし 最低でも2~3ml 理想では6ml も与えるべきであると知って驚きました これからは6ml 与えて と伝えようと思います また 犬よりも猫の方が食道にものが引っ掛かりやすいこと 投薬しにくいことの理由に 食道の筋肉が関係しているということも知ることが出来ました 以前は飼い主さんから理由を聞かれても答えられませんでしたが 今はきちんと説明が出来るようになったのでとても良い勉強をさせて頂いたと思いました 今回セミナーで学んだことを 今後も仕事で生かしていこうと思います 155

177 わたなべ動物病院 VT 小代明日香 九州地区獣医師会 VT セミナーに参加してきました 下痢 嘔吐 をテーマに その原因や治療中の注意点 臓器の働き 問診において重要な点等についてお話しいただきました 私たちは内服投与する際に 内服のみを口に入れることがしばしあると思いますが 猫で 水なし で投薬した場合 5 分後に胃に到達している可能性は5 割程度 しかし水と一緒に投薬すると ほとんどの場合 1 分後に胃に到達するそうです ながく食道に停留すると動物にもストレスがかかりますし 食道炎の心配もあります 自分に置き換えて考えれば当たり前のことですが 今回の講義で気付く事ができ看護士としてまだまだ未熟だと痛感いたしました セミナーに参加させていただき 改めて看護への関心が高まりましたし このような場をもっと多く設けてほしいと思いました 今後も積極的にぜひ参加したいです また鳥巣先生の講義は勉強になる事はもちろんですが 楽しいお話も多く 自然と頭に入ってくる感覚で 引き込まれてしまいます 貴重な時間を頂き ありがとうございました アティオ動物病院 VT 佐藤五月 宮崎大学農学部付属動物病院鳥巣至道先生を講師にお招きして 1 知っておきたい下痢と嘔吐の基礎知識 2 看護に生かす肝臓病の基礎知識というテーマで VT セミナーが開催されました 少し緊張気味の中 セミナーが始まりましたが 先生のお人柄でしょうか すぐに和やかな雰囲気のセミナーとなりました 第一テーマでは 食道の機能についての説明があり 猫の投薬に際して水 6ml 程度を飲ませると 薬が喉の奥や食道に引っかかることなくスムーズに胃に到達できる という話が印象に残りました また 吐出 嘔吐や喀血の違い それに関連して吐出物の色や形状による見分け方等具体的でとても分かりやすかったです それに 内視鏡を用いた検査による消化器内異物の症例を数例 大変わかりやすく説明していただきました 第二テーマでは 肝臓の病気の話に付随して 血液検査 尿検査ならびに血液凝固検査などがいかに必要かの説明がありました 症状によって検査の項目をイメージできるようになることが大切であるということを教えていただきました 以上のテーマの他 飼い主様との会話からより詳しい病状を把握できるように努力し その内容を正確に獣医師の先生方にお伝えするという役割を VT である私たちは常に心掛けなければいけない そのため 飼い主様とのコミュニケーションはとても重要になってくるということも教えていただきました 飼い主様と先生方との間で情報の正確な橋渡しを行い スムーズで的確な診療にお繋ぎすることが VT の重要な仕事の一つであると学びました 専門的なお話の中にもユーモア溢れるセミナーで あっという間の2 時間でした 今後も機会がございましたら VT セミナーに積極的に参加したいと思います ありがとうございました 156

178 小動物部会講習会 ( 麻酔外科学会整形外科専門部会地区講習会 ) 報告 おおざい動物病院佐藤秀樹 2013 年 3 月 23 日 日本獣医麻酔外科学会主催の講習会に参加して参りましたのでご報告いたします 当日の講師の先生方は樋口先生をはじめに酪農学園大学の泉澤先生 日本獣医生命科学大学の原先生 鹿児島大学の藤木先生と日本の獣医整形外科屈指のそうそうたるメンバー ( 先生 ) がおそろいで またこの大分の地で講義と実習まで入った講習会を開催していただけるというものでした 地方の一開業獣医では そう何回も経験できることではなさそうだし また獣医学雑誌でしか見ることの無いような有名な先生ばかりで少し緊張もしましたが 参加して参りました 午前中は泉澤先生による講義で 骨折治療 手術法の変遷と歴史のような内容で 添え木からギプス ピン ワイヤー プレート 創外固定 イリザロフから今回の実習で行う LCP システム ( ロッキングコンプレッションプレートシステム ) までとてもわかりやすくおもしろく教えていただきました 午後から3 時間ほど LCP システムを使った実習で LC-DCP( ダイナミックコンプレションプレート ) と比較した引き抜き試験や 骨模型を使って実際に LCP で骨折を固定する実習を行いました LCP システムとはようは 外固定と内固定のハイブリッドと言うか 外固定を体内に埋め込むと言うかそんな感じです 何が良いかというとプレートとスクリュウがロックされて一体化されているので きちんとベンディングできてなくてもしっかり固定できることや スクリュウを対側皮質骨にまで入れなくても手前皮質骨だけでも充分な強度が得られることのようです ( 私はそのように理解しているのですが 詳しいことは成書でお願いします ) ある意味私のように技術が未熟でベンディングや骨片の整復や圧着がそんなにきれいにできてなくても LCP システムが偉いので破綻せずうまく癒合してくれるのではないかと思わせてくれるようなものでした ( お金があったら買いたいかも?) その後 樋口先生の講義で橈尺骨骨折の悲惨な症例が多数 ( 研究会のメンバーさんざん見せられてると思います ) 続いて藤木先生の講義で後肢の骨折症例 ( 藤木先生すいません この時 睡魔に襲われていたようです ) その後目覚めて原先生の講義で癒合不全の対策についてで さすがに日獣大の整形だけあって 多数の目を覆うような悲惨なレントゲンを見せていただきました 原先生の講義で思ったことは やはり2kg以下のひねたポメラニアンやトイプードルは よほどの注意が必要で 獣医師の技術の問題だけではなく 動物側にも栄養学的や遺伝学的な何らかの癒合不全になる原因が存在しているということでした 最後に今回の講習会の準備に奔走された先生方 またご協力いただいた シンセス様ありがとうございました 大変勉強になりました そしてなにより面白かったです 157

179 第 20 回 九州地区小動物獣医学会卒後研修会参加報告 大分小動物病院吉野信秀 今年の卒後研修会は福岡県獣医師会の担当のもと 佐賀県の鳥栖市で開催された 今回は第 20 回という記念大会であったので例年以上に運営に熱が入っていたように感じられた 発表数は計 16 演題であった いつもながら他の先生の発表を聴くのは刺激になる この大会は学会ではないので臨床的に有意義なものであれば内容は間わないという決まりがある おそらく若い先生方にどんどん発表してもらって度胸をつける場を設けようというのが最初の発端ではないかと思われる おかげで最近は私もだいぶあがらずに発表できるようになってきた 優秀賞は福岡の奥井先生が選ばれた 勉強会仲間でありうれしく思う 症例発表に引き続き 日大の上地先生と北大の高木先生の教育講演 宮大の永延先生の眼科実習が開催された 私は永延先生の実習のお手伝いをさせて頂いたが 人に教えるのはなかなか難しい 大学の先生って大変だなと思ってしまった 今回の懇親会は場所を移動して嬉野温泉で泊りがけであった 桜 という旅館であったが 1 階から吹き抜けで 宮崎駿監督の千と千尋の神隠しに出てくる旅館を連想させるつくりであった 嬉野温泉は初めてであったが泉質は軟らかく肌になじんで素晴らしいものであった 露天で萩尾先生と二入だけになりゆっくりと話を聞けた 大学の臨床教育プログラムの充実が全国的に進められるらしい 温泉につかった後はみんな浴衣に着替えてお待ちかねの懇親会 やはり泊りがけとなるとみんなリラックスしている 残念ながら変なコンパニオンは出てこなかったが大いに盛り上がった 福岡の船津先生から VMAT( だったっけ?) に関して色々と情報をもらった 緊急時の動物救護活動のチームを発足させた先生である サークルみたいな感じで楽しみながらやるのがコツらしいが そのうち大分でも必要になるだろう その後外に出てスナックを 2 軒ほどはしごした後 一人でぶらぶらと街を周ってみた 嬉野温泉は自分のイメージしてた様な温泉街ではなく至って健全な印象であったが きっと裏の顔がどこかに潜んでいるのだろう 今回は記念大会という事もあってリゾート学会の趣があった こういう趣旨の学会もたまにはいいものであった 158

180 台湾講演旅行 小動物部会長樋口雅仁 /23 福岡空港 10:25 発にて台北へ向かいました 台湾桃園国際空港には 闕浩然 (CHUEH HAO-JEN) 先生が 迎えに来て頂いていました 高速道路を 40 分ほどで台北市中心部に到着 ここから闕浩然 (CHUEH HAO-JEN) 先生の病院にて勤務 1 年目の女性獣医師程巧雯先生がタクシーにて観光案内をして頂くことになりました 40 分ほどで 台湾北端にある新北市瑞芳区金瓜石に到着 山を背に 海に面した小さな町です 今は寂しい海沿いの町ですが 日本統治時代 金と銅の産地として繁栄を極めた場所でした その後 鉱脈が掘りつくされ 1987 年に閉山し さびれてしまいましたが 新北市が3 年の歳月をかけ 金瓜石の文化的史跡とレジャーを融合した 黄金博物館 を設立し 脚光を浴びているところです 結構観光客も多く 小型犬を連れている方も多かったです ここにて 食べたものは 豚肉のつくねを串に刺したようなもの 甘めの味台湾の大きさは 九州くらいで 人口は 2,300 万人 玉山山脈の玉山 ( 日本統治時代の名称は新高山ニイタカヤマ ) は標高 3,952m であり 台湾の最高峰である 3,000m 級が 150 座以上存在します 九份 ( きゅうふん ジォウフェン カウフン ) 観光のためバスに乗ろうとするが 大変な乗車待ちの列 並ぶ気持ちは萎えてしまい タクシーにて移動 台湾では 1990 年代初頭に一時九份ブームが起こった 台湾で空前のヒットとなった映画 悲情城市 (A City of Sadness) ( 侯孝賢監督 ) のロケ地だったため 日本では 2001 年に公開された映画 千と千尋の神隠し のモデルになった町と紹介されたことから 一般の観光客への知名度が一躍高まった 路地の両脇の屋台に赤い提灯が連なり お祭りみたいです 夕方から行きましたので 提灯の連なる感じがとても幻想的でした とても多くの観光客で 楽しくなります 屋台の食品は 日本ではお目にかかったことのないものばかりでした しかし 私の食欲をそそるものを見つけることは ほとんど出来ません 唯一大きなエノキの炭火焼きは 美味しそうでしたが 焼いた後 小さく切って 香辛料 ( 粉末 ) をふりかけていました 提灯と屋台の感じは 映画 千と千尋の神隠し の最初のシーンのとおりであり 不思議な空間です 湯婆婆の屋敷 という看板もありました 案内本にも出ている何時も行列のお店 阿柑姨芋圓 で頭芋 ( たろ芋 or 唐芋 ) と緑豆のニョッキみたいな 三色団子 の入った おしるこ 温かいものと氷の入った冷たいものがありました 台湾でも夜になると涼しくなったので 温かいものを頂きました ほんのり甘くて美味しい おしるこ でした 仕事が一段落した闕浩然 (CHUEH HAO-JEN) 先生も合流して 劇夢人生 にて夕食でした 最高に美味しいと思ったのは 香辛料の効いた 麻婆豆腐 チャーハン でした 台湾ビールは 少しアルコール濃度が低いようですが 美味しい飲み物でした 23:00 位にホテルへ送っていただき その後 家内とセブンイレブンへ買い物 見学へ行きました 日本にはない面白い物が沢山ありました 24 日は 本社が京都の 株式会社堀場製作所 台湾支社 の中井さんに家内を案内して頂きました 11:00 にホテルへ迎えに来て頂きました 神戸の親和中 高での後輩だったようで 娘と同じ位の年でしたし とても話が合い楽しかったようです 京都大学工学部卒の理系女子の秀才でした 159

181 一緒にエステにも行ったようで 楽しんだようです 治安も良くなっているようで 家内も 18 年前とは全然違うと言っておりました 24 日 11:30 闕浩然 (CHUEH HAO-JEN) 先生に迎えに来て頂き 肉ラーメン を食べて広大な敷地の国立台湾大学へ 18:00 までの講演予定が 19:30 までの延長となりました 皆さん熱心ですし 質問も良くします 向上心が凄いですね 来年また第 2 弾で台湾大学に行きます 懇親会では 最年長の 83 歳の関先生がキリンビールが大好き とのことでキリンラガービールに中華料理をいただきました 奥様も日本語が大変流暢です 中国の人のことを 支那人 と言いながら話すので 自分の父親みたいでした 25 日は 午前中に台北 101( 高さ 509.2m で 地上 101 階 地下 5 階 ) へ行きました 台北は とても大きな都市でした 高層建築物では 2 位東京スカイツリーで4 位に台北 101 が入っているみたいです お昼に 株式会社堀場製作所 台湾支社 の松本 宮本 ドナルド各氏とお昼ご飯 小籠包 を頂きました 15:00 にタクシーにて空港へ向かい 17:50 台北発にて無事帰国しました 大変有意義な3 日間となりました 160

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183 九州 北海道ジョイントシンポジウム 2013 with Taiwan&Seoul 獣医麻酔外科学会九州地区講習会開催 小動物部会長樋口雅仁 /10 にザ ビーチタワー沖縄にて九州 北海道ジョイントシンポジウム 2013 with Taiwan & Seoul が開催されました 綺麗な空気と青空で気分が良くなる沖縄でした 沖縄県の先生方には 大変お世話になりました 準備は 相当に大変だったと思います 本当にお疲れ様でした 今回は 台湾から闕浩然先生 ソウルから権先生以下 5 人の先生方もこのシンポジウムに参加されました 3 月 9 日と 10 日の気温は 那覇 台湾 ソウル 札幌 -2 2 札幌と沖縄は 27 ~ 8 の気温差がありました 札幌の気温が低く 北海道の先生方は 9 日の暴風雪にて高速 鉄道も午前中には止まってしまい 予約していた航空機に乗れずに 予定より随分遅れました しかし 19:00 からの前夜祭には 間に合いました 前夜祭は 島唄ライブ樹里 にて 19:00 より開催されました 美味しい沖縄料理にビール 泡盛にて宴は盛り上がり 沖縄民謡に皆さんで沖縄踊りまでおこないました 韓国から参加の権ソウル大学学部長 開業の先生方 5 人それに台湾の闕浩然先生も踊りました 21:30 まででした 二次会では カリスマ 踊り子の衣装をお借りして一緒に踊ったらと MERIAL 社の渋田女史に言いましたところ はい と良い返事の後衣装をお借りして踊り子と一緒に舞台に立って賑わいました ビックリです 23:30 まで賑わいました 〆に台湾の闕浩然先生と宮崎の伊東先生とで牛丼の 吉野屋 へ行きました 我々は生卵を入れると美味しいからと言うんですが 闕先生は 絶対生卵入れないんです 日本の生卵は 台湾産よりずいぶん安全だと思いますが それとも本当に生卵が苦手なんですかね (11/23 日の台湾講演旅行にて判明しました 子どもの時から1 度も生卵を食べたことがないそうです ) ジョイントシンポジウムは 3 月 10 日萩尾光美先生 権五鏡先生の挨拶で 9:30 開会し 午前中に4つの講演を行いました 特別講演 (1) 権五鏡先生 ( ソウル大学 ) 特別講演(2) 闕浩然先生 ( 日健動物病院 台北市 ) 教育講演 (1) 金谷文則先生 ( 琉球大学 ) 教育講演(2) 樋口雅仁 ( 動物整形外科病院 ) 金谷文則先生は 興味深い琉球大学での人の骨癒合不全の治療についての講演でした お昼は ザ ビーチタワー沖縄にてカレー & パスタバイキングでした 13:45 より午後が開始 発表演題は 北海道 7 演題 九州 6 演題 韓国 3 演題で活発な意見交換が出来ました 優秀賞は 桂先生 前谷先生 伊丹先生が受賞されました 19:00 にシンポジウムが終了し その後 20:00 より北谷町美浜アメリカンビレッジにある DININGCAFF JANOSZ ダイニングカフェジャノス で懇親会が開催されました 沢山の料理と美味しいアルコールとで歓談は 2 時間続きました 鳥取より参加した酪農の山下先生は 懇親会だけ間に合いました それでも4 時間充分楽しまれていました 二次会の場所を決めていないと 幹事に伝えられたので 懇親会の途中で阿波根先生 池原先生と3 人にてアメリカンビレッジ内を探しに行きました 162

184 座席は 10 人分しかありませんが 沖縄は暖かくお店の周りは 車の通行もほとんどないということで BACK BORN CITY に二次会を決定 22:00 よりほとんどの先生方は 路上にて飲み会を始めました ホットドックやソーセージ ビールです それでも2 時間ほど楽しむことが出来ました 163

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186 家畜衛生部会だより 大分家畜保健衛生所長神田浩 家畜衛生部会は 県庁 家畜保健衛生所 農林水産研究指導センター畜産研究部 農業大学校に所属する獣医師 69 名で構成され 家畜衛生 畜産行政 試験研究に従事しております 家畜衛生部会は 大分県家畜衛生職員協議会 として活動し 全国の家保職員で構成する組織 全国家畜衛生職員会 と連携を図りながら 会員相互の親睦と融和を深めるとともに家畜衛生技術の発展と普及や地位向上を図ることを目的に 研修会や親睦会の開催等を行っています 8 月には 鹿児島大学共同獣医学部学部長で本県佐伯市出身の高瀬公三先生を講師に迎え 大学獣医学教育の実情と将来 およびアニマルウエルフェア問題の所在事例 と題して 獣医学教育の現状や今後の家畜衛生に携わる獣医師の方向性等 多くのことを学ばせて頂きました 引き続き開催された懇親会にも 多数の会員の参加のもと 会員相互の親睦と融和を深めることができました また 1 月には スポーツイベントを計画し 横のつながりを更に強くしたいと考えています 家畜衛生関係では 口蹄疫や鳥インフルエンザ等の特定家畜伝染病については 2012 年以降国内発生をみることなく推移しています しかしながら 未だアジア周辺国では 発生が続発しており また 渡り鳥が鳥インフルエンザウイルスを保有している可能性がある等 今後も高い警戒レベルが必要とされています このような中 11 月に防疫演習を西部振興局管内で実施し 関係機関との連携について確認を行なったところです また 11 月の畜産職域業績発表会では 宮崎大学の末吉益雄先生に 口蹄疫に関する講演をしていただき 初心を思い起こす大変よい機会となりました 牛海綿状脳症 (BSE) については 今年 BSE 対策特別措置法の改正により 食肉検査については 48 カ月齢以上を検査対象とすることなりました 死亡牛については 従来通り 24 ヶ月齢以上を検査対象として継続実施しています 今年 ホテルや有名レストラン デパート等で食の偽装表示が問題となりました 平成 13 年に牛海綿状脳症の発生以来 消費者の 食 に対する関心が高まり 安心 安全な畜産物の供給が求められているなか 消費者及び生産者を裏切る行為であり 猛省していただきたいと思います 我々 家畜衛生に従事する獣医師には 食の安心 安全 を生産段階において確保する責務がより一層高まってきています 今後とも 県獣医師会の皆様 他部会員の皆様と連携を取りながら 獣医師の社会的負託に応えられるよう研鑽 努力してまいります 165

187 九州地区獣医師大会 三学会の裏方をして ~ 次回は若手職員に託します ~ 大分県農林水産部畜産振興課堀浩司 当日の発表者や動員者の皆様 大変お疲れ様でした また 開催にあたり裏方の日々を過ごされ運営にあたった 県獣医師会の会長 副会長はじめ事務局や実行委員会の皆様 大変ご苦労様でした 他県からの 大会 学会 懇親会 の運営等の評判も大変良く 疲れも吹っ飛ぶくらい気持ちよく終了できたのではないかと思います 大会 三学会はたったの2 日間でしたが 裏方は 様々な準備を行ってきており 開催までの期間がかなり長い日々に感じられたのではないでしょうか 私も家畜衛生部会代表としてお手伝いさせていただいたので 後生のために少しだけ何をしたか報告しておきます 平成 24 年度 1 準備委員会への参加 意見交換 2 宮崎県で開催された九州地区獣医師大会 三学会を下見 復命会議への参加 ( 懇親会のアトラクションが静かであったので 世界トップレベルの文理大チアリーディング部を復命にて要請!) 平成 25 年度 3 実行委員会への度重なる参加 4 県負担金 ( 万円 ) の予算調整 財政協議や支出負担作業 ( もともと予算がないから苦労 一番大変かも!) 5 家畜衛生部会内の動員要請 調整 連絡 ( 次回の開催を見据え 若手? を中心に動員要請 皆さんに感謝!) 6 大会来賓の副知事や県議会議員の調整や数回にわたる事細かな説明 ( 秘書へも当日の駐車場や導線等の説明 ) 7 懇親会で提供する豊後牛やかぼすぶり等の展示ポスターの収集 開催当日 8 総合案内業務を中心に2 日間担当 ( 少し混乱する場面もあったが 何とかしのぐ ) 9 懇親会時にアトラクション実施者への連絡 誘導等 ( 次回は料理を堪能したい!) 10 懇親会終了後 畜産振興課長に無理矢理誘われ二次会へ ( ゆっくりしたかったが 1 日の疲れが更に増す!) 何をしたか列記すると大したことをしてない感じがしますが 開催に向けてかなり時間を割いたことは事実です 実行委員の皆様 本当にお疲れ様でした 次回も盛大な開催になるよう その時の県庁衛生担当 ほか実行委員の方々には裏方を頑張っていただきたいと思います ( 私は隠居します ) 新旧サファリ獣医師! 嘘でもホントに聞こえる神田獣医の話術 ( 笑 ) に 立派になったな ~ とビックリ 喫煙者の安らぐ場所が一カ所しかないことにビックリ 麻布大同級生喫煙者 4 人で 世界でも活躍する日本文理大学チアリーディング部の華麗でインパクトのある演技にビックリ 166

188 BEN-KAN によるアフリカ太鼓 楽しく勢いのある音楽と踊りで魅了し 大勢の観客が囲んで盛り上がっていたことにビックリ BEN-KAN 演奏者の生後間もない子を預かる いつも一緒に行動しているからか 手足をバタつかせ 激しくリズムをとり出したのにビックリ なついてくれたのにもびっくり 次回大会のアトラクションでは出演者として期待! 豊後牛の鉄板焼きには 始まりと同時に長蛇の列 なんと先頭には他県のお客より早く うちの関係者 N 田さんが先頭に居座っておりビックリ 今後教育しておきます ( 笑 ) 167

189 公衆衛生部会だより九州地区獣医師大会 学会雑感 東部保健所国東保健部末永宏 平成 25 年 10 月 日の2 日間にわたり 九州地区獣医師大会がホルトホールで開催されました 私は 獣医公衆衛生学会担当で作業にあたりました 12 日の役割は 日本獣医公衆衛生学会 ( 九州地区 ) の司会 進行係です 集合後 全体の説明があった後 会場である府内学園の4 階に移動しました 市民講座が別会場で開催されている間に 会場の設営のチェックを行いました 机が前 2 列 16 人分用意してもらってましたが 審査員と座長の先生が一緒でしたので 11 名分に机と椅子を減らしたので審査員の先生はゆっくり座れたと思います また イベント業者は図面通りにスクリーンと座長 演者の席を設定していたので 演者からポインターで指しにくいし 座長はディスプレイで確認できるようになっていましたので スクリーンでポインターを指すときは確認ができないようでした 開会前にそれぞれ余裕のある位置に移動させることができました 質疑用にはスタンドマイクを用意していたのですが 一番質問をする審査員席用のマイクを準備し忘れていたので 担当者がスタンドマイクを外して審査員に渡して対応しました 無線マイクを準備しておけばよかったと思いました 今回は発表が多く 質疑の時間を削る設定でしたが スムーズな審議で時間通りに終了することができました 発表会場の隣の部屋が休憩室で お茶とお菓子が用意されており ザビエルが人気がありました 休憩時間に食べに行き一口で食べた人もいました 13 日は 総合案内 弁当配布 大会表彰担当でした ホルトホールが開場して 打ち合わせもなく受付がスタートしました 来賓のリボンの準備 ネームプレートの準備 トイレの場所やランチョンセミナー講師控え室の案内など慌ただしく時が過ぎました 受付にいたので卒業以来会ってない小動物開業の同級生を見つけて話をすることができよかったと思いました 昼になり 役員等の弁当の配布をするために 食事会場に行きましたが弁当がなかなか届きません 通路の反対側の部屋の前に弁当の山があったので 事務局と業者で確認してもらったところ 配達をする人が間違った部屋に弁当を置いていたとのことでした 事務局の選んだ弁当は評判が良く 展示業者さんもおいしいお弁当と聞いたからと取りに来ていました 残念なことはランチョンセミナーとかぶった人がいて お弁当が残ってしまいました 表彰式は 功労者表彰では 表彰者確認や記念品準備 代表の方の立ち位置等は事前に確認しておいたこと 他の担当者がてきぱきと動いてくれたので つつがなく進行しました ところが 地区学会長賞 九獣連会長賞 奨励賞 フロア賞については 打ち合わせる暇がなく 表彰を受けた人の名前がわからない どこに並んでもらうか 代表で表彰を受ける人が来ているかどうかも確認できないまま 司会の進行とともに終了してしまいました 立ち位置等はリハーサルで確認をする必要があったと思いますが まあ無事に終了することができたのでよかったと思いました 今回 担当させてもらったことで 公開講座やランチョンセミナー等に参加できなかったことが残念でしたが 充実した緊張感のある時間を過ごせてよかったと思います 168

190 獣医公衆衛生学会 会場 ( 府内学園 ) 市民公開講座 受付等 公衆衛生部会が担当しました! 神田先生! 聞きたかった ( 涙 ) 慌ただしい大会の準備作業 美味しいと評判だったお弁当! 169

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192 会員の声 エッセー

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194 ロードバイクにハマってしまいました!! 大分家畜保健衛生所長岡健朗 はじめにそれは私がが 45 歳の時に生まれた次女が鉄棒の逆上がりに夢中になって よく 父ちゃん見て~ と学校に行ってその姿を見せたがっていた頃である そろそろくたびれ始めてもいい歳の父ちゃんがハマってしまったのも やはり 坂上がりであった こじゃれた言い方をすればヒルクライム 自転車で坂を登るのである 最近では 同僚のT 氏と私が 勤務時間が終わるとあたふたと準備を始め そそくさと峠を目指す姿に 職場の若い女性たちが うちのおじさん達 最近ちょっと変!! などと言っているという噂もあります それは 自転車の前輪を職場に置き忘れて練習に向かうといったT 氏の奇怪な行動によるものと思われますが 自転車自体について誤解されているようなことがあってはいけないので ここで自転車の楽しさを紹介したいと思います ロードバイクとの出会いからツールド国東へ私がロードバイク ( ロード用の自転車に乗る人はそう呼びます ) を買うことになったのは前年の 10 月から同じ職場で働くようになったT 氏に 一緒にツールド国東に出ないかと誘われたことがきっかけでした それまでもクロスバイク ( ロードバイクより一般向けの自転車 ) に乗っており 時々自転車通勤とかもしていたので それじゃぁ ということで一緒に出ることにしました エントリーを目指していたのもいちばん距離が長い 160kmではなく 95kmだったので ( 実際は 95kmにはエントリーできず 75kmを走った ) クロスバイクで出るつもりだったのですが 他のほとんどの人はロードバイクで出るみたいだし まぁロードバイクを買うのもアリかなぁ と思い始めていました ロードバイクを買うと言っても ロードバイクと言える自転車の値段は最低でも 10 万円くらい 上を見ればきりがないです ママチャリなら1 万円くらいで買えることを考えると 最初は どうしてこんな値段がするの? と思ってしまいます しかし 私はその卓越した経済感覚を持ってこう考えました 今はガソリン代が高いから これで毎日通勤すればガソリン代が浮く 雨の日とかもあるから毎日と言うわけにはいかないけど 年間で 100 日くらい自転車通勤すれば 1 日往復約 50km ガソリン代をキロ 10 円で計算したら 2 年で元が取れる なんちこたねぇ ~ かくして私とGIANTのロードバイクの楽しい生活が始まったのでした ロードバイクでの通勤を始めて1ヶ月ちょっと ようやくバイクにも身体が慣れた頃 ついにツールド国東の日がやってきました 天候にも恵まれ 絶好のバイク日和でした ツールド国東はサイクル イベントでありレースではありません そんなことでT 氏と一緒に最後尾あたりからゆっくりとスタートしました 走っていくうちに もうちょっと早く走りたい という気持ちがむくむくと湧いてきて T 氏と別れて 先に行くことにしました 前を行く人たちを次々に追い越していきました 最初のうちはおしゃれな服を着た女の子とかが多かったのですが だんだんレーサー風の若者とかも追い越していって そのうち周りには誰もいなくなっていました 昼食会場に着いた時 先に着いていた人たちは数人しかいませんでした 多くの人がすでにゴールに向かって出発したのでそんなに少ないのかと思えば ゴールは 12 時 30 分からしか開かないので 皆 ここで待っている とのことでした それを聞いた時 時間はすでに 12 時を回っており あと 20km走れば 12 時 30 分より前に着くことはないと思い 私はそのまま出発しました ところがその情報が誤りで ゴールが開くのは1 時だったのです そうとも知らず 私はゴールを目指しましたが 誘導係も出ておらず コースが分からず結局 適当な道からゴールに戻りました そんな訳で 私の最初にサイクル イベントはコースアウトと言う結果で終わってしまいました しばらく待っていると 次々と選手が帰ってきました やはり 最初に帰ってきた選手はうれしそうです そのとき私は思いました 確かにこれはレースではない しかも A B C DとあるコースのうちCコース 171

195 なので そんなに速い人は出てないだろう さらに自分はコースアウトである でも これだけの人数のなかでいちばんにゴールに立っているというということは ひょっとすると自分は結構やるのではないか? さらに阿蘇望へツールド国東ですっかり気を良くした私は次のチャレンジを探していました その時目に飛び込んできたのは 熊本県で行われるサイクル イベント阿蘇望の刺激的なキャッチ コピーでした 求む!! 挑戦者 4 峠 120km完走率 70% の難コース 早速 次はこれに出よう! とT 氏を誘いました あまりにハードそうに見えるコースに尻込みするT 氏に 自分にあったレベルのチャレンジをしていてもチャレンジにならない まず チャレンジを決めて それに自分を合わせるべきだ と説得し ついでにH 氏も誘って3 人でエントリーすることにしました そして それから 前述したような 終業後の坂上がりのトレーニングが始まったのです その頃は よく 小野鶴にある職場 ( 大分家保 ) から医大方面に出て それから志高湖 ( 標高約 600m) までのコースを乗りました 時には さらに足を伸ばして 由布岳と鶴見岳の鞍部を走るエコーライン ( 標高約 800m) にも行きました 結構ハードなコースです キツさを自転車のせいにした (?) T 氏はついにバイクを買い換えてしまいました そういう私も ホイールを換えたり 軽量タイヤに換えたり さらに軽量ホイールを買ったり ついには自転車屋さんに 長岡さん 最近自転車本体よりパーツの方が高くなったんじゃないですか? と言われるような状況になっていました 自転車にお金をつぎ込むたびに 自転車雑誌に良く載っているような まぁ大人の遊びですから なんて言葉をT 氏と交わすことが多くなったのがこの頃でした さらにより遠くに走りに行こうと やれ延岡だ やれ熊本だと泊まりがけで遠乗りをするようになると宿泊代とかもかかるようになり この頃から我が家の自転車エンゲル係数は異常に高くなり 卓越していると思われていた私の経済感覚にもほころびが出てきているのが感じられました こうして物心ともにつぎ込んでチャレンジした阿蘇望でしたが 実際に走ってみたらあまりにもあっけなく終わり 午後 4 時 30 分が関門のところ 1 時 45 分頃にはゴールすることができました もっともこの日は雨模様の天気であったため 高さ 距離とともに最大の難敵と思われた真夏の暑さがなかったので楽に走れたんだと思います 本当の阿蘇望のキツさにチャレンジするため 今回は都合で棄権せざるを得なかったT 氏とともに来年また走りたいと思っています 写真 1 阿蘇望を走る私 雨が心配されたが 逆に暑くなく 走るには最高の天候だった ついに県体へ阿蘇望に向け準備していた頃 普段のトレーニングが阿蘇望で通用するのか確認するため T 氏 H 氏と3 人で阿蘇望の最初の1 峠だけを試し登りに行きました 峠のとりつきあたりでどこに車をとめようかとうろうろしていると しゃれたウェアをまとい 高そうなバイクに乗った2 人組が坂を上がっていきました 平日の昼間からこんなところまで練習に来るなんて よっぽどハマっている人たちだなと思い見送りました ( 自分たちも平日の昼間から来ているのではあるけど ) それから車をとめ 準備して坂を上り始めた頃にはその2 人組のこともすっかり忘れていたのですが 意外や意外 坂の途中で彼らに追いついてしまいました 追い越した時に彼らのうちの1 人が発する嘆声を聞いた時 ひょっとすると自分は結構やるのではないか? と言う気持ちが再び頭をもたげました そんなことから 一度もっと上を目指してみるのも面白いのではないかと 県体に挑戦して見ようかと言う気持ちが心によぎりました 実際 私が住んでいる速見郡は 市町村合併後日出町だけになり 各種目とも人集めに苦労し 172

196 ていると言う話も聞いていました でも 日出町には自転車部で有名な日出暘谷高校もあるので こと自転車部門では人材が足りていないようなことはないような気もしました ましてや ロードバイクに乗り始めて3ヶ月あまりの身で県体に出してくれなんて言いに行くのもあまりに厚かましいような気もしました でも どんな練習をしているのかも興味があったし 一度一緒に練習させてもらおうと日出町の自転車部の人に連絡したところ 一緒に練習させてもらえるようになりました 何度か一緒に練習した後のある日 県体のことについて話し合うので いついつの日に これこれの場所に来てくれとの連絡が来ました 場所が居酒屋だったので お酒を飲むこともあるかも知れないと思って 念のため車ではなく 電車で会場に向かいました もちろん 新参者ですから遅れていくなんてできません ちょっと早めに着いたのですが そこにいた人たちはすでに手に手にビールジョッキを持っていました そのとき私は この人たちとはきっとうまくやっていけるに違いない と直感的に感じました その日の会議は 結局 あまり話らしい話はせず 私も県体に出ることになっていました しかも ロード競技だけでなく 競輪場で行うトラック競技にも出ることになりました 実は 私以外にも県体に興味を持ってやって来たホビーライダーがいたのだけれど 団体競技のチームを編成するには人数が足りず 私が加入したことによってチームを作ることができたという幸運な状況だったのです そうは言え 競輪場のバンクなんて走ったこともないおいちゃん4 人組が県体に出場することになったわけなので 他の有力チームに喰らいつくためには 真剣に練習をしなければなりません 競輪場での練習に通う日々が始まりました 私たちが出場することになった種目はパシュートという競技です 4 人組でトラックを5 周します チームの中で3 番目にゴールした人のタイムがそのチームのタイムになります 従って 1 人飛び抜けて早い人が先にゴールしてもチームとしてのタイムは早くなりません 自転車の集団走行では先頭の人が風を受けて進むため一番体力を消耗します 従って 体力のある人は先頭で風よけになることで他のメンバーを引っ張ることができます もちろん1 人がずっと先頭だとだんだん疲れてペースが落ちてくるので うまく先頭を交替しながらチームとして最大のパーフォーマンスをだすよう作戦を立てて走る必要があります 幸い経験豊かな部長さんの指導のもと 皆 少しずつ上達していきました 私もペダルの踏み方等フォームも良くなったし なんと言っても 自分に余裕がある時は ただ先を急ぐのではなく 後続のチームメートがいかに無駄な加減速をしなくて良いように走るかといったチームとしての走り方を学びました 平日の夕方 働き盛りの男達が集まって 自転車乗りに熱中する そして 夕暮れとともに 隊列をなして競輪場をあとにする そんな日々は なんとなくおかしいような気分でもありましたが また充実した日々でもありました そして 県体当日 接近していた台風で開催が危ぶまれていましたが 何とか台風の直撃は免れることができ 開催の運びとなりました ただ 台風に引き連れられた雨雲のせいで天気は生憎の雨 しかし そんなことは言っておられず おいちゃん4 人組は練習の成果を発揮すべく激走しなければなりません 私は最後位からスタート 1 週ごとに先頭が最後位へ下がっていき 最後の2 週を私が先頭で引っ張るという作戦です スタートすると さすがに本番 皆いつもよりちょっとペースが速いようでした そして私が先頭に立った時も後ろが離れない程度に それでもいつもより早めの速度で周回しました そして残り半周でスパートをかけると後続の3 人が追いついて来て 全員横並びの位置でゴールイン!! 理想的な展開のレースをすることができました そうは言っても即席のおいちゃんチーム タイム的に言ったら 高校の自転車部を出たばっかりみたいな若者ばかりの都市部のチームには逆立ちしてもかないようがありません しかし この種目は9チームしかエントリーしていないので どこか1チームのタイムが自分たちより悪いと 8 位となり 念願のチームポイントを写真 2 バンクを駆けるおいちゃん軍団 獲得することができます 自分たちの競技を終いちばん後ろが私 173

197 えて 他のチーム 特に遅そうなチームを見てはそのタイムに注目していたのですが 結果は8 位のチームに 0.04 秒及ばず9 位 念願のポイント獲得という訳にはいきませんでした 翌日予定されていたロードレースは 悪天候のため急遽 競輪場でのトラック競技に変更して行われることになりました 私は 50 歳代の部に出場して7 位入賞 こちらではポイントを獲得することができました 日出町から県体に出ただけでは 人数がいなかったから出ただけみたいな感じがしていたので ポイントが取れて ちょっと実力が示せたようで うれしいっす!! そして 来年へ向けて県体の打ち上げの飲み会は レースでの高揚感が残っていたこともあって すごく盛り上がりました そして皆 口々に来年の抱負を語っていました 今回 0.04 秒の差でポイントが取れなかったのは来年がんばれと言う天の声だと言うことになり 来年もがんばるということになりました そうはいってもおいちゃんチーム 何にもしないと来年はまたひとつ歳をとってしまいます プラスアルファを目指して今年になかった何かをしなくては と思っていると心に引っかかって来たのが例のマシンでした 例のマシンというのは 県体直前に出張で佐世保に泊まる必要があったとき 少しでもトレーニングを と出かけたジムで見かけてパワーマックスというマシンのことなのです どういうものかうまく説明できないので インターネットの書き込みでうまい説明を見つけたのでそれを引用すると こいつがとんでもない奴でして とにかく凄いんです! 自転車乗りを痛めつける為だけに生まれてきたような物でして 使用者を酸欠へと導くマシンです パワーマックスには幾つかのメニューがあり1つはハイパワーといって 自分の MAX に近い負荷を7 秒間もがいて 40 秒休憩 これを5セットする中々のメニューです もう一つがミドルパワーといって こいつが最悪のメニューで MAX の 60% 位の負荷を 30 秒間もがいて2 分休憩 これを 3 セットしますこれのどこが最悪かって? そらすごいッスよ! 先ず 心臓と肺が暴発寸前で脚がもげそうになり さらに頭は酸欠みたいになり頭痛がしたりします てな感じです こいつがあれば 今よりもっと上に とは思うのですが 個人で買うにはちょっとお値段が と躊躇してしまいました 県体の打ち上げからそう日が経たないある日 あいかわらず私はアマゾンの画面でパワーマックスを見ていました 悪いことにすこしアルコールも入っていたようでした そしたら どこからか悪魔がささやいてきました なあに 今でも天気の悪い時とかジムに行ってエアロバイクを漕いでいるだろう? 仮に年 50 回行っているとすればジムの入場料がいらなくなるだろう?1 回 210 円だから2 3 年で元が取れるじゃないか? 酔いも手伝って 私はあっけなく悪魔の言葉に同意しました あ~ っ! 桁が違ってる 2 3 年じゃなくて 2 30 年かかるやん そんなに生きているかどうかも分からん! 気が付いた時にはアマゾンの画面は ご注文ありがとうございました に変わっていました 教訓 : 欲しいものがある時の飲酒アマゾンは飲酒運転と同様に危険である 自転車を前にして卓越しているはずであった私の経済感覚はすっかり瓦解してしまっていたことを知りました おわりに冒頭で ここで自転車の楽しさを紹介したいと思います と書いておきながら 自分のことしか書いていないので 最後にちょっとだけ私が何でここまでハマってしまったかを書こうと思います 私は学生時代にちょっとだけワンダーフォーゲル部に所属していたのですが その部室の隣が自転車部でした もし あの時 隣の自転車部に入っていたら 自分の今の自転車ライフはどんなだっただろうかとか想像してしまいます でも そうだったら今は自転車に乗っていないかも知れません 少なくとも 今ほどハマっていないと思います 今 この歳で始めたからこそここまでハマったのだと思います これまで 10 年以上バドミントンとマラソンをやってきましたがどちらも下り坂です バドミントンはスマッシュがスマッシュとはいえない速度になって来たし 若い人が打つ速いシャトルに目が追いつかない マラソンについては去年もこの会報に寄稿しましたが それなりに頑張っているつもりです でもマラソンのタイムは冷酷に身体の衰えを告げてきます そんな中 自転車に乗り始めたらどんどん身体が自転車に順応しているのが分かりました もっともっと速く もっともっと遠くへ走れるようになりそうな気がしました 旅先で立 174

198 ち寄った飲み屋のフィリピン人の女の子に お兄さん 身体はこんなに細いのにどうして足だけこんなに大きいの? と聞かれたときとかは( フィリピン人なので身体のこととかもずけずけと聞く ) 今までそんなこと言われたことなかったのに 身体が変わってきているんだと実感できうれしかったです 飲み屋のお姉ちゃんの取って付けたような社交辞令なんかより 今の私には最高の褒め言葉かな 他のスポーツでは衰えてきたのに 自転車ではまだまだ向上しそうなのはなぜでしょうか? もちろん 今までやっていなかったスポーツなので伸びしろがあるということはあります しかし もう一つのポイントは遅筋だと思っています 遅筋は速筋と比べて歳をとっても衰えないそうです 自転車は遅筋が主に活動するから歳をとってもあまり衰えないのだと思います でも マラソンなんかも遅筋が重要なのでは と思われるでしょうが ランニングは一歩一歩を見ると結構瞬間的に力を入れます それに対して自転車のペダリングはずーっと万遍なく力を入れます だからほとんど遅筋で回せるし その結果効率的に遅筋が鍛えられるものと思われます また 力を入れている時間が長い分 同じ時間運動しても大きなエネルギーを消費します ( ダイエットに好適 ) また 関節にも負担がかからないので故障もしにくいです ランナーはみんなどこかに故障を背負っていますが 自転車ではそんなことはありません ただし こけた時は大怪我するのというマイナス面だけは否定できませんけど ランニングで 30kmを越えると 足が棒になるといった状態になります 自転車ではどのくらい走るとそうなるのかなぁと思っていましたが 自転車ではそうはならないというのが私の結論です 100km 150kmと走るとだんだん嫌にはなりますが ランニングのように身体がボロボロになった感じにはなりません 万遍ない力の入れ方と 関節に衝撃がないことによるのだろうと思います 私の身体が順調に自転車に適応できたのは 実はこの遅筋は優勢だったからではないかなどと思っています そういえば バドミントンでシャトルに向かう1 歩が遅いのはそのせいだったのか などと妙に納得したりしています 遅筋優勢の人は今まで華々しいスポーツの実績はなかったかも知れません でも 遅筋は歳とっても衰えにくそうです 今まであまりスポーツとなじんでいなかった中高年の皆さん 隠れた遅筋パワーを蘇らせて 人生後半 スポーツを楽しみませんか? 自転車はオススメです 175

199 世界狂犬病デー 街頭啓発キャンペーンを行いました!! 大分市保健所衛生課荒川和洋 人や動物における狂犬病の影響やその予防法などについて人々に知ってもらうことを目的に 毎年 9 月 28 日を 世界狂犬病デー とし 世界の 135 ヵ国においてイベントなどが開催され 狂犬病の教育活動や犬への狂犬病予防注射の取り組みが実施されています ご存知の様に狂犬病は人畜共通感染症のひとつで すべての哺乳類が感染し ひとたび発症すればほぼ 100% 死亡するという事実と発症した際の凄惨な症状のため多くの国々で恐れられてきました わが国においても過去いく度となく流行を繰り返していましたが 昭和 25 年に制定された狂犬病予防法に基づき 犬の登録 予防注射の徹底等の措置がとられて強力な予防事業が推進された結果 昭和 33 年以降は発生していません しかし 世界では現在でもほとんどの地域で発生し 毎年約 5 万 5 千人が狂犬病によって死亡しています 今年度は6 月の予防注射月間が終わった時点で 狂犬病予防注射の接種率が例年に比べ低かったため 大分県獣医師会大分支部長と狂犬病対策委員会の委員長に相談したところ 街頭啓発キャンペーンを実施してはどうかというご提案をいただきました 7 月に数少ない清浄国である台湾で 54 年ぶりに野生動物による狂犬病が発症し また同国内の飼い犬にまで感染が拡大している現状や さらには 世界狂犬病デー が間近だったことも後押しして 麻生会長にご協力をお願いしたところ 県獣医師会でチラシやのぼり 啓発物品 ( ポケットティッシュ ) 等を作成し 大分駅前で街頭啓発キャンペーンを行うことが一気に決まってしまいました しかし 世界狂犬病デー まであと1ヶ月しかありません 慌ただしく準備をすすめ チラシやのぼり 啓発物品 ( ポケットティッシュ ) 等の完成が街頭啓発日の直前という綱わたりの状況でしたが 何とか間に合うことができました 配布用の袋つめ ( ツルツルの袋に チラシを三つ折りにしてティッシュとセットで入れるという 実に肩のこる作業でした ) などの準備 獣医師会事務局や動物病院のスタッフの方々どうもありがとうございました 平成 25 年 9 月 27 日 ( 金 )7 時 15 分 獣医師会事務局 4 名 大分支部 6 名 大分県 6 名 大分市保健所 11 名 総勢 27 名が大分駅前に集合 7 時 30 分から8 時 30 分まで 大分駅の府内町側 上野側と二手に分かれて 3500 部のチラシの配布 スピーカーでの呼びかけなど 街頭啓発を実施しました チラシ配りも簡単そうに見えて結構大変でした 直ぐに受け取ってくれる人 無視する人 チラシを差し出す手を払いのける人など様々 女子高生から無視され心が折れそうになりながらも頑張りました そのうち ティッシュが見えるように渡すと受け取ってもらえる! と要領もつかめ 何とか予定数を配り終えました また 後日 高齢の方から 先を急いでいる人の行く手を遮らないでほしい という旨のお叱りのお手紙もいただき 色々と勉強もさせられました 最後となりますが 今回ご協力いただいた獣医師会事務局 大分支部会員 大分県の方々には心から感謝いたしますとともに 今後とも狂犬病予防対策へのご協力をいただきますようお願いいたします そして 皆さん 今度から街角でチラシ配りをしていたら 素直に受け取ってあげましょうね!! 176

200 配布物一式 スピーカーでの呼びかけ 上野の森口 看板を設置しました! 177

201 178 差し出すタイミングも難しい

202 僕の趣味 永野どうぶつ病院永野克洋 近年 若者の 車離れ ということをよく聞きます 確かに車がなくても公共の交通機関やレンタカーを使えば用は足りる ネット社会の今 外出して遊ぶよりパソコンや携帯電話で離れている友達とゲームを楽しむ方が多いのかもしれない そんな現代の若者と違い 私の世代では車やバイクでドライブを楽しんだりすることが多かったと思う 現に私が趣味としているモータースポーツの場では同年代が一番大きな層を占めている気がするし 車 バイク好きな年代といえば 30 代後半から上の年齢だと思える気がします 今回は そんな車好きな私の一面を紹介したいと思います ことの始まりは幼少から バイクのオモチャに跨り道路に飛び出し 本物のバイクにぶつかり足を骨折したそうです 高校時代は片道 30kmを原付で通学 読んでる本は教科書より車やバイクの雑誌が多かった記憶があります 大学時にはモーターリストというサークルに所属し 車のエンジンの組み立てや整備に明け暮れていました そんな大学時代にも何度かサーキットに行きましたが 学生が真剣にモータースポーツに挑戦するには資金面で無理でした 地元に戻り社会人となってから日常では味わえないスピードを体験できるということで 上津江町にあるオートポリスに友達の誘いもあって行きました それからが本格的に私のモータースポーツの始まりです 当時はマイカーで行き始めたのですがサーキットを走るためには不十分さを感じ サーキットを走るためだけに別の車を用意しました サーキットを走るための初めての車は スバルのインプレッサでした 知り合いの車を購入したんですが このクルマのデビュー走行 2 周目でエンジンが壊れ廃車 理由は購入価格よりエンジンの修理費が高かったこと それから数カ月後 2 台目の車は友達を通じて購入したマツダ RX-7 所有期間は3 年弱 この間に エンジン3 回 ミッション1 回 タービン ( ターボ )2 回と壊れに壊れ手放しました そして 現在 3 台目で4 年目となる車のトヨタスープラです 実はこのクルマは一般公道を走れません そこで 車を運ぶ車いわゆる積載車が必要になるのですが車屋さんやレンタカーに毎回借りたりすることは不可能です 一昨年 思い切ってその積載車を購入しました 実家が農家なので父親が農機具を運搬するにも安全性 利便性があり共同購入しました 好きなことを楽しむからにはとことん! が身上ですから 日常で使用している車も拘りがあります 乗れればいいとか走ればいいとかでは納得がいきません 自分の好みに合った車に乗りたいのは皆同じですが その中でもフィーリングのあった車を探していく楽しみもあります 現代のエコカーような出来の良い車もいいですが私はそうでなく 操作する楽しみを大切にしていきたいのです そんな考えのもと 選んだのは BMW M5 です BMW のエンジンフィーリング ハンドリング ブレーキ 車体剛性はどれもバランスが良く自分の感性 ( 大袈裟ですが ) に合っているようです 音楽好きな人がアンプやスピーカー レコードプレーヤーの針にまで拘りがあるのと同じようなものだと思います 現在の愛車 1995 年式 BMW M5 179

203 年式が古いのでメンテナンスが大変ですが 程度も非常によく日常での不満はありません 3800 cc直列 6 気筒エンジン 340 馬力 6 速マニュアルミッションという当時ではハイスペックでしたが 今でも十分通用する能力を持っています このように車で限られた自分の時間を楽しんでいるだけでなく 車 というアイテムで知り合った人との人間関係を構築したり家族とドライブを楽しんだりと過ごしています もう一つの趣味 車で出かけた先で撮影する写真です 180

204 病院紹介

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206 庄の原どうぶつ愛護病院 院長後藤昌司 はじめまして 庄の原どうぶつ愛護病院 獣医師の後藤昌司と申します 当院は平成 24 年 11 月 27 日に開院し おかげさまで このたび1 周年を迎えることができました 高校卒業後 大分を離れ 22 年ぶりの故郷に戻り 不安で心細く思っていた私を温かく迎えてくださり多大なるご支援を賜った先生方に心より感謝申し上げます 病院の位置する 庄の原 は大分市街 別府湾を望む高台にあり 周囲には蜜柑畑 茶畑が広がるのどかで緑豊かな自然に恵まれた場所です 当院は獣医師 1 名 看護士 1 名の2 名体制で診療を行っているこじんまりとした病院です 外来用駐車スペースは3 台 ペット ( 犬 猫 ) の宿泊も行っております 小さいながら病院南側には庭を設けておりますので 季節の草花を楽しんでいただいたり お待ちになっている間 犬の遊び場としてもご利用いただけます 待合室 検査室 診療では患者様の不安や疑問等に納得されるまで説明させていただくことを常に心掛けております 患者様と接することで さまざまなことを教えられ それらが診療の糧や日常の視野を広げる貴重な経験になっていることに気づかされる毎日です まだまだ技術 知識ともに学ぶことが多いため 先達の諸先生方にお力をお借りしております この場をお借りしまして いつもお忙しい中 ご指導くださる先生方に深く感謝申し上げます 幼少の頃 今は亡き祖父の手に引かれ散策していた 懐かしい思い出の地で 動物に関わる仕事ができることに感謝しながら ペットを愛する飼い主様のご期待に少しでもお応えできるよう 日々努力してまいる所存です どうぞ今後ともご指導 ご鞭撻のほど よろしくお願い申し上げます 181

207 病院外観 看護師さん ( 左 ) と 庄の原どうぶつ愛護病院 大分市庄の原 2-3 組 TEL/FAX

208 かく動物病院 院長依田健太郎 当病院は今年の4 月 12 日に大分市賀来橋入口に開院しました 賀来橋を渡ると歴史のある由緒正しい賀来神社があります 9 月には有名な賀来の市も行われ 待合室から見える通りには地域の賑わう姿が伺えました 一年も満たない病院ということもあり オーナーの皆様にもアイデアを頂きながらより良い病院にするため思考錯誤しながらスタッフ一同頑張っています 院長の好きなブルーを基調とした待合室は壁一面をガラスにして開放感をだし 入口から入るとすぐ目の前にある丸い柱には色の違うブルーの小さなタイルを柱一面に敷き詰めて院内のシンボルにしました 天気のよい日は明るい陽射しがさし 対面の受付ではオーナーさんとの会話もつい弾んでしまいます オーナーさん同士の楽しいおしゃべりも聞こえてきそうです ガラス窓の外にはベンチを設け 大型犬のオーナーさんなどがよく利用しています 一目で内外の様子が分かるのも オーナーさんとの距離感を大切にしたいとの願いから造りました 院長からご挨拶 東京出身の私が大分県で開業させていただくにあたり 多くの先生方および関係者の方々のご協力をいただきました この場をおかりして お礼申し上げます ありがとうございました 今後ともよろしくお願いいたします プロフィール 依田健太郎 1974 年 3 月東京都生まれ日本獣医畜産大学卒業 ( 現 ; 日本獣医生命科学大学 ) 獣医がん学会所属認定医 Ⅱ 種横浜市まるつかどうぶつ病院勤務千葉県アフィネ動物病院勤務日本獣医生命科学大学勤務別府市すえつぐ動物病院勤務 183

209 診察時間 月 火 木 金 9:00~12:00/15:00~19:00 土曜日 9:00~12:00/14:00~16:00 休診日水曜日 祭日 * 今まで行ってまいりました日曜診療は 2013 年 11 月現在 都合により休診とさせていただいております 地域の先生方 オーナー様にはご迷惑をおかけしております 申し訳ございません 院内ギャラリー ご高齢の方 車いすの方にもご安心いただけるよう 院内はバリアフリーとなっております かく動物病院 大分市賀来南 TEL/FAX

210 なた海岸動物病院 院長岩武香織 当院は 2007 年 12 月 5 日に すえつぐ動物病院の分院 として開設され 2013 年 4 月 1 日に なた 海岸動物病院 として独立いたしました 独立以前からもご来院頂いていた患者さんも含め 地元の方々との触れ合いを楽しみながら 日々の診療を行っております 4 月当初は私と母の二人だけでしたが 6 月より看護師 1 名をスタッフとして迎え 現在は3 名で元気にやっております ただし 田舎ならではのワクチネーションやノミマダニ予防が徹底されておらず まだまだ動物を飼育するには発展途上の地域なだけにやりがいのある仕事だと日々認識させられています 診察は犬 猫 ウサギ ハムスター 鳥類を対象としています 最近は ウサギ ハムスターなどのエキゾチックアニマルの飼育率が上がっているように感じられます 将来的には地域の方々が動物を飼育するのに適切なアドバイスができる SFTS をはじめとした狂犬病 トキソプラズマ症などの Zoonosis に関しての知識を広げ 少しでも人と動物が快適に生活できるよう手助けになれる そんな病院を目指したいと思っております なた海岸動物病院 杵築市狩宿 TEL FAX [ 診療時間 ] 月 火 水 金 9:00~11:30 16:00~19:00 土 祝日 9:00~11:30 14:00~16:00 [ 休診日 ] 木 日 [ ホームページ ] 185

211 院長 左 スタッフ 待合室 受付 診察室1 診察室2 処置室 手術室 内視鏡検査室 186 レントゲン室

212 新入会員紹介

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214 玖珠家畜保健衛生所 清 田 友 はじめまして 春に鹿児島大学を卒業し 玖珠の家畜保健衛生所に勤務して います 獣医師の職場としては色々悩みましたが 自然がいっぱいの地元 大 分県が好きで そこで行われる畜産業に微力なりとも貢献したいという想いか ら 県職員を選択しました 大学で学んだことをいざ仕事として実践するとな ると難しく まだまだ力不足ですが 早く一人前になれるよう頑張ります 玖 珠は冬の寒さが厳しいですが 寒い時期の温泉を楽しめるというのもまた一興 です 今後ともよろしくお願い致します 大分県食肉衛生検査所 江 川 和 孝 今年の3月に大学を卒業し 4月から大分県の職員として食肉衛生検査所に 勤務しております 大学では知ることのできなかったことを新しく学ぶ毎日で 刺激的な日々を 過ごしています まだまだ未熟者ですが 日々精進していきたいと思っていま す よろしくお願いいたします 北部保健所 藤 井 章 子 平成 20 年に山口大学を卒業し 福岡県の動物病院で5年間勤務した後 今 年4月から大分県職員となりました 現在は 北部保健所で食品衛生業務を担 当しています 仕事はまだまだ戸惑うことが多いですが たくさんの新しい出 会いに恵まれ 大分県に来て良かったと実感しています いろいろなことを経験して 人としても獣医師としても成長していきたいと 思っています よろしくお願いいたします 大分家畜保健衛生所 中 出 圭 祐 農林水産省に就職後 平成 22 年度より大分県庁に3年間出向 今春で農水 省に復帰する予定でしたが 一念発起して 大分県に転職することにしました 4月より大分家畜保健衛生所で働いています もともと大分県はおろか九州にさえ縁もゆかりもありませんでしたが 3年 間の出向期間中に大分県の暮らしやすさと地方行政の面白さを感じ 大分県永 住を決意しました 初めての現場勤務で分からないことだらけですが 大分県の畜産振興 ひい ては地域振興のため微力を尽くす所存でありますので どうぞよろしくお願い します 187

215 玖珠家畜保健衛生所 西 田 清 実 小動物臨床 他県での県職員などを経て 平成 24 年4月から地元である大 分県職員として玖珠家畜保健衛生所に勤務しております 社会人経験年数は長 いのですが まだまだ至らないところばかりだと日々反省しながらも 周囲の 方々に助けられながら何とか業務をこなしています 今後ともよろしくお願い いたします 大分県畜産振興課 猪 原 明 子 麻布大学卒業後 7年半横浜で小動物臨床に従事していました 地元別府に 帰郷してから早くも4年たち ぎこちなくなっていた大分弁もすっかり流暢に なりました 大分市役所では動物愛護に携わらせていただき いろいろなことを勉強させ ていただきました 本年度からは 県農林水産部で新たな気持ちで働かせてい ただいております 行き届かない点も多々あると思いますが ご指導いただきますようお願い申 し上げます 大分県農業共済組合連合会 伊 藤 由布子 本年4月に獣医師免許を取得し 数ヶ月北海道の保健所に勤務した後 10 月 から大分県農業共済組合連合会に勤務しております 地元とはいえ気候の違いや地理など戸惑う事も多く また獣医師としてもま だまだ分からない事ばかりで右往左往しています 先輩方にはいろいろとお話 を伺うこともあるかと存じますが 何卒よろしくお願い申し上げます 大分支部 後 藤 昌 司 はじめまして 庄の原どうぶつ愛護病院の後藤昌司と申します 高校卒業以来 22 年ぶりに故郷に戻り 動物病院を開院させていただきま した これも偏に私を温かく迎えてくださり 多大なるご支援を賜った獣医師会の 諸先生方のおかげだと心より感謝申し上げます 今後ともご指導 ご鞭撻のほ どよろしくお願い申し上げます 188

216 お知らせ

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218 平成 25 年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会 ( 千葉市 ) について 189

219 190

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221 192

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224 会務通信

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226 事 務局日誌 ( 平成 24 年 12 月 11 日 ~ 平成 25 年 12 月 10 日 ) 月日場所会議名出席者 12 月 11 日大分市子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 12 月 12 日 第 2 回ねこ対策協議会会長 大分第三支部研修会常務 12 月 14 日 第 2 回産業動物講習会部会長他 12 月 17 日 第 1 回狂犬病対策委員会委員長他 12 月 18 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 12 月 20 日 第 3 回動物愛護委員会委員長他 12 月 22 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 12 月 23 日 愛猫 愛犬飼育講習会委員長他 1 月 8 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 1 月 10 日 第 3 回九州地区獣医師大会 学会準備委員会会長他 1 月 16 日宮崎市九州各県 市獣医師会会長 事務局長会議会長 常務 1 月 19 日大分市大分支部新年会常務 1 月 20 日 県民の森 ドッグラン開所式会長 1 月 23 日 産業動物部会役員会部会長他 1 月 27 日別府市市民公開講座 ( 別府市 ) 委員長他 1 月 29 日大分市子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 2 月 2 日別府市岩屋たけし 新春の集い会長 2 月 9 日大阪市平成 24 年度日本獣医師会学会年次大会会長 ~11 日 2 月 12 日 大分市 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 2 月 16 日 平成 24 年度狂犬病関係講習会 会長 委員長他 2 月 17 日 市民公開講座 大規模災害の実例から学ぶ飼い主の心構えと準備 会長他 2 月 19 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 2 月 20 日 第 2 回狂犬病対策委員会 委員長他 2 月 21 日 宮崎市 九州各県 市獣医師会事務局長会議 常務 2 月 24 日 大分市 愛猫 愛犬飼育講習会 委員長他 2 月 25 日 自民党 友好団体代表者会議 常務 2 月 26 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 3 月 3 日 平成 24 年度動物愛護推進員活動報告会 研修会 会長他 3 月 4 日 大分県畜産協会理事会 会長 3 月 12 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 3 月 14 日 第 3 回理事会 会長他 第 2 回支部長会議 会長他 3 月 15 日 別府市 第 3 回ねこ対策協議会 会長 3 月 19 日 東京都 日本獣医師会理事会 会長 大分市 大分県畜産協会総会 常務 3 月 23 日 小動物講習会 ( 整形外科 ) 部会長他 3 月 25 日 大分県動物愛護推進協議会 会長 195

227 月日 場 所 会 議 名 出席者 3 月 26 日 大分市 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 第 4 回動物愛護委員会 委員長他 3 月 27 日 平成 24 年政治連盟収支報告書提出 3 月 30 日 自民党大分県連年次大会 会長 4 月 9 日 大分市 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 4 月 11 日 宮崎市 平成 25 年度九州地区獣医師会連合会総会 会長 常務 4 月 20 日 大分市 大分支部総会懇親会 常務 4 月 21 日 自民党県連政経セミナー 常務 4 月 23 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 4 月 25 日 平成 25 年度獣医学術九州地区学会幹事会 学会長他 4 月 28 日 愛猫 愛犬飼育講習会 委員長他 4 月 30 日 平成 24 年度決算監査 監事他 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 5 月 1 日 第 1 回三役会議 会長他 5 月 9 日 第 1 回理事会 会長他 5 月 10 日 大分第三支部総会 会長 5 月 14 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 5 月 16 日 平成 25 年度小動物部会総会 部会長 5 月 21 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 5 月 23 日 平成 25 年度産業動物部会総会 部会長 5 月 28 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 5 月 29 日 平成 25 年度通常総会 政治連盟総会 会長 5 月 30 日 東京都 日本獣医師会理事会 会長 大分市 大分県畜産協会総会 常務 6 月 2 日 平成 25 年度愛犬しつけ講習会 ( 譲渡犬対象 ) 委員長他 6 月 6 日 九州各県 市獣医師会長 事務局長 事務職員会議 会長他 6 月 11 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 6 月 17 日 平成 25 年度公衆衛生獣医師協議会総会 懇親会 会長 6 月 18 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 6 月 19 日 ホルトホール大分 会場視察 常務 6 月 20 日 豊後大野市 おおいた豊後牛 タイ向け輸出出発式 会長 6 月 23 日 大分市 愛猫 愛犬飼育講習会 委員長他 いそざき陽輔 国政報告会 会長 6 月 25 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 6 月 27 日 東京都 日本獣医師会理事会 第 70 回日本獣医師会総会 会長 常務 7 月 7 日 大分市 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 7 月 8 日 第 1 回動物愛護委員会 委員長他 産業動物部会役員会 部会長他 7 月 9 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 7 月 12 日 東京都 平成 25 年度全国獣医師会事務事業推進会議 常務 7 月 23 日 大分市 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 7 月 28 日 子猫 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 8 月 2 日 第 1 回産業動物講習会 部会長他 第 1 回動物愛護推進体制あり方検討会 会長 196

228 月日場所会議名出席者 8 月 3 日大分市第 1 回動物愛護ボランティアリーダー養成講座委員長 8 月 5 日宮崎市口蹄疫終息記念セミナー会長 8 月 6 日大分市第 1 回ねこ対策協議会会長 8 月 8 日 九州各県 市獣医師会会長 事務局長会議会長 常務 8 月 9 日 平成 25 年度家畜衛生職員協議会講習会 総会会長 8 月 13 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 8 月 20 日奈良市動物愛護センター等視察会長 委員長 ~22 日 和歌山市 8 月 23 日 東京都 台湾における狂犬病発生に関する緊急対策会議 第 1 回 会長 8 月 25 日 大分市 愛猫 愛犬飼育講習会 委員長他 8 月 27 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 8 月 29 日 大会 学会実行委員会 会長他 9 月 10 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 9 月 12 日 第 2 回動物愛護委員会 委員長他 9 月 17 日 子猫の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 9 月 19 日 第 2 回三役会議 会長他 9 月 24 日 平成 25 年度動物慰霊祭 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 会長 常務 9 月 27 日 狂犬病予防啓発街頭活動 ( 大分駅前 ) 委員長他 第 2 回動物愛護推進体制あり方検討会 会長 9 月 28 日 平成 25 年度動物愛護推進員特別研修会 委員長他 第 2 回動物愛護ボランティアリーダー養成講座 委員長他 10 月 7 日 九州大会 学会スタッフ打合せ会議 副会長他 10 月 8 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 10 月 12 日 市民公開講座 動物とともに生きる-サファリの動物たち 会長他 10 月 12 日 ~13 日 平成 25 年度獣医学術九州地区学会並びに第 62 回九州地区獣医師大会 会長他 10 月 19 日 福岡市 藏内勇夫日獣会長就任祝賀会 会長 別府市 岩屋たけし政経フォーラム 常務 10 月 20 日 大分市 愛猫 愛犬飼育講習会 委員長他 10 月 25 日 平成 25 年度動物愛護推進員委嘱式 研修会 東京都 平成 25 年度全国獣医師会会長会議 会長 常務 10 月 29 日 大分市 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 10 月 30 日 第 1 回会報編集委員会 委員長他 11 月 4 日 杵築市 平成 25 年度動物愛護フェスティバル 委員長他 11 月 6 日 大分市 平成 25 年度家畜診療等技術九州地区発表会 会長 常務 11 月 10 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 11 月 16 日 第 3 回動物愛護ボランティアリーダー養成講座 委員長 11 月 18 日 狂犬病予防注射料金についての協議 ( 大分県市長 町村会長合同事務局 ) 会長 常務 11 月 20 日 第 2 回会報編集委員会 委員長他 東京都 藏内勇夫日獣会長を激励する会 会長 11 月 21 日 大分市 第 1 回動物愛護推進協議会 会長 11 月 22 日 平成 25 年度家畜衛生業績発表会 常務 197

229 月日 場 所 会 議 名 出席者 11 月 26 日 大分市 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 12 月 5 日 第 1 回狂犬病対策委員会 委員長他 12 月 6 日 第 1 回支部長会議 会長他 12 月 8 日 大分盲導犬協会創立 30 周年記念のつどい 会長 平成 25 年度動物愛護推進員委嘱式 研修会 12 月 10 日 子犬の譲渡会 ( 動物管理所 ) 常務 198

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