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1 総務省御中 VR/AR を活用するサービス コンテンツの 活性化に関する調査研究 報告書 2018 年 3 月 社会 I C T イノベーション本部

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3 内容 1. 本調査の背景及び目的 VR/AR 関連市場の概況 VR/AR 関連市場の規模... 2 VR/AR 関連市場規模 ( 世界 )... 2 VR/AR 関連市場規模 ( 国内 )... 6 VR/AR 投資額の推移 VR/AR 関連市場の業界構造... 8 VR/AR 関連市場における分野 用途の整理... 8 VR 事業撤退の状況 プラットフォームの動向 VR/AR におけるプラットフォームの類型 類型を踏まえたプラットフォームの整理 知的財産の状況 調査方法 調査結果 業界団体及び標準規格の動向 業界団体の動向 標準規格の動向 政策動向 アメリカ イギリス フランス シンガポール 中国 韓国 まとめ VR/AR 活用サービス コンテンツの活用状況及び制作プロセスの分析 VR/AR 活用サービス コンテンツの活用状況 事例 スポーツ 教育 医療 / 介護 製造 / 保守 防災 / 復災 建築 / 不動産 観光 小売 / 流通... 35

4 3.2 VR/AR 活用サービス コンテンツの制作プロセスの分析 調査方法 調査結果 検討委員会の開催 開催概要 検討委員会の目的 構成員 開催日等 開催結果 調査検討会で挙げられた課題や提案 論点と対応の方向性 VR/AR 活用サービス コンテンツ市場の課題整理と競争力強化策の検討 課題整理のためのヒアリング調査 現状認識と現状の課題の整理 具体的な競争力強化策の検討 VR/AR のサービス化 ( 生産性 ) 我が国の強みを発揮した競争力強化 ( 生産性 ) サービスレベルを担保するための協調領域の拡大 ( 生産性 ) VR/AR 提供企業と利活用企業の一体的な取り組みの促進 ( 協働 ) 参考文献... 60

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6 1. 本調査の背景及び目的 我が国は 急速に進展する少子高齢化により 世界に先駆けて生産年齢人口の減少等の社会課題に直面している また 経済状況としては 生産性の伸び悩みや新たな需要創出の欠如といった 先進国に共通する 長期停滞 にある こうした課題 状況を打破し 中長期的な成長をもたらす Society 5.0 を実現する鍵として IoT ビッグデータ 人工知能 (AI) 等の 第 4 次産業革命 の進展が期待されている 政府も 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) 等で戦略 政策を定めるとともに 総務省では 地域 IoT 実装推進ロードマップ の推進による地域経済の活性化 地域課題の解決等に取り組んでいるところである この 第 4 次産業革命 に関連する技術である AR(Augmented Reality: 拡張現実 )/ VR(Virtual Reality: 仮想現実 ) は 現実世界とサイバー空間を融合させるものとして近年急成長を遂げ かつ注目を集めている エンタメ分野など一部の分野 用途で既に実用化が進んでいるほか 今後 ビジネスや医療など多様な分野 用途で活用され サービス コンテンツの革新や生産性 品質の向上 時間や移動負担の縮減 コスト削減等の効果をあげることが期待されている その一方 VR/AR サービス コンテンツ関連の課題の共有 解決を図る国内の横断的な枠組みや体制は現状見受けられず 個別企業内にノウハウや人材が閉じることも懸念される 今後も横断的な連携が図られない場合 作業の重複等による非効率や過剰な競争 人材不足等を招き 活用分野 用途の開拓や技術革新 人材確保 ひいては国際競争に支障を来すことが懸念される このように VR/AR は人口減少や経済的な長期停滞といった課題を打破する期待とともに その発展自体にも担い手や経済性の課題を抱える構造となっている 我が国の VR/AR サービス コンテンツの活性化を図る上で 勃興期である現時点から 横断的に状況や課題を把握し 関係者の連携を深め 例えば開発手法の標準化や投資環境の整備 人材の育成 流動性確保など市場全体を俯瞰した取組を進めて 人口減少を克服する担い手の確保 効率的な開発や多様な活用分野 用途の開拓 国際競争力の強化等に取り組むことが重要である ( 仕様書より ) こうした観点から VR/AR 活用サービス コンテンツ市場全体を俯瞰した基本情報及び課題の整理 を行うとともに 競争力強化策の検討を行うことを目的として 本件調査研究を実施した 1

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15 待よりも遅かった ためとしている (2) スタートアップ企業 2016 年 ~2017 年にかけて VR のスタートアップ企業の撤退 ( 経営破綻 ) の例も見られている 具体的な撤退の理由は明らかにされていないケースもあるが いずれも VR/AR 業界の競争が激しくなる中 資金調達が困難だったことが原因と推測される 以下に例を挙げる VRIDEO 360 度動画配信サービスを提供していたが 資金不足を理由に 2016 年 11 月にサービスの終了を発表 7 Envelop VR VR で作業を行うためのデスクトップ環境の構築を行うためのアプリ Envelop VR を提供 2015 年には 200 万ドルの資金調達を 2016 年には 550 万ドルの資金調達を行っていたが 2017 年 1 月にサービスを終了させ 公式ホームページを閉鎖した 8 Future Lighthouse VR ゲーム Melita などを制作していた VR 開発スタジオだが 資金調達が目標に達せず 設立から 3 年の 2018 年 1 月 スタジオ閉鎖を決定 創設者は VR 投資家は過度に保守的である そして 我々は 2016 年の最初の投資の波を捉えていなかった とコメントしている 9 application.html

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19 調査方法独立行政法人工業所有権情報 研修館が公開している特許情報プラットフォーム J-PlatPat 10 を利用し VR に関する知的財産の状況を確認した 具体的には 特許 実用新案検索 において以下の検索条件で検索した結果を時系列順に整理した 11 調査結果 (1) 海外の登録特許数推移下図に示すとおり 海外 ( 主要 5 庁 ) における VR/AR 関連特許数は 近年増加傾向にある VR/AR 別に見ると 2006 年から 2010 年までは VR 関連特許数のほうが登録件数が多かったが 2011 年から AR 関連特許数のほうが上回って推移している ただし 2014 年から 2015 年で VR の年間登録特許数は倍増 (AR は 1.23 倍にとどまる ) しており VR の登録特許数がこの期間で大きく伸びたことがわかる 具体的な検索条件は以下 登録日ありで絞込み いいえ をチェック種別は国内 特許 外国 主要 5 庁 をチェック非特許はチェックしないテキスト検索対象は 和文 を選択 J-GLOBAL 検索 テーマは選択しない公知日は 2007/01/01 から 2017/12/31 を入力検索キーワードは VR/AR それぞれで以下のとおりとした ( ア ) VR: 要約 / 抄録 に 仮想現実 を含むこと ( イ ) AR: 要約 / 抄録 に 拡張現実 を含むこと 以上より VR/AR どちらにもカウントされている特許が存在する 14

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23 (2) Augmented Reality for Enterprise Alliance ( ア ) 団体の概要 Augmented Reality for Enterprise Alliance は 相互運用可能な AR 支援の枠組みを確立することにより 世界中の企業に対し AR 技術が円滑かつ幅広く導入されることを目指して 2013 年 12 月に設立された 2018 年 1 月現在は BOSCH, Boeing など 30 以上の企業が参加している ( イ ) 団体の主な活動やロードマップ AR 技術の利活用に係るガイドを作成すると共に ユースケースやベストプラクティスの共有を 行う また 委員会を組織し 団体として推奨するソリューションを選定し公表する (3) Global Virtual Realtiy Association ( ア ) 団体の概要 Global Virtual Reality Association は VR 業界の世界的な成長と発展の促進を目的として Google, Acer, HTC, Oculus, Samsung, Sony Interactive Entertainment の 6 社によって 2016 年 12 月に設立された ( イ ) 団体の主な活動やロードマップ 2018 年 3 月現在では活動実績に乏しいが VR に関する教育またはトレーニング用の資料の作成と公開 ワーキンググループの結成 VR 技術に関する国際会議の開催 ベストプラクティスの共有 などが団体の目指す主な活動として掲げられている (4) Khronos Group OpenXR ( ア ) 団体の概要 OpenXR は クロスベンダー対応かつロイヤルティフリーのオープンな仕様策定を目的として米 Khronos Group によって設立され 2017 年 2 月に活動開始した 主要なプラットフォーム開発企業 (Oculus, HTC, Valve, Sony Interactive Entertainment, Samsung, Google, Microsoft) はほぼすべて団体に参加している ( イ ) 団体の主な活動やロードマップ OpenXR はアプリケーションインタフェースとデバイス層の 2 レベルでの標準化を目標としており VR ランタイムがベンダーの種類にかかわらず VR アプリケーション及びデバイスに対応できるような VR エコシステムのデザインを目指している ヘッドセット等のオブジェクト トラッキング用 API や VR 実行環境へのデバイス統合を簡素化する API 等について オープンな業界標準の仕様を 2018 年上期までに策定する予定である 18

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35 ティ (VR) 環境の中で見物し 体験することができる また 平昌五輪の 5G デモにおいて VR/AR 3D マルチビューを展示した まとめ VR/AR にかかる政策動向としては コンテンツ サービスレイヤーで特定分野に注力した政策が諸外国では見受けられ 社会福祉分野での利活用を進める国 ( 下図 1) とコンテンツ産業としての競争力を高める国 ( 下図 2) に大別できる 中国では デバイスレイヤーの標準規格策定等 製造業の競争力を高める政策を採用 1 社会福祉分野での利活用促進 重点レイヤー コンテン ツ サービス アメリカ 2 コンテンツ産業の競争力促進 フランス 重点分野 : 医療重点用途 : 体験 訓練概要 : 就業支援 職業訓練に資する提案を募るコンテストを実施 PTSD やドラッグ依存症の治療に資する VR システム開発に資金提供 重点分野 : エンタメ アート重点用途 : アミューズメント概要 : 国立映画センター (CNC) が VR に関連したゲーム ニューメディア デジタルアートの約 60 のプロジェクトに対し 3M 投資 重点分野 : 医療 教育重点用途 : 体験 訓練概要 : 教育に VR を導入するパイロットプログラムの開始シンガポール 臨床訓練 VR システム開発のため民間と連携 韓国 重点分野 : 観光 エンタメ重点用途 : アミューズメント概要 : 観光 エンタメ分野の体験施設構築のため 5 つのコンソーシアムを選定 政府 民間で総額約 80 億ウォンを投資 デバイス 3 製造業の競争力促進概要 : VR 産業連盟 (IVRA) の設立支援 同団体はHMDの標準規格を策定 100 億元の深センVRファンドの設立 貴安地区において VR/ARに関する研究開発インフラが整った 北斗湾 VRタウン を建設 2019 年までに中国年間総数 150 万個のVR 関連ハードウエア機器を生産する50の企業が集まる見通し 出所 )MRI 作成 図 2-18 各国の VR/AR 政策の概要と類型 各国の政策には大きく以下の 2 種類の方向性が存在する すでに市場が顕在化しているエンタメ分野において コンテンツ産業の国際競争力を高める 自然体では市場が顕在化しない可能性のある 社会福祉分野での利活用を促進する 30

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41 ナビゲーション小売 / 流通広告 / マーケティング出所 )MRI 作成 システムを開発 製造している 未経験者でも確実に倉庫内のピッキング作業を行える上 在庫管理システムとも連携できる IKEA Place は室内スペースを認識して実物大の家具を AR 上で配置することができる 室内スペースに家具が収まるか 家具を配置した際に室内の見栄えがどうなるかなどを手軽に確認することができる 36

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63 我が国の強みを発揮した競争力強化 ( 生産性 ) 昨今の VR/AR ブームは ( 特にスマートフォン等のモバイル ) インターネット上において巨大な競争力を有する OTT(Google Facebook 等 ) が主導している 彼らは M&A や出資により専用機 (HMD) 分野にも進出をしている 専用機分野ではデバイスの規格やプラットフォームが乱立している都合上 すでに統一的なプラットフォームが整備されたモバイルが牽引する形で VR/AR が進展する可能性が高い 昨今のスマートフォンのシェア等を踏まえると 現在から未来にかけてモバイル分野において ハードウェアレイヤー ( スマートフォンおよび関連のヘッドセット ) やプラットフォームレイヤーではわが国企業が存在感を発揮することは困難である 他方で コンテンツレイヤーにおいては わが国はコミック アニメ ゲーム 放送番組 アイドル等の強みをもつため これらを VR/AR 分野の強みとして生かせるのではないか 図表 5-1 国内外における VR/AR 市場の状況 出所 )MRI 作成 サービスレベルを担保するための協調領域の拡大 ( 生産性 ) 現状 VR/AR を活用するサービス コンテンツに関しては ロケーションベース VR 協会が VR コンテンツのご利用年齢に関するガイドライン 22 を策定する等 一部では協調する動きが出てきているものの 国際標準化は途上であり 標準化をミッションとする業界団体もわずかである HMD は直接肌に身につけるものであるということや VR コンテンツはその高い没入感ゆえに VR 酔い等の問題があることを踏まえると 安全性の確保だけでなく 使い心地の担保という観点から 業界横断的な取り組みが必要であると考えられる そのためには 個々の企業取り組みに任せるのではなく たとえば国の研究機関や国の研究開発プロジェクトにおいて VR/AR サービス コンテンツに係る ユーザーにとって快適な表示方法や UI を心理的 生理的な観点から研究 開発し 成果を広く利用可能なものとして展開していくことが望ましい VR/AR 提供企業と利活用企業の一体的な取り組みの促進 ( 協働 ) 既存の VR/AR 市場を拡大するにしろ 新しい利活用分野を開拓するにしろ VR/AR を提供する企業がそれを利活用する企業 ( 潜在的な利活用企業を含む ) やエンドユーザのニーズを把握していなければ

64 ヒアリングや検討会で言及のあった VR/AR でしか実現できない価値 を見出すことは困難であることが予想される 世界的には Augmented Reality for Enterprise Alliance という AR の利活用企業の業界団体も存在するものの 日本企業の参加は少なく 国内においては一般社団法人 VR コンソーシアムが 2018 年 2 月 28 日にて会員制度を終了した 23 等 VR/AR 提供企業と利活用企業が連携を進める場が乏しい状況である 例えばわが国における IoT の取り組みとして 総務省及び経済産業省によるバックアップの下 民間による推進団体として IoT 推進コンソーシアム が設立され ICT 企業と ICT 利活用企業が一体となって IoT をはじめとした第 4 次産業革命を進めているという実績がある VR/AR も IoT と同様第 4 次産業の進展に資する技術的なキーワードであり IoT 推進コンソーシアムと同様の枠組みの団体を設立する ( あるいは IoT 推進コンソーシアムの WG とする等 ) により VR/AR 提供事業者と利活用事業者が一体となって VR/AR を活用するサービスの活性化に取り組むという方向性が考えられる

65 参考文献 (1) 廣瀬孝道 (2016) いずれ老いていく僕たちを 100 年活躍させるための先端 VR ガイド, 講談社 (2) 富士キメラ総研 (2017) 2017 AR/VR 関連市場の将来展望, 富士キメラ総研 (3) ロケーションベース VR 協会 (2018)[ VR コンテンツのご利用年齢に関するガイドライン [ (2018 年 3 月 30 日参照 ) (4) Virtual Reality Venture Capital Alliance(2018) VR/AR Global Investment Report & Outlook 2018 [ 3c9/ /VRVCA_Global+Investment+Report+2018_vF+%28EN%29.pdf] (2018 年 3 月 30 日参照 ) 60