Microsoft Word - 00J_はじめに.doc

Size: px
Start display at page:

Download "Microsoft Word - 00J_はじめに.doc"

Transcription

1 骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療 今井礼子松延亮今泉猛鎌田正放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院 骨や軟部 ( 筋肉や脂肪組織など ) を起源に発生する悪性腫瘍は肉腫と言われ いわゆる癌腫 ( 肺癌や胃癌など ) とは異なる 発症頻度は癌腫に比べるとずっと低く 日本では悪性骨腫瘍は年間 500 人 悪性軟部腫瘍は年間 2000 人ほどである 癌腫と異なり発症に生活習慣の影響は少なく 若年者にも多く発症する 肉腫といっても組織型が多様で ( 例えば骨肉腫 軟骨肉腫 脂肪肉腫など ) 体中のどこにでも発生するため 組織型と発生部位の組み合わせで 選択できる治療法が異なることもあれば 同じ治療方法で成績が異なることもある 骨軟部腫瘍は 過去 30 年間切除を中心に化学療法 ( 抗がん剤 ) あるいは放射線療法を加えた集学的治療が最も成果を上げてきた疾患の一つである. 特に四肢骨肉腫は 化学療法の進歩により生存率が大幅に改善し また手術技術や人工関節の飛躍的な進歩により患肢温存率が向上した 骨軟部腫瘍の治療の第一選択は切除であり これは不動である しかし 腫瘍の部位や大きさ 範囲によっては 切除できない ということもある 手足の腫瘍は切除可能なケースが多いが 脊椎や骨盤骨など体の中心に発生した腫瘍の場合 切除すること自体が不可能ということも少なくない また仮に切除をした場合 例えば歩行不能になったり 排尿排便機能が完全に損なわれたりなど 大きな機能損失を生じることもある 切除困難な腫瘍の場合 今までは化学療法と X 線を用いた外照射治療や小線源治療を組み合わせるしか方法がなかった 化学療法が有効な肉腫の種類は多くはなく 一部の肉腫を除いては放射線治療も効果が少なく 切除困難な症例の予後は非常に厳しかった 重粒子線 ( 炭素イオン線 ) は通常の放射線 (X 線 ) に比べて高い生物効果と線量集中性を持っているため < 肉腫細胞を殺す効果の高い重粒子線 >を< 大線量 > 腫瘍のある部位に照射することが可能である 重粒子線治療が可能となり 切除困難な骨軟部腫瘍に対する治療法は大きく変わったといえよう さらに 重粒子線治療の良い点は苦痛なく受けられるという点である 骨軟部腫瘍の場合 治療は 1 日 1 回週 4 回 計 回 /3-4 週間の治療となる 治療は仰向けかうつ伏せで行われ治療台に寝ている時間は 分ほどで 重粒子線が体に照射されている時間は数分で痛くも熱くもない 照射されていることも気がつかないほどである 通常 治療は入院で行うが治療期間中の外泊や治療終了日に退院することも可能である 治療中に食欲や体力が落ちるということはない 切除不能骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療は 1996 年 6 月から安全性と有効性を確かめるために臨床試験として開始された 2003 年 10 月から先進医療として厚生労働省に認められ 現在まで実施している 1996 年から 2010 年 2 月までに当センターで治療された骨 軟部腫瘍は計 764 例であった 2009 年度の患者数は 140 名に達している 重粒子線治療を施行した骨軟部腫瘍で最も治療数が多かったのは仙骨脊索腫であった 日本での仙骨脊索腫発生数は年間

2 20-30 人程度と考えられている稀な腫瘍である 2009 年度は 22 人を治療し これは国内発生例のかなりの数が当センターで加療されていることになる 治療法の第一選択は切除であるが 困難なことも多い 緩徐に発育するので症状が慢性化するため発見しにくく 病院を訪れた時には巨大腫瘍となっていることも多い 仙骨は下肢を動かす神経や排尿排便機能をつかさどる神経があるため これを腫瘍とともに切除すると歩行困難や人工肛門 排尿障害など様々な機能障害が生じ大きく生活の質を落とすことになる また 仙骨脊索腫は比較的高齢者に多く発生し 仙骨摘出手術は体に対する負担が大きいため重粒子線治療の適応となることが多い 仙骨脊索腫に対する重粒子線治療の最近の治療成績は 5 年局所制御率が約 80% であり これは切除と比較しても遜色なかった 治療後の機能温存に関しては 5 年以上観察した 30 症例の検討では 最終観察時点で治療の副作用によって人工肛門となった症例はなく 90% の症例において歩行機能が残り 50% の症例は杖も使用していなかった 仙骨脊索腫については 2004 年に Clinical Cancer Research などに報告し 2006 年の The Year Book of Oncologyでも取り上げられた 現在 100 例以上を治療し 一施設での治療数としてはおそらく世界一であろう その他 治療数が多いのが体幹部骨肉腫や軟骨肉腫である 腫瘍の場所や大きさから切除困難と診断されたり 症例が高齢であったり心臓病などの持病があるために手術ができない例が中心である 若年者に多い四肢の骨肉腫は 化学療法と切除を組み合わせた治療法が確立されており あえて重粒子線治療を行うメリットは少ないと考えている 患肢の機能を残せる手術技術が進歩しており 手術後の生活も問題のない症例がほとんどである 骨軟部腫瘍に対する重粒子線治療を開始してから 15 年目となり 先進医療と承認されてから 5 年以上が経過した この間 前述したように治療患者数は年々増加している 特に先進医療として認可された後の患者数の伸びが著しく これは重粒子線治療が医師のみならず患者にも広く認知されるようになり潜在的需要を掘り起こしているものと考えている これらの需要に応えるためにも 我々は適切な適応拡大にむけて実績を積み重ねていく必要があると考えている 今後 さらに長期観察を続ける必要があるものの 切除非適応の症例のみならず 高齢者や切除にともなう機能損失が大きい症例では重粒子線治療が切除に替わりうる治療法になりうるといえよう

3 肺癌に対する炭素線治療 山本直敬 堀野武 馬場雅行放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 要旨手術によって根治が期待できるⅠ 期非小細胞肺癌であっても 手術ができないあるいは希望しない症例がある このような患者様に対して安全で確実な治療を開発することが肺癌死亡を低減させるために重要な課題である 肺癌に対する炭素線治療は 1994 年 11 月から開始され 2009 年 12 月までにのべ 918 名の治療が行われた 末梢型 Ⅰ 期肺癌に対しては治療期間を 6 週間 (18 回分割照射 ) から 3 週間 (9 回分割照射 ) 1 週間 (4 回分割照射 ) と安全性と効果を確認しながら次第に短縮し 現在は 1 日で照射を終了する臨床試験を行っている 第 Ⅱ 相試験の結果では 正常組織の有害事象は, 臨床的に問題となる症状を呈するグレード 3 以上の肺反応は認めず 5 年局所制御率は 91.8% であった 炭素線治療は手術ができない患者様にとって手術に代わりうる局所療法として肺癌死亡の低減に貢献すると考える はじめに肺癌検診の普及により手術によって根治が期待できるⅠ 期の肺癌が多く発見されるようになったが, 低肺機能や心疾患などの理由により手術ができない症例や, 手術を希望しない症例がある このような患者様に対して安全で確実な治療を開発することが肺癌死亡を低減させるために重要な課題である 本稿では われわれが行っている非小細胞肺癌に対する炭素線治療のなかで おもに末梢型のⅠ 期肺癌に対する治療成績について述べる 肺癌に対する炭素線治療は 1994 年 11 月から臨床試験が開始され 2003 年 11 月からは一部の肺癌は先進医療の対象となっている 2009 年 12 月までにのべ 918 名の治療が行われた 最初の治療は肺野末梢型 Ⅰ 期肺癌 中心型肺癌 肺門近接型末梢肺癌 胸壁浸潤肺癌 ( 術前照射として施行 ) を対象に 18 回分割 (6 週間 ) 照射の線量増加試験を施行した 1-3) 胸壁浸潤癌の術前照射では 手術により摘出された標本の病理所見で強力な抗腫瘍効果が確認されている 4) 肺野末梢型 Ⅰ 期非小細胞肺癌に対しては 9 回分割 (3 週間 ) 照射 5),4 回分割 (1 週間 ) 照射 6) と分割回数を減らしながら臨床試験を進めた 現在 末梢型 Ⅰ 期肺癌に対しては一回 (1 日 ) 照射の線量増加試験を行っている ( 図 1) 照射期間を短縮しても皮膚や肺に問題となる障害は発生していない 現在 9 回分割照射や 4 回分割照射の成績とほぼ同程度の成果が得られている

4 末梢型 Ⅰ 期非小細胞肺癌に対する炭素線治療の成績対象と方法 9 回分割照射症例と 4 回分割照射症例は全例が治療終了後 5 年以上を経過しており これらの症例の長期臨床経過を報告する 症例数はのべ 131 例 平均年齢は 74.5 歳で男性 94 女性 37 である 病巣数は 131 で そのうち腫瘍径が 3 cm以下の T1 が 72, 腫瘍径が 3 cmを超える T2 は 59 であった 組織型は腺癌 85, 扁平上皮癌 43, その他 3 であった 131 例のうち 72.0GyE/9 回分割照射で 51 例が治療され 80 例は IA 期には 52.8GyE IB 期には 60.0GyE の線量を用いて 4 回分割照射を行った 当院の炭素線治療を受けた理由は 手術が非適応と外科医が判断した症例が 76%, 他は患者が手術を拒否したためであった 医学的に手術非適応となった症例は 低肺機能が全体の約 6 割を占めている 結果炭素線治療による正常組織の有害事象は, 臨床的に問題となる症状を呈するグレード 3 以上の肺反応は認めなかった 5,6) 上記の症例のうち 80 歳以上の高齢者 28 名を対象とした解析でも肺機能の障害は軽度であった 7) 抗腫瘍効果では, 局所制御率は 3 年で 93.0%,5 年で 91.8% あった 腫瘍径別にみると 3 年 /5 年の局所制御率は T1 では 98.6%/96.7%,T2 では 85.0%/85.0% であり,3 cmを超える T2 であっても良好な局所制御が得られた 生存率を検討すると累積 3 年粗生存率は T1:79.9%, T2:47.5%, 累積 5 年粗生存率は T1:50.7%,T2:32.2% であった 原病生存率では 3 年 /5 年は T1 では 89.9%/82.7%,T2 では 65.4%/55.2% であった 他の治療法との比較

5 1) 体幹部定位放射線治療 陽子線治療との比較手術非適応の早期肺癌症例に対する従来の放射線治療では 局所制御率は 3 年で 30-70% 程度であったが 近年 従来の X 線を用いて照射方法を工夫した体幹部定位放射線治療 ( 定位照射 ) による肺癌治療の良好な成績が報告されている 8,9) 陽子線も含めた比較 10-12) を表 1 に示した 炭素線治療はこれらの治療法と比較して T2 に対しても良好な局所制御を示している 2) 外科療法との比較上記の成績は炭素線治療後 10 年から 5 年経過した症例で得られたものであり 同時期の手術成績と比較した ( 表 2) 日本肺癌学会と日本呼吸器外科学会の合同調査による 1999 年 1 年間の肺癌切除例の成績 13) では累積 3 年粗生存率は臨床病期 ⅠA 期 :84.4%,ⅠB 期 :70.3%, 累積 5 年粗生存率はⅠA 期 :77.0%,ⅠB 期 :60.1% であった 炭素線治療ではⅠA 期 3 年粗生存率は 79.9% であるが 原病生存率は 89.9% であることを考えると この粗生存率が手術よりも劣るのは 医学的に手術非適応の症例を治療していることや外科症例よりも年齢が 10 歳高齢であるため 手術よりも他病死が多いことが原因である これに対しⅠB 期の炭素線治療の成績は 5 年原病生存率で 55.6% である この差は転移 再発の発生頻度がⅠA 期では 24% であるのに対し ⅠB 期では 63% と高率であることが原因である ⅠB 期の成績を向上させるためには補助化学療法などが必要かもしれない 炭素線治療は手術では部分切除に相当する範囲を照射しており 部分切除や区域切除といった縮小手術の成績をみると 臨床病期 Ⅰ 期で 5 年粗生存率は約 50% である われわれの治療した患者様には手術非適応が 76% と多く含まれており 炭素線治療は侵襲が少なく効果も十分に期待できる治療法であると考えられる

6 おわりにおもにⅠ 期肺癌の治療成績についてのべた 炭素線治療は手術ができない肺癌患者様にとって手術に代わりうる安全で確実な局所療法として肺癌死亡の低減に貢献していくものと考える 文献 1) Miyamoto T, Yamamoto N, Nishimura H, et al : Carbon ion radiotherapy for stage I non-small cell lung cancer. Radiother Oncol 66: , ) Nishimura H, Miyamoto T, Yamamoto N, et al : Radiographic pulmonary and pleural changes after carbon ion radiation. Int J Radiat Oncol Biol Phys 55: , ) Koto M, Miyamoto T, Yamamoto N, et al. Local control and recurrence of stage I non-small cell lung cancer after carbon ion radiotherapy. Radiother Oncol 71: , ) Yamamoto N, Miyamoto T, Nishimura H, et al. Preoperative carbon ion radiotherapy for non-small cell lung cancer with chest wall invasion - pathological findings concerning tumor response and radiation induced lung injury in the resected organs. Lung Cancer 42:87-95, ) Miyamoto T, Baba M, Yamamoto N, et al. Curative treatment of stage I non-small cell lung cancer with carbon ion beams using a hypo-fractionated regimen. Int J Radiat Oncol Biol Phys 67: , ) Miyamoto T, Baba M, Sugane T, et al. Carbon ion radiotherapy for stage I non-small cell lung cancer using a regimen of four fractions during 1 week. J Thorac Oncol 2: , ) Sugane T, Baba M, Imai R, et al. Carbon ion radiotherapy for elderly patients 80 years and older

7 with stage I non-small cell lung cancer. Lung Cancer 64:45-50, ) Baumann P, Nyman J, Hoyer M, et al. Outcome in a Prospective Phase II Trial of Medically Inoperable Stage I Non-Small Cell Lung Cancer Patients Treated With Stereotactic Body Radiotherapy. Journal of Clinical Oncology 27: ,2009 9) Onishi H, Nagata Y, Shirato H, et al.stereotactic Body Radiotherapy (SBRT,BED 100Gy) for Operable Stage I Non-Small Cell Lung Cancer: Is SBRT Comparable to Surgery? Int J Radiat Oncol Biol Phys 69:S86-87, ) Bush DA, Slater JD, Shin BB, et al. Hypofractionated proton beam radiotherapy for stage I lung cancer. Chest 126: , ) Nihei K, Ogino T, Ishikura S et al. High-dose proton therapy and carbon-ion therapy for stage I nonsmall cell lung cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 65: , ) Iwata H, Murakami M, Demizu Y, et al. High-dose proton therapy and carbon-ion therapy for stage I nonsmall cell lung cancer. Cancer 116: , )Shimokata K, Sohara Y, et al. Japanese Joint Committee of Lung Cancer Registry, Jpn J Chest Surg.21: ,

8 直腸癌術後再発に対する重粒子線治療 山田滋 篠藤誠 安田茂雄 今田浩史 鎌田正 辻井博彦 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 1. 直腸癌術後局所再発の特徴大腸は小腸に連続する結腸とその続きで仙骨上端から肛門までの直腸とで構成される 2008 年の死亡数では約 4.3 万人大腸癌は肺 胃についで3 位で 2004 年の罹患数では約 10 万人と胃についで2 位であった 大腸癌の術後再発率を検討すると 結腸癌と比較して直腸癌の方が再発率は高くなっている 再発の部位を検討すると 直腸癌では局所再発の割合が結腸癌に比べて 3 倍以上高率であった 近年 術式や手術操作の改良により直腸癌の骨盤内局所再発率は低下してきているが 現在でも手術後 5-20% に再発はみられている これらに再発病巣に対する治療は外科的切除が第一選択であるが 骨盤内臓全摘術など大きい侵襲の手術が必要となる そのため治癒切除不能となることが多く 再発部位別の切除率を検討すると 肝転移 40-50% 肺転移 20-40% に対し局所再発の切除率は10-40% と低かった ( 表 1) 1,2) しかし 治癒切除できれば他部位の再発と同程度の生存率を得ることができる 切除不能な症例の多くは放射線治療が選択されるが 従来の X 線照射では 50% 生存期間が12か月 3 年生存率 10% 前後とする報告が多く 化学療法を併用しても局所効果は20% 程度と満足すべき数字ではなかった 放射線抵抗性である腺癌系に対して抗腫瘍効果が高い重粒子線を直腸癌術後再発に応用し 腫瘍周囲の放射線感受性の高い消化管 膀胱等の臓器を避け 再発病巣に線量を集中して照射を行えば 患者に過大な負担をかけることなく治療成績を向上させることができる可能性があると考えられた 表 1. 再発部位別の切除施行率と生存率

9 2. 直腸癌術後再発に対する重粒子線治療の第 I/II 相試験および第 II 相試験の概要直腸癌術後再発に対する重粒子線治療は 2001 年 4 月から第 I/II 相臨床試験が開始された 目的は 重イオン線治療に対する正常組織反応と腫瘍に対する局所反応の評価ならびに治療技術の確立であり 適正線量の決定のため線量を増加させる形式を採っている 本試験は 2004 年 2 月まで試験が行われ 38 例が治療された この結果を受けて 2004 年 4 月から重粒子線の治療線量を 73.6GyE に固定し先進医療として第 II 相試験が開始され現在も継続中である 3. 試験治療の内容治療対象例の適格条件は 直腸癌切除後の骨盤内に限局する ( 周囲の軟部組織を含める ) 再発病変のみを有し 再発腫瘍と消化管 膀胱などの放射線感受性の高い臓器が 5mm 以上離れていることである さらには当該重粒子線治療対象部位に放射線治療の既往がある あるいは活動性の重複癌を有する症例は除かれた 重粒子線の線量はグレイ等価線量 (GyE) で 67.2GyE/16 回 /4 週間から開始し 照射効果と安全性を確認しながら 5% ずつの線量を増加し 70.4GyE,73.6GyE で治療を行った また第 II 臨床試験は第 I/II 臨床試験の最大線量である 73.6GyE を用いて治療をおこなった 今回 2010 年 2 月までに治療を施行した 140 人 (148 部位 ) について解析を行った 4. 治療成績 (A) 正常組織反応現在までのところ 早期では消化管 尿路系に比較的重篤である grade3 以上の有害反応は認めていない 3ヶ月以降の遅発性では 腫瘍の壊死により骨盤内膿瘍となったが 4 例認められたが いずれも腫瘍は制御されていた (B) 抗腫瘍効果と生存率抗腫瘍効果として 3 年,5 年局所制御率で 70.4GyE で 88.5%,88.5% 73.6GyE で 95.2%,95.2% と 70GyE 以上では良好な結果であった ( 図 1A) また 3 年,5 年生存率は 67.2GyE で 36.0%,24.0% 70.4GyE で 51.7%,27.5% 73.6GyE では 73.5%,42.3% と線量が高くなるにつれて生存率の上昇が認められた ( 図 1B) また 疼痛に関しては早期に反応する例が多く 程度の差はあるが確実に効果が認められた

10 図 1 直腸癌局所再発に対する重粒子線治療の成績 A: 局所制御率 B: 生存率 (C) 他治療との治療成績の比較表 2は直腸癌局所再発に対する他の放射線治療での報告例と重粒子線 73.6GyEで治療した症例の治療成績を比較したものである 3-6) 一般の放射線治療では局所制御率も30% 以下で5 年生存率は10% 以下であり 我々の重粒子線治療の成績は他の放射線治療の成績に比較して極めて高く良好な成績と思われた 次に我々の治療成績を他の施設からの手術療法の報告例と比較した ( 表 3) 7-9) 我々の重粒子線治療の成績は 多くの手術治療の成績に比較して同等かあるいは高く さらに我々の治療している症例の大部分は手術不能例であることを考慮すると極めて良好な成績であることが示された また 重粒子線治療は 人工肛門 人工膀胱造設も必要とせず さらに外来での通院治療が可能であり 高いQOLを治療中および治療後も維持することが可能であった 表 2. 直腸癌局所再発に対する放射線療法の成績

11 表 3. 直腸癌局所再発に対する手術療法の成績 5. 重粒子線治療の適応拡大骨盤内の再発病巣は 消化管と近接していることが多く 消化管が照射野から避けられないことで不適格となる症例が少なくなかった そこで最近では外科医の協力により消化管が近接している症例に対し 事前にスペーサーを腫瘍と消化管の間に挿入することで重粒子線治療を施行し良好な治療成績が得られている また 大動脈周囲リンパ節再発に対しての重粒子線治療も現在 12 回 /3 週間治療を行っているが 良好な治療成績が示されている 6. おわりに 直腸癌局所再発に対する重粒子線治療の成績は外科的治療とほぼ同等の結果であり 高い QOL を維持することが可能であり侵襲も少なく良好な成績であった (* 本稿では 重粒子線とは 重イオン線なかでも炭素イオン線のことを指す ) 文献 1) 小林宏寿 橋口陽二郎 上野秀樹 : 大腸癌術後再発に関するフォローアップ日本大腸肛門病会誌 59: , ) 杉原健一 : 再発大腸癌治療ガイドブック 南江堂 東京 2003 P ) Ciatt S: Rdaition therapy of recurrences of carcinoma of the rectum and sigmoid after surgery. Acta Radiol Oncolo 21: , ) O Connel MJ: A prospective control ed evaluation of combined pelvic radiotherapy and methanol extraction residue of BCG for locally unresectable or recurrent rectal cancer. Int J Radiat Oncol

12 Biol Phys 8: 1115, ) Knol HP, Hanssens J, Rutten HJT. Effect of radiation therapy alone or in combination with surgery and/or chemotherapy on tumor and symptom control of recurrent rectal cancer. Strahlenther Onkol 173: 43-49, ) Murata T, Fujii I, Yoshino M. Radiation therapy with or without chemotherapy and hyperthermia for recurrent rectal cancer. J Jpn Soc Ther Radiol Oncol 9: 63-71, ) Wanebo HJ, Antoniuk P, Koness RJ, et al. Pelvic resection of recurrent rectal cancer. Dis Colon Rectum 42: , ) Saito N, Koda K, Takiguchi N. Curative surgery for local pelvic recurrence of rectal cancer Dig Surg 20: , ) Moriya Y, Akasu T, Fujita S. Total pelvic exenteration with distal sacrectomy for fixes recurrent rectal cancer in the pelvis. Dis Colon Rectum 47: ,

13 前立腺癌に対する重粒子線治療 辻比呂志 岡田徹 鎌田正 辻井博彦放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター 要約限局性前立腺癌に対する短期小分割炭素線治療の治療結果を検討した 2010 年 2 月時点で治療後 6 ヶ月以上観察可能であった 903 例の生化学的非再発率 生存率および副作用発生率について解析した 全例の 5 年生化学的非再発率は 90.9% で グリソンスコア PSA 値 臨床病期が非再発率の有意な予測因子であったが分割法 (20 回分割と 16 回分割 ) による非再発率の差は認めなかった 1 年以上経過観察された 818 例で 3 度以上の副作用を生じた症例は1 例 ( 下部尿路障害 ) で 2 度以上の副作用発生率が下部尿路 直腸でそれぞれ 5.6% 2.0% と低率であった さらに 16 回分割群では副作用発生率が 20 回分割群よりも低かった 結果的に 20 回分割から 16 回分割への短期小分割化により 非再発率を低下させること無く 副作用発生率を低下させることが出来た 1. はじめに前立腺癌に対しては 小線源療法や陽子線 強度変調照射など最近の各種放射線療法が意欲的に取り組み 線量分布の改善とそれに伴う線量増加が結果の改善に結びつくことが示されている 放医研では 優れた線量集中性と高い抗腫瘍効果を有する重粒子線の特性を生かして 平成 7 年 6 月から前立腺癌の治療に取り組んでいる 最初に 3 つの臨床試験を実施して 技術的にも治療戦略的にも高い完成度をもった治療法を確立することができた その成果により平成 15 年 11 月に先進医療に移行し その後さらに それまで以上の副作用の減少と効率の向上を目指して短期小分割化を実践し 成果を上げている 2. 対象と治療方法臨床試験の開始から 2010 年 7 月までに 1202 例の前立腺癌症例に対して重粒子線治療をおこなった 初期の線量増加試験で 96 例 第 II 相臨床試験で 175 例 その後先進医療に移行してから 909 例を治療し 現在実施中の新たな臨床試験で 22 例を治療した 年間症例数は徐々に増加しているが 特に先進医療の承認を得た平成 15 年と 5 週 20 回から 4 週 16 回への治療の短期化を実施した平成 19 年に大幅な増加を達成した ( 図 1) 対象は転移が無く 病理学的に診断の確定している前立腺癌症例である 現在の治療法では 臨床病期と治療前 PSA 値 病理 Gleason score によって 症例を 3 群 ( 高リスク 中リスク 低リスク ) に分類して 高リスクでは長期 中リスクでは短期の内分泌療法を併用している ( 図 2) 実際の適応症例の内訳をみると 半数以上が高リスクと言われる再発のリスクが高い症例で占められている ( 図 1)

14 重粒子線治療は 最初は 5 週間 20 回分割の線量増加試験を実施し その適正線量が確立され先進医療に移行した後 4 週間 16 回分割での治療を開始して現在に至っている 1202 例のうち 20 回分割が 562 例 16 回分割が 618 例である 2008 年から一部の症例で 3 週間 12 回分割での臨床試験を開始しており これまでに 22 例の治療を行った 解析対象は第 II 相臨床試験以降に 20 回分割または 16 回分割で治療され 6 ヶ月以上観察可能な 903 例である

15 3. 結果 3-1) 副作用副作用に関しては 12 ヶ月以上観察可能な 818 例について集計を行った 表 1 に各種放射線治療と重粒子線治療の遅発性副作用発生頻度を比較した結果を示す 重粒子線治療では他の各種放射線療法に比べ より低率の副作用発生率を実現しており 特に直腸障害の発生率の少なさが顕著である 下部尿路系の副作用発生率については 63.0GyE/20 回分割の重粒子線治療と強度変調照射や陽子線でほぼ同程度であったが 57.6GyE/16 回分割では 発生率の低下が得られていた 直腸の副作用については 63.0GyE でも X 線や陽子線より低率で 57.6GyE ではさらなる低下が得られていた 3-2) 非再発率と生存率図 3 に 重粒子線治療後の粗生存率 原病生存率 ( 死因を前立腺癌に限定した生存率 ) 非再発率を示す 5 年粗生存率は約 95% 非再発率も 90% 以上で 症例の半数以上が高リスク群であることを考えると大変良好な結果と言える ちなみに 5 週間 20 回分割と 4 週間 16 回分割で非再発率や生存率には差を認めず 短期化による治療効果の低下は認められなかった 表 2 は米国で行われた X 線治療と内分泌療法併用の大規模な臨床試験の生存率と重粒子線治療における生存率をリスクグループ別に比較したものである どのグループにおいても重粒子線を用いた場合の生存率が高いという結果であった

16 4. 考察第 II 相試験以降の確立された治療法における重粒子線治療成績を紹介した 副作用については 下部尿路において 63.0GyE/20 回分割の重粒子線治療と強度変調照射や陽子線で同程度の発生率となっており これらの線量が下部尿路組織に対して同程度の影響をもたらすことを示していて興味深い 一方 57.6GyE/16 回分割では 発生率の低下が得られており 短期化による副作用低下を実際の成果として実現できた 直腸の副作用については 63.0GyE でも X 線や陽子線より低率で これは重粒子線の優れた線量集中性を証明する

17 ものと考えられる その上 57.6GyE ではさらなる低下が得られており 高い線量集中性に短期化を加えたことで副作用の著しい低減を実現できた 抗腫瘍効果に関しても 特に高リスク群において高い生存率が得られている点は 治療戦略が優れていることとともに 重粒子の優れた治療効果によるものと考えられる 20 回分割と 16 回分割では再発率 生存率に差を認めず 一方で副作用は 16 回分割の方が少ないという結果であった 従って 16 回に回数を減少させたことで 効率の向上だけでなく治療成績の向上も同時に達成することが出来たと言える 5. まとめ重粒子線治療は 前立腺癌に対する放射線療法としては 理想的な治療法であり 副作用の点でも 治療効果の点でも これまでの結果がその事実を力強く示している 治療期間の短期化もさらに良好な結果に結びついており 今後 さらなる短期化 効率化も期待できる 前立腺癌は 重粒子線の特徴を生かした治療が実践できる対象疾患であり 重粒子線治療の普及においても大きな役割を担うと予想される 引用文献 1. Tsuji H, et al.: Hypofractionated radiotherapy with carbon ion beams for prostate cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2005; 63(4): Ishikawa H, et al.: Carbon ion radiation therapy for prostate cancer: Results of a prospective phase II study, Radiotherapy and Oncology, 81(1), 57-64, Ishikawa H, et al.: Risk Factors of Late Rectal Bleeding after Carbon Ion Therapy for Prostate Cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2006; 66: Coote JH, et al.: Hypofractionated intensity-modulated radiotherapy for carcinoma of the prostate: analisys of toxicity. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2009; 74: Martin JM, et al.: Phase II trial of hypofractionated image-guided intensity-modulated radiotherapy for localized prostate adenocarcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007; 69: Kupelian PA, et al.: Hypofractionated intensity-modulated radiotherapy (70Gy at 2.5Gy per fraction) for localized prostate cancer: Cleveland Clinic Experience. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007; 68: King CR, et al.:stereotactic body radiotherapy for localized prostate cancer: Interim results of a prospective phase II clinical trial. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2009; 73: Michalski JM, et al.: Long-term toxicity following 3D conformal radiation therapy for prostate cancer from the RTOG 9406 phase I/II dose escalation study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2010; 76: Schulte RW, Slater JD, et al.: Value and perspectives of proton radiation therapy for limited stage prostate cancer. Strahlenther Onkol 2000; 176:

18 頭蓋底および頭頸部悪性腫瘍 長谷川安都佐 小藤昌志 高木亮 森川貴迪 鎌田正 辻井博彦放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 要約炭素イオン線は高い生物学的効果から 従来の放射線抵抗性癌に対して有効な治療法である また 病巣への優れた線量集中性を有することで 腫瘍浸潤がない状態であれば 周囲の重要臓器 ( 脳 脊髄 眼球 視神経等 ) を保護できる可能性が高い 頭頸部領域では 頭蓋底から第 2 頸椎までに発生する脊索腫や 顎顔面部に発生する腺様嚢胞癌 腺癌 粘膜悪性黒色腫などが主な対象となっており 炭素イオン線治療の安全性と有効性が確認されている 特に これまで重要臓器との関係から手術非適応とされていた放射線抵抗性癌では 他に有効な治療法がなく制御困難であったが 炭素イオン線治療によって根治治療が期待できると考えている 緒言頭蓋底や頭頸部領域の悪性腫瘍では 腫瘍の存在部位や進展範囲から手術による完全切除が困難となる場合が多い このような腫瘍に対して 一般的には放射線治療が選択されるが この領域では扁平上皮癌以外の多彩な組織型が発生するため これら非扁平上皮癌では従来の光子線 (X 線 γ 線 ) による放射線治療の感受性は低く また 腫瘍周囲の重要臓器 ( 脳 脳幹部 脊髄 眼球 視神経等 ) に対する線量の制約から 十分な治療線量の投与が困難となり 頭頸部領域の非扁平上皮癌では治療困難と判断される症例も多く その局所制御率は満足できるものではなかった 1-13) 放射線医学総合研究所では 1994 年 6 月から 照射の制限因子となる皮膚 粘膜反応が観察しやすい頭頸部悪性腫瘍に対して 重粒子線 ( 炭素イオン線 ) を用いたがん治療の臨床試験が開始された 炭素イオン線は高い生物学的効果と荷電粒子線の物理学的特徴として ブラッグ ピークを持っており 病巣への線量集中性に優れている 14) このような特徴から炭素イオンは 従来の放射線抵抗性癌に対して有効な治療法となると考えられ その後は種々の部位で安全性や有効性が明らかとなっている 15-17) 1. 頭蓋底 傍頚髄腫瘍患者および方法頭蓋底あるいは第 2 頸椎より上位の傍頸髄から発生した脊索腫 髄膜腫 軟骨肉腫等を対象に 1997 年 4 月から 2004 年 2 月まで第 I/II 相線量増加試験が行われた 治療は 16 回 /4 週間の分割方法で 総線量 48GyE から 10% ごとに 4 段階で線量増加が行われ この臨床試験の結果をもとに 2004 年 4 月からは先進医療として 60.8GyE/16 回 /4 週間の治療が行われている 1997 年 4 月から 2010 年 2 月までに 67 例の治療が行われ 病理組織学的内訳は 脊索腫 39 例 軟骨肉腫 12 例 嗅神経芽細胞腫 8 例 髄膜腫 7 例 巨細胞腫 1 例で

19 あった 正常組織反応は Radiation Therapy Oncology Group (RTOG) の早期放射線反応評価基準および RTOG / European Organisation for Research and Treatment of Cancer(EORTC) と Late effects normal tissues; Subjective, Objective, Management and Analytic (LENT SOMA) Tables の遅発性放射線反応評価基準を用いて評価した 結果正常組織反応では 早期皮膚または粘膜反応は融合性湿性落屑や麻薬による疼痛管理が必要な融合性偽膜性粘膜炎といった Grade3 の反応がそれぞれ 1 例と 3 例に見られたが 晩期反応では 全例が軽度萎縮や色素沈着 粘膜の乾燥などの Grade1 以下の反応に回復しており 著明な萎縮や毛細血管拡張といった Grade3 以上の重篤な副作用は発生していない また 脳や脊髄に対する早期反応は出現しておらず 晩期反応では 一時的にステロイドの投与が必要となった Grade2 の脳炎が評価対象 64 例中 3 例 (5%) に出現したが それ以外の症例で照射による重篤な脳 脊髄反応は出現していない 67 例全例の 5 年局所制御率および累積生存率はともに 86% で 特に症例数の多い脊索腫 39 例の 5 年局所制御率は 82% 5 年累積生存率は 89% であった さらに 脊索腫 39 例のうち 60.8GyE で治療された 29 例の 5 年局所制御率は 95% 5 年累積生存率は 90% であり その死因は 1 例が辺縁再発 1 例が肝不全による他因死であった 2. 頭頸部悪性腫瘍患者および方法頭頸部悪性腫瘍に対しては 1994 年 6 月から 1997 年 2 月までに異なる分割回数で 2 つの第 I/II 相臨床試験が行われ これらを比較した結果 18) をもとに 1997 年 4 月から 16 回 /4 週間の分割方法で 64.0GyE または照射野内に皮膚や粘膜が広範に含まれ 重篤な副作用が懸念される症例では 57.6GyE の総線量を用いて第 II 相臨床試験が開始された 1997 年 4 月から 2010 年 2 月まで 378 例に対して治療が行われ 総線量は 64.0GyE が 129 例 57.6GyE が 249 例であった 病理組織学的内訳は 腺様嚢胞癌 128 例 悪性黒色腫 102 例 腺癌 42 例 扁平上皮癌 22 例 その他粘表皮癌 14 例 骨肉腫などの骨軟部肉腫 14 例 乳頭状腺癌 13 例 未分化癌 7 例 腺房細胞癌 6 例など多彩な組織型であった 初回治療例は 255 例で これらを T 分類別でみると T1 が 5 例 T2 が 31 例 T3 が 58 例 T4 が 161 例であり 残り 123 例が治療後の残存または再発例であった 結果正常組織の早期反応ではいずれの線量にかかわらず 皮膚または粘膜反応は融合性湿性落屑や麻薬による疼痛管理が必要な融合性偽膜性粘膜炎といった Grade3 の反応がそれぞれ 4% と 16% に見られたが 晩期反応では 大半の皮膚および粘膜反応は 軽度萎縮や色素沈着 粘膜の乾燥などの Grade1 以下の反応に回復しており 著明な萎縮や毛細血管拡張といった Grade3 以上の重篤な副作用は発生していない 腫瘍に関連する障害としては 視神経炎 脳炎 副鼻腔炎 中耳炎や 外科的治療を必要とする顎骨壊死などが出現したが いずれも治療前に腫瘍浸潤のため障害の可能性が説明されていた症例のみで その他の症例

20 で予期せぬ重篤な副作用は出現していない 治療効果を登録の多い組織型別にみると 5 年局所制御率は腺癌 79 腺様嚢胞癌 81 症例呈示 図1 粘膜悪性黒色腫 78 症例呈示 図 2 扁平上皮癌 73 であった しかし 骨肉腫を主体とした頭頸部領域の骨軟部肉腫 14 例 では 5 年局所制御率 24 と 大半が 64GyE の治療線量を用いたにもかかわらず局所制御がほとんど得られなかったため 2001 年 4 月からは体幹部の骨軟部腫瘍で用いられている 70.4GyE/16 回/4 週間の治療線量 で新たな治療プロトコールが開始された 2010 年 2 月までに 35 例が登録され 全ての症例 において予期せぬ副作用は出現しておらず また 5 年局所制御率 83 と高い治療効果が確 認されている 一方 5 年累積生存率では 腺癌 66 腺様嚢胞癌 72 粘膜悪性黒色腫 36 と 特に 粘膜悪性黒色腫では治療前の検査で転移なしと診断され 局所が制御されているにもかか わらず 後発する所属リンパ節転移や遠隔転移により 局所制御に見合う生存率が得られ なかった この結果をもとに 2001 年 4 月から粘膜悪性黒色腫に対し 後発転移を予防す る目的で抗がん剤治療 DAV 療法: DTIC, ACNU, VCR 併用の炭素イオン線治療が行われて おり 5 年累積生存率は 64 と生存率の改善を認めている 考察 脊索腫などの頭蓋底腫瘍では経過が非常に長く 現時点で治療成績について結論づける ことは難しいが 現在までの治療結果から炭素イオン線治療は 有害事象を最低限に抑え るとともに 光子線や陽子線など他の放射線治療と比べて 良好な局所制御が得られてい る 1-6 また 粘膜悪性黒色腫や腺癌 腺様嚢胞癌など腺癌系腫瘍においても 手術以外の 放射線治療や抗がん剤治療はほとんど無効なことが多く 7-13 手術適応のない進行症例に対 する局所療法の第一選択となるかもしれない さらに現在では 荷電粒子線特有の良好な線量分布に加え 照射方向や照射門数を増や すなど 治療技術の工夫により 正常組織への重篤な有害事象の発生をさらに抑え より 安全で効果の高い治療を目指している なかでも視神経や眼球に関しては 炭素イオン線 の耐容線量の解析が行われており 19,20 これらの結果を実際の治療計画に応用することで より不要な障害を起こさない努力もなされている 結語 頭頸部領域の悪性腫瘍に対して 炭素イオン線治療の安全性と有効性が確認されている

21 しかし 転移のない症例を対象に治療したにも関わらず 後発する所属リンパ節転移や遠隔転移により 局所制御に見合った生存率は得られていない 今後はさらなる局所制御率の向上と生存率の改善について検討する必要があると考えている 文献 1) Romero J, et al: Chordoma: Results of radiation therapy in eighteen patients. Radiother Oncol 29: 27-32, ) Forsyth PA, et al: Intracranial chordomas: A clinicopathological and prognostic study of 51 cases. J Neurosurg 78: , ) Catton C, et al: Chordoma: Long-term follow-up after radical photon irradiation. Radiother Oncol 41: 67-72, ) Munzenrider JE, et al: Proton therapy for tumors of the skull base. Strahlenther Onkol 175: 57-63, ) Hug EB, et al: Proton radiation therapy for chordomas and chondrosarcomas of the skull basa. J Neurosurg 91: , ) Noel G, et al: Radiation therapy for chordoma and chondrosarcoma of the skull base and the cervical spine. Prognostic factors and patterns of failure. Strahlenther Onkol 179: , ) Lengyel E, et al: Malignant mucosal melanoma of the head and neck. Pathol Oncol Res 9: 7-12, ) Mendenhall WM, et al: Radiotherapy alone or combined with surgery for adenoid cystic carcinoma of the head and neck. Head Neck 26: , ) Mendenhall WM, et al: Head and neck mucosal melanoma. Am J Clin Oncol 28: , ) Bridger AG, et al: Experience with mucosal melanoma of the nose and paranasal sinuses. ANZ J Surg 75: , ) Mendenhall WM, et al: Radiotherapy alone or combined with surgery for salivary gland carcinoma. Cancer 103: , ) Krengli M, et al: Radiotherapy in the treatment of mucosal melanoma of the upper aerodigestive tract; analysis of 74 cases. A Rare Cancer Network study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 65: , ) Cheng YF, et al: Toward a better understanding of sinonasal mucosal melanoma; Clinical review of 23 cases. J Chin Med Assoc 70: 24-29, ) Kanai T, et al: Biophysical characteristics of HIMAC clinical irradiation system for heav-ion radiation therapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys 44: , ) Tsujii H, et al: Preliminary results of phase I/II carbon-ion therapy at the National Institute of Radiological Sciences. J Brachytherapy Int 13: 1-8, ) Tsujii H, et al: Overview of clinical experiences on carbon ion radiotherapy at NIRS. Radiother Oncol 73: 41-49, ) Tsujii H, et al: Clinical results of carbon ion radiotherapy at NIRS. J Radiat Res 48A: A1-13,

22 18) Mizoe J, et al: Dose escalation study of carbon ion radiotherapy for locally advanced head-and-neck cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 60: , ) Hasegawa A, et al: Outcomes of visual acuity in carbon ion radiotherapy: analysis of dose-volume histograms and prognostic factors. Int J Radiat Oncol Biol Phys 64: , ) Hirasawa N, et al: Risk factors for neovascular glaucoma after carbon ion radiotherapy of choroidal melanoma using dose-volume histogram analysis. Int J Radiat Oncol Biol Phys 67: ,

23 肝細胞癌に対する炭素イオン線治療 安田茂雄今田浩史山田滋篠籐誠大西和彦鎌田正辻井博彦 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 要旨慢性肝疾患を背景に有する肝細胞癌の治療には腫瘍の制御とともに可能な限り肝機能を温存することが求められる 一般の放射線治療に用いられているX 線に比べて線量集中性に優れる陽子線や炭素イオン線などの荷電粒子線を用いた治療は 肝臓の一部に限った照射が可能で 肝機能低下のリスクを低く抑えて治療を行うことができる 放射線医学総合研究所では 1995 年 6 月に開始した肝細胞癌に対する炭素イオン線治療の 4 つの臨床試験において 至適線量を求めるとともに治療回数を減らして治療期間の短縮も試みられ 5 週間 15 回の治療から 2 日 2 回の治療まで短縮できた 重粒子線治療による局所制御率は 腫瘍の大きさ 部位 および治療分割回数に関わらず 90% 前後と良好であった また ほとんどの症例において肝機能の変化は軽微であった 腫瘍の大きさに関わらず 安全で高い治療効果を発揮できる重粒子線治療は 肝癌の治療の選択肢の一つとして 病態に応じて他治療と連携して集学的治療の中で有効に利用できる治療であると考えられる はじめに肝細胞癌のほとんどは C 型あるいはB 型ウィルスの持続感染による慢性肝疾患 とりわけ肝硬変に発生するため 癌の診断時には既に肝機能の低下を伴っていることが少なくない また 硬変肝には同時性 異時性の多発癌がみられるため 再治療が必要になることが多い よって 肝細胞癌の治療には腫瘍の制御とともに可能な限り肝機能を温存することが求められる 肝細胞癌の治療には 外科的切除 経皮的局所治療 および肝動脈化学塞栓療法が主に用いられる (1) 切除手術は 腫瘍を取り除ける最も確実な方法であるが 負担が大きく 切除可能なのは病変が限局していて肝機能が比較的良好な場合であり 適応にならない症例も多い ラジオ波焼灼療法やエタノール注入療法などの経皮的局所治療は 腫瘍が小さい場合には良好な治療効果が得られるが 大きくなると効果が落ちる 腫瘍のサイズとともに数にも制限があり (2,3) 手技的に実施困難な部位もある 肝動脈化学塞栓療法は 比較的大きな腫瘍や病変数が多い場合にも行えるが (4) 腫瘍の被膜外浸潤や門脈腫瘍栓を伴う病変などでは治療効果が不十分で (5) 一度の治療では十分な治療効果が得られず 繰り返して行われることがしばしばである 一方 放射線治療は 全肝照射による重篤な肝障害が報告されて以来 (6) 照射線量が低く抑えられた結果 十分な抗腫瘍効果が得られず 肝癌にはこれまでほとんど用いられてこなかった しかし 照射技術の進歩により 肝臓の一部に限った正確な照射が可能となり 最近 高エネルギー X 線を用いた治療で 肝細胞癌の縮小とともに生存期間の延長を期待できる報告がみられてい

24 る (7-9) 一方 X 線に比べて線量集中性に優れる陽子線や炭素イオン線などの荷電粒子線を用いた治療でも 肝細胞癌に対する優れた局所効果や良好な長期成績が示されている (10-17) 炭素イオン線などの重イオン線は 優れた線量集中性に加えて 陽子線や X 線よりも高い生物学的効果を有するため (18-20) 肝細胞癌に対しても根治性と低侵襲性とを兼ね備えた新しい治療法として期待される 以下 肝細胞癌に対して当施設で行われた炭素イオン線治療の臨床試験について述べる 臨床試験の概要肝細胞癌に対する炭素イオン線治療の臨床試験は 1995 年 6 月に開始した (11) 当初は 5 週間で 15 回の治療の第 I/II 相臨床試験で 至適線量を求めるために安全性と有効性を確認しながら線量を 10% ずつ増加させる線量増加試験が行われた 次の第 I/II 相臨床試験では 線量増加を行うとともに治療回数を減らして治療期間の短縮も試みられ 3 週間 12 回の治療から 1 週間 4 回の治療まで短縮できた この結果を受けて 次に 1 回線量を 13.2GyE 総線量を 52.8GyE に固定した 4 回照射の第 II 相試験が行われ 安全性と高い治療効果が確認できた (12) 全てのプロトコールにおいて 多くは他の治療後の無効例もしくは再発例か 既存の治療法では十分な治療効果が期待できないと判断された症例だった その後 さらに短期の 2 回 /2 日間照射法の第 I/II 相試験を行った後 (13) 現在は先進医療として短期照射を用いた治療を提供している 臨床試験の結果以下に 治療後全症例の経過を 5 年以上観察できている 4 回照射法までの臨床試験の結果を示す 1. 抗腫瘍効果重粒子線治療後 多くの症例では数か月から 1 年の経過で徐々に腫瘍が縮小していく 最終的に腫瘍が完全に消失する症例は一部で 多くはそれ以下の縮小効果で制御が得られる 従って 肝細胞癌の重粒子線治療における抗腫瘍効果は縮小効果よりも局所制御でみる方が適している 重粒子線治療開始からの局所制御率を プロトコール 分割回数別に表 1 に示す 局所制御率は 1 年が 89-98% 3 年および 5 年が 81-95% で 分割回数間で有意差は無かったが 短期照射ほど局所制御率が高い傾向がみられ 治療効果を落とさずに治療期間を短縮することができた また 腫瘍のサイズや部位による局所制御率の差はみられなかった ( 図 1)(17)

25 表 1 肝細胞癌に対する重粒子線治療の臨床試験 試験内容第 I/II 相第 I/II 相第 II 相 実施時期 分割回数 / 治療期間 15 回 /5 週 12 回 /3 週 8 回 /2 週 4 回 /1 週 4 回 /1 週 総線量 (GyE) 腫瘍数 ( 前治療後再発 ) (18) (18) (16) (18) (20) 腫瘍径 (cm) ( 中央値 ) (5.0) (3.7) (3.1) (4.6) (3.7) 1 年局所制御率 (%) 年局所制御率 (%) 年局所制御率 (%) 図 1: 腫瘍径別局所制御率腫瘍の大きさによる局所制御率の差は認めなかった 2. 有害事象治療に関連した死亡 および治療が直接引き起こした肝不全は一例も見られなかった 重粒子

26 線治療の肝機能への影響を評価するために 肝障害度の国際標準である Child-Pugh スコアを用いて 治療開始後のスコアの変化の程度を検討した Child-Pugh スコアでは肝障害度を 5 点から 15 点の間で評価できる 肝機能の悪化に伴い点数の上昇がみられるが 重粒子線治療に伴う点数の上昇は 早期 ( 治療開始後 3 か月以内 ) 晩期( 治療開始後 3 か月以降 ) とも多くの症例において 1 点以下に留まり ( 図 2) 肝機能の変化は軽微であることが明らかになった 特に臨床的に意義の高い晩期において 2 点以上上昇した症例の割合は 分割回数が少なくなるほど小さくなる傾向がみられ 有害事象の面からも 安全に治療期間の短縮が行えた その他 皮膚 消化管などの肝臓の周辺臓器においても重篤な有害事象は見られなかった 図 2: 治療開始前後の Child-Pugh score の変化肝障害度の指標として国際標準である Child-Pugh score の治療開始前後の変化を検討した Child-Pugh score により肝障害度を 5 点から 15 点の間で評価できる 肝障害度の増悪に伴い点数の上昇が見られるが 治療による点数の上昇は 早期 ( 治療開始後 3 ヶ月以内 ) 晩期( 治療開始後 3 ヶ月以降 ) とも 多くの症例において 1 点以下に留まった 特に8 回 4 回の短期照射においてその傾向が強かった 3. 生存率臨床試験の中で 最も多くの症例に用いられた治療は 52.8GyE/4 回の少分割照射であった この治療を受けた症例のうち 照射野内に病変が限局していた症例の累積生存率は 1 年 94% 3 年 64% 5 年 37% であった さらに この中で 最大腫瘍径が 3cm から 5cm の単発腫瘍で 肝機能良好 (Child-Pugh grade A) な症例では 1 年累積生存率 88% 3 年 75% 5 年 63% と良好で 肝切除の治療成績 (1) と同等の成績であった ( 図 3) また 全臨床試験において 径が 7cm 以上の大きな腫瘍でも肝機能良好な症例では 1 年累積生存率 95% 3 年 64% 5 年 27% とやはり肝切除の治療成績と同等の成績であった

27 図 3: 手術可能症例の累積生存率 (52.8GyE/4 回による治療 ) 手術可能と思われた症例 単発で腫瘍径 3~5cm 肝機能良好例(Child-Pugh grade A) では 1 年累積生存率 88% 3 年 75% 5 年 63% と 大変良好な生存率が得られた この成績は 肝切除の治療成績 例えば 単発 最大腫瘍径 2~5cm 肝障害度 A の累積生存率 1 年 95% 3 年 81% 5 年 67%(1) に匹敵する (* 肝切除の成績は日本肝癌研究会の第 18 回全国原発性肝癌追跡調査報告による ) 重粒子線治療が適している症例とは広範囲に浸潤している例 多発例は重粒子線単独での根治は困難である 肝機能による制約は少なく 中等度以上の肝機能を有し (Child-Pugh grade A もしくは B) 病変が限局している症例が重粒子線治療の良い適応例と考えられる ( 図 4) 3cm 以下の病変は 手術あるいは経皮的局所治療で高い局所制御率が得られるので 何らかの理由でこれらが受けられない例が重粒子線治療の適応と考えられる 3cm を超える病変は 経皮的局所治療のみでコントロールする事は困難であり 手術とともに重粒子線治療の良い適応である ただし 病変が消化管に接している場合は 放射線障害の観点から見て 原則として治療は禁忌である また コントロール困難な腹水を有する症例は正確な照射を行うことが困難で 重粒子線治療には適さない

28 図 4: 重粒子線治療前後の C T A 治療前 B 治療後 1 年 71 歳の男性 肝右葉の肝動脈化学塞栓療法およびラジオ波焼灼療法後の径 11cm の再発腫瘍 52.8GyE/4 回の照射後 腫瘍は著明に縮小し 6 年間無再発 おわりに腫瘍の大きさに関わらず 安全で高い効果を発揮できる重粒子線治療は 肝癌治療法の選択肢の一つとして 病態に応じて他治療と連携した集学的治療の中で有効に利用できると考えられる 文献 1. 日本肝癌研究会 : 第 18 回全国原発性肝癌追跡調査報告 (2004~2005), Ohto M, Ebara M, Yoshikawa M, et al. Radiation therapy and percutaneous ethanol injection for the treatment of hepatocellular carcinoma. In: Okuda K, Ishak KG, editors. Neoplasm of the Liver. Tokyo: Springer-Verlag. 1987; Curley SA, Izzo F, Ellis LM, et al. Radiofrequency ablation of hepatocellular cancer in 110 patients with cirrhosis. Ann Surg. 2000;232: Llovet JM and Bruix J. Systematic review of randomized trials for unresectable hepatocellular carcinoma: Chemoembolization improves survival. Hepatology 2003; 37: Higuchi T, Kikuchi M, Okazaki M. Hepatocellular carcinoma after transcatheter hepatic arterial embolization. Cancer 1994;73: I Ingold DK, Reed GB, Kaplan HS, et al. Radiation hepatitis. Am J Roentgenol 1965;93: Yasuda S, Ito H, Yoshikawa M, et al. Radiotherapy for large hepatocellular carcinoma combined with transcatheter arterial embolization and percutaneous ethanol injection therapy. Int J Oncol 1999;15:

29 8. Cheng JC, Chuang VP, Cheng SH, et al. Local radiotherapy with or without transcatheter arterial chemoembolization for patients with unresectable hepatocellular carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2000;47: Guo WJ, Yu EX. Evaluation of combined therapy with chemoembolization and irradiation for large hepatocellular carcinoma. Br J Radiol 2000;73: Kato H, Tsujii H, Ohto M. Clinical Study of Carbon Ion Radiotherapy for Hepatocellular Carcinoma. In: Hepatocellular Carcinoma: Screening, Diagnosis, and Management. Natcher Conference center NIH, Bethesda, 2004; Kato H, Tsujii H, Ohto M. Clinical Study of Carbon Ion Radiotherapy for Hepatocellular Carcinoma. In: Hepatocellular Carcinoma: Screening, Diagnosis, and Management. Natcher Conference center NIH, Bethesda, 2004, pp Kato H, Yamada S, Yasuda S, et al. Phase II study of short-course carbon ion radiotherapy (52.8GyE/4- fraction/1-week) for hepatocellular carcinoma. Hepatology 2005; 42(Suppl.1):381A. 13. Kato H, Yamada S, Yasuda S, et al. Two-fraction carbon ion radiotherapy for hepatocellular carcinoma: Preliminary results of a phase I/II clinical trial. J Clin Oncol 2005; 23(Suppl.):338s. 14. Kawashima M, Furuse J, Nishio T, et al. Phase II Study of Radiotherapy Employing Proton Beam for Hepatocellular Carcinoma. J Clin Oncol 2005;23: Fukumitsu N, Sugahara S, Nakayama H, et al. A prospective study of hypofractionated proton beam therapy for patients with Hepatocellular carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2009; 74: Sugahara S, Oshiro Y, Nakayama H, et al. Proton beam therapy for large hepatocellular carcinoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2010; 76: Imada H, Kato H, Yasuda S, et al. Comparison of efficacy and toxicity of short-course carbon ion radiotherapy for hepatocellular carcinoma depending on their proximity of the porta hepatis. Radiother Oncol 2010; 96: Blakely EA, Ngo FQH, Curtis SB, et al. Heavy ion radiobiology: Cellular studies. Adv Radiat Biol 1984; 11: Hall EJ. Radiobiology for the Radiologist. Fourth Edition. Philadelphia: Lippincott Company; Castro JR. Future research strategy for heavy ion radiotherapy. In: Kogelnih HD. editor. Progress in Radio- Oncology. Bologna: Monduzzi Editore; 1995;

30 局所進行子宮頸癌に対する重粒子線治療 第一治療室長加藤真吾放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 1. はじめに子宮頸癌の根治的な治療法には手術と放射線治療があり これらに化学療法が併用されることがある 治療法の選択は 腫瘍の臨床病期 組織型 および年齢や合併症の有無などを考慮して総合的に決定される 病期別に述べると I II 期の小さい腫瘍では標準治療は手術ないし一般の放射線治療であり これらの治療によって良好な治療成績が得られている これに対して II 期でも大きな腫瘍や III 期 IVA 期などの局所進行癌では一般的に言って手術は難しく 放射線治療と化学療法の同時併用療法 ( 化学放射線治療 ) が標準治療となっている 子宮頸癌に対する一般の放射線治療では 高エネルギー X 線による骨盤部への外部照射と 子宮腔内および腟腔内に小線源を挿入する腔内照射を組み合わせる この治療方法は非常によくできたものであり 子宮頸部の病巣から腫瘍浸潤 転移の可能性のある子宮傍結合織および骨盤リンパ節を外部照射で十分にカバーするとともに 子宮頸部の病巣には腔内照射によって高い線量を照射することができる ただし一般の放射線治療では腫瘍が大きく周囲への浸潤が高度となるにつれて腫瘍全体を高線量でカバーすることは困難となり 化学放射線治療をもってしても局所再発の頻度は増加する したがって巨大な腫瘍 ( 腫瘍径 5-6 cm 以上 ) に対しては 更なる治療法の工夫が必要である また子宮頸癌では組織型が重要な予後因子であり 進行した腺癌では 扁平上皮癌に比して治療成績は明らかに不良である この原因の一つには 腺癌が扁平上皮癌に比して放射線抵抗性で 局所制御が不良であることが挙げられる したがって進行子宮頸部腺癌に対しては新たな治療戦略が必要と考えられる このような一般の放射線治療では制御が困難な進行子宮頸癌の治療成績の向上を目指して 放医研では 1995 年から重粒子線治療の臨床試験を行っている 2. 進行子宮頸癌の重粒子線治療方法子宮頸癌に対する重粒子線治療の適応は 手術困難な臨床病期 IIB~IVA 期の局所進行癌で 腫瘍径は原則として 4 cm 以上 CT にて腹部傍大動脈リンパ節転移が見られないもの 腫瘍の直腸浸潤のないものとし 年齢は 20 歳以上 80 歳以下 重篤な合併症のないもの 手術 放射線治療 化学療法の前治療歴がないものとしている 進行子宮頸癌の場合 腫瘍は子宮頸部から周囲の子宮体部 腟 子宮傍結合織に浸潤するとともに 骨盤リンパ節に高率に転移する このためまず子宮頸部の腫瘍とともに周囲組織

31 および骨盤リンパ節 ( 内 外 総腸骨節 閉鎖節 前仙骨節 ) を十分に治療範囲に含めて照射を行う ( いわゆる全骨盤照射 ) その後治療範囲を縮小し 子宮頸部の病巣を中心に腫瘍の浸潤を考慮した範囲に照射する ( 拡大局所照射 ) 最後に子宮頸部の病巣に治療範囲を絞って照射を行う ( 局所照射 ) 治療は 1 日に 1 回 週 4 回とし 約 3 週間の全骨盤照射の後 約 1 週ずつ拡大局所照射および局所照射を行う 子宮頸部の病巣への総治療回数は 20 回 約 5 週間の治療となる 子宮頸癌の場合 治療期間中に腫瘍の縮小が見られるため 拡大局所照射および局所照射の治療計画の際には 必ず内診所見と MRI を中心とした画像診断にて腫瘍の状態を把握し 腫瘍の縮小程度に合わせて治療範囲を決定する (adaptive radiotherapy という ) 3. 進行子宮頸癌の重粒子線治療成績これまでに 4 つの線量増加試験を行い 重粒子線治療の安全性と有効性を検討してきた その結果 安全性に関しては 1)36-39 GyE/12-13 回の全骨盤照射は 重篤な急性の有害事象を発生させることなく安全に施行しうること 2) 初期の 2 回の臨床試験において観察された腸管の重篤な遅発性有害反応の解析から 腸管に当たる総線量は 60 GyE 未満に抑える必要があることが明らかとなった これらに基づき照射方法に改良を加えた結果 現在では腸管の重篤な遅発性有害反応の発生はほぼなくなっている 一方 有効性に関しては 1) 画像診断にて明らかなリンパ節腫大がない場合には GyE/12-13 回の照射でリンパ節の再発は出現せず 骨盤内のミクロの病巣はこの程度の線量で十分制御しうること 2) 局所制御率は線量の増加とともに向上し 子宮の腫瘍の局所制御には扁平上皮癌で 72 GyE 程度 腺癌で GyE 程度の線量が必要であることが示唆された 図 1 に臨床病期 IIIB-IVA 期の子宮頸部扁平上皮癌の重粒子線治療成績を示す これらの症例は全て子宮頸部の病巣に GyE という高線量が照射されている 平均腫瘍径 6.7 cm という巨大な腫瘍を対象としているが 5 年局所制御率は 83% と良好であった 5 年全生存率は 52% で 死因の多くは遠隔転移であった 子宮頸癌に対する化学放射線治療では III-IVA 期の 5 年局所制御率は約 70% 5 年全生存率は 56-59% と報告されている 重粒子線治療症例の多くは年齢や合併症のため化学療法が困難であり かつ局所の病巣が極めて進行していたことを勘案すると その治療成績は化学放射線治療のそれと比較しても遜色ないものと考えられる 重粒子線治療後の再発としては腹部傍大動脈リンパ節転移が多かったため 現在は腹部傍大動脈リンパ節に対する重粒子線による予防照射の臨床試験を行っている 図 2 に臨床病期 IIIB-IVA 期の子宮頸部腺癌の重粒子線治療成績を示す これらの症例は全て子宮頸部の病巣には GyE という高線量が照射されている 観察期間が短い症例も含まれているが 2 年および 5 年局所制御率はそれぞれ 88% および 68% 2 年および 5 年全生存率はそれぞれ 61% および 55% であった 子宮頸部腺癌は稀な疾患のため治療成績の報告は少ないが 進行癌では局所再発と遠隔転移はともに多く III 期症例の 5 年局所制御率および全生存率はそれぞれ 46-58% 0-29% と極めて不良であることが報告されている したがってこれと比較すると重粒子線治療の成績は現在のところ明らかに良好と考えられる ただし重

32 粒子線治療をもってしても 子宮頸部腺癌の局所制御は扁平上皮癌のそれに比して不良であり かつ遠隔転移の頻度も高かった このため現在では進行子宮頸部腺癌に対して 重粒子線治療と化学療法の同時併用療法に関する臨床試験を開始している 4. まとめ局所進行子宮頸癌の治療成績の向上を目指して 重粒子線治療の臨床試験を施行してきた その治療成績は良好であり 本治療法は一般の治療 ( 手術や化学放射線治療 ) では制御することが困難と考えられる局所進行癌に対する有効な治療手段となりうると考えられる

33 膵癌に対する重粒子線治療 篠藤 誠 山田 滋 安田茂雄 今田 浩 鎌田 正 辻井博彦 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 背景 本邦における膵癌死亡数は年間 2 万人を超え その数は年々増加傾向にある 1 膵癌はがん 死亡原因の第 5 位に位置し 悪性腫瘍のなかでも最も難治癌の一つと言える 現在 唯一長 期生存が期待できる治療法は手術のみであると考えられている しかし 膵癌は早期発見が 難しいだけでなく 早期より高率に遠隔転移を来すことなどの理由から切除可能な症例は 程度である 2, 3 また切除可能であったとしても その多くが再発し 5 年生存率は 20 に満たない 4, 5 一方 切除不能膵癌に対しては化学療法あるいは化学放射線療法が選択され るが 膵癌は生物学的に化学療法や放射線に対し抵抗性で 局所制御できる割合は極めて低 い 近年 新規抗癌剤の開発とともに 放射線照射技術も高精度放射線治療の導入により大 きな進歩を遂げてきたが 局所進行膵癌の生存期間中央値は 10 ヶ月程度と その治療成績は 決して満足できるものではない 6, 7 われわれは 2000 年より切除可能膵癌に対して 4 週 16 回での術前重粒子線治療を開始した 図1 これは 再発形式の約半数をしめる術後局所再 発のリスクを低減することを目的としたものである これにより 術前重粒子治療の安全性 と有効性を確立し 2003 年より 2 週 8 回への短期化を目指した臨床試験を施行中である Protocol 0203 また 切除不能膵癌に対しては 2004 年より重粒子線単独治療を開始し 安全性と高い局所効果を示した これを受け 2007 年より更なる治療成績向上を目指し ゲ ムシタビン 抗癌剤 併用重粒子線治療の臨床試験を施行中である Protocol 0513 図1 膵癌に対する重粒子線治療の経緯

34 I. 術前重粒子線治療 ( プロトコール 0203) < 目的 > この試験の目的は 術後局所再発のリスクを低減すべく 術前照射としての重粒子線治療の安全性と有効性を評価し 至適線量を決定することである < 手段と方法 > 根治的切除可能と判断される膵癌を対象とし 主要な動脈である腹腔動脈あるいは上腸間膜動脈への浸潤を認める症例は対象外とした 2 週 8 回での重粒子線治療を行い 照射後 2-4 週で切除を施行した 照射線量は 30GyE/8 回分割から開始し 照射回数を固定し 線量を 5% ずつ増加させた < 結果 > 2003 年 4 月から 2010 年 2 月まで 23 人の患者が登録され 30GyE から 36.8yE まで線量増加がおこなわれた 全例予定通りの重粒子線治療を完遂した UICC による臨床病期は stage IIA 15 例 stage IIB 8 例であった 23 例中 19 例に腫瘍切除が行われたが ( 切除率 83%) 4 例は肝転移の出現あるいは手術拒否により根治的切除は施行されなかった grade 3 以上の有害事象は 肝転移に対する治療中に肝膿瘍が 1 例に出現したのみである 他 重篤な副作用は見られていない 切除可能であった 19 例のうち 局所再発を来した症例は 1 例も見られておらず 3 年生存率 40% と良好な成績であった II. ゲムシタビン併用重粒子線治療 ( プロトコール 0513) < 目的 > この試験の目的は 切除不能な局所進行膵癌に対して膵癌治療の標準的な抗癌剤であるゲムシタビンを併用し重粒子線治療の安全性および有効性を検討し ゲムシタビンおよび重粒子線の至適用量を確立することである < 手段と方法 > 対象は主要な動脈である腹腔動脈あるいは上腸間膜動脈へ浸潤する局所進行膵癌であり 遠隔転移のある症例は対象外とした 組織学的な診断の結果 癌であると証明されていることを条件とした 照射回数を 3 週 /12 回で固定し ゲムシタビン用量および重粒子線量を徐々に増加した まず 線量を 43.2GyE/8 回で固定し ゲムシタビン用量を mg/m 2 と増加した その後 ゲムシタビン投与量を単独投与での標準用量である 1000mg/m 2 で固定し 重粒子線量を5% ずつ増加させた ( 図 2) ゲムシタビンは本邦での標準用法である週 1 回投与を 3 週連続して行われた ( 図 3) 照射野は原発巣 その周囲の領域リンパ節および動脈周囲神経叢を含む範囲で設定した

35 図 2 線量増加試験 ( プロトコール 0513) 図 3 治療スケジュール ( プロトコール 0513) < 結果 >2007 年 4 月から 2010 年 2 月まで 38 人の患者が登録されたた UICC による臨床病期は stage III 34 例 stage IV 4 例であった 早期有害事象として 投与量制限毒性 (DLT) は 38 例中 3 例と非常に少ない出現率であった 他 晩期有害事象を含め重篤な副作用は見られていない ゲムシタビン full dose(1000mg/m 2 ) での併用においても線量増加に伴う有害事象の頻度増加はみられなかった 重粒子線治療による局所制御は線量増加に伴って向上し 45GyE 以上照射された高線量群では これまで局所再発は 14 例中 1 例のみであり 1 年局所制御率 86% と良好な成績であった 生存期間中央値 18 ヶ月 全生存率は1 年 66% 2 年 34% であった < 結論 > 術前重粒子線治療は重篤な副作用なく安全に施行可能であり 術後局所再発のリスクを低減する手段として有用であると思われた 今後さらに症例数を蓄積し 治療効果についてさらなる検討が必要と思われる また ゲムシタビン併用においてもゲムシタビンを減量することなく full dose での併用療法が可能である 今後 さらなる線量増加あるいは 維持化学療法を行うことにより 長期生存 根治が期待できるものと考える

36 参考文献 1. Matsuda T, Marugame T, Kamo KI, Katanoda K, Ajiki W, Sobue T. Cancer Incidence and Incidence Rates in Japan in 2005: Based on Data from 12 Population-based Cancer Registries in the Monitoring of Cancer Incidence in Japan (MCIJ) Project. Jpn J Clin Oncol Jemal A, Siegel R, Ward E, et al. Cancer statistics, CA Cancer J Clin 2008;58: Sa Cunha A, Rault A, Laurent C, et al. Surgical resection after radiochemotherapy in patients with unresectable adenocarcinoma of the pancreas. J Am Coll Surg 2005;201: Oettle H, Post S, Neuhaus P, et al. Adjuvant chemotherapy with gemcitabine vs observation in patients undergoing curative-intent resection of pancreatic cancer: a randomized controlled trial. JAMA 2007;297: Geer RJ, Brennan MF. Prognostic indicators for survival after resection of pancreatic adenocarcinoma. Am J Surg 1993;165:68-72; discussion Willett CG, Czito BG, Bendell JC, Ryan DP. Locally advanced pancreatic cancer. J Clin Oncol 2005;23: Koong AC, Christofferson E, Le Q-T, et al. Phase II study to assess the efficacy of conventionally fractionated radiotherapy followed by a stereotactic radiosurgery boost in patients with locally advanced pancreatic cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2005;63:

37 放射線医学総合研究所における重粒子 ( 炭素イオン ) 線がん治療の新たな展開 (What s next in carbon ion radiotherapy at NIRS) 鎌田正 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター t_kamada@nirs.go.jp 要約 1994 年に開始された放射線医学総合研究所における重粒子 ( 炭素イオン ) 線によるがん治療は 既に約 5500 名に治療を実施してきた その経験から重粒子線治療によって初めて高い確率で局所制御が得られ 治癒に結びつくがんが存在していることが明らかとなった また 重粒子線により短期間で安全に治癒が得られているがんも少なくない これらのがんでは重粒子線により痛みもなにも感じることなく 数日から3 4 週間以内に元の通り治ることが現実のものとなっている 今 重粒子線治療は安全 確実ながん治療法としての地位を確立したと言えよう 更に効率よく治療を行うとともに より体に優しく より効果的な重粒子線治療を行うための新たな重粒子線照射装置の研究開発を実施中である また このような研究開発は重粒子線治療のコストダウンにも直接的に寄与するものと期待される これまでの重粒子線治療線量集中性 ( 空間的線量分布 ) に加えて腫瘍に対する効果 ( 殺細胞効果 ) についても従来の放射線に比べて格段に勝る最先端の放射線治療として日本が世界を先導する重粒子線治療がある 重粒子線の線量の集中性とそこで発揮される強い生物効果により 従来の治療に比べて より短期間に安全 確実ながん治療が実現している 一方 大きな質量を持つ重粒子 ( 炭素の原子核 ) を人体内の奥深くまで到達させるには非常に高いエネルギー ( 光速の約 80%) まで加速することが必要で 直径 42 メートルのシンクロトロンリングを持つ重粒子線がん治療装置 HIMAC(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba) の建設費は 実験設備も含めて約 330 億円であった 重粒子線治療の普及のためには 装置の低コスト化 小型化が最重要の課題であったが 放医研では治療装置としては HIMAC と同等の性能を持ちながら 1/3 程度のコストとサイズの小型重粒子線治療装置の開発に成功し その実証器が 2010 年 3 月に群馬大学で稼働したところである 現在 全世界で稼働中の重粒子線治療施設は 5 カ所で うち 3 施設は 日本に存在し 一国あたりの施設数としては 日本は世界最多となっている さらに国内では小型重粒子線治療装置の導入が二カ所 ( 佐賀県及び神奈川県 ) で決定している他 ドイツ ( 二カ所建設中 ) フランス イタリア ( 稼働準備中 ) オーストリア 中国 韓国 マレーシア サウジアラビア 米国メイヨクリニックなど 日本以外でも 10 を越える計画が進行中である 一方 現在 世界の先端医療機器の市場は そのシェアの大部分を欧米の企業が占めている そのような状況にあって現在までに重粒子線治療を受けた患者

38 数は全世界で 7000 名を越えているが その 8 割以上を放医研をはじめとして国内で実施しており 重 粒子線治療においては臨床経験 装置製造技術のいずれにおいても我が国が高い優位性を有しており この分野において将来大きく成長することが期待されている 次世代の重粒子線治療これまでに得られた治療結果から重粒子線の優位性が多くのがんであきらかになってきた [1] しかしながら現在の治療装置は 第一世代ともいえるものであり 各国で装置建設が始まりつつある今 単なる小型化の追求ではなく さらに第二 第三世代ともいうべき次世代の先進的な重粒子線治療装置開発がより重要である そのような装置として 重粒子の細いビームを用いて治療部位を塗りつぶすように照射して治療するスキャニング照射装置がある すでに放医研では 日本発で世界初となる呼吸同期スキャニング照射法について開発を進めており 現在 建屋の建築を終了 装置を設置中である 新治療施設ではロボットアームによる治療寝台と水平 / 垂直の固定ポートによるスキャニング照射を行う治療室を2 室整備することが決定している また 固定ポートで多くの疾患で治療は可能であるが その実施には様々な技術の開発 応用とともに経験が必要であり 照射方向の制限が少なくより自由度が高く効率的な治療を可能とする回転ガントリーでの治療についても整備計画が進行中である 1) スキャニング照射と回転ガントリースキャニング照射では現在の技術では照射が困難な複雑な形状の病巣や病巣の経時的な変化にも対応が容易な照射が可能となる (intensity modulated and adapted carbon ion radiotherapy) 前立腺癌では現在 3-4 週間で 回の照射を行っているが スキャニング照射によって前立腺の中心を通る尿道の線量を低下させることにより 照射回数を更に減らせる可能性が高い 回転ガントリーでは位置確認時間短縮や治療時の患者負担 ( 治療体位の保持等 ) の軽減が期待される 例えば肺癌では 1 回の位置決めで自由な方向から何回でも治療可能となるために現行では4 方向照射で1 1.5 時間を要する1 回照射も 30 分程度まで短縮が可能と考えられる 更に治療セットアップの簡素化 治療時間短縮によって高度な重粒子線治療の適応を全身状態が悪い症例等に拡げることも可能となる 結果的にスキャニング照射あるいは回転ガントリーの導入により 治療成績の改善のみならず飛躍的な治療件数の増加 ( 適応拡大と効率化 ) が期待できる 前立腺癌を例に挙げると 当初 20 回 5 週間での治療を実施していたが 16 回 4 週間での治療が可能となった結果 その治療件数は年間 100 例程度から 150 例程度にまで増加した 現在 前立腺癌では 16 回照射が標準的な分割法であるが 年間 200 名程度の治療を行っている 治療回数を8 回程度まで減らせれば 現実には治療前の準備作業 ( 治療計画等 ) をどのように行うかなどについて考慮する必要があるが治療装置への負荷は同じに保ちながら 400 名の治療が可能となる また従来 ポート毎に作成していた補償フィルター ( ボーラス ) や患者コリメーターの作成が不要となることも大きな利点である 装置そのものの建設コストあるいは運用に関わる人件費の問題は残るものの ボ ラスやコリメーターが不要となることや治療件数の増加は治療費コストダウンに直接つながるものと考えられる さらに超伝導技術の重粒子線治療装置への応用についても基礎的な検討も開始されており より小型軽量の次世代装置として更なる発展も期待されている これまでに培った基礎から臨床応用に至るまでの世界に類を見ない抱負な経験と研究成果を基に次世代の重粒子線治療装置の研究開発に取り組み 世界の重粒子線治療を先導するとともに その運用に必要な人材の育成に努め 活力が乏しくなっている日本経済の活性化にも寄与したいと考

39 えている まとめ現時点でのこれからの放射線医学総合研究所における重粒子線がん治療における研究開発の主なテーマを以下にまとめた 1) 治療標準の確立 ( 適応 治療プロトコール 実施手順 施設基準 QA/QC 等 ) 2) 治療効率化 ( 短期照射法日帰り治療開発等 ) 3) 臨床試験 ( 難治癌克服 新治療技術 他治療法との比較 併用療法 適応拡大等 ) 4) 照射技術研究開発 ( スキャニング 日帰り治療等 ) 5) 超小型超伝導加速器および回転ガントリー開発また これらを通じて 重粒子線治療グローバルスタンダード を確立し 1) 成果の社会への還元 ( 保険適応 ) 2) 人材の育成 ( 粒子線治療とその関連領域 ) 3) 資源と施設の有効かつ効率的運用を図りたいと考えている 文献 1) Okada T, Kamada T, Tsuji H et al: Carbon ion radiotherapy: clinical experiences at National Institute of Radiological Science (NIRS). J Radiat Res (Tokyo). 51: ,

( 症例数 / 年 ) 300 高リスク 1031(51%) 中リスク 629(31%) 250 低リスク 351(17%) 200 合計 2011 スキャニング法 12 回照射への移行 Medical Science Review 回から 16 回へ全面移行

( 症例数 / 年 ) 300 高リスク 1031(51%) 中リスク 629(31%) 250 低リスク 351(17%) 200 合計 2011 スキャニング法 12 回照射への移行 Medical Science Review 回から 16 回へ全面移行 Medical Science Review 前立腺がんに対する重粒子線治療 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 治療課長辻比呂志 ( つじ ひろし ) 1. はじめに前立腺がんに対する放射線治療の進歩は 最近の放射線治療の進歩の中でも最も顕著なものであると言える かつては切除が困難な進行がんなどに対して比較的低い線量で治療が行われていたが 前立腺特異抗原 (PSA) が容易に測定できるようになって

More information

2. 肺がんについて肺がんは1998 年以来日本人のがん死亡の第 1 位である 男性に多いがんであるが 近年女性の肺がん罹患数 死亡数とも増加しており 組織型では腺がんの比率が上昇している 禁煙指導などによる予防 検診の普及による早期発見や 治療法の進歩などの一方で なかなか死亡数の減少につながらな

2. 肺がんについて肺がんは1998 年以来日本人のがん死亡の第 1 位である 男性に多いがんであるが 近年女性の肺がん罹患数 死亡数とも増加しており 組織型では腺がんの比率が上昇している 禁煙指導などによる予防 検診の普及による早期発見や 治療法の進歩などの一方で なかなか死亡数の減少につながらな Medical Science Review 肺がんに対する重粒子線治療 放射線医学総合研究所重粒子医科学センター病院 第 1 治療室長山本直敬 ( やまもと なおよし ) 1. はじめに肺がんは早期であれば局所を確実に治療することで根治が期待できることから 手術が第一選択の治療法である ところが高齢者に多く また喫煙の習慣が多いため COPDや冠動脈疾患による肺機能 心機能の低下を認めることが少なくない

More information

1)表紙14年v0

1)表紙14年v0 NHO µ 医師が治療により回復が期待できないと判断する 終末期 であると医療チームおよび本人 家族が判断する 患者の意志表明は明確であるか? いいえ はい 意思は文書化されているか? はい 患者には判断能力があるか? 医療チームと患者家族で治療方針を相談する 患者の意思を推量できる場合には それを尊重する はい はい 患者の意思を再確認する はい 合意が得られたか? はい いいえ 倫理委員会などで議論する

More information

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医 佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生 住所 M T S H 西暦 電話番号 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 家族構成 情報 医療機関名 診療科 住所 電話番号 紹介医 計画策定病院 (A) 連携医療機関 (B) 疾患情報 組織型 遺伝子変異 臨床病期 病理病期 サイズ 手術 有 無 手術日 手術時年齢 手術 有 無 手術日

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本で 151 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 82 76 79 61 60 53 52 51 46 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 44 40 43 Key Point 1 の相対生存率は 1998 年以降やや向上した 日本でパクリタキセル カルボプラチン併用療法が標準治療となった時期と一致する 0 1 2 3 4 5

More information

頭頚部がん1部[ ].indd

頭頚部がん1部[ ].indd 1 1 がん化学療法を始める前に がん化学療法を行うときは, その目的を伝え なぜ, 化学療法を行うか について患者の理解と同意を得ること ( インフォームド コンセント ) が必要である. 病理組織, 病期が決定したら治療計画を立てるが, がん化学療法を治療計画に含める場合は以下の場合である. 切除可能であるが, 何らかの理由で手術を行わない場合. これには, 導入として行う場合と放射線療法との併用で化学療法を施行する場合がある.

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ (ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54

More information

Microsoft Word - 肺癌【編集用】

Microsoft Word - 肺癌【編集用】 肺癌の放射線治療 広島大学病院放射線治療科 (2013 年 ) 1. 肺癌について肺癌は発症率に比して死亡率が比較的高く 難治癌の一つです その種類は比較的進行の早い小細胞肺癌とそれ以外の非小細胞肺癌の 2 つに大別できます 1) 非小細胞肺癌 : 肺癌全体の約 85-90% を占め 扁平上皮癌と腺癌に代表される非扁平上皮癌に大別できます 扁平上皮癌; 比較的中枢側の気管 気管支から発生しやすく 所属リンパ節へ連続的に進展しやすいことから

More information

15-9 荷電粒子線を用いたがん治療技術の開発及びその向上に関する研究

15-9 荷電粒子線を用いたがん治療技術の開発及びその向上に関する研究 15-9 荷電粒子線を用いたがん治療技術の開発及びその向上に 関する研究 主任研究者兵庫県立粒子線医療センター菱川良夫 研究成果の要旨陽子線治療施設 4 施設 炭素イオン線治療施設 1 施設 陽子線 炭素イオン線治療施設 1 施設で研究班は構成されている 多施設臨床試験として 陽子線治療 3 施設で 前立腺癌の陽子線治療の安全性および有効性の評価を目的で行い 目的症例数 150 症例の登録が終了した

More information

肝臓がんの治療

肝臓がんの治療 肝臓がん ( 肝細胞がん ) の内科的治療 神奈川県立がんセンター消化器内科肝胆膵上野誠 肝細胞がんの治療の種類 局所療法 経皮的ラジオ波焼灼術 ( RFA) 経皮的エタノール注入 (PEI) カテーテル治療 肝動脈化学塞栓療法 (TACE) 肝動注化学療法 (TAI) 全身化学療法 放射線治療 手術 肝移植 肝細胞がんの治療の種類 局所療法 経皮的ラジオ波焼灼術 ( RFA) 経皮的エタノール注入

More information

H + e - X (

H + e - X ( がん放射線治療 基礎的知識から最新の治療まで H + e - X ( X X Linear accelerator 金属 電子線 4 10MV 深部の腫瘍に届く 皮膚が焼けにくい 100% 50% 6MV X 100% 2 6 8 10 12cm 120KV X 表面より奥が最大になる 50% 9MeV 2 6 8cm 皮膚が焼けにくい 皮膚上にボーラスをのせる 2Gy x 5 回 / 週 月火水木金

More information

<4D F736F F F696E74202D2088F38DFC B2D6E FA8ECB90FC8EA197C C93E0292E B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D2088F38DFC B2D6E FA8ECB90FC8EA197C C93E0292E B8CDD8AB B83685D> 乳癌の放射線治療 放射線治療科竹内有樹 K-net 2014.5.15 15 本日の内容 1 乳癌における放射線治療の役割 2 放射線治療の実際 3 当院での放射線治療 1 乳癌における放射線治療の役割 乳房温存術後の局所再発予防 乳癌局所治療の変遷 乳房温存術と放射線治療併用率の増加 本邦の乳がん手術術式の変遷 乳房温存療法における放射線治療併用率 乳房温存療法 ( 手術 + 放射線 ) の適応

More information

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同 限局性前立腺がんに対する治療 手術療法 放射線療法 2017 年 1 月 ( 第 11 版 ) 奈良県立医科大学泌尿器科 1 限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する

More information

がん登録実務について

がん登録実務について 平成 28 年度東京都がん登録説明会資料 2-1 がん登録届出実務について (1) 1. 届出対象 2. 届出候補見つけ出し 3. 診断日 4. 届出票の作成例示 東京都地域がん登録室 1 1. 届出対象 1 原発部位で届出 2 入院 外来を問わず 当該腫瘍に対して 自施設を初診し 診断あるいは治療の対象 ( 経過観察を含む ) となった腫瘍を届出 3 届出対象となった腫瘍を 1 腫瘍 1 届出の形で届出

More information

外来在宅化学療法の実際

外来在宅化学療法の実際 平成20年度第1回高知医療センター 地域がん診療連携拠点病院 公開講座 食道がんの放射線 化学療法について 高知医療センター 腫瘍内科 辻 晃仁 がん薬物療法専門医 がん治療認定医 2008.7.19. 高知市 ウエルサンピア高知 レインボーホール 食道の構造 食道がんの進行 食道の内面の粘膜から発生したがんは 大きくなると粘膜下層に広がり さらにその下の筋層に入り込みます もっと大きくなると食道の壁を貫いて食道の外まで広がっていきます

More information

食道がん化学放射線療法後のsalvage手術

食道がん化学放射線療法後のsalvage手術 2006 2 17 52 Daly JM, et al. J Am Coll Surg 2000;190:562-573 Esophageal Cancer: Results of an American College of Surgeons Patient Care Evaluation Study Daly JM, et al. J Am Coll Surg 2000;190:562-573

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 (ICD10: C81 85, C96 ICD O M: 9590 9729, 9750 9759) 治癒モデルの推定結果が不安定であったため 治癒モデルの結果を示していない 203 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 71 68 50 53 52 45 47 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 43 38 41 76

More information

スライド 1

スライド 1 平成 29 年 9 月 21 日 ( 木 ) 地域がん診療連携拠点病院 (K-net) 前立腺癌の 放射線治療 広島市立広島市民病院放射線治療科廣川淳一 本日の内容 前立腺癌における放射線治療の役割 放射線治療の副作用 最近のトピックス 前立腺癌における放射線治療の役割 限局性前立腺癌の根治的放射線治療 前立腺全摘術後の術後放射線治療 前立腺全摘術後 PSA 再発の救済放射線治療 骨転移に対する緩和的放射線治療

More information

肺癌の放射線治療

肺癌の放射線治療 肺癌の放射線治療 新潟市民病院 放射線治療科 土田恵美子 本日の内容 放射線治療とはどのようなものか 肺癌に対する放射線治療 ( 根治目的 ) 非小細胞肺癌 ( 定位放射線治療を含む ) 小細胞肺癌 肺癌における緩和的な放射線治療 肺癌治療において大切なこと 放射線治療とは? 放射線治療は放射線を病変部 ( 癌があるところ ) に当てる治療法 手術 化学療法 ( 抗癌剤治療 ) と共に 癌に対する主要な治療法の一つ

More information

<303491E592B BC92B08AE02E786C73>

<303491E592B BC92B08AE02E786C73> ( 注意 ) : 複数選択 : 単一選択 * 複数治療がある場合は 別シートをご利用下さい 担癌状態の評価 今回の血清採取時 ( 登録時または追跡調査時 ) に担癌状態 ( がんが存在する状態 ) か ( 医師への確認を はい いいえ 前提として下さい ) はい の場合( 複数回答可 ) 手術前 非根治手術後 手術不能 化学療法または放射線治療中 もしくは治療後 ホルモン療法中もしくは治療後 治療後の再燃

More information

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 ) 食道がん胃がん小腸がん大腸がん GIST 消化管 肝臓 / 胆道 / 膵臓 病院名 : 大阪大学医学部附属病院 期間 : 平成 6 年 月 日 ~ 月 3 日. がんに関する臨床試験 治験の昨年度の実施状況 ( 平成 6 年 月 日 ~ 月 3 日 ) 担当診療科 プロトコール件数 対象疾患名 泌尿器科 9 前立腺癌 腎細胞癌 臨床試験 治験の実施状況および問い合わせ窓口 対象疾患名 の項目は 以下の表の疾患名を用いて記載してください

More information

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード] 医療者がん研修会 もっと知りたい食道がん治療 2014 年 11 月 20 日 ( 木 ) 食道癌の 放射線治療を もっと知ってみませんか? 広島市立広島市民病院放射線治療科松浦寛司 食道がん治療のアルゴリズム Stage 0 Stage I Stage II, III (T1b-T3) Stage III (T4), IVa Stage IVb 術前化学療法術前化学放射線療法 内視鏡的治療 外科治療

More information

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録室平成 29(2017) 年 9 月がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 2015 年全国集計施設別集計表より 詳細 http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html 国立研究開発法人国立がん研究センターのサイトへ移動します )

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 28( 平成 2) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者および外来患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります

More information

268 皮膚癌 手術では大きな欠損を生じる腫瘤径の大きな悪性黒子型黒色腫に対して放射線治療が行われることがある 1) リンパ節に対する予防照射や術後照射は適応に関して議論のあるところであるが,MDACCでは病期 Ⅱ,Ⅲ に対して施行している 2) 骨転移や脳転移に対しては姑息的照射が一般的に行われて

268 皮膚癌 手術では大きな欠損を生じる腫瘤径の大きな悪性黒子型黒色腫に対して放射線治療が行われることがある 1) リンパ節に対する予防照射や術後照射は適応に関して議論のあるところであるが,MDACCでは病期 Ⅱ,Ⅲ に対して施行している 2) 骨転移や脳転移に対しては姑息的照射が一般的に行われて 皮膚癌 267 皮膚癌 1. 放射線療法の目的 意義皮膚癌は, 悪性黒色腫とそれ以外の非悪性黒色腫皮膚癌に大別される 悪性黒色腫は悪性度が高くかつ比較的放射線感受性が低い腫瘍として知られ, その治療原則は切除断端を完全に陰性にする手術であり, 眼科領域を除いて放射線治療が原発巣に対して行われることはほとんどない 放射線治療は骨転移や脳転移に対する姑息的治療が主として行われ, 一部の施設でリンパ節転移に対する予防照射や術後照射が行われているにすぎない

More information

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター院内がん登録室平成 28(216) 年 9 月がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 214 年全国集計施設別集計表より 詳細 http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html 国立研究開発法人国立がん研究センターのサイトへ移動します ) 付表

More information

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano

More information

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する ユーイング肉腫 はじめにユーイング肉腫は 主として小児や若年者の骨 ( まれに軟部組織 ) に発生する細胞肉腫です 骨 軟骨 筋や神経などの非上皮組織に発生する悪性腫瘍を 肉腫 と呼びますので 肉腫とはがんと同じものと考えてよいと思います ユーイング肉腫は 小児に発生する骨腫瘍では骨肉腫についで 2 番目に多いものです 最近の染色体分析や分子生物学の進歩によって 骨や骨以外のユーイング肉腫 Primitiveneuroectodermaltumor(PNET

More information

膵臓癌について

膵臓癌について 胆 膵領域の悪性腫瘍 ~ 外科の立場から ~ 尾道市立市民病院外科 村田年弘 膵臓癌について 2009 年の死亡数が多い部位は順に 1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 男性 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 女性 肺 胃 結腸 膵臓 乳房 結腸と直腸を合わせた大腸は1 位 男女計 肺 胃 肝臓 結腸 膵臓 結腸と直腸を合わせた大腸は3 位 年々 膵臓癌の罹患患者は増加している

More information

untitled

untitled twatanab@oncoloplan.com http://www.oncoloplan.com I II - III IV Fig 3. Survival curves overall and according to response Bruzzi, P. et al. J Clin Oncol; 23:5117-5125 25 Copyright merican Society of Clinical

More information

1_2.eps

1_2.eps 第32回 日本頭頸部癌学会ランチョンセミナー6 Pre-Meeting Abstract FDG-PET の頭頸部癌における臨床的有用性 司会 長 放射線治療センター長 講演 1 耳鼻咽喉科 部長 講演 2 PETセンター長 岡村 光英 先生 日時 2008年6月13日 金 12:00 13:00 会場 ハイアットリージェンシー東京 共催 第32回 日本頭頸部癌学会 日本メジフィジックス株式会社 136-0075

More information

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73>

< E082AA82F1936F985E8F578C768C8B89CA816989FC92F994C5816A2E786C73> 院内がん登録集計 登録対象 27( 平成 19) 年 1 月 1 日より 12 月 31 日までの 1 年間に当院で診断された悪性新生物の件数です 登録対象は新規の診断症例または他院で診断された初診症例であり 入院患者を対象としています 1 腫瘍 1 登録の原則に基づき同一患者に別のがん腫と判断されるがんが生じた場合には腫瘍毎の登録 ( 複数登録 ) となります 登録項目の内容院内がん登録を行うにあたって

More information

橡

橡 TP T-13i AST ALT ALP Y CTP LOH CHE CRP 8.7 id 0.4 mg/d 21 AWL 131U/L 257 LU/L 12 111/L 234 11J/L 344 IU/L 0.30 mid No K a BUN ORE UA 142 meq/1 4.3 meqa 108 meqa 15.8 met! 0.71 mg/di 5.0 mg/d CEA 5_5 n8/m1

More information

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法 31 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 岡本真知 倉澤佳奈 ( 病理形態研究グループ 指導教員 : 覚道健一 ) 目的今回 いくつかの臓器の癌取り扱い規約を比較検討した結果 臓器ごとに異なっている点があることがわかった その中でも 細胞診を行っていく上で検体数が多く 診断する機会も多い婦人科臓器である子宮 卵巣の癌取り扱い規約について今回はその中から進行期分類の相違点を重点的に調べたので報告する

More information

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示 2010 年 山梨県がん罹患 集計結果 ( 確定値 ) 2013 年 9 月集計 A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 1000 900 800 700 834 827 645 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示 600 500 552 511

More information

NCDデータを用いた全国消化器外科領域内視鏡手術の現況に関する調査結果(速報)

NCDデータを用いた全国消化器外科領域内視鏡手術の現況に関する調査結果(速報) 2014.12 NCD データを用いた全国消化器外 科領域腹腔鏡手術の現況に関する 緊急調査結果 ( 速報 ) 日本外科学会 日本消化器外科学会 Na&onal Clinical Database 1 目的 腹腔鏡手術を受けた患者が合併症などにより残念な結果となったという昨今の報道を受け わが国の腹腔鏡消化器外科手術の症例数の現状と安全性を緊急調査する 2 方法 2011-2013 年の 3 年間に

More information

4DCTを用いたITV(internal target volume)の検討

4DCTを用いたITV(internal target volume)の検討 多施設共同研究 現在 当科では JROSG( 特定非営利活動法人日本放射線腫瘍学研究機構 ;Japanese Radiation Oncology Study Group) と HT-CARP(Hiroshima Trial of Chemotherapy And Radiotherapy Project; Hiroshima Radiation Oncology Study Group 広島放射線治療研究会

More information

スライド 1

スライド 1 平成 29 年 5 月 18 日 ( 木 ) 地域がん診療連携拠点病院 (K-net) 乳がんの 放射線治療 広島市立広島市民病院放射線治療科廣川淳一 本日の内容 乳がんにおける放射線治療の役割 乳房温存術後の放射線治療 放射線治療の副作用 最近のトピックス 放射線治療の役割 根治的放射線治療 体内にあるがん細胞を根絶することが目的 緩和的放射線治療 がんによる身体症状を緩和することが目的 乳がんの放射線治療

More information

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部院内がん登録室平成 27(215) 年 7 月がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 213 年全国集計施設別集計表より 詳細 http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_registry.html ( 独立行政法人国立がん研究センターのサイトへ移動します ) 付表 1-1-1

More information

1 BNCT の内容 特長 Q1-1 BNCT とは? A1-1 原子炉や加速器から発生する中性子と反応しやすいホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ 中性子とホウ素薬剤との反応を利用して 正常細胞にあまり損傷を与えず がん細胞を選択的に破壊する治療法です この治療法は がん細胞と正常細胞が混在している悪

1 BNCT の内容 特長 Q1-1 BNCT とは? A1-1 原子炉や加速器から発生する中性子と反応しやすいホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ 中性子とホウ素薬剤との反応を利用して 正常細胞にあまり損傷を与えず がん細胞を選択的に破壊する治療法です この治療法は がん細胞と正常細胞が混在している悪 質疑応答集 (FAQ 集 ) NO 想定質問項目 1 BNCT の内容 特長 1 BNCT とは? 2 BNCT の特長は? 副作用はないのか? 3 BNCT の医療の現状は? 今後の可能性は? 4 治験の状況は? 5 臨床研究の状況は? 2 BNCT の対象がん 1 対象となるがんは? 2 転移性がんには? 3 広範囲に転移するがんには? 4 からだの深いところにあるがんには? 3 BNCT 治療の対象者

More information

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ 15 年 12 月時点 院内がん登録統計 (13 年 ) 登録対象 当院で診断された または治療された がん 当院で がん と判明した場合や他施設から がん の治療のためにされた場合に登録 診断された時点で登録を行うため 治療実績 手術件数などとは件数が異なります 例 )A さんは X 医院で胃がんと診断され 治療のために当院に来院された 胃がん を登録 1 腫瘍 1 登録 1 人が複数の部位に がん

More information

Microsoft Word - 学位論文の要約(最終版)Table修正後.docx

Microsoft Word - 学位論文の要約(最終版)Table修正後.docx 学位論文の要約 Retrograde superselective intra-arterial chemotherapy and daily concurrent radiotherapy for T2-4N0 tongue cancer: Control of occult neck metastasis (T2-4N0 舌癌に対する超選択的動注化学放射線療法 : 潜在性頸部リンパ節転移の制御

More information

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ 福島県のがんの死亡の特徴 2012 年の別は 全でみると 性は 179.5 女性は 86.0 に対し 全国は性 175.7 女性は 90.3 であった 別にみると いずれもわずかであるが 性の胃や大腸 女性では膵臓や卵巣が全国より高く 肺は女とも全国より低くなっている ( 図 15) 図 15. 別 ( 人口 10 万対 ) 標準集計表 9 から作成 - 2012 年 ( 平成 24 年 ) - 性

More information

1 BNCT の内容 特長 QA Q1-1 BNCT とは? A1-1 原子炉や加速器から発生する中性子と反応しやすいホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ 中性子とホウ素薬剤との反応を利用して 正常細胞にあまり損傷を与えず がん細胞を選択的に破壊する治療法です この治療法は がん細胞と正常細胞が混在して

1 BNCT の内容 特長 QA Q1-1 BNCT とは? A1-1 原子炉や加速器から発生する中性子と反応しやすいホウ素薬剤をがん細胞に取り込ませ 中性子とホウ素薬剤との反応を利用して 正常細胞にあまり損傷を与えず がん細胞を選択的に破壊する治療法です この治療法は がん細胞と正常細胞が混在して 質疑応答集 FAQ 集 NO 想定質問項目 1 BNCT の特長 対象 1 BNCT とは? 2 BNCT の特長は? 副作用はないのか? 3 BNCT の医療の現状は? 今後の可能性は? 4 治験の状況は? 5 臨床研究の状況は? 2 BNCT の対象がん 1 対象となるがんは? 2 移転性がんには? 3 広範囲に移転するがんには? 4 からだの深いところにあるがんには? 3 BNCT 治療の対象者

More information

が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍

が 6 例 頸部後発転移を認めたものが 1 例であった (Table 2) 60 分値の DUR 値から同様に治療後の経過をみると 腫瘍消失と判定した症例の再発 転移ともに認めないものの DUR 値は 2.86 原発巣再発を認めたものは 3.00 頸部後発転移を認めたものは 3.48 であった 腫瘍 口腔癌に対する動注 放射線同時併用療法の治療効果判定 星秀樹 中谷寛之 関山三郎 杉山芳樹 笹森傑 林友翔 坂上公一 堤陽一 岩手医科大学歯学部口腔外科学第 2 講座 020-8505 盛岡市中央通 1-3-27 1 はじめに口腔癌に対する治療は手術と放射線療法が主体となって行われてきており 化学療法は補助的な治療とされてきた しかし 最近では扁平上皮癌に有効な薬剤も開発され 化学療法を含めた集学的治療が行われてきている

More information

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ 1 原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によって 胃がん 肺がん 前立腺がんなどのように 発生した臓器の名前のついた診断名がつきます 一方 原発不明がん

More information

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本

日本の方が多い 表 2 は日本の癌罹患数の多い順の第 7 位までの部位とそれに対応する米国の数値と日 米比を示す 赤字と青字の意味は表 1 と同じである 表 2: 部位別の癌罹患数 : 日 米比較日 / 米 0.43 部位 罹患数 ( 日 ) (2002)( 人 ) 罹患数 ( 米 ) 罹患数比日本 日 米の癌の死亡数 罹患数と5 年生存率 ASCO 特別報告 (2008 ) と がんの統計 2009 より 放射線医学総合研究所名誉研究員飯沼武 ( 医学物理士 ) ご質問 ご意見のある方は飯沼宛 t.a.inuma3391@kjd.biglobe.ne.jp にメール下さい ( 要旨 ) 本研究は 2009 年 9 月 17 日 京都市において行なわれた第 22 回日本放射線腫瘍学会総会において発表した演題を論文にしたものである

More information

院内がん登録集計報告

院内がん登録集計報告 東北医科薬科大学病院 院内がん登録集計報告 集計期間 2017 年 1 月 1 日から 12 月 31 日 目次 院内がん登録について... 2 登録の内容... 3 過去 5 年間の部位別登録数... 4 部位別年代 男女別... 5 来院経路... 7 発見経緯... 9 治療の内容... 10 部位別の進行度... 12 症例数上位 5 部位に関する統計... 13 1 院内がん登録について

More information

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や 動物の腫瘍インフォメーション シート 4 犬の膀胱腫瘍 膀胱腫瘍とは 膀胱内貼りの粘膜から発生する腫瘍で 血尿などを起こします 犬の膀胱腫瘍のうちの多くは 移行上皮癌 ( いこうじょうひがん ) とよばれる悪性腫瘍ですが 良性の腫瘍や 慢性の膀胱炎によるポリープなどもみられることがあります 良性のものは 基本的には手術で切除すれば完治可能です ここでは 主に悪性の移行上皮癌について 検査法や治療オプションをご説明します

More information

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 大腸がん 消化器内科 造血幹細胞移植 造血器腫瘍 骨髄不全 血液 腫瘍内科 大腸がん 早期胃がん 肝臓がん ( 一部 ) 前立腺がん 腎細胞がん 副腎がん腎盂尿管がん 膀胱がん 食道がん子宮体がん 外科泌尿器科婦人科 胸腔鏡下手術 肺がん 呼吸器外科 気道狭窄 閉塞病変に対する気管支鏡下レーザー治療 肺がん 呼吸器外科 定位放射線治療 原発性肺がん 転移性肺がん 原発性肝がん

More information

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 ;II-231) 1 医療上の必要性の基準に該当しないと考えられた品目 本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル

More information

130724放射線治療説明書.pptx

130724放射線治療説明書.pptx 放射線治療について 要約 局所腫瘍の治療効果は 手術 > 放射線治療 > 化学療法 の順です 手術を行うことが難しい場合 放射線治療が候補になります 動物の放射線治療は全身麻酔が必要です 一般に 照射回数を多くした方が腫瘍の制御効果が高いといわれています 症状緩和効果は70~80% で得られます 効果の確実な予測はできません 1ヵ月以内に照射を終える必要があります 欠点として 放射線障害や全身麻酔のリスクを伴います

More information

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢 2014 年改訂版 表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢階級別罹患率 ( 人口 10 万対 ); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く

More information

先 -3( 別紙 ) 前回改定時の陽子線治療及び重粒子線治療の評価 1. 先進医療専門家会議での検討 (1) 評価結果 悪性腫瘍に対する陽子線治療( 固形がんに係るものに限る ) 一次評価結果総合 C 二次評価結果先進医療として継続することが妥当 重粒子線治療( 固形がんに係るものに

先 -3( 別紙 ) 前回改定時の陽子線治療及び重粒子線治療の評価 1. 先進医療専門家会議での検討 (1) 評価結果 悪性腫瘍に対する陽子線治療( 固形がんに係るものに限る ) 一次評価結果総合 C 二次評価結果先進医療として継続することが妥当 重粒子線治療( 固形がんに係るものに 先 -3( 別紙 ) 24.1.19 前回改定時の陽子線治療及び重粒子線治療の評価 1. 先進医療専門家会議での検討 (1) 評価結果 悪性腫瘍に対する陽子線治療( 固形がんに係るものに限る ) 一次評価結果総合 C 二次評価結果先進医療として継続することが妥当 重粒子線治療( 固形がんに係るものに限る ) 一次評価結果総合 C 二次評価結果先進医療として継続することが妥当 (2) 課題 1 有効性

More information

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体 独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部院内がん登録室平成 25(213) 年 7 月がん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 211 年全国集計施設別集計表より 詳細 http://ganjoho.jp/professional/statistics/hosp_c_registry.html#1 ( 独立行政法人国立がん研究センターのサイトへ移動します ) 付表 1-1-1

More information

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です 動物の腫瘍インフォメーション シート 5 犬の骨肉腫 骨肉腫 とは 犬の骨から発生する悪性腫瘍の一種です 犬の骨にみられる腫瘍には 骨肉腫の他にもいくつかの種類がありますが ここでは 最もよくみられる骨肉腫について 診断方法や治療の選択肢をご説明します ご希望にあった治療法を選択していただく際に参考にしていただければ幸いです 1. 骨のがんかもしれないと診断されました どのような病気が考えられますか?

More information

NCCN2010.xls

NCCN2010.xls PROSTATE CANCER 前立腺がん治療フローチャート NCCN Guideline 2010 日本語版 訳 : ひげの父さん 初回診断 *2 期待余命病期確定 ( ステイジング ) 検査 再発リスク さらなる検査や治療は必要ありません ただし 限局がん : 高リスク患者で自覚症状がある場合を除く 超低リスク : 高リスク患者 : T1c *2 期待余命 T3,T4 グリソンスコア =6 以下

More information

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少 執筆者倉田宝保 松井薫 094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少なく, 手術が行われることはまれです 手術療 法は通常,Ⅰ 期 ( ほかの臓器にはもちろん,

More information

05_学術.indd

05_学術.indd Arts and Sciences IMRT Optimal bladder volume in IMRT planning for prostate cancer 36076 51710 55385 46169 29333 Key words: Prostate cancer, IMRT, 3D-CRT, Treatment planning, Bladder volume summary As

More information

スライド 1

スライド 1 大腸がんの治療戦略と緩和医療 新病院外来化学療法室 がん診療推進室 カウンター W C W C W C 倉庫 調剤 拡大キャンサーボード 外来 外来 外来 外来 松山赤十字病院臨床腫瘍科 白石猛 本日の話題 1, 大腸がんの治療戦略 2, 切除不能大腸がんの化学療法の適応 3, 緩和医療 大腸がんの治療戦略 進行度に合わせた治療戦略 ( ガイドライン ) 1, 原発巣の評価 : CF, 注腸検査 (RAS

More information

医科_第20次(追加)審査情報提供(広報用)

医科_第20次(追加)審査情報提供(広報用) 第 20 次審査情報提供事例 ( 医科 ) 追加 平成 31 年 4 月 22 日提供分 社会保険診療報酬支払基金 審査情報提供事例について 審査支払機関における診療報酬請求に関する審査は 健康保険法 療養担当規則 診療報酬点数表及び関係諸通知等を踏まえ各審査委員会の医学的 歯科医学的見解に基づいて行われています 一方 審査の公平 公正性に対する関係方面からの信頼を確保するため 審査における一般的な取扱いについて広く関係者に情報提供を行い

More information

学位論文の要旨 Combined Analyses of hent1, TS, and DPD Predict Outcomes of Borderline-resectable Pancreatic Cancer (hent1,ts,dpd の組み合わせ検討による切除可能境界膵癌の予後予測 ) Y

学位論文の要旨 Combined Analyses of hent1, TS, and DPD Predict Outcomes of Borderline-resectable Pancreatic Cancer (hent1,ts,dpd の組み合わせ検討による切除可能境界膵癌の予後予測 ) Y 学位論文の要旨 Combined Analyses of hent1, TS, and DPD Predict Outcomes of Borderline-resectable Pancreatic Cancer (hent1,ts,dpd の組み合わせ検討による切除可能境界膵癌の予後予測 ) Yasuhiro Yabushita 藪下泰宏 Department of Gastroenterological

More information

骨軟部腫瘍 はじめに 九州大学病院では 整形外科が中心となり骨や軟部組織に発生した腫瘍 ( 骨軟部腫瘍 ) の治療を行っており 血液腫瘍内科 放射線科 外科 小児科 小児外科 皮膚科などの協力を得て集学的治療による悪性骨軟部腫瘍患者さんの生命予後の改善と 整容性と機能性に優れた患肢温存治療の実践に大

骨軟部腫瘍 はじめに 九州大学病院では 整形外科が中心となり骨や軟部組織に発生した腫瘍 ( 骨軟部腫瘍 ) の治療を行っており 血液腫瘍内科 放射線科 外科 小児科 小児外科 皮膚科などの協力を得て集学的治療による悪性骨軟部腫瘍患者さんの生命予後の改善と 整容性と機能性に優れた患肢温存治療の実践に大 1 骨軟部腫瘍 はじめに 九州大学病院では 整形外科が中心となり骨や軟部組織に発生した腫瘍 ( 骨軟部腫瘍 ) の治療を行っており 血液腫瘍内科 放射線科 外科 小児科 小児外科 皮膚科などの協力を得て集学的治療による悪性骨軟部腫瘍患者さんの生命予後の改善と 整容性と機能性に優れた患肢温存治療の実践に大きな力を入れています 骨軟部腫瘍の診療は整形外科では3 名のがん治療認定医を取得した整形外科専門医が担当しております

More information

前立腺癌に対する放射線治療

前立腺癌に対する放射線治療 前立腺癌に対する放射線治療 広島市民病院放射線治療科 岡部智行 前立腺がんの治療選択に関わる因子 前立腺がんの特徴 1 高齢者に多い 2 早期癌での治療法が多い 3 進行が比較的緩除 4 内分泌療法が有効 5 治療を要しない癌も存在 治療選択に影響する要因腫瘍側要因 ( リスク分類 ) 病巣の広がり ( 臨床病期 ) Gleason Score 血清 PSA 値 画像所見など患者側要因年齢 全身状態

More information

9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であ

9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であ 9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であった 粉瘤を疑い8月5日 免疫染色検査 腫瘍細胞は CK2 0が核周囲にドット状に に局所麻酔で腫瘍摘出術を行った

More information

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し 四日市羽津医療センター 全国がん登録集計 2018 年 1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 61 79 364 504 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診したのかを把握する項目自施設を当該腫瘍に関して初診した際に

More information

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外 がんの診療に関連した専門外来の問い合わせ窓口 記載の有無 あり とするとデータ抽出の対象となります 記載する内容がない場合は なし としてください なし の場合は以下について記入の必要はありません 病院名 : 岐阜大学医学部附属病院 平成 9 年 9 月 1 日現在 あり がん診療に関連した専門外来の の項目は 以下の表の疾患名を用いて記載してください 表の中に 該当する病名がない場合は その病名を直接記載してください

More information

背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法

背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離 Stanford A 型は発症後の致死率が高く, それ故診断後に緊急手術を施行することが一般的であり, 方針として確立されている. 一方上行大動脈に解離を伴わない急性大動脈解離 Stanford B 型の治療方法 学位論文の要約 Mid-Term Outcomes of Acute Type B Aortic Dissection in Japan Single Center ( 急性大動脈解離 Stanford B 型の早期 遠隔期成績 ) 南智行 横浜市立大学医学研究科 外科治療学教室 ( 指導教員 : 益田宗孝 ) 背景 急性大動脈解離は致死的な疾患である. 上行大動脈に解離を伴っている急性大動脈解離

More information

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ

ン (LVFX) 耐性で シタフロキサシン (STFX) 耐性は1% 以下です また セフカペン (CFPN) およびセフジニル (CFDN) 耐性は 約 6% と耐性率は低い結果でした K. pneumoniae については 全ての薬剤に耐性はほとんどありませんが 腸球菌に対して 第 3 世代セフ 2012 年 12 月 5 日放送 尿路感染症 産業医科大学泌尿器科学教授松本哲朗はじめに感染症の分野では 抗菌薬に対する耐性菌の話題が大きな問題点であり 耐性菌を増やさないための感染制御と適正な抗菌薬の使用が必要です 抗菌薬は 使用すれば必ず耐性菌が出現し 増加していきます 新規抗菌薬の開発と耐性菌の増加は 永遠に続く いたちごっこ でしょう しかし 近年 抗菌薬の開発は世界的に鈍化していますので

More information

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide 7/6/5 回答者 (n=3) 第 58 回日本臨床細胞学会 自己採点方式 6% % 5% DR スライドカンファレンス CT 解答と集計結果 77% Other ( 空白 ) 勤務施設 (n=3) 日頃領域 6% 5% 3% % % 5% 7% 病院検査センター検診センター働いていない他 ( 空白 ) 37% 5% 46% ほぼ全科 (4 科以上 ) 複数科 (-3) 単科空白 経験年数 (n=3)

More information

はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医 前立腺癌に対するヨード (I-125) シード線源を用いた小線源療法 について 第 14 版 (2017 年 1 月 ) 奈良県立医科大学 泌尿器科 放射線治療 核医学科 1 はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です

More information

C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法 の有効性 安全性等について 肝炎治療戦略会議報告書平成 23 年 11 月 28 日

C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法 の有効性 安全性等について 肝炎治療戦略会議報告書平成 23 年 11 月 28 日 C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法 の有効性 安全性等について 肝炎治療戦略会議報告書平成 23 年 11 月 28 日 C 型慢性肝炎に対するテラプレビルを含む 3 剤併用療法の 有効性 安全性等について 1. 有効性及び対象について セログループ 1 のC 型慢性肝炎に対する ペグインターフェロン リバビリン及びテラプレビル3 剤併用療法 ( 以下単に 3 剤併用療法 という

More information

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73> がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております. 肺がん 当該疾患の診療を担当している 医師数 当該疾患を専門としてい 腫瘍内科 4 4 2 腫瘍外科 ( 外科 ) 5 4 3 腫瘍放射線科 実績実績実績 開胸 治療の実施 (: 実施可 / : 実施不可 )

More information

196 泌尿器 Ⅱ. 前立腺癌 外部照射 1. 放射線療法の目的 意義前立腺癌の放射線治療は大きな進歩をとげ, 前立腺に線量を集中し, その周囲への被曝を低減する種々の技術が開発された 我が国でも三次元原体放射線治療, 強度変調放射線治療, 小線源療法などが用いられるようになり, 副作用を少なく,

196 泌尿器 Ⅱ. 前立腺癌 外部照射 1. 放射線療法の目的 意義前立腺癌の放射線治療は大きな進歩をとげ, 前立腺に線量を集中し, その周囲への被曝を低減する種々の技術が開発された 我が国でも三次元原体放射線治療, 強度変調放射線治療, 小線源療法などが用いられるようになり, 副作用を少なく, 196 泌尿器 Ⅱ. 前立腺癌 外部照射 1. 放射線療法の目的 意義前立腺癌の放射線治療は大きな進歩をとげ, 前立腺に線量を集中し, その周囲への被曝を低減する種々の技術が開発された 我が国でも三次元原体放射線治療, 強度変調放射線治療, 小線源療法などが用いられるようになり, 副作用を少なく, 安全に, そしてより効果的に治療できるようになっている 放射線治療は根治的治療の有効な手段のひとつであり,

More information

スライド 1

スライド 1 厚生労働科学研究費補助金 ( 医療技術実用化総合研究事業 ) 高悪性度骨軟部腫瘍に対するカフェイン併用化学療法の臨床使用確認試験 研究代表者 : 土屋弘行金沢大学大学院医学系研究科 医薬保健学域医学類がん医科学専攻機能再建学講座 ( 整形外科 ) 高悪性度骨軟部腫瘍に対して有効とされる薬剤は限られており ( アドリアマイシン イホマイド シスプラチン メソトレキセート ) 現在はこれらの薬剤を組み合わせた治療が試みられているが

More information

原 著 放射線皮膚炎に対する保湿クリームの効果 耳鼻科領域の頭頸部照射の患者に保湿クリームを使用して * 要旨 Gy Key words はじめに 1 70Gy 2 2 QOL

原 著 放射線皮膚炎に対する保湿クリームの効果 耳鼻科領域の頭頸部照射の患者に保湿クリームを使用して * 要旨 Gy Key words はじめに 1 70Gy 2 2 QOL 原 著 放射線皮膚炎に対する保湿クリームの効果 耳鼻科領域の頭頸部照射の患者に保湿クリームを使用して * 1 2 1 2 要旨 2011 1 2013 9 33 0 1 6 16 17 60Gy Key words はじめに 1 70Gy 2 2 QOL 3 4 2014 6 16 2015 4 17 連絡先 359 0042 3 2 Phone 04 2995 1511 Fax 04 2995 0633

More information

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M 図 1 調査前年 1 年間の ART 実施周期数別施設数 図 4 ART 治療周期数別自己注射の導入施設数と導入率 図 2 自己注射の導入施設数と導入率 図 5 施設の自己注射の使用目的 図 3 導入していない理由 図 6 製剤種類別自己注射の導入施設数と施設率 図 7 リコンビナント FSH を自己注射された症例の治療成績は, 通院による注射症例と比較し, 差があるか 図 10 リコンビナント FSH

More information

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを がんの診療に関連した専門外来の問い合わせ窓口 記載の有無 あり とするとデータ抽出の対象となります 記載する内容がない場合は なし としてください なし の場合は以下について記入の必要はありません 病院名 : 公立大学法人横浜市立大学附属病院 平成 9 年 9 月 1 日現在 あり がん診療に関連した専門外来の の項目は 以下の表の疾患名を用いて記載してください 表の中に 該当する病名がない場合は

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > Insulin-like growth factor ( 以下 IGF)

More information

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専 がんに対する診療機能 各領域の専門医に加え 認定看護師 専門 認定薬剤師等とともにチーム医療を展開しており 標準的かつ良質 適切な医療の提供に努め 又 他の医療機関との連携を推進しております 平成 29 年 9 月 1 日現在 1. 肺がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 1 腫瘍外科 ( 外科 ) 6 3 開胸 胸腔鏡下 定位 ありありなしなしなしなし なしなしなしありなしなし 2.

More information

untitled

untitled ( ) - 1 - - 2 - 38% 26% A) Response to ifosfamide and mesna: 124 previously treated patients with metastatic or unresectable sarcoma 124 (J Clin Oncol 7: 126-131, 1989) 124 95 29 II 1 2,000mg/m 2 x 4 8g/m

More information

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃

4 月 20 日 2 胃癌の内視鏡診断と治療 GIO: 胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療について理解する SBO: 1. 胃癌の肉眼的分類を列記できる 2. 胃癌の内視鏡的診断を説明できる 3. 内視鏡治療の適応基準とその根拠を理解する 4. 内視鏡治療の方法 合併症を理解する 4 月 27 日 1 胃 日付 時限 4 月 6 日 1 食道腫瘍の病理 GIO: 食道腫瘍の病理学的所見を理解する SBO: 1. 食道の構造を説明できる 内 容 2. 食道の良性上皮性腫瘍の分類と病理所見を説明できる 3. 食道の悪性上皮性腫瘍の分類と病理所見 ( 肉眼所見 組織所見 ) を説明できる 4. バレット食道 バレット腺癌について説明できる 5. 食道の非上皮性腫瘍を良性病変と悪性病変と分けて説明できる 4

More information

untitled

untitled 260 250 200 150 10 100 50 0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1985 1995 2000 2005 25% 56% 66% 60% 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1 2 3 4 1999 1990 2003 2005 2010 500,000 70,000 100,000

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 第 21 回京都乳癌コンセンサス会議 テーマ HER2 陰性再発乳癌の抗がん薬治療 アンケート集計結果 1 回答いただいた御施設 (50 音順 ) 大阪赤十字病院 大津赤十字病院 加藤乳腺クリニック 関西医科大学附属枚方病院 菅典道クリニック 京都医療センター 京都市立病院 京都第一赤十字病院 京都大学医学部附属病院 倉敷中央病院 公立八鹿病院 沢井記念乳腺クリニック 滋賀県立成人病センター 静岡県立がんセンター

More information

untitled

untitled 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 Int J Radiat Oncol Biol Phys 49 Cancer 101 Int J Radiat Oncol Biol Phys 60 Chest 124 Int J Radiat Oncol Biol Phys 56 Int J Radiat Oncol Biol Phys 49 Chest 124 Int J

More information

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し 2012 年 12 月 6 日放送 第 111 回日本皮膚科学会総会 5 教育講演 20-1 皮膚腫瘍の最新疫学データ 筑波大学大学院皮膚科 講師藤澤康弘 はじめに皮膚癌は国立がん研究センターがとりまとめている全国集計データでも年々増加の一途をたどっており なかでも高齢者の患者の増加が目立ちます 日常の皮膚科診療でも遭遇する機会が今後も増え続けることから その発生状況を知っておくことは役に立つと思います

More information

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法

70 頭頸部放射線療法 放射線化学療法 頭頸部放射線療法 放射線化学療法の患者への歯科治療 口腔ケア (1) 総論 1) 頭頸部の放射線 化学放射線療法の特徴 2) 頭頸部がん放射線療法による口腔への影響 3) 頭頸部放射線療法における歯科の役割 (2) 放射線治療による口腔合併症 ( 有害事象 ) と対処 1) 局所療法と急性 晩期障害 2) 口腔粘膜炎 3) 口腔乾燥症 4) 歯性感染症 カンジダ性口内炎 5) 味覚異常 6) 放射線性骨髄炎

More information

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案) 資料 1 C 型慢性肝疾患 ( ゲノタイプ 1 型 2 型 ) に対する治療フローチャート ダクラタスビル + アスナプレビル併用療法 ソホスブビル + リバビリン併用療法 ソホスブビル / レジパスビル併用療法 オムビタスビル / パリタプレビル / リトナビル併用療法 (± リバビリン ) エルバスビル + グラゾプレビル併用療法 ダクラタスビル / アスナプレビル / ベクラブビル 3 剤併用療法による抗ウイルス治療に当たっては

More information

僕が見た21世紀の 産婦人科医療

僕が見た21世紀の 産婦人科医療 婦人科疾患について 3 子宮の腫瘍性病変 について 3 ~ 子宮頸がん 子宮頸がんについて ~ 疫学 世界で年間約 50 万人が発症, 約 27 万人が死亡している. 世界的に婦人科悪性腫瘍の中では最も頻度が高く, 女性に発症する癌としては乳癌に次いで 2 番目に多い. 日本においても年間 15,000 人以上が発症し, 約 3,500 人が死亡していると推計される. 子宮頸がん ~ 疫学 頸がん患者全体の平均年齢は

More information

_02戸沢.indd

_02戸沢.indd Akita J Med 43 : 79-86, 2016 15 1 1 1 1 2 2 3 4 4 1 2 3 4 received 19 July 2016, accepted 29 July 2016 Two cases of histological CR for squamous cell lung cancer with invasion to the pulmonary artery after

More information

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背

第71巻5・6号(12月号)/投稿規定・目次・表2・奥付・背 μ μ μ μ μ γ 1 4 3 クリゾチニブが奏効した PS 不良 ALK 肺癌の1例 図2 入院時胸部 CT a 左鎖骨上窩 縦隔リンパ節腫大を認めた 矢印 b 左腕頭静脈から上大静脈内まで続く血栓 を認めた 矢印 c 左下葉に腫瘤影を認めた d 右肺に内部に空洞を伴う結節影を多数認めた 矢印 率は蛍光 in situ ハイブリダイゼーション FISH 法で 6 8 1 5 であり ALK 蛋白の免疫組織化学染色

More information

170 消 化 器 2. 病 期 分 類 による 放 射 線 療 法 の 適 応 2 cm 以 下 でリンパ 節 転 移 や 遠 隔 転 移 のない 腫 瘍 (T1N0M0)は 放 射 線 治 療 単 独 で 治 療 する 2 cmを 超 える 腫 瘍 については5 FUとマイトマイシンCの 化 学

170 消 化 器 2. 病 期 分 類 による 放 射 線 療 法 の 適 応 2 cm 以 下 でリンパ 節 転 移 や 遠 隔 転 移 のない 腫 瘍 (T1N0M0)は 放 射 線 治 療 単 独 で 治 療 する 2 cmを 超 える 腫 瘍 については5 FUとマイトマイシンCの 化 学 消 化 器 169 Ⅲ. 肛 門 癌 1. 放 射 線 療 法 の 目 的 意 義 肛 門 癌 の60 80%は 扁 平 上 皮 癌 であり, 比 較 的 放 射 線 に 対 し 感 受 性 が 良 好 である 現 在 までに 根 治 切 除 と 放 射 線 治 療 単 独 もしくは 化 学 放 射 線 療 法 とは 直 接 的 に 比 較 され ていないが, 少 なくとも 化 学 放 射 線 療

More information

本文/開催および演題募集のお知らせ

本文/開催および演題募集のお知らせ 86 QOL S Masson Irritable Bowel Syndrome IBS Visual Analog Scale VAS IBS MRI S pelvic side wall W pelvic side wall PDS figure 過敏性腸炎様の症状を呈した直腸子宮内膜症の症例 87 図1 術前 MRI ゼリー法の結果 1 症例1の術前所見 症例の術前所見では に直腸子宮内膜症を疑う

More information

( 7 5) 虫垂粘液嚢胞腺癌の 1切除例 F g 5 H s t l g lf d g sshwdm s y s t d r m ( H E s t ) 考 型度粘液腫蕩で再発リスクが低い ) C I低異型度を示 察 す粘液産生腫蕩で 腫蕩成分を含む粘液が虫垂以外に 原発性虫垂癌は全大腸癌手術件数の 8 3 %で 大 存在する群(低異型度粘液腫蕩で再発リスクが高い ) 腸癌取扱い規約 却によると

More information

腫瘍センターの稼働実績 ( 平成 29 年 8 月 ) 最終版 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H98 年 8 月 H29 年度累

腫瘍センターの稼働実績 ( 平成 29 年 8 月 ) 最終版 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H29 年 8 月 H29 年度累 H28 年 8 月 H98 年 8 月 H29 年度累 腫瘍センターの稼働実績 ( 平成 29 年 9 月 ) 最終版 20171006 H28 年 9 月 H29 年 9 月 H29 年度累 H28 年 9 月 H29 年 9 月 H29 年度累 H28 年 9 月 H98 年 9 月 H29 年度累 41 38 236 82 85 480 800 811 4785 H28 年 9 月 H29 年 9 月 H29 年度累 H28 年 9 月 H29 年

More information

教育講演 放射線治療における位置的不確かさの影響 ずれるとどうなる 都島放射線科クリニック / 大阪大学塩見浩也 放射線治療を確実に施行するためには, 安全なマージンの設定が不可欠である. ターゲットの設定は,ICRU report 50, 62 3) で規定されている肉眼的腫瘍体積 (GTV; g

教育講演 放射線治療における位置的不確かさの影響 ずれるとどうなる 都島放射線科クリニック / 大阪大学塩見浩也 放射線治療を確実に施行するためには, 安全なマージンの設定が不可欠である. ターゲットの設定は,ICRU report 50, 62 3) で規定されている肉眼的腫瘍体積 (GTV; g 教育講演 放射線治療における位置的不確かさの影響 ずれるとどうなる 都島放射線科クリニック / 大阪大学塩見浩也 放射線治療を確実に施行するためには, 安全なマージンの設定が不可欠である. ターゲットの設定は,ICRU report 50, 62 3) で規定されている肉眼的腫瘍体積 (GTV; gross tumor volume), 臨床標的体積 (CTV; clinical target volume),itv(internal

More information

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男 年院内がん登録 部位 ( 登録数 ) 上位 部位 男 女 合計 構成比 大腸 99.% 胃.% 乳房.% 皮膚.% 前立腺.% 全体の登録件数が減少 (- 件.%) しており 上位疾患もほぼ減少 構成比は大腸 (+.%) 胃 (-.%) 乳房 (±) 皮膚 (+.%) 前立腺 (-.%) 上位の部位は大きな変化はなし 大腸 胃 乳房 前立腺は前年同様 皮膚が前年より増加し上位になった.% 前立腺.%

More information

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1 小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1 小児がん情報サービス更新 白血病 リンパ腫を4タブ化 2 横紋筋肉腫 :6 月 21 日更新 小児がん診療ガイドライン 2016 年版により 3 小児がんの解説 6 月更新予定 4 小児がん情報サービスアクセス状況 250,000 Google 検索アルゴリズム更改 200,000

More information

「             」  説明および同意書

「             」  説明および同意書 EDP( エトポシド + ドキソルビシン + シスプラチン ) 療法 説明および同意書 四国がんセンター泌尿器科 患者氏名 ( ) さん 御本人さんのみへの説明でよろしいですか? ( 同席者の氏名をすべて記載 ) ( ( はい ) ) < 病名 > 副腎がん 転移部位 ( ) < 治療 > EDP 療法 (E: エトポシド D: ドキソルビシン P: シスプラチン ) < 治療開始予定日 > 平成

More information

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病 6. 脳腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病院のみ選択可 ) : 当該疾患の治療に関するが掲載されているページ 当該疾患を専門としている 1 放射線科

More information