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ひとおしげい
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1 艶消し加飾 MTO 技術研究所桝井捷平 1. 光沢品と艶消し品各社の商品に第一次品質 ( 機能性能 ) の差は少なくなりかつ市場には豊富に商品がある時代になって機能性能を求めるより第二次品質 ( 高級感見栄え ) さらには第三次品質 ( ブランドイメージ ) を重視して商品を購買する傾向が強くなっているこれらの傾向は商品購入の中心層である若者で特に顕著であると言われているプラスチック製品は一般的に通常の成形では安っぽく見える冷たい感じがすると言われておりこれを解決する方法として加飾技術が注目され現時点では多くの技術が実用化されているプラスチックにおける加飾の意義は図 1のようにまとめられるプラスチックの商品には表 1に示すように光沢が好まれる商品と艶消しが好まれる商品がある自動車の外板や家電製品化粧品サニタリ用品等は一般的には光沢が好まれ自動車の内装内装建材などは一般的に艶消しが好まれるノートパソコンや携帯電話の筐体等ではケースバイケースでどちらも使用されるまた最近自動車外板でも艶消しのものが見られ逆に自動車の内装でフィルム貼合や水圧転写による光沢部品も用いられる光沢のある商品は高級感がある半面落ち着かない疲れると感じられ逆に艶消し商品は落ち着く汚れが目立たないとの特徴がある半面汚れを拭いにくいとの問題もあるこれらの違いがあることを認識の上でいずれを選択するのかまたどの程度の艶消しにするのかを決める必要がある図 2に示すように光沢度合いは表面凹凸によって決まり光沢品と艶消し品の境界があるわけではない一般的には相当に光沢度の高いものを光沢品ある程度以上の表面凹凸があるものを艶消し品と言っている 2. 艶消し方法の概要プラスチック商品の表面の凹凸度合いを調整して艶消しする方法としては表 2に示すような方法があるプラスチックのモルホロジー配合添加剤などによる改質による方法成形に使用する金型にしぼを施し適切な成形加工条件で成形する方法および艶消し処方をした塗料インキフィルム等で後加工またはインモールド成形する方法さらにはブラスト処理する方法がある各方法については以下の項目で説明する 3. 成形材料の改質よる艶消し

2 成形材料を成形後に艶消しになるように改質する方法としてプラスチックのモルホロジーの調整同質樹脂他樹脂の配合添加剤の添加などがあるこれらの具体的な方法は公開されていないことが多いので特許を中心に調べた結果を紹介するプラスチックのモルホロジーの調整 PPの場合一般的にはホモポリマーやランダムコポリマーは光沢が良好であるが図 3のような構造をしているブロックコポリマーは一般的に通常の成形をすると微細な凹凸が発生して光沢が悪くなる ( 艶消しになる ) この光沢度はプロピレン (P) エチレン(E) EPの組成分子構造分子量等によって変わる樹脂メーカー等の高光沢のブロックコポリマーの出願例 1) が何件かある昔は各社のカタログに標準条件で成形した時の各グレードの光沢度の値が記載されていたが最近のカタログには記載されていない他樹脂の配合表 3に示すようにゴム成分架橋ポリマー特殊ポリマーを配合して光沢度を調整する出願 2)~5) が見られるいずれも均質性を阻害する成分を配合して成形品の表面凹凸を付与するようにしたものである効果を高めるために無機質を併用した物もある 3) 4. 添加剤配合による艶消し 6)~16) 艶消し用として使用される添加剤には表 4に示すようにシリカ炭カル酸化チタン等の無機質バルーン有機微粒子等があり樹脂に直接添加する他塗料やインキに添加して艶を調整する表 5にレビタルマットエース ( ゼオン化成 ) 配合による効果例を示す 12) 5. 金型表面仕上げと成形条件による艶出し艶消し射出成形する場合一般的には冷却した金型に溶融樹脂を高圧で射出して成形するこの場合射出された樹脂表面は金型と接触して急速に温度が低下し金型表面を高品位に転写できないこのためウエルドラインなどの成形不良が発生したり鏡面金型では光沢不十分であったりシボ金型ではシボの微細な窪みに樹脂が十分に入らずに凹凸がぼやけてシボによる艶消しが不十分であったりするこれを解決する方法として表 6に示す各種方法が開発されている樹脂が金型に注入され時に金型表面の温度を低下させないまたは高温に保持するか意匠面側の金型表面に樹脂を高圧で押し付けることで金型の表面を高品位に成形品に転写させるものであるシボの種類加工方法を表 7 17)~20) 図 4にシボが付与された自動車内装部品例を図 5に示す

3 シボ金型を用いた場合はシボの微細な凹凸が転写され艶消しの成形品が得られる効果例を図 6 21) 7 22) 8 23) に示す使用する材料としてで説明した材料を用いるとより効果的である 6. 後加工による艶消し表 8 24)~32) に示すように塗装印刷メッキフィルム貼合ブラスト等による成形品への後加工で艶消しをする方法も用いられる塗装印刷の場合は一般的には表 4に示した添加剤を配合した塗料インキを用いる艶消しフィルムは艶消し材添加樹脂から製膜したフィルムや艶消し塗料インキで塗装印刷したフィルム蒸着をしたフィルムが用いられる図 9 19)34) 10 35) 11にメッキ塗装真空蒸着による艶消し例を示す ( 図 1 0はプラスチックではない ) 図 12に艶消し ( および艶あり ) の転写箔 36) の例を示すまた図 13にファインブラスト加工による艶消し製品例 37) を図 14に表面粗度と光沢の関係 37) を示す 7. まとめ艶消しされた製品は落ち着く汚れが目立たない特徴がある半面汚れを拭いにくいとの課題もあるこの特徴課題を認識して利用する必要があるまた艶消しをする方法は多くありどの方法を選ぶかは製品の種類大きさ生産数量購買層などを考慮して選択される 8. 参考文献 1) 特開平 ( 日本石油化学 ) 2) 特開 (A&L) 3) 特開平 ( 日本触媒 ) 4) 特開平 ( 日立化成工業 ) 5) 特開 ( 東洋インキ ) 6) ( トクヤマ ) 7) ( 東ソシリカ ) 8) ( 丸尾カルシウム ) 9) ( 富士チタン工業 ( 10) ( 菊水化学 ) 11) 特願平 ( 東洋紡績 )

4 12) ( ゼオン化成 ) 13) 積水化成品 ) 14) ( 興洋化学 ) 15) 特公開 ( 東洋紡績 ) 16) 特開 ( アイカ工業 ) 17) モールドテック ) 18) 棚沢八光 ) 19) ケイズデザインラボ ) 20) 日清精工 ) 21)IPF2011でのセミナー ( 東京大学生産技術研究所横井秀樹氏 ) 22) 田原久志 ; 型技術,20,(6),25 ( 05) 23) ( 小野産業 ) 24) 特開平 ( オリジン電気 ) 25) ( 十条ケミカル ) 26) ナクロ ) 27) 特開平 ( 日本写真印刷 ) 28) 特開平 ( クラレ ) 29) 特開平 ( 三菱レーヨン ) 30) ユニチカ ) 31) クルツ ) 32) トシコ ) 33) ( 大洋工作所 ) 34) 35) クルツ ) 36) トシコ )

5 表 1 光沢が好まれる商品艶消しが好まれる商品光沢が好まれる商品光沢艶消しの両方がある商品艶消しが好まれる商品一般的に家電製品自動車の外層パソコン携帯電話自動車内装住宅の内装化粧品容器サニタリ用品上記の例外として木目調自動車内装品マットブラック自動車ボディ利点高級感傷汚れが目立たない落ち着く課題落ち着かないつかれる汚れを拭いにくい表 2 艶消し方法分類方法具体例 1. 成形材料の改質材料のモルフォロジー調整添加剤配合樹脂配合ゴム成分の組成粒径グラフト率分子量などシリカタンカル / リンカルバルーン真球状微粒子などゴム架橋ホリマー特殊ホリマーを配合 (+ 添加剤配合組合せ ) 2. 金型シボと成形加工金型のシボを高転写金型シボとヒート & クールの組合せ 3. 後加工艶消し塗装シリカ炭カル / リンカル真球状微量子等を配合した塗料で塗装艶消し印刷艶消しメッキ艶消しフィルム貼合ブラスト処理上記同様材料を配合したインキで印刷表面に凹凸があるメッキ上記添加剤配合または塗装印刷を施したフィルムの貼合成形各種衝突材を用いて処理

6 表 3 樹脂配合による艶消し例樹脂配合品組成などメーカー情報ゴム成分配合特定組成配合のゴム強化スチレン系樹脂に無機艶消し剤等を配合エイ & エル文献 2) 架橋ポリマー配合特定の架橋ポリマーを配合した艶消し性熱可塑性樹脂組成物日本触媒他文献 3) 特殊ポリマー配合スチレン系樹脂など非晶性と結晶性混合物を融点より 10 以上低温で成形加工日立化成工業文献 4) 特殊ポリマー配合有機溶剤に分散したポリエチレンワックスと有機溶剤に溶解した EVA 樹脂からなる艶消し用組成物塗料インキ用東洋インキ文献 5) 表 4 艶消しに用いられる添加剤例シリカ酸化チタン添加剤用途など主要メーカー炭カル / リンカル真球状微量子主として塗料の艶消し剤樹脂ではフロッキンク防止主として水性エマルション塗料の艶消し材樹脂ではフロッキンク防止主として化学繊維用艶消し材主として塗料の艶消し剤各種疎水性ヒニルモノマーをベーストクヤマ東ソーシリカ丸尾カルシウム富士チタン工業バルーン無機および / または有機ハルーン東洋紡績アクリル酸エステル ABS PC/ABS 用ゼオン化成しっとりとした高級感のある艶消し付与積水化成品情報文献 6) 文献 7) 文献 8) 文献 9) 無機質ナノレベルの無機質超微粒子菊水化学文献 10) 有機高分子樹脂を溶解析出アクリル系樹脂微粒子塗料やインキに添加して艶消し剤耐摩耗性向上剤等として使用塗料や樹脂成形品に用いる透明性に優れ艶消し効果が高い文献 11) 文献 12) 文献 13) 興洋化学文献 14) 東洋紡績文献 15) 球状有機微粒子軟質フィルム艶消し剤塗料用艶消し剤アイカ工業文献 16)

7 表 5 艶消し材添加による効果金型配合比 100/0 90/10 80/20 鏡面金型点シボ金型皮シボ金型樹脂配合 :ABS 樹脂 /AM-808( ゼオン化成 ) 黒色プレートによるグロス測定値 (60 反射 ) 表 6 金型表面高品位転写成形分類小分類概要 1. 金型表面 1) サイクル金型加熱冷却溶融樹脂射出時に熱媒を循環させ型内での樹脂の急激な高温法温度低下を抑え転写性を向上 2) 金型表面瞬間加熱電磁誘導加熱, ヒーターレーザ等で金型表面のみを加熱し型内での樹脂の急激な温度低下を抑え転写性を向上 3) 金型表面断熱金型に断熱層を設け型内での樹脂の急激な温度低下を抑え転写性向上断熱層としてはセラミックスなどが使用される 4) 特殊金型機構特殊型機構で金型表面温度を高く保って成形 2. エアーガス 1) エア注入片面転写非意匠面側にエアを注入して樹脂を型から剥離し注入法ヒケを集中させて意匠面側の転写性を向上 2) 高圧ガス注入非意匠面側に高圧ガスを注入して樹脂を意匠面側に ( ガスプレス ) 押圧して転写性向上射出圧縮との組合せもある 3)CO2 注入法超臨界 CO2を金型表面および樹脂中に注入して樹脂の流動性を上げると同時に転写性も向上 3. その他 1) 超高速充填法超高速充填でスキン層の形成を抑え転写性向上 ( 補助的なもの ) 2) エアガス排出成形溶融樹脂充填時に金型内等を減圧してエアー揮発分を排除して樹脂の流動性を上げ転写性を向上させる 3) ポーラス電鋳金型使用多孔性のポーラス型を用いて揮発分を除去して転写性向上表 7 シボの種類シボの種類製作方法メーカーエッチングシボセラシボデジタルシボ ( 切削加工シボ ) 型表面に感光性耐薬品皮膜を形成しパターンフィルムを使用して露光現像後化学的物理的浸食作用でエッチングシリコンマスターから作成したシートを金型に貼付けコンピューター上で 3 次元データーに 2 次元テクスチュアデーターを貼付けてデジタルシボデーターを作成このデーターを使って NC 加工で切削モールドテックジャパン 17) 棚沢八光棚沢八光 18) ケイズデザインラボ 19) ( デジタルデーター作成 ) 日清精工 20)

8 表 8 後加工による艶消し例方法内容等メーカー情報艶消し塗装シリカ炭カル / リンカル真球状微量子等を配合した塗料で塗装オリジン電気他文献 24) 艶消し印刷 JA-450( 十条ケミカル ) 等を配合したインキで印刷十条ケミカル他艶消しメッキ表面に凹凸があるメッキナクロ他文献 25) 文献 26) 艶消しフィルム貼合ポリカーボネートフィルムの片面に艶消しインキ層が形成されたフィルム使用 EVAケン化物およびカルボン酸変性ポリエチレン樹脂からなるフィルム使用艶消し塗料をアクリル樹脂フィルムの一方の表面上に塗工し硬化させて艶消し層をもつフィルム使用日本写真印刷他クラレ他三菱レーヨン他ブラスト独特の衝突材と管理された作業でブラスト処理トシコ他文献 27) 文献 28) 文献 29) 練込ポリエステルマットフィルムユニチカ文献 30) クロム蒸着転写箔特殊顔料箔クルツ文献 31) 文献 32)

9 第 1 次品質 ( 性能 ) 重量強度粗度反射率第 2 次品質デザイン ( 色形状質感 ) 第 3 次品質製品の品質見栄え高級感ネーミングブランド企業名コストアップ相反するケースによってはデザインに制約プラスチックの特徴優れた機能性賦形性軽量性低コストプラスチックの課題安っぽい冷たい感じがする加飾他の素材を付与 ( 印刷メッキ塗装軟質表皮材など ) 狭義の加飾広義の加飾課題の克服外観の向上 ( 艶出し艶けしなど ) 図 1 プラスチック加飾の意義光沢度表面粗さ鏡面サンドブラスト面図 2 表面凹凸と光沢 ( イメージ )

10 図 3 ブロック PP のモルホロジーエッチングシボ ( モールドテックジャパン ) 17) エッチングシボとセラシボ ( 棚沢八光 ) 18) セラシボデジタルシボ ( ケーズデザインラボ ) 19) 図 4 シボの種類

11 艶消しシボ図 5 艶消しシボの自動車内装部品例 21) 図 6 シボ金型による金型温度と凹凸

12 22) 図 7 ジルコニアコート金型による転写性 ( 三菱エンジニアリングプラスチック ) 図 8 フィルム貼合成形におけるヒート & クール 23) の効果

13 真空蒸着 / 艶消しメッキ例 ( ナクロ ) 19) 電鋳金型による成形品へのメッキ例光沢が調整できる ( 大洋工作所 ) 33) 図 9 艶消しメッキ例図 10 マットブラック ( 艶消し黒 ) の自動車ボディ ( ランボルギーニムルシェラゴ ) 34)

14 艶消しシボ艶消しメタリック艶消しシボ図 11 艶消しメタリックの自動車内装部品図 12 クルツジャパンの転写箔 ( 光沢艶消し ) 35)

15 携帯電話の筐体ウエルドラインシボムラの除去自動改札機の券投入口筐体ウエルドラインシボムラの除去図 13 ファインブラスト加工例 ( トシコ ) 36) 36) 図 14 ファインブラストによる表面粗さと光沢度

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Microsoft Word HP用ソフト表面加飾.doc ソフト表面加飾技術 MTO 技術研究所桝井捷平 1. ソフト表面加飾プラスチックの加飾には多くの技術が使用されているその多くは見た目での高級感すなわち視覚的高級感の付与が中心であるが自動車の内装部品の中で手に触れる機会の多いインストルメントパネルドアトリムシートなどは目で見て触って心地よいすなわち視覚触覚的高級感が求められるまた近年はスマートフォンのケースなどでも従来のプラスチックが持つ硬質なイメージのものから