視線速度精密測定による G型巨星の惑星探し

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ありおきぜんじゅう
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1 視線速度精密測定による G 型巨星の惑星サーベイ III. 第 2 期プロジェクト観測 (2007~2009 年 ) の概要と実績第 3 期プロジェクト観測 (2009~2012 年 ) の概要佐藤文衛 1, 原川紘季 1, 大宮正士 2, Liu Yujuan 3, 泉浦秀行 4, 神戸栄治 4, 竹田洋一 5, 吉田道利 6, 伊藤洋一 7, 安藤裕康 5, 小久保英一郎 5, 井田茂 1 1 東工大, 2 KASI, 3 NAOC, 4 OAO, 5 NAO, 6 広島大, 7 神戸大 2010 年度岡山ユーザーズミーティング

2 G 型巨星惑星探索中質量星 (1.5~5M ) の周りの惑星探索早期型主系列星ではドップラー法による惑星検出は困難太陽型星に比べてサーベイが進んでいない惑星形成の普遍性を探る原始惑星系円盤をもつ若い中質量星 (Herbig Ae/Be 星 ) は多数見つかっている最近は若い中質量星で惑星の直接検出もあり惑星形成の中心星依存性を明らかにする原始惑星系円盤の質量大惑星頻度大? 惑星質量大? 中心星光度大固体物質欠乏? 惑星形成阻害? 原始惑星系円盤の寿命短惑星形成移動のタイムスケール? 中心星の進化と惑星系の進化潮汐力により惑星が中心星へ落下恒星進化の理解

3 Why G giants? 惑星をもつ恒星の分布 A4 型矮星 G9 型巨星太陽我々のターゲット GK 型巨星 0.6<B V<1.0 3<M V <2.5 δ> 25 σ RV <10 20 m/s 晩期 G 型 ~ 早期 K 型の巨星は視線速度精密測定による中質量星まわりの惑星探索に適している

東アジアプラネットサーチネットワーク East Asian Planet Search Network

88m 鏡 300 GK giants (V<6), since 2001 9 planets and 1

16m 鏡 (+ 岡山 ) 100 GK giants (V~6), since 2005 (1 planet

すばるプロジェクト : すばる8.2m 鏡 (+ 岡山 ) >200 GK giants (6.

4 東アジアプラネットサーチネットワーク East Asian Planet Search Network (EAPSNET) 岡山プロジェクト : 岡山 1.88m 鏡 300 GK giants (V<6), since planets and 1 brown dwarf 日中協力 : 興隆 2.16m 鏡 (+ 岡山 ) 100 GK giants (V~6), since 2005 (1 planet and 1 brown dwarf) Liu, Wang, Zhao et al. 日韓協力 : 普賢山 1.8m 鏡 (+ 岡山 ) 190 GK giants (V<6.5), since brown dwarf Han, Lee et al. すばるプロジェクト : すばる8.2m 鏡 (+ 岡山 ) >200 GK giants (6.5<V<7), since planet and 1 brown dwarf 日土協力 :TUBITAK 1.5m 鏡 50 GK giants (V~6.5), since 2008 Selam, Bikmaev, Yilmaz et al. Goal: ~100 planets from 1000 stars

5 第 2 期プロジェクト観測 : 目的第 1 期プロジェクト (2004~2006 年 ) で複数の惑星候補検出その統計的性質は太陽型星の惑星とは違う可能性があることが分かったこれを踏まえて第 2 期 (2007~2009 年 ) のプロジェクト観測では時間軸の延長周期の確定していない惑星候補の軌道決定ターゲット全体の時間軸を延ばし ( 最長 9 年 10AU の約 3 分の 1) 3~ 4AU 以内の惑星系について均質なサンプルに基づく統計数 AU~10AU の惑星形成効率は太陽型星との比較において重要さらに長周期の惑星多重惑星系の頻度推定サンプルの拡大とフォローアップ現在日中韓で約 600 個のターゲットを観測中 ( 目標 1000 個 ) 中国ターゲットのうち未着手の約 50 個を岡山に移しサーベイを加速すばる HDS で見つかった候補のフォローアップ

6 第 2 期プロジェクト観測 : 計画申請夜数半期 35 夜 (7 夜 5 回 ) 3 年観測対象継続 300 天体中国からの移行 50 天体すばる他からの重要天体観測内容ヨードセルを用いた視線速度精密測定惑星をもつ候補 ( 約 30 個 ) 1~2 ヶ月に 1 回順調それ以外の継続天体 ( 約 270 個 ) 年 2 回程度順調中国からの移行分 ( 約 50 個 ) まず最初の 1 年半で 3 回現在は視線速度変化を示す天体を中心に定期的なモニターに移行他のサイトからの重要天体のフォローアップ現在は特にすばる天体を重点的に観測大気パラメータ決定組成解析用スペクトルの取得中国からの移行分 A 完了 (Liu et al. 2010) 惑星をもつ候補 A ( 余裕があれば実際はあまりない ) 恒星活動の調査視線速度の周期的変化を示す天体を中心に CaIIHK 線領域 HIDES の CCD モザイク化により視線速度データと同時に取得可能 ( 但し効率は低い )

7 観測実績 :2007 年 1 月 ~2009 年 12 月天候の内訳曇など 46% 観測不可能日使えないデータしかとれなかった日快晴 22% 晴薄曇 32% (2004~2006 年とほぼ同じ内訳 ) 観測実施率達成率 2007 年 : 実 56% 達 81% 2008 年 : 実 54% 達 80% 2009 年 : 実 53% 達 71% (2010 年前 : 実 48% 達 73%) ほぼ満足のいく達成率使えるデータがとれた日 % : 達成率 : 実施率割当夜数 : 合計 208 夜 2007 年 : 前 35 夜後 35 夜 2008 年 : 前 34 夜後 35 夜 2009 年 : 前 35 夜後 34 夜 (2010 年 : 前 36 夜後 38 夜 ) ほぼ希望通りに割り当てて頂いた

8 発表された成果査読論文 8 編 (2007 年以降それ以前には関連論文 3 編あり ) A Planetary Companion to the Hyades Giant ε Tauri Sato et al. 2007, ApJ, 661, 527 A Substellar Companion to the Intermediate Mass Giant 11 Comae Liu, Sato, Zhao, et al. 2008, ApJ, 672, 553 Planetary Companions around Three Intermediate Mass G and K Giants: 18 Delphini, ξ Aquilae, and HD Sato et al. 2008, PASJ, Stellar Parameters and Elemental Abundances of Late G Giants Takeda, Sato, and Murata, 2008, PASJ, 60, 781 Planetary Companions to Evolved Intermediate Mass Stars: 14 Andromedae, 81 Ceti, 6 Lyncis, and HD Sato et al. 2008, PASJ, 60, 1317 A Planetary Companion Orbiting the Intermediate mass G Giant HD Liu et al. 2009, RAA, 9, 1 NEW! Substellar Companions to Evolved Intermediate Mass Stars: HD and HD Sato et al. 2010, PASJ, 62, 1063 すばると岡山による初の惑星褐色矮星の発見 NEW! Stellar Parameters and Abundance Analysis of 58 Late G Giants Liu et al. 2010, PASJ, 62, 1071 興隆 ( 中国 ) との共同研究興隆サンプルの物理パラメータ化学組成解析記者発表 3 回 ( 会見 2 回ウェブリリース1 回 ) さらに現在 3 編の論文を準備中 ( 岡山 1 日中 1 すばる1)

9 Star Name EAPSNET によるこれまでの発見 Sp. Type Stellar Mass (M ) Stellar Radius (R ) Planetary Mass (M JUP ) Semimajor Axis (AU) Eccen tricity Metallicity ([Fe/H]) (dex) 備考 HD G6III 日韓 ε Tau K0 III Com G8 III 日中 HD K0 III すばる 81 Cet G5 III Del G6 III HD G9 III ξ Aql K0 III And K0 III HD K0 III IV HD G8 III 日中 HD K0 III すばる 6 Lyn K0 IV HD K1 IV

惑星頻度 vs. 中心星質量 Johnson et al. (2007) KM dwarfs 0.1 0.

9M 9% OAO サンプル (>0.8M JUP ) 17% (5/30) 全て < 2.5M JUP 全て > 2.

10 惑星頻度 vs. 中心星質量 Johnson et al. (2007) KM dwarfs M 2% Gdwarfs M 4% F dwarfs, G subgiants M 9% OAO サンプル (>0.8M JUP ) 17% (5/30) 全て < 2.5M JUP 全て > 2.5M JUP GK giants 1.9 3M GK giants 3 5M 5% (10/184) 3.0 0% (0/61) 注 : おそらく下限値

1 Detection limit :Red clump giants (1.7 3.

11 軌道長半径 Inside of central star? Msini (M JUP ) Detection limit :Red clump giants ( M ) :Subgiants ( M ) :K giants (<1.6M ) :FGKM dwarfs Semimajor Axis (AU) Sato et al. 2008

12 理論予測 : 惑星頻度軌道長半径 Kennedy&Kenyon 2008 円盤散逸前に形成移動? ガス惑星の頻度スノーライン <10AU ( 光学的に厚い円盤 ) スノーライン >10AU ( 光学的に薄い円盤 ) 中心星質量 (M ) 移動前に散逸移動阻害見つかっている惑星 Currie 2009 中心星質量 ( 太陽質量 ) ( 大質量星ほど円盤が早く散逸すると仮定 ) 巨大惑星の頻度は惑星形成期のスノーラインの位置に敏感内側領域の惑星分布は円盤散逸と惑星形成移動の時間尺度の兼ね合い

中心星進化の影響 AB dwarf (~2R ) 理論計算実行中 ( 國友生駒 @ 東工大 ) G giant (10-20R ) RGB stars K giant (~40R ) G giant

13 中心星進化の影響 AB dwarf (~2R ) 理論計算実行中 ( 國友東工大 ) G giant (10-20R ) RGB stars K giant (~40R ) G giant (He-burning star) 潮汐相互作用 AU Pre-RGB より Post-RGB の滞在時間の方が圧倒的に長い (~ 数倍 ) 1000 天体くらい観測すれば両者の統計的な議論が可能

14 4AU 以遠の惑星候補 M p sini=4m JUP a=4au M =3M 軌道フィットは予備的約 15 天体が 1000 日以上のタイムスケールの長期変動を示す M p sini=27m JUP a=10au M =3.4M 時間軸をさらに延ばす意義がある

15 多重惑星系 b P=323d (a=1.3au), Msini=19M JUP c P=428d (a=1.5au), Msini=1.8M JUP d? P=620d (a=2au), Msini=1.3M JUP 平均運動共鳴? b P=427d (a=1.4au), Msini=2M JUP c P=975d (a=2.5au), Msini=6.5M JUP

16 中国サンプルからの惑星候補 b: P=367d (a=1.2au) M p sini=1.7m JUP c: P=655d (a=1.8au) M p sini=1.4m JUP Preliminary 中国から移した 50 天体のうち 17 天体を岡山で継続観測

17 すばるサンプルのフォローアップ 2006~2008 年にすばる /HDS で観測した 200 天体 ( 各天体につき 3 回観測 ) 31 天体を岡山で継続フォローアップ New Discoveries! Sato et al σ RV =30~200 m/s フォローアップすばるで候補発見岡山でフォローアップ HDS HIDES

18 第 3 期プロジェクト観測 : 目的さらなる時間軸の延長 4AU 以遠 ( 周期 1000 日以上 ) の惑星頻度を明らかにする同時に低質量惑星 (<2M JUP ) の検出限界をできるだけ正確に見積もる惑星形成期のスノーラインの位置惑星形成メカニズムに制限惑星発見数の増大すばる等で発見した多数の候補天体のフォローアップを継続中心星近傍における惑星欠乏の原因を統計的に議論他の望遠鏡時間の獲得も引き続き推進

19 第 3 期プロジェクト観測 : 計画申請夜数半期 40 夜 (6 7 夜 6 回 ) 3 年観測対象 (A)2001 年から継続している岡山オリジナル天体 300 個 (B) すばる他からの要フォローアップ天体 48 個観測内容ヨードセルを用いた視線速度精密測定上記 (A) についてすべてについて最低年 4 5 回 ( これまでより多め ) 上記 (B) について年 5 8 回程度視線速度標準星も毎回数個観測組成解析用スペクトル ( 兼視線速度解析用テンプレート ) の取得上記 (B) のうち半数について取得する必要あり恒星活動の調査視線速度の周期的変化を示す天体を中心に CaIIHK 線領域 HIDES の CCD モザイク化により視線速度データと同時に取得可能 ( 但し効率は低い )

20 まとめ第 2 期プロジェクト観測観測達成率は 3 年間の平均で 77% 実施率達成率ともに第 1 期とほぼ同じプロジェクト観測のおかげ成果は順調に出ている惑星発見論文化学組成解析論文統計的性質に関する論文もなるべく早くまとめたい理論面での共同研究が進みつつある積み残しの課題恒星活動関連データベース整備ウェブ等第 1 期の頃からあまり進展なし第 3 期プロジェクト観測低質量惑星の検出限界をおさえるために各天体の観測頻度を増やす => フォローアップ天体の数をこれ以上増やせないファイバー化によるスループット向上に期待他の望遠鏡時間獲得も引き続き努力するが十分な実績があり安定した観測が期待できる岡山プロジェクト観測はこの研究の生命線

高軌道傾斜角を持つメインベルト小惑星の可視光分光観測

高軌道傾斜角を持つメインベルト小惑星の可視光分光観測天文天体物理夏の学校 @ 福井神戸大学 M2 岩井彩背景小惑星岩石質の太陽系小天体であり彗星活動を行わない分類軌道長半径による空間分布可視光波長域のスペクトル形状 ( 大きく 5 種類 ) 空間分布による分類メインベルト ( 小惑星帯 ) 太陽から 2.1-3.3AU 離れた環状の領域軌道が確定した小惑星の約 9 割が存在トロヤ群木星のラグランジュ点