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たみじろうなつ
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1 標準化教育プログラム [ 個別技術分野編ー電気電子分野 ] 第 9 章情報家電本資料は, 経済産業省委託事業である平成 19 年度基準認証研究開発事業 ( 標準化に関する研修教育プログラムの開発 ) の成果である 2009 年 2 月 22 日改訂ソニー株式会社江崎正 ( 標準講義時間 90 分 )

2 学習のねらい第 9 章情報家電 1 情報家電分野での標準化における位置づけが, 生活嗜好, マーケット依存型であることを理解する 2 情報家電分野での標準化の目的が互換性, 公正競争確保にあることを理解する 3 情報家電分野での標準化では, コンソーシアムでの標準化が盛んであり, スピードが要求されるという特徴を理解する 4 情報家電分野での国際標準化の歴史, 過程を学ぶ 5 情報家電分野での主な国際標準化組織と, その役割を知る 6 情報家電分野での今後の方向性( 研究開発 ) を考える情報家電 2 解説キーワード : 産業と国際標準化情報家電 ( 産業 ) 分野の標準化が他の標準化と違うところ, 特徴的なところを理解してもらうことを主眼としたあとは, どのような規格があるのか, どのようなところで規格化が進められているのか, など情報家電分野の国際標準化の全体が掴めるようにした今後, 産業界としてR&D, コンソーシアム, フォーラム活動と国際標準化をどう有機的に結びつけていくかを課題として考えたい

3 目次第 9 章情報家電 1 情報家電とは 2 標準化の中での位置づけ 3 情報家電標準化の目的 4 情報家電標準化の特徴 5 情報家電標準化の歴史 6 情報家電標準化組織 7 情報家電標準化の今後 8 まとめ情報家電 3

1 情報家電とは家電 + 情報技術コンピュータ, インターネット, ネットワークなどの情報技術を利用, 適用して, 画像, 映像, 音声, 文字情報などを楽しむことができる家電製品のことデジタル家電とも呼ばれるテレビ, ラジオビデオ,DVD/HDDレコーダプレーヤビデオカメラ CDプレーヤ, ミニコンポデジタルスチルカメラメモリーオーディオプレーヤ AVパソコン多機能携帯電話などなど

4 1 情報家電とは家電 + 情報技術コンピュータ, インターネット, ネットワークなどの情報技術を利用, 適用して, 画像, 映像, 音声, 文字情報などを楽しむことができる家電製品のことデジタル家電とも呼ばれるテレビ, ラジオビデオ,DVD/HDDレコーダプレーヤビデオカメラ CDプレーヤ, ミニコンポデジタルスチルカメラメモリーオーディオプレーヤ AVパソコン多機能携帯電話などなど情報家電 4 情報家電とはどのようなジャンルのものか, をまず認識してもらう情報家電の定義は曖昧であり, 解釈によって大きく変わるここでは主な例を示しており, ここに記載したものが全てではないので, 注意していただきたいこのテキストでは, 過去のオーディオ, ビデオカセットなど情報家電とは言いにくいものも含めているが, 元となるオーディオ, ビデオの標準化活動, 例えばIEC TC 100の活動の歴史を知る上で大事なので含めて説明している多機能携帯電話, プリンター,FAX 類については, 情報家電の範疇に入るものと思うが, 標準化の点で, 産業界が違う ( 携帯電話は通信キャリア主導, プリンター,FAX 類はJBMIA 主体 ) こともあり, このテキストでは解説していない, PCが含まれるかどうかは微妙であるが,AVを扱ういわゆるAVパソコンは情報家電の標準化の対象に含まれると考える情報家電という語について学会や業界で明確な定義はなされていないと思われる

5 2 標準化の中での位置づけ社会的標準社会生活に必須であり, 規格が乱立すると生活に支障を来たすもの法規制などで強制が必要なものインフラ ( 電気, 電話など ), 安全, 環境など市場的標準社会生活そのものに支障を来たさないもの人の生活を豊かにするもの企業間で自由に競争強制ではない任意標準ビデオカセットフォーマット, 光ディスクフォーマットなど情報家電 5 標準化にもいろいろあるが, その中で, 情報家電はどのような位置づけになるのかを理解してもらう情報家電分野の規格は, なくても生活に支障のでるものではない例えばビデオカセットがVHSとベータの2 方式あったからといって, ちょっと不便かもしれないが, 生活できなくなるというほどのものではない統一されればユーザにとって使い勝手上, 望ましいものではあるが, 逆に産業の立場から見るとそこに自由競争があるわけで, それがゆえに, 性能, 機能が切磋琢磨して向上し, かつ値段が下がるという側面もある標準化は過度に自由競争を阻害するべきではないと考えるすなわち真のデファクト標準は市場が決めるのであるそれがマーケット依存型, 市場的標準とした理由である情報家電の標準化の中にも, 強制になりうるものがあるので上記が全てではないことに注意例えば, 消費電力測定方法などは, 省エネ法の法規制から参照される可能性があるカタログなどの表示方法も, 公正取引法による規制の一部を担うことになる ( これらは市場のための標準化であるが, それをビジネスとして企業が率先して標準化するものではないので, 社会的標準化と言えるだろう )

6 3 情報家電標準化の目的 1 情報家電の標準化はインフラ系や安全等に関わる社会的標準化と異なり, 生活嗜好型, マーケット依存型の市場的標準化と言える標準化の目的は互換性の確保 ( フォーマット, プロトコル ) Interchangeability ビデオカセット, 光ディスク, 他. Interoperability CODEC,DRM, 色管理, 他 Interconnectivity デジタルIF, ネットワークプロトコル, 他. 公正な競争の確保用語測定方法, 表示方法 ( カタログ, 取説への記載, 省エネ対応等 ) 情報家電 6 前頁で述べた標準化の分類を確認, 具体的な目的を理解してもらう生活を豊かにする標準, という意味で生活嗜好, 市場がデファクトを決めるのでマーケット依存型とした情報家電では互換性が最も重要である Interchangeabilityはベータ,VHS,DVDのようなメディアの互換性 DVDは IEC TC 100では標準化していないが, 物理層のフォーマットはISO/IEC JTC 1/SC 23で標準化しているこれはオーディオ, ビデオだけでなく, 汎用記録データメディアであるため, データ記録の技術委員会であるJTC 1/SC 23で標準化した AVフォーマットはコピープロテクションなどのセキュリティ, 秘密情報を含むこともあり, フォーラム内規格に留まっている InteroperabilityのCODECは音声, 画像の圧縮フォーマットこの方式そのものはJTC 1/SC 29で標準化している情報家電ではSC 29の規格およびコンソーシアム規格, プライベート規格を参照している形 DRMはDigital Rights Management TC 100で標準化を検討しているが, 既存の方式が多々あり一つにまとめるのは難しい状況色管理は別アイテムで詳述されるカタログなどの表示は, 公正取引法によって規制対象になる数値を表示する場合には, 公開された測定方法による必要があり, 測定方法の標準化は重要である省エネも今後強化されるであろうポイント環境問題に関連し世界的に規制が強まるので測定方法は欠かせない

3 情報家電標準化の目的 2 Interchangeability Interoperability Interconnectivity 情報家電 7

InterchangeabilityはCDやDVDの互換性を示したあるレコーダで記録したメディアがどのプレーヤでも再生できることを意味する

Interoperabilityは色管理について示したどのディスプレイでも同じ色が再現されることが望まれておりそのための色管理規格 (srgbなど) が制定されている (

7 3 情報家電標準化の目的 2 Interchangeability Interoperability Interconnectivity 情報家電 7 Interchangeability Interoperability Interconnectivityの各々の例を示した InterchangeabilityはCDやDVDの互換性を示したあるレコーダで記録したメディアがどのプレーヤでも再生できることを意味する現実にはDVDに種々の派生フォーマットができてしまっておりユーザにはわかりにくいという批判もある大きなフォーラムの運営の難しさを象徴している Interoperabilityは色管理について示したどのディスプレイでも同じ色が再現されることが望まれておりそのための色管理規格 (srgbなど) が制定されている ( 印刷とディスプレイの色の違いはなかなか難しいものがあるが ) Interoperabilityの例としては他にCODECやDRMが挙げられる Interconnectivityはデジタルオーディオインターフェースを示した CDからMDへの録音 ( コピー ) をするためにデジタルオーディオインターフェースで接続するがその仕様が規格化されていないとつなぐことができない

8 4 情報家電標準化の特徴 1 情報家電の標準化は, マーケット依存型の標準化であるため,ISO/IEC,JIS などのデジュール標準化に比べ, ビジネス中心のコンソーシアムやフォーラムによる標準化が盛んであるまた, この分野は技術の進展が速く, 市場が急速に立ち上がることが多いので, 標準化にはスピードが要求される改定の頻度も多くなる傾向にあるコンソーシアム, フォーラムの例としては, 下記がある DVDフォーラム 1394TA DLNA UPnPフォーラム ECHONETコンソーシアム HDMI BDアソシエーションなどコンソーシアムですでに出来上がった標準 ( コンソーシアム標準 ) を Fast Track などを利用して,IEC 等国際標準化の場で国際規格化する例が多い情報家電 8 情報家電の標準化の特徴について理解してもらう情報家電は市場的標準化であることを述べたが, したがって, ビジネス上企業間で速く進めるという本質がある近年,1 企業でフォーマットを掌握することが困難になってきたため, グループを作り標準化を進めることが多いコンソーシアムとフォーラムの違いは, 対立するグループがあるかないかの違いと認識している例えばDVDはほとんどの企業が賛同しているためフォーラムであるフォーラムは概して大規模になる 1394TAはIEEE 1394を使った Trade Associationでビジネスを広げていこうという企業の集まりで標準化だけでなくビジネスプロモーションを行なうものである DLNAはDigital Living Network AllianceでIPをベースにしてAV 中心のホームネットワークの相互運用を図る団体である UPnPはMicrosoftが提唱した規格でPCを中心としてネットワーク機器の多くが採用している方式である ECHONETは日本国内の主に白物家電を中心とした制御プロトコルであるが,AV 信号も扱う HDMIはTVへのデジタル入力端子の標準化団体 BDアソシエーションはBlu-ray Discの標準化団体 Fast Trackとは, 国際標準化において, 提案段階などの初期のステージを省略して最終投票の段階から標準化に入れる手続きであり, 国家規格, 地域規格, 団体規格がすでにできている場合, 標準化組織の定める基準 ( 例えばPメンバー, リエゾンレベル等 ) に従って適用することができる JTC 1ではECMAというリエゾン団体からのFast Track 標準化がよく行なわれている一般に国際標準化は非常に時間がかかると言われているが, 情報家電の領域のスピードに対応するために,TC 100では特別迅速法というものを採用している最短 1 年弱で標準化できる Fast Trackも含めこの分野の標準化のスピードは他のTCに比べ速くなっているデジュール標準化は若干時間がかかるのは事実であるが必ずしもデジュール標準化がなじまないというわけではない

4 情報家電標準化の特徴 2 家庭用ビデオカセットフォーマットの標準化の例ベータマックス vs VHS ベータ (Beta): ソニー東芝三洋 NEC (IEC 60767) VHS: ビクターパナソニック日立三菱シャープ (IEC 60774) どちらも国際標準決めたのは市場情報家電 9 情報家電の標準化の一例としてベータマックスと

9 4 情報家電標準化の特徴 2 家庭用ビデオカセットフォーマットの標準化の例ベータマックス vs VHS ベータ (Beta): ソニー東芝三洋 NEC (IEC 60767) VHS: ビクターパナソニック日立三菱シャープ (IEC 60774) どちらも国際標準決めたのは市場情報家電 9 情報家電の標準化の一例としてベータマックスと VHS の家庭用 VTR のフォーマット戦争についてとりあげた実はどちらも国際標準になっているが最終的に勝敗を決めたのは市場であった国際規格になったからといって勝者になるわけではないまた規格がなかったりこのように規格が複数できたり乱立したりしても多少生活に不便ではあるが生死や基本生活に関わるものでないこともこの分野の標準化の特徴である

10 4 情報家電標準化の特徴 3 家庭用ビデオカセットフォーマットの標準化の例 ( 考察 ) ベータマックス vs VHS 販売力生産性性能は若干ベータの方がよかったがフォーマットシェアとカンパニーシェア 8mm Video vs VHS-C (Video camera recorder) 基本設計で差 Hi 8 vs S-VHS vs ED-Beta 小刻みなフォーマット改良はフォーマットの限界情報家電 10 情報家電分野のフォーマット戦争について考察を記したあくまでビジネスが主体の標準化戦争ということがわかる販売力マーケティング力生産性など会社を集めるアライアンスが重要になってくるフォーマットというものはある時期の技術レベルを元に性能向上を見込んで多少背伸びをしたフォーマットを作ることになるが性能向上が進むとそのフォーマットでは性能を活かしきれなくなりフォーマットのマイナーチェンジを行なうことになるそれが何度も繰り返されると設計上も使用上も制約が増えフォーマットとしての限界を迎えることになるそのすると次世代フォーマットへの移行となる

11 IEC TC 100 の特別迅速法 ( トピックス ) IEC TC 100 では情報家電のような Fast moving な技術の標準化を迅速に進めるため,TC 100 Fast Standardization Procedure を運用している完成度の高い文書であることが前提年に 2 回の Advisory Group on Management(AGM) 会合で審議審議文書 (NP) は AGM 会合の 1 ヶ月までに提出各国に Expert のノミネーションを募集 (1 ヶ月間 ) Project Leader 含め 3 ヶ国以上の Expert AGM で適用するかどうかを決定 ( 各国の NP 投票なし ) 次のステップは CDV 発行この手続きにより,NP の 3 ヶ月,CD の 3 ヶ月,FDIS の 2 ヶ月を省略最短,1 年弱で標準化可能この手続きは,Fast moving 技術の標準化を考慮して, 当時の CA(Committee of Action)= 今の SMB (Standardization Management Board) で認められたもの SMB の監視の下, 運用を行なっている情報家電 11 TC 100 の特別迅速法の紹介国際標準化は意外と速い一般に行なわれているFast Trackと似たような運用ですコンソーシアム規格などは完成度が比較的高いので, それらを国際的に認定する手段としてよく用いられます国家規格, 団体規格でなくても提案可能提案できるのはNPと同様,Pメンバー国,Secretariat,A, Dリエゾンとなっています他にも,IECではNPとCDVを同時に提出する方法が認められていますこれも完成度が高い文書であることが前提で, なるべく, 事前にTC 内で合意をとることが望ましい NPとCDVを同時に提出し,3ヶ月のNP 投票後, 可決されたら, あと2ヶ月 ( 計 5ヶ月 ) でCDVの投票が終わる形になりますいずれにしても提案段階で, 完成度の高い文書を用意することがポイントになります

12 5 情報家電標準化の歴史 1 情報家電の国際標準化はテレビ受信機関連の標準化 (IEC SC 12A TC 100) オーディオレコーダ, ビデオレコーダ関係の標準化 (IEC TC 60 TC 100) オーディオ, インターフェイス関連の標準化 (IEC TC 84 TC 100) デジタルスチルカメラを中心にした標準化 (ISO TC 42) IT 機器を中心としたホームネットワークの標準化 (ISO/IEC JTC 1/SC 25) などいくつかの分野にわたるこの他にも, 情報家電が利用している技術に関する標準化が, 放送系, 通信系は ITU, 無線系は IEEE, インターネット系は IETF などで行なわれているここでは, 主に AV マルチメディア関係の標準化を行なっている IEC TC 100 を中心にこれまでにどのような規格ができてきたかを概観する情報家電 12 情報家電分野の標準化の歴史を知ってもらうここでは情報家電の前身となるオーディオ, ビデオの時代からの標準化の歴史について概説する情報家電分野で最も中心的な国際標準化組織はIECのTC 100であるこれは1995 年にSC12A, 12G, TC60, TC84が合併されて当時流行ったマルチメディアの標準化のためにできたTCであるマルチメディアの進展が情報家電につながったと言えよう情報家電に含まれるものとして, デジカメがあるが, これはTC 100ではなく,ISO TC 42という元々銀塩写真の TCで行なわれている過去, このデジカメ領域をISO TC42でやるかIEC TC 100でやるか, の裁定がJTABで下り, ISO TC42が標準化をすることになったその代わり, 色管理と測定はIEC TC 100で標準化をすることになった情報家電でネットワーク化されるようになると, AVとITの融合の通り, 元々,SOFO, ホームオートメーションを標榜していたJTC 1/SC 25/WG 1とAVのネットワークを扱おうとするIEC TC 100とで作業領域がオーバーラップしてくるしかし, 得意分野が各々あるわけで, 各々適した標準化を行なうのがよいだろうリエゾンを強化して作業の重複だけは避けるようにしていくことになろう

13 5 情報家電標準化の歴史 IEC SC 12A 無線受信機 IEC TC 60 レコーディング 1964 IEC TC 84 AV 機器 1983 IEC TC 100 SC 100A SC 100B SC 100C IEC SC 12G 共同受信方式 SC 100D 1995 TC 100に統合 2000 TA 制導入 TC: Technical Committee SC: Sub Committee TA: Technical Area IEC TC 100 TA 1( 受信端末 ) TA 2( 色管理と測定 ) TA 4( デジタル IF) TA 5( ケーブルシステム ) TA 6( 放送用記録 ) TA 7( 民生用記録 ) TA 8( ホームサーバ ) TA 9( ネットワーク ) TA 10( 電子ブック ) 2006 TA 11( クォリティ ) ISO TC 42/WG 18 電子写真 ( デジカメ ) 1984 ISO/IEC JTC 1/SC 25/WG 1 IT 機器ホームネットワーク 1987 JTC 1 情報家電 13 各 TCの過去の経緯を知ってもらう IEC TC 100は他のTC/SCと, 少し異なるTechnical Areaという組織体制になっている TC 100はフラット組織で, 規格の開発は全てプロジェクトチーム単位, 投票もTC 100レベルで行なわれる同じ技術領域のプロジェクトを集めたグループがTechnical Area(TA) と呼ばれるものである規格化のステップの判断, 文書処理等はTAのManager (TAM) とTechnical Secretary (TS) が行い,Sub committee 同等の組織となっている共同受信方式というのは, いわゆるケーブルテレビシステムのことであり, 現在のTA 5になっている TAは技術や製品群の進展にあわせてフレキシブルに設置廃止される当初はTA 7までであったがその後 TA 3 ( 赤外線 AV 伝送 ) が標準化完了と共に廃止され TA 8~TA 11が新たに設置されている

14 5 情報家電標準化の歴史 3 オーディオ録再関係 IEC シリーズテープレコーダ IEC レコードプレーヤ IEC コンパクトディスク (CDDA) IEC シリーズ DAT IEC MD ビデオ録再関係 IEC Betamax IEC , -2 Beta HiFi IEC シリーズ VHS IEC シリーズ 8mm Video IEC 60856, 857 Laser Disc IEC シリーズ DV IEC Still video floppy (Mavica) ISO/IEC DVD ROM 情報家電 14 過去どのような規格が制定されたかを知る ( さらっと流してよい ) オーディオレコーダ, ビデオレコーダのほとんどのものが規格になっている VHSとベータは両方とも国際規格となっており, 最終的に市場がデファクトを決めた DVDは物理層のみJTC 1で汎用データ記録媒体として規格化されている (R,RAM,RWなども同じ) IEC 61122のStill floppyはアナログ記録で, もはや商品は出されていない

15 5 情報家電標準化の歴史 4 インターフェイス関係 ( 電気電子分野 7 で詳述 ) IEC シリーズデジタルオーディオIF ( リニアPCM) IEC シリーズデジタルオーディオIF ( 圧縮信号 ) IEC シリーズ IEEE 1394(iLink) IEC 61880, -2 CGMS-A (525i, 525p) IEC CGMS-A (625p) 機器仕様関係 IEC シリーズ音響機器 ( スピーカ, マイク, アンプ他 ) IEC ISDB 受信機規格 IEC , -2 衛星アンテナ規格 IEC DAB 受信機規格カラーマネジメント関係 ( 電気電子分野 4 で詳述 ) IEC シリーズ色管理と測定方法情報家電 15 過去どのような規格が制定されたかを知る ( さらっと流してよい ) CGMS-AとはCopy Generation Management System-Analogの略であり, ビデオ信号のV.Blankingエリア ( 垂直帰線期間 ) にコピー制御情報を伝送する信号フォーマットである

16 5 情報家電標準化の歴史 5 測定方法関係 IEC ワウフラッター測定方法 IEC シリーズ TV 受信機測定方法 IEC シリーズラジオ受信機測定方法 IEC シリーズ民生用 VTR 測定方法 IEC シリーズ衛星受信機測定方法 IEC CDプレーヤ測定方法 IEC シリーズデジタルオーディオ機器測定方法 IEC シリーズカメラレコーダ測定方法 IEC 待機電力測定方法 IEC MDプレーヤの測定方法 IEC 民生用デジタルVTR 測定方法 IEC DVDプレーヤ測定方法伝送フォーマット関係 IEC シリーズ赤外線 AV 伝送フォーマット情報家電 16 過去どのような規格が制定されたかを知る ( さらっと流してよい ) フォーマットがあればその機器の測定方法がある, というのが標準デジタル化されても基本的な測定方法は変わらないものが多いが, デジタル化で性能数値の表記自体に意味がない項目が多い ( 性能の差が出にくい )

17 5 情報家電標準化の歴史 6 ホームサーバ関係 IEC ホームサーバコンセプトモデル IEC ホームサーバボキャブラリ IEC UDFファイルシステムAPI IEC 62328シリーズホームサーバ番組記録フォーマット IEC Digital rights パーミッションコード電子ブック関係 IEC E-book コンセプトモデル IEC E-book e-パブリッシング汎用フォーマット IEC E-book e-パブリッシングリーダフォーマットデジタルスチルカメラ関係 JEITA CP-3451 画像ファイルフォーマット規格 Exif 2.2 JEITA CP-3461 カメラファイルシステム規格 DCF 2.0 ISO デジタルスチルカメラISO 感度 ISO デジタルスチルカメラ解像度測定方法情報家電 17 過去どのような規格が制定されたかを知る ( さらっと流してよい ) ホームサーバという概念は一般的に知られるようになったが, 製品としてはまだ市場に出回っていないおそらくテレビなどがその機能を含むようになるであろうその中でどのような標準が必要か見えないところも多いデジタルスチルカメラについては,ISO TC 42, 国内ではCIPA( カメラ映像機器工業会 ) が標準化を担当しているが, DCFとExifだけはJEITA 規格となっているこれらは元々 JEIDA( 日本電子工業振興協会 ) が制定した規格で,EIAJ とJEIDAの合併によってJEITA 規格となったものである ISO TC 42では写真関係企業の力が強く, 組織的に改定される危険性があるため, あえて国際規格にしていないと聞いている

18 6 情報家電標準化組織 1 情報家電関連の標準化は, コンソーシアム, フォーラム各国標準化団体 (JEITA,CIPA,CEA など ) 地域標準化組織団体 (CENELEC,EICTA など ) 国際標準化組織 (IEC,ISO,ISO/IEC JTC 1,ITU) の各レベルで階層的に行なわれている国際標準化組織は国レベルの参加となっており, 各国によって国内の審議体制は様々である日本の場合, 日本工業標準調査会 (JISC) から国内の標準化団体等に審議が委託され, 受託審議団体で実質審議が行なわれる以下, 情報家電に関係する, 日本国内の審議体制と国際標準化組織との関係について説明する JEITA: 電子情報技術産業協会 CIPA: カメラ映像機器工業会 CEA: Consumer Electronics Association (USA) CENELEC: 欧州電気標準化委員会 EICTA: 欧州電子情報技術工業会情報家電 18 情報家電の標準化がどのような組織で行なわれているかを知る各レベルで標準化が行なわれているが, それらは互いに関係しており, 各国国際, 地域国際と上がってくるのが普通である JEITAは日本のAV 関係企業が集まる主団体 CIPAはカメラ関連メーカの団体 CEAは米国の民生電子工業会である情報家電分野では, 工業会間 (EICTA,CEA,JEITA) で定期的に情報交換を行なっている

19 6 情報家電標準化組織 2 IEC TC 100(AV マルチメディア ) と ISO TC 42( デジカメ ) の例受託団体が投票 IEC TC 100 JTC 1 ISO TC 42 受託団体が投票議論参画国内審議委託日本工業標準調査会 (JISC) 国内審議委託議論参画 TC 100 国内委員会 JEITA ( 電子情報技術産業協会 ) 標準化委員会委員会組織で実質審議 JEITA 規格発行 ISO TC 42 国内協議会感光材料工業会デジタル画像部会 CIPA ( カメラ映像機器工業会 ) 下部組織で実質審議情報家電 19 国際標準化機関と国内審議の関係を知る JISCが総窓口 ISO,IECの日本の代表窓口はJISCであるしたがって投票作業も全て建前上 JISCから行なわれるしかしJISC 自体は著名な方々を集めた委員会組織で作業の実体がない ( 事務局は経済産業省 ) ので, 各 TC 毎に国内審議団体が指定されており, 実質審議および投票はその審議団体にて行なわれる国際会議出席なども審議団体が直接対応する ( 委員会参加会社の委員が出て行くことになる ) 国内の意見取りまとめは受託審議団体が事務局として行なう TC 100ではJEITAが事務局となってTC 100 国内委員会を構成し, 意見を取りまとめている

20 6 情報家電標準化組織 3 情報家電関連の国際標準化と受託審議団体 IEC TC 100 ISO TC 42 WG 18 ISO/IEC JTC 1 SC 25/WG 1 タイトルオーディオ, ビデオマルチメディアシステム及び機器写真 / 電子写真 IT 機器 / ホームネットワークリエゾン団体 AES,SMPTE,CIE,ICC, 1394TA,EBU,DVB, DVD 他 CIE, ICC ECMA,IEEE 802, IEEE 1394,ATM Forum 受託審議団体 JEITA ( 電子情報技術産業協会 ) CIPA ( カメラ映像機器工業会 ) ITSCJ ( 情報規格調査会 ) 情報家電 20 標準化組織毎の一覧を示すことで, 理解を深める AESはAudio Engineering Sociery( プロオーディオ関係者の学会 ) SMPTEはSociety of Motion Picture and Television Engineer( 放送関係者の標準化団体 ),CIEは国際照明委員会, ICCはInternational Color Consortium,EBUは欧州の放送団体,DVBは欧州デジタル放送フォーラム ECMAはECMA Internationalといい, 元々は欧州のコンピュータ工業会であったが, 今では, 国際的な民間の標準化団体となっている JTC 1とリエゾン関係があり,Fast TrackでJTC 1に持ち込める JTC 1 規格にはECMAが実質審議を行なっているものも数多い

21 7 情報家電標準化の今後情報家電の今後はいつでも, どこでも, 誰とでも ( ユビキタス ) 映像, 音声, 文字情報等が楽しめるエンターテインメントの世界そのために必要な標準化は? デジタル放送受信機,IPTV ホームネットワーク (AV 機器,IT 機器, 通信機器 ) プロトコル例えば,DLNA,ECHONET などコンテンツプロテクション, プライバシー保護例えば,DRM(Digital Rights Management) 安定した品質の提供 (QoS QoE) 例えば,AV リップシンク評価方法, 調整方法例えば, 圧縮音声, 画像評価方法アクセシビリティ障害者高齢者の方でも使うことができる操作性省エネ ( 消費電力測定方法 ) などなど情報家電 21 情報家電の今後はどうなるか一緒に考えてもらう IPTVはインターネットなどIPベースで行なわれる放送サービスシステム全体はITU-Tで議論されているが, 受信機関連はIEC TC 100の範疇コンテンツをどこでも自由に楽しめるようにするには,DRM(Digital Rights Management) の統一がユーザからは期待されるところであるが, 権利関係, 既存システムの関係で難航が予想される QoSはQuality of Service,QoEはQuality of Experience ネットワークを介したときの映像, 音声の品質保証をどうするかが問題 AVリップシンクは, 画と音に時間差がありずれてしまう現象ディスプレイのデジタル化, フラットパネル化により映像が遅れるケースが多くなってきており, 例えばホームシアターなどで画と音を別々に処理すると, 音が先に出てしまうという現象が起こり, 問題になっているオーディオアンプ側に遅延機能を入れている機種もあるこの減少の評価方法などが議論されているアクセシビリティは障害者高齢者対応設計日本はすでに高齢化社会に突入しているが今後世界的にその比率が増えてくる欧米では政府調達を中心に規制がかかりつつあり AVの世界でも検討する必要がある地球温暖化防止のため環境省エネは最重要テーマ消費電力待機電力の測定方法標準化はそのために必須ここでよくみてもらいたいのは光ディスクのような単体フォーマットものの標準化は姿を消すであろうことコンテンツの制作から配信受信にいたるまでデジタル化し IPネットワーク化されるとファイルフォーマットやコンテンツ保護プロトコルといったソフトウェアの標準化あるいはシステム全体をみた標準化が主流になってくるであろう

22 現在進行中今後予定の標準化テーマ ( トピックス ) IEC TC 100 では現在下記のプロジェクトが進行中である STB 消費電力測定方法 Cable システムの Set Top Box 等の消費電力測定方法各国省エネ規制に対応モバイル向け地上波デジタル放送受信機規格韓国 (T-DMB), 日本 ( ワンセグ ) の受信機規格の標準化 FTTH 対応ケーブル TV システムファイバーを用いて引き込まれるケーブル TV の規格化 MP 4 File エンコーディングルールインターネット等にある MP 4 ファイルの再生互換を図る DLNA ホームネットワークのプロトコルメディアフォーマットリンクプロテクション AV リップシンクの測定方法デジタル技術の進展により画像が遅れるケースが多くなってきており, 画像と音声にずれが生じる問題があるこのための評価方法 e-book Reader フォーマットなどなど情報家電 22 現在どのような規格化が行なわれているかを知る TVの消費電力測定方法の標準化が終了し今はデジタルチューナやケーブルボックスのようなSTB(Set Top Box) の消費電力測定方法が検討されているモバイル向け放送が世界各地で始まっておりその受信機規格の規定従来の受信機規格の改定が行なわれているケーブルシステムには最近ファイバーが使用されるようになってきたそれに対応するため光ファイバによるケーブルシステムの規格化が行なわれている You Tubeなどインターネット上にコンテンツがたくさん置かれるようになってきたところが同じMP 4ファイルであっても互換性がないものなどがありポータブル機器では再生できないなどの問題があるそれを解決するためある程度エンコーディングのルールを決めようというのがMP 4 File エンコーディングルールである DLNAはホームネットワークのプロトコルや標準的なメディアをガイドラインとして定めたもの Part 3としてリンクプロテクション ( コンテンツの保護方法 ) の標準化が検討されている e-bookのreaderフォーマットは,generic formatと呼ばれる汎用フォーマット ( 標準化済み ) を個別のe-Bookリーダに変換するためのフォーマット

23 8 まとめ第 9 章情報家電情報家電の標準化 : 生活嗜好, マーケット依存型, 任意規格互換性確保と公正な競争確保が目的コンソーシアム, フォーラムでの活動が盛ん規格化にはスピードが要求される国際機関はコンソーシアム標準を認定する形いくつかの国際標準化組織,TC( 技術委員会 ) で標準化 IEC TC 100 ( オーディオ, ビデオ, マルチメディア及び機器 ) ISO TC 42 ( 写真 / 電子写真 ) ISO/IEC JTC 1/SC 25/WG 1 (IT 機器の接続 / ホームネットワーク ) ITU-R SG 6 Q/M ( 品質評価, マルチメディア ) ITU-T SG 9, 12, 13, 15, 16 (Cable, QoS, NGN, Network infra, Multimedia) 国内では受託審議団体が国内審議今後はホームネットワーク,QoS,IPTV, アクセシビリティ, 省エネなど機器単体のフォーマット標準化は消滅情報家電 23

24 演習問題 A 第 9 章情報家電以下の空欄を埋めよ情報家電の標準化はインフラ系や安全等に関わる社会的標準化と異なり, 1 型, 2 依存型の市場的標準化と言える情報家電の標準化の目的は, 3 と 4 である情報家電の標準化は, マーケット依存型の標準化であるため,ISO/IEC,JIS などのデジュール標準化に比べ, ビジネス中心の 5 や 6 による標準化が盛んである情報家電分野は技術の進展が速く, 市場が急速に立ち上がることが多いので, 標準化には 7 が要求される ISO,IECでの日本の代表は 8 であり, 実質審議は 9 で行なわれる情報家電 24 回答 1 生活嗜好 2マーケット 3 互換性の確保 4 公正な競争の確保 5コンソーシアム 6フォーラム 7スピード 8 日本工業標準調査会 (JISC) 9 受託審議団体

25 演習問題 B 第 9 章情報家電 1. 情報家電の今後の姿とそのために必要な標準化は何か述べよ 2. 情報家電分野の企業のニーズを満たすために, コンソーシアム, フォーラムと ISO,IEC などのデジュール標準化組織はどのような関係になっていくべきかを述べよ情報家電 25 解答例 1. 情報家電の今後は, いつでも, どこでも, マルチメディアが楽しめるユビキタスの世界になるであろうそのためには, いろいろな伝送ルートからシームレスに音声映像データを伝送し, 家庭内で共有できるように, ホームネットワークプロトコル,QoSの確保と評価方法の標準化が求められると思われる 2. 情報家電分野の標準化にはスピードが求められることから, コンソーシアム標準, フォーラム標準が早期にデジュール標準化される仕組みがあれば好ましいまた, コンソーシアム, フォーラムではデジュール化前提の標準化を行なう ( 書式などを揃える ) ことも有効であろう

26 参考資料第 9 章情報家電各組織 URL 1) IEC 本部 2) IEC/TC ) ISO 本部 4) ISO/IEC JTC 1/SC ) ITU 本部 6) 日本工業標準調査会 (JISC) 本部 7) 情報規格調査会 (ITSCJ) 8) JEITA 9) CIPA 参考図書 10) 原田節雄著 ; ユビキタス時代に勝つソニー型ビジネスモデル, 日刊工業新聞社刊 11) 原田節雄著 : 目からウロコの英語とタイプの常識, 星雲社 12) 原田節雄著 : 世界市場を制覇する国際標準化戦略, 東京電機大学出版局情報家電 26

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<4D F736F F F696E74202D208E9197BF C824F C836A815B8A948EAE89EF8ED E B8CDD8AB B83685D> 資料 8-05 国際競争力と技術標準化について情報通信審議会情報通信政策部会通信放送の融合連携環境における標準化政策に関する検討委員会 ( 第 8 回 ) 2010 年 2 月 3 日ソニー株式会社西谷清技術標準化に対する弊社の考え方標準化はビジネスツール標準を使わずに作れる製品は無い標準化することで市場が拡大する一社が全てを提供することは困難標準化が目的 ( ゴール ) では無い