機能生物学2-① 10月2日 Functional Biology 年後期(2年生)

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1 機能生物学 月 21 日 Functional Biology 年後期 松島俊也 matusima@sci.hokudai.ac.jp 行動神経生物学講座松島 Patzke 研究室 巨人の肩の上に立つ (google scholar の標語 ) If I have been able to see further, it was only because I stood on the shoulders of giants. (Isaac Newton, 1675) 最初に言い出したのは 12 世紀の Bernard of Chartres 1 2 Santiago Ramon y Cajal サンチャゴ ラモニ カハール 1906 年 Nobel 賞 ( 生理学医学 ) 受賞者 記憶をつくるための素子 = ニューロン概念を形態学 組織学の知見から提唱した 1906 年のノーベル賞生理学医学賞をカミロ ゴルジと共同受賞した Golgi Cajal 3 4 Golgi 体 ( 細胞内小器官 ) の発見者 その当時のヨーロッパの細胞学 解剖学を 1906 けん引する第一人者だった 年 Nobel 賞 ( 生理学医学 ) 受賞者 Golgi 体 ( 細胞内小器官 ) の発見者 その当時のヨーロッパの細胞学 解剖学を 1906 けん引する第一人者だった 年 Nobel 賞 ( 生理学医学 ) 受賞者 Golgi Cajal Golgi Cajal 他方 スペインの片田舎の大学にいた Cajal は無名であり 研究費や研究結果の発表に事欠く厳しい環境にあった 5 6 1

2 Golgiが開発した染色法 (Golgi 法 ) によっ 1905 年 Nobel 賞て 樹状突起の上の ( 生理学医学 ) 受賞者 S. Ramon y Cajal( 微細な棘サンチャゴ ラモニ カハール ( 棘突起 ) : 右 ) すら見ることができ C. Golgi ( カミロ ゴルジるようになった : 左 ) 動物極性 ( 情報の流れ ) ニューロンは機能的単位である 動物極性 ( 情報の流れ ) ニューロンは機能的単位である 実証は 電子顕微鏡の開発 (1950 年代 ) シナプス後電位の発見 (1940 年代

3 心理学者Hebb (1949) The Organization of Behavior Donald O. Hebb When an axion of cell A is near enough to excite a cell B and repeatedly or persistently takes part in firing it, some growth process takes place in one of both cells such that A s efficiency, as one of the cells firing B, is increased. ドナルド O ヘッブ 記憶をつくるためにはシナプス結合の強 さが 自らの活動に応じて変化しなくて はならない ということを1949年に理論 的に提案した 現在のニューラルネット 人工知能 ディープ ラーニング の発展を促す 基礎理論となった 13 A B シナプス結合の強さは ニューロン活動に よって変化する シナプス可塑性 Aが活動する時 Bも同時に活動をしてい れば AからBへのシナプス結合は強まる 後に Hebbの法則とよばれることになる 14 心理学者Hebb (1949) The Organization of Behavior 心理学者Hebb (1949) The Organization of Behavior When an axion of cell A is near enough to excite a cell B and repeatedly or persistently takes part in firing it, some growth process takes place in one of both cells such that A s efficiency, as one of the cells firing B, is increased. Mode of Perceptual Integration: The Cell-Assembly Fire together, wire together! A B シナプス結合の強さは ニューロン活動に よって変化する シナプス可塑性 Aが活動する時 Bも同時に活動をしてい れば AからBへのシナプス結合は強まる 後に Hebbの法則とよばれることになる 15 情報は同時に活動するニューロン群 cell assembly によって担われる 16 Eric R. Kandel and Aplysia californica Eric R. Kandel エリック キャンデル 記憶形成の細胞分子機構を アメフラシ 使った研究で明らかにした 2000年のノーベル賞生理学医学賞を Carlsson, Greengard等と共同受賞した

4 E.R. Kandel A. Carlsson P. Greengard ノーベル賞 ( 生理学医学賞 )2000 年度受賞者 "for their discoveries concerning signal transduction in the nervous system" 一つ一つは大型のニューロンが少数個集まって 神経回路を構成する ニューロンは同定可能である どの個体も同じ形の細胞が 同じ場所に 同じ数だけ見つかる このようなニューロンを Identified neuron( 同定ニューロン ) と呼ぶ 水管 (or 外套 ) を刺激すると 鰓が引っ込む反射 (reflex) がおこる 感覚ニューロン 介在ニューロン ( 興奮性と抑制性 ) 運動ニューロン 馴化 (habituation) 脱馴化 (dishabituation) 鋭敏化とも言う (sensitization) 頭部 ( や尾部 ) に一回だけ強い刺激を加えると 反射が脱馴化する 脱馴化はかなり長い間持続する 長期の記憶となって残る 一回だけでも数時間 記憶は残る 繰り返すと 1 週間持続する記憶となる 脱馴化 ( 鋭敏化 ) に伴って 運動ニューロンに発生するシナプス応答が増強している 記憶のシナプス仮説 介在ニューロン (IN) が放出する伝達物質の量が 学習と共に増えている 頭部 ( あるいは尾部 ) に加えた刺激は促通介在ニューロン (facilitating IN) を活動させる セロトニン (5-HT) をシナプス前部の膜に放出する G タンパクを介して camp 濃度が上昇する camp 依存性キナーゼ (PKA) によって K + チャンネルが開きにくくなり 活動電位の持続時間が長くなる シナプス前膜の細胞内 Ca 2+ 濃度が高く保たれる ( なかなか下がらない ) より多くのシナプス小胞が邂逅分泌をする

5 G タンパク質 = ヘテロ 3 量体の GTP 結合タンパクが細胞膜に結合している 7 回膜貫通型の受容体と共役 (couple) する 巨大なスーパーファミリーを形成している GDP-GTP 交換反応の結果 3 量体が解離し 活性型の α サブユニットが膜の中を自由に動き始める adenylyl cyclase を活性化して ATP > camp 反応を進行させる camp が camp-dependent protein kinase (PKA) を活性化する PKA 分子は 2 個の制御サブユニットと 2 個の触媒サブユニットからなる 4 量体である 制御サブユニット 1 分子には camp 結合部位が 2 か所ある 制御サブユニットに 4 分子の camp が結合することで 触媒サブユニットの活性は最大になる PKA 分子は 2 個の制御サブユニットと 2 個の触媒サブユニットからなる 4 量体である 制御サブユニット 1 分子には camp 結合部位が 2 か所ある 制御サブユニットに 4 分子の camp が結合することで 触媒サブユニットの活性は最大になる その結果 閾値 (threshold) 素子として機能する camp の濃度があるレベルを超えたとき 一気に活性化される PKA 分子は 2 個の制御サブユニットと 2 個の触媒サブユニットからなる 4 量体である 制御サブユニット 1 分子には camp 結合部位が 2 か所ある 制御サブユニットに 4 分子の camp が結合することで 触媒サブユニットの活性は最大になる その結果 閾値 (threshold) 素子として機能する camp の濃度があるレベルを超えたとき 一気に活性化される

6 Fire together, wire together! Calmodulin 鉄アレイ 型をしたタンパク質 動物植物を問わず 真核細胞の場合 細胞質内の総タンパク質の 1% を占める Calmodulin 鉄アレイ 型をしたタンパク質 動物植物を問わず 真核細胞の場合 細胞質内の総タンパク質の 1% を占める Ca 結合タンパク 4 分子の Ca が結合することでコンフォメーションを変え 他のタンパク質にからみついて その活性を調節する 時間的一致検出装置として働く の時 セロトニン放出と シナプス前膜の活動電位が同時に起こる その結果 adenylyl cyclase の酵素活性が著しく増強される 脊椎動物の学習系 ( 海馬 ) には さらにいくつかの細胞内メッセンジャーが参加する Ca 2+ 何故 濃度が低いのか? Calmodulin 何故 大量にあるのか? CaM-Kinase II 何故 Ca 2+ 濃度が下がった後でも kinase 活性が持続するのか? 自己リン酸化により活性を維持する 細胞内メッセンジャーの働き 振幅を増幅する 微弱な変化を 触媒活性を通して大きな信号に置き換えていくこと 持続時間を増幅する 短時間しか持続しない刺激 ( 経験 ) を 長時間保たれる反応 ( 記憶 ) へと書き換えていくこと 閾値素子として働く ある一定以上の刺激が入った時に その後の反応を急速に進めること ( 弱い刺激は 残さないこと ) 時間的一致を検出する 細胞に加わった複数の出来事が たまたま同じ時に起こった場合 その後の反応を進めること 同時に起きた出来事の間には 因果関係がある とあたかも細胞が計算していること これらすべて 生体の適切な反応のために必要な 共通性の高い細胞の生理機能である 記憶形成 ( 学習 ) は この普遍的な細胞機能を利用することで 多くの動物が独立に獲得した形質である

7 10 月 29 日の講義内容 ( 勝先生 ) ( 細胞レベル 4: 細胞間情報伝達 ) 細胞間情報伝達の成り立ち 様々な細胞間情報伝達の様式 細胞間情報伝達を組織間情報伝達 37 7

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