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ぎんとしもね
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1 797 ノート金属アーチファクト低減処理画像に対する逐次近似応用再構成の影響論文受付 2017 年 11 月 14 日論文受理 2018 年 5 月 19 日 Code No. 251 保吉和貴佐藤俊光岡田明男山形大学医学部附属病院放射線部緒言コンピュータ断層撮影 (computed tomography: CT) において体内金属によるアーチファクトは, 金属体によるビームハードニングとエリアシング, そしてディテクタ到達光子数の大幅な減少を主要因に発生し画質を劣化させる 1). 金属アーチファクト低減に関しては管電流や管電圧, 表示 window を調整する方法や, adaptive filter, 逐次近似再構成法 (iterative reconstruction: IR) 等を用いた方法が報告され改善が試みられてきたが, 上記の方法ではコントラストの低下や線量増加等の問題を内包しており, 根本的な改善には至らなかった 2, 3). 近年,dual energy CT を用いた方法やサイノグラム上にて金属アーチファクトを補正する metal artifact reduction(mar) アルゴリズムが臨床応用され, その有用性が多数報告されている 4~6).Dual energy CT を用いた方法は収集に必要な機能を有した装置に限定されるが,MAR は再構成コンピュータに負荷がかかるものの後処理として適用可能であり, 汎用性が高い手法である. また骨盤領域の臓器診断や経過観察に CT 検査は不可欠なものであるが, 人工股 Effect of Hybrid Iterative Reconstruction on CT Image Quality Using Metal Artifact Reduction Kazutaka Hoyoshi, * Toshimitsu Satou, and Akio Okada Department of Radiology, Yamagata University Hospital Received November 14, 2017; Revision accepted May 19, 2018 Code No. 251 Summary Purpose: This study aimed to evaluate the effect of adaptive iterative dose reduction 3D (AIDR 3D) on the computed tomography (CT) image quality by using single energy metal artifact reduction (SEMAR). Materials & Methods: A water phantom (22 cm ) with the stem for total hip arthroplasty made of titanium was scanned. The volume CT dose index (CTDI vol) was set to 8.9 and 5.0 mgy. The reconstruction was performed using filtered back projection and AIDR 3D by soft kernel (FC13) and SEMAR. The averaged profile method was used for the quantitative evaluation of artifacts. We placed a rectangular region-of-interest on the artifact part, and obtained the x-direction averaged profile (Profile A). Profile B was obtained using a water phantom without metal. Profiles A and B were normalized as Profiles A and B using the mean value calculated from Profile B. Based on the standard deviation (SD) calculated from Profile B', the background variation level was defined as ±2SD, and subtracted from Profile A' (Profile A"). Finally, the area of Profile A" was calculated and defined as Artifact total. Artifact over, and Artifact under, respectively, the positive- and negative-side components of Artifact total. Results: Both Artifact total and Artifact under increased according to the strength of AIDR 3D. The variations of Artifact over and Artifact under, due to the AIDR 3D strength, were small and large, respectively. Further, in comparison with a high dose, the effect of artifact emphasis increased at low dose. Therefore, it should be noted that stronger AIDR 3D can emphasize the residual metal artifact. Key words: metal artifact, metal artifact reduction, hybrid iterative reconstruction, computed tomography (CT) *Proceeding author Vol. 74 No. 8 Aug 2018

798 関節置換術 (total hip arthroplasty: THA) 等によって股関節に金属インプラントが存在する場合にはアーチファクトが発生し診断の妨げとなってきた. 特に両側に金属インプラントが存在する場合には, 金属間にダークバンドを有する強いアーチファクトが発生する.MAR はこの領域のアーチファクト低減にも効果を示し, 他の方法に比較しても効果が高いとされている 4, 7).

2 798 関節置換術 (total hip arthroplasty: THA) 等によって股関節に金属インプラントが存在する場合にはアーチファクトが発生し診断の妨げとなってきた. 特に両側に金属インプラントが存在する場合には, 金属間にダークバンドを有する強いアーチファクトが発生する.MAR はこの領域のアーチファクト低減にも効果を示し, 他の方法に比較しても効果が高いとされている 4, 7). しかし MAR が開発された 1980 年代から, この方法によって生じる新たなアーチファクトが問題となってきた. また臨床応用された現在においても完全には金属アーチファクトを除去できておらず, アーチファクトが残存しているのが現状である 8, 9). 一方, 近年では IR や IR を応用した画像再構成法 (hybrid IR) が多く用いられており, 雑音の低減や肩, 骨盤部のストリークアーチファクト低減に対しても有用であることが知られている 10). これまで行われた MAR を用いた評価では, 多くが filtered back projection(fbp) にて画像再構成された画像に対して MAR の有用性を示すものであった.MAR 自体が IR のアルゴリズムを応用していることから 11), 実際の装置において MAR が利用可能な装置では IR(hybrid IR) もまた利用可能であることが予想される. そのため臨床条件を想定した評価をするためには画像再構成法の影響を加味して行う必要がある. 同様の先行研究では Andersson らが両側股関節インプラントに由来するアーチファクトに対して CT 装置メーカ各社の金属アーチファクト低減手法を比較評価し,dual energy CT 単独に対して MAR の有用性を示した 7). その中で東芝メディカルシステムズ社の single energy metal artifact reduction(semar) についても有用性を認めるものの, 視覚評価において新たなアーチファクトが出現し, 更に hybrid IR である adaptive iterative dose reduction 3D(AIDR 3D) を併 Fig. 1 The photograph showing titanium stem for THA. 用することで新たなアーチファクトが強調されたと報告している. しかし hybrid IR の強度がどのように影響するかについての詳細な報告はされていない. 以上から, 本研究では両側股関節に金属インプラントが存在する症例を模したファントムを作成し, SEMAR と AIDR 3D を併用した場合,AIDR 3D の強度変化が SEMAR 処理後に残存するアーチファクトに対して及ぼす影響を評価することを目的とした. 1. 方法 1-1 ファントム構成ファントムは直径 220 mm, 深さ 300 mm の円柱アクリル内を水で満たして使用した. 体内インプラントとしてチタン合金製の THA 用ステム 2 本をファントムの中心から左右 70 mm の位置に対称となるように配置した (Fig. 1, 2). ステムの有無により 2 種類のファントムを用意した. Fig. 2 Schema of the phantom used in this study. 日本放射線技術学会雑誌

3 試料画像取得方法 CT 撮影条件 X 線 CT 装置は, キヤノンメディカルシステムズ社製 Aquilion ONE /ViSION Edition を使用した. 撮像は 0.5 mm 320 列のボリュームスキャン ( ノンヘリカルスキャン ) にて各条件において 10 回のスキャンを行った. 撮影条件の詳細は管電圧 :120 kv, ガントリ回転速度 :1.0 s/rotation,calibration-field of view(c- FOV): 320 mm, 管電流は 125 と 70 ma の 2 種類を用いた. 各線量条件の装置表示値における volume CT dose index(ctdi vol) は各々 8.9 と 5.0 mgy であった. なおステムなしにおけるファントム撮影時に CTauto exposure control(ct-aec) を使用し, 再構成法 : FBP, 再構成関数 : 腹部標準関数 (FC13), 再構成スライス厚 :5 mm における設定 standard deviation(sd): 10 となる条件を通常使用条件として CTDI vol: 8.9 mgy を決定した. また後藤らは,AIDR 3D のノイズ低減効果は線量に依存することを報告している 12). このことから通常使用線量条件 (8.9 mgy) と低線量条件 (5.0 mgy) の 2 種類の条件を設定し検討を行った画像再構成法および解析対象試料画像画像再構成は,display-field of view(d-fov): 250 mm, 再構成スライス厚 :1 mm, 再構成関数 :FC13 を用い,FBP にて SEMAR を使用したもの (FBP+), 更に AIDR 3D の強度を 4 段階に変化させ各々に SEMAR を用いたもの (Weak+,Mild+,Standard+, Strong+), 以上 5 種類の再構成を行った. ここで, 坪井らは FOV と SEMAR のアーチファクト低減効果との関係を調査し, その効果が C-FOV に依存して変動し D-FOV には依存しないことを報告している 13). 本研究で使用した D-FOV は臨床において成人の骨盤部に使用するものとしては小さいが,C-FOV を固定したことで FOV によるアーチファクト低減効果の変動を除外しており, 使用した D-FOV は結果に影響を与えないと考えた. SEMAR 適用後において視覚的に残存アーチファクトが多かったステム近位側 ( 頭側 ) のスライス位置を解析対象画像とし, すべての撮影と再構成条件において同一スライス位置にて各再構成条件 10 画像, 合計 200 画像の試料を用いた. なお解析対象スライスは撮影中心を 0 mm とすると陽極側 8.5 mm のスライス位置であった. すべての画像は digital imaging and communications in medicine(dicom) 形式で取り出し解析を行った. 1-3 評価方法 Averaged profile 法本研究の対象であるダークバンドを含む領域のアーチファクト変化を評価することを目的に, 両ステムを結ぶ方向と直行方向に得た CT 値プロファイルを加算平均して評価する方法 (Averaged profile 法 ) を考案した. 本研究では SEMAR 処理画像を比較対象とし, 水ファントムを使用したため, 処理後のベース CT 値は background(b.g.) である水の CT 値に補正されるのが理想である. よって, 処理後のベース CT 値以外の CT 値分布を持つ部分をアーチファクトと定義した. Averaged profile 法の概要図を Fig. 3 に示す.2 本のステム間にピクセルの長方形関心領域 (region of interest: ROI) を配置し,y 方向の CT 値プロファイルを,x 方向に加算平均し取得した (profile A). 同条件で撮影したステムのない水ファントム画像からも同様に加算平均プロファイルを取得し (profile B), 両者から profile B の平均 CT 値を減算することで正規化を行った (profile Aʼ,profile Bʼ). 更に profile Bʼ から SD を求め ±2 SD の値を B.G. 変動レベルとした. Profile Aʼ より B.G. 変動レベル内の成分を除去し, 処理後のプロファイル面積をアーチファクト量 (Artifact total) とした. また水の CT 値からプラス側の値をとるアーチファクト量 (Artifact over) とマイナスの値をとるアーチファクト量 (Artifact under) に区別しそれぞれ検討を行った. なお解析には ImageJ(National Institutes of Health) 14) を用いた. 本研究の対象は再構成条件, または線量条件によって画像ノイズが異なる画像である. 正確にアーチファクトの増減を評価するためには, ノイズ変動との分離が必要である. ここで標準偏差のデータに対して n 回の加算平均を行った場合, 分散は 2 /n, 標準偏差は / となることが知られている.Averaged profile 法では 200 本分のプロファイルを加算平均することとなるため, 得られるデータ上のノイズの標準偏差は 1 本分のプロファイルに対して 1/ とすることが可能となる. また統計学的に ±SD の値は正規分布する母集団データの 68% を,±2SD の値は正規分布する母集団データの 96% が期待される範囲を示すことが知られている 15). したがってプロファイルを加算平均し, 更に B.G. 変動レベルの設定を ±2SD とすることで, ノイズレベルの異なる画像からアーチファクトを抽出し比較が可能になると考えた検討項目 Averaged profile 法で得られる各条件におけるプロファイルの形状と定量値を再構成条件間, 撮影条件間 Vol. 74 No. 8 Aug 2018

4 800 Fig. 3 Overview of the averaged profile method. で比較した. 更に FBP+ を基準として各 AIDR 3D 強度条件における各アーチファクト量の増加率を式 (1) より求めた. 有意差検定は各再構成条件におけるアーチファクト量間にて Steel-Dwass test を, また FBP+ の各アーチファクト量について線量間で Mann- Whitneyʼs U test を行った. どちらも有意水準を 5% と設定し, 統計解析ソフトは R(ver 3.3.2) 16) を使用した. (1) 2. 結果 Figure 4 に解析に使用した画像の一部を示す. また解析対象試料に対し Averaged profile 法を適用, 取得したプロファイルの一部を Fig. 5 に示す. なお横軸は画像中心を 0 とし Fig. 3 の a 方向をマイナス,b 方向をプラスとしたピクセル単位で示した.Position 0 周辺ではマイナス側の CT 値分布であったが,FBP+ に比較して AIDR 3D 条件では滑らかな曲線を描いた. また AIDR 3D 強度が強くなるほど全体のプロファイルは下方にシフトし CT 値が低下した. 更にその CT 値の低下は 5.0 mgy でより大きくシフトしていた. 一方,Position ±30 周辺はプラス側の CT 値分布であった.Position 30 付近では AIDR 3D 強度が強くなるほどプロファイルは上方にシフトし CT 値が上昇した. またその CT 値の上昇は 5.0 mgy でより大きくシフトしていた. しかし Position -30 付近においては,8.9 mgy の場合 AIDR 3D 強度変化によるピーク値の変動は確認できないが,5.0 mgy の場合には AIDR 3D 強度が強くなるほどプロファイルが下方にシフトし CT 値が低下していた. Averaged profile 法によるアーチファクト量 (Artifact total) の結果を Fig. 6 に, 水の CT 値からプラス側の値をとるアーチファクト量 (Artifact over) を Fig. 7 に, マイナスの値をとるアーチファクト量 (Artifact under) の結果を Fig. 8 に示した. なお有意差の検出されなかった群間にのみ not significant(n.s.) を表記した. また FBP+ から各 AIDR 3D 強度におけるアーチファクトの増加率を求め Table に示した. FBP+ は,Artifact total,artifact over,artifact under すべてで線量間に有意差は検出されなかった (Artifact total: p=0.6305,artifact over:p=0.1655,artifact under:p= ). また線量条件 5.0 mgy において Artifact total, Artifact over,artifact under すべてで AIDR 3D 使用群は FBP+ に比較して有意に高い値を示し, 特に Artifact total,artifact under ではすべての再構成条件間で有意差を認め,AIDR 3D 強度が強くなるほど値が増加した. 一方 Artifact over では, 有意差を示したのは一部の再構成条件間のみであり,AIDR 3D 強度との関係は明らかではなかった.8.9 mgy では Artifact total, Artifact over,artifact under すべてで増加傾向はあるものの有意差を示す再構成条件群間は減少し,FBP+ と Weak+ 間においてはすべてで有意差は検出されなかった. 増加率を比較すると Artifact total,artifact under において 8.9 mgy に比較して 5.0 mgy でより高い値日本放射線技術学会雑誌

801 a b c Fig. 4 The CT images of the phantom used in this study reconstructed by FBP+ (a), Weak+ (b) and Strong+ (c) in each dose. (Upper row: 8.9 mgy, lower row: 5.0 mgy) a b Fig.

5 801 a b c Fig. 4 The CT images of the phantom used in this study reconstructed by FBP+ (a), Weak+ (b) and Strong+ (c) in each dose. (Upper row: 8.9 mgy, lower row: 5.0 mgy) a b Fig. 5 Comparison of shape change of profile curve due to AIDR 3D intensity at different dose (a) 8.9 mgy, (b) 5.0 mgy. を示した. 3. 考察 Single energy CT において金属アーチファクト低減処理 (MAR) と異なる強度の hybrid IR を併用した場合に生じる出力画像のアーチファクト変化について評価を行った. 詳細な検討を行ううえでは物理評価の方法が重要となるが,CT 画像においてアーチファクトの評価法はいまだ確立されていないのが現状である. 近年本邦では金属アーチファクトの評価として artifact index (AI) 法 17) や Gumbel 評価法 18) を用いた方法が報告されている 13, 19). しかし AI 法は画像 SD を基準にした評価法であるため,hybrid IR によって B.G. の SD 変化が起こる本検討においては結果への影響が否定できない. また Gumbel 評価法は隣接するピクセル間の CT 値差を評価対象としており, 領域が広く緩やかに変化するアーチファクトについては過小評価する可能性があると考える. 現在報告されている文献においてもストリーク状のアーチファクトを対象としたもののみであり, ダークバンドを含む領域についての評価については確立していない 19~22). 以上から本研究においては 2 本のステム間における水の CT 値分布に生じた変化を評価することを目的に Averaged profile 法にて Vol. 74 No. 8 Aug 2018

6 802 a b Fig. 6 Comparison of the Artifact total change due to AIDR 3D intensity at different dose (a) 8.9 mgy, (b) 5.0 mgy. a b Fig. 7 Comparison of the Artifact over change due to AIDR 3D intensity at different dose (a) 8.9 mgy, (b) 5.0 mgy. a b Fig. 8 Comparison of the Artifact under change due to AIDR 3D intensity at different dose (a) 8.9 mgy, (b) 5.0 mgy. 日本放射線技術学会雑誌

7 803 Table Result of increase ratio (%) at different dose Artifact total Artifact over Artifact under 8.9 mgy 5.0 mgy 8.9 mgy 5.0 mgy 8.9 mgy 5.0 mgy Weak Mild Standard Strong 評価を行った. 本研究では対象部位の全体のアーチファクト量 (Artifact total) と, アーチファクトの分布を水の CT 値を基準にプラス側 (Artifact over) とマイナス側 (Artifact under) に分離して評価を行った.Artifact total, Artifact under は特に低線量において AIDR 3D 強度に依存して増加していた (Fig. 6, 8). しかし Artifact over は線量によらず AIDR 3D 強度変化との関係は明確ではなかった (Fig. 7). プロファイルの形状を評価すると, プラス側のアーチファクトに対しては増強と減弱の両作用が認められ, また線量によっても異なる効果を示した. そのため Artifact over の結果は効果が相殺されたものであると考えられる (Fig. 5). 今回使用した hybrid IR である AIDR 3D と SEMAR を併用した場合, または AIDR 3D の強度変化時においてアルゴリズムがどのように変化するかについて詳細は明らかにされていない. そのため, 現状ではどの処理過程がアーチファクトの増強効果に関与したかは不明である. 後藤らは,AIDR 3D のノイズ低減効果は線量に依存して変化し低線量でより高い効果をもたらすと報告している 12). つまり低線量状態において AIDR 3D が高い効果を発揮するよう設計されていることを示している. 本研究における線量による変化を比較すると, 低線量でより高いアーチファクト増強効果を示した (Table). したがってアーチファクト増強効果が AIDR 3D の影響であるならば線量に依存している点で矛盾しない. 前述の先行研究において Andersson らは, 視覚評価において SEMAR により新たなアーチファクトが出現し, 更に AIDR 3D を併用することで強調されたと報告している 7). 今回の結果は上記の報告を裏付け, 更にアーチファクト増強効果は AIDR 3D の強度と撮影線量に依存することが明らかになった. 本研究では SEMAR と FBP の組み合わせ (FBP+) が最も低いアーチファクトの値を示すこととなった. しかし加算平均プロファイルと試料画像を確認すると, 細かいストリークアーチファクトは AIDR 3D を併用することで低減していることが確認できた. そのため MAR と hybrid IR の併用そのものを否定するものではない. このことは細かいストリークアーチファクトに対して Averaged profile 法が過小評価する可能性を示し, 本法のみでの金属アーチファクト定量評価には課題が存在する. しかし, これまでは視覚的にしか評価されなかった MAR と hybrid IR を併用した際の影響について, 物理的に評価できる点で意義があるのではないかと考える. 目的によって本法とこれまで報告されてきた方法を合わせて評価を行うことでより精度のよい評価が実現でき, 更なる画質改善につながるのではないかと考える. 本研究の限界として, まず,CT 装置依存があげられる. 他メーカの装置では実効エネルギーが異なるため,MAR 未処理での金属アーチファクト量, そして MAR 自体の効果も異なることが予想される. 更にメーカによって MAR と hybrid IR のアルゴリズム自体が異なるため, 本研究と同様の傾向を示すかは言及できない. また, 使用した金属体は THA 用の 1 種類のみであり, 他部位の金属体, または他の金属素材に対しても同様の効果があるかについても言及できない. 次に本研究は Averaged profile 法を用いて定量評価を行ったが, この値と視覚評価との整合性についての更なる検討が必要であると考える. 4. 結語股関節インプラントからの金属アーチファクト画像を想定し,MAR と hybrid IR を併用した際の影響を評価した.MAR と hybrid IR を併用した場合,MAR 処理後に残存するアーチファクトの CT 値変動を強調しアーチファクトを増強させる, 更にアーチファクト増強効果は hybrid IR の強度と撮影線量に依存することが明らかとなった. 謝辞本稿を終えるにあたり, ご指導ご助言をいただきました Wilhelm Camp( 日本放射線技術学会東北支部 ) の Vol. 74 No. 8 Aug 2018

8 804 皆様に深く感謝いたします. なお, 本研究の要旨の一部は, 第 72 回日本放射線技術学会総会学術大会 (2016 年, 横浜 ), および第 73 回日本放射線技術学会総会学術大会 (2017 年, 横浜 ) にて発表した. 参考文献 1) Barrett JF, Keat N. Artifacts in CT: recognition and avoidance. Radiographics 2004; 24(6): ) Yu L, Li H, Mueller J, et al. Metal artifact reduction from reformatted projections for hip prostheses in multislice helical computed tomography: techniques and initial clinical results. Invest Radiol 2009; 44(11): ) Lee MJ, Kim S, Lee SA, et al. Overcoming artifacts from metallic orthopedic implants at high-field-strength MR imaging and multi-detector CT. Radiographics 2007; 27(3): ) Yasaka K, Maeda E, Hanaoka S, et al. Single-energy metal artifact reduction for helical computed tomography of the pelvis in patients with metal hip prostheses. Jpn J Radiol 2016; 34(9): ) Wang Y, Qian B, Li B, et al. Metal artifacts reduction using monochromatic images from spectral CT: evaluation of pedicle screws in patients with scoliosis. Eur J Radiol 2013; 82(8): e ) Brook OR, Gourtsoyianni S, Brook A, et al. Spectral CT with metal artifacts reduction software for improvement of tumor visibility in the vicinity of gold fiducial markers. Radiology 2012; 263(3): ) Andersson KM, Nowik P, Persliden J, et al. Metal artefact reduction in CT imaging of hip prostheses an evaluation of commercial techniques provided by four vendors. Br J Radiol 2015; 88(1052): ) Kalender WA, Hebel R, Ebersberger J. Reduction of CT artifacts caused by metallic implants. Radiology 1987; 164(2): ) Han SC, Chung YE, Lee YH, et al. Metal artifact reduction software used with abdominopelvic dual-energy CT of patients with metal hip prostheses: assessment of image quality and clinical feasibility. AJR Am J Roentgenol 2014; 203(4): ) Yamashiro T, Miyara T, Honda O, et al. Adaptive Iterative Dose Reduction Using Three Dimensional Processing (AIDR3D) improves chest CT image quality and reduces radiation exposure. PLoS ONE 2014; 9(8): e ) Chang YB, Xu D, Zamyatin AA. Metal artifact reduction algorithm for single energy and dual energy CT scans. Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (NSS/ MIC), Washington, DC, IEEE, 2012: ) 後藤光範, 佐藤和宏, 平栗彩加, 他. 異なる逐次近似応用再構成法における解像度の挙動の違いについて. Proceedings of JSCT 2013; 1: ) 坪井邦仁, 福永正明, 山本浩之.Computed tomography における calibration field of view や display field of view が及ぼす金属アーチファクト低減効果の影響. 日放技学誌 2016; 72(12): ) Abramoff MD, Magelhaes PJ, Ram SJ. Image processing with ImageJ. Biophotonics Int 2004; 11(7): ) 池田郁男. 統計検定を理解せずに使っている人のために I. 科学と生物 2013; 51(5): ) R Core Team. R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria, ) Lin XZ, Miao F, Li JY, et al. High-definition CT Gemstone spectral imaging of the brain: initial results of selecting optimal monochromatic image for beam-hardening artifacts and image noise reduction. J Comput Assist Tomogr 2011; 35(2): ) Imai K, Ikeda M, Wada S, et al. Analysis of streak artefacts on CT images using statistics of extremes. Br J Radiol 2007; 80 (959): ) 北口茂聖, 今井國治, 上田傑, 他. 極値統計を用いた CT 画像における金属アーチファクトの定量評価. 日放技学誌 2016; 72(5): ) 中村忍, 川田秀道, 黒木英郁, 他. 金属アーチファクト低減再構成技術における display field of view(dfov) の影響について. 日放技学誌 2015; 71(11): ) 中根淳, 小林芳春, 塩澤努. ストリークアーチファクトに対する極値統計解析を用いた等方的な定量評価. 日放技学誌 2015; 71(12): ) 笠井亮佑, 山田健二.Computed tomography(ct) で生じる金属アーチファクト定量評価へのハミルトニアンモンテカルロ法の適用. 日放技学誌 2017; 73(8): 問合先山形市飯田西山形大学医学部附属病院放射線部保吉和貴日本放射線技術学会雑誌

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05_学術1_フィルタ.indd Arts and Sciences CT The noise reduction effect of the picture which used the quantum noise rejection filter for the filtered back projection in low dose CT photography 1 39496 1 18285 1 56588 1 551 1