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1 計 測 の 基 礎 セミナ RF/マイクロ 波 コース ネットワーク アナライザの 基 礎

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3 ネットワークアナライザ 基 礎 セミナー 0

4 Schedule ネットワークアナライザセミナ 測 定 器 を 使 った 実 習 (ハンズオン) 質 疑 応 答 Agilent Restricted Page 1 1

5 セミナー 内 容 1 章 ネットワーク 測 定 とは 2 章 ネットワークアナライザの 測 定 結 果 表 示 とその 意 味 3 章 ネットワークアナライザの 構 造 と 動 作 原 理 4 章 ネットワーク アナライザの 基 本 的 な 使 い 方 5 章 誤 差 の 要 因 6 章 誤 差 補 正 7 章 タイムドメイン Agilent Restricted Page 2 2

6 1 章 ネットワーク 測 定 とは? 3

7 高 周 波 デバイスの 特 性 評 価 入 射 信 号 R 反 射 信 号 A 反 射 測 定 DUT(Device Under Test): 被 測 定 物 伝 送 測 定 伝 送 信 号 B 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 位 相 と 振 幅 の 変 化 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 位 相 と 振 幅 の 変 化 SWR 定 在 波 比 Sパラメータ S11,S22 反 射 係 数 リター ンロス インピーダンス アドミタンス R+jX, G+jB 利 得 損 失 Sパラメータ S21,S12 伝 送 係 数 挿 入 位 相 ネットワーク 解 析 とは 回 路 網 の 反 射 伝 送 特 性 を 測 定 すること 群 遅 延 Agilent Restricted Page 4 高 周 波 RFまたはマイクロ 波 デバイスの 線 形 評 価 は 2つの 基 本 テストに 分 けられます 一 つはDUTに 高 周 波 正 弦 波 信 号 を 入 射 した 場 合 反 射 される 信 号 がどのように 変 化 するのか もう 一 つはDUTに 高 周 波 正 弦 波 信 号 を 入 射 した 場 合 デバイス 内 部 を 伝 送 した 信 号 がどのように 変 化 するのかを 測 定 しま す 反 射 測 定 と 伝 送 測 定 のどちらも 入 射 信 号 がDUTから 反 射 される もしくはDUTを 通 過 することにより 信 号 の 振 幅 と 位 相 が どのように 変 化 しているかを 測 定 します ( 変 化 とは 振 幅 が 何 倍 になったのか 位 相 が 何 度 回 っているかという 事 を 意 味 し ます ) 信 号 の 振 幅 と 位 相 の 変 化 を 測 定 すれば その 結 果 を 元 に 演 算 を 行 うことでさまざまなフォーマット(Sパラメータ SWR 挿 入 損 失 等 )でDUTの 特 性 を 表 現 する 事 ができます それぞれのフォーマットは DUTの 特 性 を 様 々な 観 点 から 表 現 するた めに 使 用 されます 4

8 信 号 の 位 相 と 振 幅 のベクトル 表 記 O Mag θ B A 0 t 270 ベクトルの 長 さは 信 号 の 振 幅 ベクトルの 角 度 は 信 号 の 位 相 Agilent Restricted Page 5 ネットワーク 測 定 では 入 射 信 号 としてサイン 波 の 電 気 信 号 を 用 います 一 般 的 に 知 られているよ うにサイン 波 は 振 幅 と 位 相 の 情 報 を 持 ちます ここで サイン 波 のベクトル 表 記 についてふれて おきます 図 のように 線 分 OAが 中 心 Oの 周 りを 一 定 の 速 さで 回 転 している 時 垂 線 ABの 長 さの 時 間 変 化 がサイン 波 です 従 って 図 中 の 赤 いベクトルの 長 さは 信 号 の 振 幅 回 転 している 角 度 が 信 号 の 位 相 情 報 を 表 して います 5

9 DUTでの 振 幅 の 変 化 を 測 定 入 射 信 号 伝 送 信 号 反 射 信 号 DUT 反 射 測 定 A R 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 振 幅 比 A/R 伝 送 測 定 B R 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 振 幅 比 B/R Agilent Restricted Page 6 振 幅 とは 信 号 の 波 の 大 きさです 高 周 波 デバイス 測 定 ではDUTへ 入 射 した 信 号 がDUTで 反 射 もしくはDUTを 通 過 することにより 振 幅 と 位 相 がどのように 変 化 するのかを 測 定 するということは 既 に 説 明 しました 振 幅 に 関 しては 入 射 信 号 の 振 幅 に 対 して 反 射 信 号 及 び 伝 送 信 号 の 振 幅 が 何 倍 になるかを 測 定 します 上 記 のスライドのように 入 射 信 号 の 振 幅 をR 反 射 信 号 の 振 幅 をA 伝 送 信 号 の 振 幅 をBとした 場 合 ネットワーク 測 定 で 必 要 な 情 報 はこれらの 値 の 比 を 取 ったA/R 及 びB/Rの 値 ということにな ります 6

10 伝 送 測 定 におけるDUTでの 位 相 の 変 化 を 測 定 入 射 信 号 DUT 一 周 期 は360 1 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 位 相 差 0 2 1/2 周 期 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 位 相 差 180 Agilent Restricted Page 7 上 記 のスライドでは 入 射 された 信 号 がDUTを 通 過 することにより 位 相 がどのように 変 化 してい るかを 示 してます 1の 例 では DUTへ 入 射 している 信 号 の 位 相 は 全 く 変 化 せずにそのまま 出 力 されています この 場 合 測 定 される 位 相 の 変 化 は0 です 2の 例 では DUTの 内 部 で1/2 周 期 分 の 位 相 が 回 転 しています DUTへ 入 射 される 信 号 と 出 力 される 信 号 の 位 相 差 は 1 周 期 が360 ですから DUTを 通 過 する 事 により180 位 相 が 変 化 して いるといえます 高 周 波 デバイスの 伝 送 測 定 では このようにDUTを 信 号 が 通 過 する 事 により 変 化 する 位 相 量 を 測 定 します 7

11 反 射 測 定 におけるDUTでの 位 相 の 変 化 を 測 定 入 射 信 号 一 周 期 は360 反 射 信 号 DUT 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 位 相 差 0 ¼ 周 期 ½ 周 期 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 位 相 差 90 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 位 相 差 180 Agilent Restricted Page 8 次 に 反 射 信 号 の 位 相 について 見 てみます DUTへ 入 射 された 信 号 は 位 相 が 変 化 した 信 号 として 反 射 されます 位 相 が 変 化 する 量 はDUTのインピーダンス 特 性 に 依 存 します 1の 例 では DUTへ 入 射 している 信 号 の 位 相 は 全 く 変 化 せずにそのまま 反 射 されています この 場 合 位 相 の 変 化 は0 です 2の 例 では 1/4 周 期 分 波 形 が 移 動 していることが 解 ります 1 周 期 が360 ですから DUTをで 反 射 される 事 により90 位 相 が 変 化 しているといえます 同 様 に3の 例 では 入 射 した 信 号 が1/2 周 期 分 つまり180 の 位 相 が 変 化 した 状 態 で 反 射 されています 高 周 波 デバイスの 反 射 測 定 では このようなDUTによって 信 号 が 反 射 されることにより 変 化 する 位 相 量 を 測 定 します 8

12 2 信 号 の 振 幅 と 位 相 の 変 化 を 表 すベクトル 入 射 波 入 射 波 反 射 波 もしくは 伝 送 波 *ベクトルAとBの 比 S xx は 2つのベクトルの 振 幅 の 比 2つのベクトルの 位 相 差 を 示 す Agilent Restricted Page 9 2 信 号 の 振 幅 と 位 相 変 化 を 求 める 場 合 2 信 号 のベクトルの 比 を 計 算 します これは2つのベクトルの 割 り 算 ( 比 を 取 る)の 結 果 は 2つのベクトルの 振 幅 及 び 位 相 差 の 情 報 を 持 つベクトルとなるためです 上 記 のスライドに 示 されるように Aのベクトルの 振 幅 がMag(A) 振 幅 がθ1 Bのベクトルの 振 幅 がMag(B) 振 幅 がθ2 の 場 合 2つのベクトルの 比 をとった 結 果 のベクトルCは 振 幅 :ベクトルAとベクトルBの 振 幅 の 比 (=MAG(B)/MAG(A)) 位 相 :ベクトルAとベクトルBのの 比 (=θ2-θ1) となります つまり ベクトルAがDUTによってベクトルBに 変 化 した 場 合 ベクトルAとBの 比 であるベクトルS xx は 振 幅 が 何 倍 になったか 位 相 が 何 度 回 ったかを 教 えてくれます 計 算 例 : ベクトルA= ベクトルB= ベクトルC=2 30 振 幅 が2 倍 で 位 相 が30 回 っている 9

13 ベクトルは 実 部 と 虚 部 の 和 としても 表 現 される 虚 軸 jb Mag(Sxx) θ a ベクトルSxx 実 軸 ベクトルSxx=MAG(C) θ =a+jb ただし a=mag(sxx) x cosθ b=mag(sxx) x sinθ Agilent Restricted Page 10 ベクトルであるSパラメータは 振 幅 と 位 相 という 表 現 方 法 だけでなく 実 部 (Real Part)と 虚 部 (Imaginary Part)の 和 としても 表 現 できます 一 般 的 にはS xx =a+jbという 形 で 表 現 され a=mag(s xx ) x cosθを 実 部 b=mag(s xx ) x sinθを 虚 部 と 呼 びます また S xx の 振 幅 Mag(S xx )= (a 2 +b 2 )という 関 係 も 覚 えておくと 便 利 でしょう 10

14 DUTの 特 性 は 位 相 と 振 幅 から 計 算 できる( 反 射 測 定 ) 反 射 係 数 Γ= S11 θ リターンロス=20log S11 Sパラメータ=a+jb SWR 定 在 波 比 = (1+ S11 )/(1- S11 ) 虚 軸 jb S11 θ 反 射 特 性 を 示 す ベクトルS11 a 実 軸 DUTのインピーダンス=[(a+jb)-Z0 ]/ [(a+jb)+z0 ] Agilent Restricted Page 11 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 振 幅 と 位 相 の 変 化 を 示 すベクトルS11の 振 幅 と 位 相 がわかれば 後 は 計 算 をするだけでDUTの 特 性 を 示 す 様 々な 形 式 (フォーマット)で 表 現 することが 可 能 です 後 のスラ イドで 各 パラメータの 詳 細 な 意 味 をご 説 明 しますが ここでは DUTで 変 化 する 位 相 と 振 幅 を 測 定 すれば 様 々なDUTの 特 性 が 解 る という 事 だけを 理 解 してください 11

15 DUTの 特 性 は 位 相 と 振 幅 から 計 算 できる( 伝 送 測 定 ) 虚 軸 伝 送 特 性 を 示 す 伝 送 係 数 T= S21 θ jb S21 ベクトルS21 損 失 利 得 =20log S21 Sパラメータ=a+jb θ a 実 軸 挿 入 位 相 = θ 群 遅 延 =-dθ/dw Agilent Restricted Page 12 伝 送 測 定 でも 同 様 に 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 位 相 と 振 幅 の 関 係 が 解 れば DUTの 様 々な 特 性 を 表 示 することが 可 能 です 各 パラメータは 位 相 と 振 幅 の 情 報 のみを 元 に 計 算 されていることを 理 解 してください 12

16 ネットワークアナライザとは? Port1 Port2 入 射 信 号 伝 送 信 号 反 射 信 号 DUT(Device Under Test): 被 測 定 物 入 射 信 号 に 対 する 反 射 信 号 の 位 相 と 振 幅 の 変 化 を 測 定 入 射 信 号 に 対 する 伝 送 信 号 の 位 相 と 振 幅 の 変 化 を 測 定 これらのデータをもとに 様 々な 表 現 方 法 でDUTの 特 性 を 表 示 する Agilent Restricted Page 13 ネットワークアナライザとは 入 射 信 号 に 対 する 反 射 信 号 もしくは 伝 送 信 号 を 測 定 し 振 幅 及 び 位 相 がDUTでどのように 変 化 したかを 測 定 する 物 です ネットワークアナライザは 内 部 に 信 号 源 を 持 ち DUTへの 入 射 信 号 を 出 力 します 上 記 のスライドの 例 では Port1より 信 号 を 出 力 しています DUTから 反 射 された 信 号 は またPort1へ 戻 り 測 定 されます DUTを 通 過 した 伝 送 信 号 はPort2へ 到 達 し 測 定 されます DUTへ 入 射 した 信 号 と 測 定 された 信 号 の 比 を 取 ることにより DUTで 変 化 した 振 幅 及 び 位 相 の 情 報 を 得 ます DUTで 変 化 した 振 幅 及 び 位 相 の 測 定 結 果 を 元 に ネットワークアナライザ 内 部 で 演 算 を 行 い 様 々 なフォーマットでのDUTの 特 性 をディスプレイに 示 します 13

17 2 章 ネットワークアナライザの 測 定 結 果 表 示 とその 意 味 14

18 2ポート デバイスの 特 性 評 価 Transmission Coefficient Transmitted Incident 1 DUT 2 Reflected Reflection Coefficient Incident それぞれのポートに 信 号 を 入 力 すると 反 射 伝 送 信 号 はどうなるでしょうか? Agilent Restricted Page 15 デバイスの 線 形 特 性 を 求 める 場 合 知 りたい 情 報 はごく 単 純 です DUTに 正 弦 波 信 号 が 入 射 した 場 合 どれだけの 信 号 がデバイスから 反 射 され どれだけの 信 号 がデバイスを 通 って 伝 送 される でしょうか 図 の 矢 印 で 示 すように この2ポート デバイスには4つの 可 能 性 があります これら4つ のパラメータがわかれば このデバイスの 線 形 動 作 を 完 全 に 記 述 できます nポート デバイスの 場 合 各 ポートに1つの 反 射 係 数 と それぞれのポート 対 ポートに2 方 向 の 伝 送 係 数 が 存 在 します 伝 送 係 数 伝 送 入 射 反 射 係 数 反 射 入 射 15

19 Sパラメータの 表 記 S 2 1 Signal Measured Here (DUTからの 出 力 ポート 番 号 ) Signal Incident Here (DUTへの 入 力 ポート 番 号 ) 反 射 測 定 = 同 じポート 番 号 ; S 11, S 22 伝 送 測 定 = 違 うポート 番 号 ; S 21, S 12 Agilent Restricted Page 16 これらの 反 射 係 数 と 伝 送 係 数 を 定 量 化 して 表 現 するために S( 散 乱 )パラメータが 定 義 されました Sパラメータを 使 えば 回 路 から 出 力 または 散 乱 される 電 圧 と 回 路 の 入 射 電 圧 との 比 を 簡 単 に 定 量 化 してまとめることができます Sパラメータは 常 に2つの 複 素 ( 振 幅 と 位 相 ) 量 の 比 となります Sパラメータの 表 記 では 上 記 の 番 号 方 式 によってこれらの 量 を 識 別 します 最 初 の 数 字 は 信 号 が 出 力 されるテスト デバイス ポー トを 表 わします 言 い 換 えれば 信 号 を 測 定 するネットワーク アナライザのポートです 2 番 めの 数 字 は 信 号 が 入 射 されるテスト デバイス ポートを 表 わします 言 い 換 えれば 信 号 が 供 給 される ネットワーク アナライザのポートです 例 えばSパラメータS11は デバイスのポート1から 出 力 され た 信 号 と デバイスのポート1に 供 給 された 信 号 との 複 素 数 比 から 得 られた 測 定 値 であることを 示 します( 反 射 測 定 ) 16

20 2ポート デバイスのSパラメータ S 21 Port 1 S 11 DUT S 22 Port 2 S 12 2-ポートデバイスは4つのS-パラメータで 全 ての 特 性 を 表 せます Agilent Restricted Page 17 2ポート デバイスまたは 回 路 には4 個 のSパラメータがあります これらのうち2 個 は DUTの 入 力 ポートと 出 力 ポートからの 反 射 を 表 しています 残 りの2 個 は DUTを 通 る 順 方 向 と 逆 方 向 の 伝 送 を 表 しています この 概 念 はマルチポート デバイスにも 拡 張 できます この 場 合 Sパラメータの 数 は ポート 数 をnとして nの2 乗 となります 例 えば4ポート デバイスの 場 合 Sパラメータの 数 は16 個 です 17

21 Sパラメータを 使 用 する 理 由 高 周 波 における 特 性 を 簡 単 に 得 られる 既 知 の 測 定 ( 利 得 / 損 失, 反 射 係 数 )と 関 連 があ る カスケード 接 続 回 路 が 簡 単 に 計 算 できる H, Y, Z パラメータへ 変 換 できる ファイルデータが 簡 単 にCADプログラムに 取 り 込 める S Incident 21 Transmitted a 1 S 11 Reflected DUT S 22 Port 1 Port 2 b Reflected 1 Transmitted S Incident 12 b 2 a 2 b 1 = S 11 a 1 + S 12 a 2 b 2 = S 21 a 1 + S 22 a 2 Agilent Restricted Page 18 回 路 (ネットワーク)の 動 作 をモデル 化 するために 長 年 にわたって 多 くの 方 法 が 開 発 されてきまし た H Z およびYパラメータやSpiceモデルは 回 路 動 作 の 視 覚 化 や 予 測 に 役 だっています しか し 回 路 周 波 数 が 高 くなるとともに これらのモデルの 多 くは 複 雑 で 扱 いにくいものになります そ の 結 果 単 純 な 方 法 でネットワークをモデル 化 することが 困 難 になります S( 散 乱 )パラメータを 使 えば 回 路 からの 出 力 電 圧 または 散 乱 電 圧 と 回 路 の 入 射 電 圧 との 比 を 簡 単 に 定 量 化 できます パラメータをカスケード 接 続 *することにより 個 々の 回 路 ブロックのモデル を1つにまとめて システム 全 体 の 動 作 を 予 測 することができます 後 で 見 るように これらの 比 の 測 定 は 高 周 波 でもそれほど 困 難 ではありません 複 素 短 絡 電 流 や 開 放 電 圧 といった 難 しい 測 定 がSパラメータ 測 定 には 不 要 だからです Sパラメータは 電 圧 比 として 定 義 されるので 利 得 損 失 反 射 係 数 などのおなじみの 高 周 波 特 性 に 結 果 を 容 易 にマッピングできます H Y Zなどのその 他 のパラメータ 形 式 への 変 換 も 簡 単 です Sパラメータはこのように 変 換 が 容 易 なので 今 日 の 多 くのシミュレーション/デザイン ソフトウェア プログラムへのインポートに 最 適 です * アプリケーションノート 154 Sパラメータデザイン 18

22 アッテネータのSパラメータ S S (1.2 SWR) 1 20 db 0.05 (1.1 SWR) 2 S 22 S Agilent Restricted Page 19 代 表 的 なデバイスのSパラメータの 例 をいくつか 見 てみましょう ここでは 20 dbアッテネータにつ いて 説 明 します 先 に 述 べたようにSパラメータは 電 圧 比 であるため 順 方 向 伝 送 のSパラメータ S21は 当 然 0.1であり 入 射 と 出 力 の 間 に 多 少 の 位 相 シフトが 存 在 します アッテネータは 単 なる 分 圧 器 にすぎないので その 逆 方 向 伝 送 特 性 S12も 同 様 のはずです アッテネータの 設 計 目 標 の1 つはZ0への 整 合 性 を 高 めることなので 反 射 SパラメータS11およびS22は 小 さい 値 になります(そ れぞれ0.09と0.05) これらの 線 形 比 を 測 定 したら 定 在 波 比 (SWR)などの 別 の 一 般 的 な 形 式 に 変 換 したり 利 得 パラメー タや 損 失 パラメータとしてdB 単 位 で 表 わすのは 簡 単 です 19

23 トランジスタのSパラメータ S S 11 S S 12 1 GHz Agilent Restricted Page 20 トランジスタのSパラメータは アッテネータのSパラメータとは 大 きく 異 なります 順 方 向 のS21は 正 の 整 数 で デバイスに 利 得 があることを 表 します いっぽう 逆 方 向 ではデバイスに 損 失 がありま す 反 射 Sパラメータは 入 射 信 号 が 大 きな 割 合 で 反 射 していることを 示 します トランジスタは 整 合 性 が 低 いのが 普 通 で デバイスの 入 / 出 力 に 信 号 を 接 続 するには 整 合 回 路 が 必 要 となります このことから この 測 定 を 行 う 意 味 がわかります この 結 果 を 基 にデザイナは トランジスタ 用 の 整 合 回 路 を 作 成 して 結 合 またはカスケード 接 続 される 回 路 の 信 号 伝 達 利 得 安 定 性 を 最 大 化 す ることができます 20

24 S21 (および S12)の 一 般 的 な 表 示 フォーマット Log MAG (Insertion Loss) Phase Delay 他 のフォーマットは 特 定 のアプリケーションで 使 われる Lin MAG Real Imaginary Agilent Restricted Page 21 DUTで 変 化 する 振 幅 及 び 位 相 の 情 報 がわかれば その 情 報 を 元 にネットワークアナライザは 各 フォーマットに 自 動 的 に 変 換 して 表 示 してくれます それぞれのフォーマットの 意 味 を 知 っておくこ とはネットーワーク 測 定 において 重 要 です 伝 送 レスポンス(S21およびS12)の 測 定 にはさまざまな 表 示 フォーマットが 使 用 できますが 広 く 用 いられるのはその 内 のいくつかだけです LogMAG 位 相 (および 電 気 遅 延 ) 群 遅 延 などのフォー マットが 広 く 用 いられます その 他 のフォーマット オプションも 使 用 できますが 通 常 は 特 定 の 測 定 アプリケーションにしか 用 いられません 例 えばLinearMAGフォーマットは 伝 送 係 数 の 大 きさを 単 位 なしで 表 示 するもので DUTの 時 間 ドメイン レスポンスの 測 定 に 使 用 します なお DUTを 通 る 伝 送 測 定 の 場 合 SWRフォーマットやスミスチャート 等 の 有 効 な 使 用 法 はありません 21

25 一 般 的 なS21 フォーマット 表 示 の 例 同 軸 ケーブル S 21 周 波 数 = 30 khz to 3 GHz Agilent Restricted Page 22 伝 送 測 定 (S21またはS12)に 役 立 つフォーマットについて 知 るために この 理 想 同 軸 ケーブルの S21 測 定 について 検 討 します 低 周 波 ではケーブルの 挿 入 損 失 と 電 気 位 相 長 はわずかですが 周 波 数 が 高 くなるにつれてケーブルの 挿 入 損 失 が 増 加 します この 例 では 30 khz~3 GHzの 範 囲 の 周 波 数 を 掃 引 し 測 定 したS21を 複 数 の 異 なる 表 示 フォーマットで 表 示 します 22

26 S21 のLog MAG フォーマット 表 示 CH1 S21 log MAG 振 幅 比 0.5 db / REF 0 db S21= の 場 合 S21(LogMag)=20log0.5=-6dB もしくはS21=a+jbの 場 合 S21(LogMag)= 20log[ (a 2 +b 2 )] (db) START GHz 周 波 数 (Hz) STOP GHz S 21 測 定 の Log MAG フォーマットが 表 示 するのは 利 得 挿 入 損 失 Agilent Restricted Page 23 Log MAGフォーマットは S21データを 表 示 する 際 に 最 もよく 用 いられるフォーマットです このフォー マットは 通 常 DUTの 挿 入 損 失 または 利 得 を 示 します つまり DUTへ 入 力 した 信 号 の 振 幅 がどれ だけ 減 少 して(もしくは 増 加 して) 伝 送 するかということを 示 しています このフォーマットは 測 定 されたS21(もしくはS12)の 振 幅 値 の20log 10 を 取 ることにより 計 算 できます 単 位 はdBです 例 えば 測 定 したS21= の 場 合 S21(LogMag)=20log0.5=-6dBとなります また S21=a+jbといった 表 現 からLogMagの 値 を 計 算 する 場 合 は S21(LogMag)= 20log[ (a 2 +b 2 )] となります 注 意 すべき 点 として デバイスの 挿 入 損 失 は 一 般 に 正 の 値 で 表 されますが 損 失 のあるデバイス を 通 る 伝 送 をネットワーク アナライザで 測 定 した 場 合 S21は 負 の 値 を 取 ります( 挿 入 損 失 とい う 呼 び 方 にはマイナス 符 号 がすでに 含 意 されています) 一 方 DUTが 利 得 を 持 つ 場 合 利 得 は 正 の 値 で 表 され 測 定 されたS21も 正 の 値 を 持 つことになります 23

27 S21 のPhase フォーマット 表 示 CH1 S21 Phase 100 O / REF 0 O S21= の 場 合 S21(Phase)=30 位 相 ( ) START GHz STOP GHz 周 波 数 (Hz) DUTを 通 過 すると どれだけ 位 相 が 変 化 するのかを 示 す 位 相 応 答 がのこぎり 刃 形 となるのは? Agilent Restricted Page 24 テスト ケーブルのS21 測 定 結 果 をPHASE フォーマットで 見 てみましょう このフォーマットは 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 位 相 差 を 示 しています つまり DUTを 通 過 することによりどれだけ 信 号 の 位 相 が 回 転 するのかを 示 しています S21= の 場 合 Phaseフォーマットでの 表 示 は 単 純 に30 となります 電 気 長 の 長 いデバイスの 位 相 を 測 定 する 場 合 表 示 されるレスポンスはのこぎり 波 形 になります この 曲 線 がのこぎり 波 になる 理 由 は アナライザが+/-180 度 の 間 で 位 相 を 折 り 返 しているからで す 24

28 測 定 した 位 相 を180ºから -180ºまで 表 示 ( 折 り 返 し) CH1 S21 Phase 100 O / REF 0 O なぜ のこぎり 波 になるのか? +180 位 相 応 答 は+180 からー180 に 入 るように 折 り 返 される -180 位 相 特 性 の 傾 き START GHz STOP GHz 位 相 特 性 とは 位 相 長 さ と 位 相 の 線 形 性 Agilent Restricted Page 25 アナライザのレシーバ アーキテクチャのために 表 示 される 位 相 は+/-180 の 範 囲 に 制 限 され ます 位 相 レスポンスの 傾 きは 保 持 されるので 情 報 の 損 失 はありません このため デバイスに よる 電 気 遅 延 を 求 めることができます アナライザは 位 相 が-180 より 小 さくなると 位 相 レスポン スを 折 り 返 し 測 定 データに360 を 加 算 します PHASEフォーマットは 通 常 2つのデバイス 間 の 位 相 の 違 いを 比 較 したり 周 波 数 に 対 するデバイ スの 位 相 線 形 性 を 調 べるために 使 用 します 位 相 レスポンスが 線 形 でないデバイスをシステムに 使 用 すると 信 号 歪 みの 原 因 となるおそれがあります 25

29 S21のDelay フォーマット 表 示 CH1 S21 delay 5 ns / REF 1.0 s 遅 延 (s) 位 相 応 答 から 計 算 する Tg = -dφ/dω START GHz STOP GHz 周 波 数 (Hz) 表 示 フォーマット 名 は 郡 遅 延 (Group Delay) Agilent Restricted Page 26 位 相 ひずみのもう1つの 有 効 な 測 定 に 群 遅 延 があります DELAY フォーマットを 使 用 すると アナ ライザはDUTの 群 遅 延 を 測 定 することができます 群 遅 延 は デバイスを 通 る 信 号 の 通 過 時 間 の 尺 度 です DUTの 位 相 と 群 遅 延 には 数 学 的 な 関 係 があります 群 遅 延 Tg=-dφ/dωの 関 係 があります 遅 延 は 伝 送 位 相 レスポンスの 傾 きの 尺 度 です 先 に 説 明 したように デバイスが 電 気 的 に 長 い 場 合 位 相 の 傾 きが 大 きくなり 得 られる 平 均 通 過 時 間 ま たは 平 均 遅 延 も 大 きくなります DELAYフォーマットは 測 定 レスポンスの 線 形 な 傾 きを 除 去 するの で 位 相 歪 みを 測 定 するためのもう1つの 方 法 として 使 用 できます 26

30 S11 (および S22)の 一 般 的 な 表 示 フォーマット Log MAG (Return Loss) SWR Smith Chart Polar 他 のフォーマットは 特 定 のアプリケーションで 使 われる Phase Delay Lin MAG Real Imaginary Agilent Restricted Page 27 S11とS22の 測 定 にはさまざまな 表 示 フォーマットが 使 用 できますが 広 く 用 いられるのはその 内 の いくつかだけです LogMAG SWR スミス チャート 極 座 標 などのフォーマットが 広 く 用 いられます その 他 のフォーマット オプションも 使 用 できますが 通 常 は 特 定 の 測 定 アプリケーションにしか 用 いられません 例 えばLinMAGフォーマットは 反 射 係 数 の 大 きさを 単 位 なしで 表 示 するもので 変 換 パラメータや 時 間 ドメイン データに 使 用 します 27

31 DUTの 入 力 インピーダンスに 依 存 するS11 S 11 値 は Z IN がどれだけ 50 ohmに 近 いかを 表 します H if ZIN 50 then S11 if Z 0 o IN short then S PORT 1 PORT 2 ZO 50 Z IN DUT S 11 Z Z IN IN Z Z O O 1 1 S 11 Agilent Restricted Page 28 DUTの 反 射 係 数 ΓまたはS11を 測 定 する 場 合 反 射 信 号 の 量 はDUTの 入 力 インピーダンスに 依 存 します S11は DUTのインピーダンスと 測 定 システムの 特 性 インピーダンスZoとの 違 いを 示 す 測 定 値 です ほとんどの 高 周 波 テスト 機 器 は 50Ωの 特 性 インピーダンスを 持 ちます 一 部 の 低 周 波 アナライザには CATVアプリケーション 向 けの75Ω 特 性 インピーダンスの 構 成 が 用 意 されて います DUTが50Ω 終 端 の 場 合 S11の 振 幅 は0 DUTがショート 回 路 の 場 合 信 号 がすべて 反 射 され S11の 振 幅 は1 (0 db) 位 相 は180 となります 28

32 S11 フォーマットを 表 示 の 例 DUT S 11 R = 50 Ohms L = 50 nh 理 想 的 な 直 列 R-L 回 路 周 波 数 = 30 khz to 3 GHz Agilent Restricted Page 29 反 射 測 定 (S11またはS22)に 役 立 つフォーマットについて 知 るために この 単 純 なR-L 回 路 のS11 測 定 結 果 について 検 討 します インダクタLのインピーダンスは 低 周 波 ではきわめて 小 さく 回 路 から はショートに 見 えます インダクタが 短 絡 しているとDUTは50Ω 終 端 に 見 えるため 反 射 係 数 の 大 きさは 非 常 に 小 さくなります 高 周 波 ではインダクタのインピーダンスが 非 常 に 大 きくなり DUTは オープン 回 路 に 見 えるようになります この 場 合 反 射 係 数 が 非 常 に 大 きくなります この 理 想 回 路 に 対 して 周 波 数 を30 khzから3 GHzまで 掃 引 し 複 数 の 異 なる 表 示 フォーマットでS11を 測 定 し ます 29

33 入 力 インピーダンスZINの 計 算 例 ZIN R jx R j L Z IN R = 50 Ohms L = 50 nh 30 khzでは 50 j ZIN マッチング 良 好 3 GHzでは 50 j942 j942 周 波 数 依 存 項 ZIN オープン 回 路 Agilent Restricted Page 30 DUTの 入 力 インピーダンスは 振 幅 と 位 相 あるいは 実 数 部 と 虚 数 部 によって 表 現 できます イン ピーダンスの 実 数 部 は 抵 抗 Rと 呼 ばれ 虚 数 部 Xはリアクタンスと 呼 ばれます リアクタンスは 測 定 周 波 数 におけるデバイス 特 性 に 応 じて 誘 導 性 にも 容 量 性 にもなります 理 想 インダクタのリア クタンスはωL 理 想 キャパシタのリアクタンスは1/ωCです リアクタンスは 通 常 インピーダンス の 周 波 数 に 依 存 する 項 で 多 くのデバイスでは 測 定 周 波 数 に 応 じて 誘 導 性 にも 容 量 性 にもなりま す 例 えば チップ キャパシタは 低 周 波 では 容 量 性 ですが 周 波 数 が 自 己 共 振 点 を 超 えると リー ドやパッケージのインダクタンスがキャパシタ 自 体 の 容 量 よりも 大 きくなるため 誘 導 性 に 変 わりま す 上 記 の 直 列 R-L 回 路 の 場 合 30 khzではリアクタンスは 非 常 に 小 さく(X=0.009Ω) 回 路 の 入 力 イ ンピーダンスは 回 路 抵 抗 の50Ωにほぼ 一 致 します この 付 近 の 周 波 数 ではDUTは50Ω 終 端 で システムの 特 性 インピーダンスとよく 整 合 したデバイスです 周 波 数 が 増 加 するにつれ R-L 回 路 はオープン 回 路 に 近 づきます 3 GHzではインピーダンスは 約 942Ωで 非 常 に 反 射 の 大 きいDUT となります 30

34 S11のLog MAG フォーマット 表 示 CH1 S11 log MAG 5 db / REF -20 db 振 幅 比 マッチング 悪 い S 11 ~ 0dB (db) マッチング 良 好 S 11 < -35 db START GHz 周 波 数 (Hz) S11を db で 表 したものは Return Lossです STOP GHz S11=ρ θの 場 合 S11(LogMag)=20logρ Agilent Restricted Page 31 Sパラメータに 対 して 最 も 広 く 用 いられる 表 示 フォーマットの1つがLog MAGフォーマットです S11ま たはS22 測 定 でLog MAGフォーマットを 選 択 した 場 合 その 値 は 通 常 DUTのリターン ロスと 呼 ばれ ます このフォーマットを 計 算 するには S11の 測 定 結 果 の 振 幅 の20 LOG 10 を 取 ります 例 えば 測 定 したS11= の 場 合 S11(LogMag)=20log0.5=-6dBとなります また S11=a+jbといった 表 現 からLogMagの 値 を 計 算 する 場 合 は S11(LogMag)= 20log[ (a 2 +b 2 )] となります 注 意 すべき 点 として リターン ロスはdBで 表 わされるスカラ 量 です リターン ロスの 定 義 にはマイ ナス 符 号 が 含 まれているので リターン ロスの 値 は 常 に 正 です(ネットワーク アナライザで 対 数 振 幅 フォーマットを 使 ってS11またはS22を 測 定 した 場 合 結 果 のマイナス 符 号 を 無 視 するとリター ン ロスが 得 られます) リターン ロスは 反 射 信 号 が 入 射 信 号 より 何 db 下 にあるかを 示 す 値 と 考 えることができます リターン ロスは 無 限 大 (Zoインピーダンスの 場 合 )から0 db(オープンまたは ショート 回 路 の 場 合 )のあいだで 変 化 します この 単 純 なR-L 回 路 の 場 合 Log MAGスケールでS11を 測 定 すると 低 周 波 では 非 常 に 良 好 な 整 合 性 が 見 られます 低 周 波 でのDUTの 入 力 インピーダンスは 約 50Ωです S11の 測 定 値 は 30 khzで-35 dbより 上 です 周 波 数 が 増 加 するにつれ S11の 値 が-35 dbからほぼ0 dbまで 増 加 す ることがわかります 0 dbのs11は DUTによる 完 全 反 射 を 表 わします( 全 反 射 の 場 合 反 射 係 数 r = 1) この 例 では 周 波 数 が 増 加 するにつれて 回 路 の 誘 導 性 部 分 が 非 常 に 大 きくなり 反 射 デ バイスとなることがわかります S11( db) 20 log10( ) 31

35 S11 のSWR フォーマット 表 示 D U T CH1 S11 SWR 10 / REF 1 Emax Emin SWR マッチング 悪 い SWR > 100 SWR=E max /E min START GHz STOP GHz マッチング 良 好 SWR = 周 波 数 (Hz) 定 在 波 比 : SWR 又 は VSWR S11=ρ θ の 場 合 SWR=(1+ρ)/(1-ρ) Agilent Restricted Page 32 DUTからの 反 射 を 表 示 するためのもう1つの 非 常 に 一 般 的 なフォーマットが SWR( 定 在 波 比 )フォー マットです この 無 次 元 の 値 は 伝 送 ライン 上 に 存 在 する 定 在 波 の 最 大 電 圧 レベルと 最 小 電 圧 レ ベルとの 比 を 表 わします この 定 在 波 は 2つの 信 号 (DUTへの 入 射 信 号 とDUTからの 反 射 信 号 ) が 同 じ 伝 送 ライン 上 を 反 対 方 向 に 進 行 することによって 生 成 されます 多 くのデバイスでは メー カによってSWRまたはVSWRの 値 が 指 定 されています この 例 の 場 合 上 の 図 のように 低 周 波 では 約 1.0のSWRを 示 します 低 周 波 ではDUTが 良 好 な 50Ω 終 端 のように 見 えるからです より 高 い 周 波 数 では インダクタが 非 常 に 大 きなインピーダン スを 持 ちはじめ 回 路 は 反 射 デバイスになって SWRが100を 超 えます 32

36 S11のPOLAR フォーマット 表 示 90 O S 11 = A = R Re A + j Im A Re R + j Im R O = 振 幅 が 大 きい= 反 射 が 大 きい オープンの 反 射 特 性 = O ロード(50Ω)の 反 射 特 性 = 0 ショートの 反 射 特 性 = ポーラチャートは 振 幅 と 位 相 を 同 時 に 表 示 します Agilent Restricted Page 33 POLARフォーマットはもう1つの 便 利 なS11フォーマットであり 反 射 信 号 の 振 幅 と 位 相 を 示 します このフォーマットは 実 数 と 虚 数 で 表 現 されている 値 を 振 幅 と 位 相 の 値 へ 変 換 します 各 ポイント が 振 幅 と 位 相 の 特 定 の 値 に 対 応 します 量 はベクトルとして 読 み 取 られます あるポイントの 振 幅 は その 中 心 からの 距 離 によって 求 められます 位 相 は X 軸 の 正 の 側 から 反 時 計 回 りに 角 度 を 測 ることによって 求 められます S11の 振 幅 は 0( 反 射 信 号 なし)から1( 全 反 射 )まで 直 線 的 に 変 化 します 周 波 数 軸 がないため 周 波 数 情 報 はマーカから 読 み 取 ります また 理 想 的 なOpenの 特 性 は1 0 ですのでチャートの 右 端 理 想 的 なShortの 特 性 は1 180 ですのでチャートの 左 端 Load(50Ω)は 無 反 射 ですのでチャートの 真 中 にプロットされます 33

37 先 の 例 のS11のPOLAR フォーマット 表 示 CH1 S11 1 U FS S 300 MHz khz 整 合 がとれている 0 S GHz 整 合 がとれていない 0 S 定 抵 抗, R=50 Ω START GHz STOP GHz 直 列 R-L 回 路 の 周 波 数 応 答 例 Agilent Restricted Page 34 上 に 示 すのは 例 の 直 列 R-L 回 路 のS11のPOLAR 表 示 で 周 波 数 レンジ30 khz~3 GHzをカバー しています 低 周 波 ではS11の 振 幅 はほぼ0で データはPOLAR 表 示 の 中 心 付 近 に 集 中 していま す 周 波 数 が 増 加 するにつれ インダクタのインピーダンスが 大 きくなり 反 射 信 号 の 振 幅 が 増 加 するので データは 円 弧 を 描 きます この 回 路 の 位 相 は 30 khzの90 から3 GHzの0 まで 変 化 します 反 射 信 号 の 振 幅 はSWRおよびLog MAGフォーマットで 簡 単 に 表 示 できますが POLAR 表 示 ではこのほかに 非 常 に 役 立 ついくつかの 情 報 が 得 られます 例 えば この 回 路 が 高 周 波 で 反 射 デバイスになることは(SWRまたはLog MAGフォーマットを 調 べることにより)わかりますが この 反 射 はオープン 回 路 とショート 回 路 のどちらに 起 因 しているでしょうか POLARフォーマットを 使 う と S11の 位 相 が0に 近 づくので デバイスが 高 周 波 でオープン 回 路 として 動 作 していることがすぐ にわかります 高 周 波 で 位 相 が180 になれば 回 路 がショートとして 動 作 していることがわかりま す なお このデバイスの 実 数 部 ( 抵 抗 )は 変 化 しないので S11が 描 く 円 弧 はR=50 Ωの 定 抵 抗 のライ ンとなります 34

38 POLAR 表 示 :S11 の 定 抵 抗 ライン R 0 定 抵 抗 円 R R 25 R 50 jx= 誘 導 性 jx R 100 jx= 容 量 性 Agilent Restricted Page 35 固 定 50Ω 抵 抗 と 組 み 合 わせたインダクタとキャパシタのS11レスポンスをつなぐと 周 波 数 レスポ ンスは 完 全 な 円 になります S11の 値 がX 軸 の 上 にある 場 合 リアクタンスは 誘 導 性 で 軸 の 下 に ある 場 合 は 容 量 性 です この 情 報 は デバイスのデザインやトラブルシューティングに 非 常 に 役 立 ちます 周 波 数 による 振 幅 の 変 化 だけでなく DUTが 誘 導 性 か 容 量 性 かも 判 断 できるからです 抵 抗 の 値 を 変 更 すると 周 波 数 を 掃 引 したときの 円 の 半 径 が 変 化 します それぞれの 曲 線 は 抵 抗 が 一 定 でリアクタンスが 変 化 したときのラインを 表 わします 35

39 POLAR 表 示 :S11 の 定 リアクタンス ライン X 50 定 リアンクタンス 円 X 25 可 変 R 誘 導 性 jx 固 定 X X 0 R= 容 量 性 X 25 X 50 R=50 R=0 Agilent Restricted Page 36 上 に 示 すのは 抵 抗 を 変 更 し 定 インダクタンス 値 またはキャパシタンス 値 でリアクタンスを 固 定 す ることによって 作 成 したPOLARプロットです 上 記 の 曲 線 は 抵 抗 の 関 数 です オープン 回 路 のポイ ントはプロットの 右 端 に 振 幅 1 位 相 0 で 示 されています ショート 回 路 は 振 幅 1 位 相 180 で チャートの 左 端 に 示 されます 36

40 スミス チャート 表 示 定 抵 抗 のラインと 定 リアクタンスのラインを 合 わ せるとスミスチャートになる 誘 導 性 容 量 性 スミスチャートはZ0で 正 規 化 される スミス チャートから 読 み 取 れるのは 正 規 化 した Z IN Agilent Restricted Page 37 一 定 の 抵 抗 と 一 定 のリアクタンスの 曲 線 を1つの 共 通 のグラフに 組 み 合 わせることにより よく 知 ら れたスミス チャートを 作 成 できます このチャートは 通 常 反 射 測 定 に 使 用 され データをインピー ダンスとして 直 接 読 み 取 ることができます POLARフォーマットのS11 測 定 では 反 射 信 号 の 振 幅 と 位 相 が 表 示 されるのに 対 し スミス チャートはDUTに 対 する 入 力 インピーダンスを 示 します 表 示 されるインピーダンスは システムの 特 性 インピーダンス( 通 常 50Ω)に 正 規 化 されています スミス チャートの 円 の 上 半 分 にあるリアクタンス 値 は 正 の( 誘 導 性 )リアクタンスであり 下 半 分 のリアクタ ンス 値 は 負 の( 容 量 性 )リアクタンスです スミス チャートは システムの 特 性 インピーダンスとのイ ンピーダンス 整 合 が 必 要 となる 高 周 波 コンポーネントのデザインとトラブルシューティングにおけ る 優 れたツールです 37

41 先 の 例 のスミス チャート 表 示 R + j X = Z IN CH1 S11 1 U FS 1: 50.0 ohms 188 ohms GHz 1 DUTの Z IN はマーカで 直 読 できる START GHz STOP GHz Agilent Restricted Page 38 上 に 示 すのは この 直 列 R-L 回 路 の 例 をスミス チャートで 表 示 したものです 表 示 マーカを 使 用 すると 特 定 の 周 波 数 での 抵 抗 値 とリアクタンス 値 を 知 ることができます この 例 のように 回 路 抵 抗 が50Ωの 場 合 DUTに 適 用 する 周 波 数 を 掃 引 することにより 1.0の 定 抵 抗 ライン(50Ωに 正 規 化 )がトレースされます 38

42 3 章 ネットワークアナライザの 構 造 と 動 作 原 理 39

43 Network Analyzer 4つのブロック 入 射 信 号 R 反 射 信 号 A 伝 送 信 号 B 1 信 号 源 4 プロセッサと 表 示 2 信 号 分 離 入 射 信 号 R 3 検 波 器 と 受 信 器 伝 送 信 号 B 2 信 号 分 離 反 射 信 号 A Port1 Port2 DUT Z 0 LOAD Agilent Restricted Page 40 では ネットワークアナライザの 内 部 がどのようになっているのか 具 体 的 に 見 ていき ましょう ネットワークアナライザの 内 部 は 上 記 のスライドのように4つのブロックか ら 構 成 されます 測 定 の 全 体 的 な 流 れは 次 の 通 りです 反 射 測 定 1の 信 号 源 より 信 号 を 出 力 2の 信 号 分 離 により DUT への 信 号 と 直 接 3 の 検 波 器 と 受 信 機 へ 向 かう 信 号 を 分 離 直 接 検 波 器 へ 向 かった 信 号 は DUTへ の 入 射 信 号 と 等 価 して 測 定 される DUTへ 向 かった 信 号 は 反 射 され 2の 信 号 分 離 により 検 波 器 と 受 信 機 へ 向 かうこの 信 号 は 反 射 信 号 として 測 定 される 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 測 定 結 果 は4の プロセッサと 表 示 へ 送 られる プロセッ サは 入 射 信 号 と 反 射 信 号 の 比 をとることにより 振 幅 と 位 相 の 変 化 を 演 算 さらに 振 幅 と 位 相 の 測 定 結 果 を 演 算 することにより 様 々なフォーマットでディスプレイに 表 示 伝 送 測 定 1の 信 号 源 より 信 号 を 出 力 2の 信 号 分 離 により DUT への 信 号 と 直 接 検 波 器 と 受 信 機 へ 向 かう 信 号 を 分 離 直 接 検 波 器 へ 向 かった 信 号 はDUTへの 入 射 信 号 と 等 価 して 測 定 される DUTへ 向 かった 信 号 はDUTを 通 過 し 2の 信 号 分 離 により 検 波 器 と 受 信 機 へ 向 かうこの 信 号 は 反 射 信 号 として 測 定 される 測 定 された 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 はプロセッサと 表 示 へ 送 られる プロセッサ は 入 射 信 号 と 伝 送 信 号 の 比 をとることにより 振 幅 と 位 相 の 変 化 を 演 算 さらに 振 幅 と 位 相 の 測 定 結 果 を 演 算 することにより 様 々なフォーマットでディスプレイに 表 示 では それぞれのブロックを 詳 細 に 見 ていきたいと 思 います 40

44 信 号 源 1 システムに 信 号 を 供 給 周 波 数 /パワーを 掃 引 Stepped 掃 引 と Ramp 掃 引 がある Stepped 掃 引 周 波 数 が 高 確 度 Ramp 掃 引 掃 引 速 度 が 速 い ( 内 部 信 号 源 は 一 般 の 信 号 源 としては 適 当 ではない) 内 蔵 されたシンセサイザタイプの 信 号 源 Agilent Restricted Page 41 まず 1の 信 号 源 について 説 明 します 信 号 源 は DUTへの 入 射 信 号 を 供 給 しま す ネットワークアナライザに 内 蔵 (もしくは 外 付 け)されている 信 号 源 は 周 波 数 およびパワーを 連 続 的 に 可 変 ( 掃 引 )させる 事 ができます (もちろん 一 定 のPowerで 周 波 数 のみを 可 変 させることも 可 能 です ) 周 波 数 を 変 化 させる 方 式 としてStepped ModeとRamp Modeがあり どちらの 掃 引 方 式 を 使 用 するかネットワークアナライザのフロントパネルより 指 定 できます Steppedモードは ある 周 波 数 を 一 定 時 間 出 力 した 後 次 の 周 波 数 へ 可 変 していく 掃 引 方 式 です 周 波 数 を 可 変 させたあとPLL(Phase Lock Loop)という 回 路 が 動 作 し 確 実 に 希 望 の 周 波 数 が 出 力 されていることを 確 認 しつつ 掃 引 していきます 周 波 数 の 確 度 がよく 一 定 時 間 同 じ 周 波 数 にとどまっているため 掃 引 速 度 が 速 す ぎる 事 により 受 信 側 の 周 波 数 と 信 号 源 の 周 波 数 の 同 期 が 取 れないために 発 生 する 受 信 側 で 測 定 信 号 が 受 信 できないという 現 象 が 発 生 しにくい 掃 引 方 式 です 一 方 Ramp 掃 引 は 常 に 周 波 数 を 可 変 させる 掃 引 方 式 で 同 じ 周 波 数 にとどまる 時 間 は 発 生 しません 周 波 数 確 度 はSteppedモードより 劣 りますが 掃 引 速 度 が 速 いため 測 定 時 間 の 短 縮 が 望 めます 41

45 信 号 分 離 2 入 射 信 号 リファレンスの 測 定 db 6 db パワースプリッタ 抵 抗 性 ( 損 失 ) 無 方 向 性 広 帯 域 基 準 用 の 信 号 主 信 号 方 向 性 結 合 器 (カプラ) 方 向 性 あり 低 損 失 アイソレーション 方 向 性 が 良 好 低 周 波 域 での 測 定 が 困 難 Agilent Restricted Page 42 このセクションでは 2の 信 号 分 離 ブロックについて 説 明 します この 機 能 に 使 用 されるハードウェ アは 通 常 テスト セット と 呼 ばれます テスト セットは 独 立 した 装 置 の 場 合 も アナライザに 内 蔵 されている 場 合 もあります 信 号 分 離 ハードウェアが 提 供 しなければならない 機 能 は2つあります 第 1には 入 射 信 号 の 一 部 を 測 定 して 比 測 定 の 基 準 を 提 供 することです このためにはスプリッタまたは 方 向 性 結 合 器 を 使 用 します スプリッタは 通 常 抵 抗 性 です スプリッタは 非 方 向 性 で( 方 向 性 については 後 で 詳 しく 説 明 します) 非 常 に 広 帯 域 のデバイスです トレードオフとして 各 アームに 通 常 6 db 以 上 の 損 失 があります 方 向 性 結 合 器 の 場 合 (メイン アームで) 非 常 に 低 損 失 で 優 れたアイソレーションと 方 向 性 を 持 つものを 作 成 できます ただし 方 向 性 結 合 器 を 低 周 波 で 動 作 させるのは 困 難 です RFネットワー ク アナライザでは 低 周 波 測 定 が 重 要 なので これが 問 題 となる 可 能 性 があります 42

46 カプラ 1 挿 入 損 失 (insertion loss) 通 常 1~2dB 程 度 P a P b 2 結 合 度 (Coupling Factor) -10log(Pc/Pa) 通 常 10~20dB 程 度 P c 3 分 離 度 (Isolation) -10log(Pc/Pb) 通 常 30~50dB 程 度 Agilent Restricted Page 43 ここで カプラについて 簡 単 に 説 明 します カプラは 一 般 的 に 信 号 を 分 岐 するアクセサリとして 使 用 されます 理 想 的 にはPaから 入 力 された 信 号 はPb Pcへ 出 力 されますが Pbより 入 力 された 信 号 はPcへは 出 力 されません カプラの 特 性 を 決 定 する 主 な 仕 様 としては 上 記 の 挿 入 損 失 結 合 度 分 離 度 と 方 向 性 があります 挿 入 損 失 は メインの 経 路 を 伝 送 する 信 号 の 損 失 を 示 します 入 力 Paに 対 する 出 力 のPbのPower 比 の-10Logをとった 物 で 表 現 され 通 常 1~2dBです つまり カプラのメインの 経 路 ではほとんど 損 失 が 無 いといえます Paへ 入 力 される 信 号 の 一 部 を 分 岐 させ モニタするための 出 力 がPcとなります PaとPcのPower 比 の-10Logをとった 物 が 結 合 度 として 表 現 されます 通 常 10~20dBの 損 失 があります Paの PowerをモニタするためにPcがあるため Pbより 信 号 の 入 力 がある 場 合 PbからPcへの 信 号 は 伝 送 しない( 損 失 が 大 きい) 方 が 理 想 的 と 言 えます この 経 路 の 損 失 をあらわしたものが 分 離 度 で す 通 常 30~50dB 程 度 の 損 失 があり この 損 失 が 大 きいほど 理 想 的 なカプラといえます ネットワー ク 測 定 で このIsolationがとれていないカプラを 使 用 すると 測 定 誤 差 の 原 因 の 一 つとなってしまい ます 最 後 に 方 向 性 (directivity)という 仕 様 も 一 般 的 に 使 用 されますので 説 明 しておきます 方 向 性 は 分 離 度 と 結 合 度 の 差 で 表 現 されます 方 向 性 (db)= 分 離 度 - 結 合 度 となります 例 えば 分 離 度 が30dB 結 合 度 が20dBの 場 合 方 向 性 は10dBとなります 43

47 検 波 器 と 受 信 機 3 広 帯 域 ダイオード 検 波 スカラーネットワークアナライザ 狭 帯 域 IF 検 波 ベクトルネットワークアナライザ(VNA) Agilent Restricted Page 44 次 に3のブロックの 信 号 を 検 波 する 方 式 をご 紹 介 します 一 般 的 に 使 用 される 検 波 方 式 として は 広 帯 域 ダイオード 検 波 と 狭 帯 域 IF 検 波 が 存 在 します 概 略 としては 広 帯 域 ダイオード 検 波 は 全 周 波 数 帯 域 の 信 号 を 検 波 する 方 式 です この 方 式 を 使 用 した 場 合 位 相 情 報 は 失 われてしまいます 主 にスカラネットワークアナライザと 呼 ばれる DUTの 振 幅 特 性 のみを 測 定 するネットワークアナライザに 使 用 されます 狭 帯 域 IF 検 波 方 式 は 特 定 の 周 波 数 範 囲 のみの 信 号 をフィルタリングし 検 波 する 方 式 です ベ クトル レシーバを 使 用 すれば 位 相 情 報 が 失 われることはありません ベクトルネットワークアナ ライザでは 通 常 この 方 式 が 使 用 されます 44

48 基 本 ネットワーク アナライザ 基 準 R 反 射 A 伝 送 B 3 1 DUT 信 号 源 パワースプリッタ 2 方 向 性 結 合 器 またはブリッジ S 11 ( 反 射 ) = A/R S 21 ( 伝 送 ) = B/R Agilent Restricted Page 45 では いくつかのコンポーネントを 組 み 合 わせてリフレクトメータを 構 築 してみましょう リフレクトメー タは DUTの 反 射 および 伝 送 測 定 に 使 用 するRF/マイクロ 波 信 号 を 測 定 します 以 下 に その 動 作 原 理 について 説 明 します 信 号 源 ( 通 常 はRFまたはマイクロ 波 信 号 発 生 器 あるいは 掃 引 発 生 器 )から 来 た 信 号 は スプリッ タによって2つの 信 号 に 等 分 されます これらの 信 号 の1つは 基 準 と 呼 ばれ ここではRで 示 され ています この 信 号 は DUTの 入 射 信 号 を 表 わします もう1つの 信 号 は DUTに 送 られます DUT までの 途 中 で 方 向 性 結 合 器 またはブリッジを 通 ります DUTからの 反 射 信 号 は 再 度 カプラに 入 り ( 結 合 係 数 に 応 じて) 結 合 アームAで 測 定 されます DUTを 通 って 伝 送 された 信 号 は ここでは 量 Bと して 示 されています 反 射 率 ( 反 射 係 数 )は 単 にA/Rです 伝 送 係 数 はB/Rです これは スカラ 解 析 とベクトル 解 析 の 両 方 にあてはまります 違 いは R A Bの 測 定 方 法 にありま す 単 純 な 検 波 を 使 用 する 場 合 比 の 計 算 プロセスに 利 用 できるのはスカラ 振 幅 だけです 一 方 ベクトル レシーバを 使 ってこれらの 量 を 測 定 すれば 複 素 (ベクトル) 反 射 / 伝 送 係 数 を 計 算 できま す 上 記 の 略 図 は 基 本 的 なネットワーク アナライザ システムを 示 したものです リフレクトメータを 実 現 する 別 の 方 式 を 見 てみましょう 45

49 ミキシングとサンプリング( 狭 帯 域 レシーバ 技 法 ) ミキサ IFフィルタ 基 本 波 ミキシング f RF f LO IF= f RF f LO サンプラ ミキサ IFフィルタ IF= f RF n.f LO サンプリング クロック Agilent Restricted Page 46 広 帯 域 検 波 の 問 題 を 解 決 するために 狭 帯 域 レシーバ 技 法 が 用 いられます 広 帯 域 テスト 信 号 を より 低 い 狭 帯 域 周 波 数 にダウンコンバートすると 安 価 で 使 いやすい 信 号 処 理 技 法 (フィルタリン グ 増 幅 振 幅 および 位 相 検 波 A-D 変 換 )が 可 能 になります この 方 法 は ほとんどすべてのヘ テロダイン/ 狭 帯 域 レシーバ(ネットワーク アナライザのレシーバを 含 む)で 使 用 されています マイクロ 波 のダウンコンバージョンには サンプリング 技 法 がよく 用 いられます サンプラはミキサ とよく 似 たダイオード ベースのデバイスであり サンプリング クロックによってスイッチのようにオ ン/オフされます オンの 間 は RF 波 形 のサンプルが 出 力 に 送 られます サンプリングのクロック 速 度 を 慎 重 に 選 択 すれば アンダーサンプリングされた(エリアジングのある)RF 信 号 が 希 望 のIF 周 波 数 で 生 成 されます 同 じ LOを 使 って 複 数 のミキサまたはサンプラを 駆 動 する 場 合 得 られたIF 信 号 は RFのときと 同 じ 振 幅 / 位 相 関 係 を 保 持 します 一 部 のレシーバでは 基 本 波 ミキシングが 用 いられます この 技 法 は LOが 信 号 源 と 同 じ 周 波 数 レンジを 持 つ 必 要 があるため 費 用 がかかりますが 大 きいダイナミック レンジが 必 要 なアプリケー ションや アンテナ 試 験 など 測 定 のダウンコンバージョンがメイン アナライザから 離 れているアプ リケーションに 使 用 されます 狭 帯 域 検 波 には 多 くの 利 点 があります 例 えばIFフィルタリングによって 一 度 に1つの 信 号 だけ が 測 定 されます フィルタリングは ノイズを 減 少 させ 測 定 レンジと 感 度 を 増 加 させる 働 きもしま す また さらに 高 度 な 処 理 により 振 幅 と 位 相 の 測 定 が 可 能 になります 46

50 狭 帯 域 検 波 を 使 ったネットワーク アナライザ 狭 帯 域 IF IF Filter IF Filter IF Filter ミキサまたは サンプラ ローカル 信 号 源 基 準 R 信 号 源 パワースプリッタ 反 射 A 伝 送 B 方 向 性 結 合 器 または ブリッジ DUT Agilent Restricted Page 47 ここには 真 のヘテロダイン レシーバを 装 備 したリフレクトメータを 示 します 1つのLOまたはサン プリング クロックを 共 通 に 使 用 することで 全 チャネルの 位 相 と 振 幅 の 関 係 が 保 持 されます これ を 同 期 レシーバと 呼 ぶ 場 合 もあります IFフィルタは1つのミキシング 成 分 だけを 通 します これに よりシステム 帯 域 幅 とノイズが 減 少 するとともに その 後 の 処 理 と 検 波 に 適 した 信 号 になります 47

51 フルSパラメータ テスト セット R A 3-Port B トランスファ スイッチ DUT 注 意 : このスイッチは 測 定 経 路 に 入 る トランスファ スイッチ R F A B 4-Port R R DUT S 11 順 方 向 反 射 = A/R F S 22 逆 方 向 反 射 = B/R R S 21 順 方 向 伝 送 = B/R F S 12 逆 方 向 伝 送 = A/R R Agilent Restricted Page 48 ここまで 見 てきたリフレクトメータは しばしば 伝 送 / 反 射 (T/R)テスト セットと 呼 ばれます この 基 本 T/R 構 成 は デバイスを 一 方 向 でのみ 測 定 します 逆 方 向 Sパラメータを 得 るには デバイスを 物 理 的 に 方 向 転 換 しなければなりません これを 改 善 するため フルSパラメータ テスト セットが 開 発 されました スイッチなどいくつかのコンポーネントを 追 加 すれば デバイスを 回 路 から 取 り 外 さずに 逆 転 できます 上 の 図 は フルSパラメータ テスト セットの 安 価 な 実 現 方 法 を 示 します こ こで 必 要 となるのは スイッチともう1つの 方 向 性 結 合 器 だけです この 手 法 の 欠 点 は スイッチが テスト 経 路 にある 点 です スイッチに 非 再 現 性 があると 測 定 誤 差 が 生 じます 下 の 図 では スイッ チ スプリッタ カプラと もう1つの 測 定 ポートを 追 加 しています こちらのほうが 費 用 はかかります が スイッチがスプリッタの 前 に 来 るため スイッチによる 不 安 定 性 が 基 準 経 路 とテスト 経 路 の 両 方 に 現 れます したがって 測 定 値 の 比 を 計 算 すると 不 安 定 性 は 除 去 されます また テスト セッ トが 対 称 になることから 来 る 他 の 重 要 な 利 点 もあります 48

52 T/Rテスト セットとSパラメータ テスト セット 伝 送 / 反 射 (T/R)テスト セット Sパラメータ テスト セット 信 号 源 信 号 源 トランスファ スイッチ R R A B A B Port 1 Port 2 順 方 向 DUT RF 信 号 はポート1から 常 に 出 力 される ポート2は 常 に 受 信 する レスポンス, 1ポート 校 正 ができる Port 1 Port 2 順 方 向 DUT 逆 方 向 RF 信 号 はポート1および2から 出 力 される 順 方 向 逆 方 向 の 測 定 ができる 2ポート 校 正 ができる Agilent Restricted Page 49 ここでは ネットワーク アナライザと 共 に 使 用 される2 種 類 の 基 本 的 なテスト セットについてまとめ ます 伝 送 / 反 射 (T/R)テスト セットの 場 合 RFパワーは 常 にテスト ポート1から 出 力 され テスト ポート2はアナライザのレシーバに 接 続 されています DUTの 逆 方 向 伝 送 ( 出 力 反 射 )を 測 定 するに は DUTを 取 り 外 し 逆 向 きにしてアナライザに 再 接 続 する 必 要 があります T/Rベース ネットワー ク アナライザでは レスポンス 校 正 と1ポート 校 正 のみが 可 能 です したがって Sパラメータ テス ト セットを 使 用 した 場 合 と 比 べて 測 定 確 度 が 低 下 します ただし T/Rベース アナライザのほうが 安 価 です Sパラメータ テスト セットを 使 用 すれば DUTに 対 して 順 方 向 測 定 と 逆 方 向 測 定 の 両 方 が 実 行 可 能 です 4 個 のSパラメータすべてを 評 価 するには これらの 測 定 が 必 要 です RFパワーは テスト ポート1と2のどちらからでも 出 力 でき どちらのテスト ポートもレシーバに 接 続 できます Sパラメー タ テスト セットでは フル2ポート(12ターム) 誤 差 補 正 も 可 能 です これは 最 も 正 確 な 誤 差 補 正 法 です Sパラメータ ネットワーク アナライザの 性 能 はT/Rベース アナライザよりも 優 れていますが テスト セットに 用 いられるRFコンポーネントが 増 えるため より 費 用 がかかります 49

53 ネットワークアナライザのまとめ 信 号 源 信 号 分 離 スプリッタ カップラ 検 波 ダイオード 検 波 スカラーNA 狭 帯 域 IF 検 波 ( 基 本 波 ミキシング 高 調 波 ミキシング) VNA プロセッサ 表 示 テストセット T/Rテストセット Sパラメータテストセット Agilent Restricted Page 50 50

54 4 章 ネットワーク アナライザの 基 本 的 な 使 い 方 51

55 一 般 的 な 測 定 手 順 PREPARE ウォームアップ 汚 れの 確 認 ゲージによるコネクタの 検 査 ケーブル アダプタをアナライザに 接 続 アナライザをPRESET 周 波 数 パワー IF BW 測 定 ポイント 数 を 設 定 DUTを 接 続 し セットアップの 確 認 Sパラメータ 表 示 フォーマットを 選 択 表 示 のスケーリング CALIBRATE DUTを 取 り 外 す 校 正 する 校 正 を 検 証 する 機 器 ステートを 保 存 MEASURE DUTを 再 び 接 続 測 定 Agilent Restricted Page 52 ここに 示 すのは ネットワーク アナライザを 使 って 測 定 を 実 行 する 際 の 一 般 的 な 手 順 です これら のステップをひとつずつ 検 討 することは 正 確 な 結 果 を 得 るために 役 立 ちます ネットワーク アナライザは 他 の 多 くの 測 定 器 と 異 なり 出 荷 時 には 測 定 設 定 も 校 正 も 行 われて いません この 作 業 には 高 い 確 度 が 必 要 となるため 個 々の 被 試 験 デバイスに 対 してユーザがア ナライザの 設 定 と 校 正 を 行 う 必 要 があります このプロセスの 主 なステップについて 見 ていきましょう 52

56 全 ケーブルとコネクタの 清 掃 検 査 ゲージング 可 能 であればプレシジョンコネクタ(APC)を 使 用 無 塵 綿 アルコールを 使 った 清 掃 衝 撃 による 変 形 の 確 認 位 相 安 定 が 良 い 高 品 質 ケーブルの 使 用 ケーブルの 安 定 性 をテスト コネクタのゲージ 測 定 Agilent Restricted Page 53 アナライザおよび 付 随 するハードウェアが 動 作 温 度 で 安 定 化 した 後 に ハードウェアを 検 査 して 使 用 のための 準 備 を 行 います アナライザにはハードウェアの 欠 陥 を 補 正 する 機 能 がありますが この 機 能 では 低 品 質 の 不 安 定 なアダプタやケーブルを 補 正 することはできません したがって 最 高 品 質 のコネクタ アダプタ ケーブルを 使 用 する 必 要 があります それによって 初 めて より 微 妙 で 再 現 性 のある 欠 陥 の 補 正 が 可 能 になります コネクタはすべて 清 潔 でなければなりません 最 新 のアナライザでは 指 紋 が1つついただけでも 測 定 結 果 に 影 響 します 汚 れが 残 っていると 測 定 が 不 正 確 になり 再 現 性 が 失 われるばかりで なく 高 価 なケーブルや 校 正 キットに 損 傷 を 与 えるおそれがあります 毎 回 使 用 前 に 全 コネクタの 目 視 検 査 を 実 行 することは 測 定 の 問 題 や コネクタからコネクタへ の 損 傷 の 広 がりを 防 ぐ 上 で 最 も 重 要 なステップです ケーブルは システムを 不 安 定 にする 最 大 の 要 因 です ケーブルの 湾 曲 による 位 相 シフトは ネッ トワーク アナライザ 専 用 のケーブルを 使 用 しないと 制 御 が 困 難 です ケーブルを 接 続 したら ケー ブルを 曲 げてみて ケーブルやその 他 の 機 械 的 不 安 定 要 因 による 影 響 が 測 定 結 果 に 表 れないか どうか 注 意 深 く 観 察 してください 定 期 的 に すべてのシステム コネクタの 機 械 的 許 容 値 を 特 殊 なゲージとマイクロメータを 使 って チェックする 必 要 があります 53

57 ケーブルとアダプタの 接 続 測 定 器 とケーブル アダプタ はネットワーク アナライザ の 測 定 系 になる アダプタ アダプタ トルクレンチを 使 用 Agilent Restricted Page 54 ハードウェアの 検 査 が 終 了 したら アナライザと 被 試 験 デバイス(DUT)をつなぐために 必 要 なすべ てのケーブルとアダプタを 接 続 します これらの 接 続 は トルク レンチでしっかりと 締 めた 接 続 で なければなりません それぞれのコネクタ ファミリに 対 して 専 用 の 推 奨 トルク レンチおよびトル クがあります これらの 接 続 は 測 定 が 終 了 するまで 切 り 離 したり 緩 めたりしてはなりません これ らはすでにアナライザの 一 部 となっているからです 54

58 アナライザの PRESET CH1 S11 log MAG 10 db/ REF 0 db START GHz STOP GHz Agilent Restricted Page 55 ネットワーク アナライザはかなり 複 雑 な 測 定 器 であり オペレータによって 選 択 可 能 な 多 数 のメ ニュー 項 目 とパラメータがあります これらすべてが 希 望 の 状 態 にあるかどうかを 確 認 するには 複 数 の 操 作 が 必 要 です アナライザが 望 ましい 状 態 にあることを 確 認 する 最 善 の 方 法 は プリセッ ト ボタンを 押 して すべての 機 能 を 単 純 なデフォルト 状 態 に 設 定 することです 一 般 的 なデフォル ト 状 態 は S11 順 方 向 反 射 測 定 10 db/divのスケール 基 準 ラインはグリッドの 中 央 で 値 0 dbです プリセットの 周 波 数 スパンはアナライザのフル レンジであり 誤 差 補 正 などの 機 能 や 他 のオフセッ トはオフになっています 55

59 Stimulus( 信 号 パラメータ)の 設 定 start/stop, center/span 周 波 数 の 設 定 測 定 点 数 (number of points)の 選 択 信 号 源 パワーの 設 定 高 くするとダイナミックレンジが 良 くなる 能 動 デバイスの 特 性 付 けをする Agilent Restricted Page 56 信 号 パラメータは ネットワーク アナライザ 測 定 の 早 い 段 階 で 設 定 する 必 要 があります Sパラメー タ 測 定 とそれに 対 応 する 誤 差 補 正 には 周 波 数 およびパワー レベルごとに 固 有 の 振 幅 と 位 相 が あります パワー レベルは 能 動 デバイスの 場 合 に 特 に 重 要 です スタート/ストップ 周 波 数 または 中 心 /スパン 周 波 数 は フロントパネルのStimulusブロックにある ハードキーを 使 って 設 定 できます DUTの 動 作 パラメータと 必 要 な 測 定 結 果 に 基 づいて 周 波 数 スパンを 選 択 します DUTに 関 する 情 報 がないときには DUTを 接 続 して 画 面 表 示 を 観 察 し その 結 果 に 基 づいて 周 波 数 スパンを 設 定 します パワー レベルや 測 定 ポイント 数 などのパラメータは Stimulusメニューで 設 定 することができます 測 定 ポイント 数 (number of point)については 次 項 にて 説 明 いたします 内 部 信 号 源 のパワーも 調 整 できます 感 度 が 低 いデバイスの 場 合 測 定 ダイナミック レンジを 大 きくするにはパワー レベ ルを 高 くします(0 dbm 以 上 ) 能 動 デバイスの 場 合 測 定 に 適 切 なパワー レベルを 選 択 する 必 要 があります このような 場 合 DUTにおけるパワーをパワー メータで 確 認 することを 推 奨 します 多 くのネットワーク アナライザにはパワー メータ 校 正 機 能 があり 特 定 のパワー レベルをDUT に 供 給 できます 能 動 デバイスを 測 定 する 場 合 には DUTの 予 想 される 出 力 レベルを 知 ることも 重 要 です レベルが 高 すぎると 測 定 回 路 が 飽 和 し 測 定 確 度 に 影 響 を 与 えます さらに アナライザ の 受 信 回 路 を 損 傷 するおそれもあります 56

60 Number Of Point 測 定 ポイントの 数 周 波 数 軸 の 分 解 能 を 決 定 Pointが 増 えると 掃 引 時 間 が 増 加 Delay 測 定 では 測 定 レンジ 確 度 にも 影 響 を 与 えるので 注 意 が 必 要 Agilent Restricted Page 57 測 定 ポイントはスタート 周 波 数 とストップ 周 波 数 のあいだに 等 間 隔 で 分 布 します この 測 定 ポイント 数 はNumber Of Pointと 呼 ばれネットワークアナライザのフロントパネルから 指 定 することができま す ポイント 数 はネットワーク アナライザの 機 種 にもよりますが2~16001Pointの 範 囲 で 調 整 でき ます また テストに 使 用 する 周 波 数 を 個 々に 表 で 指 定 することも 可 能 です(リスト モード) 周 波 数 スパンとNumber Of Pointの 関 係 [ 周 波 数 スパン/(Number of Point-1)]により 測 定 の 周 波 数 分 解 能 が 決 定 されます 測 定 Point 数 が 増 えれば 周 波 数 分 解 能 はより 細 かくなりますが 掃 引 時 間 がより 長 くなってしまいます また 群 遅 延 (Group Delay) 測 定 ではポイント 間 の 周 波 数 間 隔 が 測 定 可 能 なDelayの 最 大 値 及 び 確 度 に 直 接 影 響 を 及 ぼすので 注 意 が 必 要 です [ 参 考 まで:Delayの 測 定 可 能 な 最 大 値 は ポイント 間 の 周 波 数 差 が 大 きいほど 小 さくなります ま た 確 度 はポイント 間 の 周 波 数 差 が 大 きいほど 良 くなります ] 各 周 波 数 ポイントに 対 して 校 正 レコードが 存 在 します 例 えばデフォルトのポイント 数 を 使 用 する 場 合 201 個 のレコードからなる 誤 差 補 正 用 レコードがあります 周 波 数 またはポイント 数 を 校 正 後 に 変 更 した 場 合 補 正 がオフになる 可 能 性 があります ただし 一 部 のアナライザでは 新 しい 周 波 数 レンジが 校 正 済 みレンジに 含 まれる 場 合 に 限 って 誤 差 係 数 の 補 間 が 行 われます 57

61 IF Band Width Averagingの 設 定 IF BWを 狭 くすると Trace Noiseが 減 少 する IF BW: 狭 い IF BW: 広 い IF BWを 狭 くすると ノイズフロアが 下 がる 受 信 部 でダウンコンバートされたIF 信 号 をフィルタリング ネットワークアナライザでは IFフィルタの 帯 域 幅 を 指 定 できる IFフィルタの 帯 域 (IF Band Width)が 広 い 掃 引 速 度 が 速 い ノイズの 影 響 を 受 ける IF BWが 狭 い 掃 引 速 度 が 遅 い ノイズの 影 響 を 受 けにくい Agilent Restricted Page 58 ここでは IF Band WidthとAveragingについて 説 明 します 第 二 章 でご 説 明 しました 狭 帯 域 検 波 方 式 について 再 度 思 い 出 してください 狭 帯 域 検 波 方 式 では RF 信 号 をミキサとLo 信 号 を 使 用 して ダウンコンバートした 後 IFフィルタで 特 定 の 周 波 数 のみを 通 過 させ 検 波 していたかと 思 います ネットワークアナライザでは このIFフィルタの 帯 域 幅 をIF BWとして 指 定 する 事 が 可 能 です IF BWを 広 く 指 定 すると 掃 引 速 度 が 速 くなりますが 多 くのノイズも 信 号 と 共 に 検 波 してしまうため 測 定 結 果 がノイズの 影 響 を 受 けやすくなります 逆 にIF BWを 狭 くした 場 合 掃 引 速 度 は 遅 くなり ますが ノイズの 影 響 を 受 けにくくなります ノイズが 測 定 結 果 に 与 える 影 響 の 一 例 として バンド パスフィルタのS21の 測 定 結 果 を Log Magで 表 示 させた 物 をスライドに 示 しました IF BWを 狭 く した 場 合 ノイズフロアが 下 がり より 多 くのダイナミックレンジが 確 保 できています また IF BW を 狭 くした 場 合 Trace Noiseと 呼 ばれる 測 定 結 果 に 重 畳 するノイズも 減 少 します ベクトルネットワークアナライザでAveragingを 使 用 した 場 合 IF BWを 狭 くした 時 と 同 様 にノイズフロ ア 及 びTrace Noiseが 減 少 します これは 位 相 が 逆 相 であるベクトル 同 士 の 和 は お 互 いをキャ ンセルしてしまうことによります ちなみに IF BWをある 値 から N 分 の 一 にあたる 値 に 変 更 した 際 に 検 波 されるノイズフロアは 10logN (db)だけ 上 がります 例 えば IFバンド 幅 を100kHzから1kHzに 変 更 すると 20dBノイズフロ アが 下 がります 同 様 にAveraging 回 数 をN 倍 にした 際 は ノイズフロアは10logN(dB)だけ 下 がります Averaging 回 数 を10 倍 にすると ノイズフロアは10dB 下 がります 58

62 DUTを 接 続 して 設 定 と 操 作 を 確 認 アダプタの 確 認 機 械 的 安 定 度 の 確 認 スティミュラスの 設 定 が 最 適 か 確 認 ADAPTER DUT ADAPTER Agilent Restricted Page 59 ここではDUTを 測 定 システムに 接 続 しますが このステップは 一 見 不 要 に 思 われます ネットワー ク アナライザはまだ 校 正 されていないため あまり 正 確 な 結 果 は 得 られません しかしこのチェッ クを 習 慣 にしておくと 長 期 的 には 時 間 と 費 用 を 節 約 できます この 接 続 を 行 うことにより ケーブルとアダプタがすべてDUTに 適 合 していることを 確 認 できます ケーブルの 長 さが 足 りない DUTを 支 持 できない コネクタの 種 類 やオス/メスが 間 違 っているといっ た 問 題 が 見 つかることも 珍 しくありません こうした 問 題 に 気 づかずにシステムを 校 正 してしまうと 問 題 を 修 正 したあとで 再 び 校 正 を 行 う 必 要 があります これは 時 間 の 無 駄 であり 校 正 キットに 不 必 要 な 磨 耗 を 引 き 起 こします 異 なるハードウェア セットアップと 周 波 数 セットはそれぞれ 別 に 校 正 する 必 要 があります DUTを 接 続 したら 動 作 をチェックします DUTに 誤 調 整 や 誤 動 作 がある 場 合 校 正 に 進 む 意 味 は ありません 59

63 画 面 の 情 報 チャンネル 測 定 フォーマット スケール 基 準 レベル マーカー 値 入 力 エリア CH1 S21 log MAG db/ REF db 1: db SAW FILTER Mhz SCALE/DIV ソフトキー 領 域 ステータス Cor SCALE db/ 1 REFERENCE POSITION REFERENCE VALUE MARKER REFERENCE MARKER DELAY 基 準 位 置 のインジ ケータ ELECTRICAL DELAY CENTER MHz SPAN MHz 印 加 信 号 領 域 Agilent Restricted Page 60 DUTの 動 作 を 確 認 するには 一 般 的 な 測 定 手 順 でこのあとに 来 るステップをいくつか 実 行 してみ て 画 面 上 の 結 果 を 解 釈 します 測 定 グリッドの 上 部 には 左 から 右 に 選 択 したSパラメータ 表 示 フォーマット(log mag swr polar など) 目 盛 りのスケール 基 準 ラインの 情 報 が 表 示 されます 基 準 ラインはグリッドの 任 意 の 場 所 に 配 置 できる 水 平 線 であり 現 在 のフォーマットで 任 意 の 値 を 割 り 当 てて 基 準 点 として 使 用 できま す マーカをオンにすると 両 軸 上 のマーカ 位 置 がグリッドの 右 上 に 表 示 されます グリッドの 下 には スタート/ストップまたは 中 心 /スパンの 信 号 パラメータが 示 されます これらは 周 波 数 ドメインではHz 単 位 時 間 ドメインでは 秒 単 位 です アクティブ 入 力 エリアには 調 整 中 のアナライザ 設 定 の 値 が 示 されます グリッドの 左 には システ ム ステータス エリアがあります ここには 誤 差 補 正 アベレージング スムージング 一 部 のオ フセット エラー 状 態 など オペレータに 通 知 するステートが 表 示 されます 60

64 測 定 するSパラメータの 選 択 Measureキー CH1 S11 log MAG 10 db/ REF 0 db Refl: FWD S11 Trans: FWD S21 Trans: REV S12 Ref1: REV S22 AUXILIARY INPUT INPUT PORTS CONVERSION (OFF) MEASURE RESTART START GHz STOP GHz Agilent Restricted Page 61 測 定 するSパラメータは Measurementメニューから 選 択 できます 61

65 表 示 フォーマットの 選 択 Formatキー CH1 S11 log MAG 10 db/ REF 0 db LOG MAG PHASE DELAY SMITH CHART POLAR LIN MAG REAL SWR START GHz STOP GHz Agilent Restricted Page 62 Formatキーを 使 って 表 示 フォーマットを 選 択 します 62

66 表 示 のスケーリング Scaleキー CH1 S21 log MAG 20 db/ REF -50 db AUTO SCALE Cor SCALE/DIV REFERENCE POSITION -50dB Reference position=5 REFERENCE VALUE MARKER REFERENCE MARKER DELAY ELECTRICAL DELAY CENTER MHZ SPAN MHZ PHASE OFFSET Agilent Restricted Page 63 Scaleメニューを 使 えば グリッドを 現 在 のフォーマットでスケーリングし 基 準 ラインの 位 置 と 値 を 調 整 することができます オートスケール 機 能 は 測 定 トレース 配 列 をスキャンし トレースがグリッ ドに 収 まるように 目 盛 りのスケールと 基 準 ラインの 値 を 選 択 します Scaleキーを 使 えば 目 盛 りの スケールを 連 続 的 に 調 整 できます ネットワーク アナライザのスケールは 他 の 多 くの 測 定 器 と 異 なり 特 定 のスケールに 制 限 されません 同 様 に 基 準 位 置 はグリッドの 任 意 の 場 所 に 置 くこと ができ 基 準 値 は 広 範 囲 の 値 に 連 続 的 に 調 整 できます Scaleメニューでは 測 定 値 にオフセットを 加 算 することもできます 63

67 測 定 チャネルとトレース スティミュラスの 条 件 ( 周 波 数 パワーレベル..etc) 校 正 の 条 件 が 異 なる 場 合 は 異 なるチャンネルで 測 定 する 同 じチャンネル(スティミュラス 条 件 )の 中 で 複 数 のトレースを 表 示 可 能 各 トレース 毎 に 異 なるSパラメータ 表 示 フォーマット スケール 基 準 レベル ドメインを 指 定 できる スティミュラス Start Freq:300kHz Stop Freq:1GHz スティミュラス Start Freq:80MHz Stop Freq:300MHz Agilent Restricted Page 64 柔 軟 性 を 高 めるため ネットワークアナライザには 複 数 の 測 定 チャネル があります この 場 合 の チャネルとは 物 理 的 なポートや 接 続 ポイントでなく 測 定 条 件 設 定 を 指 します 複 数 の 条 件 で 測 定 を 実 行 する 場 合 毎 回 条 件 を 変 更 するのではなく 異 なるチャネルをアクティブにし それぞれ のチャネルに 対 して 測 定 条 件 を 設 定 します 各 チャネルのスティミュラスの 条 件 が 異 なる 場 合 は それぞれのチャネルに 対 して 校 正 を 行 う 必 要 があります 同 じ 測 定 条 件 (チャネル)の 中 には 複 数 の トレース を 表 示 させる 事 が 可 能 です 各 トレースでは Sパラメータ 表 示 フォーマット スケール 基 準 レベルをそれぞれ 独 立 に 設 定 できま それにより 同 一 のDUTに 対 する 反 射 測 定 と 伝 送 測 定 などの 複 数 のSパラメータを 同 時 に 表 示 させることが 可 能 です これら 複 数 のトレースは 同 一 のグラフ 上 にに 表 示 することも 可 能 ですし 異 なる 複 数 の グラフとしても 表 示 できます これにより DUTを 異 なる 条 件 とスパンで 評 価 できます 例 えば 広 いスパンと 狭 いスパンを 同 時 に 画 面 上 に 表 示 することも 可 能 です 上 記 のスライドの 例 では チャネル1のスティミュラスと チャネル2のスティミュラスの 周 波 数 条 件 が 異 なります Ch1では 300kHz~1GHzで 測 定 を 実 行 しており S11~S22の4つのトレースを 異 な るフォーマットで 表 示 しています Ch2では 80MHz~300MHzという 異 なるスティミュラスの 条 件 で の 測 定 を 実 行 しており こちらもS11~S22の4つのトレースを 異 なるフォーマットで 表 示 しています 64

68 一 般 的 な 測 定 手 順 アナライザをウォームアップする 全 部 のコネクタとケーブルを 清 掃 検 査 ゲージングする ケーブルとアダプタをアナライザに 接 続 する アナライザのPRESETを 押 す 信 号 周 波 数 とパワー 測 定 ポイント 数 を 設 定 する. IF BWを 設 定 する DUTを 接 続 し 設 定 と 動 作 を 確 認 する 測 定 対 象 のSパラメータを 選 択 する 表 示 フォーマットを 選 択 する 表 示 をスケーリングする DUTを 取 り 外 す 校 正 する 校 正 を 検 証 する 機 器 ステートを 保 存 する DUTを 再 接 続 する 注 : 校 正 後 の 設 定 変 更 はできないものが あるので 注 意 が 必 要 Agilent Restricted Page 65 この 手 順 はネットワーク アナライザでの 測 定 をする 標 準 的 な 方 法 です これらの 手 順 を 丁 寧 に 実 行 する 事 で 正 確 な 値 が 保 障 されます 殆 どの 測 定 器 と 違 い ネットワーク アナライザは 測 定 の 基 準 が 設 定 されていません 高 い 確 度 が 必 要 なので アナライザはDUT 毎 にユーザーによって 校 正 する 必 要 があります 校 正 に 関 しては 次 の 章 で 詳 細 に 説 明 いたします 65

69 Q&A 休 憩 Agilent Restricted Page 66 66

70 5 章 誤 差 の 要 因 67

71 測 定 誤 差 のモデリング システマティック 誤 差 測 定 器 とセットアップの 不 完 全 による 誤 差 時 間 応 答 特 性 を 持 たないと 仮 定 ( 予 測 可 能 ) 校 正 によって 定 量 化 され 測 定 値 から 数 学 的 に 取 り 除 かれる ランダム 誤 差 時 間 応 答 特 性 を 持 つランダム 変 動 ( 予 測 不 可 ) 校 正 によって 除 去 不 可 能 主 な 原 因 : 雑 音 ( 信 号 源 位 相 雑 音, IFノイズフロア, 他 ) スイッチの 再 現 性 コネクタの 再 現 性 ドリフト 誤 差 校 正 後 の 測 定 システムの 状 態 変 化 による 誤 差 主 に 温 度 変 動 による 再 校 正 によって 除 去 可 能 測 定 値 誤 差 : システマティック ランダム ドリフト 被 測 定 物 の 値 ( 未 知 ) Agilent Restricted Page 68 測 定 誤 差 の3つの 基 本 的 要 因 であるシステマティック 誤 差 ランダム 誤 差 ドリフト 誤 差 について 見 てみましょう システマティック 誤 差 は アナライザやテスト セットアップの 不 完 全 さに 起 因 します システマティッ ク 誤 差 には 再 現 性 があり(したがって 予 測 可 能 ) 時 間 的 に 不 変 と 仮 定 されます システマティック 誤 差 は 校 正 プロセスで 定 量 化 され 測 定 の 際 に 計 算 によって 除 去 されます ランダム 誤 差 は 時 間 と 共 にランダムに 変 化 するため 予 測 が 不 可 能 です このため 校 正 によっ て 除 去 することはできません ランダム 誤 差 の 主 な 要 因 として 機 器 ノイズ( 信 号 源 の 位 相 ノイズ サンプラのノイズ フロア) およびケーブルの 湾 曲 や 再 現 性 のない 接 続 による 機 械 的 誤 差 が 挙 げ られます ドリフト 誤 差 は 校 正 後 に 測 定 器 やテスト システムの 性 能 が 変 化 することによって 起 こります ドリ フトは 主 に 温 度 変 動 に 起 因 するため 再 び 校 正 を 行 えば 除 去 できます どれだけの 期 間 校 正 の 正 確 さが 保 たれるかは ユーザのテスト 環 境 でテスト システムに 生 じるドリフトの 速 度 に 依 存 します ドリフトを 最 小 化 するには 周 囲 温 度 を 安 定 化 するのが 効 果 的 です 68

72 システマティック 測 定 誤 差 R 方 向 性 A クロストーク B DUT 周 波 数 応 答 反 射 トラッキング (A/R) 伝 送 トラッキング (B/R) ソースマッチ ロードマッチ Agilent Restricted Page 69 ここでは 回 路 測 定 に 付 随 する 主 なシステマティック 誤 差 について 説 明 します 信 号 の 漏 れに 関 係 する 誤 差 には 方 向 性 とクロストークがあります 信 号 反 射 に 関 係 する 誤 差 には 信 号 源 とロード の 整 合 があります もう1つの 種 類 の 誤 差 は 関 連 する 全 ハードウェアの 周 波 数 レスポンスに 関 係 します システム コンポーネントはすべて 有 限 の 周 波 数 レスポンスを 持 ちます 基 準 経 路 と 測 定 経 路 の 周 波 数 レスポンスが 等 しければ これらの 影 響 は 比 の 計 算 によって 最 終 結 果 から 除 去 され るはずです しかし 実 際 には 経 路 は 同 一 でなく 互 いに 完 全 には トラッキング ( 一 致 )しません このため 経 路 間 の 周 波 数 レスポンスの 違 いは 反 射 トラッキング 誤 差 および 伝 送 トラッキング 誤 差 と 呼 ばれることがあります 69

73 アダプタに 関 する 注 意 事 項 カプラの 方 向 性 = 40 db もれの 信 号 アダプタからの 反 射 測 定 する 信 号 measured = カプラの 方 向 性 + adapter + DUT アダプタ DUT ロード DUT SMA (f) コネクタ システムの 方 向 性 の 最 悪 値 APC-7 からSMA (m)への 変 換 アダプタ 28 db APC-7 to SMA (m) SWR: db APC-7 to N (f) + N (m) to SMA (m) SWR:1.05 SWR: db APC-7 to N (m) + N (f) to SMA (f) + SMA (m) to (m) SWR:1.05 SWR:1.25 SWR:1.15 Agilent Restricted Page 70 ネットワーク アナライザ システムの 方 向 性 には 方 向 性 結 合 器 内 部 からの 浮 遊 反 射 だけでなく DUT 以 外 のすべてのものからの 反 射 が 含 まれます DUTと 方 向 性 結 合 器 の 結 合 出 力 との 間 にあ るケーブルやアダプタはすべて 反 射 の 原 因 となり システムの 方 向 性 を 悪 化 させます したがって こうした 付 加 ハードウェアはできるだけ 取 り 除 くか 必 要 な 場 合 は 最 高 品 質 のものを 使 用 する 必 要 があります スライドに 示 すように SWR( 反 射 )が 小 さい 高 品 質 アダプタを 付 加 した 場 合 でも システムの 全 体 の 方 向 性 は 大 きく 影 響 を 受 けます アダプタが 誤 差 信 号 を 生 成 し それがDUTからの 信 号 に 対 して 加 算 減 算 されるおそれがありま す アダプタのSWRが1.5 程 度 の 場 合 ( 比 較 的 低 価 格 のもの) カプラ 自 体 の 方 向 性 が 無 限 大 であって も カプラの 実 効 的 な 方 向 性 は 最 悪 の 場 合 で 約 14 dbまで 下 がります すなわち アダプタの 出 力 に 理 想 的 なZoロードを 接 続 しても 結 合 出 力 に 現 れる 反 射 信 号 は ショートまたはオープン 回 路 か らの 反 射 よりも14 db 小 さくなるだけです 上 の 図 に 示 すように アダプタを 重 ねると 問 題 がさらに 大 きくなります 結 論 として 測 定 システムでは 高 品 質 のアダプタを 使 用 する(あるいは できるだ けアダプタを 使 用 しない)ことが システムの 方 向 性 を 大 幅 に 悪 化 させないために 重 要 です テスト ポートのアダプタの 影 響 は 誤 差 補 正 によって 軽 減 できますが 生 の( 補 正 する 前 の) 方 向 性 が 悪 化 した 状 態 ではドリフトの 影 響 をシステムが 受 けやすくなります 70

74 システマティック 測 定 誤 差 R 方 向 性 A クロストーク B DUT 周 波 数 応 答 反 射 トラッキング (A/R) 伝 送 トラッキング (B/R) ソースマッチ ロードマッチ 2ポートデバイス 測 定 では 順 方 向 6つ 逆 方 向 6つの 合 計 12ターム 誤 差 を 測 定 Agilent Restricted Page 71 復 習 として 反 射 測 定 と 伝 送 測 定 に 影 響 を 与 えるシステマティック 誤 差 をもう 一 度 示 します 1ポー ト 反 射 測 定 の 場 合 の 主 な 誤 差 は 方 向 性 信 号 源 整 合 反 射 トラッキングです 伝 送 測 定 では 方 向 性 反 射 トラッキング 信 号 源 の 不 整 合 に 加 えてロードの 不 整 合 クロストーク 伝 送 トラッキ ング 誤 差 に 対 処 する 必 要 があります したがって 順 方 向 で 合 計 6 個 の 誤 差 があります 信 号 を 切 り 換 えて 逆 方 向 でDUTをドライブする 場 合 これらの 誤 差 は 別 の 値 を 取 ります 各 信 号 周 波 数 にお いて これら 固 有 の 誤 差 ベクトル12 個 をすべて 考 慮 する 必 要 があります こうした 理 由 から 2ポート 校 正 を12 項 誤 差 補 正 と 呼 ぶ 場 合 があります 71

75 理 想 的 なシステムの 特 性 アイソレーション 無 限 大 Crosstalk Directivity インピーダンスの 不 整 合 は 無 い 周 波 数 応 答 は 均 一 Agilent Restricted Page 72 測 定 における 誤 差 の 原 因 を 理 解 すれば 理 想 的 なシステムの 特 性 を 定 義 することが 可 能 です 理 想 的 なシステムとは こうした 誤 差 が 存 在 しないシステムです 72

76 6 章 誤 差 補 正 73

77 誤 差 補 正 の 種 類 主 たる2つの 誤 差 補 正 : レスポンス ( 正 規 化 ) シンプル トラッキング 誤 差 のみの 補 正 基 準 トレースをメモリーに 保 存 し データをメモリー 値 で 割 る SHORT OPEN OR OR THRU ベクトル より 多 くの 標 準 器 が 必 要 位 相 測 定 が 必 要 システマティック 誤 差 の 全 ての 要 因 を 評 価 SHORT S 11A OPEN LOAD 1-PORT 2-PORT S 11M THRU Agilent Restricted Page 74 誤 差 補 正 の 主 要 な 方 法 として レスポンス( 正 規 化 ) 補 正 とベクトル 補 正 の2つがあります レスポン ス 校 正 は 簡 単 に 実 行 できますが すべての 誤 差 が 周 波 数 レスポンス(トラッキング)に 起 因 すると 仮 定 しており 12 個 のシステマティック 誤 差 すべてには 対 応 しません レスポンス 校 正 は 単 純 な 正 規 化 プロセスです このプロセスでは 基 準 トレースをメモリに 格 納 し その 後 の 測 定 データをこのメ モリ トレースで 除 算 します ベクトル 誤 差 補 正 には 振 幅 データと 位 相 データの 両 方 を 測 定 できるアナライザが 必 要 です また 測 定 する 校 正 標 準 器 の 数 も 多 くなります ベクトル 誤 差 補 正 は システマティック 誤 差 の 主 要 な 要 因 をすべて 考 慮 するので 非 常 に 確 度 の 高 い 測 定 結 果 が 得 られます なお ベクトル ネットワーク アナライザでもレスポンス 校 正 は 実 行 できます この 場 合 メモリに 格 納 するのは 複 素 (ベクトル) 基 準 トレースであり 振 幅 データまたは 位 相 データを 正 規 化 して 表 示 できます ただし これはベクトル 誤 差 補 正 とは 異 なります( 確 度 も 劣 ります) 複 素 (ベクトル) 量 であ る 個 々のシステマティック 誤 差 を 測 定 して 除 去 しているわけではないからです 74

78 適 切 な 校 正 の 選 択 NO 確 度 は <.05dB か? YES 反 射 または 伝 送 ベクトル 補 正 反 射 伝 送 レスポンス 校 正 *OPEN * SHORT レスポンス 校 正 * THRU Agilent Restricted Page 75 最 新 のネットワーク アナライザには 多 数 の 校 正 オプションが 備 わっています このため 高 速 で 単 純 な 校 正 を 使 用 するか 高 確 度 の 校 正 を 使 用 するかをオペレータが 柔 軟 に 選 択 できます 測 定 の 設 定 を 行 う 際 に オペレータには 測 定 のニーズと 目 標 を 考 慮 することが 求 められます それほど 高 い 確 度 を 必 要 としない 場 合 は 校 正 をまったく 行 わないか レスポンス 校 正 を 実 行 すればよいの です レスポンス 校 正 を 選 択 した 場 合 には 反 射 測 定 と 伝 送 測 定 のどちらかを 選 択 する 必 要 があります レスポンス 校 正 には 確 度 が 低 いこと 以 外 に 反 射 と 伝 送 のどちらか 一 方 の 測 定 しか 補 正 できな いという 欠 点 があります 反 射 の 場 合 ショート( 推 奨 )またはオープンに 対 してトレースを 正 規 化 し ます 伝 送 の 場 合 はスルーを 使 用 します 75

79 レスポンス 校 正 とは 全 ての 誤 差 のベクトル 合 計 を 周 波 数 応 答 (tracking error)として 扱 う 素 早 く 簡 単 に 出 来 る 校 正 Short, Open, Thru のうち 一 つだけで 校 正 可 能 Agilent Restricted Page 76 レスポンス 校 正 モデルでは 理 想 測 定 標 準 器 からの 偏 移 はすべて 周 波 数 レスポンス 誤 差 に 起 因 すると 仮 定 します 単 純 なトレース 正 規 化 演 算 により アナライザは 測 定 結 果 を 校 正 トレースで 割 っ て 平 坦 なトレースを 生 成 します レスポンス 校 正 は 一 般 的 なシステマティック 誤 差 の 一 部 だけに 対 処 するもので ベクトル 校 正 と 異 なりベクトル 演 算 によってシステマティック 誤 差 を 除 去 するものではありませんが 未 校 正 状 態 より はよい 結 果 をすばやく 簡 単 に 得 ることができます 注 記 : 1つの 誤 差 項 だけを 補 正 するので 必 要 な 校 正 標 準 器 は1 個 だけです 反 射 測 定 にはショー ト( 推 奨 )またはオープン 伝 送 測 定 にはスルー 標 準 器 を 使 用 します 76

80 ベクトル 誤 差 補 正 とは システマティック 誤 差 の 定 量 化 プロセス 既 知 の 標 準 器 を 測 定 その 後 の 測 定 から 誤 差 を 除 去 1ポート 校 正 ( 反 射 測 定 ) 3 つのシステマティック 誤 差 を 測 定 3つの 既 知 の 標 準 器 - short, open, load が 必 要 方 向 性, ソースマッチ, 反 射 トラッキング を 測 定 フル2ポート 校 正 ( 反 射 伝 送 測 定 ) 1ポートモデルの 拡 大 12 個 (6x2 方 向 )の 誤 差 を 測 定 12 個 以 上 の 既 知 の 標 準 器 測 定 が 必 要 - short, open, load, thru - thru, reflect, line 標 準 器 は CAL KIT ファイルで 定 義 されている ネットワーク アナライザは 標 準 器 の CAL KIT 定 義 を 含 んでいる 定 義 にあった 標 準 器 を 使 用 する 事! Agilent Restricted Page 77 ベクトル 誤 差 補 正 は 既 知 の 校 正 標 準 器 を 測 定 することによってシステマティック 誤 差 項 を 評 価 し た 後 これらの 誤 差 の 影 響 を 以 降 の 測 定 から 除 去 するプロセスです 1ポート 校 正 は 反 射 測 定 に 使 用 され 3つのシステマティック 誤 差 項 ( 方 向 性 信 号 源 整 合 反 射 ト ラッキング)を 測 定 して 除 去 できます フル2ポート 校 正 は 反 射 と 伝 送 の 両 方 の 測 定 に 使 用 できま す 12 個 全 部 のシステマティック 誤 差 項 が 測 定 され 除 去 されます 2ポート 校 正 は 1ポート モデ ルの 拡 張 版 で 通 常 4つの 既 知 標 準 器 (ショート-オープン-ロード-スルー)で12の 測 定 を 行 う 必 要 があります 一 部 の 標 準 器 は 複 数 回 測 定 されます ( 例 えばスルー 標 準 器 は 通 常 4 回 測 定 されま す) 標 準 器 自 体 は 校 正 キット 定 義 ファイルで 定 義 されます このファイルはネットワーク アナライ ザに 保 存 されます 正 確 な 測 定 を 実 行 するには 校 正 キット 定 義 が 実 際 に 使 用 する 校 正 キットと 一 致 する 必 要 があります 77

81 適 切 な 校 正 の 選 択 ベクトル 誤 差 補 正 が 必 要 1ポート 1ポートデバイス? 2ポートデバイス? 2ポート NO Sパラメータ テスト セットか? YES 1ポート 校 正 の 実 施 1パス2ポート 校 正 の 実 施 NO 最 高 確 度 が 要 求 されているか? 4つのSパラメータ 全 てが 必 要 か? YES フル2ポート 校 正 の 実 施 CONT. Agilent Restricted Page 78 高 い 確 度 が 必 要 な 場 合 はベクトル 校 正 を 実 行 しますが ベクトル 校 正 にもいろいろな 種 類 があり ます 1ポート デバイスの 場 合 は 迷 う 必 要 はなく 1ポート 校 正 を 使 用 します 1ポート 校 正 では 校 正 キットに 含 まれるオープン ショート ロードを 使 用 します 2ポート デバイスの 場 合 は ハードウェアがサポートする 最 も 精 密 な 校 正 を 実 行 します Sパラメー タ テスト セットが 使 用 可 能 な 場 合 は フル2ポート 校 正 を 推 奨 します 反 射 / 伝 送 テスト セットし かない 場 合 には 1パス2ポート 校 正 が 実 行 可 能 です この 校 正 モデルは 12 個 全 部 でなく 8 個 の 誤 差 項 を 補 正 します 78

82 誤 差 と 校 正 標 準 器 未 校 正 レスポンス 校 正 1ポート 校 正 フル2ポート 校 正 DUT 簡 単 不 正 確 誤 差 を 含 む SHORT OPEN thru OR DUT OR 実 行 が 容 易 高 確 度 が 必 要 でない 時 に 使 用 周 波 数 応 答 誤 差 を 除 去 SHORT OPEN LOAD DUT SHORT OPEN LOAD 反 射 測 定 用 2ポートデバイス 測 定 には 特 性 の 良 いターミネーションが 必 要 3つの 誤 差 を 除 去 : 方 向 性 ソース マッチ 反 射 トラッキング thru DUT 最 高 確 度 以 下 の 誤 差 を 除 去 : 方 向 性 ソース マッチ ロード マッチ 反 射 トラッキング 伝 送 トラッキング クロストーク SHORT OPEN LOAD Agilent Restricted Page 79 ここでは ユーザが 使 用 可 能 な 校 正 の 種 類 と それぞれの 長 所 および 補 正 される 誤 差 の 一 覧 を 示 します 次 にベクトル 校 正 の 実 行 方 法 について 説 明 します 79

83 ベクトル 校 正 の 手 順 DUTのコネクタの 校 正 標 準 器 を 用 意 信 号 源 周 波 数 パワーを 設 定 アベレージング IF 帯 域 を 考 察 CAL メニューからCAL KITを 選 択 校 正 のタイプを 選 択 (1-port, 2-port, etc.) 標 準 器 を 測 定 し 基 準 面 を 設 定 測 定 値 を 保 存 校 正 の 検 証 Agilent Restricted Page 80 ここに 示 すのは ベクトル 校 正 を 実 行 する 際 の 手 順 です アナライザを 設 定 する 前 に DUTのコネクタ タイプを 調 べ 同 じコネクタ タイプの 校 正 標 準 器 セッ ト( 校 正 キット)を 入 手 します 信 号 の 周 波 数 とパワーは 一 般 的 な 測 定 手 順 ですでに 設 定 されているかもしれませんが 校 正 で 有 効 な 誤 差 項 を 得 るには 信 号 が 設 定 されている 必 要 があるため 忘 れないように 記 載 してありま す この 時 点 でさらに アベレージングを 使 ったり アナライザのIF 帯 域 幅 を 狭 めたりすることも 検 討 してみましょう これらの 機 能 はどちらも 測 定 ノイズを 減 らす 効 果 があり したがって 校 正 のノイ ズも 減 少 させます ただし 測 定 スループットは 低 下 します 確 度 と 効 率 の 要 件 を 満 たす 最 善 の 設 定 を 見 つけてください なお 校 正 後 にアベレージングをオフにして 高 速 な 測 定 に 戻 すこともでき ます CALメニューで 使 用 する 校 正 標 準 器 セットに 適 合 する 校 正 キットを 選 択 します 次 に 1ポート フ ル2ポートなど 実 行 する 校 正 の 種 類 を 選 択 します 任 意 の 順 番 で 校 正 標 準 器 を 基 準 面 に 接 続 します 適 切 な 接 続 方 法 に 従 い トルク レンチを 使 用 してください 測 定 値 を 観 察 し 測 定 対 象 の 標 準 器 に 合 致 することを 確 認 します また トレースに 不 安 定 性 がな いかどうか 調 べます これはコネクタのゆるみやケーブルの 不 良 を 発 見 するためです 何 事 も 疑 っ てみることが 大 切 です プロセスが 完 了 したら 校 正 と 機 器 ステートを 保 存 します この 時 点 で 校 正 を 検 証 します この 手 順 には 多 くの 誤 りや 問 題 が 発 生 する 余 地 があります こ うした 問 題 を 発 見 するには 注 意 深 く 検 証 を 行 うしかありません 80

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