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1 Proceedings of the 30 th JSMBE Kou-Shin-Etsu Branch Conference 2010 Japanese Society for Medical Biological Engineering(JSMBE)

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7 30 (Sep2010 The Communication-Assisted Technology of Severe Neuromuscular Disease Patients and Task of Brain-Computer Interface Research Makoto CHISHIMA Dept. of Occupational Therapy, School of Health Sciences, Graduate School of Medicine, SHINSHU University 1. BCI ALS Assistive Technology: AT AT AT 1988 Tech Act: Technology-Related Assistance for Individuals with Disabilities Act 1998 Assistive Technology Act Brain-Computer Interface: BCI EU (NIH) 500 BCI AT 2. BCI BCI 2, 3, 4 BCI Steady-State Visual Evoked Potential: SSVEP 5 g.tec medical engineering GmbH C. Guger G. Edlinger Hz Readiness Potentials: RP, Bereitschaftspotential: BP, Movement-Related Cortical Potential: MRCP K.R.Müller 128 MRCP ICF 1

8 30 (Sep G.Pfurtscheller ERD ERS BCI 8 N.Birbaumer RP SCP(Slow Cortical Potential) ALS P300 BCI E.Donchin1988 P300 Speller 6 3. BCI BCI BCI BCI 1. G.Schalk, J.Mellinger: A Practical Guide to Brain-Computer Interfacing with BCI2000. Springer, London, E.W.Sellers, E.Donchin: A P300-based Brain-Computer Interface; Initial Tests by ALS Patients. J Clin Neurophysiol, 117(3), pp , F.Nijboer, E.W.Sellers, J.Mellinger, M.A.Jordan, T.Matuz, A.Furdea, S.Halder, U.Mochty, D.J.Krusienski, T.M.Vaughan, J.R.Wolpaw, N.Birbaumer, A.Kübler: A P300-based Brain-Computer Interface for People with Amyotrophic Lateral Sclerosis. J Clin Neurophysiol, 119(8), pp , F.Nijboer, N.Birbaumer, A.Kübler : The Influence of Psychological State and Motivation on Brain-Computer Interface Performance in Patients with Amyotrophic Lateral Sclerosis - A Longitudinal Study. Front Neurosci, 4(55), pp.1-13, E.C.Lalor, S.P.Kelly, C.Finucane, R.Burke, R.Smith, R.B.Reilly and G. McDarby: Steady-State VEP-based Brain-Computer Interface Control in an Immersive 3D Gaming Environment. EURASIP J Appl Sig Process, 19, pp , g.tec medical engineering GmbH, ( accessed August 30, 2010; site now discontinued ). 7. B.Blankertz, G.Dornhege, M.Krauledat, K.R.Müller, V.Kunzmann, F.Losch and G.Curio: The Berlin Brain-Computer Interface; EEG-based Communication without Subject Training. IEEE Trans Neural Syst Rehabil Eng, 14 (2), pp , G.Pfurtscheller, C.Neuper: Motor Imagery Activates Primary Sensorimotor Area in Humans. Neurosci Lett, 239, pp.65-68,

9 芳 香 療 法 による 認 知 症 リハビリのための 嗅 覚 検 査 法 の 基 礎 研 究 山 谷 真 也 *, 立 海 優 *, 外 山 竹 弥 **, 内 山 尚 志 *, 福 本 一 朗 * * 長 岡 技 術 科 学 大 学 医 用 生 体 工 学 教 室,** 北 里 大 学 保 健 専 門 衛 生 学 院 A basic study on olfactometry for dementia rehabilitation using aromatherapy Shinya YAMAYA*, Yuu TATSUUMI*, Takeya TOYAMA**, Hisashi UCHIYAMA*, Ichiro FUKUMOTO* *Biomedical Engineering Laboratory, Nagaoka University of Technorogy **Kitasato Junior College of Health an Hygienic Sciences 1. はじめに 厚 生 労 働 省 の 調 査 によると, 何 らかの 介 護, 支 援 を 必 要 とし,かつ 認 知 症 がある 高 齢 者 は 年 々 増 加 し ており, 大 きな 社 会 問 題 となっている. 認 知 症 の 非 薬 物 療 法 には 運 動 療 法, 作 業 療 法, 回 想 法 等 がある が,その 中 でも 芳 香 療 法 は 睡 眠 障 害, 異 常 行 動 等 認 知 症 の 多 くの 症 状 を 軽 減 するとされ, 注 目 が 集 まっ ている.しかしながら, 認 知 症 患 者 は 嗅 覚 機 能 が 低 下 している 可 能 性 が 示 唆 されており, 嗅 覚 機 能 の 客 観 的 な 評 価 が 必 要 である.そこで, 本 研 究 では 認 知 症 患 者 に 芳 香 療 法 を 適 用 する 前 段 階 として, 健 常 者 を 対 象 として 客 観 的 な 嗅 覚 の 評 価 法 を 検 討 するこ とを 目 的 とした. 生 理 指 標 ( 脳 波 ), 心 理 指 標 (VAS) を 用 いて, 嗅 覚 刺 激 を 受 容 した 際 に 生 じる 変 化 の 評 価 を 行 った. 2. 方 法 2.1. 被 験 者 被 験 者 は 健 常 男 子 学 生 4 名 (21±1.0 歳 )を 対 象 と した 香 りとその 呈 示 方 法 香 りはリモネン( 和 光 純 薬 工 業 株 式 会 社 )を 用 い た. 呈 示 方 法 は 95%の 高 濃 度 原 液 1 滴 を cm の 脱 脂 綿 にたらし, 鼻 先 から 約 10cm の 距 離 に 呈 示 した 生 理 指 標 生 理 指 標 は EEG-4418( 日 本 光 電 製 )により 取 得 し,ADA16-32/2(CB)F(CONTEC 製 )を 用 いて A/D 変 換 し,サンプリング 周 波 数 500Hz で PC に 取 り 込 ん だ. 脳 波 は 国 際 法 に 従 い,Cz,Pz-A1 に 導 出 用 電 極 を 装 着 し 計 測 を 行 った.その 後, 得 られた 脳 波 データに 対 して 周 波 数 解 析 を 適 用 し,α 波 帯 域 成 分 (8-13Hz)とβ 波 帯 域 成 分 (13-30Hz)を 算 出 し,β 波 帯 域 率 {β 波 帯 域 成 分 / (α 波 帯 域 成 分 + β 波 帯 域 成 分 )}を 計 算 した. 本 実 験 ではβ 波 帯 域 率 を 嗅 覚 刺 激 を 受 容 した 際 の 指 標 とした 心 理 指 標 心 理 指 標 として VAS(Visual Analog Scale) を 用 い た.VAS は 香 りの 強 さ, 覚 醒 度, 疲 労 度 の 3 項 目 に ついて 評 価 を 行 った 手 順 本 実 験 はコントロール 区 間 と 香 り 呈 示 区 間 で 構 成 され, 以 下 の 手 順 で 実 施 した. 1 コントロール 区 間 : 座 位 閉 眼 安 静 6 分 間 2 休 憩 5 分 間 3 香 り 呈 示 区 間 : 座 位 閉 眼 安 静 2 分 間 4 香 り 呈 示 区 間 : 香 り 呈 示 条 件 下 で 座 位 閉 眼 安 静 2 分 間 5 香 り 呈 示 区 間 : 座 位 閉 眼 安 静 2 分 間 6 VAS アンケート なお, 香 り 呈 示 区 間 においては 香 りの 呈 示 開 始 は 通 知 しなかった. 生 理 指 標 の 取 得 はコントロール 区 間 と 香 り 提 示 区 間 で 行 った. 3. 結 果 考 察 3.1. VAS アンケート VAS による 香 りの 強 さの 評 価 を Fig.1 に 示 す.4 人 中 3 人 に 香 りを 強 く 感 じる 傾 向 が 見 られたもの の, 評 価 のばらつきは 大 きかった. 原 因 としては, 香 りの 感 じ 方 に 個 人 差 があること,もしくは 提 示 方 3

10 β 波 帯 域 率 [ - ] β 波 帯 域 率 [ - ] β 波 帯 域 率 [ - ] 香 りの 強 さ [ - ] β 波 帯 域 率 [ - ] 第 30 回 日 本 生 体 医 工 学 会 甲 信 越 支 部 大 会 (Sep.2010) 法 により 香 りの 強 度 に 違 いが 生 じたことが 考 えら れる 被 験 者 1 被 験 者 2 被 験 者 3 被 験 者 4 Fig.1 VAS による 香 りの 強 さの 評 価 3.2. 脳 波 Fig.2 から Fig.5 に 各 被 験 者 の Cz から 得 た 脳 波 デ ータより 算 出 したβ 波 帯 域 率 を 示 す.Cz,Pz の 両 者 において,コントロール 区 間 では 4 人 中 3 人 にβ 波 帯 域 率 が 増 加 する 傾 向 が 見 られた. 一 方 香 り 呈 示 区 間 では 4 人 中 3 人 にβ 波 帯 域 率 が 維 持,あるいは 減 少 する 傾 向 が 見 られた. 一 般 的 に,β 波 帯 域 率 は 外 部 からの 刺 激 や 緊 張 により 増 加 するとされてい る.したがって, 今 回 の 結 果 は 香 りの 呈 示 により 嗅 覚 が 刺 激 されたことを 示 していると 考 えられ,β 波 帯 域 率 による 嗅 覚 評 価 の 可 能 性 が 示 唆 された.しか し, 被 験 者 1, 被 験 者 4から 香 りの 呈 示 を 開 始 する 前 に, 香 りを 呈 示 することを 察 知 できたという 意 見 もあり, 今 後 その 影 響 を 考 慮 する 必 要 がある. 4. まとめ β 波 帯 域 率 が 嗅 覚 の 刺 激 により 維 持,あるいは 増 加 する 傾 向 が 示 された.これにより,β 波 帯 域 率 に よる 嗅 覚 評 価 の 可 能 性 が 示 唆 された. 5. 参 考 文 献 [1] 澁 谷 達 明, 市 川 眞 澄 編 著 : 匂 いと 香 りの 科 学, 朝 倉 書 店,2007 [2] 元 木 澤 文 昭 : においの 科 学, 理 工 学 社,1998 [3] 大 野 洋 美 : グレープフルーツの 香 り 吸 入 が 課 題 遂 行 に 伴 う 集 中 力 低 下 を 防 ぐ,AROMA RESERCH, No.29,Vol.8/No1, 香 り 呈 示 時 間 [ 分 ] Cz (コントロール) Cz ( 香 り 呈 示 ) Fig.2 被 験 者 1のβ 波 帯 域 率 香 り 呈 示 時 間 [ 分 ] Cz (コントロール) Cz ( 香 り 呈 示 ) Fig.3 被 験 者 2のβ 波 帯 域 率 香 り 呈 示 時 間 [ 分 ] Cz (コントロール) Cz ( 香 り 呈 示 ) Fig.4 被 験 者 3のβ 波 帯 域 率 香 り 呈 示 時 間 [ 分 ] Cz (コントロール) Cz ( 香 り 呈 示 ) Fig.5 被 験 者 4のβ 波 帯 域 率 4

11 CT 画 像 における 脳 虚 血 巣 の 大 きさと 認 知 症 の 関 係 佐 々 木 惣 一 郎, 黒 澤 淳 樹, 高 橋 聡, 福 本 一 朗 長 岡 技 術 科 学 大 学 生 物 系 医 用 生 体 工 学 教 室 The Relation between Dementia and Size of Brain Ishemia on CT Images Soichiro SASAKI, Junki KUROSAWA, Satoshi TAKAHASHI, Ichiro FUKUMOTO Biomedical Engineering Laboratory,Nagaoka University of Technology. 1. はじめに 厚 生 労 働 省 の 推 計 によると 認 知 症 高 齢 者 数 が 2010 年 には 200 万 人 を 超 え,さらに 増 加 して 2035 年 には 350 万 人 を 超 えるとされている. 認 知 症 の 症 状 は, 認 知 機 能 や 高 次 脳 機 能 障 害 といった 中 核 症 状 に 加 えて, 幻 聴 や 妄 想 などの 周 辺 症 状 まで 多 岐 に 及 んでいる [1].これらの 症 状 に 対 して, 様 々な 治 療 法 が 確 立 あるいは 研 究 されており,それらの 治 療 法 に 対 する 評 価 法 が 必 要 とされている. 我 々は 漢 方 を 用 いた 認 知 症 治 療 の 有 効 性 を 評 価 するシステムの 構 築 を 最 終 目 的 としている.この 中 で, 我 々は 認 知 症 を 表 す 病 巣 として 虚 血 巣 に 着 目 し ており,この 病 巣 が 認 知 症 に 関 わっていると 考 えて いる. 虚 血 巣 とは, 梗 塞 巣 ではないが 虚 血 状 態 の 病 巣 であり, 脳 機 能 の 低 下 が 起 こっていると 考 えられ るものである [2].そこで, 本 論 文 では 虚 血 巣 領 域 を 関 心 領 域 として, 虚 血 巣 面 積 と 長 谷 川 式 簡 易 知 能 評 価 スケール 改 訂 版 (HDS-R)の 得 点 を 比 較 し,その 関 係 性 を 調 査 した 結 果 を 報 告 する. 2. 方 法 2.1. 対 象 画 像 対 象 画 像 は, 認 知 症 患 者 14 名 を 含 む 19 名 の 高 齢 者 ( 男 性 6 名, 女 性 13 名, 平 均 年 齢 84.8±6.0 歳 )の 単 純 X 線 CT 画 像 とした. 撮 影 条 件 は, 管 電 圧 120 kv, 管 電 流 150 ma, 撮 影 時 間 1500 ms,マトリッ クスサイズ pixel,スライス 厚 5.0 mm, FOV240 mm. 画 像 形 式 は DICOM. 画 像 は,レンズ 核 と 視 床 を 含 むスライスの 画 像 を 各 患 者 1 枚 ずつ 用 いた 虚 血 巣 面 積 の 算 出 CT 画 像 は H.U の CT 値 で 表 され,その うち 虚 血 巣 は H.U の 値 を 持 つ. 着 目 する CT 値 WL(Window Level)を 中 央 値 として 設 定 し,また その 幅 WW(Window Width)を 調 整 することで, 虚 血 巣 領 域 をシステム 上 に 表 示 させた. 取 り 込 んだ CT 画 像 から 虚 血 巣 領 域 だけを 表 示 さ せるために,WL24 H.U,WW7 H.U と 設 定 し,この CT 値 を 持 つ 領 域 を 256 階 調 へ 変 換 して 表 示 させた. 表 示 した 画 像 を 基 に 脳 実 質 を 含 む 長 方 形 の 領 域 を 抽 出 した.その 後, 二 値 化 処 理 によって 虚 血 巣 領 域 を 表 すピクセルの 画 素 数 をカウントした.この 情 報 を 基 に, 画 像 上 の 虚 血 巣 領 域 の 面 積 を 算 出 した HDS-R HDS-R は, 年 齢, 時 間 の 見 当 識, 場 所 の 見 当 識, 単 語 の 再 生 と 遅 延 再 生, 計 算, 数 字 の 逆 唱, 物 品 の 視 覚 記 銘, 言 語 の 流 暢 性 の 9 つから 構 成 されるテス トである [1]. 最 高 得 点 が 30 点 で 20 点 以 下 であれば 認 知 症 と 判 断 され, 点 数 が 低 いほど 重 症 化 する 虚 血 巣 面 積 と HDS-R の 比 較 各 患 者 における HDS-R の 得 点 を 横 軸, 算 出 した 虚 血 巣 面 積 を 縦 軸 にプロットし,そのピアソンの 相 関 関 係 を 求 めた. 3. 結 果 Fig.1 に 認 知 症 患 者 の CT 画 像,Fig.2 に Fig.1 の 画 像 から 虚 血 巣 領 域 を 抽 出 した 画 像 を 示 す.また, Fig.3 に,HDS-R を 横 軸 とし, 虚 血 巣 面 積 を 縦 軸 と したグラフを 示 す. 相 関 関 係 を 調 べた 結 果,HDS-R の 得 点 と 虚 血 巣 領 域 の 相 関 係 数 は 0.16 であり, 相 関 が 見 られなかった. 5

12 4. まとめ Fig.1 認 知 症 患 者 の 脳 CT 画 像 (WL40,WW80) Fig.2 抽 出 した 虚 血 巣 領 域 (WL 24,WW 7) Fig.3 虚 血 巣 面 積 と HDS-R の 得 点 の 関 係 (r : 相 関 係 数 ) 本 論 文 では,CT 画 像 を 取 り 込 み,CT 値 を 設 定 し て 虚 血 巣 領 域 を 表 示 させ, 虚 血 巣 領 域 の 面 積 を 算 出 するシステムを 構 築 した.このシステムで 算 出 した 患 者 の 虚 血 巣 の 面 積 と HDS-R の 得 点 との 相 関 関 係 を 求 めた.その 結 果,これらの 間 には 相 関 関 係 は 見 られなかった. 虚 血 巣 は 加 齢 と 共 に 増 加 すると 考 え られており, 認 知 症 の 直 接 の 原 因 ではないため 相 関 がないものと 考 えられる.そのため, 構 築 したシ ステムとしては 有 用 である. しかし, 今 回 の 結 果 において,システムには 目 的 部 位 の 抽 出 における 正 確 性 などに 改 善 すべき 点 があった. まず,Fig. 2 に 示 したように, 脳 実 質 を 抽 出 する ために, 脳 が 内 接 する 長 方 形 の 領 域 を 抽 出 して 虚 血 巣 面 積 を 算 出 した.その 際, 脳 実 質 外 の 領 域 も 抽 出 された.また, 認 知 症 と 関 連 しない 部 位 の 虚 血 巣 や, 虚 血 巣 以 外 の 部 位 も 抽 出 された 画 像 の 中 に 含 まれ て 処 理 されたことも 問 題 点 として 挙 げられる.その 結 果, 正 確 に 面 積 を 算 出 することができなかった. 加 えて,HDS-R が 最 も 低 得 点 の 認 知 症 患 者 が, 虚 血 巣 面 積 が 最 小 であった.その 結 果 から, 認 知 症 の 重 症 度 は 虚 血 巣 などの 病 変 の 面 積 ではなく, 虚 血 が 起 こる 部 位 に 関 係 があるのではないかと 考 えら れる. 今 回 は 脳 実 質 全 体 から 虚 血 巣 面 積 を 算 出 した ため,より 部 位 を 特 定 した 調 査 を 行 う 必 要 がある. 以 上 の 点 から, 今 後 は 認 知 症 に 関 わる 病 変 とその 部 位 を 特 定 し, 局 所 的 に 評 価 する 必 要 がある.その 他 に, 本 研 究 ではスライス 画 像 を 用 いて 虚 血 巣 面 積 を 算 出 したが, 複 数 のスライスから 立 体 的 な 画 像 を 構 築 し, 面 積 ではなく 体 積 で 評 価 する 方 法 も 検 討 す る. 5. 参 考 文 献 [1] 日 本 認 知 症 学 会 : 認 知 症 テキストブック pp8-14, (2008) [2] 高 橋 聡, 福 本 一 朗 : CT を 用 いた 認 知 症 画 像 評 価 システムの 基 礎 研 究 日 本 早 期 認 知 症 学 会 論 文 誌 第 3 巻 第 1 号 pp 47-52(2009) 6

13 タッチブレンドの 再 検 討 近 井 学, 白 井 奈 穂 美, 三 宅 仁 長 岡 技 術 科 学 大 学 Reexamination of the Touch Blend Manabu CHIKAI, Naomi SHIRAI, Hitoshi MIYAKE Nagaoka University of Technology 1. はじめに 1.1. 研 究 背 景 近 年 ロボット 技 術 は 目 覚 しい 発 展 を 遂 げたが, 福 祉 分 野 などに 応 用 可 能 なヒトを 直 接 扱 うようなロ ボットの 実 現 にはさらなる 改 良 が 必 要 である.その 第 1 歩 はヒトの 感 覚 を 再 現 し,ロボットに 搭 載 する 必 要 があると 考 えられる. 現 在, 特 殊 感 覚 に 属 して いる 視 覚, 聴 覚, 味 覚, 嗅 覚 は 工 学 的 に 再 現 されて いるが, 表 在 感 覚 ( 以 下, 触 覚 と 示 す)を 工 学 的 に 再 現 する 研 究 は 非 常 に 少 なく, 仮 想 現 実 や 拡 張 現 実 で 用 いられている 触 力 覚 提 示 技 術,ロボットへの 搭 載 を 目 的 としている 圧 覚 センサ 技 術 がわずかにあ るが,これは 力 覚, 圧 覚 のみを 提 示 するものであり, 生 理 学 における 触 覚 を 表 現 しているとは 言 いがた い.ここで, 生 理 学 における 触 覚 とは,ヒトに 生 得 的 な 感 覚 であり, 皮 膚 内 にある 特 殊 なセンサ( 感 覚 受 容 器 )によって 情 報 を 得 ており, 生 理 学 では, 触 圧 覚, 振 動 覚, 温 冷 覚, 痛 覚 と 分 類 されている(1). 2. タッチブレンド 2.1. 基 本 コンセプト ヒトの 触 覚 は, 感 覚 受 容 器 によって, 触 圧 覚, 振 動 覚, 温 冷 覚, 痛 覚 の 情 報 が 取 得 され,この 情 報 が 神 経 線 維 を 経 て, 脳 で 認 知 される.タッチブレンド は, 前 述 の 触 圧 覚, 振 動 覚, 温 冷 覚, 痛 覚 の 情 報 に より, 全 てのモノを 再 現 するという 試 みである タッチピラミッド ヒトの 触 覚 は, 通 常, 脳 で 認 知 された 情 報 の 複 合 である. 例 えば, 痒 み,くすぐったさなどである. Titchener らは, 前 述 の 感 覚 受 容 器 とそれらから 得 ら れた 情 報 の 合 成 感 覚 ( 複 合 感 覚 )を 四 角 錐 (ピラミ ッド)にまとめた. 図 1に,タッチピラミッド(3)を 示 す. 四 角 錐 の 頂 点 には, 触 圧 覚, 振 動 覚, 痛 覚 の 感 覚 受 容 器 を 配 置 し, 辺 には, 複 合 感 覚 を 配 置 している 目 的 本 研 究 ではこの 感 覚 受 容 器 によって 得 られる 情 報 を 再 現 し, 工 学 的 に 統 合 すること( 合 成 的 アプロ ーチ)ができるかという 点 に 着 目 し, 検 討 する. 同 様 の 生 理 学 における 触 覚 を 再 現 する 研 究 とし て, 過 去 E.B.Titchener(1867~1927)らがタッ チブレンドと 呼 ばれる 研 究 を 行 っていた(2).タッチ ブレンドは, 当 時 斬 新 なアイディアであり, 発 展 性 があるものと 考 えられていたが, 現 在 行 われていな い.そこで, 本 研 究 ではタッチブレンドのコンセプ ト, 問 題 点 を 検 討 し, 新 たにタッチブレンドを 提 案 することを 目 的 とする. 図 1 タッチピラミッド(3) 2.3. タッチピラミッドの 問 題 点 タッチピラミッドには 曖 昧 な 表 現 が 多 く,また 分 析 的 説 明 が 不 十 分 であった. そこで,タッチピラミッドの 問 題 点 を 列 挙 する. 通 常, 感 覚 受 容 器 の 場 合, 触 圧 覚, 振 動 覚, 温 冷 覚, 痛 覚 が 一 般 論 として 考 えられている. 特 に,モ 7

14 ノを 認 知 する 段 階 において, 温 冷 覚 は 重 要 な 要 素 で 表 1 感 覚 の 工 学 的 再 現 あると 考 えられる. 先 行 研 究 では,この 点 を 考 慮 し ていないことから, 複 合 感 覚 を 検 討 することは 極 め て 難 しいと 考 えられる.また, 感 覚 受 容 器 の 合 成 ( 単 純 な 合 成 和 )によって 複 合 感 覚 を 定 義 することが 可 能 かという 点 である.また,タッチピラミッドを 官 能 評 価 によって 検 証 していない 点 が 挙 げられる. 表 2 実 験 結 果 以 上 より,タッチピラミッドの 複 合 感 覚 をSD 法 (Semantic Differential Method)を 用 いた 官 能 評 価 を 行 う 必 要 がある(4). 評 価 項 目 を 選 定 するため, 今 回 は 予 備 実 験 を 実 施 する. 3. 実 験 3.1. 方 法 評 価 項 目 を 選 定 するため,ヒト 触 覚 に 触 圧 覚, 振 動 覚, 痛 覚 を 与 える 方 法 を 考 える.これらの 感 覚 受 容 器 の 特 性 は 生 理 学 的 知 見 により 示 されている. 本 研 究 では, 表 1に 示 すとおり, 感 覚 を 工 学 により 再 現 し,ヒト 指 腹 部 に 提 示 し, 複 合 感 覚 を 官 能 評 価 し た. 被 験 者 は, 簡 易 実 験 のため1 名 で 行 った. 触 圧 覚 ( 皮 膚 伸 展 : 接 線 方 向 の 伸 び)については, 皮 膚 と 対 象 物 が 接 触 した 際 の 皮 膚 の 横 方 向 の 伸 び 方 は 摩 擦 係 数 によって 異 なる(5)ことより, 平 板 に 静 止 摩 擦 係 数 約 1.7のゴムを 貼 り,これを 皮 膚 に 接 触 させることで 再 現 した. 振 動 覚 については, 受 容 器 が40[Hz] 以 上 で 反 応 す ることから, 周 波 数 200[Hz]の 小 型 モータを 用 いた. 痛 覚 については, 刺 痛 (ファーストペイン), 鈍 痛 (セカンドペイン)の2つが 存 在 する. 侵 害 性 の 痛 みは 再 現 できないため, 前 者 は 先 端 径 0.1[mm]の 円 筒 を 用 いた. 後 者 は 先 端 径 10[mm]の 円 筒 を 用 い, 圧 力 を 印 加 することで 鈍 痛 を 再 現 した. 以 上 の 感 覚 をヒト 指 腹 部 1[cm 2 ]に 与 え,この 時 に 得 られた 複 合 感 覚 をまとめた 結 果 表 2に 実 験 結 果 を 示 す. 以 上 のような 感 覚 が 得 ら れた.これらは, 感 覚 を 直 感 的 に 認 知 できるもので ある. 以 上 の 結 果 を 用 いて, 今 後 はこれらの 評 価 項 目 の 単 極 尺 度 による 官 能 評 価 を 実 施 し,タッチピラ ミッドを 検 討 する. 4. おわりに 本 研 究 では, 生 理 学 における 触 覚 を 再 現 するため, タッチブレンドに 着 目 した. 実 験 結 果 から, 感 覚 の 合 成 により, 評 価 項 目 を 検 討 した. 今 後 は 本 研 究 で 実 施 した 簡 易 実 験 により 得 られ た 評 価 項 目 を 用 い,タッチピラミッドの 複 合 感 覚 を 官 能 評 価 により 検 討 する. 参 考 文 献 (1) 内 川 惠 二 : 感 覚 知 覚 の 科 学 - 聴 覚 触 覚 前 庭 感 覚 -. 朝 倉 書 店, ,2008 (2)Martin Grunwald [Ed.]: Human Haptic Perception Basics and Applications-.Birkhauser, 71-81, 2008 (3)E.B.Titchener: Notes from the psychological laboratory of Cornell University. American Journal of Psychology, , 1920 (4) 大 山 正 : 知 覚 を 測 る- 実 験 データで 語 る 視 覚 心 理 学 -. 誠 信 書 房,2-17,2010 (5) 篠 田 裕 之 : 柔 らかい 機 械 の 人 工 皮 膚. 日 本 ロボッ ト 学 会 誌,19(7), ,2001 8

15 30 (Sep2010 * ** *** *** *** *** ****** Measurement of singing behavior by surface-emg Satoshi OKAZAKI*Kazushi ASANUMA**kazunori ITOH*** Masami HASHIMOTO ***Mizue KAYAMA ***Makoto OTANI *** *Graduate School of Science and Technology Shinshu Univ.**Nagano Prefectural Institute of Technology ***Faculty of Engineering Shinshu Univ. 1. [1] [2] (100~1000Hz) (NFEZ7510) SONY DYNAMIC MICROPHONE F-V310BEHRINGER XENYX 1002FX N ARVAveraged Rectified Value A~H 1 1 A B C D EH ABCD E H [a] [M][Ma] 9

16 30 (Sep2010 A~D E~H 2 1 ( F) 3. 1 ( F) 1 2 ABCD EFGH [6] % [1] 64(5) [2] 52(5) [3] Proctor D.FBreathingSpeechand Song D.F. 1995pp [4] pp [5] 1974pp [6] 2002(10) pp

17 被 災 者 発 見 システムに 関 する 基 礎 研 究 ~ 高 感 度 地 震 計 を 用 いた 検 出 可 能 性 の 検 証 ~ *1 *1 *1*2 *2*3 *1 藤 木 智 之 佐 藤 貴 浩 佐 橋 拓 佐 橋 昭 福 本 一 朗 *1 長 岡 技 術 科 学 大 学 医 用 生 体 工 学 教 室 *2 株 式 会 社 プロジェクトアイ *3 長 岡 技 術 科 学 大 学 技 術 開 発 センター Basic research on rescue system ~Verification of ditection possibility using seismography~ Tomoyuki Fujiki * Takahiro Sato* Taku Sahashi*1*2 Akira Sahashi*2*3 Ichiro Fukumoto*1.*1Biomedical engineering laboratory, Nagaoka University of Technology *2Project I Corporation *3 Technological Development Center, Nagaoka University of Technology 1. はじめに 災 害 発 生 時 において 被 災 者 の 発 見 は 最 重 要 事 項 であり 迅 速 に 行 われることが 求 められている 人 間 は 常 に 微 小 な 振 動 を 発 しており その 中 には 心 臓 の 鼓 動 呼 吸 のリズム 等 周 期 的 に 現 れるものも 少 な くない この 実 験 の 目 的 は これらの 周 期 的 な 振 動 を 地 震 計 により 計 測 し 被 災 者 発 見 につなげること である 先 行 研 究 により 周 波 数 解 析 の 結 果 から 地 震 計 のデータに 生 体 情 報 が 含 まれており 被 災 者 発 見 につながる 可 能 性 があることが 示 唆 された 本 研 究 において 心 電 図 呼 吸 計 より 検 出 される 波 形 と 地 震 計 の 波 形 とを 比 較 し 地 震 計 の 妥 当 性 を 検 証 し たので 報 告 する 2. 方 法 にはできるだけ 体 を 動 かさないように 呼 吸 は 一 定 にするように 指 示 し 閉 眼 状 態 にて 120 秒 間 測 定 し た 実 験 風 景 を Fig.2 に 示 す 地 震 計 の 波 形 はデー タ 数 10 の 移 動 平 均 により 処 理 し それぞれの 波 形 を 比 較 検 討 した 地 震 計 本 体 Fig.1 地 震 計 本 体 とパソコンの 接 続 2.1 高 感 度 地 震 計 本 実 験 で 用 いた 地 震 計 は 株 式 会 社 数 理 設 計 研 究 所 が 開 発 したパソコン 接 続 型 の 3 軸 加 速 度 センサ 強 震 計 GID-SSS である 本 体 とパソコンの 接 続 を Fig.1 に 示 す 2.2 地 震 計 波 形 からの 心 拍 の 抽 出 被 験 者 として 健 常 男 子 学 生 1 名 (21 歳 )を 用 い た 木 製 のテーブル 上 に 被 験 者 を 仰 向 けにし 地 震 計 をテーブルの 端 に 設 置 した 地 震 計 との 比 較 検 証 のため データ 収 録 & 解 析 装 置 (BIOPAC Systems Inc. MP150)に 呼 吸 の 測 定 には 肺 呼 吸 トランスデ ューサ(BIOPAC Systems Inc, TSD201) 心 電 図 は 標 準 四 肢 誘 導 電 極 を 接 続 したものを 使 用 した 被 験 者 Fig.2 実 験 風 景 Fig.3 地 震 計 距 離 11

18 特 に 同 期 している 時 間 帯 10 8 合 成 加 速 度 (cm/s 2 ) 心 電 図 振 幅 (V) 地 震 計 心 電 図 時 間 (s) -2 Fig.4 地 震 計 波 形 と 心 電 図 2.3 地 震 計 設 置 位 置 と 地 震 計 振 幅 の 比 較 地 震 計 の 設 置 位 置 による 影 響 を 確 かめるため に 地 震 計 の 設 置 距 離 を 生 体 から 1m と 左 肩 付 近 の 位 置 ( 平 均 24.12cm)とで 地 震 計 の 鉛 直 方 向 加 速 度 の 平 均 振 幅 を 比 較 した 被 験 者 の 左 肩 甲 骨 付 近 ( 心 臓 付 近 )から 地 震 計 の 距 離 を 地 震 計 距 離 とした (Fig.3 参 照 ) 測 定 時 間 は 90 秒 間 で 行 っ た 被 験 者 6 名 ( 男 性 2 名 女 性 4 名 :18 歳 ) を 用 いて 行 った 3. 結 果 3.1 地 震 計 波 形 からの 心 拍 の 抽 出 開 始 10 秒 後 から 20 秒 後 の 結 果 を Fig.4 に 地 震 計 波 形 の FFT 解 析 の 結 果 を Fig.4 に 示 す Fig.4 から 心 電 図 の QRS 波 の 出 現 後 に 周 期 的 に 地 震 計 波 形 にもピークが 現 れていることが わかる Fig.5 から 地 震 計 波 形 の FFT の 結 果 ピークが 1.27Hz に 現 れており Fig.4 より 10 秒 間 の QRS 波 出 現 数 が 13 であることから 周 波 数 は 1.3Hz であることが 分 かる 特 に 地 震 計 波 形 が 顕 著 に 心 電 図 と 同 期 していると 思 わ れる 14 秒 後 から 20 秒 後 の 間 (Fig.4 内 で 矢 印 で 示 す)の RR 間 隔 は 平 均 0.79s, 地 震 計 波 形 の 心 電 図 と 関 連 していると 思 われる 擬 似 RR 間 隔 は 平 均 0.815s である 地 震 計 からの 擬 似 RR 間 隔 と 実 際 の RR 間 隔 には 関 係 があること が 考 えられる 呼 吸 計 と 地 震 計 のでは 呼 吸 の 周 期 に 同 期 して 地 震 計 波 形 振 幅 の 増 加 が 一 部 で 見 られたものの 工 学 的 検 証 にはいたらなかっ た 鉛 直 方 向 加 (cm/s 2 ) Fig.5 地 震 計 波 形 FFT 解 析 結 果 1m t= 左 肩 付 近 ( 平 均 24.12cm) 地 震 計 距 離 Fig.6 距 離 による 振 幅 の 変 化 3.2 地 震 計 設 置 位 置 と 地 震 計 振 幅 の 比 較 地 震 計 の 体 からの 距 離 と 地 震 計 波 形 の 振 幅 の 関 係 を 計 測 した 結 果 を Fig.5 に 示 す 左 肩 付 近 生 体 に 近 づいたほうが 振 幅 はわずかなが ら 有 意 に 上 昇 していることが 分 かる 4. まとめ 本 研 究 によって 地 震 計 のデータ 中 には 心 電 図 に 関 係 を 持 つことが 強 く 示 唆 された また 地 震 計 の 設 置 距 離 によってどの 程 度 振 幅 に 差 が 現 れるか 知 るこ とができた 生 体 情 報 をリモートで 計 測 するために 地 震 計 は 心 拍 の 検 出 に 対 しては 有 効 であることが いえる 今 後 は 実 験 のデータの 更 なる 集 積 と 共 に 複 数 の 地 震 計 を 用 いた 実 験 を 行 い 距 離 による 相 関 をとり 被 災 者 までの 距 離 を 地 震 計 により 測 定 でき るようにしたい 5. 参 考 文 献 福 本 一 朗 内 山 尚 志 佐 橋 昭 宮 澤 拓 未 鈴 木 仁 高 感 度 地 震 計 を 用 いた 災 害 被 災 者 感 知 システム の 基 礎 研 究 第 47 回 日 本 生 体 医 工 学 会 大 会 JSMBE PSI-4-10,

19 頭 部 固 体 ファントムを 用 いた 脳 内 信 号 源 推 定 に 関 する 基 礎 研 究 尾 崎 孝 政, 堀 潤 一 新 潟 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 Fundamental Study on Cortical Dipole Source Estimation using Head Phantom Takamasa Ozaki, Junichi Hori Graduate School of Science and Technology, Niigata University 1. はじめに 脳 情 報 処 理 機 能 の 解 明 やてんかん 等 の 病 巣 位 置 の 特 定 など, 脳 内 の 電 気 的 活 動 を 把 握 する 方 法 が 望 まれている. 脳 波 は, 非 侵 襲, 設 置 環 境 の 制 限 が 尐 ない, 自 然 に 近 い 環 境 で 計 測 できるという 点 で 優 れ ている.しかし, 脳 波 計 で 取 得 した 頭 皮 表 面 の 電 位 分 布 は, 電 極 数 が 限 られる 上, 頭 蓋 骨 の 低 電 導 性 の 影 響 により 空 間 分 解 能 が 悪 い.この 問 題 点 を 解 決 す る 手 段 として, 頭 皮 電 位 から 脳 内 信 号 源 を 推 定 する 手 法 がある. 現 在, 信 号 源 推 定 に 関 する 研 究 は 主 に 計 算 機 によるシミュレーションで 行 われている.こ れは 実 際 の 脳 波 を 用 いて 信 号 源 推 定 を 行 った 場 合, 真 値 がわからないので 推 定 精 度 を 評 価 できないた めである. 本 研 究 では 頭 部 固 体 ファントムを 製 作 し, 仮 想 ダ イポール 信 号 源 を 特 定 の 位 置 に 埋 め 込 み, 信 号 源 の 情 報 が 与 えられている 状 態 で,また 実 際 の 脳 波 に 近 い 環 境 でデータを 得 ることによって, 信 号 源 推 定 法 の 評 価 を 行 った. 2. 方 法 2.1. 頭 部 固 体 ファントム 計 算 機 シミュレーションで 用 いられる 頭 皮, 頭 蓋 骨, 脳 の 三 層 からなる 不 均 質 同 心 球 頭 部 モデル [1] を 参 考 に, 三 層 不 均 質 の 頭 部 固 体 ファントムを 製 作 し た. 頭 部 固 体 ファントムの 組 成 は 脳 および 頭 皮 部 分 と 頭 蓋 骨 部 分 の 導 電 率 比 が 1: となるように, 生 理 食 塩 水 と 蒸 留 水 の 比 率 を 調 整 した.また, 頭 部 固 体 ファントムの 自 立 形 状 保 持 のために 寒 天 を 使 用 した. 本 研 究 で 製 作 した 頭 部 固 体 ファントムの 断 面 図 を 図 1 に 示 す 信 号 源 ファンクションジェネレータの 出 力 を 入 力 電 極 に 接 続 し,ファントム 内 の 特 定 の 位 置 に 挿 入 した. 入 力 電 極 は 正 負 電 極 を 挿 入 用 の 棒 の 向 きと 平 行 な 直 線 上 に 配 置 し,この 電 極 間 に 電 流 を 流 すことでダ イポール 信 号 源 とした. 入 力 電 極 は 複 数 個 用 意 した 信 号 分 離 脳 内 に 信 号 源 が 複 数 存 在 し,かつそれらの 作 る 頭 皮 電 位 が 重 なり 合 っている 場 合, 個 々の 信 号 源 の 推 定 は 困 難 になる.そこで, 独 立 成 分 分 析 を 用 いて 各 々1 つの 信 号 源 が 生 成 する 頭 皮 電 位 に 分 離 した. 独 立 成 分 分 析 とは 原 信 号 の 統 計 的 独 立 性 に 基 づい て 観 測 信 号 から 独 立 な 信 号 を 抽 出 する 分 析 法 であ る.FastICA アルゴリズムを 使 用 した. [2] 2.4. 信 号 源 推 定 法 まず 空 間 分 解 能 を 改 善 するため, 得 られた 分 離 脳 波 に 対 してダイポールイメージングを 行 った.ダイ ポールイメージングとは 頭 皮 電 位 に 空 間 逆 フィル タを 作 用 させ, 脳 内 の 仮 想 表 面 (ダイポール 層 ) 上 に おける 信 号 強 度 分 布 を 求 める 方 法 である. 半 径 の 異 なる 複 数 のダイポール 層 信 号 強 度 分 布 を 作 成 した. 次 に, 各 ダイポール 層 上 の 強 度 分 布 からピーク 点 を 抽 出 した. 求 めたピーク 点 から 近 似 直 線 を 作 成 し, 観 測 頭 皮 電 位 との 相 対 誤 差 が 最 小 となる 信 号 源 の 位 置,モーメントを 近 似 直 線 上 から 探 索 した. 図 1 頭 部 固 体 ファントムの 断 面 図 13

20 3. 実 験 第 30 回 日 本 生 体 医 工 学 会 甲 信 越 支 部 大 会 (Sep.2010) 脳 波 の 計 測 には 多 チャンネルデジタル 脳 波 計 を 使 用 し,サンプリング 周 波 数 は 1kHz とした.100 個 の 電 極 を 貼 付 した.2 個 の 信 号 源 をファントムに 挿 入 した. 位 置 は 頭 頂 部 と 前 頭 部 に 固 定 で 強 度 を 10Hz と 17Hz の 正 弦 波 状 に 変 化 させた.500ms 間 の データを 計 測 し,そのうち 50ms の 区 間 で 信 号 源 推 定 を 実 行 した. 信 号 源 は 位 置 とモーメント( 振 幅, 方 向 )で 構 成 されることから, 推 定 精 度 は 位 置 誤 差, 方 向 誤 差, 振 幅 誤 差 より 評 価 した. 頭 皮 電 位 分 布 と ダイポール 層 信 号 強 度 の 推 定 分 布 の 一 例 を 図 2 に 示 す.マッピングは 真 上 からの 視 点 で 図 示 した. 図 から,ダイポール 層 信 号 強 度 分 布 では 信 号 が 局 所 化 されて, 信 号 源 が 2 個 確 認 できる. 図 3 に 信 号 源 の 推 定 結 果 を 示 す. 図 から 真 値 と 近 い 位 置, 方 向 で 推 定 できた. 表 1 に 各 信 号 源 の 50ms 区 間 の 平 均 誤 差 を 示 す. 位 置 誤 差 は 実 際 の 人 間 の 頭 部 半 径 を 10cm に 規 格 化 した 場 合, 振 幅 誤 差 は 脳 波 の 振 幅 を 10μV と 仮 定 した 場 合 の 誤 差 を 表 す. 推 定 精 度 に 関 する 基 準 として 位 置 誤 差 は 10mm 以 下 と 報 告 されている ので 位 置 については 精 度 よく 推 定 できたと 考 えら れる. A L R P (a) 頭 皮 電 位 分 布 A L R P (b)ダイポール 層 強 度 分 布 推 定 値 (r d =80mm) 図 2 ダイポール 層 信 号 強 度 分 布 の 推 定 結 果 L R A P L 信 号 源 1 ( 頭 頂 部 ) 信 号 源 2 ( 前 頭 部 ) 4. まとめ 図 3 推 定 結 果 (327ms) 赤 : 真 値, 青 : 推 定 値 表 1 各 信 号 源 の 平 均 誤 差 位 置 誤 差 (mm) 方 向 誤 差 (deg) 振 幅 誤 差 (μv) 5.4± ± ± ± ± ±2.3 頭 部 固 体 ファントムと 脳 波 計 を 用 いて 脳 波 を 計 測 し,そのデータを 用 いてダイポールイメージング 法 によりファントム 内 の 信 号 源 を 推 定 した.その 結 果, 信 号 源 の 位 置 を 精 度 よく 推 定 できた.これによ りダイポールイメージング 法 による 信 号 源 推 定 は 実 脳 波 にも 有 効 である 可 能 性 を 示 した. 本 研 究 では 信 号 源 の 強 度 変 化 は 正 弦 波 状 の 単 純 な 波 形 であっ た.しかし, 実 脳 波 はより 複 雑 な 波 形 をしている. そのため, 今 後 はより 実 脳 波 を 想 定 した 入 力 信 号 を 生 成 し 検 証 する 必 要 がある. 参 考 文 献 (a) 前 額 面 (b) 矢 状 面 A (a) 頭 皮 電 位 分 布 P (c) 水 平 面 R [1] Y. Wang and B. He:A computer simulation study of cortical imaging from scalp potentials,ieee Trans. Biomed. Eng.,45: ,1998. [2] 川 井 貴 文, 堀 潤 一 : 時 変 性 ダイポールイメージ ングと 独 立 成 分 分 析 を 用 いた 脳 内 信 号 源 推 定, 信 学 技 報,109:23-28,

21 運 動 関 連 脳 電 位 に 対 する 脳 内 ダイポールイメージングを 用 いた 多 チャンネル 型 BMIの 検 討 岡 田 耕 史, 堀 潤 一 新 潟 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 Examination on Multi Channel Brain-Machine Interface using Equivalent Dipole Layer Imaging for Movement-Related Cortical Potential Koji Okada,Junichi Hori Graduate School of Science and Technology, Niigata University 1. はじめに コミュニケーション 支 援 機 器 として, 意 思 のみで 操 作 を 可 能 とするブレイン マシン インタフェー ス(BMI:Brain Machine Interface)が 注 目 されてい る.BMI の 実 現 法 の1つに 運 動 を 行 うときの 誘 発 さ れ る 運 動 関 連 脳 電 位 ( MRCP : movement-related cortical potential)を 用 いる 方 法 がある [1].しかし, 脳 波 を 用 いた 方 法 の 問 題 点 として, 頭 蓋 骨 の 低 電 導 特 性 のため 空 間 分 解 能 が 悪 く, 信 号 の 詳 細 な 位 置 情 報 は 用 いていないことがあげられる. 一 方, 頭 皮 電 位 をもとに 空 間 分 解 能 を 改 善 し, 信 号 源 の 発 生 位 置 を 特 定 する 方 法 として 脳 内 ダイポールイメージン グ [2][3] が 提 案 されている.この 方 法 によれば, 信 号 源 の 数 に 依 存 せずに 脳 内 のダイポール 信 号 強 度 分 布 を 非 侵 襲 で 推 定 できる. 本 研 究 では,MRCP の 発 生 位 置 が 異 なるような 運 動 タスクを 行 い, 脳 内 ダイポールイメージングによ り, 空 間 分 解 能 を 向 上 させ, 位 置 情 報 を 考 慮 した 多 チャネル 型 BMI システムを 構 築 することを 検 討 し た. 3. 実 験 被 験 者 は 20 代 健 常 男 性 2 名 で 右 利 きであり, 座 位 安 静 状 態 で 計 測 した. 多 チャンネルデジタル 脳 波 計 ( 日 本 光 電 社 EEG-1100)を 用 い,サンプリング 周 波 数 を 200Hz とした. 脳 波 検 出 には 10% 法 ( 拡 張 法 )に 基 づいて 電 極 キャップ(EASYCAP 社 製 ) を 用 いた. 計 測 用 電 極 は 100 電 極 として, 体 動 など によりアーチファクトが 混 入 した 電 極 を 削 除 した. 多 チャンネル 脳 波 信 号 に 対 し, 加 算 平 均 処 理, 20Hz のローパスパスフィルタを 施 した. 加 算 平 均 は 瞬 目 を 除 いた 合 計 回 数 で 15 回 以 上 を 目 安 とした. 被 験 者 は 視 覚 刺 激 による 合 図 によって 右 親 指 屈 曲, 左 親 指 屈 曲, 右 手 首 背 屈, 左 手 首 背 屈, 右 大 腿 屈 曲, 左 大 腿 屈 曲, 右 足 指 背 屈 及 び 左 足 指 背 屈 の8 つのタスクをそれぞれ 30 回 行 った. 実 験 のプロト コルを 図 1に 示 す. 予 備 実 験 より 閾 値 を 設 け, 筋 電 信 号 が 閾 値 を 越 えた 時 点 をトリガーとして 加 算 平 均 を 行 った. 2. 方 法 脳 内 ダイポールイメージングを 行 うために, 頭 部 を 不 均 質 3 層 同 心 球 によりモデル 化 した.この 頭 部 モデルの 脳 内 に 仮 想 的 に 等 価 ダイポール 層 を 設 置 し, 等 価 ダイポール 層 から 頭 皮 電 位 までの 伝 達 関 数 を 求 めた. 伝 達 関 数 の 逆 問 題 を 解 くことによって, ダイポール 強 度 分 布 を 求 めた. 逆 問 題 を 解 く 際 は, ティコノフの 正 則 化 フィルタを 用 いた. 図 1 実 験 プロトコル 15

22 4. 結 果 では, 左 右 の 足 の 運 動 野 の 位 置 が 頭 頂 部 付 近 に 近 接 8つのすべてのタスクにおいて, 運 動 開 始 前 に 陰 性 電 位 NS が 確 認 できた. 陰 性 電 位 の 現 れた 時 点 の 頭 皮 電 位 と 推 定 したダイポール 層 強 度 分 布 を 図 2 に 示 す. 図 2より, 脳 波 電 位 分 布 では 大 まかに 陰 性 しており, 陰 性 電 位 がほぼ 同 じ 位 置 に 推 定 された. また,MRCP は 動 作 イメージでも 現 れるため, 今 後 動 作 イメージでのタスクを 行 い BMI の 実 現 を 目 指 す 予 定 である. 電 位 は 確 認 できるが 正 確 な 位 置 は 特 定 できなかっ た.それに 対 し,ダイポール 信 号 強 度 分 布 では 空 間 6. 参 考 文 献 分 解 能 が 改 善 され, 運 動 部 位 の 対 側 運 動 野 に 陰 性 電 位 を 確 認 できた. 親 指, 手 首, 大 腿, 足 指 と 運 動 部 位 を 変 化 させるにつれて, 運 動 野 側 頭 部 から 頭 頂 部 に 陰 性 電 位 活 動 部 位 が 移 動 した. 局 在 化 された 位 置 は,ヒトの 一 次 運 動 野 の 体 部 位 局 在 の 脳 地 図 と 対 応 しており, 生 理 学 的 知 見 と 一 致 した.また, 他 の 被 験 者 1 名 において, 同 様 に 陰 性 電 位 が 確 認 できた. [1] 田 中 久 弥, 井 出 英 人, 長 島 祐 二, 運 動 関 連 脳 電 位 による 文 字 入 力 システム, 信 学 技 報 WIT00-43:2001 [2] J.Hori, M.Aiba, and B.He: Spatio-temporal cortical souce imaging of brain electrical activity by means of time-varying parametric projection filter, IEEE Trans. Biomed. Eng., 51: , 考 察 [3] 岡 田 耕 史, 堀 潤 一, 脳 内 ダイポールイメージ 本 研 究 では, 脳 波 電 位 に 比 べ 詳 細 な 位 置 情 報 を 得 ることができ, 局 在 化 された 陰 性 電 位 の 位 置 から, ングを 用 いた BCI の 検 討, 電 子 情 報 通 信 学 会 信 越 支 部 大 会,2009 右 手 親 指 屈 曲, 左 手 親 指 屈 曲, 右 手 首 背 屈, 左 手 首 背 屈, 足 指 背 屈 の5つの 運 動 動 作 を 識 別 できた. 右 大 腿 屈 曲, 左 大 腿 屈 曲, 右 足 指 背 屈 及 び 左 足 指 背 屈 頭 皮 電 位 分 布 推 定 ダイポール 信 号 強 度 分 布 (a) 右 親 指 屈 曲 (b) 右 手 首 背 屈 (c) 右 大 腿 屈 曲 (d) 右 足 指 背 屈 (e) 左 親 指 屈 曲 (f) 左 手 首 背 屈 (g) 左 大 腿 屈 曲 (h) 左 足 指 背 屈 図 2 頭 皮 電 位 ( 上 )と 推 定 ダイポール 層 信 号 強 度 分 布 ( 下 ) 16

23 音 像 定 位 する 音 刺 激 の 弁 別 による P300 型 BCI システムの 基 礎 的 検 討 小 口 弘 貴 *, 千 島 亮 **, 岩 松 康 太 *, 大 谷 真 ***, 香 山 瑞 恵 ***, 橋 本 昌 巳 ***, 伊 東 一 典 ***, 荒 井 善 昭 **** * 信 州 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科,** 信 州 大 学 医 学 部,*** 信 州 大 学 工 学 部,**** 国 立 長 野 高 専 A basic study on Brain-Computer Interface based on P300 event-related potentials using spatialized auditory stimuli Kouki OGUCHI*,Makoto CHISHIMA**,Kouta IWAMATSU*,Makoto OTANI***, Mizue KAYAMA***,Masami HASHIMOTO***,Kazunori ITOH***,Yoshiaki ARAI**** *Graduate School of Science and Technology, Shinshu Univ. **School of Health Sciences, Shinshu Univ. ***Faculty of Engineering, Shinshu Univ. ****Nagano National College of Technology. 1. はじめに 我 々は 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 (ALS)をはじめとす る 重 度 神 経 筋 疾 患 者 の 意 思 伝 達 支 援 を 目 的 とし, BCI(Brain-Computer Interface) 構 築 のための 基 礎 的 研 究 を 進 めている. 視 覚 刺 激 呈 示 による P300 型 BCI システムの 臨 床 応 用 が 様 々な 研 究 機 関 で 進 められ ているが [1], 我 々は 刺 激 条 件 に 聴 覚 刺 激 を 用 いる 点 に 特 徴 を 持 つシステムの 構 築 を 進 めている [2]. 本 稿 では 将 来 的 な BCI システムの 多 肢 選 択 化 を 目 的 と し, 音 像 定 位 する 音 刺 激 に 注 目 した P300 成 分 導 出 実 験 と 検 討 を 行 った. 2..P300 成 分 の 導 出 方 法 誘 発 脳 波 測 定 システムの 構 成 を 図 1 に 示 す. 実 験 はアーチファクトの 混 入 を 防 ぐために,シールドル ーム 内 の 安 静 椅 子 座 位 で 実 施 した.PC で 作 成 した 音 刺 激 をオーディオ インタフェースから 出 力 し, ヘッドホンを 用 いて 被 験 者 に 受 聴 させた. 健 常 被 験 者 ( 信 州 大 学 医 学 部 保 健 学 科 倫 理 規 定 H22 年 度 審 査 にて 承 諾 )を 対 象 とし, 音 刺 激 の 種 類 は 立 上 り 立 下 り 10 ms, 持 続 時 間 100 ms のトーンバースト 刺 激, 図 1: 誘 発 脳 波 測 定 システムの 構 成 刺 激 間 隔 を 2 s, 音 圧 レベル 50 db を 基 本 条 件 とし た. 音 刺 激 によって 導 出 した EEG は, 頭 皮 に 装 着 した Ag-AgCl 皿 電 極 から 脳 波 計 に 取 り 込 んだ. 導 出 電 極 位 置 は 国 際 法 に 準 拠 し, 正 中 前 頭 部 Fz, 正 中 中 心 部 Cz, 正 中 頭 頂 部 Pz の 3 極 とし, 基 準 電 極 を A 1 +A 2 両 耳 朶 連 結,ボディアースを 正 中 前 頭 葉 Fpz とした.また, 眼 球 運 動 に 伴 うアーチフ ァクトとなる 眼 電 図 (EOG)をモニタ 監 視 し,±50 µv を 超 える 電 位 が 生 じた 試 行 は 分 析 対 象 から 除 外 した. 脳 波 計 に 取 り 込 んだデータはアナログデータ として 出 力 し,データ 収 録 ボードによりサンプリン グ 周 波 数 1 khz, 量 子 化 16 bit で PC に 取 り 込 み 記 録 した.LabVIEW を 用 いて 各 種 信 号 処 理 をおこな い,アーチファクト 除 去 のためのフィルタは 低 域 で 0.5 Hz, 高 域 で 50 Hz のバンドパスフィルタに 設 定 し, 標 的 刺 激 の 試 行 回 数 を 20 回 とした.P300 成 分 の 評 価 にはベースライン 法 を 用 い, 潜 時 250~400 ms 間 の 最 大 陽 性 電 位 ピークを P300 成 分 とした. 3.. 音 像 定 位 する 音 刺 激 による P300 成 分 導 出 実 験 方 向 の 音 刺 激 による 基 礎 実 験 と 結 果 BCI システムの 多 肢 選 択 化 の 可 能 性 を 確 認 する ための 基 礎 実 験 として, 周 波 数 を 2 khz に 固 定 した 3 方 向 の 音 刺 激 を 用 いた P300 成 分 導 出 実 験 を 行 っ た. 音 像 方 向 は 正 面 0 と 両 耳 間 にレベル 差, 時 間 差 をつけることで 左 右 方 向 に 各 60 定 位 させたも のを 用 い [3], 被 験 者 は 同 意 の 得 られた 健 常 被 験 者 15 名 とした. 呈 示 頻 度 を 同 じ 割 合 (1:1:1)のラン ダム 呈 示 とし, 被 験 者 には 何 れかの 音 刺 激 を 標 的 刺 激 として 注 目 させた. 結 果, 被 験 者 全 てで 潜 時 250 ~400 ms 付 近 に 陽 性 電 位 変 動 を 認 め, 目 的 とする 17

24 図 2:3 方 向 の 音 刺 激 による 導 出 結 果 P300 成 分 導 出 が 可 能 であった. 特 に Pz において 振 幅 値 が 最 も 大 きくなる 傾 向 がみられたため, 以 後 は Pz に 注 目 する. 図 2 に 代 表 被 験 者 1 名 の Pz におけ る 導 出 結 果 を 示 す. 標 的 刺 激 では 矢 印 で 示 すように 潜 時 300 ms 付 近 に 陽 性 電 位 変 動 が 認 められ,P300 成 分 が 同 定 できる.また 標 的 刺 激 として 呈 示 した 3 方 向 の 音 刺 激 で 得 られた P300 成 分 には 振 幅 値 や 潜 時 に 明 確 な 差 は 認 められなかった. 以 上 から,3 方 向 の 音 刺 激 を 用 いた 刺 激 条 件 においても 従 来 から の 方 法 と 同 様 に, 目 的 とする P300 成 分 の 導 出 が 可 能 であることが 確 認 できた 種 類 の 音 刺 激 による 実 験 と 結 果 さらなる 多 肢 選 択 化 の 可 能 性 を 検 討 するため, 基 礎 実 験 でより 安 定 した P300 成 分 の 導 出 が 可 能 であ った 健 常 被 験 者 8 名 を 対 象 とし,3 種 類 の 音 像 方 向 図 3:6 種 類 の 音 刺 激 による 振 幅 値 と 潜 時 (n=8) る 音 刺 激 に 注 目 し,P300 成 分 導 出 実 験 を 行 った. 音 像 方 向 の 弁 別 による P300 成 分 の 導 出,および 音 像 方 向 と 周 波 数 を 組 み 合 わせた 弁 別 課 題 による P300 成 分 の 導 出 も 可 能 であった.そこで, 音 像 方 向 と 周 波 数 を 組 み 合 わせた 複 数 の 弁 別 課 題 を 用 い た 簡 易 BCI システムを 構 築 し, 健 常 被 験 者 3 名 を 対 象 とした 評 価 を 行 った.6 種 類 の 音 刺 激 を 用 いた 評 価 による 平 均 選 択 率 は 約 83%で, 平 均 選 択 時 間 は 約 168 秒 であった. 視 覚 刺 激 による 一 般 的 な 文 字 入 力 BCI では,ALS 者 において 1 分 間 に 約 1.2 文 字 の 入 力 ができるという 報 告 がある [4]. 以 上 から, 本 シス テムを BCI に 応 用 することは 十 分 に 有 効 であると 考 えられる. 今 後 も, 音 像 定 位 する 音 刺 激 による 様 々な 条 件 での 実 験 や,その 特 徴 を 生 かしたシステ ム 構 築 を 行 っていきたい. (60,0,-60 )に 2 種 類 の 周 波 数 (1 khz,2 khz)を 加 え, 計 6 種 類 の 音 刺 激 を 用 いた P300 成 分 導 出 実 験 を 行 った. 被 験 者 には 同 じ 割 合 でランダ ムに 呈 示 される 6 種 類 の 音 刺 激 から 1 種 類 を 任 意 に 選 択 させた. 図 3 に 被 験 者 8 名 の 音 刺 激 の 種 類 ごと の 振 幅 値 と 潜 時 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 示 す. 何 れの 音 刺 激 を 標 的 刺 激 とした 場 合 でも,P300 成 分 導 出 が 確 認 でき, 振 幅 値 や 潜 時 に 明 確 な 差 は 認 めなかっ た. 以 上 のことから, 音 像 方 向 と 周 波 数 を 変 化 させ た 条 件 においても 特 徴 的 な P300 成 分 の 導 出 が 可 能 であり,これらの 音 刺 激 を BCI システムの 弁 別 課 題 として 応 用 することが 十 分 に 可 能 であることが 確 認 できた. 4. おわりに 本 稿 では,BCI に 用 いる 音 刺 激 として 音 像 定 位 す 参 考 文 献 [1] C.Guger, S.Daban, E.Sellers: How many people are able to control a P300-based brain computer interface (BCI)?, Neurosci Lett, 462: 94 98, [2] 小 口 弘 貴, 千 島 亮, 岩 松 康 太, 大 谷 真, 香 山 瑞 恵, 橋 本 昌 巳, 伊 東 一 典, 荒 井 善 昭 : 左 右 方 向 に 音 像 定 位 する 音 刺 激 の 弁 別 による P300 型 BCI システムの 基 礎 的 検 討, 生 体 医 工 学 シンポ ジウム 2010, 講 演 予 稿 集, 札 幌,2010,pp [3] J.Blauert: Spatial hearing, The MIT Press, London, [4] F.Nijboer, E.W.Sellers, J.Mellinger, M.A.Jordan, T.Matuz, A.Furdea, S.Halder, U.Mochty, D.J.Krusienski, T.M.Vaughan, J.R.Wolpaw, N.Birbaumer and A.Kübler: P300-based brain computer interface for people with amyotrophic lateral sclerosis, Clinical Neurophysiology, 119(8): ,

25 顔 の 動 きによる 筋 電 信 号 を 用 いた 入 力 インタフェースの 開 発 市 川 かおる, 堀 潤 一 新 潟 大 学 大 学 院 自 然 科 学 研 究 科 Development of Input Interface using Electromyograms of Face Movements Kaoru Ichikawa, Junichi Hori Graduate School of Science and Technology, Niigata University 1. はじめに PC への 情 報 入 力 はキーボードに 依 るところが 大 きく, 位 置 情 報 の 入 力 にはマウス,トラックボール, あるいはタッチパッドなどを 併 用 することが 多 い. しかし,これらの 入 力 機 器 は 重 度 肢 体 不 自 由 者 にと って 操 作 が 困 難 であり, 症 状 によっては 使 用 できな くなる.また, 病 状 や 周 囲 の 環 境 により 発 話 が 困 難 となる 場 合 がある.そこで, 本 研 究 では 声 を 出 さず に 顔 の 動 きだけでマウスやスクリーンキーボード を 操 作 する 方 法 に 注 目 した[1]-[4]. 特 定 の 顔 の 動 き で 発 生 する 表 面 筋 電 信 号 を 双 極 導 出 し, 上 下 左 右 前 後 選 択 の7 入 力 操 作 を 試 みた. 顔 面 筋 として, 大 頬 骨 筋, 口 角 下 制 筋, 咬 筋, 顎 二 腹 筋 に 注 目 した. そして,リアルタイムで 顔 の 動 きを 識 別 し, 意 図 情 報 に 変 換 することで 自 らの 意 思 で 操 作 可 能 な 3 次 元 入 力 インタフェースを 開 発 した. 2. 方 法 2.1. システム 構 成 図 1 に 本 システムの 構 成 を 示 す. 本 システムでは 4 個 の 乾 式 表 面 電 極 ( 追 坂 電 子 機 器 小 型 センサケ ーブル 2 極 タイプ)を 使 用 し, 大 頬 骨 筋 (Ch.1), 口 角 下 制 筋 (Ch.1 と 対 側 :Ch.2), 咬 筋 (Ch.1 と 同 側 :Ch.3), 顎 二 腹 筋 (Ch.4)に 貼 付 した.Ch.1 の 貼 付 位 置 は, 使 用 者 の 顔 の 形 や 左 右 の 得 意 不 得 意 動 作 に 合 わせて 選 択 した. 各 チャネルから 検 出 され る 信 号 を 筋 電 計 ( 追 坂 電 子 機 器 Personal-EMG)で 増 幅 し,サンプリング 周 波 数 1000Hz で PC に 取 り 込 んだ.その 後,30~400Hz のバンドパスフィルタ, 絶 対 値 処 理, 移 動 平 均 (300 ポイント)を 施 し, 整 流 平 滑 化 電 位 (ARV)の 時 間 変 化 を 求 めた. 図 2 に 示 す 7 種 類 の 特 定 の 顔 の 動 きを 行 ったときの 識 別 を 行 った.そのために,2.2 で 示 す 方 法 で 各 チャネ ル 間 の 特 徴 を 解 析 し, 意 図 情 報 を 生 成 した 特 徴 抽 出 特 定 の 顔 の 動 きによって 発 生 した 筋 電 信 号 から 上 下 左 右 前 後 選 択 を 認 識 するため, 予 備 入 力 と して 5 秒 間 隔 で 各 動 作 を 行 った. 顔 面 筋 の 筋 電 信 号 は 同 一 の 被 験 筋 でも 動 作 毎 に 振 幅 が 異 なる.そのた め, 各 動 作 において 電 位 が 大 きく 検 出 されるチャネ ルの 最 大 値 同 士 を 比 較 し,その 中 で 最 小 の 値 の 50% を 上 限 閾 値 とし 活 動 している 筋 を 識 別 した.また, 上 や 下 など 複 数 のチャネルで 同 時 に 電 位 が 検 出 される 場 合, 各 チャネル 間 で 上 限 閾 値 を 超 える 時 刻 にずれが 生 じるため,200ms の 時 間 閾 値 を 設 定 した.つまり, 最 初 に 上 限 閾 値 を 越 えた 時 刻 を 動 作 開 始 として 検 出 し, 動 作 開 始 から 200ms 後 に 表 1 に 示 す 条 件 の 通 りに 上 限 閾 値 を 越 えた 際 に 意 図 情 報 を 出 力 した. 表 面 電 極 筋 電 計 PC バンドパスフィルタ(30-400Hz) 絶 対 値 処 理 移 動 平 均 (300ポイント) ARV 特 徴 抽 出 出 力 図 1 システム 構 成 図 2 顔 の 動 き 時 間 閾 値 振 幅 閾 値 19

26 表 1 意 図 情 報 の 入 出 力 関 係 上 下 左 右 前 後 選 択 ch.1 [ % ] [ % ] ch ch.3 ch.4 or or 3. 実 験 被 験 者 を 20 代 健 常 男 性 2 名 ( 被 験 者 A,B), 女 性 2 名 ( 被 験 者 C,D)の 計 4 名 とし, 図 2 に 示 した 上 下 左 右 前 後 選 択 の 顔 の 動 きを 3 秒 間 隔 で 各 10 回 ずつランダムに 行 った. 意 図 した 動 作 と 同 様 の 識 別 [ % ] 被 験 者 A 被 験 者 B 被 験 者 C 被 験 者 D 被 験 者 A 被 験 者 B 被 験 者 C 被 験 者 D 正 出 力 率 正 出 力 率 = 誤 出 力 率 = 未 出 力 率 = 被 験 者 A 被 験 者 B 被 験 者 C 被 験 者 D 未 出 力 率 図 3 識 別 結 果 誤 出 力 率 正 出 力 数 全 試 行 数 100 [%] 誤 出 力 数 全 試 行 数 100 [%] 未 出 力 数 全 試 行 数 100 [%] 結 果 が 得 られた 場 合 を 正 出 力, 意 図 した 動 作 と 異 な る 識 別 結 果 が 得 られた 場 合 を 誤 出 力, 表 1に 示 した 条 件 に 当 てはまらない 場 合 を 未 出 力 とし, 精 度 を 評 価 した. 識 別 結 果 を 図 3 に 示 す. 全 被 験 者 とも 70% 以 上 の 精 度 で 意 図 情 報 を 出 力 できた. 5. まとめ 上 下 左 右 前 後 選 択 の 7 入 力 動 作 に 対 応 する 顔 の 動 きを 行 い, 顔 面 筋 上 に 貼 付 した4 個 の 乾 式 電 極 か ら 識 別 できた.さらに, 提 案 した 顔 の 動 きによって 操 作 可 能 なインタフェースシステムを 開 発 した. 4. 考 察 顔 面 筋 は 骨 と 皮 膚 を 結 ぶ 筋 肉 であるため, 特 定 の 部 位 のみを 動 かすことができない. 同 時 に 様 々な 筋 が 連 動 して 動 くため, 動 作 に 慣 れていない 被 験 者 ほ ど 意 図 して 動 かした 筋 とは 別 の 筋 でも 電 位 が 検 出 されてしまい, 誤 出 力 や 未 出 力 が 増 える 結 果 となっ た. 本 研 究 では, 事 前 に 訓 練 などを 行 わずに 識 別 を 行 っているが, 今 後 トレーニングシステムを 開 発 し, 訓 練 による 効 果 について 検 討 する 必 要 がある.また, 本 システムでは 上 限 閾 値 を 予 備 入 力 で 得 られた 値 の 50%としたが, 筋 電 図 の 振 幅 は 常 に 一 定 ではな く, 同 一 動 作 であっても 動 作 毎 に 振 幅 が 異 なった. 参 考 文 献 1) 辻 敏 夫 他 : 筋 電 信 号 で 操 作 可 能 なテキスト 入 力 システム, ヒューマンインタフェース 学 会 論 文 誌,9,No.2, ) 眞 鍋 宏 幸, 平 岩 明, 杉 村 利 明 : 筋 電 信 号 を 用 い た 無 発 生 音 声 認 識,インタラクション 2002 論 文 集, , ) 辻 敏 夫, 福 田 修 他 : 筋 電 操 作 型 ミュージック インタフェース, 人 間 工 学 45:36-45, ) 岩 下 輝 彦, 堀 潤 一 : 口 の 動 きによる 筋 電 信 号 を 用 いた 入 力 インタフェースの 開 発, 第 48 回 日 本 生 体 医 工 学 会 大 会,2009. そのため, 上 や 下 といった 複 数 のチャネル で 電 位 が 検 出 される 動 作 では, 特 定 のチャネルが 上 限 閾 値 を 越 えずに 誤 出 力 となることがあった.この ことから, 上 限 閾 値 の 設 定 方 法 の 改 良 や, 多 チャン ネル 信 号 によるパターン 認 識 を 導 入 するなどして 改 善 していく 必 要 がある. 20

27 瞳 孔 中 心 を 用 いた 虹 彩 円 検 出 による 視 線 文 字 入 力 システムの 開 発 竹 内 瞬 *, 橋 本 昌 巳 **, 伊 東 一 典 **, 香 山 瑞 恵 **, 大 谷 真 ** * 信 州 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科,** 信 州 大 学 工 学 部 情 報 工 学 科 Development of an eye-gazed character input system based on displacement of the iris. Shun TAKEUCHI* Masami HASHIMOTO** Kazunori ITOH** Mizue KAYAMA** Makoto OTANI** *Graduate School of Science and Technology, Shinshu University **Faculty of Engineering, Shinshu University 1. はじめに 近 年 ALS( 筋 萎 縮 性 側 策 硬 化 症 ), 頚 椎 損 傷 など による 肢 体 不 自 由 者 の 意 思 伝 達 手 段 として, 視 線 を 用 いたコミュニケーション 方 法 が 多 数 研 究 されて いる [1-4].その 中 のひとつの 手 法 であるカメラを 用 いた 視 線 検 出 法 は, 現 場 での 利 用 形 態 を 考 えると 実 用 性 が 高 い.そこで 本 研 究 では 視 線 によるコミュニ [5] ケーションの 例 である 透 明 文 字 盤 の 概 念 を 利 用 した 手 法 の 検 討 を 行 っている. 透 明 文 字 盤 とは 介 護 者 が 五 十 音 などを 表 記 した 透 明 な 文 字 盤 をはさん で 障 害 者 と 対 面 し, 文 字 盤 上 の 障 害 者 の 視 線 を 読 み 取 り 意 思 伝 達 を 行 うものである. 本 研 究 ではこの 手 法 を 模 擬 した 視 線 文 字 入 力 システムの 開 発 を 行 っ ている. 2. システム 構 成 と 原 理 2.1. システム 構 成 本 システムの 構 成 としては,PC に 接 続 した Web カメラ(DIGITAL-COWBOY 社 製 DC-NCR,130 万 画 素, 画 角 78 度 )とディスプレイを 用 いる. 実 験 器 具 の 配 置 や 被 験 者 の 位 置 を 図 1 に 示 す. 被 験 者 は リクライニングシートに 座 り, 被 験 者 正 面 にディス プレイを 設 置 し,その 下 に Web カメラを 設 置 する システムの 原 理 まずシステムの 原 理 を 説 明 する. 本 システムでは ひらがな 50 音 を 描 画 した 文 字 盤 をディスプレイに 表 示 し,その 中 からシステム 使 用 者 に 入 力 したい 文 字 を 注 視 してもらう.その 時 の 視 線 方 向 推 定 を 行 う が,ひらがな 50 音 の 中 から 注 視 文 字 を 判 別 するこ とは, 本 システムの 構 成 では 検 出 精 度 が 低 いため 難 図 1 実 験 環 境 しい.そこで 視 線 方 向 の 検 出 の 精 度 が 最 も 高 いディ スプレイ 中 央 に 注 視 文 字 が 近 づくように 文 字 盤 全 体 を 動 かす.これを 繰 り 返 し 行 うことで, 被 験 者 が 注 視 している 文 字 をディスプレイ 中 央 に 描 画 した 文 字 選 択 エリアまで 誘 導 する.それを 被 験 者 が 確 認 したら 1 秒 以 上 閉 眼 をしてもらうことで 文 字 を 決 定 する.なお, 文 字 決 定 が 行 われた 場 合 はビープ 音 とともに, 選 択 された 文 字 を, 文 字 色 を 変 えて 文 字 選 択 エリア 内 に 表 示 する.また 文 字 を 連 続 して 入 力 する 際 には, 文 字 盤 の 位 置 を 初 期 位 置 に 戻 さずに, その 位 置 から 次 の 文 字 を 注 視 する. 次 に 本 システムにおける 視 線 方 向 推 定 方 法 を 説 明 する. 本 システムでは 虹 彩 円 の 中 心 座 標 の 推 移 を 見 ることで 視 線 方 向 推 定 を 行 っている.その 処 理 画 像 の 一 例 を 図 2 に 示 す.まず 顔 画 像 から 眼 領 域 画 像 ( 図 2a)を 80x50pixel で 切 り 出 し,そこから 瞳 孔 のみを 抽 出 した 画 像 ( 図 2b)と, 虹 彩 円 の 輪 郭 抽 出 を 行 った 画 像 ( 図 2c)の 2 枚 を 作 製 する.この 瞳 孔 を 抽 出 した 画 像 から,その 瞳 孔 を 中 心 点 とする 虹 彩 円 の 半 径 を 持 った 円 弧 を 描 写 した 画 像 ( 図 2d) を 作 成 し,その 画 像 と 輪 郭 抽 出 を 行 った 画 像 とのマ 21

28 ッチングをとる.なお, 円 弧 とした 理 由 は 虹 彩 円 の 上 部 と 下 部 はまぶたに 隠 れていることが 多 いため, ここで 描 写 する 円 はその 上 部 と 下 部 を 除 去 してい る.これにより 最 もマッチング 率 が 高 かったものを 虹 彩 円 位 置 として 判 別 し,その 中 心 座 標 を 算 出 し, そこから 文 字 盤 の 移 動 量 を 決 定 する. 本 システムで は 文 字 入 力 時 間 を 短 縮 するため, 文 字 選 択 エリアよ りも 遠 い 位 置 に 視 線 がある 場 合 には 文 字 盤 の 移 動 量 を 大 きく, 文 字 選 択 エリア 付 近 に 視 線 がある 場 合 には 文 字 盤 の 移 動 量 を 小 さくしている. 本 システムでは, 短 時 間 の 閉 眼 は 不 随 意 のまばた きとして 排 除 している.また 文 字 入 力 を 行 う 前 にキ ャリブレーションを 行 い, 選 択 エリアを 注 視 してい るときの 虹 彩 円 の 中 心 座 標 と 半 径 を 検 出 し, 文 字 盤 移 動 時 に 必 要 な 虹 彩 円 の 移 動 量 を 算 出 している. 入 力 時 間 (s) a: 元 画 像 b: 瞳 孔 抽 出 c: 輪 郭 抽 出 d: 円 テンプレート 図 2 虹 彩 円 検 出 時 の 処 理 画 像 の 一 例 よ ろ し く 図 3 1 文 字 当 たりの 文 字 入 力 時 間 3. システムの 評 価 実 験 と 考 察 本 システムの 評 価 を 行 うために, 健 常 者 被 験 者 4 名 に よろしく という 単 語 を 5 回 入 力 してもらっ た. 本 実 験 はシステム 使 用 者 の 頭 部 運 動 はないもの としているため, 被 験 者 には 頭 部 固 定 を 行 った.こ の 時 の 文 字 を 選 択 し 始 めてから 文 字 が 決 定 するま での 時 間 を 計 測 した. 全 被 験 者 における 各 文 字 の 入 力 時 間 の 平 均 と 標 準 偏 差 を 図 3 に 示 す.この 入 力 時 間 の 値 は 文 字 決 定 に 要 する 時 間 も 含 んでいるため, 実 際 に 文 字 を 誘 導 するのに 要 した 時 間 は, 結 果 の 値 から 文 字 決 定 のた めの 1 秒 分 小 さくなる. 全 被 験 者 の 1 文 字 あたりの 平 均 入 力 時 間 は 10 秒 程 度 であった. し の 入 力 時 間 が 他 の 文 字 に 比 べて 長 いのは, 文 字 入 力 後 の 文 字 盤 の 位 置 はそのまま 維 持 するため, ろ を 入 力 し た 直 後 は し が 文 字 選 択 エリアからの 距 離 が 長 く なってしまうことが 原 因 と 考 えられる.また, 標 準 偏 差 が 大 きくなっている 文 字 に 関 しては,1 名 の 被 験 者 において,その 文 字 の 入 力 に 平 均 して 15 秒 近 くかかっていたためである.この 被 験 者 によると, 文 字 選 択 エリア 付 近 での 文 字 盤 移 動 が 速 く, 注 視 文 字 が 文 字 選 択 エリアを 通 り 過 ぎてしまい, 誘 導 に 時 間 がかかってしまったとのことだった.よって 今 後 は, 本 システムの 文 字 盤 移 動 量 を 調 整 することで, 文 字 入 力 時 間 の 短 縮 ができるか 検 証 を 行 う. 4. まとめ 本 稿 では, 瞳 孔 を 用 いた 虹 彩 円 検 出 による 視 線 方 向 推 定 法 を 基 に, 文 字 盤 を 動 かすことによって 文 字 を 入 力 する 視 線 入 力 システムの 評 価 を 行 った. 本 シ ステムを 使 用 することで,1 文 字 当 たり 10 秒 程 度 で 連 続 して 文 字 を 入 力 することが 出 来 た. 今 後 は, 被 験 者 に 合 わせた 文 字 盤 移 動 量 を 工 夫 することで, 文 字 入 力 時 間 を 短 縮 できるか 検 証 を 行 う.また 外 部 アプリケーションへの 文 字 出 力 機 能 の 追 加 を 行 う. 5. 参 考 文 献 [1] 内 富 寛 隆, 堀 潤 一 : 直 流 結 合 増 幅 眼 電 図 を 用 いたポ インティングデバイスの 開 発, 信 学 技 報, (170): 7-12, [2] 伊 藤 和 幸, 数 藤 康 雄 : 任 意 文 字 連 続 注 視 時 の 視 線 移 動 の 計 測, 信 学 技 報,96 96(242):31-38,1996. [3] 佐 藤 寛 修, 阿 部 清 彦, 大 山 実, 大 井 尚 一 : 視 線 入 力 による 重 度 肢 体 不 自 由 者 向 けコンピュータ 操 作 支 援 シス テム, 信 学 技 報, (507):15-20,2006. [4] 加 納 尚 之, 井 上 倫 夫, 小 林 康 浩, 川 村 尚 生, 中 島 健 二 :ALS 患 者 のためのニューラルネットワークを 用 いた 文 字 盤 の 移 動 による 注 視 文 字 の 検 出, 電 気 学 会 論 文 誌. C, (5): ,2002. [5] 林 秀 明 他 : 新 ALS ケアブック, 川 島 書 店, 東 京, 2005, pp

29 触 覚 と 聴 覚 を 用 いた 視 覚 障 害 者 用 ネットワークボードゲームシステムの 開 発 とその 評 価 長 坂 大 介 *, 金 田 直 樹 *, 伊 東 一 典 **, 大 谷 真 **, 橋 本 昌 巳 **, 香 山 瑞 恵 **, 杉 本 雅 彦 ***, 清 水 道 夫 **** * 信 州 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科,** 同 大 学 工 学 部 情 報 工 学 科,*** 拓 殖 大 学 北 海 道 短 期 大 学,**** 長 野 県 短 期 大 学 A real-time network board game system using tactile and auditory senses for the visually impaired Daisuke NAGASAKA*,Naoki KANEDA*,Kazunori ITOH**,Makoto OTANI**,Masami HASHIMOTO**, Mizue KAYAMA**,Masahiko SUGIMOTO***,Michio SHIMIZU**** *Graduate School of Science and Technology, Shinshu University,**Faculty of Engineering, Shinshu University, ***Takushoku University Hokkaido Junior College,****Nagano Prefectual College 1. はじめに 近 年,PC を 用 いることでメールやチャット,イ ンターネットなどにより, 遠 隔 地 での 双 方 向 コミュ ニケーションを 行 うことが 可 能 となっている.PC にはGUI(GraphicalUserInterface) 環 境 が 導 入 されて おり, 直 感 的 な 理 解 と 操 作 が 可 能 である.しかし, 画 像 やレイアウト 情 報 は 非 視 覚 メディアへ 容 易 に 変 換 できないこと,またWeb などに 含 まれる 画 像 やレイアウト 情 報 の 最 適 な 伝 達 方 法 が 確 立 されて いないため, 配 信 者 の 意 図 した 情 報 が 利 用 者 に 正 確 に 伝 わらないこと,これらが 視 覚 障 害 者 のPC 使 用 を 妨 げる 原 因 の 一 つになっており, 視 覚 障 害 者 が 画 像 やレイアウト 情 報 が 含 まれた 情 報 の 双 方 向 コミ ュニケーションを 満 足 に 行 うことができずにいる. 現 在 では,このような 状 況 を 改 善 しようとする 様 々な 研 究 が 行 われている[1,2].また, 画 像 やレイ アウト 情 報 が 含 まれた 情 報 の 双 方 向 コミュニケー ションの 一 例 として,ネットワーク 対 戦 型 ボードゲ ームが 挙 げられる.ボードゲームは 晴 眼 者 だけでな く, 視 覚 障 害 者 にも 親 しまれている. 実 際 に 市 販 さ れている 盲 人 用 ボードゲームは, 直 接 手 で 駒 に 触 れ ることができ, 盤 面 のレイアウト 情 報 を 把 握 しやす い.また,PC 上 で 行 う 盲 人 用 ボードゲームソフト は, 一 人 でもコンピュータ 相 手 にゲームを 楽 しむこ とができ,ネットワークを 介 して 離 れた 場 所 にいる 人 と 対 戦 を 行 うことも 可 能 である. そこで, 我 々は 上 で 述 べた 両 者 の 特 徴 を 取 り 入 れ た 触 覚 と 聴 覚 によるボードゲームシステムを 開 発 し[3],インタフェースの 評 価 を 行 っている. 本 稿 で は,ネットワーク 対 戦 が 可 能 なボードゲームシステ ムを 構 築 し, 視 覚 障 害 者 を 対 象 にオセロゲームを 用 いてシステムの 評 価 を 行 ったので 報 告 する. 2. 視 覚 障 害 者 用 ボードゲームシステム 触 覚 と 聴 覚 を 用 いた 視 覚 障 害 者 用 ネットワーク ボードゲームシステムの 構 成 を 図 1 に 示 す.また, 本 システムの 各 インタフェースの 構 成 要 素 と 伝 達 情 報 の 関 係 を 表 1 に 示 す.プレイヤーは,まず 手 指 入 力 を 用 いて 触 覚 ガイド 上 の 位 置 情 報 の 入 力 を 行 う. 入 力 された 位 置 情 報 はペンタブレットを 通 して PC に 渡 され,オーディオインタフェースで 処 理 さ れた 後,ヘッドホンを 通 じて 音 声 や 聴 覚 ディスプレ イに 提 示 される.さらに, 石 の 色 などの 意 味 情 報 は, PC からUSB によって 送 信 され, 振 動 刺 激 コントロ ールユニット 内 のマイクロプロセッサによって 処 理 を 行 った 後, 振 動 刺 激 として 指 に 出 力 される.ま 上 Player A Client program Multimodal interface 左 下 聴 覚 ディスプレイ 音 声 ガイド (Aques Talk) ヘッドホン SONY (MDR-F1) 右 PIC 18 F 452 Server オーディオインタフェース (Roland EDIROL UA-5) 振 動 刺 激 コントロールユニット ペンタブレット (WACOM PTZ -630) TCP/IP PC 振 動 刺 激 ( 振 動 モータ) 手 指 入 力 触 覚 ガイド Player B Client program Multimodal interface 図 1: 視 覚 障 害 者 用 ボードゲームシステム 表 1:インタフェースの 構 成 要 素 と 伝 達 情 報 入 力 出 力 イ ン タ フ ェ ース 触 覚 ガイ ド 手 指 入 力 振 動 刺 激 音 声 ガイ ド 聴 覚 ディ スプレイ 感 覚 触 覚 触 覚 聴 覚 位 置 情 報 - 意 味 情 報

30 た, 本 システムでは,ネットワークの 通 信 方 式 にシ ステムの 柔 軟 な 拡 張 が 可 能 である 点 を 考 慮 してク ライアント サーバ 方 式 を 用 いており,プレイヤー が 入 力 を 行 った 位 置 に 関 する 情 報 が 相 手 プレイヤ ーのPC に 送 信 される 仕 様 となっている. 3. オセロゲームへの 応 用 本 実 験 では, 本 システムを 用 いて, 被 験 者 同 士 が 対 戦 する 実 際 のオセロゲームを 行 いながら 本 シス テムの 有 効 性 を 評 価 する 実 験 方 法 被 験 者 は 20~30 代 視 覚 障 害 者 2 名 (Blind1, Blind2),20 代 晴 眼 者 2 名 (Sighted1,Sighted2)の 計 4 名 とし, 晴 眼 者 にはアイマスクを 装 着 させ 擬 似 視 覚 障 害 者 として 実 験 に 参 加 させた. 本 実 験 では, 晴 眼 者 同 士,または 視 覚 障 害 者 同 士 でゲームを 行 った. その 際 に, 被 験 者 が1 手 あたりに 要 した 時 間 に 着 目 し,ゲームがどのような 時 間 経 過 を 経 て 進 行 してい くか 評 価 を 行 った. 実 験 条 件 は, 本 システムを 用 い た 場 合, 市 販 の 盲 人 用 オセロ 盤 を 用 いた 場 合 であ る.なお, 晴 眼 者 については 比 較 のため, 目 視 で 本 システムを 用 いた 場 合 についても 検 討 した 実 験 結 果 実 験 結 果 を 図 2(a),(b)にそれぞれ 示 す. 実 験 結 果 より, 視 覚 障 害 者 の 方 が 晴 眼 者 に 比 べ, 本 システム を 用 いた 場 合,よりスムーズにゲームを 行 えている ことがわかる.これは, 視 覚 障 害 者 の 方 が 晴 眼 者 よ りも 石 を 置 ける 位 置 をより 速 く,より 正 確 に 見 つけ ることができたためだと 考 えられる.また, 視 覚 障 害 者, 晴 眼 者 ともに,ゲームの 前 半 では 盲 人 用 オセ ロ 盤 を 用 いた 場 合,1 手 あたりの 時 間 が 少 ないのに 対 して,ゲームの 後 半 では 本 システムを 用 いた 場 合 の 方 が,よりスムーズにゲームを 進 められているこ とがわかる.これは, 本 システムの 場 合, 振 動 刺 激 や 音 声 ガイドを 用 いることで 石 が 置 ける 場 所 を 即 座 に 判 別 できるためだと 考 えられる.さらに 図 2(a) より, 視 覚 障 害 者 が 本 システムを 用 いた 場 合, 晴 眼 者 が 目 視 で 本 システムを 用 いた 場 合 と 同 程 度 の 時 間 でゲームを 行 えていることがわかる. 以 上 のことから, 本 システムを 用 いて 実 際 にオセ ロゲームのネットワーク 対 戦 が 行 えることを 確 認 第 30 回 日 本 生 体 医 工 学 会 甲 信 越 支 部 大 会 (Sep.2010) 24 経 過 時 間 [min.] 経 過 時 間 [min.] した.なお, 被 験 者 からは,ゲームに 集 中 できた, PC と 対 戦 するよりも 人 と 対 戦 した 方 が 楽 しかっ た, 盤 面 を 把 握 するのに 振 動 刺 激 が 役 に 立 ったとい った 感 想 が 聞 かれた. 4. おわりに Blind1( 本 システム) Blind1( 盲 人 用 オセロ 盤 ) Sighted1( 本 システム) Sighted1( 盲 人 用 オセロ 盤 ) Sighted1( 目 視 ) 手 数 (a) 先 手 プレイヤー Blind2( 本 システム) Blind2( 盲 人 用 オセロ 盤 ) Sighted2( 本 システム) Sighted2( 盲 人 用 オセロ 盤 ) Sighted2( 目 視 ) 手 数 (b) 後 手 プレイヤー 図 2:オセロゲームの 手 数 と 経 過 時 間 の 関 係 本 稿 では, 触 覚 と 聴 覚 を 用 いた 視 覚 障 害 者 用 ネッ トワークボードゲームシステムを 開 発 し,オセロゲ ームを 用 いて 視 覚 障 害 者 を 対 象 に 評 価 を 行 った. 実 験 結 果 から, 視 覚 障 害 者 が 本 システムを 用 いて 実 用 的 なレベルでゲームが 行 えることを 確 認 し, 本 シス テムの 有 効 性 を 見 出 した. 今 後 は,システムの 簡 略 化 を 目 指 し,タッチパネル 型 インタフェースを 本 シ ステムに 組 み 込 む.また,ミニ 碁 のような 他 のボー ドゲームへの 展 開 も 行 っていく. 参 考 文 献 [1] 後 藤 他, 21 世 紀 の 医 療 福 祉 を 支 える 科 学 技 術, 電 子 情 報 通 信 学 会,Vol.84,No.5,pp ,2001. [2] 小 林, 視 覚 障 害 者 及 び 盲 ろう 者 向 けコミュニ ケーション 端 末 DB4DB の 評 価, 電 子 情 報 通 信 学 会,Vol.107,No.61,pp19-24,2007. [3] 馬 場 他, 触 覚 と 聴 覚 による 視 覚 障 害 者 のため のボードゲーム 用 入 出 力 インタフェース, 第 33 回 感 覚 代 行 シンポジウム,pp ,2007.

31 30 (Sep2010,, Design of a simple automatic coaching and counseling system by the psycho-engineering Masato Yano, Michihiko Seki, Hitoshi Miyake Medical Engineering and Life Support Technology Laboratory, Nagaoka University of Technology [1] wi = α 1+ e N 1 y = wi N i= 1 ( s θ ) rand() y then y = 1 else y = 0 25

32 30 (Sep2010 y 0 2 (1) (2) y y s [2] (1) :. 21.,, 2009 (2) : Prospective analysis and comparison of the results of Information Shearing System about Athletes Performance Improvement. 49.,,

33 30(Sep2010,,,,, Social Media Leveraging studies for a University. Tadashi Kawasaki, Seki Michihiko, Yano Masato, Humiaki Arai, Motonori Koizumi, Hitoshi Miyake 1. Web Web Web Web [1] SNS [2] 2.2. SNS [3] Twitter 2.3. SNS Twitter SNS Twitter Twitter

34 3.2. Twitter 3.3. Twitter Apache( ) PHP(5.3.0)MySQL(5.1.37) CakePHP(1.2.8) 12 ipad (Sep Twitter 6. []:, p.152,,, 2006 []: <>, p.201,,, 2007 []: SNS Web2.0,, p.18,, 2006 [],,:,, p.148,,

35 30 (Sep2010 * ** *** *** * ** *** A Study of automatic temperature control of hyperthermia and cryosurgical equipment using peltier device Hitoshi Nomura*Noriaki Kon**Ichiro Fukumoto***Hisashi Uchiyama*** *Undergraduate Course of BioengineeringNagaoka University of Technology ** Master Course of BioengineeringNagaoka University of Technology *** Nagaoka University of Technology Biological system Biomedical engineering laboratory % FPSCFree Piston Steering Cooler-80 TP mv 29

36 3. 30 (Sep AD V V mV 6. 2 AD V V V 10.47V 10.47V 30mV AD595 AD V 1 pp pp p V 30

37 圧 電 アクチュエータを 用 いた 人 工 筋 紡 錘 佐 藤 毅 顕, 三 宅 仁 長 岡 技 術 科 学 大 学 Artificial Muscle Spindle with Piezo Electric Actuator Takaaki Sato and Hitoshi Miyake Nagaoka University of Technology 1. 背 景 目 的 生 体 の 持 つ 特 異 な 構 造 や 働 きを 解 析 し 新 しい 機 能 や 特 性 を 持 った 機 械 を 開 発 する これはバイオエ ンジニアリングの 大 きな 意 義 である 本 研 究 室 では 生 体 筋 中 に 存 在 する 変 位 センサである 筋 紡 錘 を 参 考 とした 新 しいセンサーの 開 発 に 取 り 組 んできた 1)2) 初 期 変 位 を 調 整 し 測 定 範 囲 を 広 げるモデルを また 生 体 筋 でのフィードバック 線 図 を 以 下 に 示 す 3) (Fig.2) 筋 紡 錘 から Ia 群 繊 維 を 通 じもたら された 信 号 は 脊 椎 の 運 動 ニューロンに 送 られ 拮 抗 筋 に 対 するフィードバック 回 路 を 形 成 する またγ 運 動 ニューロンからの 入 力 はフィードバックをつ かさどる 筋 紡 錘 の 感 度 を 調 整 するものである 外 乱 経 て 感 度 の 調 整 を 可 能 とするモデルを 作 成 したが 重 厚 長 大 なものとなってしまったため 小 型 軽 量 化 α 運 動 ニューロン α 遠 心 性 遅 延 筋 ( 制 御 器 ) 筋 の 力 腕 ( 被 制 御 系 ) 筋 の 長 さ を 図 る 小 型 軽 量 なアクチュエータとして 積 層 圧 電 アクチュエータを 選 択 し 構 成 部 品 を 一 新 したモデ ルを 作 成 した これは 小 型 軽 量 化 に 主 眼 を 置 いた 初 求 心 性 遅 延 筋 紡 錘 ( 信 号 変 換 機 ) 期 変 位 と 測 定 範 囲 の 調 整 のためのモデルである γ 運 動 ニューロン γ 遠 心 性 遅 延 2. 筋 紡 錘 および 筋 末 梢 神 経 系 2.1. 筋 紡 錘 神 経 筋 紡 錘 とは 骨 格 筋 中 に 存 在 し 筋 の 伸 展 や 収 縮 を 感 知 し その 信 号 を 中 枢 神 経 系 に 送 る 受 容 器 で ある 3) 骨 格 筋 に 平 行 に 接 着 されており 4) 諸 共 に 変 形 することでセンサーとしての 役 割 を 果 たす また 錘 内 筋 繊 維 は 中 央 部 分 が 非 収 縮 かつ Ia ある いはⅡ 群 の 求 心 性 神 経 が 接 続 されたセンサー 部 分 となっており 両 端 部 分 はγ 運 動 神 経 が 接 続 さ れた 収 縮 機 能 をもつ 駆 動 部 となっている (Fig.1) Fig.2 フィードバック 線 図 3. モデルと 動 作 原 理 前 モデルの 動 作 原 理 は 長 さの 比 の 変 化 を 利 用 す るものであった 筋 紡 錘 と 骨 格 筋 とは 並 行 に 接 着 さ れている (Fig.3) そのため 同 じ 割 合 で 変 形 するこ とになる 骨 格 筋 部 分 と 筋 紡 錘 の 長 さをそれぞれ La,Lb とすると 筋 紡 錘 部 分 :Lb 骨 格 筋 部 分 :La Fig.3 骨 格 筋 と 筋 紡 錘 La + La Lb + Lb Fig.1 錘 内 筋 繊 維 図 La Lb 31

38 ここでセンサーにかかる 変 位 である Lb につい て 式 を 整 理 すると 外 形 寸 法 10mm 10mm 40mm Lb La 最 大 変 位 量 42.0±6.6nm Lb 発 生 力 3500N La ヤング 率 ^10N/m^2 (44GPa) ここで 錘 内 筋 を 動 かし 筋 紡 錘 の 長 さを 変 えたと き 変 化 量 を Lγとすると 錘 内 筋 の 長 さは Lb-Lγ そのときの 錘 内 筋 の 変 位 Lb は 引 っ 張 り 強 度 350N 圧 電 素 子 部 分 の 長 さを Lb1 ひずみゲージを 貼 り 付 けるための 披 変 形 部 分 の 長 さを Lb2 とする Lb (Lb-Lγ) La (Fig,5) 圧 電 素 子 の 発 生 力 が 3500N 変 位 が 42μm これは 一 般 的 な 金 属 材 料 のヤング 率 が 200GPa 程 度 La であることを 考 えれば ひずみゲージで 検 出 するに となり 骨 格 筋 と 錘 内 筋 の 比 を 変 えることで 筋 紡 錘 に 加 わる 変 位 を 調 整 することで 感 度 を 自 在 に 調 あたっては 十 分 な 変 位 量 と 言 える ひずみゲージ 整 することが 可 能 となる 圧 電 アクチュエータ 披 変 形 部 4. 新 型 圧 電 素 子 アクチュエータモデル 4.1. 圧 電 素 子 アクチュエータ 小 型 軽 量 なアクチュエータとして 有 機 高 分 子 な どからなるアクチュエータも 存 在 するが ここでは 取 り 回 しや 入 手 の 安 易 さを 考 慮 し 無 機 アクチュエ ータ 中 でも 圧 電 素 子 アクチュエータを 選 択 する 圧 電 素 子 アクチュエータとは 圧 電 性 のあるセラ ミックス(ピエゾ 素 子 )を 数 百 層 積 層 したもので 0.1 秒 程 度 の 素 早 い 応 答 性 0.01 ミクロン 単 位 の 精 密 な 動 作 一 平 方 ミリメートル 当 たり 3kg 程 度 の 強 い 力 を 持 つなど 多 くの 利 点 を 持 つ 一 方 で 駆 動 電 圧 の 高 さやヒステリシス そして 変 位 量 が 小 さいこと などが 欠 点 といえる 4.2. 装 置 設 計 高 い 発 生 力 小 さい 変 位 から 例 えば 金 属 などもと から 微 小 な 変 形 を 行 うものの 測 定 に 期 待 が 持 てる よって 圧 電 アクチュエータとして 以 下 に 示 すもの を 選 択 する (Fig.4) Lb1 Lb2 5. まとめ 引 っ 張 り 強 度 が 低 いために 取 り 扱 いは 慎 重 を 要 するが アンプなど 電 子 的 ではない 物 理 的 な 調 整 手 段 での 測 定 範 囲 を 拡 大 することができた アクチュ エータの 変 位 が 小 さいため 感 度 の 調 整 機 能 は 前 モ デルより 劣 る つまり 本 モデルは 精 度 や 分 解 能 を 生 かし 初 期 変 位 バイアスを 調 整 するモデルである 6. 参 考 文 献 1) 佐 藤 毅 顕, 三 宅 仁 : 複 雑 制 御 系 を 持 つ 人 工 筋 紡 錘 の 開 発. 長 岡 技 術 科 学 大 学. 第 47 回 日 本 生 体 医 工 学 会 CD-ROM 論 文 集 PS2-6-13,2008 2) 三 宅 仁 佐 藤 毅 顕 : 筋 紡 錘 にヒントを 得 た 新 しい 張 力 センサーの 開 発. 長 岡 技 術 科 学 大 学. 第 46 回 日 本 生 体 医 工 学 会 CD-ROM 論 文 集 PS2-12-4, ) 中 浜 博, 田 崎 京 二, 鈴 木 泰 三 : 生 理 学 通 論 Ⅱ. 共 立 出 版.232p ) 溝 手 宗 昭 : 筋 紡 錘, 千 葉 医 学 61,pp ) 宮 崎 誠 司, 岩 瀬 敏, 間 野 忠 明, 中 村 豊, 福 田 宏 明 : 筋 紡 錘 の 安 静 時 活 動 について, 東 海 大 学 スポーツ 医 科 学 Fig.4 積 層 圧 電 アクチュエータ 雑 誌,10,pp

39 第 30 回 日 本 生 体 医 工 学 会 甲 信 越 支 部 大 会 (Sep ) 人 工 膝 関 節 置 換 術 用 大 腿 骨 骨 切 りガイドの 改 良 -3D-CAD による 設 計 と 光 造 形 モデルの 有 用 性 - 中 村 祐 敬 *, 堀 内 忠 一 *, 平 井 暢 **, 矢 嵜 俊 成 **, 笠 原 孝 之 **, 小 宮 山 智 仁 ** * 市 立 甲 府 病 院 整 形 外 科,** 山 梨 大 学 工 学 部 付 属 ものづくり 教 育 実 践 センター Improvement of femoral cutting guide for total knee arthroplasty. - Usefulness of design using 3D-CAD and optical forming models - Masahiro Nakamura*, Tadahiro Horiuchi*, Toru Hirai**, Toshinari Hirai**, Takayuki Kasahara**, Tomohito Komiyama** * Orthopaedic Surgery, Kofu Municipal Hospital. **Center for Creative Technology, University of Yamanashi. 1. はじめに 近 年 整 形 外 科 手 術 において MIS(Minimum Invasive Surgery)が 脚 光 を 浴 びている MIS は 従 来 の 手 術 法 に 比 べて 皮 膚 切 開 が 小 さく 筋 肉 や 皮 膚 など の 軟 部 組 織 への 負 担 を 最 小 限 にし 患 者 の 負 担 を 小 さくすることを 目 的 としている 我 々は 人 工 膝 関 節 置 換 術 ( 以 下 TKA)において 器 械 メーカーと 協 同 で 手 術 器 具 を 改 良 し MIS に 適 したものを 開 発 した 中 でも 大 腿 骨 骨 切 りガイドは 小 さな 術 野 で 効 率 よ く 骨 切 り 可 能 なものとなっている(Fig.1) しかし 骨 切 り 面 の 精 度 向 上 や 軟 部 組 織 へのダメージは 軽 減 のため 新 型 のボーンソー( 骨 切 り 専 用 の 電 動 の こぎり)に 変 更 したところ 大 腿 骨 骨 切 りガイドと 干 渉 し 骨 切 り 面 の 不 足 をきたすことがあった 骨 切 り 面 の 不 正 確 性 は TKA の 長 期 成 績 に 影 響 するた め 早 急 な 改 良 が 必 要 である 今 回 我 々は 3D-CAD を 用 いて 大 腿 骨 骨 切 りガイ ドを 再 設 計 し 光 造 形 モデルを 作 成 することで そ の 安 定 性 などを 検 証 した 2. 方 法 2.1. 使 用 機 材 TKA に 使 用 した 機 種 は Scorpio NRG CR タイプ ( Stryker 社 製 )である 手 術 機 械 の 設 計 には 3D-CAD ソフトである SolidWorks2009 学 生 版 (Dassault Systèmes SolidWorks Corporation)を 用 い た 光 造 形 モデルの 作 成 は CMET 社 製 RM-250 を 使 用 した 2.2. 開 発 手 順 設 計 図 をもとにこれまで 使 用 している 大 腿 骨 骨 切 りガイドを 3D-CAD 上 に 再 現 した 干 渉 部 分 など を 手 直 しするとともに 精 度 向 上 のアイデアを 盛 り 込 んで 再 設 計 を 行 った(Fig.2) 3D-CAD 上 でボー ンソーのふり 幅 を 確 認 し 厚 みの 異 なる 3 つのモデ ルを 作 成 した このデータを 山 梨 大 学 工 学 部 付 属 も のづくり 教 育 実 践 センターに 送 り 光 造 形 モデルを 作 成 した Fig.1 改 良 した 大 腿 骨 骨 切 りガイド 1から 改 良 を 重 ね 現 在 は3を 使 用 している スロットや 支 柱 の 位 置 を 変 更 することでボーンソーのふり 幅 や 固 定 性 が 向 上 されている Fig.2 3D-CAD を 用 いて 設 計 2.3. 検 証 方 法 作 成 した 光 造 形 モデルを 用 いて 実 際 の 手 術 手 順 33