序 本財団では 平成 11 年度から 薬物治療に関する基礎的研究並びに実地応用上の研究 をテーマに研究助成者を公募してきました 平成 27 年度には 83 件の応募をいただき 本財団の選考委員会において厳正に審査を行った結果 次の 7 名の研究者に研究助成金を支給しました 自治医科大学医学部 岩崎有

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2 序 本財団では 平成 11 年度から 薬物治療に関する基礎的研究並びに実地応用上の研究 をテーマに研究助成者を公募してきました 平成 27 年度には 83 件の応募をいただき 本財団の選考委員会において厳正に審査を行った結果 次の 7 名の研究者に研究助成金を支給しました 自治医科大学医学部 岩崎有作 講師 東京大学大学院医学系研究科 大久保洋平 講師 東京大学大学院医学系研究科 田井中一貴 講師 静岡県立大学大学院薬学研究院 高橋忠信 講師 東京大学大学院薬学系研究科 富田泰輔 教授 順天堂大学医学部 橋本宗明 准教授 同志社大学理工学部 人見 穣 教授 ここに 上記平成 27 年度に研究助成を受けられた方々による研究成果を 助成研究報告第 53 集として刊行するものです 本財団の研究助成によって 薬理学, 薬学に係わる基礎的研究が着実に進められていることは 誠に悦ばしいことであります 研究助成を受けられた方々におかれては 本財団の設立の趣旨を体し一層のご精進を期待しております 平成 28 年 12 月 公益財団法人薬理研究会 理事長 大塚正徳

3 目 次 1 オキシトシン末梢投与による求心性迷走神経を介した生活習慣性脳疾患の改善 岩﨑有作 自治医科大学医学部生理学講座統合生理学部門 1 2 成熟脳におけるシナプス機能維持を担う神経およびグリア細胞内機構の解析 大久保洋平 東京大学大学院医学系研究科細胞分子薬理学教室 3 3 全脳イメージング技術を用いた統合失調症治療薬投与時の脳内神経活動変化解析 田井中一貴 東京大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教室 6 4 薬剤耐性化インフルエンザウイルスの簡便な検出分離法の開発と薬剤耐性化の機構解析 高橋忠伸 静岡県立大学大学院薬学研究院生化学講座 10 5 脂質代謝制御によるアルツハイマー病治療 予防薬開発 富田泰輔 東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室 15 6 寄生原虫トリパノソーマの Ca 2+ シグナリングを特異的に阻害する化合物の探索 橋本宗明 順天堂大学医学部熱帯医学 寄生虫病学講座 18 7 活性酸素種を触媒的に消去する金属錯体型抗酸化薬剤の開発とその評価 人見穣 同志社大学理工学部機能分子 生命化学科 21

4 1. オキシトシン末梢投与による求心性迷走神経を介した生活習慣性脳疾患の改善 岩﨑有作 ( 自治医科大学医学部生理学講座統合生理学部門 ) < 研究成果 > 臨床現場においては Oxt の末梢投与法として経鼻投与が多く利用されている そこで マウスを用いた末梢 Oxt の作用メカニズム解析をする上で マウスへの経鼻投与法の確立を試みた 投与量 投与角度 投与法など様々な重要な点があることが分かり 安定したマウスへの経鼻投与法を確立した Oxt のマウス経鼻投与は 腹腔内投与と同様に 摂食量を抑制することを観察できた 脳内活性化領域を解析する際には 神経活性化マーカーを用いた組織学的な解析が有効である 脳の神経活性化マーカーとして immediate early gene の 1 種である c-fos がよく利用されている 一方 求心性迷走神経を介して摂食を抑制する量の Oxt を腹腔内投与しても 視床下部における c-fos タンパク質の発現誘導を有意に検出することができなかった そこで 新たな神経活性化マーカーとして Extracellular Signal-regulated Kinase (ERK)1/2 のリン酸に < 背景 目的 > オキシトシン (Oxt) は下垂体後葉ホルモンとしてよく知られており 視床下部の室傍核や視索上核で産生され 下垂体後葉から血中に放出されて分娩 射乳を促進する 近年 それ以外の作用として Oxt は脳内神経伝達物質として機能し 摂食 エネルギー代謝 社会行動 記憶学習など様々な中枢機能を調節していることが分かってきた 我々は Oxt を末梢 ( 腹腔内 ) に投与すると 脳室内投与と同様 摂食量を抑制すること報告した [1] さらに最近 Oxt 経鼻投与による肥満および自閉スペクトラム症患者に対する臨床試験が国内外で行われ Oxt の末梢投与による新規治療法に関心が集まっている しかし 末梢血中の Oxt は 血液脳関門によりその脳内への移行が極わずかであり その割合は 0.002% という報告もある 従って 末梢 Oxt がどのように脳神経に作用しているかの作用経路が不明であった 求心性迷走神経 は末梢臓器と延髄孤束核を繋ぐ内臓感覚神経であり 食前後で分泌が変動する胃腸膵ホルモンをセンスし その情報を脳に伝達して摂食を調節している [2-6] 我々は 末梢に投与した Oxt が求心性迷走神経の活性化を介して脳に作用し 摂食を抑制する経路を発見した [7] この 末梢 Oxt 求心性迷走神経を介した脳入力 摂食抑制 経路はレプチン インスリン抵抗性の肥満 db/db マウスでも有効で 過食 肥満を改善した [7] 本経路を用いた末梢から脳へのアクセスは 脳が関与する広範な疾患に革新的な治療法を提供する可能性がある 末梢 Oxt( 腹腔内投与や経鼻投与 ) による脳作用は Oxt 中枢投与の作用と類似している 従って 末梢 Oxt 求心性迷走神経を介した脳作用 の神経活性化回路は Oxt 中枢投与後の神経活性化回路と共通である可能性が考えられる そこで本研究では 末梢 Oxt 投与による求心性迷走神経を介した脳活性化領域とニューロン同定を試みた -1-

5 注目し 検討した ERK1/2 リン酸染色に最も適した固定法 染色法を 新たに確立した Oxt の腹腔内投与後 Nodose ganglion ( 求心性迷走神経 ) 延髄孤束核 視床下部の一部領域で ERK1/2 のリン酸化が有意に増加した 従って ERK1/2 のリン酸化が c-fos に代わる有効な神経活性化マーカーであることが分かった Oxt の腹腔内投与によって活性化させる視床下部領域とニューロンの同定を試みた 複数の脳活性化領域とニューロンを同定した 末梢 Oxt で活性化される視床下部ニューロンは求心性迷走神経を介していること 摂食行動に関連していることを明らかにした 現在 これらニューロンを介した摂食調節以外の中枢作用への解析を進めている < 謝辞 > 本研究を遂行するにあたりまして 公益財団法人薬理研究会にご支援を賜りましたことを深く感謝申し上げます < 文献 > 1 Maejima, Y., Iwasaki, Y., Yamahara, Y., Kodaira, M., Sedbazar, U., and Yada, T.: Peripheral oxytocin treatment ameliorates obesity by reducing food intake and visceral fat mass. Aging, 3(12), (2011) 2 Iwasaki, Y., Nakabayashi, H., Kakei, M., Shimizu, H., Mori, M., and Yada, T.: Nesfatin-1 evokes Ca 2+ signaling in isolated vagal afferent neurons via Ca 2+ influx through N-type channels. Biochem. Biophys. Res. Commun., 390, (2009) 3 Iwasaki, Y. and Yada, T.: Vagal afferents sense meal-associated gastrointestinal and pancreatic hormones: mechanism and physiological role. Neuropeptides, 46(6), (2012) 4 Iwasaki, Y., Kakei, M., Nakabayashi, H., Ayush, EA., Hirano-Kodaira, M., Maejima, Y., and Yada, T.: Pancreatic polypeptide and peptide YY 3-36 induce Ca 2+ signaling in nodose ganglion neurons. Neuropeptides, 47, (2013) 5 Iwasaki, Y., Shimomura, K., Kohno, D., Dezaki, K., Ayush, EA., Nakabayashi, H., Kubota, N., Kadowaki, T., Kakei, M., Nakata, M., and Yada, T.: Insulin activates vagal afferent neurons including those innervating pancreas via insulin cascade and Ca 2+ influx: Its dysfunction in IRS2-KO mice with hyperphagic obesity. PLoS One, 8(6), e67198 (2013) 6 Ayush, E.*, Iwasaki, Y.*, Iwamoto, S., Nakabayashi, H., Kakei, M., and Yada, T.: Glucagon directly interacts with vagal afferent nodose ganglion neurons to induce Ca 2+ signaling via glucagon receptors. Biochem. Biophys. Res. Commun., 456, (2015) (* Equally contributed) 7 Iwasaki, Y., Majima, Y., Suyama, S., Yoshida, M., Arai, T., Katsurada, K., Kumari, P., Nakabayashi, H., Kakei, M., and Yada, T.: Peripheral oxytocin activates vagal afferent neurons to suppress feeding in normal and leptin-resistant mice: A route for ameliorating hyperphagia and obesity. Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol., 308, R360-R369 (2015) -2-

6 2. 成熟脳におけるシナプス機能維持を担う神経およびグリア細胞内機構の解析 大久保洋平 ( 東京大学大学院医学系研究科細胞分子薬理学教室 ) 背景と目的成体の脳神経回路が生涯にわたって安定して機能し続けるには シナプスの機能が不用意に変化せず維持される必要がある よって既知のシナプス可塑的による増強と抑圧の動的バランスだけではあまりに不安定であり シナプス維持を特異的に担うメカニズムの存在が期待される しかしながら十分な知見は得られていなかった シナプス維持機構の解明は 老化や病態等による脳機能低下のメカニズム そしてその治療法について重要な示唆を与えることが期待される 我々は小脳皮質を対象とした先行研究において 神経細胞におけるイノシトール 1,4,5- 三リン酸 (IP 3 ) シグナルの持続的活性化が シナプス伝達効率の維持を担うことを示した ( 文献 1) さらにシナプスを取り囲むグリア細胞の一種であるアストロサイトにおいて 持続的 IP 3 シグナルがグルタミン酸取り込み能力の維持に必要であることを示した ( 文献 2) 以上の成果に基づき 本研究では成熟動物における感覚入力と脳内シナプス維持の関係を明らかにすることを目指した げっ歯類において非常に発達しているヒゲ 大脳バレル皮質系を対象として 持続的ヒゲ入力とシナプス維持の関係について 神経細胞およびアストロサイト内メカニズムの解析を行った 方法成熟マウスにおいてヒゲ除去処置および薬理学的処置を数日間行った後 バレル皮質の急性スライスを作成する 成熟バレル皮質カラム内で可塑的変化を示すことが知られている第 4 層 - 第 2/3 層間シナプスを対象として 電気生理学的解析を行う 神経細胞については 第 2/3 層錐体細胞にパッチクランプ法を適用し 第 4 層刺激時の興奮性後シナプス電流 (EPSC) を解析することで 前および後シナプス機能を評価する ( 図 1) アストロサイトについては トランスポーター電流の測定などにより グルタミン酸取り込み活性を評価する IP 3 シグナルの上流として 神経細胞においては代謝型グルタミン 酸受容体 (mglur) アストロサイトにおいては ATP 受容体である P2Y 図 1 バレル皮質スライスにおける電気生理学的解析 受容体の関与を示す結果を 先行研究において得ている 本研究ではこれらの受容体に対する薬理 学的処置とヒゲ入力遮断の関係を検証する また我々が独自に開発した IP 3 分解酵素 IP 3 5- ホス ファターゼ (5ppase) による IP 3 シグナル慢性阻害法 ( 文献 3, 4) を アデノ随伴ウイルスベクター -3-

7 により神経細胞およびアストロサイトに適用することで IP 3 シグナルの寄与を解析する 結果と考察生後 18 日齢から 20 日齢のマウスのヒゲを除去し 5 日から 7 日経過した際の第 4 層 第 2/3 層シナプスへの影響を解析した まず前シナプスからの伝達物質放出確率 の指標の一つである paired-pulse 図 2 ヒゲ除去による前シナプス放出確率低下と mglur5 の関与 ratio (PPR) の測定を行ったところ ヒゲ除去群において有意な値の上昇が認められた ( 図 2) これはヒゲ除去により第 4 層神経終末からの伝達物質放出確率が低下したことを示唆する 他のシナプス機能解析法も組み合わせ 後シナプス機能には変化がなく 前シナプス放出確率が選択的に低下することを確認した 次に ヒゲを除去したマウスに mglur5 のポジティブアロステリックモジュレータである CDPPB を投与したところ ヒゲ除去による放出確率の低下が完全に回復した ( 図 2) さらに ヒゲを除去していないマウスに mglur5 アンタゴニストである MPEP を投与したところ ヒゲ除去と同様の放出確率の低下を再現した 以上と同様の結果は 18 日齢以前の幼若マウスでは観察されず ( 図 2) 生後 1 ヶ月齢以降のマウスにおいては観察された つまり成熟した個体では ヒゲ入力により第 4 層神経細胞からのグルタミン酸入力が入り続 図 3 後シナプス IP 3 シグナルの寄与 け シナプス後膜の mglur5 が活性化され続けることで 第 4 層 第 2/3 層 シナプスの機能が維持されていることが強く示唆された ( 図 4) しかし脳内では第 2/3 層錐体細胞に限らず 様々な部位の神経およびグリア細胞で mglur5 が発現しており 以上の薬理学的操作では作用点が不明である そこで 5ppase を用いることで 第 2/3 層錐体細胞選択的に mglur5 IP 3 シグナルを阻害した IP 3 シグナルの持続的阻害により ヒゲ除去もしくは mglur5 阻害で見られたものと同様の伝達物質放出確率の低下が認められた ( 図 3) 以上により 成熟マウスにおけるヒゲ入力依存的シナプス維持機構の存在とその分子機構が明らかになった ( 図 4) 持続的なヒゲ入力により第 4 層神経細胞から放出されたグルタミン酸は第 2/3 層錐体細胞の mglur5 IP 3 シグナルを活性化し 逆行性因子を介して第 4 層神経細胞軸索終末からの伝達物質放出確率が維持されている ヒゲ除去 mglur5 阻害 IP 3 シグナル阻害でこの維持機 構が破綻すると 前シナプスからの伝達物質放出確率が低下する 図 4 ヒゲ入力 -mglur5-ip 3 依存的シナプス維持機構 -4-

8 ことが考えられる 以上の成果は文献 5 にて発表した 本研究期間においてはアストロサイトに関する解析は未だ途上であり 今後研究のさらなる進 展を目指したい 文献 1. Furutani K, Okubo Y, Kakizawa S, Iino M. Postsynaptic inositol 1,4,5-trisphosphate signaling maintains presynaptic function of parallel fiber-purkinje cell synapses via BDNF. Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 103, , Mashimo M, Okubo Y, Yamazawa T, Yamasaki M, Watanabe M, Murayama T, Iino M. Inositol 1,4,5- trisphosphate signaling maintains the activity of glutamate uptake in Bergmann glia. Eur. J. Neurosci. 32, , Okubo Y, Kakizawa S, Hirose K, Iino M. Visualization of IP 3 dynamics reveals a novel AMPA receptortriggered IP 3 production pathway mediated by voltage-dependent Ca 2+ influx in Purkinje cells. Neuron 32, , Okubo Y, Kakizawa S, Hirose K, Iino M. Cross talk between metabotropic and ionotropic glutamate receptor-mediated signaling in parallel fiber-induced inositol 1,4,5-trisphosphate production in cerebellar Purkinje cells. J. Neurosci. 24, , Kubota J, Mikami Y, Kanemaru K, Sekiya H, Okubo Y, Iino M. Whisker experience-dependent mglur signaling maintains synaptic strength in the mouse adolescent cortex. Eur. J. Neurosci. 44, , 謝辞 本研究の遂行にあたり ご支援を賜りました公益財団法人薬理研究会に深く感謝申し上げます -5-

9 3. 全脳イメージング技術を用いた統合失調症治療薬投与時の脳内神経活動変 化解析 田井中一貴 ( 東京大学大学院医学系研究科システムズ薬理学教室 ) 研究目的 これまでに開発された多くの薬剤は 個体レベルの表現型制御に関与する特定のタンパク質のみを標的として設計されてきた しかしながら 実際には体内に投与された薬剤は 様々な薬物動態を経て 体内に存在する標的以外の無数の生体高分子と遭遇し 摂動を与えた因子が細胞の質的変化をもたらし 更に他の細胞集団 組織に連鎖的に影響を与えた最終的な帰結として 個体レベルの表現型が表出する 従って 個々の薬剤による in vitro における薬理活性と個体レベルの表現型変化との因果関係を正確に照合するためには 分子 のみの視点で捉えるのではなく 細胞 組織 個体といった より高次の階層における摂動因子としての出力評価系が必要となる 近年 申請者は 創薬 医科学分野で強く興味がもたれる個体と細胞の階層に焦点を絞り 細胞 組織の階層に実装された細胞ネットワークを効率的に同定 解析する CUBIC 法 (Clear and Unobstructed Brain Imaging Cocktails and Computation) を開発し 全脳遺伝子発現解析プラットフォーム及び全身遺伝子発現解析プラットフォームを確立した 1,2 この解析プラットフォームは インフォマティクス解析に資する全組織レベルの 3D 蛍光イメージングデータを用いて 異なるサンプル間の遺伝子発現を定量的に直接比較する世界最先端のパイプラインであるため 組織内の機能的情報を1 細胞解像度で包括的 定量的に解析することができる 本研究では CUBIC 法を用いて 既存の治療薬により摂動を受ける個々の細胞を時間的 空間的に定量する技術基盤を構築し 細胞と個体の階層を接続する新しい薬理学の概念を提案する 具体的な応用例として 疾患機序や治療薬の作用機序の理解が難しい統合失調症に着目し 統合失調症を誘導するメタンフェタミン及び治療薬であるハロペリドールを投与した際の1 細胞解像度脳機能マッピングを行い 時間的 空間的脳内活動変化を解析した 実験手法 本研究では 神経活動に応じて遺伝子発現が誘導される Arc 遺伝子の下流に dvenus をコードした変異マウス 3 を用いて 脳全体の神経活動の履歴の解析を行った Arc-dVenus トランスジェニックマウスに対して 1) 生理食塩水 2) メタンフェタミン 3) ハロペリドールの投与 及び4) メタンフェタミンとハロペリドールの同時投与の4つの飲水投与実験を行い CT4, CT10, CT16, CT22 において脳のサンプリングを行った 採取した脳サンプルは 1/2 希釈した ScaleCUBIC-1 を用いて 37 で 6 時間処理した後 原液の ScaleCUBIC-1 を用いて 6 日間脱脂処理を行った PBS を用いて数回洗浄を行った後に 2 日間核染色剤であるプロピジウムヨージド (PI) を用いて対比染色を行った後に ScaleCUBIC-2 を用いて 2 日間屈折率調整を行った シート照明型蛍光顕微鏡 (Ultramicroscope, LaVision BioTec) を用いて Venus タンパク質及び PI の全脳蛍光イメージングを行い 腹側 - 背側 背側 - 腹側の2 方向から撮影したイメージン -6-

10 グデータを重ね合わせることで1つの脳サンプルの全脳イメージングデータを取得した ( 図 1) 独自に開発したインフォマティクス解析法を用いて 取得したイメージングデータを標準臓器画像に対してレジストレーションすることで 同一領域の神経活動変化を直接比較することができる また 取得した Venus シグナルを用いて 個々の遺伝子発現動態を包括的 定量的に解析する DNA マイクロアレイのアナロジーとして 1000 以上に及ぶ解剖学的領域の神経活動の履歴を時間依存的 空間特異的に定量した 更に 包括的細胞動態変化クラスター解析や階層的細胞動態ネットワーク解析を通じて 薬物により活動変化が誘導される細胞群を包括的にグループ化 マッピング化した ( 図 2) 実験結果 クラスター解析の結果 時間依存的にメタンフェタミンによって活性化されるグループや メタンフェタミンとハロペリドールの同時投与によって活性化されるグループなどの脳領域が分類された CT4, CT22 において 体性感覚野や海馬台 前障 尾状核被殻などの領域では メタンフェタミン投与により活性化される一方で ハロペリドール投与により不活性化される傾向が観測された また CT4, CT22 において メタンフェタミンとハロペリドールの同時投与により 体性感覚野や視覚野 側頭連合野 扁桃体基底外側部などの領域が活性化されていた 統合失調症では 睡眠障害によるノンレム睡眠の減少や中途覚醒などの睡眠 覚醒リズムに関与していることが知られている 今後は これらの活動データと睡眠 覚醒リズムの相関を解析することで 不眠と統合失調症を関連付ける脳領域の特定に迫る予定である 参考文献 1. Etsuo A. Susaki, Kazuki Tainaka, Dimitri Perrin et al., Whole-Brain Imaging with Single- Cell Resolution Using Chemical Cocktails and Computational Analysis, Cell 157, , Kazuki Tainaka, Shimpei I. Kubota et al., Whole-Body Imaging with Single-Cell Resolution by Tissue Decolorization, Cell 159, , Megumi Eguchi and Shun Yamaguchi, In vivo and in vitro visualization of gene expression dynamics over extensive areas of the brain, Neuroimage 44, ,

11 図 1 薬物投与時の全脳レベル神経活動イメージング -8-

12 図2 薬物投与時の包括的細胞動態変化クラスター解析 9

13 4. 薬剤耐性化インフルエンザウイルスの簡便な検出分離法の開発と薬剤耐性 化の機構解析 高橋忠伸 ( 静岡県立大学大学院薬学研究院生化学講座 ) 背景と目的 現在 抗インフルエンザ医薬品であるシアリダーゼ阻害剤は リレンザ タミフル イナビル ラピアクタの四種類が市販されている 2007 年以降 A ソ連型 H1N1 インフルエンザ A 型ウイルスのタミフル耐性株が北欧で発生し 2008 年までに日本を含めて世界中に感染拡大した タミフル耐性ウイルスはリレンザが有効であった 各シアリダーゼ阻害剤に対して高感度 簡便 迅速な薬剤耐性化検出法が存在すれば インフルエンザ患者へのシアリダーゼ阻害剤の選択基準として利用できるはずである また 各地の衛生検査機関で多検体の薬剤耐性ウイルスの検出と分離が簡便に実施できれば 薬剤耐性ウイルスの流行状況や耐性化に寄与するウイルスの遺伝子情報が大量に迅速に収集でき シアリダーゼ阻害剤の選択の指針作成にも貢献する 研究代表者らはインフルエンザウイルスやパラミクソウイルスのシアル酸切断酵素 シアリダーゼ の性状 シアリダーゼが関与するウイルス増殖機構や流行機構を研究してきた ( 文献 1-4) ウイルスシアリダーゼの活性を利用した検出剤の開発研究として インフルエンザ A 型 B 型ウイルス ( 文献 ) 呼吸器病原ウイルスのヒトパラインフルエンザウイルス ( 文献 7) おたふく風邪ウイルス ( 文献 8) げっ歯類病原ウイルスのセンダイウイルス( 文献 9) および鳥類病原ウイルスのニューキャッスル病ウイルス ( 文献 10) が持つシアリダーゼ活性を迅速 簡便 局所的に蛍光イメージングする試薬 BTP3-Neu5Ac を開発した( 文献 11-13) BTP3-Neu5Ac は 簡単な操作によってウイルス感染細胞を蛍光イメージングできる ( 図 1) 本研究は BTP3-Neu5Ac を利用して 薬剤耐性インフルエンザウイルスを高感度 簡便 迅速に検出および分離する技術を確立することを目的とする また この技術を利用して効率的に薬剤耐性ウイルスを分離することにより 薬剤耐性化機構の効率的な解析をめざす 図 1. BTP3-Neu5Ac によるシアリダーゼ活性の蛍光イメージング機構 ( 左 ) とインフルエンザ A 型ウイルス感染細胞 ( 集団 ) および吸着部位の蛍光イメージング像 ( 右 ) -10-

14 図 2. ウイルス感染細胞の蛍光イメージングによるタミフル耐性の選択的検出 方法と結果 抗インフルエンザ医薬品のタミフル耐性ウイルスあるいはその感染細胞は シアリダーゼ阻害剤のタミフル ( タミフルはプロドラッグのため実験には活性体を使用 ) の存在下でもシアリダーゼ活性を維持することから BTP3-Neu5Ac の反応により蛍光イメージングが可能と予想された そこで 2008~2009 年に分離されたタミフル耐性株または感受性株をイヌ腎由来 MDCK 細胞に感染させた 100 nm タミフルを添加して BTP3-Neu5Ac を反応させると タミフル感受性ウイルスの感染細胞は蛍光イメージングされなかった 一方 タミフル耐性ウイルスの感染細胞は明確に蛍光イメージングされた 本法により BTP3- Neu5Ac を利用して薬剤耐性ウイルス感染細胞を選択的に蛍光イメージングできた 別の抗インフルエンザ医薬品のリレンザを添加して BTP3-Neu5Ac を反応させた細胞では タミフル耐性および感受性の両ウイルスともに感染細胞は蛍光イメージングされなかった これは 今回使用している 2008 年国内分離株のタミフル耐性ウイルスにリレンザが有効とする結果と一致する ( 図 2) タミフルとリレンザに感受性のウイルス株の野生型シアリダーゼ遺伝子に タミフル耐性化 H275Y アミノ酸置換 またはリレンザ耐性化 Q136K アミノ酸置換 ( アミノ酸番号は A ソ連型 H1N1 株の N1 亜型シアリダーゼを基準 ) を導入した 各シアリダーゼ遺伝子を導入したアフリカミドリザル腎臓由来 COS-7 細胞に 100 nm リレンザまたは 100 nm タミフルと 20 µm BTP3-Neu5Ac を含む無血清培地中で 37 5 分間反応させた リレンザ耐性化 Q136K 置換を持つシアリダーゼはリレンザ存在下で蛍光イメージングされたが タミフル存在下では蛍光化は阻害された タミフル耐性化 H275Y 置換を持つシアリダーゼはタミフル存在下で蛍光イメージングされたが リレンザ存在下では蛍光化は阻害された ( 図 3) BTP3-Neu5Ac を利用して 各薬剤に対する耐性化を感染細胞レベルで個々に蛍光イメージングできた -11-

15 図 3. タミフル リレンザに対する耐性化の選択的蛍光イメージング ウイルス感染細胞をアガロースゲル培地で重層して培養すると 一つのウイルスが感染 した細胞から産生された子孫ウイルスが大きく拡散せずに 隣接した周囲の細胞のみに感 染拡大していく 形成された感染細胞集団をピックアップすることでウイルス株を分離で きる 本研究では タミフル耐性ウイルスの感染細胞集団を選択的に蛍光イメージング し 耐性株のみを効率的に分離する方法を確立した タミフル感受性および耐性ウイルス を MDCK 細胞に混合感染させてアセチル化トリプシン含有アガロースゲル培地を重層し た 48 時間培養後 培地上に BTP3-Neu5Ac 液のみ あるいはタミフルと BTP3-Neu5Ac 混 合液を滴下した 紫外線照射下 薬剤耐性ウイルスの感染細胞集団を蛍光イメージングし た 図 4 タミフル存在下で選択的に蛍光イメージングされた感染細胞集団が タミフル 耐性ウイルスに由来することを H275Y 置換の RT-PCR 遺伝子検出によって確認した 蛍光 化細胞集団からピックアップされた 24 株の中で すべてがタミフル耐性 275Y を有してい た 2 株のみであるが タミフル感受性 275H が混在していた 一部の結果を図 5 に示 す 本法により 薬剤耐性ウイルス株の高効率な分離に成功した 文献 図 4. タミフル耐性と感受性ウイルスの混合感染 からの耐性株の選択的蛍光イメージングと分離 12 図 5.蛍光化細胞から分離したウイル ス株のタミフル耐性化変異の検出

16 まとめ インフルエンザ A 型ウイルスの薬剤耐性を選択的に蛍光イメージングし 薬剤耐性株を 効率的に分離する方法を確立した 今後 本法を薬剤耐性化機構の解析に利用していく 謝辞 本研究を遂行するにあたり 多大なご支援を賜りました公益財団法人薬理研究会に心より深く感謝致します BTP3-Neu5Ac を合成していただいた共同研究者の広島国際大学薬学部池田潔教授 大坪忠宗准教授に感謝致します 近年のウイルス株を使用させていただいた静岡市環境保健研究所の和田裕久様に感謝致します 参考文献 1. 高橋忠伸 : ウイルス感染における糖鎖の機能解明 Function of Glycochains in Virus Infection YAKUGAKU ZASSHI 134 (8), (2014) 2. Tadanobu Takahashi and Takashi Suzuki. Low-pH Stability of Influenza A Virus Sialidase Contributing to Virus Replication and Pandemic. Biol. Pharm. Bull. 38, (2015) 3. Tadanobu Takahashi. Properties of and a new technique for fluorescent detection of influenza virus sialidase. Trends Glycosci. Glycotechnol. 27 (158), E49-E60 (2015) 4. 高橋忠伸 : インフルエンザウイルスが結合する糖鎖分子の機能解明 日本ウイルス学会誌 ウイルス 66 (1), (2016)( 謝辞欄に貴財団記載 ) 5. Yuuki Kurebayashi*, Tadanobu Takahashi* (*these authors contributed equally to this work), Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Shunsaku Takahashi, Maiko Takano, Takashi Agarikuchi, Tsubasa Sato, Yukino Matsuda, Akira Minami, Hiroaki Kanazawa, Yuko Uchida, Takehiko Saito, Yoshihiro Kawaoka, Toshihiro Yamada, Fumihiko Kawamori, Robin Thomson, Mark von Itzstein, Takashi Suzuki. Imaging of influenza virus sialidase activity in living cells. Sci. Rep. 4, 4877 (2014) 6. 高橋忠伸 : ウイルス酵素を利用したウイルスや感染細胞の簡便 迅速な検出試薬の開発とその応用 実験医学 Vol. 33. No. 13, p (2015) 7. Tadanobu Takahashi*, Maiko Takano* (*they contributed equally as first authors), Yuuki Kurebayashi, Takashi Agarikuchi, Chihiro Suzuki, Keijo Fukushima, Shunsaku Takahashi, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Akira Minami, Takashi Suzuki. Rapid fluorescent detection assay for human parainfluenza viruses. Biol. Pharm. Bull. 38, (2015)( 謝辞欄に貴財団記載 ) 8. Tadanobu Takahashi, Takashi Agarikuchi, Yuuki Kurebayashi, Nona Shibahara, Chihiro Suzuki, Akiko Kishikawa, Keijo Fukushima, Maiko Takano, Fumie Suzuki, Hirohisa Wada, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Akira Minami, Takashi Suzuki. Easy and Rapid Detection of Mumps Virus by Live Fluorescent Visualization of Virus-Infected Cells. PLoS One 10, -13-

17 e (2015)( 謝辞欄に貴財団記載 ) 9. Maiko Takano*, Tadanobu Takahashi* (*they contributed equally as first authors), Takashi Agarikuchi, Yuuki Kurebayashi, Akira Minami, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Hiroaki Kanazawa, Takashi Suzuki. Histochemical fluorescent staining of Sendai virus-infected cells with a novel sialidase substrate. Virology , (2014) 10. Tadanobu Takahashi, Maiko Takano, Takashi Agarikuchi, Yuuki Kurebayashi, Akira Minami, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Takashi Suzuki. A novel method for detection of Newcastle disease virus with a fluorescent sialidase substrate. J. Virol. Methods 209, (2014) 11. Tadamune Otsubo, Akira Minami, Haruna Fujii, Risa Taguchi, Tadanobu Takahashi, Takashi Suzuki, Fumiteru Teraoka, Kiyoshi Ikeda. 2-(Benzothiazol-2-yl)-phenyl- -D-galactopyranoside derivatives as fluorescent pigment dyeing substrates and their application for the assay of -Dgalactosidase activities. Bioorg. Med. Chem. Lett. 23, (2013) 12. Akira Minami, Tadamune Otsubo, Daisuke Ieno, Kiyoshi Ikeda, Hiroaki Kanazawa, Kosuke Shimizu, Ko Ohata, Tsunehiro Yokochi, Yuuki Horii, Hokuto Fukumoto, Risa Taguchi, Tadanobu Takahashi, Naoto Oku, Takashi Suzuki. Visualization of Sialidase Activity in Mammalian Tissues and Cancer Detection with a Novel Fluorescent Sialidase Substrate. PLoS One 9, e81941 (2014) 13. Tadanobu Takahashi, Tadamune Otsubo, Kiyoshi Ikeda, Akira Minami, Takashi Suzuki. Histochemical imaging of alkaline phosphatase using a novel fluorescent substrate. Biol. Pharm. Bull. 37, (2014) 14. Yuuki Kurebayashi*, Tadanobu Takahashi* (*These authors contributed equally to this work), Chihiro Tamoto, Keiji Sahara, Tadamune Otsubo, Tatsuya Yokozawa, Nona Shibahara, Hirohisa Wada, Akira Minami, Kiyoshi Ikeda, Takashi Suzuki. High-efficiency capture of drug resistantinfluenza virus by live imaging of sialidase activity. PLoS One 11, e (2016) ( 謝辞欄に貴財団記載 ) 15. 高橋忠伸, 紅林佑希, 大坪忠宗, 池田潔, 南彰, 鈴木隆 : シアリダーゼを利用したウイルス感染細胞の蛍光イメージング 公益社団法人日本分析化学会 分析化学 総説論文 in press( 謝辞欄に貴財団記載 ) -14-

18 5. 脂質代謝制御によるアルツハイマー病治療 予防薬開発 富田泰輔 ( 東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室 ) 研究成果 1.LPP3 ノックダウンにより Aβ と sappβ の産生量が減少する LPP3 により Aβ 産生経路のどの部分が影響を受けるかを検討するために LPP3 を KD した Neuro2a 細胞において cell lysate 培養上清中の APP の代謝産物の変化を ELISA ウェスタンブロット法(WB) 研究背景アルツハイマー病 (AD) の発症に関連するアミロイドβタンパク (Aβ) の産生に関わるβおよびγセクレターゼの活性制御機構の理解は 発症メカニズムの解明 治療薬開発につながることが期待されている 近年 ゲノムワイド関連解析やエクソーム解析により 複数の一塩基多型 (SNPs) が AD 発症リスクに寄与することが明らかとなってきた 興味深いことに これらの SNPs が存在する遺伝子がコードするタンパクは 小胞輸送 炎症反応 脂質代謝として大別された しかしその多くの分子について AD 発症メカニズムに及ぼす影響については未だ不明である Aβ 産生に関わる酵素 基質はともに膜貫通タンパクであることから ( 図 1) 我々は Aβ 産生機構を制御する要因として脂質に着目し これまでに Shingosine-1- phosphate(s1p) がβセクレターゼである BACE1 の活性に関連していること (Takasugi et al., J Neurosci 2011) スフィンゴ脂質受容体アンタゴニスト FTY720 やセラミドが γ セクレターゼ活性に影響を与えること (Takasugi et al., PLoS One 2013; Takasugi et al., BBRC 2015) を見出していた そこで スフィンゴ脂質およびセラミドに関連する脂質代謝酵素についてマウス神経芽腫由来培養細胞株 Neuro2a 細胞を用いて RNAi スクリーニングを行ったところ Lipid Phosphate Phosphatase 3(LPP3) をノックダウン (KD) すると Aβ 産生が低下することを見出した LPP3 は 脂質のリン酸基の脱リン酸化を行う酵素であり 主な基質としてホスファチジン酸 (PA) が知られている そこで本研究においては LPP3 が Aβ 産生に影響を与えるメカニズムを検討した -15-

19 により調べた その結果 LPP3 KD 群では Aβ の分泌量の低下 ( 図 2) に加え sappβ および APP CTF 産生量の減少を認めた ( 図 3) このとき 細胞内 PA 濃度の増加が確認されたことから LPP3 タンパクは KD されていると考えられた 一方 Neuro2a 細胞に LPP3 を過剰発現させると Aβ 産生量の増加がみられた これらの結果から LPP3 発現量は Aβ 産生量に比例することが示唆された 2. LPP3 ノックダウンにより BACE1 量および活性が低下する次に Aβ 産生に関わる酵素の発現量を調べた その結果 LPP3 を KD した細胞では 特に BACE1 量が顕著に低下することが明らかになった また LPP3 KD 細胞の 1% CHAPSO 可溶化膜画分中における酵素活性の変化を in vitro assay により検討したところ BACE1 活性は有意に減少していた 以上の結果から LPP3 KD による Aβ sappβ 産生の減少は BACE1 量の減少による β セクレターゼ活性の低下によるものと考えられた 3. LPP3 ノックダウンは BACE1 の安定性の低下を引き起こす LPP3 KD 細胞に発現している BACE1 の mrna 量には変化が見られなかった そこで BACE1 タンパク質の安定性について検討した Neuro2a 細胞をシクロヘキシミドで処理し タンパク質の新規合成を止めた状態において BACE1 の分解速度を検討したところ LPP3 KD 細胞では BACE1 が速やかに分解されていることが明らかとなった ( 図 4) 以上の結果から LPP3 KD により BACE1 の分解速度が上昇し その結果 BACE1 のタンパク量が減少したことが示唆された 4. LPP3 ノックダウンにより BACE1 の局在が変化する BACE1 は主に early endosome から recycling endosome に局在し ユビキチン化や GGA3 などのアダプター分子との結合を介して late endosome へと輸送され lysosome において分解されることが明らかとなっている そこで BACE1 分解速度の上昇の原因を探るため BACE1 の細胞内局在の変化について検討した その結果 LPP3 を KD することにより LAMP1 陽性オルガネラと局在が一致する BACE1 が増加していた ( 図 5) これらの結果から LPP3 KD1 による late endosome/lysosome への輸送が加速したことによりにより BACE1 の安定性が低下したと考えられた まとめと考察本研究により 私は LPP3 が BACE1 の分解速度およびその局在を規定していることを示唆した LPP3 の KD -16-

20 は BACE1 の late endosome への輸送を促進し その分解の加速を介して Aβ 産生量の減少を導いたものと考えた すなわち その活性亢進薬は新規 AD 創薬につながることが期待される また興味深いことに AD 患者のゲノムワイド関連解析から LPP3 遺伝子の SNPs と海馬の萎縮に相関が見られることが報告された LPP3 に関する検討をさらに発展させることにより AD の発症メカニズムにおけるその役割の解明や LPP3 活性の制御や脂質組成の変化を介した治療 予防法の開発に繋がることが期待される 謝辞本研究を遂行するにあたり 公益財団法人薬理研究会より研究助成を賜りましたことを深謝申し上げます -17-

21 6. 寄生原虫トリパノソーマの Ca 2+ シグナリングを特異的に阻害する化合物の 探索 橋本宗明 ( 助成時 : 順天堂大学医学部熱帯医学 寄生虫病学講座准教授 ) ( 現在 : 国立研究開発法人産業技術総合研究所健康工学研究部門主任研究員 ) 助成期間中の発表論文等原著論文 ( 査読有り * は Corresponding author) 1. Hashimoto M*, Doi M, Kurebayashi N, Furukawa K, Hirawake-Mogi H, Ohmiya Y, Sakurai T, Mita T, Mikoshiba K, Nara T (2016) Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptor Determines Intracellular Ca 2+ Concentration in Trypanosoma cruzi throughout Its Life Cycle. FEBS Open Bio, in press. 2. Hashimoto M*, Nara T, Mita T, Mikoshiba K. (2016) Morpholino antisense oligo inhibits trans-splicing of pre-inositol 1,4,5-trisphosphate receptor mrna of Trypanosoma cruzi and suppresses parasite growth and infectivity. Parasitol Int, 65(3): Hashimoto M*, Nara T, Enomoto M, Kurebayashi N, Yoshida M, Sakurai T, Mita T, Mikoshiba K. (2015) A dominant negative form of inositol 1,4,5-trisphosphate receptor induces metacyclogenesis and increases mitochondrial density in Trypanosoma cruzi. Biochem Biophys Res Commun., 466(3): Hashimoto M*, Morales J, Uemura H, Mikoshiba K, Nara T. (2015) A Novel Method for Inducing Amastigote-To-Trypomastigote Transformation In Vitro in Trypanosoma cruzi Reveals the Importance of Inositol 1,4,5-Trisphosphate Receptor. PLoS One, 12;10(8):e 招待講演橋本宗明 呉林 ( 国広 ) なごみ 戸井基道 榎本匡宏 モラレスホルヘ 茂木 ( 平訳 ) 浩子 古川功治 上村春樹 吉田光孝 橋本哲男 櫻井隆 近江谷克裕 美田敏宏 御子柴克彦 奈良武司 トリパノソーマの Ca 2+ シグナリング :IP3 受容体の同定とその役割 第 48 回日本原生生物学会大会今井壯一先生メモリアルシンポジウム 寄生性原生生物学の最前線 国立感染症研究所戸山庁舎 ( 東京都新宿区 ) 2015 年 11 月 7 日 研究成果寄生原虫 Trypanosoma cruzi を病原体とするシャーガス病は中南米で流行し 1000 万人以上もの患者がいる 現在の治療薬は感染初期 ( 急性期 ) のみに有効で 強い副作用がある -18-

22 ため 新規治療薬開発が急務である 動物細胞では神経伝達物質などの細胞外からの刺激を受けると細胞内 Ca 2+ チャネル (IP3R) が活性化し 細胞内 Ca 2+ ストアから細胞質に Ca 2+ が放出され Ca 2+ シグナリングが進行する 我々は T. cruzi が IP3R ホモログ (TcIP3R) を有すること それが原虫の分裂増殖 変態 細胞侵入などを制御する生存にも必須な病原因子であることを明らかにしてきた (Hashimoto et al., 2013; Hashimoto et al., 2014) 本研究は これらの研究成果をさらに発展させ 新規治療薬のリード化合物となり得るトリパノソーマの Ca 2+ シグナリングの特異的阻害剤の同定 およびその分子基盤研究を行った (1) プレ TcIP3R mrna を標的とした次世代アンチセンスオリゴの開発トリパノソーマ蚊原虫は哺乳類と異なり トランススプライシングを行う 次世代アンチセンスオリゴのシススプライシング阻害能を応用し プレ TcIP3R mrna のトランススプライシングを特異的に阻害するモルフォリノアンチセンスオリゴ (MAO-1) の作製に成功した トリポマスティゴートを MAO-1 処理するとコントロール群と比較して有意に宿主細胞への感染能を抑制することが明らかになった MAO-1 は生体内でも分解されにくいので 今後 新規治療薬に応用されることが期待される (2) TcIP3R はミトコンドリアの機能維持にも関わる TcIP3R の Ca 2+ ポア形成ドメインを欠いたドミナントネガティブ体を過剰発現する原虫の作製に成功した 本原虫は分裂増殖の遅延 メタサイクロジェネシスの促進と共に ミトコンドリアの正常な機能維持にも関わることが示唆された (3) TcIP3R はアマスティゴートの鞭毛伸張と変態を制御する宿主細胞内に寄生するアマスティゴートが鞭毛伸長およびトリポマスティゴートへの変態の分子機構はほとんど明らかになっていない これは in vitro においてこれらの変態を誘導するアッセイ系がなかったためである 我々はこのアッセイ系は初めて確立した 本アッセイ系を用いて TcIP3R の すなわち原虫の Ca 2+ シグナリングがトリポマスティゴートへの変態に関わっているかを調べ TcIP3R は本過程を抑制していることを明らかにした トリポマスティゴジェネシスは病理を考えると非常に重要なので 今後の治療薬開発に大きく貢献できると期待している (4) R-GECO1 発現原虫の作製と解析細胞内 Ca 2+ 濃度 ([Ca 2+ ]i) センサーとして機能するタンパク質 (R-GECO1) を発現する T. cruzi の作製に成功した エピマスティゴート トリポマスティゴート およびアマスティゴートで [Ca 2+ ]i を比較したところ 各生活史のステージで大きく変動し その変動と TcIP3R の発現量は正の相関を示すことを明らかにした さらに TcIP3R の発現量を 1/3 減少させると [Ca 2+ ]i も 1/3~1/2 減少することから TcIP3R が [Ca 2+ ]i を決定していることが -19-

23 明らかになった これらの結果は TcIP3R が理想的な薬剤標的であることを示している 哺乳類の IP3R 阻害剤 (2-APB) 処理では原虫の R-GECO1 のシグナルは減じないことが示唆された 引き続き 原虫の [Ca 2+ ]i を特異的に阻害する化合物のスクリーニングを進めている 参考文献 Hashimoto, M., M. Enomoto, J. Morales, N. Kurebayashi, T. Sakurai, T. Hashimoto, T. Nara, and K. Mikoshiba Inositol 1,4,5-trisphosphate receptor regulates replication, differentiation, infectivity and virulence of the parasitic protist Trypanosoma cruzi. Mol Microbiol 87: Hashimoto, M., T. Nara, H. Hirawake, J. Morales, M. Enomoto, and K. Mikoshiba Antisense oligonucleotides targeting parasite inositol 1,4,5-trisphosphate receptor inhibits mammalian host cell invasion by Trypanosoma cruzi. Sci Rep 4:4231. 謝辞本研究を実施するにあたり 助成をいただきました公益財団法人薬理研究会の関係各位に深く感謝申し上げます -20-

24 7. 活性酸素種を触媒的に消去する金属錯体型抗酸化薬剤の開発とその評価 人見 ( 同志社大学理工学部機能分子 生命化学科 ) 穣 分子状酸素から発生するスーパーオキシドアニオン 過酸化水素などの活性酸素種は主に細胞内のミトコンドリアや小胞体から発生し DNA 蛋白質 脂質などの生体分子に酸化的損傷を引き起こす また 脳梗塞や筋萎縮性側索硬化 (ALS) パーキンソン症候群などの神経変性疾患 さらには癌にも深く関与していることが知られている 脳梗塞の治療では 早急に血流を再開させることが求められるが 急激な血流再開は活性酸素の発生をもたらし 脳細胞を死滅させることになる 発生する活性酸素種を消去するエダラボン ( 商品名ラジカット ) などの抗酸化剤が脳保護剤として開発されている [1] 生体内には活性酸素種であるスーパーオキシドラジカルや過酸化水素を触媒的に消去するスーパーオキシドディスムターゼ (SOD) やカタラーゼなどの抗酸化金属酵素が存在しており これらの抗酸化金属酵素の働きを再現できる金属錯体は 脳梗塞 神経変性疾患 癌患者の活性酸素種を低減できる抗酸化薬剤となると期待されている 既に 酵素 SOD が 加齢黄斑変性症の薬として (NCT , Phase 2) また SOD 活性を有するマンガン錯体 Ca 4 Mn(PDDP) 5 がステージ IV の大腸癌治療薬として (NCT , Phase 2) 臨床試験されている また SOD 活性を示しマンガンサレン錯体 EUK-134 は ALS モデルマウスに対して有為の延命効果を与えることが知られている [2] 我々は 単核非ヘム鉄依存型の酸化酵素をもとにアルカンの選択的な水酸化触媒として設計したカルボキサミド配位を有する単核非ヘム鉄錯体 Fe(dpaq) (dpaq = 2-[bis(pyridine-2- ylmethyl)]amino-n-quinolin-8-yl-acetamido) が [3 5] 水中で高い SOD 活性を発現することを偶然に発見している [6] 本研究では この鉄錯体 Fe(dpaq) をもとに細胞内での活性酸素消去能を示す金属錯体型抗酸化剤の合成をめざした 具体的には,dpaq 配位子のキノリン環 5 位に置換基を導入したカルボキシルアミド配位を有する鉄 (III) 錯体 [Fe(dpaq R )(CH 3 CN))](ClO 4 ) 2 (1 R, R = OMe, H, Cl, NO 2 ) およびマンガン (II) 錯体 [Mn(dpaq R )]ClO 4 (2 R, R = OMe, H, Cl, NO 2 ) の計 8 種の金属錯体の水中における酸化還元電位とスーパーオキシドアニオン消去活性を評価した ph 7.5 の PIPES 緩衝溶液中での鉄 (III) 錯体 1 R およびマンガン (II) 錯体 2 R の M(III)/M(II) (M = Mn or Fe) に対応する酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリー法により決定した その結果 鉄錯体 1 R の電位は 138 から 226 mv vs. NHE に観測され 置換基 R が求電子的になるに従い 正に大きくなることが判明した また そのハメットの ρ 値は 79 ± 17 と求まった 一方 マンガン (II) 錯体 2 R では 521 から 561 mv vs. NHE に電位が観測され そのハメットの ρ 値は 22 ± 24 過ぎず 置換基の影響をあまり受けないことが判明した 電位を決定したのと同じ ph 7.5 の PIPES 緩衝溶液中での計 8 種の金属錯体のスーパーオキシドラ -21-

25 ジカルを WST-1 法により評価した その結果 鉄 (III) 錯体 1 R では 置換基がより電子求引的になるに従い, 消去活性が向上するのに対し マンガン (II) 錯体 2 R は, 置換基の種類に依存せずほぼ一定の活性を示した また 鉄 (III) 錯体 1 R の SOD 活性は EUK-134 よりも 20 倍高く マンガン (II) 錯体 2 R の SOD 活性は EUK-134 と同定度であった 鉄 (III) 錯体 1 R の Fe(III)/Fe(II) の酸化還元電位とスーパーオキシドラジカルの消去活性には 良い相関が得られことが判明した すなわち 錯体の Fe(II) 状態が安定になるほど スーパーオキシドラジカルの消去活性が向上することが判明した この結果は 鉄 (III) 錯体 1 R は スーパーオキシドラジカルの不均化反応における Fe(III) から Fe(II) への還元過程が律速になっていることが明らかとなった この結果は 更に高い SOD 活性を有する鉄錯体の良い設計指針となる 培養細胞をもちいて鉄 (III) 錯体 1 R の抗酸化活性を評価した結果 いずれも EUK-134 よりも高い抗酸化活性を示すことが判明した 更に dpaq のキノリンの 6 位にエステル基を導入した錯体を合成した結果 細胞取込能力が向上することが判明した 参考論文 [1] H. Yoshida, H. Yanai, Y. Namiki, K. Fukatsu-Sasaki, N. Furutani, N. Tada, "Neuroprotective effects of edaravone: a novel free radical scavenger in cerebrovascular injury" CNS Drug Reviews, 2006, 12, [2] C. Jung, Y. Rong, S. Doctrow, M. Baudry, B. Malfroy, Z. Xu, "Synthetic superoxide dismutase/catalase mimetics reduce oxidative stress and prolong survival in a mouse amyotrophic lateral sclerosis model" Neurosci. Lett. 2001, 304, [3] Y. Hitomi, K. Arakawa, T. Funabiki, M. Kodera, "An Iron(III) Monoamidate Complex Catalyst for Selective Hydroxylation of Alkane C-H Bonds with Hydrogen Peroxide" Angew. Chem. Int. Ed., 2012, 51, [4] Y. Hitomi, K. Arakawa, M. Kodera, "Electronic Tuning of Iron-Oxo Mediated C-H Activation: Effect of Electron Donating Ligand on Selectivity" Chem. Eur. J., 2013, 19, [5] Y. Hitomi, Kengo Arakawa, and Masahito Kodera, "Synthesis, Stability and Reactivity of the First Mononuclear Nonheme Oxoiron(IV) Species with Monoamido Ligation: A Putative Reactive Species Generated from Iron-Bleomycin" Chem. Commun., 2014, 50, [6] Y. Hitomi, Y. Iwamoto, A. Kashida, M. Kodera, "Mononuclear Nonheme Iron(III) Complexes that Show Superoxide Dismutase-like Activity and Antioxidant Effects against Menadione-Mediated Oxidative Stress" Chem. Commun., 2015, 51,

26 -23-

様式(1)                              申請受付

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