Microsoft PowerPoint 採血注射神経損傷.pptx
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- いおり たつざわ
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1 熊本県保険医協会 採血 注射による神経損傷に対する医療側の責任 : 裁判所の判断 慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 丸山英二 1 医療過誤による民事責任 ( 不法行為責任 ) 民法 709 条 ( 明治 29 年制定, 平成 16 年全部改正 ) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益 を侵害した者は, これによって生じた損害を賠償する責任を負 う 1 故意または過失ある行為 2 権利または法によって保護される利益が侵害されたこと 3 侵害行為と因果関係のある損害の発生 1 2
2 過 失 注意義務違反 =( 損害発生の予見可能性と回避可能性に裏づけられた ) 結果回避義務違反 ただし, 損害発生の予見可能性 回避可能性がある場合にかならず損害回避義務が課されるわけではない 例 合併症の危険がある手術の実施など 注意義務の基準 =その人の職業や社会的地位等から通常 ( 合理的に ) 要求される程度の注意 ( 善良な管理者の注意 ) 具体的には何か? 医療水準に適合した医療行為行為当時の医学的知見 / 医療上の知見 3 因果関係 過失行為がなされたので損害が発生したという関係 ( 当該行為から損害が発生した 高度の蓋然性 が認められることが通常求められる ) 訴訟上の因果関係の立証は, 一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく, 経験則に照らして全証拠を総合検討し, 特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり, その判定は, 通常人が疑を差し挾まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし, かつ, それで足りるものである ( 最高裁判決昭和 50 年 10 月 24 日 ) 2 4
3 因果関係 わが国の地裁, 高裁判決では, 不法行為と損害との間の因果関係が証明されない場合にも,( 逸失利益等の賠償は認められないが ) 精神的損害に対する損害賠償 ( 慰謝料 ) は認められてきた ( 期待権侵害理論 ) 最高裁は, 過失ある医療行為により死亡した / 重大な後遺症が残った患者がそのような医療行為を受けていなければ生存した / 重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性が認められる場合について慰謝料が認容されることを確立した ( 最高裁平成 12 年 9 月 22 日 死亡, 最高裁平成 15 年 11 月 11 日 重大な後遺症 ) 最高裁は, 適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする慰謝料認容の可能性は, 実施された医療行為が著しく不適切なものであった場 合以外にはない旨, 判示した ( 最高裁平成 23 年 2 月 25 日 ) 5 使用者責任 民法 715 条 1 ある事業のために他人を使用する者は, 被用者がその事業の執行につ いて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う ただし, 使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき, 又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは, この限りでない 3 前二項の規定は, 使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない 医療の場合の使用者 医療従事者を雇用する診療所 病院を設置 経営する者 ( 医療法人 地方公共団体 地方独立行政法人 独立行政法人 ( 国立 病院機構など ) 国立大学法人 学校法人など)[ 使用者は, 被用者に対して実質的な指揮監督の関係にあることが必要 公立民営病院の場合, 経営主体たる医療法人財団等が使用者になる.] 6 3
4 損害賠償責任の成立要件 ( 債務不履行責任 ) 医療契約 準委任契約 ( 法律行為以外の事実行為の委任 ) 契約当事者 診療所 病院を設置 経営する者 ( 医療法人 地方公共団体 地方独立行政法人 独立行政法人 ( 国立病院機構 など ) 国立大学法人 学校法人など ) 患者 医療従事者は履行代行者 履行補助者 ( 責任は問われない ) 準委任契約において受任者に課される注意義務 : 善良な管理 者の注意義務 ( 民法 656 条 644 条を準用 ) 7 民法 415 条 損害賠償責任の成立要件 ( 債務不履行責任 ) 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは, 債権者 は, これによって生じた損害の賠償を請求することができる 1 債務不履行の事実 善良なる管理者の注意を払った医療を 行わなかったこと ( 過失ある医療を行ったこと ) 2 債務不履行と因果関係のある損害の発生 4 8
5 不法行為責任と債務不履行責任の主な違い 医療従事者の責任の存否 不法行為 あり, 債務不履行 なし 消滅時効期間 (2020 年の改正民法施行後は生命身体侵害の場合 実質的に差異なし ) 不法行為 損害及び加害者 ( 賠償義務者 ) を知った時から 3 年, 不法行為時から 20 年 ( 民法 724 条 ) ( なお, 改正民法施行後は 724 条の 2 の追加により,3 年は 5 年となる ) 債務不履行 権利行使可能時から 10 年 ( 民法 167 条 ) ( なお, 改正民法施行後は改正後の 条により, 権利行使可能を知ったときから 5 年, 権利行使可能時から 20 年 ) 遅延利息の起算時 不法行為 不法行為時 ( 損害発生時 ) 債務不履行 履行請求時 [ 過失の認定の難易, 証明責任の所在については実質的な差はない ] 9 これまでの裁判所の判断 5 10
6 大阪地裁判決平成 原告 : 日本赤十字社 A 及び採血を担当した准看護婦 B 被告 :20 歳男性の献血者 Cで試験採血の際に神経損傷を受け, 賠償請求権があると主張する者 (400CCを献血) 債務不存在確認請求事件 ( 被告は不法行為による責任を追及 ) 事実の概要 Cは, 献血前の試験採血のため,Bが注射針を穿刺した瞬間 左腕の付け根から親指の先端まで激しく疼痛及び痺れ感を感じ, 声を出して訴えた 6 日後 Cは 電話でAに痛みを訴え,Aが紹介した訴外病院を受診し,D 医師により,2 週間 ( 延長もあり得る ) の通院加療を要する左前腕皮神経損傷の診断を受けた Aは, 休業損害, 治療費, 通院交通費等の名目で,46 万 8872 円を支払ったが,Cは, 休業損害, 通院費用, 治療費, 慰謝料として, さらに272 万円あまりの支払を求めている 原告 ABは損害賠償債務を負担しないことの確認を求め提訴した 12 6
7 大阪地裁判決平成 裁判所は, 認定事実を総合すると, [ 訴外 ]D 医師の診断には合理性が認められる上 Bの試験採血時からのCの対応やDにより認めたCの左前腕部の症状は 皮神経損傷の原因 症状と齟齬しないことなどからみて Bの採血行為によって本件傷害が生じたことを認めることができ 他に右認定を覆すに足りる証拠はない と述べ, 原告らの責任原因について, 献血に際して採血を行う看護婦には 医師の指示に従って 献血者の身体に異常は発生しないように 採血の部位や注射器に加える力等に十分に注意して注射針を穿刺するべき注意義務があることについては 当事者間に争いがない ことを指摘した 13 大阪地裁判決平成 裁判所は, [ 証拠 ] によれば,Bは 准看護婦の資格を有し 本件事故当時 献血業務に従事して9 年目であったこと 穿刺予定部位は前腕部尺側 ( 内側 ) であること 前腕皮神経は それよりも太い神経繊維の束 ( 太さ1ミリメートル程度 ) からなり 尺側には内側前腕皮神経が皮膚から比較的浅い皮下脂肪層を通過し 静脈周辺を通過する部分もあるところ 注射器の使用による神経の損傷は 橈骨神経 坐骨神経及び正中神経に関しては その部位を予見することによって神経損傷を回避することができるが 前腕皮神経に関しては 静脈のごく近傍を通過している前腕皮神経の繊維網を予見して その部位を回避し 注射針による穿刺によって損傷しないようにすることは 現在の医療水準に照らしおよそ不可能であることが認められ 他に右認 定を覆すに足りる証拠はない と判示した 7 14
8 大阪地裁判決平成 結論として, 裁判所は, そうすると Bの採血行為から本件傷害が生じたことはこれを認めることができるとしても Bに Cの皮神経を損傷しない部位を注射針の穿刺箇所として 選択することを要求することは 現在の医療水準では不可能であり その他 Bの採血行為に前記注意義務を怠ったことを認める足りる証拠はなく 結局 Bの採血行為に過失を認めることはできない と述べて, 原告の請求した債務不存在を確認した 15 福岡地裁小倉支部判決平成 原告 :40 歳代前半女性の入院患者 被告 : 病院を開設する財団法人 D 及びその職員である臨床検査技師 C 不法行為 (709 条及び715 条に基づく損害賠償請求事件 ) 事実の概要 Cは入院中の原告の左肘内側正中静脈から採血しようと, 採血に適する血管を探したが, 見つけることができなかったため, 手首方向に徐々に触診しながら採血に適する血管を探し, 手首部分 ( 橈骨茎状突起から2cm 余り近位の部位 ) の橈側皮静脈から採血することとした Cが注射針を刺入した際, 原告は痛みを訴えたが, Cは, 手首からの採血は一般的に痛みを伴うことから, 原告の訴えを特別なものとは認識せずに採血を続行した 原告は, 採血後, 採血部位が紫色に変色して手首から指先までしびれるなどしたため, 被告病院整形外科で40 日あまり入院加療を受けた ( 注射針による左橈骨神経知覚枝損傷と診断された ) 1 年 4ヶ月後も知覚麻痺, 圧痛, 握力低下が見られ, 通院先の医師により症状固定と診断された 16 8
9 福岡地裁小倉支部判決平成 裁判所は, 医学的知見として, 橈骨神経浅枝は直径 1mm 程度で, 橈側皮静脈に隣接して走行し, 同静脈の上をまたぐ形で走行している場合もあるところ, 血管と神経との解剖学的位置関係は個人差がある上, 神経を触知することはできないので, 橈骨神経浅枝の走行部位を予見することは現在の医療水準では不可能であるとされている したがって, 橈骨皮静脈に向けて正しく注射針を刺入しても, 橈骨神経浅枝を損傷する可能性は常に存在する と認定した 17 福岡地裁小倉支部判決平成 手関節橈側での採血は, 肘窩部での採血が困難とみられるときに第 2 選択として行われるが,J 大学病院内科学のK 医師は, 上記神経損傷等を回避するために注意すべき事項として, 次のとおり指摘している 1 なるべく手首ではなく肘部付近で, 太い静脈を見つけること 2 太い血管がない場合には, 前腕の加温, 把握運動, 前腕の下垂により静脈を怒張させること 3 針の角度を立てすぎず, 静脈を突き抜けないようにすること 4 針刺入時に神経の緊張を強くしないこと 5 患者が電撃痛を訴えたら直ちに針を抜くこと 甲 11,12, 乙 4, 鑑定の結果 9 18
10 福岡地裁小倉支部判決平成 (2) 前記認定事実によれば, 手関節橈側での採血は, 予測し得ない橈骨神経浅枝 の損傷を引き起こすことがあり得るため, 被告 C は, できるだけ肘部で太い静脈を 見つけ, それがない場合には, 前腕の加温, 把握運動, 前腕の下垂により静脈を 怒張させ, 肘部での採血に努めるべき義務があったというべきである しかし, 被告 C が, 原告の左手首橈側から採血するに先立ち, 原告に対し, 前腕の 加温や下垂を施したり, 把握運動をさせた形跡はない そうすると, 被告 C の採血行為には, 上記注意義務違反の過失があったものと認め られる また, 被告 C は, 原告が痛みを訴えたにもかかわらず, 手首からの採血に 通常伴う痛みであると安易に考え, 採血を直ちに中止しなかったものであるから, 同被告にはこの点でも過失があったものというべきである したがって, 被告 C は民法 709 条に基づき, 被告財団法人 D は同法 715 条に基づき, 連帯 ( 不真正連帯 ) して上記採血行為によって原告が被った損害を賠償すべき義 務がある 治療費, 休業損害, 逸失利益, 慰謝料として 3816 万円の賠償を認容 19 仙台高裁秋田支部判決平成 原告 控訴人 : 職場検診を受けた養護学校教員 (30 歳代女性 ) 被告 被控訴人 : 財団法人秋田県総合保健事業団 ( 原審では臨床検査技 師も被告 ) 不法行為に基づく損害賠償請求事件 事実の概要 原告は 職場の健康診断における血液検査の際 採血を実施した臨床検査技師の過失によって神経を損傷され 反射性交感神経ジストロフィー (Reflex Sympathetic Dystrophy, RSD) 又はカウザルギーを発症し 右腕 右手等に障害が生じたとして 上記技師の使用者である被告に対し 不法行為に基づき損害賠償を求めて提訴した 第一審の秋田地裁平成 は他覚症状を認めることができないこと等から 原告の罹患を認めず 請求棄却 20 10
11 仙台高裁秋田支部判決平成 裁判所は, 控訴人の正中神経損傷の原因は本件採血であったと推認でき これを覆すに足りる証拠はない, 控訴人の前腕内側皮神経の損傷の原因も本件採血であったと推認できる と述べ, 控訴人の本件採血後から山王整形外科医院に受診するまでの経過についての控訴人の陳述書の記載及び本人尋問における供述は 少なくともその主要な部分においては十分に信用できるものといえるところ これらによれ ば 控訴人は 本件採血直後から (a) その痛み しびれが 損傷された神経が支配する四肢の領域 である本件採血部位から右上肢の肘 前腕 手首 手指に及んでおり その痛み しびれが持続していた (b) 右腕が風 日差しに当たったりするだけで痛みを感じた (c) 肘が熱く感じられたため肘を冷やしており 水泳教室の際に手を水に入れても水温が冷たくて痛いと感じることがなかった (d) 右上肢が腫れていた (e) 痛みのため右上肢を保護する姿勢を続けていたことが認められる これらの本件採血直後の控訴人の症状は カウザルギーの発症部位 ( 前腕内側皮神経 正中神経の支配領域 ) において持続する灼熱痛 アロデニア ヒペルパチア ( 上記 (a) (b)) 疼痛部位の血流異常や浮腫 ( 上記 (c) (d)) というべきであり 患部保護姿勢 ( 上記 (e)) も見られるから 控訴人は本件採 血直後からRSD 又はカウザルギーを発症していたと推認できる と判示した 21 仙台高裁秋田支部判決平成 裁判所は, 控訴人の不法行為責任に関する結論として, 臨床検査技師が 本件採血の際 控訴人の前腕内側皮神経及び正中神経を損傷し これが原因となって 控訴人はRSD 又はカウザルギーを発症したと認められる そして 前認定の本件採血の状況や採血の一般的技法 注意事項等にかんがみれば 臨床検査技師には 被控訴人の業務として本件採血を行った際 格別やむを得ない特殊事情もないのに 注射針を静脈から逸脱させて控訴人の上記各神経の損傷を招いた点に過失のあることが明らかであるから 被控訴人は 民法 715 条 709 条により 控訴人の上記各神経損傷と相当因果関係のある損害を賠償すべき責任がある と判示した [ 過失認定の前提となる注意義務の具体的内容の判示がなかった ] 治療費, 交通費, 逸失利益, 給与等の損失の損害賠償と慰謝料及び弁護士費用として,3460 万円余の支払が控訴人に命じられた ( 確定 ) その際, 損害額 ( 合計 4823 万余円 ) のうち3 割が控訴人の個人的要因が寄与したものとして損害から減額された 11 22
12 東京地裁判決平成 原告 : 健診受検者 被告 : 東京都目黒区 不法行為 ( 使用者責任 ) 又は債務不履行に基づく損害賠償請求事件 事実の概要 原告は東京都目黒区健康センターにおける健診でA 医師により左腕から採血された 健診後, その日のうちに電話で, 左腕の腫れなどを訴えたところ, 翌日, 同センター長が原告と面談, 左腕の変色を確認し, センター長は原告に謝罪した 採血の2 日後, 原告は, 左腕の痛み, 腫れ, しびれ, 等を主訴として, 訴外病院を受診, ロキソニン, メチコバール等を処方された 訴外病院の医師は, 原告の症状を, 採血の際の左内側前腕皮神経の損傷から生じた左上肢のカウザルギーと判断した 23 東京地裁判決平成 裁判所は, 原告が主張した,1 採血医が左肘正中皮静脈に対し垂直に採血針を刺入したり,2 左肘正中皮静脈を複数箇所で穿孔ないし貫通させたりしたことについては否定したが,3 本件採血によって, 原告の左内側前腕皮神経及び左内側前腕皮神経の終末枝と左尺骨神経との間の交通枝が損傷されたことを認定した その上で, 採血針が刺入された左肘正中皮静脈は, 採血には良い血管と考えられており, また, 刺入部位は, ほぼ腕の正中で, 内側前腕皮神経の分布が最も疎らな部位で, 適当であると考えられていることを指摘した 12 24
13 東京地裁判決平成 結論として裁判所は, A 医師が選択した血管, 刺入箇所に不適切な点はなく, 内側前腕皮神経が肘正中皮静脈の皮膚側を走向しているような場合などは, 適切な手技での採血によっても, 神経損傷が生じ得るのであって, 事前に認識することはできないことが認められるから, そのような場合は, 仮に神経損傷が生じたとしても不可避な合併症と理解されるべきものといえ, よって, 前記認定のとおり, 本件採血によって, 原告に神経損傷が生じたことから, 直ちに,A 医師に, 血管を複数箇所で穿孔するなどの義務違反があったと推認することはできず, 他に,A 医師の手技に義務違反があったと認めるに足りる証拠はない として, 請求を棄却した 25 仙台地裁判決平成 原告 : 胸痛による呼吸困難のため救急搬送された 35 歳男性 被告 : 栗原中央病院を設置する宮城県栗原市 不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償請求事件 事実の概要 原告は, 胸痛による呼吸困難のため, 被告病院に救急搬送された後, 当直医として勤務していた被告担当医から, 血液ガスの酸素濃度測定のために, 右鼠蹊部からの大腿動脈穿刺による採血処置 ( 本件採血 ) を受けたところ最初の刺入 ( 血液の流入が得られず ) 時に激痛を感じ, 翌日の被告病院来院の際には歩行困難なほどの痛みを訴えた その後, 原告は被告病院整形外科, 訴外 2 病院の整形外科に通院したが, 右大腿神経損傷, 右股関節部刺傷の診断を受けた 13 26
14 仙台地裁判決平成 ア一般に, 注射により大腿神経を損傷した場合には損傷時に通常とは異なる強い疼痛 ( 電撃痛 ) が生じ, 注射後に支配領域のしびれや痛みが生じるとされていること からすると, 採血の手技時に強い疼痛があり, その後に支配領域のしびれや痛みがある場合には, 原則として大腿神経損傷が生じたと推認される そして, この場合には, 他に神経損傷の原因が認められない限り, 神経損傷の原因は大腿動脈からの採血にあると推認するのが相当である そこで, 大腿動脈からの採血の手技と大腿神経損傷との関係について見るに, 大腿動脈からの採血では, 血管が太いため, 穿刺が容易とされていること ( 同イ ), 医学文献において, 一般に, 大腿動脈からの採血については, 上腕動脈からの採血の場合と異なり, 神経損傷が合併症として挙げられていないこと ( 同エ ) からすると, 大腿動脈からの採血においては, 拍動を感じた部分に対して注射針を皮膚に対して垂直に刺入するという手技を適切に行えば, 大腿神経を損傷することはほとんどないことが前提とされているものと考えられる 27 仙台地裁判決平成 そうであるとすれば, 大腿動脈からの採血が原因で神経損傷を生じた場合には, 適切な手技によっても不可避的に神経損傷が生じたなどの特段の事情がない限り, 採血の手技を担当した医師において, 大腿動脈の拍動を正確に触知し, 注射針を皮膚に対して垂直に刺入すべき注意義務に違反したものと認めるのが相当である ( なお, 肥満の人に対しては, 大腿動脈からの採血が困難とされていること ( 同イ ) を踏まえると, 肥満の人に対する大腿動脈からの採血に当たっては, 大腿動脈の拍動の確認や注射針の垂直な刺入につき, より慎重な手技が要求されるというべきである ) 14 28
15 仙台地裁判決平成 イこれを本件について見るに, 本件採血において, 原告は, 被告担当医が注射針を一番奥まで刺入 ( 第 1 刺入 ) した時点で, 強い痛みを感じて痛みを訴えており, 加えて, 本件採血の翌日から, 原告の右足には痛みやしびれ等の症状が残存し, 後医において穿刺による右大腿神経損傷と診断されていることに鑑みれば, 被告担当医は, 本件採血により原告の右大腿神経を損傷したものと推認することができる そして, 被告担当医は, 注射針を一番奥まで刺入したが血液の流入がなかったため ( 完全に針を抜くことはせずに ) 皮膚近くまで針を戻した上で, 微調整をしてもう一度, 注射針を垂直に刺入したところ, 血液の流入が認められたというのであって, このように刺入箇所を変更することなく垂直に刺入し直した結果, 採血に成功したという経過に加え, 原告が 肥満体型であったことを考慮すると, 被告担当医は, 第 1 刺入時において, 大腿動脈の拍動部分を正確に触知せず, あるいは注射針を皮膚に対して垂直に刺入しなかったと見るのが相当であるから, 被告担当医は, 本件採血における手技上の注意義務に違反したというべきである 29 仙台地裁判決平成 原告は, 被告担当医の注意義務違反により, 右大腿のしびれ, 長距離の歩行困難を内容とする後遺障害を負ったものと認められるところ, 原告には以下のとおり [ 治療費等, 文書作成料, 装具代, 休業損害, 通院慰謝料, 後遺症慰謝料, 逸失損害 ] の損害 ( 損害額合計 374 万 8328 円 ) が生じたことが認められる 主文 被告は, 原告に対し,374 万 8328 円及びこれに対する平成 22 年 5 月 30 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え [ 被告は仙台高裁に控訴, 原告勝訴, 最高裁に上告受理申立, 不受理, 確定 ( 坂野法律事務所医療過誤受任事件一覧 : 原告側弁護士のコメント いわゆる針刺し事故にあっては医療機関側から不可避の合併症であるとの主張がなされる また手技の内容が記録されていることはなく再現は不可能である 本件では大腿動脈からの動脈血採取の際に大腿神経を傷つけることはほとんどなく ( 被告は皆無と主張した ) そのことが逆に不適切な手技を事実上推認させることとなった ( 坂野法律事務所医療過誤事件解決事例 ) 30 15
16 静岡地裁判決平成 原告 : 甲状腺腫瘍切除手術を受けた30 歳代の女性 被告 : 静岡赤十字病院を設置する日本赤十字社 不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求事件 事実の概要 被告日本赤十字社が設立した静岡赤十字病院 ( 以下, 被告病院 ) において, 甲状腺腫瘍 ( 切除後の病理検査の結果, 甲状腺乳頭がんと判明 ) 切除手術の前に, 点滴ルート確保のため, 左腕に末梢静脈留置針の穿刺を受けた原告が, 被告病院の看護師が十分な注意を払わずに穿刺行為を行うなどの過失があったため, 複合性局所疼痛症候群 ( 以下,CRPS(complex regional pain syndrome)) を発症し, 後遺障害を負ったとして, 被告に対し, 不法行為又は債務不履行に基づき, 治療費, 慰謝料, 逸失利益及び弁護士費用等の損害賠償合計 7171 万余を請求した 31 静岡地裁判決平成 裁判所は, 看護師は, 左腕の橈側皮静脈に穿刺することとし, 原告の左手関節から4ないし5センチメートル付近の部位 ( 本件穿刺部位 ) に留置針を穿刺した 原告は, 穿刺された瞬間, これまで点滴ルート確保の際には感じたことのない鋭い痛みを感じ, 痛い と声を上げた 看護師は, 原告に対して痺れの有無を確認したところ, 痺れはないと言われたことから, そのまま更に1ないし2ミリメートル進め, 留置針を留置した 本件穿刺部位には, 血液の漏出が見られ, 小さく膨らんだ内出血の痕ができた 看護師は, 点滴が落ちていなかったことから, 留置針が穿刺された状態のまま上記内出血の周辺を軽く叩くなどしたが, 点滴の落下等に変化がなかったことから, 留置針を抜いた 本件穿刺部位には, 皮下が腫れたような少なくとも3ミリメートル程度の大きさの瘤ができたところ,Z5 看護師は, ガーゼを当てて瘤を強く圧迫した 原告は, このときも強い痛みを感じた と認定した 32 16
17 静岡地裁判決平成 裁判所は,(1) 原告が主張する避けるべき部位へ穿刺した過失について, 本件穿刺行為当時, 手関節部から中枢に向かって12センチメートル以内の部位への穿刺について, 神経損傷の可能性があることから避けるべきである, あるいは, 避けた方がよいとの考え方が主流であったと認めることができるものの, 同部位への穿刺が禁じられ, 同部位への穿刺を避けなければならない旨の義務が医療水準として確立していたとまで認めることは困難 と判示した (2) 原告は, 小倉支部判決を引用し, 留置針の穿刺時にも, 肘部への穿刺等に努める義務がある旨主張 したが, 裁判所は, 穿刺後の固定や患者の活動性等を考慮する必要がある留置針の穿刺の場合には肘部への穿刺は避けるべきとする文献を引用して, 留置針の穿刺の場合である本件においては, 肘部での穿刺に努める義務があったとは認められない として, この点における看護師の過失を否定した 33 静岡地裁判決平成 裁判所は,(3) 留置針の穿刺の際, 神経損傷を避けるため, 何度も穿刺したり, 深く穿刺したりしないようにする義務があると認められ, これは, 被告も認めるところである と指摘した上で, 本件穿刺行為直後に原告の左腕に生じた血液の漏出は, 看護師が, 原告が痛みを訴えたにもかかわらずそのまま更に留置針を1ないし2ミリメートル進めた後に生じたものであること, 結果として, 本件穿刺部位には皮下が腫れたような少なくとも3ミリメートル程度の大きさの瘤ができたこと等が認められ, これらの事実に弁論の全趣旨を総合するならば, 上記の血液の漏出は, 看護師が留置針を深く穿刺し過ぎたために血管が傷付いたことによって生じたものと推認するのが相当である と述べた 17 34
18 静岡地裁判決平成 裁判所は, 原告は, 本件穿刺行為時にこれまで点滴ルート確保の際に感じたことがないような鋭い痛みを感じ, そこから更に留置針を1ないし2ミリメートル進められ, 留置針が穿刺された状態のまま本件穿刺部位を叩かれたこと, ガーゼを当てて瘤を強く圧迫された際も強い痛みを感じたこと, 本件穿刺行為以降, 左上肢の痛み及び痺れ等を感ずるようになったこと, 被告病院の医師は 橈骨神経浅枝の傷害を疑ったこと, 済生会病院の医師は 本件穿刺行為により左橈骨神経浅枝損傷を発症した旨の診断書を作成したこと などを掲げて, 本件穿刺行為によって原告の橈骨神経浅枝が傷害されたと認定した そして, これらに基づくと 看護師は, 本件穿刺行為において, 深く穿刺しないようにする義務を怠ったといえ, その点において義務違反があったということができる と判示した 裁判所は, 医療費, 慰謝料, 逸失利益の賠償, 弁護士費用として,6,102 万円余の支払を被告に命じた 35 東京高裁判決平成 控訴人 ( 第一審被告 ): 静岡赤十字病院を設置する日本赤十字社 被控訴人 ( 第一審原告 ): 甲状腺腫瘍切除手術を受けた ( 判決時 )40 歳代の女性 事件の経過 静岡地裁判決平成 に対して, 被告は, 本件穿刺行為を行った看護師に注意義務違反はなかったことなどを主張して東京高裁に控訴した 東京高裁は, 原判決の判決理由を引用して, 看護師が, 本件穿刺行為に当たり, 深く穿刺しないようにする注意義務を怠った過失があるものと判断する などと述べ, ( 証拠がないピアノ指導の月謝年額約 30 万円について ) 逸失利益の賠償額を減額したうえで5,696 万円余の損害賠償の支払いを控訴人に命じる判決を下した 日本赤十字社は, 東京高裁判決を不服として最高裁に上告受理申立てをしたが, 最高裁は, 平成 29 年 10 月 26 日, 申立てを受理しない決定を下した 18 36
19 東京高裁判決平成 東京高裁は, 多数の医学文献の記載を引いたうえで, 手関節部から中枢に向かって12センチメートル以内の部位への穿刺について, 神経損傷の可能性があることから避けるべきである, あるいは, 避けた方がよいとの考え方が主流であったと認められるし, 複数の医学文献に 深く穿刺して皮静脈を貫通しないよう注意する などと記載されているところであって, 手関節部から中枢に向かって12センチメートル以内の部位に穿刺する場合に, 橈骨神経を損傷しないように注意して行うべき義務があるのは当然である と判示した また, 控訴人が 原判決はA 看護師が血管を深く穿刺し過ぎたと認定しているが, これは血管損傷であり, 神経損傷である橈骨神経浅枝の損傷とは何ら関係がない と主張したのに対して, 手関節部から中枢に向かって12センチメートル以内の部位への穿刺について, 神経損傷の可能性があることから避けるべきである, あるいは, 避けた方がよいとの考え方が主流であったと認められ, 深く穿刺し過ぎることは神経損傷の危険性を高めることになるから [ 医学文献と証言の引用 ], 橈骨神経浅枝の損傷と関係がないとはいえない として却けた 37 採血 ( 注射 ) 神経損傷事故の特徴 事実認定が困難 事実関係を記録するための工夫 Cf. 過失を認定する前提として 事実関係を確定する必要がある しかし 最初に述べたとおり 採血等は日常 頻繁に行われる医療行為であるため 充分な記録がなく 記憶も曖昧であることが多い そのために事実関係の確定ができず それが紛争を長期化させる原因となる場合もある そこで 痛みの申告があったか否か 穿刺部位はどこかなどを簡単に記入できるようにカルテを工夫するなどの措置を執ることも一考の価値がある ( 平岡敦 注射で神経損傷 の訴訟に注意を : 注意義務を検討せず 過失認定 のケースも 年 2 月 19 日配信 ) 被害の主観性が強いことが多い 神経損傷は不可避か 不可避だとした場合, インフォームド コンセントの要件における説明義務 過失 : 因果関係が認められて過失を検討 19 38
20 ご清聴ありがとうございました 当日映写したスライドと配付資料の PDF ファイルは, セミナー後, 数日中に に掲出します 39 20
た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (
平成 2 6 年 9 月 2 5 日午後 1 時 1 5 分判決言渡し ( 3 号法廷 ) 平成 2 3 年 ( ワ ) 第 4 1 号損害賠償請求事件 東京地方裁判所民事第 2 部 増田稔 ( 裁判長 ), 替藤充洋, 不破大輔 判決要旨 当事者 原告国立市 被告上原公子 ( 元国立市長 ) 主文 原告国立市の請求を棄却する 訴訟費用は原告国立市の負担とする 事案の概要 本件訴訟に至る経過 1 (
控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し
平成 25 年 7 月 4 日判決言渡平成 25 年 ( 行コ ) 第 71 号不作為の違法確認請求控 訴事件 主 文 1 本件控訴を棄却する 2 控訴費用は控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 厚生労働大臣が平成 22 年 4 月 15 日付けで控訴人に対してした被保険者期間を411 月, 年金額を179 万 4500 円とする老齢厚生年金支給処分を取り消す
平成 30 年 ( 受 ) 第 269 号損害賠償請求事件 平成 31 年 3 月 12 日第三小法廷判決 主 文 原判決中, 上告人敗訴部分を破棄する 前項の部分につき, 被上告人らの控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする 理 由 上告代理人成田茂ほかの上告受理申立て理由第
平成 30 年 ( 受 ) 第 269 号損害賠償請求事件 平成 31 年 3 月 12 日第三小法廷判決 主 文 原判決中, 上告人敗訴部分を破棄する 前項の部分につき, 被上告人らの控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする 理 由 上告代理人成田茂ほかの上告受理申立て理由第 5について 1 本件は, 統合失調症により精神科の医師である上告人の診療を受けていた患者 ( 以下 本件患者
平成 年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官
平成 27 年 1 月 29 日判決言渡平成 26 年 ( ネ ) 第 10095 号不正競争行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 25 年 ( ワ ) 第 28860 号 ) 口頭弁論終結日平成 26 年 12 月 17 日 判 決 控訴人 ( 一審原告 ) X 訴訟代理人弁護士勝部環震 被控訴人 ( 一審被告 ) Y 被控訴人 ( 一審被告 ) 株式会社宝島社 両名訴訟代理人弁護士芳賀淳
求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする
平成 27 年 ( 受 ) 第 766 号損害賠償請求事件 平成 28 年 9 月 6 日第三小法廷判決 主 文 1 原判決中, 上告人の被上告人ら各自に対する1 億 6 500 万円及びこれに対する平成 20 年 1 月 23 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員の支払請求に関する部分を破棄する 2 前項の部分につき, 本件を東京高等裁判所に差し戻す 3 上告人のその余の上告を却下する 4
民法 ( 債権関係 ) の改正における経過措置に関して 現段階で検討中の基本的な方針 及び経過措置案の骨子は 概ね以下のとおりである ( 定型約款に関するものを除く ) 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置 民法総則 ( 時効を除く ) における改正後の規定 ( 部会資
民法 ( 債権関係 ) 部会資料 85 民法 ( 債権関係 ) の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討 (18) 目次 第 1 民法総則 ( 時効を除く ) の規定の改正に関する経過措置... 1 第 2 時効の規定の改正に関する経過措置... 1 第 3 債権総則の規定の改正に関する経過措置... 2 第 4 契約総則 各則の規定の改正に関する経過措置... 4 i 民法 ( 債権関係 )
2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆
2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆 T. Kurita 2 目 次 1. 執行文に関する争いの解決 ( 民執 32 条 -34 条 ) 2. 請求異議の訴え ( 民執 35 条 ) 3. 執行停止の裁判 ( 民執 36 条 37 条 ) 執行文の付与等に関する異議 (32 条 ) 債権者 執行文付与申立て 執行文付与拒絶 債権者 異議 書記官 事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官
最高裁○○第000100号
平成 28 年 2 月 15 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 17362 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 27 年 12 月 9 日 判 決 原告株式会社ティアラ 被告 A 同訴訟代理人弁護士冨田烈 同河野佑果 主 文 1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求被告は, 原告に対し,375 万円及びこれに対する平成
従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の
平成 28 年 ( 受 ) 第 2076 号損害賠償請求事件 平成 30 年 2 月 15 日第一小法廷判決 主 文 原判決中上告人敗訴部分を破棄する 前項の部分につき, 被上告人の控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする 理 由 上告代理人後藤武夫ほかの上告受理申立て理由 ( ただし, 排除されたものを除く ) について 1 本件は, 上告人の子会社の契約社員として上告人の事業場内で就労していた被上告人が,
〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した
( 宅建 ) 要点解説講義 要点確認テスト 4 権利関係 4 問題 制限時間 20 分 問 1 Aは 所有する家屋を囲う塀の設置工事を業者 Bに請け負わせたが Bの工事によりこの塀は瑕疵がある状態となった Aがその後この塀を含む家屋全部をCに賃貸し Cが占有使用しているときに この瑕疵により塀が崩れ 脇に駐車中の D 所有の車を破損させた A B 及びCは この瑕疵があることを過失なく知らない
法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合
Q45. 有期契約労働者が正社員と同じ待遇を要求する 1 問題の所在有期契約労働者の労働条件は個別労働契約, 就業規則等により決定されるべきものですので, 正社員と同じ待遇を要求することは認められないのが原則です しかし, 有期契約労働者が正社員と同じ仕事に従事し, 同じ責任を負担しているにもかかわらず, 単に有期契約というだけの理由で労働条件が低くなっているような場合には, 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士
平成 30 年 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 21931 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 明 夫 尾 西 祥 平 塩川理恵 松本雄真 主 文 1 被告は, 原告に対し, 別紙侵害行為目録記載の行為に係る別紙発信者
1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消された
1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消されたとき C は A に対して土地の所有権の取得を対抗できる (96-51) 2 A が B の欺罔行為によって
< F2D947A957A8E9197BF F81408ED DE092638AD6>
国際裁判管轄法制部会資料 10 平成 20 年 12 月 19 日 社団 財団関係の訴えの類型 社団 財団関係の訴えの相関図 社団 財団 イ 1(1) ロ ハ 1(3) 1(4) 2(1) 社員役員発起人 検査役 イ ニ 1(2) 1(5) 2(2) 2(3) 社員債権者役員 ( 注 ) 実線の矢印が法第 5 条第 8 号の訴えを示し ( 矢印の始点が原告, 終点が被告 ), イ ないし ニ の表記は法第
PICC 挿入手順サマリー 詳細は各手順のページで解説されています 1 体位は仰臥位 できるだけ上腕を外転させる この体位で, 消毒をする前に穿刺する静脈をエコーで同定しておく (p.47) 3 ニードルガイドに穿刺用針を装着する (p.51) 消毒して覆布をかけ, エコープローブに
PICC 挿入手順サマリー 詳細は各手順のページで解説されています 1 体位は仰臥位 できるだけ上腕を外転させる この体位で, 消毒をする前に穿刺する静脈をエコーで同定しておく (p.47) 3 ニードルガイドに穿刺用針を装着する (p.51) 1 2 3 2 消毒して覆布をかけ, エコープローブに滅菌カバーをかけ, 再度, 穿刺する静脈の走行, 位置などを確認する (p.47,51) 7 念のため,
Microsoft Word - 3大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要_村上.docx
3 大疾病保障特約付団体信用生命保険の概要 一般団体信用生命保険 3 大疾病保障特約 死亡保障 + 高度障害保障 全国保証 ( 一社 ) しんきん保証基金 保険契約者全国保証 信金中央金庫 申込時年齢と 実行時年齢 満 20 歳以上満 50 歳未満 満 18 歳以上満 51 歳未満 脱退年齢満 75 歳となる誕生月の前月末満 75 歳に達した年の 12 月 31 日 この契約からの脱退 保険金の支払い事由に該当したとき
Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16
プロダクト バイ プロセス クレームに関する 審査基準の点検 改訂について 1. 背景 平成 27 年 6 月 5 日 プロダクト バイ プロセス クレームに関する最高裁判決が2 件出された ( プラバスタチンナトリウム事件 最高裁判決( 最判平成 27 年 6 月 5 日 ( 平成 24 年 ( 受 ) 第 1204 号, 同 2658 号 ))) 本事件は 侵害訴訟に関するものであるが 発明の要旨認定の在り方にも触れているため
社会福祉法人○○会 個人情報保護規程
社会福祉法人恩心会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条本規程は 個人の尊厳を最大限に尊重するという基本理念のもと 社会福祉法人恩心会 ( 以下 本会 という ) が保有する個人情報の適正な取り扱いに関して必要な事項を定めることにより 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守することを目的とする ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱うに当たっては その利用目的をできる限り特定する
〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している
( 宅建 ) 要点解説講義 要点確認テスト 1 権利関係 1 問題 制限時間 20 分 問 1 意思無能力者又は制限行為能力者に関する次の記述のうち 民法の規定及び判例によれば 正しいものはどれか 1 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合 その者が意思能力を回復した後に その意思表示を取り消すことができる 2 未成年者が土地を売却する意思表示を行った場合 その未成年者が婚姻をしていても
O-27567
そこに そこがあるのか? 自明性 (Obviousness) における固有性 (Inherency) と 機能的クレーム (Functional Claiming) 最近の判決において 連邦巡回裁判所は 当事者系レビューにおける電気ケーブルの製造を対象とする特許について その無効を支持した この支持は 特許審判部 (Patent and Trial and Appeal Board (PTAB))
年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 2
年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 27 年厚生労働省令第 144 号 ) が 平成 27 年 9 月 24 日に公布され 平成 27 年
肘関節の解剖 手首で避けるべき場所 採血ポイント 採血禁止ポイント 肘正中静脈が採血には最も適しているが 深層には上腕動静脈や正中神経があり 静脈を貫通する手技はさけた方が良い 手背の解剖 ( 文献 12 より引用改変 ) 採血に適した血管 : 肘正中皮静脈 橈骨正中皮静脈避けるべき血管 : 尺側正
採血時の末梢神経損傷 事例 54 歳女性 高血圧 糖尿病のために一般内科に通院している 採血室にて 右正中肘静脈より 静脈穿刺をされたところ 前腕に強い放散痛を感じた A. 基本的事項 徴候採血時の放散痛 痺れ ひびいた しびれた びりびりした痛み との訴えが多い 肉眼的な異常所見は認められないことが多い 遅発性 ( 数週間以降 ) に症状を呈する場合があることも念頭に置く Complex Regional
平成 年(オ)第 号
平成 25 年 ( 行ヒ ) 第 35 号固定資産税等賦課取消請求事件 平成 26 年 9 月 25 日第一小法廷判決 主 文 原判決を破棄する 被上告人の控訴を棄却する 控訴費用及び上告費用は被上告人の負担とする 理 由 上告代理人岩谷彰, 同水島有美, 同谷川光洋の上告受理申立て理由について 1 本件は, 被上告人が, 坂戸市長から自己の所有する家屋に係る平成 22 年度の固定資産税及び都市計画税
平成6年2月1日 597 87 とか 看護婦や医療ソシアルワーカーによる面接で概 どの措置をとることなどが義務付けられている なお 要をチェックし それを基にして主治医が最も重要な これらの措置は法ないし規則の定めるところであり 問題点を確かめるのがよい その通知は文書の形で行われるのが望ましい 精神衛生問題や教育問題などの援助機関として利用 前記の学校の法的義務に対する責任は 当然学校に 可能なものを準備しておき
丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の
税務訴訟資料第 263 号 -249( 順号 12373) 東京地方裁判所平成 年 ( ) 第 号裁決取消請求事件 国側当事者 国 ( 国税不服審判所長 ) 平成 24 年 4 月 24 日棄却 控訴 判原告被告同代表者法務大臣裁決行政庁同指定代理人 決 選定当事者甲 ( 選定者は別紙選定者目録記載のとおり ) 国小川敏夫国税不服審判所長孝橋宏渡邊未来子野村昌也山口克也阿部晃子小板橋賢一甲斐香 主文
〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか
( 宅建 ) 要点解説講義 要点確認テスト 2 権利関係 2 問題 制限時間 20 分 問 1 不動産の物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち 民法の規定及び判例によれば 誤っているものはどれか なお この問において 第三者とはいわゆる背信的悪意者を含まないものとする 1 甲不動産につき兄と弟が各自 2 分の1の共有持分で共同相続した後に 兄が弟に断ることなく単独で所有権を相続取得した旨の登記をした場合
5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的
仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) について 1 条例制定の趣旨 債権 とは 仙台市が保有する金銭の給付を目的とする権利のことで 市税や国民健康保険料 使用料 手数料 返還金 貸付金など様々なものを含みます そして 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理を 債権管理 といい 具体的には 納付通知書の送付や台帳への記録 収納状況の管理 滞納になった場合の督促や催告 滞納処分 強制執行 徴収の緩和措置等の手続きを指します
平成19年(ネ受)第435号上告受理申立理由要旨抜粋
申立理由要旨 第 1 事案の概要 本件は, 申立人が,( 勤務先にて犯罪行為などの告発を行った後 ), 映像等の記録にも残る告発の具体的事項のいっさいについての事実確認なしに被害妄想とされ, 突然一人暮らしのマンションの部屋にチェーンキーを破壊するなどして押し入られ違法に拉致されて精神科病院に連行され, 内容を知らされない報告書等を基に診断が下され, 即日より同病院の閉鎖病棟に 72 日間に渡り入院させられたが,
2. 本サービスの申込者において 本規約に反する事由 本サービスへの申込みが適当でない と当社が判断する事由等がある場合には 当社は 本サービスへの申込みを承諾しないこ とがあります 第 5 条 ( 利用契約の成立時期 ) 1. 当社が当該申込みを承諾したときに利用契約が成立するものとします ネット
お買い物優待サービス (L) 利用規約 第 1 条 ( 規約の適用 ) 1. 株式会社 U-MX( 以下 当社 といいます ) は この お買い物優待サービス (L) 利用規約 ( 以下 本規約 といいます ) を定め お買い物優待サービス (L) ( 以下 本サービス といいます ) を提供します 2. 本サービスの申込者は 第 2 条第 2 号に規定する ネットスーパーサービスに関して株式会社ローソン
標準契約書
標準契約書 ( 通所リハビリテーション ) 熊本市熊本県弁護士会 通所リハビリテーション標準契約書 利用者 ( 以下 甲 という ) と事業者 ( 以下 乙 という ) とは 通所リハビリテーションサービスの利用に関して次のとおり契約を結びます ( 目的 ) 第 1 条乙は 介護保険法等の関係法令及びこの契約書に従い 甲がその有する能力に応じて可能な限り自立した日常生活を営むことができるよう通所リハビリテーションサービスを提供し
11総法不審第120号
答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した精神障害者保健 福祉手帳の障害等級認定に係る審査請求について 審査庁から諮問が あったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件審査請求は 棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は 東京都知事 ( 以下 処分庁 という ) が請求人に対し 発行年月日を平成 2 8 年 8 月 5 日として行った精神障害者保健福祉手帳
平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2
平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅱ)(1 単位 ) 200 点 3. 脳血管疾患等リハビリテーション料
に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合
D-102 キャッチフレーズ 著作権侵害等差止等請求事件 : 東京地裁平成 26( ワ )21237 平成 27 年 3 月 20 日 ( 民 29 部 ) 判決 < 請求棄却 > キーワード 広告 ( 新聞 ウェブサイト ), キャッチフレーズ, 著作物, 不正競争 ( 商品等 表示 ), 一般不法行為, 競争関係の有無 事案の概要 1 本件は, 原告 ( 株式会社エスプリライン ) が, 被告
Webエムアイカード会員規約
Web エムアイカード会員規約 第 1 条 ( 目的 ) Web エムアイカード会員規約 ( 以下 本規約 といいます ) は 株式会社エムアイカード ( 以下 当社 といいます ) がインターネット上に提供する Web エムアイカード会員サービス ( 以下 本サービス といいます ) を 第 2 条に定める Web エムアイカード会員 ( 以下 Web 会員 といいます ) が利用するための条件を定めたものです
(Microsoft Word - \201iAL\201jAG-Link\227\230\227p\213K\222\350.doc)
AG-Link 利用規定 第 1 条 ( 定義 ) 本規定において使用する用語を以下の通り定義します 1 弊社東京海上日動あんしん生命保険株式会社をいいます 2AG-Link 弊社が提供し 主として代理店および 募集人が使用する情報システムを利用したサービスの呼称です 3 代理店弊社と募集代理店委託契約を締結し 保険業務に従事するものをいいます 4 管理者代理店におけるAG-Linkの管理者をいいます
業務委託基本契約書
印紙 4,000 円 業務委託基本契約書 契約 ( 以下 甲 といいます ) と ( 選択してください : 株式会社ビーエスピー / 株式会社ビーエスピーソリューションズ )( 以下 乙 といいます ) は 甲が乙に対して各種研修 教育 コンサルティング業務 ( 以下 本件業務 といいます ) を委託することに関し 以下のとおり基本契約 ( 以下 本契約 といいます ) を締結します 第 1 条 (
