遺産分割協議書参考文例集

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1 遺産分割協議書 参考文例集 作成者神戸市中央区元町通 4 丁目 5 番 10 号日宝元町ビル501 行政書士橋本事務所行政書士橋本浩二

2 目次 注意事項 2 遺産分割協議書とは 3 遺産分割協議書作成するには 3 相続人調査 4 遺産分割協議書の書き方 5 記載例 被相続人の表示 6 不動産 7 現金 預貯金 9 保険 10 有価証券 11 車 家財道具 11 負債 12 その他 13 署名押印 16 署名押印の仕方 17 綴じ方と契印 18 遺産分割協議書サンプル 19 専門家に依頼 21 1

3 注意事項遺産分割協議書は とても重要な書類です 作成される際は 文言等に注意してください あいまいな表現はトラブルのもとです 後のトラブルを防止するためには 専門家のアドバイスやサポートを強くお勧めいたします 本冊子に記載した文面は 法律上の有効性を担保したものではございません そのまま記載したからといって 必ず法律上有効であるとは限りません 個々の事情に合うように活用 応用してください 本冊子を利用したユーザー様に損失や損害が発生した場合でも 全ての事情を考慮できないため 当事務所はかかる損失や損害について一切の責任を負うことができません あらかじめご了承ください 本冊子は 平成 19 年 5 月現在の法令に基づいたものです 2

4 遺産分割協議書とは誰がどの財産を相続するのかを記載した文書です 遺産分割協議書作成の目的は主に二つ 1 相続手続不動産の名義を変更したり 預貯金の払戻しや名義変更 車の名義変更など 故人の所有していた財産を相続するには それぞれの財産について手続が必要です その相続手続に 遺産分割協議書が必要になります 手続ごとに必要ですので 多めに作成しておくと良いでしょう 2 合意文書遺産分割協議書は 相続人全員が遺産の分割について合意したときに作成します 文書にすることで 言った言わない 約束したしない などのトラブルを防ぐことができます 相続人が合意した重要な証拠になります 遺産分割協議書を作成するには 1 相続人の確定まずは遺言書の有無を確認します 次に 被相続人の除籍を取り寄せ 誰が法定相続人かを調査します 2 相続財産を確定被相続人名義の不動産や預貯金 株や車などを調査します もちろん負債も相続の対象になります 3 遺産分割協議を開催相続人 相続財産が確定すれば 遺産分割協議を行い誰がどの財産を相続するかを話し合いで決定していきます 遺産分割協議は 必ず相続人全員が参加しなければなりません 3

5 相続人調査 相続人調査とは 誰が相続人になるのかを知るために 亡くなられた方の出生 から死亡までの戸籍を順々にさかのぼって調べることです 相続人は既に分かっているという場合も 被相続人と相続人が確定するまでを つなぐ 連続した戸籍調査が必要です 被相続人と相続人の戸籍だけでは手続はできません 連続していないといけません 戸籍を調べることで新たな相続人の存在が明らかになることがあります 相続手続きをする上で 相続人調査は欠かせません しかし 戸籍の収集と戸籍を解読していく作業は 大変面倒で手間ひまがかかります そういったとき 相続人調査を専門家に依頼するメリットがあります 相続関係説明図住所 ( 死亡時の住民票の住所 ) 本籍 ( 死亡時の本籍地 ) 死亡年月日 4

6 遺産分割協議書の書き方書式は自由です 縦書きでも横書きでもOK 相続登記等 一般的にはA4 横書きです 自筆でもパソコンで作成してもOK ただし 鉛筆はダメです 紙はなんでもOK 署名は必ず自署してください 印鑑は実印が一般的です 相続登記や預貯金の手続等は実印押印が必要です 作成枚数は ( 相続人の数 + 手続で提出する数 ) 各相続人が1 通ずつ保管するのが通常です 手続終了後 提出先によっては返してもらえる場合もありますが手続の件数分作成しておくと 相続手続がスムーズです 遺産分割協議書は必ず1 通に全ての財産を記載する必要はありません 不動産は不動産についてのみの遺産分割協議書を 預貯金は預貯金についてのみの遺産分割協議書を または 1つの金融機関についてのみの遺産分割協議書をそれぞれ作成しても構いません 車や預貯金などは 各機関によって専用の用紙に署名押印しなければならない場合があります 事前に確認しておくとよいでしょう 5

7 被相続人の表示被相続人神戸一郎 ( 平成 19 年 3 月 1 日死亡 ) 最後の住所 最後の本籍 登記簿上の住所 神戸市中央区 町 1 番地 神戸市中央区 町 1 番地 神戸市中央区 町 1 番地 上記被相続人の遺産について 次のとおり遺産分割協議を行った 平成 19 年 3 月 1 日 神戸市中央区 町 1 番地神戸一郎の死亡に より開始した相続の共同相続人である神戸太郎神戸花子 2 名 は その相続財産について 次の通り分割を協議し 決定した チェックポイント 被相続人の住所は住民票 ( 住民票除票 ) の通り記載しましょう 6

8 不動産 第 1 条相続人神戸太郎は 次の不動産を取得する 土地 所在 地番 地目 地積 建物 所在 神戸市中央区 町 1 丁目 1 番 3 号 宅地 m2 神戸市中央区 町 1 丁目 2 番地 1 号 家屋番号 2 番 1 号 種類 構造 床面積 居宅 鉄骨造スレート葺 1 階 m2 2 階 m2 1. 相続人神戸太郎 神戸花子は次の不動産を以下の割合で 取得する (1) 神戸市中央区 町 1 丁目 1 番 3 宅地 m2 (2) 同所同番地所在 家屋番号 1 番 3 床面積 神戸太郎持分 3 分の 2 神戸花子持分 3 分の 1 木造瓦葺 2 階建居 1 階 1 階 m2 2 階 m2 7

9 1. 下記の土地賃借権及び建物ならびにその他の遺産は神戸太郎 が取得する 記 (1) 下記土地につき被相続人が有していた建物の賃借権 所在 地番 地目 地積 神戸市中央区京町 1 丁目 1 番 3 号 宅地 m2 (2) 所在上記同所 3 番地 家屋番号 3 番 2 種類 構造 床面積 チェックポイント 居宅 鉄骨造スレート葺 1 階 m2 2 階 m2 第 1 条としても 単に 1 としても構いません 他に 一 や 壱 としても 法律上問題ありません 不動産の記載は登記簿謄本 ( 権利証 ) の通りに記載しなければ なりません 住民票の住所と登記簿上の地番は異なることが通常です 必ず登記簿謄本 ( 権利証 ) で確認しましょう 共有名義の場合は 持分の記載を忘れずに 8

10 現金 預貯金 2. 神戸太郎は 金 125 万円を取得する 2. 相続人神戸太郎は下記の財産を取得する 神戸銀行元町支店の被相続人名義の預金普通預金口座番号 のすべて 2. 相続人神戸花子は 次の被相続人名義の預金を取得する 神戸銀行元町支店普通口座口座番号 金 5,280,000 円ユーバンク銀行リンゴ支店普通口座口座番号 金 1,000,000 円チェックポイント金融機関 支店名 金額等 特定できるように記載しましょう 金融機関によって手続きが異なりますので 遺産分割協議書の 作成前に各金融機関に確認しましょう 9

11 保険 3. 相続人神戸太郎は次の保険の解約返戻金を取得する 神戸こども保険 (123) 第 号 3. 相続人神戸太郎は次の保険の満期共済金を取得する AA 共済建物更正共済 相続人神戸太郎は次の財産を取得する 前払保険料日本郵政公社学資保険 号 チェックポイント 死亡保険金が遺産分割協議の対象になるのは 受取人が単に相続人と なっている場合や 被相続人が受取人になっている場合などです 例えば 相続人が妻 A 子 B 子 C の 3 名 遺産が 1000 万円で 死亡保険金 1000 万円の受取人が子 C になっていました この場合 遺産を法定相続分で分けると 妻 A は 500 万円子 B は 250 万円子 C は 250 万円 となります さらに 子 C は遺産の 250 万円とは別に死亡保険金 1000 万円を 単独で受け取ることができます 他の相続人と分ける必要がありません 0

12 有価証券 4. 神戸太郎は次の遺産を取得する 株式会社神戸の被相続人名義の株式 1000 株 チェックポイント 株式は会社名等で特定できるようにしておきましょう 車 家財道具 5. 相続人神戸太郎は次の財産を取得する 車名 BMW 登録番号元町 333 ん 相続人神戸花子は兵庫県神戸市中央区 町 1 番地所在の 建物内の動産すべてを取得する チェックポイント 自動車の名義変更手続をする際は 遺産分割協議書の記載方法に ついて事前に確認しましょう 陸運局に専用の書式があります 1

13 負債 6. 相続人神戸花子は 被相続人の債務全てを承継する 6. 相続人神戸花子は被相続人名義の次の負債を承継する 金銭消費貸借契約 金 500,000 円 債権者 ファイナンス株式会社 6. 相続人神戸太郎は下記債務につき 連帯保証人の地位を 承継する 金銭消費貸借契約 金 300,000 円 利率 15.2% 債務者 債権者 クレジット株式会社 2

14 その他 ( ゴルフ会員権 ) 6. 相続人神戸太郎は次の遺産を取得する 株式会社 カントリークラブ ゴルフ会員権証書番号第 号 ( 電話加入権 ) 6. 相続人神戸太郎は次の財産を取得する 電話加入権 ( 年金未収分 ) 相続人神戸太郎は次の財産を取得する 厚生年金 平成 19 年 3 月未支給分 6. 相続人神戸太郎は 遺産取得の代償金として相続人神戸花子 に金 300 万円を支払うこととし 平成 19 年 4 月末日限り下記 口座に振り込んで支払う 神戸銀行 普通口座 記 京町支店 コウベハナコ 3

15 ( 税還付金 ) 6. 相続人神戸太郎は次の財産を取得する 神戸税務署所得税還付金 ( 葬式費用 ) 6. 被相続人の葬式費用については 相続人神戸太郎が 3 分の 2 相続人神戸花子が 3 分の 1 の割合で負担する ( 祭祀 ) 6. 家の祭祀は神戸太郎が承継する ( 祭祀 公租公課 ) 6. 神戸太郎は 被相続人名義の一切の公租公課及び葬式費用を 負担する ( 後日判明した財産 ) 6. 本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は 相続人 全員が その財産について再度協議を行うこととする ( 後日判明した財産 ) 6. 本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は 長男である 神戸太郎がこれを取得する 4

16 チェックポイント財産は 特定できるように記載しましょう 後日 新たな財産が判明した場合 どのような取り扱いにするのかを記載しておきましょう 負債について負債は相続人の一人が全て相続したり 法定相続分以外の 負担割合を決定しても 債権者は法定相続分の範囲で返済を 求めることができます その場合 返済を求められた相続人は 支払を拒むことができません 例えば 負債が 300 万円で相続人が長男 次男 長女の 3 名とします 長男が不動産を相続する代わりに負債も全て相続すると 遺産分割協議書に記載しても 債権者は 3 名それぞれに 100 万円ずつ返済を求めることができます 仮に次男が 100 万円支払った場合 相続人間では長男が 300 万円を負担すると遺産分割協議書に記載していますので 次男は自分が負担した 100 万円を長男に請求することが できます 5

17 署名押印上記協議の成立を証するため 署名押印したこの協議書を2 通作成し 各自 1 通保有する 平成 19 年 3 月 31 日 チェックポイント 住所神戸市中央区京町 1 丁目 1 番 1 号 氏名神戸太郎 印 住所神戸市西区日本橋 4 丁目 2 番地 1 氏名神戸花子 相続登記 預貯金の手続 車の名義変更など 遺産分割協議書 を相続手続の添付書類として提出する場合は実印の押印が 必要です 相続人数分作成し 各自 1 通を保管するのが通例ですが 相続手続用として多めに作成しましょう 契印 遺産分割協議書が数枚になる場合 1 枚目と 2 枚目 2 枚目と 3 枚目の間に契印 ( 割印 ) を押さなくてはなりません 印 6

18 署名押印の仕方 1 住所と氏名を自署します 住所は必ず印鑑証明書のとおりに記載しましょう 2 印鑑を押印します 印鑑は実印を押印するのが一般的です ( 相続手続に使用する場合は 必ず実印を押印しなければなりません ) 7

19 綴じ方と契印 遺産分割協議書が複数枚になる場合は 相続人全員による契印が必要です 契印で用いる印鑑は 署名押印で使用したものと同一でなければなりません 1 遺産分割協議書を重ね ホッチキスで止めます 2 両ページの見開きに またがるように契印を押印します 3 3 枚以上の場合は 2 枚目と3 枚目 3 枚目と4 枚目 と 全てのページに契印を押印します 袋とじにする場合は 1 遺産分割協議書を重ね ホッチキスで止めます 2 背の部分を帯状の紙や製本テープなどでのりづけします 3 遺産分割協議書とのりづけしたものとの境目に契印を押印します 8

20 遺産分割協議書 ( サンプル ) 平成 19 年 3 月 30 日 兵庫県神戸市中央区 町 1 丁目 1 番地 1 号 神戸太郎の死亡によって開始した相続における共同相続人である 神戸一郎 神戸次郎 神戸花子の3 名は その相続財産について 次のとおり遺産分割の協議をした 1. 相続人神戸一郎は 次の不動産を取得する (1) 兵庫県神戸市中央区 町 1 丁目 地番 宅地 2 番 3 号 120,18 m2 (2) 同所家屋番号 1 番 1 号木造瓦葺 2 階建居床面積 1 階 88.27m2 2 階 55.67m2 2. 相続人神戸次郎は 次の被相続人名義の預金すべてを取得する 金融機関名兵庫銀行 支店名 口座種 神戸支店 普通口座 口座番号 金 5,280,000 円 3. 相続人神戸花子は 次の遺産を取得する 株式会社 カントリークラブ ゴルフ会員権証書番号第 号 サンプル 1/2 9

21 4. 本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産は 相続人神戸次郎がこ れを取得する 以上のとおり 遺産分割協議が成立したので これを証するため この遺産 分割協議書 3 通を作成して 相続人全員が署名押印し 各自その1 通を保有す るものとする 平成 年 月 日 住所相続人住所相続人住所相続人 サンプル 2/2 0

22 専門家に依頼 遺産分割協議書は 相続手続に必要になるものです せっかく作成しても 不 動産の名義変更や預貯金の手続に使えないと 一から作成しなおさなければな らなくなり 持ち回りによる遺産分割協議 ( ) の場合 全員の署名押印をも らうために 再度書類を回さなければなりません 遺産分割協議書は相続人全員が合意した証拠として 文書にするという一面もあります 法律上問題のある文書では 後にトラブルになることがあります トラブルの原因として 遺留分や寄与分 特別受益などがあります 特別代理人を選任していないがための利益相反行為も 後にトラブルの原因になってしまいます また 自分で作成するにはインターネットや書籍等で調べたりといった 多大な時間や労力が必要になります 持ち回りによる遺産分割協議とは 遠方などで一堂に会しての遺産分割協議を開催できない場合 手紙や電話による遺産分割の話合いを行い 全員が合意すれば その合意内容を記載した遺産分割協議書を郵送によって各相続人で回しながら署名押印する方法です 1

23 本冊子ご利用の遵守事項 本冊子の内容について 一切のお問い合わせに応じておりません 業務の妨げになりますのでご遠慮ください 本冊子をご利用の方は 下記各事項を承諾したものとみなします 本冊子は 自分で遺産分割協議書を作成される方へ一般公開いたし ます 他の利用目的での使用は承諾しません 営利目的での利用 公演 講義それに類するものへの利用は一切お断りいたします 作成から年月が経過しておりますので 最新の法令に準拠していな い場合がございます 本冊子の利用は自己責任でお願いいたします かかる損害につきま しては 当事務所はその一切を負いません ご利用はあくまで参考程度としていただき 実際の書類作成や提出 は提出先にてご確認の上 その指示に従ってください 一般公開いたしますが いかなる著作権及び関連する権利について は放棄いたしません HP への流用 コンテンツの使用 流用 類 似商品への使用 流用その他 知的財産権の侵害は固く禁じます 遺産分割協議書参考文例集 平成 19 年 6 月作成 平成 25 年 3 月一部削除 作成者橋本浩二 (c)k.hashimoto 2