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1 5 月は 聖母マリアの月 です マリア様について知り マリア様に倣いましょう 1. マリアの生涯 ( 聖書を中心に ) ナザレのマリア マリアは ガリラヤ地方のナザレという村の出身です 今でもイスラエルの北の方にこの村は残っていて多くの観光客が訪れています 人口は今でも 5 千人に満たない規模なので マリアの時代には数百人程度だったかもしれません マリアは恐らく 土曜日ごとに村の会堂で開かれる聖書朗読の集会に出席し 説教の中で説かれるイスラエル民族を助ける救い主が間もなく誕生するという預言を何度となく聞いていたと思われます マリアは 他の娘たちと同じように 家事をしたり 畑仕事を手伝ったりして 貧しいながらも信仰深く また現実的な思慮豊かに育ったと思われます この地方の習慣に従い 12~13 歳ごろ にヨセフとの結婚が決まりました 天使ガブリエルのあいさつ ( ルカ 1:26~38) 天使がマリアに神のみ旨を告げる最初の言葉は おめでとう でした ラテン語で アヴェ 日本語で めでたし と訳されていますが 元の意味は 喜びなさい です マリアの天使からの言葉は 今日は というあいさつではなく 喜びへの招きとして告げられた と考えるのが自然でしょう 続く 民全体に与えられる大きな喜び ( ルカ 2:10) として救い主の誕生が天使から告げられていることからもわかります 天使は続いて マリア ではなく 恵まれた方 ( ルカ 1:28) と呼んでいます マリアは 全人類の中でも欠けのない完全な恵みに満たされたためにこのように呼ばれています 主があなたと共におられる は 旧約の頃から神が誰かを選びだし 大切でかつ困難な使命を委ねる時に使われる言葉 ( 創世記 31:3 出エジプト 3:12 ヨシュア記 1:5 など ) 神はマリアに 人類の救い主が生まれることを望まれましたが 人間の自由意志を尊重しました 神は あなたは賛同してくれますか? と私たち一人一人に呼び掛けています マリアは 私たちの第一人者として神のみ旨を受け入れ それによって人類の新しい救いの幕が切って落とされました 神の子の誕生のお告げ ( ルカ 1:29~37) マリアは 信仰熱心な女性ではありましたが それでも天使からの お告げ を受けたとき戸惑いを隠せませんでした ( ルカ 1:29) そして天使は マリアの恐れを取り除くために マリア 恐れることはない ( ルカ 1:30) と励まします 続く天使のことば ( ルカ 1:30~33) から マリアはいつも会堂で聞いている救い主が間もなく生まれること しかも自分がその母親になることを悟ったはずです 驚きながら天使に尋ねます 1

2 どうして そのようなことがあり得ましょうか 私は男の人を知りませんのに ( ルカ 1:34) この身になりますように ( ルカ 1:38) 会堂で聞いてきた救い主がこの世に来られるのは素晴らしい出来事としても 自分はまだ婚約中です マリアの中にもさまざまな不安がよぎったでしょう お腹が大きくなるとすれば周囲がどう思うでしょう? 誰も聖霊によって身ごもったなどという話を信じるでしょうか? 普通なら 姦通の罪で石殺しにされかねない状況です 簡単に はい などと答えられるでしょうか? しかしマリアは わたしは主のはしためです お言葉どおり この身になりますように ( ルカ 1:38) と戸惑いの後に 神のみ旨を受け入れます なりますように は ギリシア語の文法学者によると 希求法 で書かれているため 嫌ですが 仕方ないので受け入れます という意味ではなく 是非 そうなりますように と訳せるといいます つまり マリアは自分の身に降りかかりそうな困難をことごとく忘れて 神の救いの成就を喜んで受け入れます 後先のことを考えていません 自分にできることは何でも 主のはしため として奉仕する覚悟を一瞬で決めてしまいます エリザベト訪問 ( ルカ 1:39~45) 天使からのお告げを受けたマリアは 急いで親類のエリザベトを訪ねました 天使は 神にできないことは何一つない と言われた証拠として高齢のエリザベトの妊娠を知らせました マリアは 同じ喜びを分かち合うために彼女が住んでいた ユダの町 に出かけました ナザレから ユダの町 までは 早足でも 3~4 日の道のりでした マリアが先にあいさつをすると エリザベトも聖霊に満たされて大きな声で告げました ( ルカ 1:42~45) あなたは女の中で祝福された方です 胎内のお子さまも祝福されています わたしの主のお母さまがわたしのところに来てくださるとは どういうわけでしょう あなたの挨拶のお声をわたしが耳にしたとき 胎内の子は喜んでおどりました 主がおっしゃったことは必ず実現すると信じた方は なんと幸いでしょう マリアの賛歌 ( ルカ1:46~55) エリザベトの言葉を聞いたマリアの心には喜びが湧きおこり その口からは神への賛美の言葉が流れ出ました 教会の祈り の晩の祈りとして毎日唱える マグニフィカト と呼ばれるマリアの賛歌です マリアは 神からの特別な恵みを意識していますが 貧しい人との連帯意識を失うことはありませんでした わたしの魂は主をあがめ わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます 身分の低い この主のはしためにも目を留めてくださったからです 今から後 いつの世の人もわたしを幸いな者と言うでしょう 力ある方が わたしに偉大なことをなさいましたから その御名は尊く その憐れみは代々に限りなく 主を畏れる者に及びます 2

3 主はその腕で力を振るい 思い上がる者を打ち散らし 権力ある者をその座から引き降ろし 身分の低い者を高く上げ 飢えた人を良い物で満たし 富める者を空腹のまま追い返されます その僕イスラエルを受け入れて 憐れみをお忘れになりません わたしたちの先祖におっしゃったとおり アブラハムとその子孫に対してとこしえに イエスの誕生 ( マタイ 1:18~25) 3 カ月エリザベトのところに滞在したマリアは ナザレに戻りました その頃には 彼女が身ごもっていることが周囲からも分かるようになっていたかもしれません 夫になるヨゼフは 正しい人であったので マリアを表ざたにするのを望まず ひそかに縁を切ろうと決心した ( マタイ 1:19) と聖書にあります 正しい人 とは 憐れみ深い という意味です ヨゼフは 当時 姦通の罪への罰が石殺し ( 死刑 ) だったので それだけは避けたいと思ってマリアを逃がそうと ( 縁を切ろうと ) します しかし ヨセフは 主の天使 のお告げを信じ マリアの自分の家に迎え入れました そこで ナザレの人々は マリアのお腹の子はヨセフの子だと思うようになりました 神殿での奉献 ( ルカ 2:22~38) イエスが生まれて間もなく ヨセフとマリアはモーセの律法に従い 幼子イエスをエルサレムの神殿に連れて行き 初子の奉献式を行いました その時 神殿にいたシメオンとアンナの二人は 聖霊に導かれてイエスが救い主だと宣言します シメオンはマリアに シメオンは彼らを祝福し 母親のマリアに言った 御覧なさい この子は イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ また 反対を受けるしるしとして定められています あなた自身も剣で心を刺し貫かれます 多くの人の心にある思いがあらわにされるためです ( ルカ2:34~35) と告げます マリアはきっと 自分の子に何か大変なことが起こり 自分も大きな苦しみに巻き込まれることを予感したでしょう カナの婚宴 ( ヨハネ 2:1~11) 三日目に ガリラヤのカナで婚礼があって イエスの母がそこにいた イエスも その弟子たちも婚礼に招かれた ぶどう酒が足りなくなったので 母がイエスに ぶどう酒がなくなりました と言った イエスは母に言われた 婦人よ わたしとどんなかかわりがあるのです わたしの時はまだ来ていません しかし 母は召し使いたちに この人が何か言いつけたら そのとおりにしてください と言った そこには ユダヤ人が清めに用いる石の水がめが六つ置いてあった いずれも二ないし三メトレテス入りのものである イエスが 水がめに水をいっぱい入れなさい と言われると 召し使いたちは かめの縁まで水を満たした イエスは さあ それをくんで宴会の世話役のところへ持って行きなさい と言われた 召し使いたちは運んで行った 世話役はぶどう酒に変わった水の味見をした このぶどう酒がどこから来たのか 水をくんだ召し使いたちは知っていたが 世話役は知らなかったので 花婿を呼んで 言った だれでも初めに良いぶどう酒を出し 酔いがまわったころに劣ったものを出すものですが あなたは良いぶどう酒を 3

4 今まで取って置かれました イエスは この最初のしるしをガリラヤのカナで行って その栄光を現された それで 弟子たちはイエスを信じた この後 イエスは母 兄弟 弟子たちとカファルナウムに下って行き そこに幾日か滞在された イエスの公生活の間 マリアが重大な役割を果たす者として現われるのは カナの婚宴での出来事一回だけです カナという小さな村での披露宴の席でぶどう酒が残り少なくなりました マリアは 全体を見回すことができたのでそのことにいち早く気付きます ぶどう酒がなくなりました ( ヨハネ 2:3) しかし イエスの答えは ぶどう酒が足りなくなったので 母がイエスに ぶどう酒がなくなりました と言った イエスは母に言われた 婦人よ わたしとどんなかかわりがあるのです わたしの時はまだ来ていません という拒絶のように冷たい返事でした しかし マリアはイエスが承諾されたかのように 召使たちに この人が何か言いつけたら そのとおりにしてください と言った と言いつけます (2:5) イエスは 少し間をおいて召使たちに 6 つの水がめに水を一杯入れるように命じ 水を上等のぶどう酒に変えた ( ヨハネ 2:6~10) マリアのように 一度は願いが断わられますが 母親の必死の願いによってイエスに聞き届けられる話が他にもあります シリア フェニキアの娘と母親の話です ( マルコ 7:24~30) これらの話しは イエスの意志が 父なる神の意志が ときとして人々の必死の願いを通して 変えられることを物語っています そして このことはマリアへの取りなしの祈りの重要性をよく表しています 十字架のそばで ( ヨハネ 13:1 19:25~27) カナの婚宴のとき イエスは ご自分の 時 について語っていますが ( ヨハネ 2:4) その 時 が決定的になるのは イエスが受難を迎える時です さて 過越祭の前のことである イエスは この世から父のもとへ移る御自分の時が来たことを悟り 世にいる弟子たちを愛して この上なく愛し抜かれた ( ヨハネ 13:1) イエスが 十字架に架けられる時にときに再びマリアが登場します 釘打ちにされたイエスを十字架の下で見守ったのは マリアの他は数名の女性 ヨハネと思われる イエスの愛する弟子 でした イエスの十字架のそばには その母と母の姉妹 クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた イエスは 母とそのそばにいる愛する弟子とを見て 母に 婦人よ 御覧なさい あなたの子です と言われた それから弟子に言われた 見なさい あなたの母です そのときから この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った ( ヨハネ 19:25~27) 最愛の息子が 自分の目の前で苦しみながら死んでいくのをただ見ていなければならなかったマリアは どんなに辛かったことでしょう また イエスを亡くした時のマリアの苦しみは どれほど大きかったでしょう しかし そのような時でも マリアは み心どおり この身になりますように の言葉を心の中で唱え続けたに違 4

5 いありません マリアは 十字架から降ろされたイエスの遺体を きっと膝の上に乗せて抱いたことでしょう その様子は ピエタ としてミケランジェロをはじめとする芸術家が表現しています マリアは 人間の苦しみや悲しみにマリアは特別に与りました だから 私たちの苦しみをもマリアは必ず共にして下さるに違いありません イエスの復活に与る ( 使徒書 1:14) イエスが亡くなられた日は マリアの生涯の中で一番悲しい日でしたが イエスは三日目に復活されます 天の元后 喜びなさい あなたの宿した方は復活しました アレルヤ と歌うグレゴリオ聖歌で歌っています 聖書の中でマリアが最後に登場するのは 使徒言行録の初めの部分です 彼らは皆 婦人たちやイエスの母マリア またイエスの兄弟たちと心を合わせて熱心に祈っていた ( 使徒書 1:14) とあるように 弟子たちがイエスに命じられた通り エルサレムで 9 日間の祈りを捧げて聖霊が下るのを待っていた時です 熱心に祈って 聖霊を受けた人々の真ん中にマリアがいました その後 マリアの生涯について何も語ってはいませんが 聖霊に満たされて教会と人々のために祈り続けたでしょう 2. マリアに関してローマ カトリック教会が定めた教えマリアに関する教義 ( キリストへの信仰にとって必須の事柄でカトリック教会が正統と宣言している内容で信仰義務を伴うもの ) は以下の 4 つです これらの教義は キリスト教の諸教派にとってはにわかに信じがたく カトリックのマリアに対する狂信的態度と受け取られる向きがあります ( 神の母 に関してはキリスト教共通の理解) しかし どの教義もカトリック教会の伝統の中で培われたものでカトリック教徒としては違和感がないものです しかし 聖書的根拠や教義宣言の時期などについて 諸教派の中では疑問の声もあります 私自身は カトリック信徒してこれらの教義宣言についてしっかり理解し 説明できることは大切ですが 異論をもつ人の意見をしっかりと聴く姿勢が大切だと考えています 理解できない人に どうしてあなたは分からないのか と詰め寄る態度はマリアの本意ではないでしょう むしろ マリアの心 で人の話を聞けるか またわたしたちが マリアの心 を生きているかが問われているように感じます 1 神の母 (DS251:431 年エフェソ公会議 ) 神の母 という呼称は イエス キリストの神性と人性の論争のカギとなっています 結局イエスが神と人との両性を兼ね備えることを キリストの母 ( キリスト トコス ) ではなく 神の母 ( テオ トコス ) であるという呼称の宣言の中にこめています 2 終生の処女 (DS422:553 年第 2 コンスタンティノープル公会議 ) 母なるマリアが 処女 ( おとめ ) であったことは教会の最も古い ニケア コンスタンティノー 5

6 プル使徒信条 (381 年 ) にうたわれている そして カトリック教会は イエスの誕生以後もマリアが終生おとめであったことを信じている (553 年 ) この教義は マリアが人間的業ではなく超自然的力をもって御子を宿した根拠とされて イエスの誕生後に至っても信仰のみに信を寄せた証として生涯処女であったと公に宣言している しかし この処女性を肉体の特徴として捉えるのではなく 神への信仰のみに頼る霊的純粋さを表現していると理解する方が受け入れやすいかもしれない 3 無原罪と終生の罪のなさ (DS2800~2804:1854 年 12 月 8 日大勅書 インエファビリス デウス ) 神の子イエスを産むに当たりマリアは生まれる前から予防的にすべての罪から免れていたことを示しています 十全な 恵み を受けて誕生したマリアは その反対である 罪 から免れていたことになり 生涯にわたって全き 恵み が注がれ続けました 4 被昇天 (DS3901~3904:1950 年 11 月 1 日教皇令 ムニフィチェンティッシムス デウス ) 無原罪の神の母 終生処女であるマリアが その地上の生活を終った後 肉身と霊魂とともに天の栄光にあげられた ことを表現しています マリアは 身も心も天の栄光にある復活したキリストと共にあることを宣言しています 3. マリアの生涯から黙想するマリアの生涯を祈ることは 私たち信仰者のあり方を教えてくれます どのような心の態度で信仰を生きるのか 困難を抱える人にどう同伴するのか 抱える困難にどう立ち向かうのか どのように人々に奉仕するのか どう霊的に刷新し続けるのか 自分の不完全さをどう受け止めるのかを教えてくれます 1 母としての苦しみを味合われたマリア 2マリアの奉仕の仕方 3 生涯繰り返す はい 4マリアもパーフェクトではなかった 1 母としての苦しみを味合われたマリアマリアへの親近感は わたしたちの苦しみを理解してくださることへの信頼から生まれます 今日のわたしたちは イエスが十字架につけられたにもかかわらず三日後に復活したことを知っています しかし マリアはそうなると知っていたわけではありません 受胎告知 ( ルカ 1:26~38) からイエスが十字架上で死を遂げ 3 日目に復活するという神の計画をすべて知っていたわけではありません 神殿奉献でのシメオンの あなた自身も剣で心を刺し貫かれます ( ルカ 2:25~35) 12 歳の時のエルサレム巡礼でのイエスの どうして自分が父の家にいるのは当たり前だということを 知らなかったのですか ( ルカ 2:41~50) という不可解なことばなど マリアは 受 6

7 胎告知以来の数々の不思議な出来事を心に留めます 普通の母子の関係でないことにうすうす気が 付きながら マリアは息子イエスの将来を案じつつ大切に育てました 弟子たちがイエスを放り出して逃げ去っても マリアは息子から離れませんでした マリアは信仰のまなざしでこのような出来事を眺め 心に留めてきました 戸惑いと苦しみにあいながらも 信仰から離れることはありませんでした マリアは決して順風満帆な人生を歩んだ女性ではありませんでした すべての苦しみからあらかじめ逃れられたわけでは決してありませんでした むしろその逆に 普通の人以上に困難の伴う生涯を信仰を支えに生きた女性でした 悲しみの聖母 9 月 15 日ナザレのマリアは お告げの時から御子の十字架の下に至るまで 信仰の旅路を歩み続けた マリアは イエスの十字架上での苦しみと限りなく一致することを望んだでしょう また 母であるがゆえの嘆きは すべての時代 すべての民族に共通する感情です 母の愛し方は 神の愛し方に似ています 愚かなまでに子を愛することに徹底できるのは マリアと同様に母親の優れた資質です 殉教者たちは 十字架のもとにたたずみながらも信じ続けた聖母を模範としました 愛するがゆえに イエスと共に苦しむ母マリアは 全存在をもって苦しむ者の傍らにたたずむ母でもあります 日本の教会の礎を築いた殉教者たちは 悲しみの聖母 への信心に熱心でした 2. マリアの奉仕の仕方 ( カナの婚宴ヨハネ 2:1~11) 1. マリアは全体に目を向ける 福音書のこの物語の中には 台所で働く者 給仕する者 祝宴を盛り上げる者などが登場しますが マリアだけが全体を見ています マリアは全体を見回して何か不足していないかを観察していました マリアにも役割はあったでしょうが それでも彼女は観想の精神でその場に立ち会い 細かな物事にも気を配っていました マリアだけが ぶどう酒がありません の一言が言えた唯一の女性です 他にもぶどう酒の不足に気付いた人がいたかもしれませんが どのように対処していいのか分から なかったでしょう 知らぬふりをしたとも考えられます マリアは 自分の責任分野や得意分野だけに関わってその功績を誇るのではなく 全体を見まわします 自分に才能がなければ誰かに助けを求める心の自由さをもっていました マリアのカリスマは 教会全体を勇気づけ 弱く不足で痛む部分に注意を促し 気がついたことをすぐに表明し どうすればいいか適当な人に報告し 力添えを求めます 私たちも 教会 共同体においてマリアの心で教会に奉仕できるように願いましょう 自分たちだけで祝宴を楽しむのではなく 加わりたくても加われない人 ぶどう酒の喜びに与れない人の状況を捉え 人類の大饗宴が催せるようにマリアに願いましょう 2. マリアは恐れを知らない 7

8 ぶどう酒がない というマリアの知らせに イエスはすぐに対処するとは言われません それにもかかわらず マリアは召使たちに この人が何かいいつけたら その通りにして下さい 言いつけます マリアは自分の息子を信頼しています 私たちはこの信頼をすぐになくしてしまいます 私たちは状況の苦しさにひるみ それに足を取られて 信仰の徒渉 に踏み切れません 手近なところで手を打とうとしてしまいます マリアは観想の模範で 置かれた状況から逃げることはしません 状況が悪くても動じないことでもマリアは模範的です * 徒渉 とは 決定的な通過であり ためらいや執着をきっぱりと乗り越え もう 2 度と後戻りしない覚悟で決断したことを敢行することです 二度と引き返さないように 橋を切断して舟を焼き払ってしまうこと 3. 生涯繰り返す はい マリアの おことばどおり この身に成りますように という言葉は聖書には 1 度しか出てきませんが イエスについて起こるさまざまな不思議な出来事のたびにこの言葉を繰り返していたでしょう 私たちがキリストに倣う生き方をするにも 一度だけの はい では足りません 全生涯にわたって神の計画がこの身になりますように と願い続けなければなりません 神様のために より良いものを選択し続けなければなりません はい を繰り返す意識がなくなるとマンネリ化を生みます マンネリ化は 精神を緩ませ この程度のことをやっておけば大丈夫だろうと計算や打算に走る傾向を生みます また はい の心が薄れると 不安や恐れへの囚われが生まれ 新しいことへの取り組みに躊躇します マリアの はい は決断の刷新です 霊的刷新がなければ よどんだ水になります マリアの はい のために張りつめて生きる人は いつでも神が喜ばれることを最優先にします マリアの はい は 私たちが 臨終のとき まで追い求めるものです 4. マリア様もパーフェクトではなかった ( 神殿での少年イエスルカ 2:41~ 52) 神殿でイエスを見失った出来事は マリアの生涯を思い起こす上でとても重要な体験で 実は十字架の下にたたずむマリアにもつながっています マリアは神のことばに はい と答えた時に 神の神秘を受け入れる覚悟を決めました しかし 神の神秘を理解することの難しさをもマリアは経験しています 祭りの期間が終わって 少年イエスはエルサレムに残っておられたが 両親はそれに気付かなかった ( ルカ 2:43) 残る の語源は 住む 留まる です イエスが神殿に 残る ということは 神殿に 住む ということです エルサレムを住まいとするのは そこがイエスの居 8

9 場所であるということです イエスと神殿との間の親近感がすでにこの出来事の中にほのめかされています イエスの感じる 神殿への親近感と両親の無理解は対象的です 少年イエスを見失ったマリアの戸惑いは 小さなことではありません 普通 母親は子どもが何に興味を示すか感づいています 監視の目を逃れていく先さえ熟知しているものです しかし その場でマリアはイエスの行動を予測することができませんでした マリアとヨセフは イエスが いるものと思い と イエスがエルサレムに居残ったかもしれないことに全く考えが及んでいません それから 探し回った という訳から 二人がイエスのことを心配もせず 1 日のんびり過ごしていたことを想像させます 両親はこのとき イエスの頭にあることが全く理解できていませんでした 私たちも同じ過ちを犯します 自分の仕事にかまけて大切なことを見落としてしまいます 後になって もっと相手のために力になって挙げるべきだったと反省します マリアも 状況を全体的につかむ感覚を一時的にしろ失っていました それは 私たちのもろさを一緒に担って下さっていることを意味するのでしょう マリアにだってこういうことが起きた 彼女だっていつもうまくいくわけではなかった どうしたらいいかわけが分からない こんなことってあるんだろうか? という戸惑いの時に聖母アリアは わたしたちと共 にいて下さいます マリアは 私たちには理解できないことが沢山あることをご自身の経験を通して私たちに分からせてくれます また マリアはご自身の姿によって謙遜に出来事を受け入れることを模範として示して下さいました 5. まとめカトリック教会は マリアへの崇敬をとても大事にしてきました 私自身の経験からしても 神様またはイエスに直接祈ることよりも マリアに間に入ってもらう方が願いやすいことがあります 特に ロザリオの祈りは素朴ですが マリアの生涯を観想するのにうってつけです ロザリオの祈りは 深い信心を私たちに植え付けてくれます マリアの心を自分の心とする習慣が知らず知らずの間に身について来ます 日常生活でどのように祈ったらよいか分からない方には是非お勧めです ( 推薦図書は 目からウロコロザリオの祈り再入門 来住英敏著 女子パウロ社 2001 年 ) マリアは常に人々と共に歩まれました マリアの生涯を黙想することで 霊的に潤い 活力ある信仰生活を送れることを願っています とりなし手であるマリアマリアは 苦しむ人類の母 そして祈る教会の母です ( 使徒書 1:14) 教会では 12 世紀頃から 救い主と聖母の生涯の出来事を黙想するロザリオの祈りが教会の中で起こってきました ロザ 9

10 リオの祈りは イエスの生涯を追いつつ 願いたいことをマリアを通して 息子イエスと御父である神様にとりなしてもらう素朴で単純な祈りです この効果は絶大です わたしの信仰生活の発展と 修道生活の歩みがそれを物語っています 信じて願う者にイエスも御父も弱いのです まして 救い主の母であるマリアがとりなしとあれば なおさらのことです マリアは わたしたちにとって頼もしく強力な祈りのとりなし手なのです しかし マリアはあくまで御父とイエスへとりなす方であり イエスや御父に代わるものではありません また マリアがイエスと共に人類の罪を贖われた ( 共贖罪 ) という考え方は カトリック教会も認めていません 現代人に語るマリア- 苦しみを共にするマリア現代は 苦しみと不安にあふれた時代です 将来安泰だと確信を持てる人はほとんどいないでしょう 逆に自殺者が高い数字で安定していることからわかるように 生きる望みを奪われた人がこれまで以上に多い時代です このような時代に 天に上げられた栄光のマリア よりも人々と 苦しみを共にするマリア を語る方がかなっているでしょう 教会を訪れる人の中にも 深い孤独感がぬぐえない方がいます 孤独や悲しみに沈む人々にできることは共にいることしかありません マリアが十字架のそばで 最愛の子イエスに付き添われたように ( ヨハネ 19:26) わたしたちもただ悲しみを共にすることしかできないときがあります そのことに どれほどの意味があるかその時は分かりませんが 悲しみを共にしてくれる人がいることが いつの日かその人に立ち上がる力を与えてくれます わたしたちが 現代に果たすマリアの役割は重く またその機会は多いのです 問われているわたしたちわたしたちが関わる何人かは 心身の不調や家族の問題を抱えながら生活をされています わたしとしては 誠意をこめて何とか今の状況を脱して欲しいと努力していますが 苦しい状況は簡単には変わりません 時に わたしでは何も役に立たないのではないかと投げ出したくなることがあります そんな時に マリアさまならどうされただろう とふと考えます カナの婚礼での場面 ( ヨハネ 2:1~11) での引き下がらない態度 十字架上でのイエスの最後の場面 ( ヨハネ 19:25~27) で味わった悲しさ これらの彼女の体験が 今生きているわたしたちの信仰生活の中で再現されようとしていることに気付かされます すぐに目に見える成果が出なくても 失望せずに主を信頼し続ける粘り強さが大切なことをわたしに教えてくれます わたしたちの信仰生活の途上に いつもマリアさまは共にいて励ましてくださる わたしたちも 信仰の母マリアと共に弱い人を助け起こすようにと呼びかけられています 10

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<4D F736F F D20837D838A E836A96D9917A89EF814091E688EA96D9917A E646F6378> マリア様ミニ黙想会 * マリア様にすがった体験の紹介 第一黙想. マリアの生涯を祈る ( 聖書を中心に ) ナザレのマリアマリアは ガリラヤ地方のナザレという村の出身です 今でもイスラエルの北にこの村は残っていて多くの観光客が訪れています 人口は 5 千人に満たない規模なので マリアの時代には数百人程度だったかもしれません マリアは恐らく 土曜日ごとに村の会堂で開かれる聖書朗読の集会に出席していました

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られました このエルサレムとサマリアでの出来事については 山下先生が 元旦礼拝と先週の礼拝で メッセージを取り次いで下さいました [1] 王の役人への対応さて今日は カナで行われた二回目の奇跡です カファルナウムの町からヘロデ王の役人が訪ねて来ました 歩いて一日以上もかかる距離です それでもはるばる 2016 年 1 月 17 日川越教会 夜道を独り歩く 加藤享 [ 聖書 ] ヨハネによる福音書 4 章 46~54 節イエスは 再びガリラヤのカナに行かれた そこは 前にイエスが水をぶどう酒に変えられた所である さて カファルナウムに王の役人がいて その息子が病気であった この人は イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞き イエスのもとに行き カファルナウムまで下って来て息子をいやしてくださるように頼んだ

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束の地カナンに入ることが許されなかった 9 死を前にして ヨシュアを後継者に任命し 120 歳でモアブのネボ山で死んだ 10 モーセという人は 地上のだれにもまさって非常に謙遜であった ( 民数記 12:3) 11 自分を しもべとして神の家全体のために忠実でした ( ヘフ ル 3:5) 新約聖書に 申命記をどのように適用すればよいか 福島 勲 申命記は神の人モーセの説教です ただモーセのというのではなく 120 歳になった預言者モーセの言葉です そこには 40 年間の荒野の訓練を通過した者の学びがあります 創世記から民数記までの四書にまさるとも劣らない御言葉に満ち満ちています 主イエスは この申命記から最も多くの御言葉を引用されました 世界中の多くの憲法はこの申命記をモデルにしたと言われます

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の詩や歌があるかもしれません もちろん 賛美歌が挿入されることもあります しかし ほとんど の場合 礼拝のこの部分は 信経または信仰の宣言をそのクライマックスとして持つことが適切です 準備言葉の典礼が明らかになると それに対する準備とそれに対する祈りの反応がどのように適合しているかが分かりやすくなり 日本聖公会の み言葉の礼拝 は 主日に司祭が居ない時 信徒で行なう礼拝 あるいは執事が司式して行う礼拝になっています それは現在の聖餐式の形を変えずに 信徒が戸惑わないように作られているような印象を受けます しかし 2000 年にできたイングランド教会の祈祷書に示された み言葉の礼拝 や 2001 年にできたアイルランド聖公会の み言葉の礼拝 を見ますと 現在の朝夕の礼拝や聖餐式では対応できない現代の人々に

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<4D F736F F D C906C82D682CC8EE88E86> 第 9 回 の が開かれて 聖書箇所 エペソ への 紙 1 章 15 18 節 新改訳改訂第 3 版 1:15 こういうわけで 私は主イエスに対するあなたがたの信仰と すべての聖徒に対する愛とを聞いて 1:16 あなたがたのために絶えず感謝をささげ あなたがたのことを覚えて祈っています 1:17 どうか 私たちの主イエス キリストの神 すなわち栄光の が 神を知るための知恵と啓 の御霊を あなたがたに与えてくださいますように

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このメッセージは 父なる神について考えようとするものである Ⅰ. 聖書が使用する比喩的言葉 1. 神という言葉について (1) ヘブル語でエロヒム ( エル ) ギリシア語でセオス 1 普通名詞 神々を指す言葉である 2 日本語の神も 多くの神々を指す言葉である 3 聖書の神は どういう神かを示す必 キリストの使徒たちが伝えたこと (3) 使徒信条とは 父なる神 (1) 使徒信条 我は天地の造り主 全能の父なる神を信ず 我はその独り子 我らの主 イエス キリストを信ず 主は聖霊によりてやどり 処女マリヤより生れ ポンテオ ピラトのもとに苦しみを受け 十字架につけられ 死にて葬られ 陰府にくだり 三日目に死人のうちよりよみがえり 天に昇り 全能の父 ( ちち ) なる神の右に座したまえり かしこより来たりて生ける者と死にたる者とを審きたまわん

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を与えられて 祈りつつ取り組んで行くように導かれる ですから私たちは自分の願い事を一方的に神に祈る祈りはやめて まず聖書を通してまず神を見上げること 御名を賛美することから始めたいのです そのような神への賛美また信仰告白から始まる祈りこそ祝福される祈りの基礎です さて第 2 の祈りは 御国が来ますよ 聖書 : マタイ 6:10a 説教題 : 御国が来ますように 日時 :2018 年 7 月 15 日 ( 朝拝 ) 主が教えてくださった 主の祈り の第二の祈りを見て行きます 前回も述べましたように 主の祈りは大きく二つの部分に分けることができます その前半は神の栄光を求める祈り 後半は私たち人間の必要を求める祈りです そしてこの順番に大切なメッセージがあるということも申し上げました 私たちの祈りを振り返ってどうでしょうか

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