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まれああいきょう
5 years ago
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1 スギヒノキの育林と林間栽培育林技術テキスト海部地域林業活性化対策協議会

2 目次 1, 下刈り引起し作業の仕方 (1) 2, 除伐の仕方 (2) 3, 間伐の仕方 (3) 4, 枝打ちの仕方と生産目標 (6) 5, 林間裁培の導入 (7) 6, 切り絞磨き丸太の作り方 (10)

3 1, 下刈り引起し作業の仕方スギヒノキ新植地の下刈り引起し作業は人工造林の最も基本的な大切な作業です林地の植生の状態によって差異がありますが下刈りは普通植栽年から6~8 年くらい行いますとくにクズカズラの多いところはクズ枯し ( ケイピン ) を施用すると効果的です下刈りと併せて大切な作業は雪や風による倒伏木の引起し作業ですとくにヒノキの場合は2 年生 ~ 7 年生が主体となりますが 30 度くらいの弱い傾斜木でも丁寧に引き起しすることが良質柱材生産につながる必須の作業ですまた引起しすると植栽木の根元をしっかり固定することができて成長にも好影響を与えます 5 年生くらいまでに下枝をできるだけ張らせて根張りを促進させることが下刈りのねらいです 6 月から8 月までの適期作業を励行してください引起し作業は3 月 ~5 月が適期です -1-

ヒノキは 25 年生までに 1,600 本にしますスギヒノキとも 10 年生くらいから除伐をはじめ曲り木病虫被害木劣勢木 ( しかれ木 ) を選んで思いきった除伐を行います 3,000 本植の地域では 1,600

4 2, 除伐の仕方スギヒノキ昭和 62 年春植における1ha 当り植栽本数は郡平均の数値でみますとスギ 3,110 本ヒノキ 3,121 本でこれは 30 年前とあまり変化がなく坪 1 本植がずっと続いていると言えますこの単位面積当りの植栽本数は本郡の森林地域環境や木材生産目標に合致した適正な本数と考えます下表で適地における年齢階別適正本数を示しましたがスギ 20 年生までに 1,600 本ヒノキは 25 年生までに 1,600 本にしますスギヒノキとも 10 年生くらいから除伐をはじめ曲り木病虫被害木劣勢木 ( しかれ木 ) を選んで思いきった除伐を行います 3,000 本植の地域では 1,600 本くらいまでの間引き伐りが除伐でそれ以後が間伐となります除伐によって残存木の成長を促すと同時に枝打を省力化できますできるだけ早目早目に除伐することが 1,600 本への近道です除伐の時期を遅らせるほど残存木への悪影響が増加していきます -2-

3, 間伐の仕方間伐が遅れがちになる主な原因として 1 林木への愛着心 2 不良木ねらいの選木 3 無計画生産この3 点があげられます不良木ねらいの選木では形質が不良でしかも生育遅れの木を追って選木していくことで間伐率が意外に低くなっている場合が多く無計画生産ではどのような材を何年生で生産するという立木毎の生産目標が無いことが間伐遅れの最も大きな原因となっています

5 3, 間伐の仕方間伐が遅れがちになる主な原因として 1 林木への愛着心 2 不良木ねらいの選木 3 無計画生産この3 点があげられます不良木ねらいの選木では形質が不良でしかも生育遅れの木を追って選木していくことで間伐率が意外に低くなっている場合が多く無計画生産ではどのような材を何年生で生産するという立木毎の生産目標が無いことが間伐遅れの最も大きな原因となっていますここで立木毎の生産目標を定めて目標に沿った合理的な間伐枝打を進めていく最も取り組みやすい方法選木育林施業方法について説明しますスギヒノキの人工林は 15 年生前後になるとある程度の生育差が現れ曲り木被圧木などの不良木が確認できる段階に進んできます従ってこの時点で1 級木候補となる優勢良木を見定めることは比較的容易です選木育林の選木印しづけは枝打ちや除伐の年代からみて 15 年生前後が最も合理的です白ペンキ印し付け方法は地形の複雑な林地では植付間隔や生育状態に差異が生じて平均 4m 間隔の 1 級木選木にも間隔のばらつきがでてきます印しづけ木の周囲の状態 ( 立木環境 ) によって3m 間隔や5m 間隔の印しづけも生じます平均間隔ができるだけ4m になるように努めますまた林縁は少し近目に印しづけすることも大切です白ペンキは水性を使い適量の水を混入して 5cm 巾くらいのハケで立木の四方から見えるように鮮明に印しづけします選木育林の利点として白ペンキ付けの効果が大きく出て無印しの間伐予定木が定まり間伐木の選木が画期的にやり易くなりますそして1ha 当り 620 本の直径成長を促そうという意識が働き間伐が積極的になります郡内に 160 名の選木士が各地域で活躍しています又各地に選木育林のモデル林がありますこの方法をできるだけ多くの林分にとり入れて積極的な間伐を進めてください選木育林早期仕上げ間伐は林道作業道まで架線搬出の必要な場所で採算間伐 ( 収入をあげる間伐 ) を行う場合最も合理的で効果的な方法ですまたこの間伐方法によって林間栽培の導入が可能となります -3-

この方法はスギが主体になりますが林齢 25 年生内外で1ha 当り 620 本程度に選木印し付けされた立木だけを残存木として無印し木を一度に全部間伐する方法です除伐を実施して1ha 当り 1,600 本のスギ林では約 1,000 本を一度に間伐することになりますこの間伐木の中には印し付け木と殆んど差のないような優勢木が混ってくることによって間伐木の量と質を向上させ

6 この方法はスギが主体になりますが林齢 25 年生内外で1ha 当り 620 本程度に選木印し付けされた立木だけを残存木として無印し木を一度に全部間伐する方法です除伐を実施して1ha 当り 1,600 本のスギ林では約 1,000 本を一度に間伐することになりますこの間伐木の中には印し付け木と殆んど差のないような優勢木が混ってくることによって間伐木の量と質を向上させ間伐事業の採算性を一段と高めることができますこの利点が選木育林の最も大きなねらいどころです早期仕上げ間伐 ( 強度間伐 ) で風雪被害が心配されますが直径の太い優勢良木を残していますので形状比 ( 直径と樹高の比率 ) が 80 以下の数値になり風雪に強い樹形の林を形成しています選木育林早期仕上げ間伐実施の条件としては 1 林齢 25 年生内外で1ha 当り 1,600 本くらいの立木本数で白印し付け木の平均形状比が 80 以下の健全林であること 2 採算間伐を目標とし索道架設用地等準備ができていること 3 林地植生を促進させ地力保持を図り長伐期良質大径材生産 (50 年 ~70 年 ) を目標としていること 4 林間栽培を目標としていること上記の条件に合わせるように努め採算間伐を推進することが地域林業の活性化につながるとともにこの施業を進展させて自然生態系を重視した地力保持の育林技術を導入することにより理想的な長伐期良質大径材生産林業の施業体系に移行することができます -4-

7 立木のスペースが広がり根部の生育活発化 -5-

枝打ちを実施して長伐期大径材生産を目標に枝打ち成果を高めてくださいこの高枝打ちはキハダ等の複層林造成ゼンマイ等の林間栽培にも大きな効果がありますヒノキ無節の良質柱材を 25 年生 ~40 年生くらいで生産する目標をたてて8

8 4, 枝打ちの仕方と生産目標スギ 8 年生くらいから枝打ちを始め 4m 材一玉を目標とした枝打ちは 12 年生ごろまでに2 回で完了しますその際明らかに除伐木となる不良木は枝打ちを省きます 6m~8m の二玉目の枝打ちは長伐期残存木となる 620 本の印し付け木のみにしぼった省力枝打ちとしできるだけ 20 年生までに仕上げることを目標とします 25 年生ごろの選木育林早期仕上げ間伐時に全く枝打ちが施されていない場合は枯枝を含めて一度に8m 枝打ちを実施して長伐期大径材生産を目標に枝打ち成果を高めてくださいこの高枝打ちはキハダ等の複層林造成ゼンマイ等の林間栽培にも大きな効果がありますヒノキ無節の良質柱材を 25 年生 ~40 年生くらいで生産する目標をたてて8 年生くらいから弱度の枝打ちをくり返し 3~4 回の枝打ちで3m 柱材一玉を完了するように進めます 1ha 当り 620 本の白印し付け木は4m 材一玉を完了させます無印し間伐予定木の中で根元から通直な立木をとくに選抜して無節の 6m 通り柱を目標に枝打ちすればより集約林業となります長伐期木は8m を目標とします -6-

5, 林間栽培の導入スギ25 年生前後における選木育林早期仕上げ間伐の最も大きなねらいは小規模林業の副収入源としての林間栽培の導入です強度間伐と8m 枝打ちにより林内陽光度を急激に高め以後 20 年間くらいはその地域に適した林間栽培作目の導入が可能となります

上を山出し植栽木にそえて1m の割竹を立てて目印しとしますスギ上木が1ha 当り 620 本の場合はキハダ植栽を1ha 当り 500 本としますキハダは樹皮の採取を目的としますので通直な幹材に仕立てますそのため植付後 6~7 年間は枝打ちを行います収穫は

9 5, 林間栽培の導入スギ25 年生前後における選木育林早期仕上げ間伐の最も大きなねらいは小規模林業の副収入源としての林間栽培の導入です強度間伐と8m 枝打ちにより林内陽光度を急激に高め以後 20 年間くらいはその地域に適した林間栽培作目の導入が可能となります標高 600m~1,200m くらいのスギの適地ではキハダの栽培に適しており特にキハダ林間植栽は複層林整備造林として樹下植栽と枝打ちが補助の対象となりますキハダ種子採取は 10 月頃果肉をとって 11 月秋まきアブラ虫等を防除します 1 年生で 40cm 上を山出し植栽木にそえて1m の割竹を立てて目印しとしますスギ上木が1ha 当り 620 本の場合はキハダ植栽を1ha 当り 500 本としますキハダは樹皮の採取を目的としますので通直な幹材に仕立てますそのため植付後 6~7 年間は枝打ちを行います収穫は 20~30 年生で伐倒剥皮します時期は7 月 20 日ごろを中心に行いネズミ色の粗皮をはがして黄色のオオバクを採取します 30 年生 1 本から乾燥オオバクが8kg 単価 800 円で 6,400 円の粗収入がありますまたスギ林に広葉樹混植の林地肥沃等効果も期待できます -7-

オウレン播種はかん木雑草を刈払い整地をして 10 月下旬から 12 月上旬に 10 アール当り6 の種子を播くこの種子は5 月 20 日前後に採種します

10 年くらいから成長の良い場所から堀り取る 9 月ごろから降雪前に行い根茎を堀り起し束にして持ち帰る葉ヒゲ根を切りとり根茎とヒゲ根を4~5 日間

早期仕上げ間伐後ゼンマイ株移植を行います畑地栽培ではうね幅 80cm とし株間を 25cm の一条植で 10 アール当り 5,000 株植としますが

10 オウレン播種はかん木雑草を刈払い整地をして 10 月下旬から 12 月上旬に 10 アール当り6 の種子を播くこの種子は5 月 20 日前後に採種します管理は雑草をオウレンの葉の上から刈り取る上刈りを行います施肥は3 年目ごろから5 月と9 月に 10 アール当り森林肥料を 20kg 程度を施す収穫は播種後 10 年くらいから成長の良い場所から堀り取る 9 月ごろから降雪前に行い根茎を堀り起し束にして持ち帰る葉ヒゲ根を切りとり根茎とヒゲ根を4~5 日間天日で乾燥するさらに根茎に残っているヒゲ根を焼きとる毛焼き後磨き機で仕上げ磨きオウレンとなるゼンマイゼンマイ栽培の適地はスギの適地と同じです選木育林早期仕上げ間伐後ゼンマイ株移植を行います畑地栽培ではうね幅 80cm とし株間を 25cm の一条植で 10 アール当り 5,000 株植としますが林間では面積が広いので 2,000 株くらいにします移植株はできるだけ大きく堀り取りそのままの大きさで本圃へ移植します植付後 3 年目くらいから収穫を始めます枝打ちで陽光度を高めることが大切です -8-

ミョウガ林間栽培の適地としては保水力のある土壌で表土が深く水はけの良いスギ林が最適です間引きしたミョウガの地下茎を芽の伸長開始前 3 月 ~ 4 月に植えつけますうね幅は

はなつぼみ収穫は7 月から 10 月にかけて根元から発生する花蕾 ( 花ミョウガ ) を花の開かないうちに採取します株間栽培は農薬を使用しないので自然食品が生産されます

レンギ等木工用としてのサンショ嗜好食用のウドタラなどがあります栽培技術はまだこれからという段階ですが選木育林によってスギの長伐期良質大径材生産を着実に進めながらめぐまれた気候土壌

11 ミョウガ林間栽培の適地としては保水力のある土壌で表土が深く水はけの良いスギ林が最適です間引きしたミョウガの地下茎を芽の伸長開始前 3 月 ~ 4 月に植えつけますうね幅は 70~90cm で株間は 20cm 程度とし等高線に沿って植え付けます数年後に地下茎がこみ合ってくるので間引きが必要となります化学肥料よりも有機質肥料が良くとくにスギの葉が効果的ですはなつぼみ収穫は7 月から 10 月にかけて根元から発生する花蕾 ( 花ミョウガ ) を花の開かないうちに採取します株間栽培は農薬を使用しないので自然食品が生産されます枝打ちで陽光を調整しスギ葉の有機質を確保しスギ良質材生産をねらいますエビネラン選木育林早期仕上げ間伐後の林間栽培作目としてこのほかに香辛用としてのサンショレンギ等木工用としてのサンショ嗜好食用のウドタラなどがあります栽培技術はまだこれからという段階ですが選木育林によってスギの長伐期良質大径材生産を着実に進めながらめぐまれた気候土壌陽光を十分に活用しそれぞれ適合した作目を地域の特産品として位置づけし定着させることがスギ林業地域の大きな課題です本地域における林業の基本はスギヒノキの育林技術です自然生態系を基調とし時代の流れに沿った育林を地域が一体となって進めましょう -9-

ナイフ手ガマ等で笹葉形に表皮と内皮を剥ぎとる 1 日の工程は4 本 ~6 本です 4 伐倒林内乾燥砂磨き背割り絞付け後 4 年 ~5 年経過し切り口が十分盛り上ってから 10 月上旬に伐倒して 30 日間枝葉をつけて林内葉枯しする 30 日後搬出して

12 切り絞磨き丸太の作り方間伐木高度利用の課題のなかで磨き丸太生産も有利な手段の一つですここで巻きつけ絞より簡単にできる切り絞方法を中心に磨き丸太の作り方を説明します 1 切り絞付けの原木適寸通直真円な絞付け部分の末口直径が 12cm~13cm くらいが絞付時の適寸です 2 切り絞付け時期 3 月中旬 ~4 月中旬 9 月下旬 ~10 月下旬ゆごう冬期は樹皮が剥ぎにくく夏期はヤニが出て切口の癒合が悪いので適期に行ってください 3 切り絞付け方法原木の長さ3m20cm くらいに上部から下方に向って絞付けしていくナイフ手ガマ等で笹葉形に表皮と内皮を剥ぎとる 1 日の工程は4 本 ~6 本です 4 伐倒林内乾燥砂磨き背割り絞付け後 4 年 ~5 年経過し切り口が十分盛り上ってから 10 月上旬に伐倒して 30 日間枝葉をつけて林内葉枯しする 30 日後搬出してすぐに竹ベラで剥皮川砂で磨き真芯まで背割して木のクサビを強く打ち込む 5 室内乾燥仕上げ保管製品にひび割れとカビを発生させないことが磨き丸太作りのポイントカビ止剤を塗布して木造土壁造りの建物の中に立てて保管しますよく乾燥するとケントクで仕上げます ( 林業専門技術員杉山宰 ) -10-

13 育林密度管理表立木 8 本間隔延長測定法 ( 杉山式 ) 測定法の説明 1 傾斜地での測定は傾斜地上下の方向へ直角連続 ( ジグザグ ) に測定テープを立木に引き掛け引き伸ばして 8 本間隔の延長を測定する ( 水平距離 ) 2 測定テープを立木に直角方向へ引き掛けたときはその立木の直径に等しい程度の縄のびが生じるので 8 本間のうち直角に引き掛けた立木の直径合計を1の測定値から差し引き8 本間隔延長を修正する 3 修正した2の数値を右図表の赤字欄で最も近い数値を見出しその欄に示す1ha 当りの立木本数を読みとる -11-

14 -12-

平成 30 年度森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価京都府農林水産部林務課

平成 30 年度森林整備事業 ( 造林 ) 標準単価京都府農林水産部林務課平成 30 年度森林整事業 ( 造林 ) 標準単価京都府農林水産部林務課人工造林等 (1ha 当り ) 区分標準単価前生樹等植栽樹種植栽本数拡大造林再造林 ( 地拵えのみ ) 刈り払い機全ての樹種 281,039 拡大造林再造林 ( 地拵えのみ ) 機械地拵え : グラップル全ての樹種 79,087 拡大造林再造林スギヒノキ 2,000~ 418,304 ( 植栽のみ ) (