第五章　　ヒューマンネットワーク構築のためのウェブサイト運営管理の要件

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えいしろうまつかた
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1 第四章社会ネットワーク分析とヒアリング結果の考察本研究では, びわ湖会議の中心的人物へのヒアリング調査を基に, 中心的人物たちの同会議の内外の活動に関するソシオマトリックスを作成し, これによって, 中心的人物によって形成された同会議内外の活動におけるネットワークの構造とその変遷を明らかにした. 本章では, 前章で報告したヒアリング調査をまとめ, 同調査を基に作成した中心的人物の同会議の内外の活動に関するソシオマトリックスと作画したソシオグラムについて報告する. 4-1 ヒアリング調査のまとめ前章で明らかになったびわ湖会議の中心的人物 ( ヒアリング対象者 7 人 ) による同会議以外の主な活動を表 4-1 に示す. 表に示すように, 同会議以外の主な活動としては, ほとんどの人物が滋賀県地域婦人団体連合会 ( 以下, 地婦連 ) 女性がいきいき暮らすための生活文化を考える会 ( 以下, いきいき会 ) 消費学習グループ連絡会ストップフロン滋賀の活動のいずれかに参加していた. ここで, それぞれの活動について, 簡単に紹介しておく. 1) 地婦連地域婦人会とは, 女性に対する社会教育の普及を目的に結成された学習団体である 1). 字や集落ごとに単位婦人会があり, それらを自治体レベルで統括する地域婦人団体連合会が各市町村に存在し, それらをさらにまとめる県域団体として滋賀県地域婦人団体連合会 ( 地婦連 ) がある. 県域の地婦連は,1970 年代初頭から石けん運動に積極的に取り組んでおり, びわ湖会議設立以降は, 地域の単位婦人会でも積極的に石けん運動に取り組むようになった. 2) いきいき会いきいき会とは, 私が動いてまちが変わるというテーマで活動を行っている彦根の女性団体である. 会員は約 50 人で, 福祉, 環境保全, 男女共同参画などをテーマに, これらを市民主導で実現していこうとしている. 3) 滋賀県消費学習グループ連絡会消費学習グループは,1970 年代後半から県消費者行政の主導で, 市町村にほぼ一つずつ 41

2 表 4-1 びわ湖会議の中心的人物による同会議以外の主な活動年活動内容人物 1965 年滋賀県地域婦人団体連合会氏氏 ( 1987 年から ) 地域婦人会 MK 氏 1975 年女性がいきいき暮らすための MK 氏氏生活文化を考える会 AM 氏 1970 年代後半滋賀県消費学習グループ連絡会氏 AY 氏 1994 年ストップフロン滋賀 MK 氏氏設立された少人数の学習団体である (80 年時点で 33 団体 ). 当初は, 各県事務所管轄ごとで横の連携をとっていたが, びわ湖会議が設立された 78 年に滋賀県消費学習グループ連絡会が設立され, 同連絡会の下に県内の消費学習グループは組織化されることになった. 消費学習グループは, 消費者問題に関する学習団体であったため, 社会教育全般をテーマとする地域婦人会のリーダー層が, そのまま同グループにおいてもリーダーとなっているところが多かった. 4) ストップフロン滋賀ストップフロン滋賀とは,1994 年 2 月 6 日に発足し, オゾン層保護, 紫外線防御, 地球温暖化防止のためのさまざまな活動を行った団体である (06 年解散 ). 発足の年 8 月に, 会員となる電気商業組合のメンバーの呼びかけにより, 大津市と地域の電気店によって全国初の廃冷蔵庫からのフロンガス回収が開始された. 4-2 中心的人物に対する社会ネットワーク分析本節では, 第二章で作画したびわ湖会議の主要アクターのソシオグラムの中に前章で特定された中心的人物 7 人を示したものと, 前章のヒアリング結果を基に作成した中心的人物たちの同会議の内外の活動に関するソシオマトリックスの作成方法と作画したソシオグラムについて述べる中心的人物のびわ湖会議のソシオグラム第二章で作画したびわ湖会議の主要アクターのソシオグラムにおいて, 中心的人物 7 人のノードをで, シンボルをイニシャルで表したものを図 4-1,2,3 に示す. 42

3 X9 X19 X11 Y48 X2 X21 X6 Y25 X7 Y28 Y33 X1 Y69 Y30 Y27 X12 X23 X14 Y17 X15 X5 Y55 X10 Y16 Y38 Y34 Y72 Y70 Y24 X8 Y29 Y32 Y35 図 4-1 中心的人物 7 人に着目したびわ湖会議のソシオグラム (1980~1987 年 ) X13 Y36 Y37 Y39 Y40 Y41 Y42 Y43 Y44 Y46 Y47 Y49 Y14 X22 X5 AM Y62 Y41 Y46 Y22 Y9 Y31 X12 Y20 Y57 Y67 X18 MK Y36 X13 Y23 Y47 X16 Y10 Y58 X17 Y50 X18 Y52 X20 Y53 Y40 X3 Y1 X4 Y15 X15 Y75 Y42 Y7 Y53 Y54 Y56 Y57 Y32 Y58 Y33 Y59 Y35 Y60 Y38 Y61 Y44 Y62 Y48 Y63 Y49 Y64 X17 Y65 図 4-2 中心的人物 7 人に着目したびわ湖会議のソシオグラム (1988~1997 年 ) 43

4 Y4 Y35 Y64 Y63 KY Y44 X8 Y75 Y65 Y54 Y61 RK Y58 Y49 Y14 Y68 Y29 Y50 Y56 AY Y32 Y52 Y71 Y19 Y45 MK Y43 Y24 Y62 Y42 Y59 X17 Y12 Y47 Y36 Y27 Y28 X9 Y30 X10 Y31 X11 に登場した人物は同会議元事務局長の Y33 氏のみである. これより, 前期から同会議の中 Y34 X12 X14 に登場した人物は Y38 氏, 氏,MK 氏,AM 氏の 4 人である. 特に, 運営委員会におけ X15 Y40 Y41 のためエッジが太くなったと考えられる Y46. また,MK 氏と AM 氏は中期において, 共にせっ Y48 X16 X18 にエッジは見られない Y53. Y55 X19 Y57 X20 氏, 氏,MK 氏,RK 氏の 4 人の間に太いエッジが見られる. 同 4 人は, 総会会議書 X21 Y67 X22 Y69 図 4-3 中心的人物 7 人に着目したびわ湖会議のソシオグラム (1998~2008 年 ) 以下, 中心的人物に着目して, 各時代区分のソシオグラムを見ていく. まず, 図 4-1 に示すように, 中心的人物 7 人のうち, 前期の主要アクターのソシオグラム心的人物であったのは氏のみであると考えられる. 次に, 図 4-2 に示すように, 中心的人物 7 人のうち, 中期の主要アクターのソシオグラムる氏 ( 元事務局長 ) と氏 ( 元運営委員長 ) との間に太いエッジが見られる. 総会会議書 ( 委員名簿 ) によると両氏は中期において毎年, 運営委員会の委員を務めていた. こけん活動部会の委員を務めていた人物である. ただし, 総会会議書 ( 委員名簿 ) によると MK 氏は 1993 年 ~97 年,AM 氏は 89~92 年が在任期間となっており, このため, 両氏の間最後に, 図 4-3 に示すように, 中心的人物 7 人のうち, 後期の主要アクターのソシオグラムに登場した人物は氏, 氏,MK 氏,RK 氏,KY 氏,AY 氏の 6 人である. 特に, ( 委員名簿 ) によると氏は 2005 年以外, 氏と MK 氏は毎年,RK 氏は 1998 年以外, 運営委員会の委員を務めていた人物である. このため, 同 4 人の間のエッジが太くなった Y70 Y72 X23 44

5 と考えられる. なお, 同図では 2 点以下のエッジが描かれていないためわからないが,KY 氏も 07 年と 08 年に運営委員を務めており (05 年と 06 年にはエコライフ実践部会委員 ), この期間, 上記 4 人と運営委員会で一緒であった. また,AY 氏は 03 年 ~06 年にせっけん洗剤部会,07 年と 08 年にエコライフ実践部会の委員をそれぞれ務めていた人物であり, そのため他の 5 人との間にエッジは見られない. 以上の結果から, びわ湖会議の元事務局長である氏と MK 氏が共通して名前を挙げた 7 人の中心的人物ではあったが, そのほとんどは中期以降に同会議の委員会部会の委員を務めた人物であることがわかった ( 前期からは氏のみ ). また中心的人物の多くが, 後期において, 運営委員会の委員を毎年のように務めていたことがわかった. このことは, 特に後期においては, 同会議の中心が運営委員会であったことを示唆している中心的人物のびわ湖会議の内外の活動に関するソシオマトリックスの作成前章のヒアリング結果を基に, びわ湖会議の中心的人物 7 名を対象に, 同人物間のソシオマトリックス (7 行 7 列 ) を作成した. 同マトリックスを作成する上での時代区分は, これまでと同様に 1980~87 年 ( 前期 ),88~97 年 ( 中期 ),98~2008 年 ( 後期 ) の 3 期とした. 同マトリックスを作成するために, 中心的人物間の関係を評価したルールを表 4-2 に示す. 同表に示すように, 各時代区分の間に,A と B という異なる人物が同じ時代区分に同じ活動をしていた, またはびわ湖会議の委員を務めていた場合に, 行と列が交わるセルに 1 点ずつを加えるルールとした. 表 4-2 中心的人物間の関係を評価するルール同じ時代区分における A と B 点数 A と B が二人ともびわ湖会議の委員を務めていた 1 点 A と B がびわ湖会議外で活動を共にしていた 1 点中心的人物間のびわ湖会議の内外の活動におけるソシオグラム作成したソシオマトリックス (7 行 7 列 ) を用いて, 前期 (1980~87 年 ), 中期 (88~97 年 ), 後期 (98~2008 年 ) における, 中心的人物間のびわ湖会議の内外の活動におけるソシオグラムを描いた. それぞれの時代区分のソシオグラムを図 4-4,5,6 に示す. 各図において, 線の太いエッジは, その時代区分において, ノード同士が同会議で共に委員を務めており, かつ同会議外でも活動を共にしていたことを, 一方, 線が細いエッジは, ノード同士が同会議で共に委員を務めていたか, 同会議外で活動を共にしていたかのいずれである 45

6 ことを表している. また, 黒丸で示したノードの人物はその時代区分にびわ湖会議の委員を務めていたことを表している. なお, 各ノードを前章で用いたイニシャルで表している. AY KY MK AM RK 図 4-4 中心的人物間のびわ湖会議の内外の活動におけるソシオグラム (1980~1987 年 ) AY KY MK AM RK 図 4-5 中心的人物間のびわ湖会議の内外の活動におけるソシオグラム (1988~1997 年 ) 46

7 AY KY MK AM RK 図 4-6 中心的人物間のびわ湖会議の内外の活動におけるソシオグラム (1998~2008 年 ) 以下, 中心的人物間の同会議の内外の活動におけるソシオグラムを, 先に示した, 中心的人物 7 人に着目したびわ湖会議のソシオグラム ( 図 4-1,2,3) と比較しながら見ていく. まず, 図 4-4 のソシオグラムが示すように, 前期においては, 氏,MK 氏,AM 氏, AY 氏の 4 人の間に細いエッジの関係性が見られた. このうち, びわ湖会議の元事務局長の氏と MK 氏, それに AM 氏の間に見られる関係性は, 三氏がいきいき会で活動を共にしていたことによる. このいきいき会における三氏の関係は後期まで続いている. また, 氏と AY 氏の間に見られる関係性は両氏が消費学習グループ連絡会で活動を共にしていたことによる. 一方, 図 4-1 で示したように, この前期にびわ湖会議の委員を務めていたのは氏のみであった. 次に, 図 4-5 に示すように, 中期においては, 氏, 氏,MK 氏,AM 氏の 4 人の間に関係性が見られた. 図 4-2 に示したように, これら四氏はこの中期にびわ湖会議の委員を務めていた. また, 図 4-5 において, 同会議の元事務局長の氏と MK 氏, それに AM 氏はいきいき会でも活動を共にしていたため, 三氏の間のエッジの線が太い. 図では分らないが, 氏と MK 氏の両氏は, このいきいき会とともに, ストップフロン滋賀でも活動を共にしていた. なお, このストップフロン滋賀での両氏の活動のきっかけは,MK 氏が同組織の会員を増やすために氏を誘ったためである. 一方, 氏と元運営委員長の氏は地婦連でも活動を共にしていたため, 両氏の間のエッジの線が太い. この地婦連における両氏の関係は後期まで続いている. なお, 氏が中期からびわ湖会議に参加するようになったのは, 地婦連の副会長の立場としてであった. 最後に, 図 4-6 に示すように, 後期では, 中心的人物 7 人の間に関係性が見られた. 図 47

8 4-3 に示したように, このうち AM 氏を除く 6 人は, この後期にびわ湖会議の委員を務めていた. そのため, 図 4-6 においてこれら 6 人の間にエッジが描かれている. また,AM 氏とびわ湖会議の元事務局長の氏と MK 氏は, いきいき会で活動を共にしていたため, これら三者の間にエッジが見られる. 同会議の元事務局長の氏と MK 氏の両氏は, このいきいき会とともに, ストップフロン滋賀でも活動を共にしていたため, 氏と氏も地婦連で活動を共にしていたため, これらの人物間のエッジの線が太い. 以上の結果から,7 人の中心的人物のびわ湖会議の内外の活動における関係性は, いきいき会における, 同会議の元事務局長の氏と MK 氏, それに AM 氏の三氏によるネットワークが出発点にあったと考えられる. また, 中期からは, これら三者の関係性に, 地婦連における氏と元運営委員長の氏の関係性が加わり, 後期においては, これら四氏によるネットワークに, 同期からびわ湖会議の委員となった AY 氏,KY 氏,RK 氏の三氏が加わったものと考えられる. 4-3 まとめ最後に, 中心的人物によって形成されたびわ湖会議の内外の活動のネットワークの構造とその変遷を明らかにした結果からわかったことをまとめる. びわ湖会議内びわ湖会議の元事務局長である氏と MK 氏が共通して名前を挙げた 7 人の中心的人物ではあったが, そのほとんどは中期以降に同会議の委員会部会の委員を務めた人物であることがわかった ( 前期からは氏のみ ). 中心的人物の多くが, 後期において, 運営委員会の委員を毎年のように務めていたことがわかった. このことは, 特に後期においては, 同会議の中心が運営委員会であったことを示唆していた. びわ湖会議の内外 7 人の中心的人物のびわ湖会議の内外の活動における関係性は, いきいき会における, 同会議の元事務局長の氏と MK 氏, それに AM 氏の三氏によるネットワークが出発点にあったと考えられた. 中期からは, 上記の三者の関係性に, 地婦連における氏と元運営委員長の氏の関係性が加わっていた. 後期においては, これら四氏によるネットワークに, 同期からびわ湖会議の委員となった AY 氏,KY 氏,RK 氏の三氏が加わっていた. 48

9 上述したように, びわ湖会議の元事務局長である氏と MK 氏が共通して名前を挙げた, びわ湖会議の 7 人の中心的人物の同会議の内外の活動における関係性は, いきいき会における,AM 氏と同会議の元事務局長の氏と MK 氏の三氏によるネットワークが出発点にあったと考えられた. 第三章で述べたように AM 氏は, 消費生活センターで相談員をしていたときに, 消費者グループやいきいき会のメンバーに石けん使用に関する講習を行っており, 石けん運動の初期において特に指導的役割を果たした人物である. このような理由から,AM 氏は, びわ湖会議においては, 一時期 ( 中期に ) せっけん活動部会の委員を務めただけであるが, 氏と MK 氏の両名から同会議の中心的人物として名前が挙がったものと考えられる. また, このいきいき会の活動を通して,MK 氏は石けん運動への関心を高め, 後にびわ湖会議の委員や事務局長を務めることになる. このいきいき会における三氏の関係は前期から後期まで続いていることから, 同会における三者の関係性が中心的人物のびわ湖会議の内外における活動のネットワークの常に中核であり続けてきたと考えられる. また, 中期からは, これら三者のいきいき会における関係性に, 同じく石けん使用を推進していた地婦連における元運営委員長の氏と氏との関係性が加わっていた. 氏と上述の MK 氏は中期からびわ湖会議の委員を務めるようになり, 中期以降, これら両氏に MK 氏を合わせた三氏が, 運営委員会の委員としてびわ湖会議を引っ張っていくことになる. 一方, 氏と MK 氏の関係性は, この中期から, ストップフロン滋賀という外部の活動にも拡大していた. 後期においては, 中期の四氏によるネットワークに, この時期からびわ湖会議の委員となった AY 氏,KY 氏,RK 氏の三氏が加わっていた. 第三章で述べたように,AY 氏と KY 氏はそれぞれ高月町と木之本町の水環境を守る生活推進協議会で石けん運動を続けてきた人物である. また,RK 氏は平和堂の立場から, びわ湖会議の活動を支援してきた人物である. 以上のように, びわ湖会議の中心的人物によるネットワークは, いきいき会における石けん運動での関係性を出発点に, 後に, 地婦連における関係性が加わり, さらに後期においては, 市町村における生活推進協議会や企業, 他の環境保全団体との関係性が加わった形で拡大してきたものと考えられる. 49

10 < 参考文献 > 1) 伊藤真紀 : 生活推進協議会が滋賀県の環境保全運動に果たしてきた役割に関する研究, 滋賀県立大学環境科学部卒業研究報告書,pp.27-45(2007) 50

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第五章 ヒューマンネットワーク構築のためのウェブサイト運営管理の要件

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