2016研究報告書

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1 文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業日本仏教の通時的 共時的研究 多文化共生社会における課題と展望 2015 年度 ~2019 年度 龍谷大学アジア仏教文化研究センター Research Center for Buddhist Cultures in Asia 2016 年度研究報告書

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3 序文 < プロジェクトの総括と展望 > 龍谷大学アジア仏教文化研究センターは, 龍谷大学世界仏教文化研究センターの傘下にある研究組織として,2015 年度から 2019 年度にかけての計 5ケ年にわたって, 研究プロジェクト 日本仏教の通時的共時的研究 多文化共生社会における課題と展望 を遂行することになった 本研究プロジェクトは, 龍谷大学が寛永 16 年 (1639) に建学されて以来,370 有余年かけて培ってきた日本仏教研究の成果を基盤に据え, さらにこれを通時的かつ共時的面より推進し, 国際的な研究視野に立った日本仏教の総合的研究を多角的かつ複合的に進展せしめようとするところに特色を有している このため本研究プロジェクトでは, 全体を通時的研究グループと共時的研究グループに大きく二分し, さらにそれぞれに 2ユニットを配した すなわち, 通時的研究グループ 1 にはユニット A 日本仏教の形成と展開 ならびにユニット B 近代日本仏教と国際社会 の 2ユニットを立て, また共時的研究グループ 2にはユニット A 現代日本仏教の社会性 公益性 ならびにユニット B 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 の 2ユニットを設置した そして, これら 4ユニットのもとに計 9にのぼるサブユニットを設置し, 伝統を踏まえた個々の基礎研究が相互に影響しあいながら複合的に進展することによって, 多文化共生下の現代社会が抱える課題の解決と今後の日本仏教の進むべき道を明らかにしたいとの方針のもと,2015 年度に引き続き, 諸研究を進めてきた次第である 2016 年度の諸研究については, 各ユニット各サブユニットごとに進捗状況や研究成果を整理したものを添付しているが, 今年度の特色は一言で言って, 前年度に立てた研究計画に基づいて慰労なく研究を進めると共に, 連携研究の充実を図り, また構想調書にはない大型シンポジウムの開催や文化講演録の発刊など, 新規の研究事業を実施した点にあるといってよい 特に, 構想調書にはない新規の研究展開としては, グループ 2 ユニット Aサブユニット 2が主導する国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology( 浄土真宗 キリスト教 イスラームにおける比較神学的対話 ) が 2 日間にわたって開催され, 好評を博した また, グループ 1 ユニット Aサブユニット 2によって,2015 年度の講演録である 回峰行と修験道 聖地に受け継がれし伝灯の行 が刊行され, 本研究プロジェクトの社会還元が進められた これらは, 本研究プロジェクトが着実に進展していることを示しており, 今後の新規展開を期待させる事例となった点, たいへん意義深いものがある 以下, 各サブユニットごとの 2016 年度の実績について記すと, 次のようになる i

4 まず, グループ 1ユニット Aサブユニット 1 では, 龍谷大学所蔵の文明二年本 教行信証 の調査研究を核に置きつつ, 他の 教行信証 諸本と比較研究することによって, 高田本 が親鸞の自筆ではないものの, 板東本 と極めて親密性の高いものであることを確認した 次年度は, いよいよ他の日本浄土教との比較や交渉をとおした研究も検討されており, 新たな研究視点による親鸞浄土教の解明が着実に推進されている 次いで, グループ 1ユニット Aサブユニット 2では, 構想調書に謳われている国内シンポジウム 南都学 北嶺学の構築に向けて 論義と儀礼 が実施され, 仏教学を機軸とした複合的研究を進展させるための 南都学 北嶺学 の枠組みが始めて公開提示された また, セミナーにおける各研究員の報告発表, ならびに研究協力者による比叡山の植生に関する報告学習なども活発に行なわれ, 本研究プロジェクトにおける複合型研究の一端が示された また, 本サブユニットでは, 南都 北嶺の仏教に関する図像学的研究が計画的に行なわれており, 昨年度に引き続き 明恵と高山寺 など 3 回にわたる学術講演会が実施されるなど, 着実な研究の進展が示された その他, 前述の書籍 回峰行と修験道 聖地に受け継がれし伝灯の行 を刊行し, 社会還元の推進が着実になされ, 多文化共生社会に対する問いかけがなされた 次いで, グループ 1ユニット Aサブユニット 3では, 本学古典籍デジタルアーカイブの協力のもと, 引き続き 混一疆理歴代国都之図 や仏教系世界図のデジタル復元 公開に向けての複合型研究が進められ, 学術講演会等が実施された また, グループ 1 ユニット Bサブユニット 3との研究連携のもと, 文化講演会 世界認識とアジア を開催し, 所属研究員による講演が実施された このサブユニットでは, 社会還元を視座に, 他の研究機関との連携に基づく公開講座も合わせて実施しており, 構想調書に記された研究展開が着実に実行された 次に, グループ 1ユニット Bサブユニット 1では, 明治仏教の国際化について研究を進める中で研究会を複数回にわたって行なうとともに, グループ 1ユニット Bサブユニット 2との連携のもと, ワーシクショップを計 2 回にわたって実施した また, 明治初期の仏教英文伝道についての基礎資料の収集も順調に行なっており, 次年度はサブユニット間連携のもとでの書籍の発刊も企画している 次に, グループ 1ユニット Bサブユニット 2では,15 年戦争期における日本の仏教者の活動についての研究が進められているが, グループ 1ユニット Bサブユニット 1 との連携によるワークショップ等の開催の他,2015 年度に引き続き, 復刻 資料 戦時下 日本仏教 の国際交流 第 2 期 復刻 海外仏教事情 をアジア仏教文化研究叢書として刊行した このサブユニットでは,2016 年度に 第 3 期 の刊行も計画しており, 本研究プロジェクトの成果を文字として残していく研究が順調に進められている ii

5 次に, グループ 1ユニット Bサブユニット 3では, 大谷光瑞全集 や雑誌 大乗 などの記述を中心に大谷光瑞師の思想と具体的事業の研究が進められており, とりわけ熱帯農業に関しては, すでに特色だった複合型研究を昨年度示している その成果を受けて 2016 年度は, 海外調査も含めた地道な研究をベースに各種講演会を行なった 特に, グループ 1ユニット Aサブユニット 3との連携のもとで企画された文化講演会 世界認識とアジア には, 総数 300 名を超える聴衆が集まり, 社会還元に大きく寄与した 次に, グループ 2ユニット Aサブユニット 1では, 日本仏教の持つ社会性 公益性についての研究が進められているが, 特に 2016 年度は各仏教系 NGO NPO の代表を招いたワークショップや, 過疎地域寺院の調査をしている研究者を招いてのワークショプ等が行なわれるなど, 活発な研究がなされた また, 自殺対策の支援本部をもつタイ国の現地調査も行なっており, 仏教がいかなる社会的公益的行動を起こせるかを明らかにしようとする研究を有意義に進展させている 次に, グループ 2ユニット Aサブユニット 2では, 国際的視野から見た日本仏教の研究が長期的な計画のもと, 進められている 特に 2016 年度は, インド各地の改宗仏教徒ならびに欧米 アジア各国の支援者との交流を通して, さまざまな情報と資料を入手するなど, 積極的な調査を実施している また, バングラデシュの仏教徒マイノリティの現状調査も継続して行なっており, これらの調査による研究進展が期待される なお, 本サブユニットでは前述の国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology を開催し, 今後に続く大きな成果をあげた 次にグループ 2ユニット Bでは, 多文化共生が求められる現代社会において日本仏教が直面する課題を明らかにするための諸研究が進められており, 特に 2016 年度は宗教間対話をテーマとした学術講演会等が開催された また,2017 年度実施予定の国際ワークショップ 越境する日本の女性仏教徒 や,2018 年度実施予定のセミナー 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 等を念頭においたワークショップも複数開催された 現代の日本仏教は, 伝来以来 1400 有余年の歴史の上にあるが, その日本仏教が国際化していく中で現在, さまざまな課題に直面している 将来的に本サブユニットでは, 仏教のもつ普遍性を 宗教的真理の多義性 と 信仰の多様性 といった視点から再検討し, 多文化共生社会における宗教間の相互理解の可能性を明らかにしつつ, 宗教間教育, さらには現代日本仏教とジェンダーに関する研究を進めていく なお,2017 年度に刊行されるグループ 1ユニット Bサブユニット 1およびサブユニット 2との連携による書籍の出版を視野に入れた研究も進められた iii

6 以上のように,2016 年度に行なわれた各サブユニットの取り組みは, 本研究プロジェクト 日本仏教の通時的共時的研究 多文化共生社会における課題と展望 を進展させる上で十分なものであり, すでにサブユニット間の連携研究 社会還元事業等が複数展開し, 大きな成果をあげている 今後も, 構想調書に基づきながらも新たな連携や複合型研究の可能性を模索しつつ, 本研究プロジェクトを推進し, 今後の日本仏教の方向性を明瞭にすることができれば幸いである 龍谷大学アジア仏教文化研究センター センター長楠淳證 iv

7 目次 序文 < 総括と展望 > 楠淳證. ⅰ 第 1 部研究進捗状況 1-1 プロジェクト全体楠淳證 グループ 1ユニット A( 日本仏教の形成と展開 ) 杉岡孝紀 グループ 1ユニット B( 近代日本仏教と国際社会 ) 三谷真澄 グループ 2ユニット A( 現代日本仏教の社会性 公益性 ) 若原雄昭 グループ2ユニット B( 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 ) 那須英勝 個人研究業績.31 第 2 部ワーキングペーパー 2-1 研究論文親鸞思想の哲学的研究 西田幾多郎の純粋経験と親鸞の他力念仏 杉岡孝紀.41 法相論義 一仏繋属 展開の意義 貞慶による法然浄土教批判の論理構築 楠淳證 The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠 創刊号の巻頭記事嵩満也.51 大谷光瑞師の思想と事業 ~その歴史的意義の再検証に向けて~ 三谷真澄 調査報告 雑誌 海外仏教事情 総目次 大澤広嗣.69

8 韓国 比丘尼の社会活動 比丘尼組織の活動に関する調査報告藤能成 初期仏教英書伝道資料の解題那須英勝 講演概要慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響 往生要集 を中心に 武覚超 宗教多様性のフラクタル的解釈ペリー シュミット ルンケル 仏教徒とムスリムの相互認識 : 日本仏教からの視座を中心に小布施祈恵子 刊行物案内 (2016 年度 )..205

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10 凡例 以下の進捗状況の記入に際しては, 下記のガイドラインに沿って作成した (1) プロジェクト全体の研究内容 には, 文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 構想調書様式 Ⅲ-1 1 研究分野 3 期待される成果又はその公表計画 と Ⅲ-2 の冒頭のプロジェクトの部分を記入する プロジェクトにおけるユニットの研究内容 には, 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 と Ⅲ-2 全年度に亘る の当該ユニットの部分を記入する (2) 平成 28 年度のプロジェクト全体の具体的な研究内容 には, 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 ( 平成 28 年度 部分 ) を記入する 平成 28 年度のユニットの具体的な研究内容 には, 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 ( 平成 28 年度 の当該ユニット部分 ) を記入する (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 においては, 上記 (2) の各内容に対応させ, どの程度, 進捗 達成したのか箇条書きで記述する プロジェクト全体の < 研究総会その他の活動一覧 > においては, ホームページ掲載の基本情報 ( 開催日時 場所 参加者 ) のみを挙げる 各ユニットの < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > においては, 上記 (2) の各内容に対応させ, どの程度, 進捗 達成したのか箇条書きで記述する < ユニット研究会一覧 > には, ホームページ掲載文の基本情報 ( 報告題目 開催日時 場所 報告者 参加者 コメンテーター等 ) のみ記入する < ユニット関係ワーキングペーパー一覧 > においては, ホームページ掲載文の基本情報 ( 年度 No. 執筆者 タイトル報告題目等 ) のみ記入する < ユニット研究において協力を得た学外機関 研究者一覧 > においては, 研究会招聘 調査先 ( 調査一覧の当該 No. も明記 ) 等の別を記入する < 研究費 ( 個人分担金含む ) による調査一覧 > においては, 調査期間 内容 研究員名のみ記入する

11 平成 28 年度プロジェクト全体研究進捗状況 楠淳證 ( センター長, 龍谷大学文学部教授 ) (1) プロジェクト全体の研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-1 1 研究分野 3 期待される成果又はその公表計画 と Ⅲ-2 の冒頭のプロジェクトの部分 ) 調書様式 Ⅲ-1 1 研究分野 本プロジェクトは, 日本仏教をアジアを中心とした世界的視野の中で包括的に解明することを目的としており, また仏教自体の本来的なあり様がそうした総合的なアプローチを不可避なものとしているため, 参加研究者も多彩であり, その分野も多岐に亘る 日本仏教そのものを主として史資料によって研究する真宗学 仏教学 仏教史学を初めとして, アジア諸地域に関わる歴史学, 仏教美術 建築などの造形的側面からアプローチする仏教図像学, 現地調査に基づき宗教の現状を明らかにする社会学 文化人類学, 更には寺院をとりまく自然環境を史資料との関係において解明する植物生態学にまで及んでいる 人文科学 社会科学 自然科学の異なる分野に属する研究者が交流を深め, 文理融合的な新たな視点を獲得し得る場を提供することにより, 実りある独自の研究の遂行を可能とするところに, 本プロジェクトの特色が存在する 調書様式 Ⅲ-1 3 期待される成果又はその公表計画 仏教が我が国の歴史と文化において担ってきた重要な役割を検証し, その社会性 公益性を明らかにすることは, 現代日本社会の切実な諸課題への対応を考える際に, 一定の有効な示唆を与えうる また海外の日本仏教研究者 研究機関との連携において行われる本プロジェクトは, 日本仏教研究の国際化の推進と, 日本仏教さらには日本そのものの国際発信にも大きく寄与するものと信じる 研究の成果は, 国際 国内シンポジウム ( 各年度それぞれ 1 回開催 ), ワークショップやセミナー ( 各年度に複数回開催 ), ワーキングペーパー ( ウェブサイトに各年度 10 本程度掲載 ), 研究報告書 ( 年 1 回刊行 ), ニューズレター Buddhist World( 仮称 年 2 回刊行 ), ウェブサイト ( 随時更新 ) などの形で公表する 更に, 龍谷ミュージアムと連携し, 常設展 特別展にかかわる企画立案に参画する なお, プロジェクトの達成度などを検証するために, 本学に設置されている 研究評価委員会 において学内外有識者により中間及び事後の外部評価を受けることが定められている 調書様式 Ⅲ-2( 平成 27 年度欄の初め ) 部分本研究プロジェクトの主体となる研究組織 アジア仏教文化研究センター (BARC) が, 平成 27 年度発足の新たな全学的仏教研究拠点たる龍谷大学 世界仏教文化研究センター の傘下に置かれることに伴い, 新たな組織と研究体制に即した研究スペースを確保し合理的に配置するため, 大宮舎白亜館の 3 階 4 階を改修し, 効果的に共同研究を進めるための研究室を整備する また, 次世代の研究者を育成するために, 各グループに博士研究員を 1 名ずつ計 2 名, 研究遂行を支援するスタッフとして各グループにリサーチ アシスタント 1 名ずつ計 2 名を採用する (2) 平成 28 年度のプロジェクト全体の具体的な研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 ( 平成 28 年度 部分 ) ) プロジェクト全体の計画 1) 研究総会と個別研究会を開催する 2) 海外及び国内でのフィールドワークを実施する 3) 国内シンポジウム 南都学 北嶺学の構築に向けて を開催する 4) 各仏教系 NGO NPO の代表と研究者が情報共有を行うためのセミナーを開催する 宗教間教育 (Inter-faith Education) をテーマとした国際ワークショップを開催する 5) 公募研究事業を継続し, 国内外から研究者を募る 6) ウェブサイト運営とワーキングペーパーを掲載し, ニューズレター Buddhist World( 仮 ) 及び研究 3

12 報告書を刊行する 7) 龍谷ミュージアム平常展 特別展の企画運営に協力する (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 ( ユニット固有の活動は除く ) < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > 1) 研究総会を 2 回開催し ( 活動一覧 1,3), 個別研究会を開催した ( 各ユニットの進捗状況を参照 ) 2) 海外及び国内でのフィールドワークを実施した ( 各ユニットの進捗状況を参照 ) 3) 国内シンポジウム 南都学 北嶺学の構築に向けて を開催した ( グループ 1 ユニット A の進捗状況を参照 ) 4) 各仏教系 NGO NPO の代表と研究者が情報共有を行うためのセミナーを, ワークショップに変更して開催した ( グループ 2 ユニット A の進捗状況を参照 ) 宗教間教育 (Inter-faith Education) をテーマとした国際ワークショップを, 学術講演会に変更して開催した ( グループ 2 ユニット B の進捗状況を参照 ) 5) 公募研究事業を継続し, 本年度は 3 名の公募研究員を採用した ( 小南沙月, 釋氏真澄, 南條了瑛 ) なお, 本年度の公募研究成果論文は平成 29 年度の 研究報告書 に掲載する 6) ウェブサイトを運営し ( 同サイトにワーキングペーパー等を掲載した また, ニューズレター Buddhist World および平成 28 年度の研究報告書を刊行した 7) 龍谷ミュージアムの特別展 水神秘のかたち, 特集展示 追慕抄九條武子 の企画運営に協力した 仏教文化セミナー 九條武子その信仰と事績 における中西ユニット長の登壇をはじめとし, ミュージアムの展示, 運営, 図録執筆にあたって様々な知識提供を行った < 上記 (2) 以外でプロジェクト全体として新規に実施した研究内容の進捗状況及び達成度 > 国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology ( 浄土真宗 キリスト教 イスラームにおける比較神学的対話 ) を開催した 初日の公開講演では, 自然神学研究の世界的権威であるギフォードレクチャー (2015 年度 ) を担当したペリー シュミット ルンケル氏が, 宗教多様性に関する最先端の理論について講演した また, 小布施祈恵子氏が日本仏教とイスラームの関係について, 歴史と理論の両面から検討する講演を行った これらの公開講演に続く 2 日間には, 浄土真宗, キリスト教, イスラームのいずれかの神学的立場をとる国内外の計 12 名の研究者による討論会が開かれ, 各宗教の共通性や相違に関する詳細な議論が行われた ( 活動一覧 2) < 問題点 ( 実施できなかった研究を含む )> 特になし 研究計画どおりの事業が実施された 平成 28 年度プロジェクト全体に関する研究活動の根拠データ < 研究総会 全体研究会 シンポジウム その他の活動一覧 > 年度第 1 回研究総会 開催日時 :2016 年 7 月 29 日 ( 金 )13:15~16:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 参加者 :25 人 年度第 1 回国際シンポジウム テーマ :Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology( 浄土真宗 キリスト教 イスラームにおける比較神学的対話 ) 開催日時 :2017 年 2 月 15 日 ( 水 )~17 日 ( 金 ) 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館地下 1 階 B102 報告者 報告題目 : 1 日目 : 公開講演会 テーマ 宗教多様性をどう理解するか? ギフォードレクチャーを終えて ペリー シュミット ルンケル ( ミュンスター大学教授,2015 年度ギフォードレクチャー講演者 ) 宗教多様性のフラクタル的解釈 小布施祈恵子 ( 神戸市立外国語大学研究員 ) 4

13 仏教徒とムスリムの相互認識 日本仏教からの視座を中心に 通訳 : 那須英勝 ( 龍谷大学文学部教授 ) 2 日目 :Workshop First Session: Buddha s Teaching, Revelation, Logos Dennis Hirota(Ryukoku University) Imtiyaz Yusuf(Mahidol University) Perry Schmidt-Leukel(Münster University) Second Session: Universality and Exclusivism Mitsuya Dake(Ryukoku University) Junya Shinohe(Doshisha University) Peter Phan(Georgetown University) 3 日目 :Workshop Third Session: Myth and History David Matsumoto(Institute of Buddhist Studies) Maria Dakake(George Mason University) James L. Fredericks(Loyola Marymount University) Fourth Session: Amida, Allah, Trinity Eisho Nasu(Ryukoku University) Elif Emirahmetoglu(Münster University) Bernhard Nitsche(Münster University) 参加者 :90 人 共催 :Münster University,Georgetown University 年度第 2 回研究総会 開催日時 :2017 年 3 月 14 日 ( 火 )15:00~17:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 参加者 :21 人 < 関係ワーキングペーパー一覧 > 1(16-09) ペリー シュミット ルンケル 宗教多様性のフラクタル的解釈 2(16-10) 小布施祈恵子 仏教徒とムスリムの相互認識 : 日本仏教からの視座を中心に < 研究総会 全体研究会 シンポジウムなどで協力を得た学外機関 研究者一覧 > 1 ペリー シュミット ルンケル ( ミュンスター大学教授,2015 年度ギフォードレクチャー講演者 ) 第 1 回国際シンポジウム 2 小布施祈恵子 ( 神戸市立外国語大学研究員 ) 第 1 回国際シンポジウム 3Imtiyaz Yusuf(Mahidol University) 第 1 回国際シンポジウム 4Junya Shinohe(Doshisha University) 第 1 回国際シンポジウム 5Peter Phan(Georgetown University) 第 1 回国際シンポジウム 6David Matsumoto(Institute of Buddhist Studies) 第 1 回国際シンポジウム 7Maria Dakake(George Mason University) 第 1 回国際シンポジウム 8James L. Fredericks(Loyola Marymount University) 第 1 回国際シンポジウム 9Elif Emirahmetoglu(Münster University) 第 1 回国際シンポジウム 10Bernhard Nitsche(Münster University) 第 1 回国際シンポジウム 5

14 平成 28 年度グループ 1 ユニット A 研究進捗状況 杉岡孝紀 ( ユニットリーダー, 龍谷大学農学部教授 ) (1) プロジェクトにおけるユニットの研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 と Ⅲ-2 全年度に亘る の当該ユニットの部分 ) 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 グループ 1 ユニット A は, 古代から近世に至る日本仏教の特殊性 普遍性について思想 儀礼 世界認識などの観点から包括的に分析することで, 東アジア仏教圏のなかに日本仏教を位置づけることを目的とする 特に本センターおよびプロジェクトの基幹的理念である建学の精神 浄土真宗の精神 を基軸としつつ, 日本仏教の思想基盤というべき南都 北嶺に展開した仏教を多面的 総合的にとらえる 南都学 北嶺学 の構築を目指すとともに, 前近代日本における仏教的世界観を解明する 調書様式 Ⅲ-2 全年度に亘る ( 平成 27 年度欄の初め ) 部分グループ 1 ユニット A 日本仏教の形成と展開 本ユニットは, 古代から近世に至る日本仏教の特殊性 普遍性について思想 儀礼 図像 歴史 地理 環境などの多様な観点から包括的に分析することで, 東アジア仏教圏のなかに日本仏教を位置づけることを目的とする 特に本センターおよびプロジェクトの基幹的理念である建学の精神 浄土真宗の精神 を基軸としつつ, 日本仏教の思想基盤というべき南都 北嶺に展開した仏教を多面的 総合的にとらえる 南都学 北嶺学 の構築を目指すとともに, 前近代日本における仏教的世界観を解明する 本ユニットは以下の 3 つのサブユニットから成る サブユニット 1 では, 建学の精神である浄土真宗を開顕した親鸞浄土教に関し, その思想が最も体系的にあらわされた 教行信証 の研究を行う これは川添 杉岡 玉木 高田 ( 文 ) による浄土真宗ならびに親鸞に関する一連の研究成果を活用して推進されるものである 我が国における仏教研究は, 今日, 仏教諸宗派の伝統的な宗学と明治以降の近代的な仏教学との緊密な連携により, 新たな地平を開こうとしている 親鸞浄土教の研究もまた, 近代以降, 一宗派内の研鑽という枠組みを超えて, 歴史学 哲学 文学など幅広く諸の学問領域から関心が寄せられて研究が進められ, 多くの成果が提出されてきた 一方で, 実証的な親鸞研究によって, 実に多様な親鸞像が語られるようにもなった そうした中で, 本学の真宗学は伝統的な宗学における訓詁註釈的研究の膨大な業績を批判的に継承しつつ, 文献学的方法を援用することによって親鸞浄土教の研究を進め, 主体的かつ客観的に親鸞が体験し開顕した仏教, 浄土真宗の真理性を探究してきた 本サブユニットは, こうした研究方法とその成果を十分に踏まえ, 親鸞の主著 教行信証 を研究するものである 教行信証 研究において, 近年, 注目されるのが, 東 西本願寺と高田専修寺を中心に, 本書の書誌学的研究に関する最新の研究書の出版が相次いだことで, 親鸞浄土教の解明に大きく寄与するものとなっている しかしながら, 未だ明らかでない問題も多く, 本書古写本の伝承に関する研究は十分でない また本書の文献解釈学的な研究も, なお発展途上の段階である そこで本サブユニットでは, 本書の貴重な古写本である本学図書館所蔵の文明二年本を中心に据えて, 同本の系統 流伝等を明らかにするとともに, 教行信証 の思想的意義の更なる解明に向けた総合的な視野からの研究を行い, その成果を公刊する サブユニット 2 では, 写字台文庫 ( 西本願寺第 23 世門主大谷光照師からの基金によって収集された資料からなる貴重書の宝庫 ) など古代 中世から近世にいたる貴重な古典籍群を有する龍谷大学図書館所蔵文献などの古写本資料を中心に, 南都と北嶺における仏教教理 儀礼 図像 歴史 地理 自然環境等の総合的検討を通して, 現代に続く日本仏教の 学問知 の形成と展開を明らかにする 楠 藤丸による南都諸寺所蔵写本類の研究 道元による叡山浄土教研究 土屋による叡山植生の研究 長谷川の中国唯識研究 蓑輪による教理と儀礼両面からの日本仏教研究 宮治 入澤による図像学研究 の成果を活かして遂行される 6

15 長きにわたる本学の仏教学研究は, 倶舎学 唯識学 華厳学 天台学という枠組みのなかで, 豊富な収蔵資料をもとに展開されてきた この伝統の上に立ち, 南都学 北嶺学 の名のもと, 新たな視点に立って研究を再構築 新展開させるべき時期にきている 具体的には, 朝廷や貴族によって主催された儀礼空間である 論義法会 に着目し, そこで展開された 法相 華厳 天台 律 の各宗における教理問答の実態について, 従来十分に解明されてこなかった古写本資料の翻刻 解読研究を中心とする なかでも諸宗の教学交渉 論争などによって構築された共時的な教理思想の形成や, 南都 比叡山という地勢学的な位置づけについても留意し, 多面的 総合的な考察を行う とくに比叡山については, 貴重な原生林が残り歴史的にも山林の保全が行われてきたが, それらの植物生態学的な解明は比叡山に伝存する植栽関連文書との関係のなかで明らかにすることが可能である そうした文理融合的な視点を加味した研究を推進する サブユニット 3 では, 仏教系世界図と 混一疆理歴代国都之図 ( 以下, 混一図 と略する ) に基づき, 仏教的世界観から現実の世界像認識への道程について検証する 村岡 渡邊による一連の 混一図 研究の成果が活用されることとなる 本学図書館に所蔵される,15 世紀に李氏朝鮮で作製された 混一図 は, 現存する最古の世界地図の一つであるが, 東アジアではそれより古くから仏教的世界観を表す世界図が作られていた そのような仏教系世界図は, 現実の世界像が知られてくるようになると, 図の中に部分的であるが, それが反映されるようになり, ついには現実の世界をほぼ正確に表す地図が登場してくる 混一図 は, 仏教系世界図が現実世界の地図に移行する最初期の地図という側面もあり, 両者のかかわりは, それらが伝わった近世以降の日本においても大きな課題であった こうした課題をふまえ, 本サブユニットでは, 両者の比較検討を行い, 地図に表された仏教的世界観から現実の世界像認識への道程を検討する なお, デジタルアーカイブの協力の下に 混一図 をはじめとする古地図の高解像度のデジタル画像を作成し, 研究を進めるとともに, 成果の公開を図る (2) 平成 28 年度のユニットの具体的な研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 (28 年度の当該ユニット部分 ) ) グループ 1 ユニット A の計画 収集した 教行信証 諸本の比較と校異を行い, 文明二年本の系統を探り, 特色を明らかにする ( サブユニット 1) シンポジウム 南都学 北嶺学の構築に向けて を開催する 比叡山の植生に関する生態学的な調査を開始し, 叡山文庫所蔵の植栽関連文書の翻刻 解読を進める ( サブユニット 2) 混一図 上の担当地域の情報を復元 解読するとともに, それらの地域に見られる仏教系世界図との関連を解析し, 歴史事象として, 宗教文化史 政治史 経済史の方面から分析を加える あわせて国内外の寺院や各研究機関に所蔵される古地図の調査も行う ( サブユニット 3) (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 ( プロジェクト全体に関わる活動は除く ) < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > ( サブユニット 1) 収集した 教行信証 諸本の比較と校異を行い, 文明二年本の系統を探り, 特色を明らかにするため, 真宗高田派所蔵の 教行信証 の書誌に精通した研究者を招聘し, 学術講演会を開催した その研究史や形態, さらには書写者について最新の研究成果が報告され, 高田本 は親鸞の自筆ではないものの, 板東本 との親密性を有することが改めて確認された また, 文明本 の流伝の意義の解明に向け, 有意義な視点を得ることができた ( 研究会一覧 17) 前年度より予定していた, 石川県専光寺と福井県浄得寺所蔵の 教行信証 の諸資料の収集を終えることができた ( 調査先一覧 1) ( サブユニット 2) シンポジウム 南都学 北嶺学の構築に向けて を開催した 論義法会の位置付けや意義を確認するとともに, 論義法会がいかなる社会的な状況のもとで催されたかを議論し, 論義そのものも時代的 社会的状況のなかで変化するものと捉え, 論義が果たした役割や歴史的意義の一面を解明することにつながった また 南都学 北嶺学 の構築に向け, 大学の内外に発信することができた ( 研究会一覧 4)( 平成 28 年度プロジェクト全体 研究進捗状況 の (3) -3)) 7

16 ( サブユニット 3) 混一図 上の担当地域の情報を復元 解読するため, 古典籍デジタルアーカイブ研究センターの協力のもと, 混一図 をはじめとする古地図の高解度のデジタル画像の作成, 研究, 公開に関わる研究者を招聘して学術講演会を開催し, 今後の研究協力の課題に関しての意見の交換も行われた ( 研究会一覧 10) 混一図 上の地域に見られる仏教系世界図との関連を解析し, 歴史事象として, 宗教文化史 政治史 経済史の方面から分析を加えるため,2 回の学術講演会を開催した 1 回目は 混一図 の宗教文化史, 政治史, 経済史の意義について意見を交換し, 歴史教育の現場における 混一図 利用の可能性も確認した ( 研究会一覧 13) 2 回目は 混一図 と仏教系世界図との関連についての最新の研究成果が報告され, 意見交換を行うなかで, 今後の方向性が明確になった ( 研究会一覧 18) < 上記 (2) 以外でユニットとして新規に実施した研究内容の進捗状況及び達成度 > ( サブユニット 1) 教行信証 をめぐる最近の研究動向について, 本サブユニットの研究員が各自の専門領域に基づきながら紹介しあい, 問題点 疑問点を共有した 特に近代以降進展してきた 歎異抄 研究によって形成された親鸞理解がもつ矛盾点が指摘され, 教行信証 を根幹とした親鸞思想の理解の重要性を再認識するとともに, 今後の研究の方向性を改めて確認した 教行信証 の総合的な視野からの思想的意義の解明 成果を広く公開するため,2 回の学術講演会と, 社会還元を目的として 1 回の文化講演会を開催した 1 回目の学術講演会は中世人を取り巻く身近な 信仰 世界の実像を明らかにしながら, 親鸞の浄土真宗の信仰とその流伝について講演がなされた 杉岡との質疑応答を通し, 教行信証 の執筆時期等を踏まえながら, 帰京後の親鸞の布教や執筆活動における関東の影響の強さが指摘された ( 研究会一覧 9) 2 回目の学術講演会は鎌倉時代の常識や東国諸地域の地理 歴史等に基づきながら, 従来の認識とは異なる東国移住当時の親鸞とその周辺について講演がなされた 川添との質疑応答を通し, 門弟への 教行信証 の伝承について補足説明がなされ, さらに, 親鸞の布教 伝道が法然と所縁ある地域と重なっていたことの意味が明らかにされた ( 研究会一覧 12) 文化講演会は近現代における超国家主義と親鸞思想との関連について講演がなされた 当時, 超国家主義に傾倒した多くの思想家が親鸞思想に魅了されていたことより, その根源的な魅力が国体論と結びついてしまう危うさを有することが指摘され, その思想を多側面的に捉える好機となった ( 研究会一覧 16) 日本浄土教史上, 重要な位置を占める源信の浄土教に注目し, 親鸞思想と 往生要集 の関連についての研究成果を報告する学術講演会を開催した 教行信証 の研究史を辿り, 関連研究書の目録作成に資する, 重要な知見を得ることができた ( 研究会一覧 19) 平成 29 年度に計画する 浄土教 をテーマとした国内シンポジウムを, グループ 1 ユニット A サブユニット 2 と龍谷大学仏教文化研究所の指定研究 教行信証 ( 文明本 ) 研究班の協力を得て開催することとし, 基調講演の講師やパネルディスカッションの内容について, 着々と準備を進めている 教行信証の総合的研究 ( 仮 ) の刊行に向けた各研究員の研究論文作成の一環として, 開催した講演会等の成果を受けながら, 近代以降の親鸞思想研究のなかでも, 特に哲学的研究の成果について, 本年度は杉岡がワーキングペーパーとしてまとめた ( ワーキングペーパー一覧 1) ( サブユニット 2) 南都諸寺院所蔵写本の研究の一環として, 楠は東大寺図書館所蔵の新出資料 一仏繋属 に焦点をあて, 貞慶の 法然浄土教に対する教学的批判の本質 に迫った 藤丸は東大寺図書館所蔵の 探玄記肝要抄 を中心に研究を進め, 華厳論義の形成過程を明らかにした 道元は天台の論義として宗性の 天台一乗義秘要抄 をとりあげ, そこで問題となる論義テーマと全く同じ内容が, 北嶺仏教者であった恵鎮やその後の貞舜も議論していたことを明らかにし, それぞれの研究点を確認した ( 研究会一覧 1) これらの研究成果を他の研究者や学生に向けて公開し ( 研究会一覧 2,7), 楠はワーキングペーパーとしてまとめた ( ワーキングペーパー一覧 2) また, 律宗戒学院の研究員を招聘して研究会を開催した 南北朝期を代表する律学者である唐招提寺僧照遠に関する研究状況を確認し, 事績を明らかにするなか, 照遠若年時に唐招提寺長 8

17 老を務めた凝然との著作活動の様子の相違が浮き彫りとなった ( 研究会一覧 3) 論義法会における各宗の教理問答の実態解明の一環として, 叡山浄土教における最初の浄土教の著書とされる良源撰の 極楽浄土九品往生義 と, 叡山浄土教大成の名著として知られる源信の 往生要集 の関係について再検討した研究成果を報告する学術講演会が開催された 従来では両書の影響関係について否定的な学説が主であったが, 実際には密接な関係があったことが指摘され, 源信は師の良源から学問上の影響があったことを明らかにした ( 研究会一覧 8) この度の講演の概要はワーキングペーパーとしてまとめた ( ワーキングペーパー一覧 3) 同じくその一環として, 慈覚大師円仁の 入唐求法巡礼行記 とその将来目録との関連をテーマとした研究会を開催した 円仁の将来した三目録と 巡礼記 とを照らし合わせる方法で, 将来目録に対する新たな検証を試み, 一定の成果を得ることができた ( 研究会一覧 2) 薬師寺の法要として有名なものが修二会 ( 花会式 ) と慈恩会があり, 前者が悔過法会であるのに対して後者は論義法会である この 2 つの法会は, 南都の仏教を機軸として発展した日本文化の 1 つであり, 長年の伝統に基づき今なお執行されている 今回は平成 29 年度に計画する講演の前提として実施し, 法会の体現者である僧侶の具体的な情報, 資料による報告は, 紙面だけではわからない知識が得られ, 大きな意義があった ( 研究会一覧 5) 南都 北嶺の地勢学的な位置づけに留意した多面的 総合的研究を進めるなか, 比叡山の植生管理に関わる研究者を招聘してセミナーを開催した 現在の天台宗では, 比叡山を単なる山ではなく全体が学問と修行の道場であり, 伝教大師の衣の一部として植生管理を行い, 宗教行事の一貫として位置づけ,300 年後の比叡山の姿を見据えた 比叡森林継承プロジェクト を進めている 学生をはじめ, 一般者等にも研究の成果を還元することができた ( 研究会一覧 6) 倶舎 唯識 華厳 天台の伝統学を, 南都学 北嶺学 の名のもとに再構築 新展開させる一環として, 学術講演会を開催した 本研究において重要な要素の 1 つである 宗, 宗派 について, 中国仏教の観点から検討すると, 時代 宗派によってその意味 内容が相違し, 現在でも様々に議論されている状況が紹介された これを受け, 日本仏教における 宗, 宗派 についても再検討し, 多様な観点から定義を再構築する必要性が明らかとなった ( 研究会一覧 15) 本学図書館所蔵等の文献 古写本資料の翻刻 解読研究を進めるなか, 平安末期の唯識学匠であった菩提院蔵俊の著した 仏性論 ( 未翻刻 未研究 ) をとりあげ, 楠と研究協力者として迎えた舩田淳一氏 ( 金城大学准教授 ) を中心に輪読会を開催して翻刻 読解を行い, 書籍として刊行する計画にある 本サブユニットの研究基盤である南都 北嶺の仏教研究において, 仏性論 は新たな知見をもたらすインパクトの強い文献であり, 本書の翻刻 読解研究ならびに刊行は構想調書を充足するのみならず, 新たな知見を獲得し, 後々の研究に資する斬新な研究である点において, 本研究の持つ意義は大きいと言わねばならない 南都 北嶺の仏教に関する図像学的研究の一環として,3 回の学術講演会を開催した 1 回目は前年度に続き 華厳 をテーマとし, 中世日本で華厳教学を再興する明恵の実像を思想 美術 文化の面から迫り, 新たな視座を共有する機会となった ( 研究会一覧 11) 2 回目は 法相宗 をテーマとし, その主たる弥勒菩薩をとりあげ, 従来あまり注目されていない弥勒菩薩の住処である 兜率天 に関し, 思想 歴史 美術から多面的に迫り, 今後の弥勒研究を行う上で重要な指針を提供する機会となった ( 研究会一覧 14) 3 回目も 法相宗 をテーマとし, その 祖 として位置づけられる 玄奘 を取り上げ, 実際の玄奘 と 語られた玄奘 の両方に着目し, それぞれの立場から 求められた玄奘 イメージが成立する様が指摘された ( 研究会一覧 20) 南都 北嶺仏教の思想 美術 文化の遡源地の 1 つである, 浙江省地域の仏教遺跡や博物館の実地調査を行った 天台山を目指す入唐 入宋僧の行状において, とりわけ重要な地域が 台州 ( 現 臨海市 ) だが, 実地調査をされることが少ない地域の 1 つである, 今回は円珍たちが台州から天台山へと舟で移動したことを踏まえ, その河沿いを移動して彼らが滞在した寺院跡などを訪れることで, 地理的環境などを調査した また, 北宋から南宋にかけての天台懺法儀礼に多大な影響を及ぼした遵式の活動した白蓮寺の所在など, 事前調査に基づく推定地を踏査して確定することができた ( 臨海市郊外 ) こうした成果を論文等でまとめる予定である ( 調査先一覧 2) 平成 27 年度に開催した文化講演会の講演録である 回峰行と修験道 聖地に受け継がれし伝灯の行 が刊行され, 本研究プロジェクトの社会還元の推進が着実になされた 9

18 ( サブユニット 3) 平成 29 年度に計画する公開講座等を前倒しして開催した グループ 1 ユニット B サブユニット 3 が主導した文化講演会において, 村岡が 混一彊理歴代国都之図 から見た 世界 と題して講演を行った ( グループ 1 ユニット B 研究会一覧 12) また, 龍谷大学の一般向け講座 REC のなか, 明治大学において シリーズ : 重要文化財から見るシルクロードの歴史と文化 の 1 つとして, 村岡が 混一疆理歴代国都之図 から見るシルクロード と題して講座を担当した いずれも多くの一般聴衆を集め盛況であり, 研究成果を広く社会に還元するため, 次年度も引き続いて公開講座の機会を持つこととする < 問題点 ( 実施できなかった研究を含む )> ( サブユニット 1) 文献調査に関して, 大谷大学所蔵本はマイクロフィルムでの閲覧しか許可がおりず, 原本調査が行えなかったため, 引き続き閲覧交渉を行う必要がある また, 高田派専修寺所蔵の文献についても, 現在, 調査依頼を提出している段階である ( サブユニット 2) 比叡山の植生に関する研究を進める過程で, 叡山文庫所蔵の植栽関連文書の翻刻 解読の面が予定より遅れている ( サブユニット 3) 国内外の寺院や各研究機関に所蔵される古地図の調査は, 調査先との日程調整により, 次年度に実施することとなった 平成 28 年度ユニット研究活動の根拠データ < ユニット研究会一覧 > 年度第 1 回研究会 報告題目 : 論義と仏道 法相 華厳 天台 開催日時 :2016 年 4 月 13 日 ( 水 )16:30~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎楠研究室 報告者 : 楠淳證 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究センター長, 文学部教授 ) 藤丸要 ( 龍谷大学文学部教授 ) 道元徹心 ( 龍谷大学理工学部教授 ) 参加者 :3 人 年度第 2 回研究会 開催日時 :2017 年 1 月 19 日 ( 木 )13:15~14:45 場所 : 龍谷大学大宮学舎北黌 203 教室 報告者 報告題目 : 小南沙月 (2016 年度 BARC 公募研究員 ) 慈覚大師円仁将来目録の研究 入唐求法巡礼行記 との関連を中心に 楠淳證 (BARC センター長, 龍谷大学文学部教授 ) 法相論義 一仏繫属 展開の意義 貞慶による法然浄土教批判の構築 ( 下記 年度第 3 回セミナー において報告を予定していたが, 諸事情により変更した ) 司会 : 楠淳證 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究センター長, 文学部教授 ) コメンテーター : 道元徹心 ( 龍谷大学理工学部教授 ) 参加者 :26 人 年度第 3 回研究会 報告題目 : 唐招提寺照遠の事跡と著作 開催日時 :2017 年 3 月 8 日 ( 水 )9:00~12:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎白亜館 4 階 ( 共同研究室 4-1) 報告者 : 西山明範 ( 一般財団法人律宗戒学院研究員 ) 参加者 :4 人 10

19 42016 年度第 1 回国内シンポジウム テーマ : 南都学 北嶺学の構築に向けて 論義と儀礼 開催日時 :2016 年 6 月 3 日 ( 金 )13:15~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール 基調講演 : 上島享 ( 京都大学大学院文学研究科 文学部教授 ) 古代 中世における論義法会の歴史変遷とその意義 朝廷と南都 北嶺の論義法会 報告者 報告題目 : 藤平寛田 ( 天台宗典編纂所編輯長, 叡山学院講師 ) 天台の論義 蜷川祥美 ( 岐阜聖徳学園大学短期大学部教授 ) 法相の論義 参加者 :189 人 年度第 1 回セミナー 報告題目 : 薬師寺の法会 花会式と慈恩会を中心として 開催日時 :2016 年 10 月 13 日 ( 木 )13:15~14:45 場所 : 龍谷大学大宮学舎北黌 203 教室 報告者 : 加藤大覚 ( 薬師寺録事 ) 参加者 :16 人 年度第 2 回セミナー テーマ : 比叡の森を護る 開催日時 :2017 年 1 月 13 日 ( 金 )13:15~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎北黌 204 教室 報告者 報告題目 : 礒村良定 (BARC 研究協力者, 延暦寺一山無量院住職, 延暦寺総務部主事 ) 比叡山 伝教大師の衣の森 武円超 (BARC 研究協力者, 延暦寺管理部主事 ) 大師の森を守る 比叡山の森林施業 コメンテーター : 楠淳證 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究センター長, 文学部教授 ) 参加者 :137 人 年度第 3 回セミナー テーマ : 論義と仏道 法相 華厳 天台 開催日時 :2017 年 1 月 17 日 ( 火 )15:00~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール 報告者 報告題目 : 藤丸要 ( 龍谷大学教授 ) 華厳論義の成立と展開 道元徹心 ( 龍谷大学教授 ) 天台論義資料への一視点 千観撰 法華三宗相対抄 東大寺図書館蔵 天台宗一乗義秘要抄 を手掛かりに 総合司会 : 大谷由香 (BARC 研究員, 龍谷大学非常勤講師 ) 参加者 :44 人 年度第 1 回学術講演会 テーマ : 天台学の世界 開催日時 :2016 年 5 月 17 日 ( 火 )15:00~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール 11

20 報告者 報告題目 : 武覚超 ( 叡山学院教授 ) 慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響 司会 : 道元徹心 ( 龍谷大学理工学部教授 ) 参加者 :69 人 年度第 2 回学術講演会 報告題目 : 中世びとの信仰の形態 開催日時 :2016 年 5 月 30 日 ( 月 )17:30~19:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館地下 1 階 B101 報告者 : 大喜直彦 ( 本願寺史料研究所上席研究員 ) コメンテーター : 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) 参加者 :36 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 3 回学術講演会 報告題目 : 本学所蔵古地図のデジタル修復 ( 混一彊理歴代国都之図の保存のためのデジタル修復 複製 ) 開催日時 :2016 年 6 月 22 日 ( 水 )16:30~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 岡田至弘 ( 龍谷大学理工学部情報メディア学科教授 ) 司会 : 渡邊久 ( 龍谷大学文学部教授 ) コメンテーター : 村岡倫 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :31 人 年度第 4 回学術講演会 テーマ : 明恵と高山寺 開催日時 :2016 年 6 月 25 日 ( 土 )13:15~17:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階 253 教室 総合司会 : 西谷功 (BARC 研究員, 泉涌寺宝物館学芸員 ) 報告者 報告題目 : 野呂靖 ( 龍谷大学文学部講師 ) 明恵と高山寺の教学 宋版 華厳五教章 の受容をめぐって 森實久美子 ( 九州国立博物館企画課研究員 ) 明恵の釈迦信仰 伊藤久美 ( 奈良国立博物館学芸部美術室研究員 ) 明恵をめぐる絵巻製作 華厳宗祖師絵伝 を中心に 参加者 :76 人 年度第 5 回学術講演会 報告題目 : 親鸞と東国の人々 開催日時 :2016 年 7 月 18 日 ( 月 )15:00~17:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 総合司会 : 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) 報告者 : 今井雅晴 ( 筑波大学名誉教授 ) コメンテーター : 川添泰信 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :45 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 6 回学術講演会 報告題目 : 歴史教育の場における 混一彊理歴代国都之図 の役割 12

21 開催日時 :2016 年 7 月 29 日 ( 金 )17:00~18:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 中村和之 ( 函館工業高等専門学校教授 ) 司会 : 渡邊久 ( 龍谷大学文学部教授 ) コメンテーター : 村岡倫 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :25 人 年度第 7 回学術講演会 テーマ : 玄奘三蔵と法相宗の美術 弥勒信仰と美術 開催日時 :2016 年 10 月 29 日 ( 土 )13:00~17:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 楷ホール 総合司会 : 西谷功 (BARC 研究員, 泉涌寺宝物館学芸員 ) 報告者 報告題目 : 打本和音 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究センター RA) 弥勒経典と初期弥勒信仰の美術 ガンダーラから中国北魏へ 泉武夫 ( 東北大学大学院文学研究科教授 ) 中国 日本の弥勒信仰とその美術 北澤菜月 ( 奈良国立博物館学芸部研究員 ) 日本における兜率天曼荼羅 南都周辺の作例を中心に 参加者 :53 人 共催 : 科学研究費助成事業基礎研究 (B) 課題番号 中央アジア仏教美術の研究 釈迦 弥勒 阿弥陀信仰の美術の生成を中心に ( 代表 : 宮治昭 ) 年度第 8 回学術講演会 報告題目 : 中国仏教に宗派は本当に存在したのか 開催日時 :2016 年 11 月 1 日 ( 火 )15:00~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 楷ホール 報告者 : 張文良 ( 中国人民大学教授 ) コメンテーター : 長谷川岳史 ( 龍谷大学経営学部教授 ) 参加者 :33 人 年度文化講演会 報告題目 : なぜ親鸞思想は超国家主義へと接続したのか 開催日時 :2016 年 11 月 28 日 ( 月 )13:15~14:45 場所 : 龍谷大学深草学舎顕真館 報告者 : 中島岳志 ( 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授 ) 司会 : 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) 参加者 :98 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 9 回学術講演会 報告題目 : 高田本 教行証文類 の書誌学 開催日時 :2016 年 12 月 5 日 ( 月 )15:00~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 清水谷正尊 ( 高田派鑑学, 高田短期大学非常勤講師 ) コメンテーター : 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) 参加者 :24 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 10 回学術講演会 報告題目 : 混一疆理歴代国都之図 研究から見た仏教系世界図検討の課題 13

22 開催日時 :2017 年 1 月 26 日 ( 木 )16:45~18:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 濱下武志 ( 東洋文庫研究員 ) 司会 : 渡邊久 ( 龍谷大学文学部教授 ) コメンテーター : 村岡倫 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :15 人 年度第 11 回学術講演会 報告題目 : 親鸞と 往生要集 開催日時 :2017 年 1 月 27 日 ( 金 )16:45~18:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 高田文英 ( 龍谷大学文学部准教授 ) 司会 : 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) コメンテーター : 玉木興慈 ( 龍谷大学短期大学部教授 ) 参加者 :18 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 12 回学術講演会 テーマ : 玄奘三蔵の説話と美術 開催日時 :2017 年 3 月 4 日 ( 土 )13:00~17:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 楷ホール 総合司会 : 野呂靖 ( 龍谷大学文学部講師 ) 西谷功 (BARC 研究員, 泉涌寺宝物館学芸員 ) 報告者 報告題目 : 師茂樹 ( 花園大学文学部教授 ) ナラティブとしての玄奘伝 : 日本古写経にみる玄奘伝の変遷 谷口耕生 ( 奈良国立博物館教育室長 ) 中世日本における玄奘三蔵像の受容と展開 大島幸代 ( 香雪美術館学芸員 ) 玄奘三蔵と護法神 参加者 :95 人 < ユニット関係ワーキングペーパー一覧 > 1(16-01) 杉岡孝紀 親鸞思想の哲学的研究 西田幾多郎の純粋経験と親鸞の他力念仏 2(16-02) 楠淳證 法相論義 一仏繋属 展開の意義 貞慶による法然浄土教批判の論理構築 3(16-08) 武覚超 慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響 往生要集 を中心に < ユニット研究において協力を得た学外機関 研究者一覧 > 1 西山明範 ( 一般財団法人律宗戒学院研究員 ) 第 3 回研究会 2 上島享 ( 京都大学大学院文学研究科 文学部教授 ) 第 1 回国内シンポジウム 3 藤平寛田 ( 天台宗典編纂所編輯長, 叡山学院講師 ) 第 1 回国内シンポジウム 4 蜷川祥美 ( 岐阜聖徳学園大学短期大学部教授 ) 第 1 回国内シンポジウム 5 加藤大覚 ( 薬師寺録事 ) 第 1 回セミナー 6 礒村良定 (BARC 研究協力者, 延暦寺一山無量院住職, 延暦寺総務部主事 ) 第 2 回セミナー 7 武円超 (BARC 研究協力者, 延暦寺管理部主事 ) 第 2 回セミナー 8 武覚超 ( 叡山学院教授 ) 第 1 回学術講演会 9 大喜直彦 ( 本願寺史料研究所上席研究員 ) 第 2 回学術講演会 10 森實久美子 ( 九州国立博物館企画課研究員 ) 第 4 回学術講演会 11 伊藤久美 ( 奈良国立博物館学芸部美術室研究員 ) 第 4 回学術講演会 12 今井雅晴 ( 筑波大学名誉教授 ) 第 5 回学術講演会 14

23 13 中村和之 ( 函館工業高等専門学校教授 ) 第 6 回学術講演会 14 泉武夫 ( 東北大学大学院文学研究科教授 ) 第 7 回学術講演会 15 北澤菜月 ( 奈良国立博物館学芸部研究員 ) 第 7 回学術講演会 16 張文良 ( 中国人民大学教授 ) 第 8 回学術講演会 17 中島岳志 ( 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授 ) 第 1 回文化講演会 18 清水谷正尊 ( 高田派鑑学, 高田短期大学非常勤講師 ) 第 9 回学術講演会 19 濱下武志 ( 東洋文庫研究員 ) 第 10 回学術講演会 調査先 1( 杉岡孝紀 ) [ 調査先 ] 専光寺 ( 石川県 ) 浄得寺 ( 福井県 ) 調査先 2( 野呂靖 西谷功 大谷由香 打本和音 ) [ 調査先 ] 上海博物館 延慶寺 景福寺 東銭湖 阿育王寺 天童寺 寧波博物館 国清寺 隋塔 智者塔院 石橋 赤城寺 萬年寺 天台山博物館 開元寺 ( 龍興寺 ) 巾山塔 日山寺 霊石寺 飛来峰 霊隠寺 浙江省博物館 上下天竺寺 高麗寺 梵天寺 烟霞洞 六和塔 雷峰塔 慈雲嶺 径山寺 霊芝寺 < ユニット研究費 ( 個人分担金含む ) による海外調査一覧 > 年 9 月 5 日 -9 月 12 日 / 中国 / 浙江省の仏教寺院 遺跡調査, 資料収集 / 野呂靖 年 9 月 5 日 -9 月 12 日 / 中国 / 浙江省の仏教寺院 遺跡調査, 資料収集 / 西谷功 年 9 月 5 日 -9 月 12 日 / 中国 / 浙江省の仏教寺院 遺跡調査, 資料収集 / 大谷由香 年 9 月 5 日 -9 月 12 日 / 中国 / 浙江省の仏教寺院 遺跡調査, 資料収集 / 打本和音 15

24 平成 28 年度グループ 1 ユニット B 研究進捗状況 三谷真澄 ( ユニットリーダー, 龍谷大学国際学部教授 ) (1) プロジェクトにおけるユニットの研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 と Ⅲ-2 全年度に亘る の当該ユニットの部分 ) 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 グループ 1 ユニット B は, 明治期から十五年戦争期までの日本の仏教者が, 帝国主義と植民地主義を思想的背景とする国家間の覇権争いが次第に激化していく当時の国際社会のなかで, 他国の仏教者 ( 宗教者 ) や研究者らといかなる相互交流を行い, 国家間の対立を超えた連帯や思想を築きえたのか, その実態を明らかにする 調書様式 Ⅲ-2 全年度に亘る ( 平成 27 年度欄の初め ) 部分グループ 1 ユニット B 近代日本仏教と国際社会 本ユニットは, 明治期から十五年戦争期までの日本の仏教者が, 帝国主義と植民地主義を思想的背景とする国家間の覇権争いが次第に激化していく当時の国際社会のなかで, 他国の仏教者 ( 宗教者 ) や研究者らといかなる相互交流を行い, 国家間の対立を超えた連帯や思想を築きえたのか, その実態を明らかにする 本ユニットは以下の 3 つのサブユニットから構成される 赤松 龍渓 中西 吉永 ジャフィ 林 岩田による一連の研究成果にもとづいて進められる サブユニット 1 では, 明治仏教の国際化の展開を解明する 具体的には, 本学の前身である普通教校 ( 明治 18 年 (1885) 創立 ) の教職員を中心として 1888 年に設立された海外宣教会が, 年 1 回発行し国外の 200 ヶ所以上の研究機関や図書館に無料で送付していた英文仏教雑誌 亜細亜之宝珠 (Bijou of Asia) の内容分析を行う また, 西洋諸国の宗教思想や文化と接触した明治の仏教者が, 他者としてのキリスト教との相互交渉をとおして, いかなる自己認識の変化を被ったのかを, 世界の諸宗教を包摂する 宗教 (religion) 概念の構築過程とも相関させながら検討する サブユニット 2 では, 十五年戦争期における日本の仏教者の活動について考察する 日本が国際連盟を脱退 (1933 年 2 月 ) し国際的に孤立するなか, 日本仏教の関係者たちは, 欧米の仏教者 研究者との連絡の緊密化を図り, またアジア諸国の仏教勢力との多面的な協力提携を目指した それは国策に寄り添いながらも国家の意向には必ずしも回収されない, 非常に多様な事業として推進された これらの事業に関わる資料は, 散逸も著しく, 保存状況も万全とは言えない状況にある 本サブユニットでは, 一連の事業に関係した資料の復刊を期するとともに, 戦時下日本の仏教者による国際交流活動の実態を解明する また同時に, そうした国際的な事業が, 既に研究蓄積の厚い 戦時教学 のような同時代の仏教者による国家奉献的な運動とどのような関係にあったのかを検討することで, 戦時下における日本仏教の実態を総合的に解明する サブユニット 3 では, 大谷光瑞の思想と事業の再検証を行う 能仁 三谷 市川のこれまでの研究実績を活かして遂行されるものである 大谷光瑞 ( ) は, 大正から昭和の激動の時代, 特に戦中戦後を経験した貴重な歴史的証人である 彼は浄土真宗本願寺派の第 22 世宗主であるとともに, 日本史上唯一の組織的な中央アジア探検である, 大谷探検隊を派遣した人物として知られる だが, 彼の多面性はそれだけにとどまらない 光瑞は, 収集資料の研究調査を行う光寿会を主宰したという点では 研究者 でもあり, 武庫仏教中学の創設や大谷学生の選抜という点では 教育者 でもあり, さらには, ジャワ, トルコ等での産業開発という点では 実業家 でもあった 本サブユニットでは, 彼のそうした様々な側面を再検証しつつ, 特にこれまで比較的なされてこなかった光瑞自身の思想との関連で, 国際的規模で遂行された彼の事業活動の歴史的背景や意義を再考する それによって, 光瑞が開拓した独自的な国際交流活動の特徴を明らかにする (2) 平成 28 年度のユニットの具体的な研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 (28 年度の当該ユニット部分 ) ) 16

25 グループ 1 ユニット B の計画 明治期における仏教とキリスト教との相互交渉をテーマとした研究会を開催する 前年度に続いて 亜細亜之宝珠 の読解を進める ( サブユニット 1) 1934 年に東京で開かれた第二回汎太平洋仏教青年大会を契機に大日本仏教青年会連盟内に組織された国際仏教通報局にかかわる研究を行うとともに, 同局が刊行した雑誌 国際仏教通報 を復刊する ( サブユニット 2) 大谷光瑞とチベットとのかかわりを明らかにするために, 青木文教や多田等観の著作の記述に基づき, 彼等をチベットに派遣した意図や活動の意義について, 当時の国際状況との関係において検討する ( サブユニット 3) (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 ( プロジェクト全体に関わる活動は除く ) < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > ( サブユニット 1) 明治期における仏教とキリスト教との相互交渉をテーマとした研究会をワークショップに変更して サブユニット 2 と共同で 2 回開催した 1 回目は明治以降の日本仏教の国際化や, 西洋社会との交流を代表する人物である鈴木大拙をとりあげ, 国内外から複数の研究者を招いた 大拙の親族をめぐる新資料についての紹介や, その活動に関する新たな見解などが提示された それによって, 日本の禅仏教を背景とした大拙が, アメリカにおいてどのように評価され, 現地の人々と関わってきたのかについての理解が深まり, キリスト教を背景とした欧米社会における日本仏教の位置づけの通時的な変遷についての研究が進んだ ( 研究会一覧 10) 2 回目は明治中期の仏教界に大きな影響力を及ぼした中西牛郎をとりあげ, その生涯の全貌が諸資料に基づきながら明らかにされるとともに, 彼の仏教改革論の歴史的な位置づけが議論された 特に, プロテスタント的な宗教理解によって仏教を 啓示教 として位置づけたその宗教論は, 後の通仏教的な運動の当事者たちの思想にも流れ込んでおり, こうした思想の展開は, 近代仏教の国際化を考える上でも示唆に富むものである ( 研究会一覧 11) 亜細亜之宝珠 の読解を進める研究会を 5 回開催し, その刊行の歴史的 思想的な背景を把握するとともに, グループ 1 ユニット B サブユニット 2, グループ 2 ユニット B サブユニット 1 と連係した研究活動を開始した 特に 亜細亜之宝珠 に関連して見られる明治仏教の国際化が, その後の日本仏教の国際交流の展開に与えた影響や, 国際化の伸張と衰退の理由, 国際化の背景としてあったと思われる当時の仏教結社活動の実態や, あるいは欧米の側からの反応や評価がどうであったのかについて, 次年度以降さらに検証と考察を進めていく必要があることが確認できた また, 亜細亜之宝珠 の刊行以前に, 赤松連城による英文による真宗の紹介が行われていることが分かったことから, 彼の英文 真宗要旨 についても読解を進めることとなり, 大学院生 若手の研究者にこのようなテーマについての関心を広げることが出来た ( 研究会一覧 1,2,3,4,5) また その成果の一部をワーキングペーパーとしてまとめた ( ワーキングペーパー一覧 1) ( サブユニット 2) 大日本仏教青年会連盟内に組織された国際仏教通報局にかかわる研究を行うとともに, 同局が刊行した雑誌 国際仏教通報 を復刊に向け, 国際仏教通報 および 日華佛教 の蒐集 総目次の作成を行った また, 支那宗教事情 と 東亞宗教事情 の蒐集 総目次の作成にも着手しており, 中西直樹ほか編 資料集 戦時下 日本仏教 の国際交流 編集復刻版 の第 Ⅲ 期 中国仏教との交流 ( 国際仏教通報 日華佛教 支那宗教事情 東亞宗教事情 ) を平成 29 年 10 月に刊行予定 ( サブユニット 3) 大谷光瑞とチベットとのかかわりを明らかにするために, 青木文教や多田等観の著作の記述に基づき, 彼等をチベットに派遣した意図や活動の意義について, 当時の国際状況との関係において検討する研究会を開催した 長年にわたって両氏を中心としてチベットに入った日本人の事跡を追う研究者による報告を基本とし, 市川による大谷探検隊に関わる資料の紹介も行われ, 能仁をはじめとする本研究センターの研究員等により, 活発な意見交換が行われた ( 研究会一覧 7) < 上記 (2) 以外でユニットとして新規に実施した研究内容の進捗状況及び達成度 > 17

26 ( サブユニット 1) 太平洋戦争中のアメリカ強制収容所における浄土真宗の伝道とその意義に関する研究会を開催した ロサンゼルスの全米日系人博物館所蔵の資料や, 米国仏教団の出版物などから, 当時の様子が明らかとなり, 戦後アメリカでの日本仏教の展開においては, この時代の経験がもたらした影響は少なくないことが報告された ( 研究会一覧 6) 亜細亜之宝珠 以前に出された真宗の英文伝道文書を収集し, それに関連する資料の読解 分析に着手し, 明治初期の仏教英文伝道についての基礎資料の充実が進められた 大学院生を中心とした若手研究者が, 研究分担者とともに毎回文献の要旨報告を行いながら, 議論にも積極的に参加してくれた ( サブユニット 2) 戦時下の日本仏教の国際交流に関するワークショップを 2 回開催した 1 回目は近代の本願寺派教団における 特殊布教 の展開をとりあげ, その成立過程とそこに関与した組織や教団の動向について検証することで, 真宗布教の近代化の一側面について議論がなされた ( 研究会一覧 8) 2 回目は今日までの研究であまり明らかにされてこなかった宗教団体の法人組織化の問題を, 特に仏教婦人会に焦点を当てて, 具体的事例を挙げながら報告があり, 質疑応答時には活発な議論が交わされた ( 研究会一覧 9) ( サブユニット 3) 大谷光瑞師が開拓した国際交流活動の特徴を解明し, 広く一般へ公開することを目的として文化講演会を 3 回にわたって開催した 総合テーマを 世界認識と アジア とし,1 回目は本学所蔵の 混一彊理歴代国都之図 の研究成果に基づき, 当時の人々の 世界 認識を明らかにした ( 研究会一覧 12) 2 回目は博物学者の南方熊楠の広範で緻密な知識の体系を形成した, 独自の世界観から見た アジア, あるいは 日本 像をとりあげた ( 研究会一覧 13) 3 回目は仏教者, 教育者, 研究者, 探検者等と称される, 大谷光瑞師の様々な視点から論じることができる世界認識を明らかにし, その実像にせまった ( 研究会一覧 14) アジア全域を視野に入れた大谷光瑞師の活動と意義の再検討の一環として, 著作の悉皆調査を継続しており, 仏教 と 農業 や 科学 の言説に注目しながら文献調査を行った 平成 29 年度に計画する大谷光瑞師のインド訪問の意図や活動の意義に関する研究成果の公開を念頭に, 著作の悉皆調査を実施した 国際状況に関する知見を深め, 諸活動の歴史的意義を検討し, 順調に準備を進めている 大谷光瑞師遷化 70 年にあたる平成 30 年度に計画する, 国際シンポジウム 大谷光瑞の思想と事業の再検証 を念頭に, 光瑞師が国際的規模で遂行した事業活動の歴史的背景や意義を再考するため, 三谷が台湾 高雄市の 逍遙園 の跡地を訪問し, 周辺の状況や, 現地で企画されている復元作業や, 完成後の諸事業等の情報交換を行った ( 調査先一覧 1) また, 開催の趣旨やテーマを吟味し, 招聘講師の選定などの準備を進めている 平成 31 年度に計画する 近代日本仏教と国際社会 をテーマとした国内シンポジウムに向け, 他のサブユニットとも連携して準備を進めている < 問題点 ( 実施できなかった研究を含む )> ( サブユニット 1) 今年度もある程度実施できたが, 今後さらに他のサブユニットとの共同研究会を開催し, 問題関心の共有と, 新たな研究視点の開発に努めることが必要である ( サブユニット 2) 当初計画していた資料集の刊行は順調に進捗しているが, その研究成果を社会的に還元していく事業計画が実現できず, 現在検討中である 龍谷ミュージアム等と連携した展示, 他のサブユニットとの連携には課題も多いが, 漸次計画していく予定である ( サブユニット 3) 特になし 当初の研究計画に沿って, 順調に推移している 平成 28 年度ユニット研究活動の根拠データ < ユニット研究会一覧 > 年度第 1 回研究会 報告題目 : THE BIJOU OF ASIA( 亜細亜之宝珠 ) 研究会 ( 第 1 回 ) 18

27 開催日時 :2016 年 5 月 26 日 ( 木 )16:00~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 301 参加者 :6 人 年度第 2 回研究会 報告題目 : THE BIJOU OF ASIA( 亜細亜之宝珠 ) 研究会 ( 第 2 回 ) 開催日時 :2016 年 6 月 23 日 ( 木 )16:45~18:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 301 参加者 :9 人 年度第 3 回研究会 報告題目 : THE BIJOU OF ASIA( 亜細亜之宝珠 ) 研究会 ( 第 3 回 ) 開催日時 :2016 年 7 月 25 日 ( 月 )16:00~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎南黌 102 参加者 :12 人 年度第 4 回研究会 報告題目 : THE BIJOU OF ASIA( 亜細亜之宝珠 ) 研究会 ( 第 4 回 ) 開催日時 :2016 年 9 月 26 日 ( 月 )17:00~19:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌小会議室 参加者 :13 人 年度第 5 回研究会 報告題目 : THE BIJOU OF ASIA( 亜細亜之宝珠 ) 研究会 ( 第 5 回 ) 開催日時 :2016 年 11 月 7 日 ( 月 )17:00~19:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌小会議室 参加者 :7 人 年度第 6 回研究会 報告題目 : 戦時下における日本仏教の国際化 アメリカ強制収容所での真宗伝道 開催日時 :2016 年 12 月 8 日 ( 木 )17:00~18:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 階会議室 報告者 : 釋氏真澄 (2016 年度 BARC 公募研究員 ) 参加者 :8 人 年度第 7 回研究会 テーマ : 大谷光瑞師の事業の再検討 開催日時 :2017 年 2 月 24 日 ( 金 )13:00~16:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 報告題目 : 高本康子 ( 北海道大学スラブ ユーラシア研究センター共同研究員 ) 大谷探検隊研究の現在 市川良文 ( 龍谷大学文学部准教授 ) 大谷探検隊にかかわる資料紹介 司会 : 三谷真澄 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 参加者 :13 人 年度第 1 回ワークショップ 報告題目 : 真宗布教近代化の一断面 本願寺派 特殊布教 の成立過程を中心に 開催日時 :2016 年 8 月 2 日 ( 火 )17:00~18:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 中西直樹 ( 龍谷大学文学部教授 ) 19

28 コメンテーター : 嵩満也 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 参加者 :35 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 2 回ワークショップ 報告題目 : 近現代の宗教界と公益法人制度 仏教婦人会の法人化を中心に 開催日時 :2016 年 11 月 4 日 ( 金 )16:00~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 大澤広嗣 ( 文化庁文化部宗務課専門職 ) 参加者 :19 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 3 回ワークショップ 報告題目 : 鈴木大拙夫妻を解読する 研究の現状に関するラウンドテーブル 開催日時 :2016 年 12 月 7 日 ( 水 )15:00~18:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清和館 3 階会議室 報告者 : ジェイムズ ドビンズ ( オーバリン大学 ) リチャード M ジャフィ ( デューク大学 ) ジュディス スノドグラス ( 西シドニー大学 ) ウェイン ヨコヤマ ( 花園大学 ) 司会 : 吉永進一 ( 舞鶴工業高等専門学校 ) アリス フリーマン ( オックスフォード大学 ) 参加者 :22 人 年度第 4 回ワークショップ 報告題目 : 中西牛郎と其の時代 明治中葉までを中心に 開催日時 :2017 年 1 月 24 日 ( 火 )15:00~18:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 報告者 : 星野靖二 ( 國學院大學研究開発推進機構准教授 ) 参加者 :16 人 年度文化講演会 テーマ : 世界認識と アジア ( 第 1 回 ) 講題 : 混一彊理歴代国都之図 から見た 世界 開催日時 :2016 年 11 月 19 日 ( 土 )13:30~15:00 場所 : 龍谷大学深草学舎和顔館地下 1 階 B201 講師 : 村岡倫 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :21 人 年度文化講演会 テーマ : 世界認識と アジア ( 第 2 回 ) 講題 : 南方熊楠と アジア 開催日時 :2016 年 12 月 17 日 ( 土 )13:30~15:00 場所 : 龍谷大学深草学舎和顔館地下 1 階 B201 講師 : 松居竜五 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 参加者 :142 人 年度文化講演会 テーマ : 世界認識と アジア ( 第 3 回 ) 講題 : 大谷光瑞の世界認識 20

29 開催日時 :2017 年 1 月 21 日 ( 土 )13:30~15:00 場所 : 龍谷大学深草学舎和顔館地下 1 階 B201 講師 : 三谷真澄 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 参加者 :173 人 < ユニット関係ワーキングペーパー一覧 > 1(16-03) 嵩満也 The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠 創刊号の巻頭記事 2(16-05) 大澤広嗣 雑誌 海外仏教事情 総目次 3(16-04) 三谷真澄 大谷光瑞師の思想と事業 ~ その歴史的意義の再検証に向けて ~ < ユニット研究において協力を得た学外機関 研究者一覧 > 1 高本康子 ( 北海道大学スラブ ユーラシア研究センター共同研究員 ) 第 7 回研究会 2 ジェイムズ ドビンズ ( オーバリン大学 ) 第 3 回ワークショップ 3 ジュディス スノドグラス ( 西シドニー大学 ) 第 3 回ワークショップ 4 ウェイン ヨコヤマ ( 花園大学 ) 第 3 回ワークショップ 5 アリス フリーマン ( オックスフォード大学 ) 第 3 回ワークショップ 6 星野靖二 ( 國學院大學准教授 ) 第 4 回ワークショップ 調査先 1( 三谷真澄 [ 調査先 ] 逍遙園跡地 寶船寺跡地 高雄港 壽山 [ 調査協力者 ] 黄朝煌 ( 国立高雄大学 相違設計與建築学系永続居住環境科技中心 ) < ユニット研究費 ( 個人分担金含む ) による海外調査一覧 > 年 8 月 20 日 -8 月 23 日 / 台湾 / 大谷光瑞師高雄に建設した 逍遙園 にて, 現地研究者との情報共有および現地調査, 資料収集 / 三谷真澄 21

30 平成 28 年度グループ 2 ユニット A 研究進捗状況 若原雄昭 ( ユニットリーダー, 龍谷大学文学部教授 ) (1) プロジェクトにおけるユニットの研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 と Ⅲ-2 全年度に亘る の当該ユニットの部分 ) 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 グループ 2 ユニット A は, 現代における日本仏教の社会性と公益性について, 日本における仏教者 教団による社会貢献活動の実態とその意義や, 各宗派による現代的な諸問題への取り組み, 地域社会における寺院の役割といった観点から考察する またこうした日本仏教の現状に関する理解を深めるためにも, 現代アジア諸地域における仏教の社会性 公益性に関する調査 研究を推進し, 日本仏教の事例との比較考察を行う 調書様式 Ⅲ-2 全年度に亘る ( 平成 27 年度欄の初め ) 部分グループ 2 ユニット A 現代日本仏教の社会性 公益性 本ユニットでは, 現代における日本仏教の社会性と公益性について, 日本における仏教 ( 者 教団 ) による社会貢献活動の実態とその意義や, 各宗派による現代的な諸問題への取り組み, 地域社会における寺院の役割といった観点から考察する またこうした日本仏教の現状に関する理解を深めるためにも, 現代アジア諸地域における仏教の社会性 公益性に関する調査 研究を推進し, 日本仏教の事例との比較考察を行う 嵩 藤 若原 岡本 長上 野呂 ロウの研究業績を踏まえて推進される サブユニット 1 では, 日本仏教の社会性と公益性を問い直す 日本の仏教研究は, 教義や歴史の分野では, 国際的にも評価の高い実証的な研究成果をあげてきた一方, 同時代の眼前に存在する日本仏教の有する社会性 公益性については, 十分な議論がなされてこなかった しかし近年, 特に東日本大震災以降, 海外の日本仏教の研究者の間では 宗教の社会性 公益性 という観点から, あらためて現代日本仏教の公的な役割が再検討されつつある 本サブユニットでは, 国外の研究者の日本仏教に対する評価にも耳を傾けながら, 日本仏教の社会性 公益性 について考察する 具体的には, 現在全国各地で展開されている仏教系 NGO NPO の活動実態を調査するとともに, 各組織の代表者を集めたセミナー等を開催し, それぞれの活動の現況や共通の課題を確認した上で, 課題解決のための方途を模索する また, 葬儀の意義やあり方などの現代的諸問題に対する宗派の対応や, 寺院 僧侶による宗教活動の公益性等に関する調査 研究をこれまで積み重ねてきた各宗派の研究機関と連携し, 共同的な研究を推進する なお, これらの仏教系 NGO NPO や宗派の研究機関は, 異なる宗派間の壁のために, これまで宗派を超えた持続的な協力関係を十分に築けずにきたが, 本プロジェクトでは本サブユニットを中心にして, そのような宗派間の壁を超えた日本仏教研究のプラットフォームの形成を目指す さらに, こうした宗派的な立場ではなく, 地域社会における寺院という観点から日本仏教の現状を調査している国内外の研究者からも, 現代日本仏教の課題と可能性についての知見を得ていく サブユニット 2 では, 現代のアジア諸地域における仏教者のさまざまの活動や社会的役割について調査 研究し, それらとの比較考察によって現代日本仏教の社会性 公益性の特質を浮き彫りにする 例えば現代インドでは, アンベードカルに端を発する改宗仏教徒が次第に大きな勢力となっており, 下層民を主体としたその運動がインド社会の差別構造を乗り越えるための実践を続けている バングラデシュでは, 同国におけるマイノリティである仏教徒が圧倒的多数派のイスラム教徒と相互交渉しつつ平和的に共存するという興味深い一面がみられる タイでは, タイ仏教独特の一時出家制度が僧院と社会との密接な関係性の維持 構築に貢献している 近隣の東アジア地域においても, 例えば現在の韓国では, 仏教が社会救済 慈善 文化事業などを通した伝道 布教を熱心に展開している 台湾でも, 僧侶による積極的な社会奉仕活動や教育事業がみられるが, そこでは特に 22

31 尼僧たちによる活躍が著しい こうしたアジア諸地域の仏教者による諸活動の動向を現地調査によって把握し, 欧米の仏教研究の分野において近年活況を呈している エンゲイジド ブディズム ( 社会参加型仏教 ) という視点からこれらの動向を理論的に分析し, 得られた知見に基づき日本仏教の現状理解を深める すなわち, 仏教の社会性 公益性に関して, 日本の現状分析, アジア諸地域の事例, および欧米の エンゲイジド ブディズム 論という三点観測的なアプローチから検討する こうした従来にない新しい研究手法によって, 最終的に現代日本仏教の特徴を明確にしていく (2) 平成 28 年度のユニットの具体的な研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 (28 年度の当該ユニット部分 ) ) グループ 2 ユニット A の計画 各仏教系 NGO NPO の代表と研究者が情報共有を行うためのセミナーを開催する 各宗派の研究機関の研究者が現代的諸問題に対する仏教の応答をテーマに討論し, 共通認識を深めるための研究会を行う 過疎地域における寺院の社会性に関して, 現地調査を行っている研究者を招き研究会を開催する また, 仏教福祉事業の実態について現地調査を行う ( サブユニット 1) インドの改宗仏教徒に関する調査を開始する 前年度のバングラデシュ調査をふまえた研究会を開催する 前年度のタイ調査をふまえた研究会を開催する 前年度の韓国仏教の比丘尼に関する調査をふまえた研究会を開催する ( サブユニット 2) (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 ( プロジェクト全体に関わる活動は除く ) < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > ( サブユニット 1) 各仏教系 NGO NPO の代表と研究者が情報共有を行うためのセミナーをワークショップに変更して開催した これは平成 29 年度に計画する国内外の仏教系 NGO に関するワークショップを前倒したものである 長年にわたりネパール在住のチベット難民の支援に携わってきた浄土真宗本願寺派の僧侶と, 京都市内における野宿者の支援に関わってきた真宗大谷派の僧侶を講師として招き, 活動内容と課題について報告がなされた さらに, 討議においては諸教団間の支援の連携の可能性や, 情報共有のプラットフォーム作りの必要性についても提言がなされるなど, 宗教者による社会活動を考える上での有意義な議論が行われた ( 研究会一覧 5)( 平成 28 年度プロジェクト全体 研究進捗状況 の (3)-4)) 各宗派の研究機関の研究者が現代的諸問題に対する仏教の応答をテーマに討論し, 共通認識を深めるための研究会をワークショップに変更して開催した 伝統仏教教団における自死対策の理念と現状, 課題について高野山真言宗, 真宗興正派の各教団において自死対策を牽引する研究者を招聘し,1 自死に関する基本的な教理理解,2 相談者に応じる基本的な姿勢,3 提供できる支援内容 ( および提供できない支援内容 ) など具体面について議論を行い, 今後の研究の方向性を共有することができた ( 研究会一覧 7) 過疎地域における寺院の社会性に関して, 現地調査を行っている研究者を招いての研究会をワークショップに変更して開催した 浄土真宗本願寺派第 10 回宗勢基本調査に携わった研究者を講師として招き, 最新の調査結果が報告された 地域に求められる寺院 住職の役割と, 寺院 住職の側から積極的に行うべき社会活動について提言がなされ, 寺院の有する社会性 公益性を見直す好機となった ( 研究会一覧 4) ( サブユニット 2) インドの改宗仏教徒に関する調査を開始するため, 嵩がナーグプール市を訪問し, アンベードカルの仏教改宗 60 年を祝う式典に参加し, 佐々井秀嶺師やインド各地の改宗仏教徒と欧米 アジア各国の支援者たちと交流し, さまざまな情報と資料を入手することが出来た ( 調査先一覧 2) また, この度の調査に関連して 現代インドにおける仏教運動の諸相をテーマとした研究会を開催した ( 研究会一覧 3) 前年度よりバングラデシュ調査を継続しており, その仏教徒マイノリティの現状を把握する基礎資料として, 同国内上座部仏教寺院の網羅的調査を行い, 寺院総覧作成の準備が完了した 今後のバングラデシュでの仏教寺院調査に大いに資するものとなると考えられ, そのドラフト 23

32 を資料とした研究会の開催と出版の準備を進めた 前年度の韓国仏教の比丘尼に関する調査をふまえた研究会を開催し, 現地調査に基づいた報告により, 韓国における尼僧の実態に関する理解を深め, 我が国の女性と仏教に関わる問題領域の検討に寄与するものとなった ( 研究会一覧 1) この度の調査の内容はワーキングペーパーとしてまとめた ( ワーキングペーパー一覧 1) < 上記 (2) 以外でユニットとして新規に実施した研究内容の進捗状況及び達成度 > ( サブユニット 1) 世界的に自殺率の高いアジア地域における自殺対策の実態を解明する目的から, アジア地域における相談支援の本部を有するタイ国バンコクにおいて調査を実施した 特にキリスト者, 仏教者が協働し希死念慮者の支援にあたっているサマリタンズ東アジア本部において, 宗教者による対策の実態, 課題について調査を行い, きわめて有益な成果を得ることができた ( 調査先一覧 1) 日本仏教の社会性 公益性の研究の一環として, 現代における仏教教団, 仏教者による, 社会貢献活動の可能性について, 浄土真宗本願寺派総合研究所所長である丘山新氏を講師として招き, 学術講演会を開催した 特に社会活動を行う際の基盤となる教義的理解について, 大乗仏教以降の 他者との共生 という理念をキーワードとして位置づけることができると提言され, 今後の研究にあたっての方向性を共有することができた ( 研究会一覧 8) 宗教施設の訪問者に関する問題において, 日本仏教各宗派による現代的取り組みを調査 分析している研究者を招聘して研究会を開催した 浄土宗の観光寺院として一般的に知られている, 東京都港区 三縁山広度院増上寺の取り組みを調査し, それを宗教ツーリズム研究の見地から分析し, 宗教精神における新たな可能性を提示した ( 研究会一覧 2) 仏教社会福祉事業の専門家と 日本仏教の公益性 をテーマとしたワークショップを開催した 宗教法人浄念寺障害福祉サービス事業所 わごころ の代表役員 施設長の芝賢良氏を講師として招き, 宗教法人による社会福祉事業の運営について報告がなされた 宗教法人よる福祉施設運営は仏教精神の具現化であり, 今後, 過疎地域における仏教者の役割について, 認識を新たにする機会となった ( 研究会一覧 6) 宗教者による自死対策団体の活動実態について, 浄土真宗本願寺派, 臨済宗, 曹洞宗, 日蓮宗, 浄土宗に加え, キリスト教カトリック教会に属する宗教者のもとを訪ね, 聞き取り調査を実施した 宗派を超えての活動や追悼法要の実施方法等の具体的な課題が明らかとなり, 今後の研究の方向性を改めて確認した ( 調査先一覧 3,4) ( サブユニット 2) 特になし 研究計画どおりの事業が実施された < 問題点 ( 実施できなかった研究を含む )> ( サブユニット 1) 仏教福祉事業の実態についての現地調査は, 調査先との日程調整により, 次年度に実施することとなった ( サブユニット 2) ナーグプール市調査の報告 ( 研究会一覧 3) については, 次年度に実施することとなった 平成 28 年度ユニット研究活動の根拠データ < ユニット研究会一覧 > 年度第 1 回研究会 報告題目 : 韓国 比丘尼の社会活動 聞き取り調査より 開催日時 :2016 年 7 月 8 日 ( 金 )16:00~17:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 報告者 : 藤能成 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :5 人 年度第 2 回研究会 報告題目 : 宗教施設の訪問者に関する一考察 24

33 開催日時 :2016 年 11 月 18 日 ( 金 )13:15~14:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 報告者 : 南條了瑛 (2016 年度 BARC 公募研究員 ) 参加者 :7 人 年度第 3 回研究会 テーマ : 現代インドにおける仏教運動の諸相 開催日時 :2017 年 3 月 21 日 ( 火 )11:00~15:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎南黌 102 教室 報告者 報告題目 : 榎木美樹 ( 名古屋市立大学大学院人間文化研究科准教授 ) テランガーナ州における次世代育成を目指す仏教施設の役割 嵩満也 ( 龍谷大学国際学部教授 ) Triratna Buddhist Community の組織と活動 ( 諸事情により報告延期 ) 中村尚司 ( 特定非営利活動法人 JIPPO 専務理事 ) エンゲージド仏教の国際集会に参加して :INEB の活動概要と将来展望 参加者 :10 人 共催 : 龍谷大学南アジア研究センター (RINDAS) 年度第 1 回ワークショップ 報告題目 : 過疎地域における寺院の役割 宗勢基本調査結果が示すこと 開催日時 :2016 年 10 月 4 日 ( 火 )10:45~12:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館地下 1 階 B103 報告者 : 西光義秀 ( 第 10 回宗勢基本調査実施センター調査研究員, 奈良県宇陀市万行寺住職 ) コメンテーター : 長上深雪 ( 龍谷大学社会学部教授 ) 参加者 :18 人 年度第 2 回ワークショップ テーマ : 仏教者による社会貢献活動の実態と意義 国内外における人道支援を通して 開催日時 :2016 年 12 月 16 日 ( 金 )13:00~16:00 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 総合司会 : 野呂靖 ( 龍谷大学文学部講師 ) 報告者 報告題目 : 定光大燈 (Dāna International Center 事務局, 浄土真宗本願寺派西楽寺前住職 ) ネパール在住のチベット難民の現状とその問題 DIC の支援活動を通して見えてきたこと 雨森慶為 ( 真宗大谷派解放運動推進本部本部委員 ) 野宿生活者との交流 コメンテーター : 中村尚司 ( 特定非営利活動法人 JIPPO 専務理事 ) 参加者 :32 人 協力 : 特定非営利活動法人 JIPPO,Dāna International Center, 真宗大谷派解放運動推進本部 年度第 3 回ワークショップ 報告題目 : 障害福祉サービス事業所 わごころ の取り組み ~ 宗教法人としていかに社会福祉にかかわるか ~ 開催日時 :2017 年 1 月 10 日 ( 火 )10:45~12:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 報告者 : 芝賢良 ( 宗教法人浄念寺障害福祉サービス事業所わごころ代表役員 施設長 ) コメンテーター : 長上深雪 ( 龍谷大学社会学部教授 ) 参加者 :12 人 年度第 4 回ワークショップ 25

34 テーマ : 仏教者による対人支援の現在 開催日時 :2017 年 2 月 27 日 ( 月 )15:00~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 報告者 : 福井智行 ( 自死に向きあう関西僧侶の会代表 ) 猪智喜 ( 高野山真言宗心の相談員 ) 司会 : 野呂靖 ( 龍谷大学文学部講師 ) コメンテーター : 竹本了悟 (BARC 研究員, 浄土真宗本願寺派総合研究所研究員 ) 参加者 :9 人 年度第 1 回学術講演会 報告題目 : 現代仏教の可能性 響き合いに生きる 開催日時 :2016 年 9 月 27 日 ( 火 )13:15~14:45 場所 : 龍谷大学深草学舎 22 号館 202 教室 報告者 : 丘山新 ( 浄土真宗本願寺派総合研究所所長 ) 参加者 :102 人 < ユニット関係ワーキングペーパー一覧 > 1(16-6) 藤能成 韓国 比丘尼の社会活動 比丘尼組織の活動に関する調査報告 < ユニット研究において協力を得た学外機関 研究者一覧 > 1 榎木美樹 ( 名古屋市立大学大学院人間文化研究科准教授 ) 第 3 回研究会 2 中村尚司 ( 特定非営利活動法人 JIPPO 専務理事 ) 第 3 回研究会 第 2 回ワークショップ 3 西光義秀 ( 第 10 回宗勢基本調査実施センター調査研究員, 奈良県宇陀市万行寺住職 ) 第 1 回ワークショップ 4 定光大燈 (Dāna International Center 事務局, 浄土真宗本願寺派西楽寺前住職 ) 第 2 回ワークショップ 5 雨森慶為 ( 真宗大谷派解放運動推進本部本部委員 ) 第 2 回ワークショップ 6 芝賢良 ( 宗教法人浄念寺障害福祉サービス事業所わごころ代表役員 施設長 ) 第 3 回ワークショップ 7 福井智行 ( 自死に向きあう関西僧侶の会代表 ) 第 4 回ワークショップ 8 猪智喜 ( 高野山真言宗心の相談員 ) 第 4 回ワークショップ 9 丘山新 ( 浄土真宗本願寺派総合研究所所長 ) 第 1 回学術講演会 調査先 1( 野呂靖 ) [ 調査先 ] サティアンダンマサタン寺 サンティ アソーク 国際ネットワーク プランバットナンプ寺 SAMRITANS of Thailand( 国際ビフレンダーワールドワイド東アジア本部 ) バンサイカイ寺 タンマガーイ本部 [ 調査協力 ] Trakarn Chensy(SAMRITANS of Thailand ディレクター ) マハ サマイ ( バンサイカイ寺住職 ) タニヨー比丘 調査先 2( 嵩満也 ) [ 調査先 ] NAGALAKA 26

35 調査先 3( 竹本了悟 ) [ 調査先 ] 浄土真宗本願寺派安楽寺 ( 広島県 ) 調査先 4( 竹本了悟 ) [ 調査先 ] 大正大学 [ 調査協力 ] 小川有閑 ( 浄土宗 ) 久保田永俊 ( 曹洞宗 ) 吉田尚英 ( 日蓮宗 ) ラザロ保科正和 ( キリスト教 ) < ユニット研究費 ( 個人分担金含む ) による調査一覧 > 年 8 月 20 日 -8 月 23 日 / タイ / 現地での現代仏教の実態調査及び聞き取り調査 / 野呂靖 年 10 月 9 日 -10 月 16 日 / インド / マハラシュトラ州ナーグプール市 NAGALAKA で行われた INEB 総会に出席し エンゲージド ブディズムの活動状況についての情報収集及び研究者との意見交換 / 嵩満也 年 1 月 24 日 / 広島 / 浄土真宗本願寺派安楽寺にて聞き取り調査 / 竹本了悟 年 1 月 30 日 -1 月 31 日 / 東京 / 大正大学にて聞き取り調査 / 竹本了悟 27

36 平成 28 年度グループ 2 ユニット B 研究進捗状況 那須英勝 ( ユニットリーダー, 龍谷大学文学部教授 ) (1) プロジェクトにおけるユニットの研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 と Ⅲ-2 全年度に亘る の当該ユニットの部分 ) 調書様式 Ⅲ-1 2 研究内容 グループ 2 ユニット B は, 多文化共生 が求められる現代社会において日本仏教が直面する課題を明らかにするために, 宗教間対話, 宗教間教育, 現代日本仏教とジェンダーに関する研究を行う 調書様式 Ⅲ-2 全年度に亘る ( 平成 27 年度欄の初め ) 部分グループ 2 ユニット B 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 本ユニットは, 多文化共生 が求められる現代社会において日本仏教が直面する課題を明らかにするために, 宗教間対話, 宗教間教育, 現代日本仏教とジェンダーに関する研究を行う 高田 那須 小原 ウィリアムズ 本多による研究成果を活用して遂行される グローバルなレベルで宗教多元化が進み, 多文化共生社会 と呼ばれる現代社会においては, 宗教間対話 (Inter-faith Dialogue) もかつてのように特殊な機会にのみ必要なものではなくなりつつある また宗教思想の持つ普遍的特質は, 信仰や文化を異にする者との対話を通して, 多元的な価値観を持つ新たな主体や表現様式を育成していく 本ユニットでは, 日本仏教における宗教間対話の先蹤ともいうべき 宗論 の歴史と伝統をふまえつつ, 仏教思想の持つ普遍性を, 宗教的真理の多義性 と 信仰の多様性 といった視点から再検討し, 多文化共生社会における宗教間対話と相互理解の可能性を探る 宗教間対話の必要性への認識が高まりつつあるなかで, 宗教間対話の基盤としての 宗教間教育 (Inter-faith Education) の実践は, 現在, 欧米を中心に世界の諸地域において, 当該地域の文化 社会状況の特徴をふまえながら, 様々な取り組みがなされている これに対して, 日本における宗教間教育の実践は, まだまだ発展途上の段階にあるのが現状である 本ユニットでは, 国際的なコンテキストで実践される宗教間教育の場において, 日本仏教がどのような評価をうけているのか検討し, また宗教間教育の実践に日本仏教がどのように貢献できるのか, その可能性を探る また, 諸宗教間のグローバルな交流が進むなか, 日本の女性仏教徒も, 伝統的な宗派の垣根を越え, 国境を越えた活動を展開しつつある 日本の伝統教団においても女性仏教徒は僧侶, 寺族, 各種教化団体構成員など多面的に存在するが, 国際的な場面において女性が主体的に活動範囲を拡大していく動きがある一方で, 伝統教団の内部では周辺化されがちであるという不均衡な状況が見られる このような現状をふまえつつ, 本研究ユニットでは, 従来の男性僧侶の活動に偏った仏教研究に対する反省から, 近年の宗教研究において重要視されているジェンダーの視点を取り入れた上で, 女性の仏教徒の活動に焦点を当て 越境する日本の女性仏教徒 の実像に迫って行く (2) 平成 28 年度のユニットの具体的な研究内容 ( 調書様式 Ⅲ-2 年度別の具体的な研究内容 (28 年度の当該ユニット部分 ) ) グループ 2 ユニット B の計画 宗教間教育 (Inter-faith Education) をテーマに, 国内外の高等教育機関で日本の仏教思想の研究 教育に携わる研究者を中心に, 国際的なコンテキストで実践される宗教間教育の場における日本の仏教思想の評価と受容の現状を理解し, 将来を展望する国際ワークショップを開催する (3) 平成 28 年度の進捗状況 研究成果 根拠データ等 ( プロジェクト全体に関わる活動は除く ) < 上記 (2) 具体的な研究内容 の進捗状況及び達成度 > 宗教間教育 (Inter-faith Education) をテーマにした国際ワークショップを学術講演会に変更し, イラン コム宗教大学のジャーファーリー氏を招聘して開催した 氏はイスラム教シーア派の聖職者であり, 歎異抄 をペルシャ語に訳したイランのイスラーム学者であり, また教育者としては, 東洋思想をイスラム教徒の学生に比較思想的視点から教授する立場にある 本講 28

37 演会は 宗教間教育 の実践として開催され, 氏の研究 教育の経験を活かし, 歎異抄 に表現された親鸞思想に, 世界宗教の諸思想との共通性を読み取る試みを通して, 仏教徒 ( 浄土真宗 ) の学生が多数を占める聴衆との交流が行われた ( 研究会一覧 4)( 平成 28 年度プロジェクト全体 研究進捗状況 の (3)-4)) なお, 計画していた国際ワークショップは平成 30 年度に開催予定 < 上記 (2) 以外でユニットとして新規に実施した研究内容の進捗状況及び達成度 > 平成 29 年度に計画する 越境する日本の女性仏教徒 をテーマにした国際ワークショップを念頭に, ワークショップを 2 回開催した 1 回目のワークショップは 仏教の女性観を考える ジェンダーの視点から と題し, 仏教における女性観やジェンダーの問題について多角的に検討するため, 仏教学の立場からの経典に見られる女性観の考察と, 現代に生きる尼僧の立場からの日本仏教における性差別に関する報告に基づいて議論が行われた ( 研究会一覧 2) 2 回目のワークショップは 現代真宗とジェンダー 教団 寺院 女性 と題し, 現代の真宗教団や寺院において女性はどのように扱われ, またどのように生きているのかについて, 長年にわたり真宗教団の寺族問題を追及してきた本願寺派の僧侶と, 寺院の現場で女性たちの声を聞き取ってきた社会学者が, それぞれの見解を述べながら議論を交わした ( 研究会一覧 3) 平成 30 年度に計画する 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 をテーマにしたセミナーを念頭に, ワークショップを開催した 翻訳家, 通訳, 浄土真宗本願寺派僧侶の大來尚順氏を講師として招き, 日本仏教の英語化による国際化についての問題提起をもとに, 多文化共生社会における日本仏教の国際化の問題について議論が行われた ( 研究会一覧 1) < 問題点 ( 実施できなかった研究を含む )> 特になし 研究計画どおりの事業が実施された 平成 28 年度ユニット研究活動の根拠データ < ユニット研究会一覧 > 年度第 1 回ワークショップ テーマ : 仏教の女性観を考える ジェンダーの視点から 開催日時 :2016 年 6 月 21 日 ( 火 )13:15~16:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 報告題目 : 岡田真水 ( 真美子 )( 兵庫県立大学名誉教授 ) 女性の成仏について 改転の成仏と即身成仏をめぐって 飯島惠道 ( 曹洞宗薬王山東昌寺, 花園大学非常勤講師 ) ジェンダー不平等な現状に関する報告 コメンテーター : 桂紹隆 ( 龍谷大学世界仏教文化研究センター研究フェロー ) 佐藤智水 ( 龍谷大学世界仏教文化研究センター研究フェロー ) 参加者 :78 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 2 回ワークショップ 報告題目 : 英語でブッダ : 仏教のグローバル化とその可能性 開催日時 :2016 年 7 月 8 日 ( 金 )10:45~12:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 : 大來尚順 ( 公益財団法人仏教伝道協会 ) コメンテーター : 桑原昭信 (BARC 博士研究員 ) 川本佳苗 ( 日本学術振興会特別研究員 ) 参加者 :21 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 29

38 32016 年度第 3 回ワークショップ テーマ : 現代真宗とジェンダー 教団 寺院 女性 開催日時 :2016 年 10 月 27 日 ( 木 )13:15~16:30 場所 : 龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室 報告者 報告題目 : 池田行信 ( 浄土真宗本願寺派慈願寺住職 ) 私と寺族女性問題 横井桃子 ( 関西学院大学社会学部非常勤講師 ) 地域にいきる坊守 コメンテーター : 龍溪章雄 ( 龍谷大学文学部教授 ) 猪瀬優理 ( 龍谷大学社会学部准教授 ) 参加者 :31 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 年度第 1 回学術講演会 報告題目 : 歎異抄 の翻訳を通してみた親鸞思想 イスラーム学者の視点から 開催日時 :2016 年 10 月 12 日 ( 水 )10:45~12:15 場所 : 龍谷大学大宮学舎北黌 204 報告者 : アボルガセム ジャーファーリー ( コム宗教大学専任講師 ) 司会 通訳 : 那須英勝 ( 龍谷大学文学部教授 ) 参加者 :85 人 共催 : 龍谷大学仏教文化研究所 < ユニット関係ワーキングペーパー一覧 > 1(16-07) 那須英勝 初期仏教英書伝道資料の解題 : A SHORT HISTORY OF THE TWELVE JAPANESE BUDDHIST SECTS 南條文雄著訳 ( 英文 ) TRUE SECT OF BUDDHISTS( 英文真宗教旨和文付 ) ( 英文 和文 ) < ユニット研究において協力を得た学外機関 研究者一覧 > 1 大來尚順 ( 公益財団法人仏教伝道協会 ) 第 1 回ワークショップ 2 岡田真水 ( 真美子 )( 兵庫県立大学名誉教授 ) 第 2 回ワークショップ 3 飯島惠道 ( 曹洞宗薬王山東昌寺 花園大学非常勤講師 ) 第 2 回ワークショップ 4 池田行信 ( 浄土真宗本願寺派慈願寺住職 ) 第 3 回ワークショップ 5 横井桃子 ( 関西学院大学社会学部非常勤講師 ) 第 3 回ワークショップ 6 アボルガセム ジャーファーリー ( コム宗教大学専任講師 ) 第 1 回学術講演会 < ユニット研究費 ( 個人分担金含む ) による調査一覧 > 本年度は該当なし 30

39 平成 28 年度個人研究業績 < 雑誌論文 > グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット A: 日本仏教の形成と展開 楠淳證 ( センター長 ) 1 法相論義 一仏繋属 展開の意義 貞慶による法然浄土教批判の論理構築, 楠淳證著, 龍谷大学アジア仏教文化研究センター 2016 年度 研究報告書, 頁,2017 年 3 月 中川修 1 仏神の響きと僧尼令作音楽条, 中川修著, 史聚 50, 頁,2017 年 3 月 川添泰信 1 真宗における実践について, 川添泰信著, 木辺学会 34,35-46 頁,2016 年 5 月 杉岡孝紀 1 西田哲学と親鸞思想 (2) 純粋経験の多義性について, 杉岡孝紀著, 真宗学 135,1-20 頁,2017 年 3 月 2 親鸞思想の哲学的研究 西田幾多郎の純粋経験と親鸞の他力念仏, 杉岡孝紀著, 龍谷大学アジア仏教文化研究センター 2016 年度 研究報告書,41-50 頁,2017 年 3 月 グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット B: 近代日本仏教と国際社会 能仁正顕 1 チベットの仏伝図 釈尊絵伝 について 阿闍世の教化と仏陀の涅槃, 能仁正顕著, 仏教文化研究所紀要 55,1-35 頁,2017 年 3 月 2 On Shakuson Eden, a Tibetan Illustrated Biography of the Buddha: The Edification of Ajātaśatru and the Nirvāṇa of the Buddha, 能仁正顕著, Journal of World Buddhist Cultures Inauguralpreparatoryissue-,3-23 頁,2016 年 11 月 林行夫 1 タイの上座仏教徒から世界を観る営み, 林行夫著, 高野山真言宗タイ国留学僧の会編 日本人納骨堂 80 周年記念誌,2017 年 3 月公刊予定 2 タイ仏教徒社会の宗教実践 - その動態の諸相, 林行夫著, 愛知大学人文社会学研究所報告書 南伝上座仏教と現代, 頁 ( 本文 ) 頁 ( 討論 ),2017 年 3 月 3 "Fission of the Hermitage in search of Dharma: A Case from KC in Northeast Thailand ", 林行夫著,Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Space(Kobayashi, S., Hayashi, Y. et al. eds.), 頁,2017 年 3 月 4 Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Space: Comparative Case Studies of Cambodia, Thailand, Laos, Yunnan (China), Myanmar and Sri Lanka., 林行夫著,Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Space(Kobayashi, S., Hayashi, Y. et al. eds.),1-20 頁,2017 年 3 月 5 境域の東南アジア上座仏教 林行夫著, パーリ学仏教文化学会編 パーリ仏教文化事典 めこん, 頁,2016 年 10 月 6 タイ人はなぜ出家するのか, 林行夫著, ナムチャイノーンピー 97 98,7 頁,2016 年 8 月 大澤広嗣 1 清水霊園イスラーム墓地と宗教法人, 大澤広嗣著, 季刊清水 49,40-43 頁,2016 年 12 月 2 第二次世界大戦下の南方仏陀祭と政治宣伝, 大澤広嗣著, 仏教文化学会紀要 25,49-70 頁,2016 年 11 月 31

40 野世英水 1 従軍布教, 野世英水著, 仏教史研究ハンドブック, 頁,2017 年 2 月 2 書評 川邉雄大著 東本願寺中国布教の研究, 野世英水著, 中国研究月報,39-42 頁,2016 年 8 月 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット A: 現代日本仏教の社会性 公益性 野呂靖 1 明恵門下における密教理解 唐招提寺蔵 六大無碍義抄 解説並びに下帖翻刻, 野呂靖著, 日本古写経研究所研究紀要 2,1-27 頁,2017 年 3 月 金澤豊 1 瞋恚と忍辱 入菩提行論 における苦の受容を中心に, 金澤豊著, 真宗研究 61,62-77 頁,2017 年 1 月 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット B: 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 高田信良 1 本願力回向の宗教 科学 文化 宗教多元のなかで, 高田信良著, 中央仏教学院紀要 28,17-33 頁,2017 年 3 月 那須英勝 1 棲浄斎誓鎧師 ( 一七五三 - 一八二九 ) 解魔弁 考, 那須英勝, 宗教研究 90( 別冊 ), 頁,2017 年 3 月 本多彩 1 アメリカ仏教会における食文化の変遷, 本多彩著, 宗教研究 90(2), 頁,2016 年 9 月 佐藤智水 1 小川貫弌収集 龍門初拓一千本 の整理と内容紹介, 佐藤智水主編, 東洋史苑 82,1-40 頁,2017 年 3 月 < 図書 > グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット A: 日本仏教の形成と展開 楠淳證 ( センター長 ) 1 回峰行と修験道 聖地に受け継がれし伝灯の行, 楠淳證編, 法蔵館,114 頁,2016 年 10 月 宮治昭 1 仏像を読み解く : シルクロードの仏教美術, 宮治昭著, 春秋社,296 頁,2016 年 6 月 2 華厳 無礙なる世界を生きる, 藤丸要編, 自照社出版, 頁,2016 年 9 月, そのうち 華厳経 の美術 インド ガンダーラを中心に を担当 中川修 32

41 1 仏教史研究ハンドブック, 仏教史学会編, 法蔵館, 頁,2017 年 2 月, そのうち 僧尼令とその実態 を担当 藤丸要 1 華厳 無礙なる世界を生きる, 藤丸要編, 自照社出版,19-34 頁, 頁,2016 年 9 月, そのうち 華厳 無礙なる世界を生きる について, 日本における華厳宗の展開 を担当 川添泰信 1 智慧の潮 親鸞の智慧 全体性 社会性, ケネス タナカ編, 武蔵野大学出版会, 頁,2017 年 1 月, そのうち 親鸞における人間様態の問題 三哉が明かすもの を担当 2 親鸞聖人の生き方 ( 別冊宝島 2466), 川添泰信編集協力, 宝島社,12 13,60-80 頁,2016 年 5 月 高田文英 1 親鸞聖人の教え, 勧学寮編, 本願寺出版社,32-70 頁,2017 年 3 月, そのうち第 2 章 阿弥陀仏とその本願 を担当 グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット B: 近代日本仏教と国際社会 中西直樹 1 仏教植民地布教史資料集成 ( 満州 諸地域編 ) 第 1 期 ( 全 2 巻 ), 中西直樹共編, 三人社, 815 頁,2016 年 12 月 2 資料集 戦時下 日本仏教 の国際交流第 Ⅱ 期南方仏教圏との交流, 中西直樹 ( 代表 ) 共編, 不二出版,1298 頁, 2016 年 10 月 3 雑誌 國教 と九州真宗 ( 全 3 巻 ), 中西直樹編, 不二出版, 資料編 2 巻 1274 頁, 別冊 115 頁,2016 年 7 月 4 植民地台湾と日本仏教, 中西直樹著, 三人社,360 頁,2016 年 6 月 岩田真美 1 戦後歴史学と日本仏教, オリオン クラウタウ編, 法蔵館, 頁,2016 年 11 月, そのうち 森龍吉 仏教近代化論と真宗思想史研究 を担当 2 近代仏教スタディーズ, 大谷栄一 吉永進一 近藤俊太郎編, 法蔵館, 頁,2016 年 4 月, そのうち 西本願寺系 禁酒から改革 そして国際化へ を担当 3 近代仏教スタディーズ, 大谷栄一 吉永進一 近藤俊太郎編, 法蔵館, 頁,2016 年 4 月, そのうち 近代真宗史の研究 近代仏教の中心軸 を担当 三谷真澄 1 大谷光瑞のトルコでの動向 仏教 と 農業 のあいだ ( 龍谷大学国際社会文化研究所研究成果報告書 ), 三谷真澄 ヤマンラール水野美奈子編, 龍谷大学国際社会文化研究所 ( 印刷製本 : 真陽社 ),149 頁,2016 年 3 月 林行夫 1 Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Space,Kobayashi S. Sasagawa H. Takahashi M. との共編著,Center for Integrated Area Studies (CIAS),Kyoto University,240 頁,2017 年 3 月 2 生きている文化を人に学ぶ ( シリーズ 情報とフィールド科学 第 5 巻 ), 林行夫著, 京都大学学術出版会,80 頁,2017 年 3 月 大澤広嗣 1 仏教史研究ハンドブック, 仏教史学会編, 法蔵館,363 頁,2017 年 2 月, そのうち 平和運 33

42 動 を担当 2 編集復刻版仏教植民地布教史資料集成 満州 諸地域編 第 1 回配本全 2 巻, 中西直樹 ( 代表 ) 野世英水共監修, 三人社, 第 1 巻全 450 頁, 第 2 巻全 370 頁,2016 年 12 月 3 戦後歴史学と日本仏教, オリオン クラウタウ編, 法蔵館, 頁,2016 年 11 月, そのうち 古田紹欽 大拙に近侍した禅学者 を担当 4 近代仏教スタディーズ, 大谷栄一 吉永進一 近藤俊太郎編, 法蔵館,47-50,51-54, , 頁,2016 年 4 月, そのうち 海外布教する仏教教団, 世界を探検する仏教者たち, 日本仏教と植民地主義 仏教は植民地で何をしたのか?, 博物館 仏教の仏教者の足跡をたずねて を担当 5 仏教をめぐる日本と東南アジア地域, 大澤広嗣編, 勉誠出版,244 頁,2016 年 4 月 淺田正博 1 お念仏の真実に気づく, 天岸浄圓 淺田恵真 ( 正博 ) 共著, 自照社出版, 頁,2016 年 11 月, そのうち 諸行無常から仏様の真実の世界に 九條武子様の歌より を担当 2 回峰行と修験道 聖地に受け継がれし伝灯の行, 楠淳證編, 法蔵館, 頁,2016 年 10 月, そのうち 若き日の親鸞聖人 を担当 3 般舟三昧行道往生讃 ( 般舟讃 ) 講読, 淺田恵真 ( 正博 ) 著, 永田文昌堂,680 頁,2016 年 7 月 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット A: 現代日本仏教の社会性 公益性 藤能成 1 智慧の潮 親鸞の智慧 全体性 社会性, ケネス タナカ編, 武蔵野大学出版会,45-66 頁,2017 年 1 月, そのうち 仏道としての浄土真宗 信心の智慧 の意味 を担当 2 妙好人研究集成, 菊藤明道編, 法蔵館, 頁,2016 年 10 月, そのうち 妙好人と智慧 柳宗悦 無対辞文化 が投げかけるもの を担当 3 華厳 無礙なる世界を生きる, 藤丸要編, 自照社出版, 頁,2016 年 9 月, そのうち 新羅 元暁における華厳と浄土 を担当 4 仏教と心理学の接点 浄土心理学の提唱, 藤能成編 著, 法蔵館, 頁,2016 年 7 月, そのうち 浄土真宗とスピリチュアリティ 虚無感をいかに克服する を担当 野呂靖 1 華厳 無礙なる世界を生きる, 藤丸要編, 自照社出版, 頁,2016 年 9 月, そのうち 中世東大寺における講説 を担当 金澤豊 1 災害支援ハンドブック 宗教者の実践とその協働, 宗教者災害支援連絡会編, 春秋社, 頁,2016 年 9 月, そのうち 苦悩を抱える人々と共に居るということ を担当 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット B: 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 那須英勝 1 妙好人研究集成, 菊藤明道編, 法蔵館, 頁,2016 年 10 月, そのうち ヨーロッパの妙好人と 無対辞 の思想 ハリー ピーパー師の事績を通して を担当 桂紹隆 1 龍樹 根本中頌 を読む, 桂紹隆 五島清隆共著, 春秋社,418 頁,2016 年 10 月 34

43 佐藤智水 1 北魏石刻造像銘目録 : 初稿, 佐藤智水主編, 科学研究費研究成果中間報告 : 基盤研究 (B) 研究代表者 : 佐藤智水 南北朝 ~ 隋代における造像銘の調査及び史料集成とその総合的研究, 62 頁,2017 年 2 月 廣田デニス 1 智慧の潮 親鸞の智慧 全体性 社会性, ケネス タナカ編, 武蔵野大学出版会, 頁,2017 年 1 月, そのうち 親鸞浄土教におけるホーリズムとその意義 ハイデガー哲学に照らして を担当 < 学会発表 > グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット A: 日本仏教の形成と展開 長谷川岳史 1 採薪亭講座, 長谷川岳史, 仏と我々はどこが違うのか?, 東福寺即宗院,2016 年 4 月 2 京都女子大学宗教 文化研究所公開講座, 長谷川岳史, 中国に残る曇鸞 道綽 善導の足跡, 京都女子大学,2016 年 9 月 玉木興慈 1 京都女子大学宗教 文化研究所公開講座, 玉木興慈, 信不具足の金言, 京都女子大学,2016 年 9 月 2 中央仏教学院夏期真宗講座, 玉木興慈, これからの浄土真宗, 中央仏教学院,2016 年 7 月 3 龍谷大学校友会こころの講座, 玉木興慈, 仏の心に学ぶ ~ よきひとの仰せ ~, 龍谷大学響都ホール校友会館,2016 年 7 月 高田文英 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センターグループ 1 ユニット A 2016 年度第 11 回学術講演会, 高田文英, 親鸞と 往生要集, 龍谷大学大宮学舎,2017 年 1 月 2 龍谷大学仏教文化研究所第 15 回研究談話会, 高田文英, 源信浄土教研究の現状について, 龍谷大学大宮学舎,2016 年 12 月 西谷功 1 京都国立博物館 泉涌寺展 土曜講座, 西谷功, 俊芿律師と泉涌寺, 京都国立博物館,2017 年 1 月 2 連続講座 忍性菩薩を学ぶ, 西谷功, 泉涌寺創建と南都戒律復興運動, 神奈川県立金沢文庫, 2016 年 12 月 3 奈良国立博物館夏期講座, 西谷功, 泉涌寺における宋代律宗の儀礼と文化, 奈良県文化会館国際ホール,2016 年 8 月 4 れきはく講座, 西谷功, 泉涌寺の仏像 仏画と儀礼, 大津市歴史博物館,2016 年 7 月 グループ 1( 通時的研究班 ) ユニット B: 近代日本仏教と国際社会 中西直樹 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワークショップ 龍谷大学仏教文化研究所研究談話会, 中西直樹, 真宗布教近代化の一断面 本願寺派 特殊布教 の成立過程を中心に, 龍谷大学大宮学舎, 龍谷大学アジア仏教文化研究センター 龍谷大学仏教文化研究所,2016 年 8 月 2 龍谷大学仏教文化研究所研究談話会, 中西直樹, 仏教英書刊行の濫觴 オルコット 仏教問答 の刊行とその影響, 龍谷大学大宮学舎, 龍谷大学仏教文化研究所,2016 年 9 月 35

44 3 龍谷大学仏教文化研究所仏教文化セミナー, 中西直樹, 九條武子と女子大学設立運動, 龍谷大学大宮学舎, 龍谷大学仏教文化研究所,2017 年 2 月 岩田真美 1 American Academy of Religion, 岩田真美, The Shinzoku Nitai Doctrine and Jōdo Shinshū in Meiji Japan,Convention Center,San Antonio,Texas,USA,2016 年 11 月 能仁正顕 1 The 6th Beijing International Seminar on Tibetan Studies, 能仁正顕, A Research for Study of Tibetan Buddhist Culture in Japan: On a work in Tada Tohkan s Collection, 中国蔵学研究中心 (China Tibetology Research Center), 北京,2016 年 8 月 三谷真澄 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センター 2016 年度文化講演会, 三谷真澄, 大谷光瑞の世界認識, 龍谷大学深草学舎,2017 年 1 月 2 国際シンポジウム 中央アジア出土資料のデジタルアーカイブ ~ その現状と課題 ~, 三谷真澄, 文献資料のデジタルアーカイブの意義 ~ 大谷探検隊とドイツトルファン隊の文字資料調査の立場から, 龍谷大学大宮学舎,2016 年 11 月 林行夫 1 愛知大学人文社会学研究所ワークショップ 南伝上座仏教の現代, 林行夫, タイ仏教徒社会の宗教実践 その動態の諸相, 愛知大学豊橋キャンパス,2016 年 10 月 2 Cambodia,Japan and Thaiand International Seminar on Theravada Buddhist Cultures in Mainland Southeast Asia, 林行夫, Fission of the Hermitage in search of Dharma: A Case from KC in Northeast Thailand ,Auditorium,Royal University of Fine Arts,Phnom Penh,Cambodia,2016 年 9 月 3 Cambodia, Japan and Thaiand International Seminar on Theravada Buddhist Cultures in Mainland Southeast Asia, 林行夫, The Scope of the Project of Mapping Buddhist Cultures among Theravadin in Time and Space: Comparative Case Studies of Cambodia, Thailand, Laos, Yunnan (China), Myanmar and Sri Lanka.,Auditorium, Royal University of Fine Arts, Phnom Penh, Cambodia,2016 年 9 月 4 京都大学地域研究統合情報センター 10 周年記念シンポジウム < 地域 > を測量る 現代世界への提言, 林行夫, 趣旨説明 および 制度の隙間の宗教的なる営み, 京都大学稲盛財団記念館,2016 年 4 月 大澤広嗣 1 第 67 回佛教史学会学術大会, 大澤広嗣, 新旧公益法人制度と近現代の仏教界, 大谷大学,2016 年 12 月 2 龍谷大学アジア仏教文化研究センターグループ 1 ユニット B2016 年度第 2 回ワークショップ, 大澤広嗣, 近現代の宗教界と公益法人制度 仏教婦人会の法人化を中心に, 龍谷大学大宮学舎,2016 年 11 月 3 日本宗教学会第 75 回学術大会, 大澤広嗣, 民法による宗教系社団 財団法人の史的意義, 早稲田大学,2016 年 9 月 野世英水 1 日本宗教学会, 野世英水, 近代真宗本願寺派教団と後期関東別院, 早稲田大学,2016 年 9 月 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット A: 現代日本仏教の社会性 公益性 若原雄昭 1 International Celebration of 2560th Buddha Jayanti and International Conference on the Lumbini Nepal: 36

45 the Birth Place of Lord Buddha and the Fountain of Buddhism and World Peace, 若原雄昭,Sudan SHAKYA, Nepal s Contribution to the Modern Buddhist Academe: Reassessing Nepalese Sanskrit Manuscripts Kept in Japan,Kathmandu,Nepal,2016 年 5 月 2 International Celebration of 2560th Buddha Jayanti and International Conference on the Lumbini Nepal: the Birth Place of Lord Buddha and the Fountain of Buddhism and World Peace, 若原雄昭, Svasti NepAlebhyaH: A Keynote Speech,Kathmandu,Nepal,2016 年 5 月 野呂靖 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センター公開シンポジウム 明恵と高山寺, 野呂靖, 明恵と高山寺の教学 宋版 華厳五教章 の受容をめぐって, 龍谷大学大宮学舎,2016 年 6 月 金澤豊 1 日本宗教学会第 75 回学術大会, 金澤豊, 災害復興における宗教者独自の役割 陸前高田市の事例を中心に, 早稲田大学,2016 年 9 月 2 第 63 回真宗連合学会, 金澤豊, 瞋恚と忍辱 入菩提行論 における苦の受容を中心に, 真宗大谷派三条別院,2016 年 6 月 グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット B: 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 高田信良 1 第 24 回 真宗教学学会 講演会, 高田信良, 本願力回向宗教 の宗祖 親鸞聖人, しんらん交流館, 京都,2016 年 11 月 那須英勝 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センター国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, Islam: Conversations in Comparative Theology, Session 4 Amida, Allah, Trinity, 那須英勝, Relativizing the Monotheistic Discourses of Creation: Two Buddhists Views, 龍谷大学大宮学舎,2017 年 2 月 2 本願寺国際センターゼミナール ( 惠範講座 ), 那須英勝, キャンプ ( 強制収容所 ) に咲いた ダルマ の花 : 田名大正師 (1907~1972) と玉井好孝師 (1900~1983) の戦時収容所での文書伝道に学ぶ, 本願寺国際センター,2017 年 2 月 3 日本宗教学会第 75 回学術大会, 那須英勝, 棲浄斎誓鎧師 ( 一七五三 - 一八二九 ) 解魔弁 考, 早稲田大学,2016 年 9 月 桂紹隆 1 駒沢大学成道会記念講演会, 桂紹隆, 龍樹の仏陀観 ブッダ ( 達 ) は何を説いたか, 駒沢大学,2016 年 12 月 2 HUBA 第 40 回公開講演会, 桂紹隆, 教行信証 を読む 仏教学の視点から, 広島大学, 2016 年 11 月 3 第 6 回北京国際チベット学会, 桂紹隆, Recovering a Sanskrit Text of the Nyāyamukha of Dignāga, 中国蔵学研究中心 (China Tibetology Research Center), 北京,2016 年 8 月 4 Buddhist Studies Workshop Lecture, 桂紹隆, Did the Buddha teach any dharma according to Nāgārjuna?,Princeton University,2016 年 4 月 佐藤智水 1 漢魏南北朝史研究会, 佐藤智水, 北魏造像記にみえる 奉為皇帝 願文について, 長野市戸隠,2016 年 8 月 廣田デニス 1 Shin Buddhism, Christianity, Islam: Conversations in Comparative Theology, 廣田デニス, The Shin Buddhist Conception of Truth, 龍谷大学,2017 年 2 月 37

46 2 American Philosophical Association, 廣田デニス, The Temporality of Religious Existence in Shinran and Heidegger,Baltimore,Maryland,2017 年 1 月 3 International Association for Japanese Philosophy, 廣田デニス, Shin Buddhism in the Light of Continental Philosophy, 九州大学,2016 年 10 月 4 Universität Münster,Cluster of Excellence: Religion and Politics, 廣田デニス, The Buddhist Encounter with Modernity in Japan,Münster,Germany,2016 年 6 月 5 God or the Divine: Religious Transcendence beyond Monism and Theism, between Personality and Impersonality, 廣田デニス, The Locus of Transcendence in the Thought of Shinran,Schwerte, Germany,2016 年 6 月 6 Shinran and Continental Philosophy: Shinran, Heidegger, Levinas, 廣田デニス, Shinran and Heidegger on the Phenomenology of Religion,Institute of Buddhist Studies,California,2016 年 4 月 38

47

48 ワーキングペーパーについて プロジェクトの研究成果を公開するため, 年度ごとに複数本のワーキングペーパーを作成し, ホームページおよび研究報告書に掲載する ワーキングペーパーの種別は,(1) 研究論文,(2) 調査報告,(3) 講演概要からなる (1) 研究論文は, センターの研究員らが作成した, 各ユニットでの研究に基づく論文である (2) 調査報告は, センターの研究員らが作成した, 各ユニットでの調査に基づく報告書である (3) 講演概要は, センター主催の研究会等で行われた講演の概要を記録したものである

49 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-01(2017 年 3 月 31 日 ) 研究論文 親鸞思想の哲学的研究 西田幾多郎の純粋経験と親鸞の他力念仏 杉岡孝紀 ( 龍谷大学農学部教授 ) 目次はじめに 1. 西田哲学と宗教 2. 西田哲学の難解である理由 3. 純粋経験がもつ多義的な内容 4. 純粋経験の多義性の理解 5. 西田の仏教理解に関する問題 6. 西田幾多郎の親鸞浄土教の理解について キーワード 親鸞西田幾多郎他力念仏純粋経験 教行証文類

50 はじめに近代以降 親鸞思想の研究は伝統的な宗学と真宗学の領域だけではなく様々な領域からなされてきた 特に歴史学と哲学 ( 宗教哲学 ) の分野から進められてきた研究は質量ともに豊富である そして大まかに見れば 大谷系の教学はそうした哲学的研究の影響が色濃く また龍谷系の教学は歴史学的研究とその方法論に影響を受けて進展してきたといえる 今日 親鸞思想の研究はそうした異分野からの研究成果を広く踏まえた統合的な研究が望まれている そこで小論では 近代以降の親鸞研究の中で哲学的研究を取り上げ その成果と課題を追究する 西洋哲学を媒介として宗教や仏教研究の試みは 清沢満之 ( ) の 宗教哲学骸骨 ( 1893 年 ) 並びに 他力門哲学骸骨試稿 ( 1895 年 ) を嚆矢とする 清沢は 有限 と 無限 の概念を中核として 宗教の本質 とりわけ親鸞浄土教を基礎に置いた哲学的研究を進めた 清沢の宗教哲学的探究はその後京都学派に継承され 親鸞の他力信楽の論理を解明する試みは武内義範 ( ) の 教行信証の哲学 ( 1941 年 ) に結実する 武内の研究成果については既に別紙にて詳細を論考したので 1 ここでは京都学派の源泉たる西田幾多郎 ( ) の親鸞思想への関わりに焦点を合わせて考察を進めることにしたい 1. 西田哲学と宗教西田哲学は日本最初の本格的な哲学である それゆえに西田ほど多くの人々に影響を与え また批評されてきた哲学者はいない しかも西田哲学は過去の偉大な哲学ではなく 今なお研究者に対決を迫り来る比類なき独創性をもった哲学として色褪せていない 西田の独創性は何より思想 文化の多元的状況を見据え 彼が実践的に学んだ大乗仏教の思想を西洋哲学と対峙させることによって 東西文化の融合の途 2 を模索したところにこそあるといえる 西田の宗教への関心の根底には 従来指摘されているように 我が子の死という深い 悲哀 の体験がある 3 そして西田は哲学の動機を 無の自覚的限定 ( 1932 年 ) の中で 驚きではなくして深い人生の悲哀でなければならない 4 と語る また 西田は 善の研究 ( 1911 年 ) の序において 宗教は 哲学の終結 5 であると把捉し 第一編の終わりには 学問道徳の本 6 であると位置づけている 西田が宗教を主題として体系的に論じている著作は 善の研究 の第四編 宗教論 7 と 遺稿となった 場所的論理と宗教的世界観 ( 1946 年 ) である そして親鸞について直接記したものは 大谷学士会発行の 宗祖観 ( 1911 年 ) に執筆された 愚禿親鸞 が唯一である これはごく短い随筆ではあるが そこには 他力といはず 自力といはず 一切の宗教は此愚禿の二字を味ふに外ならぬのである 8 というように 親鸞の 愚禿 の名告がもつ普遍的な人間観が浮き彫りにされている 西田が親鸞の聖典を引用する場合 門弟唯円の作とされる 歎異抄 からの引用が多く 親鸞の主著 教行証文類 からの引用は極めて少ない 9 しばしば西田哲学には人物研究がないといわれるが 教行証文類 の論理を各巻の構成の順に文に沿って論じるものはなく したがって親鸞思想の中心をなす往相回向と還相回向という二種の回向論を論じるものもない ただし 遺稿である 場所的論理と宗教的世界観 には 宗教的世界への回心は親鸞の語る他力横超の構造をもつものでなければならないと記されている 10 また 絶対者と人間との関係について 絶対矛盾的自己同一 を基盤としなが 42

51 ら 逆対応 であると見る理解は キリスト教における 神 人 との関係より むしろ浄土真宗における 阿弥陀仏と衆生 の関係に相応する構造をもつことが明らかにされている 11 なお 場所的論理と宗教的世界観 の執筆動機には 弟子の務台理作 ( ) 著 場所の論理学 ( 1944 年 ) の影響と 田辺元の 私観教行信証の哲学 ( 後に 懺悔道としての哲学 1946 年 ) における親鸞理解への批判という面があったと推測することができる 2. 西田哲学の難解である理由すぐれた思想家が生涯において大きな思想的転換を経験することはしばしばあることである 西田の場合 その一大転換は 場所 の哲学の確立であった 12 しかし西田はそれ以降も 自身に向けられた批判に応答する中で思想を発展させ深めていく すなわち西田は 純粋経験 自覚 そして 場所 さらに 弁証法的一般者 行為的直観 逆対応 と思想の上書をしている 善の研究 の 版を新にするに当って ( 1934 年 ) の中で 西田は次のように記している 今日から見れば 此書の立場は意識の立場であり 心理主義的とも考へられるであろう 然非難せられても致方はない 併し此書を書いた時代に於ても 私の考の奥底に潜むものは単にそれだけのものでなかったと思ふ 純粋経験の立場は 自覚に於ける直感と反省 に至つて フィヒテの事行の立場を介して絶対意思の立場に進み 更に 働くものから見るものへ の後半に於て ギリシヤ哲学を介し 一転して 場所 の考に至つた そこに私は私の考を論理化する端緒を得たと思ふ 場所 の考は 弁証法的一般者 として具体化せられ 弁証法的一般者 の立場は 行為的直感 の立場として直接化せられた 此書に於て直接経験の世界とか純粋経験の世界とか云つたものは 今は歴史的実在の世界と考へる様になつた 行為的直感の世界 ポイエシスの世界こそ真に純粋経験の世界であるのである 13 西田哲学の難解さはこうした思想の深化展開が見られながら しかし一方で 善の研究 で展開された 純粋経験 をめぐる議論が終生 彼の思索を貫いているという点にある 純粋経験 は西田哲学を貫く通奏低音というべき概念であり 善の研究 第一編冒頭の 未だ主もなく客もない 知識と其対象とが全く合一して居る 14 という定義はよく知られる 私は従来 仏教学者が西田の参禅体験とこの文を直接結びつけ しばしば我田引水的とさえ思える程に純粋経験を仏教の智慧と重ねて理解しようとしてきたように思われてならない 善の研究 全体を通してみるならば 西田哲学の根本思想である 純粋経験 は実に多義的で複雑な内容を持っていて 安易に 純粋経験 即 無分別智 と見る理解は西田哲学を誤解することにつながる そして私たちの研究にとっていえば 西田の宗教論 とりわけ親鸞浄土教に対する理解が持っている問題点を見失うことになりかねないと考える 純粋経験 が多義的であるということは 善の研究 が出版されると直ちに批評を寄せた高橋里美の指摘にあるように 15 見方を変えれば曖昧な概念だともいえる 3. 純粋経験がもつ多義的な内容 さて 善の研究 の構成は 第一編 純粋経験 第二編 実在 第三篇 善 第四篇 宗教 である 序 に記されるように この書は最初に第二篇 実在 と第三 43

52 篇 善 が完成し その後に第一篇 純粋経験 と第四篇 宗教 の順に附加されたものである 16 西田はこれらを一冊の書物にまとめて出版するに当たり 純粋経験 実在 善 宗教 の順に構成を整えている それは西田自身が 序 に 純粋経験を唯一の実在としてすべてを説明して見たい 17 という言葉によく表れている その内容は 第一篇は西田の思想の根底である 純粋経験 の性質を明らかにしたものであり 第二篇は純粋経験を立脚地として西田の哲学的思想を述べたもので本書の骨格とある 第三篇は前篇を基礎として善 ( 倫理 ) を論じたものであり 最後の第四篇は西田の宗教に関する論考となっている 西田は 善の研究 第一篇 純粋経験 第一章の冒頭において 純粋経験を次のように定義している 経験するといふのは事実其儘に知るの意である 全く自己の細工を棄てゝ 事実に従うて知るのである 純粋といふのは 普通に経験といつて居る者も其実は何等かの思想を交へて居るから 毫も思慮分別を加へない 真に経験其儘の状態をいふのである 例へば 色を見 音を聞く刹那 未だ之が外物の作用であるとか 我が之を感じて居るとかいふやうな考のないのみならず 此色 此音は何であるといふ判断すら加はらない前をいふのである それで純粋経験は直接経験と同一である 自己の意識状態を直下に経験した時 未だ主もなく客もない 知識と其対象とが全く合一して居る これが経験の最醇なる者である 真の純粋経験は何等の意味もない 事実其儘の現在意識あるのみである 18 西田によれば 純粋経験の 経験 とは事実そのままに知ることであり 純粋 とは一切の思慮分別や判断が加わる以前の計らいのない直接経験であるという それゆえに また主客未分の知識と対象とが合一した経験であると定義付けられるのである しかしながら 西田はこの一段に続いて 純粋経験には 感覚や知覚が之に属することは誰も異論はあるまい 併し余は凡ての精神現象がこの形に於て現はれるものであると信ずる 19 と 述べている すなわち 西田はあらゆる精神現象が純粋経験であるというのである 反省的思惟や判断 記憶や情意や意志を含め一切の精神現象がこの形で現れるのであり 現在意識であるという これは明らかに冒頭の定義と矛盾している 今仮に冒頭の定義を 純粋経験 A と呼び これに続く一段を 純粋経験 B と呼ぶことにしよう A B 共通の性質は 現在 の意識であるという点にある ただしこの 現在 は単に瞬間を指すのではなく 例えば 熟練した登山家が断崖を登る場合や音楽家が曲を演奏する時のように 時間の長短に拘わらず 意識の統一が保持されている状態を語るものだと説明がなされている しかし西田は 純粋経験 の純粋たる根拠を次のように述べている 純粋経験の直接にして純粋なる所以は 単一であつて 分析ができぬとか 瞬間的であるとかいふことにあるのではない 反つて具体的意識の厳密なる統一にあるのである 意識は決して心理学者の所謂単一なる精神的要素の結合より成つたものではなく 元来一の体系を成したものである かく意識の本来は体系的発展であつて 此の統一が厳密で 意識が自ら発展する間は 我々は純粋経験の立脚地を失はぬのである 20 純粋経験の純粋経験たる理由は 具体的意識の厳密なる統一にあり それが体系的に発展するものであるからだという そして西田はこの性質について 初生児の意識のように 44

53 明暗の区別さえ定まらない渾沌とした状態から 多種多様な意識状態が分化発展していくようなものだと例示している そうすると 純粋経験 A には原初的な主客未分離の意識状態と そこから発展した理想的な状態である主客未分の意識状態があることになる 後者は 第四章の中で明かされる 知的直観 に相当する それは例えば 美術家や禅者の境地のような修養によって達せられる主客未分の知識であり さらに私たちが熟練した行動によって一物を会得した場合の経験もこれに該当すると説明されている 21 以上を整理すると 原初的な純粋経験の性質を 純粋経験 A-a とし 後者を 純粋経験 A-b と二種に分けると 純粋経験は 純粋経験 A-a 純粋経験 B 純粋経験 A-b と自発自展していくものと理解することができる そして純粋経験が体系であるということはそれを統一するものの存在が必然的に予想されていることになる そこで 西田は個々の純粋経験の根底には 或無意識的統一力 22 が働いているという また 西田はこの 或無意識的統一力 を 統一的或者 或統一者 潜在的或者 潜在的統一者 不変的或者 潜勢力 とも呼んでいる すなわち 統一作用の働きそれ自体を含め純粋経験であるというのである しかも西田は統一 不統一は相対的なものであり 程度上の相違でしかないとまで言うのである この統一的或者によって自発自展するという純粋経験の性質 これを先の A B の性質と分けて 純粋経験 C と区別することができる さらに 西田は 統一的或者 を宇宙全体の統一的活動と捉え 第四篇 宗教 第三章では それを 神 と同等の意であると了解している 神は人格的であるといふも直に之を我々の主観的精神と同一に見ることができぬ 寧ろ主客の分離なく物我の差別なき純粋経験の状態に比すべきものである この状態が実に我々の精神の始であり終であり 兼ねて又実在の真相である 神はかゝる意味に於て宇宙の根底に於ける一大知的直観と見ることができ 又宇宙を包括する純粋経験の統一者と見ることができる 23 西田は唯一実在が自発自展するという働きに 神 の名を与え あらゆる物体現象や精神現象はこの唯一実在の分化発展であると理解している またそれだからこそ 西田は神を宇宙の外に超越せる創造者とは見ず 実在の根底と考えるのである 4. 純粋経験の多義性の理解前節で述べた 純粋経験 の多義性はこれまでも研究者によって指摘され その意義が論考されている 例えば 西谷啓治は純粋経験を ( 1) 体系の全体を統一するものとして ( 2) その全体的統一の基本相として ( 3) その基本相における胚種として 24 と三つの相として理解する 氣多雅子はこの西谷の指摘を受けて 次のように述べている 私の言い方で述べるならば 統一の厳密さはほどけているが 対象が感性的に立ち現れる形で緩い統一が成立するのが知覚であり 統一から不統一へ移行して そこで再び統一への移行を準備する仕方で統一が成立しているのが思惟である そして運動であるところの統一を端的に統一として掴まえるのが直感であり その場合特に 統一する働きの能動性において端的に捉えるのが知的直観である さらに不統一から統一へと向かう移行を まさに移行の事態において取り押さえたとき 衝動や意志と呼ばれる 特にその動態が明瞭な方向をもっており その動態そのものが統一の明瞭な具現であるときが 意志である 25 45

54 すなわち 純粋経験の統一が運動であることにおいて それが知覚 思惟 直観 知的直観 衝動 意志と分化発展しても統一が失われることがないと説明している さらに小坂国継は 西田の純粋経験には ( 1) 意識の原初的ないし直接的な統一的状態の段階 ( 2) 意識の分化 発展の側面を意味している段階 ( 3) 意識の理想的な また究極的な統一的状態の段階の三つの意味ないし段階があると述べている 純粋経験は 自分の内に三つの契機ないしは発展段階を有する意識の体系であり またこの体系全体が同時に一つの純粋経験でもある 経験は不断の活動であって それはつねに自己の内なる矛盾や衝突を通して体系的に自己を展開していくのである すなわち 意識は直接的ないし無意識的な統一状態から その分化 発展の契機をへて より大いなる より理想的な統一的状態へと弁証法的に発展していくものとして理解されている 26 さらに 小坂は純粋経験という語の多義性を整理して考えていくと 純粋経験とは或統一的或者が自己実現する過程 即ち自己を分化し展開していく体系であるという点にこそ特質があると指摘する また別の書の中で 純粋経験の特質を次のように述べている ただ単に主観と客観が未分離の意識の統一状態を意味するのではなく また同時に個体と普遍との相即的状態をも意味している 内と外との区別がないだけでなく 個と全との区別もない 内即外 外即内であり 一即多 多即一である むしろこの後者の側面に重点が置かれている 27 こうした理解を踏まえる時 善の研究 における 純粋経験 とは主客未分の意識の原初的状態 ( 純粋経験 A-a) から それが分裂して判断や反省的思惟が生まれ ( 純粋経験 B) またそこから理想的な 知的直観 の統一的状態 ( 純粋経験 A-b) へという過程を内に含みつつ さらにその包括する根源的な力 純粋経験 D の働きそのものの自発自展( 純粋経験 C) という構造をもつと理解することができる 5. 西田の仏教理解に関する問題西田哲学は仏教思想と深い関連をもつ 西田の仏教への関心には幼少時の熱心な真宗門徒であった母寅三の影響 二十代後半から三十代後半までの十年間の参禅体験 そして何より四校時代の同級生で生涯の友となった鈴木大拙の影響 - 特に 即非の論理 の影響 - によって禅仏教と親鸞浄土教に関心を寄せたことはよく知られる 28 しかし西田が論文中に引用する仏教聖典は必ずしも多くはなく しかも同文が繰り返し何度も引用されている場合が多い 無門関 臨濟錄 正法眼蔵 と禅の関係が多く 29 歎異抄 からの引用が多いことはすでに述べたところであるが それと同様に 大乗起信論 の引用も比較的多い この点に関連して 松本史朗は西田の引用文献のほとんどが中国 日本の如来蔵思想文献からの引用であり 原始仏教や阿毘達磨などを参照することはなく 西田は印度仏教思想に対する理解は十分ではないと語る 30 周知の通り 松本は真如 一如など根源的実在を説く如来蔵思想 ( 基体説 ) を非仏教として批判をしてきた 宇宙の根源としての梵 ( brahman) を設定し 常一主宰の自己である我 ( a _ taman) を認め 両者の合一を説く思想は非仏教であるバラモンの梵我思想であり 西田哲学はこれに合致すると批判を加えている 31 例えば松本は 善の研究 における次の三文を根拠として 西田の思想構造は基本的に 梵我一如 の非仏教的な思想であると批判している 46

55 1 哲学と宗教と最も能く一致したのは印度の哲学 宗教である 印度の哲学 宗教では知即善で迷即悪である 宇宙の本体はブラハマン Brahman でブラハマンは吾人の心即アートマンである 32 ( 下線は松本記 ) 2 実在の根柢には精神的原理があつて 此原理が即ち神である 印度宗教の根本義である様にアートマンとプラハマンとは同一である 神は宇宙の大精神である 33 ( 下線は松本記 ) 3 真の善とは唯一つあるのみである 即ち真の自己を知るといふに尽きて居る 我々の真の自己は宇宙の本体である 真の自己を知れば啻に人類一般の善と合するばかりでなく 宇宙の本体と融合し神意と冥合するのである 仏教ではこれを見性という 34 ( 下線は松本記 ) このうち1は 西田が印度宗教の特徴は哲学と宗教を一致して考えるという点にあることを キリスト教や中国の道徳との対比の中で説明している文章であり 直接仏教の説明をしているものではないため 必ずしも適切な根拠とはならないと考えられる しかしながら 23は万物の根底に実在する本体を見て それと人との本質的同一性を説き 宇宙の本体 = 真の自己 を主張するものであり 梵我一如 の思想を想起させる ただし 松本が問題視する 真の自己 或いは 大我 の思想が ただちに非仏教であるか否かについては 従来意見の分かれるところである 別紙に論じたように 仏教の歴史は哲学的な解釈の歴史であり 仏教思想に解釈の多様性を積極的に認める立場から 真の自己 を説くことが必ずしも非仏教であるとはいえない 35 例えば 桂紹隆の次の見解に注意したい 自身は アートマン の有無に関して 無記 の立場を取られたのであるが それを受けたアビダルマ仏教徒たちは 強力な 無我説 の立場を取るものと一種の 有我説 である ブドガラ論 を取るものに二分されたのであろう 一見前者が仏教の正統説の地位を獲得したように見えるが 後者の伝統は 仏性 や 如来蔵 という形で生き残り 大乗仏教教義の一部を形成したと考えられる 前者が仏教における一種の ニヒリズム の伝統を形成し 般若経 やナーガールジュナの 空の思想 に受け継がれたとすると 何らかのポジティプな存在を認める後者は 識一元論 とも言うべき唯識学派に受け継がれていったのであろう したがって インド仏教には 徹底的な 無我説 の伝統と ブドガラ論 に代表される緩やかな 有我説 の伝統があり そのいずれも 仏教 として認めることができるのではないだろうか 36 これは 直接的には松本に対する批判ではないが ブッダの形而上学的な問題に対する基本的立場が無記であることを再確認した上で 仏教の思想的展開として 無我説 と 有我説 の両方の伝統があることを説明するものであり 松本の理解に対する応答としても有効であると考えられる しかし 西田の仏教理解が松本の批判を受けるような内容をもっていることは事実であり またその限りにおいて西田の親鸞理解にも当然疑問が投げかけられねばならない 6. 西田幾多郎の親鸞浄土教の理解について 西田哲学において 純粋経験とは主客未分の意識の原初的状態 ( 純粋経験 A-a) から 判断や反省的思惟が生まれ ( 純粋経験 B) またそこから理想的な 知的直観 の統一的 47

56 状態 ( 純粋経験 A-b) へという自発自展 ( 純粋経験 C) のプロセスと さらにその過程を包括する根源的な力 ( 純粋経験 D) を意味していた 試みとして 西田の純粋経験の概念と親鸞の念仏思想を対応してみることにしよう 親鸞において理想的な主客未分の純粋経験とは 第十八願の他力念仏の宗教的世界であると考えられる それは 純粋経験 A-b に照応する念仏は称名であり また正念であり また名号であって そこでは未だ称える私と称えられる名号という区別はない 西田が色を見 音を聞く瞬間と表現するように 未だ一切の判断の加わらない状態である 親鸞が 教行証文類 総序に遇法の慶びを 嗚 弘誓の強縁多生にも値ひ叵く 真実の浄信 億劫にも獲叵し たまたま行信を獲ば 遠く宿縁を慶べ 37 と述べているが まさにこの 嗚 の一字が 純粋経験 A-a だと考えることができる ところで 親鸞は獲信に至る過程として自力諸行往生と自力念仏往生の道があると説き それは共に仏の大悲方便として第十九願 第二十願に明かされる道として了解されている すべて念仏行の根源には阿弥陀仏の本願力があるという意味では 方便である第十九願の諸行中の念仏 第二十願の自力念仏は 純粋経験 B に相当するようにも見える しかしながらこの点には疑問が生まれる もし自力の段階を純粋経験の一表現と考えた場合 親鸞の真化分判を曖昧にすることにつながりかねないからである 親鸞が 信文類 別序にて批判した 自性唯心 38 にも沈むことになる さらにこの点は親鸞思想の根本的な問題に連なるのであるが 西田の純粋経験の本質が 主客未分の経験 というよりも むしろ 自発自展する根源的な或統一的力 を意味するところにこそあると理解するならば 本願力をそれと全く同一視して 純粋経験 C と理解し さらに阿弥陀仏を 純粋経験 D と見ることができるのかという問題である 西田は自発自展する純粋経験の根源を 神 とも呼んでいるが これを 仏 とも置換できるものとして理解している 39 果たして親鸞が阿弥陀仏を一切の根源的な力として理解しているかは十分に検討されなければならない そしてこの課題は親鸞の 自然法爾 をどのように解釈するのかという問題と不離な問題である 少なくとも 善の研究 における根源的な統一力としての純粋経験という理解に立脚した宗教論には 人間がその有限性を自覚する 真宗的にいえば衆生の罪業性を深く自覚するという点が不明確であると言わなければならない 西田の親鸞理解は 場所的論理と宗教的世界観 を取り上げる中で明確になると考えることができる 西田はこの論文の中で 絶対者と人間との関係を 逆対応 という概念をもって解明している 私は仏教的に仏あつて衆生あり 衆生あつて仏あると云ふ 絶対に対する相対と云ふことは 単に不完全といふことではなくして 否定の意義を有つてゐなければならない 神と人間との関係は 人間の方から云へば 億劫相別 而須臾不離 尽日相対 而刹那不対 此理人々有之 億劫に相別れて須臾も離れず 尽日相対して刹那も対せず この理人々これあり といふ大燈国師の語が両者の矛盾的自己同一的関係を云ひ表して居ると思ふ 否定即肯定の絶対矛盾的自己同一の世界は 何処までも逆限定の世界 逆対応の世界でなければならない 神と人間との対立は 何処までも逆対応的であるのである 故に我々の宗教心と云ふのは 我々の自己から起るのではなくして 神又は仏の呼声である 40 48

57 逆対応 は 絶対矛盾的自己同一 の 絶対矛盾的 の語を別様に表現したものに他ならない それは 私たち個人的自己の成立の根底には絶対者の自己否定がなければならず どこまでも自己自身のうちに自己否定を含み しかも同時に絶対否定即肯定という形で自己を限定するという絶対者自身の自己否定によって 人間の世界が成立することを意味している 宗教心は仏の呼び声であるという理解は親鸞の名号理解を彷彿し 西田哲学の終極に親鸞浄土教の名号による本願他力の救済論理が明らかにされたことは実に興味深い ただし この宗教論は単に親鸞の宗教的世界観を扱ったものではなく 西田が宗教を現実の歴史的世界と結びつけて考察することを試みるものである点は十分に注意しておきたい 現実の歴史的世界が超越によって支えられた構造をもつからこそ個々の人間に宗教心が誕生するのだという理解には 絶対が現実の相対世界に具体的にどのように関わるのかと言う面が明らかではない それが観念的な理解に陥る時 西田哲学を援用した仏教理解は 仏教が本来的にもつ宗教的意義である 自己変革 自己成長 という点を見失わせてしまう危険性があると考えられる そしてこの問題点は他ならぬ伝統的な真宗教学における親鸞の他力理解 あるいは阿弥陀仏と衆生の関係論に対する疑問に直結する 以下 場所的論理と宗教的世界観 に見る西田の親鸞理解の詳細は紙数の都合もあり 稿を改めることにしたい 1 拙著 親鸞の解釈と方法 ( 法藏館 2011 年 ) 第 3 部参照 2 西田幾多郎全集 新版第 10 巻 138 頁 旧版第 11 巻 174 頁 3 鈴木亨は アリストテレスの哲学の思索の動機が驚異にあり デカルトのそれが懐疑にあり キルケゴールが絶望から出発したように 西田哲学の思索の主導的モチーフは悲哀であった ( 鈴木亨 西田幾多郎の世界 勁草書房 1977 年 ) と述べる また 浅見洋は 不安は一人称の死という可能性の先駆 ( 先取り ) によって生じますが 悲哀 ( 特に愛別離苦 ) は 実経験から生じるのではないでしょうか 西田は悲哀に依拠し リアルに二人称の死を体験し そこから人間存在の自覚をもち続け それらを言語化した哲学者である ( 浅見洋 西田幾多郎 生命と宗教に深まりゆく思索 春風社 2009 年 52 頁 ) と述べる 4 西田幾多郎全集 新版第 5 巻 92 頁 旧版第 6 巻 116 頁 5 同上 新版第 1 巻 6 頁 旧版第 1 巻 3 頁 6 同上 新版第 1 巻 37 頁 旧版第 1 巻 45 頁 7 第 5 章 知と愛 は暁烏敏 ( ) の依頼で 精神界 第 7 巻第 9 号 (1907 年 9 月 ) に発表されたものである 8 西田幾多郎全集 新版第 1 巻 325 頁 旧版第 1 巻 408 頁 9 名和達宣 西田幾多郎晩年の思索と 教行信証 学習院西田幾多郎博士記念館 ( 寸心荘 ) 蔵書調査報告 ( 親鸞と現代 29 号 ) によれば 西田は山辺習学 赤沼智善著 教行信証講義 ( 平楽寺書店 1941 年 ) を参考にして 島地大等編 聖典浄土真宗 (1919 年 ) に親しんでいたという また この聖典には西田自身の書き込みが見られ 特に 信巻 から 証巻 にかけて集中していることが明らかにされている 10 西田幾多郎全集 新版第 10 巻 296 頁 旧版第 11 巻 372 頁 11 大峯顯 逆対応と名号 ( 上田閑照編 没後五十年記念論文集西田哲学 ( 創文社 1994 年 )) 443 頁 12 左右田喜一郎 西田哲学の方法に就いて- 西田博士の教を乞ふ- ( 哲学研究 第 127 号 1926 年 ) 藤田正勝編 西田哲学選集 別巻 2( 燈影舎 1998 年 ) 45 頁 西田哲学の呼称は左右田による 13 西田幾多郎全集 新版第 1 巻 3 頁 旧版第 1 巻 6~7 頁 14 同上 新版第 1 巻 9 頁 旧版第 1 巻 9 頁 49

58 15 高橋の批判の要点は 主客未分の純粋経験がそのまま同時に思惟 意志 知的直観であるのは不合理であるという点 また経験である純粋経験が自発的に分化発展する動的一般者であるというのは論が通らないという点にあり またこれに関連して純粋経験が一方で事実としてありながら その発展の中に 意味 が生じるというのは理解し難いという点に疑問が投げ掛けられている ( 全体の立場 岩波書店 1923 年 409 頁 ) 西田は当時学士であったこの高橋の批判に対し 高橋 ( 里美 ) 文学士の拙著 善の研究 に対する批判に答ふ ( 西田幾多郎全集 新版第 1 巻 240 頁以下 旧版第 1 巻 299 頁以下 ) を発表して応答している 西田はこの批判を契機として 自覚 の概念を作り上げることになる 16 善の研究 の成立過程については 改版 善の研究 ( 岩波文庫 2012 年 ) の藤田正勝の解説に詳しい 17 西田幾多郎全集 新版第 1 巻 6 頁 旧版第 1 巻 4 頁 18 同上 新版第 1 巻 9 頁 旧版第 1 巻 9 頁 19 同上 新版第 1 巻 10 頁 旧版第 1 巻 10 頁 20 同上 新版第 1 巻 11~12 頁 旧版第 1 巻 12~13 頁 21 同上 新版第 1 巻 35 頁 旧版第 1 巻 43 頁 22 同上 新版第 1 巻 12 頁 旧版第 1 巻 13 頁 23 同上 新版第 1 巻 148 頁 旧版第 1 巻 185~186 頁 24 西谷啓治著作集 ( 創文社 1987 年 ) 第 9 巻 126 頁 25 氣多雅子 哲学書概説シリーズ X 西田幾多郎 善の研究 ( 晃洋出版 2011 年 ) 58 ~60 頁 26 小坂国継 西田幾多郎の思想 ( 講談社学術文庫 2002 年 ) 98~102 頁 27 小坂国継 西田哲学の基層 宗教的自覚の論理 ( 岩波現代文庫 2011 年 ) 48~49 頁 28 拙稿 西田哲学と親鸞思想 (1) 西田幾多郎の宗教的関心と悲哀 ( 川添泰信編 親鸞と浄土仏教の基礎的研究 六角会館研究シリーズ 7 永田文昌堂 2017 年 ) 参照 29 竹村牧男 西田幾多郎と仏教 禅と真宗の根底を究めるー ( 大東出版 2002 年 ) 11~12 頁 30 松本史郎 京都学派の仏教理解 批判的考察 ( 駒沢大学仏教学部論集 第 45 号 2014 年 ) 493 頁 31 松本史郎 縁起と空 如来蔵思想批判 ( 大蔵出版 1989 年 ) 11~98 頁 32 西田幾多郎全集 新版第 1 巻 39 頁 旧版第 1 巻 47 頁 33 同上 新版第 1 巻 79 頁 旧版第 1 巻 97 頁 34 同上 新版第 1 巻 134 頁 旧版第 1 巻 167~168 頁 35 拙著 親鸞の解釈と方法 ( 法藏館 2011 年 ) 第 3 部参照 36 桂紹隆 仏教における 場所 の概念 袴谷憲昭氏へのレスポンス ( 龍谷大学論集 第 470 号 2007 年 ) 9 頁 37 教行証文類 総序 真宗聖典全書二 ( 宗祖篇 ) 上 7 頁 38 教行証文類 別序 同上 65 頁 39 西田は米国サンフランシスコで発行された日本語新聞 米国仏教 (Buddhism in America) 第 15 巻第 3 号 第 4 号 ) に掲載された 宗教の本質 の中で 宗教とは仏と人との関係である 仏とは種々の考へ方もあるであろうが 之を宇宙根本と見ておくのが最も適当であろうと思ふ 仏は宇宙の根本であって即ち又人間の目的でなければならぬ 我等が仏に帰するのは基本に帰するのである 又仏は万物の目的であつて即ち又人間の目的でなければならぬ 人は仏に於て己が真の目的を見出すのである と記している 西田幾多郎全集 新版第 11 巻 82 頁参照 40 同上 新版第 10 巻 324~325 頁 旧版第 11 巻 409 頁 50

59 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-03(2017 年 3 月 31 日 ) 研究論文 The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠 創刊号の巻頭記事 嵩満也 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 目次 1.The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠 について 2.The Bijou of Asia 創刊号の記事の構成 3. 巻頭記事翻訳 キーワード The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠海外宣教会松山松太郎巻頭記事

60 1.The Bijou of Asia 亜細亜之寶珠 について The Bijou of Asiaは 浄土真宗本願寺派が設立した普通教校 ( 現在の龍谷大学の前身の一つ ) の教職員と学生が組織した海外宣教会が 1888 年 7 月に創刊した英字仏教雑誌である 印刷された雑誌は 無料で世界中の大学 研究所 図書館 宗教団体 協会などに送られた 具体的には アメリカ 65 カ所 イギリス 33カ所 インド 86カ所 タイ 6カ所 フランス 3カ所などに 仏教の宣教を目的に送られた また 送付を受けたところからも発刊していた雑誌が普通教校に送られてきた 雑誌の編集を行ったのは 普通教校の英語教師をしていた松山松太郎で 創刊号の中では 友人の沢井洵 ( 後の高楠順次郎 ) が 出版の手伝いをしていることが書かれている i 松山松太郎は 普通教校で英語教師をつとめていた人物であるが ii 1887 年に 反省会雑誌 が刊行されるのとほぼ時期を同じくして結成された欧米通信会でも有力なメンバーであった この欧米通信会の活動については 反省会雑誌 第 2 号から 欧米 ( 仏教 ) 通信会報 として毎号掲載されるようになり 読者の好評を得た 1888 年 7 月に刊行された The Bijou of Asiaは 欧米通信会の活動として行われたというよりも 松山個人の活動であったと考えられる 欧米通信会は 同年 8 月号の 反省会雑誌 で 会の名前を 海外宣教会 と改称することを告知し 海外宣教会趣意書 を掲載しているが 具体的な活動として The Bijou of Asia の刊行については触れていない むしろ同年 12 月に 反省会雑誌 の中の 欧米( 仏教 ) 通信会報 を独立するかたちで 国内向けの雑誌 海外仏教事情 を創刊し それが海外宣教会の会報のような役割を果たしている ただ その通信 交流関係者や The Bijou of Asiaに掲載されている読者からの通信欄の内容から 欧米通信会 そして海外宣教会の活動と The Bijou of Asia の刊行との間には密接な関係があったことは確かである 松山は 1891 年までには普通教校を辞職しているが その後の活動についてはほとんど知られておらず今後の研究課題の一つである The Bijou of Asiaは 英文で定期的に刊行された仏教雑誌としては 1888 年にアメリカ カリフォルニア州サンタクルースで Philangi Dasa (Hermann Vettering) により創刊された Buddhist Ray など並んで 世界的に見ても最初期のものである iii 第 6 号 ( 第 5 号との合併号 ) 以降は刊行されていないことから 発行期間は 1888 年から 1889 年までの 2 年間と短いが 英語を母国語としない若い仏教の学徒が 国際的な仏教徒間の交流を図ろうとした志には目を見張るものがある 龍谷大学の前身である普通教校に集った当時の若い仏教徒たちが 明治初期の日本社会の近代化のうねりの中で どのように日本仏教の将来を切り開こうとしていたのか そして 伝統的な日本仏教をどのように見つめ変革しようとしていたのか 現代では失われて久しい 宗教への熱い情熱と大きな野心の軌跡をそこには見ることができる 今回は The Bijou of Asia 創刊号の記事の構成と The Bijou of Asiaを刊行するにあたりそこにどのような意図があったのかについて述べている巻頭記事を翻訳して紹介したい 52

61 2.The Bijou of Asia 創刊号の記事の構成 1. 雑誌題字 (The Bijou of Asia) 2. 巻頭コラム ( 仏陀の言葉 / 典拠不明 ) 3. 巻頭記事 ( 松山松太郎 ) 4. 読者からの手紙の抜粋 1) 沢井洵への手紙 (4 通 ) 2) 松山英太郎への手紙 (4 通 ) 5. 記事 1( 日本仏教の寺院数と僧侶数 ) 6. 記事 2( 普通教校の紹介 ) 7. コラム 1( 儒教の言葉 ) 8. 海外記事の紹介 (L.C.Hollowayによる 浄土真宗と海外宣教会の活動の紹介記事) 9. 彙報 1) 海外から送られてきた雑誌 本の紹介 ( 雑誌 10 本 本 2 冊 ) 2) 英語仏教書の紹介 (3 冊 ) 10. コラム 2( 劇 Toy-Cart の言葉 ) 11. 編者の言葉 ( 松山前松太郎によるコメント 寄付の依頼 通信先の告知 ) 12. 質問への応答 ( アメリカのジャーナリストからの 4つの質問に対しての回答 ) 3. 巻頭記事翻訳この小誌をとおして 我々が通信しようとしている友ならびに多くの人々に対して まず我々は何を意図しているかを述べるべきであろう アジアは世界の中で最も広大な地域であり 地理的 歴史的に あるいはむしろそれよりも身体的 道徳的な面で非常に注目すべき地域である アジアは人類の揺りかごである 文明は最初にここで勃興した アジアには世界で最も高い山々 最も大きな湖 壮大に広がる盆地が存在している しかしながら 歴史的に見ると マホメット教 バラモン教 仏教 キリスト教という四つの世界の偉大な宗教がこの土地に起源を持つという事実は その中でも最も注目すべきことである マホメット教はアラビア ペルシャ アフガニスタン バローチスタン ( 注 : 現在のパキスタン ) で信仰されている バラモン教はヒンドスタン ( 注 : 北インド ) で また仏教は中国 モンゴル チベット 朝鮮 ビルマ シャム そして我が祖国で信仰されている キリスト教は 誕生した土地を離れ他の国へと広まり ヨーロッパで成長しそこで進展した ヨーロッパは白人たちの大陸であり その白人たちにより植民地化されたアメリカは キリスト教徒たちが活躍する場となったヨーロッパの社会は長い間 このキリスト教の影響下にあった 概してヨーロッパではキリスト教が栄え キリスト教はさまざまな制度 マナー 考えの上にとても強い影響を刻印した 新しい考えは一生懸命そこから抜け出そうとしたがなかなかできなかった 53

62 しかしながら キリスト教は 今やヨーロッパとアのメリカで急速に没落しつつある 社会生活とその制度の一部や一面を形成する原理から次々と抜け落ちつつある その原因は 道徳的で知的な進歩を伴った社会的な発展の趨勢の中で自然に起こったものである 今日の進歩した社会の高等な感覚にとって 宗教が設定した劣った性格のものはもはや受け入れられない 荒唐無稽な人間の本性やその起源と運命に対する説明は 進歩した知性を満足させることはない すなわち アメリカを含む西洋では キリスト教信仰は消滅する あるいは少なくとも変革されるときが間近に来ているという考えへと我々は至る しかし 宗教は人間の本性が変わらない限り不可欠のものである また すべての人間社会に必然的に存在するものである ある社会がたとえそれまで受け入れていた宗教を捨て去ったとしても その場合にはいつもそれに代わる新しい宗教がその空白を埋めることになる 流行していたある宗教が存在しなくなるのは その宗教が感覚や知性の発展により合わなくなったことによるのであり それに代わる新しい宗教は そのような精神を喜ばせることができるものでなければならない そうでなければその宗教は受け入れられない キリスト教がもし西洋の人々の精神から消え去るとすれば その抜けた穴を埋めるのはどのような宗教なのだろうか もちろん 高等で純粋な宗教である しかし 高等で純粋な宗教とはどのようなものなのか このことは 我々が考えなければならない重要な問いである 真理より高い宗教はない 真理は永遠であり あらゆるものに完全な勝利をおさめるものである 社会が道徳的にも知的にも発展すればするほど その社会は真理をより喜ぶことになる 金剛の真理 を説いた者が 宗教の真理を我々に説いてくれた それは釈迦牟尼如来の教説である 彼は 古代文明が栄えたインドで およそ紀元前 11 世紀に活躍したと日本と中国では考えられている 彼の宗教 すなわち仏教は本性の道徳的真理の教えである 誤った教義が西洋人の精神の束縛を失っているなら 仏教の真理になぜ満足しないということがあるだろうか しかし 真理もそれが知られることがなければ彼らにとってそれは無に等しい 真の仏教徒となることは 人類すべての利益のためにその身を捧げることである それ故に 仏教徒として この大切な仕事に身を捧げようではないか いまや宗教は曲がり角に来ている 我々の努力を集結し 我々の信仰を弘宣すべき時である 我が同信の徒は 二つのことに対して目を向けることが必要である 仏教国間の宗教的連帯と西洋諸国への我が仏教真理の紹介である これらが 仏教徒の頭上に懸けられた喫緊の二つの課題である 同信の徒の連帯は 我々の信仰の弘宣において必須である なぜなら ばらばらの努力は 力強い運動となることが出来ず 大きな成果を上げることは出来ないからである 世界の利益を求め精進するという大仕事のために連帯する場合 我々同信の徒は宗派の違いなど横に置かなければならない そして 我々の宗教が持つ本質的な真理を連帯の中心として尊重する必要がある 連帯のための最初の一歩は 相互間の良き理解を持つことである そうするためには 我々はお互いに意見を交換しなければならない そして 意 54

63 見を交換するための最も良い方法は 仏教書の英訳である 我々の主題について述べた小冊 子や本の英訳を出版し お互いに通信をおこなうことである 我々の信仰の弘宣については ヨーロッパやアメリカに友人たちをつくることが最も良 い そして そのことは通信と我々の宗教に関する小冊子や本を出版することにより行うこ とが出来る 我々の友人たちが我々の手助けをしてくれるようになれば もっともっと本や 文書の出版や仏教書の翻訳をすすめることが出来るようになるであろう 個人的な伝道の 旅とともに そのような努力は我々の目的を成功裏に終わらせるために益するものであり そのような努力が真剣に弛まず行われるならば その成果は世界にとっての利益となる 一 方 我が同信の徒よ このような活動に費やされることになるすべての費用を支えるため に 我々は出来るだけ多くの資金を集めなければならない ここに我々は我々の目的を達成するための最初の一歩 大きな画期にある この小誌は 我々の考えを我が同信の徒に通信しようとすることにある そして 我々に共鳴する人々を 見いだし アメリカやヨーロッパに友をつくることにある 文明は けばけばしい花に覆われた大きな木のようなものである 真の宗教こそ その花 を甘い果実にする 我が同朋よ 直ちに立ち上がり 汝の義務を果たす努力をしようではな いか i The Bijou of Asia, vol.1, no1 (July 1888) p.3. ii 中西直樹は 海外宣教会とその時代 ( 中西直樹 吉永進一著 仏教国際年とワークの源流 海外宣教会 (1888 年 ~1893 年 ) の光と影 三人社 2015 年 ) の中で 松山の着任時期について 学林江被仰出申渡帳 には 1887 年 6 月 6 日付けで普通教校の教員を委嘱したという記録があるが 実際には開校当初から教鞭を執っていたと指摘している ( 同書 p.29) また 欧米通信会から海外宣教会への普通教校への動きについてまとめられている iii 明治 20 年代の日本の仏教徒と海外の仏教に関心を持つ人々との関係 交流については 吉永進一 仏教ネットワークの時代 明治 20 年代の伝達と交流 ( 中西直樹 吉永進一著 仏教国際年とワークの源流 海外宣教会 (1888 年 ~1893 年 ) の光と影 三人社 2015 年 ) に詳しい 55

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65 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-04(2017 年 3 月 31 日 ) 研究論文 大谷光瑞師の思想と事業 その歴史的意義の再検証に向けて ~ 三谷真澄 ( 龍谷大学国際学部教授 ) 目次 1. はじめに 2. 大谷光瑞師の農業観 3. 光瑞師の農業実践 4. 仏教者 : 大谷光瑞師と農業 キーワード 大谷光瑞農業トルコ台湾二楽荘

66 2015 年度 装いもあらたに第二期 アジア仏教文化研究センター ( 以下 BARC) がスタートした 研究課題は 日本仏教の通時的共時的研究 多文化共生社会における課題と展望 となり 筆者の属しているのは グループ 1 通時的研究班 ユニット B 近代日本仏教と国際社会 であり その中のサブユニット 3 では 大谷光瑞師の思想と事業の再検証をテーマとしている 大谷光瑞師 ( ) は 大正から昭和の激動の時代 特に戦中戦後を経験した貴重な歴史的証人である 彼は 浄土真宗本願寺派の第 22 世宗主をつとめた仏教者 念仏者であるとともに 日本史上唯一の組織的な中央アジア探検として知られる大谷探検隊を派遣した探検家でもあった しかし 彼の多面性はそれだけにとどまらない 光瑞師は 収集資料の研究調査を行う光寿会を主宰し 自らも研究論文を執筆したという点では研究者であり 武庫仏教中学の創設や大谷学生の選抜という点では教育者であり さらには ジャワ トルコ等での産業開発という点では実業家でもあった また 植物や農業関連の豊富な知識に見えるように農学者であり 多くの著述を世に問うた著述家としての側面も併せ持っていた 本サブユニットでは 彼のそうした様々な側面を再検証しつつ 特にこれまで比較的なされてこなかった光瑞師自身の思想との関連で 国際的規模で遂行された彼の事業活動の歴史的背景や意義を再考する それによって 光瑞師が開拓した独自的な国際交流活動の特徴を明らかにしようと企図している 宗教者 ( 仏教者 念仏者 ) でありつつ 探検 研究 教育 実業 農業 著述といった様々な活動をおこなった原動力を探りたい 以下 2014 年度より 2015 年度まで 光瑞師のトルコでの 事業 をテーマとした龍谷大学国際社会文化研究所による共同研究プロジェクトの研究成果報告書 大谷光瑞のトルコでの動向 - 仏教 と 農業 のあいだ ( 三谷真澄 ヤマンラール水野美奈子編 2016 年 3 月 国際社会文化研究所 ) より 関係部分を抜粋して掲載する 仏教者 大谷光瑞師と農業 はじめに大谷光瑞師は 実に多彩な人物であった 浄土真宗の開祖親鸞の流れを汲む家系に生まれ 浄土真宗本願寺派の第 22 世宗主でもあった点では 仏教者 宗教者であり 日本唯一の組織的な中央アジア探検として知られる大谷探検隊を組織し 自ら参加したという意味では 探検家でもあった また インド 中央アジアをはじめアジア各地で収集した資料の研究調査を行う光寿会を主宰したという点では研究者としての側面をもっていた また 武庫仏教中学の創設や大谷学生の選抜育成という点では教育者としての側面を さらには ジャワ トルコ 台湾等での産業開発 58

67 という点では 実業家としての側面をも併せ持っていたと言えるであろう この中で トルコとの関係では 大谷学生 後藤智のガラタ サライ派遣とアンカラでのバラ園と香水工場 ブルサでの日土織物会社の経営が主要なものであろう 一方 大谷探検隊が収集した資料の中には 多種の言語 文字で記された仏典写本が多数含まれているが トルコ イスタンブル大学図書館には 同時期に同地域を探検したドイツトルファン隊収集の当該資料の一部が所蔵されている すでに紹介したように 両探検隊収集資料が接合する例も発見されている 年前の 1890 年 トルコ軍艦エルトゥールル号が和歌山串本沖で遭難し 見ず知らずの生存者を名もなき市井の人々が助けるという 日本とトルコの歴史的交流があった 串本の現場付近にはトルコ記念館や記念碑があり その中に光瑞師の揮毫を含む石碑が建てられている 2 このことは 光瑞師の人間的交流の深さと日本とトルコとの不思議な関係を示している 大谷光瑞師の農業観光瑞師は 生涯を通じて農業を重視し 1940( 昭和 15) 年 6 月 24 日 蘭領東印度 すなわちインドネシアに渡航する際のパスポート ( 仁本正恵氏旧蔵 ) の職業欄にも 農業 ( 英語欄 Agriculture) と自署されている程である 3 以下 光瑞師の著作の中から 農業にかかわる言説を列挙したい 農は國の本なり 農興らずば人存し難し 4 農産は國の本なり ( 中略 ) 政府は常に農の國本なるを忘れず 国家の権力を行使し 農産を豊饒ならしめ 5 1 旅順博物館 龍谷大学共編 中央アジア出土の仏教写本 ( 龍谷大学西域文化研究会 2012 年 ) の巻頭口絵 および荻原裕敏 多様な中央アジア仏教におけるトカラ仏教の位置づけ ~ 旅順博物館所蔵資料を中心として ~ (pp ) 参照 2 この記念碑には 昭和四年四月五日篆額大谷光瑞書正六位勲三等稲畑勝太郎撰 と刻されている 光瑞師の篆額部分は 弔魂碑光瑞書 とある 3 このパスポートは 2007 年 7 月 14 日 筆者が青森市内の浄土真宗本願寺派寺院 光行寺を訪問し 光瑞師の側近であった仁本正恵 ( 煕 ) 氏の遺品中から発見したものである 2010 年 トルコにおける日本年 にあたり ブルサ市内で ブルサにおける最初のトルコ 日本産業提携 : ギョクチェン家と大谷光瑞 展 ( ) が開催され 光行寺様のご好意により実物が展示された また 同年イスタンブル市内で 新月と日の丸 : 山田寅次郎 伊藤忠太 大谷光瑞イスタンブールにいた三人の日本人 展でも複製が展示され Esenbel,Selcuk & Kucukyalcin, Erdal & Miyuki Girardelli Hilal ve Güneş: İstanbul da Üç Japon- Yamada Torajirō, Itō Chūta, Ōtani Kōzui Istanbul Research Institute 2010 に掲載された 4 大谷光瑞興亜計畫 第六巻 熱帯農業 一 第一章総論一 農は国の本なり 農業の目的 p.1 昭和十五年三月十三日上海ニ於テ の自序あり ( 初出 : 大乗 XIX 年 ) 5 大谷光瑞全集 第七巻 處世篇 [ 無題録四五二 ]p.452( 初出 : 大乗 1930 年 ) 59

68 夫れ農は國の基なり 6 人食なくば死す 人なくば國存せず 國の本たるや工に非ずして農に在るは疑を容れず 7 香料製造は私の職業で御座いますので 種々の植物を栽培して居ります 8 不肖は 自ら職業を農業に撰び 其の身分を登記するや 常に農と記し 自ら誇りとなせり 世職業多しと雖も 農業より貴きはなし 農を首めとし 工商之に次ぐ 其の他政治 教育 宗教を職となせる輩は 皆其の下位にあり 蓋し彼等は農工商の恩澤により 生息せるものにして 農工商なくば 一日も其の生命を持続する能はざるなり 元来職業に高下なしと雖も 假りに貴賤の別を分たば 農 工 商 貴にして 政治 教育 宗教等の寄食者は賤たるを免れざるなり 9 殊に私の職業は農業でございますから ( 中略 ) 農業者が 農業に不適当な所へ行って農業をやらねばならん これ位世の中に皮肉なことはありません 私は今まで嫌だから逃げて居つたのです 満洲へ行って農業することは見込がありませんから それで逃げを張って逃げ終せて居ったのです それで一遍も満洲で私農業をやつたことはございません どこで大谷やつて居つたか? ジャバでやって居る 世界中一番よいから 有難いことに世界中歩いて知って居ります 一番よい所を知つて居ります 10 光瑞師の農業実践光瑞師は 1914 年 5 月の宗主辞任後 シンガポール ジャワ トルコ及び台湾で農業を主体とした 起業 を行っている 1916 年 シンガポールのゴム園に始まり セレベス島のコーヒー園 ジャワ島のシトロネラ園 トルコ ブルサでの養蚕 絹織物 染織 アンカラでのバラ園 香水製造を試みている 一方 二楽荘や台湾 逍遥園でも果樹を栽培していたことはよく知られている 宗教者 ( 仏教者 ) である光瑞師が 自己の職業として 農業 を重視した意義は 6 同 [ 国民之自覚 ] p.520( 初出 : 大乗 IX-2~4, 1930 年 2 月 ) 7 大谷光瑞興亜計畫 第六巻 熱帯農業 工業立國を駁す p.5( 初出 : 大乗 XIX 年 ) 8 大谷光瑞全集 第六巻 教義編 p.524( 大正十四年三月六日上海日本人倶楽部での講演にて ) 1935 年刊 1925 年 9 大谷光瑞全集 第七巻 處世編 [ 国民之自覚 ]pp ( 初出 : 大乗 IX 年 ) 10 大谷光瑞全集 第十二巻 随筆編 pp 京都時事所感 ( 昭和八年四月五日午前十時 十二時京都女子専門學校に於ける京都光瑞會講演 ( 初出 : 大乗 XII 年 ) 60

69 どこにあるのであろうか 以下 光瑞師のおこなった農業に関する事業を列挙し トルコの事業の位置づけや他地域での事業との相違を確認したい 二楽荘と農業 1908( 明治 41)-1914( 大正 3) 年 (1932 焼失 ) 34 歳 39 歳 二楽荘園芸部 マスクメロンや葡萄の温室栽培 林檎 梨 洋李 スイカなどの栽培 米の生産 牛乳 乳酸も販売 [ 芦屋市立美術博物館 ] シンガポールと農業 ( ) 1916( 大正 5) 年 41 歳この頃シンガポールに農園 ( 旭日護謨園 ) を経営し ゴム栽培 (1917( 大正 6) 年まで継続 )[ 加藤 2000: ] インドネシアと農業 ( メナドコーヒー園: ) 1917( 大正 6) 年 2 月中旬以後 42 歳 蘭領印度農林工業会社 をジャワ島スラバヤ市に設立 最初セレベス島メナドで大森林の開拓に着手 その後中止 主力をジャワに移して農園経営 1918( 大正 7) 年 4 月 43 歳セレベス島メナド附近にて英人より伽琲 ( コーヒー ) 園 ( 耕雲山荘 ) を購入し経営 (1920( 大正 9) 年まで ) 1920( 大正 9) 年 45 歳 5 月 11 日上海出航蘭領セレベスへ 7 月ジャワ島ソラバイヤ附近にてシトロネラ園を購入 ( ジュランゼロ農園 ) ジャワ西部にスカハジ農園( シトロネラ栽培 )( 環翠山荘 ) パノマラ農園 ( 養蚕 )( 大観荘 ) を経営 ( 日華事変前まで継続 ) 1928( 昭和 3) 年 53 歳 6 月 24 日 (7 月 8 日まで ) バンドン市でオランダ政府の要請により農園の蚕糸等を陳列今年の農園の成績は 環翠 大観両荘は昨年と大差なく 若干進歩あり 環翠荘のバラは発育不良菊も不良 大観荘は良好 ポコステンモンパチユリは極めて良好 大観荘の桑苗は優良 園蔬は両園とも佳 爪哇における農園経営も十余年の歳月を重ね 地積一千ヘクタール 従業員三十名を数ふ 環翠 大観両荘は彼等に任せ 更に市外に悠然荘を新築す ( 鏡如上人年譜 p.98) 1940( 昭和 15) 年 65 歳 7 月 8 月末神戸発ジャワに赴く ( スラバヤ バンドン ガル 近郊チヌルパン農場 バタビヤ等へ ) 9 月 熱帯農業 ( 大谷光瑞興亜計画 第六 七 八 九巻合本) 刊行 61

70 トルコと農業 ( ) ブルサでの絹織物と染織 1928 年 不肖の蚕業投資は大規模に トルコ共和国の領土に於て明年度より実行に着手せんとす 地中海岸は世界第一の蚕業適当の地なり 広大なる美田は開て海岸に列なれり 殆んど何等の危険だもなく起業をなし得べし 到底ジャバ蚕業の如き未試験の比にあらざるなり ( 大谷光瑞全集 第 9 巻 鵬遊記 p.396) アンゴラ ( アンカラ ) でのバラを栽培と香水製造 11 薔薇は美なりと雖も 未だ牡丹の濃艶に及ばず その清香に至ては 菊蓮を圧し 花中第一の称あり 就中ロザセンチフオリア ロザダマスセナの如きは 有名なる香水を生ず 甲は多く 仏国カンヌの付近グラスに於て栽培し 乙はバツカン山の付近に栽培せり 大谷光瑞全集 第 8 巻 ( 六 ) 花 ( 大正四年七月二十三日普陀山に於て )p 年 トルコの香料工場は明年度より香料抽出をなさんとす 故に盡くベンヂン法による事に決し その機械をミツセル氏に依頼せり 同氏はトルコの薔薇は優良なりと云へり 第五信 ( 十月七日ロザンに於て ) 大谷光瑞全集 第 9 巻 鵬遊記 pp この二つの事業については ヤマンラール水野美奈子氏の論攷において詳細に触れられているので 詳細はそちらに譲る いずれにしても ブルサの事業が 日土織物会社 ( 外務省外交史料レファレンスコードB ) 日土合弁絹織物会社 ( 同 B ) として アンカラの事業が 薬品香料化学産業株式会社 ( 同 B ) として 現地で会社を設立し 正式に契約を結んだ上で 事業を展開したことが知られる 台湾と農業 (1935-) 1935( 昭和 10) 年 60 歳 11 参考として エルダル キュチュッキュヤルチュン氏の分析を以下に掲げる 一九二七年三月二十八日に在トルコ日本大使から外務省宛に送られた報告書 大統領ケマルパシャと大谷光瑞氏の間に大統領のアンカラの近くにある アヒマスッド農園 で共同経営する契約が交わされた 1. この契約が一九二七年 ( 昭和二年 ) 二月二十二日にアンカラにて調印された 2. 契約書に大統領 大谷光瑞そしてトルコのイッシ銀行のそれぞれの代理人がサインをした 3. 農園事業の資本の五万一〇〇〇リラを大統領ケマルパシャ そして五万リラを大谷光瑞氏が払うことになった 4. 大谷光瑞氏は三月十七日に二万五〇〇〇リラをイッシ銀行に振込み 残額を四月中に上海から送金する 5. この事業が雇う人の内八人は日本人で残りはトルコ人になる エルダル カ ヤルチュン 大谷光瑞とトルコ 建国の父ケマルパシャのパートナーとしての大谷光瑞 大谷光瑞とアジア 知られざるアジア主義者の軌跡 ( 柴田幹夫編 ) 勉誠出版 2010 pp 参照 62

71 2 月 21 日台北発 南部方面及び東海岸全島の視察へ ( これより先 産業視察のため渡台 爾来台北市各方面を視察 ) 同年 3 月 2 日に 板橋無線電信局及び植物園を視察 7 日には中央研究所農業部 台北帝大農学部等に赴く 1940( 昭和 15) 年 65 歳 11 月 1 日 (3 日まで ) 高雄の新邸逍遥園開園式を挙行逍遥園は高雄に新築した邸宅で 附属園は一万坪に余り ゴム コーヒ マンゴー アボカド サボジラ バナゝ 荔枝 柑橘等の試験栽培を今春来開始しつゝあった ( 鏡如上人年譜 p.122) 大谷農園 大谷光瑞師は 熱帯農業 に関心を示し 茶園 果実園 缶詰工場 蔬菜園 などを自ら経営した とくにバナナは 長崎に送り そこから上海に輸出するように光瑞自ら手はずを整えた 茶の栽培 : 台湾の山地開発果樹園 : レモン バナナ パイナップル 缶詰工場蔬菜 : 満州方面に輸出バナナ : 台湾産物中第一 15 万トン生産 80% 輸出 [ 柴田 2014: ] 遷化直前 1948( 昭和 23) 年 73 歳夏頃香川県よりオリーブの苗を取寄せ 国東半島に移植す ( 鏡如上人年譜 p.129) 仏教者 : 大谷光瑞師と農業光瑞師は パスポートの職業欄にも 農業 と記載するほど 農業を重視していたことは明らかであるが その思想的な背景を直接示す言説は少ない 今阿含経により是れを記さば 上古の世に天人の地上に降れるあり 遊戯歌舞して日の尽るを知らず 遂に空腹を感じ艸実を採り是れを食ふ 而して楽しみに飽き遊びに倦み上天に帰らんと欲するも肥躯復前日の軽舞に適せず 況や騰空風を御すをや 此時悔も及ばず 遂に地居し依前艸実を食とせり 後子孫漸く繁く艸実増々乏し 遂にこの艸実を栽培しその食用に充つ 而して猾智と遊惰の徒は自から栽る所なく人の栽ゆる物を欺き之を奪ふ 為に紛争絶ゆるの期なし 而してその住民の一部はこの煩を厭ひ遠く山林に隠れ他方に去りその大半は紛争を止めんが為相諮り最も聡明多智の人を選びて裁判の任に当らしめ以て盗奪の行ひを禁ず 是れを名けて田主と号す ( 田主の梵名はKsatreya) と云ふ 大谷光瑞興亜計画 熱帯農業 一 pp.1-5 総論 農は国の本なり 農業の目的 63

72 という記述が見られ 阿含経典によって農業との関係を示している しかし この根拠となっている仏典名や引用箇所は未だ同定されていない 一方 大谷光瑞猊下記念会編 大谷光瑞師の生涯 には 彼が一貫したる七十三年間の生涯は これを要約すれば 二個の目的を果たさんが為に捧げ尽くしたと云ふ可きである 第一の目的は 世界宗教中の最も広大無辺にして 深奥妙理ある仏教を振興し 之を以て精神的に東亜民族の興隆を促すことである 第二は東亜の凡有る資源を開拓し 東亜民族の生活を向上せしめ 東亜をして自給自足 現在の植民地的状態を一掃し 以って東亜の隆昌をはかることである ( 中略 ) 彼は如上の目的を果たす為に二個の武器を有した 其の一は講演である 其の二は著作である 13 と分析されている ここには 農業という言葉こそ使用されていないが 仏教と農業の関係が示唆されている 世のなか安穏なれ仏法ひろまれ 14 の具体的展開として 実生活 中でも食生活の基盤となる農業の充実促進によって自給自足的生活を維持することの重要性を意識していたのではあるまいか 精神的基盤としての仏教と実生活の基盤として農業を中心とした生活を果たすことが 光瑞師の見据えた現在と未来の姿であったのではあるまいか 参考文献 芦屋市立美術博物館編 モダニズム再考 二楽荘と大谷探検隊 芦屋市立美術博物館 1999 園芸部の活動 pp 芦屋市立美術博物館編 モダニズム再考 二楽荘と大谷探検隊 Ⅱ 芦屋市立美術博物館 2003 二楽荘内の事業 園芸 pp エルダル カ ヤルチュン 大谷光瑞とトルコ 建国の父ケマルパシャのパートナーとしての大谷光瑞 大谷光瑞とアジア 知られざるアジア主義者の軌跡 ( 柴田幹夫編 ) 勉誠出版 2010 pp 大谷光瑞 熱帯農業 大乗 IV V-1 2( ) 大谷光瑞 花 大乗社 1931 大谷光瑞 大谷光瑞全集 ( 全 13 巻 ) 大乗社 ( 特に第 8 9 巻 ) 大谷光瑞 大谷光瑞興亞計畫 ( 全 10 巻 ) 大乗社 ( 熱帯農業 第 6 9 巻 ) 大谷光瑞 熱帯農業 大乗社 1942( 上記第 6 9 巻の合冊本 ) 大谷光瑞 薄井恭一 食食文化シリ - ズ 春秋社 1983 大谷光瑞猊下記念会編 大谷光瑞師の生涯 ( 伝記叢書 149) 大空社 1994 岡西為人 大谷光瑞師著作総覧 瑞門会 三五書院 1964 片山章雄編 予會々英國倫敦に在り本願寺留学生 欧亜往還西本願寺留学生 大谷探検隊の 100 年 大谷記念館 2004 加藤斗規 大谷光瑞と南洋 大谷光瑞とアジア 知られざるアジア主義者の軌跡 ( 柴田幹夫編 ) 勉誠出版 2010 pp 大谷光瑞猊下記念会編 大谷光瑞師の生涯 ( 伝記叢書 149) 大空社 1994 第十一章大谷光瑞の二大目的 pp 親鸞聖人御消息 第 25 通 ( 浄土真宗聖典註釈版 ( 第 2 版 ) p.784) の中にある言葉であり 世のなか安穏なれ は 親鸞聖人 750 回大遠忌法要のスローガンでもあった 64

73 鏡如上人七回忌法要事務所編輯 鏡如上人年譜 鏡如上人回忌法要事務所 1954 柴田幹夫編 大谷光瑞の研究 アジア広域における諸活動 勉誠出版 2010 柴田幹夫 大谷光瑞の研究 アジア広域における諸活動 勉誠出版 2014 白須淨眞 大谷探検隊とその時代 (museo12) 勉誠出版 2002 白須淨眞 大谷光瑞と国際政治社会チベット 探検隊 辛亥革命 勉誠出版 2011 白須淨眞 大谷探検隊研究の新たな地平アジア広域調査活動と外務省外交記録 勉誠出版 2012 瑞門会 大谷光瑞上人生誕百年記念文集 瑞門会 1978 大乗社 大乗 (22 巻 12 号 通巻 264 巻で終巻 ) 仁本正恵 本願寺の明星 大谷光瑞上人の生涯 神戸別院慶讃法要事務所 1973 廣瀬覺 大谷光瑞と現代日本 文芸社 2001 龍谷大学東洋史研究室編 東洋史苑 大谷光瑞 50 回忌記念号 (50/51 合併号 ) 1998 ヤマンラール水野美奈子 トルコのギョクチェン家所蔵の七宝花瓶に関して 国際社会文化研究所紀要 第 15 号, 龍谷大学国際社会文化研究所 2013, pp ヤマンラール水野美奈子 長場紘 村松伸 パオロジラルデッリ ジラルデッリ青木美由紀 永田雄三 佐野東生 嵩満也 三谷真澄 鈴木董 世界の中の日本 日本の中の世界 ( 年 )- イスタンブル旧総領事館と日本の文明開化思潮 国際社会文化研究所紀要 16 号 龍谷大学国際社会文化研究所 pp ( 三谷真澄 西域文書が結ぶ日本とトルコ (35-45 頁 ) 執筆 ) Esenbel,Selcuk & Kucukyalcin, Erdal & Miyuki Girardelli Hilal ve Güneş: İstanbul da Üç Japon- Yamada Torajirō, Itō Chūta, Ōtani Kōzui 新月と日の丸 : 山田寅次郎 伊藤忠太 大谷光瑞イスタンブールにいた三人の日本人 展観図録 Istanbul Research Institute 2010 Haz. Demirağ :The Turkish Japanese Factory - Türk Japon Fabrikası,Bursa'ya Dokunan Tarih ''1928'' History Woven in Bursa, Papyrus Sahaf, Istanbul, Turkey,

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77 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-05(2017 年 3 月 31 日 ) 調査報告 雑誌 海外仏教事情 総目次 大澤広嗣 ( 文化庁文化部宗務課専門職 ) 目次 1. はじめに 2. 国際仏教協会の概要 3. 南方仏教圏との関わり 4. おわりに 海外仏教事情 所収記事一覧 キーワード 国際仏教協会井上哲次郎友松円諦立花俊道木村日紀

78 1 はじめに龍谷大学アジア仏教文化研究センターでは グループ 1( 通時的研究班 ) のユニット B ( 近代日本仏教と国際社会 ) に属するサブユニット 2( 戦時下 日本仏教 の国際交流班 ) が組織されている 本班での研究成果として 2016 年度は 資料集 戦時下 日本仏教 の国際交流 第 2 期南方仏教圏との交流 ( 全 3 巻 2016 年 10 月 不二出版 ) を刊行した 第 2 期に刊行した第 3~5 巻には 国際仏教協会が刊行した雑誌 海外仏教事情 を復刻して所収したものである 同誌は 第 1 巻第 1 号 (1934 昭和 9 年 8 月 ) から第 10 巻第 4 号 (1944 昭和 19 年 10 月 ) まで発刊された 明治期に海外宣教会が発行した雑誌と同名であるが その精神を引き継いだもので 全く別の媒体である 今回の 海外仏教事情 の復刻は 以前から待望されていた 実は 同協会が発行していた英文雑誌 Young East については 復刻されている Young Eastは 仏教学者の高楠順次郎 (1866~1945) と桜井義肇 (1868~1926) などによるヤングイースト社が 1925( 大正 14) 年に創刊したものである 1930( 昭和 5) 年に休刊となったが 国際仏教協会では 1934( 昭和 9) 年の Vol.4, no.11 から継承して 1944 年の Vol.10, no.2 まで刊行した (1) Young East ( ) の復刻版は 1978( 昭和 53) 年には東京の Pitaka 社から発行されていた 一方の 海外仏教事情 は復刻に至らず 長らく待ち望まれていたのである 2 国際仏教協会の概要国際仏教協会とは 日本の仏教研究者が中心となって 1933( 昭和 8) 年に設立した学術団体である 同協会が発足したのは 仏教学者たちによる超宗派的な協力が盛んになっていたことが背景にある 例えば 1926( 大正 15) 年の天台宗 真言宗豊山派 浄土宗の協力による大正大学の開学 1928( 昭和 3) 年の日本仏教学協会 ( 現 日本仏教学会 ) の設立 大正新修大蔵経 の発行である 高楠順次郎と並んで これらの活動の中心となっていた人物が渡辺海旭 (1872~1933) であった 彼が亡くなった年の末に 海外仏教者との交流で中心的な役割を果たした渡辺を偲んで 国際仏教協会の発足に至ったのである 国際仏教協会の会長には 哲学者の井上哲次郎 (1856~1944) が就任して 顧問に高楠や鈴木大拙 (1870~1966) などの有名な学者を擁していたが 活動の中心を担ったのは 常任理事の木村日紀 (1882~1965) 立花俊道 (1877~1955) 友松円諦 (1895~1973) 長井真琴 (1881~1970) ジャック ブリンクリー (Jack Ronald Brinkley, ) 宮本正尊 (1893~1983) 山本快竜 (1893~1948) らであった そのうち代表常任理事は 初代は友松円諦 第 2 代は立花俊道 第 3 代は木村日紀であった 国際仏教協会の体制は 前期と後期に分かれる それは 海外仏教事情 の誌面の編集方針を見れば明らかである 区分すれば 前期は第 1 巻第 1 号 (1934 年 8 月 ) から第 6 巻第 2 号 (1939 年 11 月 ) 後期は第 7 巻第 1 号 (1940 年 11 月 ) から第 10 巻 4 号 (1944 年 10 月 ) である 前期の誌面の特徴は 協会の国際的な活動が現われており 対国外には海外の研究者との交流 対国内には海外の研究動向の紹介であった ところが日中戦争を経て太平洋戦争が勃発するころから 日本が南進政策を進めていった中で変化した 後期の誌面の特徴は 東南アジアを中心とするアジアの仏教に関する調査研究 現地の仏教者と連絡網の構築といった 70

79 国策に協力する活動に転換したのである 3 南方仏教圏との関わり 海外仏教事情 における後期の誌面の特徴として 東南アジアを中心とした特集号が組 まれたことが指摘できる 後期の特集号を列記すれば 次のようになる (1) 第 7 巻第 1 号 特輯ビルマの仏教 1940( 昭和 15) 年 11 月 (2) 第 7 巻第 2 号 特輯タイ国の仏教 1941( 昭和 16) 年 2 月 (3) 第 7 巻第 3 号 特輯仏印の仏教 1941( 昭和 16) 年 8 月 (4) 第 7 巻第 4 号 特輯蘭印の仏教 1941( 昭和 16) 年 10 月 (5) 第 7 巻第 5 号 華僑の信仰号 1941( 昭和 16) 年 12 月 (6) 第 8 巻第 1 号 特輯西蔵の仏教 1942( 昭和 17) 年 2 月 (7) 第 8 巻第 2 号 特輯セイロンの仏教 1942( 昭和 17) 年 8 月 (8) 第 9 巻第 4 号 安南特輯号 1943( 昭和 17) 年 8 月 (9) 第 10 巻第 1 号 タイ国仏教特輯 1944( 昭和 17) 年 2 月 (10) 第 10 巻第 3 号 釈興然追悼号 1944( 昭和 17) 年 6 月 (11) 第 10 巻第 4 号 ビルマ特集号 1944( 昭和 17) 年 10 月 特集号の刊行実績を見ると 西洋の植民地下にあった諸地域の仏教事情の紹介に努めていることが明らかである すなわちイギリス領 (1 7 11) フランス領(3 8) オランダ領 (4) であった いずれも日本軍が 占領ないしは武力進駐した地域である また開戦後は日本と同盟関係を結んだタイ (2 9) 東南アジアの各地に居住して現地経済に大きな影響力を持った華人 (5) の仏教事情 明治期に日本に上座仏教を移植したことにより戦時中は日本と南方の仏教徒を繋ぐシンボルとされた釈興然 (10) も紹介されている 4 おわりに 戦時下 日本仏教 の国際交流班 では 代表の中西直樹氏を中心として 海外仏教事情 を復刻すべく作業を進めてきたが 今回 ようやく公刊することができた 復刻により Young East を含めて 戦前に国際交流を推進した国際仏教協会の全貌が近づいたといえよう なぜなら これまで 海外仏教事情 の原本全号を所蔵した図書館は皆無であったからだ (2) 海外仏教事情 の復刻により ようやく学界及び仏教界にとって共有すべき遺産として 参照が容易な状態になったのである 最後になるが 今回の復刻事業は 龍谷大学アジア仏教文化研究センターの御理解によるところが大きい 関係各位には 記して謝意を表したい 注記 (1) 戦後に 雑誌 Young East は 東京の Young East Association が発行を継承して 1952( 昭和 27) 年から 1985( 昭和 60) 年まで刊行した (1966~1974 年休刊 ) (2) 龍谷大宮図書館での 海外仏教事情 の所蔵状況を見ると 第 1 巻第 3-4 号 第 2-3 巻 第 4 巻 2 号 第 7 巻第 1 3 号 第 8 巻第 号 第 9 巻第 3 号 第 10 巻第 3 71

80 号が確認できる 付記本論は 国際仏教協会と 海外仏教事情 ( 舞鶴工業高等専門学校紀要 第 49 号 2014 年 ) をもとに改稿したものである 戦時下 日本仏教 の国際交流班 に属する吉永進一氏との共著で発表した 今回 同氏の御理解により単独名義とさせていただいた なお 国際仏教協会の詳細については 拙著 戦時下の日本仏教の南方地域 ( 法藏館 2015 年 ) 所収の第 1 部第 2 章 国際仏教協会の調査研究とその変容 を参照されたい 72

81 海外仏教事情 所収記事一覧 第 1 巻第 1 号 1934( 昭和 9) 年 8 月 1 日発行国際仏教協会々員募集 表紙裏 友松円諦発刊の辞 1 井上哲次郎国際仏教協会設立に際して 3 高楠順次郎 海外仏教事情 に就いて 4 ド ラ モランヂエール外人の仏教的関心 5 大森禅戒仏教の国際的普及 6 本荘可宗仏教の国際進出の意義 7 橋本芳契海外仏教の恩人 南條先生 10 ルヰ ド ラ ヴアレ プサン ( 堀一郎訳 ) 涅槃に関する最近のノート ( レイモンド リノツシエ紀念論文集より ) 13 D. C. パーカー ( 橋本芳契訳 ) ワーグナーと仏陀 ( 上 ) 19 エドワード グリンリイ仏陀と戦争 22 本荘可宗現代哲学に対する仏教の示唆 23 本荘可宗弁証神学と浄土門 25 無署名記事新刊紹介 27 デビスの 仏教概論 / タドウナタ シナの 印度心理学 / デシユムク ヴエダ文学に於ける宗教 / ダスグプタ 印度観念論 / アールヤの道 第 5 巻第 5 号 / 海潮音 第 15 巻第 6 号 / 荻原雲来 土田勝弥両氏校訂改訂 梵文法華経 の出版 / プウサン博士の 仏教倫理学 岡本貫瑩氏に依つて邦訳さる / ブデイズム イン イングランド第 9 巻第 1 号 / 菩薩の教義 ハル ダイアル / 世界仏教学年報第 4 5 巻刊行さる / 欧文仏教雑誌 ヤング イースト 第 4 巻第 11 号発行藤井草宣盧山の仏教講座 32 無署名記事ニュース 33 巴里の弘法大師 1 千百年遠忌 / ドイツの大学で東洋史を講ずる北山淳友氏の近況 / 華厳経の研究をする露人ホイヤー氏 / 国際連盟文化委員として姉崎博士ジユネーブへ赴任 / 友松円諦氏著仏文仏教概論パリで刊行 / 在巴里松尾氏よりの通信 / モスコーの阿部女よりの便り / 日米教授学生会議に友松氏講演 / 法華経原典 研究中の出口常順氏本月帰朝 / 多倫の橋本光宝氏より / 仏教による国際的握手 / 年度パリ各大学の開講科目と担任教授 / 西本願寺の北部アメリカ伝道 / トラウツ博士憂婆塞戒を受く / ウヱサク祭 / ブツデイストロツヂの近況 / 印度ダツト氏よりの便り / ピチルスキー教授の最近の研究 / ソヴイヱトに生くる日本仏教 / ローリツク氏の講演 / 国際仏教協会で汎太平洋仏青代表を招待 / 満洲国博物館へ羅振玉氏の美挙 / ダンマパーラ師の跡をふむデハプリオ氏 / 印度の大学便り / ルンビニ園の復興とネパール王 / 国際仏教協会で仏教の純学術雑誌を創刊 / 国際仏教協会第 1 回役員総会開催無署名記事国際仏教協会設立趣旨 39 吉水十果編輯後記 41 73

82 第 1 巻第 2 号 1934( 昭和 9) 年 9 月 17 日発行口絵カンヂーの仏祭 表紙裏 藤井草宣現下の支那仏教界の情勢 1 S. W. ヴィジァヤティレーク仏教を泰西に伝へたパウル ダルケ博士 13 無署名記事海外仏教の恩人笠原研寿師 16 無署名記事海外新刊紹介 19 世界宗教の現勢 (C. S. ブレーデン氏の著書より )/ 実在性の本拠 ( 西洋思想への挑戦 ) エドモンド ホームズ著 / 三井光弥氏 現代独逸文学に現はれたる仏陀 / 亜細亜の光サーダー イクバル アリ シヤー著 / 現代に於ける仏教 A. W. ワツト著 / 瑜伽哲学と西洋心理学との比較研究ゼラルダイン コースター著 / 大乗仏教の原理及び実行ドウワイト ゴツダード著無署名記事海外雑誌紹介 24 マハ ボディ / 亜細亜協会雑誌 / ピース / ブゥデイズム イン イングランド第 6 巻第 2 号 / ブゥデイスト / 海潮音第 15 巻第 7 号無署名記事ニュース 27 独逸の学者セイロンの修道院へ入る / 米国に於ける仏教 / 北山氏の報ずる独逸仏教界 / 僧侶になるクリフトン氏 / 田島隆純氏の近況 / 仏教徒となるには ( 英国ブウデイスト ロッヂ通信 )/ 巴里の 仏教友の会 / 布哇の国際仏教協会 / 各地のヴエサク祭 / セイロン デェリイ ニユース ヴエサク特輯号発行 / エミィル セナール教授の著書及論文目録出版さる / ジオルジュ ボノー氏の文学博士となる / 第 2 回汎太平洋仏教青年会開催さる / 日華仏教研究会生る / 中華仏教の社会的活動 / ダンマパラ紀念事業 / セイロンの教育問題 / 仏教青年会の宗教試験 / 平等通昭氏帰る / アーリヤ ダルマのメッセーヂ / 仏教美術展覧会 / マドラスに仏教青年会設立 / ムケルジ氏消息 / 印度阿羅漢 初の空旅 / ビルマで仏塔の発見 / アルマ センダ女史の訃 / ナラス教授の訃吉水十果編輯後記 36 第 1 巻第 3 号 印度仏教号 1934( 昭和 9) 年 10 月 17 日発行口絵上座仏教の故地カムボヂヤにて 表紙裏 口絵 海外宣教会 1 タゴール ( 加々美南嶺訳 ) 絵ことば 2 北山淳友独逸に於ける仏教研究の現状 4 平等通昭印度の仏教研究 8 上坂倉次海外仏教の恩人 藤島了穏師 14 カウサリアヤーナ ( 福地関爾訳 ) 欧洲の仏教学者展望 18 デーワ ブリヤ ワ リシンハ ( 好村春輝訳 ) 印度の仏教運動に就いて 22 無署名記事新刊紹介 25 神秘郷印度の研究ポールブラントン著 / 阿闍世王シラランカ スタビル著 / 朝鮮語 大聖弘法 金孝敬氏訳 / 印度に於ける古代仏教諸大学 (Buddha Bidyapit)/ 布哇仏教年報 無署名記事海外雑誌紹介 29 74

83 ブツダプラバ誌第 2 巻第 3 号 / ブゥデイズム イン イングランド第 9 巻第 3 号 / マハボディ誌第 42 巻第 9 号 / 海潮音第 15 巻第 8 号 ( 第 176 号 )/ 世灯月刊 8 月号第 2 期 / ザ カルバ ( 東洋秘誌 ) 第 29 巻 7-8 月号 / インド文化誌第 1 巻第 1 号無署名記事ニュース 31 欧洲の仏教会議 / 仏教の家フローナウ / ブッデイスト ロッヂ会 / 新しい仏教大学 / バンガロアに仏教寺院 / 二人の著名なるルハツサ訪問者 / 新しい仏教運動 / 南米の国立美術館へ古代仏像 / 班禅 太虚大師の為め灌頂す / 九華山の幽冥鐘 / ゴンダーソン氏太虚大師に寄贈図書 / 上海清凉寺祈雨の紛争 / 大林寺の仏殿地鎮祭 / 広東 嶺東仏学院現住学僧調査 / 五台山の僧侶地主と農民 / 浙江省雨乞の禁屠 3 日 / 浙江温嶺県に仏教会成立す / 尹山鎮で古銅観音像発見 / 禅の研究家エデイス マッケンヂー女史 / 国際仏教大学連盟講演会 / カルカッタの 安息会 / ベサツク祭余報 / ナクラ誌休刊 /Equitist 誌休刊 / ハル ダイヤル博士 / ブゥデイズム イン イングランドのマーチ氏より / 伊太利のツッチ氏より / 松尾邦之助氏より ( 友松氏へ )/ オーベルラン氏より無署名記事協会ニュース ( 自 9 月 1 日至 10 月 8 日 ) 37 藤井栄三郎氏御来訪 / 第 2 学期研究生会開始 / 鈴木大拙ワ リシンハ両氏と会合 / シヤロツク氏御来訪 /9 月常任理事会開催 / 後藤末雄博士仏語仏典購読会開始 / 平等通昭氏に印度仏教事情を聞く / 姉崎博士御帰朝 / ヤング イースト編輯会議 / 友松円諦氏の英訳仏教概論 / 地方 各国連絡員 / 海外受信 /11 月号内容予告無署名記事編輯後記 40 第 1 巻第 4 号 仏蘭西仏教号 1934( 昭和 9) 年 11 月 17 日発行口絵日仏々教学徒の交驩 i スムーラ仏教と西洋 1 松尾邦之助仏蘭西仏教界の昨今 4 アナトール フランス ( 菅谷英男訳 ) 仏教の精神 6 上坂倉次海外仏教の恩人 島地黙雷師 10 浅野研真仏教研究者の巴里遊学案内 14 薩摩治郎八 ( 釈墨禅日本語訳 ) 柬埔寨王立仏教研究所の事業に就て 17 B. M. バルア ( 菅谷英男訳 ) 仏音二人説 21 無署名記事新刊紹介 23 初期仏教の地理 B. C. ロウ博士著 / 北東印度史 R. G. ベーサク教授著 / 仏教聖典 禅宗の聖典 ( 別名 ) ドワイト ゴダート氏著 / 日本の仏教事情アームストロング氏著 / エス語訳妙法蓮華経普門品野原休一氏訳無署名記事海外雑誌紹介 26 マハボディ誌第 42 巻第 10 号 / ラ ブッディズモ (La Budhismo)/ 海潮音第 15 巻第 9 号 / 浄土宗月刊第 1 冊 / 印度文化第 1 巻第 2 号無署名記事ニュース 28 倫敦で開催の第 1 回欧洲仏教大会 / 巴里大学都市に仏教研究所の設立計画 / 巴里の日仏同志会で雑誌刊行 / 朝鮮の巨僧世界一周に出る / 西蔵仏教の現状 / 西蔵仏典の中華訳 / Mulagandha Kuti Vihara 紀念祭近づく / 国際仏教大学協会 / 満洲の寺院参拝の大谷 光暢 75

84 氏 /B. D. ヴアリシンハ氏の消息 / ブツデイスト誌予告 / エヂイス マツケンヂー女史の消息 ( 緒方宗博氏所報 )/ 薩摩治郎八氏より ( 友松氏へ )/ 田島隆純氏より ( 友松氏へ ) / 寄塵法師より無署名記事協会ニュース ( 自 10 月 9 日至 11 月 8 日 ) 35 研究会 / ヤング イースト編輯会議 / カルカツタ大学出版図書入所 / 研究講演会 / ノルブ博士御来所 / 東北凶作地義捐金募集相談 / 常任理事会開催 / 海外受信 / 海外雑誌受理 / 国際仏教協会役員吉水十果編輯後記 38 第 1 巻第 5 号 1934( 昭和 9) 年 12 月 17 日発行口絵西蔵三大寺 1 井上哲次郎欧米仏教学者の表彰に就いて 2 福井天章ヒリッピンの仏教事情 特に南天寺を中心に 4 W. T. デ シルワ ( 新堀源司訳 ) 僧伽 教団の改造は果たして是か 7 ロバート S. クリフトン ( 福地関爾訳 ) アメリカに於ける仏教 13 吉水十果米国仏教学者ヘンリー クラーク ウォレン 14 ニハルランジャン レイ ( 菅谷英男訳 ) ビルマに於ける大乗並びに密教の諸本 17 無署名記事新刊紹介 21 仏教の形而上学北山淳友師著 / 仏跡巡礼ルネ グルツセ氏著 / 大醒師著口業集武昌海潮音社発行 / 鈴木大拙博士著支那仏教印象記森江書店発行無署名記事海外雑誌紹介 24 ブゥデイズム イン イングランド誌第 9 巻第 4 号 / フランス ジャポン 10 月創刊号 / 海潮音第 15 巻第 10 号 / 人海灯第 23 期目録 10 月 第 24 期目録 11 月 / ジュルナル アヂァティク第 224 号無署名記事ニュース 26 欧洲仏教大会 ( 後報 )/ 姉崎博士を祝して / 倫敦ブツデイスト ロツヂ創立十年祭挙行 / 英国基督教会で仏教聖典の講義 / 愛蘭土博物館に阿羅漢の肖像画 / 榊原師の独文 真宗 の英訳ブツデイズム イン イングランド出づ / フランス ジヤポン誌創刊 / 仏蘭西に於ける仏教辞典 / セイロンの仏教女子大学で婦人の教授を求む / 太虚大師の動静 / 四川の仁王護国の法会 / ブツシユ氏の処女出版 / 海外雑誌受理無署名記事協会ニュース ( 自 11 月 9 日至 12 月 8 日 ) 30 研究会 / 常任理事会 / 研究講演会 / 新春を期し国際仏教人先亡追悼会挙行の計画 / 巴里の田島隆純氏より / ハイチヤナンミトラ氏より / 白の V. ガブリロフ博士より ( 友松氏ヘ ) / 海外受信 / 図書部吉水十果編輯後記 32 第 2 巻第 1 号 1935( 昭和 10) 年 1 月 17 日発行口絵アンコール遺跡 / 満洲に於ける仏塔 ( ハルピン ) 1 無署名記事乙亥の新春を迎へて 2 竜山章真世界梵語学界の現状 4 76

85 無署名記事暹羅に於ける印度人 9 田島隆純巴里仏教便り 10 ルイス W. ブツシユ ( 新坂源司訳 ) 現代人の要求に適する仏教 16 無署名記事新刊紹介 19 弥陀礼讃 仏教教説 多田鼎師原著アーサー ロイド氏英訳 / 西方西蔵学術旅行記ギゥセッペ ツチ氏著 / 禅仏教論集 第 3 蒐鈴木大拙博士著無署名記事海外雑誌紹介 22 ザ ブッダ プラーバ第 2 巻第 4 号 / ザ ジャーナル オブ レリジョン第 14 巻第 4 号 / フランス ジャポン第 2 号 / 海潮音第 15 巻第 11 号 / 世灯第 3 期 / 人海灯第 2 巻第 2 期 / 仏学半月刊第 4 巻 号 / 海外雑誌受理無署名記事ニュース 24 孟買便りネール博士委員会 / 国際仏教大学 / ブッダ プラバー誌 / アーナンダ精舎 / ブッダ ジャヤンティ祭 / 全印度仏教教授会議 / 巴利テキストと翻訳協会設立の計画 / ブッダ ソサイティー / セシル ド トラフオード氏キヤナリー諸島に予備校を開く / 藤井草宣氏の 仏教的日支提携 /G. アウステル氏セイロン入りを中止 / 救へ!! 危機に直面せるブツディズム イン イングランド誌を / 訴への反響 / ヨーロッパ婦人医師東洋の仏教国に職を求む / 支那仏教雑誌紹介 / 巴里大学 文学科講義紹介 無署名記事協会ニュース ( 自 12 月 8 日至 1 月 9 日 ) 29 研究会 / ブロートン氏の講演 / ニユージーランドの W. E. バーナード氏来訪 / ロバート S. クリフトン師を訪問 /F. デ ゲリー氏来訪 / 巴里スムーラ氏より / ウッヅ氏を悼む / 寄贈図書 / 海外受信吉水十果編輯後記 32 第 2 巻第 2 号休刊 第 2 巻第 3 号 1935( 昭和 10) 年 3 月 1 日発行口絵渡辺海旭先生逝いて三とせの春を迎ふ 1 オベルラン国際仏教協会に就いて 2 徳永芽生ロイマン教授の御書翰 4 神田恵雲支那仏教雑報 10 田島隆純巴里仏教便り ( 承前 ) 12 D. チャッテルジ ( 菅谷英男訳 ) 仏教因明に於ける量の問題 14 B. C. ロウ ( 福地関爾訳 ) 阿育は比丘になつたか? 19 無署名記事新刊紹介 20 アジア三文明の研究ケネス ソウンダース著 / 実用仏学辞典普及本上海膠州路仏学書局 / 釈氏十三経上海仏学書局印行 / ヂャン ピチルスキー教授 仏教 / 西蔵仏教 L. A. ワデル著 / 海外雑誌受理無署名記事海外雑誌紹介 23 フランス ジャポン第 3 号 / マハ ボディ誌第 号 / 英国仏教誌第 9 巻第 9 号 / 人海灯第 2 巻第 34 期 / 仏学半月刊第 5 巻第 1-2 号 / 中日密教第 1 巻第 1-2 号 / 海潮音第 15 巻 77

86 第 12 号無署名記事ニュース 25 ムルガンダ クチ精舎 3 周年祭 / サハニイ氏引退 / アーナンダ比丘カルカツタ訪問 / シャーストリ氏アジア旅行を語る / ワ リシンハ氏帰印の後報 / ワ リシンハ氏の日本印象談 / パリ 仏教の友 の会 / 巴里大学の日本に関する講座 / 中国仏教年鑑 の編纂 / 漢陽に仏教正信会の設立 / ブツディスト ロッヂ十周年祭記念講演会の夕べ / ブツディスト ロッヂの新刊書 / ブツディスト ロッヂの会合 隔週月曜午後 無署名記事協会ニュース ( 自 1 月 10 日至 2 月 9 日 ) 29 研究会 / 常任理事会 / 故ウッヅ氏の追悼会 / 故コーツ氏の追悼会 / ソ国の仏教研究者エム マロゾフ女史来訪 / 加奈陀の荒川要博氏より / 巴里のマルタン デユボア氏より ( 友松氏へ )/ 厦門の神田恵雲氏より / 満洲の八尋洲光君より吉水十果編輯後記 32 第 2 巻第 4 号 1935( 昭和 10) 年 4 月 1 日発行オベルラン ( 吉水十果訳 ) 日本仏教と西洋 1 青柳舜隆米国西岸の仏教熱 4 無署名記事アナガリカ ダルマパーラ逝いて三周の春を迎ふ 8 ディー チヤテルジ ( 菅谷英男訳 ) 仏教因明に於ける量の問題 ( 承前 ) 16 無署名記事新刊紹介 20 仏教概論 C. H. S. ウォード氏著 / 印度語及び印度文学の起原と発達パトナ大学出版部発行 /1934 年 日本モーリス ムシン氏著無署名記事海外雑誌紹介 23 海潮音第 16 巻第 1 号 / ザ ブッダ プラーバ第 3 巻第 1 号 / ザ ブッディスト第 5 巻第 9 号 / マハ ボディ第 42 巻 (1 月号 )/ フランス ジャポン第 4 号 / 浄土宗月刊第 3 冊 / 中日密教第 2 巻第 2 号 / 世灯月刊第 4 期 / 人海灯第 6 巻第 2 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 4 号無署名記事ニュース 25 アフガニスタンに仏教を探ぐる / 仏舎利贈呈式延期さる / 印度語の律蔵刊行 / 仏蹟巡拝者のためサルナトに客舎を建つ / ブータン王スリ ダルマラジカ精舎を訪ふ / 大乗仏教講演会 / ブツディスト誌の新しい後援者 / 印度 YMBA 癩患者収容の精舎を建つ / 大印協会雑誌刊行 / セイロンのマラリア其他の流行病猖獗を極む!/ 仏教学者と布教家の世界連盟生まる / 伊太利に於ける日本詩文粹 / 班禅法王と田中清純師 / 宋蔵遺珍の出版 / 錫蘭の二学僧日本仏教研究 / 仏陀伽耶今や仏教徒の手に!! 無署名記事協会ニュース ( 自 2 月 10 日至 3 月 9 日 ) 29 研究会 / ブッシュ氏弘前高校へ赴任 / ジヨン アイルズ氏来訪 / ヤング イースト第 5 巻第 1 号発行 / ボウロウヂェ氏より / 青柳舜隆氏より / 八尋氏より / 海外雑誌受理吉水十果編輯後記 31 第 2 巻第 5 号 1935( 昭和 10) 年 5 月 1 日 口絵レーニングラードに於ける仏寺 1 口絵熱河離宮内の仏寺 / 武烈河東岸の円亭 / 札什倫布之仿後蔵仏寺 2 78

87 無署名記事印度に最初の日本山妙法寺立つ 3 無署名記事ベルグラードの寺院 4 大田覚眠ソウエート露西亜の梵本刊行事業 5 八尋洲光満洲仏教の現状 7 八尋洲光自ら死を預言し座禅のまゝ往生せる丹円老師 ( 第 2 報 ) 9 上坂倉次布哇開教の父今村恵猛 10 G. P. モララスケヤ ( 福地関爾訳 ) 比丘尼に就いて ( 承前 ) 13 無署名記事新刊紹介 16 日本仏教故サー チャールス エリオット著 / 静賢全集中華民国人海灯社発行無署名記事海外雑誌紹介 18 フランス ジャポン 6 巻 (3 月 )/ ザ ブッディスト第 5 巻第 10 号 (2 月号 )/ 英国仏教第 9 巻第 6 号 (3 4 月 )/ マハ ボディ第 43 巻第 3 号 / 仏教半月刊第 5 巻第 5-6 号 / 人海灯第 2 巻第 9 期 / 人海灯第 2 巻第 8 期 / 海潮音第 16 巻第 2 号無署名記事ニュース 20 ブータン王精舎訪問 / 英文 仏書解題 / ロンドンに於ける白人の仏式火葬 / アーナンダ カウサリヤーヤナ師の動静 /S. R. サンキリティヤーヤナ師の講演会 / 西蔵の風習 / ロンドンの信仰座談会 / 蔣委員長洛陽の香山寺を修繕す / 海塩の福業寺南洋方面に建立基金を募る / 揚州の福慶寺経文を構ず / 自資を以て放生供養す無署名記事協会ニュース ( 自 3 月 20 日至 4 月 19 日 ) 23 研究方面 / ヤング イーストの進展 / 満洲国に活躍の八尋洲光氏 / 伊太利ツッチ氏より図書の寄贈 / 海外雑誌受理吉水十果編輯後記 24 第 2 巻第 6 号 1935( 昭和 10) 年 6 月 1 日発行口絵第 1 回欧羅巴仏教大会 (1934 年 11 月 22 日 23 日 ) 1 無署名記事ボルブドールの仏蹟 2 無署名記事巴里より伯林へ 日本研究重松俊章氏の講演 3 無署名記事ナーラダ師の熱弁 4 A. ゴツシユコーサム出土の碑文断片 5 無署名記事燉煌千仏洞の修理竣工 6 アーナンダ比丘 ( 榊原順次訳 ) 英国に於ける仏教運動に就いて 7 無署名記事北平で古経の陳列 9 上坂倉次ヤング イーストと中央公論前史 欧文反省雑誌について 10 ウォルフガング シューマッヘル ( 菅谷英男訳 ) 仏教哲学 14 無署名記事新刊紹介 18 姉崎正治博士の英文日本宗教史 / 西方西蔵の寺院とその象徴主義 ( 第 1 部 ) G. ツチ氏著無署名記事海外雑誌紹介 20 ブリティッシュ ブディスト誌終刊号 / マハー ボーディ第 43 巻第 4 号 / ザ ブディスト誌第 5 巻第 号 / 印度文化誌第 1 巻第 4 号 / 宗教会報 ( 市俄古大学 ) 第 15 巻第 2 号 / 海潮音第 16 号第 4 号 / 中日密教第 2 巻第 4 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 9 号 79

88 無署名記事ニュース 23 和蘭に大菩提会支部 / 英文 大法輪 出づ / 青年寮連合会の仏教会議提唱 / 伯林 仏教の家 / シルヴアン レヴヰ教授 IBUA の学士院会員に推薦さる / ライデンの J. フオーゲル教授 / シルヴア夫人ウイーンに逝く / 三蔵のベンガリ語出版事業に篤志家の援助 / ビルマに於ける宗教慣例法案の行方 / 国際仏教大学協会の事業 / 仏教国シヤム / 印度仏教徒の真面目な不平 / インドに於ける仏教徒の数 / サルナートの仏教講習所 / 大菩提誌の仏誕記念号 / 来朝のセイロンの仏教学者 / 錫蘭のナーラダ師来朝無署名記事協会ニュース ( 自 4 月 20 日至 5 月 19 日 ) 27 常任理事会 / ラフラ ナアラダ両師歓迎懇談会 / ジョン アィルズ氏の談 / ブッシユ氏の上京 / ヤング イースト夏季号 / 海外雑誌受理吉水十果編輯後記 28 第 2 巻第 7 号 1935( 昭和 10) 年 7 月 1 日発行口絵デイニヨースに於けるアレキサンダ ダビィ ネール夫人の仏教の家 / ハンブルグを訪問したアーナンダ比丘 1 戴天仇黎明の支那に於ける宗教 2 八尋洲光満洲名物娘々祭のこと 6 R. L. ソニ ( 菅谷英男訳 ) 仏教は無神論であるか 9 ジャン ピジルスキー ( 吉水十果訳 ) 仏陀の般涅槃 13 無署名記事新刊紹介 19 瑜伽と禅定 ( 心意発達綱要 ) ブディスト ロッヂ編纂 / 英訳正見綱要 M. L. サヤーダウ氏原著 U. ニヤーナ氏英訳 / 吠陀文学に於ける宗教の起源と発達デシュマック氏著無署名記事海外雑誌紹介 21 ザ ブディスト誌第 6 巻第 1 号 / ブッダ プラバー誌第 3 巻第 2 号 / 英国仏教 誌第 10 号第 1 号 / マハ ボディ第 43 巻第 5 号 / 海潮音第 16 号第 5 号 / 人海灯第 2 巻第 期 / 仏学半月刊第 5 巻第 号無署名記事ニュース 23 独人僧道空法師の動静 / 英文 ヤングヱシア 羅馬で出版さる / ローリツク条約案米国政府受諾 / 燉煌の発掘で著名なペリオ博士来朝 / 印度教徒大会 /IBUA の会報第 2 号近刊 / コロンボにダルマパーラ記念館 / 中国仏教大会 / 新興仏青同盟と米国基督教社会事業協会の握手 / 雲崗の石仏修理 / ビルマから観光団来朝 / 加州博覧会に日本デー計画 / 中印学会の創立 / サンフランシスコに仏骨奉安の大殿堂 / ダルマパーラ三回忌法要 / 英国大菩提会の新会則成る / ハンブルグ仏教団より仏書の寄贈を求む / 新京宗教界の動き / 北京大学に仏学研究奨励舎院設立無署名記事協会ニュース ( 自 4 月 20 日至 5 月 19 日 ) 28 ラーフラ ナーラダ両師歓迎懇談の盛況 / ヤング イースト夏季号 / 友松円諦氏の仏訳 仏教概論 いよいよ出づ無署名記事編輯後記 30 第 2 巻第 8 号 1935( 昭和 10) 年 8 月 1 日発行 80

89 口絵印度総督の初転法輪寺訪問記念撮影 (1934) 1 無署名記事アンコールの仏蹟 2 戴天仇黎明の支那に於ける宗教 5 J. アツカン ( 福地関爾訳 ) ギメー博物館 50 年祭を迎へて 6 アナガリカ B. ゴーヴィンダ西蔵の人と自然 8 無署名記事 ( 吉水十果訳 ) 印度支那に於ける仏教復興 ( ハノイ特報 ) 12 ジャン ピジルスキー ( 吉水十果訳 ) 仏陀の般涅槃 ( 承前 ) 14 無署名記事海外雑誌紹介 24 英国仏教誌第 10 号第 2 号 / 仏教徒第 6 巻第 2 号 / ザ ボーダ ルネッサンス誌第 1 巻第 1 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 13 号 / 人海灯第 2 巻第 13 期 / 海潮音月刊第 16 号第 6 号 / 浄土宗月刊第 8 期無署名記事ニュース 26 東阿の風雲愈々急!! 全米宗教団体蹶起しエチオピア救援運動に着手 / 巴里通信哀はれ!! 現代の鉄仮面 深山に幽閉 8ケ年エチオピア廃帝の死去 / 英文 仏教主婦の友 世界平和は婦人の手で!!/ 日米学生会議に仏教大学々生参加 / 南米秘露へ開教の中尾証道師 / 三宝の映画化サウンド版 24 巻セイロントーキー会社で / 印度へ行く訓導同胞教育に一身を献げて / ブタペスト名物の大学生のベーカリー / 笑へぬ喜劇乞食の学校当局の弾圧下に解散 / ビツセ教授の日本古代仏教研究高楠教授の推薦で近刊 / 五河地方に仏教未だ亡びず / 巴里通信 ( 松尾 )/ 満洲僧の日本留学 / 中国仏教会第 7 回代表大会 / 邵元沖師班禅喇嘛訪問 / 高麗の高僧 白雲和尚語録 / 日華仏教学会発会式挙行 / 東京国際クラブの創立 / 上海仏教浄業社で巴利語講習 / 西山堡居士林の 1 周年記念無署名記事協会ニュース ( 自 6 月 20 日至 7 月 19 日 ) 34 常任理事会 / ハンガリーの親日母娘宗教美術研究の旅に / ジヤワ仏教の伝道家と意見交換 / 友松常任理事アメリカへ国際放送吉水十果編輯後記 34 第 2 巻第 9 号 1935( 昭和 10)9 月 1 日発行口絵ガンガ チヤラン ラル氏は 印度マハ サアバのカウンポール会議に出席した仏教徒を招待した 其の時の紀念写真 1 口絵インド ガンジス河の辺に座禅を組んで石仏に祈りを捧げる仏行者 1 口絵熱河郊外の喇嘛寺の相対峙して立つ仏塔の彫刻は見事なものである 1 レオン ドイエ ( 吉水十果訳 ) 日本仏教に就いて チャールス エリオット氏の著作を中心に 2 金田恵光碧眼仏教徒 ミリヤム サラナブ女史 9 ブラボード チャンドラ バグチ ( 菅谷英男訳 ) 亜細亜の文運に対する仏教の寄与 11 S. ハルダー ( 福地関爾訳 ) 生命の統合 12 菅谷英男印度に於ける神格観と仏性観 1 15 無署名記事ニュース 21 ロンドンのウヱサク祭詳報 / 学芸愛好本部 / 科学 心霊研究会 /W. E. スーシイル教授死す / 朝鮮寺院の浄化運動 / アメリカに東洋書店白鵞堂禅仏教研究の一婦人の手で / 仏教 81

90 夏季学校 / 西洋人で最初に黄衣をつけた人は?/ 錫蘭仏教の外護者 C. ロバート氏逝く / ドワイト ゴダード氏の動静 / 尋ね人 / 厦門市仏教会の講演会 / 太虚法師嘉興で講演 / 鎮江の仏教々育展望 / 日本視察記を執筆中の大醒法師無署名記事海外雑誌紹介 25 海潮音月刊第 16 号第 7 号 / 中日密教月刊第 2 巻第 7 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 14 号 / 人海灯第 2 巻第 期合刊 / 新蒙古月刊第 3 巻第 6 期 /The Maha- Bodhi (Vol.43, No.7, July) /The Bodha Renaissanse (Vol.1, No.2, June)/The Journal of Religion (Vol.XV, No.3, July)/ Indian Culture (Vol.11, No.1, July) 無署名記事協会ニュース 27 吉水十果編輯後記 27 第 2 巻第 10 号 1935( 昭和 10) 年 10 月 1 日口絵サールナートに於ける阿育王石柱の柱頭 1 バーヴァトシュ マジャムダル ( 菅谷英男訳 ) 阿育王石柱柱頭の象徴 2 W. E. バーナード ( 菅谷英男訳 ) 仏教と賀川豊彦氏 5 吉水十果浄土宗の布哇布教を語る 服部泰俊師との談 7 吉水十果宗教的な印度の結婚式 11 菅谷英男印度に於ける神格観と仏性観 2 13 無署名記事ニュース 16 ライデン大学のラーデル教授愚管抄の翻訳出版 / 英国ブデイスト ロツヂの聖典研究会 / モラバールに仏教伝道師派遣印度教徒の協力 / 特志家の寄附で牛津大学に東洋宗教学講座新設 / 国際仏教大学設立協会語学講座を開始 / 欧洲の二仏教研究家比丘となる / 仏文 禅定 出づ巴里仏教の友の会から / ゴルドン ダグラス氏のこと / 四川崇慶県普浄仏学社成立 / 金華浙江の監獄の仏教化 / 日本密教の華訳版密宗要訣鈔 10 巻菩提研究社で出版無署名記事海外雑誌紹介 19 海潮音月刊第 16 号第 8 号 / 浄土宗月刊第 10 期要目 / 仏学半月刊第 5 巻第 号 / 人海灯第 2 巻第 期合刊 /Indian Culture/Buddhism in England/The Buddhist/The Maha- Bodhi 無署名記事協会ニュース 21 吉水十果編輯後記 21 第 2 巻第 11 号 1935( 昭和 10) 年 11 月 1 日口絵樊城城壁の災民避難所 / 廟宇建築の崩壊 / 漢陽幹堤の氾濫 1 八尋洲光朝鮮仏教の管見 2 無署名記事仏陀伽麻耶大塔と其の変遷 4 吉水十果西本願寺の北米開教を語る 東福義雄師との談 5 無署名記事娼婦の入団 8 マーガレツト カズンス夫人 ( 菅谷英男訳 ) 現今印度の婦人の地位 9 カリダース ネーグ ( 福地関爾訳 ) フランス学士院と東洋学 12 菅谷英男印度に於ける神格観と仏性観

91 無署名記事ニュース 18 漢蔵教理院の図書設備 / 仏教徒の水害救済事業 / 芝峯法師香港で講義 / 松尾 スムーラ両氏の近況 / 印 錫海外留学生連盟大会 / 英国仏教研究家の感想 / 仏教雑誌と国際連盟との連携 / 印度語の律蔵の刊行 / ムーンヂ博士の謬見 / 霊鷲寺の 4 周年祭 / 国際仏教大学設立協会の語学講座 / アメリカに東西仏教伝道会 / ニユージーランド便り / 布哇北島昌雄氏より / 仏誕記念会後報 / 青年仏教学僧の自殺無署名記事海外雑誌紹介 23 海潮音月刊第 16 号第 9 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 号 / 人海灯半月刊第 2 巻第 期 /The Maha- Bodhi (Vol.43, No.9)/The Buddhist (Vol.VI, No.4)/The Buddha- Prabha (Vol.3, No.3)/France- Japon (No.11)/The Kalpaka/India and the World (July) 吉水十果編輯後記 24 第 3 巻第 1 号 1936( 昭和 11) 年 1 月 1 日発行国際仏教協会年賀之辞 1 不左果世界の歳末年始風景 2 八尋洲光満洲ニュース奉天省内宗教分野一覧 5 井上哲次郎 高楠順次郎 姉崎正治シルワ ン レヴィ博士を悼む 9 シルワ ン レヴィ氏の略歴 15 菅谷英男印度仏教没落の因由 17 吉水十果古代印度医神の研究 ( 上 ) 20 無署名記事ニュース 27 巴利聖典協会の近況 / 中国の識者は語る / 日独文化紹介の恩人グンデルト博士帰国 / ロンドン仏教集会創立 11 周年祭挙行 / カムポデイア便り / 英国の仏教 誌から / 緬甸普雲洞の奇異の仏像無署名記事海外雑誌紹介 32 海潮音月刊第 16 巻第 10 号 / 仏学半月刊第 5 巻第 21 号 /Buddhism in England (Vol.10, No.4) /The Buddhist (Vol.VI, No.6) 吉水十果編輯後記 33 第 3 巻第 2 号 1936( 昭和 11) 年 2 月 1 日発行福地関爾初転法輪寺の壁画成る野生司画伯晴れの帰朝 1 藤原凌雪 ( 福地関爾訳 ) 仏教と第二世 4 ハインリツヒ マインハルド ( 福地関爾訳 ) バーリ島に於ける古代印度文化 7 八尋洲光満洲国の粛正と仏教 町野哲秀氏のこと 10 吉水十果古代印度医神の研究 ( 下 ) 12 無署名記事ニュース 17 ビルマのラングーン大学に仏教会館建設 / ボン大学の松本徳明師帰朝 / ビーテイアの考古学的発見 / ナチの弾圧続行ユダヤ人のブローカー禁止 / 学位疑獄事件教授が学生に代つて受験 / 好意ある人々に平和あれ ローマ法王院宣 / 仏海灯の創刊 / クレアトル女史の密教研究 / 敦煌の千仏洞 / 天津の悟りの日 / 密教書籍の展覧会 83

92 吉水十果編輯後記 21 第 3 巻第 3 号 1936( 昭和 11) 年 3 月 1 日発行口絵 Solf 1 井上哲次郎ゾルフ博士を悼む 2 森孝三ゾルフ博士と後藤伯 3 無署名記事印度の方言 5 江藤澂英南洋に於ける宗教事情 6 無署名記事達磨の生地 10 吉水十果最近独逸の日本研究に就いて 松本徳明氏との談 11 優香里千崎如幻師をたづねて 13 ドロシイ A. L. スティード ( 福地関治訳 ) 印度史の理解に重要なるインドの物的特色に就いて 16 中尾文雄戯論 (Prapañca) の本質 特に中論を資料として 22 無署名記事ニュース 28 米国のローリツク教授中央アジア探検 / インド初転法輪寺創立 4 周年祭後報 / 遣土文化使節 西の東洋に に日本文化を / ヨネ野口教授大菩薩会の歓迎 / 長部経典の印度語訳 / 五河地方の仏教熱 / モラバール仏教伝道 / 国際仏教大学協会の後援者バルア氏死去 / 上海で藤井草宣師が講演日華旅行社主催 / 錫蘭留学団最近に出発 / 影印宋磧砂蔵経全部出版さる無署名記事海外雑誌紹介 31 海潮音月刊第 17 巻第 1 号 / 仏海灯第 3 期釈迦文仏像 /Buddhism in England (Vol.10, No.5)/ The Buddha- Prabha (Vol.3, No.4)/The Buddhist (Vol.VI, No.7)/Indian Culture (Vol.11, No.2)/ Miscellanea 吉水十果編輯後記 33 第 3 巻第 4 号 1936( 昭和 11) 年 4 月 1 日発行口絵ぺグの大仏 1 松浦太郎聖都ラハツサ 2 J. F. ブラキストン ( 福地関治訳 ) カフジヨ ダロ発見の仏舎利其他 5 松浦太郎ブデイスト ロツヂ 創立 11 周年記念講演 10 ドロシイ A. L. スティード ( 福地関治訳 ) 印度史の理解に重要なるインドの物的特色に就いて中 11 中尾文雄戯論 (Prapañca) の本質下 特に中論を資料として 14 無署名記事ニュース 19 ゴダード氏金剛楞伽及道徳経を翻訳 / 大醒法師日本仏教視察記出版 / 香港女子仏学院の成立 / セイロンの大学に女子聖語学院開設 / 英京ロンドンに仏教寺院 / セイロンのビンガム氏加奈陀で仏教講演 / 国際聖交会 / チヤーリ判事仏教の必要を説く / カルカツタに MBS 施薬院 / 子供より狐が高価?/ 仏教復興の徴ニユー デリーに寺院建立 / 現代インドの世界文化 / 最近帰朝藤井草宣氏の講演 84

93 無署名記事海外雑誌紹介 22 海潮音月刊第 17 巻第 2 号 / 人海灯第 3 巻第 3 期 /The Buddha- Prabha (Vol.4, No.1)/Maha- Bodhi (Vol.43, No.12)/The Buddhist (Vol.VI, No.9) /France- Japon (No.14) 吉水十果編輯後記 23 第 3 巻第 5 号 1936( 昭和 11) 年 5 月 1 日発行無署名記事フランス高等学院宗教科 50 周年記念 1 藤井草宣福建仏教の新旧両派 3 無署名記事失業者救済の 沙翁劇 オヂヤン 但しアメリカのこと 7 ブロートン ( 福地関爾訳 ) 鮮 満 露印象記 8 無署名記事アルメニヤの宗教 11 H. G. ウエルズ ( 福地関爾訳 ) 世界史上の三大偉人 12 福地関爾不列顚諸島の民間信仰 15 無署名記事ニュース 21 湘郷県で古版蔵経を発見 / 奉仕雪竇寺の建設 / 蔣介石氏の寺廟保護 / 中国仏学徒暹羅に留学 / 巴里仏教友の会で中華仏徒を歓迎 / リス デエヴイツズ夫人共同著作者を求む / ハワース氏の仏教運動 / 最初の英文仏教雑誌?/ マハーボデイ誌ウエサク特輯号 / 回教徒首脳部に回 印融和の機運 / 哲学 G. グリアスン翁 85 回の誕辰を祝ふ無署名記事海外雑誌紹介 24 海潮音月刊第 17 巻第 3 号 / 人海灯第 3 巻第 4 号 / 仏海灯第 1 巻第 5 期 / 仏教月報創刊号 / The Maha- Bodhi (Vol.44, No.3)/The Bodha Renaissance (February, 1936) 吉水十果編輯後記 25 第 3 巻第 6 号 1936( 昭和 11) 年 6 月 1 日発行無署名記事吠舍佉祭 1 中尾証道ペルー入国の第一報 2 吉水十果聖都めぐりメッカ巡礼 7 オベルラン ( 吉水十果訳 ) 日本仏教の現世主義 11 無署名記事ヤヴオルスキ教授を迎へて 14 A. B. キース ( 福地関爾訳 ) プローテイノスと印度思想 ( 上 ) 15 無署名記事月の生命 19 無署名記事ニュース 20 梵語写本の完全な目録 / 国際的総合文化雑誌 / ブデイスト誌の編輯者引退 / インド文化会議 / ヴイドヨダヤ東洋学院長ラトナサラ ナヤカ師逝去 / 故ダルマパーラ翁の甥セイロン国会に入る / 宏明法師世界紅仏字会を組織す / 宋版蔵経錫蘭に贈らる / 錫蘭学法団 / 北平に仏教図書館成立 / 台南降誕記念講演無署名記事海外雑誌紹介 24 海潮音月刊第 17 巻第 4 号中国仏教建設専号 / 南瀛仏教第 14 巻 5 月号 / 仏海灯第 1 巻第 7 期 / 仏教月報第 1 巻第 2 号 / 人海灯第 3 巻第 5 号 /Buddhism in England (Vol.10, No.6)/ The Maha- Bodhi (Vol.44, No.4) 85

94 吉水十果編輯後記 25 第 3 巻第 7 号 1936( 昭和 11) 年 7 月 1 日発行無署名記事国際盂蘭盆の夕 1 菊地智果夏のヒマラヤ 2 無署名記事日米学生英語会招待 5 ルウヰ ド ラ ワ レ プサン ( 福地関爾訳 ) 巴利経典に於ける我 ( アートマン ) 6 無署名記事怪奇の熱帯植物 9 上坂倉次海外渡航仏家列伝 7 北畠道竜 10 A. B. キース ( 福地関爾訳 ) ブローティノスと印度思想 ( 下 ) 14 無署名記事ニュース 18 英文仏教読本のシヤム語訳 / ナタールに仏教復興 / シンガポールに中華仏教進出 / ウイリアムス キングスランド氏死去 / 世界宗教会議 / ウエサク後報 / 全国仏教徒の中国仏教会改組運動 / 中国仏教会上海市分会 / 閩院学僧自治会成立 / 南瀛仏教講習会 / 台南仏教婦人会発会式 / 内埔仏教講習会 / 九華幽冥大鐘 6 月完成 / 呉淞に放生園を設置無署名記事海外雑誌紹介 21 The Maha- Bodhi (Vol.44, No.15, May) /Buddhism in England (Vol.11, No.1)/The Buddha- Prabha (Vol.4, No.2, April)/ 海潮音月刊第 17 巻第 5 号 / 現実第 1 巻第 5 期 / 仏海灯第 1 巻第 8 期 / 人海灯第 3 巻第 6 期 / 南瀛仏教第 14 巻第 6 号無署名記事編輯後記 23 第 3 巻第 8 号 1936( 昭和 11) 年 9 月 1 日発行無署名記事明年 10 月印度仏蹟巡拝の計画 1 無署名記事盛会だつた国際盂蘭盆の夕 2 無署名記事日米学生会の一行を鶴見総持寺に招待 3 千賀生神秘の国モロツコ 4 金田恵光在米同胞と海外布教雑感 6 上坂倉次日本仏家海外渡航年表 明治時代 11 A. M. ピザガリ ( 福地関爾訳 ) 梵語の発見と第 16 世紀に於ける伊太利 17 無署名記事ニュース 21 ブデイスト ロツジ秋のプラン 大乗仏教の研究 / 西洋人に仏教がわかるか?/ ド モラン氏を悼む / 独逸の休日仏教キヤムプ / ブロートン氏のことども / 世界宗教会議に於ける仏教代表の動静 / 国際仏教大学協会の活動 / ラクノウ宗教会議 / セイロン出の比丘ケムブリツヂより学位を授与さる / 伊太利出の比丘とハリヂヤン運動 / 新しい達嗽喇嘛 / アフガニスタンの仏像 / 中国仏教雑誌 人間覚 創刊 / 中国寺廟僧尼の統計 / 四川南充仏学社成立 / 中日密教会北平分会成立無署名記事協会ニュース 26 印度仏蹟巡拝の計画 / 印度の夕 を開催 /9 月中旬総会を開催 / 世界仏教大会の開催 / 歓迎会 / ヤング イースト秋季号 / 海外布教研究会 / 昭和 11 年度前期分会費納入者 (8 月 17 日迄敬称略 )/ 常任理事会 / 立花氏代表常任理事に 86

95 無署名記事香港東蓮覚苑 1 週 年 記念 28 吉水十果編輯後記 29 第 3 巻第 9 号 1936( 昭和 11) 年 10 月 1 日発行無署名記事第 7 回ハワイ仏教青年大会 1 無署名記事二十人位の印度仏蹟巡拝団を組織 2 シリワルダーナ ( 金田恵光訳 ) 大小乗優劣論 鈴木夫人に問ふ 3 ダスグプタ ( 中尾文雄訳 ) 仏教哲学序説 (1) 7 アーサー C. マーチ ( 福地関爾訳 ) 神の観念 (1) 10 無署名記事ニュース 14 仏陀の遺物祀らる / 黄金の仏像発見さる / 吠舎法学院開放 / ビルマ教団頭首復権!? / カルカツタ夏季大学 / ライデツカー氏の東洋芸術観 / 焦山仏学苑暑期講習会 / 中国学僧会準備会武昌仏学院 / 李烈鈞等廬山で仏学講演 / 中国仏学舎厦門市分会無署名記事協会ニュース 月 3 日総会開催 / 田島隆純の歓迎会 / 昭和 11 年度前期分会費納入者 (9 月 25 日迄敬称略 ) 吉水十果編輯後記 17 第 3 巻第 10 号 1936( 昭和 11) 年 11 月 1 日発行無署名記事伊太利の大乗仏教研究家トウチィ博士来朝 1 無署名記事ニュース 2 ハーバード大学で仏教美術研究書刊行 / カナダの仏教ブリティツシユ コロムビア便り / 英京に於ける仏教研究会 / 鈴木博士ロンドンで講演 / 日独文化協会新会長決定 / ダツト博士来朝 / 初転法輪寺 5 周年祭 /4 名の独逸人比丘 / 法物保存館明版蔵経を保存 / 北京大学教授等微妙声月刊社を組織す / 暹羅政府上海印経会に暹蔵を贈る / 仏教と洪牙利ツラン大行進曲の放送鈴木大拙 ( 編輯部訳 ) 禅に就いて 7 田島隆純シルヴアン レヴイ先生の没後を語る 12 藤井草宣支那仏教徒の対日態度に就て 17 ニヤーナケツトウ ( 福地関爾訳 ) 仏教に対する共通の偏見 21 無署名記事協会ニュース 年度通常総会 10 月 13 日午後 3 時半より開催 /11 年度前期分会費納入者 / 常任理事会吉水十果編輯後記 29 第 4 巻第 1 号 1937( 昭和 12) 年 1 月 1 日発行井上哲次郎新年の辞 1 無署名記事トゥッチ博士歓迎会の盛況 2 無署名記事ダット博士の歓迎会 3 無署名記事メツゲル氏の講演ハンガリーの武士道精神 ペトフヰ サンドールの事蹟 4 87

96 無署名記事豪華を誇る印度仏蹟学術映写会 5 無署名記事海外ニュース 6 太平洋時代欧洲の日本語研究 / 世界宗教会議毎年開催に決す / 欧洲伝道のワヂラナーナ比丘帰錫 / 英京ブデイストロツヂ創立記念祭 / マダム ダヴイネール仏教研究新刊 / ロレンツオ教授本会に写真寄贈 / 日伊交換学生仏教の研究に来朝 / ハワイ英語伝道の恩人ハント師 / サンテイニケタンの華印文化協会 / 仏陀伽耶法案の運命?/ アールヤ ブハヴアン / 印度最大の仏教寺院パハルプルで発掘 / マハー ボデイ誌のセーン氏引退 /2000 年以前の仏教寺院 / モラバール伝道 / 総合大学の設立セイロンで提唱 / 僧侶に奨学金 / セイロンの考古学局カンデイに移転 / コロンボに尼僧学林 / セイロンの大塔婆改築福地関爾ナポリの優婆塞ロレンツオ教授 12 八尋洲光世界大同仏教卍教会への探訪記 海城県の巻 15 無署名記事国際仏教協会本年度事業概要 18 吉水十果編輯後記 19 第 4 巻第 2 号 1937( 昭和 12) 年 2 月 10 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会設立趣旨 表紙裏 無署名記事洪牙利本協会名誉会員ピエル ド モリツ閣下死去 1 無署名記事トウツチ博士愈々帰国 10 日大正大学にて講演 2 無署名記事巴里ニュース 3 巴里世界博覧会に仏教館を設立 / 巴里の近況 ( 松尾邦氏より ) 無署名記事海外ニュース 5 西蔵仏教界の大立物リンポーチエ喇嘛逝去 / ビルマ仏教界の恩人 2 氏代議士当選 / トラヴアンコール州マハー ラーヂヤーの英断 / 仏陀伽耶法案のウー バー シイ氏逝去 / カルカツタ大学に軍教施行 / 試験日には祈祷を中止せよ印度大学生のストライキ / バリソールに仏教協会設立 / カシヤツパ師帰印 / セイロンの印度巡礼団 / モラトラ市にミツション スクール / ピーナン仏教協会仏教講座 / パンジヤブ仏教界のリーダーパンデイツト ナラヤン氏の逝去 / 婆羅門から仏門へ / ニユーデーリーの歴史的事件 / 九華山の鉅鐘開鋳 / 蔣介石氏竜門石仏修補 / 前外長羅文幹氏の仏教研究 / 人海灯 誌仏教文学論特輯 / 中国仏教徒護国平和会成立 / 呂碧城女史講演 / 松尾氏仏訳 芭蕉とその弟子の俳諧 出版ベルタ ダルケ ( 福地関爾訳 ) 独逸仏教便り 10 マク ケヒニー ( 福地関爾訳 ) 無我 13 無署名記事協会ニュース 16 ゾルタン タカチ博士より / 南米ペルー国中尾証道師より / 莫力廟太田覚眠師より / 感謝録 / 新加入会員吉水十果編輯後記 17 第 4 巻第 3 号 1937( 昭和 12) 年 4 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 国際仏教協会 国際仏教協会世界各国支部所在地 1 国際仏教協会 国際仏教協会各国通信支部 2 88

97 無署名記事日本仏教の宣揚にルウイス ウヰリアムス ブツシユ氏帰英 3 月 2 日送別会開催 6 無署名記事日洪仏教親善のかずかず 7 無署名記事 G. ツチ博士の偉業西方西蔵の寺院とその象徴主義 第 3 巻第 2 部出づ 8 無署名記事ダツト博士より 9 無署名記事海外ニュース 10 印度鹿野苑に中華寺建立戴考試院長の援助 / 長部の印度語訳 / 聖地に巡礼者の宿舎成る / 仏陀の名に於てクリスマス布施 / エドモンド ホームス氏 / 上海で 漢訳経典 の英訳刊行 / 新らしく国際仏教協会支部交渉開始ナーランダ長老 ( 福地関爾訳 ) 上座部と大乗 13 無署名記事協会ニュース 16 瑞典公使閣下より / 各国通信支部増設 / 印度仏蹟旅行準備 / 今夏も開催の国際お盆の夕 / 感謝録 / 新役員吉水十果編輯後記 17 第 4 巻第 4 号 1937( 昭和 12) 年 5 月 1 日発行無署名記事協会ニュース 表紙裏 ツイニン女史 / チタゴンのチヤードウリ氏より / ハンガリーのイレネ キス女史より / 英文 日本仏教 の編輯 / ヤング イースト夏季号 / 印度仏蹟巡拝団無署名記事歌劇 悉達多太子 上演 5 月於ロンドン新スカラ座 1 無署名記事ブツシユ氏夫妻英京の安着 2 無署名記事禅問答の林総理とヘレン ケラー女史 3 無署名記事日華仏教の親善 4 無署名記事ホイツトニイ女史より問合せ 4 無署名記事英国仏教運動 30 周年記念講演 5 無署名記事海外ニュース 6 エストニアに仏教の芽生え / 独のストラウス老居士仏教徒の平和運動を説く / ブデイスト ロツヂ新刊 2つ / ローザンヌ心霊研究会で仏教講座 / ハンガリーの協会支部代表にカルマン ド モリツ氏就く / 中国国際図書館で仏教図書雑誌蒐集 / 中国仏教徒護国和平会 / 廬山大林寺仏殿落成 / 中国仏教雑誌の連合張茂吉厦門の大蔵経授経式 日本寄贈の大正新修大蔵経を永遠の寺宝として名刹南普陀寺に納む 9 福地関爾サムガム ウパガテー考 11 吉水十果編輯後記 17 第 4 巻第 5 号 1937( 昭和 12) 年 6 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 国際仏教協会々長外一同英国皇帝陛下戴冠式を祝賀申上ぐ 1 無署名記事世界教育会議参加の外国人を招待して第 2 回国際お盆の夕開催 2 89

98 無署名記事今夏巴里開催の世界仏教大会に本協会代表出席 薩摩 松尾 久野 ブツシユの諸氏 3 無署名記事サイゴンの仏教徒ジユバン ブレゼ両氏来朝 4 無署名記事いよいよ実行に移る印度仏蹟巡拝団 5 月 26 日準備相談会開催 5 無署名記事海外ニュース 中華仏教特輯 6 日華仏教親善の辞 / 太虚法師の国際仏教平和会議提唱 / 嶺東仏学院閉鎖さる / 竹摩法師今秋来朝 / 中華仏学僧消息 / 芝峯法師 / 仏教英語の大家張 呂 2 女史 / ツチ博士ローマより国際放送 / ラフラ師近く来朝松浦太郎地球を包む栄光 9 無署名記事仏陀伽耶問題 12 無署名記事協会ニュース 12 国際仏教協会事業報告自昭和 9 年 5 月 至 12 年 3 月 / 名誉会員御加入芳名 / 会員 / 評議員 / 理事 / ポルトガル リスボン市長より / 姉崎 山田両顧問ジユネーブへ出発 / 立花代表常任理事駒大学長に就任 / 本協会顧問黒坂勝美博士退院無署名記事国際仏教協会日記 16 吉水十果編輯後記 17 第 4 巻第 6 号 1937( 昭和 12) 年 7 月 10 日発行無署名記事協会ニュース 表紙裏 8 月 5 日午後 6 時国際お盆の夕べ / 印度仏蹟巡拝団 / ヤング イースト夏号発行 / 吉田正氏南洋寺院見物 / 英文日本仏教近く完成 / リスアニア国本協会代表決る / 安達謙蔵名誉会員として御入会無署名記事海外ニュース 1 青葉薫る琵琶湖畔に故ウツヅ博士の記念碑成る / スエーデンのハンスン女史法然上人研究を始む / 歌劇悉達多太子大盛況 / ハンガリとの仏教親善二題 / 各国でヴエーサク祭執行 / ブデイストロツヂにビルマの仏像安置 / インドの大衆教化に自国語の雑誌を発刊 / バンガローアに同仁仏陀協会設立 / ボンベイに新寺院 / ベンゴール上院に始めて仏教徒を任命 / ブツシユ氏の英国便り緒方宗博西洋人に対する禅の意義 (1) 8 マクシミリアン ブルノー ( 福地関爾訳 ) 余が比丘となれる理由 13 無署名記事本年度前期分会費納入者御芳名 16 吉水十果編輯後記 17 第 4 巻第 7 号 1937( 昭和 12) 年 8 月 1 日発行 国際仏教協会 国際お盆の夕 / 印度仏蹟巡拝団募集 表紙裏 無署名記事巴里の第 2 回国際仏教大会盛会裡に終る 1 松尾邦之助巴里に於ける第 2 回国際仏教大会は何を生み出したか? 2 無署名記事リスアニア国本協会代表スタンケビシアス氏に決定 7 無署名記事香港東蓮覚宛便り 8 無署名記事海外ニュース 9 90

99 英人僧侶ブラヂナンダ長老ビルマで活動 / 全印懸賞論文ステイニルベル オーベルラン ( 松尾邦之助訳 ) 日本仏教に関しベルグソンに答ふ 10 緒方宗博西洋人に対する禅の意義 2 14 無署名記事海外各宗開教ニュース 19 無署名記事協会ニュース 20 シユーレマン氏より著書 仏陀の福音 を寄贈 / 宮村隆道君出発 / 吉田正氏パラオ着 / 松尾氏より井上会長へ吉水十果編輯後記 21 第 4 巻第 8 号 1937( 昭和 12) 年 10 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 久野芳隆海外の仏教を直視して 1 無署名記事海外ニュース 7 日 英仏教協会の提携促進 / 仏陀伽耶問題英本国議会に上提されん / 初転法輪寺 6 周年祭 / セイロン仏教運動の先達ウイラセーカラ氏急逝 / レズリー博士剃髪 / 英 米 緬 暹の国際的仏教交歓 / 仏陀大協会結成 / セイロン仏教霊智協会 57 周年記念を迎ふ / ツチ教授第 5 回西蔵探検決行 / 先亡世界教育功労者追悼会報告 / 印度仏蹟巡拝団延期さる / 駐支英国大使を見舞ふ / リスアニア代表スタンケビイツク氏より無署名記事協会ニュース 14 立花氏に代つて木村日紀氏代表常任理事に就く / 本会会計監査藤井栄三郎氏また金 1 千円寄附吉水十果編輯後記 15 第 4 巻第 9 号 1937( 昭和 12) 年 12 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 緒方宗博故神月徹宗師と外人求道者 1 角田猛蒙古人と仏教 3 長尾雅人中辺分別論釈疏の刊行に就いて 5 無署名記事ルールカン カイン両氏増上寺 総持寺に案内 9 本多主馬大乗仏教の世界的進出に就いて 10 木村日紀国際仏教協会と日本仏教の世界的進出 11 無署名記事海外ニュース 13 北支の仏教運動 / ロシア便りラーフラ師梵本刊行予定変更 / 英国便りロンドン美術館 明年度開催のインド学術会議に代表派遣 ワツト氏の新著アジアの遺産と西洋人 / アメリカ便りハンス アウター氏より / 印度便り印度学界の権威 K. P. ヂヤアスワル博士を悼む パンデイツト チヤンドラ氏仏教講座を開設 仏陀伽耶問題にビハール州政府乗り出す 印度教の軍官学校設立運動吉水十果編輯後記 17 第 5 巻第 1 号 1938( 昭和 13) 年 2 月 1 日発行 91

100 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 八尋洲光時局と国際仏教のことども 1 W. E. バーナード ( 中島関爾訳 ) 自力と他力 3 G. S. ペレラ ( 江原亮瑞訳 ) セイロン国史 (1) 7 松浦太郎新刊紹介 11 Systems of Meditation in Religion, by W. Loftus Hare/The Bhagavad Gita: A Conflation from All Available English Translations, by Albert E. S. Smythe/Buddhism in England (Vol.12, No.4)/ Maha- Bodhi, (Vol.45, No.10) 無署名記事海外ニュース 12 ナチ科学の勝利フリクナー博士による中央アジアの地質学的研究 / ブデイスト ロツヂ創立記念講演会 / ロンドン大学名物黄衣緑傘の大学生 / メナンドル王時代奉安の仏陀の遺骨発見さる / ヴエーサク祭に肉食を廃止 / セイロン人種の血液研究ヒル教授の発表無署名記事協会ニュース 16 時局懇談会 / ナンド カヴイ氏帰国 / 本会理事宇津木二秀氏渡布 / 昭和 12 年度後期分会費納入者御芳名 / パネー号弔慰大使訪問と募金 / 洪国文化使節メイゼ博士立正大学で講演本会名誉会員となる / 旧臘 15 日国際仏教協会 12 年度総会開催吉水十果編輯後記 19 第 5 巻第 2 号 1938( 昭和 13) 年 6 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 古川慈良自然の錫蘭 ナチスの独逸 13 年の旅より帰りて 1 無署名記事 5 百年の歴史を誇る大菩提寺の復旧成る 10 無署名記事 小品 古写本の公開 10 無署名記事故プサン翁の面影と追悼会 11 高楠順次郎 宇井伯寿 ド バツソムピエール 宮本正尊 久野芳隆白耳義ガン大学教授故ルイ ド ラ ワ レー プサン翁追悼会 12 ルイ ド ラ ワ レー プサン氏略歴 19 無署名記事海外ニュース 22 歌劇 プリンス シッダハルタ 巴里に上演 / ラーマクリシュナの殿堂に仏陀等を奉安 / ウェーサク祭近づく / 大菩提会のビルマ伝道 / モラーバールの著名な社会事業家ラーマ ヰエール氏剃髪 / 禅に結ばれた英 米の若人に幸あれ!/ 桑港白人仏教徒の動物愛護運動 / 印度教学者の仏教観 / 満洲国宗教現勢 (1937 年 8 月 1 日 )/ 日本仏教に関する二英文著書 / フインランドの親日家ギユルクセン夫人 / 各宗支那開教事業調査無署名記事協会ニュース 25 世界仏教学大会開催か? 万国博への回答のこと / 英文仏書購読会 / 米国大使館よりの問合せ / 和蘭の仏教研究家 2 人 / 独逸のワレザー教授健在 / 海外のヤング イースト購読熱 / ラーストラパーラ サンデイリヤーヤナ氏の日本仏教研究 / アジア学生連盟 仏陀の夕 本会員講演 / カトリツク牧師の日本仏教研究 / ブツシユ氏山形高校へ赴任 / 新任外務省文化事業部長蜂谷輝雄氏に挨拶 / 第三課長市河彦太郎氏事務官箕輪三郎氏来訪 / 仏連の 92

101 斡旋に依り各宗より補助 / 宇津木二秀氏帰朝談 / 竜山章真氏渡欧送別会 / イタリア使節団より謝状を受く / 波蘭大使館員ステンシニアツク夫妻を総持寺に案内 / 藤井栄三郎 野間清治郎両氏の篤志 / 故今村恵猛の 7 回忌布哇で挙行布哇で高楠博士記念講演 / ヤングイースト誌の功労者佐野甚之助逝く吉水十果編輯後記 31 第 6 巻第 1 号 1939( 昭和 14) 年 9 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 口絵印度教寺院 ( クムバコナム大塔 ) i 口絵カルカツタの日本山妙法寺 / ニユーデリーの仏教寺院 ii 無署名記事海外ニュース 1 厦門に大乗仏教青年会設立さる / 厦門に仏教雑誌 大乗 創刊 / 上海より英 華文 中国仏教 創刊 / 伯林仏教の家 小品集 / ツチ教授の西蔵探検 / ライ サハニイ氏逝去 / 舎利仏と目犍蓮の遺骨 / 巴利仏典の仏訳 / ラオス カンボディア両国王ナーランダ大長老を招聘 / タイ ( 暹羅 ) の新国師 / 故ダルマパーラ翁の除幕式 / 仏教々育基金百万留比募集 / カイル博士日本の現実を印度に紹介 / 浄道論のヒンディ訳 / 印度教の特志家によつてクシナラに仏教宿舎 / セイロン YMBA のスリ ニツサンカ氏より / ニユーヨークより 哲学雑誌 創刊 / ラストラパーラ氏の論文ヒンディ ミラップ紙に掲載ナンシヰ グレゴリヰ ( 中島莞爾訳 ) 仏領印度支那仏蹟旅行記 9 無署名記事 日伊仏教研究 発行 18 無署名記事 英文仏教百科辞典 の出版 18 国際仏教協会印度事情研究会編印度教特輯 研究資料 19 高楠順次郎仏教の根本原理 35 無署名記事協会事業日誌 42 無署名記事会員の訃報 42 第 6 巻第 2 号 特輯仏教と自然科学 1939( 昭和 14) 年 11 月 15 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 果 吉水十果 巻頭言 i 高楠順次郎仏教と理学のこと 1 無署名記事仏教と科学に就き発表されたもの 4 市河彦太郎仏教と科学片々 5 吉水十果仏教と理論物理学 12 スワミ ヂュニャナカンダ ( 中島莞爾訳 ) 数学と仏教其他の哲学 16 無署名記事高楠順次郎博士の帰朝歓迎講演会 / 仏教と科学の研究会 23 G. H. ペアリエン ( 中島莞爾訳 ) 相対性と新科学 24 ロルフ ヘンクル ( 中島莞爾訳 ) 仏教思想と近代科学の諸概念との間に於ける若干の類似 31 無署名記事海外ニュース 46 ロンドン仏教寺院の建立運動 / フランスに於る喇嘛僧の筆になる小説 / サラネエヴ女史の 93

102 仏教運動 / 国際仏教婦人会設立 / ブダガヤ問題 / 初転法輪寺 8 周年祭 / 大乗月刊第 2 号 / 印度の日本仏教研究熱無署名記事協会ニュース 49 オツタマ比丘とゴダード翁の追悼会 / オツタマ比丘のこと / ゴダード翁のこと / ペツオルド教授の英文日本仏教史 / 鎌倉円覚寺に開く外人仏教講座 / 仏教美術紹介先づ 五重塔 から 第 7 巻第 1 号 特輯ビルマの仏教 1940( 昭和 15) 年 11 月 21 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 口絵シユウタ ダゴン パゴオダ / 托鉢中のビルマ僧 / 民衆の朝の祈り i 口絵シユウタ ダゴン パゴオダ内部の仏像 / ペグの臥仏 ii 無署名記事巻頭言 iii W. H. ハズピス (K N 中島莞爾 訳 ) 仏教国ビルマ督見記 1 M. T. ニヨービルマの仏教 9 デエワ ブリヤ ワ リシンハ (K N 中島莞爾 訳 ) ラングーン訪問記 12 福島弘 久我成美 後藤亮一 山田秀蔵 大崎嘉一 木村日紀 吉水十果 中島関爾座談会 ビルマの仏教について 17 中島莞爾ビルマ仏教の概観 23 無署名記事日本ビルマ仏教人片々 35 無署名記事ビルマ仏教青年会の歴史 35 W. E. バアナアド (K N 中島莞爾 訳 ) ニウ ヂイランドの仏教 38 無署名記事英文 仏教倫理 セイロンに好評 40 無署名記事ニューズ 41 仏教による日華提携協会の広東支部長に鉄禅法師 / 上海の禅研究家ヘルツ氏再度来朝 / コロムボ仏教霊智協会 60 年祭に祝電 / 台北帝大デル レー教授の新著仏 基両宗教に現れた極楽の研究 / 錫蘭ラバンバリサヤ仏塔再興紀念祭 / ベルリンの仏教研究家カルル フリイズ博士来朝 / 在留独逸人キンダーマン博士の日本仏教研究 第 7 巻第 2 号 特輯タイ国の仏教 1941( 昭和 16) 年 2 月 15 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 口絵王宮内のワツト プラケオ / 純タイ式寺院ベンチヤカマボピツト i 口絵ワツト ポー内の諸仏像 / 托鉢中の僧 / アユチアの露座の大仏 ii 無署名記事巻頭言 iii W. E. フイッシャー ( 中島莞爾訳 ) 旅行記新興タイの横顔 1 無署名記事タイ国の高僧 10 ピア バンチヨンタイ国の仏教 11 無署名記事タイ国仏教青年会 12 扶南堂三友 佐藤致孝 タイ国仏教行事 13 プラ サラサス 磯部美知 山口武 矢田部保吉 御簾納正三 木村日紀 吉水十果 中島関爾座談会 タイ国の仏教 28 94

103 無署名記事小林師の帰朝談 33 田中藤華タイ国仏塔の片鱗 34 中島莞爾タイ国仏教の概観 37 平等通昭日泰文化研究所長平等通昭氏よりの来信 45 無署名記事日 泰仏教関係 47 無署名記事タイの仏教文献 47 カール キンデルマン ( 市河三栄訳 ) 古代哲学者の研究 48 無署名記事ニユウズ 52 タイ国親善使節団のインド訪問 / ヒンドウ マハアサツバ印度支那の民族独立を支持 / ヒンデイ語の巴利文法出づ / ビルラ奨学資金 / サルナートの発掘 / セイロン政界の重鎮初転法輪寺に参詣 / ソオラタ大長老カルカツタに留学 / 戴天仇氏の訪印 / 訪泰中の小林義道師 / 国際仏教協会華南支部発会 / 国民政府宣伝部に図書寄贈 / 泰語 日本精神と仏教 出版 / 日蓮教学 開目抄 The Awakening to the Truth の英訳出版 / ウルガイ国に本会支部設置 / 伯林日本研究所に仏教図書館寄贈 / 市河公使送別会 第 7 巻第 3 号 特輯仏印の仏教 1941( 昭和 16) 年 8 月 5 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 無署名記事巻頭言 i 口絵アンコールトム城内バヨン寺塔上の梵天 iii 口絵安南王宮前庭の高鼎 / アンコールワツト入口の彫刻 / アンコールトム南門 iv ナアラダ長老 ( 中島莞爾訳 ) カムボディア訪問記 1 扶南堂三友 佐藤致孝 仏印アンコール大遺跡を訪ふ 12 大岩誠 古野清人 金永鍵 立花俊道 長井真琴 木村日紀仏印の仏教座談会 25 無署名記事日 仏印交換教授ゴルーベフ博士歓迎会 28 金永鍵安南に於ける仏教の伝来 29 無署名記事仏印に於ける仏教団体 44 中島莞爾仏印仏教の概観 45 無署名記事ニユウズ 58 大菩提会創立 50 周年記念祭 / 印度の仏蹟を参拝する仏教徒 / ベナレスの印度教大学にパール語科増設さる /N. N. ゴース氏教授に任命 / バンガロールに新仏教精舎建立さる / ワイダ女史の講演 / サルナートの得度式 / ルヴアンウリの古尖塔河底より発見 / ダムマシツデイ大長老遷化 / 印度仏教攻撃論づカルカツタのパトリカ紙より / 大菩提会 50 周年記念ニユウズ / 古代仏教精舎ビハールで発見無署名記事南方仏陀祭の盛況 7 月 5 日午後 1 時日比谷公会堂に於て 63 第 7 巻第 4 号 特輯蘭印の仏教 1941( 昭和 16) 年 10 月 1 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業綱要 表紙裏 無署名記事巻頭言 i 口絵ボロブドオルの全景 iii M. マクミランボロブドオル訪問記 1 95

104 宇野円空スマトラ 爪哇に於ける仏教の跡 13 宇野円空 岡本暠 立花俊道 山本快竜 木村日紀蘭印の宗教座談会 25 木村日紀爪哇 スマトラのシャイレンドラ王朝と其の仏教 那爛陀発掘の銅版刻文を通じて 30 ファン ディンスト ( 中島莞爾訳 ) 蘭印の仏教を語る 37 中島莞爾インドネシアに於ける印度の宗教 文化 41 無署名記事印欧人問題 55 無署名記事ニユウズ 56 錫蘭中央仏青討論会 / 中央仏青 7 8 月講演会 / バンニピテイヤ仏青 1 周年記念祭 / 仏青 ポロンナルワ巡礼 / 泰国仏教徒世界平和を提唱 / 国際仏教協会巴利文化学院夏季講習会南方仏教事情 第 7 巻第 5 号 華僑の信仰号 1941( 昭和 16) 年 12 月 20 日発行口絵仏陀と指鬟 表紙裏 口絵安南の僧侶 i 口絵音楽僧 ( ラオス )/ タイの尼僧 / 写経中の僧侶 ( セイロン ) ii スワミ サティヤナンダ ( 中島莞爾訳 ) 泰国に於ける印度文化の伝来 1 無署名記事世界各地別華僑人口 7 釈法道 ( 中島莞爾訳 ) 15 世紀に於けるビルマ教団の改革者ダムア ゼディ王 8 無署名記事南洋華僑出身地別人口分布 14 桜井徳太郎 永田安吉 滝照道 古野清人 宮原義登 高桑昇三 福島弘 山田秀蔵 井出諦一郎 木村日紀 長井真琴 山本快竜 吉水十果 中島莞爾座談会南洋華僑とその信仰 15 無署名記事海峡植民地に於ける華僑の出産死亡率 22 金永鍵近世に於ける安南の仏教とその発展 23 無署名記事南洋華僑の分類 44 中島莞爾訳泰国の平和提唱 泰国政府よりピヤ シー セナ駐日泰国特命全権大使を通じ国際仏教協会々長井上哲次郎博士宛通達 45 無署名記事ニウズ 52 錫蘭に於ける仏教徒子弟の教育問題 / アハンガマ仏教英語学校の盛事 / リデイ精舎 / マハーラーガマ仏青支部の近況 / ラヴィニア仏青支部の近況 / 英文サツダムマサンガハの出版無署名記事協会ニウズ 55 ハノイで仏教美術写真展 / 泰国に対する仏教事業上村真肇氏の報告 / 昭和 16 年度総会 / 本会巴利文化学院 / 本会華南支部 第 8 巻第 1 号 特輯西蔵の仏教 1942( 昭和 17) 年 2 月 25 日発行 国際仏教協会 国際仏教協会事業近況 表紙裏 無署名記事巻頭言 i 口絵ロツソ寺の仏逝像 / ビイアンコ寺の観音像 iii 口絵ナコ寺院 / 蒙古のラマ寺 / ツパラングの廃寺 iv 96

105 多田等観ボン教とラマ教との関係 1 橋本光宝蒙古と西蔵との不可分関係 5 チヨムペル ( 中島莞爾訳 ) 不運の達頼喇嘛 13 河口慧海 青木文教 橋本光宝 笠松単伝 壬生台舜 木村日紀 立花俊道 山本快竜 吉水十果 中島莞爾 松田玄一西蔵の仏教座談会 20 無署名記事泰国首相と記者団との仏教問答 29 ラーフラ サーンクリトヤーヤナ ( 中島莞爾訳 ) 西蔵旅行記 梵本仏典写本の発見 30 ピーブン ソンムクラムピブン泰国首相の日泰仏教提携に関する書翰 59 無署名記事ニウズ 59 カンボヂヤの仏教研究情況 / ヨーロツパの仏教運動 / シンガポールの仏教団体 / 仏教と泰国学生 / バンツコク滞在の上田教授の近況 / 南方仏教学会創立 / 巴利文化学院 第 8 巻第 2 号 特輯セイロンの仏教 1942( 昭和 17) 年 8 月 15 日発行口絵サンガーミッター尼と菩提樹の来島 表紙裏 無署名記事巻頭言 i 口絵ボロンナルワにおける涅槃像 iii アーナンダ クマーラスワーミ ( 中島莞爾訳 ) セイロンにおける菜食主義 1 釈仁度 立花俊道釈仁度 立花俊道両師にセイロン仏教を聴くの会 10 シュリ ニッサンカ仏教教育について セイロン仏教徒よりの要請 17 W. A. ド シルヴァ ( 東元多郎訳 ) ビルマとの宗教的結合 セイロンへの使節の話 19 茂垣長作 巻口和民 沼野英一 木村日紀 立花俊道 山名義鶴 宮本正尊 山本快竜 吉水十果 中島莞爾 東元多郎 松田玄一 久保田悟城セイロン事情座談会 28 ラージャ ヘーワビタルネセイロン仏教青年会現状 34 中島莞爾セイロンの仏教について 35 無署名記事セイロン語太陰暦月名 39 無署名記事ニュース 40 日タイの心の結びに大仏塔建立 / 南方だより / 熱血インド青年の断食 / バモ博士とテイン モン博士のこと/ ハンガリー人テゥチ氏の熱望 / 中国仏教 誌より委頼状 / タイ国大使館の夏安居入祭無署名記事ニュース ( 協会関係 ) 42 南方仏教聖典第 1 輯発行 / ペツオルド氏表彰祝賀会 / 第 2 回南方仏陀祭挙行 / 仏印における仏教美術展の盛況 / 派遣僧初の犠牲 / 我が国最初のビルマ語日本美術の刊行 / 上田天瑞氏の近況 / 仏印より安南語辞典贈呈 / 安南仏教目録書刊行 第 8 巻第 3 号 1942( 昭和 17) 年 11 月 15 日発行無署名記事巻頭言 ii D. A. スティード ( 中島莞爾訳 ) 印度の自然的特色の重要性 1 東元多郎訳全訳チャックパーラ長老物語 18 97

106 金永鍵占城のシヴァ教 34 東元多郎セイロン留学僧の先駆者グナラタナ釈興然師をめぐる人々 38 国際仏教協会編大東亜に於ける宗教別信徒数概算 46 東元多郎劇評 河は流れてゐる を見て 49 無署名記事ニウズ 53 中華民国宣伝部へ図書贈呈 / 本会関係報道班員帰る / ビルマ興国仏教連盟生る / 大東亜仏教青年大会開かる / 第 2 回南方仏陀祭の海外よりの反響 / 仏教同願会日本で年会を開く / セイロン語文法書出版 / 高橋 池田 川崎 3 氏の歓送迎会 第 8 巻第 4 号 1942( 昭和 17) 年 12 月 20 日発行口絵みほとけの舎利をささげて 表紙裏 セイロン語三帰依文 i 口絵雨期あけのビルマ iii 口絵パゴダ詣で iv 中島莞爾近代印度の宗教運動 1 武田豊四郎緬甸国と仏教 12 東元多郎訳全訳マッタクンダリ物語 18 金永鍵柬埔寨の寺子屋 26 ウィル ドュラント現代インドのカースト制度 30 松田玄一ヒンヅーマハサバ論 シュッディ運動を中心にして 39 無署名記事ニウズ 51 安居あけ祭 ( 火祭 ) と入寺式 / 仏印東京仏教総会より図書の寄贈 / タイ国の水害を見舞ふ / 本年度総会開く / 大東亜省と懇談会 / 本協会庶務部員久保田氏南方へ征く / 会長井上哲次郎米寿の祝 第 9 巻第 1 号 1943( 昭和 18) 年 2 月 27 日発行無署名記事巻頭言 i 口絵ビルマの布薩会 iii 口絵ビルマの長老と山形英応氏 iv 山形英応ビルマ仏教分派の歴史と現勢 1 岡本貫瑩印度支那に於けるクメール芸術 35 無署名記事ニウズ 53 林柏生氏よりの謝状 / 本協会よりビルマ全仏教徒にメツセーヂを送る / 泰国司法大臣タムロン閣下より謝状 / 釈尊正風会より泰仏像を寄贈 / 泰仏像奉安式 / 泰国へ日泰同盟締結記念メツセージ打電 / デイレーク泰国大使に観音像を贈る / 本会所属大東亜仏教研究所創立 / ウジツト泰国外相より謝電 / デイレーク泰国大使より謝状 / ワンワイ殿下より水害見舞の感謝状 / 柳沢健氏中心懇談会 / 当協会理事会を開く 53 東元多郎編輯後記 58 石田義則南方宗教関係欧文文献目録 ( 東洋文庫の部 ) 80 98

107 第 9 巻第 2 号 1943( 昭和 18) 年 4 月 15 日発行マハーワンサより i 口絵バンツコク市ワツトプラケオ ( 王室仏寺 ) に於ける日泰攻守同盟 1 周年記念式典 iii 口絵日泰文化批准交換 iv ウィル ドュラント ( 中島莞爾訳 ) ガンディ論 1 金永鍵最近に於けるアンコールの問題 26 石田義則印度支那諸民族の宗教 39 無署名記事ビブン首相夫人の仏教観 54 無署名記事内外だより 55 ウ トウイン氏へ書状 / 第 3 回南方仏陀祭日時決定 / 聖雄ガンヂー翁延命祈願祭 / セデス博士名誉会員となる / 越南仏典略編好評 / 越南大蔵経の企画 / 小牧近江氏に本会ハノイ代表員を委嘱 / シウエダゴンより謝電東元多郎編輯後記 56 第 9 巻第 3 号 1943( 昭和 18) 年 6 月 25 日発行法句経 i 口絵カンボヂアの水祭 iii 中島莞爾タイの仏教 1 東元多郎夜空の珱珞 10 石田義則印度支那諸民族の宗教 2 11 無署名記事仏暦 2482 年 ( 昭和 14 年 ) 度タイ国寺院 比丘 沙弥数統計 41 無署名記事内外たより 44 ピブーン首相より謝状 / タムロン司法大臣より謝状 / ワナラート大長老遷化に弔電 / 日タイ文化会館々長柳沢健氏歓迎会 / タムロン法相本会名誉会員となる / 釈仁度師 伊藤次郎左衛門氏維持会員となる / ミス タイの出家東元多郎編輯後記 46 第 9 巻第 4 号 安南特輯号 1943( 昭和 18) 年 8 月 20 日発行口絵仏陀祭につどふタイの老若男女 表紙裏 東元多郎巻頭言 i 口絵ビルマのニヤンエ祭 iii 口絵第 3 回南方仏陀祭式典 / 同 南方人の右繞礼 v 口絵ワナラート大長老追悼式 vi 村松嘉津安南年中行事 1 阮文寛 ( 金永鍵訳 ) 安南の民間信仰魂魄の救ひ 12 無署名記事内外だより 30 第 3 回南方仏陀祭 / ハノイ文化会館々長歓迎会 / タイ仏七箇所巡拝 / 立花俊道師の仏印行 / 日タイ文化会館に仏教館並に五重塔建立企画 / 鉄禅師歓迎会 99

108 第 9 巻第 5 号 1943( 昭和 18) 年 10 月 31 日発行鉄禅 井上巽軒 哲次郎 漢詩 表紙裏 口絵ウオツタマ比丘 i 口絵滞日中のある日のウオツタマ比丘 ii 山形英応ウオツタマ伝 1 天津慈雲スマトラ仏教の研究書 23 無署名記事内外だより 26 高松宮殿下に著書献上 / 欧文 日本仏教研究 第 5 巻 / ウイジツト泰国前外相本会名誉会員となる / 泰国仏教事情講演会 / 印度独立支援仏教徒懇談会 / ビルマの久保田 真鍋両氏 第 9 巻第 6 号 1943( 昭和 18) 年 12 月 31 日発行口絵ウオツタマ比丘の遺墨 / 泰国仏教協会名誉会員章 ( 井上会長へ贈られしもの ) 表紙裏 吉水十果創立満 10 年を迎へて i 口絵慈顔の前に学ぶ子たち ビルマにて iii 口絵国際仏教協会創立満 10 周年記念会 iv 石川海浄南方仏教聖典語としての巴利語 1 無署名記事緬甸だより 14 決戦体制に協力するビルマ僧侶 / ビルマの火祭り B. A. サレトール ( 松田玄一訳 ) 現代印度史上に於ける仏教存否の問題 15 阮文寛 ( 金永鍵訳 ) 魂魄考 12 無署名記事ベンガール州の一部に於ける結婚年齢出生及死亡率 27 無署名記事内外だより 28 中国仏教季刊 上海で創刊 / ニヤーナティローカ師健在 / 普慧大蔵経刊行会成立 / 上海仏教浄業教養院のことども / 公開講演会 / ビルマー国大使テー モン博士本会名誉会員となる / 理事会開催 / 国際仏教協会創立満 10 周年記念会 / 井上会長泰国仏教協会名誉会員に推挙さる / 第 1 回国際事情懇談会開催 第 10 巻第 1 号 タイ国仏教特輯 1944( 昭和 19) 年 2 月 29 日発行 国際仏教協会 大東亜に於ける国際仏教協会の連絡機関 表紙裏 吉水十果巻頭言 i 口絵仏寺詣で タイ国にて iii 口絵南伝大蔵経を泰国仏教協会へ贈呈 / 泰国大使歓迎会 ( 国際仏教協会主催 ) iv 平等通昭泰国仏教の現況 1 サティラ バンダランシ ( 中島莞爾訳 ) 祖国タイの仏教について 22 江尻英太郎タイの仏教習慣 28 無署名記事共栄圏だより 34 中華民国開封に成尋の記念碑建つ 仏教同願会とその動勢 円瑛師の北上 中国国教会成立 厦門大乗仏教会とその近況 / タイ国バンコツクの寺院爆撃さる / 蒙疆活仏来る / フイリツピンラウレル大統領より感謝状 / ビルマ国真鍋静心君の活躍 100

109 無署名記事本会報告 37 第 2 回国際事情懇談会開催 / 大東亜仏教研究所研究員安永弁哲氏応召 / 大東亜戦争完遂祈願法要 / 大東亜仏教研究所第 1 回研究発表会 / 新任ビルマ国テイ モン大使歓迎会 / 新任タイ国ウイヂツト大使歓迎会 / タイ国仏教協会タムロン会長に南伝大蔵経を贈呈 / タイ国ウイヂツト大使より年賀状拝受 / タイ国留学生サツテイラ氏来訪 / ドイツ人仏教研究家クナツク博士と共に青松寺 増上寺を参詣 / 大東亜仏教研究所第 2 次入所式 / 安南留学生のお正月 / 大東亜仏教研究所第 2 回研究発表会 / 日タイ文化会館 / 巴利経典読誦涅槃会 / 大東亜仏教研究所公開講演会 第 10 巻第 2 号 カムボヂア特輯号 1944( 昭和 19) 年 4 月 30 日発行諸天勧請文 ( セイロン日常経典より ) i 口絵クメール彫像 ii 杉本直治郎近世初頭における日本人のアンコール ワット詣で 1 岡本貫瑩古代クメール彫像に及ぼせる印度芸術の影響 19 石川海浄仏典に現はれたる布教々材に就いて 33 吉水十果時局と仏徒の使命 36 無署名記事わが建設譜 37 第 4 回南方仏陀祭 / 第 3 回国際事情懇談会 / ハンス ヴオルフアルト氏来訪 / グナラタナ釈興然師第 21 周忌法要 / 第 4 回大東亜仏教研究所公開講座 / 第 1 回大東亜仏教圏委員会 / 理事会 / 第 3 回大東亜仏教研究所研究発表会 / 大東亜仏教研究所新入研究員吉水十果編輯後記 40 無署名記事来れ! 聴け! 大東亜建設戦に協力せよ! 41 第 10 巻第 3 号 釈興然追悼号 1944( 昭和 19) 年 6 月 30 日発行口絵興然和上の像 / 興然和上のお墓 表紙裏 東元多郎訳三宝祈願文 1 釈仁度興然大和上をしのびて 2 東元多郎グナラタナ釈興然和上伝 3 滝田空華興然和上の思ひ出 14 吉水十果大東亜仏教政策論 15 金永鍵安南仏教遺蹟 25 無署名記事安南の観音信仰 42 無署名記事釈興然略年譜 43 無署名記事興然和上 21 回忌法要 44 無署名記事釈興然特輯号発行に就いて 44 無署名記事わが建設譜 45 第 2 回大東亜仏教圏委員会 / 第 5 回及び 6 回大東亜仏教研究所公開講座 / 国際仏教協会疎開 / 松田 関戸両氏応召 / 第 4 回国際事情懇談会 / 第 4 回南方仏陀祭 / 立花俊道先生御帰朝 / 第 4 回大東亜仏教研究所研究発表 / 国際仏教協会講演会 / 大東亜仏教研究所講座 / 大東亜仏教研究所研究発表会 / 大東亜仏教研究所研究題目 ( 追加 ) 101

110 口絵興然和上のむかへられたる南方のみほとけ / 興然和上 21 忌法要参列者 47 第 10 巻第 4 号 ビルマ特集号 1944( 昭和 19) 年 10 月 31 日発行木村日紀巻頭之辞 1 上田天瑞ビルマ仏教の特色 大東亜仏教研究所講演概要 1 川崎尊雄ビルマ戦線直後の対策 14 中島莞爾緬甸の大乗について 21 東元多郎訳全訳ウデーナ王物語 1 25 無署名記事わが建設譜 31 ビルマに於ける真鍋静心氏の活動 / 安南語に訳された ザ ヤング イースト の論文 / 南方仏陀祭 / 越南東京仏教会長の書信 / 第 3 回大東亜仏教圏委員会 / 安南仏教懇談会 / 友松円諦先生支那視察 / 松田玄一氏の便り / サッテイラ氏の巡礼 / 川崎尊雄氏研究員となる / 大東亜仏教研究所インド語講座 / 第 7 回大東亜仏教研究所公開講座 / 泰国大使誕辰に持戒僧釈仁度師供養口絵日比谷公会堂に於ける第 4 回南方仏陀祭の盛況 裏表紙 102

111 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-06(2017 年 3 月 31 日 ) 調査報告 韓国 比丘尼の社会活動 比丘尼組織の 活動に関する調査報告 藤能成 ( 龍谷大学文学部教授 ) 目次 1. 曹渓宗宗務院 自省と刷新結社推進本部 事務局長釈慧照比丘尼 2. 全国比丘尼会の会長選挙について 3. 実践仏教僧伽会事務局 ロータス ワールド 仏教未来社会研究所 (NPO) 4. 木洞青少年修練館釈敬倫比丘尼 ( 館長 ) 李ジェヨン チーム長 5. 全国比丘尼会法龍寺住持釈正現比丘尼 6. 全国比丘尼会寺刹料理教室講師善財比丘尼 7. 鍾路老人綜合福祉館 : 晶貫比丘尼 ( 館長 ) 李在京氏 8. 韓国比丘尼研究所所長釈本覚比丘尼 9. 津寛寺 ( 比丘尼の寺 名刹 ) 10. 憂曇鉢羅会の結成の経緯 キーワード 比丘尼組織社会活動福祉憂曇鉢羅会

112 1 調査者 : 藤能成 2 期間 :2016 年 2 月 22 日 ( 月 )~3 月 1 日 ( 火 ):9 日間 3 訪問地 : 大韓民国ソウル特別市 4 訪問施設: 曹渓宗務院 全国比丘尼会館 ( 寺刹料理教室 茶道教室 ) 実践仏教全国僧伽会 木洞青少年修練館 鍾路老人綜合福祉館 東国大学校 比丘尼研究所 津寛寺 法起寺 西願寺 今回 韓国の比丘尼の社会実践に関する第一回の調査を 首都 ソウルを中心に行った 本調査に関しては 東国大学校 姜文善教授 ( 比丘尼 全国比丘尼会ソウル支会長 ) の積極的な支援を受け 先進的に社会活動に従事する多くの比丘尼から直接話を聞くことができた また 法起寺住職 釈清宝師の配慮により 第一線で社会活動を進めて来た比丘尼寺院の名刹 津寛寺に 2 泊 3 日滞在し 住職及び総務と面談 信徒対象の仏教大学に来賓として参列し祝辞を述べる機会を与えられた 本調査で面談した主な比丘尼は 1 釈慧照 ( 全国比丘尼会 )2 釈敬侖 ( 木洞青少年修練館館長 )3 釈正現 ( 全国比丘尼会 法龍寺住持 )4 釈善財 ( 全国比丘尼会 寺院料理教室講師 )5 釈晶貫 ( 鐘路老人福祉館館長 )6 釈戒昊 ( 津寛寺住持 )7 釈本覚 ( 全国比丘尼研究所所長 ) 等であり それぞれの方が自身の活動について協力的に語って下さり 日本では知られていない韓国比丘尼の社会活動状況の一端を明らかにすることができた 韓国における仏教社会福祉施設の数は 1995 年には95 箇所であったのが 2006 年には 477 箇所へと急激に増加した これは 曹渓宗社会福祉財団の積極的な活動と関連しているものと見られる 477 箇所のうち 比丘と比丘尼が施設長になっている施設は 144 箇所 中でも比丘尼が施設長になっている施設は 91 箇所である ( 全恵松 [2010]) 調査報告目次 1 曹渓宗宗務院 自省と刷新結社推進本部 事務局長釈慧照比丘尼 2 全国比丘尼会の会長選挙について 3 実践仏教僧伽会事務局 ロータス ワールド 仏教未来社会研究所 (NPO) 4 木洞青少年修練館釈敬倫比丘尼 ( 館長 ) 李ジェヨン チーム長 5 全国比丘尼会法龍寺住持釈正現比丘尼 6 全国比丘尼会寺刹料理教室講師善財比丘尼 7 鍾路老人綜合福祉館: 晶貫比丘尼 ( 館長 ) 李在京氏 8 韓国比丘尼研究所所長釈本覚比丘尼 9 津寛寺( 比丘尼の寺 名刹 ) 10 憂曇鉢羅会の結成の経緯 104

113 調査報告 1 曹渓宗宗務院 自省と刷新結社推進本部 事務局長釈慧照比丘尼釈慧照 ( 自省と刷新結社推進本部 事務局長 全国比丘尼会事務局 実践仏教僧伽会会員 ) 現在 比丘尼の 3 分の 1が大学卒業者であり 高学歴化が進んでいる ただし 曹渓宗宗務院の重要なポストに比丘尼が就くのは珍しいことである 釈慧照比丘尼は 曹渓宗総務院付設機関である 自省と刷新結社推進本部 ( 結社とは仏教信仰を中心とした僧俗の結集体 ) の事務局長 ( 常任 ) を務めている 一方で 全国比丘尼会企画室長 実践仏教僧伽会事務長の責を担っている ナヌメチプ ( 分かち合いの家 元慰安婦の女性のための施設 ) の建立推進委員会執行委員長を歴任した 自省と刷新結社推進本部 は 教団内の人々の意識改革を目的とする部署である 労働問題 環境問題などの社会問題に対する対応を行う 現在 曹渓宗内の問題について 月に 1 回 100 名程度の委員が集まり 多様な意見を集め 教団運営について 話し合い (1 年間に 9 回 ) を行い それを教団運営に生かす会合を開いている 今年はソウルで 4 回 地方で 4 回の会合を予定している 多様な階層から人を集めて 議論を深めている 昨年と今年は議題が異なっており 今年は 総務院長の選挙をはじめ 幾つかの議題を決めて 集中的に審議する 今年の目標は ブッダのように生きよう という運動を提唱している この点については 比丘尼が比丘を先導することについて教団内から様々な批判を受けているという 昨年 11 月 国から捜査を受けた労働団体の団員が逃げ込んできたのを 24 日間かくまい 国と対立したことがあった このような教団内の問題 対社会的な問題への対応について 方向性を検討する部署である 2 全国比丘尼会の会長選挙について全国比丘尼会は 1968 年に 曹渓宗の比丘尼と比丘尼教団である宝門宗との共同で結成された憂曇鉢華会を その嚆矢とする 憂曇鉢華会の初代 第二代会長は 宝門宗の僧侶が就任した 1985 年 憂曇鉢華会を元に全国比丘尼会が再設立された 現在 曹渓宗の比丘尼を主として運営されている 全国比丘尼会は 比丘尼達自らが募金し 2003 年 全国比丘尼会館を建設し法龍寺とした ソウル特別市江南区スソ洞 744 番地にあり 土地 1240 坪 総建坪 2560 坪 地下 2 階 地上 3 階 正面に般若龍船を浮き彫りにした現代的建築である 全国比丘尼会は 2015 年 11 月 第 11 代会長選挙を行った この選挙は 曹渓宗において 開かれた比丘尼会 が積極的に推進した 2016 年 3 月 16 日 第 10 代会長を中心とする当時の執行部に対して 600 名余りが集結して不信任案を決議した この集まりは 当初 会館で開く予定であったが 執行部が許可せず 会館前の駐車場で開くことが許可された 開かれた比丘尼会 は この日 比丘尼会会長の不信任 運営委員長不認可 運営委 105

114 員会不認可 第 16 代比丘尼総会委員推薦無効 会則改定の件 非常対策委員会構成の件等 6 件の案件を通過させた その後 開かれた比丘尼会 は 会長候補としてユクムン師を推戴した 公約を掲げたパンフレットを配布して選挙運動を繰り広げ これらは前例のないものであった なおこの選挙には宝門宗は 10 月 選挙に対して疑義を唱え 選挙人名簿の提出を拒否し 参加しなかった しかし 曹渓宗の比丘尼を中心としたこの選挙によって 新しい会長としてユクムン比丘尼が選出された 曹渓宗の比丘尼の数は 6000 名を超えるが そのうち 1100 余名が集まって 900 対 200 の圧倒的な差を付けて 新しい会長が選出された この選挙以降 これまで沈滞していた比丘尼会の活動が以後 活性化していく地点に立つことができた これまでの比丘尼会の沿革については 記録がまとまっておらず 今後それをまとめるべき状況にある 2016 年 3 月 24 日の比丘尼会総会において 会則の改定を経て新しい活動を始める 3 実践仏教僧伽会事務局 ロータス ワールド 仏教未来社会研究所 (NPO) 1パク クムホ総括局長 キム ドンス研究員 94 年度に宗団改革が行われ 徐義玄総務院長の三選を阻止する上で 推進力となった 曹渓宗本山曹渓寺の近隣に位置するビルの一室を事務局としており 三つの団体の本部となっている 2 実践仏教全国僧伽会共同代表 ( 副会長に相当 ) 釈ジェボム比丘尼東国大学校で印度哲学を副専攻にしていた 80 年代に東国大学校で 発表者 ( 藤 ) と同じ時期に大学校で学んでいた 現在 福祉 教育 布教等の分野において 多くの比丘尼が活動している 実践仏教僧伽会とは 曹渓宗の比丘と比丘尼が実践的な社会参与を進めるために 1986 年に始まった集まりである 僧侶だけが集まって 教団に対し主張し また直接に参与を行ってきた 他宗教の社会的 NGO 団体があるが 当会は 仏教を代表する NGO 団体である 会員数は百数十名程度であり 必要な提言 主張をするということで 比丘 比丘尼の差別なく 活動を続けてきた 他の団体の場合は 比丘と共に比丘尼が代表になることは 困難なことであるが 当団体では 比丘と比丘尼が 平等に活動している 周辺からは 共産党系の団体ではないかという 批判も受けてきた 80 年 ~90 年代には 対政府的な発言を多く行ってきた 80 年代には 社会の民主化と曹渓宗内の比丘と比丘尼の民主化を要求してきた 当会の願いは 実践を通したこの世での浄土の具現である 新羅の元暁が言うところのこの世を浄土にするという願いを持っている 国家の間違った法律 南北分断国家保安法の撤廃を要求した 1994 年に 宗団の民主化を中心的に要求した 講院 東国大 中央僧伽大の学生僧侶が 106

115 中心となり 民主化を要求した 実践僧伽会は 1994 年の教団の民主化が進められてからは ロータス ワールドを設立し 以後はカンボジア ラオス ミヤンマーに学校を設立し 衛生施設の支援をも行っている 約 10 年前の時点でも 比丘尼が声を上げて主張するということはなかった だから 宗団でも自分達を相手にしなかった 自分達を デモ する人と白眼視されていた しかし 現在は宗務院の保守的な役員 ( 部長 ) 達も 私の主張や考えが宗団にとって必要だと 認めてくれていると聞いた 分野毎に そのような必要な人材があるということを認める時勢となったと言えよう 4 木洞青少年修練館釈敬倫比丘尼 ( 館長 ) 李ジェヨン チーム長青少年修練館は 1988 年ソウル市と曹渓宗とで委託契約を交わし 全国比丘尼会で運営するようになった 国家の女性家族部所属 青少年の利用が 60% 以上あることが委託の条件となっている そして 3 年毎に再契約を行うが その際に運営を希望する団体が多く その競争に勝って選ばれなければならない 以前は 比丘尼が 4 名いたことがあったが 現在は館長 1 人である 資格が必要なため 人材が求めにくい 僧侶は 大学へ行っても仏教学 禅学を学ぶことが多い また社会福祉を専攻する僧侶は多いが 青少年指導者資格を得る者は少なく 館長の後継者がなかなか見つからないため 館長を長くやっている 僧服を着た僧侶が館長をしていること自体が 利用者の仏教に対する意識を高める役割がある 職員は 館長に対して合掌して挨拶する習慣ができている 全国比丘尼会から館長を送っている 資格を持った人でないと館長になれないので 人材が不足している 福祉分野においては 比丘尼が運営する施設が多い 青少年教育にも関心を持ってほしい ( 青少年教育学科 ) 現在のところ 資格を持った比丘尼は見つかっていない 仏教的な講座としては 経典講座 またテンプルステイ プログラムを開講している 劇場もある ソウル市から予算の 10% の支援を受けているが 自主収益事業として多くの利用者を迎えられるように 各プログラムに工夫を凝らしている 外部講師派遣会社にも講師派遣を依頼している 市民のための公演 ダンス 放送ダンス等 子ども達が自身の可能性を見つけていく 有名な演芸者も出た ( チン ウン氏 ) 自負心もある 自主的な奉仕活動も行っている ソウル市の館長が集まって 日本の修練館に行ったが あまり子どもがいなかった 老人ばかりいた ( 阿蘇の少年の家 福岡青少年会館 ) 青少年の利用料は無料である カウンセリング施設 ( ソウル市の施設 ) が併設されている 5 全国比丘尼会法龍寺住持釈正現比丘尼 正現比丘尼 ( 住職 ): 勲章 教導所の死刑囚 無期囚を対象に法会を開いている 107

116 40 年間 行った 仏の言葉 心を伝えている ( 全国比丘尼会では 寺刹料理 茶道 仏画 等を教える教室を開いている ) 1970 年 18 歳で出家して 46 年目になる 大邱 八公山の内院庵という寺に入ったが ある時 目に油が入って 見えなくなった その日の晩 夢に観世音菩薩が現れて 発願し目が治った 私がもし 人々のために奉仕できるならば命を与えてください そうでなければ いのちを奪ってください と 30 歳の時 禅房に通いながら修行を続けていると 観世音菩薩が現れて あなたは肝炎のために 2カ月と生きることができない と言われ そこの禅房を辞しておりた そこで 観世音菩薩を唱えながら死を迎えようと していたら 18 歳の時に現れた観世音菩薩が現れて いのちをいただいた そうやって 与えられた人生の時を 教導所での布教という奉仕活動に専念してきた 以前は 毎週 教導所を訪問していた 今は ひと月に一回程度であるが 釈迦誕辰日には 収監された人々のために お祝の餅の差し入れをして 喜ばれている 僧侶の言葉には 仏様の慈悲が込められており 皆さんが召し上がる餅は 仏さまがくださったものと思って 感謝していただいてください と伝えている また 今日は警察官への布教も行っている 餅を 100 個持って行った 警察官は人々に奉仕する立場にあるので キリスト教や天主教は神様に 仏教徒は仏さまに今日一日 良いことができますように と祈祷をして一日を始めてください とお話ししている 20 歳の頃から警察署での布教を行っており もう 40 年以上になる そのことが 仏さまの御恩だと思い そのことを感謝している 全国比丘尼会について 全国比丘尼会は 1968 年に 曹渓宗の比丘尼と比丘尼教団である宝門宗との共同で結成された憂曇鉢華会を その嚆矢とする 憂曇鉢華会の初代 第二代会長は 宝門宗の僧侶が就任した 1985 年 憂曇鉢華会を元に全国比丘尼会が再設立された 現在 曹渓宗の比丘尼を主として運営されている 全国比丘尼会は 比丘尼達自らが募金し 2003 年 全国比丘尼会館を建設し法龍寺とした ソウル特別市江南区スソ洞 744 番地にあり 土地 1240 坪 総建坪 2560 坪 地下 2 階 地上 3 階 正面に般若龍船を浮き彫りにした現代的建築である 比丘尼は 現在 6700 名いる ここが全国比丘尼会の事務所である ここは 大韓仏教曹渓宗の所属であり 比丘尼の教育などを行う機関として位置づけられる 比丘尼のほかに沙弥尼もいる 比丘尼がしなければならない仕事は 女性性を生かして 病院布教 ( 病院内の寺院施設の管理 ) 軍人布教 警察布教等も行っている 女性性を生かした活動が盛んである 比丘と比丘尼の関係 :25 教区があるが 比丘尼はそれぞれの本寺の住持になることができない 宗会議員の議席は 比丘が 71 席 比丘が 10 席となっている 今後は もっと比丘尼の地位が高まらなければならない 11 月の選挙で会長となった比丘尼が先進的な 108

117 考えを持っている 開かれた比丘尼会 を組織して 今回 新しい会長を選んだ 曹渓宗監察局の比丘尼の初代の監察となった 今まで 比丘尼が問題を起こした時は 比丘が調べていたが 比丘尼が監察を行い 比丘尼自身が警察 検察の仕事をすることができるようになった 6 全国比丘尼会寺刹料理教室講師善財比丘尼 善財比丘尼 ( 寺刹料理教室の講師 ) 寺刹料理講師 大学で社会福祉学を学び 大学で寺刹料理を教える客員教授 全国の比丘尼に対して 1カ月 1 回の集中講義に比丘尼達が全国から参加する 全羅道では ごはんにお茶を掛けて食べる 伝統方式で作る醤油 味噌の味を伝える 日本でも多くの人が来た イタリアのスロー フード会議に参加した 寺刹料理は 心を安らかにしてくれる 鉢于供養 食べ物を通して 人々が持っている自我を回復させる 社会福祉と寺刹料理の関係とは? 以前 子ども達の心性訓練を行った 問題のある子どもは 通常の家庭で食べる料理と違う食べ物を食べていることが分かった 子ども達をお寺に連れて行って 3 泊 4 日 4 泊 5 日と 食べさせる 問題のある子どもを 模範的な子どもに変わらせることができた 100 名から 300 名の子ども達が来る ファソンのシヌンサ ( 寺 ) で行っている 80 年に出家し 80 年代初めにシヌンサに 青少年修練館を作った その学校が模範学校になった そのために 道の方から お寺に学生を送ってくるようになった 子ども達の洗濯物を全部洗ってあげるため 余りにきつくて倒れた 歩くのも難しくなった 1 年もの間 休んだ 仏さまの声として 食べるものは全て薬である と 聞いた 食堂で 自分の食習慣を点検して 元気になった 自分のような患者や非行青少年を作ってはいけない 食べ物を薬と考える 幼稚園 小学校の子ども達を対象にして 料理を教える お寺では肉類を使わない ネギ ニンニク 玉ねぎ等は使わない その季節にできない野菜を使わず 自然の中の季節の材料を使う 食べ物が薬だという 加工肉の食品は使わない 醤油 みそ 唐辛子味噌も伝統的な製造法 ( できれば自分で作ったもの ) でできたものを使って 料理をする アトピー性皮膚炎 自閉症等も良くなる 韓国でも 自家製の味噌や醤油を作らなくなってきたので 子ども達にも自分で作る方法を教えている 学校は学校で 家は家で醤油 味噌を作る運動を進めている 寺刹料理は 一般の人達にも教えている 食べ物を通して 韓国は環境汚染も進んでいるので 自然のいのちは私と同じいのちだから 土も水も空気も私と異なることがないので 良い環境で作られた材料がよい 鶏とも牛とも私は不二であり 一つである 食べる鶏と私は異ならない 鶏も成長剤 抗生剤等を食べさせて育てるので 食べるものと私は異ならないということを教えて 材料を選ぶことが大切である 生命力のある材料を使う この食べ物はどこから来たのか? を考える どこで どのように育てたかを知らないと 109

118 いけない 農業をする人達は よい土地 よい水 よい空気の中で育てなければならない 多くの因縁が集まって その材料ができていること 大自然のいのちに対する感謝の心を持つ 寺刹料理は 心が健康になる 安らかになる食べ物である 韓国では禪食であり修行料理である 一般の人々も 寺刹料理を通じて心の平安 環境の調和 自然の命に対する感謝 を伝えたい 2004 年度に 仏誕生日の世界会議があり タイで仏教が世界の平和のために何ができるか についてのフォーラムがあった そこに自分の食べ物と環境に関する論文を送ったところ 発表に来るように連絡があった 外国人も 宗教のある人もない人も一緒に 食べ物を通じて 世界の平和 非行青少年の更生 健康の増進等 皆が同じ経験ができる このような内容の本や論文を出している 薬となる寺刹料理 物語から見る寺刹料理 等の著書がある その中に 胎教のためにどのような料理を食べるべきか 7 鍾路老人綜合福祉館: 晶貫比丘尼 ( 館長 ) 李在京氏晶貫師が 13 年間 館長をしている 2007 年に設立されて以来 ずっと館長を務めている 鍾路老人綜合福祉館は 曹渓宗より 1 年に 1 億 5000 万ウォンの支援を受けている 当綜合福祉館 50 パーセントは 70 歳代の人々が利用している 常徳比丘尼の弥陀寺は 総合福祉館であり 老人も青少年も また外国からきた女性も受け入れている 国家により 設立され大韓仏教曹渓宗社会福祉財団に委託運営したものである であるから 仏教的な活動をすることはできないが 仏教的な思想により運営をしている 例えば 食事を残さない等 社会に寄与し 奉仕することができる 新老人 を育てる施設を目指している 余暇の時間を楽しめるように 老人達が若い人達に 味噌 醤油の作り方を教えている 分館もある 職員と老人の代表と アイデアを出して 実施してみて 事後評価を行い 事業を展開している 日本にデイ ケアセンターはあるが 余暇施設はない 老人福祉館は 日本にない発想である また ここから比較的近い曹渓寺の境内で 2000~3000 人の老人が集まり父母の日の行事を行い 喜ばれている 比丘尼としても社会福祉士の 1 級資格を持っていないといけないのだが 比丘がする福祉館もあるが 比丘尼が運営する福祉館が多い 老人福祉法による 老人のための余暇施設であり また 在宅老人の支援も行っている 日本からも 機関見学のためによく来られる また 外国から老人福祉館を見学に来る時は この福祉館が選ばれている 中国のヨンテ市からの要請を受けて そこに老人余暇施設を輸出する ヨンテ市とは 3つの機関が協力しているが 5 月に来られたら こちらから人を派遣して 支援する計画である 中国の共産団員のための施設は 大変よく整っている 110

119 8 韓国比丘尼研究所所長釈本覚比丘尼 ( 中央僧伽大学教授 1999 年に発足 ) 曹渓宗の寺院数は 2990 ケ寺があり 200ケ寺が軍部隊の所属 729 ケ寺が比丘尼の寺院として登録されている 60 師団の寺を運営しているが 比丘尼が運営する寺院も多い 女性僧侶の宗派である宝門宗の寺院も含めると 800 ケ寺になる 軍法師と比丘尼 軍法師についてはキリスト教 天主教 と共に仏教の僧侶もいる 軍の法師として 比丘は沢山努めている 一昨年より 正式軍人の身分として法師の職に就いた人が 2 人いる 軍人としての比丘尼である ( 頭を丸めている ) このことについては 反対が非常に多かったが 軍法師として認められた 軍部隊については 軍の外にあって 軍隊の寺院を運営するケースも非常に多い 曹渓宗からの要請もあった 軍本部でもその要請を受けて実現した 比丘尼は私服が 僧服になる 修道女の軍法師はまだ生まれていない 曹渓宗の軍法師は 男女共に独身だが 他宗の軍法師は結婚できる 東国大学校仏教学科を卒業した二人の比丘尼 ミョンポプ比丘尼 キュンジェ比丘尼 (2015 年 ) である 軍からもよい評価を受けなければならないし 一般軍人と同じように訓練を受けなければならなかった 比丘尼の社会活動としては 福祉館 子どもの家 老人のケア等の分野で活躍している 玉水洞の福祉館の館長 常徳スニム ( 比丘尼 ) が 全体の比丘尼福祉館の組織の会長であるので 常徳スニムがそのネットワークの浄水庵の常徳スニムが代表である この会は 昨年 発足した ( 常徳スニムを訪ねることによって 韓国の比丘尼の社会活動の多くを知ることができるだろう ) 比丘尼の地位について : 宗正スニム 総務院長 本寺の住持については 比丘尼が就任できないが 宗務院の部長 (6 名 ) も務めることができる 研究所の所長として スギョン比丘尼が就任している 宗憲宗法においてそれまでは比丘尼の法階は 律蔵 ( 四分律 ) に準ずると定められていた 八敬法があって 比丘尼は比丘を事において 敬わねばならない と定められていたが 法階制度 10 年ぐらい前に改定した 本覚師とフンユン師とで その規定を改定した 比丘の法階は 比丘に準ずる と改定した その後 法蔵師が総務院長を務めた時に タギョン比丘尼に 文化部長を依頼したことが その始まりだった 比丘尼の寺院と日曜法座 比丘尼の寺院で行われる日曜法会がとても活発である 大人 青少年 子ども 青年の年齢別に法座が勤められていて 比丘尼寺院の活動が活発である そのような法会を通して 信徒の人々の家庭の状況が分かり 比丘尼がお見舞いに行ったり 結婚や葬儀への出席 家庭の様々なできごとに関与したりするようになっている 仏教信者の家庭において 結婚する前に夫婦が訪ねてきたら 向後の心の持ち方や 大切な心構え等を伝えている 111

120 比丘尼の多くの寺で そのようなお寺も多い 病院法堂も非常に多く 病院法堂を運営しているところが多い 国立大学へは仏教が入るのが比較的容易である すでにキリスト教が入って活動しているから しかし 私立のキリスト教系の病院には 仏教が入っていくのが難しい ( 曹渓宗の布教院に 病院に設立された寺院の名簿がある ) 比丘尼の修行記録について 1999 年に 毎日新聞において近世 100 年の女性宗教指導者名鑑という特集を組んだ 新女性の活動を紹介した そのことがきっかけとなって 全国を回って 800 名の比丘尼についてインタビューして資料を集めることにした 学生達と共に調査を行い 500 名と 300 名は修行録をまとめた 修行探録 (3 巻 ) 朝鮮王朝については 女性を賤視し さらに比丘尼をひどく差別した歴史がある 天主教 キリスト教では 女性指導者たちは 海外に留学に出た歴史がある これに対し 近世の比丘尼は 朝鮮末期に壊れて倒れようとする寺院を支え 師匠を支える努力をしてきた これらを 表面だけで評価することができない 彼らの犠牲があって 現在の韓国の仏教がある 朝鮮時代には 地位の高い婦人が寺に参拝した後は その人を連れていった臣下を鞭打った 今後は 僧伽学研究所の一つのパートとして 比丘尼研究所を残して行きたいと願っている もっと多くの比丘尼の修行を記録すること 今後 新聞資料を 5 年毎に纏めること 現在の比丘尼の活動の記録を残していかなければならない 各本寺において行うテンプル ステイも 最近は 比丘の寺へ行って 比丘尼が委託を受けて 行うことが増えている 9 津寛寺( 比丘尼の寺 名刹 ) 津寛寺は 高麗時代顕宗が 1011 年 津寛大師のために建てた古刹であるが 朝鮮戦争の頃に爆撃を受けて 廃墟となった また 新羅時代に元暁大師が創建したとする説もある 現在の 戒昊 ( ケホ ) 住持 ( 比丘尼 ) は 韓国の寺刹料理について詳しい方である ( 本をいただいた )1963 年に 恩師の津寛師が津寛寺に入寺して 54 年目に当たる 修行や布教よりも 祈祷を熱心に行った 1000 日祈祷 ( 大雄殿 冥府伝 羅漢殿 ) を絶えることなく続けて 1 日にご飯の時間を除いて一回に 3~4 時間 18 時間の祈祷を行った そればかりでなく 生活が困難な人々を助けることに努力した 食事の提供等も含めて 45 年間 住職を務め 宗会議員も 3 回果たした その間 津寛寺の建物をいくつも重修した 2006 年 79 歳の時に住職を退任し 戒昊師が住職を継承した 現在 出家生活は 38 年目になる 一般の人達がよく訪ねてくるお寺である また朝鮮時代は 水陸斎を行う 水陸道場であった 無形文化財 (126 号 ) に指定された 朝鮮時代には ハングル読書堂があった 寺刹料理 健康食を 一般の人達に提供し 112

121 ている 身体と心は一体である 食事は 悟りを得るための修行食である 食薬道源である 仏光老人福祉館 ( デイ ケアセンターを含む ソウル市恩平区立の委託運営を行っている ) 津寛寺付属コキリ幼稚園 地域児童センターを運営している テンプル ステイは 韓国でも もっとも高い評価を得ている 多くの外国の有名な人達が訪問して 高い評価を得ている ( 外国人 1600 名が利用 ) 昨年 韓国人 1 万名が利用し 今年は 2 万名の利用を予想している このようなテンプル ステイは 住持が直接運営を進めてきた 津寛寺が 比丘尼の寺でももっとも先進的な寺院であると言える 10 憂曇鉢羅会の結成の経緯曹渓宗の比丘尼は 現在 6 千余名と言われるが 韓国で最初の比丘尼組織は 1968 年に結成された大韓仏教比丘尼憂曇鉢羅会である 当初 宝門宗 ( 比丘尼教団 ) と曹渓宗の比丘尼により発足した この会の発足により 修行 教育 布教等の分野において 比丘尼達は組織的かつ持続的な活動を行うことができるようになった 当会は その後 全国比丘尼会に改称した 1980 年に土地一坪購入運動が始まり その 22 年後である 2003 年に 地下 2 階地上 3 階 延べ面積 2500 坪の建物が完成した 比丘尼においては 1960 年代には 多くの比丘尼の人材が輩出され 1950 年半ばより始まった浄化運動 ( 妻帯僧と独身僧との分離運動 ) に積極的に参加し 高い評価を受けることになった 断絶していた比丘尼の法統を復活させるのにもっとも貢献した人は 満空師であった またボップフィ師は 近代の禅脈を中興した人とされた また マンソン師は 梵魚寺に最初の比丘尼禅房を開設した また韓国比丘尼の最大の門衆を形成した本空師 また新女性運動を主導した後に仏門に帰依したイルヨプ師等は 皆 満空師から印可を受けた人々である ウドンバラ会の創立発起人として参加した曹トクムン師は 開運寺を直接 浄化して大願庵を比丘尼の道場とした 浄化運動の当時 比丘尼は数的にも比丘をかなり上回っており 積極的に行動し 妻帯僧側と闘ったが 主導的な立場に立つことはできなかった 当時の比丘尼は 20 歳前後と若かった 浄化に積極的にかかわった結果 1954 年 11 月 3 日 臨時宗会に比丘尼が 10 名参加することになった 浄化を終えた比丘尼達は 全国の寺院に散らばり 特に後進の教育に関心を傾けた 1956 年には東鶴寺講院 1958 年には雲門寺僧伽大学 チョンアム寺僧伽大学が開かれた このような活動が 1968 年のウドンバラ会の創立に引き継がれることになった この会の準備は 1967 年 11 月から始まり 翌年 2 月に発足したのである 仏教の現代化のための人材育成と 時代が要求する布教の近代化を目的として 全国に散在する 5000 余の比丘尼が団結した この会は これまで希薄であった歴史意識から来る安逸な祭祀宗教を脱して 生活の道場である家庭から仏法を起こしてゆこう 113

122 との発願により 2 月 24 日午前 11 時に 普門寺において 100 余名の比丘尼が集まり 大韓仏教比丘尼ウダンバラ会が発足した ( 略 ) 青龍寺に事務所を置き 事業を推進している 今後は 全国の比丘尼の寺院の実態を把握し 画一的な教育課程 布教内容の統一化を進める計画である また 叢林の設置と全国比丘尼の実態調査 また中央修道院の設立等を構想している ( 仏教新聞の記事 239 号 1968 年 3 月 17 日 ) ウダンバラ会の創立に功のあった比丘尼としては 全国比丘尼会の会長を歴任したカンウ師がある その伝言によると ある時 正覚寺に講義に来た金東華博士から勧められたとのことである 比丘尼が組織を作り 勉強すればより大きな事業を成すことができるし 後には叢林を作ってはどうか? との提案をされたとのことである その意見を 現会長であるミョンソン比丘尼と相談し 二人が中心となって 津寛寺の津寛師 僧伽寺のトウォン師 石仏寺のミョンウォン師 タプコル普門寺のセドゥン師らと発起人大会を開くようになった カンウ師は 仏の法に従って生きよ に次のように回顧している 金博士は世界でも比丘尼がこれほど多くいて 勉強もよくして きちんと役割を果たしている国はほとんどない しかし この程度の水準で満足してはいけない もっと多くの比丘尼の力を結集して 意味のあることをしてほしい 比丘尼達は 同じ目的を持って出家した仏の娘である しっかりした会を結成し 切磋琢磨すれば どんなことでもできるだろう 比丘尼叢林を作り 専門的な教育を行い また比丘尼の適性を活かして養老院 ( 仏教式の名前を付ける ) や孤児院 ( 観音院等の名称 ) のような施設を運営してはどうか? この言葉を聞いて 40 歳を過ぎた頃のカンウ師は 是非 やらなければと思ったという そして ある日 ミョンソン師に相談したところ 大賛成だったとのこと 1968 年 2 月 24 日 宝門寺で創立総会が開かれ 比丘尼 50~60 名が参加した 初代会長には 普門寺住職ウンヨン師が選出された セドゥン師が総務を受け持った カンウ師は 総会の司会をし 組織部長を受け持った この場で ウダンバラ会の活動方針が決められた 曹渓宗団の 3 大事業に合わせて 教育機関の設立 布教の活性化と組織の拡大 そしてこれらを包括する叢林を設置することになった そして その後 1 年余 全国を回って 入会願書を集めて回った カンウ師の開会の辞 ウダンバラ会は 時代が要求する聖職者の使命を果たすために作りました 比丘尼達も山中修行から 大衆布教へと積極的に歩み出して 家庭と社会を明るくし お世話する公益の事業を行い 祖国の前途 現代を仏教化しよう と まず 全国の比丘尼達を一つに集結し 力を合わせ 比丘尼会館を建て 比丘尼叢林を作り 教育 布教 社会福祉事業も行おうということだ ( カンウ師 仏さまの法の通りに生きよ ) より そして 10 年の計画で ソウル近郊に 5 万坪の土地を確保し 比丘尼のための各種施設を設立しようという考えであり 細部に亘る計画を含んでいた 創立の 1 年後である 1969 年 4 月 16 日に開催された第 2 次定期総会では 会員が 600 名 114

123 となり 全南 仁川を除く 全国において組織ができたと報告した そしてこの年の 9 月には 西大門区カルヒョン洞に 坪の土地が確保された 守国寺住職のフェギョン師がこの土地を喜捨したのである また 組織化も進み 全国 12 寺に支部を置いた このように活発に活動していたが 1970 年代に入ると叢林の設置は霧散し 活動も低調になった 西大門区の土地が使えなくなったのは グリーンベルト政策のためであった このことがあって 役員達の士気が落ちて 70 年代半ばから活動は沈滞したのである 比丘尼だけの叢林は 以前から動きがあった 1950 年代の浄化の当時 東華寺を比丘尼叢林にしようとして 1 年間 比丘尼達が住んで 準備を進めた また 1967 年にも 修徳寺で 議論された この年の 4 月 16 日 満空師の誕生 97 周年の法要に集った比丘尼達が 比丘尼専門の修行道場を設立しようと決意した 当時は 修徳寺は 比丘尼の本山というような位置にあった しかし 比丘たちはこのことに拒否感をしめした 特に 叢林の房長を比丘尼が努めることについて つよい拒否感があった このような中 1980 年 セドゥン師の恩師の法要に集まった比丘尼達が また意気投合し 3 代会長としてチミョン師を選出し 会の名称を全国比丘尼会に変更した 続いて 白北区ソンラ庵に比丘尼大学を設置し 活動を再開した この大学は しばらくして中央僧伽大学に編入された 1985 年 9 月 5 日 オンヤンのソクナム寺で行われた比丘尼戒特講に参加した比丘たちにより士気が上がり すぐにソウル サムソン布教院で総会を開催し 会長にヘチュン師を選出し 会の名前を 大韓仏教曹渓宗全国比丘尼会 と改称した 1988 年 ソウル市からヤンチョン区木洞の木洞青少年会館の委託を受け 1995 年には ヤンチョン区民体育センターの委託を受け 本格的な福祉事業を始めた 1990 年に曹渓寺内に事務室を移し 1998 年に江南区スソ洞に比丘尼会館の土地を確保し 2003 年 8 月 19 日 7000 余名の比丘尼の総本山である全国比丘尼会館法龍寺を開き 今日に至る ( 韓国 仏教新聞 2010 年 6 月 26 日 7 月 3 日の記事より ) 参考文献全恵松 韓国における比丘尼の社会参与 宗教と社会 第 16 号 2010 年 6 月 姜文善 近代期韓日比丘尼の存在様相に対する試論的考察 宗制の変遷を中心として 東洋大学国際哲学第 4 号張愛順 韓国仏教における比丘尼の役割について 印度学仏教学研究 55-2 平成 19 年 陳永裕 韓国比丘尼の歴史性とその役割 東アジア仏教研究 (6) 年 5 月 115

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125 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-07(2017 年 3 月 31 日 ) 調査報告 初期仏教英書伝道資料の解題 那須英勝 ( 龍谷大学文学部教授 ) 目次 A SHORT HISTORY OF THE TWELVE JAPANESE BUDDHIST SECT S 南條文雄著訳 ( 英文 ) TRUE SECT OF BUDDHISTS( 英文真宗教旨和文付 ) ( 英文 和文 ) キーワード 仏教英書伝道仏教十二宗綱要英文真宗教旨 南條文雄小栗栖香頂ゼームス ツループ

126 現在 龍谷大学アジア仏教文化センター (BARC) のグループ 1( 通時的研究班 ) ユニット B 近代日本仏教と国際社会 と グループ 2( 共時的研究班 ) ユニット B 多文化共生社会における日本仏教の課題と展望 では 両グループの共同研究として 明治中期以降に 仏教 真宗教義を英語で紹介しようとする動きの中で 出版されていった仏教英書伝道資料の翻刻出版するプロジェクトが進められている 本ワーキングペーパーは 現在 中西直樹 嵩満也 那須英勝編 仏教英書伝道のあけぼの ( 仮称 ) として BARC 研究叢書として 2017 年度に出版が予定されているプロジェクトの成果の一部の報告である 以下は 1886 年に出版された A SHORT HISTORY OF THE TWELVE JAPANESE BUDDHIST SECTS 南條文雄著訳 ( 英文 ) と 1888 年に出版された TRUE SECT OF BUDDHISTS( 英文真宗教旨和文付 ) ( 英文 和文 ) の 2 編の解題として 本プロジェクトにおいて那須が担当している部分である なお このワーキングペーパー執筆にあたり 中西直樹先生には両書の資料と書誌情報などのご提供を受けましたことを拝謝いたします 文献解題 : A SHORT HISTORY OF THE TWELVE JAPANESE BUDDHIST SECTS 南條文雄著訳 ( 英文 ) 和文タイトル : 仏教十二宗綱要発兌元 : 仏教書英訳出版舎 原著編集 : 小栗栖香頂 1886 年 12 月出版 本書の日本語版も同時刊行されており 国立国会図書館近代ライブラリーでも全文を閲覧すること ができる その奥付には次のような内容が記されている 仏教十二宗綱要 編集人 : 小栗栖香頂出版人 : 佐野正道発兌 : 仏教書英訳出版舎 1886 年 11 月出版 本書の出版に至る状況については イントロダクションの前に付された 南條文雄の英文の 序文 (Preface) に比較的詳しく説明されている まず南條は本書の英語版の編纂を引き受けたものの 翻訳すべき原稿が全て揃わない状況で作業を始めることになり さらに原稿そのものも担当者によって執筆のスタイルが統一されておらず しかもそれらを 他の仕事をこなしながら短期間で英訳しなければならなかったという困難な状況があったことを正直に伝えている また 実際に提出された原稿は 必ずしも英訳することを前提に書かれていなかったようで それを英語にする際に あまりも複雑な記述が用いられているものについてはその部分を抄訳し 場合によっては一部を省略しなければならなかったことも記している なお 本書のイントロダクションから以下の部分の和文原稿の著者は 英文本文には記されていないが 南條の 序文 によると イントロダクション 5 章 ( 三論宗 ) 6 章 ( 華厳宗 ) 8 章 ( 真言宗 ) 118

127 の原稿は真宗の小栗栖香頂が執筆し 1 章 ( 倶舎宗 ) も真宗の江村秀山が 2 章 ( 成実宗 ) 3 章 ( 律宗 ) は真言宗の上田照遍 4 章 ( 法相宗 ) は同じく真言宗の高志大了 7 章 ( 天台宗 ) は天台宗の上邨教観がそれぞれ執筆したとある 9 章以下のいわゆる 八宗 以外についての原稿は 福田行誡 (9 章 : 浄土宗 ) 辻顕高 (10 章 : 禅宗 ) 赤松連城 (11 章 : 真宗 ) 小林是純 (12 章 : 日蓮宗 ) と 各宗の学匠による執筆であることを伝えている また これは本書の日本語版と比較していただければわかることであるが 1 章 ( 倶舎宗 ) の原稿は 真言宗の佐伯旭雅に 5 章 ( 三論宗 ) は真言宗の上野相憲 6 章 ( 華厳宗 ) は時宗の卍山 ( かずやま ) 実弁にそれぞれ執筆が依頼されていたようであるが 原稿が届くのが英語版の出版に間に合わず 止むを得ず別の執筆者のものを使用したことも記されている なおこのうち 卍山以外の原稿は 日本語版の出版には間に合ったようで それぞれの著者名で出版されている サンスクリット語の文献学者である南條は 本書の原稿の翻訳にあたり 漢語で記述された仏教思想の独特の表現を英語にするのにかなりの苦労をしたようであり 序文 末尾に 本書の英訳については W.S. ビゲロー (William Sturgis Bigelow) と B.H. チェンバレン (Basil Hall Chamberlain) の助力を得たことを記していることも興味深い TRUE SECT OF BUDDHISTS( 英文真宗教旨和文付 ) ( 英文 和文 ) 英国領事ゼームス ツループ君著南條文雄 赤松連城同校 発行者 : 船井政太郎 1888 年 5 月出版 本書は その表紙に記されているように 英国領事として神戸に赴任していたゼームス ツループ氏が 小栗栖香頂氏が中国布教推進のために漢文で執筆した 真宗教旨 を英文で紹介するために 1885 年秋に東京で開催された 日本アジア協会 (The Asiatic Society of Japan) の総会 (General Meeting) で発表した報告論文に 漢文で出版された 真宗教旨 の和文 ( 抄出訳 ) を付して 書籍として出版されたものである 本書の和訳タイトルは 英文真宗教旨 とあり また内容の大部分が漢文原文の翻訳ではあるが 正確には漢文 真宗教旨 抄出訳というべき性格のものである 漢文版は 国立国会図書館近代ライブラリーで全文を閲覧することができる その表紙 奥付には次のような内容が記されている 真宗教旨 真宗東派本願寺教育課蔵版編集者 : 小栗栖香頂校閲兼出版人 : 石川舜台 1976 年 12 月出版 本書の英文の初出であるゼームス ツループ氏の報告論文は 1885 年 10 月 221 日に東京築地の日 本アジア協会の図書室で開催された総会で Tenet of the Shinshu, or True Sect of Buddhist として発表 された報告論文読であり 1886 年に 同協会の年次報告書である Transactions of Asisatic Society of 119

128 Japan, vol XLV (1-17 頁 ) に On the Tenet of the Shinshu, or True Sect of Buddhist として出版されたのが初出である 先にも述べた通り このツループ氏の報告論文は もともと漢文の 真宗教旨 に基づいて書かれたものであるので 著者は本書に付した 英文注 36(22 頁 ) において 真宗教旨 が中国での布教のために著されたものであることに注意喚起をしているが 本書に付された和文では その末尾に 本書は元来支那布教の為めに著述せしものなれば他邦人に在ては或は適合せざるの条項あるを 免れず故今爰に原文中より抜粋抄出して其の要領を記しぬ読者幸に其意を了せよ ( 和文 頁 ) と記されているように この和文は 漢文の原著とは異なる部分もあり その部分については英文の記述と内容が合致しないところがあることにも注意されたい また原著の漢文が東本願寺の布教のかかれに書かれたこともあってか 原文の第二章には東本願寺の厳如 現如法主についての記述があり ツループ氏の日本アジア協会における報告論文にも記されているが 本書では この部分は英文 和文ともに削除されている 最後に 本書には 真宗教旨 の本文の訳だけでは理解しにくいで真宗教義に関する用語や概念について かなり詳しい著者の注が付されている この注記については 注 2(5 頁 ) の末尾に 関連事項についての日本の専門家 から得た情報に基づいて記述したという断り書きが付されており 原文の読解に際しての著者の丁寧な作業の姿勢が現れているとともに 当時 英語圏ではほとんど知られていなかった真宗の教義についてどのような説明が必要であったかが知られることは大変興味深いことである 120

129 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-09(2017 年 3 月 31 日 ) 講演概要 宗教多様性のフラクタル的解釈 ペリー シュミット ルンケル ( ミュンスター大学教授 ) 目次 1. 無機的および有機的な性質におけるフラクタル 2. 文化と宗教におけるフラクタル構造 3. 宗教間の神学とフラクタルな宗教の多様性 4. 理論の有用性 キーワード フラクタル的解釈宗教間対話宗教多元主義 ギフォードレクチャー宗教現象学

130 本ワーキングペーパーは 平成 29 年 (2017)2 月 15 日に龍谷大学大宮学舎にて開催された 龍谷大学アジア仏教文化研究センター (BARC)2016 年度国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology ( 浄土真宗 キリスト教 イスラームにおける比較神学的対話 ) における公開講演会の概要である お集まりのみなさま 今日はみなさんに宗教の多様性における新たな解釈をご紹介したいと思います 私はこの新解釈を フラクタル的解釈 と名付けました なぜなら この理論は 宗教の多様性とはフラクタルな構造を示しているということを主張しようとするものだからです 実は 多くの 新たな 理論と呼ばれるものがそうであるように この宗教のフラクタル的解釈もすべてが新しい理論であるというわけではありません それは 私がこの後に述べるように 宗教現象学および 異文化間哲学 さらには宗教そのものの中に予見されていたものです 私のなかで理論が生まれるに至るまで 30 年かかりました 理論が生まれるまでに尋常ではないほど 長く時間を費やしたことを自分でも認めます それは 2015 年の出来事でした 私はギフォードレクチャー (Gifford lectures) の準備をしている時に この理論を思い立ったのです あれは 真夜中の 3 時頃だったでしょうか 仕事を始めました 私は起き上がり 自分の机へと向かい どのようにフラクタル構造を用いて宗教の多様性を理解することが最良なのかを一枚か二枚の紙に書き出しました 私の説明は以下の 4 パートで構成されます 第一に 私は簡単にフラクタルの概念とその性質について言及し フラクタル構造がいかに無機的で有機的な性質のものの中に見いだされるかを示します 次に 文化と宗教の領域について議論を進めます いくつかの宗教多様性のフラクタル的解釈の先駆的な事例について論じた後 3 つ目のパートでは 既にこの理論が現代の神学の宗教間対話にどのように用いられているかについて いくつかの事例を紹介します 4 つ目のパート すなわち最後のパートでは この理論がいかに長所と発展性を有しているかについて 手短に述べたいと思います 122

131 1. 無機的および有機的な性質におけるフラクタル 数学者 ブノワ マンデルブロ (Benoit Mandelbrot) は 1975 年に フラクタル (fractal) という言葉を発表しました マンデルブロはフラクタルを さまざまな大きさの 大まかなあるいは厳密な自己相似性を示す構造あるいは形を持った特定のパターンであると述べました つまり フラクタルとは 全く同じあるいは少なくとも全体と相似している複写を生み出す パターンあるいは構造の組み合わせのことです 循環性と比例の不変性がフラクタルの二つの重要な要素です 厳密な自己相似性と比例の不変性を有しているフラクタル形状の例としては シェルピンスキーの三角形が有名です これは この三角形は小さな三つの三角形を内包しており それと同じ構造が続いていくものです マンデルブロによると それほど厳密な相似性を持たないが 不規則な自己相似性を持つフラクタルな構造が 無機的現象や有機的な現象のなかに多く確認できると指摘しています 1 マンデルブロが フラクタル という言葉を選んだのは 特にこの言葉が 自然界に見られる不規則な自己複製を表すのに好都合な言葉だからです 私は ラテン語の fractus から fractal という言葉を造りだしました ラテン語動詞の frangere は 壊して~する という意味です すなわち不規則な断片を作るという意味を持っています この言葉は その意味で私たちが求めているものに何と適した言葉でしょう! さらに fractus は断片化という意味に加えて 不規則 という意味も持っています 両方の意味が fragment という言葉の中に含まれているのです 2 このような厳密な意味ではない自己相似性 もしくは不規則性を示す有名な例として 海岸線があります 海岸線の小さいところが拡大していく部分に注目してみると 湾や フィヨルド 砂嘴 ( さし ) やなどの外辺が よく似た房状の形をしていること気づきます 他の皆さんがご存じの無機的な例としては 岩石層や氷の結晶などがあります これらは それぞれが相似しつつ しかも不規則な構造をもつより小さな部分から構成されています また最後の例として 波の構造が非常に見事に描き出されている葛飾北斎の 神奈川沖浪裏 をあげさせてください よく知られている有機的なものの例としては カリフラワーがあります カリフラワーは お互いによく似た構造を持つ多くの小さな花が集まり 全体してカリフラワーを構成しています その中でもとりわけ美しいものが カリフラワーの近親であるロマネスコ ( アブラナ科アブラナ属の一年生植物 カリフラワーの一種 ) です また 同じようなフラクタル構造は多くの樹木やシダ類の葉にも見られます 1 マンデルブロ 1983, 1. 2 同上

132 マンデアルブロは フラクタル現象の一般的な例をあげた上で 次のように強調して述べています フラクタルなアプローチは有効であり 自然 である それはお互いに反発し合わないものであり そのようなアプローチがどうしてこれまでなかったのか不思議でならない 3 最終的にマンデルブロの理論は 以下のような結論に達します すなわち 自然界の幾何学にはフラクタルな側面がある というものです 4 私には 宗教は時に世界がフラクタルな構造を持つということをこれまで気づいてように思われます これ以上ここで詳しく述べることはできませんが そのことに関わって 3 つだけ簡単に事例をあげたいと思います まず ヒンドゥー教の発想にはミクロでマクロな宇宙の平行関係に対する信念が広く見られます つまり ミクロな宇宙構造はマクロな宇宙構造の複製であり またその逆でもあります 宇宙全体の根底にはフラクタル構造に合致する構造があるという考えは Śrī Yantra( 宇宙 人体 ) あるいは Śrī Chakra( 魂の図形 ) というすばらしい表現を生み出してきました 9 つの交差し合った三角形は 重層した象徴的な意味を示しています しかし それらはミクロとマクロのフラクタルな図式に取り囲まれています たとえば さらなる 3 つの組み合わせと平行関係にある身体や呼吸 そして意識の内なる光に映し出された地球 大気 太陽の表現 呼吸として示されています 不規則なものでありつつも 明らかにフラクタルな構造を Śrī Yantra がもっていることは明らかです 他のよく似た例としては 仏教の世界観に見られるインドラの網があります このインドラの網は Avataṃsaka や華厳経に見られものです インドラの網には無数の水晶玉があり すべての水晶玉は天界全体の網の中に織り込まれており 実体を持たない水晶玉の 1 つ 1 つの中に写しだされ 複写されています 最後の例として私が挙げたいのは 13 世紀前期の中世の絵画が付された聖書であるビーブル モラリゼです ビーブル モラリゼの扉絵には ミクロでマクロな宇宙の計画を想起させるかのように世界の創造が描かれています そのイメージはよく 神は世界の設計者 と呼ばれるものです しかし そのような呼び名は正確ではありません この絵が 設計者 は主なる神ではなく キリストであることを描いていることは明白だからです この絵は 古代のキリスト教徒とプラトンが考えた 神はロゴスにおいてロゴスを通じて世界を作り出したということ つまりイエスをとおして永遠の神の言葉もしくは神の心を人間は受け取ったという思想の延長線上にあります この思想には 3 つの段階が含まれています 1 つに 神は万物の究極的な源であるということ 2 つに ロゴスは神の心であり 神の言葉であるということ 3 つに 世界はロゴスを通じて創造されたということです 聖書モラリゼはそのイメージをキリストの光輪と世界の軌道に同じ色を与えることによって示しています さらにこの聖書では 夜 3 同上 3. 4 同上

133 空の房状のものが波あるいは海岸線のフラクタルなパターンにもう一つのフラクタルな要素が加えられています さて 次に無機的なものや有機的なものの事例から離れて 文化と宗教の領域においてフラクタルな姿を見せるものへとすすむことにしましょう 2. 文化と宗教におけるフラクタル構造 1975 年 中村元は異文化間比較や比較宗教学についての考えを書いた不朽の書物を出版しました 5 中村は その膨大な研究において人類の文化や伝統はすべて異なっているにもかかわらず 多かれ少なかれ 同じような問題を取り上げている という発見に至ります 6 また 中村は 人間の本質や関心もまた広い意味では似通っている とも述べています 7 だいたいにおいて 現代の異文化哲学の議論は 2 つの立場の間で揺らぎます つまり 人類の文化は全く共約不可能であるという立場と 反対に共約可能であり 本質的に同一であるとする立場です そのようにしながら 2 つの極端な立場の間で満足のいく中道の立場を見つけようとします そのような中間の立場について インドの哲学家マール ラム (Ram Adhar Mall) は 異文化の重層 (intercultural overlapping) という思想を提唱しています 構造上の重なり合いなしに 知的な理解やコミュニケーションは不可能だというのです 8 ドイツの哲学者ベルンハルト ヴァルデンフェル (Bernhard Waldenfels) も同様の立場を取っています 彼は もう少しこの考えを発展させて 異文化間の 交差点 (Verschränkung) という概念を説いています Verschränkung とは 文化的に似通っているものと文化的に異質なものは 多かれ少なかれお互いにもつれあう ということを意味します 文化間の境界線は不明瞭 (fuzzy) であり もっと言えば 境界線は 文化の違いを明確にするものというよりは 文化のどこに 重点 をおくか というものだと言うのです 9 それゆえ 異文化間の交差点を議論する場合に ヴァルデンフェルは 異文化の中に自文化を発見し また自文化の中に異文化を発見するような何かを探求するのです 10 これこそがヴァルデンフェルがスイスの哲学者 5 中村 同上 同上. 8 モール 2000, ヴァルデンフェル 1995, 54 より両記述とも引用 10 同上

134 エルマー ホーレンシュタイン (Elmar Holenstein) の研究から導き出した in nuce すなわち 文化多様性のフラクタル的解釈なのです 11 ボーフム大学 チューリッヒ大学 東京大学 香港大学で教鞭を執ったホーレンシュタインは 西洋の文化と極東の文化の比較研究を主に行っています ホーレンシュタインによると ある特定の文化の中だけでなく他の文化においても 強く見られるそのような構造を指摘することは可能である と言っている 12 一例を挙げるならば 日本語には異なった数多くの敬語があります むろん相手に敬意を表する熟語は さまざまな言語にも存在しています しかし 日本語ほど念入りに敬語が存在している言語はどこにもありません 13 一つの特徴 あるいはさまざまな特徴のかたまりが 他のものには存在せず ある特定の文化のみに特有なものであるとすることは間違いです ホーレンシュタインによると 文化の違いは さまざまな特徴の文化間の配置にもとづくものであり 階層や重点もしくは異なった構成に基づくものではないのです 14 文化間の異同は 文化間もしくは個人間の違いを反映していると言うのです 15 すなわち 同様の対立は 2 つの文化間に見られる同じ対立 (interculturally) にその原因が求められる すなわち その原因はある人とその人が所属する文化 (intraculturally) にある程度求められるし 年齢 環境 仕事あるいは心的状態やユーモアをとおして ある人とその人の内面の人格 (intrasubjectivety) の中に求めることができる 16 この重要な指摘の中で ホーレンシュタインは多様性には三つの段階があるとしています ⑴ 異文化レベル すなわち 地球規模での文化の多様性です ⑵ インターカルチュラルレベル 一つの文化の中の文化 (intracultural level) すなわち 各文化の中に見られる多様性です ⑶ 個人のレベル(intrasubjective) すなわち 一つの精神宇宙世界の中の多様性です 実際に彼が言っていることは 数多くの文化多様性のパターンは これら 3 つの段階を基準にしているということです 世界規模での文化の多様性はそれぞれの文化の多様性を反映しており また個人の人格を反映しています それゆえ ホーレンシュタインは 文化をさまざまな特定のパターンを想定した上で あるいは文化の幅広い構造上の相似関係を想定した上で その特徴を類推するという二極化した考えには否定的なのです ホーレンシュタイン自身はこの 11 同上 ホーレンシュタイン 1985, 133( 発表者による翻訳 ). 13 ホーレンシュタイン 1985, 同上 137ff. 15 同上 149ff. 16 ホーレンシュタイン 2003,

135 用語を使いませんでしたが これは文化多様性におけるフラクタル的解釈だと言うことが出来ます ホーレンシュタインによって区別された三つのレベルを私たちの出発点にすると いま私たちは宗教多様性におけるフラクタル的解釈という重要な考えを公式化することができます すなわち 異宗教レベル (Inter-religious level): 宗教間における多様性 ( 異なった種類 模範と特定の構成要素 ) 宗教内レベル (Intra-religious level): 宗教内だけでの多様性の複製それぞれの主要な宗教伝統のなかでのもの個人内レベル (Intra-subjective level): 共通のものでありながら 人間の心と精神についての多様な性質もう少し単純な例を使ってこの考えについて説明しましょう ドイツの宗教現象学者であるフリードリヒ ハイラー (Friedrich Heiler) は いわゆる 世界宗教 を 2 つの主要なタイプに分類しました 1 つは 預言的で神秘的な宗教です その何十年か後に 秦家懿とハンス キュング (Hans Kung) は 宗教を預言的 神秘的 知恵的の 3 つの類型に分けました いわゆる英知の宗教です 預言的とは ユダヤ教 キリスト教 イスラームなどのセム系の起源を有しています 神秘的とは ヒンドゥー教 仏教などのインド起源のものです 知恵的な宗教とは 儒教や道教など中国を起源とする宗教です 3 つのタイプの宗教は それぞれ預言者 神秘主義者 賢人のようにその中心となる聖職者により特徴付けられます しかし 秦とキュングは自分たちの分類に重要な条項を付け加えました すなわち 預言的な宗教も明らかに神秘的な本質を含み 神秘的な本質もまた知恵的宗教の要素を含んでいるということを付け加えました また 知恵的な宗教も預言的で神秘的な本質を持っているのです 17 驚いたことに 秦とキュングはこのことに全く注意を払っていません しかしながら このことで証明されたのは 宗教の多様性は 3 つの類型により描くことができ しかもフラクタルな構造を示している ということにあります 預言的 神秘主義的 知恵的な宗教が持つ多様性は それぞれの宗教内に見られる多様性の複製なのです フラクタル構造は いわゆるポアンカレのチェーンとよく似ています 宗教現象学は フラクタル パターンの発見のすぐそこまで近づいていました おおまかに言うと 宗教現象学は二つのことを追求しました 宗教間対話のレベルでは異宗教の類型論を作り出し また宗教内対話のレベルではそれぞれの宗教内に見られる異なった要素 もしくは異なった構成についての類型論を発展させました 当初のすべてを考慮に入れた見解では 特定の宗教の類型とそれ 17 キュング 秦 1989, pp. xv-xvi. 127

136 ぞれの 特定 の要素に共通点を見つけることでした しかし 明確な違いを発見しようと期待したのとは裏腹に 宗教間の数え切れないほど多くの要素と構成の間に見られる類似点を発見し挫折しました 宗教の多様性について早くからフラクタル的解釈の可能性を予期していた現象学者に ヒルコ ヴィラルド ショーメルス (Hilko Wiardo Schomerus) がいます ショーメルスは 宗教を 4 つの主要な類型に分類しました ⑴ 掟の宗教 ( たとえばユダヤ教 )⑵ 呪術的で神聖な宗教 ( たとえば インドの神秘主義 )⑶ 知の宗教 ( たとえば ギリシャのグノーシスや仏教 ) そして ⑷ 信仰の宗教 ( たとえば 最高神への絶対的帰依のヒンドゥー教といくつかの大乗仏教 ) 18 ショーメルスの類型論は 伝統的ヒンドゥーの 4 つの救済への道の分類に基づいています す なわち 行の道 (karma-marga) 瞑想の道(yoga-marga) 知の道(jñana marga) 献身の道(bhakti-marga) です しかし ショーメルスによると 実際の宗教 は これら 4 つの異なった類型には厳密には分類できないのです つまり 4 つのなかの一つだけではなく 何種類か むしろ 4 種類すべてを折衷している宗教の構成も存在しており これは混じり合っており 多彩色なのです 19 ヒンドゥー教がすべての 4 つの類型を含んでいるという事実は それゆえ 一般的な事例のなかのただ1つに過ぎないのです だからこそ 4 つの分類の類型は実際の宗教では垂直的ではなく水平的に応用されるべきなのです たとえ ある宗教が 4 つのなかのどれか 1 つに影響を受けているとしてもそうです ショーメルスがフラクタル的解釈にとても近づいていたことは 彼が次のように述べていることからも明らかです 宗教はいくつかの主要な形式を前提として そこからたえずどこでもよく似たかたちで展開する 20 もう一つだけ ごく最近の例を紹介させてください それは 2016 年ジェームスフォード (James Ford) の行った宗教伝統についての比較研究です 一にして多 個人的に対する非個人的 超越的に対する内在的 のような関連性する基準に見られる根本的な対立構造を議論した後に フォードは次のような結論に至ります 私は特定の伝統がある 1 つの基準にしたがって二分化されうるものであるとは予想していません しかし これらの二分法はさまざまな伝統のなか存在する興味深い緊張関係を反映しているということは注意しておきたい そのような伝統における同質性は 本質化されたいかなる特性も問題にするような流動性を持つものである ショーメルス 1932, 同上 22 ( 発表者による翻訳 ). 20 同上 26 ( 発表者による翻訳 ). 21 フォード 2016,

137 今日 宗教学者の間では 混合した本質 雑種的な本質が あらゆる主要な宗教のなかにあるという見解で一致しています 今後 より考えるべき事は これまでのようなやり方ではなく それぞれの宗教内における多様性です 完全に混じり気のない仏教 イスラム教 キリスト教などないのです ピーター ファンデルファー (Peter van der Veer) の言葉を借りるなら すべての宗教は雑種であるから 宗教は混じり合った本質によって常に描かれている したがって 歴史学者がその宗教が何から来ており どこから生まれているのかを解明することはほぼ不可能であろう 22 ということです もしくは ティヌ ルパレル (Tinu Ruparell) が最近述べたような 宗教のハイブリッド性は簡単にいうと 宗教史の事実である 23 ということでもあります しかしながら フラクタル的理解から得られる重要な視点は 宗教内部での多様性と宗教の諸相は全くの恣意的なものではなくまさに調和したもとのであるということです 私たちが宗教内部に見つける多様性は 私たちが諸宗教間に見つける多様性とむしろ対応関係にあります それを簡潔に述べるならば 宗教はすべて同じでもなければ 完全に異なったものでもないということです 宗教は 宗教内の多様性においてはお互いによく似通っているけれども 異なったやりかたそれぞれの宗教を構成しているのです では 三つめのレベルである個人内レベル (Intra-subjective level) においてはどうでしょうか? このレベルにおいては フラクタル形状は 超越的かつ心理学的に分析することが可能です 特にルドルフ オットー (Rudolf Otto) がそう結論づけたように 数多くの宗教間の並行関係は根本的には その根底にある一致点と 人間性一般の傾向 24 により説明することが可能であり それをオットーは内在的な人間の心の特徴として理解しました オットーは 超越的な基礎は単に宗教経験のみではなく その異なった形式についても説明するものだと見なしました この宗教多様性の基本的なパターンは 人間の心の構造に見られる共通の特徴と超越的な構造に根ざしているという仮説は 宗教心理学でも問題とされます このことを早くから取り上げたのは 宗教における多様性とそれぞれの異なる宗教内に見られる宗教的な人格のタイプとの間には心理学的な関係がある と主張したウィリアム ジェームス (William James) でした 25 個人内レベルでは 異なった人格だけが異なった宗教の形を示すわけでないのです たとえばジェームス ファウラー (James Fowler) 26 や他の心理学者が 22 ファー 1994, ルパレル 2013, die zugrundeliegende, einheitliche, gemeinsame Anlage der Menschheit überhaupt ( オットー 1923, 217); 同上 222. も参照せよ 25 ジェームス 1990, この観察においては フォウラーが提案したような革命的かつ階層的なモデルのいずれもが必要ではない ( フォウラー 1981 も参照せよ ) 129

138 示したように ある人と同じ宗教を信仰している人が彼自身もしくは彼女自身の人生経験を通じて 異なった宗教を形成する事例はたくさんあります 最後に 異なった宗教の選択は 一個人の精神内で同時に共存する可能性もあるということを申し上げます そのために 複数の宗教アイデンティティーと複数の宗教への帰属という現象を取り上げます ローズ ドリューは 複数の宗教への帰属についての奥深い研究により 実は個人が 2 つの宗教にしっかりと従うと 多くの場合 2 つの宗教はそれほど容易に統合されるわけではないということに気がつく と述べています 27 このような見方は 他の二重の宗教帰属に関する研究によっても承認されています その研究では JuBus すなわち ユダヤ教徒であり 仏教徒でもあるものを 恒久的な内部対話者 として説明しています 28 ドリューは このような精神内部での対話を 二重所属者 ( デュアルビロンガー ) とし 対話全体として マイクロコスモスになる と結論づけています 29 これは 最も小さなレベルでの宗教の多様性が最も大きなレベルでの宗教の多様性と結びついているというフラクタル的解釈と言えます そういう意味では まだこのパターンはポアンカレの連鎖のパターンに従っています では 次に三つ目のパートに移ります 3. 宗教間の神学とフラクタルな宗教の多様性 神学で行われている宗教対話の方法は 私が理解する限りでは それぞれある一つの特定の宗教伝統を根底におくが他の伝統にも宗教真理は存在する という見解で一致します それゆえ 宗教間の神学は 人間の生の重要な問に対して 自分たちの伝統の中でそれまで与えられてきた答えを 他の宗教との間の新しい比較の光のもとで映し出すものです また 自分たちの宗教伝統が グローバルな宗教間の神学が探求する問題に どう貢献出来るかについて考えるよう導くことになります 最近では 宗教間の神学という言葉を 神学的な著作の中で目にすることが確かに増えてきています これらの著作では まさにフラクタル構造という言葉で言い表すことのできる内容に出合います いくつか例を挙げるならば ジョン カブ マーク ハイム 私のミュンスター大学の同僚であり 今日 ここにも来てくれているベルナルド ニーチェらは それぞれ異なった宗教体験と宗教における異なった究極的実在の概念を結びつけ 宗教の多様性について整理しようとしている学者達です 27 ドリュー 2011, 209ff. 28 ニクレスク 2012, ドリュー 2011,

139 カブは 宗教を 3 つのタイプに分類しています すなわち 宇宙論的 (cosmic) 非宇宙論的 (acosmic) 有神論(theistic) 30 です 3 つのタイプのそれぞれが 特定の究極的実在の概念と関連しており 一連の宗教体験と結びついています つまり 究極的実在の宇宙論的概念は 宇宙自身の神聖さに気づくことであり 道教やネィティブアメリカンの宗教に見られる概念です これらの宗教は 日常的な経験では得られない宇宙に属しているという感覚もしくは 他の生き物との密接な関係にある という経験に結びついています 31 大乗仏教での例を挙げるならば 空 (śūnyatā) もしくは不二一元論の概念で言われる いかなる形も持たないブラフマン (nirguṇa brahman) などが カブによる究極的な実 在の非宇宙論的概念にあたります 32 それらは 内側 の本質と結びついた経験であり 普段の経験がもつ特殊性から自由な あるいは文化的 実存的に決定されている障壁から解放された 内面 の本質あるいは 深さの次元 の発見と結びついています 33 最後の有神論という概念は 個の存在 宗教集団 導き 正義の生 愛 罪からの解放などの経験と結びついています 34 カブによると これらの異なった 3 つの概念は 同一の究極的実在についての異なった経験なのではなく 一つの実在の究極的なすがたを示しているのです しかし 私はここで カブの形而上学的な議論についてこれ以上は言及しません 私がここで取り上げたいのは それとは別の側面についてです カブは宇宙論的 非宇宙論的 有神論的な宗教という分類を ジョン ハッチソンの影響を受けて作り上げました 35 そして ハッチソンと同様に カブは これらのタイプのなかの複数に分類されるものはとても素晴らしい伝統である という興味を引く見解を述べています 36 カブは彼の類型論を二つの側面を持つものとして使っているのです つまり 異なった宗教伝統を分類することと それぞれの宗教伝統内に見られる異なった現れ方を分類するという二つの側面です 言い換えるならば カブは宗教の多様性にフラクタル的解釈を応用し この多様性に見られる主要な特徴を相補的なものと見なしているのです 30 カブの視点の要約として グリフィン 参照 31 カブ 1999, グリフィン 2005, カブ 1999, 同上. 35 同上. 120( カブは 1975 年に発刊されたハッチソンの第二版を言及している ) ハッチソンは しかしながら コズミック アコズミック 歴史的 な宗教を話すとき 彼の用語はミルチャ エリアーデの影響を受けているとされている 36 カブ 1999, 121. ハッチソン 1991, 17. 参照 131

140 マーク ハイムについても 同じように見ることが出来ます ハイムによると 究極的な実在はキリスト教の三位一体の概念によって最もうまく述べられているとしています しかしながら 彼は他の究極的な実在の概念も 三位一体につていの異なった見解として理解するべきであるとします ハイムによると 三位一体は 3 つの次元を内包しています すなわち 非個人的な次元 個人的あるいは偶像的な次元 集団的な次元です これら 3 つの次元は 異なった宗教のタイプや特定の究極的な実在の概念を反映しています 非個人的な次元での三位一体は 3 つの人格がお互いにそれぞれの中に宿っているといことの上に成り立っています つまり それぞれの人格は他の 2 つの人格と一体であり それゆえそれ自身は実体を持っていませ ん 後者は 仏教の 無我 の教えや 涅槃 (nirvāṇa) 空 (emptiness) の教えを 反映しています 一方で前者のような根源的な相互の内包関係は 究極的な実在の非二言論的な概念により示されます 個人的もしくは偶像的な三位一体の理解では 3 者が創造へのひとつの意志 ひとつの目的 ひとつの愛の 3 つにより成り立っている とされます 37 この次元は 有神論的な究極的実在の概念の中心に位置するものです しかし 道教や古典的なストア主義の場合のように 神の神聖な人格に対する知覚の中にもそのような次元は存在しています すなわち これらに当てはまるケースとして考えられるものが 三位一体の統合です 38 と言われるように それは神の意志あるいは律法なのです 3 つ目の次元 すなわち集団的な次元は 他の二つの根底にあるものです それは 共通点と差異を 3 つの人格に基づき統合しようとするものです 39 人間関係で言う 深い愛あるいは親密な友情 に譬えられるものです 40 カブと同じく ハイムも興味深い見解を述べています つまり 偉大なる宗教伝統は ある程度 私たちが述べてきた多くの次元を認識しており それぞれが その中の 1 つの次元をとおして それぞれの次元の組み合わせ を把握しているのです 41 これは明らかにフラクタルな視点を示しています なぜならハイムは さまざまな宗教間の類型の違いは またそれぞれの宗教の中にも存在していると言っているからです ハイムは 公式 のキリスト教でさえも 他の宗教と異ならないということさえも認めています 42 つまり キリスト教もまた 支配的な 1 つの次元 その意味では集団的な次元のレンズを通して すべての 3 つの次元を理解しているのです 他の類型論としては バーナード ニーチェのものがあります ニーチェは 有神論 一元論と万有内在神論に宗教の類型を分類しています 彼は それぞれの究極的な実在の概念を 37 ハイム 2003, 同上 同上 同上 同上 同上. 132

141 人間関係における 3 つの原理的な形式 肉体を介して媒介される世界との関係 他の人間存在との関係などと関連させています 世界との結びつきは 宇宙的共鳴 (cosmomorphic) なものを生み出します この宇宙的共鳴は究極的な実在に対する一元論的な考えにつながります 社会との結びつきは 社会的共鳴 (sociomonophic) な考えを生み出します そして この結びつきは有神論的な究極的実在概念を生み出します また noomorphic な考えが 自己と心の結びつきからは生まれ それは万有内在神論の考えにつながります もう一度述べておきますが 私はここでニーチェの興味深い考えを議論するのではなく むしろ人間による概念化や超越との関係は 主要なすべての宗教の複雑なシステムにおいて 異なった強調点あるいは何が主で何が従かという異なった組み合わせの中で 主題化されている ということを明らかにしたかったのです 43 もう少し いかに宗教の多様性を分類しようとする試みが フラクタルなパターンにつながるのか見てみることにしましょう 私の最後の例示は タイ仏教の再建者である比丘ブッダターサ ( ) の場合です ブッダターサによると 解脱に至る根本的な手段は それぞれの宗教には異なった強調点や形があるとしても 仏教のみならず キリスト教 イスラーム ヒンドゥー教においても見られま す 44 仏教は 智慧 にその重きを置き キリスト教は 信仰 イスラームは 意志の 力 に置きます しかし これら 3 つの中心をなす精神性は 心の内部における統合から成り立っており 異なっているにもかかわらず 智慧 信仰 意志の力の 3 つすべてが 3 つの宗教 ( 仏教 キリスト教 イスラーム ) それぞれに存在しているのです すなわち それぞれの宗教はすべて3つの点を含んでいる 唯一の相異は ある宗教はあるやり方を好み 他は違うやり方を好んでいるという点だけである 45 宗教間の教義的な差異は ブッダターサの説明によると 異なった文化的影響の結果であるに過ぎません 46 この考えを主張するために ブッダターサは仏教の権威を説くのではなく 興味深いことに それぞれの国に預言者がいる というコーランの教えを肯定します 47 このような例が示すように 宗教の多様性におけるフラクタル構造の発見は ある特定の特別な類型論に基づくものではありません 主教の多様性について どのような設計にもとづいて描いたり 線引きをしたり 分析したりしようとも 私たちはフラクタルなパターンに出合 43 Diese Grundformen des Transzendenzbezuges werden in allen großen und komplexen Religionssystemen mit unterschiedlichen Akzentsetzungen und Kombinationen von Dominante und Subdominante sowie mit unterschiedlichen Prioritäten und Interferenzen zum Thema. ニーチェ ( 近日刊行 ). 44 ブッダターサ 1967, 12ff, 24f, 38f. 45 同上 同上 24f. 47 同上

142 うことになるのです それゆえ 私は宗教の多様性におけるフラクタル的解釈を実践的なレベルで提案したいのです フラクタル的解釈は 宗教を静的で単一的なものとして見るのではなく 宗教内部の多様性および雑種性に目を向け 自らの伝統のなかにそれと類似したものを探しだすべきであるということを言いたいのです なぜならば そのようなかたちで宗教の多様性に目を向けることは 宗教間の神学的ないとなみにとって非常に有用なことだからです 4. 理論の有用性 1870 年 比較宗教学の先駆者としてよく知られているマックスミュラーは 次のような有名な言葉を残しています 一つの宗教しか知らない者は 宗教については何も知らない者である 約 30 年後にドイツの神学者であるアドルフ フォン ハルナックはこの言葉に対して次のように返答しています この宗教 ( キリスト教 ) を知っている者は すべての宗教を知っている 48 これら二つの主張は 一見すると相容れない感じがしますが 宗教の多様性におけるフラクタル的解釈を用いれば 両方の主張はある意味では正しいのです 私たちが宗教の多様性において見てきたフラクタル構造は 厳密な相似構造を持っているシェルピンスキーの円とは違います むしろ 非厳密な構造である海岸線の例とよく似ています ある宗教は大きな湾であり またあるものはフィヨルドのようであり あるものは砂嘴のようなものです しかしながら よく検討してみると 大きな湾に沿った海岸線には小さなフィヨルドや砂嘴も含まれています もしくは 海岸線の砂嘴にも小さな湾やフィヨルドが存在するのです 不規則なものは ある意味では 異なった強調点であり 異なった組み合わせであり 異なった関連性だとも言えます そして これこそが諸宗教がお互いに学び合うことができることなのです 他の宗教は常に異なって見えます すべてが異なっているわけでは決してないのです それゆえ ミュラーが 人間は多くの異なった宗教をお互いの理解を深めるために学び合うことは必要不可欠であると論じたことは正しいことだったのです そして ハルナックも他の宗教において存在しているものは 異なった形で自分自身の宗教にも存在しているという点の発見におい 48 When the students of Comparative Philology boldly adapted Goethe s paradox, He who possesses one language, knows none, people were startled at first; but they soon began to feel the truth which was hidden beneath the paradox. The same applies to religion. He who knows one, knows none. (Müller 1882, pp ). ミュラーが 1870 年に行った講義より引用 Wer diese Religion nicht kennt, kennt keine und wer sie samt ihrer Geschichte kennt, kennt alle. ( Anyone who does not know this religion [i.e. Christianity] knows no religion and anyone who knows [Christianity] including its history knows all [religions]. ) ハルナック 1904,

143 て 正しい主張をしていたのです しかし ハルナックがキリスト教のみでそれが真実であると推量していたことは誤りだったと言えます 宗教間の多様性と宗教内の多様性の間の一致の発見は 人々が予測している以上にエキュメニカルな神学と宗教間の神学との間には連続性が存在していることを示しています このことは 他の宗教に向けられる態度は 同じ宗教内の他者に対する態度と結びついていることを暗に意味しています そこには いわゆる小文字のエキュメニズムと大文字のエキュメニズムと呼べるようなつながりがあるのです しかし 宗教の多様性におけるフラクタル的解釈はさらに深い意義を持っています 中心的な教義は その宗教の教義的な設計と連繋しているだけではありません それはまた異なった伝統や学派というさまざまな脈絡の中で さまざまな解釈につながっているとも考えることが出来ます そのことはまた 他の宗教伝統の中の関連した概念との結びつきを見つけ出し特定することも可能であるということでしょう そして これこそが宗教間の神学が 相互照明 を与えてくれることを約束するものなのです 宗教間の神学を通じて モスリムの人々は預言者もまた化身であり 目覚めという次元を含んでいるかということを発見できるでしょう つまり 預言者とは神の言葉を預言し 地球上に化身を示して神の言葉を預言する存在なのです もっと言えば 人間であることをやめることなく 人間も預言者にもなり得ます もしも 預言者になる種子が 何らかの形で人間を目覚めさせるものとして 人間の本質に備わっているとすれば イスラームの概念である 万人の中の預言者の実在 もしくは ムハンマドの実在 は 井筒俊彦 ( ) やレザー シャーカゼミがこれまでに指摘してきたように 仏教が言うところの仏性と非常に似ています 仏教徒にとっては 悟りの境地への道は預言者の声の内容 ( 日蓮がそうであったように ) も含んでいるという事に気づくでしょう また 化身レベルでの仏性は 仏教伝統のなかにおいてもそう見られてきたように 有神論的なものと見なすことが出来るかもしれません キリスト教徒は 化身レベルでのめざめについて気づくことで そのような化身という考えがどのように預言的な啓示の中にも根付いているかについて再発見することが出来るでしょう つまり イエスはただ神の言葉を形にしただけではなく 彼の人生全体がメッセージだったのである それゆえ 預言者 子そしてブッダのような宗教の中心的なカテゴリーでさえも フラクタルな構造を示しており それぞれが内部に他の2つを含んでいるのです しかしながら そのことは相互学習もしくは相互照明のプロセスを経るかたちで理解されるのです 宗教の多様性におけるフラクタルな解釈は 宗教 をどのように理解し どのように 宗教 という概念を用いるか そして どのように宗教間の比較をおこなうべきかという方法に 135

144 おいて数多くの優れた利点を含んでいる といえるでしょう 49 しかし 時間も来ましたので ここまでにします ご静聴ありがとうございました References ( 嵩宣也訳 ) Buddhadāsa, Bhikkhu Indapañño, Christianity and Buddhism, Sinclaire Thompson Memorial Lecture. Fifth Series. Bangkok: Sublime Life Mission. Cobb, John B., Transforming Christiantiy and the World. A Way beyond Absolutism and Relativism, edited and introduced by Paul Knitter. Maryknoll, N.Y.: Orbis. Drew, Rose, Buddhist and Christian? An Exploration of Dual Belonging. London New York: Routledge. Ford, James L., The Divine Quest, East and West. A Comparative Study of Ultimate Realities. Albany: SUNY. Fowler, James, Stages of Faith, The Psychology of Human Development and the Quest for Meaning. San Francisco: Harper & Row. Griffin, David Ray, John Cobb s Whiteheadian Complementary Pluralism. In D. Griffin (ed.), Deep Religious Pluralism. Louisville: Westminster John Knox Press, Harnack, Adolf von, Die Aufgabe der theologischen Fakultäten und die allgemeine Religionsgeschichte (1901). In Adolf von Harnack, Reden und Aufsätze, vol. 2, Gießen: Töppelmann, pp Heim, S. Mark, The Depth of the Riches: Trinity and Religious Ends. In V. Mortensen (ed.), Theology and the Religions. A Dialogue. Grand Rapids Cambridge: Eerdmans, Holenstein, Elmar, Kulturphilosophische Perspektiven. Frankfurt a.m.: Suhrkamp. Holenstein, Elmar, A Dozen Rules of Thumb for Avoiding Intercultural Misunderstandings. In Polylog online 4, see: Hutchison, John A., Paths of Faith. Fourth Edition, Boston: McGraw-Hill. James, William, The Varieties of Religious Experience [1 st edn. 1902]. Vintage Books: New York. 49 本論の一部の情報は拙論 2017, を参照している 136

145 Kak, Subhash, The Great Goddess Lalitā and the Śrī Cakra. In Brahmavidyā: The Adyar Library Bulletin, vol , pp Online at: Küng, Hans; Ching, Julia, Christianity and Chinese Religions. New York: Doubleday. Mall, Ram Adhar, Intercultural Philosophy. Lanham: Rowman & Littlefield Publishers. Mandelbrot, Benoît B., The Fractal Geometry of Nature. Updated and Augmented, New York: W.H. Freeman and Company. Müller, Max, Introduction to the Science of Religion. New edition. Oxford: Longmans, Green and Co. Nakamura, Hajime, A Comparative History of Ideas, rev. edn. London New York: Kegan Paul (first edition 1975). Niculescu, Mira, I the Jew, I the Buddhist. Multi-Religious Belonging As Inner Dialogue. In Crosscurrents 62:3, Nitsche, Bernhard (forthcoming). Formen des menschlichen Transzendenzbezuges. In: Bernhard Nitsche, Klaus von Stosch (eds.), Menschliche Zugangsformen zu großer Transzendenz (Beiträge zur komparativen Theologie 25). Paderborn: Schöningh. Otto, Rudolf, Vischnu-Nārāyana. Texte zur indischen Gottesmystik. Jena: Eugen Diederichs. Ruparell, Tinu, Interreligious Dialogue and Interstitial Theology. In C. Cornille (ed.), The Wiley- Blackwell Companion to Inter-Religious Dialogue. Oxford: Wiley-Blackwell, Schmidt-Leukel, Perry, Religious Pluralism and Interreligious Theology. The Gifford Lectures An Extended Edition. Maryknoll, N.Y.: Orbis. Schomerus, Hilko Wiardo, Parallelen zum Christentum als religionsgeschichtliches und theologisches Problem. Gütersloh: Bertelsmann. Veer, Peter van der, Syncretism, multiculturalism, and the discourse of tolerance. In: C. Stewart, R. Shaw (eds.), Syncretism / Anti-Syncretism. The Politics of Religious Synthesis. London New York: Routledge, Waldenfels, Bernhard, Verschränkung von Heimwelt und Fremdwelt. In: R.A. Mall, D. Lohmar (eds.), Philosophische Grundlagen der Interkulturalität. Amsterdam: Rodopi,

146

147 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-10(2017 年 3 月 31 日 ) 講演概要 仏教徒とムスリムの相互認識 : 日本仏教からの視座を中心に 小布施祈恵子 ( 神戸市外国語大学客員研究員 ) 目次 1. 近代以前の日本とイスラーム世界の関係および日本人のイスラーム観 2. 現代の仏教徒とムスリムの相互認識における動向 3. 日本人仏教学者によるイスラーム論 キーワード 仏教イスラーム並列主義神阿弥陀仏

148 本ワーキングペーパーは 平成 29 年 (2017)2 月 15 日に龍谷大学大宮学舎にて開催された 龍谷大学アジア仏教文化研究センター (BARC)2016 年度国際シンポジウム Shin Buddhism, Christianity, and Islam: Conversations in Comparative Theology( 浄土真宗 キリスト教 イスラームにおける比較神学的対話 ) における公開講演会の概要である みなさまこんにちは ただいまご紹介いただきました神戸市外国語大学の小布施です 今日のテーマは 仏教徒とムスリムの相互認識 : 日本仏教からの視座を中心に ですが 3 部に分けてお話いたします まず第 1 部では 日本とイスラーム世界の関係について第 2 次世界大戦終結前までの状況を概観し 近代以前の日本人のイスラーム観についてお話します 次に 現代の仏教徒とムスリムの相互認識における動向についてご説明します ここでは日本国外の例をご紹介します 最後の第 3 部では今日の日本におけるイスラームに関する状況を概観してから 日本人仏教学者によるイスラーム論についてお話します 1. 近代以前の日本とイスラーム世界の関係および日本人のイスラーム観 ではまず近代以前の日本とイスラーム世界の関係および日本人のイスラーム観を 大きく 3 つの時代に分けてお話します ここでは日本人は一般的に仏教徒のバックグランドを持っているという前提で話をすすめます キリスト教徒やイスラームへの改宗者および僧籍を持つ方に関しては そのつど経歴をご紹介します 初期 ( ) 日本人とムスリムの出会いの最古の記録は 8 世紀半ば (753 年 ) の中国 唐の朝廷で日本からの使者がアラブの使者と隣席になった時だと言われております 1 この他にも 例えば 13 世紀に日本から中国への留学僧が 広州の港でペルシャ商人からペルシャ語の詩を書いたものをもらったのをインドの仏典だと思ったという話があります 2 また鎖国中の長崎には東南アジアからマレー系ムスリムやペルシャ系ムスリムが来航していました しかし 19 世紀に入るまで 日本とイスラーム世界には国家または共同体レベルの交流はありませんでした この時期の日本人はイスラームに関する知識をまず中国から そして後に中国に加えてポルトガルやオランダなどからの情報に頼っており その理解は限られたものでした 1 杉田 1995, 16 2 同上

149 先ほど申し上げました長崎港に来ていたマレー系ムスリムについては その慣習に関する覚書がありますが ここではイスラームの葬儀の際に発せされた アミン という語は 阿弥陀 の意味であり 3 ムスリム( 黒坊 ) は アララ という 鬼神 を崇拝していると述べられています 4 中期 ( ) 中期に入りますと開国にともない 日本はやっとイスラーム世界と国家レベルの交流を持つようになります ここでの主な目的は 西洋列強との不平等条約の改正に向けて同様の状況にあるオスマン帝国やエジプトを視察することでした 視察団には 浄土真宗西本願寺派の僧侶である島地黙雷 ( ) も含まれていました オスマン帝国との関係は 1889 年のエルトゥールル号事件を機会に深まりました これはオスマン パシャ率いる使節団が来日して明治天皇に謁見し その帰路に今の和歌山県沖で難破した事件です 日本国内からの資金で 3 年後の 1892 年に生存者は本国に送り返されました これをきっかけに日本人最初のイスラームへの改宗者 野田正太郎 ( ) が誕生しています 1905 年の日露戦争における日本の勝利はイスラーム世界で歓喜を持って迎えられ 日本への訪問者も増加しました 同時にイスラーム主義者と日本のアジア主義者が協力関係を築き始め アブドゥルレシト イブラヒム ( ) などのイスラーム主義活動家が来日しました 彼らの西洋の植民地拡大の阻止と日本におけるイスラーム布教を目指す協力体制を通して 1909 年に山岡光太郎 ( ) が日本人として初のメッカ巡礼を果たしています この時期における日本人のイスラーム観には大きく 3 つの流れがあります まず これは 1 つ前の時期からですが 西洋のイスラーム世界に対する偏見が日本人のイスラーム観に反映されるようになり 否定的な見解が見られました 次に ヨーロッパ諸国の支配下で奮闘する中東のムスリムを同じアジア人の 仲間 とみなし 共感する見方が出ましたが これはほどなく植民地主義的な見地からイスラーム世界を軽蔑するような論調にとってかわられました イスラーム世界に関する否定的な見解には 例えば中東社会が 後進的 なのはイスラームを信じているからであるといったものがありましたが このような見方は仏教のバックグランドを持つ日本人だけでなく キリスト教徒の知識人の間にも見られました 5 しかし中期においても 日本人のイスラームに関する知識は限られていました 例えば開国直前にエジプトを訪れた使節団の一員は カイロのモスクを見学した際 ( 本来はなにもないはずですが ) 本堂の奥に 仏像 が安置されていたと記しています また意味のわからないサンスクリット語の経典が金の額に入っており 座っている人々の読経は日本とあまり変わら 3 森島 1980, 同上 88 5 例えば 徳富ほか 1929a, 285 および徳富ほか 1929b, 42 を参照 141

150 ない調子であるとも述べています 6 これは未知の宗教文化を仏教の枠組みでとらえたものだと言えます 日本人として初めてメッカに巡礼した山岡光太郎も 改宗当時イスラームについて断片的な知識しか持っておらず 日本宗教 特に神道を通してイスラームをとらえています 彼は巡礼中 同行のムスリムに ご神体 はどこにあるのかと尋ね イスラームには三位一体や神の偶像はないのだと返答を受けています 7 これをもとに山岡は アッラーフアクバル という表現はアマテラスオオミカミという意味であり ムスリムの崇拝対象は皇室の究極の祖先であると結論づけています さらに 西アジア人に神道を広めるのが日本人の義務であるとも主張しています 8 彼のイスラーム観はこの時代のアジア主義的思想を反映したものであると言えます また 20 世紀初頭には預言者ムハンマドを評価する動きが起こりました このさきがけとなったのがトマス カーライルの 英雄崇拝論 (On Heroes, Hero-Worship, and the Heroic in History, 1841 年 ) です この作品はムハンマドの人生を再解釈することによって それまでキリスト教世界に普及していたムハンマドに対する否定的な見方を覆すものでした これを受けて 日本でもムハンマドの人生における戦闘的側面や家族生活を肯定的にとらえた著作が出版されました 例えば曹洞宗の僧侶であり 欧米留学経験を持つ忽滑谷快天 ( ) は 怪傑マホメット (1905) を著しました 彼は仏陀やキリストの生涯が理想主義的なのに対して ムハンマドの生涯は実務的かつ現実的であったと述べています 9 ムハンマドに対する評価は当時の日本の政治的風潮を反映してもいます 例えば日蓮宗の信徒であった池本半之助という人物が マホメットの戦争主義 (1903) というちょっとびっくりするようなタイトルの本を出しております ここではムハンマドはヨーロッパの列強に立ち向かう日本にとっての模範とされています さらにムハンマドを日蓮と比較し 両者とも社会の改革者 革命家として 天から使わされた 存在であるとしています 10 戦時期 ( ) 戦時期になりますとイスラーム主義者の日本移住に伴い 国内でイスラーム布教活動がさかんに行われ イスラーム世界に関する研究組織が設立されました このような傾向は特に 1932 年の満州国の誕生以降加速して行きます イスラーム主義者の活動は日本人改宗者に支えられていましたが その多数が中国やロシアに長期滞在した経験をもっていました また現存する日本最古のモスクである神戸モスク 6 高島 1867, 2 ウ -3 オ 7 山岡 1988, 同上 忽滑谷 1905b, 池本 1903, 36, 46,

151 が 1935 年に そして東京モスクが 1938 年に建てられています 日本の イスラーム ( 回教 ) 政策 の一環として設立された研究組織としては 大日本回教協会 と 回教圏研究所 ( ともに 1938 年設立 ) があります 大日本回教協会 はイスラーム研究および日本とイスラーム世界の関係を推進する目的で発足しました 一方の 回教圏研究所 には 後に世界的なイスラーム学者となる井筒俊彦がいました イスラーム政策 の対象ははじめ中国大陸が中心でしたが やがて日本軍は 大東亜共栄圏 のスローガンのもと東南アジアのイスラーム圏 ( 特にインドネシアとマラヤ ) にも進出してゆきます 戦時期には イスラーム関係の著作の内容はより包括的になりました これらはイスラームと日本の政治的関連性を明確に述べており 全体的にイスラームに対して肯定的な記述になっています また西洋の影響を排して日本独自のイスラーム学を確立しようとする意図も見られ イスラームは剣によって広められた あるいは イスラームは女性を抑圧している などという見解の見直しが図られています またヨーロッパ言語からの重訳がほとんどでしたが クルアーンの日本語訳も出版されました 戦時中の日本におけるイスラーム論には いわゆる国家神道の観点から書かれたものが少なくありません ここで興味深いのは この傾向が日本人のイスラーム改宗者の見解においても見られるということです 例えば 中国での政治活動を通してイスラームに改宗した田中逸平 ( ) は アッラーとその 99 の名前が それぞれアメノミナカノヌシ ( 天之御中之主 ) および他の神道のカミ ( 八百万の神 ) にあたるとしました また田中は 五教帰一論 を唱え 儒教 道教 仏教 キリスト教 イスラームの 5 つの宗教は同一であると主張しました さらに孔子 老子 釈迦 キリスト ムハンマドを 大道 つまり神道を基盤とする日本精神 における聖人であるとしています 11 これは当時のアジア主義の風潮に加えて 神道非宗教論 の観点を反映したものであると考えられます またインド在住中にキリスト教から改宗した有賀文八郎 ( ) は軍の政治活動には従事していませんでしたが 田中と同様にアメノミナカノヌシとアッラーを同一視し イスラームを当時の帝国主義的思想に基づいて解釈しています 彼は仏教に批判的で 虫を殺すことをも禁じる 仏教より 戦うことを避けず 死を恐れない イスラームの方が伝統的な日本人の精神に適している と述べています また有賀は日本人に適したイスラームを提唱し 例えば礼拝の際は神社でするように合掌し 礼拝もアラビア語ではなく日本語で行うべきだとしています さらに ムスリムであっても天皇 皇后両陛下を崇敬し 家族の墓参りをすべきだとも述べています 有賀については四戸潤弥先生が詳しく研究されています 12 最後に日本人として初めてメッカに巡礼し アッラーとアマテラスオオミカミを同一視し 11 田中については 田中 2003 および坪内 2001 を参照 12 有賀については 有賀 1935 および四戸 2004 を参照 143

152 ていた山岡光太郎ですが 政治活動から遠ざかり イスラームへの信仰を深めていく中で イスラームを神道とではなく仏教 ( 特に浄土真宗 ) と比較するようになっています 山岡は阿弥陀如来とアッラーを同一視しています この上で イスラーム という語と浄土真宗における 南無 はどちらも 帰依 を表すものであり アッラーに服従するムスリムの礼拝と 南無阿弥陀仏 は同じものであると述べています 13 山岡がイスラーム改宗前に浄土真宗に親しんでいたことが推測できます 当時の日本の精神性は神道によって表現され 政治的文脈においてはイスラームが ( 国家 ) 神道と比較されることがほとんどでしたが イスラームの信仰や実践内容を説明する際には 仏教用語が幅広く使われました 例えばモスクは 寺院 クルアーンは 経典 または 経文 ザカートは 喜捨 サダカは 布施 アッラーを賛美するタクビール ( アッラーフアクバル ) は 題目 スーフィズムにおけるズィクル ( 神の名を唱えること ) は 称名 天国 は 浄土 か 極楽 アッラーの属性を表すラフマ ラヒーム アッラフマーンなどのアラビア語は 慈悲 または 慈 か 悲 アッラーへの服従は 帰依 といった具合です ご存知のように 喜捨 慈悲 などは今でもイスラームを説明するのに使われています 神道はカミ とくに最高神の概念があるのでイスラームと比較しやすい一方 仏教はイスラームの具体的な信仰や実践内容を説明するのに便利だったのだと思われます しかしイスラームと仏教の教えを直接比較し 具体的な共通点を指摘したケースもありました 例えば 回教圏研究所でイスラーム研究をしていた鏡島寛之 ( ) は 曹洞宗の僧籍をもつ仏教徒ですが イスラームにおける戒律の意義は道元禅師 ( ) の説いた 威儀即仏法作法是宗旨 に通じるとしています また イスラームにおける信仰と実践の一致は 親鸞聖人 ( ) の説いた 教行信証 や道元禅師の説いた 修証一如 と同じ立場だとも述べています 14 さらに鏡島はイスラームにおける信仰告白 ( シャハーダ ) の意義は 仏教の懺悔文や帰依三宝の意義と同様である としています 15 鏡島の場合は仏教用語を便宜的に用いたのではなく イスラームと仏教の共通点を意識的に指摘したのだと言えますが これらの共通点についての詳しい説明はなされていません 2. 現代の仏教徒とムスリムの相互認識における動向 では次に 現代における仏教徒とムスリムの相互認識についてお話します ここでは宗教 者や宗教学者による著作や論文 および宗教間対話を中心に見てまいります 仏教徒による イスラームへの言及 およびムスリムによる仏教への言及は 近年増加しつつありますが 系 13 嶋野 1975a 嶋野 1975b 嶋野 1975c 14 東 2002, 鏡島 1942,

153 統的な議論はまだあまりありません また仏教とキリスト教との対話に比べて 仏教とイスラームの対話は歴史が浅く 教義的な話題が取り上げられることは稀です この点についてはペリー シュミット=ロイケル ( Perry Schmidt-Leukel) 先生が以前から指摘しておられます しかし近年 この事態を打開すべく仏教とイスラームを教義的見地から論じ 共通点を指摘する動きがでてきました この新しい動きを 私は 並列主義 (parallelism) と呼んでおります 並列主義といいますのは 2 つ以上の宗教の主要な概念の間に共通点 (parallel) を見出し それらを並列的にとらえるアプローチをさします ここで重要なのは 共通点が宗教間の相互理解や対話の基盤となるものとして指摘されているということです 並列主義 は諸宗教の神学における伝統的な三類型( 排他主義 包括主義 多元主義 ) のうち 多元主義のモデルに修正を加え いわば 4 つ目の類型としたものです 多元主義の違いですが 並列主義は多元主義のようにすべての宗教が同じ究極の真理に向っているとは明言せず あくまでも解釈の延長線上にその可能性が存在することを示唆するに留まっていま す 16 仏教とイスラームの文脈における並列主義の例を見ますと 仏教徒の 並列主義者 が 神 の問題を取り上げていることが大きな特徴です 一神教のイスラームと 創造主 唯一神といった概念を持たない仏教の対話においては 神の問題が障壁になるという点はよく指摘されるところですが 仏教の側から神にあたる概念を提示することによってこの障壁を乗り越えようというわけです この代表的な例が 米国出身でチベット仏教の指導者 研究者であるアレクサンダー バーズィン (Alexander Berzin 1944-) です バーズィンはダライラマ 14 世の通訳 およびアドバイザーをつとめた経歴を持ち 仏教徒とムスリムの宗教間対話においても活発に活動しています 彼は ブッダは全能の神ではない と明言する一方 ムスリムとの対話において仏教が無神論であることに直接言及することを避けるべきである と主張しています また仏教において神に相当するものとして インドネシアの大乗仏教徒のように アディブッダの概念を導入しています インドネシアでは イスラームを始めとして複数の宗教が公認されています 公認を受ける宗教は唯一神 預言者 そして聖典を持っていなければなりません このため大乗仏教徒は すべてのものの源である 本初仏 アディブッダを自分たちの神として提示しています ちなみに上座仏教徒は アディブッダではなく 三宝 ( 仏法僧 ) を神として提示しています 17 バーズィンによれば アディブッダは 我々の外観および認識の創造主 であるとのことです さらに彼は イスラームではアッラーが究極的には人格化されておらず 不可知なる存在であるとされているという点に注目し すべてのものの源であり 言葉 概念を超越し 想像 16 Obuse 2014, インドネシアにおける仏教の扱いについては Brown 1987 を参照 145

154 できない アディブッダは ムスリムにとって共感しやすいものではないかと述べています 18 並列主義はイスラームの側からも出てきています ここにおられますイムティヤーズ ユースフ (Imtiyaz Yusuf) 先生のアプローチが好例です 先生は長くバンコクを拠点として 東南アジアにおける仏教徒とムスリムの対話の推進に尽力してこられ ムスリムと仏教徒の相互理解および対話のベースとして 仏教とイスラームにおける共通概念を積極的に指摘しておられます 例えば 仏教における 如来 ( タターガタ ) とイスラームにおけるヌール ムハンマド ( ムハンマドの光 ) 仏教における 菩薩 とイスラームにおけるアル =インサーンアル=カーミル ( 完全なる人間 預言者ムハンマドについて用いられる ) などです 19 世界中のいろいろな先生のご意見を 勝手にこれは 何々主義 などというと そんなつもりではない といわれる恐れがあり緊張するものですが ユースフ先生には 並列主義 としての分析に お墨付き をいただいておりますので 今日は安心してご紹介いたしました ただこのような並列主義のアプローチはまだ稀であり 特に仏教の側から神概念に相当するものを持ち出すことについては 伝統的な教義的立場に妥協を加えるものだととらえられ 反論も珍しくありません しかし 並列主義のアプローチを取る宗教者は他宗教との関係を改善するために自らの宗教の伝統的な教義の枠組みを超越しようとしているのであり 注目に値すると言えます 3. 日本人仏教学者によるイスラーム論 1945 年の終戦にともなってイスラーム政策の一環としてのイスラーム世界との協力体制やイスラーム研究は放棄されました 戦後日本におけるイスラームへの関心は全体的には低い一方 石油危機やイラン革命 湾岸戦争といった出来事をきっかけに 一時的に高まる傾向にあります 最近では 9 11 さらにいわゆる イスラーム国 など イスラーム過激派 と呼ばれるグループの活動を通してイスラームが注目されることが多いのは 皆様ご存知のとおりです 一方 イスラームのバックグランドを持つ日本への移民が増えています 1980 年代にはパキスタン バングラデシュ イランなどから そして最近はインドネシアなど 東南アジア出身者が多いようです 現在日本に暮らすムスリムは 約 10 万人と見積もられています 正式な統計がなく 実際はもっと多いという話も聞きますので 少なくとも 10 万人はいる といえばいいでしょうか このうち約 1 割が日本人だといわれています 厳密に言いますと 日本人 には日本に帰化した方の子供も入るわけですが ここでは日本人改宗ムスリムおよび まだ稀ですが そのような日本人ムスリムの両親をもつ日本人 ボーン ムスリム の方々を考えていただくといい 18 Berzin and Akpinar n.d. 19 Yusuf 2005, Yusuf

155 と思います 日本人改宗者の多くが 外国籍のムスリム男性と結婚してイスラームに改宗した女性の方々です しかしこれにつきましてもこの反対のケース つまり外国籍のムスリム女性を結婚した日本人男性 が一般に想像されているより大勢おられるという話を聞いております 男性は改宗されても 立派なひげを蓄えられるのでない限り 女性改宗者ほど服装の変化がないので気づきにくいようです このように 日本に暮らすムスリムは欧米などと比べてきわめて少数派であります さらに 出身国や言語などによっていくつものコミュニティに分かれており 1 つのまとまったムスリム コミュニティがあるわけではありません 例えば日本ムスリム協会は主に日本人ムスリムのための組織であって 日本に住むすべてのムスリムを統括するというようなものではありません 現在日本国内には およそ 100 のムスリムの礼拝所 ( モスクとムサッラー ) があります 最古のものは先ほど申し上げました神戸モスクです また 戦時中のイスラーム活動の中心地であった東京モスクは 1986 年に老朽化のため取り壊され その後 2000 年にトルコの資金によって東京ジャーミィがオープンしています 日本社会におけるイスラーム観は 国外の事件に影響をうける傾向にあり イスラームを語ったテロがあると イスラームへの批判が高まったり モスクやムスリムへのいやがらせが起こったりすることがあります しかし概して日本の一般社会とムスリム コミュニティの関係は良好で 国外の事件によって 国内のムスリムとノンムスリムのグループの間に 継続的な対立関係が生じているといった報道はありません このような状況ですので 現代の日本における仏教徒とムスリムのみの対話はまだ少なく 概して小規模なものとなっています 一方 日本国内における対立関係がなく共存のための 交渉 の必要がないためでしょうか 大抵の対話は 宗教者 同士の絆の感覚に満ちた友好的なものです 記録が残っている中で最初期の対話は 1976 年で 仏教サイドが立正佼成会の当時の会長の庭野日敬 ( ) 氏 イスラームサイドは日本ムスリム協会元会長の斉藤積平氏 およびサウジアラビアの A.R. シディキ氏 ( キング アブドルアジズ大学から派遣 ) という顔ぶれで行われました ここでは仏教とイスラームの実践や信仰内容 例えば礼拝 喜捨 ( ザカート ) また宗教協力といったテーマが議論され 仏教とイスラームの相違点と共通点が挙げられています 特に仏教サイドの庭野氏は 共通点を見出すのに積極的です 例えば 斉藤氏の仏教における信仰の対象は何かという質問に対し 庭野氏は 釈尊自身と釈尊が説いた法 であると答え さらに法身の久遠仏が歴史的存在としてインドに誕生したのが釈尊である という旨の説明をしていますが これに対してシディキ氏が その点イスラームでは非常にはっきりしています アッラーはアッラーであり ムハンマドは完全な人間なんです と イスラーム 147

156 ではアッラーと預言者ムハンマドが明確に区別されていることを強調しています 20 [ ママ ] しかし庭野氏はこれを受けてさらに 予言者とはいいませんが釈尊のほうもそれと同じだ と思います 仏教のほうでは久遠実乗の本仏といい キリスト教のほうでは天にまします神 といい イスラームではアッラーといわれている だけどこれは一緒のことだと思うのです 私どもの方からみると仏に見え イスラームの方から見るとアッラーに見える 21 と述べて います 諸宗教の神学の類型論にあてはめますと これは多元主義的立場といえます では最後に 現代の日本の仏教者によるよりまとまったイスラーム論についてお話いたし ます 日本人仏教者によるイスラーム関連の著作はまだ少なく 仏教徒として 仏教とイスラ ーム のみに焦点をあてた著作を出しているのは 私の知ります限り 狐野利久氏 (1931-) と東隆真氏 (1935-) のお二人のみです ちなみに仏教徒によるイスラーム論といいますと 仏教のバックグランドを持ちイスラー ム研究者として活躍された方がおられます 例えば第 1 部でお名前をあげました井筒俊彦氏 ( ) は 禅を実践する仏教徒であったといわれておりますが その著書の中で仏教徒 を自称したり仏教徒の立場からイスラームを論じたりすることはなかったようです また東大寺の別当をしておられた森本公誠氏 (1934-) も イスラーム史を専門とされてい ます 森本氏は仏教界を代表する人物として宗教間対話にも参加してこられましたが 仏教 者の視点からイスラームを論じた著書を出されたわけではありませんので 今日は扱いませ ん ではまず狐野利久氏についてですが 狐野氏は浄土真宗大谷派の僧籍を持っておられます また英文学および比較文化研究の専門家で 現在は室蘭工業大学名誉教授であられます ま たご出身地である北海道伊達市にあります皆遵寺のご住職を務めておられましたが 今は退 任され ご子息が跡をついでおられるようです 狐野氏は 1970 年代にロンドンに 1 年間滞在した際のホストファミリーがムスリムであった ことをきっかけに イスラームに興味を持たれました そしてこの個人的な付き合いを通し て得たイスラームへの親近感をベースに 仏教とイスラームを浄土真宗の立場から比較考察 しています これはまず学術論文として発表されましたが 後に自らのイスラーム観を法話 や一般書を通して真宗門徒およびムスリムを含む一般の人々に発信しておられます 狐野氏のアプローチは原則的に並列主義で とくにアッラーと阿弥陀如来の共通点に焦点 をあてておられます アッラーと阿弥陀如来の主な共通点として挙がっているのは 両者が それぞれの伝統において唯一の救済者および礼拝の対象となっているということ また 形 も色もないがその属性を表すさまざまな名前を持つということなどです 特に アッラーと阿弥陀仏に共通の属性として慈悲が強調されています 狐野氏は もとも と 色もない 姿もない 形もない アミターバ が 慈愛あまねき ( 無差別の慈悲 ) 人 20 庭野ほか 1976, 同上

157 格神 として 信者 の前に顕現してくる とまるで阿弥陀仏がアッラーであるかのような表現をしています 22 信者の信仰姿勢に関しても 狐野氏はイスラームにおけるアブドゥッラー ( 神のしもべ ) の概念が 如来の奴隷になる という浄土真宗の思想に通じるものであると指摘しています さらに狐野氏は イスラーム ( 神に服従すること ) と 帰命 は同じ姿勢を表すものであるとしています この上で 真の宗教はイスラームあるのみ というクルアーンのことばを根拠に 仏教 ( 浄土真宗 ) は純正なる宗教 信仰であるとムスリムにみとめられうると主張しておられます 23 以上のように 狐野氏のアプローチは仏教 ( 浄土真宗 ) とイスラームとの共通点を強調しておられますので 並列主義であると言えます しかし 稀にではありますが 真宗の教義をベースとした包括主義的な発言も見られます 例えば狐野氏は ユダヤ キリスト イスラーム 親鸞 という比較宗教の著書の前書きで こう述べておられます 筆者は異文化の中に阿弥陀如来 ( すなわち智慧のはたらき ) を発見し 時には如来がアッラーとなりイエスとなって顕現していると思っているから 異国の地において生活しても 違和感はない 24 これは狐野氏が仏教徒 ( 真宗門徒 ) として ご自分の世界観 および異宗教の世界に身をおいた場合の宗教実践を述べられたものとして非常に興味深いものです また 包括主義的発想にもとづくこの見解が著書の前書きに書かれており 本文ではイスラームと浄土真宗の共通点に焦点が当てられていること自体が イスラームに親近感を持ち ムスリムと仏教徒の相互理解およびよりよい共存のために教義上の共通点を意識して論じている狐野氏の並列主義的意識の現われではないかと思います 次に 2 人目の東隆真氏 (1935-) は曹洞宗の僧籍を持ち 曹洞宗の宗学を専門とされています 駒沢女子大学学長を経て現在は同大学名誉教授 そして金沢にあります大乗寺の専門僧堂の堂長をつとめておられます 東氏は 1996 年にシリアのアレッポ大学で日本における仏教の役割について講演をされたことがきっかけで イスラームに興味を持たれました 2002 年に 日本の仏教とイスラーム という著書を出版され 日本の仏教学者 ( 主に曹洞宗 ) によるイスラーム研究やクルアーンの日本語訳 仏教徒とムスリムとの交流に関する展望などについて論じておられます また東氏は アゼルバイジャン出身で禅に関心を持ち ( 医学を志していた ) 若い女性を大乗寺に修行僧として受け入れておられたこともあります 私もお目にかかりましたが 老師がおっしゃるように男性ばかりの中で 凛として 静かに修行をする姿が印象的でした ちなみに修行期間中もイスラームの実践を続け ラマダーン月の断食も守っていたそうです では東氏のイスラーム観の特徴をご著書の内容をもとにお話いたします 先ほどご紹介し 22 狐野 1995, 狐野 2003, 19 本文中に指摘はないが これはクルアーン 3:19 であると思われる 24 同上 ix 149

158 ました狐野氏と同様に 東氏も仏教徒の立場からイスラームに興味を持ち 対話や相互理解を深めることを目指して 発言をしてこられました また 9 11 直後の出版であることも関係しているのでしょうか 究極の目標として 世界平和 を挙げ 今後 百年 二百年の努力の歳月を費やすことになるかもしれないが 厭うところではない 25 とその決意を述べておられます しかし 一方で 東氏は仏教とイスラームの間に教義上の共通点を見出すことに非常に慎重な姿勢をとっておられます これは狐野氏の並列主義的アプローチと大きく異なる点です 東氏の著作では 仏教とイスラームの共通点はわずかしか指摘されていません またそのほとんどが巻末の 禅とスーフィズム という試論における言及です ここでは剃髪や師弟関係のあり方などが挙がっていますが 教義に関するものはありません またこれらの共通点が仏教とイスラームの対話や相互理解のための基盤として提示されているわけでもありません また 東氏は仏教語を用いてイスラームを説明することに批判的です 特に 慈悲 についてはこう述べておられます 慈悲 ないし 大慈大悲 は 仏教語であり 仏教のもっとも重要な教義 実践をあらわすことばであるから この 慈悲 を その性格や教義が全く相違するイスラームのアッラーに当てるのは 少なくとも仏教の側からみると 不適切であるといわなければならない 26 東氏が仏教とイスラームの共通点を論じることに消極的であるのは 先ほど紹介しました 日本初の仏教徒とムスリムの対談に対するコメントからも明らかです 少し引用が長くなり ますが 日本人ムスリムである斉藤氏が 次のような発言をしておられます それぞれの宗教の中にもいろいろな宗派があって それに伴いもろもろの考え方の相違が出てくるのは仕方がないと思います だから違っている点をいいあっていてもきりがないわけで 平和という人類の大目的のためにはお互いに共通点を見つけて それを中心に協力していかなければならない 例えばイスラーム教は仏教や神道と比較しても共通点は少なくないのです 東氏はこれをそのまま引用され 次のように述べておられます 諸宗教は相互理解し協力しあって平和実現のために努力すべきであるという日本人ムスリムたち の主張は 一仏教徒としての私にも 容易に理解と共感をもって迎えることができる ここでは 平和 という目的意識を共有している一方 斎藤氏が強調している 共通点を見出だすことの重要性 25 東 2002, 9 26 同上 p

159 については まったく言及がありません 27 なぜ東氏は 仏教とイスラームの共通点を論じることに消極的なのか その理由としてはまず 東氏の中に仏教とイスラームが極端に違うという認識があるということが言えると思います ご本人もおっしゃっていましたが 例えば禅には 浄土真宗における阿弥陀仏に対する信仰のようなものがない つまり一神教的発想がない という点が大きな相違点のひとつのようです また 東氏がイスラームを論じるにあたって参考にされている文献の中にはかなり古いものや視点が偏っているものがあり これが原因で一部イスラームに否定的かつステレオタイプ的な見解を持つ結果になってしまっている可能性もあると思います 否定的ということは仏教徒である東氏にとっては異質であるということですから 共通点を見出すのが難しくなります さらに東氏は日本で禅学者および禅の指導者として活躍してこられた一方 長期海外生活の経験がなく 日常的にムスリムの方と接することが少ないということも関連があるかもしれません しかし 仏教とイスラームの共通点を見出すことに慎重である東氏の姿勢を 参考文献の偏りや海外生活経験の少なさで説明しつくすことはできません そうすると共通点を見出すことが ちょっと陳腐な表現ですが 国際派の スタンスであり また 正しく イスラームを理解すれば共通点が見出せるはずだ という前提が生じてしまうからです 今日は ともに仏教徒としてムスリムとの相互理解を深めることを願い共通点を強調される狐野氏と 共通点を指摘することに慎重な東氏お二人の見解をご紹介しました 日本における仏教とイスラームの対話について 仏教者の先生方のご意見が大いに待たれるところだと思います ご静聴ありがとうございました 参考文献 東隆真 2002 年 日本の仏教とイスラーム 春秋社 有賀文八郎 1935 年 日本におけるイスラム教 東方書院 池本半之助 1903 年 マホメットの戦争主義 春山房 鏡島寛之 1942 年 回教教理 回教圏研究所編 概観回教圏 誠文堂新光社 27 同上 p

160 狐野利久 1995 年 比較文化入門 北星堂書店 狐野利久 2003 年 ユダヤ キリスト イスラーム 親鸞 法蔵舘 四戸潤弥 2004 年 アフマド有賀文八郎 ( 阿馬土 ) : 日本におけるイスラーム法学の先駆者とし ての位置づけ 宗教研究 78-2, 嶋野三郎 1975 年 (a) マホメット教と日本 満鉄会報 102, 年 (b) マホメット教と日本 満鉄会報 103, 年 (c) マホメット教と日本 満鉄会報 104,10-11 杉田英明 1995 年 日本人の中東発見 東京大学出版会 高島祐啓 1867 年 欧西行記 第 7 巻 田中逸平 2003 年拓殖大学創立百年史編纂室編 田中逸平その 3 日本論日本ムスリム から見た神道 拓殖大学 坪内隆彦 2001 年 イスラーム先駆者田中逸平 試論 拓殖大学百年史研究 8, 1-56 徳富蘆花 徳富愛子 1929 年 (a) 日本から日本へ 1 蘆花全集 12 蘆花全集刊行会 1929 年 1929 年 (b) 日本から日本へ 2 蘆花全集 13 蘆花全集刊行会 1929 年 庭野日敬 A.R. シディキ 斉藤積平 1976 年 対談 : イスラームと仏教 アッサラーム 6, 8-17 忽滑谷快天 1905 年 (a) 怪傑マホメット 井冽堂 1905 年 (b) マホメット キリスト 仏陀 新仏教 6-3, 森島中良 紅毛雑話 [1787 年 ] 紅毛雑話 蘭畹摘芳 恒和出版 1980 年 山岡光太郎 世界の秘境アラビア縦断記 ゆまに書房 1988 年 152

161 Berzin, Alexander and Snjezana Akpinar, n.d., Some Common Features of Islam and Buddhism: A Conversation with Snjezana Akpinar and Alex Berzin, Berzin Archives, < ism.html >. Brown, Iem, Contemporary Indonesian Buddhism and Monotheism. Journal of Southeast Asian Studies 18, no.1 (1987), Obuse, Kieko, Theology of Religions in the Context of Buddhist-Muslim Relations. In Imtiyaz Yusuf (ed.), ASEAN Religious Pluralism: The Challenges of Building a Socio-Cultural Community. Bangkok: Konrad Adenauer Stiftung, Yusuf, Imtiyaz, Dialogue between Islam and Buddhism through the Concept of Tathagata and Nur Muhammadi. International Journal of Buddhist Thought & Culture 5, , Dialogue Between Sufism and Buddhism: The Concepts of al-insan al-kamil and Bodhisattva. In Imtiyaz Yusuf (ed.), Measuring the Effect of Iranian Mysticism on Southeast Asia (Bangkok: Cultural Centre, Embassy of Islamic Republic of Iran, 2004),

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172 164 ということを再確認しておかなければならないということであります 以上で 今日の私の発表を終わらせていただきます ご清聴ありがとうございました

173 165 3下品下生の人は 命終の時に臨んで 善友( 九品往生義 では善知識)の人の教えに随って ただ至心に十念を具足して 南無無量寿仏 と称うれば 仏名を称うるが故に 念念の中に八十億劫の生死の罪を除いて 一念の頃に即ち往生を得ることができると示されています(傍線5) このように臨終に際して 念仏によって生死の無量の罪障を除くことができるという 臨終心力 に関する 観無量寿経 下品段の所説につきましても 往生要集 は 九品往生義 の所説を継承していることが知られるのであります 7.結語今回のテーマとして掲げた 慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響について 師弟という伝記の上での密接なつながりを含めて 九品往生義 と 往生要集 との関連を中心に検討をしてまいりました その結果 往生要集 には臨終の浄土観について 九品往生義 の影響が顕著に見られるということが明白となってまいりました 一つは 臨終十念 について 南無阿弥陀仏 と六字名号を称念する時間的な一念の捉え方をしたこと さらにまた新羅義寂の説を取り入れて 弥勒所問経 の十念説を採用したということです もう一つは 臨終の心力 について 天台の指南書とされる 大智度論 および天台大師の 浄土十疑論 の所説によりまして 臨終の一念は百年の業に勝る と主張したこと また五逆十悪を犯した下品下生の極悪愚人ですら命終に臨んで念仏すれば 念々のうちに八十億劫の生死の罪が除かれ往生できるという 臨終心力 の猛利なることの経証として 観無量寿経 を依用していることが挙げられます 以上の諸点より 良源撰 九品往生義 から恵心僧都源信撰 往生要集 への直接的な影響をみることができます したがって 往生要集 と 九品往生義 との関連性を否定された石田瑞麿 平林盛得両氏の学説は 全く根拠のないものであり 今後は見方を改めなければなりません なお 九品往生義 は 観無量寿経 の九品段の解釈でありまして 大文第四 正修念仏 を中核として浄土念仏の要文を集大成した 往生要集 とは 撰述の趣旨が異なるという点にも留意しなければなりませんが 往生要集 によって確立大成されました叡山浄土教の基調は 何といっても最澄伝承の 止観念仏 そして円仁伝承の 五会念仏 にある

174 166 この対比につきまして説明申し上げますと 往生要集 大文第十 問答料簡 の第五臨終念想において 臨終の心力 が示されております そこでは 臨終の心念 その力幾許なれば能く大事を成ずるや との問いを起こし その力は百年の業に勝る と述べています そしてその根拠として 大論 (即ち 大智度論 大正二五 二三八中)を引用している点が 九品往生義 と共通(傍線1)しています ただし 九品往生義 の引用はやや要略した文でありますが 往生要集 は原典に忠実な引用をおこなったと考えることができます 例えば 九品往生義 では 百年の業に勝る とあるのに対し 往生要集 では原文通り 百年の行力に勝る と引用しています 次に 九品往生義 では 十疑の中第八疑に曰く とあり 往生要集 では 十疑に釈して云く として引かれている文(傍線2)は 天台大師撰と伝える 浄土十疑論 (大正四七 八〇上)をそのまま引用したものであることが知られます その内容を要約しますと いくら一生に善なる行いをしていても 臨終の一念に邪見を起こせば地獄に堕ちる 逆に臨終に念仏すれば その猛利なる力によって無始の悪業を排って浄土に生まれることができる などと説かれています この 十疑論 の所説もまた 九品往生義 から 往生要集 へと受け継がれているのであります 次に 往生要集 大文第九 諸行往生 に説かれます 観無量寿経 九品段の下品三生において述べられている臨終の心念は 百年の業に勝る という臨終の心力を証明する経文といえますが その要旨につきましても 九品往生義 との密接な関連がみられます ただし 九品往生義 では 観無量寿経 九品段の解釈を主題としていることから 詳細な論が展開されているのに対し 往生要集 では 簡潔に要約した内容となっております これについてもレジュメ八頁に両書の関連部分を対応させ 同一文章に傍線を付しておきましたので レジュメで対応した共通部分について 少し説明を加えておきましょう 1下品上生の人については 命終の時に臨んで 合掌し叉手して南無阿弥陀仏と仏名を称うれば 五十億劫の生死の罪を除く等と説いています(傍線4) 2下品中生の人は 悪業によって命終の時に臨んで地獄の猛火( 九品往生義 では衆火)一時に倶に至るに 阿弥陀仏の十力の威徳や光明神力 また戒定慧解脱知見を聞けば 八十億劫の生死の罪を除いて往生を得ると説いています(傍線3)

175 167 (3)護法の心を発して身命を惜まず 一切の法において誹謗を生ぜず (4)忍辱の中において決定心を生ず (5)深心清浄にして利養に染らず (6)一切智心を発して 日日常に念じて廃忘あることなし (7)諸の衆生において尊重の心を起こし 我慢の心を除いて謙下し言説す (8)世の談話において味著を生ぜず (9)覚意に近づいて深く種種の善根の因縁を起こし 憒閙散乱の心を遠離す (10)正念に仏を観じて諸想を除去す ただし この十念は義寂の 無量寿経述義 の釈により 専心に仏の名を称える時は 自然に是の如きの十を具足するので 必ずしも一々別に慈等の十念を縁ずる必要はない としています これについては 受戒の折 三帰を称すれば別に殺生等の事を縁じなくても 殺生等の事を離れることができるが如きであると説いています このように慈等の十念を具足して南無阿弥陀仏( 九品往生義 では 南無仏 )と称することとし 若しは一称( 九品往生義 では 少称 )であっても 多称であっても往生が得られると述べています 以上が臨終十念についての 九品往生義 と 往生要集 との関連箇所でありまして 恵心僧都は師僧良源の所説を継承していることが明らかであるといえます (2)臨終の心力 往生要集 第六 別時念仏 の臨終行儀の中 臨終勧念 において 臨終の一念は百年の業に勝る (恵全一 一七八)と説かれ 臨終の心力の猛利なることが示されています この所説もまた 九品往生義 からの影響とみられますので 両書の該当箇所を対応(レジュメ八頁)させ 同一文章に傍線を付しておきました

176 168 生を照らし 摂取して捨てたまわずと念ず 9 阿弥陀仏は観音 勢至 無量聖衆と共に来って引接したまふと念ず 10 臨終の一念は百年の業に勝れ 一心念仏により決定して往生すと念じ 仏 必ずわれを引接したまえと念ず この8 9 10も観察門の雑観に当たります(恵全一 一七二~一七八) 観察門の中で極略というものがあって その極略というものは 往生要集 では雑略観として示されています 雑略観として白毫相が説かれますが それができないものでも仏に帰命し 引接したまふと思い 往生すという思いを持てば往生できると説いています 実はそれがこの臨終においても 五念門が極楽往生のための一番大事なポイントとして示されているのです 6. 九品往生義 と 往生要集 の関連(1)臨終十念 往生要集 の 臨終十念 の所論が 九品往生義 から直接影響を受けているとみられる箇所を対応させると レジュメ七頁の上段 九品往生義 と下段 往生要集 との対比表のごとくでありまして 同一文章には傍線を付しておきましたので これをもとに両者に共通する部分を解説していきたいと思います ここでは 下品下生の人が臨終に際し 南無阿弥陀仏 と十念を称えれば往生を得るとする 観無量寿経 の文を取り上げて論を展開しています 傍線1では 南無阿弥陀仏 の六字を称する頃(時間)を一念と名づけていること 次に 寂法師の疏 すなわち新羅義寂撰 無量寿経述義 (散佚)(傍線3)に引用される 弥勒所問経 (散佚)の十念説(傍線2)を取り上げ さらに義寂疏の十念釈を引用している(傍線3)ことが指摘できます この 弥勒所問経 の十念について 往生要集 では大文第九 往生諸行 において 九品往生義 と同一文章を引いて依用しています ここでは 能く十念相続して不断に念仏すれば即ち往生することを得ん とあり 十念の内容を次のように説いております (1)諸の衆生において常に慈心を生じ その行を毀たず 若しその行を毀たば終に往生せず (2)諸の衆生において常に悲心を起こし 残害の意を除く

177 169 心僧都の墓石の形は全く一緒で 塔身は八角形多面石幢 頂上には饅頭型の笠石が置かれています 臨終行儀について次に臨終行儀について 特にお師匠さんと弟子の深いつながりが 往生要集 九品往生義 に見られるということをお話ししたいと思います 良源の臨終行儀のことは 根本資料である 慈恵大僧正伝 の中に 和尚 掌を合わせ西に面って誓いていわく 我が所修の善根 悉く菩提を資け 兼ねて熏修を分けて 一切衆生に廻向す 命終の後 願わくは必ず極楽世界に往生せんと とあり 自信を持って私は必ず極楽に往生しますと仰って亡くなられました さらに 口に弥陀を念じ 心に実相を観る とあります まさにこれは五会念仏の立場であり それを受け継いでおられるのです( 続天台宗全書 師伝2 日本天台僧伝類1 一九八下) 往生要集 では 大文第六 別時念仏 の中の 臨終行儀 に臨終の作法が詳しく取り上げられています その中で中国の律宗の道宣が撰述した 四分律行事鈔 という資料を取り上げた箇所があります すなわち インドの祇園精舎というお釈迦さんの時代のお寺の中に無常院というお寺があり そこでの臨終を迎えるときの作法を恵心僧都は参照し 引用しています そして阿弥陀如来と五綵の幡で手を結び 焼香 散華して 種々に勧進をし あるいは端厳なる仏の姿 阿弥陀如来のお姿を見せしめなさい このように書いています 次に臨終のときにどういうふうに心を置くかということが 臨終の勧念 において書かれています そこには 本より期する所は臨終の十念を念じ 一心に十事を誓期す とあり 十の項目(十事)が示されています それを要約して掲げます 1 大乗の実智を発して生死の由来を知り 一心に仏 法 僧を念ず 2 娑婆世界を厭離し 阿弥陀仏 われを救済したまえと念ず 3 浄土を欣求し われを引接し 往生せしめたまえと念ず 4 往生の業を求め わが一切の善根を回向し 往生せんことを念ず この4は回向門に当たります 5 重ねて菩提心を発し 決定して 極楽に往生せんと念ず これは菩提心を起こすことで 作願門に当たります 6 阿弥陀仏を念じ 称讃し 帰命し 弥陀の一切万徳に帰命すと念ず これは礼拝門 讃歎門に当たります 7 阿弥陀仏の色相の中 特に眉間白毫相を念じ 白毫相の光 わが罪を滅したまえと念ず これは観察門の雑略観に当たります 8 白毫相の光明は念仏の衆

178 170 集 はそのような私的なことを書く書物ではないということがあるかと思いますし 必ずや師の霊前に 往生要集 をお供えされたことでしょう 葬送事について亡くなったときに葬儀をどうするかということを慈恵大師がご遺言をされていますが その真筆が残っています 国宝として京都の廬山寺というところに所蔵されております その中に 命終して 三日の内に必ず之れを葬すべし 延行すべからず と言っています( 平安遺文 古文書編第二巻 四四一~四四八) そのことについて恵心僧都は 往生要集 の教えを実践する念仏結社を作りました すなわち 往生要集 が完成した次の年に華台院というお寺を(今はありませんが)建てました そこで結社を作ったのです 二十五人からなる念仏結社です お互いに極楽往生のために念仏をし 死に至るまで助け合い 臨終にはどのように看取りをするか さらに死んだ後にどういうふうにしてお墓を作り どのように廻向するか そのようなことが詳しく書かれております その結社の趣旨や内容は恵心僧都撰 二十五三昧起請 に書かれています その中に すなわち一結の死人あらば三日を過ぎず すなわち日の善悪を論ぜず 此の廟において之れを葬る とありますが これはまさにお師匠さんの遺告を実行したということが分かります さらに続いて 二十五三昧起請 には 結衆下世の者 日時の吉凶を択ばず 方隅の忌を避けず 三日の内に必ずここに葬る とあるのも良源の遺告によるものです 次に葬送の事で率都婆の中に安置するものについて 御遺告 には 窣都婆の中には 随求 大仏頂 尊勝 光明 五字阿弥陀等真言を安置す とあり お墓の中には随求陀羅尼や大仏頂陀羅尼 仏頂尊勝陀羅尼などを収めなさいと遺言されています それについて 二十五三昧起請 で恵心僧都は 真言をもって之れを鎮める と述べ 続いて 一基の率都婆を建て その内に多種の陀羅尼を置く と説いて良源のご遺告を忠実に継承していることがわかります(恵全一 三五四) そしてレジュメに写真を入れておきましたが 慈恵大師御廟の石幢は八角形です こういう墓は良源とその弟子のみにしか見られません 比叡山でも珍しいものです この慈恵大師 お師匠さんが示されたものを 弟子がそのまま使っているのです 慈恵大師と恵

179 171 なくて 素直に子弟の関係で見ていくのが妥当であろうと思います 源信は奈良県の当麻郷の出身で 当麻寺の念仏信仰の篤い地に生まれられました 良源は若きころに 因明四相違義 という論義をされました この 因明四相違義 というテーマを取り上げ お師匠さんの立場を受け継ぎ さらに深めていくという意味もあったのでしょうが 源信は三十八歳のとき 因明論疏四相違略註釈 という書物を著しておられます 藤原師輔という当時の太政大臣が発願により 慈恵大師は横川に楞厳三昧院を建てられました そのときに初めて横川にも常行堂 法華堂が建立されました ちょうどそのころ源信は良源のもとへ弟子入りしました はっきりとした年代は分かりませんが 十代半ば頃だろうといわれています 源信は良源のもとで四種三昧を成就したと伝記にありますから おそらく完成したばかりの法華堂 常行堂で四種三昧の止観を修されたことだろうと思われます それから特に 応和三年(九六三) 良源が法相宗の法蔵と一三権実の論争を繰り広げられたことは有名な話ですが これは伝教大師最澄と法相宗徳一との一三権実の論争に端を発しています この論争は 法華経 に説かれる 誰もが仏となるという一乗の教えは真実なのか 方便なのか あるいは 全ての者が仏となれるのか なれないのか そういうことがテーマとなっております この一三権実の 法華経 の仏性論争 これがお師匠さんである良源が法相宗の法蔵と論争したことと関連しておりまして この長きに亘る論争に決着をつけたのが 源信が六十五歳の時に撰述した 一乗要決 です これも師匠である良源の立場を受け継いだものであるといえます 少しもどりますが 源信二十五歳のとき 師の良源は五十五歳で座主に就任しております また 源信は法華十講において広学竪義をおこなっていますが これも師良源の指導によるものであったと思われます それから恵心僧都というのは 横川の恵心院というお寺 ここにおられたから恵心僧都といわれるのです このお寺が永観元年 慈恵大師でいうと七十二歳のときに落慶をしたという記録もございます それから 良源が入滅したのは九八五年正月三日 比叡山麓の坂本の弘法寺というお寺で亡くなられたのですが ちょうどその亡くなられてすぐ後に 往生要集 が完成しています 往生要集 にそのことが書かれていないのはおかしいといいますが 往生要

180 172 であり 大僧正の栄位を極め ほとんど灰燼に帰した一山を復興した大人物であるのに対して 源信は名利を捨て 山深い横川の一隅に隠れて 少僧都という位も受けることを嫌った一介の聖であったという そうした相反する対照的な差によるものとも考えられる (四六〇頁)とし 師匠良源と恵心僧都とは全く相い反する考え方であったと見ておられるのです さらに平林盛得氏の人物叢書 良源 (吉川弘文館 一九八七年)に次のように書かれております ところで良源の弟子源信は 師の死去の年に 往生要集 を完成した 以後の浄土信仰はこの書に大きな影響を受けることになる いわば 九品往生義 を高度な浄土概説書とすれば 往生要集 は念仏の実践書であって 両書は厳密にいえば異質のものである 引用書も 論述も大きく異なっている そして源信は師の 九品往生義 にふれていないばかりか 師の死にも何ら言及していないのである 往生要集 の序文のなかにでも 師を悼む言葉の一端を加えておいて当然ではないだろうか と このように言っています さらに平林氏は 師の著作 九品往生義 を無視しているのはいかなることであろうか 良源が仰せを奉じて 九品往生義 を編したことになっているが それは名目上のことであって 現実には良源門下の弟子たちの作ではないだろうか と推測されております(一八四~一八六頁) 平林盛得氏も石田瑞麿氏と同様に 九品往生義 と 往生要集 の関連を全面的に否定した上で 九品往生義 の偽撰的立場にまで及んでいるということが分かります また 最近の研究が幾つかありますけれど そこにおきましても 九品往生義 と 往生要集 の関連については ほとんど省みられていないというのが現状であります しかしながら このたび私が再検討した結果 師僧良源と弟子源信の間には まず伝記の上で密接な関係があり 互いに全く反するものではないということ さらには 往生要集 には 九品往生義 の直接的な教理の依用 影響が見られるということが分かってまいりましたので そのことをこの後 取り上げてまいります 5.伝記における慈恵大師良源と恵心僧都源信との関連ここでは伝記における慈恵大師良源と恵心僧都源信の関連を比較してみました すべて相反するものであると先入観で見るのでは

181 173 正四七 四七三中) この五会念仏の基本的な考え方を受けたのが まさに 往生要集 なのです そのことは 往生要集 の核心である大文第四 正修念仏 に示されています 本章は五念門で組織されており 世親の 浄土論 による五念門が一番大事な念仏の在り方だとして取り入れられています その中に 観察門 というところがあり そこに別相観 惣相観 雑略観のいわゆる色相観が説かれ 仏のお姿を思い起こしていくということが念仏の大事な心の持ち方だと示しているのです 詳しく述べますと 往生要集 では 阿弥陀如来の四十二相という形でお姿を観察していくということが説かれております これは伝教大師最澄伝承の止観念仏の説明の中でご紹介申し上げた 常行三昧の 意の止観 におきまして 阿弥陀仏の三十二相を念ずべきこととしたこと さらにその後 慈覚大師円仁が伝承した天台の流れを汲む 五会念仏 においても 法照禅師は 正念仏 と称して阿弥陀仏の三十二相八十随形好を念ずべきとしたこと これらを基本的に継承して組織体系付けられたのが 往生要集 の形態であると考えられます 4. 九品往生義 と 往生要集 に関する従来の学説ここで問題として取り上げることは 九品往生義 と 往生要集 との関連について 従来の学説では それが否定されてきたということですが これは見直さなければならないと思います まず 往生要集 研究の基本的な手引きとして用いられている石田瑞磨校注 源信 ( 往生要集 日本思想体系6 岩波書店 一九七〇年)の解説 源信と先行の念仏思想との関係 の中では次のようにあります 最初に注目されるのは 源信の師良源である 良源には 極楽浄土九品往生義 と題する 観無量寿経 の九品を注釈した一書がある しかし 奇異なことに 往生要集 のなかには ついに一度としてこの書を参考にした形跡が見当たらない (四五八頁)と書かれています その理由として石田氏は 両者の根本的な違いを挙げて それは 良源が能力 資質の勝れた念仏者の側に立ってものを考えたのに対して 源信は劣った者の側に立つことから出発しようとした違いであろう さらに世俗的な 皮肉な言い方をすれば 良源は座主

182 174 で どういう内容かは全く分かりません 八以後のみ現存していて 第八讃仏得益門 第九化生利益門 第十廻向発願門となっています 最後に 総じて一期浄土五会念仏経讃法事観行儀を明かし竟ぬ とまとめています 次に法照の系譜は天台の系譜であるということをお話し申し上げます これは 左渓大師碑 という碑文 あるいは 荊州大雲寺故蘭若和尚碑 および智証大師円珍の 諸家教相同異集 によって法照の系譜が分かります 天台の系譜には二つの大きな流れがあります 一つは天台大師から章安灌頂 智威 恵威 玄朗 湛然という天台山系の天台の流れと もう一つは灌頂から道素 弘景 恵真 承遠 法照 鏡霜という玉泉天台の系譜があり 慈覚大師は この鏡霜という人から学んだであろうということになります これを表示すると次の通りです 智威 恵威 玄朗 湛然天台山系天台智顗 灌頂道素 弘景恵真 承遠 法照 鏡霜玉泉寺系一行鑑眞このように法照は天台の系譜に列なっています そして 円仁伝承の五会念仏は 法照感得の極楽世界水鳥樹林の妙音曲によって称念するが その内容は 天台の中道実相観(見仏)を得る為の止観念仏と 極楽往生の為の念仏を融合したものであったということがいえるのです その中道実相という言葉については 念仏三昧理事双修 相無相の念 即ち中道実相と相応す と説かれています 中道実相というのは 天台大師の悟りの境地を表した言葉です ですから 念仏三昧は天台の究極の悟りである中道実相と相応するものであるということがわかります つまり天台の中道実相(見仏)を得る為の止観念仏と極楽往生の為の念仏を融合したことになります(大

183 175 如来の相好威儀を想えと書いています 阿弥陀如来のお姿を観想していくのは天台大師が示した 摩訶止観 所説の常行三昧の教えに基づくものです このように弥陀の相好を想って かくの如く大衆説法し一心不乱す 或いは一日一夜 或いは 七日七夜 先に聞く所の如く 之れを具足すれば この人必ず阿弥陀如来を見ん とあり 念仏成就すれば必ず仏を見ることができると 観行儀 には書いてあります 天台大師の仏立三昧の意趣と同様なのです(大正八五 一二五四中) 続いて 観行儀 の中には阿弥陀如来の言葉として次のように説いてあります 阿弥陀仏告げてのたまわく 汝正に念仏せんと欲せば まさに阿弥陀仏に三十二相八十随形好有りて 身は真金色にして 大光明を放ち 蓮華座に坐したまうと念ずべし とあり これは先ほどの天台大師の常行三昧(止観念仏)と同じく阿弥陀如来のお姿である三十二相八十随形好 これを心に思い浮かべて観想していくべきことと示されます この弥陀相好の観想を法照は 正念仏 として中核に位置付けていますが この立場を継承したのが 往生要集 の 正修念仏 だと見られます このようにして弥陀の相好を念ずることによって 諸仏が現前するという 諸仏現前三昧 を得るのには三つの因縁があると法照は言っております その因縁は 一つには この念仏三昧に縁る 二つには 彼の仏の願力の加持に縁る 三つには 善根純熟なり です 三つ目は行者の善根功徳力ということですね これら三因縁によって彼の仏を見ることができると説いています この三因縁も 摩訶止観 の仏立三昧の所説によっていることが知られます(大正八五 二一五四下) 次に 法事儀讃 は上巻が欠本で内容は分かりませんが 後半は現存しております そこには 最後に西方礼讃 天台智者の 廻向発願文 を唱え 取り散ず とあります 西方礼讃 は 善導大師の著作です 法照は善導の 往生礼讃 を沢山用いているという特色があります まずその 西方礼讃 ( 往生礼讃 )を唱えた後に 天台智者大師の 廻向発願文 を唱えることとしています(大正四七 四七三中) この 観行儀 に引用された天台大師の 廻向発願文 には 阿弥陀仏国に往生す という文があり 天台大師の他の著作にみられない 往生 という語が出ています これが天台大師の逸文であるとすれば貴重なものであると思われます(大正八五 一二五二下) また 観行儀 では五会念仏の組織を十段に分けて説きます しかし 一から七までは上巻にあり しかもこの上巻は欠本ですの

184 176 (2)法照の著作ところで 五会念仏というものは一体どういうものか まずは法照の著作についてお話します 一つは 浄土五会念仏誦経観行儀 という三巻の書があります これは 敦煌から出たものですが 上巻は欠本で分かりません これは大正新脩大蔵経の第八十五巻に入っております 以下 観行儀 ということとします もう一つは 浄土五会念仏略法事儀讃 一巻があります これは大正新脩大蔵経の第四十七巻にあり 以下 法事儀讃 と略称したいと思います この 観行儀 によりますと 法照禅師の念仏修行について法照自ら以下のように書かれております 法照は 永泰二年 七六六年四月十五日 弘願を発し 南岳弥陀台の般舟念仏道場で一夏九十日の念仏三昧を修しておられました 第二七日の夜 十四日目ということになるのでしょうか 五色光明を見て 西方極楽世界の阿弥陀仏の所に至り 無量寿経 に依る 五会念仏 原文では 無価梵音五会念仏法門 とあり これを親しく阿弥陀如来から親授されたというのです この念仏により現前に 生きながらに この身このままで 仏を見て 阿弥陀如来を感得されました そして 命終 亡くなる時には来迎接決定して極楽に行くことができ 往生の大利益を得ると示されております(大正八五 一二五三中~一二五四上) (3)五会念仏ここでは五会念仏の教理について取りあげます 法事儀讃 には 念仏三昧 という言葉が出てまいります すなわち 念仏三昧は是れ無上深妙禅門なり とあり 禅という教えと念仏というものを融合しています 続いて 弥陀法王の四十八願名号を以って仏事と為し 願力衆生を度す と説かれ 弥陀の願力によって極楽往生を目指すことが示されます さらに 所以に五会の声 常宮に流れ 浄教 普く沙界に霑う とあります このように 法事儀讃 には述べられておりますが その特色は念仏と禅というものを融合させることにあります(大正四七 四七四下) 次に天台大師の常行三昧は 歩くという形ですが 五会念仏は端坐 坐るという形で行います 端坐して心を専らにし かの阿弥陀

185 177 詣で水鳥樹林の唱うる所の七五三の妙曲を五台山に伝う と記されています 生きながら禅定に入って極楽の世界を感得し 極楽の音曲を五台山に伝えたというのです そのお寺は竹林寺といい 五会念仏を 一夏九旬の間 此の笛を以って件の曲を吹き伝えて 叡山に移す とあります 五台山でこの五会念仏を学び これを音曲で伝えたことがわかります これはまた 天台声明の起源となりました 比叡山の天台密教を大成した五大院安然(八四一~?)の 金剛界大法対受記 という著作の中にも以下のように仰っておられます 昔斯那国の法道和尚 現身に極楽国に往き 親しく水鳥樹林の念仏の声を聞き 以って斯那に伝う 慈覚大師五台山に入り 其の音曲を学び 以て叡山に伝う 此に長声二声合殺五声有り と このように円仁が五会念仏を比叡山に伝えたことを述べています そのことを裏付ける資料として慈覚大師の 入唐求法巡礼行記 があります その中で 竹林寺の五会念仏のことが 開成五年(八四〇)五月一日の日記の中に書かれております 斎後 (竹林寺)寺舎を巡礼するに 般舟道場有り 曾て 法照和尚有り 此の堂において 念仏す 勅諡有りて 大悟和上と為す 遷化来かた二年 と書かれています また法照禅師の御姿がお祀りされていたことも記しております さらに会昌元年になりまして 八四一年の二月八日の条に 又 勅して(長安)章敬寺鏡霜法師をして 諸寺において 阿弥陀浄土念仏の教を伝え とあります ここには 五会念仏とは書かれておりませんけれども この念仏内容を説明したいと思います ここに 章敬寺鏡霜法師 とあります 鏡霜という人は 実は章敬寺というお寺に住んでおり このお寺は武宗という皇帝の皇后陛下の追福をするために建てられました 章敬皇后といったので その名前をつけて 追福のために建てました その章敬寺は法照禅師が 浄土五会念仏略法事儀讃 一巻の著作をされた場所でもあります そして その後 このお弟子さんの鏡霜という人は 章敬寺に法照禅師の石碑を建てられたことも記録に残っていますので ここで行われたのはまさに五会念仏でありました それが 廿三日より起こし首め 廿五日に至るまで この資聖寺において念仏の教を伝う です 資聖寺は円仁が長く長安の都で滞在されたお寺でもあります 鏡霜は その資聖寺で五会念仏の教えを伝えられたことが知られるのです また長安の都の中の諸寺を巡り 毎月 寺毎に三日ずつ五会念仏を修し伝えたことも 巡礼記 会昌二年(八四一)二月八日の条に記録されています ですから五台山竹林寺に限らず 長安の都でもこの五会念仏が盛んに行われていたことが窺われるのです

186 178 宝樹宝堂在りて 衆の菩薩の中央に坐して経を説きたまう とあり 極楽世界で仏法を説いておられる阿弥陀如来を思い起こしなさい 三ヶ月間 九十日間常にこの阿弥陀仏を心に念じなさいとあります 云何が念ずるや として どのように念ずるのですか との問いを発して 三十二相を念ずる つまり阿弥陀さんのお姿を思い起こすということですね 往生要集 では 恵心僧都は四十二相という数字を挙げています 阿弥陀仏は 足の裏から頭のてっぺんまで我々と異なる三十二相 八十種好というすぐれた姿を持っておられる それを一つ一つ観ていきなさいとあります 足の下 千輻輪相という足の裏の相からだんだんと上に上がってきて 頭の上まで観る このように下から見ていくので 逆縁または逆観という言い方をします 逆にまた 頭のてっぺんまで行きましたら 頂相からだんだんと下に下がっていく見方を順縁 あるいは順観といいます 実はこれが 往生要集 の一番の中核をなす五念門の中の観察門に示されています 仏をいかに観察していくか これが念仏の基本として一番大事なこととして 恵心僧都も説いています 具体的には仏の姿を観じていく別相観 総相観 あるいはその極略として 雑略観という観法が示されております その基本はまさに 摩訶止観 にあります 仏を観察する 弥陀の相好を念ずるというのが 往生要集 にそのまま取り入れられて念仏の最も大事な核心をなしています 3.慈覚大師円仁による 五会念仏 の伝承(1)円仁伝承の記録ただし 摩訶止観 の止観念仏には 往生 の思想はなく それが導入されたのは 慈覚大師円仁による五会念仏の伝承からとなります この慈覚大師は伝教大師の門弟で 伝教大師の後を継いで比叡山の仏教を見事に確立されていった方です 平成二十五年に 一一五〇年のご遠忌を迎えたばかりです この方が中国の五台山に入山されまして 竹林寺というお寺で五会念仏を伝承して比叡山に伝えられました 実は これが新しい比叡山の念仏の展開を生むことになりました 伝教大師の止観念仏に加えて往生極楽を願う五会念仏が比叡山に伝承されたことは 象牙笛によってであることが 前唐院第一御厨子宝物目録 によって知られます そこには 象牙笛一管 とあり 注記として 右五台山法道(法照)和尚入定して 極楽世界に

187 179 台山では 行満から天台の法門を受法されました つまり 道邃 行満両師からは 天台実践法門である止観念仏(常行三昧)も当然伝承されたと考えられます (2) 摩訶止観 所説の常行三昧伝教大師が伝えた止観念仏の内容は 天台大師の有名な 摩訶止観 という書物にまとめられていますので それを見てまいります この法は般舟三昧経に出す と これは 般舟三昧経 に基づいた修行法です 仏が眼前に立つという 仏立に三義あり とし 一つには仏の威力 仏の力によって 二つには 三昧力 その禅定 つまりは集中する力によって 三つには 行者の本功徳力 修行者の功徳の力 つまりは今までの善行功徳による そうして よく定中において その静かな心の境地を得た中で 十方現在の仏 其の前に在りて立つるを見る と説かれています すなわち仏が我々修行者の目の前に現れる ですから 仏立三昧という このように天台大師は仰っております この止観念仏は身 口 意の三業 三つの行為によって成り立っています これが 修行の基本です これは 往生要集 でも身 口 意の三業の観点から大切な念仏のあり方を語っております 常行三昧というのは歩くという修行法 これは天台大師の身儀として示されたものです この修行をする道場として比叡山には常行三昧堂というお堂があります かつては東塔 西塔 横川のそれぞれにありました 親鸞聖人も常行堂の堂僧として この修行をなされたと思われます この常行三昧堂での修行はずっと歩き続けるということです 歩く期間は九十日間歩き続けるのであり 身体での行いです それから 口の説黙 口でお経や念仏を唱えるのか あるいは黙っているのか ということです 常行三昧は口で九十日間常に阿弥陀仏の名を唱えるという方法です 南無阿弥陀仏と唱えることを休むことなく 休息することなく続けるのです 要を挙げてこれを言はば 歩歩声声念念 唯だ阿弥陀仏に在り とあり 歩きながら南無阿弥陀仏と唱え 心は常に阿弥陀仏を念じなさいという修行です(大正四六 一二上~中) 心で常に阿弥陀仏を念ずるという具体的な内容について 摩訶止観 の原文を見ますと 此を去ること十万億の仏刹 宝地宝池

188 180 2.伝教大師最澄による 止観念仏 の伝承(1) 顕戒論 巻上 開示四種三昧院明拠六 往生要集 の基礎となったとみられるのが 伝教大師最澄による止観念仏の伝承であります このことにつきましては 最澄の撰述である 顕戒論 という書物の中の 開示四種三昧院明拠六 において こう仰っております 謹んで案ずるに 摩訶止観の第二に云く 行法衆多なり と 仏道の修行は大変多くありますが 略して其の四を言う とあり 天台大師智顗(五三八~五九七)は 摩訶止観 で修行を四つに分けられました 一つには常坐 二つには常行 三つには半行半坐 四つには非行非坐なり と 歩くという形態 坐るという形態 それらを組み合わせて修行法を四つに区分されました 続いて 通じて三昧と称するは とあります これは 調 直 定という意味があるということを述べた後 この念仏のもととなるのが 常行三昧という修行であることを説いています これについて 常行三昧は 般舟三昧経に出づ とあり 般舟三昧経 というお経に基づく修行法として天台大師は示しております 翻じて仏立と為す これは仏が眼前に立たれるという意味となります 身の開遮 口の説黙 意の止観 といって身体での行い 口でしゃべるか黙るか あるいは 心をどのように持つか この三つの観点から修行法が示されてまいります これを伝教大師は引用されております 明らかに知んぬ 四三昧院とは行者の居する所 と述べ 比叡山に四種三昧院というお寺を建てる構想を立てられましたが それは止観の修行をする道場という意味です また 春秋は常行 冬夏は常坐 と 四種三昧の修行のうち 常行三昧というのは阿弥陀仏を本尊として歩くという修行法 これは春と秋に行いなさい と仰っています 冬夏は常坐 冬と夏は 九十日間の常坐三昧という坐禅の修行をしなさい 次に 行者の楽欲に随いてまさに半行半坐を修し また 非行非坐を修すべし とあり 行者の願いに応じて法華三昧のような半行半坐やそれ以外の非行非坐の修行を行うべきことを示しました(伝全一 七三~七四) 西暦八〇四年 伝教大師は遣唐使として弘法大師と同じ時に中国に渡られました 中国の台州(現在の臨海市)というところに道邃座主がおられました この道邃という方から 伝教大師は天台の法門を授かり 次いで天台山に登られました 天台山は天台仏教の根本の聖地であります 比叡山の源流は天台山であり 天台大師智顗の悟りによってこの天台の教観が確立されました 伝教大師は天

189 181 本ワーキングペーパーは 平成二八年(二〇一六)五月一七日に龍谷大学大宮学舎にて開催された 龍谷大学アジア仏教文化研究センター(BARC)二〇一六年度グループ1ユニットA(日本仏教の形成と展開)学術講演会における講演の概要である 末尾に 当日の配付資料を掲載する 本日の講題は 先ほど申しましたように 慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響 ということであります 副題として掲げましたように 往生要集 を中心に検討を加えてまいりたいと思っております 詳細なプリントを作ってまいりましたので レジュメにそってお話を申し上げてまいりたいと思います 1.問題の所在まず 取り上げる 問題の所在 をご紹介したいと思います 恵心僧都源信(九四二~一〇一七)撰 往生要集 三巻は 比叡山浄土教大成の名著として知られておりますが それは 伝教大師最澄(七六六~八二二)に始まる止観念仏 或いはそのお弟子様の慈覚大師円仁(七九四~八六四)による念仏の伝承を基調としながら 集大成されていったものと考えられます 一方 叡山浄土教における最初の浄土教の著書とされる慈恵大師良源(九一二~九八五)撰 極楽浄土九品往生義 以下 九品往生義 と申しますが この一巻に関しましては 従来の研究におきまして 往生要集 との関連について否定的な見解が取られております そこで今回は 往生要集 成立の基盤となった最澄の止観念仏 円仁の五会念仏について再確認をした上で 良源への影響につきまして 九品往生義 と 往生要集 との関連を中心に検討を加えてまいりたいと思っております

190 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-08(2016 年 3 月 31 日 ) 講演概要 慈恵大師良源から恵心僧都源信への影響 往生要集 を中心に 武覚超 ( 叡山学院教授 ) 目次 1. 問題の所在 2. 伝教大師最澄による 止観念仏 の伝承 3. 慈覚大師円仁による 五会念仏 の伝承 4. 九品往生義 と 往生要集 に関する従来の学説 5. 伝記における慈恵大師良源と恵心僧都源信との関連 6. 九品往生義 と 往生要集 の関連 7. 結語 キーワード 往生要集九品往生義五会念仏慈恵大師良源恵心僧都源信

191 183 (34 )同三二〇頁 (35 )拙稿 貞慶の弥陀信仰再考 本願念仏臨終来迎論と報化二土一体同処論による凡入報土の展開 (南都仏教第九三号)の他 故新倉和文氏にも 貞慶の阿弥陀信仰と 発心講式 (岐阜聖徳学園大学仏教文化研究所紀要第八号)および 大原談義の成立事情 後白河院 平家の鎮魂のために談義を開く (同第十号)等がある (36 )拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収)三一七頁 (37 )拙著 心要鈔講読 三八六頁~三八七頁 (38 ) 貞慶講式集 五九頁 訓読は筆者 (39 )拙稿 貞慶の弥陀信仰再考 本願念仏臨終来迎論と報化二土一体同処論による凡入報土の展開 (南都仏教第九三号)を参照のこと (40 )法相論義 一仏繋属 の現存短釈は 薬師寺に一点のみ存する しかし 未確認である 尋思鈔 には貞慶の関心事が反映した 命終心事 という問答も収録されているが 一仏繋属 と同様 法相宗の恒常的な論義テーマとはなっていない あくまでも貞慶がこだわったのである 同様に 一仏繋属 も現存短釈の数から考えると 貞慶の強いこだわりを感じる

192 184 点を提供しえたと思うと残念である なお 私は当初 奏達状は奏状の草稿本である と結論づけていたが 円光大師行状画図 ( 絵詞伝 )に出る 同年二年九月に蜂起をなし白疏をささぐ とある点が実に不可解であった なぜならば 奏状 は十月付で出ているからである その後 奏達状 の奥書を見ると興味深いことに 絵詞伝に元久二年九月の頃 興福寺の学徒 白疏を捧ぐと云えるは 右の表文なるべし という言葉が記されていた そこに新倉氏の見解も加味すると 今一つの奏状 の可能性を検討せざるをえなくなった そこで 論文のサブタイトルを 草稿本もしくは今一つの奏状 としたのである 複数の可能性を熟慮した結果の判断であった 今後の研究によって 草稿本 か 今一つの奏状 かが明らかになれば幸いである (25 )拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収)三一〇頁 (26 )同三一一頁 奏達状 では 言 であるのが 奏状 では 云 になっているだけの改変である こんなわずかな文章の変更も多々あり 貞慶本人の変更としか思えない このような両書の差異を詳細に比較検討したものが 拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収)である この点からも城福氏の 改竄書説 を完全否定したのであるが それに対する反論が 放棄 されている (27 )同三一一頁 黒字で表記した部分がわずかに異なるのみ 確認されたし (28 )同三一二頁 (29 )同三一三頁 (30 )大正八三 一三九 中 (31 )大正七六 七二八 中~下 ただし 心石集 所収の 魔界廻向法語 と対校して一部修正した上で訓読した なお 清水宥聖 貞慶の魔界意識をめぐって に大正大学図書館蔵 心石集 魔界廻向法語 の翻刻が すでになされている (32 )(33 )拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収)三一九頁

193 185 このたびの城福氏の研究ノートを読んだ率直な感想であるが 自説を守ることに汲々としているように思われる そのため いまだに我田引水的な論述が見られる たとえば 研究ノート本文の九〇頁では 上人智者也 自定無謗法心歟 但門弟之中 其実難知 至愚人者其悪不少 を引いて 法然擁護 の自説を再展開しているが 都合の悪い 根本枝末恐皆同類也 の文は無視している この件については私も拙稿において指摘 論証したところであるが もっと原典を真摯に熟読すべきであろう また 反論するにあたっても 研究ノート本文各所に他者をあげつらうような表現が見られ 残念である 私についても 注記において 筆者のつけた分類名を用い 禿氏文庫本はB系統であるとし 題が興福寺奏達状となっているとするのが論文のマナーである (一〇八頁)と城福氏は非難しているが 私の論文を熟読してもらうと明らかなように 拙稿の三〇二頁に二系統の分類を城福氏がすでに行なっていることを明記しているし 城福氏の当該論稿名もまた注記(三五四頁)において明示している その上で 城福氏の立てたB系統分類を根幹から否定したのである もっと熟読してほしい 城福氏は 自己の新説 にこだわり 既存の研究を 偏見 であると論じているが しかしすべての論文は各研究者の叡知による 新説 であると 私は思う さまざまな見解が出る方が 研究は活性化する どの説が正しいか否かは 後進の研究者の判断にまかせればよいと常々 私は思っている 城福氏は一九九一年の最初の論稿から一九九五年 一九九六年 一九九八年 一九九九年 二〇一三年 そしてこの度の二〇一五年の研究ノートまで 興福寺奏状 に関する七編の論稿を世に示したわけであるが 残念なことに同じ見解を 紙面を変えて繰り返しているように思われる いつまでも過去の研究に執われて自説を守ることに汲々とするのではなく 新たな資料をもとにした新たな知見を示してもらいたいものである その点では 私への批判の末尾に 香川大学図書館所蔵本 の存在を上げているから ぜひ近々にそれをもとにした新規の知見を提示していただきたい かつては城福氏も行なっていた 地道な研究をもととしたすぐれた知見の発揮 の再開を心より願うものである (24 ) 奏達状 から 奏状 への改変について かつて故新倉和文氏と共に検討していた際 新倉氏は後鳥羽院の影響をあげていた この点について関連する記述が新倉氏の論文 蔵俊による天台一乗批判の展開 (南都仏教第九五号)の一三三頁に出る ここで 新倉氏は蔵俊が法然門下になったことも合わせて指摘しており 存命であれば 興福寺奏状 についての現在の論争に新たな視

194 186 では二系統を示しながら B系統本の 内容 については三点の疑念をあげたのみで終っている(三点の疑念についてはすでに拙稿において論破している) そして 一九九五年と一九九六年に二点の論稿が追加発表されて後 内容が改竄された 興福寺奏状 の異本について (印度学仏教学研究第四六巻第二号 一九九八年)が出る ここで初めて城福氏は B系統本(実は奏達状)を改竄書であると決めつけ 論理構築を行なっていく 研究ノート本文で城福氏は 興福寺奏状 をめぐっての多くの説は先入観と偏見 根拠のない決めつけによる誤った所論といわざるを得ない (九三頁)と述べているが 奏達状 を改竄書と決めつけることもまた 偏見ではなかろうか 二つの内容の異なった書物があるという現実を前に 改竄書かも知れない 草稿本かも知れない という二つの可能性を検討した上で 論を進めるべきではなかったかと 残念に思う 私は 城福氏の改竄説を熟読した上で もう一方の 草稿本ではないか という仮説を立て 論証した なぜその仮説を立てたかといえば 貞慶の思想研究をする中で 奏達状 の方が貞慶の対法然観をよく示していると考えたからである 貞慶の信仰は 明らかに法相教学を基盤にすえた思想をもとに展開している 貞慶自身にも弥陀浄土信仰があった それを断念した上での 心要鈔 の撰述 その 心要鈔 の中にも 法然浄土教への批判が随所に見られた 安養報化 (上人御草) 発心講式 心要鈔 等を見る限り 明らかに両者の主張は根幹的に異なっているといわざるをえない この点では 故新倉和文氏とも見解が一致していた(岐阜聖徳学園大学仏教文化研究所紀要第八号に収録されている新倉論文 貞慶の阿弥陀信仰と 発心講式 等にも出る) そして 法然の専修念仏義が結局は 法滅 をもたらすという点で 貞慶は専修念仏の持つ 魔 の部分をきびしく批判した それが 奏達状 であり かつまた 奏状 であった 城福氏に欠けているのは 貞慶の思想研究である 貞慶に 魔界思想 のあったことを城福氏は知るべきである(拙稿 貞慶の菩薩種姓自覚の理論と仏道観 新資料 法相宗大意名目 ならびに 心要鈔 等を中心としてー 龍谷大学論集第四七九号に詳述) 研究ノートの本文(九八~一〇六頁)に 破戒を宗となす あり方についての城福説が再び展開されているが やはり貞慶の 魔界思想 にまでは及んでいない 貞慶の 魔界廻向事 ( 魔界廻向法語 )を読めば明らかであるが 貞慶の真意は 魔界 魔風 による 法滅 を嘆く点にある 城福氏の論考に問題があるのは 自説への執着もさることながら 貞慶の思想をまったく吟味しようとしていない点であろう 非常に残念である

195 187 であるといい 私を剽窃者と批判した人物である 論文とはとても言い難い罵詈雑言の雑文であり 多数の反論証拠をもとに 名誉棄損で訴える準備もしていたが ある方に止められ 断念した経緯がある(それらの証拠物件は今も手元に保管されている) そこで このとき私は 唯識論尋思鈔 における仏果障義と 成唯識論同学鈔 (二〇〇四年刊の龍谷大学論集第四六三号 同文が同年刊の岐阜聖徳学園大学仏教文化研究所紀要第三号に転載された)と題する論文を発表し その注記において複数頁の反論文を掲載し 氏に送付した しかし いまだに何の反論もない この度の氏の論稿を見ていると 私が発表した 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの 奏状 の論述に対しても しなければならないはずの反論がすべて 放棄 されている 私の論文が 奏達状 を改竄書であるとする城福説を全面的に否定したものであるにも関わらずである 城福氏の唯一の反論が 興福寺奏状 にはA系統とB系統があるとした城福説の分類方法をそのまま用いながら B系統本をそのまま奏達状系と名前のみ変えて自説にして発表している (前掲ノートの一〇八頁)と非難するものである さらに城福氏は 興福寺奏達状がなぜ本来の正しい名なのか論証していない という しかし 城福氏的に反論すれば それは私の論文を熟読していないからである となる そもそも 城福氏の説よりすれば作成された奏状は一つだけであるはずなのに B系統 なるものを設定すること自体に問題がある しかも そのB系統なるものの中に 興福寺奏達状 の名を持つものがあるのであるから 城福氏は当然のことながら私が行なったような書誌学的検証を行なうべきであった しかし 氏は全六編の論稿において 奏達状 の名を一度も出していないのである 研究者として 極めて不適切であるといわざるをえない 龍谷大学が昭和三年一月に作成した 龍谷大学和漢書分類目録 の七六九頁にはすでに 三点の 興福寺奏状 (写本)と並んで 興福寺奏達状 (写本)の名が明記されている もっとも これは禿氏文庫本以外の 奏達状 であり 禿氏文庫本の写本の可能性も高いので検証中であるが 重要なことは研究者が 奏達状 の存在を知る手がかりがすでに提示されていたという点である にもかかわらず 城福氏は研究ノートの本文において 写本研究の重要性を指摘しながら 奏達状 の検討を疎かにした 城福氏の論稿を順次見ていくと 最初の論稿である 興福寺奏状 についての一考察 ( 仏教学研究 第四七号 一九九一年)

196 188 の六十頁に出る なお 法然が一仏繋属を論証したことを指摘している点は興味深い (6 )大正六六 五九三 上 (7 )大正六六 五九三 上~中 (8 )大正二六 三二七 上 (9 )大正三一 五八 下 (10 )大正四五 三六九 上 (11 )大正三八 一〇三〇下~一〇三一上 (12 )大正四三 九七八 上 (13 )大正六六 五九三下 五九五中 (14 )大谷大学所蔵 未翻刻 近々に出す別稿の翻刻を参照されたし (15 )拙稿 貞慶の弥陀信仰再考 本願念仏臨終来迎論と報化二土一体同処論による凡入報土の展開 (南都仏教第九三号) 同 貞慶の菩薩種姓自覚の理論と仏道観 新資料 法相宗大意名目 ならびに 心要鈔 等を中心として (龍谷大学論集第四七九号) 拙著 心要鈔講読 (永田文昌堂)等 (16 )~(21 )東大寺図書館蔵 未翻刻 近々に出す別稿の翻刻を参照されたし (22 )大谷大学図書館蔵 未翻刻 近々に出す別稿の翻刻を参照されたし (23 )拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収) なお 仏教史学研究 第五七巻第二号(二〇一五年三月二十五日刊)に 研究ノート として掲載された城福雅伸氏の 興福寺奏状 は何を問題にした訴状なのかー平雅行氏の批判に答え その 破綻論 の破綻を論ずー の注記において筆者への批判もあったので ここに私見を示したい 城福氏はかつて 岐阜聖徳学園大学仏教文化研究所紀要 第二号(二〇〇三年刊)において 自らを 同学鈔研究のパイオニア

197 189 が しかし 五逆愚迷 の自己を真摯に見つめたとき 断腸の思いで断念せざるをえなかったのである ところが そんな貞慶とは異なり 法然はどんな愚かな者でも阿弥陀仏の名号を称えれば 三界出過の勝れた報土に往生できると説いた これはとうてい 貞慶の容認できるものではなかった 法然は弥陀の本願を絶対的な依りどころとして弥陀一仏への帰依(一仏繋属)を鮮明にしたが 貞慶は 五逆愚迷 の自己を見つめて極楽往生を断念し 三阿僧祇劫の間に諸仏に歴事する(多仏繋属)あり方を正統なるものとして受け止め 最終的には より往きやすい観音の補陀落浄土への往生を願った そして 元久二年に依頼を受けて 奏達状 および改定版の 奏状 を執筆する際には 専修念仏の邪義 は本願のあり方を見誤った法然の 一仏繋属 に問題の根幹があり そこから 凡入報土 魔界法滅 等の悪しきあり方が生じたとの認識のもと あの九箇条の論難を構築していったのである その根底にあるものは本願解釈の相違であることはいうまでもないが しかし実際の法然浄土教批判の教学的核心は まさしく今回取り上げた論義 一仏繋属 にあったといってよいのである (40 ) 註 (1 )拙稿 貞慶の弥陀信仰再考 本願念仏臨終来迎論と報化二土一体同処論による凡入報土の展開 (南都仏教第九三号) 拙著 心要鈔講読 (永田文昌堂)等 (2 )東大寺蔵 南都仏教 第九二号の故新倉和文氏 貞慶著 観世音菩薩感應抄 の翻刻並びに作品の意義について の翻刻文の二二頁 今回の訓読は筆者 (3 )拙稿 貞慶撰 安養報化 (上人御草)の翻刻読解研究 (南都仏教九五号) (4 )拙稿 龍谷大学図書館禿氏文庫蔵 興福寺奏達状 について 興福寺奏状 の草稿本もしくは今一つの奏状 (大取一馬編 典籍と史料 所収) (5 )新倉 大原談義の成立事情 後白河院 平家の鎮魂のために論義を開く ( 岐阜聖徳学園大学仏教文化研究紀要 第十号)

198 190 勝を置きて劣を取らん哉 (36 )とあるように なるほど 称名に勝る観念 のあり方を提示している しかし その末尾には 如来の本願 寧ぞ勝を置きて劣を取らん哉 と結んでおり 貞慶の法然に対する批判の根元には 弥陀の本願 に対する見解の相違のあったことが知られるのである それがまた 典型的に出るのが 凡入報土の難 である これについては 何度も論証してきたので詳述はさけるが 建久六年(一一九五)に撰述されたと考えられる 心要鈔 第八覚母門の解疑段に出る次の言葉を紹介したい すなわち 此くの如きの人 臨終に自ら仏号を唱えて 数さく十返を過ぐるに 定んで三界を過ぎて浄土に生ずべきや否や 他人をば知らず 己に於いては信じ難し 愚か度らいの如き者は 多く人天に生ずべし 宿習力の故に 重ねて善縁に値いて 漸く勝心を発して 二三生等に宿願を果たし遂げん 是れ猶し勝事なり (37 )と 心要鈔 にも随所に法然浄土教への批判が見られるが ここで貞慶は 三界を出過した勝れた浄土に愚かな凡夫は往生できない ことを明確に示した後 二三生等に宿願を果たし遂げんとする勝事 を語っているのである 二三生云々 については建久三年(一一九二)撰述の 発心講式 の奥書に 但だ世尊の恩に依り 慈氏の化を受け 知足天上の安養浄土院に於いて 且らく弥陀に奉持せんとす 慈尊一代の末たる円寂雙林の暮に 長く極楽に生じ 不退転に至らん 愚意をもて望む所は 蓋し以て此の如し (38 )とある すなわち 今生の娑婆世界から知足天上の安養浄土院 安養浄土院から慈尊下生時の娑婆世界 娑婆世界(円寂雙林)から極楽浄土 へと順次に生を進める 二三生等往生 の次第が 愚意の所望 として まごうことなく示されている これは 安養報化 で理論化された 極速三生 による最も速い貞慶独特の 凡入報土 論であった これは要するに 一阿僧祇劫という長い時間をかけないと阿弥陀仏の報土に往生することができないとする法相教学の持つ大きな壁を貞慶が打ち崩した理論であったといってよい (39 )弥陀の本願を殊勝のものとして受け止めれば そのような解釈も可能だとして 阿弥陀仏の浄土への往生を欣求した貞慶であった

199 191 以上のように 奏達状 奏状 ともに法然の説き勧めた 弥陀一仏帰依 (一仏繋属)が諸悪の根源的な問題であったことを指摘し きびしく批判しているのである ここに 法相論義 一仏繋属 において貞慶が徹底して一仏繋属を否定し 多仏繋属を主張した理由があったと考えられるのである 五むすび貞慶教学と法然教学の相違を把握しておかなければ なぜ貞慶が法然を批判したかの真の理由は見えてこない かつての諸研究では 法然教学の視点からのみ論じられ 貞慶教学からの視点が欠如していた また 貞慶と法然の教学的相違は 念仏 にあるということばかりが言われた 要するに 貞慶は 観勝称劣 主義にあり 本願の称名念仏を説く法然教学を理解できなかったという説である しかし これは事実に反する見解といわねばならない なぜならば 貞慶もまた前半生 熱心な西方願生者であり 阿弥陀仏の本願や浄土 念仏に対して深い知識を有していたからである (35 )そのことは 安養報化 (上人御草)ならびに 心要鈔 を見れば明らかである この観点より 奏状 第七条を見ると 先ず所念の仏に於いて 名あり体あり 其の体の中に事あり理あり 次に能念の相について 或は口称あり或は心念あり 彼の心念の中に或は繋念あり或は観念あり 彼の観念の中に散位より定位に至るあり 有漏より無漏に及ぶあり 浅深重々にして前は劣 後は勝なり 然れば口に名号を唱うるは 観にあらず定にあらず 是れ念仏の中の麁なり浅なり (中略)爰に専修 此の如きの難を蒙むるの時 万事を顧みず 只だ一言にて答えん 是れ弥陀の本願に四十八あり 念仏往生は第十八願なりと 何ぞ爾か許す大願を隠して 唯だ一種を以て本願と号せん哉 彼の一願に付いて乃至十念とは 其の最下を挙ぐるなり 観念を以て本と為し 下は口称に及ぶ 多念を以て先と為し 十念を捨てず 是れ大悲の至って深く 仏力の尤も大なるなり 其の導き易く生じ易きは 観念なり 多念なり これにより観経に云く 若し人苦の迫りて念仏を得ざれば 応に無量寿仏と称すべしと云々 既に称名の外に念仏の言あり 知んぬ 其の念仏とは是れ心念なり 観念なり 彼の勝劣両種の中に 如来の本願 寧ぞ

200 192 昔は智力を以て法城を守れり 今は何ぞ其の怨讎と為らん 哀しき哉 凡夫の心は掌を変ずと雖も 何れの日にか何れの生にか方に不退に住せん 大象の尾の窓に拘わり 師子の虫の身を食しめんも 蓋し此の謂いか (31 )といい 顕密修学 有徳有功の者たちが魔界に堕ちると かえって仏法に讎をなすことになると論じたのである この文を見るかぎり中古の有徳を引いてはいるものの その念頭にあった存在は法然ではなかったかと思われる それが明らかになるのが 奏達状 ならびに 奏状 である すなわち 奏達状 第八条には 専修は 圍碁 雙六は専修に乖かず 女に耽けり肉を食するものも往生は妨げず 末世の持戒は是れ市中の虎なり と言うは 噫あ特に戦慄すべき者なり (中略)彼の麁毒の如き 若し国土に流れ衍びこること有らば 則わち是れ正法の怨讐 焉れに逾えるもの莫し (中略)魔風 日に熾かん 専修の僧尼,都鄙に徘徊し 北陸 東海 充満せざる莫し 斯の時に当たり 緊びしく勅宣を垂れて以て過を禁じざれば 則わち群国 皆 魔民に陥ん 天奏の趣 純ら此に存り (32 )といい また 奏状 第八条でも 専修の云く 圍碁 双六は専修に乖かず 女犯肉食は往生を妨げず 末世の持戒は市中の虎なり と 恐る可し悪む可し 若し人 罪を怖れ 悪を憚らば 仏を憑まざるの人なりと 此の如き麁言 国土に流布す (中略)剰え破戒をば宗と為し 道俗の心に叶う 仏法の滅する縁 此れより大なるは無し 洛辺近国 猶し以て尋常なり 北陸東海等の諸国に至っては 専修の僧尼 盛んに此の言を以てすと云々 勅宣ならざるよりは 争でか禁遏することを得ん 奏聞の趣 専ら此れ等に在るか (33 )と述べ 専修念仏の教えが 正法の怨讐 魔風 そのものであり 仏法の滅する縁 であるから 群国の民が魔民に陥ちないようにと 禁遏 を求めて上奏したことが記されている その禁遏の対象となった 魔風 について 奏達状 ならびに 奏状 の第九条には 沙門源空の専修念仏の邪義 ( 奏達状 )沙門源空の専修念仏の宗義 ( 奏状 )(34 )とやや表現は異なるものの いずれも法然の名前が名指しで記されているのである

201 193 念仏の輩 永らく神明を別とす 権化実類を論ぜず 宗廟大社を憚らず 若し神明を牒せば必ず魔界に堕つと 云々 ( 奏状 )(29 )とあるように 専修念仏の人々が先に 神々を拝することは魔界に堕ちる所行である と謗っていたことが知られるのである 魔界 とは 聖道を歩む者たちが時として堕ちる世界であり 真摯な行者であったからこそ かえって仏法に仇なす存在になるという 聖道門の行者を謗るこのような妄言が生じた背景には 根本的に法然の 弥陀一仏帰依 (一仏繋属)の思想のあったことは歴然としているが 法然自身に 聖道を歩む人たち を進んで貶めるような思いがあったとは考え難い おそらくは 魔界に対する法然の解釈を誤解もしくは曲解した結果の言辞ではなかったかと思われる そこで 法然の 魔界 に関する記述例を調べてみると 弥陀の来迎を解釈するにあたって 次のような文言が 黒谷上人語燈録 にあることがわかった すなわち また 魔事を対治せんが為の来迎というは 古えに曰く 道の高ければ魔も高し 仏道修行に必ず魔障の難あり 真言宗の中に云く 誓心決定せば魔宮振動すと 天台止観四種三昧を修行せば 十種の境界の発する中 魔境の来たると云う また 菩薩の三祇百劫の修行の既に成って正覚を唱える時 魔王の来たりて種々の障礙を至す 何に況んや凡夫具縛の行者は往生の行業を修すと雖も 魔障を対治せざれば 往生の素懐を遂げること難きなり 然るに阿弥陀如来は 無数の化仏菩薩と囲繞して 光明赫奕として行者の前に現ず 此の時 魔群 近前に障礙すること能わず 然ば則ち 来迎引接は 魔障を対治せんが為なり (30 )と これを見ると法然は 真言宗 天台宗 法相宗(三祇の修行)の人師が仏道修行をする際にしばしば 魔障 に襲われることを指摘した上で 阿弥陀仏の来迎は 魔障 をよく対治するものであると説いていたことが知られる これを誤解もしくは曲解すれば 聖道門の修行は魔界に堕ちる行である という妄言も生まれることになる 奏達状 および 奏状 の第五条は 明らかにこれを受けたものであったと見てよいであろう そこで 貞慶も魔界について深く語ることになる すなわち 貞慶の手になる 魔界回向事 には 抑も我が朝の中古よりこのかた 顕密修学の人 有徳有功の輩 粗ぼ魔界に墮して法を妨げ 人を悩ます 嗚呼 如意の珠を投げて徒に名利の直と為し 甘露の薬を嘗めて剰え煩悩の病を増す 昔は行徳を以て魔軍を伏しき 今は何ぞ其の伴党と為らん

202 194 ぜざる者は 実に摂取の光に漏るべし 既に西方を欣い また弥陀を念ず 寧ぞ余行を以ての故に大悲の光明を隔てんや (26 )といい 余善 余仏を認めない法然の解釈を誤りであると名指しで批難した また 専修念仏者の釈尊軽視の在り方については 同じく第三条( 奏達状 も 奏状 もほぼ全同)において 夫れ三世の諸仏の慈悲は均と雖も 一代の教主の恩徳は独り重し 心あるの者は誰かこれを知らず 爰に専修の 身に余仏を礼せず 口に余号を称せず と云うは 即ち釈迦等の諸仏なり 専修よ専修 汝は誰が弟子ぞ 誰が彼の弥陀名号を教え 誰が其の安養浄土を示したるか 憐れむべし 末世に本師の名を忘るとは (27 )と痛烈に批判しているのである また 第四条( 奏達状 と 奏状 では文章が異なるが趣旨は同じ)においても 弥陀一仏を憑むあまりに大乗仏教の説く万善諸行を否定する専修念仏者のあり方を痛烈に批判し 大乗を謗る罪は 無垢友の五舌の生を爬き 阿鼻に陥いるが如し ( 奏達状 )大乗を謗る業は 罪の中の最大なり 五逆罪と雖も また及ぶこと能わず ( 奏状 )(28 )といい 阿鼻地獄に陥る罪業であり 五逆罪さえも及ばない最大の罪であると述べている 実は貞慶には 五逆愚迷 の深い自覚があり そのため西方願生を断念した経緯があるからこその批判であったといってよい 貞慶が 誹謗大乗の罪 を掲げたのは 実は 専修念仏者による法滅の懸念 に深く根ざすものでもあった すでに指摘したように 貞慶には法然の 魔界法滅 のあり方に対する批判が濃厚に存した この 法滅の難 が明瞭に認められるのが 奏達状 奏状 の第五条 第八条 第九条である そこに一貫して強調されているのは 法然の専修念仏義が仏法を滅ぼす因になる という 法滅 への懸念である 実はこれは 専修念仏者が既存の教団を批判して 魔界に堕ちる と難じたことに起因している このことが第五条に明瞭に認められる すなわち 彼の念仏の輩 永らく神明を異にす 権跡実類を論ぜず 宗廟大社を憚らず 纔かなりと神明に臨む者はみな魔界に堕つと 云々 (中略)伝教 智證 慈覚 行教阿闍梨 弘法大師 上の如き諸匠 みな法然に劣ると為んや 魔界に堕つと為んや ( 奏達状 )

203 195 はこの点について検討したい 四 興福寺奏達状 興福寺奏状 に見られる 弥陀一仏繋属 への批判世に広く伝えられた 興福寺奏状 (以下 奏状 )には その草稿本ともいうべき 興福寺奏達状 (以下 奏達状 )があった もっとも その名称を正伝しているのは 龍谷大学禿氏文庫所蔵本 およびその複写本と考えられる龍谷大学図書館所蔵の別本の計二本があるのみである もう一本 その姉妹本が大谷大学図書館に所蔵されているが こちらは 興福寺奏状 の名で伝えられている (23 )もともと 奏達状 と 奏状 とは明らかに異なる 異本 であるが 混在して伝えられて来た 両書ともに法然浄土教を批判する内容とはなっているものの 奏達状 の方が はるかに語調がきびしい ところが ここに朝廷(天皇ならびに有力貴族)の意思がはたらき 一部 法然を擁護する文章に書き改められた それが 奏状 である (24 )では 一仏繋属に関する箇所が両書ではどうなっているかをまず確認すると その第一条において 一代の聖教は弥陀一仏の称名に帰し 恒沙の法門は悉く西方極楽の往生に在るや ( 奏達状 )若し夫れ浄土念仏を以て別宗と名づくれば 一代の聖教は唯だ弥陀一仏の称名を説くや 三蔵の旨帰 偏に西方一界の往生に在るか ( 奏状 )(25 )とある すなわち 奏達状 奏状 のいずれにおいても 法然浄土教の主張する 弥陀一仏帰依 という 一仏繋属 の論理を明確に否定していることが知られるのである また 法然の弥陀一仏帰依から派生する諸問題についても 摂取不捨曼陀羅(第二条) 釈尊軽視(第三条) 万善廃亡(第四条)等の厳しい論難が示された すなわち 摂取不捨曼陀羅については 奏達状 奏状 の第二条(ほぼ同文)において 上人の言わく 念仏衆生摂取不捨とは経文なり 我に全く過なし と云々 此の理 然らず 偏に余善を修め 全く弥陀を念

204 196 ったのである 尋思別要 の 菩薩種姓一仏繋属有無 には すでに紹介した文章の後に 次のような見解が示されている すなわち 諸の有情の中に繋属の多 少 所化の共 不共あり その中の共の辺は三乗に亘り 不共の辺は二乗を談ず 何の過あらん 何に況んや繋属において多重あり 観音大士は最初発心より別願ありて 弥陀に繋属する等なり 無諍念王の発心せる時 太子も同じく発心す 宝蔵仏 太子に記を授くるに 大王成仏せし時 汝は補処となりて 次にまさに成仏すべし と云々 すなわち 弥陀如来と正法明如来 その因縁なり また 釈尊の多くの弟子の中 阿難尊者は世々に必ず侍者たり かくの如き繋属は一仏にありと雖も過なし (中略)おのおの本縁に随うとは 弥陀観音父子の本縁等なり (22 )と これは蔵俊が示した 後義 に対する貞慶の反論と見てよい すなわち その冒頭において貞慶は 不共(一仏繋属)は二乗に限ることを明言した上で 蔵俊のいう 本来は多仏に属する属一の者 というあり方は菩薩種姓の本義ではなく あるとすればそれは弥陀と観音 釈尊と阿難などのような 特別な本縁ある場合に限る という解釈を付加したのである これは画期的なことであった 多仏繋属(共)と一仏繋属(不共)を共に認める伝統学説に対して貞慶は 不共 は二乗においてのみ論ずるものであり 菩薩種姓は常に 共 であって 不共 ではないとしたのである これは祖父師蔵俊の見解を超える新展開であった なぜそれほどまでに貞慶は 一仏繋属(不共)を否定したのであろうか それは すべての人々が弥陀一仏の悲願によって救われる と論じた法然浄土教を否定する必要があったからである この時代 法然浄土教は機内や七道に弘まりつつあった 法然の教えを受けたものは 阿弥陀仏の本願によってどんな悪人でも救われ 三界を出過した勝れた報土に往生することができる(凡入報土)と信じ 心ない者によっては 破戒を宗とし魔界に堕ちる所業 等がなされ 八宗都滅 の危機に陥っていた すべては弥陀一仏帰依(一仏繋属)を勧めた法然の教義にこそ問題があるとした貞慶は 弥陀一仏帰依の誤りを徹底して指摘しようとしたのである そこに 伝統学説を超えた貞慶の教学的新展開があったといってよいのである では 法然浄土教を批判した 興福寺奏達状 および 興福寺奏状 には 具体的にどのような展開が見られたのであろうか 次

205 197 二十六恒供仏を説く文は 是れ属多の類を説くなり 属一の人にあらざるなり あるいは属多の前には 諸仏の有縁の仏は同処同時におのおの身土を変ず 形状は相似して相い障碍せず 受相は和雑して増上縁となる 所化の生をして自識に変現せしめ 一土において一仏身あるのみと謂もう 所化の諸仏をば皆 釈迦と名づく ないし皆 慈氏と名づく その属一の者 この釈迦において所属の一仏を見る (中略)故に 属一に約して多人をば合して論ずれば 多仏をば汎じて一仏となすなり 故に 釈迦にのみ属せる属一の人 西方に往きて弥陀に向うの時に ただ弥陀の中の釈迦を見て 弥陀の弥陀をば見ず ないし東方に生ずるもまたもってしかなり その余の一の類も 皆もって是の如し しかるに その所化の人には 我れ西方に往きて弥陀仏を見る ないし浄瑠璃に生じて薬師仏を見ると謂わしむ 属多の者に一の土において一の仏身ありと謂わしむるが如きなり (19 )と これを見ると 多仏繋属が真実である中で一仏繋属論者によって 属一の誤解 が生じていることが指摘されている すなわち 二十六恒河沙もの諸仏を供養するという経典の文章は明らかに多仏繋属を意味する しかし 諸仏は同処同時に身土を変現するし しかも互いに障碍することがないので 属一を主張する人たちは自識に一仏一仏土しか変じない したがって 実際には諸仏の化を受けているにも関わらず 釈迦に帰依する人は釈迦のみを見 弥陀に帰依する人は弥陀のみを見 薬師に帰依する人は薬師のみを見る そして 一仏繋属 であると主張しているにすぎないと 後義説の見解を解説しているのである その上で蔵俊の裁定は この二義の中 後義を用うべし (20 )とあるように 後義に示される多仏繋属を採用している しかし この見解は多仏繋属を真実であるとしながらも 詳細に検討すると 多仏繋属 の立場に立ちながら 一仏繋属と思う人の存在 を認めていることがわかる 換言すると 本来は多仏に属している属一の者 とでもいうべき存在である ところが このような蔵俊の学説を示しながらも貞慶は 尋思通用 において 末に云く 菩薩には一仏繋属なきか ただし 繋属の義はさらに別門あり 別に記すが如し (21 )と述べ 菩薩には一仏繋属の義のないことを蔵俊からの相承説として示す一方で 繋属の義について 別門 のあることを指摘し その内容を 別に記す としたのである かくして別に著されたものが 他ならぬ 尋思別要 収録の 菩薩種姓一仏繋属有無 だ

206 198 とあるので 本書が 尋思鈔 の 一仏繋属 を抜き書きしたものであったことは明白である そのことはまた 祖父師であった菩提院蔵俊(一一〇四 一一八〇)の説を 本云 自己の説を 末云 として引く 尋思鈔 独特の記述スタイルを本書も採用していることで確認できる しかし その内容は既知の 尋思別要 のものとはまるで異なっている したがって 本書は 尋思通要 の現存論義にはない 散逸論義 の一つであったことが知られるのである しかし この発見は貞慶の 一仏繋属否定 の論理を確認するにあたって 大きな価値を有していた なぜならば 尋思通要 (すなわち東大寺図書館蔵 一仏繋属事 )に示される祖父師蔵俊の学説を超える 一仏繋属否定の論理 が確認できたからである 貞慶は 尋思鈔 を作成するにあたって 当代一流の学匠であった菩提院蔵俊の論義抄である 菩提院抄 を 規模 (軌範)とした しかし 規模としたとはいっても 決して蔵俊の学説をすべて正義説として丸飲みしたわけではなく これをきびしく峻別し 自己の見解を展開させた それが 尋思鈔 であった 今回の 一仏繋属 もまた例にもれず 両者の解釈には興味深い相違が認められるのである すなわち 尋思通要 には 本に云く 今 一仏繋属の有無を案ずるに 二義あり (17 )といい まず 本云 として蔵俊がこのテーマに関して一仏繋属(前義)と多仏繋属(後義)の両説あることを指摘した事実を示している この点 同学鈔 と同じである では 蔵俊が示した 前義の立場 とはどのようなものだったのであろうか これについて 尋思通要 には 種姓法爾にしてさらに相い繋属す 或いは多の一に属し 或いは一の多に属す と云々 もし一向に共ならば 法爾種姓なきに似たり 故に初師にこの難あり もし法爾種姓あらば 一仏繋属あるべし 故に 正義にこの釈あり 故に知んぬ 五姓法爾差別の宗は この類あるを許すと 応に是れ正理なるべし (18 )とあるように 法相宗は五姓法爾差別を説く宗であるから 一仏繋属であることこそが正義になるという前義の見解を示している その背景には 二乗の能化仏は定まっている という考え方があり それに準じて菩薩種姓にもまた 一仏繋属があるとしているのである 次いで 後義の立場 について蔵俊は 以下のように述べている

207 199 いたので 貞慶の見解が法相教学の一般論とは異なり 一仏繋属 を徹底的に否定する立場にあったことを 脚注をもって付記したことになる では 同学鈔 が指摘する貞慶の 尋思鈔 における見解とは 具体的にいかなるものだったのであろうか 実は 貞慶撰述の 尋思鈔 は 通要 と 別要 の二書構成となっており 当該の 一仏繋属 については 論第十巻尋思鈔別要 菩薩種姓一仏繋属有無 に 末に云く 菩薩に此の類(一仏繋属の類)なし 問う 根性は万差なり 何ぞ此の類を遮せざるや (中略)答う 法爾の種姓は五乗を本と為す 五姓の中 菩薩および不定姓は 法爾に多仏に繋属するの類なり (中略)菩薩種姓の中 誰人か無数の仏土に詣でざるや 無尽の法門を受けること無きや (中略)故に必ず多仏に繋属すべし (14 )と論じられている事実を何度か指摘してきた (15 )すなわち 貞慶は 同学鈔 の脚注に示されるように 一仏繋属は誤りであり 菩薩は必ず多仏に繋属する という立場にあったことが確認できるのである では なぜ貞慶は法相宗の 一仏繋属も多仏繋属も共に許す立場 を容認せず 一仏繋属をかたくなに否定したのであろうか その背景にあるのが 他ならぬ 法然浄土教 であった 三貞慶による 一仏繋属 否定の新展開すでに指摘したように 尋思鈔 は 通要 と 別要 の二書構成となっている論義抄である 重要な案件については 別要 (以下 尋思別要 )で論じ 通じての案件は 通要 (以下 尋思通要 )で論じられた もっとも 別要 という言い方は弟子の良算がすでに使用しているが 通要 という言い方は良算以降に用いられた呼称である 両書には共通するテーマもあるが 現存する 尋思通要 には 一仏繋属 の名は見られない ところが 近年になって東大寺図書館の蔵書を調査する中で 一仏繋属事 という書物を見い出した 本書の表紙には 尋思抄三身成道意業非身一仏繋属(16 )

208 200 益となる 一仏は能く一切の生を益するが故に (11 )といい 重ねて根本論典である 成唯識論 を依拠とした共不共のあり方を示したのである これを受けて法相宗第三祖の智周(六七七 七三三)も その主著の一つである 成唯識論演秘 において 一切如来の所化の有情は 共不共と為す 有義はみな共 一一の仏はみな一切を度す (中略)有義は不共 仏の所化の諸の有情の類は本より相属せるを以ての故に (中略)実義の如きは共不共有り 若し所化の生 一向に共ならば,何ぞ多仏を須たん 一仏 能く一切の生を化すべし 若し所化の生 一向に不共ならば 菩薩は弘誓の願を発して多の仏に歴事して大乗を修学すべからず 諸仏はおのが所化を以て後の仏に付属すべからず (12 )と論じ 伝統説を受けた 多仏繋属 と 一仏繋属 のいずれをも認める見解を示したのである その説くところによれば もし化益する衆生が共通するなら多仏の現れる必要性はなく 一仏のみで救済できる 一方 もし化益する衆生が共通しないなら多仏に歴事して大乗の行を修学していくというあり方がなくなってしまう したがって 共の衆生もいれば不共の衆生もいると見るべきである という点にある ちなみに 前者が一仏繋属 後者が多仏繋属の立場からの論調である したがって 多仏繋属と一仏繋属のいずれの者もいるからこそ一切衆生を化益する諸仏のはたらきがまっとうされるのであるとして 両者を共に認めていたのが法相宗の基本的な立場であったといってよい そして これらの伝統的な正統説を受けたものが他ならぬ 同学鈔 の答文の立場だったのである ところが 興味深いことに 良算の師であった貞慶は 一仏繋属 を一切認めなかったのである そのことが 同学鈔 の脚注に明記されている すなわち 東山の仰せに云く 一仏繋属の菩薩なし 尋思鈔の如し (中略)時に建仁二年十一月十日の午の時 これを記す (13 )とある 東山 とは貞慶をさし 尋思鈔 とは建仁元年(一二〇一)に撰述された貞慶の論義抄である 唯識論尋思鈔 (以下 この表記の際は 尋思鈔 と略す)を意味している そして 尋思鈔 の編纂に深く関わっていた良算が その翌年に 同学鈔 の当該論義を編集したことが 右の文より知られるのである 要するに良算は 前年に成立した貞慶の 尋思鈔 の内容を熟知して

209 201 答う (中略)菩薩種姓は利他を先とすると雖も 智増上の類は法爾としてあり 例えば菩薩の意楽 たとい広大なりと雖も 繋属は然らしむ 一仏に属する種姓 何ぞこれを許さざるや ただし四依の供仏に至りては 法爾の繋属は自受用に約してこれを論ず 実の報仏 所化のために二十六恒身土を現ずるの時 所現の諸仏を供養するが故に 歴事諸仏の義なきにあらざるなり (7 )といい 一仏繋属の者も多仏繋属の者も共に認める立場が明記されている この 共に認める立場 こそ実は 法相宗の伝統的なあり方だったのである その次第を次に示すと まず法相宗所依の論典の一つである 仏地経論 には 次のように示されている また諸経の中 処処に能化所化の相属決定を宣説し 是の故に諸仏の所化は不共なりと 実義の如きは 共も不共もあり 無始の時よりこのかた 種性は法爾にさらに相い繋属す 或いは多の一に属し 或いは一の多に属す (8 )とあるように 所化の共不共が論じられていた これを受けてか法相宗の根本論典である 成唯識論 には 諸の有情の類は 無始の時よりこのかた 種姓法爾に更に相い繋属せり 或いは多の一に属し 或いは一の多に属するが故に 所化の生に共あり不共あり 爾らざれば 多の仏の久しく世間に住して各おのの事を劬すとも 実に無益となる 一仏は能く一切の生を益するが故に (9 )と説かれた そこで 法相宗の開祖である慈恩大師基(六三二 六八二)はまず 大乗法苑義林章 の中で 実義は共と不共とあり 成唯識論もまた是の説を作す (中略)諸の有情の類は 無始の時よりこのかた 種姓法爾に更に相い繋属せり 或は多の一に属し 或いは一の多に属す 故に所化の生に共と不共とあり 爾らざれば 多の仏の久しく世間に住して各おのの事を劬すとも 実に無益となる 一仏は能く一切の生を益するが故 この義は広く仏地等に説けり (10 )といい 成唯識論 と 仏地経論 を拠り所とした論を展開し かつまた 説無垢称経疏 においても 成唯識に云く (中略)諸の有情の類は 無始の時よりこのかた 種姓法爾に更に相い繋属せり 或いは多の一に属し 或いは一の多に属するが故に 所化の生に共あり不共あり 爾らざれば 多の仏の久しく世間に住して各おのの事を劬すとも 実に無

210 202 3一仏繋属に対する批判の三点である この内 1は弥陀の本願のはたらきによって凡夫が一足飛びに三界(輪廻界)を出過した弥陀浄土(報土)に往生することができるとする法然の教説を批判したもの 2は八宗を覆滅する法然の教えを 魔界 魔風 とし批判したもの 3は阿弥陀仏一仏のみへの帰依を説く法然の教説を批判するものである これらはいずれも本願解釈の相違に基づくものであり すでに別稿をもって一部論証してきた (4 )今回は特に 12展開の根幹的理由でもある3について 東大寺図書館所蔵の新資料である貞慶撰 一仏繋属事 を加味し 貞慶の法然浄土教批判の背景に 確固とした教学(論義)のあったことを明らかにしたい なお 貞慶の 一仏繋属 説に最初に注目し それが貞慶の浄土信仰の理論において重要な意義を有することを指摘したのは筆者であったが さらにこれを受けて貞慶の一仏繋属の理論が法然浄土教批判にも結びついていることを初めて指摘したのは 故新倉和文氏であった しかし 残念ながらその主張は 指摘に止まるものであった (5 )実は新倉氏は 共に東大寺図書館で資料調査した折りに発見した前掲の資料に着目していた それを検討している最中に病に倒れ 没した その意思を尊重し 筆者はここに新資料を加味した論考を新たに提示するものである 二法相論義 一仏繋属 の伝統説法相論義 一仏繋属 は 最初発心の時から仏に成るまでの間に 一仏のみに繋属し続ける菩薩がいるのか否かを問う論義である 法相宗の論義を集大成した良算(? 一一九四 一二一七?)編纂の 成唯識論同学鈔 (以下 同学鈔 と略す)では 論第十巻の五に収録されている論義テーマ(論題 科文)である 二問答二談義よりなるが その第一答を見ると 答う 二伝あり 一つには 此の類ありと云う 二つには これなしと云う (6 )とあるから 認める説と認めない説の二つが併存していたことがわかる そして 第二答に至ると

211 203 一はじめに法然浄土教を批判したことで知られる解脱房貞慶(一一五五 一二一三)には 法相教学に基づく浄土信仰の理論があり 釈迦の霊山浄土 弥陀の極楽浄土 弥勒の知足浄土 観音の補陀落浄土の計四つの浄土への往生を願っていたことは すでに複数の拙論で論証したとおりである (1 )貞慶にとって浄土とは 菩提心を発して仏道を歩む過程で見るべき世界であった なかでも 前半生をついやして願生した弥陀浄土への思いはことのほか強く 自らの 愚迷 を自覚して断念し 観音の浄土への往生を願うに至った折りにも 観世音菩薩感應抄 に 若し西方の紫雲に乗ずれば 直に安養界の宝池に生ず 南海の青波を渡れば 且く補陀山の石室に住す (2 )とあるように なお弥陀浄土への 未練 を示していたことでも その思いの強さを知ることができる 貞慶が弥陀浄土信仰の理論を構築した書として筆者はすでに 貞慶撰 安養報化 (撰述年不詳 一一九二年以前か)を翻刻読解して紹介したが (3 )これを基本にすえつつ阿弥陀仏に関連する記載が見られる 発心講式 (建久三年=一一九二年撰述) 心要鈔 (建久六年=一九九五年撰述) 論第十巻尋思鈔別要 西方有異義 (建仁元年=一二〇一年撰述) 観心為清浄円明事 (建暦三年=一二一三年口述筆録)等を順次に確認していくと そこに同じく西方願生者であった貞慶の 法然浄土教に対する教学的批判の本質 が浮かび上がってくるのであり それが元久二年(一二〇五)における 興福寺奏状 の激烈な批判となったと考えられるのである 興福寺奏状 には 九箇条の批判が展開されているが 筆者はその本質を以下の三点にあると見ている すなわち 1凡入報土に対する批判2魔界法滅に対する批判

212 龍谷大学アジア仏教文化研究センターワーキングペーパー No.16-02(2017 年 3 月 31 日 ) 研究論文 法相論義 一仏繋属 展開の意義 貞慶による法然浄土教批判の論理構築 楠淳證 ( センター長, 龍谷大学文学部教授 ) 目次 1. はじめに 2. 法相論義 一仏繋属 の伝統説 3. 貞慶による 一仏繋属 否定の新展開 4. 興福寺奏達状 興福寺奏状 に見られる 弥陀一仏繋属 への批判 5. むすび キーワード 貞慶法然論義 興福寺奏達状 興福寺奏状

213 刊行物案内 (2016 年度 ) 1 龍谷大学アジア仏教文化研究センター楠淳證編 回峰行と修験道 聖 地に受け継がれし伝灯の行 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究センター文化 講演会シリーズ (1)), 法蔵館,2016 年 10 月 チラシ掲載 2 龍谷大学アジア仏教文化研究センター 戦時下 日本仏教 の国際交流 研究班 ( 中西直樹 ( 代表 ) 林行夫 吉永進一 大澤広嗣) 編 資料集 戦時下 日本仏教 の国際交流第 Ⅱ 期 編集復刻版 ( 龍谷大学アジア仏教文化研究叢書 2), 不二出版,2016 年 10 月 チラシ掲載

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