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1 内容 Ⅱ. Web と Java 言語 WebとJava 言語 Java 言語が注目される理由 オブジェクト指向の概念 オブジェクトとは オブジェクト指向の基本的な考え方 メンバー, フィールド, クラス 継承 カプセル化 1 2 Web と Java 言語 アプレットの記述言語として注目 Java 言語の誕生 ( 公式アナウンス ) 1995 年 5 月 サン マイクロシステムズ社で開発 急速な普及 ( 他のプログラミング言語をしのぐ ) 最初, 家電製品用のソフトとして開発 インターネットで利用可能 Webアプリケーションに最適 Javaが注目を集める理由 アップレットの記述言語として注目 セキュリティに優れている プラットホームに依存しない Webとソフトウェア配布 アプレットとはWebページに埋め込まれたJavaプログラム Webサーバからクライアントにダウンロードして実行 Web ブラウザ (IE or Firefox or Chrome or Safari) 情報要求 HTML アプレット Web サーバ アプレット 3 クライアント サーバ 4 Web とソフトウェア配布 セキュリティに優れている アプレットの配送と実行の手順 クライアントコンピュータ上のWebブラウザが Javaアプレットの埋め込まれたページにアクセスする Webサーバは ページに埋め込まれたアプレットをクライアントに送付 アプレットを受け取ったブラウザは それをクライアント上で実行利点 クライアント上でアプレットを実行することによりネットワークの負荷を軽減できる 様々なプログラムを実行可能 CGIなどと比較するとサーバ上の負荷も軽減できるこのような理由によりWebページの作成者たちはJavaに注目した ネットワークを介して送られてきたプログラムをクライアントで実行することは危険 クライアントのディスク内のファイルをすべて消去するかもしれない コンピュータウィルスのように悪さをするかもしれない Javaは安心 セキュリティに関する問題は最初から考慮 例 アプレットはローカルディスクにアクセスできない 危険な命令を実行しようとするとチェック機構が働く このような理由でネットワークを通して送られたJavaアプレットを安心して実行できる 5 6

2 プラットホームに依存しない Java 仮想機械 (Java Virtual Machine) Javaプログラムはどのようにして実行されるか Javaのソースプログラムをコンパイルしバイトコードと呼ぶオブジェクトコードを生成するバイトコードをJava Virtual Machine(Java VM) と呼ばれるプログラムが解釈し実行するクライアントがUnixマシン Windowsマシン Macintosh 携帯電話などどんなマシンでも Java VMがインストールされていればどんなプログラムでも実行できる ( プラットホームに依存しない ) オブジェクト指向言語としての Java 言語 オブジェクト指向プログラミング オブジェクトと呼ばれる 固有のとを持った もの を主体にプログラムを構築していく方法 オブジェクト指向の考え方は 現在のソフトウェア開発において中心的な手法となりつつある特にGUIを用いたプログラムでは オブジェクト指向の考え方なしに大規模なものを作るのは困難 コンピュータ (Unix,Windows Macintosh, 携帯 etc) Java VM バイトコード 実行 7 8 オブジェクト指向言語としての Java 言語 2014 年プログラミング言語人気ランキング オブジェクト指向型言語 C++, Smalltalk, Javaなど C++ はC 言語と似ているがオブジェクトを記述する部分は複雑 JavaはC++ の複雑性に対する反省から生まれた言語 JavaはC++ よりシンプルでC 言語にも似た部分が多い オブジェクト指向を学ぶ上でJavaは最適な言語といえる 9 出典 :IEEE Spectrum Ⅲ. オブジェクト指向の概念 オブジェクトとは オブジェクトとはそのプログラムが対象とする問題 ( または世界 ) の中に現れる 物理的 論理的な もの である ロールプレイングゲームを例にすると ロールプレイングゲームとは ある 世界 の中で主人公が様々な冒険を行って目標を達成するといったゲーム ゲームの 世界 の中にも様々な もの があり それらが互いにかかわりあって 世界は動いていく ものには 主人公 モンスター 主人公が持っている剣や鎧 宝石や指輪のような宝物 物理的な実態を持たない魔法なども もの である ゲームの世界を構成する要素はすべて もの であると考えられる 11 12

3 オブジェクト指向の基本的な考え方 オブジェクトは と をもつ このような もの の性質 挙動をプログラムの形で記述し それらの相互作用によってプログラムが実行されていくという考え方が 基本的な考え方である プログラムを開発する際 どのような もの が存在し その間にどのような相互作用があるかを分析することが必要 もの 本 雑誌 新聞 ビデオ 司書 利用者など このように システムを構築するには もの を中心に考えると問題がうまく整理できる 13 オブジェクトとは 固有の と固有の をもったものゲームを例に 主人公は 元気なのときもあるし瀕死ののときもある モンスターのは主人公とは無関係 すなわち各オブジェクトは固有のを持つオブジェクト 14 オブジェクトは と をもつ オブジェクトが実行できること ( ) もオブジェクトごとに異なる主人公は剣を使えるが火は吹けないモンスターは剣を使えないが火を吹くことができる 各オブジェクトは そのオブジェクトに 固有な動作 ( ) を持っているといえる オブジェクト 15 図書オブジェクトの 書名 Java 入門 著者 米沢太郎 発行年 2000 貸出状況 貸出中 図書オブジェクトの 貸出状況を知る 貸出 返却 図書オブジェクト 書名 Java 入門著者米沢太郎発行年 2000 貸出状況貸出中 貸出状況を知る貸出返却 16 各オブジェクト間でのメッセージのやり取り ( 貸出 ) 各オブジェクト間でのメッセージのやり取り ( 返却 ) Java 入門を 借りたい 貸出 司書オブジェクト 貸出状況の 問い合わせ 貸出されて いない 貸出処理の依頼 図書オブジェクト 返却貸出状況貸出無 返却貸出状況貸出中 Java 入門 の返却 司書オブジェクト 返却処理の依頼 図書オブジェクト 返却貸出状況貸出中 返却貸出状況貸出無

4 の例 の 中心点 (x, y)=(100,100) 半径 r = 200 の 円を描く 中心座標を変更する 半径を変更する 中心点 100,100 半径 200 円を描く中心座標変更半径変更 19 円の例 各オブジェクト間でのメッセージのやり取り ( 円を描く ) 現在の中心座標 半径で円を描け 200 (100,100) 中心点 100,100 半径 200 円を描く中心座標変更半径変更 円の例 各オブジェクト間でのメッセージのやり取り ( 半径を変更して円を描く ) 半径を 300 に変更せよ 変更した半径で 円を描け 300 (100,100) 中心点 100,100 半径 300 円を描く中心座標変更半径変更 メンバー フィールド フィールド (field) またはプロパティ (property) オブジェクトのを表すもの 図書オブジェクトの例では 書名 著者名 発行年 貸出し状況 がフィールドである (method) オブジェクトのを表すもの 図書オブジェクトの例では 貸し出し状況を知る 貸出 返却 などがメンバー (member) オブジェクトを構成する要素 オブジェクトのを表すもの ( フィールド ) やを表すもの ( ) 22 メッセージ オブジェクトAが別のオブジェクトBに渡す情報 オブジェクトBのを実行してもらうためにオブジェクトA はメッセージを送る Javaでは (Cでいう関数) 呼び出しのときの引数がメッセージに相当する オブジェクト A: 犬 桃太郎についていく メッセージ お願い きび団子 オブジェクト B: 桃太郎 きび団子を渡す 23 クラス オブジェクト指向プログラミングの方法 プログラムの中で用いられる全オブジェクトの性質や動作を定義すること しかし 個々のオブジェクトの性質や動作を1つ1つ定義することは現実的でない 例えば 図書管理システム で図書 1 冊 1 冊別々にオブジェクトとして定義するのは無駄なこと 図書 というものに共通する性質や動作をまとめて定義してやればよい 同じ種類に属するオブジェクトの性質や動作を記述したものをクラス (class) と呼ぶ Javaプログラムを作成するとはクラスを定義すること クラスはオブジェクトのテンプレート ( 雛型 ) または設計図 24

5 クラスとオブジェクトの関係 クラス人間クラス オブジェクト オブジェクト1 オブジェクト2 オブジェクト3 人間オブジェクト 太郎 次郎 花子 25 人間クラスの例 class human{ int age; String String name; birth_city; run( ){ eat( ){ sleep( ){ オブジェクトの生成 human taro = human() taro.age = 20; taro.name = Taro ; UML taro:human age 20 name Taro birth_city Yonezawa run( ) eat( ) sleep( ) taro.birth_city = Yonezawa ; 26 Book クラスの例 class Book{ String name; String author; int year; String status; known_status( ){ lend( ){ rtn( ){ オブジェクトの生成 Book bk = Book(); bk.name = Java ; bk.author = Taro ; UML bk:book name Java author Taro year 2000 status known_status( ) lend( ) rtn( ) bk.year = 2000; 27 継承 ( インヘリタンス ) 既に存在するクラスを利用して関連する別のクラスを定義するメカニズム ( 追加部分だけ定義すればよい ) 例 : ロールプレイングゲーム 魔法使いのクラスは人間クラスを継承する 人間クラス 体力 腕力 敏捷性 移動戦闘 休憩 魔法使いクラス 体力 腕力 敏捷性 魔力 移動戦闘 休憩 魔法を使う 28 継承 ( インヘリタンス ) 継承 ( インヘリタンス ) class 人間 { int 体力, 腕力, 敏捷性 ; 移動 ( ){ 戦闘 ( ){ 休憩 ( ){ class 魔法使い extends 人間 { int 魔力 ; 魔法を使う ( ){ クラス階層図 人間クラス 魔法使いクラス スーパークラス ( 親クラス ) サブクラス ( 子クラス )

6 オブジェクトのこと クラスを基にしてオブジェクトを生成する仕組みのことを化と呼ぶ 例 : 化により人間クラスと同じ変数とを持ったオブジェクト太郎 次郎が生成 人間クラス オブジェクト : 太郎 化オブジェクト : 次郎 31 太郎フィールド年齢 :22 歳出身地 : 山形歩く ( ){ 話す ( ){ 次郎フィールド年齢 :20 歳出身地 : 東京歩く ( ){ 話す ( ){ 32 カプセル化 カプセル化によるオブジェクトの保護 カプセル化とは オブジェクトが持つ情報 ( ) に対して外部から自由にアクセスすることを禁止し 限られたのみで情報を参照できるようにする 具体的には オブジェクトの持つフィールドは オブジェクト外からできないようにする オブジェクトに関するは そのオブジェクト内のを介してのみ可能とするこのような仕組みをカプセル化と呼ぶ カプセル化によってオブジェクトの持つ情報を保護することができる 例 図書オブジェクトの場合 書名や著者名を読み出す機能は必要だが それを外部から書き換える機能は必要ない C 言語などの手続き型言語では 書名や著者名などの情報にはプログラムのどこからでも自由にアクセルできるので誤って書き換えられてしまう可能性がある オブジェクト指向では カプセル化によってそのオブジェクト内のからしかアクセスできないのでそこである程度制限してやれば誤って書き換えられる心配はない カプセル化によるオブジェクトの保護 Java の場合 カプセル化によるオブジェクトの保護 C の場合 オブジェクト A フィールド int a; changea( ){ フィールド a の変更処理 変更 オブジェクト B フィールド float y; change( ){ #include <stdio.h> int a; int main(void){ a = 10; void func1(void){ a = 20 void func2(void){ a = 30; 35 36

7 演習問題 2 次の下線部に適当な語句を入れよ (1) とはWebページに埋め込まれたプログラムのこと コンピュータでは Javaのオブジェクトコードであるバイトコードを (2) と呼ばれるプログラムが解釈し実行する オブジェクト指向プログラミングとは オブジェクトと呼ばれる固有の (3) と (4) を持った もの を主体にプログラムを構築していく方法 オブジェクトを構成する要素をメンバーという メンバーの中でオブジェクトのをあらわすものを (5) といいをあらわすものを (6) という オブジェクトからオブジェクトに渡される情報を (7) という 同じ種類に属するオブジェクトの性質や動作を記述したものを (8) と呼ぶ 既に定義したクラスを利用して別のクラスを定義するメカニズムを (9) という クラスを基にして生成されたオブジェクトのことを (10) という 37