(3) 真似をさせよう ~ プロ野球選手や高校野球の注目選手 ~ 筆者が打撃を指導する際は細かな指導より プロ野球や高校野球の選手の打撃フォームの分解写真を見せることが多い なぜなら プロや高校の注目選手の打撃フォームには学ぶべき事がたくさん含まれるからで 筋力や体格等の違いはあるが 真似ることによ

Transcription

1 五打撃 1 打撃指導の前提 ~ ヒットを打つ難しさ ~ (1)7/10 回もミスが許される野球競技では 3 割バッター (10 本打って 3 本ヒットが打てれば ) 好打者とされる あのイチロー選手ですら 4 割打つことができない つまり それだけ 打撃は難しい と考える (2)10 人 10 色の打撃フォーム 10 人の選手がいれば 10 通りの打撃フォームがある 各選手の打撃フォームをあれこれと修正したくなるが 我慢が必要になる と同時に 一人ひとりの選手に課題があるので 課題に対してアドバイスや助言が与えられるよう 指導の引き出しを持つことが大切になる (3) 努力に対する守備力と打撃力努力や練習量が結果につながりやすいのは守備力である 打撃力は 努力や練習量に比例し高まっていくことが難しい しかし より打撃力が向上することを願い信じて選手が努力していることを心に留めておきたい (4) 打撃を指導する際の視点打撃指導におけるカテゴリーには 構え タイミングの取り方 スイング軌道 ( 打ち方 ) 配球を考える そして バントのやり方 に大別できるが その中でも筆者は タイミングの取り方 が重要と考える (5) なぜ打撃は難しいのか? 10 人の投手がいれば 10 通りの投げ方がある 右投手 左投手にも分かれる 自分にとって打ちやすい 打ちにくいといった相性もある また 球種が 3 種類以上あると何を打つか絞りづらく スピードに緩急をつけられればタイミングが崩れてしまう さらに チャンスの場面で初球から変化球攻めや勝負球で攻められたら そうは打てない 投手力 場面 状況 得点差 打順 カウント等 様々な状況に応じて投手の配球が異なるので 打者はいつでも容易にヒットを打てるとは限らない だから 3 割バッターが評価される (6) バットを振らないとヒットは打てない三振には 見逃し三振 と 空振り三振 の 2 種類がある 同じ三振でも見逃しは叱るようにしている 打者が ボールと思ったから は言い訳であり 主審の癖 傾向 相手投手の 2 ストライクからの配球等を十分に観察し 準備していることができていれば バットを振ることができるはずである また 空振りでの三振は OK になる 尐々 ボール気味でも 振る = 打つ という気持ちがあれば いつかは打てるようになるはずであり まずは 振る気持ちが大切である 2 打撃指導の難しさについて 打撃指導の理論は多岐にわたり難しい解釈も多い 選手が理解しやすいように指導やアドバイスは できるだけシンプルに伝えることが大切になる それには 理論よりも 形 や 動作 を写真や映像等で見せて真似させることが有効である (1) ヒットを打つことが難しい = 打撃指導もまた難しいたった 3 割のヒットを打つため様々な指導方法があるが 残念なことに これだ! というものがない したがって その時々の実情 ( チーム 選手 環境 等 ) に合わせた指導を根底に置くため 赴任先によって打撃指導が異なる その代わり 努力や練習量が反映されやすい守備力の強化に力を注ぐ なぜなら 守備力が 3 割の確率のチームでは到底かつことができないからだ (2) 指導者が 10 人いたら 指導法も 10 通り選手にとって その指導が有効か否かは 結果や選手自身が決めることである 特に 中学生期は体格差 骨格 体力等の差が大きく 高校生の指導より難しい したがって 指導者からの押しつけでなく 指導や助言の意図 目的等も伝えながら 選手と一緒に考えながら 選手自身も納得して実践できるようにしたい 指導の声がけの例 打つ時のここがこうだから こうしてみたら? 構え方が気になるけど こうしてみたら? 投球に対し こんなタイミングの取り方をしてみたら?

2 (3) 真似をさせよう ~ プロ野球選手や高校野球の注目選手 ~ 筆者が打撃を指導する際は細かな指導より プロ野球や高校野球の選手の打撃フォームの分解写真を見せることが多い なぜなら プロや高校の注目選手の打撃フォームには学ぶべき事がたくさん含まれるからで 筋力や体格等の違いはあるが 真似ることによりヒントをつかむことができれば良いと考える 筆者も高校時代に 原選手や落合選手の真似からタイミングの取り方 バットスイングの軌道をつかんだ経験がある 3 基本的な打撃指導 打撃における各局面は以下のようになり 各局面に技術ポイントがあり 一連の流れの中で行わなければならない 各局面に様々な理論や指導法があるが 本稿はシンプルかつ現場主義的な立場で事例を紹介する 打撃における各局面 構え タイミング ステップ スイング軌道 下半身の形 インパクト フォロースルー 振り抜き (1) バットの握り 両手ともに指の付け根で雑巾を絞るように持たせたい バットコントロールし易い わしづかみ のように手の平で握る パワーがある選手は良いが バット操作が鈍る (2) バットを持つ長さ ( 選手の特性によるもの ) 長く持つ 基本的には長く持って グリップ下に小指を掛けるか 遊ばせたい 短く持つ 長打こそ狙えないが選手の体格や力量によっては有効 (3) バットの長さ ( 選手の特性によるもの ) 通常は 85 cm 84 cm 83 cm 82 cm 80cm があり 選手の体格や力量により使い分けられる 非力な中学生は 85cm のバットを長く持って振れないので 短いバットでも外角まで届けば有効と考え 筆者は 80~82cm で長く持つよう指導している (4) スイングの軌道一般的に良いとされているスイング 図 A 図 B( トップ ) 図 C 図 D 図 E 図 F 右手で傘を持つように グリップで弓を引くようにステップする バットを振り下ろす ( ダウン ) 地面に平行に ( レベル ) ミートしてからターン バットを振り抜く 4 課題があると考えられるスイングとその指導 (1) 課題があると考えられるスイング 1 図 A 図 B( トップ ) 図 C 図 D 図 E トップの形のバットの先 ( ヘッド ) が投手寄りにある ( 図 B) その弊害としてダウンでヘッドが下がることにより ( 図 C) アッパー ( 下からスイング ) になり ( 図 D) 振り抜いたバットが上を向く ( 図 E)

3 (2) 課題があると考えられるスイング 2 図 A 図 B( トップ ) 図 C 図 D 図 E トップが下がっていて ( 図 B) 右肩が下がりアッパーになり ( 図 C) 振り抜くバットが上を向く ( 図 E) (3) 課題があると考えられるスイング 2 の矯正法図 A 図 B( トップ ) 図 C 図 D 図 E 構えの局面で 最初からグリップを下げて構える逆療法 で打たせる トップの時に ヘッドが下がるのであれば 最初から下げた位置でトップの形を作らせることで 自然にトップの時のグリップ位置が上がる 欠点を利用して修正することも指導の 1 つの引き出しになる (4) 課題があると考えられるスイング 1 と 2 の矯正法図 A 図 B( トップ ) 図 C 図 D ヘッドが入る トップが下がる を修正したいとき コック打法 を用いると効果的な場合がある 構えた時に胸の前からバットを左打者に向かって突き出すように構える ( * コックする という ) 投手の投球に合わせてタイミングを取り トップへ持っていくようにする また この打法はミート力が伝わりやすく 速い打球が打てるようになる * 小笠原選手 ( 前巨人 ) のフォームがイメージしやすい

4 (5) ステップに見る課題発見と課題を利用して狙い球を打つ考え方 第 2 章各競技種目 Ⅵ 軟式野球競技五打撃 上段 図 A 図 B 図 C 図 D 下段 下半身の動きとステップ位置を比較する 上段は 図 B~ 図 D の局面において アウトステップしている ( 開きが外へ大きい ) ことが分かる これでは外角や変化球は打つことができない 基本は 下段のように 投球に向かって踏み込んでスイングしたい しかし 課題の逆利用を考えると 上段スイングは 内角の投球を想定した 内角狙いの打撃ステップ として有効で 必ずしも NG とは言えない (6) アウトステップする ( 開きが癖 ) 選手へのアドバイス前足の開きが大きい ( アウトステップする ) 選手の助言として 右図のように 前足を最初から開いた上体を作り 構える 待つ 姿勢から打たせるとよい この時 前足の踏み込みは 投手に対して踏み込んでいきたい 近年 左打者にこの打ち方をする傾向が多く 右打者においても増加している 顔を投手に正対させてみても有効である (7) 身体の軸がぶれず 頭が前後に動かない選手が好打者 ( 上 段 ) 頭の位置軸を見る 頭が前方へ動く 頭が前方へ突っ込まない 頭も身体の軸も動く ( 下 段 ) 1 頭と身体の軸がぶれない ( 上段 ) 投球をしっかり見ることができる 下半身でどっしりと打てる 変化球にも対応 ( 呼び込める ) ができる 投球をミートできる確率が高い 2 頭と身体の軸がぶれる ( 下段 ) 頭が前に突っ込んでいく 自分が動くことで投球も正確に捉えにくい 速いストレートに詰まりやすい 変化球に体勢が崩されやすい ミート率が低くなりやすい

5 好打者の共通点は 頭や身体の軸が動かない ぶれない 構えや打ち方が異なっても 投球に対して頭や身体の軸がぶれない選手は 打率が高い 動いてくる投球に対して 自分も動くことにより 投球を正確に捉えにくくなる 後ろに軸 ( 頭中心の縦ライン ) を作り 横から見ると 頭や身体の軸がズレないかチェックしやすい プロ選手や高校野球の好打者の連続写真を見れば 軸がぶれていないことが分かる (8) 身体の軸や頭が前へ突っ込む選手の矯正法先述したように課題を逆に利用して矯正する方法がある 打つ時のステップ幅に足を広げた構えをさせる タイミングを取る時に前足を上げてもすり足でも最初のポジションに再度踏み込むようにすれば 突っ込まない 4 左打者について (1) 構えについての一考 1 左手で傘をさす 一般的な構え 左手で傘をさすようにバット を持つ バットコントロールがし易く ミート率は高くなる 2 左手でパンチ パンチを効かせバットを強く投球にぶつけられる 速い打球や強い打球が弾かれる 好打者で最近良く見かける 手首の強さがポイントとなる (2) 左打者に対する指導の成功例以前は下段のようにステップしていたので 強く引っ張る打球が多かった しかし 外角に攻められると打てず 悪循環によるスランプも多かった そこで 上段の ツイスト とよばれるステップをアドバイスしたところ 外角球 ( 特に高めのボール ) を左中間に長打できるようになり また 内角球に詰まった時もセンター方向へ強い打球が打てるようになった 上段 膝を内側 ツイスト つま先 ( 内側 ) 膝を内側に踏ん張る 下 段 つま先は投手方向 ツイスト 前足のつま先は 内側に力を入れる ( 左腰の動きと逆方向 ) 前足膝も内側に力を入れる これにより打撃の流れが左方向と右方向にツイスト ( 交差 ) される * ツイストを右打者にもアドバイスしたこともあるが 有効な効果が見られず また その原因も特定できていない しかし 2013 年シーズンに巨人の阿部選手が ツイスト タイプのステップで調子良く打てていたことからも 左打者には有効と考える ただ 力量やパワーを身に付ける必要感を感じるところである

6 5 様々なバッティング練習の紹介 ~ ティーバッティング ~ 第 2 章各競技種目 Ⅵ 軟式野球競技五打撃 本稿では ディーバッティングにおける様々な方法を紹介する 全ての方法を毎日実施するのではなく 1 つ 1 つの練習の意図を把握し 今は何をすることが有効なのか 指導者はもちろん選手も考え 判断しながら実施できると良い ティーバッティングだけではなく 不調時には何をすればよいか? 自主的に考え実行できる選手に育つことで 本物 になっていくだろう だから 練習の意図 ( 目的 ) をしっかり選手に伝達しよう (1) ティーバッティングの意図 1 打撃の形作り様々な練習を通じて 自分の打撃の形を作ることが大切 2 自分の課題の矯正指導者は各練習の意図を明確にして選手に取り組むようにさせたい この練習は を するために行う と説明できるようにならないと やらされている練習になってしまう 3 打撃練習量が豊富たくさんの量を打つことができる バットを振ることで それに必要な筋力が鍛えられる 4 トレーニングも意図的に実施方法次第では バッティング練習を兼ねたトレーニングに意図して実施できる 5 チームのコミュニケーションの場ペアによる学び合いの場になることが期待できる したがって ペアはあまり固定しない方が良い (2) 後ろティー * 交替の目安として 各種目 10~20 球の中で交替 3~5セット 1 練習の意図 前に突っ込まずボールをとらえる ヒットポイントでボールを捉える動体視力の養成 2 選手の状況 試合で前へ突っ込みがち フライが多い時に行うと有効 右打者 ( 右方向打ち 外角球 ) 左打者 ( 左方向打ち 内角球 ) ベース上にバットを置く 投げ手は バットの上に沿うように真っ直ぐのボールをトスする * 山なりのボールは NG 打者は トップを作って待ち 首だけでボールを追う バットの方向 投球の方向にライナー性の打球を打つ 慣れてきたら投球の速度を上げると良い 右打者 ( 左方向打ち 内角球 ) 左打者 ( 左方向打ち 外角球 )

7 (3) 座りティー 1 練習の意図 2 選手の状況 レベルスイングのバット軌道の確認 打撃がダウンスイング ゴロが多い 引っかけた打球が多い時に有効 打者は椅子やカゴ等に座り 下半身を使わずに地面に平行に振る バット方向にライナー性の打球を打つことを心がける * 投げ手は真横から へそ に向かってトス (4) 片足固定ティー 1 練習の意図身体の前でボールを捉える感覚をつかむ 前へ突っ込まない軸作り 2 選手の状況身体の軸がぶれた打撃をしている時や下半身の動きがぶれている時に有効 左足固定右足固定 片足を固定したまま レベルスイングでライナー性の打球を真っ直ぐ飛ばす * 投げ手は 真横から へそ に向かってトス (5) 落としティー 1 練習の意図 2 選手の状況 変化球を捉える ボールを良く見て ためて 一気に打ち抜く 変化球に体勢が崩される傾向が強いときに有効 動体視力も強化される 打者は 投げ手がバットに当たらないよう距離をとり 投げ手は 投げる高さを調節しボールを落とす 打者は トップの形で待ち 体勢を崩さないようにスイングし 置いてあるバットの方向にライナー性打球を打つ * 慣れるまでは なかなか打てず難易度が高い 変化球打ちの練習として取組ませたい

8 (6) 逆方向ティー 1 練習の意図 2 選手の状況 肩の開きを我慢して逆方向に強く打つ 引っ張る打球が多い 体の開きが速い 時の矯正に有効 防球ネットを逆側よりに置く * 本塁から見て 右打者は右より 左打者は左より 右打者には 左側からトス * 普段は右斜めからトスするが逆になる 打者は 投手側への肩の開きを我慢して ライナー性の真っ直ぐから右寄りの打球を打つ * ベース外角の角をめがけて真っ直ぐにトス 山なりは NG トスが上手でないと打球がくるので注意 (7) 遊びながら 集中力ティー 2 球ティー 1 練習の意図打撃練習ではなく 集中力 判断力養成の練習である 2 選手の状況試合や大会前日 集中力が感じられない時に行う有効な練習 上! 下! 下! 投げ手は 両手にボールを持ち 真横からトスをすると同時に 上! か 下! を叫ぶ 打者は 投げ手が叫んだ 上! か 下! のボールをフルスイングで打つ

9 (8) 遊びながら 集中力ティー ボール 3ヶ所打ちティー 1 練習の意図集中力 判断力を養成する * 打撃練習ではない 2 選手の状況試合や大会前日 集中力が感じられない時に有効 真横からへそをめがけて緩い ( 山なり ) ボールをトスと同時に 上 中 下 のいずれかを叫ぶ 打者は 投げ手の叫んだボールの場所をフルスイングする 上! ボールの上を打つ = ゴロ ( 理想 ) 下に打球が跳ねてネットへ 中! ボールの真ん中を打つ = ライナー ( 理想 ) 真上へのフライ 下! ボールの下を打つ = フライ ( 理想 ) 真っ直ぐライナー (9) 大股開きティー : トレーニングティー 1 練習の意図股関節周辺の筋力強化 * 打撃練習ではない 2 選手の状況飛距離を伸ばしたい選手のトレーニングとして有効 大股を開いて構え 前脚の膝に全体重をかける 体重移動で後ろ脚の膝に全体重をかけてフルスイング * ロングティーに有効 低いボールを踏ん張り打つことで筋肉に負荷をかける * 投げ手は真横から前脚の膝の高さにトス 高いボールは NG (10) 逆握りティー 1 練習の意図 2 選手の状況 打撃のインパクト時のリストターン ( 手首の返し ) を遅らせる リストターンが速いため 良い打球もファールが多い選手に有効 バットの握りの手を逆にして 6 割程度の力で打つ * フルスイングは NG ケガにつながる 本練習後 握りを戻し 通常のスイングで打球方向を確かめる 投げ手は真横からへそに向かって緩いボールをトス

10 (11) 軸つくりティー 1 練習の意図身体の軸を作って どっしりと左右のバランスが良いスイングをできるようにする 2 選手の状況投球を頭で追いかけてしまいがちで 上体を突っ込んで打つ傾向が強い選手に有効 右打者の握りで左にスイング後 右スイングに切り替え トスされたボールを打つ 左右とも へそ前 に打つポイントを置いたスイングをする * 投げ手は横からトス 可能であれば 左右にネットを置いたダブルティーも有効 (12) 逆素振り 1 練習の意図身体の筋力バランスを整える ケガの防止 2 選手の状況利き打ち側の筋力に偏りがちでケガの防止に有効 右打者の選手の左打ち 左打者の選手の右打ち 自身の打撃と逆の方で 通常のティー打撃でフルスイングをする 30~50 球は打たせたい * 投げ手は 真横からへそに向かって投げる 高さは変えない (13) 下半身ティー 1 練習の意図 2 選手の状況 高低のコースを打つ時の下半身の上半身のバランスと形作り 上体で打つ傾向が強く 打撃時に下半身が使えていない選手に有効 * 打者は両打ちとも空振り OK 高め打ち 低め打ち 高め打ちは ヘッドを立てながら腰を鋭く切るようにして打つ * 投げ手は 真横から胸の高さにトス 低め打ちは 腰をしっかりと入れ バットは下からでも良いので 沈み込みにより前脚に体重がかかり過ぎることで 前脚の膝が折れないようにしたい * 投げ手は 真横から両膝の中間くらいにトス

11 (14) 一人ネットティー 1 練習の意図レベルスイングの軌道の確認とバットコントロールの養成 2 選手の状況ダウンスイング傾向でゴロが多い ライナー性の打球が出ていない調子の選手に有効 正面から左にネット ( 逆方向打ち ) 正面にネット正面から右にネット ( 内角打ち ) ネットを正面に設置し 真ん中の円部分にライナー性の打球を打ち込む * 上達に合せて 3m 5m 10m とネットの位置を遠ざけていくと有効 ダウン気味のスイングや的確な面でとらえていないスイングでは ライナー性の打球はでない どこで? どのように打ったら? ライナー性の打球を打ち込めるか考えながら行うことで 打撃ポイントの確認とレベルスイングの感覚を磨く練習になる * 同じ場所に 2 人 1 組で競争 ( 円にライナーで打ち込んだら 1 点 ) も有効 様々なティーバッティングを紹介してきた これらを効率的かつ練習の意図 ( 目的 ) を把握して取り組むことにより達成感は大きくなるが 必ずしも 3 割バッターといった結果につながると保証できない なぜなら 打撃には投球とのタイミングが大切であり その意味においては ティーバッティングは実戦的な練習ではない しかし 選手が各練習の意図 ( 目的 ) を理解し また 現在の自身の状況を的確にとらえ 今の自分は どのティーバッティングが有効か 練習方法を選択することによって 打撃のポイントをつかむための有効な練習と言える 6 様々なティーバッティングの他の活用について (1) ロングティーとして打撃組とその打球を捕る守備組に分かれて行う 2 人 1 組になって 20 球打ったら交替する 1 組 (2 人 ) が終わったら守備組と交代する ティーメニュー (1)(4)(5)(7)(8)(10) の方法が有効的 (2) 素振り化雤天時に体育館等で円形や隊列を作って行える 1 種目 20 スイング チームで声を掛けて振り込みをする 両膝付き前足固定後ろ足固定下半身素振り

12 体重移動軸素振り ( 左スイング 右スイング ) 大股素振り逆握り素振り ( 力は 6 割で振る ) 逆素振り ( 右打者 左 左打者 右 ) 振り下ろし素振り ( 縦振りのイメージ作り ) グリップの位置を頭上 へそ 前へ突き上げ 7 実践的な打撃練習 打撃の大事な要素に タイミングを取る がある つまり 投手が投げるボールを打ってこそ実戦である 実戦こそ試合のための練習である そのための練習を紹介する (1) 実践打撃 1 方法投げ手は本来より近い 12m 程度から投げる 広さによるが数ヶ所に分かれて行う 筆者のチームは 4 ヶ所を 走者 3 塁 2 塁 1 塁 無走者と各ヶ所に条件を付けて打たせている 試合のための練習であることを強く意識させる 2 効果投げ手は野手 コントロール良く投げることは 送球力の向上 肩力の強化につながるので 7~8 割程度の力でどんどん投げさせる 10 球でローテーションし 4 ヶ所を交替で打つ 絶対に ボール球は振らない ことを徹底したい ボールを打たないことも打撃練習 ボールを打てば 打撃フォームが崩れ 試合でもボール球に手を出すようになる 仮に全投球がボール球で見逃した選手に対しては 良い選手 と褒めて指導する 試合のつもりで打たせるならば いかに試合の状況下に応じた コースや高さ で打撃ができるか * 選手たちがどのような状況判断で打っているのか を見ることが指導者

13 (2) 投手陣との対決による 1 ヶ所フリー打撃 1 方法 マウンドを使って投手陣と打者を打たせる真剣勝負 守備もつく 投手は捕手とサイン交換をしながら投げて良い 変化球も有り 4 人で 1 グループにし 3 本交替や 3 球交替で行う 2 効果 より実践に近く 打者 投手に有効な練習である 時間がない 人数が多い 場合は 1 ストライクからの条件設定も有効 投手は 60 球前後を目安に交替したい 実際に走者を付けて (1 塁 2 塁 3 塁 ) 打球判断 = 走塁練習もしたい 守備陣には実戦の打球である 試合のための守備練習である意識を強く 第 2 章各競技種目 Ⅵ 軟式野球競技五打撃 (3) ハーフ打撃 1 方法 10m 程度のやや近い距離から緩いボールを投げる * できれば防球ネットを投手前に置きたい 打者は引っ張らないようにし 投手 ~ 逆方向にライナー性の打球を飛ばすようにしたい 数ヶ所設置するが 打者間は 10m 開けたい 打球が隣で投げている投手に当たらないよう危惧 ローテーション (10 球交替 ) で行い 投手のタイミングを変えて打たせる 2 効果 遅いボールを引きつけて投手 ~ 逆方向に打つことで軸がぶれない感覚を養う 遅いボールを引っ張ると身体の開きが速くなり 試合では通用しない 投手が違えばタイミングが違う 10 人投手がいれば 10 通りのタイミングがあること意識する (4) 投手陣のブルペン投球練習の打席に立ち 球筋を見る私のチームでは立派な打撃練習の一つ 打たなくても球筋を見る = 慣れる = タイミング取る練習になる 投手にとっても 打者がバッターボックスに立っていることで より試合感覚が養われる