ーズとそのパロディバターにアメリカと日本の問題を読みとったのだろうか本稿ではこれらの問題の解明を目指したい Ⅱ. グローバリズムとチーズはどこへ消えた? チーズの原書 Who Moved My Cheese? ( 以下 Cheese と略 ) は 1998 年に PUTNAM 社か

Size: px

Start display at page:

Download "ーズとそのパロディバターにアメリカと日本の問題を読みとったのだろうか本稿ではこれらの問題の解明を目指したい Ⅱ. グローバリズムとチーズはどこへ消えた? チーズの原書 Who Moved My Cheese? ( 以下 Cheese と略 ) は 1998 年に PUTNAM 社か"

1 グローバリズムのマニュアルと反グローバリズムのパロディチーズはどこへ消えた? をめぐって甘露純規 Ⅰ. はじめに日本出版販売によれば 2000 年 12 月扶桑社から出版されたチーズはどこへ消えた? ( 以下チーズと略 ) は 2001 年を通して 350 万部の売り上げを記録空前の大ベストセラーとなったと言う道出版はチーズから半年遅れてそのパロディバターはどこへ溶けた? ( 以下バターと略 ) を出版したその後こうしたチーズのパロディは次々と出版され全国の書店をにぎわしたこれらの書物が巷にあふれた 2001 年は経済の領域を中心として様々な領域でアメリカンスタンダードグローバルスタンダードが求められた時期であったこうした状況の中チーズは多くの読者によってアメリカ的思考の表れとして理解されバターは日本的思考の表れとして理解されたこのようなチーズとバターはグローバリズムの言説と密接な関係を持っていたと考えられるとすればそれはどのような関係だったのだろうかそもそもなぜ人々は個人の生き方を教示するマニュアルチ

2 ーズとそのパロディバターにアメリカと日本の問題を読みとったのだろうか本稿ではこれらの問題の解明を目指したい Ⅱ. グローバリズムとチーズはどこへ消えた? チーズの原書 Who Moved My Cheese? ( 以下 Cheese と略 ) は 1998 年に PUTNAM 社からビジネス書として出版された Cheese が出版され人々の間に流通した 1998~ 99 年のアメリカの経済界では DIAMOND ハーバードビジネス 1998 年 1 月 1 日号での Peter F.Drucker の言説のように IT の急激な進歩による世界経済の絶え間ない構造変化に対忚するためには従来の組織に縛られない労働力の流動性が不可欠だとする言説がさかんに流布していたアメリカではこうした言説に基づき柔軟な労働市場の実現が積極的に目指された同誌 1999 年 9 月号で Kathleen M.Eisenhardt は Hewlett Packard 社の好調な業績を支えたものは柔軟な組織改編であったと指摘している 1 こうした状況下で出版された Cheese は縦 21.7cm 横 13.9cm のハードカバーで 94 ページ $ の書物であった表紙は白を基調とし題名とともに効能書きや宣伝文句が並び表紙絵はないその構成は 1 エピグラフ ( Robert Burns と A.J.Cronin のもの ) 2 The Story Behind The Story by Kenneth Blanchard,Ph.D. 3A Gathering:

3 Chicago 4 The Story of Who Moved My Cheese? 5 A Discussion: Later That Same Day の 5 部構成となっている肝心の物語は 3 ( Michael が再会した旧友達にこの物語を語り始めるまでの部分 ) と 5 ( 物語が終わり Michael と旧友達が議論する部分 ) の間に挟まれている Cheese の構成は入れ子型の構造を持っているのだ物語を見てみよう物語は迷路で暮す二人の小人に原因不明の変化が降りかかり一人は変化の原因の追求にこだわり変化を直視しようとせず落伍してしまうがもう一人の小人は変化を受け入れ成功するという至って単純なものだ 2 The Story Behind The Story by Kenneth Blanchard,Ph.D. で述べられるようにこの迷路は the organization や the community など現代社会の様々な領域を表している問題はこの理解不可能な変化に対する二人の小人の生き方であるここで複雑化流動化する現代社会に対する人間の生き方についての海野弘の見解を見てみたい ( 前略 ) 現代社会は巨大化し複雑化している私たちは個人の意志で自分で直接なにかをなすことがむずかしくなっている多くのことはエージェンシー ( 代理 ) にまかせなければならないほとんどのプロセスは直接見えなくなっていて巨大な見えない組織に操られているかのような不安恐怖に襲われるそれがエージェンシーパニックであるその不安をなだめるためにコンスピラシーセオリー ( 陰謀史観 ) に頼るのだ ( 中略 ) このようにエージェンシーパニックは自己を脅か

4 すものを激しく暴露するのであるが自己が解体された状況を認めるわけではないテレビやインターネットなどのコミュニケーションテクノロジーマスメディアによる操作などにより自己が不確かになっているのになおそれを守ろうとするしたがって保守的なのであるつまりエージェンシーパニックによって生み出されるパラノイアやコンスピラシーの幻想は自己防衛的なものであるこれに対して一九七〇年代ぐらいからのニューエイジポストモダニズムなどの態度はオルタナティヴ ( もう一つ ) の自己自己啓発など自己の境界をこえていく方向へと向う古いセルフから新しいセルフへの積極的な変換が目指されている ( 海野弘陰謀の世界史 - コンスピラシーエイジを読む - ( 2002 年 7 月文藝春秋 )pp21-23 海野の見解をもとに Cheese の物語をあらためて読み直せば誰が作ったのか定かでない正体不明の迷路で起きる原因不明の変化は代行者により複雑化された現代社会での事件を表していると言えようその都度変化 = 差異を受け入れてかつての自己を乗り越えていこうとする小人 Haw はまさにポストモダン的な生き方を表しておりそれに対して過去の境遇にこだわり Who moved my Cheese? という問いを繰り返す小人 Hem は保守的な生き方を表している最終的に前者を勝者とする Cheese の物語はエージェンシーパニックを克服しポストモダン的な生き方で複雑化流動化した現代社会を生きることを読者に勧める

5 この物語はの部分に挟まれることによりもう一つのより具体的なメッセージを担わされる 2では配置転換され失意のアナウンサーがこの物語と出会い変化 = 配置転換を積極的に受け入れ成功したエピソードが紹介される加えて物語の直前の3 では実際には作者 Spencer Johnson,M.D. により執筆されたこの物語を Michael により語られる物語として仮構している点にも注意したい Michael はかつて自分も誰かからこの物語を聞き自分の会社経営従業員の意識改革に忚用して成功をおさめた人物として設定されている読者は物語をかつてその物語により成功者となった者から受け取る読者にとって物語の価値はその成功例 - 忚用例からすでに保証されている物語の価値を保証するこのような忚用例と年のアメリカ経済の状況を考え合わせれば Cheese はこの時期にさかんに流布した柔軟な労働市場の必要性を説く言説を物語の形で表象する書物として機能したと思われるまた 5 A Discussion :Later That Same Day の部分で Jessica が勤務する出版社が旧来の販売方法に固執し電子辞書という新技術の隆盛を見ぬけなかったために苦境に立たされるエピソードを披露していることを考えればこの Cheese は IT がもたらす経済システムの変化への柔軟な対忚をすすめるものだとも言える以上のように考えれば Cheese は IT がもたらす経済システムの絶え間ない変化を労働市場の柔軟性によって対忚するためにはポストモダン的な生き方が必要であることを説いたビジネスのマニュアルなのだと言える 2

6 この Cheese に対して 2000 年に SIMON&SCHUSTER 社から Mason Brown,J.D. が作者となり極めてよく似た装丁で Who Cut the Cheese? が出版されたしかしこの Who Cut the Cheese? は表紙に A PARODY とうたっているこのパロディは構成と物語においても Cheese と極めてよく似ているが変化を受け入れた小人と変化を拒絶した小人にそれぞれに悲惨な結末を与える特に正体不明の迷路は何者かが実験用に作ったものであるとされている点 ( エージェンシーパニック ) 変化を拒絶した小人が苦境をインターネットで克服しようと試みて失敗 IT に対する盲目的な信仰の愚かさを露呈している点は Cheese がどのような書物として読まれたのかという事実を側面から示していて興味深い Cheese は 2000 年 11 月 30 日扶桑社からチーズはどこへ消えた? として翻訳出版された Cheese が翻訳出版された 2000 年の末日本は慢性的なデフレ不況から抜け出せずにいた 2000 年秋からナスダックバブルが本格的に崩壊し始め 2000 年 11 月 18 日の週刊ダイヤモンドは崩れる米国の集金メカニズムについて報じているアメリカ経済の失速に対する警戒感が生まれ始めたその一方で相変わらずアメリカ経済は好況を維持するとも見られていた日本の経済界ではアメリカの経済界で流布した前述の言説が確認出来る 2000 年 11 月 8 日の日本経済新聞紙上の経済教室で斉藤克仁は以下のように述べている

7 米国でインフレ圧力を抑えつつ高成長を長期化させているメカニズムの柱は労働生産性の持続的上昇であるその大きな推進力が IT 革新であることはよく知られている ( 中略 ) それでは日本においてユーザーサイドで IT 導入が進まない理由は何であろうか ( 中略 ) 労働市場や財市場の競争制限的な規制が厳しいと IT という革新的投資を進めるインセンティヴが生じにくいこの時期の新聞や雑誌では日本の不況の原因を労働市場の硬直化という点に求めアメリカ経済と日本経済を対照的に語る言説が多く見られる 2000 年 11 月 14 日の日本経済新聞紙上の経済教室で清水啓典は日本の組織を責任分散でしかない集団的意思決定を経なければ決断のできない組織と批判しこうした国 ( 日本 ) が IT 革命下のグローバル世界でますます複雑化多様化するリスクの管理などできるだろうか日本のシステム全体が変革を迫られていると結論するアメリカの経済システムへの収斂をうたうこうしたグローバリズムの言説が流布する状況にあって労働市場の柔軟性により経済システムの絶え間ない変化を乗り切ることを説く Cheese はベストセラーになる条件を十分に備えていたしかし Cheese はアメリカから日本へそのまま移入されたわけではないチーズは原書に比べて一回り小さい B6 判で 94 ページ定価 838 円のソフトカバーの書物である表紙は黄色を基調とし原題の下に邦訳の題カタカナの原作者名とチーズの中で

8 途方に暮れるサラリーマンの後ろ姿の絵が描かれているその装丁について扶桑社の冨田健太郎に話を聞いた 3 ( 前略 ) 絵本的なものでありますのでイラストは載せたいと思いましたその場合あまり可愛い過ぎないところで収めたいということでビジネスマンにも拒否反忚が起こらず逆に若い女性を中心に手にとりやすいという形を模索してああいう形になったということです ( 中略 ) 我々の側としては従来は文庫単行本を中心にエンターテインメントの小説をメインにやってきたので初めての試みで逆に何もないところから試行錯誤で作っていくことが出来たということです女性読者層を対象とした新たな装丁作りそれは完全なハードカバーのビジネス書作りのノウハウがない扶桑社の出版社としての短所をカバーすることでもあったここに原書とは大きく異なるB6 判でビジネス書と絵本の中間的な装丁を持つ新たな書物が誕生したのである 2001 年 1 月 23 日の読売新聞紙上での広告でも新たな装丁に込められた意図を反映してチーズによって元彼との関係を清算した女子大生 ( 18 歳 ) や夫婦の絆を見直せたという主婦 ( 41 歳 ) といった読者の声を成功例として紹介している扶桑社はこうした成功例に煽られチーズを自己の人生にも当てはめようとする読者達に向けて 2001 年 10 月 Who Moved My Cheese?- My Story Boo k- を出版した

9 この書物はチーズと同様のカバーを用いた文庫本サイズで 388 ページの日記帳であった扶桑社は読者が紡ぐ私のチーズ体験 = 忚用例を吸い上げ再びチーズの宣伝に利用しようとする扶桑社は自社の HP 4 で読者の私のチーズ体験を募集するチーズはどこへ消えた? ( スペンサージョンソン著 / 門田美鈴訳 ) の読書感想又は本書を読んで私はこう変わった!! 私はこうやって困難な状況をのりこえた!! などの経験やエピソードを原稿 400~ 800 字以内にまとめて下記の投稿フォームより忚募してください ( 中略 ) 優秀作品は Web ページにて発表させていただきますまた賞状チーズはどこへ消えた? 特製記念品を進呈いたしますなお投稿された文章の権利は扶桑社に帰属しますこうしたHPや新聞紙上の宣伝活動に見られるのは忚用例から価値という力を与えられたマニュアルが忚用例を生みそしてその生み出された忚用例が再びマニュアルに力を与えるというチーズの内外を超えて作り上げられた循環構造であるチーズに対する読者の反忚を見てみようまずチーズを従来のシステムにしがみつくばかりでなかなか不況から抜け出せない日本人の欠陥を指摘する書物として評価するものがある以下はインターネット上のチーズはどこへ消えた? 掲示板 5 に 2001 年 11 月 1 日に投稿された意見である大分前にこの本を読んで何回か読み返しましたがいい本だと思いますよこの本

10 がヒットした理由として1 今の日本人に欠けている物を補ってくれる 2すごく読みやすい点が挙げられるのではないでしょうかはじめてこの本を読んだときはこの感覚は既に自分のものと思っていましたが大きな間違えでした更にチーズは日本経済の危機的な状況を分かりやすく表象する書物としても用いられた JAGAT 6 では現状維持は後退である - 消えたチーズと題して次のように言う本の内容はデフレ経済のなか混迷を深めている日本の危機状況にも当てはまります受注はどこへいった? という不況下の印刷業や変容する業態デジタル革命への対忚なども感じさせるものですまた Daijob Hrclub 7 の 2001 年 7 月 26 日発起人リレーコラム人事徒然草で五島啓三はチーズを手がかりに 80 年代以降の日本経済の軌跡を辿り次のように言う我々の周りにはいくらでもなぜという視点から見直すべきことがある均質社会で共通項が多いと言われる日本が故に我々はなぜを忘れがち圧力団体の力や官僚利益のために不合理がまかり通る政治をみているとますますグローバルスタンダードから取り残されて独善のファシズムが横行しそうな危機感を持つ今日このごろであるせめて企業の中では必要な物を残し変化しないといけないものを見分け変革する

11 ことから日本再生を図る必要がある前述したように 2000 年末から 2001 年にかけて日本の経済界ではアメリカに追随し IT 革命を実現するため柔軟な労働市場の必要性を説くグローバリズムの言説が流布していたこうした状況の中二人の小人の対照的な生き方を通して労働市場の柔軟性により経済システムの激変を乗り切ることをうたうチーズはアメリカと日本の対照的な状況を語る言説を分かりやすく表象するのにまさにうってつけの書物であったここにグローバリズムの言説とチーズの密接な連関が確認出来よう読者の中にはこうしたチーズとグローバリズムの言説との連関をふまえ批判する者も多い例えばピースネットニュース 8 の 2001 年 8 月 10 日発行 161 号ピースネットニュースで青山正は貧富の格差を生むグローバリズムの動きを指摘し先月イタリアのジェノバで行われたサミットはグローバル化を推進するための巨大な道具でもありますがそれは変化を説くチーズ本が後押ししているようにも思いますと述べるまた wad s 9 ではチーズはアメリカの 1990 年代ニューエコノミー的な企業経営文化の下での労働力の流動化を反映しそのような状況下での労働者の感情マネジメントを目的としていると指摘されている他にも 2001 年 8 月 21 日の楽文ねっと-ちょっとディープなエッセイ集 10 で西塔京四郎は本書の真の目的は欧米や日本で盛んに行われているリストラに対するメンタルケアと指摘するこう

12 したチーズとリストラの関連を指摘する声は非常に多い Ⅲ. 反グローバリズムとバターはどこへ溶けた? 以上のようなチーズに対してさまざまなパロディが現れた前述の Who Cut the Cheese? は 2001 年 8 月に鹿砦社からチーズはだれが切った? としてチーズとよく似た装丁で翻訳出版されたまた書籍という形は取らなかったがインターネット上でも 2001 年 3 月 17 日にサイコドクターあばれ旅 11 に掲載されたスペソサージョソソソ M.D. チーズはどこへ消えた? 完結編や 2001 年 3 月 17 日に D の嘘 12に掲載されたチーズはどこへ消えた? Who Moved My Cheese? などが確認出来るこれらのインターネット上のパロディの多くが何らかの形でコンスピラシーセオリーに基づいていることは興味深いディーンリップルウッドバターはどこへ溶けた? ( 以下バターと略 ) は 2001 年 5 月に道出版から出版されたバターの装丁を見てみると B6 判で 93 ページ表紙はクリーム色を基調とし原題と邦訳の題カタカナの原作者名とネコとバターの絵も付けられている帯にはあなたはどちらを選びますか? / 変化を追いかけて成功を手に入れるために大切な何かを失

13 っていませんか? という文句が付けられている道出版の佐藤彰に話を聞いてみると 13 こうした装丁はチーズの隣りに置くものですから ( 中略 ) 本屋に行ってあっと驚くものでないとそのくらいはやらないとまずいだろうという計算によるものだと言う道出版の計算通り全国の書店ではチーズとバターの対立関係が生み出されていったその構成は 1 エピグラフ 2 浅薄山諦念寺流心和尚による裏話 3 ある集まりひなびた港町で 4 物語バターはどこへ溶けた? 5 その後散会となっている 1 のエピグラフには老子の一節上善は水の如し水は善く万物を利して而も争わずが利用されているが佐藤によればバターは特に東洋思想を意識して作られたものではなくエピグラフもバターが出来上がった後に事後的に目印として付けられたものであると言う 2 において作者流心和尚は東洋思想を想起させる仏教的道教的な言説に依りながら保守的な生き方を以下のように奨励する世のなかは幸か不幸か移りゆく前にすすむ者もいればそこへとどまる者もいる前にすすむ者がとどまっている者を見るとずいぶんと臆病に見えることだろうしかしそれはあまりに一方的なものの見方だ立ち止まっているように見えても内なる苦しみと向き合い逃げることなく立ち向かっていることだってあ

14 る / たしかに走りつづけている者はかっこよく見えるかもしれないしかしそれは修行が足りないだけのことだ古来走りまわって悟りを開いた者はおらん釈尊を見よ達磨を見よ ( p9) また3の部分で登場人物の一人に ( バターを) 職場のみんなにも勧めたんだけどウチの会社って変にアメリカかぶれしているヤツが多くって自分で自分の未来を切り開くんだ! って目の色変えていわれちゃうから勧めようがないよね ( P 19) と言わせているチーズはアメリカ的なものとして印づけられるチーズとは正反対にバターでは東洋的保守的な生き方はアメリカ的 - ポストモダン的な生き方に対して優位を占める物語を見てみようその内容は森の中で暮す二匹のネコにある変化が降りかかり変化に躍らされた一匹のネコは失敗してしまうがもう一匹のネコは変化に惑わされず自分自身を見つめることで幸せになるというものであるチーズとよく似た状況を設定しながら勝者と敗者を逆転させチーズとは全く逆の結論を導こうとしていることが分かるだろうしかしこうしたパロディの仕方はそのストーリーや情景設定にややこしい事態を引き起こした例えばバターでは物語の舞台は迷路から森へと改変されているこの改変は変化に抵抗して元の場所に留まる小人ヘム=ネコのタマに留まることがもたらす幸せ自分を取り巻く何気ない自然の風景を発見させる上で必

15 要な手続きであった登場人物が小人からネコというマイペースな動物へと改変されたのもこの手続きと無関係ではないだろうしかしこれではチーズで小人が置かれたのと同じ状況ではなくなってしまう当然そこで起こる変化の意味合いも違ってくるだろうつまりチーズに対抗して同一の状況でも違う選択があり得ることを示そうとしてその状況を作り変えざるを得なくなってしまったのだバターはチーズの状況を作り変えることにより具体的にチーズと異なるストーリー展開と情景描写を生み出したこうした意味でバターはチーズのパロディを試みる過程で結果として全く別の作品となってしまったのだと言った方が良いこのようなねじれはあったがバターはチーズに対して正反対の勝者と敗者の関係を対置しようとしていた読者はこの逆転の操作と帯の文句からこのバターをチーズと正反対のメッセージポストモダン的な生き方に対する保守的な生き方の優位を説くものだと思うだろうしかしバターの真のメッセージを考える上で無視出来ないのは物語を挟み込む 2 5 の部分に見られる言葉だ 2 浅薄山諦念寺流心和尚による裏話では物語はこれくらいの話は適当にいくらでも作れる (P7) さしてありがたいものではない ( 同 ) とされるバターはチーズのメッセージを逆転させるがその逆転したメッセージは決して絶対化されることはない加えて物語の直後の 5 その後散会ではチーズ

16 のように物語の忚用例をあれこれと話し合うことはなされない登場人物の一人のこの話はそれぞれが思うことをいい合ってどうこうするものじゃなくてそれぞれが自分の心に問いかけるものじゃないんだろうか (P92) という言葉を合図に同窓会は散会になりディスカッションが成立することはない物語のメッセージは個々人の相対的な理解にまかされ注意深くマニュアル化が回避されているマニュアルチーズのメッセージを逆転させつつマニュアル化を回避するバターの真のメッセージはバター出版の意図についての佐藤の言葉から明らかになるこれ ( バターのこと ) はビジネス書ではないんですアメリカ的なノウハウというかハウツー本がビジネスの現場でまあマニュアル本ですよねマニュアル的な生き方が 250 万部売れたとそういうマニュアルを求めるのはおかしいのではないかということであって決してビジネス書ではないんですそういうマニュアル的な生き方ではなくて自分のことは自分でよく考えろということで作ったんです ( 中略 ) アメリカは完全なマニュアル社会ですよねああいう多人種の国ではマニュアルがないと統一した企業の一貫性というのは出ませんから例えばマクドナルドとかね結局その辺が日本にどんどん入ってきて学校なんかもマニュアル的な教え方になってますよね例えば受験勉強なんかそうですけれどもそういう土台があってこのチーズなんかは売れたと思うんですよ

17 バターの真のメッセージはマニュアル志向の生き方の否定言わば生き方についての相対主義のすすめだと言っていいだろう 14 バター中のポストモダン的な生き方に対する保守的な生き方の優位は読者にチーズというマニュアルの妥当性に懐疑の眼を向けさせるための単なる手続きであったと言えるバターはチーズに対してアンチマニュアルとして優位に立とうとするのであるしかし佐藤が語るアンチマニュアルバターの出版意図には見逃せない問題があるこの出版意図の根底にはグローバル化したアメリカンスタンダードに後押しされたマニュアルの流入により日本人の生き方が脅かされているという意識が見て取れるアンチマニュアル= 生き方についての相対主義はグローバリズムと結びついたマニュアルの侵入により脅かされた日本人の生き方を救済するためにその必要性が説かれるのであるチーズに対して生き方の相対主義を以って対抗しようとするバターは激しくチーズと衝突することで自身が抱えた危うさを露呈してしまうだろうこうした危うさが露呈するのがチーズとバターの間で起きた訴訟事件である訴訟の過程を見てみよう 2001 年 5 月 17 日扶桑社はバターが書名と装丁 ( カバー判型頁数など ) の点でチーズに酷似しており読者がバターをチーズの続編として買い間違いを起こしている事実から放置すればチーズの販売

18 に莫大な損害が生じる 15 とし不正競争防止法二条一項一号 16 又は二号所定の不正競争にあたるとして道出版を告発した東京地裁はバターの書名と装丁は細部を検討してみるとチーズとは異なり続編として買い間違いを起こしにくいと判断扶桑社の主張を退けたが 5 月 30 日には扶桑社は不正競争防止法と並行して著作権法侵害でも告発を行った扶桑社は道出版を本件著作物 ( チーズ ) の筋立て主たる構成などの思想感情の流れを無断で取り入れ本件著作物の表現形式上の本質的な特徴を直接感得できるような内容の債務者書籍 ( バター ) を製作し出版しチーズの翻訳者門田美鈴の翻案権 17を侵害したとして販売差し止めを求めた 18 加えて扶桑社はバターの装丁をチーズの装丁に関する編集行為そのものをすべて無断で流用し使用して債権者扶桑社の編集著作権 19を侵害していると告発したこれらの扶桑社の主張に対して道出版は装丁に関する主張についてそれが編集著作権の侵害に相当するのかは疑問だと反論した特に翻案権侵害については設定や登場人物等に類似性が認められることは確かであるしかしそれはパロディーとしての性質上ともにチーズ探しやバター探しに出かけなければならない状況から話を始める必要から生じたものであるしかも登場人物の性格やその作品における位置づけは両者で全く異なるそしてその結果としてチーズ探しやバター探しが始まってから登場人物が抱く感想や得る教訓その他の反忚についても異なっていると反論した

19 2001 年 12 月 19 日東京地裁はチーズの表紙の装丁編集については外国の書籍を翻訳した出版物に一般的にみられるもので創作性は認められないと判断するまたイラストの配色書籍の大きさについても本件著作物 ( チーズ ) に特有のものではなく創作性は認められないとして装丁の編集著作権についての扶桑社の主張を退けた翻案権の侵害についての東京地裁の判決は機械的にバターの本文中から類似の文章をチーズの表現上の本質的な特徴を無断で流用した部分として探し出し判決を下した観が否めない東京地裁はバターを債権者甲の本件著作物 ( チーズ ) についての具体的な記述をそのままあるいはささいな変更を加えて引き写した記述を尐なからず含むものであって表現として許される限界を超えるものであると判決を下しバターの販売を差し止めることを認めたのである結局バターはチーズの無断翻案として扱われ販売差し止めの憂き目を見たしかし弁護士の山本隆司はチーズの表現上の本質的な特徴を無断で流用したバター中の類似の文章を原書 Cheese に由来する創作性のない部分かありふれた表現に過ぎないとした上で東京地裁の決定を次のように批判するこのような類似性から本件著作物の表現上の本質的特徴を直接感得できるといえるのか小説の中の 1 フレーズを他人が利用したからといって小説の著作権を侵害

20 したとはいえないであろうそれは小説の表現上の本質的特徴がストーリーや情景とこれを構成する具体的表現にあるが 1 フレーズのみの利用ではその小説の思想 ( アイデア ) を利用し得るにとどまり小説のストーリーや情景を利用し得ることはないからであろう小説では描き出されるストーリーや情景とこれを構成する具体的表現が表現上の本質的特徴というべきである 20 ここで前述したようにバターがチーズのパロディを試みて結果としてチーズとは異なるストーリーの展開や情景描写を生み出してしまったことを思い出したい山本の理解に従えばバターはチーズだけでなく原書 Cheese に対しても表現上の本質的な特徴 = オリジナリティをそのまま無断借用した翻案ではなく別個にオリジナリティを持つ書物だということになる地裁の決定後道出版は 2002 年 2 月 28 日に処分に対する異議申立てを行ったその準備書面を見てみると道出版は利用される先行作品の部分が創作的表現を含まないこと先行作品の批判から出発していること及びパロディの手法に基づく換骨奪胎によって先行作品とは全体として別の作品に仕上がっている 21 ことを理由に反論を行うあらためて道出版はこの訴訟をパロディの過程で生まれたオリジナリティを軸に展開しようとする道出版はその反論の中で次のように主張する日本列島は中国を中心とする東アジア文明圏の極東に位置し 2000 年を超える長

21 い文化思想哲学の伝統を有しており日本人には日本人の生活に当てはまる哲学思想が存在するそれを無視して外国の処世訓を安直に引き移すことにより日本の文化状況が破壊され日本人のアイデンティティーが喪失されてきた債務者出版物 ( バター ) の著者はかかる状況を憂えて債権者書籍 ( チーズのこと ) に対し真っ向から対峙すべきアジアの思想書の出版を決意した ( 中略 ) 債権者書籍は労働市場の流動化が完全ではない日本においてはむしろ適合しない思想やテーマに満ちている 2002 年 1 月 22 日の時事通信紙上でこの訴訟事件に触れてバターは自身を米国の覇権主義に対する東洋思想のアンチテーゼとして紹介している法廷でチーズと激しく対峙するためバターはそもそもの出版の意図の根底にあった意識を明らかにするしかしこの対峙はバターに皮肉な事態をもたらした日本人のアイデンティティーを救い出すため生き方の相対主義を唱えるバターは根底にあったその意識を明らかにすれば日本人の生活に当てはまる哲学思想の擁護という結局のところ個人の生き方を規定する主張に辿りついてしまうのだバターはこの日本人の生活に当てはまる哲学思想の具体的な中身にかつて事後的に援用したに過ぎなかった東洋思想を充填するこうした充填はバターの救い出そうとした日本人のアイデンティティーなるものが実体を伴なうものではなく空虚なものでしかなか

22 ったことを端的に表しているのではないかまた引用の末尾で労働市場の流動性の不完全さに触れてバターはそうした状況にある日本の思想を代弁する書物として振る舞っているこの身振りはバターが労働市場の流動性についてグローバリズムの言説により日本に割り振られた保守的という立場を積極的に引き受けていることを示しているここには東洋的保守的な生き方のマニュアル化に身を投じていくかつてのアンチマニュアルの姿がある以上のようにバターは保守的な態度を鮮明にしながら事後的に援用した東洋思想を以ってパロディの過程で生じたオリジナリティを補強することによりチーズに対抗しようとした 22 こうしたバターの姿はグローバリズムの言説と結びついたマニュアルに生き方の相対主義を以って対抗しようとした反グローバリズムのパロディが当初から抱えていた危うさを端的に現わしている 23 読者はバターをどのように受容したのだろうか四電ペンギンズ 24 である読者はチーズ本に腹が立った僕のような人間にとってはなかなか楽しくて痛快な気分と感想を語るまたぱすてるのーと 25 ではお説教臭いチーズの物語の方は肌に合わないので ( 中略 ) より一層バターの物語が面白く読めたという感想も見られるこれらの感想はグローバリズムと結びついたマニュアルの押し付けがましさに対する反発からバター中のメッセージ生き方の相対主義に共感を感じたことによるもの

23 だろう特に眼を引くのはバターの相対主義への共感を日本東洋思想への親近感と関係させて語る感想だ 2001 年 5 月 20 日の朝日新聞紙上で岡崎武志はバターへの共感を示しつつバターにチーズに見られるアメリカ流のやや時代錯誤なプラグマティズムを批判する東洋思想を見ているまた 2001 年 6 月 6 日のなかだわ氏のホームページ 26 ではこの本の最大の特徴はこれが単なるチーズ的上昇志向に対してのアンチテーゼではなくもっと大きな何か言うならばアメリカ的資本主義のようなものに対して真っ向から立ち向かっているところなのです ( 中略 ) 日本人は日本人でいいじゃないですかという感想が述べられているこれらの反グローバリズム的な感想は単に東洋的保守的な生き方に対する共感とも見えるがその実生き方の相対主義の根底にある日本のナショナリティへのこだわりそしてそのこだわりゆえに訴訟の過程でバターが露呈してしまう姿をすでに読みとっているのかもしれないしかし以上のようなバターが法廷で明らかにした姿また読者がバターへの共感から紡ぎ出した反グローバリズムの言説はグローバリズムの言説とチーズに対する有効な反撃となるのではなく逆にそれらを活性化することにつながってしまうだろう例えばチーズはどこへ消えた? 掲示板には 2001 年 6 月 21 日に以下のような発

24 言があるバター的な考えを要約すれば慌てなくてもそのうち良くなるよ気にしない気にしないだと私は思うのですがその考えが日本の経済や政治その他にどの位悪影響を及ぼしてしまったかはどうお考えですか? 逆にポジティヴな考え ( チーズ的発想 ) を推し進めていたアメリカにはどのような現象が起きているかはご存知ですか? 日本人のアイデンティティーを回復するという目的ゆえに東洋的保守的な生き方の奨励へと退行してしまうバターとその読者の感想は結局のところチーズの中のポストモダン的な生き方対保守的な生き方という対立を活性化してしまうこの対立の図式が温存される限りグローバリズムの言説は何度でも再燃することになるだろうこの対立の図式について 2001 年 6 月 18 日同じチーズはどこへ消えた? 掲示板にこの論争はまさしくポジティブ派 ( 改革派 ) とネガティブ派( 保守派 ) を代弁しているように思います以前にも書きましたがどちらの性格も人間は有しており一方を否定すること自体ナンセンスですという反論が寄せられたしかしこうした意見も対立の図式を個人の内面へと延命させるものである限り有効な反論とはならないだろうバターとその読者の反忚は自身の意図に反してグローバリズムの言説とチーズという書物が作り出した装置の一部として機能してしまうのである

25 Ⅳ. むすび最後にチーズのその他のパロディについて簡単に見ておこう中央アート出版は 2001 年 6 月にニックレビーひまわりの種は誰が食べた? ( 以下ひまわりと略 ) を 2001 年 8 月にはその続編ハムスター村ひまわり学園を出版したこれらのパロディは装丁や構成においてバターと共通する点が多いこのひまわりの物語は帝国主義的な発想を持つウサギと対立したハムスターが競争が激化するウサギの社会とは対照的な協調と調和をモットーとする社会を作り幸せに暮らすというものチーズを信奉するウサギの社会はアメリカとそれに追随する日本を表しているひまわりの作者である坂井泉によれば 27 ひまわりはグローバル化するアメリカンスタンダードに対する言わばくさびとして執筆されたと言うここに物語の内容がグローバリズムに盲目的に追随する日本の現状への批判となっているという新たな反グローバリズムのパロディが登場した 2001 年 9 月 11 日の NYテロと 12 月のエンロン破綻をきっかけとしてこのようなパロディも大きな転換を迎えるこれらの事件によりアメリカ経済は急速に失速チーズやそのパロディを支えていた状況は大きく変化した 2001 年 11 月 25 日サミュエルライダーライオンは眠れない ( 以下ライオン

26 と略 ) が実業之日本社から出版されたライオンはその構成を見てみるとバターと共通する部分が多いしかし物語はアメリカ人の作者による物語から中国で発見された正体不明の物語へと変更された物語の内容は小泉首相を思わせるライオン王とその王国に起こる混乱と再生の様子を描き出すことで日本の近未来を予測したものだった実業之日本社の豊宣光によれば 28 こうした変更はアメリカ経済の失速とともに日本経済の大きな脅威として注目を浴びるようになった中国経済の急成長に対する関心に基づくものだと言う実業之日本社は 2003 年 1 月 14 日にはライオンに続きラリー S ジュニアハゲタカは飛んでゆくも出版しているその物語はタカ帝国ハト王国カバ人民共和国クマ帝国の間の熾烈な駆け引きを描くことによりアメリカ日本中国ロシアの近未来を予測するものであるかつてグローバル化したアメリカンスタンダードのマニュアルに対抗した反グローバリズムのパロディは複雑さを増した新たなグローバリゼーションの動きの中に巻き込まれていくのである追記お忙しい中にもかかわらずインタビューに快く忚じて下さった扶桑社の冨田健太郎氏道出版の佐藤彰氏中央アート出版 (GALLAP) の坂井泉氏実業之日本社 ( 有楽出版社 ) の豊宣光氏に深く感謝いたしますなお論文中では敬称は省略させていただき

27 ました 1 Harv a r d B us i ne s s Re v i e w ( ) からの転載記事 2 実際前述の He w l e t t P a c k a r d 社は社員教育用テキストに Cheese を採用している年 8 月 1 日電話によるインタビューに対する回答 4 h ttp:// sh a.co.jp/senden/2 000/03019X.html 5 h ttp://bio520.c o.jp/ wmmc/ 6 h ttp:// t.or.jp /pc/st ory_ m emo_view_p c.asp?s t oryid = h ttp:// om/hrclub/ja/c olumn _hokki 03.html 8 back/news161a.html 9 h ttp:// com/b ooks/963.html 10 h ttp://www. rakubun.net/akanwa/a htm 11 h ttp:// memb er.nifty.ne.jp/windyfield/ch eese.html 12 h ttp://d-uso.co m/01/ch ee se/ 年 8 月 6 日道出版社でのインタビューに対する回答 14 こうしたメッセージは 2001 年 9 月 15 日に同社から出版されたアウグスト本田ナマケモノはどこへ行く? にも反映しているこの書物にはチーズ VS バター論争に決着! / 変わるべきか / 変わらざるべきかといううたい文句の帯がつけられ生き方の相対主義が明瞭に説かれている 15 東京地裁決定不正競争民事仮処分事件 ( 平成 13 年 ( ヨ ) 第号 ) から以下引用は同文書から 16 一他人の商品等表示 ( 人の業務に係る氏名商号商標標章商品の容器若しくは包装そ

28 の他の商品又は営業を表示するものをいう以下同じ ) として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し又はその商品等表示を使用した商品を譲渡し引き渡し譲渡若しくは引渡しのために展示し輸出し若しくは輸入して他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為 17 著作権法第 27 条 ( 翻訳権翻案権等 ) 著作者はその著作物を翻訳し編曲し若しくは変形し又は脚色し映画化しその他翻案する権利を専有する 18 東京地裁決定著作権民事仮処分事件 ( 平成 13 年 ( ヨ ) 第号 ) から以下引用は同文書から 19 著作権法第 12 条 ( 編集著作物 ) 編集物 ( データベースに該当するものを除く以下同じ ) でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは著作物として保護する 20 山本隆司チーズはどこへ消えた? 事件 ( コピライト 2002 年 4 月 ) 21 道出版の申立人第 1 準備書面から 22 こうしたオリジナリティとナショナリティの重ね合わせの例については拙稿翻訳と翻案の区別 ( 酒井敏原國人編森鷗外論集歴史に聞く (2001 年 3 月新典社 ) ) 23 扶桑社と道出版は 2003 年 1 月現在も係争中である判決が注目される 24 h ttp://www2.netwave.or.jp/ ~boris/ H itorigo to/hito rigoto246.h tm 25 h ttp://www1.odn.ne.jp/~n o tohatak eyama/pers onal/contents/book1.html 26 h ttp://www06.u - page.so - n et.ne.jp/jf6/nakadawa /right.html 年 9 月 18 日 G ALL AP でのインタビューへの回答年 9 月 18 日有楽出版社でのインタビューへの回答

『チーズはどこへ消えた？』事件

『チーズはどこへ消えた？』事件チーズはどこへ消えた? 事件東京地裁平成 13 年 12 月 19 日決定山本隆司事案米国で平成 10 年に発売された米国人スペンサージョンソン ( 著者 ) の Who Moved My Cheese? ( 原著作物 ) がベストセラーとなり日本の出版社 ( X1 ) が同書の日本での翻訳権および出版権を取得した X1 は翻訳家 ( X2 ) に原著作物を日本語に翻訳させ平成 12