研究成果報告書
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- えの えいさか
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1 様式 C-19 科学研究費補助金研究成果報告書 平成 22 年 5 月 21 日現在 研究種目 : 基盤研究 (B) 研究期間 :2006~2009 課題番号 : 研究課題名 ( 和文 ) 恐竜類の脳や神経システムの形態解析及び鳥類への進化過程 研究課題名 ( 英文 ) The morphological analysis of brain and nervous systems of dinosaurs and the evolutionary process of the transition from non-avian dinosaurs to birds. 研究代表者小林快次 (KOBAYASHI YOSHITSUGU) 北海道大学 総合博物館 准教授研究者番号 : 研究成果の概要 ( 和文 ): 本研究によって 非鳥類型恐竜類から鳥類への脳や骨の進化過程において多くの情報を得ることができ またそれらの境界を探ることができた 脳の進化過程としては 特に嗅覚の肥大 縮小というマクロの構造変化に注目することによって 非鳥類型恐竜から鳥類への生活や食性の変化を明らかにすることができた このことは 中生代当時の生態系において 恐竜たちがどのようにニッチを奪い合って進化してきたかをみることが可能になり これまで考えられてきた以上に複雑な進化をしていたことがわかった また これらの境界にあたるグループで鳥類に属すか否かの議論がされているオビラプトロサウルス類においても 脳の構造の視点から これは非鳥類型恐竜に属すことが考えられ 体骨格の鳥類に類似した特徴は収斂進化であることを示す 生活や食性の進化と同様 恐竜は複雑な進化を遂げながら 鳥類へ移行していったことがわかった 今後の課題としては マクロなスケールではなくよりミクロな構造を分析することである このさらなる研究によって 脳や神経システムからみた恐竜類の進化過程がより明らかになってくるであろう 研究成果の概要 ( 英文 ): This study provides informative data to elucidate the evolutionary processes of body and brain from non-avian dinosaurs to birds and the transition of these animals. Specifically, a part of this study focused on large scaled morphology, such as the olfactory bulb for smelling, which reveals the changes of life style and feeding behaviors. This perspective is important to understand the paleoecology and food chain during the Mesozoic and the competition of niches among these animals. Oviraptorosaurs is one of good examples for the transitional dinosaurs between non-avian dinosaurs and birds. In this study, we analyze the changes in body and brain morphology to discuss if oviraptorosaurs belong to birds or avian features in this group is convergent. We concludes that the latter because brain features are more like non-avian dinosaurs, showing complex history of the transition between non-avian dinosaurs to birds. In the future study, we need to much smaller scale in terms of the structures of brain and nervous system, which will provide more information about the evolution of dinosaurs.
2 交付決定額 ( 金額単位 : 円 ) 直接経費 間接経費 合 計 18 年度 3,100, ,000 4,030, 年度 7,300,000 2,190,000 9,490, 年度 3,000, ,000 3,900, 年度 1,200, ,000 1,560,000 総計 14,600,000 4,380,000 18,980,000 研究分野 : 数物系科学科研費の分科 細目 : 地球惑星科学 層位 古生物学キーワード : 化石 系統 進化 機能形態 1. 研究開始当初の背景多くの鳥たちは空を飛ぶ 体のつくりも住む環境に適応させ 鳥たちは様々な多様化をしてきた 鳥は脊椎動物の中でも最も成功を収めた動物群の一つであるといえる 現在 恐竜 ( コエルロサウルス類 ) から鳥が進化したという説が支持され 最近の研究では どのように恐竜が鳥へと進化したのか ということが議論のまとになっている コエルロサウルス類は 別名小型獣脚類または小型肉食恐竜と呼ばれる アロサウルスなどの典型的な大型の獣脚類恐竜が コエルロサウルス類のように小型化 軽量化し 最終的には鳥となって空へ飛び立ったというシナリオがある しかし 恐竜から鳥への進化過程は未知な部分が多かった 鳥類の起源と進化についての議論において飛翔の獲得が鍵となっているが その進化過程の追求は外部形態に現れる形質に基づいているためである 外部形態の形質は進化速度が速い可能性があり収斂の結果であることが多いと考えられた しかし 研究開始当初では 頭骨の内部構造である脳の形状についての研究は限られており その検証を困難としていた 2. 研究の目的本研究では 脳や神経システムの構造とその進化に注目し X 線 CT スキャナで非破壊的な解析を行うことによって 鳥類の進化を明快にできることが期待された 鳥類の起源についての研究は盛んに行われているが X 線 CT スキャナを用いての脳や神経システムの研究は数少なく 最先端の研究であることがいえる 鳥類の起源は 飛翔の獲得が鍵となっているが その進化過程の追求は外部形態に現れる形質に基づいている しかし それらの形質は進化速度が速い可能性があり収斂の結果であることが多い そこで 進化速度が比較的遅いと考えられ 生命の中枢である脳や神経システムの構造に着目し 鳥類の起源と進化をたどる また 聴覚 視覚 嗅覚に関わる形態を調べ 小型化と飛翔に伴う環境への適応の変化を追跡することを目的とした 図 : 非鳥類型恐竜から鳥類への脳の進化 図 : コエルロサウルス類の系統樹
3 3. 研究の方法本研究は 標本観察とCTスキャンを中核とした 標本観察は コエルロサウルス類恐竜の頭骨を保管する研究機関へ訪問した 研究対象を大きく四つのグループに分け体系的に研究を行っていった 原始的な獣脚恐竜 原始的なコエルロサウルス類 進化型のコエルロサウルス類 鳥類である これらの骨格や頭骨を観察し 分析を行った CTスキャンは コエルロサウルス類 ( ティラノサウルス科 オルニトミムス類 オビラプトル類 トロオドン科 ドロマエオサウルス科の頭骨を使用した スキャンしたデータをコンピュータ上で三次元復元し 形状を解析した これらのデータを基に 脳の形態を骨格のそれと比較し 形態の進化とそれに伴う生活の進化を追求した ドにおける原始的 ( 基盤的 ) な動物は 鳥類の特徴が少なく 進化型 ( 派生的 ) な動物に鳥類の特徴がみられることが明らかになった また 脳の構造からも オビラプトロサウルス類の原始的な恐竜インキシボサウルスを鳥類と典型的な恐竜と比較した場合 鳥類の特徴よりも 典型的な恐竜の特徴が観察され 鳥類のような特徴を多く持つオビラプトロサウルス類は 鳥になりきっていない恐竜であることを明らかにした これらは 骨格に見られる鳥類のような特徴は 収斂進化であることを示す 図 :CT データから復元されたインキシボサウ ルスの頭骨 ( 左上 ) 断面図 ( 左下 ) 脳幹 ( 右 図 : ドロマエオサウルス類頭骨 CT 復元画像 4. 研究成果本研究によっての成果は多いが ここでは非鳥類恐竜から鳥類への進化過程と 脳の解析による成果を述べる コエルロサウルス類の恐竜で鳥類と多くの共通な特徴を持つ オビラプトロサウルス類とオルニトミモサウルス類に注目した これらの恐竜が持つ特徴が 鳥類との関係を示すものであるのか それとも収斂進化のものであるのかを追求した 特に恐竜と鳥との境界を探るために 鳥類に近い恐竜 ( オビラプトル類などのコエルロサウルス類 ) と鳥類に進化したばかりの鳥類 ( 始祖鳥 ) に注目し それらの脳の進化過程を研究した 外骨格の観察によると それぞれのクレー 下 ) と実物標本 ( 右上 ) さらに 特に嗅覚に注目し 恐竜の生態進化について追求した その結果 大きく3つのことが明らかになった (1) 体の大きさに比例して嗅球と大脳の比率が大きくなる 大きい体ほど嗅球は大きくなり その一方で大脳の肥大が遅く 体の巨大化には大脳よりも嗅覚の方が重要であったということを示す (2) オルニトミモサウルス類とオビラプトロサウルス類の嗅球は, 全体の傾向よりも顕著に小さい 一方で視葉の発達が目立ち 嗅覚よりも視覚に頼った雑食または植物食であったことを示す (3) ティラノサウルス類とドロマエオサウルス科は 大きな嗅球を持っている 嗅球の肥大によって遠くにいる獲物や暗闇に隠れている獲物も優れた嗅
4 覚で感知していた可能性があり どの肉食恐竜よりも優れていた捕食動物であった この結果を基に 食性の進化過程をみると 獣脚類全体の傾向としてアロサウルス類のような獣脚類と同様な傾向にあるため肉食性が原始的な状態であることが考えられる その後 植物食性やさらなる肉食性を派生的に進化させた可能性が高い は下線 ) 雑誌論文 ( 計 13 件 ) 1. Balanoff, A. M., Xu, X., Kobayashi, Y., Matsufune, Y., and Norell, M. A Cranial osteology of the theropod dinosaur Incisivosaurus gauthieri (Theropoda: Oviraptorosauria). Novitates 3651:1-35. ( 査読有 ) 2. Kobayashi, Y Phylogenetic position of Ornithomimosauria in Coelurosauria with comments on the relationship of ornithomimosaurs and alvarezsaurids. Journal of Fossil Research 41: ( 査読有 ) 3. Zelenitsky, D. K., Therrien, F., and Kobayashi, Y Olfactory acuity in theropods: palaeobiological and evolutionary implications. Proceedings of Royal Society of London, 図 :; 横軸, 体重 ( 横軸 ) と大脳に対する嗅球の大きさ ( 縦軸 ) の関係を示したグラフ 黒四角が始祖鳥 灰四角がケラトサウルス類 白四角がオルニトミモサウルス類 黒ダイアがオヴィラプトロサウルス類 灰ダイアがワニ類 白ダイアがトロオドン科 黒丸がドロマエオサウルス科 灰丸がアロサウルス類 白丸がティラノサウルス類 今回の研究によって 中生代に生息してい た典型的な恐竜類から鳥類への脳の進化と 環境への適応が明らかになり 脳には進化の シグナルを持つ保守的な部分と環境に適応 するために臨機応変に変化しやすい部分が あることがこの研究でわかった このことに よって 恐竜は鳥類に進化する以前から 鳥 類の特徴を数多く獲得しており その蓄積に よって 鳥類への進化につなげていったとい うことが考えられる この収斂進化は 最古 の記録よりももっと以前から 鳥類になりき っていない恐竜が鳥類になる能力を持って いたことを示す 5. 主な発表論文等 ( 研究代表者 研究分担者及び連携研究者に Series B. 276: ( 査読有 ) 4. Kobayashi, Y., Manabe, M., Ikegami, N., Tomida, Y., and Hayakawa, H Dinosaurs from Japan: pp In J. Lu, Y. Kobayashi, D. Huang, and Y. Lee (eds.), Papers from the 2005 Heyuan International Dinosaur Symposium. Beijing, Geological Publishing House. 5. Kobayashi, Y. and Barsbold, R Ornithomimids from the Nemegt Formation of Mongolia. Journal of Paleontological Society of Korea 22: ( 査読有 ) 学会発表 ( 計 20 件 ) 1. Kobayashi, Y. Kubota, K., and Barsbold, R 演題 Ornithomimid materials from the Bayanshiree Formation at Shine Us Khuduk, Dornogov', southeastern Mongolia 2009
5 Goseong International Dinosaur Symposium (4 月 11 日, Goseong, Korea). 2. Kobayashi, Y., Lü, J., Lee, Y., Xu, L. and Zhang, X 演題 A new basal ornithomimid (Dinosauria: Theropoda) from the Late Cretaceous in Henan Province of China 68th Annual Meeting of Society of Vertebrate Paleontology (10 月 日, Ohio, USA). 3. Balanoff, A., Xu, X., Matsufune, Y., Kobayashi, Y., and Norell, M 演題 Endocranial anatomy of a primitive oviraptorosaur, Incisivosaurus gauthieri, (Theropoda: Dinosauria) 67th Annual Meeting of Society of Vertebrate Paleontology (10 月 日, Texas, USA). 4. Kobayashi, Y., Bronowicz, R., and Barsbold, R 演題 Ornithomimids (Theropoda: Dinosauria) from the Nemegt Formation (Maastrichtian) of Mongolia 67th Annual Meeting of Society of Vertebrate Paleontology (10 月 日, Texas, USA). 5. 小林快次 演題 ダチョウ型恐竜 オ ルニトミムスの進化と生態復元 化石研 究会第 128 回例会 (11 月 11 日, 1 早稲田大学 東京 ) 6. 小林快次 演題 恐竜研究最前線 2006 年度日本古生物学会普及講演会 (6 月 日, 島根大学 ) 図書 ( 計 29 件 ) 1. 小林快次 栃内新 (2008) 中生代にお ける爬虫類の進化 : 爬虫類の起源から恐 竜へ 地球と生命の進化学 新自然史 科学 I 北海道大学出版 pp 小林快次 平山廉 小田隆監修 (2008) 恐竜の復元 学習研究社 198pp. 3. Kobayashi, Y Big Bird Imitators: Ornithomimosaurs: p. 139 In T. R. Holtz and L. V. Rey with contributions by thirty-three of the world's leading paleontologists, Dinosaurs: the most complete, up-to-date encyclopedia for dinosaur lovers of all ages. New York, Random House. 4. 小林快次 (2006) 鳥類の起源を探るド イツと中国の場合 超最新恐竜ワール ド NHK 出版協会 pp 小林快次 (2006) 超最新恐竜学 超最 新恐竜ワールド NHK 出版協会 pp 小林快次監修 (2006) 週刊かがくるプラ ス 朝日新聞社 1 号 50 号 7. 真鍋真 小林快次 斎木健一 長谷川卓 ケネス カーペンター (2006) 徹底図解 100 種類の巨大恐竜 ニュートン v.26, n. 8: 小林快次 (2006) 小型の竜脚類恐竜 エ ウロパサウルス ホルゲリ の新発見 遺伝 9 月号 pp 小林快次 久保田克博著 (2006) モンゴ ル大恐竜ーゴビ砂漠の大型恐竜と鳥類の 進化 北海道大学出版会 64pp 6. 研究組織 (1) 研究代表者小林快次 (KOBAYASHI YOSHITSUGU) 北海道大学 総合博物館 准教授研究者番号 : (2) 研究分担者金子勝比古 (KANEKO KATSUHIKO) 北海道大学 大学院工学研究科 教授研究者番号 :
PRESS RELEASE (2017/7/28) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:
PRESS RELEASE (2017/7/28) 北海道大学総務企画部広報課 060-0808 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL 011-706-2610 FAX 011-706-2092 E-mail: kouhou@jimu.hokudai.ac.jp URL: http://www.hokudai.ac.jp モンゴルで新種のオルニトミムス類恐竜を発見 命名 研究成果のポイント 新種のオルニトミムス類恐竜を発見し,
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先端社会研究所紀要 第１１号☆／３．李
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- -- E-mail: nkawano@hiroshima-u.ac.jp : - :- Ofer Feldman,Feldman : - : : : Mueller : - Mueller :.. : ... :........ .. : : : - : Kawano & Matsuo: - : - : - : : No. Feldman, Ofer (), The Political
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2 22006 2 e-learning e e 2003 1 4 e e e-learning 2 Web e-leaning 2004 2005 2006 e 4 GP 4 e-learning e-learning e-learning e LMS LMS Internet Navigware
2 2 Journal of Multimedia Aided Education Research 2006, Vol. 2, No. 2, 19 e 1 1 2 2 1 1 GP e 2004 e-learning 2004 e-learning 2005 e-learning e-learning e-learning e-learning 2004 e-learning HuWeb 2005
IPSJ SIG Technical Report Vol.2016-CE-137 No /12/ e β /α α β β / α A judgment method of difficulty of task for a learner using simple
1 2 3 4 5 e β /α α β β / α A judgment method of difficulty of task for a learner using simple electroencephalograph Katsuyuki Umezawa 1 Takashi Ishida 2 Tomohiko Saito 3 Makoto Nakazawa 4 Shigeichi Hirasawa
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78 Energy and Environmental Consciousness Differences between Advanced and Developing Countries Abstract The purpose of the present study is to understand how much differences there are between advanced
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220 28;29) 30 35) 26;27) % 8.0% 9 36) 8) 14) 37) O O 13 2 E S % % 2 6 1fl 2fl 3fl 3 4
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29 33 58 2005 1970 1997 2002, pp.3-8 2001 2002 2005b 2000 pp.137-146 2005c 7 34 Ma and Cartier eds. 2003 1970 1980 1979 2002 2000 1) 1980 1990 1991 1993 1995 1998 1994 1993 20031972 2003 2005 1997 2005a
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No.149 Feb/1999 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 Learned From Japanese Life and Experiences in Kagoshima When I first came to Japan I was really surprised by almost everything, the weather,
22 2016 3 82 1 1
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