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平成 25 年 3 月 19 日 大阪商工会議所公益社団法人関西経済連合会 第 49 回経営 経済動向調査 結果について 大阪商工会議所と関西経済連合会は 会員企業の景気判断や企業経営の実態について把握するため 四半期ごとに標記調査を共同で実施している 今回は 2 月下旬から 3 月上旬に 1,7

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現代資本主義論

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

企業活動のグローバル化に伴う外貨調達手段の多様化に係る課題

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< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

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エコノミスト便り【欧州経済】ユーロ圏はどのように財政を再建したか

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ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

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利上げを躊躇させる英国家計債務の増大

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受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

概要 1. 概観 2. 中小企業向け事業分野における位置 3. 営業戦略 4. 要約 Seite 2

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中国:PMI が示唆する生産・輸出の底打ち時期

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[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

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エコノミスト便り

中国:なぜ経常収支は赤字に転落したのか

( 本資料は ロンドンにて 2017 年 2 月 24 日付で発表された資料の日本語参考訳 ( 抜粋 ) で すべてにおいて英語版が優先します ) 2017 年 2 月 24 日 スタンダードチャータード PLC 2016 年度業績ハイライト ハイライトスタンダードチャータード PLC ( 以下 当

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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格納階層一覧(うち資金循環)

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短期均衡(2) IS-LMモデル

平成14年1月20日

平成11年度決算:計数資料

2015 年 3 月 9 日 対外 対内証券投資の動向 (2015 年 2 月分 ) 投資信託委託会社等による対外証券投資が大幅増加 財務省の 対外及び対内証券売買契約等の状況 ( 指定報告機関ベース ) によると 2 月の対外証券投資は +2 兆 6,754 億円の取得超となり 前月の +2 兆

2018年夏のボーナス見通し

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Ⅲ.2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要について 2019 年 10 月の消費増税に伴う資金需要については 増加する が 2 割台半ば (26. 4%) 資金需要の中身は 消費増税後の需要減退 ( 売上減少 ) への備え 消費税の納税資金の増加 がともに半数超 (50.6%) で最多 消費

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金融政策決定会合における主な意見

第 70 回経営 経済動向調査 公益社団法人関西経済連合会 大阪商工会議所 < 目次 > 1. 国内景気 2 2. 自社業況総合判断 3 3. 自社業況個別判断 4 4. 現在の製 商品およびサービスの販売価格について 8 参考 (BSI 値の推移 ) 11 参考 ( 国内景気判断と自社業況判断の推

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国際与信は再び中国へ向かう

拡大する企業の「投資」

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

2017年上半期の為替相場展望

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

米国を巡る国際マネーフローの動向

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IMF世界経済見通し 2015 年 4月 第 章 要旨

けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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貸出は積極的だが消費者向けの環境に変化

Disclaimer 本資料には 当行および当行の子会社に関連する見通し 将来に関する計画 経営目標などが記載されています これらの将来の見通しに関する記述は 将来の事象や動向に関する現時点での仮定に基づくものであり 当該仮定は不正確であることがあり得ます 様々な要因により 実際の業績が本書の記載と

1. 各都市の不動産市場トレンド 1-1. オフィス価格指数 対前回変動率 (2016 年 4 月から 2016 年 10 月まで ) 図表 1-1は オフィス価格指数の各都市 対前回変動率 今回 (2016 年 10 月現在 ) 対前回変動率が最も高かったのは 東京 の +3.4% 次いで 大阪

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

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果の平均は 残留が 44% 離脱が 40% と僅差ながら残留が離脱を上回っている ( 第 1 表 ) ただしここで 調査方法毎の平均をみると インターネットを通じたオンライン調査の結果 は 残留が 40% 離脱が 41% と拮抗状態にあるのに対し 電話調査では残留が 47% 離脱 が 38% と残留

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グローバル・マクロ・ウォッチ

産業トピックス

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参考図表:2018年第2四半期の資金循環(速報)

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

低インフレ 乏しい利上げ観測労働市場に目を向けると 8 月の失業率は約 年ぶりの低水準となる5.3% に低下した 雇用者数も伸びており 一部では技術者不足の声も聞かれる RBAは今後数年 失業率は自然失業率とされる5.% を目指して低下が続くとの見方を示している ただ 賃金の上昇率は ~ 月期が前年

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マイナス金利付き量的 質 的金融緩和と日本経済 内閣府経済社会総合研究所主任研究員 京都大学経済学研究科特任准教授 敦賀貴之 この講演に含まれる内容や意見は講演者個人のものであり 内閣府の見解を表すものではありません

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

3. 資産購入プログラムの円滑な実施に向けた選択肢が検討されることに上述の通りECBの景気 物価見通しがほぼ変わらない中 記者会見においてドラギ総裁は 実施期間の延長や購入規模の拡大などは議論していない ことを明かした 理事会の前には 9 月理事会で資産購入プログラムの実施期間が延長されると予想する

2016年冬のボーナス見通し

中国 資金流出入の現状と当局による対応

中国におけるインフレの行方 中国経済は減速しているものの 過熱の解消にはまだ至っていない 年 9 月のリーマン ショックを受けて 中国は輸出が大幅に落ち込み 景気後退を余儀なくされたが 兆元に上る内需拡大策や 金利と預金準備率の大幅な引き下げをはじめとする拡張的財政 金融政策が実施されたことを受けて

住宅取得支援政策とその効果

2017年夏のボーナス見通し

スライド 1

生活衛生関係営業の景気動向等調査 平成17年7~9月期

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サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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2. 資本市場からの調達 (1) 株式市場トルコの株式市場は 民間企業にとって重要な資金調達先である 株式市場はグループ A ~C の 3 市場で構成されており 公募株式総額や株主資本が最も大きいのがグループ 1 であり 我が国の上場一部に該当する 各市場の上場基準は下記である 図表 64 トルコに

Transcription:

平成 1 年 (9 年 )1 月 3 日 NO.9-9 ユーロ圏銀行貸出調査 (9 年 1 月 ) ~ 貸出基準厳格化の緩和は融資拡大につながるか~ 8 日に発表された欧州中央銀行 (ECB) のユーロ圏銀行貸出調査 (3 カ月ごと年 回調査 今回は 118 行を対象に 9 月 1 日 ~1 月 日に実施 ) によると 第 3 四半期の銀行の貸出基準は 企業向けを中心に厳格化の度合いが一段と緩和された また 第 四半期の見通しについては 貸出基準の緩和を見込む銀行の比率が厳格化を見込む銀行の比率を上回り 昨年秋のリーマン ショック以来初めてネット緩和超 ( 1%) となった ( 第 1 図 ) もっとも 足元では 9 月の民間向け銀行貸出残高が前年比.3% と 統計開始以来初めて前年割れを記録しており 今回の調査結果の改善が信用収縮懸念の後退につながるとみてよいかは疑問が残る 以下では 調査結果の概要についてまとめるとともに 今後のユーロ圏の銀行貸出動向について展望した 第 1 図 : 企業向け貸出基準 ( 実績及び見通し ) ( 厳格化 - 緩和 %) 8 6 実績見通し - - 3 5 6 7 8 9 1 1

1. 企業向け貸出企業向けの貸出基準をみると 3 カ月前と比べて貸出基準を 厳格化した 銀行から 緩和した 銀行を引いたネットの比率は 大企業向けが 5% から 11% へ 中小企業向けが 1% から 1% へと共に低下し 全体でも 8% から 8% へと 3 四半期連続の低下を示した 貸出基準変更の要因をみると ECB による潤沢な流動性供給や金融資本市場の安定化をうけて 流動性ポジション や 資金調達へのアクセス が基準緩和の要因となったほか 他行との競争 も復活するなど 金融市場の安定化を示唆する項目が増えた 一方で 景気見通しや個別産業 企業の業績見通し 資本コストといった要因は 年初に比べれば緩和したものの 依然として厳格化の要因になっていることが分かる ( 第 図 ) 貸出条件は 全ての項目で厳格化に歯止めがかかりつつあるものの 緩和へ転じるには至っていない ( 第 3 図 ) 貸出マージンの引き上げ圧力は 平均的な貸出先では低下したものの 高リスク先 特に大企業向けの貸出で依然として高止まりしている これは 大企業貸出の担い手である多国籍化した大手銀行の方が 地場の中小銀行に比べ 証券化商品等に関わる損失や欧州新興国向け貸出資産の劣化等による傷みが大きく リスク回避傾向が根強く残っているためだとみられる 第 図 : 企業向け貸出基準変更の要因 第 3 図 : 企業向け貸出条件の変化 8 6 ( 厳格化 - 緩和 %) Jan-9 Apr-9 Jul-9 Oct-9 1 8 6 ( 厳格化した - 緩和した %) Jan-9 Apr-9 Jul-9 Oct-9 - 資本コスト 資金調達へのアクセス 流動性ポジション 他行との競争 ノンバンクとの競争 市場調達との競合 景気見通し 産業 企業の見通し 担保リスク 金利マージン ( 平均 ) 金利マージン ( 高リスク貸出 ) 非金利手数料 貸出金額 担保要件 特約条項 貸出期間 一方 企業の資金需要は 引き続き大幅なネット減少超となっており 足元では特に大企業の資金需要回復の遅れが目立つ ( 第 図 ) 自動車 鉄鋼 化学などの輸出依存度の高い大企業製造業で グローバル貿易縮小の影響が相対的に大きかったことが一因であろうが 先に見た大企業向けの貸出条件の引き締めが 資金需要減退の一因となっている可能性も否定できない 資金使途別にみると 債務リストラに関わる資金需要が高止まりしているほか 生産底入

れに伴い運転資金の需要が持ち直しつつある一方 歴史的な低稼働率や先行き不透明感の高さを反映して 設備投資や M&A などの前向きの資金需要は引き続き低迷している ( 第 5 図 ) 第 図 : 企業向け貸出の資金需要 3 1-1 - -3 - 中小企業大企業 -5 3 5 6 7 8 9 3 1-1 -3-5 -7 第 5 図 : 資金使途別の資金需要 5 企業の資金需要設備投資運転資金 M&A 債務リストラ ( 需要増加 > 減少 ) ( 需要増加 < 減少 ) 3 5 6 7 8 9. 個人向け貸出 < 住宅ローン> 住宅ローンの貸出基準は 銀行の資金調達コストの低下や景気全般及び住宅市場の見通しの改善を反映して ネット厳格化超の比率が第 四半期の% から 1% へと低下した ( 第 6 図 ) 第 四半期の見通しも 同比率が5% と一段の低下が見込まれている 貸出条件については 金利マージンを引き上げた銀行のネット比率がピーク時 ( 第 1 四半期 ) の5% から6% まで低下したほか 担保要件や loan to value 比率 ( 不動産価値に対する借入の比率 ) を厳格化する動きも一服した また 資金需要は 住宅市場の見通しと消費者マインドの改善を反映して 四半期連続でネット増加超となり 資金需要の持ち直しが鮮明になった ( 第 7 図 ) < 消費者ローン> 消費者ローンの貸出基準も 住宅ローンとほぼ同様のペースで ネット厳格化超の比率が低下した 主な要因は 全般的な景気の見通しや消費者の信用力の改善などである また 第 四半期の見通しも ネット厳格化超の比率が9% と 住宅ローンに比べると改善幅は小さいものの 厳格化の緩和が続くことが見込まれている ( 第 6 図 ) 一方で 金利マージンや担保要件 貸出期間 非金利手数料などの貸出条件は 住宅ローン以上に厳格化の動きが長期化している 資金需要は 自動車を除く耐久財の買い控えを反映して 引き続き低調である 3

( 第 7 図 ) 第 6 図 : 個人向け貸出基準 ( 厳格化した - 緩和した %) 6 5 住宅ローン 消費者ローン 3 1-1 - 3 5 6 7 8 9 1 第 7 図 : 個人向け貸出の資金需要 6 ( 需要増加 > 減少 ) - - -6 住宅ローン消費者ローン ( 需要増加 < 減少 ) -8 3 5 6 7 8 9 3. 調査結果の評価と今後の展望 銀行の貸出態度の限界的な緩和を示す今回の調査結果は 足元での銀行のバランスシート調整や貸出低迷とは違和感がある 週初に発表されたユーロ圏のマネーサプライ統計によると 9 月の民間向け銀行貸出残高は前年比.3% と 統計開始以来初めて前年比マイナスとなった 住宅 消費者ローンの低迷が続いていることに加え 非金融企業向け貸出の急激な落ち込みに歯止めがかからないためだ ( 第 8 図 ) ユーロ圏の銀行のバランスシートをみると 対外資産や貸出といったリスク資産から 国債等の安全資産へのシフトが足元まで継続している ( 第 9 図 ) 第 8 図 : 民間向け銀行貸出残高の推移 ( 前年比 %) 全体 16 1 1 非金融企業家計 : 消費者ローン家計 : 住宅ローン 1 8 6-1 3 5 6 7 8 9 ( 資料 )ECBより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 第 9 図 : 金融危機後の銀行のバランスシート調整 (1 億ユーロ ) 1 5-5 -1-15 債券 MMF 株式総資産 貸出対外資産 8/1 8/1 9/ 9/ 9/6 9/8 ( 注 )8 年 9 月と比べた各資産の変化 ( 年 / 月 ) ( 資料 )ECBより三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 ユーロ圏景気は7-9 月期に底入れしたと見込まれるが 金融システムの正常化と銀行の融資拡大にはまだ時間がかかるとみられる 目先はむしろ 銀行の自

己資本不足により融資抑制が続き 景気回復の抑制要因となるリスクを警戒する必要があろう 理由は 1 失業率の上昇や企業倒産の増加は通常景気サイクルに遅行することから 貸出資産の劣化や潜在的損失の拡大に伴う銀行の貸出余力の低下は今後も一定期間続くと予想されること 相対的にレバレッジが高い欧州系銀行は 金融危機後の規制強化や市場の圧力によって一層のレバレッジ解消と資本増強を求められる可能性が高いこと などである 以上を踏まえると ユーロ圏の財政 金融政策の出口戦略の実施は アジアなど他地域に比べ相当遅れる公算が大きい 第 1 図 : 企業倒産件数の推移 ( 千件 ) ( 千件 ) 1 1.8 1.6 1 1. 8 1. 1. 6 ドイツ.8 フランス 右目盛.6 スペイン 右目盛... 3 5 6 7 8 9 ( 資料 ) 各国統計より三菱東京 UFJ 銀行経済調査室作成 (H1.1.3 武南奈緒美 naomi_takenami@mufg.jp) 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり 金融商品の売買や投資など何らかの行動を勧誘するものではありません ご利用に関しては すべてお客様御自身でご判断下さいますよう 宜しくお願い申し上げます 当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが 当室はその正確性を保証するものではありません 内容は予告なしに変更することがありますので 予めご了承下さい また 当資料は著作物であり 著作権法により保護されております 全文または一部を転載する場合は出所を明記してください 発行 : 株式会社三菱東京 UFJ 銀行経済調査室 1-8388 東京都千代田区丸の内 -7-1 5