(1) 大阪地方裁判所長挨拶 (2) 委員異動報告及び自己紹介 ( 小原委員, 鈴木委員 ) (3) 委員長選任並木前委員長の異動により, 森長委員長代理が議事進行を担当して, 委員長の選任を行った結果, 委員長に小野委員を選任した (4) 委員長挨拶及び委員長代理指名挨拶の後, 委員長は森長委員を

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待ち時間が長い などである エ裁判所職員の対応については, 丁寧で親切 などの意見がある一方, 言葉が聞き取りづらかった との意見もあった ⑹ 意見交換 ( テーマ 子を巡る紛争の解決に向けた家事調停充実の取組について ) 事務担当者から, 子を巡る紛争の解決に向けた家事調停充実の取組についてパワー

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Transcription:

大阪地方裁判所委員会 ( 第 41 回 ) 議事概要 ( 大阪地方裁判所事務局総務課 ) 7 月 25 日 ( 火 ) に開催された大阪地方裁判所委員会における議事の概要は, 次のとおりです 1 日時平成 29 年 7 月 25 日 ( 火 ) 午後 3 時から午後 5 時 30 分まで 2 場所大阪地方裁判所第 1 会議室 3 出席者 ( 委員 ) 犬伏一人, 上村昌也, 岡村康行, 小原一泰, 黒田美佳, 杉本壽, 所千夏, 長田真里, 森長敬, 山口知成, 松本岳, 鈴木眞理子, 遠藤邦彦, 小野憲一 ( 敬称略 ) ( 説明者 ) 内藤裕之 ( 事務担当者 ) 森純子, 藤木義裕, 中辻守, 安村義弘 ( 庶務 ) 梶嘉恵, 熊澤雄介 4 配布資料労働事件に関するリーフレット2 種類, 電子紙芝居関係資料, パワーポイントのスライド資料等 5 議題労働審判制度について 6 議事 ( 委員長 : 委員 ( 学識経験者 ): 委員 ( 法曹関係者 ): 説明者, 事務担当者及び庶務 : ) 1

(1) 大阪地方裁判所長挨拶 (2) 委員異動報告及び自己紹介 ( 小原委員, 鈴木委員 ) (3) 委員長選任並木前委員長の異動により, 森長委員長代理が議事進行を担当して, 委員長の選任を行った結果, 委員長に小野委員を選任した (4) 委員長挨拶及び委員長代理指名挨拶の後, 委員長は森長委員を委員長代理に指名した (5) 前回の委員会における委員の御意見への取組について : 前回の委員会では, 大阪地裁に置ける若手裁判官の研さん をテーマに取り上げ, 各界における若手育成の仕方や御苦労について紹介いただくとともに, 若手裁判官の研さんについての感想や課題, 改善点等について御意見をいただいた 委員会でいただいた御意見については, 前回委員会後に, 若手裁判官を指導する立場にある部総括裁判官の会議の場で報告され, それを踏まえて若手裁判官の育成の在り方について意見交換が行われた また, ストレスやメンタル面のサポートについて, 当庁では, 従前から昼食会や座談会など様々な機会を設けてきたところではあるが, 前回委員会でストレスやメンタル面への配慮について御意見をいただいたことを踏まえ, 今年 4 月に実施した新任判事補と研さん指導官との懇談会では, 新任判事補がより悩みや近況を話しやすいように配席を工夫するなどの配慮も行った (6) 電子紙芝居 見てみよう, どんなんかな, 労働審判 上映 (7) 労働審判手続及び大阪地裁での運用状況についての説明 (8) 質疑応答及び意見交換 2

: 電子紙芝居は, どのような状況で使用することを想定しているのか : 大阪地裁では, 毎年 1 回, 民事裁判に関する手続説明会を実施している 御覧いただいた電子紙芝居は, 平成 20 年の手続説明会において, 一般の方々に労働審判制度を説明するために作成, 使用されたものである : 過去に何度か使用しているのか : 使用していると聞いている : 労働審判手続で金銭を請求する場合, 金額に上限はあるのか : 上限, 下限ともにない : 労働審判制度については, 今回初めて知った 先ほど, 大阪地裁では年間の新受事件が300 件程度という説明があったが, 私自身, 長時間労働や残業代未払の話を耳にすることは決して珍しくないこともあり,300 件という数字は少ないという印象を受けた 労働審判の手続では, 事前交渉, 事前リサーチが重要とのことだが, 十分な事前交渉, 事前リサーチを行うとなると, 弁護士に委任することとなって費用がかかるため, 当事者は手続を利用することを躊躇してしまうのではない 3

か そうした理由で, 申立てが300 件しかないのか 労働審判の手続には費用がどれくらいかかるものなのか : 申立時の手数料として納付すべき収入印紙の額は, 請求金額に応じて上がることにはなるが, 訴訟と比較して, 半分程度である また, 個別労働紛争は, 労働局や労働基準監督署の手続で解決されるものも相当数あり,300 件という数字は個別労働紛争の全体を表したものではない なお, 弁護士費用については, 裁判所は詳細を把握していないし, 弁護士事務所によっても異なってくると思われる : 都道府県の労働局などにおける総合労働相談は全国で約 113 万件あり, そのうち, 民事上の個別労働紛争の相談は全国で約 25 万件, 大阪で約 2 万件である 個別労働紛争の多くは, こうした相談やあっせんを通じて解決されているようだが, 解決できないものが裁判所の手続に持ち込まれるという構造になっているようである : 労働局で相談したが解決に至らなかったため, 労働審判の手続を案内された人, 又は, 弁護士に相談した上で労働審判の手続を勧められたような人が, 最終的に裁判所で労働審判を申し立てるという流れが一般的ということか : そういう流れが多いと思われる 申立人に話を聴くと, 労働局のあっせん手続を利用したが紛争解決に至らず, 法テラス等で弁護士に相談し, 労働審判の申立てに至ったというケースが多いようである : 労働審判の結果は公表されているのか 手続を利用しようとする人にしてみれば, 参考になるものがないと, なかなか利用に踏み切れないのではないか : 労働審判は非公開の手続であり, 調停や審判の結果も非公表である ただし, 訴訟に移行した場合には, 手続は公開となり, 判決内容も判例雑誌等に掲載されることになる 労働審判の手続がどのように進行し, どのような結果になるのかということについては, 当事者の関心は高く, 窓口での問合せも多い 4

: これまでに出てきた御意見を聴く限り, 労働審判は一般にはあまり知られていないようだが, 企業に属されている方にとってはどうか : 私の所属する会社くらいの規模だと, 労働組合も十分に機能しており, まずは労使間で十分な話合いによる解決が図られるが, もし解決できないような場合には, 労働審判ではなく労働委員会の手続を利用し, 場合によっては訴訟での解決を図ることになる 労働審判のように, 労働者が事業主に対して個別に申し立てるような制度を利用する人はおらず, 私の所属する会社での労働審判の利用実績はない グループ内の比較的小規模な企業で数例の事例があると聞いたことはある いずれにせよ, 労働審判制度の存在自体は知っていたものの, 具体的な実務上の知識はなかった : 社内には, 労務関係のトラブルを解決するような制度, あるいは苦情処理制度はあるのか : 私の所属する会社においては, 内部通報の制度が整備されており, 時間外労働やパワハラ等のトラブルは, 人事担当等へ相談があるほか, 内部通報担当部署へ直接連絡が入るようになっている また, 年に数回職場の上司部下間で面談をする機会を設けているほか, 人事担当部署が従業員に直接アンケートを実施する等により, 職場の状況に問題がないか情報収集を行っている こうした制度を通じて, 人事担当部署において早期に問題点を発見するようにし, 職場環境の向上に努めるとともに, 違法な状態を生じないようにしている : 私自身, 現在は個人事業主として働いているが, かつて事務所に勤務していたころも, 労働審判のことを耳にする機会はなく, 国民にあまり知られていない制度だと感じている 労働審判では必ず代理人がつくものなのか : 代理人は必須ではなく, 本人申立ての事案もある : 当事者は, どのように判断して労働審判という制度を選択するのか どのような事案が労働審判での解決に適しているのか, 傾向のようなものはあるのか 5

: 例えば, 解雇の事案であれは, 労働者側は, 明日からどうしたらよいのか というような切迫した状況に陥ってしまうが, 訴訟では時間や手間がかかることもあるので, まずは労働局へ相談するというのが一般的である また, 少し知識のある人であれば, 法テラスや市役所等の法律相談を利用し, 弁護士に相談の上, 労働審判を申し立てるというケースが多いようである また, 残業代の事案については, 日々の労働実態の認定が必要になることから, 労働審判が予定する3 回以内の期日での解決には馴染まないこともあるが, 当事者双方が概算的な金額による解決を希望する場合には, 労働審判により解決されることもある 制度利用のきっかけは様々だが, 最終的には労働者が弁護士へ相談し, 代理人として手続を委任した上で申立てに至ることが多い もっとも, 本人申立事案も少なからずあり, 当庁では,15パーセント程度は本人申立てである : 本人での申立てを考えて来庁した当事者に対しては, 弁護士への相談を促したりしているのか :3 回以内の期日で解決を目指す手続であり, また, 労働法という専門的な分野を対象とする手続であることから, 本人だけで十分に手続を遂行するのは難しいことも多く, 法律の専門家である弁護士への相談を促している もちろん, 代理人をつけないとできない手続ということではない : 本人申立ての事案は, 代理人がついている事案と比較して, 手続面で何か異なるところはあるのか : 裁判所として両者の事案を区別することはない ただし, 当事者本人のみでは, 例えば, 事業主から解決金を受領するが雇用関係の終了を認めるといったような重要な決断をしにくいところはあるようである 専門家である弁護士に大所高所からアドバイスを受けていろいろな視点を持った方が, より納得して解決に至ることが多いように思われる 本人のみでは, どうしても感情的になってしまうことも多い 6

ため, 調停による解決が難しい場合も少なくない :300 件のうち, セクハラやパワハラの事件は何割程度あるのか : 正確な数値はわかりかねるが, さほど多くないという印象である 年間の新受事件 300 件のうち,1 割あるかないかといったところだと思われる : 電子紙芝居では, 相手方が申立人に解決金を支払いつつ, 雇用関係を終了させるといった内容で調停が成立していたが, 実際には復職に至る事案もあるのか : 調停成立で終局する場合は, 労働者の自主的退職により雇用関係を終了させる代わりに事業主が解決金を支払う, といった内容がほとんどである : 労働紛争は, まず労働基準監督署に相談し, 労働組合も関与した上で解決していくものだとの印象を持っていた 労働審判が申し立てられるのは, 事業主が小規模で労働組合もなく, 労働者から労働基準監督署に相談しても解決しなかったような事案に限られるのか また, 電子紙芝居のような事案では, おそらく雇用契約書は存在しないと思われるが, 労働審判の対象となるのは, そのような事案に限られるのか どのような事件が労働審判の対象になるのか : 雇用契約書の存否は労働審判手続の利用とは関係がなく, 現に小規模な会社では雇用契約書が存在しないところも多い どのような事件が労働審判の対象になるのかということだが, 原則として, 個別の労働紛争であればすべて労働審判の対象になりうる もっとも, 労働者側が復職を希望するような場合は, 事業主側が争うことがほとんどなので, 労働審判手続では解決せずに, 訴訟手続での解決に委ねる場合が多くなる 結局のところ, どの手続を選択すべきかは, 当事者がどのような意向を持っているかによるところが大きいと考える : 私自身, この制度については, 今回初めて知った 労働者にとっては, 労働局で相談をするというような選択肢もあれば, 裁判所で労働審判手続を利用するという選択肢もあるということだが, 双方のメリット, デメリットはどういうところにあるのか 7

: 双方に一長一短あると思う 先ほど御説明したとおり, 当事者の意向により利用する制度は変わってくる 労働局, 労働基準監督署, 市役所等の労働関係の紛争を取り扱う行政機関の部局が, 年に1 度, 連絡協議会で集まった際に, 各行政機関の紹介や裁判所の手続の内容などが掲載されている便利帳という冊子を作っていると聞いている ただ, その便利帳がどのように活用されているのか, どこに置いてあるのかについては, 把握していない : 行政機関が提供するサービスを利用するか, 裁判所の手続を利用するかという点についてだが, 裁判所は審判や判決といった形で最終的な判断を行う機関であるため, 当事者間で合意ができない場合には, 当事者は裁判所を利用することになる 一方で, 行政機関が提供するサービスというのは, あっせん等のように, あくまでも当事者間の合意が前提となる : あっせんについては, 出頭が強制されないこともあり, 事業主側がなかなか出頭してこないことが多いようである その場合には, 当事者間の合意が整わず, あっせんの手続は打切りとなってしまう そういう事例が裁判所に流れてくるのかと思う : 仮に自分自身が解雇通告を受けたら, なかなか冷静な判断ができる状況にはならないと思うし, 利用できる制度にどのようなものがあるのか, すぐには理解できないと思う また, 代理人をつけることについては, 費用の面で躊躇するかもしれない 裁判所は, 労働審判制度がもっと国民に認知されるようにアピールした方がよいと考える : 労働審判制度のPRは, どのような形で行っているのか : 大々的なPR 活動, 広報活動までは行っていないが, リーフレットを労働局等に配布し, 来庁者への案内に活用していただいている また, 裁判所のウェブサイト上でも, 労働審判制度についての案内を掲載している : 労働紛争の解決は, 労働基準監督署や都道府県の労働委員会がすべて行うもの 8

だと思っていた 労働審判制度が一般に認知されることは必要だとしても, 利用が増えること自体は好ましいことだとは言えない 一般に制度をPRすること自体に意味があるのではく, 労働基準監督署や労働委員会で紛争を解決できなかった場合に, 当事者が労働審判制度をきちんと紹介してもらえるようにしていくことが重要ではないか : 行政機関で紛争を解決できなかった当事者が確実に裁判所の手続を利用できるようにすることは, 御指摘のとおり, 重要な課題であると認識している : 行政で紛争が解決せず, そのまま泣き寝入りをしているようなケースがどれくらいあるのかを, 裁判所は調査すべきではないか : 御指摘のあった点は, 裁判制度がどれくらい国民に周知されているのかという一般論と同様の話である 労働紛争に限らず, 様々な紛争がきちんと裁判所に持ち込まれているのかという点については, 裁判所も常に気にしているところである また, 裁判所がどれくらい国民に利用されているのかという点に関してだが, 裁判所は, 学者による様々な研究や調査等も参考にして, どのようにしたら裁判所が国民にとって一層利用しやすくなるのかを考えている : 都道府県の労働委員会は, 集団的労使紛争を扱っており, 労働組合と使用者との間の紛争を解決するための機関である また, 労働基準監督署は, 事業所における適法を担保するための機関であり, 個々の解雇等の当否を判断するものではないし, 労働者と使用者との間で紛争が発生した場合, 労働局であっせんの手続を行っても, 出頭を強制できるものではないため, 使用者側が応じなければ手続は終了してしまう そうすると, 強制力のある手続で労働紛争を解決しようとなると, 労働審判制度ができる前は, 訴訟の手続によるほかなく, さらに, 解雇事案であれば, 民事保全法に基づく仮の地位を定める仮処分の申立ても行う等, 最終的な紛争解決までに時間がかかってしまっていた 司法制度改革の一環で導入された労働審判制度は, そ 9

れまでよりも迅速な紛争解決を可能としただけでなく, 労働関係の専門家に労働審判員として審理に加わってもらうという点で, 国民の司法参加の側面も有するものとして, 成功した制度であると評価されている 労働審判は, 民事調停と同様, 当事者間の合意による解決を目指す手続ではあるが, 原則として3 回以内の期日で終了するという点が民事調停とは大きく異なる 紛争を早期に解決できるという点で当事者双方にメリットがあるため, いきなり訴えを提起するよりも, まずは労働審判手続を申し立てるケースの方が多いと思われる 制度の知名度はまだまだ低いようだが, 現実には過重な労働を強いられて泣き寝入りしてしまっている労働者も多いと思うので, 行政機関での相談の先には労働審判という制度があるのだ ということを広報することは有益だと考える : 労働審判制度が国民に認知されて申立件数が増加した場合, 裁判所は対応できるのか : 事件が増えた場合には, 裁判所は, 人員を増やしたり, 事務の合理化を図る等して態勢を強化していくことになる 労働審判の事件数は高止まり傾向とのことであったが, その他の労働事件はどうか : 労働審判以外の労働事件についても, 高止まり傾向にある : 時間外労働の賃金請求事件は, 労働審判以外でも増えているのか : 訴訟も増えている 訴訟の場合には, 複数の労働者が原告となり, 各自が会社に対して残業代を請求するというケースも多い : 労働審判は非公開の手続であるため, 取材を行っても事件数などの数字しか知ることができない 当事者のプライバシーに配慮しつつも, どのような事例があったのかを紹介していくことが重要ではないか 労働紛争は社会的耳目を集める問題であり, どのような事案で労働審判の手続が申し立てられ, それがどのように解決したのかを一般に知ってもらうことは, 国民に対する制度のPRのためにも必要だと考える 10

: 行政機関での相談も含め, 労働紛争について裁判所内外でどのような手続が用意されているのか理解できたが, こういう場合にはこの制度, といったような住み分けがわかると利用しやすいのではないか 労働審判では, 請負関係にある当時者間の紛争は対象となるのか : 請負関係の紛争は対象外である 労働審判は, 事業主と労働者との間の紛争を対象とするものである : 仕事で年間三, 四百本の司法関係の原稿に目を通すが, ここ1 年間では労働審判関係のものは見ていないものの, 労働審判制度の発足以降, 私の所属する会社においては, 私見では, 全国単位で150 本くらいの原稿があったようである 非公開ながら原稿が皆無ではないのは, やはり労働紛争が社会的耳目を集める問題だからだと思われる 調停終了後, 弁護士の会見等で情報が提供されることもあるが, 一方当事者側からの, しかも限られた範囲の情報であるため, 公開の法廷で当事者双方の主張を見聞きした場合とは異なり, 報道する側にとっても伝え方が難しいものである 労働審判を報道の題材とすることは社会的にとても重要なことであるにもかかわらず, 十分に扱いきれていないのが実情である : 労働審判は非公開の手続であるため, どうしても事案の中身に触れることは難しく, 広報を行うにも制度一般についてのものとせざるを得ないが, 制度自体の知名度が低いとの御意見が多いことを踏まえると, 広報の仕方に工夫が必要なのかもしれない : 労働審判や訴訟手続は, 労働者の救済のための制度という見方をされることが多いが, 事業主にとっても需要のある手続である 事業主側としても, トラブルを起こしてばかりいるような労働者との間の紛争を適切に解決するには, 裁判所での手続による必要性が高い 裁判所を利用する場合, 非公開の労働審判手続での解決が適当か, 公開の訴訟手続での解決が適当かは, 事案にもよると考える また, 労働審判制度の制定により, 以前よりも手続が簡素化されたとはいえ, 労働法や民法 11

の知識は一定程度必要となってくるのではないかと思う 7 次回のテーマ犯罪被害者の保護に配慮した刑事公判手続の運用について 8 次回期日平成 29 年 11 月 28 日 ( 火 ) 12