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精算表 精算表とは 決算日に 総勘定元帳から各勘定の残高を集計した上で それらに修正すべき処理 ( 決算整理仕訳 ) の内 容を記入し 確定した各勘定の金額を貸借対照表と損益計算書の欄に移していく一覧表です 期末商品棚卸高 20 円 現金 繰越商品 資本金 2

第 138 回日商簿記 3 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 仕 訳 借 方 科 目 金 額 貸 方 科 目 金 額 1 売買目的有価証券 1,970,000 未 払 金 1,970,000 2 備品減価償却累計額 70,000 備 品 150,000 現 金 20,000 固定資産売却損

第137回日商簿記3級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

第142回日商簿記3級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

連結貸借対照表 ( 単位 : 百万円 ) 当連結会計年度 ( 平成 29 年 3 月 31 日 ) 資産の部 流動資産 現金及び預金 7,156 受取手形及び売掛金 11,478 商品及び製品 49,208 仕掛品 590 原材料及び貯蔵品 1,329 繰延税金資産 4,270 その他 8,476

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

問題 12 取替法 次の取引の仕訳を示しなさい ⑴ 取替資産である鉄道のレールの一部を新品に取替えた 代金 480,000 円は月末に支払う ⑵ 円で20 個を取替えた 代金は小切手を振出して支払った ⑴ ⑵ 問題 12 問題 13 設備投資

前期に販売した商品を当期に修理する場合 前期末に設定した商品保証引当金を取り崩 す つまり借方に商品保証引当金を 50,000 計上する 差額の 30,000 は商品保証費とする (3) 資本金 資本準備金の問題当座預金に払い込まれた金額は次のように計算される 2,000 株 4,000 = 8,0

答 第 1 問 (20 点 ) 仕訳 1 組につき 4 点 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 1 仕 入 130,000 受 取 手 形 当 座 預 金 100,000 30,000 2 買掛金 500,000 売掛金当座預金 100, ,000 3 有価証券 490,000 現金 49

・資本金…資本金勘定から求める \3,800,000-(\150,000+\150,000+\300,000)=\3,2

科目 期別 損益計算書 平成 29 年 3 月期自平成 28 年 4 月 1 日至平成 29 年 3 月 31 日 平成 30 年 3 月期自平成 29 年 4 月 1 日至平成 30 年 3 月 31 日 ( 単位 : 百万円 ) 営業収益 35,918 39,599 収入保証料 35,765 3

第148回日商簿記2級 第1問 仕訳問題類題 問題・解答・解説セット

平成 30 年 7 月 8 日 ( 日 ) 施行 第 191 回全経簿記能力検定試験 1 級商業簿記 会計学解説 第 1 問 1. 企業会計原則第二損益計算書原則一 2. 企業会計原則第二損益計算書原則一 A 3. 企業会計原則第二損益計算書原則一 B 4. 企業会計原則第三貸借対照表原則一 5.

計算書類等

第 9 章純資産の会計 問題 43 問題 43 資本剰余金の振替え 借方科目金額貸方科目金額 次の独立した取引の仕訳を示しなさい ⑴ 資本準備金 2,000,000 円とその他資本剰余金 800,000 円を資本金とすることを株主総会で決議し その効力が生じた ⑵ 資本金 500,000 円を資本準

日本基準基礎講座 有形固定資産

連結の補足 連結の 3 年目のタイムテーブル B/S 項目 5つ 68,000 20%=13,600 のれん 8,960 土地 10,000 繰延税金負債( 固定 ) 0 利益剰余金期首残高 1+2, ,120 P/L 項目 3 つ 少数株主損益 4 1,000 のれん償却額 5 1,1

第 151 回日商簿記 2 級解答解説 第 1 問 実教出版株式会社 解答 仕 訳 借方科目金額貸方科目金額 現 金 8,500,000 車両減価償却累計額 760,000 1 商 品 6,100,000 本 店 17,640,000 車 両 3,800,000 2 その他有価証券 2,000,00

目次 第 8 章 商品売買 第 1 節 三分割法 8-2 第 2 節 付随費用 8-4 第 3 節 返品と値引き 8-8 第 4 節 仕入帳と売上帳 8-11 第 5 節 売掛金元帳と買掛金元帳 8-13 第 6 節 人名勘定 8-19 第 7 節 商品有高帳 8-21 第 8 節 分記法 8-33

第 145 回日商簿記 3 級解答解説実教出版株式会社 第 145 回簿記検定試験問題解答 解説 第 1 問 解答 仕 借方科目金額貸方科目金額 訳 1 2 旅費交通費 60,000 普通預金 80,000 資本金 20,000 他店商品券 10,000 売上 12,000 商品券 2,000 3

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平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

<95BD90AC E937891E590CE959F8E8389EF328CBB8BB595F18D908C888E5A8F912E786C7378>

第 146 回日商簿記 3 級解答解説実教出版株式会社 第 146 回簿記検定試験問題解答 解説 第 1 問 解答 仕 借方科目金額貸方科目金額 訳 1 2 仕 入 502,000 受 取 手 形 500,000 現 金 2,000 備品減価償却累計額 300,000 備 品 400,000 未 収

第150回日商簿記2級 第1問 仕訳問題類題 解答・解説

テレビ学習メモ 簿記 第 15 回 取引の記帳 まだある勘定科目 その他の債権 債務 講師 粕谷和生 これまでに学んだ債権を表す勘定科目には受取手形や売掛金などがあり 債務を表す勘定科目には支払手形や買掛金などがありました そのほかにも債権 債務を表す勘定科目は多数あります 債権と債務は その正体が

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スライド 1

Microsoft Word - 第4回固定資産取引:問題

科目当年度前年度増減 [ 負債の部 ] 流動負債未払金 3,44,15,654 3,486,316,11-46,3,357 給付金未払金 3,137,757,265 3,192,611,196-54,853,931 年金未払金 287,13, ,91,778 7,228,646 その他未

第1章 簿記の一巡

NO 連結精算表科目 & 連結開示 前連結会計 当連結会計 増減差額 科目 借 年度 年度 借方 方 連結借対照表 千円 千円 千円 千円 開 38 社債 20,000,000 5,000,000 開 39 長期借入金 16,500,000 16,071,500 開 40 リース債務 632,000

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第10期

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第 16 回ビジネス会計検定試験より抜粋 ( 平成 27 年 3 月 8 日施行 ) 次の< 資料 1>から< 資料 5>により 問 1 から 問 11 の設問に答えなさい 分析にあたって 連結貸借対照表数値 従業員数 発行済株式数および株価は期末の数値を用いることとし 純資産を自己資本とみなす は

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第4期 決算報告書

第4期電子公告(東京)

平成28年度 第143回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

平成28年度 第144回 日商簿記検定 1級 会計学 解説

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Microsoft Word - 訂正短信提出2303.docx

(z66a\225\\\216\206boki)

科目印収納科目一覧

Microsoft Word - 公益法人会計の仕訳

日本基準基礎講座 資本会計

(2) サマリー情報 1 ページ 1. 平成 29 年 3 月期の連結業績 ( 平成 28 年 4 月 1 日 ~ 平成 29 年 3 月 31 日 ) (2) 連結財政状態 訂正前 総資産 純資産 自己資本比率 1 株当たり純資産 百万円 百万円 % 円銭 29 年 3 月期 2,699 1,23

(1) (2) (3) (1) (2) (3) (4) 決算整理後残高試算表 勘定科目 金 額 勘定科目 金 額 現 金 預 金 ( ) 未払法人税等 ( ) 土 地 ( ) 租 税 公 課 ( ) 法 人 税 等 ( ) 2

スライド 1

IFRS基礎講座 IAS第21号 外貨換算


計算書類 貸 損 借益 対計 照算 表書 株主資本等変動計算書 個 別 注 記 表 自 : 年 4 月 1 日 至 : 年 3 月 3 1 日 株式会社ウイン インターナショナル


第 36 期決算公告 浜松市中区常盤町 静岡エフエム放送株式会社代表取締役社長上野豊 貸借対照表 ( 平成 30 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 資産の部 負債の部 Ⅰ. 流 動 資 産 909,595 Ⅰ. 流 動 負 債 208,875 現金及び預金 508,

日商簿記3級 第1問 仕訳問題 解答セット

Microsoft Word - 5第Ⅰ部第1章

日商簿記2級 第1問 仕訳問題類題 解答セット

12 70, , , , , , , , , , , , , ,0

3. その他 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) 無 (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 無 2 1 以外の会計方針の変更 無 3 会計上の見積りの変更 無 4 修正再表示 無 (3)

Microsoft Word - 192回_1級商業簿記・会計学

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返品の処理 返品の処理は商品の仕入れや販売をした時の処理の取り消しです つまり 仕入れや販 売をした仕訳を反対にした仕訳を行います ⅰ 売上戻り ~ 仕訳は売上時の逆となる仕訳を行います B 商店に販売した商品に品違いがあり 100,000 円分の返品を受けた この金額 100,000 円については

営業報告書

「経済政策論(後期)《運営方法と予定表(1997、三井)

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

連結会計入門 ( 第 6 版 ) 練習問題解答 解説 練習問題 1 解答 解説 (129 頁 ) ( 解説 ) S 社株式の取得に係るP 社の個別上の処理は次のとおりである 第 1 回取得 ( 平成 1 年 3 月 31 日 ) ( 借 )S 社株式 48,000 ( 貸 ) 現預金 48,000

野村アセットマネジメント株式会社 平成30年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

貸借対照表 ( 平成 25 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目金額科目金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 14,146,891 流動負債 10,030,277 現金及び預金 2,491,769 買 掛 金 7,290,606 売 掛 金 9,256,869 リ

野村アセットマネジメント株式会社 2019年3月期 個別財務諸表の概要 (PDF)

株 主 各 位                          平成19年6月1日

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(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

Microsoft Word 【公表】HP_T-BS・PL-H30年度

( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

(1) 連結貸借対照表 ( 添付資料 16 ページ ) (3) 連結株主資本等変動計算書 ( 添付資料 28 ページ ) 6. 個別財務諸表 (1) 貸借対照表 ( 添付資料 31 ページ ) (3) 株主資本等変動計算書 以上 2

平成25年度 第134回 日商簿記検定 1級 商業簿記 解説

キャッシュフロー計算書の作成

(3) 資産運用収益 平成 27 年度平成 28 年度第 3 四半期累計期間第 3 四半期累計期間 利息及び配当金等収入 500, ,799 預 貯 金 利 息 有価証券利息 配当金 397, ,636 貸 付 金 利 息 68,334 64,037 不 動 産

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

第21期(2019年3月期) 決算公告

WWFジャパン 2007年度(平成19年度 第37期)決算報告書

目次財務諸表 1. 貸借対照表 貸借対照表内訳表

2. 資産運用の実績 ( 一般勘定 ) (1) 資産の構成 ( 単位 : 百万円 %) 2019 年度 2018 年度末区分第 1 四半期会計期間末 金額 占率 金額 占率 現預金 コールローン 1,213, ,085, 買 現 先 勘 定 債券貸借取引支払保証金 買

リコーグループサステナビリティレポート p

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Microsoft Word 決算短信修正( ) - 反映.doc

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貸借対照表 (2018 年 3 月 31 日現在 ) 科 目 金 額 科 目 金 額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ. 流動資産 8,741,419 千円 Ⅰ. 流動負債 4,074,330 千円 現 金 預 金 5,219,065 未 払 金 892,347 受 取 手 形 3,670 短

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(訂正・数値データ修正)「平成29年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

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リリース

第54期決算公告

日商簿記3級 第1問 仕訳問題類題 解答・解説セット

営 業 報 告 書

PowerPoint プレゼンテーション

Transcription:

第 3 章 有価証券 有形固定資産 有価証券や有形固定資産については 購入時 及び売却時の仕訳を行える必要があります また 有形固定資産については 建物や機械のように減価償却を行う償却資産と土地のように償却計算を行わない非償却資産とがあります 本章では 減価償却の手続きについても学習します 1. 有価証券の種類有価証券は 一定の権利を表章する証券 で 購入に要した価額で貸借対照表の資産の部に計上されます 小切手や約束手形 株式を表章する株券 投資信託の受益証券 国債証券など様々な有価証券があり また 保有目的や保有割合などによって 名称や貸借対照表の表示場所も変わってきますが 日商簿記 3 級では 売買目的で保有する以下のものだけを取り扱います 有価証券 株式 : 株式会社の持分を表象する証券国債 : 国が必要な資金を調達するために発行する債券公社債地方債 : 地方公共団体が必要な資金を調達するために発行する債券社債 : 会社が必要な資金を調達するために発行する債券 1-1 有価証券の購入と売却 有価証券の購入や売却時には購入手数料や売却手数料が発生しますが これらの処理方法は 商品仕入時の仕入諸掛や販売時における当店負担の発送費と同様に処理します すなわち 購入手数料は有価証券の購入原価に算入し 売却手数料は費用処理します 購入先当店売却先 証券取引所 A 社株式 購入 購入手数料 A 社株式 売却 売却手数料 証券取引所 購入手数料は取得原価に算入 売却手数料は費用処理 (1) 売買目的で F 社株式 100 株を 1 株 500 円で購入し 購入手数料 600 円とともに現金で支払った 1 株あたり購入原価 =(@500 100 株 +600 円 ) 100 株 = @506 円 / 株 (2) 売買目的でI 社社債 額面総額 100,000 円を1 口 100 円につき98 円で購入し 購入手数料 1,000 円とともに現金で支払った 1 口あたり購入原価 =(@98 1,000 口 +1,000 円 ) 1,000 口 = @99 円 / 口

第 3 章有価証券 有形固定資産 P02 (3) 売買目的で保有していたF 社株式 60 株を1 株 580 円で売却した その際 証券会社に売却手数料 500 円を現金で支払った 現金 34,800 円 (=@580 円 / 株 60 株 ) を受け取り 有価証券 30,360 円 (=@506 円 / 株 60 株 ) を手放しています この差額 4,440 円 (=(@580-@506) 60 株 ) が有価証券売却益です また この他に 売却手数料の支払仕訳とまとめて 次のように仕訳を行うこともあります (4) 売買目的で保有していたI 社社債のうち 額面 60,000 円を1 口 100 円につき 96 円で売却し 売却代金を現金で受け取った この際 証券会社に売却手数料 400 円を現金で支払った まず 購入単価 @99 円 / 口の有価証券を @96 円 / 口でしか売却できなかったため 売却損が 600 口分で (@99/ 口 -@96 円 / 口 ) 600 口 = 1,800 円発生します 購入手数料は 商品のときと同じように 取得原価に含めるのかぁ 売却手数料は費用処理よ 1-2 受取配当と有価証券利息 有価証券 株式 : 配当を受け取った場合 受取配当金勘定 で処理します 国債公社債地方債利息を受け取った場合 有価証券利息勘定 で社債処理します (1) 売買目的で保有するF 社株式 40 株について 配当金 800 円を受け取り 普通預金口座に預け入れた (2) I 社社債 ( 額面総額 40,000 円 年利率 6% 利払いは年 2 回 ) について 半年分の利息を受け取り 郵便貯金口座に貯金した 6 ヶ月有価証券利息 = 40,000 円 6% = 1,200 円

第 3 章有価証券 有形固定資産 P03 2. 有形固定資産の種類 建 物 償却資産 備 品 車両運搬具 有形固定資産 機 械 非償却資産 土 地 骨董品 2-1 有形固定資産の購入 有形固定資産を購入した場合には 商品や有価証券と同様に 有形固定資産を事業の用に供する日までにかかる付随費用を取得原価に算入する必要があります 土地の取得原価の計算例 6/3 6/9 7/1 契約 引渡し 事業供用 土地をA 社から購入する契 A 社に残金 115,000 円を支払うととも 約を結び 手付金 5,000 円 に 登記費用 300 円と仲介手数料 700 を支払い 残金 115,000 円 円を業者等に支払った は未払とした 6/3 の当店の仕訳 6/9 の当店の仕訳 借方科目金額貸方科目金額借方科目金額貸方科目金額 ( 前払金 ) 商品や固定資産を購入する場合に 契約時に手付金を請求される場合があります 手付金を支払うと 現金 ( 資産 ) が減少するため 現金勘定を貸方に記入することになります このときの相手勘定に用いられるのが 前払金勘定 です なお 不動産購入時の手付金については 前払金勘定 ではなく 前渡金勘定 や 建設仮勘定 を利用する場合もあります 6/3のA 社の仕訳 6/9のA 社の仕訳借方科目金額貸方科目金額借方科目金額貸方科目金額現金 5,000 前受金 5,000 現金 115,000 土地 前受金 5,000 売却益 ( 前受金 ) 手付金を受け取ると 現金 ( 資産 ) が増加するため 現金勘定を借方に記入すること になります このときの相手勘定に用いられるのが 前受金 勘定です

第 3 章有価証券 有形固定資産 P04 2-2 非償却資産の売却 建物や機械のような償却資産の売却仕訳は後回しにして ここでは 非償却資産である土地の売却仕訳を学習します 土地売却 土地売却 800,000 円 900,000 円 F 商店 I 商店 N 商店 設例 1 売却時の仕訳 ~ 売却益が生じるケース I 商店は 前期に 800,000 円で購入した土地を当期に 900,000 円で N 商店に売却した 売却 額は未収であるが 売却手数料 10,000 円を仲介業者に現金で支払った 当該取引の仕訳を示し なさい I 商店の仕訳 ( 参考 ) 商品の場合 ( 分記法 ) ( 借方 ) 売掛金 900,000 ( 貸方 ) 商 品 800,000 商品売却益 100,000 ( 参考 ) 商品の場合 (3 分割法 ) ( 借方 ) 売掛金 900,000 ( 貸方 ) 売 上 900,000 設例 2 購入時の仕訳 N 商店は I 商店から 900,000 円で土地を購入した 購入代価は未払であるが 購入手数料 10,000 円を仲介業者に現金で支払った 当該取引の仕訳を示しなさい N 商店の仕訳 設例 3 売却時の仕訳 ~ 売却損が生じるケース I 商店は 前期に 800,000 円で購入した土地を当期に 650,000 円で N 商店に売却した 売却 額は未収であるが 売却手数料 10,000 円を仲介業者に現金で支払った 当該取引の仕訳を示し なさい I 商店の仕訳

第 3 章有価証券 有形固定資産 P05 2-3 減価償却有形固定資産のうち 建物や備品 機械などは償却資産と呼ばれ それらの取得原価は 減価償却 の手続きを通じて 費用化されていきます 会計の学習を始めたばかりですから 少し難しく感じるかもしれませんが 減価償却 は 商業簿記だけでなく 工業簿記や原価計算 あるいは 税理士の法人税や所得税 公認会計士の管理会計論や租税法でも重要な学習分野になるため 考え方なども含めて説明していきます (1) 減価償却とは? ( 設例 ) 期首に 360 万円の機械を現金で購入し これを利用することで 毎年 300 万円の売上げを計上する予定である この機械は耐久性に乏しく 3 年間しか利用できない そこで 3 年間の損益計算書を作成してみることにした なお この資料以外の費用 及び収益は生じないものとする ( 処理 1) 機械の取得原価は 収益獲得の犠牲として 購入時に全額費用とすべきである 1 年目のP/L 2 年目のP/L 3 年目のP/L 費用 売上 費用 0 売上 費用 0 売上 360 万円 300 万円 利益 300 万円 利益 300 万円 300 万円 300 万円 損失 60 万円 機械の資産計上額購入時 1 年後 2 年後 3 年後 機械 0 機械 0 機械 0 機械 0 処理 1 の問題点 3 年間 同じ機械を同じように利用して売上を同額計上しているにもかかわらず 計算される利益が大きく変動しているため 企業の経営成績をうまく反映できているとはいえません また 機械の資産計上額が3 年間を通じてゼロとなっており 財政状態も貸借対照表にうまく反映できていません ( 処理 2) 機械の取得原価 360 万円は資産として貸借対照表に全額計上すべきである 1 年目のP/L 2 年目のP/L 3 年目のP/L 費用 0 売上 費用 0 売上 費用 0 売上 利益 300 万円 利益 300 万円 利益 300 万円 300 万円 300 万円 300 万円 機械の資産計上額 購入時 1 年後 2 年後 3 年後 機械 機械 機械 機械 360 万円 360 万円 360 万円 360 万円 処理 2 の 問題点 機械の取得原価 360 万円が3 年後の貸借対照表にもそのまま計上されています この機械は3 年後には利用価値 すなわち資産価値がゼロになるため 企業の財政状態を貸借対照表にうまく反映できていません また 損益計算書においても 機械を利用しながら 収益を獲得している状況がうまく反映されていません

第 3 章有価証券 有形固定資産 P06 ( 処理 3) 機械の取得原価 360 万円は 利用期間にわたって均等に費用計上すべきである 1 年目のP/L 2 年目のP/L 3 年目のP/L 費用 売上 費用 売上 費用 売上 120 万円 300 万円 120 万円 300 万円 120 万円 300 万円 利益 180 万円 利益 180 万円 利益 180 万円 購入時 1 年後 2 年後 3 年後 機械機械機械 120 万円機械 0 万円 360 万円 240 万円 機械の取得原価 360 万円が3 年間に渡って 均等に費用化され 毎年 180 万円の利益が計上されています この結果は 3 年間同じ機械を利用して 同じ経済活動を行っていたことをうまく損益計算書に反映できていることを示しているといえます また 360 万円で取得した機械が3 年間で資産価値がゼロになっていく状況も貸借対照表にうまく反映できています B/Sにある 360 万円を 120 万円ずつP/Lへ振り替えていくの 直接法の仕訳は こんな感じ ( 借 ) 減価償却費 120 万円 / ( 貸 ) 機械 120 万円 減価償却とは 適正な期間損益計算を行うために 資産の取得原価を期間配分する手続き をいいます 設例 4 I 商店は 第 13 期の7 月 1 日に機械装置を 600,000 円で取得した 当機械装置の耐用年数は 4 年 残存価額を 0 円として 定額法によって減価償却費の計算を行うこととする この場合の各年度の減価償却費 及び各年度末の機械装置勘定の残高を計算しなさい なお I 商店の決算日は 12 月 31 日である 1. 当会計期間の減価償却費 600,000 円 4 年 6ヶ月 12ヶ月 = 75,000 円 2. 当会計年度末の機械装置勘定の残高 600,000 円 - 減価償却費 75,000 円 = 525,000 円 3. 各年度の減価償却費と機械装置勘定の残高 第 13 期 第 14 期 第 15 期 第 16 期 第 17 期 7/1 1/1 取得 12/31 12/31 12/31 12/31 6/30 12/31 600,000 円 減価償却費減価償却費減価償却費減価償却費 減価償却費 150,000 円 150,000 円 150,000 円 75,000 円 75,000 円 期末残高 期末残高 期末残高 期末残高 期末残高 525,000 円 375,000 円 225,000 円 75,000 円 0 円

第 3 章有価証券 有形固定資産 P07 (2) 直接法と間接法 1. 直接法 : 減価償却費の相手勘定を資産勘定とする方法です 直接法による第 13 期の仕訳と財務諸表の各金額は 次のようになります 損益計算書 ( 第 13 期 ) 貸借対照表 ( 第 13 期末 ) 減価償却費 75,000 機械装置 525,000 損益計算書 ( 第 14 期 ) 貸借対照表 ( 第 14 期末 ) 減価償却費 150,000 機械装置 375,000 損益計算書 ( 第 15 期 ) 貸借対照表 ( 第 15 期末 ) 減価償却費 150,000 機械装置 225,000 2. 間接法 : 減価償却費の相手勘定を 減価償却累計額 とする方法です 間接法による第 13 期の仕訳と財務諸表の各金額は 次のようになります 損益計算書 ( 第 13 期 ) 貸借対照表 ( 第 13 期末 ) 減価償却費 75,000 機械装置 600,000 減価償却累計額 75,000 損益計算書 ( 第 14 期 ) 貸借対照表 ( 第 14 期末 ) 減価償却費 150,000 機械装置 600,000 減価償却累計額 225,000 損益計算書 ( 第 15 期 ) 貸借対照表 ( 第 15 期末 ) 減価償却費 150,000 機械装置 600,000 減価償却累計額 375,000

第 3 章有価証券 有形固定資産 P08 (3) 残存価額 0 円とする場合 V.S 10% とする場合残存価額とは 耐用年数到来時における資産の見積売却価額をいいます もともと会計では 取得原価の10% を残存価額とすることが多かったのですが 現行税法が残存価額を 0 円で計算することから 近年では 会計でも残存価額 0 円で計算する問題が多くなりました 1. 残存価額 0 円とする場合 第 13 期の減価償却費 6 ヶ月 600,000 円 4 年 = 75,000 円 取得原価 減価償却費 75,000 円 要償却額 600,000 600,000 円円期末簿価 525,000 円 第 13 期第 14 期第 15 期第 16 期第 17 期 貸借対照表 ( 第 17 期末 ) 機械装置 600,000 減価償却累計額 600,000 第 17 期末の貸借対照表 2. 残存価額を取得原価の 10% とする場合 第 13 期の減価償却費 6 ヶ月 600,000 円 0.9 4 年 = 67,500 円 取得原価 減価償却費 67,500 円 要償却額 600,000 600,000 円 0.9 円期末簿価 = 540,000 円 547,500 円 残存価額 60,000 円 第 13 期第 14 期第 15 期第 16 期第 17 期 600,000 円 10% 貸借対照表 ( 第 17 期末 ) 機械装置 600,000 減価償却累計額 540,000 第 17 期末の貸借対照表

第 3 章有価証券 有形固定資産 P09 (4) 償却資産の売却償却資産の売却仕訳は おそらく日商簿記 3 級の中で一番難しく感じる方が多いと思います 売却した資産の売却時の簿価を正しく計算できれば うまくいくはずです そのためには 期首から売却時までの減価償却費を計算する必要があります 設例 5 期中売却 + 直接法 + 残存価額 0 円 I 商店は 第 13 期の7 月 1 日に 600,000 円で取得した機械装置を第 15 期の9 月 30 日に売却し 売却代金として 250,000 円の現金を受け取った 当機械装置の耐用年数は 4 年 残存価額を 0 円として 定額法による減価償却費の計算を行い 直接法で処理している この場合の第 15 期における当該機械装置の売却仕訳を行いなさい なお I 商店は12 月決算であり 第 15 期の機械装置の期首帳簿残高は 375,000 円であった 取得原価 9 ヶ月 600,000 円 4 年 = 112,500 円 600,000 円 期首簿価 減価償却費? 円 375,000 円 売却時簿価? 円 375,000 円 - 112,500 円 = 262,500 円 第 13 期第 14 期第 15 期第 16 期第 17 期 1. 第 15 期の1/1~9/30までの減価償却費 第 15 期の1/1~9/30までの減価償却費 = 600,000 円 4 年 9ヶ月 12ヶ月 = 112,500 円 減価償却費の計上仕訳 2. 第 15 期における売却時の機械装置の簿価 売却時簿価 = 第 15 期の期首簿価 375,000 円 - 売却までの減価償却費 112,500 円 = 262,500 円 3. 第 15 期における売却損の計算 売却損 = 262,500 円 - 250,000 円 = 12,500 円直接法による売却仕訳 2 つの仕訳をまとめると 売却時の仕訳

第 3 章有価証券 有形固定資産 P10 設例 6 期中売却 + 間接法 + 残存価額 0 円 設例 5 において I 商店が減価償却費を間接法によって処理していたとした場合の売却時の 仕訳を行いなさい なお 第 15 期の減価償却累計額の期首帳簿残高は 225,000 円であった 取得原価 9 ヶ月減価償却累計額 600,000 円 4 年 = 112,500 円 225,000 円 600,000 円 期首簿価 減価償却費? 円 375,000 円 売却時簿価? 円 375,000 円 - 112,500 円 = 262,500 円 第 13 期第 14 期第 15 期第 16 期第 17 期 貸借対照表 ( 第 15 期首 ) 機械装置 600,000 減価償却累計額 225,000 取得から第 15 期首までの減価償却費の累計額 期首簿価 375,000 円 期首簿価 (A) の減額 売却時の仕訳 2 期首時点の累計額の減額 1 取得原価の減額 3 期首 ~ 売却時までの減価償却費 (B) 4 売却代金の受取り 5=1-2-3-4 売却時の簿価 設例 7 期中売却 + 間接法 + 残存価額 10% 設例 6 において 残存価額を取得原価の 10% としていた場合の機械装置の売却仕訳を行いな さい なお 第 15 期の減価償却累計額の期首帳簿残高は 202,500 円であった 取得原価 9 ヶ月減価償却累計額 600,000 円 0.9 4 年 = 101,250 円 202,500 円 600,000 減価償却費? 円円期首簿価 397,500 円売却時簿価? 円 第 13 期第 14 期第 15 期第 16 期第 17 期 残存価額 60,000 円 600,000 円 10% 期首簿価 (A) の減額 売却時の仕訳 2 期首時点の累計額の減額 1 取得原価の減額 3 期首 ~ 売却時までの減価償却費 (B) 4 売却代金の受取り 5=1-2-3-4