コプリーノ COPRINO 1. はじめに コプリーノは 学名を Coprinus comatus 和名をササクレヒトヨタケと いう食用の白くて美しいキノコです ヨーロッパや北米など世界中の温帯地域に広く分布し 日本でも春から秋にかけて自生します コプリーノは 下の写真のように 円柱型の白い絹のよう

Similar documents
アントシアニン

られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

資生堂 肌の奥 1 からシミを増殖させる新たなメカニズムを解明 シミ増殖因子の肌の上部 ( 表皮 ) への流入量をコントロールしているヘパラン硫酸の 減少抑制効果が マドンナリリー根エキス に 産生促進効果が グルコサミン にあることを発見 資生堂は これまでシミ研究ではあまり注目され

日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

研究目的 1. 電波ばく露による免疫細胞への影響に関する研究 我々の体には 恒常性を保つために 生体内に侵入した異物を生体外に排除する 免疫と呼ばれる防御システムが存在する 免疫力の低下は感染を引き起こしやすくなり 健康を損ないやすくなる そこで 2 10W/kgのSARで電波ばく露を行い 免疫細胞

ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

八村敏志 TCR が発現しない. 抗原の経口投与 DO11.1 TCR トランスジェニックマウスに経口免疫寛容を誘導するために 粗精製 OVA を mg/ml の濃度で溶解した水溶液を作製し 7 日間自由摂取させた また Foxp3 の発現を検討する実験では RAG / OVA3 3 マウスおよび

るが AML 細胞における Notch シグナルの正確な役割はまだわかっていない mtor シグナル伝達系も白血病細胞の増殖に関与しており Palomero らのグループが Notch と mtor のクロストークについて報告している その報告によると 活性型 Notch が HES1 の発現を誘導

報道発表資料 2006 年 4 月 13 日 独立行政法人理化学研究所 抗ウイルス免疫発動機構の解明 - 免疫 アレルギー制御のための新たな標的分子を発見 - ポイント 異物センサー TLR のシグナル伝達機構を解析 インターフェロン産生に必須な分子 IKK アルファ を発見 免疫 アレルギーの有効

PowerPoint プレゼンテーション

図 B 細胞受容体を介した NF-κB 活性化モデル

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

脳組織傷害時におけるミクログリア形態変化および機能 Title変化に関する培養脳組織切片を用いた研究 ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 岡村, 敏行 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL http

cell factor (SCF) が同定されています 組織学的に表皮突起の延長とメラノサイトの数の増加がみられ ケラチノサイトとメラノサイトの増殖異常を伴います 過剰のメラニンの沈着がみられます 近年 各種シミの病態を捉えて その異常を是正することによりシミ病変の進行をとめ かつシミ病変の色調を薄

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 松尾祐介 論文審査担当者 主査淺原弘嗣 副査関矢一郎 金井正美 論文題目 Local fibroblast proliferation but not influx is responsible for synovial hyperplasia in a mur

本日のお話 皮膚がんの原因 紫外線について 紫外線と皮膚がん 紫外線以外の皮膚がんの原因 早期に発見するために

関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

解禁日時 :2019 年 2 月 4 日 ( 月 ) 午後 7 時 ( 日本時間 ) プレス通知資料 ( 研究成果 ) 報道関係各位 2019 年 2 月 1 日 国立大学法人東京医科歯科大学 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 IL13Rα2 が血管新生を介して悪性黒色腫 ( メラノーマ ) を

卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

論文題目  腸管分化に関わるmiRNAの探索とその発現制御解析

グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

Microsoft PowerPoint - 新技術説明会配付資料rev提出版(後藤)修正.pp

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

<4D F736F F D20322E CA48B8690AC89CA5B90B688E38CA E525D>

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

PowerPoint プレゼンテーション

報道関係者各位 平成 26 年 1 月 20 日 国立大学法人筑波大学 動脈硬化の進行を促進するたんぱく質を発見 研究成果のポイント 1. 日本人の死因の第 2 位と第 4 位である心疾患 脳血管疾患のほとんどの原因は動脈硬化である 2. 酸化されたコレステロールを取り込んだマクロファージが大量に血

研修コーナー

パーキンソン病治療ガイドライン2002

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

ver5.1 HS 1. ALPHA LIPOIC ACID () S S COOH HS 1. α - SH COOH - ( 1) CoA -( 2)- - --P80 (--WSP8-L1-WSPC8 -LC1) - 1


<4D F736F F F696E74202D2097D58FB08E8E8CB1838F815B834E F197D58FB E96D8816A66696E616C CF68A4A2E >

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

大麦食品推進協議会 技術部会報告 (公財)日本健康・栄養食品協会で評価された   大麦由来β-グルカンの機能性について

1,4-ナフトキノン誘導体の合成と活性評価について

皮膚はいろいろな細胞が集合した層からできています

本日の内容 HbA1c 測定方法別原理と特徴 HPLC 法 免疫法 酵素法 原理差による測定値の乖離要因

RNA Poly IC D-IPS-1 概要 自然免疫による病原体成分の認識は炎症反応の誘導や 獲得免疫の成立に重要な役割を果たす生体防御機構です 今回 私達はウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA アナログの Poly I:C を用いて 自然免疫応答メカニズムの解析を行いました その結果

Microsoft PowerPoint - 2_(廣瀬宗孝).ppt

スライド 1

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

血糖値 (mg/dl) 血中インスリン濃度 (μu/ml) パラチノースガイドブック Ver.4. また 2 型糖尿病のボランティア 1 名を対象として 健康なボランティアの場合と同様の試験が行われています その結果 図 5 に示すように 摂取後 6 分までの血糖値および摂取後 9 分までのインスリ

肝クッパ 細胞を簡便 大量に 回収できる新規培養方法 農研機構動物衛生研究所病態研究領域上席研究員山中典子 2016 National Agriculture and Food Research Organization. 農研機構 は国立研究開発法人農業 食品産業技術総合研究機構のコミュニケーショ

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 森脇真一 井上善博 副査副査 教授教授 東 治 人 上 田 晃 一 副査 教授 朝日通雄 主論文題名 Transgene number-dependent, gene expression rate-independe

untitled

PowerPoint プレゼンテーション

別紙 < 研究の背景と経緯 > 自閉症は 全人口の約 2% が罹患する非常に頻度の高い神経発達障害です 近年 クロマチンリモデ リング因子 ( 5) である CHD8 が自閉症の原因遺伝子として同定され 大変注目を集めています ( 図 1) 本研究グループは これまでに CHD8 遺伝子変異を持つ

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

要旨 グレープフルーツや夏みかんなどに含まれる柑橘類フラボノイドであるナリンゲニンは高脂血症を改善する効果があり 肝臓においてもコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制すると言われている 脂肪肝は肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態で 動脈硬化を始めとするさまざまな生活習慣病の原因となる 脂肪肝

スライド 1

の活性化が背景となるヒト悪性腫瘍の治療薬開発につながる 図4 研究である 研究内容 私たちは図3に示すようなyeast two hybrid 法を用いて AKT分子に結合する細胞内分子のスクリーニングを行った この結果 これまで機能の分からなかったプロトオンコジン TCL1がAKTと結合し多量体を形

第6回 糖新生とグリコーゲン分解

脂肪滴周囲蛋白Perilipin 1の機能解析 [全文の要約]

■リアルタイムPCR実践編

平成 29 年 8 月 4 日 マウス関節軟骨における Hyaluronidase-2 の発現抑制は変形性関節症を進行させる 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長 : 門松健治 ) 整形外科学 ( 担当教授石黒直樹 ) の樋口善俊 ( ひぐちよしとし ) 医員 西田佳弘 ( にしだよしひろ )

Transcription:

ORYZA OIL & FAT CHEMICAL CO., LTD. コプリーノ COPRINO Ver. 2.2 MK - 0 -

コプリーノ COPRINO 1. はじめに コプリーノは 学名を Coprinus comatus 和名をササクレヒトヨタケと いう食用の白くて美しいキノコです ヨーロッパや北米など世界中の温帯地域に広く分布し 日本でも春から秋にかけて自生します コプリーノは 下の写真のように 円柱型の白い絹のような傘を持ち 白色の毛皮のような鱗片に覆われています しかしながら その美しさは自然では数日しか保たれないため幻のキノコと呼ばれており その稀少価値の高さからイタリアなど欧米諸国では高級食材として食されています マシュマロのような口当たりで非常に美味であり 特に油との相性が良いと言われています - 1 -

近年 エルゴチオネイン という含硫アミノ酸の一種が注目されています エルゴチオネインは抗酸化活性が非常に高く,L- システインやアスコルビン酸など他の抗酸化成分よりも強い活性が認められています そのため 様々な高級化粧品に美容成分として配合されています 美容作用に関しては エルゴチオネインにはエラスターゼ活性阻害作用やチロシナーゼ活性阻害作用などもあると言われております さらにエルゴチオネインは 抗炎症作用や細胞エネルギー増進作用 抗ストレス作用などさまざまな機能性を持つと言われています エルゴチオネインは 数多くの動植物に存在することが知られています ヒトにおいては肝臓や目の水晶体 赤血球などの器官に多く存在し 生体内抗酸化などに非常に重要な役割を担っていると考えられています しかしながら ほとんどの動植物ではエルゴチオネインを自ら生合成することは出来ず 哺乳動物は 食事を通じてエルゴチオネインを摂取する必要があります 1) COO - HN NH N + S 図 1 エルゴチオネイン 名古屋大学名誉教授大澤俊彦 北海道教育大学准教授伊藤友美らが様々な食品中のエルゴチオネイン含量を評価したところ コプリーノがエルゴチオネインを最も高濃度に含む食品であることが明らかとなりました 特に他のキノコ類と比較しますと コプリーノには 5 倍以上のエルゴチオネインが含まれています エルゴチオネイン含量 (mg/g-dry) 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 コプリーノ ヒラタケ エリンギ マイタケ ナメコ シイタケアンニンコウオオイチョウタケヤナギマツタケ サウーバ ヒメマツタケ キッタリア 図 2 エルゴチオネイン含量の比較 2009 年日本フードファクター学会にて発表 - 2 -

目次 1. はじめに 2. 生体内抗酸化作用 3. 抗光老化作用 4. 美白作用 (1) メラニン生成抑制作用 (2) チロシナーゼ活性抑制作用 5. 抗炎症作用 p.1 p.4 p.6 p.12 p.13 6. 参考文献 p.13-3 -

2. 生体内抗酸化作用 エルゴチオネインの抗酸化作用についていくつかの報告がなされています K. Obayashi ら 2) によると エルゴチオネインは非常に低い濃度域で濃度依存的にスーパーオキシドラジカルを捕捉することが明らかになっています さらに エルゴチオネインは システインなど比較的強い抗酸化作用で知られる成分よりも 脂質過酸化の発生を抑えることも報告されています EGT : エルゴチオネイン Scavenging : スーパーオキシドラジカル捕捉率 図 3 エルゴチオネインのスーパーオキシドラジカル捕捉活性 2) EGT : エルゴチオネイン LPO : 過酸化脂質 図 4 各種抗酸化成分の脂質過酸化抑制作用 2) - 4 -

また 過酸化水素などによる酸化ストレスが細胞に加わるとミトコンドリアの DNA 障害や細胞障害が発生し 生存率が低下することが知られています しかしながら BD Paul ら 3) は 酸化ストレスによる細胞生存率の低下が エルゴチオネイン添加によって有意に回復することを確認しています また エルゴチオネイン欠損細胞株 ( エルゴチオネインを発現できない細胞 ) では過酸化水素による脂質過酸化が通常細胞株より増加したこと およびエルゴチオネインの添加もしくはエルゴチオネイン RNAi の導入により脂質過酸化の抑制が認められたことから 脂質過酸化の防止に対するエルゴチオネインの重要性が明らかとなっています したがって エルゴチオネインは 生体内抗酸化において非常に重要な役割を果たすアミノ酸であると考えられます エルゴチオネイン添加 図 5 エルゴチオネインの過酸化水素による細胞障害抑制作用 3) エルゴチオネイン欠損細胞株 ET : エルゴチオネイン 図 6 エルゴチオネイン欠損細胞株に対するエルゴチオネイン RNAi 導入による脂質過酸化の抑制 3) - 5 -

3. 抗光老化作用 紫外線には皮膚の表皮や真皮を構成する細胞にダメージを与え しわ しみなどの皮膚の老化を促進させる悪影響があり これを光老化と呼んでいます (1) 抗光老化作用 (in vitro) 実験用に作製したコプリーノエキス ( 以下, コプリーノエキス ) とエルゴチオネインの紫外線照射による線維芽細胞障害に及ぼす作用を検討しました 24 時間前処理したヒト正常二倍体線維芽細胞 (TIG-108, 40 歳代日本人女性由来 ) にそれぞれのサンプルを添加し UV-B(755 mj/cm 2, 14.4 mw/cm 2 ) を照射した後 細胞障害を MTT アッセイで マトリックスメタロプロテイナーゼ (MMP)-1 および TNF- の mrna 発現を PCR で それぞれ調べました UV-B 照射により細胞増殖能は低下し 線維芽細胞の増殖は抑制されました しかしながら コプリーノエキスまたはエルゴチオネインの添加により 濃度依存的な細胞増殖能の回復が認められました 特に コプリーノエキス 300 g/ml およびエルゴチオネイン 100 g/ml 添加時には 有意な細胞増殖能の回復が認められました ( 図 7) したがって コプリーノエキスおよびエルゴチオネインは 有意な光障害抑制作用を示すことが明らかとなりました 細胞増殖能 (% of control) 110 105 100 95 90 85 80 0 0 100 300 コプリーノ エキス濃度 ( g/ml) cotrol UV-B 照射あり UV-B 照射なし 細胞増殖能 (% of control) 110 100 90 80 70 60 50 0 0 10 100 エルゴチオネイン濃度 ( g/ml) cotrol UV-B 照射あり UV-B 照射なし 平均値 ± 標準誤差 (n=6), : p < 0.01 図 7 コプリーノエキスおよびエルゴチオネインの UV-B 照射による線維芽細胞障害抑制作用 - 6 -

また UV-B を線維芽細胞に照射するとコラゲナーゼの一種である MMP-1 と炎症マーカーの一種である TNF- の遺伝子発現が活性化されます しかしながら UV-B 照射時にコプリーノエキスまたはエルゴチオネインを培地中に添加すると MMP-1 および TNF- の mrna 発現が抑制されました ( 図 8, 9) したがって コプリーノエキスおよびエルゴチオネインは UV-B 傷害によるコラーゲンの分解や炎症を抑制することで 真皮を光障害から保護することも明らかになりました 以上のように コプリーノエキスおよびエルゴチオネインは ともに有意な抗光老化作用を示すことが明らかとなりました - 7 -

MMP-1 mrna 発現比率 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 0 100 300 コプリーノエキス濃度コフ リーノ エキス濃度 ( g/ml) (μg/ml) 照射なし 照射あり MMP-1mRNA 発現比率 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 コプリーノ Ver.2.2MK 0 0 10 100 エルコ チオネイン濃度 ( g/ml) 照射なし 照射あり 平均値 ± 標準誤差 (n=4), 発現量は β-actin で補正, : p < 0.01 紫外線照射により MMP-1 発現が亢進 コプリーノエキス添加により MMP-1 発現が抑制 エルゴチオネイン添加により MMP-1 発現が抑制 MMP-1 -actin : 遺伝子発現量の補正に使用 TNF- mrna 発現比率 1.2 紫外線照射により TNF- 発現が亢進 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 図 8 MMP-1 mrna 発現に及ぼす作用 0 0 100 300 コプリーノエキス濃度コフ リーノ エキス濃度 ( g/ml) (μg/ml) 照射なし 照射あり TNF- mrna 発現比率 平均値 ± 標準誤差 (n=4), 発現量は β-actin で補正, : p < 0.01 コプリーノエキス添加により TNF- 発現が抑制 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 0 10 100 照射なし エルコ チオネイン濃度 ( g/ml) 照射あり エルゴチオネイン添加により TNF- 発現が抑制 TNF- -actin : 遺伝子発現量の補正に使用 図 9 TNF- mrna 発現に及ぼす作用 - 8 -

(2) 抗光老化作用 (in vivo) コプリーノエキス ( エルゴチオネイン含量 1 %) を, へアレスマウスに継続投与し, 紫外線照射によるしわ形成に及ぼす影響を調べました 方法 へアレスマウス (Hos; HR-1,,6 週齢 ) を 3 日間予備飼育した後 使用した マウスにコプリーノエキス (10, 100 および 200 mg/kg) を経口投与し, その後 3 時間以内にマウスの背部正中線上, 中程の皮膚に, ソーラーシュミレータを用いて UVB(120 mj/cm 2 ) を照射した この操作を 90 日間繰り返し, 投与終了の翌日, 照射部位のレプリカと皮膚組織を採取した レプリカは市販ソフト (NIH image, Adobe Photoshop 7.0, Win Roof 6.1 および管腔形成分析ソフト ) を用いて 25 mm 2 あたりのしわ面積を測定した 皮膚は常法に従って RNA を抽出し,RT-PCR により各種 mrna の発現を調べた また, 免疫染色によるヒアルロン酸結合タンパクを確認した 結果 マウス皮膚レプリカの観察の結果 コプリーノエキス投与により 皮膚のキメが細かくなる傾向が認められました ( 図 10) また画像解析の結果 コプリーノエキス投与により しわ面積およびしわ面積率の減少傾向が認められました ( 表 1) 正常マウス紫外線照射 10 mg/kg 100 mg/kg 200 mg/kg 図 10 マウス皮膚レプリカ画像 紫外線照射 + コプリーノ経口投与 - 9 -

表 1. コプリーノ投与紫外線照射マウスの皮膚レプリカ解析値 投与量 (mg/kg) UV-B a) しわ面積 (mm 2 ) a) しわ面積率 (%) Normal - - 4.42±0.37 17.7±1.5 Control - + 5.04±0.41 20.2±1.6 コプリーノ 10 + 4.39±0.74 17.6±3.0 100 + 4.00±0.52 16.0±2.1 200 + 3.89±0.62 15.5±2.5 Mean±SE (n=5), a) NIH image の二値化像より 紫外線を照射したマウスの皮膚において コプリーノエキスの経口投与により ヒアルロン酸合成酵素 (HAS2, HAS3) の発現増加が認められました ( 表 2) 表 2. コプリーノ投与紫外線照射マウスの皮膚 mrna 発現 投与量 UV-B ヒアルロナンシンターゼ (mg/kg) HAS2 HAS3 Normal - - 4.84±1.83 4.76±2.14 Control - + 1.00±0.31 1.00±0.39 コプリーノ 10 + 6.77±6.23 5.05±5.03 100 + 6.66±6.62-200 + 6.36±3.35 5.53±4.28 Mean±SE (n=5) - 10 -

さらに ヒアルロン酸結合タンパクの免疫染色の結果 コプリーノエキスを投与したマウスの皮膚においてヒアルロン酸結合タンパクの増加が確認されました ( 図 11) 紫外線照射によりマウス皮膚の真皮上部におけるヒアルロン酸結合タンパク ( 褐色染色部位 ) が正常時より大きく減少しますが ( 図 11a, b 赤線内 ) コプリーノエキスを投与したマウスの皮膚ではヒアルロン酸結合タンパク ( 褐色染色部位 ) が増加し 紫外線照射後も正常時と同等以上に回復することが確認されました ( 図 11c, d 赤線内 ) a) b) c) d) 図 11 マウス皮膚のヒアルロン酸結合タンパクの免疫染色画像 a) Normal: 正常マウス ( 紫外線照射なし ), b) Control: 紫外線照射マウス, c), d) 100 (200) mg/kg: 紫外線照射 +コプリーノエキス投与マウス各画像上部の皮膚表面付近の茶色に染色している部分がヒアルロン酸結合タンパク - 11 -

4. 美白作用 メラニンはシミ ソバカス等の原因物質として知られており その生成過程にはチロシナーゼと呼ばれる酵素が関わっています コプリーノエキスは チロシナーゼの活性阻害およびメラニン生成抑制を示しました したがって コプリーノエキスは美白作用を有することが明らかとなりました (1) メラニン生成抑制作用 名城大学との共同研究により B16 メラノーマ細胞を用いて コプリーノエキスのメラニン生成に及ぼす作用を確認しました その結果 コプリーノエキスの添加により メラニン生成が有意に抑制されました メラニン生成率 (% of control) 120 110 100 90 80 70 60 コントロール 0.1 1 コプリーノエキス濃度 (mg/ml) 平均値 ± 標準誤差 (n=3), : p < 0.01 図 12 コプリーノエキスのメラニン生成抑制作用 (2) チロシナーゼ活性抑制作用 コプリーノエキスのチロシナーゼ活性抑制作用を確認したところ コプリーノエキスおよびエルゴチオネインは 濃度依存的な抑制作用を示しました チロシナーゼ活性抑制率 (%) 25 20 15 10 5 0 10 30 100 300 1000 コプリーノエキス濃度 (μg/ml) ( g/ml) チロシナーゼ活性抑制率 (%) 50 40 30 20 10 0 3 10 30 100 エルゴチオネイン濃度 ( g/ml) 平均値 ± 標準誤差 (n=3) 図 13 コプリーノエキスおよびエルゴチオネインのチロシナーゼ活性抑制作用 - 12 -

5. 抗炎症作用 名古屋大学および北海道教育大学との共同研究により 炎症マーカーとして知られるインターロイキン -6 (IL-6) を指標に マウス脂肪細胞 (3T3-L1) を用いてコプリーノエキスの抗炎症作用を確認しました マウス脂肪前駆細胞を分化誘導後 TNF- を添加しますと培地中 IL-6 濃度は顕著に増加しました しかしながら 培地中にコプリーノエキスを添加してから TNF- を添加しますと培地中 IL-6 濃度は有意に低下したことから コプリーノエキスには IL-6 産生抑制作用があると考えられました したがって コプリーノエキスは抗炎症作用を有することが明らかとなりました 350 300 IL-6 (pg/ml) 250 200 150 100 50 0 control TNF-α TNF-α + 1mg/ml エキス TNF-α + 2mg/ml エキス 図 14 コプリーノエキスの IL-6 産生抑制作用 さらに Asahi ら 4) よりコプリーノが UVB による炎症反応や DNA のハロゲン化を阻害することが報告されており コプリーノや主成分のエルゴチオネインが DNA のハロゲン化を進める酵素であるミエロペルオキシダーゼを阻害することによって 炎症を抑えることが明らかとなっています 6. 参考文献 1) Ey J. et. al., J. Agric. Food Chem., 55, 6466-6474, 2007. 2) Obayashi K. et. al., J. Cosmet. Sci., 56, 17-27, 2005. 3) Paul. B.D. and Snyder S.H., Cell Death Differ., 17, 1134-1140, 2010. 4) Asahi T. et al., Biosci Biotechnol Biochem. 80, 313-7, 2016. - 13 -

オリザ油化株式会社 493-8001 愛知県一宮市北方町沼田 1 番地 TEL(0586)86-5141( 代表 ) FAX(0586)86-6191 URL/http://www.oryza.co.jp/ E-mail: info@oryza.co.jp 東京営業所 101-0041 東京都千代田区神田須田町 1-24-10 大東京ビル 5F TEL (03)5209-9150 FAX (03)5209-9151 E-mail: Tokyo@oryza.co.jp * 本書は原料に使われた植物等の紹介になっております 掲載しております内容は 当社商品自体の効能効果をうたうものではございません * 本書に記載の内容は 化粧品または食品 健康食品企業の方をはじめとするその関連する業務に従事されている方を対象に 適正にご使用いただくことを目的としたものであり 一般消費者向けのものではございません これらの内容は商品における効能を示唆するものではないことにご留意いただき 関連法規制の規定等をふまえ 消費者に向けた広告宣伝や販売等の目的に使用することはお避け下さい * 本書の無断複写, 及び流用は, 著作権法上の例外を除き, 禁じられています * 本カタログに記載された内容は, 都合により変更させていただくことがあります * 改訂箇所 5. 抗炎症作用文献追加 制定日 2010 年 10 月 5 日 改定日 2017 年 10 月 12 日 - 14 -

ORYZA OIL & FAT CHEMICAL CO., LTD. - 15 -