平成 28 年政策評価書 千葉県警察重点目標安全で安心できる県民生活の確保 施 策 子供 女性 高齢者を守る取組の推進 施策目標子供 女性 高齢者の安全 安心の確保 千葉県における刑法犯認知件数は減少傾向にある中で 子供の 施策設定の背景生命 身体を害する犯罪や強制わいせつ等の女性に対する性的犯罪 ストーカー事案 配偶者暴力事案 児童虐待事案 高齢者虐待事案等 の人身安全関連事案や 高齢者を狙う電話 de 詐欺等の犯罪が高水準で 推移している状況にあります このように子供 女性 高齢者という弱者を狙った犯罪は 被害者 の心身に深刻な影響や地域住民に不安感を与えるほか 事案によって は急展開し重大事案に発展するおそれがあることから 警察としては 各部門が総合力を発揮して諸対策を推進するとともに 自治体 地域 住民 事業者等の関係機関 団体等が連携するなどして 社会全体で 安全 安心を確保するための取組を推進する必要があります 実施項目 1 子供や女性を性犯罪等から守るための取組の推進 推進結果 1 1 性犯罪等に対する先制 予防的活動の推進 子供や女性を対象とする性的犯罪の前兆とみられる 声掛け つきまとい 等( 以下 前兆事案 という ) の情報を一元的に 収集 分析し 各種法令を活用した検挙対策 犯罪に至らない場合 であっても適切に指導 警告を行うなど 性犯罪等の未然防止 を図る先制 予防的な活動を積極的に推進しました 前兆事案の検挙 指導警告状況 ( 平成 28 年中 ) 検挙件数 474 件 ( 前年比 +44 件 ) 指導 警告件数 734 件 ( 前年比 +19 件 ) 2 関係機関 団体等と連携した広報啓発活動等の推進 (1) 自治体や鉄道事業者と協働して痴漢防止キャンペーン (6 月 ) を行い 被害防止に関する広報啓発活動を推進しました (2) 犯罪の多発時間帯に自治体 防犯ボランティア等と警察が連携 して防犯パトロール活動を行うなど 官民一体となって子供や女 性の見守り活動を推進しました (3) 少年警察ボランティア団体等と協働して 前兆事案が多発する - 1 -
場所に対して注意喚起する電柱幕を設置するなどして 子供や女 性の防犯意識の高揚を図りました (4) 不審者や犯罪発生場所等に関する防犯情報を 地域住民等に対 し 迅速かつ効果的に提供するために 自治体や民間企業と協定 を締結するなど 情報発信体制の整備に努めました 3 県民の自主防犯意識の醸成 (1) 女性の自主防犯意識を醸成するとともに 性犯罪等を抑止する ことを目的として 平成 28 年 3 月に 専門的な知識と経験を有 する女性警察職員を よくし隊レディ あおぼーし に指定し 女性の立場に立った広報啓発活動等を推進しました よくし隊レディ あおぼーし の活動状況 ( 平成 28 年中 ) キャンペーン実施回数 防犯教育実施回数 37 回 52 回 (2) 県警ホームページの 不審者情報マップ 欄に 前兆事案発生 場所等の情報のほか 子供や女性が被害に遭わないための防犯対 策や相談窓口等を掲載するなど 自主防犯意識の高揚を図り ました (3) 子供が理解しやすいよう工夫を凝らした紙芝居や絵本を作成し て 被害防止教育や実践的な護身術の教授 学校や民間企業と連 携して不審者侵入時の対応訓練を実施するなど 危機回避能力の 向上に努めました 被害防止教育の推進状況 ( 平成 28 年中 ) 回数 1,615 回 ( 前年比 -213 回 ) 人数 281,721 人 ( 前年比 -12,784 人 ) (4) 不審者情報や防犯対策について 自治体が発行する広報誌に掲 載したり ケーブルテレビで放映するなど あらゆる広報媒体を 活用した広報活動に努めました 4 児童虐待事案に対する迅速的確な対応 (1) 児童の安全確保を最優先とした対応の徹底 児童虐待事案を認知した場合は 児童の身体を直接確認 したり近隣住民から聞き込みを行うなどして虐待の有無等 を確認し 児童相談所に確実に通告しました 児童虐待事案の件数 ( 平成 28 年中の暫定値 ) 情報件数 2,569 件 ( 前年比 +741 件 ) 児童通告件数 2,37 件 ( 前年比 +726 件 ) (2) 県との連携による児童虐待事案への適切な対応の推進 増加する児童虐待事案に対し適切に対応するため 児童相談 - 2 -
所との立入調査訓練や合同研修を行い 連携の強化を図りました 実施項目 2 ストーカー 配偶者暴力事案等の被害者に対する迅速的確な対応 1 ストーカー 配偶者暴力事案等に対処するための体制の強化推進結果 2 (1) 県本部対処体制の強化 暴力団員等に係る人身安全関連事案に対する情報共有及び組織 的対応を図るために 人身安全関連事案の本部対処体制に刑事部 組織犯罪対策本部捜査第四課を編入して体制の強化を図りました (2) 人身安全対処班の体制強化 ストーカー事案や配偶者暴力事案等の人身安全関連事案の情報 を一元集約するとともに 署への指導 支援等を効果的に推進す るために 子ども女性安全対策課の捜査員 ( 人身安全対処班 ) を 増員するなど 対処体制の強化を図りました 2 積極的な事件検挙 ストーカー事案や配偶者暴力事案等の人身安全関連事案に対して 事案の危険性 切迫性等を的確に判断し あらゆる法令を駆使した 行為者の早期検挙 事件化できない場合の適切な指導 警告など 重大事案の防止措置の徹底に努めました 恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案の検挙状況 ( 平成 28 年中 ) ストーカー事案 113 件 ( 前年比 +26 件 ) 配偶者暴力事案 287 件 ( 前年比 +49 件 ) その他の男女間トラブル事案 183 件 ( 前年比 -25 件 ) ストーカー規制法に基づく警告及び禁止命令 ( 平成 28 年中 ) 警告 7 件 ( 前年比 -3 件 ) 禁止命令 3 件 ( 前年比 +1 件 ) 3 被害者等の保護対策の推進 (1) 危険性 切迫性の的確な判断 署が認知した人身安全関連事案情報については 子ども女性安 全対策課が一元集約するとともに 個々の事案の危険性 切迫性 を適切に判断し 署に指導助言を行うなど 適切な被害者等の保 護対策を推進しました 認知件数 ( 平成 28 年中 ) ストーカー事案 651 件 ( 前年比 +122 件 ) 配偶者暴力事案 3,311 件 ( 前年比 +584 件 ) その他男女間トラブル事案 6,23 件 ( 前年比 +385 件 ) (2) 緊急時における迅速な捜査員の派遣 - 3 -
人身安全関連事案のうち 危険性 切迫性が認められる事案に 対しては 人身安全対処班や既存捜査班を迅速に署へ派遣し 被 疑者の検挙 被害者や関係者の保護対策等を組織的に推進しました (3) 被害者の立場に立った保護対策の推進 ア被害者等に対し 防犯指導 関係機関の窓口や制度の教示 特定通報者登録や携帯用緊急通報装置の貸出しなどの保護対策 を推進しました 携帯用緊急通報装置貸出件数 ( 平成 28 年中 ) 延べ 141 件 ( 前年比 +14 件 ) イ被害者等の一時避難に対する支援や 県外に一時避難する場 合には 迅速に関係都道府県警察と連絡 調整を図り 被害者 等の安全確保に努めました 県間連絡実施件数 ( 平成 28 年中 ) 発信件数 1,13 件 ( 前年比 +225 件 ) 受信件数 882 件 ( 前年比 +233 件 ) ウストーカー 配偶者暴力事案の被害防止対策 制度 法令等 を掲載したリーフレットを2, 部作成したほか 日本語 英語 韓国語など 6 か国語版に編集して外国人被害者等への対 応に活用しました (4) 警察官の対処能力の向上 各署に対する巡回教養 学校教養等の機会を利用し 人身安全 関連事案に対する対処要領等 警察官の専門的能力の向上に努め ました 4 関係機関 団体等と連携した被害防止対策の実施 (1) 千葉県人身安全関連事案連絡会議の開催 ストーカー事案 配偶者暴力事案や高齢者虐待事案等に関する 情報や 犯罪予防 被害の拡大を防止するために 平成 28 年 5 月 知事部局 ( 関係部署 ) と警察による 千葉県人身安全関連事 案連絡会議 を開催し 情報共有と連携した取組について協議し ました ( 四半期ごとに開催予定 ) (2) ストーカー加害者に対する精神医学的 心理学的アプローチ ストーカー加害者の更生を図るため 新たな取組として 精神 科医師等と連携した医療措置を図る精神医学的 心理学的アプロ ーチ施策を推進しました (3) 広報啓発活動の推進 ストーカー事案や配偶者暴力事案等における女性被害が多いこ とから これらを予防するために各種防犯講話 講習会 防犯キ - 4 -
ャンペーン 女性に対する暴力をなくす運動 (11 月 ) 等を活用 した啓発活動のほか 県警ホームページ 報道機関等 あらゆる 広報媒体を活用して 被害にあわないための広報啓発活動を推進 しました 実施項目 3 高齢者の安全安心の確保 1 官民一体の取組推進結果 3 (1) 各種事業者等との連携 高齢者と接する機会の多い各種事業者等と 高齢者の安全 安 心を確保するための各種取組に関する覚書を締結し 連携して広 報啓発活動等の諸対策を推進しました (2) 千葉県安全安心まちづくり推進協議会高齢者対策部会の開催 高齢者問題に取り組む関係機関 団体で構成する千葉県安全安 心まちづくり推進協議会高齢者対策部会を開催し 高齢者の犯罪 被害防止 交通事故防止 災害対策などの諸問題における情報の 共有と連携強化を図りました 2 犯罪被害防止対策の推進 (1) 広報啓発活動の推進 アあらゆる機会を捉えた防犯講話や 戸別訪問活動などを通じ て高齢者と面接しての防犯指導に努めました イ高齢者を狙った電話 de 詐欺や悪質商法等に対する防犯意識 の高揚を図るため 関係機関 団体と協働による被害防止キャ ンペーンや ちば安全 安心メール Yahoo! 防災速報 など各種広報媒体を活用した広報啓発活動を推進しました (2) 電話 de 詐欺対策の推進 ア認知状況 平成 28 年における 電話 de 詐欺 の認知件数は 1,14 件 ( 前年比 +133 件 ) と前年に比べ約 13.7% 増加し 被 害額は約 23 億 3 千万円 ( 前年比 - 約 7 億円 ) と前年に比べて 約 23.1% 減少しました また 電話 de 詐欺被害者は約 8 割が 65 歳以上の高齢者となっています イ電話 de 詐欺に対する抵抗力の強化 電話 de 詐欺 悪質商法被害防止コールセンター による 注意喚起 NTT 電話帳及び押収名簿等を基に 平成 28 年中に 約 23 万世帯に対して 電話 de 詐欺の最新手口を伝え 注意 を呼びかける注意架電を実施しました - 5 -
啓発用 DVD の制作 被害の実態に即した手口や被害防止のポイントをわかりやす く ドラマ形式で盛り込んだ啓発用 DVD を制作し 関係機関 団体に配布するなど 社会全体で被害を防止する気運の醸成 に努めました ウ未然防止対策の推進 金融機関における声掛け強化 高齢者による高額取引の際の通報基準を定めた 金融機関声 掛けマニュアル に基づく 金融機関窓口での積極的な声掛け と警察への通報など 金融機関と連携した水際対策を推進しま した 無人 ATM 等における警戒強化 還付金等詐欺多発地域において警察官による無人 ATM の警 戒強化のほか コンビニエンス ストア等の ATM 設置場所管 理者に対して高齢者が携帯電話で話しながら画面操作をしてい る際の声掛けと警察への通報等を依頼しました 金融機関等における未然防止件数 ( 平成 28 年中 ) 722 件 ( 前年比 + 161 件 ) 3 高齢者の社会参加の促進 (1) 防犯ボランティア活動の支援 高齢者の社会参加意識を醸成するため 防犯パトロール隊など による防犯ボランティア活動の積極的な支援と活性化を図り 高 齢者が参加しやすい環境づくりに努めました (2) 関係団体との協働した活動 高齢者で構成する劇団と警察署が協働し 電話 de 詐欺の被害 防止を寸劇で訴えるなど 高齢者自らが犯罪被害防止に参画する 活動を推進しました 4 高齢者虐待事案への迅速的確な対応 (1) 高齢者虐待事案に対しては 積極的な事件化や行為者に対する 指導警告 被害者の一時避難への支援等の保護対策を推進しまし た 高齢者虐待事案の検挙及び指導警告状況 ( 平成 28 年中 ) 検挙件数 86 件 ( 前年比 +44 件 ) 指導警告件数 592 件 ( 前年比 +284 件 ) (2) 高齢者虐待事案又はその疑いがある事案に対しては 市区町村 の担当部署に確実に通報するとともに 市区町村から援助要請を 受けた際には 連携して迅速的確な被害防止対策を推進しました - 6 -
実績 ( 成果 ) 実績 ( 成果 ) 指標 市町村への通報件数等 ( 平成 28 年中 ) 市町村への通報件数 89 件 ( 前年比 +346 件 ) 市町村からの援助要請の対応件数 6 件 ( 前年比 +5 件 ) 各部門の連携を強化し 子供や女性を対象とした前兆事案や人身安全関連事案の行為者を多数検挙したほか 関係機関 団体と連携し 子供や女性を対象とした被害防止教育や 高齢者を対象とした防犯指導等の犯罪被害防止対策に取り組みました 前兆事案検挙及び指導警告件数 8 7 715 734 6 646 5 4 474 43 3 344 2 1 指導警告 検挙 児童虐待事案の情報件数及び通告件数 3, 2,5 2,569 2, 1,642 1,828 2,37 1,5 1, 1,324 1,644 5 情報 通告 - 7 -
恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案検挙件数 35 3 25 287 2 242 238 28 15 168 183 1 113 5 8 87 配偶者暴力男女間トラブルストーカー 高齢者虐待事案検挙及び通報件数 8 89 1 8 6 4 383 463 6 4 2 5 42 86 検挙 通報 2 3, 29, 28, 27, 26, 25, 被害防止教育の推進状況 ( 人 ) 294,55 ( 回 ) 284,13 281,721 1,596 1,828 1,615 回数参加人数 2, 1,8 1,6 1,4 1,2 1, 8-8 -
1,3 1,2 1,1 1, 9 8 7 6 5 4 3 2 1 1,135 89.4% 115 被害額約 47 億 1 千万円 電話 de 詐欺の発生状況 971 85.% 84.6% 825 被害額約 3 億 4 千万円 1,14 934 被害額約 23 億 3 千万円 発生件数 65 歳以上被害 65 歳以上比率 1% 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% % 参考指標 刑法犯認知件数及び高齢者の犯罪被害の推移 前兆事案の認知状況 6, 5, 4, 3, 4,79 4,3 5,278 5,271 5,151 2, 1, 1,148 555 668 726 7 H24 H25 13 歳以上 13 歳未満 - 9 -
恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案認知状況 7, 6, 5,845 6,23 5, 4, 3,547 3,557 4,14 3, 2, 1, 3,311 2,235 2,727 2,354 1,894 971 55 6 529 651 H24 H25 男女間トラフ ル配偶者暴力ストーカー 児童虐待事案の状況 効 果 1 前兆事案情報の分析結果を捜査等に効果的に活用し 連続発生し ていた事案の被疑者を検挙するなど 多くの事案を解決しました 2 よくし隊レディ あおぼーし の防犯講話を受講した女性から 性 犯罪 ストーカー等の危険性や注意点が良く分かった 万一の 時には学んだことを生かして身を守りたい などの反響があり 防犯意識の高揚が図られました 3 ストーカー事案 配偶者暴力事案 児童虐待事案等の人身安全関 連事案に対しては事案の危険性 切迫性を的確に判断し 迅速な事 件化や関係機関と連携した被害者の保護対策等を推進して 重大事 案への発展を未然に防止しました 4 警察と関係機関 団体 企業 地域住民が一体となって電話 de 詐欺対策を推進した結果 被害額を減少させたほか 金融機関によ る未然防止対策が浸透し 前年より未然防止件数が増加するなど - 1 -
一定の成果がありました 今後の課題 子供や女性に対する性的犯罪やストーカー事案 配偶者暴力事案 及び 方 針児童虐待事案等の人身安全関連事案や 高齢者が被害にあう電話 de 詐欺は 県民の身近で起こり得る犯罪であり 治安に関する県民意識に直結するものであります 県警では これら犯罪等に対し 迅速な検挙措置や被害者の保護対策を講じるとともに タイムリーな情報発信 関係機関 団体等と連携した被害防止教育や広報啓発活動 自主防犯活動への積極的な支援などを行い 官民一体となった総合的な被害防止対策を推進して 県民が安全で安心できる社会づくりの実現を目指します 施策主管課生活安全部子ども女性安全対策課及び生活安全部生活安全総務課 政策評価担当課生活安全部生活安全総務課 - 11 -