ロジックモデル作成ガイド
目次 用語... 2 1.... 2 2. ロジックモデル... 2 ロジックモデルの作り方... 4 1. 最終の検討... 5 2. 中間 初期の検討... 6 3. 具体的な事業内容の検討... 7 4. ロジックモデルが完成したら... 8 参考 : ロジックモデルの例... 9 1. 学習支援事業におけるロジックモデルの例... 9 2. 就労支援事業におけるロジックモデルの例... 10 1
用語 Point 事業や組織が生み出すことを目的としている変化 効果は ロジックモデルは 事業や組織が最終的に目指す変化 効果 の実現に向けた 事業の設計図 1. 通常 事業や組織はヒト モノ カネといった資源を使って様々なを行い モノ サービス を生み出すことで モノ サービスの利用者やより広く社会の課題解決といった変化 効果を目的 としています こうした事業の流れは次のように図示することができます 図表 1 事業の流れ ヒト モノ カネ 就労支援 事業の例 就労支援プログラム の実施に必要な 講師 研修教材 就労支援プログ ラムの開発 モノ サービス 変化 効果 就労支援プログ ラムの提供 就労に必要な スキルの習得 プログラム参加 者の募集 等 就労意欲の 研修場所 等 継続的な就労の 実現 本ガイドでは 事業や組織が生み出すことを目的としている変化 効果を その 変化 効果を生み出すために提供するモノ サービスを モノ サービスを提供 するために行う諸を その諸を行うために使う資源を と呼びま す なお 一般的に は 社会的インパクト と呼ばれることもあります 2. ロジックモデル ロジックモデルとは 事業や組織が最終的に目指す変化 効果の実現に向けた道筋を体系的に図 2
示化したもので 事業の設計図に例えられます 1 事業が どのような道筋で目的を達成しようと しているのかの仮説を示したもの ないし戦略を示したもの とも言えます ロジックモデルは一 般的に 既に説明した を矢印でつなげたツリー型で 表現されます 2 図表 2 ロジックモデルの構造 最終 事業により達成したい状況 最終実現のために 達成したい目的 中間実現のための手段 初期実現のための 具体的な事業内容 中間 中間 初期 初期 初期 1 三菱 UFJ リサーチ コンサルティング株式会社 2016 社会的インパクト評価に関する調査研究最終報告書 P.35 2 後房雄 藤岡喜美子 2016 稼ぐ NPO カナリアコミュニケーションズ 3
ロジックモデルの作り方 ロジックモデルの作成は 事業により最終的に達成したい状況 最終 の検討から はじめることが原則です その上で その最終的に達成したい状況を実現するためには何が必要 か という観点から逆算して中間 初期 や そのために 必要な資源を検討します ロジックモデル作成の流れは以下に示したとおりです 図表 3 ロジックモデル作成の流れ 1 検討 内容 2 3 最終の 検討 中間 初期の 検討 具体的な事業内容の 検討 事業がめざす 期待してい る 社会課題が改善された状 態は何だろうか 最終に貢献するた めに達成したいことは何だろ うか 中間 初期を達成 するための事業内容はどうあ るべきか 誰の どういった課題の解決 を目指しているのか どういったサービスを提供す る必要があるのか 誰に どういった価値の提供 を目指しているのか そのサービスを提供するため にはどういった資源が必要か 以降では 身近な例として 仮想のプロジェクト ダイエット プロジェクト を題材にしな がら各ステップを具体的に説明します 3 3 ダイエットを題材として取り上げることは 日本財団の価値観を反映しているものではありません 4
1. 最終の検討 Point 事業により最終的に達成したい状況 を考える 事業の背景にある問題意識 誰の どんな問題を解決したいのか を具体的に突き詰める ことがポイント ロジックモデルの作成は 事業により最終的に達成したい状況である 最終 を検討 することからはじめます 最終を検討する際のポイントは 事業の背景にある問題意識 誰の どんな問題を解決したいのか を具体的に突き詰めて考えることがポイントです ダイエット プロジェクトですので プロジェクトが目指す直接的な目的は 体重を減らす で しょう ただし 最終の検討として考えなければならないのは 何のために体重を減 らすのか ということです ダイエット プロジェクトに取り組む人が抱える問題によっては 生活習慣病を予防するため かもしれませんし 異性にモテるため かもしれません 図表 4 最終の検討 ダイエット プロジェクトの例 最終 中間 初期 具体的な事業内容 / 5
2. 中間 初期の検討 Point 最終的を実現するためには何が必要か を考える 想定している事業に限らず網羅的に洗い出すことがポイント 最終が決まったあとは その最終を実現するために達成したい目的を考え ます ここで重要なのは 現在考えている事業にこだわらず 最終の実現に貢献しうる を網羅的に洗い出しておくことです ダイエット プロジェクトでは もちろん 体重 を減らす というのが 1 つの中間と考えられます しかし 異性にモテる ためには 必要なのは 体重を減らすこと だけでしょうか さらに言えば 体重といったような 外見 に関連することだけ考えれば良いのでしょうか こう考えると 他にも おしゃれになる や 内 面の魅力が増す といったようなも出てくるでしょう さらに中間を実現するために何が必要か という観点で掘り下げます この際にも出 来るだけ 漏れなくダブりなく洗い出すことがポイントです ダイエット プロジェクトの例で は 体重を減らすためには何が必要か を考えます 体重を減らすためには 摂取カロリーを 減らす こと そして 消費カロリーを増やす ことが考えられます さらにカロリーの消費は 基礎代謝4 と 生活代謝5 に分けられることから それぞれに打ち手が考えられます 図表 5 中間 初期の検討 ダイエット プロジェクトの例 異性にモテる ようになる 最終 中間 初期 体重を 減らす 具体的な事業内容 / 4 基礎代謝とは生命を維持するために消費されるエネルギーのこと 例えば 心臓を動かしたり何もせずに横たわってい る状態でも消費されるエネルギーを指します 5 代謝とは運動や仕事といった日常生活の中で体を動かすことで消費されるエネルギーのこと 6
3. 具体的な事業内容の検討 Point 初期を実現するために 誰に どんなサービス を どう提供するか を考 える 常に目的を考えた上で網羅的に洗い出すことがポイント 具体的なを考え予算をしっかり洗い出す 自団体の事業だけでは達成できないがあるときには連携を検討 初期まで固まってきたら 次はその初期を実現するためにどのような事業 を行うかを考えます 具体的には 誰に どんなサービス を どう提供するか を考えま す この際 常にその上位の目的を念頭におき その目的の実現に貢献するかを問いながら検討す ることが重要です このようにして具体的な事業が決まってくれば その実施に必要な資源を検討 し 事業の予算も検討します なお 既に事業を実施している場合は このステップでこれまで実施してきた事業が 上位の目 的と照らして適切かを検討します もし 最終から逆算して考えてきた事業と現在実施 している事業にギャップがある場合は 事業内容の修正も検討しましょう さらに 最終から逆算して考えると 自団体の事業だけではその実現に十分でないこ ともあるかもしれません その際は 自団体の事業を拡張するのも 1 つの選択肢かもしれませんが が 行政や企業を含む 他組織との連携を検討することも重要です 図表 6 具体的な事業内容の検討 ダイエット プロジェクトの例 異性にモテる ようになる 最終 体重を 減らす おしゃれに なる 摂取カロリー を減らす 生活代謝 を高める 基礎代謝を 高める 晩酌を 減らす 日々の歩数を 増やす 筋肉量を 増やす 中間 初期 具体的な事業内容 / 7 内面の魅力を 高める
4. ロジックモデルが完成したら Point 縦のロジック と 横のロジック をチェック ロジックモデルはあくまで仮説 事業を実施しながら必要に応じて改善してゆくもの ロジックモデルが作成できたら 縦のロジック と 横のロジック を確認しましょう 縦 のロジック は 具体的な事業内容から初期 中間 最終の流れ が 手段 目的の因果関係にきちんとなっているかどうかを確認します 横のロジック は具体 的な事業内容や初期 中間それぞれの階層において 上位の目的を達成する ための手段が漏れなく洗い出されているかを確認します 図表 7 ロジックモデル作成後のチェックポイント ダイエット プロジェクトの例 異性にモテる ようになる 最終 体重を 減らす おしゃれに なる 摂取カロリー を減らす 生活代謝 を高める 基礎代謝を 高める 晩酌を 減らす 日々の歩数を 増やす 筋肉量を 増やす 中間 初期 具体的な事業内容 / 内面の魅力を 高める こうして作成したロジックモデルは論理的に考えて作成したあくまで 仮説 です 事業を実施 する中で 思ったように狙った変化 効果が出ないこともあるかもしれません そうした場合は 積極的にロジックモデルの内容を見直しましょう 8
参考 ロジックモデルの例 1. 学習支援事業におけるロジックモデルの例 教員 教員研修の 実施 学習指導 サービス 指導実施のための 教材/教室 指導プログラム の作成 学習意欲の 行政と連携した 対象者の 抽出 参加勧奨 学習習慣の 定着 大学生 ボランティア 大学生 ボランティアの 募集 選考 相談支援 専門家 相談支援に 関する研修実施 学習 進路 相談サービス 初期 中間 学力の 自己肯定感 の 進学率の 将来への意欲 の 出所 G8 社会的インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会 2016 社会的インパクト評価ツールセット 教育 を参考に作成 9 最終 貧困が世代間 連鎖しない社会
2. 就労支援事業におけるロジックモデルの例 初期 ケースワーカー 指導プログラム の作成 就労支援 サービス 就労意識の 指導員 指導員の 育成 就労に必要な 知識や技能の 習得 指導実施場所 行政と連携した 対象者の 抽出 参加勧奨 生活習慣の 改善 中間 一般就労 中間的就労 コミュニケーション 能力の 自己肯定感の 出所 G8 社会的インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会 2016 社会的インパクト評価ツールセット 就労支援 を参考に作成 10 最終 就労状態の定着 経済的自立