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Transcription:

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社はエアコンの高効率化のための研究開発を加速した 例えば熱交換器や圧縮機 さらにモータなど部品の効率改善はもちろん 吹出風量および伝熱面積の増大やインバータの搭載による ヒートポンプの 温度差 ( 温度リフト : 熱落差 ) の低減 による効率改善が行われた ここでは 温度リフトの低減について簡単に説明する 最近の省エネタイプのルームエアコンでは室内機が厚くなってきている ( 一部に運転時のみ厚くなるものもある ) 実は最近の省エネエアコンは熱交換器の伝熱面積が大きくなってきており 15 年前の2 倍程度となっている また これに合わせて吹出風量も大きくなっている 図 2に示すように伝熱量が同じ場合 風量を2 倍とすると 出入り口の温度差が半分で済むことになり 冷房時を例に取ると室内機の熱交換器の温度を高くすることができる 室外機についても同様に熱交換器の温度を低くすることができるので 温度リフト ( 熱落差 ) が小さくなる また図 3に示すようにインバータを搭載したことで圧縮機の回転数 ( 周波数 ) を任意に調整できるようになり 熱負荷が小さい場合に回転数を抑え 温度リフトを小さくすることもできるようになった 従来は JIS 条件 ( 室内側 DB:27 WB:19 室外側 DB:35 WB:24 ) で 蒸発温度 ( 室内機における冷媒の蒸発温度 ) が5 程度 凝縮温度 ( 室外機における冷媒の凝縮温度 ) が 50 程度であり 両者の差の温度リフト ( 熱落差 ) が 45 程度であったものが 伝熱面積 ( 風量 ) の増加などにより 例えば定格能力の条件で蒸発温度 13 凝縮温度 42 と 温度リフトが 29 程度に減少するとともに さらに インバータの搭載により中間 1. 伝熱面積 ( 風量 ) の増加 15 年前の2 倍図 2 伝熱面積 ( 風量 ) と蒸発温度の関係 2. インバータの搭載 部分負荷時の温度差縮小図 3 インバータの搭載と蒸発温度の関係 蒸発温度 凝縮温度 50 42 38 19 19 45 13 現在 15 年前 5 ( 中間能力 ) (DB27 WB19 ) (DB35 WB24 ) 図 4 蒸発温度と凝縮温度の15 年前との比較 能力時には例えば蒸発温度 19 凝縮温度 38 と温度リフトは 19 程度まで低減されている ( 図 4 参照 ) c) 温度リフト ( 熱落差 ) と効率 ヒートポンプ ( 冷凍機 ) の熱力学的な理論効率は図 5に示す逆カルノーサイクルの効率で示される 図 5 中の式は冷房運転での理論効率を示す式であり分子 が蒸発温度となっているが 暖房の場合は分子が凝縮温度となる 従来のエアコンの蒸発温度と凝縮温度がそれ 蒸発温度 ( 内機 )[K] 凝縮温度 ( 外機 )[K] - 蒸発温度 ( 内機 )[K] ぞれ5 50 の場合 理論効率は 6.2 となるが 温度リフトの減少とともに 理論効率が高くなる 5-50 278.15 / (323.15-278.15) = 6.2 例えば 蒸発温度と凝縮温度がそれぞれ 19 38 ( 従来機 ) 実機 の場合 理論効率は従来の 2.5 倍の値を示すことになり 室内を同じだけ冷やす場合の電気代は理論的には従来の 13-42 286.15 / (315.15-286.15) = 9.9 ( 省エネエアコン : 定格能力 ) 5.2 40% で済むことになる 図 5に示した値は熱力学的な理論値であり 実際には冷媒サイクルに関連した損失や インバータ モータな 19-38 292.15 / (311.15-292.15) = 15.4 6.3 ( 省エネエアコン : 中間能力 ) 図 5 逆カルノーサイクルの効率 どでの損失などがあるので 理論効率より低い効率になる また エアコンの効率を表すために使われ

ているエネルギー消費効率 (CP) は冷房や暖房能力を消費電力で除した値であり その消費電力には送風ファンでの電力 ( 全消費電力の2~3 割程度 ) も含まれているため 実際のCPの値は図中の理論的な効率よりさらに小さな値となる このように 熱交換器や圧縮機など個々の要素機器の効率改善と並んで 伝熱面積や風量の増加やインバータの搭載などによりエアコンの冷房 CPは大幅に向上した しかしこれに伴って新たな問題が発生した 8.0 乾き空気 1kgあたり 7.0 2.2 CP 向上と除湿不足との関係 6.0 a) 蒸発温度と除湿量 5.0 例えば 27 60% の空気を冷却した場合の除湿量は 図 4.0 6に示すように 18 前後を境として それ以下では除湿 3.0 量が急激に増加することになる 従来の5 程度の蒸発 2.0 1.0 温度ではかなりの除湿量が得られていたが 現在のよう 0.0 に冷房での効率化のため蒸発温度が高くなったエアコン 5 10 15 20 25 30 では冷房運転時の除湿が期待できない 温度 [ ] 図 6 27 60% の空気を冷却した場合の除湿量 b) 建物の断熱化と室内湿度 一方近年 省エネ住宅として高気密高断熱住宅が多く建設されている 高断熱住宅では壁や窓などか らの熱の侵入が抑えられ 熱負荷の内でも顕熱負荷を大幅に抑えることができる このような住宅では 一般に室内の温度調節をエアコンが行うが 顕熱負荷が小さくなるとエアコンでの消費電力を抑えるこ とができる このように高気密高断熱住宅はエネルギー消費の面で優れているが 一方で室内の湿度が 高くなりやすい問題点が指摘されている 冷暖房 CPの高いエアコンで顕熱負荷の小さな高気密高断熱住宅の冷房を行う場合 インバータにより圧縮機の回転数が低い値に押さえられて温度リフトが小さくなるため 効率の良い運転となる 一方 蒸発温度が高い値となるため 先に示したように除湿量が減少して室内が高湿度になる 風量を絞る 吹出空気温度低下熱交換器で結露潜熱 ( 除湿 ) 処理量増加 このように エアコンの高効率化と建物の高気密高断熱化に伴い 冷房時の室内の相対湿度が従来よりも高くなり 除湿ニーズも大きくなってきた 吹出口から冷たい風 足元が寒い 冷える図 7 ドライ ( 弱冷房 ) 運転 凝縮量 [ g ] 2.3 エアコンの除湿運転 吸込空気 (RA) 10 年ほど前まではエアコンでの除湿といえば図 7に示すドライ方式 ( 弱冷房方式 ) が一般的だった これは 風量を絞った冷房運転であり 風量を絞ることで 室内機の熱交換器と接触した空気の温度をなるべく低くして 熱処理時の顕熱比を小さくする除湿方法である ただし ゆっくり吐き出された冷たい空気は床面にたまりやすく 足元が冷える 室温が下がる などの問題点があった そこで最近 よく用いられるようになったのが図 8に示す再熱除湿方式 ( 熱リサイクル方式 ) と呼ばれる方法である この方法では 室内機の熱交換器に低温部分と 高温部分をつくり 低温部分で結露 除湿した空気と 暖 冷 1/3~1/2 2/3~1/2 露点以下に冷やす 熱交換器で結露 吹出空気 (SA) 吹出空気の相対湿度低下 冷えない除湿実現 図 8 再熱除湿運転 暖める

高温部分で温めた空気を混ぜ合わせることで 吹出空気の相対湿度を低下させ冷えない除湿を実現できる このように 以前よく用いられていましたドライ方式での 足元が冷える 除湿量を大きくしようとすると室温が低下する などの問題点に対して 再熱方式では 室温を下げずに除湿できる ため快適性が向上し エアコンによる本格除湿が可能となった 再熱除湿の仕組み再熱除湿のためには 室内機の熱交換器の一部を低温に 一部を高温にする必要があるが 図 9のように 室内機の熱交換器での冷媒流路に膨張弁を設置し 圧縮機から膨張弁までを高温に 膨張弁から圧縮機までを低温にすることで実現している なお 冷房が目的の場合 室内機内の熱交換器の高温部分は不要になるので 室外機に取り付けてある従来からの膨張弁を作動させることで 室内機の熱交換器全体を低温にする 2.4 再熱除湿運転の効率と消費電力 a) 消費電力の測定例 2000 年夏 外気の温湿度がほぼ同じ条件の日に冷房運転と除湿運転を行った場合の消費電力の経時変化の一例を図 10に示す 冷房運転ではお昼頃の熱負荷の増大に伴い消費電力が増加するが 除湿運転では常に大きな値を示していることがわかる このように冷房運転に比較して除湿 ( 再熱除湿 ) 運転では消費電力が大きくなる 消費電力 [W] 800 700 600 500 室内機 再熱交換器 膨張弁 圧縮機 室外機 図 9 エアコン再熱除湿運転のしくみ 再熱除湿 400 300 200 冷房 100 2.2kW 機 :2000 年夏 0 0 6 12 18 24 時刻 [ 時 ] 図 10 冷房運転と除湿運転での消費電力 b) 再熱除湿の効率ルームエアコンのカタログからも除湿運転での効率を求めることができる 右図は 15 年前にエアコンの再熱除湿運転を開発した H 社の 2007 年 11 月 2 日のホームページの表示内容である データが示されたエアコンは 4.0kW 機であり 14 畳程度の広めの部屋に対応する 除湿運転での性能評価には ( 社 ) 日本冷凍空調工業会の基準が使われ 図 11に示すように 外気 24 80% 室内 24 60% の条件で吹出温度 24 で除湿運転した場合の除湿量と消費電力が求められている なお 室内 24 で吹出 24 なので顕熱処理を行わず 潜熱処理 ( 除湿 ) のみの値となる この機種の場合 除湿量が 1,500ml/h であるので 24 での蒸発潜熱を乗じると潜熱処理量が 1,013W となり これを消費電力 600W で除した値を除湿 CP とすれば その値は 1.70 となる 2007 年 11 月 2 日 条件 :( 社 ) 日本冷凍空調工業会基準 RAS-X40W2 室外温度 24 湿度 80% 室内温度 24 湿度 60% の恒温室で連続運転 消費電力 600W 除湿量 1,500ml/h 吹き出し温度 24 http://kadenfan.hitachi.co.jp/ra/aircon/xseries/07_joshitsu.html 24 での蒸発潜熱 :2442J/g 除湿量 :1,500ml/h 潜熱処理量 :1,013W 顕熱処理量 : 0W 消費電力 :600W 熱処理量 :1,013W 除湿 CP:1.70 顕熱処理量 0kWのとき 潜熱処理量 / 消費電力と定義した場合図 11 再熱除湿の効率 ( カタログより )

なお この機種の冷房定格条件での冷房能力は 4,000W 消費電力は 785W であるので CP は 冷房 CP:5.10 除湿 CP:1.70 4,000/785=5.10 となる 従って図 12に示すように冷房運転に比較して除湿運転の CP は 1/3 程度であり 同じ熱処理量に対する消 同じ熱処理量 ( 能力 ) に対する消費電力 :3 倍図 12 除湿運転と冷房運転の効率 費電力は冷房運転の3 倍程度となり 極めて効率が低下することがカタログ上からもわかる 快適性や健康のために 冷房運転より除湿運転が好んで利用され さらに除湿運転が冷房運転より省 エネと誤解されている場合も多い現状もある C2 削減の意味からも省エネ除湿技術が求められている 3. 調湿技術の動向 3.1 除湿方法の種類空調に用いられる主な除湿方法を図 13に示す 最も一般的なのが空気を露点以下に冷やす冷却減湿方式であり エアコンに利用されている また 北陸地方では冬期に吸着剤ロータを搭載した除湿機が好んで使われており この方式を吸着減湿方式と呼ぶ このほか 産業用には塩化リチウム水溶液などの吸収液を用いた吸収減湿方式があり さらに 空気を直接圧縮して 全圧を高めることで空気中の水蒸気圧を飽和状態とし 結露除去させる圧縮減湿方式もある なお 吸着式減湿を乾式デシカント除湿 吸収式減湿を湿式デシカント除湿とも呼ぶ 冷却減湿方法露点以下まで冷却し 水分を結露 除去 吸着減湿方法固体吸着剤による水蒸気の吸着 吸収減湿方法 CaCl 2 LiCl 水溶液などによる水蒸気の吸収 圧縮減湿方法デシカント除湿全圧を高めることで 飽和湿度を減少図 13 空調に利用される除湿方法 3.2 加湿方式の分類空調に用いられる主な加湿方法を図 14に示す 蒸気吹き出し方式は蒸気を被処理空気に吹き出して空気に吸収させることで加湿する方式 水噴霧方式は水を霧状に吹き出して被処理空気を加湿する方式 また 気化方式は水と空気との接触面を多くして接触面で水を気化させて加湿する方式である いずれの方式も水道水やイオン交換水あるいは純水など 水を直接気化させる加湿方式であり 従来から実績の多い加湿方式である これに対してデシカント加湿方式は 吸放湿材に吸湿された水分を被処理空気に放湿させることで加湿する方式である 蒸気吹き出し方法蒸気を被処理空気に吹き出して空気に吸収 水噴霧方法水を霧状に吹き出して被処理空気を加湿 気化方法水と空気との接触面を多くして接触面で水を気化 デシカント加湿方法吸放湿材に吸湿された水分を被処理空気に放湿図 14 空調に利用される加湿方法 4 調湿技術の動向ここではビルや住宅で主に利用される冷却除湿技術およびデシカント除湿 加湿技術について著者が把握している範囲で動向を概説する 4.1 冷却除湿技術の動向 2.3 に示した再熱除湿の場合 暖めた空気が再び室内機に入ると露点以下まで冷却するのに必要な動力が増加するため 冷房運転に比較して効率が低下し消費電力が大きくなる欠点がある そこで最近では 図 15に示すように弱冷房方式による除湿と再熱除湿方式による除湿 冷房 CP:5.10 除湿 CP:1.70 同じ熱処理量 ( 能力 ) に対する消費電力 :3 倍弱冷房方式と再熱除湿方式の組み合わせ図 15 除湿運転の省エネ化

とを自動的に切り替えることで 冷えすぎを防止しつつ消費電力を抑える試みがなされ そのソフトがエアコンに搭載されるようになった 4.2 デシカント除湿 加湿技術の動向吸湿材として吸着材を用いた乾式デシカント除湿装置や加湿装置は産業用から住宅用まで幅広い分野で利用されつつある 吸湿材を再生するための熱源としては 電気ヒータによる発熱を用いるもの コジェネレーションやガスエンジンなどの排熱を用いるものなどが実用化され さらに太陽熱のような自然エネルギーを熱源としたものの研究開発も進められている ( 図 16 参照 ) デシカント除湿 加湿技術の主な動向は図 17に示すように1 再生熱源の低温化と2 電気式ヒートポンプを組み込んだハイブリット化と考えられる a) 再生熱源の低温化排熱の中でも 60 以下の低温排熱は利用価値が小さく そのまま捨てられやすい そこで低温排熱を再生用熱源とすることで省エネを図ったデシカント除湿あるいは加湿技術の開発が進められている デシカント除湿あるいは加湿では 吸湿材の湿気容量を利用して高湿側で吸湿 ( 除湿に利用 ) 低湿側で放湿 再生 ( 加湿に利用 ) を行うが 再生温度が低いと吸湿側と放湿側の相対湿度の差が小さくなるため除湿あるいは加湿能力が低下する そこで 湿気容量の大きい材料の開発が進められている 例えば図 18に示す高分子吸着材は飽和時の水分容量自体が従来の吸着材に比べて大きく どの相対湿度域でも平均的に大きな湿気容量を示す材料である また図 19に示す材料は飽和時の水分容量はそれほど大きくないものの低温で再生する際の相対湿度の変化領域で湿気容量が大きくなるように調整したものなどが用いられている これらは材料の湿気容量を大きくする取り組みであるが 吸放湿速度を高めるために吸湿材を微細粒状化する取り組みも行われている 一方 再生熱源の低温化に対応するためのプロセス側のアプローチも行われており 1 段目のデシカントユニットで得られた空気を2 段目でさらに乾燥させる多段除湿型プロセスの他 吸着熱を除去して吸湿側の温度上昇を抑え 再生 ( 放湿 ) 側との温度差および相対湿度差の低下を防ぐ技術の開発も進められている 40 60 80 100 120 160 200 240 280 o C 固体高分子形燃料電池ガスタービンガスエンジン 太陽熱 デシカント空調 ( 現状 ) 図 16 デシカント除湿作動温度域と各種熱源温度 再生熱源への排熱利用マイクロガスタービン ガスエンジン 固体高分子燃料電池などの排熱 再生熱源への自然エネルギー利用太陽熱の利用 ( 特にヨーロッパ中心 ) 低温再生化 電気式ヒートポンプ(EHP) とのハイブリッド化吸着 再生用にEHPの冷熱 温熱出力を利用 EHPによる高効率運転 図 17 吸着減湿方式の動向 固体高分子材料の表面で水蒸気等の低分子蒸気が補足され さらに収着材自身が膨張を伴いながら 発生した隙間に低分子物質を取り込むことで 毛細管凝縮を起こす現象とされている 図 18 高分子収着材 図 19 空調湿度域で水分容量変化の大きな材料 b) 電気式ヒートポンプを組み込んだハイブリット化ヒートポンプの低温出力を利用して吸着側 ( 吸湿側 ) の温度を低くし 再生側と吸着側の温度差およ

び相対湿度差を大きくするシステムの開発も進んでおり 複数のメーカから上市されている 家庭用デシカント除湿機の場合 最近は図 20に示すように再生側の予熱にヒートポンプの高温側を利用して再生能力を高めるとともに 吸着側でも低温側の 電気ヒータ 電気ヒータ ヒートポンプ 冷熱を利用して空気を冷却し 吸着剤と接触する空気 の相対湿度を高めることで吸着能力を高めたハイブリ ットタイプが開発された 一方 オフィス用の調湿装置として 図 21に示す 松下電器 2007 年 / 夏除湿機 除湿乾燥機総合カタログより図 20 ハイブリット方式家庭用除湿機 ように電気式ヒートポンプ (EHP) の 40~60 程度 の熱を利用して再生する新たな乾式デシカントシステム も開発されている 先の家庭用ハイブリット除湿機と同 様 ヒートポンプの低温側を用いて 空気を冷却して相 対湿度を高めることで吸着を促進する これにより 40 程度の再生温度でも除湿を行い 冷房時の除湿の他 暖 房時の加湿を行うことができる この装置は 従来のデ シカント装置のように吸着剤がロータ状に形成されてこ れが回転することで連続的に吸着 再生を行う構造では http://www.daikinaircon.com/catalog/desika/01/index.html なく 2つの熱交換器に吹き付けられた吸着剤に対して 図 21 電気式ヒートポンプ駆動デシカント調湿機冷媒流路と風路をそれぞれ替えることで吸着と再生を 100 絶対湿度 交互に行うバッチタイプの構造となっており 通常の 90 1g/kg デシカント除湿機よりも低い温度での再生を実現して 80 1.5 70 2 いる 60 3 電気式ヒートポンプとのハイブリット化では再生用 50 5 40 7 に温熱出力をするだけではなく 吸着側に冷熱出力を 30 20 15 利用している 吸着剤は相対湿度が高いほど水分を吸 10 20 着し 相対湿度が低くなると脱着 ( 放湿 ) する 例え 0 30 0 10 20 30 40 50 60 70 80 50 温度 [ ] ば図 22に示すように 35 30% の空気を 13 まで図 22 EHP 冷熱利用による相対湿度の変化冷却すると相対湿度は 100% となる このように温度 10 を下げることで吸着量を増大させることができる 外気処理機として用いられるデシカント除湿 加湿装置は オフィスのように外気負荷が室内発湿負 荷よりも極めて大きな場合に威力を発揮する これに対して 例えば住宅など室内発湿負荷が大きい場 合には対応が難しくなる ( 社 ) 日本冷凍空調工業会の基準 : 外気 24 80% 室内 24 60% の条件で 一般的な除湿機の除湿 能力 200g/h(8 畳間に換算 ) を実現する場合を想定すると 8 畳間 (3.6 3.6 2.4=16m 3 ) において 0.5 回 /h の換気量の場合 1 時間あたり 16m 3 の空気が還除湿量 :200g/hの場合風量 :16m 3 /h 気として室内から排出されるが この空気中には水分が水分 :209g/h 24 209g 含まれている 一方室内には除湿負荷である 60% 200g/h の水分が発生する 室内への給気により室内に入 デシカント る水分量と負荷 200g/h の合計が還気による排出量 209g/h とならないと室内の湿度を一定に保つことがで 発生量 :200g/h 水分 :9g/h 2.7%(24 のとき ) きない 従って 図 23に示すように給気により室内に 図 23 外気処理で室内を24 60% に保つ場合 供給する水分を 9g/h とする必要があり 給気の温度を 24 とすると相対湿度 2.7% のからからの空気を 室内に供給する必要がある 24 80% の外気から 24 2.7% の空気を得るためには からからに乾いた 吸着剤で水分を除去する必要があり 40 の再生温度では実現できない 相対湿度 [%]

これはひとえに吸湿材と接触する風量が小さいことに起因している 風量が大きくなれば必要な除湿 量あるいは加湿量を得るための給気の絶対湿度をより現 実的な値に緩和することができる そこで 図 24に示すように 0.5 回 /h の換気量に比べて1 桁以上風量の大きなエアコンの吹出空気を利用する方法も検討されている これはエアコンの室内機および室外機内の熱交換器の下流に設置した吸湿材により吸湿および放湿を行うものである 室内機で吸湿した吸湿材 ダクトセントラル( 外気処理 ) 31m 3 0.5/h =16m 3 /h ルームエアコン 10m 3 /min =600m 3 /h 風量 :30~40 倍図 24 外気処理とエアコン吹出での風量の違い を室外機で再生させるなど 吸湿材を室内機 - 室外機間 24.0 LiCl 水溶液 24.0 で移動させる必要があるが 液体の吸湿材を用いると容 24.0,60.0% 60.0% 80.0% 11.2g/kg 18.5%,829g/h 易に移動できる 冷房定格能力 2.2kW のルームエアコン風量 14.9% に吸湿材として塩化リチウム水溶液を用いた湿式デシカ 10m 3 16.9 /min 1029g/h ント装置を搭載してエアコンを冷房運転した場合の計算 18.3,85.2%,11.2g/kg 結果を図 25に示す ここで 外気は 24 80% 室内は 24 60% であり 顕熱負荷 1000W 顕熱負荷 140W (200g/h) を仮定した 室内機の熱交換器では結露せず 19.0,79.5%,10.9g/kg 24 の場合 58.5% に相当 吸放湿材を通過する際に絶対湿度が 0.29g/kgDA と僅かであるが低下する 室内機吹出風量は 10m 3 /min (700kgDA/h) と大きいので両者を乗じた除湿量は約 水分発生量 200g/h 熱発生量 1000W 200g/h となる この時の室外機熱交換器と室内機熱交換器の温度差は 10 程度と小さく ルームエアコンを冷房 風量 30m 3 /min 図 25 塩化リチウム水溶液を用いた場合 運転するだけで要求された除湿量が 表 1 ケミカル調湿材料としての反応検索結果 得られることになる 反応系冷却温度再生温度塩化リチウム水溶液など液体吸湿 CuS 4 3H 2 + 2H 2 CuS 4 5H 2 29.2 39.8 材を用いる場合 キャリーオーバの CuS 4 + H 2 CuS 4 109.1 122.1 CuS 防止など新たな技術開発が必要とな 4 + 2H 2 CuS 4 3H 2 35.6 45.7 MgS 4 + H 2 MgS 4 7H 2 24.0 33.2 るが 冷媒の凝縮温度と蒸発温度の BaCl 2 + 2H 2 BaCl 2 34.7 45.9 Na 差が小さいエアコンの高効率運転時 2 C 3 + 9H 2 Na 2 C 3 10H 2 18.3 28.6 Na 2 HP 4 7H 2 + 5H 2 Na 2 HP 4 12H 2 17.8 27.8 でも十分な除湿量および加湿量が得 Na 2 HP 4 + 5H 2 Na 2 HP 4 7H 2 21.4 36.2 られる可能性があり 今後期待され ZnS 4 + H 2 ZnS 4 7H 2 20.7 30.2 ZnS る技術と考えられる 4 + 5H 2 ZnS 4 21.6 32.8 SrCl 2 + 4H 2 SrCl 2 35.1 45.9 SrCl H 2 2 + H 2 SrCl 2H 2 2 48.3 59.4 c) 新たな系の探索 Na 2 S 4 + 10H 2 Na 2 S 4 10H 2 17.4 27.5 湿式デシカントを用いた調湿技術 Ba(H) 2 + 7H 2 Ba(H) 2 8H 2 32.5 44.5 FeCl 2 + 2H 2 FeCl 2 4H 2 33.9 44.9 としては更なる効率化の検討もされ FeCl 2 + H 2 FeCl 2 82.0 95.7 CuCl CuCl ており 例えば表 1は広島大学にて 2 + 2H 2 2 55.2 66.3 CaS 4 + 0.5H 2 CaS 4 0.5H 2 99.7 114.0 検討されているケミカル調湿材の熱 (CH) 2 + 2H 2 (CH) 2 44.9 55.9 力学的検討結果の一例である 吸着 KAl(S 4 ) 2 + 6H 2 KAl(S 4 ) 2 12H 2 47.3 57.8 NH および吸収のみならず広く化学反応 4 Al(S 4 ) 2 + 6H 2 NH 4 Al(S 4 ) 2 12H 2 48.3 57.7 NaCH 3 C + 3H 2 NaCH 3 C 3H 2 32.3 42.9 を含め さらに成績係数についても LiBr CNQ + nh 2 LiBr AQ 濃度依存濃度依存 理論的に求めている Ca + H 2 Ca(H) 2 339.4 363.6 Mg + H 2 Mg(H) 2 171.1 184.4 参考文献三菱総合研究所 :NED エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発における戦略技術 ( 民生部門 ) に係る調査研究 (2003) 24.0,80.0%,15.0g/kg ΔT=10 26.6 26.1,70.5%,15.0g/kg 25.9,71.9%,15.1g/kg 24 の場合 80.5% に相当