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V-Log L モードを使う DVX200 は V-Log L と呼ばれる Log ガンマモードを搭載している これは 上位機種の VARICAM 35 が搭載する V-Log ガンマと同じであるが DVX200 の 12 ストップセンサーに合わせた設計になっている ユーザにとって V-Log L は 映像の後処理とグレーディングのための最も強力なツールである Log ガンマは センサーの未処理の輝度信号を保存する 1 つの手法である 魔法ではなく より容易な後処理を実現する保存方法なのである たとえば Log ガンマなら 最大幅のラチチュードとダイナミックレンジを維持し 後処理での明るさ調整の自由度を高め シャドウ ( 映像の暗部 ) の バンディング を最小限に抑えることができる V-Log L はただのガンマではない モード である SCENE FILE メニューには V-Log L ガンマ ではなく V-Log L モード と表示される メニューを見ていくと V-Log L モードを有効にすると SCENE FILE メニューの他のほぼすべての機能は無効になることが分かる V-Log L モードでは カメラがすべての内部処理を省略して カメラでとらえることができるセンサーの RAW 映像にできるだけ近い画を提供する Log ガンマは後処理能力の向上をもたらすが 対数スケールで表現した映像を見やすい画に処理できるかは ユーザ次第である センサーの RAW 映像は さまざまな画像処理を経て満足のいく画質が得られる センサーがとらえた RAW 映像は まずデベイヤー ( モザイクを除去 ) して リニアセンサーの RAW データをガンマ補正し モニター表示しやすくする必要がある また 見た目のよいコントラストとトーンにするためにグレーディングを行い ノイズの除去と輪郭の調整をしなければならない さらに通常は データを映像フォーマットに変換する必要がある (UHD または HDTV の場合 EBU 規格または ATSC 規格に対応させる必要がある ) 何とかしてこれらのすべての処理を行わなければならない V-Log L モードがオフのときは カメラが全部やってくれる ところが V-Log L モードをオンにすると カメラは必要最小限の処理を行うだけで あとは映像をデベイヤーし 線形の輝度信号を V-Log L ガンマに変換して EBU または ATSC 対応フォーマット ( 記録時 4:2:0 8bit 出力時 4:2:2 8bit または 4:2:2 10bit) で保存する その後 グレーディングに合ったフォーマットの映像が記録または出力されるが 大変なのはここからである カメラの内部処理を ( ほぼ ) すべて省略できる代わりに 後処理をしなければならない ある意味では カメラの SCENE FILE メニューを使うよりも V-Log L モードで撮影する方がはるかに簡単である その 1 つとして SCENE FILE メニューのさまざまな項目を覚える必要がない V-Log L モードではすべて使えなくなるのだから つまり 映像を 描く という作業を織り込む必要がないのだ その作業はすべて後処理に回される V-Log L での撮影は ホワイトバランスと露出を適切に調整さえすれば あとは撮るだけでよい しかし 映像処理は 撮影よりもはるかに作業が多い もし 普通のクライアントにグレーディングをしていない V-Log L 映像を渡したら きっとがっかりするだろう 表示できる映像にするためには 大がかりな処理が必要である プロのカラリストに頼むと 1 時間あたり数百ドルもかかることさえある V-Log L を使っても 全体の作業量が減るわけではない 作業を先延ばしにすることで 撮影者 ( またはデジタル映像技術者 ) の負荷を編集者やカラリストに分散させているのだ したがって 映画 ドラマ ミュージックビデオなどのように 膨大な後処理と色補正を行うことで最終的に 定型化した 映像を作る場合に V-Log L は最適であるといえる 一方 撮影後の大量かつ広範な編集作業を想定していない またはそのような作業が一般的ではない場合は V-Log L は賢明な選択ではないだろう たとえば スポーツ ライブ コンサート 大会 ニュース報道 生中継など マスター映像を編集せずにクライアントに提供する場合がこれにあてはまる また V-Log L は後処理に時

間がかかるため 撮影後 短時間で作業して納品したい場合にも不向きである たとえば 結婚式を撮影してその日のうちに編集 納品したいときに V-Log L では後処理した完成映像の納品が遅れてしまうという問題がある 撮影後の編集 RAW 映像 ( または V-Log L 映像 ) をモニターで表示可能な満足のいくものに変えるためには 極めて重要な画像処理がいくつかある 色補正とガンマ補正 ( 通常 S 字カーブを用いて モニターに映像を 表示 する ) が必要なのだが 厳密には 後処理は色とコントラストに関わるものではない これまでのセンサー画像は必ずノイズ除去が必要であり DVX200 も例外ではない 普通の映像処理であれば DVX200 内部でノイズは除去される また DVX200 は 輪郭調整やノイズ調整などのオプションもあるが V-Log L で記録する場合は これらの機能はすべて飛ばされてしまう 内部処理を省く V-Log L モードを選択するなら 記録された V-Log L 映像でノイズ除去をしなければならない さもないと 特にシャドウや暗めの中間調でノイズが発生する場合がある 同様に ビデオ映像処理に大変便利な輪郭調整については DVX200 は DETAIL CORNING などの機能を搭載しているが V-Log L モードを選択してこの機能を使わない場合 後処理で輪郭調整をしなければ やわらかい 画像になってしまう DVX200 は超解像技術を取り入れているが 映像を見て分かるくらい細部まで解像するためには ある程度エッジを強調 ( 輪郭を調整 ) する必要がある V-Log L での露出 V-Log L での露出は 通常のガンマカーブの場合とは若干異なる 多くのビデオカメラのガンマカーブは 肉眼で見た映像と同じものをモニターに表示 再現するように設計されている これは便利であるが 従来のビデオガンマでは維持できるダイナミックレンジが犠牲になってしまう また 設計上 ビデオガンマはより直線的であるため 最も暗いストップと比較して 最も明るいストップを保存するためにより多くの ビット が割り当てられる その結果 後処理で明るさを上げようとすると シャドウのバランスが崩れてノイズやバンディングが発生する可能性がある V-Log L ではより均等にビットが割り当てられるため 中間調とハイライトでほぼ同じ階調になる 最も暗いシャドウは中間調よりも階調が少ないが 従来のビデオガンマと比べればはるかに多い このようにビットを再配分する点で V-Log L は記録向きのモードといえるが 表示に関しては必ずしもそうとはいえない ビデオモニターに表示すると とても ぴったり には見えないのだ 非常に平坦で控えめな色調の画になる 前述のように V-Log L 映像をパソコンやテレビの画面で適切に表示するためには 後処理を加えて映像を変換する必要がある DVX200 のビデオガンマカーブとは異なり V-Log L は デジタルスキャンしたネガフィルムの特性を再現するような設計である モニタリングや露出を想定した設計ではなく 後処理で再現可能なワイドかつフラットなシーンを提供することが目的なのだ 後処理した映像をカメラのプレビューで確認できる Log ビューアシスト機能は 露出の設定に便利である ただし 典型的なビデオガンマと色調を V-Log 映像に適応する点は 必ずしも理想的な解決策とはいえない 後処理でどのようなグレーディングをしたいかが表現できていない可能性がある ほどほどのプレビュー映像が得られるはずだが グレーディングの段階でまったく違った編集を選択する可能性を考えると Log ビューアシストだけに頼るべきではない 代わりとなる方法にルックアップテーブル (LUT) があるが これはカメラで提供される機能ではない Convergent Design 社の Odyssey 7Q+ または同等の外部モニターなら

多くは LUT を使用可能であり 中にはユーザが作成した LUT を読込可能なものもある 後処理で使う LUT が分かっているなら モニターに読み込むことではるかに見た目のよい映像を使って映像制作を進めることができる V-Log L 映像の露出補正には ゼブラ 波形モニター ヒストグラムを活用できる ( するべきである ) が ビデオガンマとは違った方法で使わなければならない 使い慣れた設定 ( 人肌は 70% IRE ハイライトは 100% IRE など ) では V-Log L 映像に合わないため 映像の露出レベルを判断するための新しい設定値を取り入れ 使い方を覚える必要がある V-Log L の場合 ゼブラおよび波形モニターで表示できる最も高い輝度は約 80 IRE である ここが限界なのだ 81 IRE 以上の輝度信号はクリップされてしまう たとえレンズの絞りを開いて太陽にカメラを向けたとしても 81 IRE 以上では何も記録されない これは決しておかしなことではない ダイナミックレンジを 活用しきれていない わけではなく これが V-Log L カーブの特徴なのだ 本来 V-Log は 15+ ストップのダイナミックレンジを備えた VARICAM 向けに設計された 12 ストップ 最大輝度 80 IRE で V-Log と同様にシャドウ 中間調を配分したのが V-Log L である V-Log の輝度範囲 (80 IRE~109 IRE) が適応されるのは VARICAM のセンサーで再現可能なハイライトに拡大した (13~15 ストップ ) 正式な V-Log である DVX200 のセンサーは 12 ストップまでしか対応できないため 最大輝度 80 IRE の V-Log L を採用している 制約があると感じるだろうが 実はこのおかげで VARICAM と同じ LUT を使うことができる また V-Log L での階調分布は V-Log をフル範囲で活用した場合と同じである センサーが解像可能な範囲内に露出を抑えるための値 限界を知っておくだけでよい 人肌なら 70 IRE 中間グレーなら 55 IRE に露出を設定してはならない V-Log L ではもっと低くする必要がある RAW 映像または Log ガンマ映像の露出には 中間グレーの露出と Exposure To The Right (ETTR) の大きく分けて 2 つの方法がある まず ETTR について説明しよう Expose To The Right(ETTR) ETTR とは ヒストグラムを使った露出の技法である ヒストグラムは 映像の輝度の分布を表す 映像がハイライト寄りになるほど ヒストグラムでは右側に移動する ETTR の愛用者によれば 映像の中で暗部とシャドウが最もノイズが多いことから シャドウから明るい方に映像をシフトさせることができれば センサーのノイズが少ない上の範囲とガンマカーブを活用できる 後から適正な露出で必要とされるレベルに戻せばよい また 頻繁に RAW 映像を撮影する人は ETTR を取り入れている センサーがとらえた RAW データは Log 形式ではなく リニア形式で保存されるためだ つまり 利用可能な ビット の大半が最も明るいストップに割り当てられ 最も暗いストップは ビット が最も少ない ( 再現可能な階調が最も少ない ) 実のところ これは RAW 映像の問題点なのだが Log ガンマではそれほど問題にならない Log ガンマでは センサーのダイナミックレンジ全体にビットを再配分してより均等に割り当てている そのため RAW 映像とは異なり Log カーブを用いて収録する場合は シャドウと暗部の輝度をどの程度上げるかは さほど重要ではない ETTR の基本的な考え方として 映像データの最も明るい部分が クリップされない ( 切り取られない ) 範囲で できる限り明るくなるように露出する 仕上がり映像の暗さは関係なく 範囲内の最上値で露出すれば最もきれいでノイズの少ない映像が得られ また 必ず後処理で適正な露出値に戻すことができる ETTR の愛用者は ETTR を完璧なものにす

るツールとしてヒストグラムを活用している ヒストグラムは あるシーンのすべての露出レベルをプロットしたものである もし ヒストグラムの右端に使われていない空白があれば 露出を上げる余地があるということだ (Expose To The Right すなわちフレーム内でグラフを右側にシフトさせる ) 理論的には素晴らしいツールであり 実際 静止画像では非常に役立っている しかし V-Log L カーブの特性により輝度が最大 80 IRE に制限される V-Log L ではそれほどうまくいかない 真に 右端に 映像を移動させることはできないのだ それでも ETTR を使うことは可能だが 映像がクリップされると警告が出るように 80 IRE 以下の設定でゼブラを使いたいだろう ゼブラを 80 IRE に設定すると ゼブラパターンが表示されるまで自由に露出を上げることができる 表示が出た箇所は映像がクリップされており 露出を下げる必要があると考えられる ただし 輝度でまだクリップされていなくても 高い露出値ではゼブラパターンが表示される前に個別のカラーチャネルでクリップが起こり始めている場合がある その場合 少し露出を下げて ( ゼブラの設定を 75 IRE 以下にして ) 彩度チャネルのクリップを最小限に抑えるために若干の余地を残すとよいだろう ETTR は一般的に有用な技法であり 悪くない妥当な選択肢である しかし 中間調への影響を考慮せずにハイライトを残す設計であることから 必ずしもベストな選択とはいえない 多くのディテールを保持して最もノイズの少ない映像を得ることができるが 1 つ 1 つのショットに対して撮影後の膨大な補正作業が必要となる ETTR による露出では 単純に各ショットのハイライトを基準にするため シーンごとで肌のトーンが実際よりも明るく または暗く記録されてしまう場合がある そのため 補正を加えることでムラのないちょうどよいトーンに戻し 鮮明かつなめらかに挿し込む必要がある また あるシーンのハイライトの明るさだけを基準にして ETTR を施すと すべてのハイライトを把握 残そうとする結果 肌色と中間調が大幅に露出不足になる可能性がある ハイライトには効果的な処理だが 肌色と中間調はノイズが発生するかもしれない 後処理で センサーの ( ノイズが多い ) 肌色の階調を暗部から拡げる必要性があると考えられる 一般に映画撮影では ハイライトよりも被写体がより重視される ( そうあるべきである ) ハイライトに過度に気を配ると 映像の他の要素で妥協を強いられかねない 映像制作では 厳密な ETTR 方式は必ずしも全体的に見てベストな結果になるとは限らないのだ 中間グレーの露出 もう 1 つの技法に中間グレーの露出がある 一般にビデオシステムは 中間グレー すなわち 18% グレー を標準とする 18% グレーとは与えられた光の 18% が反射した階調で 写真やフィルムの基準値とされる テストチャートに取り入れられることも多く 18% グレーカード はカメラ店で手軽に購入できる 多くの情景全体の平均反射率が約 18% であることから 通常 カメラの自動露出は 情景が反射率 18% として写る露出値に設計されている ちなみに アンセル アダムスが考案した ゾーンシステム では 中間グレーはゾーン V に相当する 中間グレーの露出では ヒストグラムよりもゼブラと波形モニターの方がはるかに役に立つ このセクションでは露出を IRE で表す 従来のビデオガンマでは 中間グレーが適正に写る露出は 50 IRE から 55 IRE であることが多い しかし V-Log L では異なり 42 IRE である 撮影時にグレーカードを使ってみれば 波形モニターに約 42 IRE で 適正 露出と表示されるはずである ( ここでは 理想的な数値という意味で 適正 という言葉を使ったが 情景の美しさを再現するためには この 適正 露出よりも高いまたは低い設定にする必要があるかもしれない )

V-Log L ガンマカーブにおける輝度と IRE の関係は 次のとおりである 反射率 0%( ブラック ): 反射率 18%( 中間グレー ): 反射率 90%( ホワイト ): 完全にクリップされるスーパーホワイト : 7.3 IRE 42 IRE 61 IRE 80 IRE テストチャートの利用を考えているなら 18% 中間グレー と 90% ホワイト を使うことになるだろう カメラ店で販売される多くのグレーカードは 18% グレーと 90% ホワイトの両面仕様である ここで 反射率 90% とは必ずしも 純白 すなわち目に見える 記録可能な最も明るい部分を指すとは限らない 正確には ( その名前が示すように ) 光の反射率が 90% の白色を指す 反射率 90% は 61 IRE に相当することから分かるように カメラは反射率 90% 以上の輝度をとらえ 再現することができる しかし V-Log L では最大 80 IRE まで解像可能である これは言い換えると 最大クリップに達していない反射率 90% 以上の状態での露出ラチチュードの約 1.5 ストップにあたる V-Log L カーブは 中間グレーより下に 8 ストップ 上に 4 ストップを持つ構成である もちろん 中間グレーを露出不足にして構成を変えることもできる たとえば 1 ストップ露出不足にすると 中間グレーより下に 7 ストップ 上に 5 ストップになる 常にダイナミックレンジは 12 ストップである 中間グレーは 42 IRE で下に 8 ストップ 上に 4 ストップを配分するのが理想的であるが 後処理で補正するならば適宜変更しても構わない これは 各シーンの始めに標準的なテストチャートを撮影することがよいとされる理由の 1 つでもある カラリストは意図された露出値が正確に分かるため シーン別の判断にもとづき補正することができる 中間グレーの露出は 従来のビデオガンマにおける露出と似ている ビデオガンマでは 露出プランに代表的な 基準値 が設定されることが多い ( 標準的なビデオガンマで白色人種の肌の最も明るいハイライトを約 70 IRE に設定し カメラのハイライトを 100 IRE 以下にするなど ) ショット間で肌のトーンを同等にすれば 後処理で映像を調整する作業は明らかに楽である また 中間グレーを一定にすれば V-Log L 映像の後調整も容易になる 一概に Log ガンマでの露出は 撮影時に 18% グレーカードをセットして 42 IRE で露出するような単純なものではない 希望とあればそのように単純にできなくもないが いくつかの手順を踏めばよりよい映像をカメラで作ることができる 多くの場合 問題はノイズとハイライトの維持のバランスである すべてのデジタルカメラセンサーについていえることだが 映像の最も暗い部分が最もノイズが多い ETTR は ノイズの多い領域から明るい方に映像を移動させて センサー露出範囲の 最適な位置 にする技法である センサーのノイズをある程度避けながら 後処理で適正露出に戻すことができる このように妥当な技法であるが センサーのダイナミックレンジを犠牲にしており ( 映像の露出を下げると最も暗いトーンが崩れる ) その結果 ショット間で中間調の一貫性が大きく損なわれる可能性がある 露出過度は 早い段階でハイライトがクリップリスクを伴う 適正露出ならハイライトを維持できるが シャドウにノイズが発生する可能性がある 非常に明るいハイライトを多く含むシーンを撮影する場合 ノイズが多い センサーレンジの暗い方に被写体をシフトさせることになっても ハイライトを維持するために露出不足にする必要があるかもしれない さもなければ 時折ハイライトがクリップするのを我慢して受け入れることになる 何もできることがない いや なすべきことが何もないともいえる ハ

イライトを維持しようとするあまり被写体の画質を落とすことは トレードオフとして受け入れられない場合もあるだろう すべてにあてはまる 1 つの 正しい 答えはない あるのは優先順位の問題だけだ いかなる場合でもハイライトがクリップすることは容認できないなら ETTR を選ぶべきだろう ただし ハイライトのディテールの 1 つ 1 つのビットを残そうとすると 露出不足でノイズの多い映像になることを頭に入れておかなければならない ノイズは絶対に避けたいなら ノイズフロア の設定を検討するべきである ノイズフロアとは 映像の重要要素が該当してはならない IRE の範囲である 自分のセンスから見て 0 IRE から 15 IRE まではノイズが多すぎると感じたら 映像の最も暗い部分の重要なディテールが輝度 15 IRE 以上になるように露出過度にするとよい その結果 おそらくハイライトがクリップされ 確実にダイナミックレンジが狭くなるが それはノイズの出現を最小限に抑えるために選んだトレードオフである 一般論として V-Log L での露出過度はできる限り避けたい 露出過度によって カーブの非対称性 ( 中間グレーより下に 8 ストップ 上に 4 ストップ ) がさらに変わってしまう たとえば 2 ストップの露出過度なら 中間グレーより下に 10 ストップ 上に 2 ストップになる 中間グレーの上がたった 2 ストップになるのだ 可能な限り 42 IRE で中間グレーを露出することが望ましい V-Log L でゼブラと波形モニターを使う 中間グレーを 42 IRE 90% ホワイトを 61 IRE ブラックを 7 IRE にすることで 中間グレーより上に 4 ストップ 下に 8 ストップの広い露出範囲を実現できる これらの一般的な露出値では 肌のハイライトの適正露出は 被写体の人物が色黒なら約 42 IRE 色白なら最大で約 55 IRE の範囲になる REC 709 ガンマで撮影する場合 私はゼブラを 70% と 100% に設定する そして 色白の肌の最も明るいハイライトで 70 IRE よりわずかに明るくなるように露出する その後 ゼブラ 2(100 IRE) に切り替えてハイライトのクリップを確認する 100 IRE ではクリップされそうな箇所があっても 実際にそうとは限らない この手法を V-Log L に応用して ゼブラ 1 を 55 IRE ゼブラ 2 を 75 IRE に設定してみよう これなら 慣れた同じモニタリングツールを同じ方法で使いながら より広いラチチュードを実現し V-Log L 映像の後処理の自由度を高めることができる V-Log L で波形モニターを使うことは やや難易度の高い作業である おおむね 81 IRE 以上では何も表示されないという考え方に慣れなければならない 従来のビデオガンマでの撮影と比べて 波形モニターは フルに 活用されていないように見えるだろう しかし これはダイナミックレンジの減少を意味するものではない 実際 V-Log L モードでは 他のガンマカーブよりも広いダイナミックレンジが得られる 波形モニターやヒストグラムの結果は関係ない 常に DVX200 ではセンサーの全レンジが使われ V-Log L 向けに補正される センサーが完全に飽和した状態では 最大 80 IRE まで映像データがマッピングされる したがって V-Log L モードで波形モニターを見ると 81 IRE 以上では何も表示されない また ゼブラは 80 よりも高く設定すると起動しない これが理由でヒストグラムは 1 番右端まで分布せず 露出過度またはクリップしそうな映像は ( 通常のビデオガンマでの収録時のように ) ヒストグラムのずっと右端ではなく 80% 付近でクリップされるのだ この点さえ分かっていれば 映像が露出不足であると決めつけてしまうことはない 逆にこの点を守らないと V-Log L では極めて露出過度の映像になる可能性がある 先ほど挙げた目標値を思い出してほしい 中間グレーは 42 IRE 90% ホワイトは 61 IRE にするべきだと説明した もし情景が明るい露出で 波形モニター ( またはゼブラ ) 上でこの目標値に近ければ 完全かつ適正な露出であるといえる 念のためさらに確認したいなら ユーザ

ボタンの Log ビューアシストを使うとよい REC 709 の基本 LUT で映像をプレビューするため 波形モニターまたはヒストグラムに現れるすべての範囲をすぐに確認できる 本稿で紹介した露出値にまかせれば 適正な露出で DVX200 が誇る 12 ストップのダイナミックレンジのメリットを余すところなく活用できる ルックアップテーブル (LUT) カラーグレーディングで用いるルックアップテーブル (LUT) は 対数符号化した映像をどのようにして適正に表示可能な映像に変換するかをモニターに伝えてくれる いまや LUT は当たり前の機能であり 多くのノンリニア編集ソフトやカラーリングソフトが LUT に対応している また 外部モニターやレコーダの多くは LUT の読み込み 表示が可能である モニターに合った LUT を使うことで グレーディング工程で映像の写り具合をよりよくつかむことができる LUT は 1 つの入力を 1 つの出力に変換する 入力色とそのガンマに対応する出力色とガンマを参照 変換するのである 1 つの入力に対して決まった 1 つの出力が与えられる これは当然のことに思えるだろうが カメラによってセンサーが出力する色データが異なることを理解していないとトラブルになりかねない つまり LUT は入力が異なれば 変換される出力も異なるのだ 考えてみれば当たり前だが このことを忘れたために後でちょっとした問題になることもある 押さえておくべきポイントは DVX200 で LUT を使うなら DVX200 の撮影映像に合わせて開発 設計された LUT を使うことが理想的だという点である VARICAM や GH4 も V-Log L に対応しているが DVX200 と同じ映像がセンサーから出力されるわけではない センサーの出力が異なれば 仕上がり映像も異なるものになる どちらも V-Log L に対応し 同じ LUT を使っているからといって 得られる映像は同じにならないのだ 場合によっては 異なるカメラの映像を調和させるために さらに後処理で手を加えなければならない しかしこれは DVX200 向けの LUT しか使えないという意味ではない 自分の好きな LUT を色々と試してどれがよいか確かめたり 納得いくまで組み合わせたり 調整したりするとよい ただし その時点での選択は美的観点によるものであり 必ずしも ( 正確な色とトーンが得られる ) 正しい 選択ではない点に注意しなければならない 最も正確な色とトーンを求めるなら DVX200 でそのような映像を制作することに特化して設計された LUT を使うことが理想である 一部の外部モニターやレコーダの中には LUT 機能を内蔵したものがある Sound Devices 社の PIX-E5H と Convergent Design 社の Odyssey 7Q+ を使ったことがある いずれも Panasonic 709 の LUT を搭載しているが 厳密に DVX200 に対応したものではない パナソニックは DVX200 用の V709 LUT をダウンロード提供しているが 実際は VARICAM の LUT であり 定型化された V709 カラーパレットを提供するように設計されている V709 は REC 709 と同じではない V709 は標準化されたカラーパレットではなく VARICAM で使用する定型カラーパレットを V709 と呼んでいるにすぎないのだ パナソニックが提供する LUT は DVX200 に特化した最適なものではないが より正確な映像に近づけることができる LUT を活用すれば 後処理で多少手を加えるだけでよい 10bit 記録と 8bit 記録 DVX200 は 8bit 量子化 4:2:0 カラーサンプリングで映像を内部記録する 多くの目的 作業にとって申し分のない最適な形式と思われるが 8bit 量子化は 10bit ほど堅牢ではなく また 4:2:0 カラーサンプリングは 4:2:2 や 4:4:4 ほど堅牢ではない ( 当然である )

V-Log L 撮影では 大幅に映像を伸ばす可能性があるが カメラの 4:2:0 8 bit 内部記録よりも 4:2:2 10 bit 外部記録を使う方がよい結果が得られる 4:2:0 8 bit では作業できないという意味ではない あくまで 4:2:2 10 bit の方がよいということだ 4:2:0 8 bit に比べて 4:2:2 10 bit はより多く引き伸ばしに耐えることができる より完全で堅牢な記録方式で作業すれば 後処理で映像を引き伸ばすことができる余地が多くなる 4:2:2 10 bit 外部記録を活用することで 記録の再現性に関する大きな優位性がもたらされるのだ ただし レコーダの追加に伴うデータ管理コスト 設備管理コストに見合う優位性の向上が得られるかを判断しなければならない まとめ DVX200 において V-Log L は最もワイドなダイナミックレンジと最も自由度の高い後処理を実現する 必要な後処理をきっちりとこなす時間的余裕があるなら V-Log L で広がるこれまでにない大きなキャンバスに描いてみてはいかがだろうか V-Log L では 適正な露出が最高の映像を作る得るポイントになる 約 42 IRE で 18% グレーカードを標準露出として 色白の肌ならハイライトを 55 IRE 以下に保ち ゼブラ 2 を 75 IRE に設定してハイライトのクリップをチェックしてみてほしい

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