(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

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( 第 1 章 はじめに ) などの総称 ) の信頼性自体は現在気候の再現性を評価することで確認できるが 将来気候における 数年から数十年周期の自然変動の影響に伴う不確実性は定量的に評価することができなかった こ の不確実性は 降水量の将来変化において特に顕著である ( 詳細は 1.4 節を参照 )

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2.1 の気温の長期変化 の 6 地点の 1890~2010 年の 121 年間における年平均気温平年 差の推移を図 2.1-2に示す の年平均気温は 100 年あたり1. 2 ( 統計期間 1890~2010 年 ) の割合で 統計的に有意に上昇している 長期変化傾向を除くと 1900 年代後半と

報道発表資料平成 28 年 1 月 4 日気象庁 2015 年 ( 平成 27 年 ) の日本の天候 2015 年 ( 平成 27 年 ) の日本の天候の特徴 : 年平均気温は全国的に高く 北日本と沖縄 奄美ではかなり高い ただし 西日本は2 年連続の冷夏 夏から秋の一時期を除き 全国的に高温傾向が

はじめに 東京の観測値 として使われる気温などは 千代田区大手町 ( 気象庁本庁の構内 ) で観測 気象庁本庁の移転計画に伴い 今年 12 月に露場 ( 観測施設 ) を北の丸公園へ移転予定 天気予報で目にする 東京 の気温などの傾 向が変わるため 利 者へ 分な解説が必要 北の丸公園露場 大手町露

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電気使用量集計 年 月 kw 平均気温冷暖平均 基準比 基準比半期集計年間集計 , , ,

資料6 (気象庁提出資料)

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日本の海氷 降雪 積雪と温暖化 高野清治 気象庁地球環境 海洋部 気候情報課

本州の南岸沿いに梅雨前線が停滞するようにな ると梅雨の季節である 急激に日照時間が少なく なり ぐずついた天気が続く 梅雨の前半は 冷 たく湿った東寄りの風 ( ヤマセ ) が吹き 浜通り を中心に低温になることがあるが 会津ではその 影響は小さい 梅雨が明けると気温は上昇し ま た日照時間も急激に

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過去約 130 年の年平均気温の変化傾向 (1891~2017 年 ) 図 緯度経度 5 度の格子ごとに見た年平均気温の長期変化傾向 (1891~2017 年 ) 図中の丸印は 5 5 格子で平均した 1891~2017 年の長期変化傾向 (10 年あたりの変化量 ) を示す 灰色は長期

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2.1 の気温の長期変化 の年平均気温平年差の推 移を図 に示す の年平均気温は 100 年あ たり 1.3 の割合で上昇している 長 期変化傾向を除くと 1900 年代後半 と 1920 年代半ばから 1940 年代半ば までは低温の時期が続いた 1960 年 頃に高温の時期があり 1

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2 気象 地震 10 概 況 平 均 気 温 降 水 量 横浜地方気象台主要気象状況 横浜地方気象台月別降水量 日照時間変化図 平均気温 降水量分布図 平成 21 年 (2009 年 ) の月別累年順位更新表 ( 横浜 ) 23

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り注ぐ頃 苗の揺れる田に雪を頂いた山々が映る 木々の緑が濃くなると梅雨の走りの雨が草木を濡 らす しばしば海から吹く冷たく湿った東寄りの 風 ( ヤマセ ) が低温をもたらし 農家は水田の管 理に忙しい 6 月半ばに梅雨入りし ぐずついた天 気がしばらく続くが 7 月下旬 ヒグラシの鳴き声 が夜明け

正誤表 ( 抜粋版 ) 気象庁訳 (2015 年 7 月 1 日版 ) 注意 この資料は IPCC 第 5 次評価報告書第 1 作業部会報告書の正誤表を 日本語訳版に関連する部分について抜粋して翻訳 作成したものである この翻訳は IPCC ホームページに掲載された正誤表 (2015 年 4 月 1

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第 12 章環境影響評価の結果 12.1 調査の結果の概要並びに予測及び評価の結果


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表 2-2 北海道地方における年平均風速データベース作成に関する仕様 計算領域計算期間水平解像度時間解像度 20 年間 365 日 水平解像度 500m 1991 年 ~2010 年 24 時間 =175,200 メッシュ以下の詳北海道電力供給管内の詳細メッシュの時間分のデータを細メッシュの風況風況

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2/ タケは日本人の生活に密接に結びつき人里に植えられてきたという歴史がある 日本の竹林面積は約 11 万 ha ( 農林水産省統計情報部 1994 ) 99% 以上はモウソウチクとマダケ ( その面

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3. 調査結果 3.1 期間を通じた気温の比較連続気象観測値から 今切川橋と土工部の徳島 IC 山沿いの大代古墳 IC( 標高約 20m) における期間を通じた気温の統計結果をまとめると 以下の通りとなった 1 今切川橋の雪氷期の平均気温は 大代古墳 TNより0.7 高く 徳島 ICより0.9 低か

図 (a)2 月 (b)5 月 (c)8 月 (d)11 月における日本近海の海面水温の平年値 ( 左 ) と標準偏差 ( 右 ) 平年値は 1981~2010 年の 30 年平均値 単位 : 148

梅雨 秋雨の対比とそのモデル再現性 将来変化 西井和晃, 中村尚 ( 東大先端研 ) 1. はじめに Sampe and Xie (2010) は, 梅雨降水帯に沿って存在する, 対流圏中層の水平暖気移流の梅雨に対する重要性を指摘した. すなわち,(i) 初夏に形成されるチベット高現上の高温な空気塊

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率を求めることとした 詳細は 高槻ほか (2007) を参照されたい ア解析に使用するデータ解析に使用するデータは 前述の海面水温格子点データ (COBE-SST) と現場観測データである 前者の空間解像度は緯経度 1 度 時間解像度は月平均値となっており 海洋の健康診断表 1 の定期診断表 海面水

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第 1 表地上気象観測統計項目 2000 年から継続する統計項目 新しく追加された統計項目 ( 合計 平均値 ) 期間 3か月別 年 月別 旬別 暦日 通年 日別 日別 日別 日別 半旬別 半旬別 7 日間 日間 7,14,28 日間 地域階級 * 地域階級 * 統計項目 海面気圧 現地

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第 A.1-3 表大阪府における HOT 飲料品目データと気象要素データの相関係数 ( サンプル数 n=300) 要素 HOT 飲料コーヒー飲料等緑茶飲料等紅茶飲料果汁飲料等 屋内 屋外 屋内 屋外 屋内 屋外 屋内 屋外 屋内 屋外 平均気温 ** ** **

資料 1 平成 30 年 7 月豪雨 に関する大気循環場の特徴 平成 30 年 8 月 10 日 気象庁気候情報課 1

宇都宮と日光 ( 中宮祠 ) の気象表 要素平均気温 ( ) 降水量 (mm) 日照時間 (h) 地点平年差階級平年比階級平年比階級旬実況値平年値実況値平年値実況値平年値 ( ) 区分 (%) 区分 (%) 区分上旬 かなり高い かなり多い 5

Transcription:

第 2 章気温の将来予測 ポイント 年平均気温は 全国的に 2.5~3.5 の上昇が予測される 低緯度より高緯度 夏季より冬季の気温上昇が大きい (2.1.1) 夏季の極端な高温の日の最高気温は 2~3 の上昇が予測される 冬季の極端な低温の日の最低気温は 2.5~4 の上昇が予測される (2.2.2) 冬日 真冬日の日数は北日本を中心に減少し 熱帯夜 猛暑日の日数は東日本 西日本 沖縄 奄美で増加が予測される (2.3) 2.1 平均と年々変動の変化 地域気候モデルによる 現在気候と将来気候における平均気温 最高気温 最低気温の差 および平均気温 最高気温 最低気温の季節進行については 以下の通りである 平均気温 最高気温 最低気温すべてで各期間 各地域において上昇している 高緯度ほど上昇幅が大きい傾向がある 多くの地域で冬の上昇が最も大きいが 冬は年々変動の幅も大きい 各季節とも現在気候での年々変動の幅を大きく超えた変化が予測されており 現在はほとんど観測されることのないような暑夏や暖冬が将来の平均的な気候になることを示している 将来はオホーツク海の海氷が減少することを反映して 春と冬にオホーツク海で大きな気温上昇がみられる この影響により 北海道の一部では大きな上昇を示していると考えられる なお 都市化が進行した地域ではヒートアイランド現象に伴い局地的に気温が高くなるが ( 気象庁 2012) この予測結果には都市の将来変化の影響は考慮されていない 2.1.1 平均気温図 2.1-1 及び付表は 全国及び地域ごとにみた年および季節ごとの 現在気候と将来気候の平均気温の差を示したものである また図 2.1-2 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの現在気候と将来気候の平均気温の差の分布を示したものである 各期間 各地域で上昇している 将来気候の年平均では 各地域で 3 程度の上昇がみられるが 北日本の上昇が 3 を超えて最も大きい 季節で比較すると すべての地域で冬の上昇が最も大きく 夏の上昇が最も小さい 春は北日本や 東日本の一部で 3 以上の上昇がみられる 冬は 沖縄 奄美を除いて全国的に 3 以上の上昇がみられ 北日本や 東日本の一部では 3.5 を超える上昇がみられる 19

(c) (d) (e) 図 2.1-1 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) (e): 冬 (12~2 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 20

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) 図 2.1-2 平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.1.2 最高気温図 2.1-3 及び付表は 全国及び地域ごとにみた年および季節ごとの 現在気候と将来気候の最高気温の差を示したものである また図 2.1-4 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの現在気候と将来気候の最高気温の差の分布を示したものである 各期間 各地域で上昇している 将来気候の年平均では 沖縄 奄美を除く各地域で約 3 の上昇がみられ 北日本太平洋側では 3 以上の上昇がみられる 季節で比較すると すべての地域で冬の上昇が最も大きく 夏の上昇が最も小さい 季節ごとにみると 冬は 沖縄 奄美を除いて全国的に 3 以上の上昇がみられ 北海道の太平洋側の一部では 4 を超える上昇がみられる 21

(c) (d) (e) 図 2.1-3 及び付表地域別の最高気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) (e): 冬 (12~2 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 22

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) 図 2.1-4 最高気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.1.3 最低気温図 2.1-5 及び付表は 全国及び地域ごとにみた年および季節ごとの 現在気候と将来気候の最低気温の差を示したものである また図 2.1-6 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの現在気候と将来気候の最低気温の差の分布を示したものである 各期間 各地域で上昇している 将来気候の年平均では 沖縄 奄美を除く各地域で約 3 の上昇がみられる 年および全ての季節において 北日本の上昇が最も大きい 季節で比較すると ほぼすべての地域で冬の上昇が最も大きく 夏の上昇が最も小さい 春は北日本及び東日本の一部の標高の高い地域で 3 以上の上昇がみられ 融雪の早まりに対応するものと考えられる 冬は 一部の標高の高い地域などで 4 を上回る上昇がみられ 北日本太平洋側の一部では 4.5 を上回る上昇がみられる 23

(c) (d) (e) 図 2.1-5 及び付表地域別の最低気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) (e): 冬 (12~2 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 24

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) 図 2.1-6 最低気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.1.4 季節進行の変化図 2.1-7~9 は 平均気温 最高気温 最低気温の 地域気候モデルによる現在気候 将来気候の地域ごとの半旬平均の季節変動を示したものである グラフの縦軸は 現在気候の年平均気温からの偏差を示している 各要素 各地域で 2.1.1~2.1.3 の各平均と同様に気温が上昇しており 冬を中心とした時期の上昇が他の時期に比べて大きい 将来気候では 主に北日本において一年で最も気温が高くなる時期が早まる傾向がみられる 温暖化が進んだ将来気候の日本の夏は 小笠原高気圧や偏西風の北上が弱くなるため梅雨明けが遅れる (Hirahara et al., 2012) ことや 日本の東海上の太平洋高気圧が弱まりオホーツク高気圧の影響を受けやすくなるため 北日本太平洋側に日照の減少などのぐずついた天気をもたらす ヤマセ の発生回数が8 月を中心に増加する (Endo, 2012) ことが予測されている 北日本の全天日射量は 7 月から 8 月に顕著に減少する傾向を示しており (5.2.2) 主に北日本において一年で最も気温が高くなる時期が早まる傾向は これらの予測と整合的だと考えられる 冬から春にかけては 将来気候の年々変動の幅が現在気候と重なっている時期が見られる 半旬程度の時間規模で比べた場合 温暖化が進行した将来においても 年によっては 現在気候の平均気温と同程度に気温が低下する時期もあることを示している 25

(c) (d) (e) (f) (g) 図 2.1-7 地域別の平均気温の季節進行の変化 ( 現在気候の年平均との差 ) 折線は通年半旬値 陰影は年々変動の標準偏差を示す 5 半旬で平滑化している 黒が現在気候 赤が将来気候である 縦軸は現在気候の年平均値からの偏差として示している : 北日本日本海側 : 北日本太平洋側 (c): 東日本日本海側 (d): 東日本太平洋側 (e): 西日本日本海側 (f): 西日本太平洋側 (g): 沖縄 奄美 26

(c) (d) (e) (f) (g) 図 2.1-8 地域別の最高気温の季節進行の変化 ( 現在気候の年平均との差 ) 折線は通年半旬値 陰影は年々変動の標準偏差を示す 5 半旬で平滑化している 黒が現在気候 赤が将来気候である 縦軸は現在気候の年平均値からの偏差として示している : 北日本日本海側 : 北日本太平洋側 (c): 東日本日本海側 (d): 東日本太平洋側 (e): 西日本日本海側 (f): 西日本太平洋側 (g): 沖縄 奄美 27

(c) (d) (e) (f) (g) 図 2.1-9 地域別の最低気温の季節進行の変化 ( 現在気候の年平均との差 ) 折線は通年半旬値 陰影は年々変動の標準偏差を示す 5 半旬で平滑化している 黒が現在気候 赤が将来気候である 縦軸は現在気候の年平均値からの偏差として示している : 北日本日本海側 : 北日本太平洋側 (c): 東日本日本海側 (d): 東日本太平洋側 (e): 西日本日本海側 (f): 西日本太平洋側 (g): 沖縄 奄美 28

2.2 極端現象の変化パーセンタイル値は例年発生しうる程度の極端現象を表す指標として 20 年再現値は異常気象 ( 気象庁の定義では 30 年に 1 度程度発生する現象 ) に準じた稀な現象を表す指標として用いる ( 計算方法は表 1.3-3 を参照 ) 夏季の極端な高温の日の最高気温について日最高気温の 95 パーセンタイル値および年最高気温の 20 年再現値 冬季の極端な低温の日の最低気温について日最低気温の 5 パーセンタイル値および年最低気温の 20 年再現値を示す なお 将来はオホーツク海が海氷に覆われることがほとんどなくなるため 最低気温ではオホーツク海で大きな気温上昇がみられる 北日本太平洋側の大きな上昇にはこの影響も含まれると考えられる 2.2.1 パーセンタイル値図 2.2-1 は 地域気候モデルによる日最高気温の 95 パーセンタイル値 日最低気温の 5 パーセンタイル値について 現在気候と将来気候の差を示したものである 各期間 各地域において上昇している 日最高気温の 95 パーセンタイル値は 将来気候で 2~3 程度上昇しており 北日本太平洋側 東日本太平洋側の上昇が大きくなっている 日最低気温の 5 パーセンタイル値は 将来気候では東日本以西で 2.5~3 程度上昇しているが 北日本では 3.5 以上上昇している 北日本太平洋側の上昇が最も大きい 29

図 2.2-1 パーセンタイル値の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) : 棒グラフは地域別の現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 分布図 上段が日最高気温の 95 パーセンタイル値の変化 下段が日最低気温の 5 パーセンタイル値の変化である 30

2.2.2 20 年再現値図 2.2-2 は 地域気候モデルによる年最高気温 年最低気温の 20 年再現値について 現在気候と将来気候の差を示したものである 各期間 各地域において上昇している 年最高気温の 20 年再現値は 将来気候では 2~3 程度上昇しており 北日本太平洋側の上昇が最も大きい 年最低気温の 20 年再現値は 将来気候では北日本を中心に 2.5~4 程度上昇しており 北日本太平洋側の上昇が最も大きい 図 2.2-2 20 年再現値の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) : 棒グラフは地域別の現在気候との差 縦棒はジャックナイフ法で求めた推定誤差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 分布図 上段が年最高気温の 20 年再現値の変化 下段が年最低気温の 20 年再現値の変化である 31

2.3 階級別日数の変化地域気候モデルによる現在気候と将来気候での階級別日数の変化は 以下の通りである 地域気候モデルのデータは 気象官署及びアメダス地点 1に対応する格子点値を補正している ( 補正方法は補遺 A1.7.1 を参照されたい ) 地域平均値は 地域内の補正した格子点値を平均して求めている 2.3.1 真夏日図 2.3-1 及び付表は 全国及び地域ごとでみた年及び季節ごと ( 冬を除く ) の 現在気候と将来気候の真夏日の日数の差を示したものである 図 2.3-2 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの 現在気候と将来気候の真夏日の日数の差の分布を示したものである 将来気候では夏から秋にかけてを中心に増加がみられる なお 都市の変化の影響は予測には反映していない 1 アメダス地点は 日最高気温 日最低気温データが現在気候の期間において連続して 8 割以上存在する地点を対象とした 32

(c) (d) 図 2.3-1 及び付表地域別の真夏日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフは現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 現在気候と将来気候のいずれも出現日数がゼロの場合など 変化および標準偏差がともにゼロである場合は 空欄としている 33

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 図 2.3-2 真夏日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.3.2 猛暑日図 2.3-3 及び付表は 全国及び地域ごとでみた年及び季節ごと ( 冬を除く ) の 現在気候と将来気候の猛暑日の日数の差を示したものである また図 2.3-4 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの 現在気候と将来気候の猛暑日の日数の差の分布を示したものである 主に夏に増加がみられ 沖縄 奄美では秋にも増加がみられる なお 都市の変化の影響は予測には反映していない 34

(c) (d) 図 2.3-3 及び付表地域別の猛暑日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフは現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 現在気候と将来気候のいずれも出現日数がゼロの場合など 変化および標準偏差がともにゼロである場合は 空欄としている 35

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 図 2.3-4 猛暑日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.3.3 熱帯夜図 2.3-5 及び付表は 全国及び地域ごとでみた年及び季節ごと ( 冬を除く ) の 現在気候と将来気候の熱帯夜の日数の差を示したものである また図 2.3-6 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの 現在気候と将来気候の熱帯夜の日数の差の分布を示したものである 将来気候では夏から秋にかけて各地域で増加しており 沖縄 奄美では春も増加している 分布をみると 沿岸部など標高の低い地域でより多くの増加がみられる なお 都市の変化の影響は予測には反映していない 36

(c) (d) 図 2.3-5 及び付表地域別の熱帯夜の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフは現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~11 月 ) 右上の付表は増加( 減少 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 現在気候と将来気候のいずれも出現日数がゼロの場合など 変化および標準偏差がともにゼロである場合は 空欄としている 37

年春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 図 2.3-6 熱帯夜の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.3.4 冬日図 2.3-7 及び付表は 全国及び地域ごとでみた年及び季節ごと ( 夏を除く ) の 現在気候と将来気候の冬日の日数の差を示したものである また図 2.3-8 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの 現在気候と将来気候の冬日の日数の差の分布を示したものである 北日本を中心に各地域で減少しており 将来気候の北日本では年で約 40 日減少している 冬の北海道では 日最低気温は上昇するものの 0 を下回る日が多く 東北地方等に比べて減少は少ない 38

(c) (d) 図 2.3-7 及び付表地域別の冬日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフは現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 秋 (9~11 月 ) (d): 冬 (12~2 月 ) 右上の付表は減少( 増加 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 現在気候と将来気候のいずれも出現日数がゼロの場合など 変化および標準偏差がともにゼロである場合は 空欄としている 39

年春 (3~5 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) 図 2.3-8 冬日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.3.5 真冬日図 2.3-9 及び付表は 全国及び地域ごとでみた年及び季節ごと ( 夏を除く ) の 現在気候と将来気候の真冬日の日数の差を示したものである また図 2.3-10 は 地域気候モデルによる年及び季節ごとの 現在気候と将来気候の真冬日の日数の差の分布を示したものである 将来気候では 北日本を中心に各地域で減少しており 特に冬の北日本では北海道を中心に平均で年 20 日以上減少している 東日本及び西日本でも減少しているが 現在気候での出現日数が少ないため 変化量は小さくなっている 40

(c) (d) 図 2.3-9 及び付表地域別の真冬日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフは現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 秋 (9~11 月 ) (d): 冬 (12~2 月 ) 右上の付表は減少( 増加 ) の数値を示し その変化量が現在気候の標準偏差以上の場合はオレンジ色 ( 水色 ) に 信頼度水準 90% で統計的に有意で無い場合は灰色に塗りつぶしている 現在気候と将来気候のいずれも出現日数がゼロの場合など 変化および標準偏差がともにゼロである場合は 空欄としている 41

年春 (3~5 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) 図 2.3-10 真冬日の日数の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 2.3.6 各階級別日数図 2.3-11 は 地域気候モデルにおける地域ごと及び季節ごとの 日平均気温の出現頻度の変化を示したものである 各季節 各地域で分布が高温側へ変化し 平均値の変化とともに 現在では稀な極端な高温日がより高い頻度で発生し 極端な低温日の頻度が低下することを示している 42

春 (3~5 月 ) 夏 (6~8 月 ) 秋 (9~11 月 ) 冬 (12~2 月 ) (c) (d) (e) (f) (g) 図 2.3-11 地域毎の日平均気温の出現頻度の変化 黒は現在気候 赤は将来気候を示す : 北日本日本海側 : 北日本太平洋側 (c): 東日本日本海側 (d): 東日本太平洋側 (e): 西日本日本海側 (f): 西日本太平洋側 (g): 沖縄 奄美 43