第一住宅関係税制 1. 住宅税制の抜本的な検討 次期消費税引上げまでの期間を活用し 消費税を含めた住宅に係る多重な課税について 抜本的な検討が必要である 良質な住宅ストックの形成に向けて 住宅の取得 保有に係る既存税制と消費税のあり方について 国民にわかりやすい恒久的かつ抜本的な見直しが必要である

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平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

平成 28 年 12 月 国土交通省住宅局

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(3) 居住用財産の買換えに伴う長期譲渡所得の課税の特例の適用期限 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) を延長する Ⅱ. 時代を先取りするまちづくりの推進税制 1. 国家戦略特区に係る特例の延長 拡充 (1) 我が国の大都市に世界中からヒト モノ カネ 情報を呼び込む魅力的なまちづくりを推進

やさしい税金教室

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

税金のいろいろ所得税の計算の税金サラリーマン20 生活の税金株式の税金事業の税金不動産の税金贈与の税金相続の税金(2) 適用を受けるための主な要件 取得又は増改築等をした日から6か月以内に居住すること 住宅の床面積が50m 2 以上で取得又は増改築後の家屋の床面積の1/2 以上が居住用であること 中

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

2. 適用を受けるにあたっての 1 相続発生日を起算点とした適用期間の要件 相続日から起算して 3 年を経過する日の属する年の 12 月 31 日まで かつ 特例の適用期間である平成 28 年 4 月 1 日から平成 31 年 12 月 31 日までに譲渡することが必要 例 平成 25 年 1 月

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平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

スライド 1

平成26年度税制改正及び土地住宅政策に関する提言書(案)

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要望理由 (1) 政策目的 既存住宅の流通の円滑化を通じ 既存住宅流通 リフォーム市場の拡大 活性化を図る また 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備するとともに 既存住宅の耐震化を促進し 住宅ストックの品質 性能を高め 国民の住生活の向上を目指す (2) 施策の必要性 国民がライフステ

4. 土地 住宅用建物に係る不動産取得税の特例の延長土地や住宅に対する投資を促進し 都市や地域の活力を高める観点から 土地及び住宅用建物に係る軽減税率 3%( 本則 4%) 及び宅地評価土地の取得に係る不動産取得税の課税標準の特例 ( 固定資産税評価額の 1/2) の適用期限 ( 平成 27 年 3

新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 消費者のニーズに応じた住宅を選択できる環境を整備する観点や低炭素化 循環型の持続可能な社会の実現の観点から 中古住宅取得や増改築等工事の適用要件の合理化や増改築等工事の対象を拡充することにより 中古住宅の流通促進 住宅ストックの循環利用に資する (

スライド 1

の各種税制優遇を受けやすくする見直しが行われ 入居までに耐震基準に適合するという証明があれば 1 住宅ローン減税 2 住宅取得資金に関する贈与税の非課税措置 3 中古住宅に関する不動産取得税の特例措置の適用が可能となる 耐震基準に適合しない中古住宅を取得し 耐震改修工事を実施した後に入居するような場

給与所得控除額の改正前後の比較 改正前 改正後 給与等の収入金額給与所得控除額給与等の収入金額給与所得控除額 180 万円以下 収入金額 40% 65 万円に満たない場合は 65 万円 180 万円以下 収入金額 40%-10 万円 55 万円に満たない場合は 55 万円 180 万円超 360 万

所得税確定申告セミナー

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

契約をするとき 契約書に貼る印紙税不動産取引で取り交わす契約書は 印紙税の対象となります 具体的には 不動産の売買契約書や建物の建築請負契約書 土地賃貸借契約書 ローン借入時の金銭消費貸借契約書等がこれに当たります 印紙税の額は 契約書に記載された金額によって決定されます 原則として 収入印紙を課税

1. 国土交通省土地 建設産業局関係の施策 不動産流通に関する予算要求が拡大 ここ数年 国の住宅 不動産政策において 不動産流通に関する施策が大幅に拡大している 8 月に公表された国土交通省の 2019 年度予算概算要求概要によると 土地 建設産業局における施策は大きく 4 項目あるが 全体の予算額

消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策 1 住宅取得については取引価格が高額であること等から 消費税率引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ 一時の税負担の増加による影響を平準化し 及び緩和するとともに 良質な住宅ストックの形成を促し響国民の豊かな住生活を確保する

4. 平成 27 年度税制改正の概要 (1) 住宅の取得に関わる税制 登録免許税 不動産取得税 改正項目ヘ ーシ 改正内容 所有権保存登記 所有権移転登記 所有権の信託 抵当権設定の登記の軽減措置 税率の軽減措置 宅地評価土地の課税標準の軽減措置 軽減税率の適用期限を平成 27 年 3

住宅税制の概要 1 住宅の取得に係る税制 ( 注 ) を付した部分は 平成 22 年度税制改正により改正されたもの ( 1) 所得税 住宅ローン減税 ( 租 41) ( 国税 ) 住宅の新築 取得又は増改築等をした場合 10 年間 住宅ローン等の年末残 個人住民税 高の1.0%( 長期優良住宅につい

各年の住宅ローン控除額の算出 所得税から控除しきれない額は住民税からも控除 当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額 ( 住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額 ) を控除した際に 残額がある場合については 翌年度分の個人住民税において 当該残額に相当する額が 以下の控除限度額の

平成 29 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) 制度名既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充 税目所得税 ( 国土交通省 ) 既存住宅流通 リフォーム市場の活性化に向けて 耐震性 省エネ性 耐久性に優れた良質な住宅ストックの形成を促進するため 既存住宅の耐震 省

内に 耐火建築物以外の建物についてはその購入の日以前 20 年以内に建築されたものであること 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるものに適合する一定の中古住宅 を 平成 17 年 4 月 1 日以降に取得した場合には 築年数に関係なく適用が受けられます (56ページ 一

約 6 倍になると予測されており これら高経年マンションが増えていく中 経年による建物 設備の劣化等に対応するための大規模修繕や改修等の資金不足の問題が深刻化している 今後 良質なマンションを維持していくためにも 特にマンション共用部のリフォームについての支援が急務である (4) 賃貸住宅のリフォー

平成 31 年度税制改正概要 ( 住宅局 ) 結果特例措置税目 - 消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策 住宅ローン減税の控除期間を 3 年間延長 ( 建物購入価格の消費税 2% 分の範囲で減税 ) 所得税個人住民税 延長 拡充 空き家の発生を抑制するための特例措置 ( 延長 ) 相続した空き家につ

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

事業用資産の買換え等 用資産を譲渡し あらた 中小企業 適用実積の 8 の場合の課税の特例措 に事業用資産を取得し 割以上が地方関連であ 置の延長 ( 法人税等 ) た場合 譲渡した事業用 り 中小企業の設備投資 29.4~32.3 資産の譲渡益について 等の促進による生産性 80%( 一部 75%

13全日総第16号

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の範囲は 築 20 年以内の非耐火建築物及び築 25 年以内の耐火建築物 ((2) については築 25 年以内の既存住宅 ) のほか 建築基準法施行令 ( 昭和二十五年政令第三百三十八号 ) 第三章及び第五章の四の規定又は地震に対する安全上耐震関係規定に準ずるものとして定める基準に適合する一定の既存

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#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

固定資産税等の概要及び税収動向等 3-1

税幅を 1% ずつ小刻みに引き上げるべきであるといった意見も浮上しており 予定通り引上げが実施されるかは 不透明な状況です Q 消費税増税で住宅取得時の税負担は どのくらい増加しますか A そもそも住宅購入にかかる消費税は 土地にはかからず新築物件なら建物部分のみです 仮に図表 1の モデル のよう

国土交通大臣 太田昭宏殿 平成 27 年 7 月 27 日 一般社団法人プレハブ建築協会 会長樋口武男 平成 28 年度住宅関連税制及び制度改正要望 昨年 政府は経済再生と財政健全化を両立するため 平成 27 年 10 月に予定していた消費税率 10% の引き上げを平成 29 年 4 月に 1 年半

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

図表 2 住宅ローン減税の拡充 消費税率が 5% の場合 消費税率が 8% または 10% の 場合 適用期間 ~2014 年 3 月 2014 年 4 月 ~2017 年末 最大控除額 (10 年間合計 ) 200 万円 (20 万円 10 年間 ) 400 万円 (40 万円 10 年間 ) 控

はじめに我が国経済は アベノミクスによるデフレからの脱却に向けた大胆な金融政策や財政出動 規制緩和などにより 株価の上昇 賃金水準の向上 雇用の拡大など明るさを取り戻しつつある しかし 地方経済や中小事業者にまで経済政策の効果が十分に行き渡ったとはいえず 今後経済の好循環が隅々まで拡大されることが期

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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

公的な住宅改修制度について

1. 固定資産税 都市計画税について 固定資産税は 毎年 1 月 1 日 ( 賦課期日 といいます ) 現在に土地 家屋 償却資産 ( こ れらを総称して 固定資産 といいます ) を所有している人が その固定資産の所在する 市町村に納める税金です 都市計画税は 下水道 街路 公園などの都市計画事業

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

平成 25 年度住宅 土地関連税制改正 住宅関連予算要望 ( 社 ) 住宅生産団体連合会 日本国内は 東日本大震災からの復興需要から明るさが見えてきてはいるが ヨーロッパの金融不安の再燃による経済の不透明感やその影響による中国をはじめとする新興国の経済成長率の鈍化 更に日本の株安円高などの不安定要因

4 住宅購入 名称住宅購入に対する各種税金と給付金に関する支援 担当部課 概要新築または中古の住宅を取得するとかかる税金があります また 所得税控除や給付金が支払われる制度もあります 1. 不動産取得税 ( 県税 ) 土地や家屋などの不動産の取得時に 県が課税する税金です お問い合わせ先 神奈川県藤

一般社団法人住宅生産団体連合会 ( 住団連 ) について 業務内容 住宅生産供給に関する団体間の調整等 住宅生産供給に関する提言 要望等 住宅生産供給に関する調査及び研究 住宅生産供給に関する国際交流 構成団体 ( 一社 ) プレハブ建築協会 ( 一社 ) 全国住宅産業協会 ( 一社 ) 全国中小建

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

る 1 減価補償金を交付すべきこととなる被災市街地復興土地区画整理事業において 公共施設の整備改善事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 2 第二種市街地再開発事業の用に供するために土地等が地方公共団体等に買い取られる場合 (3) 特定住宅被災市町村の区域内にある土地等が 国

平成 26 年度住宅 土地関連税制改正 住宅関連予算要望 一般社団法人住宅生産団体連合会 日本経済は デフレからの脱却に向けた政府の政策により 円安による輸出環境の改善 大胆な金融緩和や財政出動による株式市場の活況など再生の兆しが見えてきているところである これからは 規制改革や税制による支援などで

基本資料1-平成25年税制改正ポイント(表紙).pdf

2. 省エネ改修工事 耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除に係る工事範囲の拡充 (1) 改正の趣旨 背景 新築の長期優良住宅の認定基準制度に加え 平成 28 年 2 月 増改築による長期優良住宅の認定基準が制定された 長期優良住宅であると認定されることで 税制上様々な優遇措置を受けることができ

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平成 28 年度国土交通省税制改正要望 ( 主要項目 ) Ⅰ. 豊かで安全 安心な暮らしの実現 赤枠が住宅局関係項目 1. 住まいの質の向上 無理のない負担での住宅の確保 1 新築住宅に係る税額の減額措置の延長 ( 固定資産税 ) 2 認定長期優良住宅に係る特例措置の延長 ( 登録免許税 不動産取得

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

平成18年度地方税制改正(案)について

平成 28 年 12 月 国土交通省住宅局

平成 29 年度税制改正要望 平成 28 年 9 月 5 日一般社団法人不動産協会 我が国の経済は緩やかな回復を続けているが 世界経済のリスクなどにより 先行きは不透明な状態となっている 我が国の経済がデフレからの脱却を確実なものとし GDP を拡大していくためには 経済効果の高い大都市が牽引すると

土地建物等の譲渡(マイホームの売却による譲渡損)編

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NO 年 1 月 23 日発行 編集 発行公益財団法人住宅リフォーム 紛争処理支援センター 東京都千代田区九段北 九段センタービル3F TEL FAX 消費者が安全で安心して暮らせる豊かな住生活の実現に

表紙

図表 1 消費税率引上げに伴う住宅着工の影響 ( 平成 9 年 ) 1995( 平成 7) 年度 1996( 平成 8) 年度 1997( 平成 9) 年度 (4 月 1 日に消費税 (5%) 導入 ) 1998( 平成 10) 年度 住宅着工戸数 前年からの増減 1,485 万戸 - 1,630

平成16年版 真島のわかる社労士

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設 拡充又は延長を必要とする理由 関係条文 租税特別措置法第 70 条の 2 第 70 条の 3 同法施行令第 40 条の 4 の 2 第 40 条の 5 同法施行規則第 23 条の 5 の 2 第 23 条の 6 平年度の減収見込額 百万円 ( 制度自体の減収額 ) ( - 百万円 ) 東日本大震

要望理由 (1) 政策目的我が国の住宅ストックのうち 高齢者が安心し自立して暮らせるバリアフリー化された住宅は極めて限られている状況を踏まえ サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進することにより 高齢者に適した住まいの確保を図る (2) 施策の必要性本特例措置により 1 高度のバリアフリー化 2 安

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

Taro-H30/03

平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

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(4) 宅地建物取引士の欠格要件について定める第十八条第一項の五号の二の次に次の号が 付け加えられました 五の三暴力団員等 ( 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規 定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者 ) (5) 更新日前でも手数料を


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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

第 7 章 間にその者の居住の用に供したときに 一定の要件の下で そのバリアフリー改修工事等にあてるために借り入れた住宅借入金等の年末残高 (1,000 万円を限度 ) の一定割合を5 年間所得税の額から控除できます なお 52ページの増改築に係る住宅ローン控除制度との選択適用になります 1 控除期

控除の種類判定 次の表に従い 対象となる控除を判定します 区分対象となる控除該当ページ 一般住宅の新築等 A 一般住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除 3 ページ 認定住宅の新築等 A2 認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除 4 ページ 中古住宅の購入 A3 中古住宅の購入に係る住宅借入金等

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所得税関係 ( 住宅ローン控除の特例 ) の改正 ⑵ 震災税特法の制度 ( 適用期間の特例 ) の概要東日本大震災によって被害を受けたことにより 住宅ローン税額控除の適用を受けていた家屋 ( 以下 従前家屋等 といいます ) を居住の用に供することができなくなった居住者については その居住の用に供す

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資産運用として考える アパート・マンション経営

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Ⅱ. 時代を先取りするまちづくりの推進税制 1. 都市再生促進税制の延長 都市再生を引き続き強力に推進し 都市の国際競争力を一段と強化するために 以下の 都市再生促進税制の特例措置の適用期限 ( 平成 31 年 3 月 31 日 ) を延長する (1) 特定都市再生緊急整備地域に係る特例 税 目 特

平成27年度 住宅・土地関連税制改正、住宅関連予算要望

Transcription:

平成 29 年 7 月 28 日 国土交通大臣石井啓一様 一般社団法人全国住宅産業協会会長神山和郎 平成 30 年度住宅 土地税制改正要望 わが国経済は 雇用 所得環境の改善を受けて 緩やかな回復基調が続いており景気回復期は戦後 3 番目の長期となっていますが 消費が持ち直したとの実感はなく 本格的な個人消費の活性化のためには 将来不安を払拭する社会保障 居住環境の一層の整備が求められています 住宅 不動産市場は 新設住宅着工戸数は全体として堅調に推移しているものの 相続税対策などから貸家の供給は増加していますが 分譲マンションは需給ともに低調な状況が続いています 加えて 建築費が高止まりにあること 事業用地の取得が厳しい状況にあることなどから 安定した住宅供給が危惧されています また 人口減少と少子高齢化が進む中 老朽化マンションの建替え 空き家の除却 利活用 木造密集地域の建替え等の喫緊の課題に直面しています これらの建替えも含めた新しいニーズに対応した新規供給と既存住宅リフォーム市場の双方が円滑に機能して 質の高い住宅ストックの形成を促進するためには 税制上の支援措置は極めて重要です つきましては 来年度の住宅 土地税制改正について 下記のとおり要望いたしますので その実現方をお願い申し上げます 1

第一住宅関係税制 1. 住宅税制の抜本的な検討 次期消費税引上げまでの期間を活用し 消費税を含めた住宅に係る多重な課税について 抜本的な検討が必要である 良質な住宅ストックの形成に向けて 住宅の取得 保有に係る既存税制と消費税のあり方について 国民にわかりやすい恒久的かつ抜本的な見直しが必要である 2. 新築住宅の固定資産税の軽減措置の延長 (1) 一般住宅に係る固定資産税の軽減措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 1 一般の住宅 :3 年間税額 1/2 減額 2 中高層住宅 :5 年間税額 1/2 減額 (2) 認定長期優良住宅に係る固定資産税の軽減措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 1 一般の住宅 :5 年間税額 1/2 減額 2 中高層住宅 :7 年間税額 1/2 減額 本軽減措置は 半世紀を超えて措置されている特例措置であり 住宅取得の初期負担を一定期間軽減する措置として 国民の住宅取得を支援してきた基盤制度であり 本来は恒久化すべきである 3. 既存住宅に係る固定資産税の特例措置の延長 (1) 耐震改修 バリアフリー改修 省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の減額措置 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 耐震改修 2 分の 1 減額 バリアフリー改修 3 分の 1 減額 省エネ改修 3 分の 1 減額 (2) 長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の減額措置 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 耐震改修 省エネ改修に加え耐久性向上改修工事を行って既存住宅の長期優良住宅の認定を受けた場合 3 分の2 減額 2

住生活基本計画に規定されている耐震化リフォームによる耐震性の向上 長期優良住宅化リフォームによる耐久性等の向上 省エネリフォームによる省エネ性の向上を促進するためには 特例措置の延長が必要である また住宅ストック全体のバリアフリー化を推進することは 高齢者が自宅でより安全に生活するだけでなく 高齢者が保有する住宅ストックの有効活用にも資する 4. 所有権の移転登記等に係る登録免許税の軽減措置の延長 (1) 買取再販で扱われる住宅の取得に係る登録免許税の特例措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する [ 軽減措置 ] [ 本則 ] 所有権の移転登記 1000 分の 1 1000 分の 20 録 (2) 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅の所有権保存登記等に係る登録免許税の軽減措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する [ 軽減措置 ] [ 本則 ] 所有権の保存登記 1000 分の 1 1000 分の 4 所有権の移転登記 1000 分の 1 1000 分の 20 ( 認定長期優良住宅の戸建住宅は 1000 分の 2) 中古住宅流通市場 リフォーム市場の活性化に資するため 一定の質の向上が図られた中古住宅を取得した場合の登録免許税の特例措置は必要であり また長期優良住宅等の普及促進を図るために 登録免許税率の軽減措置は必要であることから ともに延長すべきである 5. 不動産取得税の特例措置の延長 (1) ディベロッパー等に対する新築家屋のみなし取得時期の特例措置 ( 現行 :1 年 ( 本則 :6 か月 )) の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する (2) 新築住宅用の土地に係る不動産取得税の特例措置 ( 住宅の床面積の 2 倍 (200 m2を限度 ) 相当額を減額 ) を受ける場合に 土地取得から住宅の新築までの期間要件の特例措置 ( 現行 :3 年 ( 本則 :2 年 ) やむを得ない事情がある場合は 4 年 ) の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する * やむを得ない場合 :100 戸以上の共同住宅等で やむを得ない事情があると都道府県知事が認める場合 (3) 認定長期優良住宅を取得する場合における課税標準の特例措置 (1300 万円控除 ) の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 不動産取得税については 住宅取得時の負担軽減及び不動産流通を一層活性化させる観点から 特例措置の適用期間を延長すべきである 3

6. 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の延長 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例措置の適用期限 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) を延長する * 所有期間 10 年超 居住期間 10 年以上の居住用財産を譲渡し 一定の居住用財産を取得した場合について 譲渡価額が買換資産の取得価額以下の場合は 譲渡所得には課税されず 取得価額を超える場合は 超える部分について長期譲渡所得の課税が行われる 多様なライフステージ ライフスタイルの変化にあわせた住み替えを支援していくことは 国民の住生活の充実に寄与することになり 同時に住宅ストックと居住ニーズのミスマッチの解消に繋がることから 本特例措措置に係る適用期限を延長すべきである 7. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の適適用期限 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) を延長する * 所有期間 5 年超の居住用財産を譲渡し 住宅借入金等を利用して新たに一定の居住用財産を取得して居住の用に供した場合は 居住用財産の譲渡損失の金額についてその年の損益通算及び翌年以後 3 年内の繰越控除を認める 資産デフレによる住宅価格の下落を踏まえ ライフサイクルに応じた買換えを支援し 多くの国民の豊かな住生活の実現を推進していくためには 本制度による適用期限を延長すべきである 8. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の延長 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度の適用期限 ( 平成 29 年 12 月 31 日 ) を延長する * 住宅借入金等を有する所有期間 5 年超の居住用財産の売却に伴い発生した譲渡損失のうち 住宅ローン残高が譲渡対価を超える場合その差を限度として その年の損益通算及び翌年以後 3 年内の繰越控除を認める 住宅価格の下落の影響により 住宅を譲渡しても住宅ローンを返済しきれない住宅所有者を支援し 多様な住まい方を実現するためにも本制度による適用期限を延長すべきである 4

9. 住宅ローン減税制度等における床面積要件の拡充 住宅ローン減税制度等の共同住宅における床面積要件の下限 ( 現行 :50 m2以上 ) を 30 m2以上へ拡充する 総世帯に占める単身世帯が3 分の1 以上 2 人世帯を合わせると5 割以上となっており 世帯構成やライフスタイルの変化に伴い 居住ニーズが多様化してきている 住宅の広さよりも 利便性 省エネ性 防犯性等様々な工夫がなされたファミリータイプと同質の居住性能を有する都心居住を目指した小規模マンションの取得にも支援が必要である 10. 家屋の固定資産税評価額の適正化 固定資産評価基準の改正に当たっては 最近の建築費の高騰が直接影響することがないよう パブリックコメント等の意見を踏まえ適正な納税額となるよう十分な配慮が必要である 評価額の算定替えは 再建築費を求め 当該再建築費に経過年数に応ずる損耗の状況による減価を考慮して家屋の価格を求めることから 最近の建築費の高騰が直接反映されることのないよう配慮いただきたい 11. 空き家対策を推進するための土地の固定資産税の特例措置の創設 空き家の所有者が自発的に撤去や有効活用を目的として当該空き家を取り壊し 取り壊し後 5 年以内に活用した場合は 現行の住宅地特例 ( 固定資産税の課税標準を 1/6 に減額 ) を適用することとする 空家等対策の推進に関する特別措置法の規定に基づき 市町村長が空き家の所有者に対して 特定空家として助言 指導 勧告する前に 所有者が空き家の除却に対して積極的に取組むことを支援する必要がある 5

第二土地関係税制 1. 土地及び住宅の取得に対する不動産取得税の特例措置の延長 下記の特例措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する (1) 不動産取得税の標準税率の特例措置 税率 土地 住宅 3% ( 本則 :4%) (2) 宅地評価土地の課税標準の特例措置 課税標準 取得土地の価格の 2 分の 1 住宅取得時の負担軽減及び不動産流通をより促進する観点から 現行の特例措置を延長することが必要である 2. 不動産の譲渡等に関する印紙税の廃止又は特例措置の延長 不動産の譲渡契約書及び工事請負契約書にかかる印紙税を廃止する 廃止できなければ特例措置の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長 する 区 分 軽減措置 本 則 1,000 万円超 ~5,000 万円以下 10,000 円 20,000 円 5,000 万円 ~ 1 億円 30,000 円 60,000 円 1 億円 ~ 5 億円 60,000 円 100,000 円 5 億円 ~ 10 億円 160,000 円 200,000 円 10 億円 ~ 50 億円 320,000 円 400,000 円 50 億円 480,000 円 600,000 円 住宅取得時のコストを軽減することはもとより 不動産取引の活性化を図るため 原則廃止すべきである 3. 土地の固定資産税 都市計画税の負担調整措置の延長 土地に係る固定資産税について 現行の負担調整措置を維持した上で市町村等の判断により一定の税負担引下げを可能とする特例措置 ( 条例減額制度 ) の適用期限 ( 平成 30 年 3 月 31 日 ) を延長する 三大都市圏及び地方中核都市の地価が上昇局面にある中で 税負担が過重とならないよう引き続き特例措置を講じる必要がある 4. 住宅地における良好な街並みの維持に資する相続税の非課税制度の創設 被相続人が居住していた住宅を 同居していた相続人が相続し居住した場合には その住宅及びその敷地について相続税を非課税とする 相続対策の一環として 住宅の取り壊しを含む敷地の一部又は全部の売 却により 細分化や不整形化が行われ 住宅地の当初の開発理念を維持することが困難となり 良好な居住環境が悪化している事例が指摘されている 6

敷地細分化を防止し良好な街並みの維持を図る取り組みを支援する観点から 地区計画または条例において敷地面積の最低限度が定められている場合については 当該敷地について非課税とする制度を創設する必要がある < 参考 相続税のない国 > スイス カナダ スウェーデン ニュージーランド オーストラリア イタリア マレーシア シンガポール タイ モナコなど 5. 個人の不動産所得に係る損益通算制限の廃止 個人の不動産所得における 土地取得のための借入金利子の損益通算制限措置を廃止する 住宅不動産投資に対するインセンティブを付与するとともに 投資事業を通した賃貸住宅の供給円滑化により 単身者の住宅ニーズに応える必要がある 以上 7