介護の知識50

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介護の知識 50 介護の知識 味を感じる力が弱い 味がしない これらは味覚障害と呼ばれます 高齢者の介護 看護では 味覚の異常と味覚の減退に注意することが大切です 味覚が減退する原因や改善に向けた介護 看護は 介護の知識 50 の 25 認知症の利用者の食べ物の吐き出しと高齢者の味覚と口腔ケアの関係 ⑴ で書かれている通りです ここでは 味覚の異常と味覚の減退について振り返り その方への食事ケアのポイントについて説明します 1) 味覚の異常 味覚の減退の原因 ⑴ 味覚の減退 25 認知症の利用者の食べ物の吐き出しと高齢者の味覚と口腔ケアの関係 参照 1 老化による味覚の減退 舌にある味を感じる器官である 味蕾細胞 は 60 歳を過ぎ ると感受性が低下 75 歳以降は減少するといわれています 2 不十分な口腔ケアによる味覚の減退 異常 食べ物の残渣や舌から剥がれた細胞 口腔内の細菌などによる舌苔に味蕾が覆われ 味を感じにくくなります 舌苔を除去しようと 舌をブラシなどで強くこすり過ぎることで 味蕾が存在する乳頭 ( 舌の表面を覆う小さな突起 ) を傷つけてしまい 味を感じにくくなります 1 3 認知症の進行による食べ物の認知の不能 先行期からの認識の低下 ⑵ 4 亜鉛不足 味蕾は早い期間で生まれ変わります この生まれ変わりに亜鉛が必要 亜鉛が不十分な状態だと 新しい味蕾が生まれません 5 薬剤の影響 薬剤性の味覚障害は高齢者に限らず 味覚障害の全体の 1/5 を占めるといわれています 薬の副作用による味覚障害の可能性については 厚生労働省が平成 23 年に発表した 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 薬物性味覚障害 参照 ⑵ 先行期からの認識の低下 私たちはこれから何を食べるか理解してから食べることで その食べ物本来の味をより明確に感じます 目隠しをして 何の食べ物か告げられていない状態で口に入ると 味だけでは食べた物がなにか分からないこともあります

2) 味覚の異常 味覚の減退を確認する状態観察のポイント 甘いものを苦いと感じるような味覚の異常 味つけが薄いと感じる ような味覚の減退があるかどうか 総合記録シートを使ったり 多職 種でミールラウンドをしたりして状態を確認します 1 味覚の異常のある方 食事量 水分量の大きなムラに注意 食事量 水分量の急激な減少に注意 食事を 苦い 酸っぱい と言っていないか に参加する各施設では 味覚の異常がある方は 食事の摂取量の急激な増減が見られるケースがあります 1 日の中で 食事量が数口の時もあれば 5 割 食べる時には 8 割の時もあるように 大きなムラがでます 1 週間の記録を見ても同様のことが起こります 水分摂取量も同様で 400~500cc のときもあれば 800 ~900cc のときもあるというように 大きな差が出ることがあります 味覚の減退のある方が 比較的ゆるやかに食事量が減少していき 水分量はあまり減っていかないのに比べて 味覚の異常のある方は 食事量 水分量ともに大きな増減を伴いながら減っていくことがあります 食事量 水分量が減っていくスピードも速いことが多いです また 甘いものを食べても 苦い 酸っぱい と言ったり お茶を飲んだ時に 苦い と言ったりすることもあります 食事についての発言にも注意しましょう 食べ物について 苦い 酸っぱい といったコメントが無くても 人によっては お腹いっぱい もう食べられない と言う方もいます 言葉通りに受けとるのではなくて 総合記録シートを確認したり ミールラウンドをしたりして 総合的に観察しましょう 2

2 味覚の減退がある方 味覚の減退がある方は食事量が減ってきたり 食事を溜め込ん だりします 認知症がある方は次の 2 つの特徴が出ることがあ ります i. 主食 ( 白米 ) が減り 副食 ( おかず ) は食べる 副食に比べて主食の味が薄いためにこのような傾向になります 主食に海苔の佃煮 鯛味噌 肉味噌 ふりかけ等のトッピングをかけた時に 摂取量が増えるかどうかを観察してください また トッピングのかかった部分とかかっていない部分で食べ方に違いがあるかどうかも確認してください こういった方は 混ぜご飯やオムライス チャーハンなど 味のついたご飯はよく食べることもあります ii. 副食が減り 主食は食べる 副食が減り 主食は食べるという摂食傾向になる方がいます 食卓に置かれた白いものは ごはん = 食べ物 という長期記憶が残り 毎日変わる副食は食べ物と認識できなくなるのではないかと考えています 認知症が進行した方に このような傾向がみられることがあります 副食がペースト食 ミキサー食 ソフト食などである場合にこのような傾向が出ることもあります ペースト食 ミキサー食 ソフト食が先行期への働きかけが弱いからです このような傾向がある方は 以下の病気が原因となって胸焼け 胃もたれがあり 食事を食べないこともあるので 既往歴は看護と協力して確認することが大切です 逆流性食道炎 胃炎 胆道系の病気 ( 胆管炎 胆石 胆のう炎など ) 食道裂孔ヘルニア上記の病気から食事が減っているのではないかと考えられる場合は 医療 栄養部門と連携し 食事内容を脂っこいものや刺激物を控えるなど 病気に適したものに変えることを検討します 3

3) 味を感じるまでの流れ食べ物と認識し 口に含み 味を感じるまでの流れは以下の通りです ( ア ) 先行期 : 五感を使って食べ物を認識する ( イ ) 準備期 : 食べ物を十分な唾液と混ざった状態で味蕾にのせる ( ウ ) 味細胞 ( 味蕾の中にある ) が何の味かを感知 ( エ ) 神経を通じて脳に味を伝える ( ア ) から ( エ ) が機能することで 十分に味を認識することができま す 4) 味覚の異常 味覚の減退に対応する食事ケア方法 1 味覚の異常 介護の知識 50 の 25 認知症の利用者の食べ物の吐き出しと高齢者の味覚と口腔ケアの関係 でも書きましたが 高齢者の介護施設で注意したい味覚の異常は次の二つがあります 再掲します 二つとも医療連携が必須です 4 i. 薬剤の影響 ( 薬物性味覚障害 ) 血管拡張剤の一部薬剤 慢性リウマチ治療薬の一部薬剤 向精神薬の一部薬剤など 薬の副作用として味覚障害が起こります 厚生労働省が平成 23 年に 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 薬物性味覚障害 を発表しています 詳細はこちらをお読みください 看護職員と連携して 当該薬剤があるかないかをチェックして 医師に相談します ii. 亜鉛不足 血液検査により亜鉛が不足していないかどうかを調べ 不足 の場合は補助食やサプリメントなどで対応します 原因が分かったら 以下の対応を行います

基礎疾患の現状把握と 薬の確認 脳梗塞や脳出血 頭部外傷により 味覚障害を起こしている場合があります 先行期での食事の認識が高まるようにします 糖尿病の合併症による神経障害 腎不全による亜鉛の排出により味覚障害が発生することもあるため 基礎疾患の把握と 病状の管理が重要となります 亜鉛の提供により味蕾の再生を促す 高齢になるにつれ味蕾は機能低下及び数の減少が進むため 積極的に味蕾が作られるよう 亜鉛 の摂取をすすめます 亜鉛は牡蠣や牛肉に多く含まれますが 栄養補助用のゼリーにも亜鉛を沢山含んだものがあります 適切な口腔ケアを行い 無駄な舌苔が無い状態を保ちます ⑶ 2 味覚の減退味覚が減退した人へのケアは栄養部門との連携が不可欠です 舌苔等をきれいにする口腔ケア 毎日の口腔ケアで口内環境の清潔を維持することが大切です 舌苔の掃除はやりすぎると舌を傷つけてしまうので 注意が必要です 専用のクリーナーで 1 日 1 回 ( ブラシで3 回こする程度 ) にします ⑶ 無駄な舌苔が無い状態を保ちます 健康な人の舌にも舌苔はあります 中央よりも舌先側に厚い舌苔が付着している場合は 少しずつ専用のブラシ等で除去します 5 味の濃いものを提供する 食事の味つけを濃くする に参加している各施設の事例では 甘いもの 塩辛いものなら食事が進む方が多くみられます とくに甘みが強いものなら食事を食べる方が多いです ペースト食 ミキサー食 ソフト食を食べている方に対しては 栄養部門と連携して 味を濃くするタレをつけてもらいます 栄養部門と連携ができない場合は しょう油 ソース マヨネーズ ケチャップ 塩 砂糖 オリゴ糖等の調味料を用意して 味を濃くする工夫をします

高血圧 心臓病 糖尿病等の既往歴 現病がある場合は 医療と連携して 医師の指示をもらうことが大切です 味の濃いものと食事を交互に提供する 食事に加えて補助食に甘みのあるゼリーがついている場合などは 食事を数口食べてもらった後 補助食を一口食べてもらうといった交互食が有効なことがあります 味覚の減退から開口が悪い方の場合にも 最初に甘みの強い食べ物を提供すると 開口を促す効果があることがあります 先行期の働きかけを強くする 何を食べるかを理解したうえで食事をすることで より明確に味を感じることができます 認知症で認知機能が低下されている方や 目をつぶって食事をされる方には 食べるものが何かを積極的にお伝えします 認知症の方にとってペースト食は食べ物としての認識が困難なものとなります 見た目だけではなく さまざまな食材が混ざっているため味の理解も困難となります 可能な限り軟菜食や食材ごとに調理されているプリン食などを提供しましょう スタッフが一緒に食事をしながらすすめることで 食べ物の認識や食べ方を思い出し 食べていただけることもあります 先行期への働きかけは五感のうち視覚への訴えかけが重要ですが 嗅覚への働きかけも大きな効果をもたらすことがあります 食事の匂いを感じてもらうことで 食べる意欲が増す方がいます 準備期 : 食べ物を十分な唾液と混ざった状態で味蕾にのせる 味蕾は水や唾液に溶けた状態の食べ物から味を感じます そのため 口の中が乾燥しきった状態で味を感じることは困難となります 唾液の分泌を促す方法としては 唾液の分泌を促すマッサージ⑷が効果的です また 食事の始めにお水や味噌汁など 口が潤うものを少量提供します 自然に唾液の分泌が促される場合があります それは その方の 好物 を提供した場合です その方にとってお好きなもののリストを用意し 食事量が低下されている場合には各種提供できるよう準備 ⑸しておきましょう ⑷ 唾液の分泌を促すマッサージ介護の知識 50 16 食事前の摂食ケア 参照 ⑸ 各種提供できるよう準備いつも同じものだけでは飽きてしまいます また 前頭側頭葉型認知症の方の場合 ある日突然好みが変わってしまうことがあるため 可能であればいくつか用意したほうが良いでしょう 6

味覚が減退されている方でも 一般的に 甘み や 味が濃いもの は認識されやすいため あんこ や 海苔の佃煮 などを食事の始めや 食間に提供します 食感や温度も味に影響があります 暖かいものは暖かく 冷たいものは冷たい状態で提供することで その食事の普段の味が感じられやすくなります その他 唾液が減少する原因としては ストレス 自律神経失調症 水分不足 降圧剤 利尿剤 抗がん剤 抗コリン薬など薬の副作用 糖尿病などの内科疾患 シェーグレン症候群などがあります 普段の水分 食事摂取の状況 服薬内容の把握 疾患の状態など 一つの要因ではなく全体を把握しておく必要があります 味覚の減退を完全に防ぐことはできません しかし 食事はいつまでも美味しく食べていただきたいものです ペースト食等に頼らなくても良い健康な咀嚼 嚥下状態を保つこと その方の好みを把握して 提供できるようにしておくこと 口腔内を清潔に保つこと お腹がすく生活を送っていただくこと 落ち着いた食事環境を用意すること 職員も一緒に美味しく食事をすること 適温の食事を提供すること 関わりの中で美味しく食事をしていただくことができる方法は沢山あります あきらめず 探していきましょう また 入居系の施設であれば その施設の食事を職員も食べてみましょう 私たちが美味しいと感じられるものを 自信を持って 美味しいですよ と言って提供したいものです 7