3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生

Similar documents
2部.indd

多様な関係機関を巻き込んだ 包括的な質向上システムの構築が必要 長野県幼児教育振興基本方針 ( 仮称 ) の策定 幼児教育の質向上推進の中心的機能を担うセンターの立ち上げを視野に入れる センターの機能 ( 想定 ) 〇幼児教育関係課 団体 大学等をつなぐ 既存の枠組みを超え 幼児教育に関わる教育 行

1 国の動向 平成 17 年 1 月に中央教育審議会答申 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について が出されました この答申では 幼稚園 保育所 ( 園 ) の別なく 子どもの健やかな成長のための今後の幼児教育の在り方についての考え方がまとめられています この答申を踏まえ

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

子ども・子育て支援新制度における教育委員会の役割について 3

幼児期の教育と小学校教育との円滑な接続の在り方について ( 報告 ) ( 概要 ) 子どもの発達や学びの連続性を踏まえた幼児期の教育 ( 幼稚園 保育所 認定こども園における教育 ) と児童期の教育 ( 小学校における教育 ) の円滑な接続の在り方について検討し 以下のとおり 報告をとりまとめた 1

幼児教育概要版案 xbd

新しい幼稚園教育要領について

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

Microsoft Word - 推進ビジョン(奥付:推進室)

子ども・子育て支援新制度における教育委員会の役割について

< F2D81758DF492E882C982A082BD82C182C C789C E682508FCD816A2E6A7464>

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

<4D F736F F D F81798E9197BF94D48D A95CA8E B8CA782CC8EE691678FF38BB581698B6096B18B4C8DDA92F990B38CE3816A2E646

第 1 章 札幌市幼児教育振興計画の策定 本計画は 主に幼稚園教育を対象とする 本計画は 平成 18 年度から概ね10 年間を計画期間とし 今後はこの方向性に基づいて早期に具体的な施策 ( アクションプログラム ) を打ち出していく 本計画は 社会情勢の変化などに対応し 必要に応じて計画の見直しを行

Taro-平成30年度 幼児教育に関す

目 次 1. 策定の趣旨 2 2. 基本理念 2 3. 計画の期間及び推進状況の把握 2 4. 計画の対象 2 5. 第 1 次計画 における成果と課題 2 (1) 成果 2 (2) 課題 3 6. 計画の全体構想図 3 7. 推進事業 4 (1) 家庭における読書活動の推進 4 (2) 地域 図書

ポイント 1: 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解する 保幼小の円滑な接続に向けて まずは 幼児教育と小学校教育の特徴や違いを理解することが重要です 幼児教育 幼児期の教育では 幼児の自発的な活動としての 遊び を通して 様々な体験や学びの芽生えを積み重ねることができるよう 保育者が環境を構成し

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

目 次 第 1 章趣旨 1 第 2 章プログラムの位置付け 2 第 3 章基本的な考え方 2 第 4 章育てたい幼児像 3 第 5 章これまでの取り組み 3 第 6 章基本施策 5 1. 保育所 幼稚園 認定こども園等における充実した幼児教育の提供 2. 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

 

はじめに P1 Ⅰ 豊後大野市幼児教育の現状と課題 P2~3 1 幼児数の変遷... P2 2 幼児教育の現状... P2~3 3 幼児教育の課題... P3 Ⅱ 豊後大野市幼児教育の基本方針 P4~7 1 豊後大野市幼児教育の基本... P4 2 豊後大野市幼児教育のねらい... P5 (1) 育

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

補足説明資料_教員資格認定試験

(2) 施設の状況 幼稚園施設は 昭和 50 年前後に建築され 築 30 年以上が経過しています ( 表 2) ( 表 2) 公立幼稚園施設一覧 施設名称 竣工年月 構造 階数 酒匂幼稚園 昭和 48 年 2 月 鉄筋コンクリート造 ( 一部鉄骨造 ) 地上 2 階 東富水幼稚園 昭和 46 年 3

地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターの設置及び「幼児教育アドバイザー」の育成・配置に関する調査研究 実施報告書(2年次)(4)

幼保連携型認定こども園教育・保育要領 中央説明会

Taro-自立活動とは

第3部 次世代育成支援対策(前期行動計画) 第3章 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

調査実施概況 小学校 ( 都道府県 ( 指定都市除く )) 教育委員会数 ( 1) 学校数児童数 ( 2) 全体 実施数 調査対象者在籍学校数 実施数国語 A 国語 B 主体的 対話的で深い学びに関する状況 ( 3) 算数 A 算数 B 質問紙 平均正答率 13~15 問 国語


1 幼児期の教育 保育と小学校教育の違い 幼児期の教育 保育と小学校の教育では 発達の段階の違いだけでなく 教育課程等の違いもあります まずは相互を理解することが必要です 幼児期の教育 保育と小学校教育との間には このように教育課程や指導方法の相違点がある一方で 5 歳児から小学校低学年までの発達の

愛媛県学力向上5か年計画

幼児教育とは: 幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂を受けて

目 次 1. 基本的な考え方 1 2. 幼児教育の振興方策 (1) 幼児教育の質の向上 2 (2) 質の高い幼児教育の提供体制の確保 7 (3) 幼児教育の段階的無償化の推進 12 (4) 幼児教育の充実のための財政支援の充実 13 (5) 新制度の検証 幼児教育振興法 ( 仮称 ) の

幼稚園前半CS2.indd

ぐんま幼児教育センターだより№33①

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

PowerPoint プレゼンテーション

の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

Taro-renkei.jtd

平成28年度幼児教育実態調査

スライド 1


15

<4D F736F F D E937893FC8A778E8E8CB196E291E8>


2 次 2 次 率 2 次 2 次 大阪教育 ( 教育 - 小中 - 保健体育 ) 69 ( 教育 - 中等 - 保健体育 ) 奈良教育 ( 教育 - 教科 - 英語 ( 中 )) 55.0 山口 ( 教育 - 学校 - 国語 ) 50.0 ( 教育 - 学校 - 英語 ) 52.5 福岡教育 (

Microsoft Word - (パブコメ用)就学前あり方基本方針案.docx

1

主な取組 質の高い幼児教育の推進 幼稚園教育要領の内容の定着を図るため幼稚園において 幼児の実態等を踏まえた適切な教育課程を編成し 家庭や地域と連携 協力しつつ幼児教育を推進します 幼稚園において運動遊びを充実させ 幼児の体力向上を目指します ふかやこども園モデル園運営事業に係る3 歳児受入れ 平日

に教室の中を立ち歩いたり 教室の外へ出て行ったりする 68.5% 次に 担任の指示通りに行動しない 62.1% などとなっている また 不適応状況の発生の予防に効果的と思われる対応策 ( 図 2) 6 として最も多かったのが 学級担任の援助となる指導員等の配置 校長 61.4% 教諭 61.0% 次

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

学習指導要領改訂の方向性

< F2D318BB388E789DB92F682CC8AC7979D F >

1 大学等を卒業して小学校教諭普通免許状を取得する ( 免許法別表第 1) 基礎資格 種類 基礎資格 専修 修士の学位 ( 大学 ( 短期大学を除く ) の専攻科又は大学院に1 年以上在学し,30 単位以上修得した場合を含む ) 一種 学士の学位 ( 学校教育法第 102 条第 2 項により大学院へ

Microsoft Word 教育課程の編成

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

1 小学校入学前の子どもの学びとは 幼児期の生活のほとんどは 遊びによって占められています 子どもは遊びを中心として 頭も心も体も動かして様々な対象と直接関わりながら 総合的に学んでいます (1) 幼児教育と子どもの学び 幼稚園の遊びの一場面子どもたちがものを転がす遊びに集中しています 子どもたちは

<4D F736F F D D AD8DF48D8096DA C82A982C89053>

生きる力と絆の埼玉教育プラン 基本目標 施策 教育に関する 3 つの達成目標 の推進 現状と課題 近年 子どもたちの学習意欲 学力 体力の低下 規範意識の欠如などが指摘されています このため 学校 家庭 地域が連携して教育活動を展開し 知 徳 体の基礎を確実に身に付けさせる必要があります 施策の方向

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章現状と課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 10 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入る前 幼児教

1

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

北九州市学力向上ステップアップ事業第Ⅱ期推進指定校 実施計画

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)


領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

説明会の内容 1 事業計画について 1 2 認定こども園について 2 3 認定こども園での教育 保育について 3 4 認定こども園の概要 ( 案 ) について 1 施設の所在等 2 施設の規模 3 開園時期 4 主な配置施設 5 5 認定区分 6 保育日及び保育時間 7 利 定員 6 8 認定区分に

大村市子ども読書活動推進計画(素案)

< C197E C896DA F83582E786C73>

28表紙doc

60 金沢星稜大学人間科学研究第 11 巻第 2 号平成 30 年 2 月 要領を主な資料として内容を分析 考察する (1) 乳児保育に関わる ねらい及び内容 の3 視点,1 歳以上 3 歳未満児及び3 歳以上児に関わる ねらい及び内容 の5 領域, 幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿, 小学

Microsoft PowerPoint 森ㆨè⁄ªç—¶ã‡™æ´»çfl¨ã†Šã†�ä¿šè‡²å¹¼å–’æŁŽè‡²ã†«éŒ¢ã†Žã‡‰è⁄ªæ²»ä½fi剛強ä¼ı-è³⁄挎(山呣朕絇盋).pptx

H30全国HP

<4D F736F F D20906C8CA08BB388E E646F63>

草津市 ( 幼保一体化 ) 集計表 資料 4 幼児教育と保育の一体的提供のための現況調査 ( 施設アンケート ) 速報 平成 25 年 7 月草津市 1

1. 基本的な考え方 [1] 基本理念幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである 幼児期の子どもは 生活や遊び等の具体的な活動を通して生きる力の基礎となる心情 意欲が育ち 習慣や態度を身に付ける 人間としての発達や社会の変化に主体的に対応し得る能力の育成等を図る上で この時期に児

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

情報コーナー用

基本方針 これまでも幼稚園は幼稚園教育要領に 保育園は保育所保育指針に基づいた幼児教育 保育を展開してきた また 平成 20 年 3 月の大幅な改定により 3 歳児から5 歳児の教育に関する内容では整合性が図られている しかし 統一されたカリキュラムがないことで 幼稚園と保育園の内容に違いがあるかの

幼児教育 保育の無償化の実施について 1 子ども 子育て支援新制度の趣旨に沿った無償化の実施を! 子ども 子育て支援新制度 では 一人ひとりの子どもが健やかに成長することができる社会 子どもの最善の利益が実現される社会を目指しています まずこの目指すべき姿に沿った幼児教育 保育の無償化を図るべきです

調査結果からの考察 幼稚園や保育園から小 1 の接続期は 幼児期から児童期に入り 学習生活が始まる重要な時期です なかでも 年長児期に 生活習慣 や 学びに向かう力 の がんばる力 文字 数 思考 の 言葉 が身についている子どもほど 小 1 で 自ら進んで学ぶ 傾向にあることがわかりました 年長児

エコポリスセンターとの打合せ内容 2007

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

小中連携による豊かな人権感覚と

【参考資料1】審議のまとめ反映版

Microsoft PowerPoint - 幼稚園教育要領の改訂について

< 先生方へ > 長崎県学力向上推進協議会では 子どもに確かな学力をつけていくためには 何 が大切か また 学力の向上を阻害している要因は何かなどについて 検討を重ね ています その中から次のようなことが指摘されました 1 家庭で毎日決まった時間に学習をする習慣をつけることが大切である 2 食事や睡

基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

別紙1 H28体制整備

Transcription:

資料 2 幼児教育について 1 現状と課題 (1) 本県における幼稚園 幼保連携型認定こども園 保育所の状況 1 本県の幼稚園 幼保連携型認定こども園 ( 以下 認定こども園 という ) 保育所 に通う3~5 歳児は 41,941 人 ( 平成 29 年 5 月 1 日現在 ) です 幼稚園 認定こども園 保育所 国公立 私立 公立 私立 公立 私立 施設数 142 53 5 16 215 186 4 5 歳児 5,900 6,366 229 650 7,984 8,055 3 歳児 1,269 3,126 120 329 3,958 3,955 国公 私立別計 7,169 9,492 349 979 11,942 12,010 割合 17.1% 22.6% 0.8% 2.3% 28.5% 28.6% 施設別計 16,661 1,328 23,952 割合 39.7% 3.2% 57.1% 3~5 歳児数計 41,941 資料 : 三重県 学校基本調査 福祉行政報告例 ( 注 ) 休止中の施設は施設数に含まない 2 本県における幼児教育については 幼稚園が 39.7% 認定こども園が 3.2% 保育所が 57.1% で 保育所に通う子どもが多く 公私の割合では 国公立 46.4% 私立 53.6% と私立が多い状況です (2) 幼児教育を巡る状況 1 幼児期の教育については 生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであること ( 教育基本法 ) や 義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして 幼児を保育し 幼児の健やかな成長のために環境を整えて その心身の発達を助長することを目的とすること ( 学校教育法 ) などと位置付けられています 2 忍耐力や自己制御 自尊心といった社会情動的スキルやいわゆる非認知的能力といったものを幼児期に身に付けることが 大人になってからの生活に大きな差を生じさせるという研究結果をはじめ 幼児期における語彙数 多様な運動経験などがその後の学力 運動能力に大きな影響を与えるという調査結果などから 幼児教育の重要性への認識が高まっています 1

3 平成 29 年 3 月に幼稚園教育要領 保育所保育指針 幼保連携型認定こども園教育 保育要領が改訂され 来年度から全面実施されます 新幼稚園教育要領等では 改訂の基本的な方針として 1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿 の明確化 健康な心と体 自立心 協同性 道徳性 規範意識の芽生え 社会生活との関わり 思考力の芽生え 自然との関わり 生命尊重 数量や図形 標識や文字などへの関心 感覚 言葉による伝え合い 豊かな感性と表現 2) 小学校教育との円滑な接続幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を小学校の教員と共有するなど連携を図り 幼稚園教育と小学校教育との円滑な接続を図ることなどが示されました 4 ベネッセ教育総合研究所の 幼児期から小学 1 年生の家庭教育調査 ( 平成 28 年 3 月 ) では 幼児期から小学校入学期までの子どもの学びの様子等に関して 1 生活習慣 2 文字 数 思考 3 学びに向かう力 ( 協調性 自己抑制 がんばる力など ) がそれぞれどのように影響しあいながら伸びていくかについて縦断調査が行われました それによると 子どもの学びは幼児期から小 1 期にかけて 生活習慣 が土台となり 学びに向かう力 と 文字 数 思考 が影響し合い成長していることがわかりました <ベネッセ教育総合研究所における調査の概要 > 生活習慣 学びに向かう力 文字 数 思考 については それぞれ前の学年の力が次の学年の力の成長につながっていた 年少児期の 生活習慣 が年中児期の 学びに向かう力 の成長につながり 年中児期の 学びに向かう力 ( 協調性 ) が年長児期の 言葉 の力につながっていた 年長児期の 文字 数 思考( 言葉 ) は 小 1 期の 学びに向かう力 の多くの項目につながっていた 年長児期の 生活習慣 がんばる力 言葉 が小 1 期の学習態度につながっていた (3) 小学校への円滑な接続について 1 上述のように 幼児教育は 小学校以降での生活や学習の基盤の育成につながるものであり 幼児教育において育まれた資質 能力を踏まえ 小学校教育が円滑に行われるように 幼児教育と小学校教育との円滑な接続を図ることが重要です 2 一方 幼稚園等と小学校の教育環境に違いが存在するため 子どもたちが小学校 入学時に学校生活にうまく馴染めないなどの問題 ( 小 1 プロブレム ) が指摘されて います 2

幼児教育と小学校教育の主な違い 幼児教育 小学校教育 指導形態 遊びが中心 教科学習が中心 一日の流れ 子どもの生活に合わせる 時間割に沿う 教材 身の回りの 人 もの こと 主たる教材は教科書 小 1プロブレムの例 じっと座っていられない 立ち歩いて教室から出る 話を聞かない 指示理解が弱い 3 三重県においては 幼稚園等の約 5 割で 小学校との合同学習会や合同行事等体験的な交流 ( 年複数回 ) が行われ 約 6 割の幼稚園で教育課程の編成にあたり小学校との情報交換等の連携が行われています 一方で このような幼児児童や教職員の連携 交流が教育活動全体に効果的に生かされている園や学校が限られており 幼稚園等での活動が小学校の生活や学びにつながらなかったり 小学校での活動が幼稚園等での経験や育んできた力を踏まえたものとならなかったりするという指摘もされています このため 幼児教育から小学校教育への円滑な接続に資する 効果的な保育 教育活動や連携 交流を進めていく必要があります 幼小の連携の状況 幼稚園等と小学校の合同学習会や合同行事等体験的な交流の実施状況( 年 2 回以上 ) 54.7%( 公立幼稚園 :87.6% 保育所 認定こども園 私立幼稚園:44.3%) 平成 28 年度実績 ( 三重県教育委員会調べ ) 幼稚園と小学校の教育課程の編成にあたり 小学校との情報交換等の連携を行った幼稚園の連携割合平成 27 年度三重県 60.8% 全国 59.5% 文部科学省平成 28 年度幼児教育実態調査 2 本県の主な取組 (1) 小学校教育への円滑な接続に向けた取組の推進〇三重県の子どもたちが発達段階に応じ切れ目なく体系的に必要な資質 能力を育むため 接続期 (5 歳児後半から1 年生 7 月 ) における保育 教育活動 指導の工夫などをまとめた 三重県保幼小接続カリキュラム ( 仮称 ) を作成しています 教育委員会 < 参考資料 4: 三重県保幼小接続カリキュラム ( 仮称 ) の概要 > カリキュラムのポイント 1 幼稚園教育要領や学習指導要領等を踏まえ 円滑な接続のため幼児期に育みたい子どもの姿を具体的に示す 2 円滑な接続のため幼児期に育みたい子どもの姿には 三重県として大事にしたい 自己肯定感 命を大切にする心 確かな学びにつながる 学びの芽生え などを盛り込む 3

3 幼稚園等と小学校の生活 学びの特徴や違い 円滑な接続の必要性などについて 記述するとともに 円滑な接続のための保育 教育活動 指導の工夫を記述し 教職員が指導等に活かせるようにする 他県等における保幼小接続カリキュラムの作成状況 平成 20~27 年度の間に保幼小接続カリキュラム ( 及びそれに準ずるもの ) を作成している都道府県は7 都県 ( 東京都 埼玉県 富山県 愛知県 福井県 山口県 大分県 ) です 岐阜県と奈良県は 今年度中の完成を目指し作成中です ( 国立教育政策研究所の調査 ) (2) 幼稚園等における教育 保育活動の充実〇野外体験保育の普及 啓発を図るため 野外体験保育リーフレットの配布 幼稚園教諭 保育士等を対象とした野外体験保育事例研究会の開催 幼稚園等への野外体験保育アドバイザーの派遣を実施しています 子ども 家庭局 〇 CLM(Check List In Mie) と個別の指導計画 や市町の専門的な職員等を活用し 発達障がいなど特別な支援を必要とする子どもたちへのきめ細かな支援が行えるよう取り組んでいます また 幼稚園等における教育 子育て相談機能の充実に取り組んでいます 小学校への就学にあたっては CLM 等の指導 支援に必要な情報が円滑に引き継がれるよう市町教育委員会に働きかけるとともに パーソナルカルテを活用した切れ目ない支援体制の充実を図っています 子ども 家庭局 教育委員会 CLM(Check List In Mie): 幼稚園等に通う発達障がい児等の行動等を観察し 個別の指導計画を作成するためのアセスメントツール (3) 幼児教育を担う人材の資質向上〇新規採用教員研修や教職経験 11 年次研修の実施幼稚園等と小学校が相互に保育 授業を参観したり 指導内容や指導方法について交流したりして 相互理解を図っています ( 平成 29 年度は 新規採用教員研修受講者 23 名 教職経験 11 年次研修受講者 11 名 ) また保育士を対象に含めた乳幼児教育に関する講座も併せて実施しています ( 平成 29 年度は 幼稚園教諭延べ 205 名 保育教諭延べ 42 名 保育士延べ 70 名 ) 教育委員会 〇園長等に対する研修小中学校 県立学校の管理職と合同で 園 学校経営の改善や災害時におけるリーダーシップ等 管理職に求められる役割に関する講座を設けています 教育委員会 幼稚園教諭 保育教諭 保育士等に対する研修新任の保育士 保育教諭を対象とした就業継続支援研修 ( 平成 29 年度の参加者数は 205 名 ) を実施するとともに 保育所経営者 管理者を対象として 職場環境改善やトップマネジメント能力の向上等のための研修を実施しています 子ども 家庭局 4

また 幼稚園教諭 保育教諭 保育士を対象とした就学前元気アップ研修会を開催し 幼児期からの運動遊びをとおした基礎的な動きづくりの指導法について学んでいます ( 受講者 58 名 ) 教育委員会 3 取組事例 (1) 名張市の取組名張市では 名張市子どもセンターを拠点として 0 歳から 18 歳までの教育 福祉の充実を目指した取り組みを進めています 具体的には 保育所 幼稚園 小学校 中学校の 10 年間を見据えた 接続期のカリキュラムしっかりつなぐ育ちのバトンカリキュラム ( 試行版 ) 作成し 有効な手立て 指導方法についての実践を進めています 幼児教育アドバイザー 2 名が小学校 幼稚園等を巡回し 接続期の児童の状況を把握するとともに 有効な指導内容 指導方法 手だてを探り 接続期のカリキュラム の作成に生かしています 園内体制整備や教員の支援 指導力向上のための研修を行っています 平成 30 年度からは 教職員のOBが ピカ1 先生 となって各園を巡回し 接続カリキュラムに基づく取組を実践するとともに 幼稚園等の指導等に生かす ばりっ子ピカピカ小 1 学級体験プロジェクト を実施予定です (2) 東員町の取組 (16 年一貫教育の取組 ) 東員町では 平成 25 年度から 16 年間一貫教育プランに基づいた実践を展開しており 自立する力 と ともに生きる力 の育成を目標として 基本的信頼感 自己肯定感 自己有能感を育んでいます 具体的には 0 歳から中学生にかけて町選定の 301 冊の読書に取り組む 読書登山 漢字や敬語など国語のテキストで学習したことをもとに挑戦する 東員学び検定 なわとびで 交差とび や 二重とび などがどれくらいできたかによって級を認定する なわとび検定 メニューを考え 買い物 調理 後片付けまで行う 自分で作る弁当の日 などを実施しています 幼児期においては 親子の一対一の時間の充実を大切にし 50 冊の読み聞かせを行う 読書登山 親子で行う発達段階に応じた運動プログラム 幼稚園等で育てた野菜を使って家庭で調理する親子クッキングこれらの子どもたちが達成感を味わうことができる仕掛けを通じて 自己肯定感や自己有能感等の育成につなげています 実際に 幼稚園等の子どもたちは 食べられなかった野菜を食べられるようになるなど 様々なことに意欲的に取り組めるようになっています また 小学校入学時には落ち着いて学校生活に臨んでいる様子が見られます 5

4 今後の取組の方向性 保幼小接続カリキュラムについては 保育 教育の場で積極的に生かされるよう カリキュラムに沿った実践事例を収集するとともに 研修等様々な機会を通じて積極的にカリキュラムの周知 啓発を図ります また 専門家 幼稚園等担当職員 小学校教員 保護者 地域住民などからカリキュラムについて意見を得る機会を設け カリキュラム策定後もカリキュラムの更なる活用 改善に取り組みます 幼児期に育みたい資質 能力を効果的に育成するため 生活習慣 自己肯定感 規範意識 思考の芽生えなどをテーマに 声掛けや保育 教育活動の工夫などについて 専門家の指導 助言を受けながら 幼稚園等で実践的な研究と成果の普及に取り組みます 6