主張2-①-(1)

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( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

はじめに 2025 年度に向けた医療 医療保険制度改革について 目次 総覧表 P1 基本的な考え方 P4 個別項目に関する主張 P 年度に向けた国民医療費等の推計 P62

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健康保険組合に加入の皆さまへ 健康保険組合に加入の皆さまには 平素より格別のご高配を賜り 厚くお礼申し上げます 健康保険組合は 事業主と加入者が連携し 自主 自立の精神で運営を行うなかで 民間の創意工夫をもとに加入者の健康保持 増進 疾病予防に取り組んできました 最近では特定健康診査 ( 特定健診

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Microsoft Word - M 平成30年度診療報酬改定の基本方針

消費税 5% 引上げによる社会保障制度の安定財源確保 消費税率 ( 国 地方 ) を 2014 年 4 月より 8% へ 2017 年 4 月より 10% へ段階的に引上げ 消費税収の使い途は 国分については これまで高齢者 3 経費 ( 基礎年金 老人医療 介護 ) となっていたが 今回 社会保障

スライド 1

<4D F736F F F696E74202D C68DDF94ED8A518ED282C982C282A282C A5F8F4390B3292E E707074>

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国 都道府県による財政リスクの軽減 運営については 保険料徴収は市町村が行い 財政運営は都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行う 広域連合の財政リスクの軽減については 国 都道府県が共同して責任を果たす仕組みとする 2 年単位の財政運営 負担 負担 高額医療費に係る公費負担 給付増リスク 後期

平成 30 年 4 月からの制度改正で 市区町村は都道府県と一緒に 国民健康保険を運営していきます Q なぜ制度改正をするの? 国保は会社勤めの方々が加入している保険と比べて 1 国保加入者の平均年齢が高い また 医療費も高額になりやすい 2 国保加入者は非正規労働者や定年退職者が多く 保険税の負担

参考資料

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

Microsoft PowerPoint - 7.【資料3】国民健康保険料(税)の賦課(課税)限度額について

東部-2

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)

金のみの場合は年収 28 万円以上 1 年金収入以外の所得がある場合は合計所得金額 2 16 万円以上が対象となる ただし 合計所得金額が16 万円以上であっても 同一世帯の介護保険の第 1 号被保険者 (65 歳以上 ) の年金収入やその他の合計所得が単身世帯で28 万円 2 人以上世帯で346

【参考資料2】費用負担

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4月20日(水)衆・厚労委 古屋範子議員の議事録(抜粋)

議題1 介護納付金課税額に係る税率及び課税限度額について(諮問)

健康保険とは?[ 健康保険組合 ] 健康保険に加入する人は?[ 被保険者 / 被扶養者 ] 保険証が交付されます [ 保険証 ] 保険料を納めます [ 標準報酬月額 / 保険料率 ] いろいろな保険給付 [ 保険給付 ] 病気やけがをしたとき [ 療養の給付 / 入院時食事療養費 ] 医療費が高額に

<4D F736F F F696E74202D F8E9197BF D828A7A97C3977B94EF82CC8CA992BC82B582C982C282A282C42E >

持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案の概要 持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として 持続可能な医療保険制度を構築するため 国保をはじめとする医療保険制度の財政基盤の安定化 負担の公平化 医療費適正化の推進 患者申出療養

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

Ⅱ. 赤字の解消計画 Ⅱ (1) 赤字解消のための基本方針 Ⅱ (2) 赤字解消のための具体的取組 国保は構造的な問題を抱えており 被保険者の保険料負担軽減のために法定外繰入金を繰入れているといった状況は 全国的な状況であることから 国は全国で約 3,400 億円の公費を拡充し 国保の財政基盤の強化

2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

医療費適正化計画の概要について 国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から 医療費適正化を総合的かつ計画的に推進するため 国 都道府県は 医療費適正化計画を定めている 根拠法 : 高齢者の医療の確保に関する法律作成主体 : 国 都道府県計画期間 :5 年 ( 第 1 期 : 平成 20~24

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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健保組合の概況 適用状況 適用状況 (2012 年度予算 ) 組単一 1,170 組合合数総合 265 組合 計 1,435 組合加入被保険者数 15,621,006 人者被扶養者数 13,875,379 人数計 29,496,385 人 平均標準報酬月額 平均標準賞与額 361,579 円 1,0

制度 後期高齢者医療制度とは 3 資格 被保険者 4 被保険者証 保険証 5 保険料の算定 6 保険料の納付方法 7 保険料の軽減と納付相談 8 お医者さんにかかるときの自己負担割合 10 療養費 12 接骨院 整骨院 柔道整復 のかかり方 13 訪問看護療養費 移送費 13 高額療養費 14 特定

○国民健康保険税について

スライド 1

平成 29 年 11 月 1 日 ( 水 ) 第 3 回立川市国民健康保険運営協議会 資料 1 国民健康保険の保険料

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

国民健康保険税率等の諮問 について 国立市健康福祉部健康増進課国民健康保険係 国立市富士見台 : ( 代表 ) 内線

資料№1

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1. 制度趣旨関連 問 1 なぜ 制度の見直しが必要なのですか? 国保制度は 年齢構成が高く医療費水準が高い 所得水準が低く保険料負担が重い 小規模な運営主体 ( 市町村 ) が多く財政が不安定になりやすい などといった構造的な課題を抱えています また 市町村ごとに運営されているため 被保険者の医療

(案)

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

【事務連絡】「高額療養費制度の見直しに関するQ&A」の送付について

平成 30 年 5 月 21 日 ( 月 ) 平成 30 年第 6 回経済財政諮問会議資料 4-1( 加藤臨時議員提出資料 ) 資料 年を見据えた社会保障の将来見通し ( 議論の素材 ) 平成 30 年 5 月 28 日 厚生労働省

2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 医療保険は社会保険を構成する1つです 医療保険制度の仕組みや給付について説明していきます 医療保険制度 医療保険制度は すべての国民に医療を提供することを目的とした制

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別紙2

任意継続被保険者制度について

[高額療養費制度について] 医療費による経済的な負担を軽くするための高額療養費制度という制度があります 医療費が高額になりそうな時には あらかじめ限度額適用認定証などの所得の 認定証 の交付を受けて医療機関の窓口で提示することで 入院 外来診療ともに窓 口での支払いを自己負担限度額までにとどめること

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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自分にあった健康保険を見つけよう! それぞれの健康保険の特徴を踏まえ 自分にあった健康保険を選ぶようにしましょう! 今までの収入 扶養家族の有無によって どの健康保険に加入するとメリットがあるか 参考にしてください 健康保険の被保険者資格を喪失 再就職しない 再就職する 就職先の健康保険に加入できな

保険年金管理課資料編

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

年金改革の骨格に関する方向性と論点について

任意継続被保険者制度について

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平成 29 年 4 月から 保険料の軽減率が変わります 後期高齢者医療保険料は 1 被保険者全員に納めていただく定額部分 ( 均等割 ) と 2 所得に応じて納めていただく部分 ( 所得割 ) があります 平成 29 年 4 月から 保険料が下のように変わります 1 均等割の額が変わる方 元被扶養者

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

第2期データヘルス計画について

Microsoft Word - pe_27.docx

(2) 事業別歳出決算額一覧表 ( 国民健康保険特別会計 )[2/7] 単位 : 千円 02 目 : 退職被保険者等療養給付費 国庫支出金 0 退職被保険者等保険給保険年金課 111,987 都支出金 0 退職被保険者等の療養の給付について 保険者が負担する診療報酬

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

医療保険制度 医療保険制度は 国民の疾病 負傷などについて必要な医療その他の給付を保険をもって行う制度で 昭和 3 6 年以来 原則としてすべての国民が医療保険に加入し 相互扶助により医療給付を行う 国民皆保険制度 が導入されている 医療保険制度の中で中核をなすものは 健康保険法 国民健康保険法 お

Microsoft Word - 第10回消費税分科会資料税1-1(1月6日段階暫定)④

平成 27 年 1 月から難病医療費助成制度が変わりました! (H26 年 12 月末までに旧制度の医療費助成を受けている人は 3 年間の経過措置 を受けられます ) 分かり難い場合は協会又は自治体の窓口へお問い合わせください H27 年 1 月からの新制度 1. 難病医療費助成の対象は ALS 重

計画の今後の方向性

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健保連業務支援 G 補足資料 高額療養費の制度改正事項 平成 29 年 8 月施行 1 の引き上げ ( 対象 :70 歳以上の者 ) 1 70 歳以上の外来におけるの引き上げ 70 歳以上の外来におけるが これまでの一般ので 12,000 円 現役並みので 44,400 円だったものが 一般ので 1

< 現行 > 対象者医療区分 Ⅰ(Ⅱ Ⅲ 以外の者 ) 1 * 医療の必要性の低い者医療区分 Ⅱ Ⅲ 1 2 * 医療の必要性の高い者 ( 指定難病患者を除く ) 3 指定難病患者 2 生活療養標準負担額のうちにかかる部分 1 日につき32 1 日につき 1 日につき < 見直し後 > 対象者医療区

(2) 保険料の算定に関する基本的な方針 1 保険料負担の水準保険料負担の水準については 計画の対象期間である3 年間を通じ おおむね財政の均衡を確保することが可能となるよう 保険料を算定します したがって 人口の高齢化が進展する中では 保険給付が増大することに伴い 保険料負担が増大することは 避け

介護保険制度 介護保険料に関する Q&A 御前崎市高齢者支援課 平成 30 年 12 月 vol.1

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

日本における医療制度の改革-2006年6月の「健康保険法等の改正」の目指すもの

H23修正版

「中医協・医療経済実態調査(保険者調査)-平成19年6月実施-」について

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地域医療構想の概要 1 地域医療構想の位置づけ 平成 25 年 3 月に 医療法に基づき 本県の疾病対策及び医療提供体制の基本方針である第 6 期岐阜県保健医療計画を策定した 平成 27 年 4 月に施行された改正医療法に基づき 保健医療計画の一部として 将来 (2025 年 ) あるべき医療提供体

一般会計負担の考え方

「民主党の政権政策マニフェスト2009」に対する日本医師会の見解

財政再計算に向けて.indd

あっせん文(国民健康保険における限度額適用・標準負担額減額認定証 の申請に係る被保険者の負担軽減)

はじめに この冊子では タルグレチンによる皮膚 T 細胞性リンパ腫の治療を受ける方に対して 高額療養費制度を活用した時の医療費 ( 自己負担限度額 ) がどのくらいかかるかを紹介しています 高額療養費制度では 年齢や所得によって自己負担限度額が異なります 自己負担限度額の計算例も示していますので ご

2018年8月改定対応(高額療養費制度の見直し)

厚生年金 健康保険の強制適用となる者の推計 粗い推計 民間給与実態統計調査 ( 平成 22 年 ) 国税庁 5,479 万人 ( 年間平均 ) 厚生年金 健康保険の強制被保険者の可能性が高い者の総数は 5,479 万人 - 約 681 万人 - 約 120 万人 = 約 4,678 万人 従業員五人

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(2)28 年度予算に比べ赤字額が 1,688 億円増加した 収入面では前年度と比較して 被保険者数が 2.29% と大きく伸び 平均保険料率が ポイント上昇したため 保険料収入が 2,311 億円 3.00% 増加した 一方 支出面では拠出金が 2,382 億円 7.23% の大幅増と

H28秋_24地方税財源

(問)被用者保険の被扶養者に対する2年間の経過措置になる軽減額は、他の被保険者の保険料で補填すると考えてよいのか

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高額療養費制度とは 高額療養費の支給を受けるには 健康保険限度額適用認定証 記号 交付 番号 氏名 生 適用対象者 入院時の食事負担や差額ベッド代等は含みません 1 氏名 生 住所 発効 有効期限 適用区分 保 険 者 健 康 保 険 証 に記載されています に交付申請し 事前に 認 定 証 1 を

スライド 1

<4D F736F F F696E74202D D9196AF88E397C BA68B6389EF918D89EF814088E397C382CC8FC19国民医療を守るための国民運動 医療の消費税問題と日本

Transcription:

資料 No.5 (H29.9.25) 2025 年度に向けた医療 医療保険制度改革について ( 個別項目に関する主張 ) 2017 年 9 月 健康保険組合連合会

主張 1-1-(1) 拠出金負担の上限を50% に設定し 上限を超える分は国庫負担とすべき 2025 年度には 健保組合の高齢者医療への拠出金割合は平均 50.7% に達し 加入者への医療給付費を上回る 拠出金割合が 50% 以上の健保組合も 870 組合にのぼり 全組合の 62% を占める 高 拠出金負担の上限 50% = 加入者への医療給付費を超える高齢者への拠出金額を国庫負担とする 負担額 低 定給付費)加入者への医療給付費(法 高齢者への拠出金 2025 年には 健保組合の被保険者 1 人当たり保険料額 (65.7 万円 ) のうち 加入者への医療給付費分は 30.3 万円 高齢者への拠出金分は 31.2 万円となり 拠出金分が加入者分を上回る見込み 拠出金の上限を加入者への医療給付費までとし これを超える部分 ( 被保険者 1 人当たり約 1 万円 ) を国庫で負担するしくみに改革する 現行制度には 拠出金の負担割合に着目した 負担調整 のしくみがあるが 2017 年度は拠出金割合 52% が上限 ( 上限を超えた分は全保険者で再按分 ) となっている このしくみを拡大し 拠出金の上限を 50% に引き下げ 上限を超えた分は国庫負担とすべき 2

主張 1-1-(1) 現行の 負担調整 を拡充することで拠出金の上限設定を実現 現行の 負担調整 は 拠出金負担の著しく重い保険者について 一定の上限を設けて負担を軽減するしくみ 軽減分は 全保険者で再按分され 国庫負担は入らない また 対象は負担割合上位 3% に限定されている このしくみを拡充し 拠出金負担の上限を 50% とし これを超える保険者は全て対象にして 50% を超える部分は全額国庫負担とすべき 義務的経費に占める拠出金の割合高低1 人当たり約 90 円程度 高齢者への拠出金義務的経費 (= 加入者への医療給付費 + 拠出金 ) 拠出金額が加入者の医療費を上回ると上記の値が50% を超える 負担調整の対象外 2017 年度 義務的経費に占める ( 概算 ) 拠出金割合の上限 負担調整 52% 負担調整対象額 全保険者で再按分 負担調整の対象 負担減 負担軽減 101 保険者 (97 億円 ) うち85 健保組合 (41 億円 ) 16 共済組合 (56 億円 ) 現行制度 負担調整基準率 (2017 年度 =52%) 義務的経費に対して拠出金の占める割合が高い上位 3% の保険者が対象となるよう政令で設定 52% を超える部分は全保険者で再按分される 再按分 ( 加入者割 ) 97 億円を全保険者で再按分 3

主張 1-1-(1) 現行の 特別負担調整 を拡充し 上限を超える分は全て国庫負担とすべき 現行の 特別負担調整 は 報酬水準が低く 拠出金負担割合の高い保険者に対し 一定割合を超える部分につき 国費と全保険者の再按分により軽減するしくみ このしくみを拡充し 報酬水準が平均以下の保険者の拠出金負担は 48% を上限とし これを超える部分はすべて国庫負担とすべき 義務的経費に占める拠出金の割合高低1 人当たり約 105 円程度 報酬水準が平均以上 2017 年度 ( 概算 ) 特別負担調整対象額 全保険者で再按分 国費 1/2 報酬水準が平均以下 特別負担調整の対象 義務的経費に占める拠出金割合の上限 特別負担調整 48.3% 負担軽減 現行制度 特別負担調整基準率 (2017 年度 =48.3%) 2017 年度は 48.3% を超える部分の 1/2 は国費 100 億円 残りは全保険者で再按分 このため 軽減対象額は約 200 億円 ( 国費 100 億円 + 再按分約 100 億円 ) に限定される 軽減対象は 報酬水準が平均以下の保険者のみ (2017 年度は被保険者 1 人当たり総報酬額 563.5 万円未満 ) 負担軽減 153 健保組合 (218 億円 ) 国費 100 億円を投入 再按分 ( 加入者割 ) 118 億円を全保険者で再按分 4

[ 参考 ] 負担調整 特別負担調整 見直し案 ( 健保連案 ) の財政影響 現行の 負担調整 と 特別負担調整 の制度を次のとおり見直す 負担調整 特別負担調整 現行 健保連案 現行 健保連案 対象保険者 拠出金割合上位 3% 報酬水準要件なし 上位 3% 要件なし報酬水準要件なし 対象保険者 拠出金割合上位 10% 報酬水準平均以下 上位 10% 要件なし報酬水準平均以下 上限率 52% 50% 上限率 48.3% 48% 上限超過部分 全保険者で再按分 国庫負担 上限超過部分 国庫負担 100 億円残りを全保険者で再按分 すべて国庫負担 健保連案による国庫負担額 ( 健保連推計 / 健保組合分のみ ) 2020 年度 ( 平成 32 年度 ) 2025 年度 ( 平成 37 年度 ) 現行 (2017 年度 ) 負担調整 1070 億円 ( 該当 680 組合 ) 1920 億円 ( 該当 870 組合 ) 上限率 52% 超過部分 97 億円を再按分 ( 国庫負担なし ) 特別負担調整 600 億円 ( 該当 520 組合 ) 850 億円 ( 該当 650 組合 ) 上限率 48.3% 超過部分に対して国庫負担 100 億円 + 再按分 118 億円 計約 1700 億円約 2800 億円 5

主張 1-1-(2) 後期高齢者医療費の公費負担は50% を確保すべき 後期高齢者医療制度の財源構成は 本来 公費 50% 現役世代の負担 40% 後期高齢者の保険料 10% しかし 現役並み所得者には公費が入らないため 公費は全体で 47% にとどまり その分 ( 約 4000 億円 ) が現役世代の負担になっている 対象者数 後期高齢者医療費 (2017 年度ベース ) 75 歳以上の高齢者約 1,690 万人 16.8 兆円 ( 給付費 15.4 兆円 患者負担 1.3 兆円 ) 現役並み所得者以外の財源構成 = 約 14.6 兆円 ( 医療保険に関する基礎資料 (2014 年度 ) をもとに健保連で推計 ) 後期高齢者の保険料約 10% 現役世代の負担 ( 後期高齢者支援金 ) 約 40% 公費 50% 現役並み所得者の財源構成 = 約 0.8 兆円 後期高齢者の保険料 現役世代の負担 ( 後期高齢者支援金 ) 後期高齢者医療制度全体の財源構成 =15.4 兆円 後期高齢者の保険料 1.7 兆円 現役世代の負担 ( 後期高齢者支援金 ) 6.4 兆円 42% 公費 7.3 兆円 47% 11% 現役並み所得者は対象外 6

主張 1-1-(3) 前期高齢者納付金は必要最小限の調整にとどめるべき 国保の 65~74 歳に係る費用 ( 給付費と後期高齢者支援金 ) は 6.1 兆円 収入は 国保の前期高齢者が納める保険料は 1.5 兆円 公費は 1.3 兆円 前期高齢者交付金は 3.4 兆円 総計は 6.3 兆円となり 必要額を約 2000 億円上回っている 2014 年度予算ベース 前期高齢者にかかる支出約 6.1 兆円 前期高齢者の給付費 前期にかかる後期高齢者支援金 前期高齢者にかかる収入約 6.3 兆円 前期高齢者交付金 3.4 兆円 ( 被用者保険の納付金 ) 公費 1.3 兆円 約 2000 億円が過剰に交付されている ( 前期高齢者の保険料と公費を先に充当した場合 ) 5.4 兆円 0.7 兆円 前期高齢者の保険料 1.5 兆円 (H26.5.28 医療保険部会資料をもとに健保連で作成 ) 7

主張 1-2-(1) 後期高齢者の患者負担を 段階的に 2 割とすべき 高齢者は給付に比べて負担が極端に軽い 高齢者への医療給付費が増加の一途を辿るなか 高齢者にも応分の負担を求める改革が必要 2018 年度には 70~74 歳の患者負担がすべて 2 割になる 75 歳到達以降も引き続き 2 割負担を継続すべき 8

主張 1-3-(1) (2) (3) 国民が安心できる持続可能な医療保険制度に向けたビジョンを示すべき 消費税率の引き上げや税制の見直しにより必要な財源確保の長期見通しを示すべき 国は持続可能な医療保険制度に向けたビジョンを策定し 中長期的な税と保険料の役割や高齢者医療費の負担のあり方などを示すべき 2014 年に社会保障と税の一体改革で決められた消費税率引き上げによる増収分の配分方法を改めて見直し 高齢者医療への追加財源を確保すべき 9

主張 2-(1) 医療機能の分化 連携を推進すべき 人口構造の変化を踏まえ 過剰な急性期病床の削減等を促進し 在宅医療 介護体制を拡充すべき その上で 住み慣れた地域で医療 介護 生活支援サービスが包括的に提供される地域包括ケアシステムを早期に構築すべき また 病院と診療所の役割を整理し 機能分化 連携することで 効率化を図ることが患者にとっても重要となる 初期に診療科横断的な診断をし ゲートキーパー機能を担う総合診療専門医の育成を積極的に進めるべき 保険者としては 加入者に適切な受診行動を啓発し 重複受診 軽症ですぐに大病院 救急病院を受診する等は是正を求めていくことが必要 医療側は 限られた医療資源を活用し 最も効率的 効果的な医療を実施するとの意識に変革すべき そのため 例えば医学部教育に保険制度 ( 財政 ) の状況を組み入れるべき 10

主張 2-(2) 医療の地域間格差を是正すべき 入院や外来医療費における地域間格差が存在している (1 人当たり ) 医療費の高い地域は是正すべきで 少なくとも地域間格差を半減する施策が必要 地域ごとの病床数 入院日数 医療費等の適正化に向けて 情報公開やデータ分析による見える化を進め 患者にとって最適な医療を受けられるためにも 都道府県の地域医療構想 ( 医療計画 ) 等において格差是正の施策を設定 実行すべき 11

主張 2-(3) 終末期医療のあり方を見直すべき 厚生労働省が公表した 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン について 国民や医療機関に浸透していないことから 積極的に周知すべき 人生の最終段階における医療のあり方については 患者の意思決定を基本とし 家族 医療側と事前に十分に合意形成できる体制を構築すべき 受ける医療について 患者が 生前の意思表示 ( リビング ウィル ) を明確に書面に示す仕組みを推進すべき 患者の多くが自宅での看取りを希望しており 在宅や介護施設で看取りができる体制を構築すべき 12

主張 2-(4) 薬剤費の伸びを抑制すべき 薬価制度については 政府が基本方針に示した検討項目に沿って適正化の方向で見直すべき 薬局 薬剤師が本来果たすべき機能を十分果たしているとは言い難い 服薬指導管理 処方変更 分割調剤 ( リフィル処方 ) など 機能を発揮する体制づくりを構築すべき 特に 高齢者における多剤処方 重複投薬 残薬等の適正化に向けた体制を強化すべき 後発医薬品については 患者 医療機関 薬局 保険者が理解を深め それぞれの役割を果たしながら 更なる使用促進を図るべき 13

主張 2-(5) 保険給付範囲を見直すべき 皆保険制度の維持のため 保険の給付範囲について 除外することも含めて 改めて見直しを検討することが必要 軽症疾患用の医薬品について 保険の給付範囲から除外や償還率を変更すべきで まずは市販品類似薬から除外を進めていくべき 14

主張 2-(6) 診療報酬体系を見直すべき 診療報酬改定にあたっては 薬価の切り下げによる財源は国民に還元すべき 診療報酬は 患者にわかりやすく 簡素 合理化する方向で見直し 特に現行の 出来高払い方式中心の体系から 包括払い方式を拡大すべき 15

主張 2-(7) その他適正化の推進について ( 療養費等 ) (1) 療養費を適正化すべき 療養費の保険給付範囲について ゼロベースで検討すべき 療養費は不正請求が横行しており 徹底した不正防止策 指導管理体制の構築 審査体制の強化等 制度の見直しや 電子化を含めた事務の効率化を図るべき (2)ICT を活用し医療の効率化を進めるべき ICT を活用した診療情報の共有により 医療機関の連携を図り 患者に対してもオンラインによる診療を取り入れる等 医療の効率化を推進すべき 16

主張 2-(8) 保健事業の推進について 今後 健康寿命の延伸ひいては医療費の適正化を図るためには 特定健診 保健指導の拡大 データヘルス計画の推進 日本健康会議における宣言 2020の達成といった目標を見据え これまで以上にきめ細やかな保健事業を展開していかなければならない (1) 健保組合は保健事業費の水準を維持または拡大し 生涯現役社会実現の後押しを継続すべき また 事業主との連携を強めながらデータヘルス計画を着実に推進すべき (2) 国及び医療 健診機関は各種健診結果フォーマットの統一化を推進すべき (3) 国は保険者と事業主との健診関連情報の共有化を検討すべき 17

主張 3-(1) (2) 健康で働く意欲のある高齢者は 支えられる側 から 支える側 へ 医療保険者は保険者機能を発揮して 生涯現役社会 の後押しを 医療保険者は 加入者の健康を維持 増進し 健康寿命の延伸に努め 高齢になっても健康で働き続けることができるよう 前期高齢者を含む加入者への保健事業等に積極的に取り組むべき 18

主張 4-(1) (2) 退職者 ( 被用者保険資格喪失者 ) に対する 不合理な給付を見直すべき 皆保険が確立し 給付率も統一 (7 割給付 ) された現行制度のもとでは 退職後の 医療給付を保障するという任意継続被保険者制度の役割は失われており 抜本 的に見直すべき 保険の給付は 現に加入している医療保険者で賄うことが基本 したがって 退職後の給付 ( 出産育児一時金 埋葬料 ) は廃止すべき 退職後の傷病手当金は廃止し 雇用保険で対応すべき 19