ICOに適用される日本法の概要

Similar documents
ICOに適用される日本法の概要

ICOに適用される日本法の概要

1. グローバルでの取引状況 2018 一般社団法人日本仮想通貨交換業協会 2

仮想通貨と法定通貨の売買等を行う交換所を犯罪収益移転防止法の特定事業者に追加し 同法に規定される以下の義務等を課す 本人確認義務 ( 口座開設時等 ) 本人確認記録及び取引記録の作成 保存 疑わしい取引の当局への届出 体制整備 ( 社内規則の整備 研修の実施 統括管理者の選任等 ) 利用者保護のため

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

本実務対応報告の概要 以下の概要は 本実務対応報告の内容を要約したものです 範囲 ( 本実務対応報告第 3 項 ) 本実務対応報告は 資金決済法に規定する仮想通貨を対象とする ただし 自己 ( 自己の関係会社を含む ) の発行した資金決済法に規定する仮想通貨は除く 仮想通貨交換業者又はが保有する仮想

仮想通貨の基礎知識 基礎用語 取引所 口座 ( ウォレット ) トランザクション 承認 (confirm) ビットコイン アルトコイン ブロックチェーン ハードフォーク / ソフトフォーク マイニング ( クラウドマイニング )/ マイナー カウンターパーティーリスク ICO ホワイトペーパー

(2) 例えば重要事実による虚偽の説明 重要事実の故意による不告知 断定的判断を提供した場合 消費者契約法による取消の対象となる また 民法上の説明責任等も問題となる よって 説明は合理的に行うことが必要であろう (3) 但し 消費者保護を考えた場合 一般的には多くの詐欺的コインは 虚偽の説明 や

自己株式の消却の会計 税務処理 1. 会社法上の取り扱い取得した自己株式を消却するには 取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要となります ( 会 178) 取締役会決議では 消却する自己株式数を 種類株式発行会社では自己株式の種類及び種類ごとの数を決定する必要があります 自己株式を消却しても 会

した場合 消費者契約法による取消の対象となる また 民法上の説明責任等も問題となる よって 説明は合理的に行うことが必要であろう (3) 但し 消費者保護を考えた場合 一般的には多くの詐欺的コインは 虚偽の説明 や 断定的判断の提供 まではしていないケースが多いようには思われる 重要事実の故意による

る影響を受ける可能性があります そのため お客様が保有する仮想通貨の価値やお客様の仮想通貨取引の価値が急激に変動 下落する可能性があります また 仮想通貨の価値が購入対価を下回るおそれがあること ゼロとなる可能性があることも重ねてご認識ください 詳しくは 当社ウェブサイトに掲載する 仮想通貨取引にお

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

目次 1. 仮想通貨を取り巻く環境 2 2. 仮想通貨交換業者への対応等 4 3. これまでの行政処分について 13

五有価証券 ( 証券取引法第二条第一項に規定する有価証券又は同条第二項の規定により有価証券とみなされる権利をいう ) を取得させる行為 ( 代理又は媒介に該当するもの並びに同条第十七項に規定する有価証券先物取引 ( 第十号において 有価証券先物取引 という ) 及び同条第二十一項に規定する有価証券先

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

る影響を受ける可能性があります そのため お客様が保有する仮想通貨の価値やお客様の仮想通貨取引の価値が急激に変動 下落する可能性があります また 仮想通貨の価値が購入対価を下回るおそれがあること ゼロとなる可能性があることも重ねてご認識ください 詳しくは 当社ウェブサイトに掲載する 仮想通貨取引にお

仮想通貨の税制① 消費税・所得税

国際的な議論の状況 (1) 1.G7 エルマウ サミット首脳宣言 (2015 年 6 月 8 日 ) テロとの闘い及びテロリストへの資金供与は G7 にとっての主要な課題である 我々は 迅速にかつ断固として行動し続け 協調した形での行動を強める ( 中略 ) 我々は 仮想通貨 (virtual cu

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

仮想通貨シリーズ(4)_資金決済法における仮想通貨に係る監査等

1 仮想通貨の売却問保有する仮想通貨を売却 ( 日本円に換金 ) した際の所得の計算方法を教えてください ( 例 )3 月 9 日 2,000,000 円 ( 支払手数料を含む ) で4ビットコインを購入した 5 月 20 日 0.2 ビットコイン ( 支払手数料を含む ) を 110,000 円で

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

<4D F736F F D F C F91E A8E91904D91F582CC817582C282DD82BD82C44E CE8FDB8FA C789C182CC82A8926D82E782B92E646F63>

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

平成30年公認会計士試験

電磁的方法による書面の交付及び 電磁的方法による交付に対する同意書 第 1 電磁的方法による書面の交付 1 契約締結前の電磁的交付ラッキーバンク インベストメント株式会社 ( 以下 当社 といいます ) は お客様が契約をご締結するにあたっては あらかじめ 下記事項を 書面によらず電磁的方法により交

kashikasotsuka-yakkan

事業内容を補完し又は一体不可分として捉えることができる業務については行うことが可能であると考えられることから 債務保証や質権設定がこのような趣旨で行われるのであれば可能であると考えられます LPSにおいて出資一口の金額は均一であることが必要でしょうか LPS 法において出資一口の金額は均一でなければ

日本基準基礎講座 資本会計

( )

改正犯罪収益移転防止法_パンフ.indd

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

回答作成様式

スライド 1

発行者 なし リスク 価値変動リスク需給バランスや相場状況の変化により 急激に変動する可能性があるほか 価値がゼロになる可能性がある サイバー攻撃のリスク国内の大手交換所がハッキングの攻撃を受けて 不正にビットコインを盗み取られた事例がある 香港の取引所で大量のビットコインが不正に出金された事例があ

法律 ( 以下 資金決済法 という ) が改正され 仮想通貨が定義された上で 仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されている この改正の背景は ビットコインをはじめとする仮想通貨についてはテロ資金供与に利用されているという指摘もあり 平成 27 年 6 月に開催された G7 エルマウサミットの首脳宣

目次 1. 日本の証券 資産運用業界が抱える課題と現状 高齢化社会 リスクマネー供給不足 現預金偏重の個人金融資産 2. 課題解決を目指す日本のフィンテック事例 - 日本の証券業界における主なフィンテックとその意義 - 日本における今後の注目テーマ 1

[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

ICO(Initial Coin Offering) の概要 ICO の確固たる定義は存在しない これまでに実施された ICO の共通点は 企業やプロジェクトが を販売すること Ethereum のスマートコントラクトを使い を支払うと自動的にが分配されるケースが多い ただし がまったく使えない訳で

いわゆるウォレットのことです ウォレットとは仮想通貨を預けるお財 布のことで イメージとしては証券会社の口座に似ています 上記の事 業に関わるウォレットが規制対象になります 逆に 上記 3 つの事業以外は 仮想通貨交換業としては 規制されません 例えば 新しい仮想通貨を作ること は 規制されないので

仮想通貨交換業等に関する研究会 の設置について 2018 年 3 月 8 日金融庁 1. 趣旨 仮想通貨に関しては マネーロンダリング テロ資金供与対策に関する国際的要請がなされたことや 国内で当時世界最大規模の仮想通貨交換業者が破綻したことを受け 2017 年 4 月より 仮想通貨と法定通貨等の交

取扱い仮想通貨の概要 仮想通貨の名称 Bitcoin 仮想通貨の単位 BTC 売買市場の有無 国内外の取引所で扱われている 記録されている財産的価値 ブロックチェーン 発行方法 発行者は存在せず マイニング作業に成功したマイナー( マイニング作業をする人 ) に報酬として新規発

当社サービスに関するご説明 お客様は 当社サービスのご利用に際し 当社サービスについて下記の内容を十分に理 解し これらに異議なく承諾した上で お客様のご判断と責任においてお取引を行うもの とします (1) 当社が取り扱う仮想通貨が 本邦通貨又は外国通貨ではないこと (1) 当社が取り扱う仮想通貨は

バーチャルマネーの法務〔第2版〕

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

<4D F736F F D E9197BF D F935F955D89BF2089BC917A92CA89DD82C98C5782E989EF8C768FE382CC8EE688B582A2725F979A97F082A082E8>

各 位 平成 27 年 3 月 31 日 大和証券株式会社 NISA 口座開設キャンペーン 及び NISA 積立サービスキャッシュバックキャンペーン ご家族 ご友人紹介キャンペーン ( 第 7 弾 ) 実施のお知らせ 大和証券株式会社 ( 以下 大和証券 ) は これまで証券会社とお取引のなかったお

2008 年 ナカモトサトシ によるビットコインについての論文公表 2009 年 ナカモトサトシ によるプログラム実装とビットコインの運用開始 世界で最初のビットコインの所有者は ナカモトサトシ 2010 年 <2 月 > 米ドルとビットコインを交換する ザ ビットコインマーケット 取引所の開設

ICOに関するSECの規制対応

新旧対照表 楽天MT4契約締結前交付書面

8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

平成29年 住宅リフォーム税制の手引き 本編_概要

ファンド名説明 ifree 8 資産バランス 本を含む世界の 8 資産へ均等に分散投資します 株式および不動産投資信託に投資することで世界の経済成 の果実を享受するとともに これらとは値動きの異なる債券にも投資することで安定した収益の確保も期待できます これまで預貯 中 だったお客様が幅広く資産を分

Microsoft Word - News_Letter_Tax-Vol.43.docx

3. 異動する子会社の概要 1 株式会社フィスコデジタルアセットグループ (1) 名称 株式会社フィスコデジタルアセットグループ (2) 所在地 大阪府岸和田市荒木町二丁目 18 番 15 号 (3) 代表取締役田代昌之 仮想通貨関連ビジネスを営む会社の株式又は持分を所有する (4) 事業の内容 こ

重大な約款変更(確定)のお知らせ

第 2 号に規定する存続厚生年金基金 同項第 3 号に規定する外国の年金基金 13 外国法人 14 投資性金融資産 1 億円以上であると見込まれる個人で 有価証券又はデリバティブ取引の経験が1 年を経過している者 15 投資性金融資産 1 億円以上の法人及び業務執行組合員等 ( 金商業等府令第 23

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

当社サービスを利用するにあたっての留意事項|ビットポイントジャパン

貸借対照表 (2019 年 3 月 31 日現在 ) ( 単位 : 千円 ) 科目 金額 科目 金額 ( 資産の部 ) ( 負債の部 ) 流動資産 3,784,729 流動負債 244,841 現金及び預金 3,621,845 リース債務 94,106 前払費用 156,652 未払金 18,745

【表紙】


2. 基準差調整表 当行は 日本基準に準拠した財務諸表に加えて IFRS 財務諸表を参考情報として開示しております 日本基準と IFRS では重要な会計方針が異なることから 以下のとおり当行の資産 負債及び資本に対する調整表並びに当期利益の調整表を記載しております (1) 資産 負債及び資本に対する

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

新規文書1

<928D8B4C8E968D DE90458B8B A2E786C73>

Report

仮想通貨に係る税制と今後

上場有価証券等書面

「経済政策論(後期)」運営方法と予定表(1997、三井)

 

?? TAX LAW NEWSLETTER 2017 年 2 月号 (Vol.24) 国税庁 米国リミテッド パートナーシップをパススルー ( 構成員課税 ) と取り扱うとの見解を公表 Ⅰ. はじめに Ⅱ. これまでの議論 Ⅲ. 今回の国税庁の見解の内容 Ⅳ. 最高裁判決との関係 ( 納税者のパスス

contents 背景 peer 2 peer 経済活動 B to C 経済のpeer 2 peer 化 シェアエコノミーによるpeer 2 peer 経済 B to B 経済のpeer 2 peer 金融サービスのpeer 2 peer 化 プラットフォームに要求される機能 プラットフォームの提案

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

< F2D947A957A8E9197BF F81408ED DE092638AD6>

2/7

2 特定の発行者の不存在ビットコインの最大の特徴は 発行者 が存在せず 採掘 と呼ばれる行為により生成がなされることである 例えば日本円紙幣であれば日本銀行が発行者であり 米ドル紙幣であれば連邦準備銀行が発行者日本円 米ドルの流通性はそれぞれ日本国 米国が担保しており 日本国内 米国内でそれぞれ強制

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

金融商品取引法の改正 ~ インサイダー取引規制に係る見直しについて 1. はじめに 2013 年 4 月 16 日に 金融商品取引法等の一部を改正する法律案 が第 183 回国会に提出され 同年 6 月 12 日に成立 同月 19 日に公布されました ( 平成 25 年法律第 45 号 以下 改正法

務の返済が不可能になった状態 と定義されている 商事裁判所法では以下の 3 種類の破産が規定されている 真実の破産 (real bankruptcy): 一般的に健全な経営をしており 正式な帳簿を作成し 浪費をしていなかったが 資産に明白な損失が生じた場合 怠慢による破産 (bankruptcy b

<4D F736F F D208D4C8D CC8A AB82C982C282A282C C431816A2E646F63>

 

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

楽天証券ポイント利用規約

上場有価証券等の売買等の媒介 取次ぎ又は代理 上場有価証券等の募集若しくは売出しの取扱い又は私募の取扱い 上場有価証券等の売出し 上記のほか 売買等の媒介 取次ぎ又は代理 当社の概要 商 号 等 株式会社 SBI 証券金融商品取引業者関東財務局長 ( 金商 ) 第 44 号 本店所在地

上場有価証券等書面

1 各調整方式の比較 前提 : 法人実効税率 % 金融所得の税率 20% ( 配当軽課の場合の配当分の法人税率は 30%) 比較のポイント 適用税率 法人税率か所得税率か 金融所得課税一元化にマッチするか( 税率 損益通算 ) 簡素な制度か 特定口座への対応はか 法人の税負担は軽減されるか

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

Microsoft Word - 2) quoine_service_ docx

第 298 回企業会計基準委員会 資料番号 日付 審議事項 (2)-4 DT 年 10 月 23 日 プロジェクト 項目 税効果会計 今後の検討の進め方 本資料の目的 1. 本資料は 繰延税金資産の回収可能性に関わるグループ 2 の検討状況を踏まえ 今 後の検討の進め方につ

1

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募

営業活動によるキャッシュ フロー の区分には 税引前当期純利益 減価償却費などの非資金損益項目 有価証券売却損益などの投資活動や財務活動の区分に含まれる損益項目 営業活動に係る資産 負債の増減 利息および配当金の受取額等が表示されます この中で 小計欄 ( 1) の上と下で性質が異なる取引が表示され

「恒久的施設」(PE)から除外する独立代理人の要件

公募株式投資信託の解約請求および償還時

Transcription:

ICO の法的整理 創法律事務所 弁護士斎藤創 2017 年 12 月 7 日

自己紹介 弁護士 /NY 州弁護士斎藤創 1999 年 4 月西村あさひ法律事務所 ( 証券化 デリバティブなど金融 ) 2013 年夏ビットコインに仕事で出会う 2015 年 4 月独立して創法律事務所を設立 ( 仮想通貨 ブロックチェーン FinTech などを専門 ) 今年の夏 ~ ICO のご相談が増え始める ( その他の経歴 ) 東京大学法学部卒 NY 大学ロースクール卒 NY のローファーム勤務 中央大学会計専門職大学院兼任講師 bitflyer 社社外取締役 日本ブロックチェーン協会顧問 三菱地所物流リート投資法人監督役員 等

<ICO で良く聞かれる質問 > Q1 ICO に適用される法律は? 規制されてる? Q2 税金どうなる? Q3 海外で規制されてる? Q4 やっていいの? 今後どうなる? 規制すべきでは?

Ⅰ 日本法の適用関係 当方が得た情報だと 本年 12 月現在 FSA は ICO トークンに幅広く仮想通貨法が適用されるとするよう その他 前払式支払手段規制 ファンド規制 民法 消費者契約法 景表法 出資法等が適用される可能性

仮想通貨法 ICO 対象が法令上の 仮想通貨 の場合 登録を受けた仮想通貨交換業者のみが業として販売を行える 1 発行体が登録を受けて販売する 又は 2 仮想通貨交換業者を通じて販売する 仮想通貨交換業者ならどんなコインでも取扱っても良い訳ではない ( 金融庁審査 )

仮想通貨の定義 1 号仮想通貨 1 不特定の者 に対し使用でき 2 不特定の者 と交換できる 3 移転可能な 4 電子的財産価値 ビットコインなど 2 号仮想通貨 1 不特定の者 との間で 2 ビットコイン等と相互交換できる 3 移転可能な 4 電子的財産価値 多くのアルトコイン

仮想通貨の定義 ( 続 ) 円やドルにより表示 / 償還等されるものを除く 多くの銀行コインなど ICO で出されるコインの中には 仮想通貨 でないものもある

仮想通貨の定義 ( 続 ) 2017 年 11 月末頃まで 上場前の ICO トークンは 2 ビットコイン等と相互に交換を行うことができる を満たさず 2 号仮想通貨に該当しないという見解が強かった 12 月頃 FSA が当該見解を否定 将来 相互交換される可能性があるものは幅広く定義に該当とする 従わざるを得ない?

登録を受けた仮想通貨交換業者 2017 年 9 月 29 日に 11 社が登録 マネーパートナーズ QUOINE bitflyer ビットバンク SBI バーチャル カレンシーズ GMO コイン ビットトレード BTC ボックス ビットポイントジャパン フィスコ仮想通貨取引所 テックビューロ ( 金融庁サイト記載順 以下同 ) 2017 年 12 月 1 日時点で 4 社追加 東京ビットコイン取引所 ビットアルゴ取引所東京 エフ ティ ティ Xheta

審査中の会社等 審査継続中の会社も存在 (Coincheck Kraken など多数 ) 13 月末までに営業 +29 月末までに申請受理 =3 正式な合否まで営業を継続可能 上記 1+2 の両方を満たさない場合 正式に登録を受けてから営業可能 仮想通貨の高騰を受け 多数の会社が申請中と理解

ICO 発行体の登録審査について 要件を満たせば登録は受けられる 但し 1 標準処理期間が 6 ヶ月 2 人的体制 コスト等 3 かなり細かい審査 ICO 前のベンチャー企業には厳しい? 以降も 内部管理 コンプラ 内部監査 会計監査 分別管理監査等が必要 規制対応コストで毎年最低 2 千万円 ~ は要すると思われる

既存仮想通貨交換業者への委託 既存の仮想通貨交換業者に販売を委託すれば ICO トークン販売可能 但し 現状の取引所の多くは ICO トークンの取り扱いに消極的と理解 ( 詐欺的なもの リスク 金融庁対応等 ) 今後 ICO 専門の業者が出てくるか?

取扱われている仮想通貨 登録取引所で取扱われている仮想通貨は以下 (17 種類 ) BTC( ビットコイン ) ETH( イーサリウム ) BCH( ビットコインキャッシュ ) ETC( イーサリウムクラシック ) LTC( ライトコイン ) XRP( リップル ) MONA( モナコイン ) FSCC( フィスココイン ) NCXC( ネクスコイン ) CICC( カイカコイン ) XCP( カウンターパーティー ) ZAIF( ザイフ ) BCY( ビットクリスタル ) SJCX( ストレージコインエックス ) PEPECASH( ぺぺキャッシュ ) ZEN( ゼン ) XEM( ゼム ( ネム )) QASH( キャッシュ ) 金融庁サイトから 相当に広く認められている?ICO の障害にはあまりならない? 説明に相応の時間や手間がかかる ICO の実施との関係では?

前払式支払手段規制 コインを何らかの物品の購入 / サービスの提供に当てることができる場合 ( 企業発行のコインなど ) 前払式支払手段 ( 電子マネーや商品券 ) に該当? 該当すると未使用残高の 2 分の 1 を供託

ICO と金商法 ( ファンド規制 ) 配当等 ( 配当 収益の分配 ) がないコイン金商法の 有価証券 や デリバティブ の規定は限定列挙少なくとも 配当等 がないコインは 現在の金商法の定義上は 金商法規制に服する可能性は低い

ファンド規制 ( 続 ) 配当等が行なわれるコインファンド ( 集団投資スキーム ) として金商法規制の可能性 1 他人から金銭を集め 2 事業に投資し 3 投資家に対して配当等を行う BitcoinやEtherで出資を受ける場合 法律の文言上はファンド規制に服さない 脱法的な場合 規制される

消費者契約法 民法など 仮に特有の規制がなくても なんでもして良いという訳ではない 虚偽の説明 重要事実の故意による不告知 断定的判断の提供等は 取消や損害賠償の可能性

日本法まとめ 仮想通貨法の運用が ICO の障害となる可能性 前払式支払手段規制 ファンド規制などの検討が必要だが それはクリアー可能なことが多い

Ⅱ 税務 ( 参考 ) 法人税 コインの売却は原則 売上? 売上から経費を引いた残りが 利益 として法人税が課税 ( 実行税率 30.86~34.81%) 1 当期の開発費等でぶつけられるものがあるか 2 前期までに利用できる赤字 ( 繰越欠損金 ) があるか 3 翌期の欠損金の繰戻しによる還付が想定できるか

税務 ( 参考 ) 消費税 仮想通貨法上の 仮想通貨 の定義に該当する場合には非課税 同定義に該当しない場合 売上に 8% の消費税 1 設立 1 年目の会社等で消費税非課税? 2 仕入税額控除で打消?

発行体税務まとめ ( 参考 ) 法人税消費税登録免許税 新株発行 n/a n/a 増加資本金の 0.7%( 最低 3 万円 ) ファンド n/a n/a n/a ICO 実効税率 30.8% ~ 仮想通貨 : n/a 非仮想通貨 : 8% n/a

発行体税務まとめ ( 参考 ) 法人税 消費税を考えると ICO は発行体にとり余り効率的でないことも 詐欺的案件の場合には 税金支払っても儲かる まともな案件の場合 タックスストラクチャリングが重要

税務 ( 参考 ) 投資家 個人投資家の場合 利益に雑所得として総合課税が原則 ( 最大 55%) コインを他の仮想通貨に買えた場合にも利益実現 税金には留意して下さい

Ⅲ 海外法 ( 参考 ) (1) 配当型を従前の法律で禁止米国 シンガポール (2)ICO を全面的に禁止中国 韓国 (3) 未定 規制ないが注意喚起等英国 多くのヨーロッパ? (4) その他の特徴的な国スイス

米国法 ( 参考 ) SEC の警告 (2017 年 7 月 25 日 ) 収益分配型の ICO が証券規制に服する The DAO という非中央集権型の自律的ファンドに対するもの Howey Test に The DAO トークンは該当 全ての ICO の禁止をした訳ではない 投資家は慎重に投資するよう注意喚起

米国法 ( 参考 ) Howey Test Howey Test 1946 年の最高裁判決による米国の Security 該当性の一般的な基準 1 資金の出資 2 共同事業への出資 3 収益を期待 4 当該収益は専らプロモーター又は第三者の努力によりなされる 5 なお シェアが正式な証書や資産に対する名目的な権利等で表されているかは重要ではない 上記のような商品は必然的に発行者が自己に有利なことしか開示をせず投資家に不利という考え

米国法 米国居住者相手に 収益配当型の ICO を販売することは非常に危険 他の ICO についても米国は留意 最近では米国規制に準拠した ICO も登場してきているよう 例えば SAFT ただし 議論あるよう

シンガポール 2017 年 8 月 1 日に FAS のアナウンス 仮想通貨そのものは規制対象ではない 但し 集団投資スキーム持分に該当する場合 証券先物法により規制される可能性 Howey Test 同様の考えか?

中国法 韓国法 ( 参考 ) ( 中国 ) 中国人民銀行等の中国当局が 2017 年 9 月 4 日に ICO を禁止するとの公告 中国国内での ICO は違法 直ちに禁止 ICO による資金調達を完了した場合 投資家に対して調達資金を返還すること ( 韓国 ) 2017 年 9 月 29 日に ICO を全面禁止との報道

英国 FCA 2017 年 9 月 12 日 ICO に関する消費者向けの注意喚起多くの ICO は規制対象とならない詐欺リスク トークン価格が不安定 ホワイトペーパーの記載が不十分等リスクが非常に高いと注意喚起

スイス スイス 仮想通貨フレンドリー 多くの ICO の本拠地 今後は最低限の規制をしつつ ICO 立国を目指す?

Ⅳ ICO( 擁護と批判 ) ( 批判 ) 詐欺的な案件 未熟な案件の多さ 情報開示の不足や虚偽 一方的な情報開示 販売方法 ( 擁護 ) 資金調達の民主化 非中央集権化 全世界から資金調達 既存ルートが理解できない新ビジネスのチャンス現在の ICO が混沌としていることを否定する者はいない

Ⅴ 今後の日本の法規制 仮想通貨法との関係 金融庁は仮想通貨モニタリングチームを設置し対処 業界での自主規制? 開示ルール等? 販売方法? 継続的情報開示? エスクロー?

Ⅵ まとめ的な話 仮想通貨法の今後の運用は? 自主規制? 税務上は他の資金調達より不利? 必ずしもeasy moneyではない