国土技術政策総合研究所 研究資料

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条例解説6~11条

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1 届出の趣旨工事中に建築物を使用する場合は, 建築基準法に基づいて当該建築物に設置されている避難施設等の機能に支障を来たすことがよくあります もとより建築基準法は, 建築物の最低限の安全性能を定めたものですから, 避難施設等の機能に支障が生じているときに出火したりすれば, 大災害につながるおそれが

1600 mm 1200 mm 1200 mm 1600 mm 2200 mm 1200 mm 大阪市建築基準法取扱い要領 2-30 特別避難階段の付室の取扱い 令第 123 条第 3 項 (1) 付室の最小幅員下記のような特別避難階段の付室内の最小幅員は 法定の廊下幅及び階段幅以上とする 非常用

消防法施行規則等の一部を改正する省令等の公布について ( 参考資料 ) 別紙 1 1 改正理由 (1) 背景住宅宿泊事業法 ( 平成 9 年法律第 65 号 ) が平成 30 年 6 月 15 日に施行され 住宅宿泊事業に係る事前の届出が同年 3 月 15 日に開始された ( 住宅宿泊事業法の施行期

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さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 第 4 渡り廊下で接続されている場合の取り扱い 155 第 4 渡り廊下で接続されている場合の 取り扱い

新千里西町B団地地区地区計画

①法改正の趣旨と社会的背景


隣地境界線126 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 消防用設備等の設置単位消防用設備等の設置単位は 建築物 ( 屋根及び柱又は壁を有するものをいう 以下同じ ) である防火対象物については 特段の規定 ( 政令第 8 条 第 9 条 第 9 条の

H30建築基準法改正(詳細版)

資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

第3章 附置義務駐車場の台数                     

消防用設備・機械器具等に係る最近の検討状況等

( 参考 ) 業務報酬基準の概要について ( 告示 15 号の構成 ) 建築士事務所の開設者が業務に関して請求することのできる報酬の基準を示しており 第一 ~ 第三の実費加算方法に関する項と第四の略算方法に関する項で構成されている 実費加算方法 ( 第一 第二 第三 ) 実費加算方法 : 各経費等に

面する側にあっては2メートル以上 精華台みずき通り線に面する側及び精華大通り線に面する区域にあっては5メートル以上 精華台地区計画により別に定める側にあっては10 メートル以上後退しなければならない 3 前 2 項の規定は 守衛室その他これに類するもので 延べ面積が50 平方メートル以下かつ地階を除

第 6 内装制限 防火材料 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律 ( 平成 11 年法律第 87 号 ) が平成 12 年 4 月 1 日に施行されたことに伴い これまでの建設省等の通達等の取扱いについては建築主事等 の執務上の取扱いによることとなった 1 防火材料 (1) 不燃材

消防法令が改正され 防火防災管理体制が強化されます! ~ 消防法第 8 条の 2 統括防火防災管理者制度 ~ 近年 雑居ビル等で多くの死傷者を伴う火災が相次いで発生していることや東日本大震災での激しい揺れにより 高層ビル等において人的 物的被害が発生したことを受け 防火 防災体制を強化するために消防

東京都建築安全条例の見直しの考え方

2 スプリンクラー設備の設置基準の見直し 消防法施行令第 12 条第 1 項関係 スプリンクラー設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分に 次に掲げるもの 火災発生時の延焼を抑 制する機能を備える構造として総務省令で定める構造を有するものを除く で延べ面積が 275 m2未満のものが追加さ

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2 病院次のいずれにも該当する病院のうち 相当程度の患者の見守り体制を有するもの ( 火災発生時の消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるもの ) 以外のもの ( ア ) 特定診療科名を有するもの ( イ ) 一般病床又は療養病床を有する病院 火災発生時の延焼を抑制

基準2 消防用設備等の設置単位の取扱いに関する基準

別添 ( 用語の定義 ) 消防法( 昭和 23 年法律第 186 号 ) 法 消防法施行令( 昭和 36 年政令第 37 号 ) 令 消防法施行規則( 昭和 36 年自治省令第 6 号 ) 規則 特定小規模施設における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令 ( 平成 20


新旧対照表 (1/15)

178 第 3 章消防用設備等の設置単位 さいたま市消防用設備等に関する審査基準 2016 小規模特定用途複合防火対象物 ( 政令別表第 1⒃ 項イに掲げる防火対象物のうち 特定用途に供される部分の床面積の合計が当該部分が存する防火対象物の延べ面積の10 分の1 以下であり かつ 300m2未満であ

資料2 保育所における屋外階段設置要件について

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松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例施行規則平成 26 年 10 月 27 日規則第 65 号 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は, 松山市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例 ( 平成 26 年条例第 52 号 以下 条例 という ) の施行に関し必要な事

. 条例のあらまし () 対象地域 駐車場整備地区 (3ページの図参照) または商業地域若しくは近隣商業地域建築物の敷地が 地区または地域の区域とこれら以外の区域にわたる場合は 敷地の過半が属する区域に建築物があるものとみなします () 対象建築物 建築物の用途 対象建築物の規模 表ー 特定用途建築

基準19 ハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する基準

東京都建築安全条例(昭和二十五年東京都条例第八十九号)新旧対照表(抄)

報設備 共同住宅用非常コンセント設備 特定小規模施設用自動火災報知設備 加圧防排煙設備及び複合型居住施設用自動火災報知設備第二講習の対象講習は 消防法施行規則 ( 昭和三十六年自治省令第六号 以下 規則 という ) 第三十一条の六第六項各号のいずれかに該当する者を対象とするものとする 第三講習科目及

第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

第19 排煙設備

鉄道建築ニュース用原稿 「シャッター」 070928   (社)日本シヤッター・ドア協会

第2 令別表第1の取扱い

許可及び認定申請等

第2章第2節 第4~6

確認申請作成要領 1. 建築確認申請必要書類 (1) 都市計画課開発指導室に提出 開発行為等に関する申告書 1 部 1/2500 都市計画図と配置図を 1 部添付 (2) 都市計画課都市政策室に提出 都市計画法 53 条に関する申告書 2 部 1/2500 都市計画図と配置図をそれぞれ添付 (3)

建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号の規定による許可の同意の取扱い基準 平成 18 年 6 月 1 日東広島市建築審査会 建築基準法 ( 以下 法 という ) 第 43 条第 2 項第 2 号の規定により許可を行う場合, 次 に定める基準のいずれかに該当する建築物の敷地については, 建築審査会

西宮市許可申請の取扱要領 西宮市都市局建築 開発指導部建築指導課 平成 6 年 10 月制定平成 11 年 5 月改正平成 22 年 11 月改正平成 24 年 4 月改正

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金沢都市計画地区計画の変更

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(2) 路地街区 ア路地街区の内部で 防火性の向上と居住環境の改善を図るため 地区施設等に沿った建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることにより 道路斜線制限を緩和し 3 階建て耐火建築物の連続した街並みを形成する イ行き止まりの路地空間では 安全性の確保のため 2 方向の避難を目的とし

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番号

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目次 ( )

稲毛海岸5丁目地区

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用途地域変更の考え方 ( 素案 ) 1 駅 駅前広場 アクセス道路沿道の土地利用の促進 駅 北側沿道 25m 以内及び沿道南側街区を近隣商業地域へ変更 18

平成21年6月1日施行

保育所の設備及び運営に関する基準 保育室等 屋外 遊戯場 設備 ( 必置 ) 面積設備 ( 必置 ) 面積 調理室 便所 0 1 歳児 乳児室及びほふく室 医務室 2 歳以上児 保育室又は遊戯室 乳児室 ほふく室 3.3m2 / 人 保育室 遊戯室 1.98m2 / 人屋外遊戯場 近隣の都市公園を代

( 第二面 ) 建築設備の状況等 1. 建築物の概要 イ. 階 数 地上 階 地下 階 ロ. 建築面積 m2 ハ. 延べ面積 m2 ニ. 検査対象建築設備 換気設備 排煙設備 非常用の照明装置 給水設備及び排水設備 2. 確認済証交付年月日等 イ. 確認済証交付年月日 昭和 平成 年 月 日 第 号

耐火クロス製防火/防煙スクリーンエレベーター前専用の防火防煙スクリーンです 耐火クロス製防火 / 防煙スクリーン製品体系 巻取り式 区画王 Ⅲ スタンダード型 避難口無し 開口幅 W=1.0~13m 開口高さ =0.5~6m ウォークスルー型 避難口付き ( 避難口は最大 3 カ所 ) 開口幅 W=

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Microsoft Word - 法第43条第2項第2号許可基準

伊勢原市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例 ( 素案 ) 伊勢原市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例 ( 昭和 63 年伊勢原市条 例第 5 号 ) の一部を次のように改正する 別表第 1に次のように加える 横浜伊勢原線沿道地区 都市計画法第 20 条

鹿島臨海都市計画地区計画の決定

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

江東区 「自転車条例」の手引

2-1 防災関連施設の現状 概ねすべての施設で耐震性能を有することを確認しているが 救急告示病院につい ては 耐震性能を確認している施設は 21 施設の内 13 施設である 区分 内容該当施設施設件数 耐震性能を有することが確認できている施設件数 防災拠点施設 医療機関 避難者滞留施設 災害拠点病院

(5) 第 1 号から前号までの規定により住宅用防災警報器が設置される階以外の階のう ち 次に掲げるいずれかの住宅の部分 ア床面積が 7 平方メートル以上である居室が 5 以上存する階の廊下 イアに規定する階に廊下が存しない場合にあっては 当該階から直下階に通ずる 階段の上端 ウアに規定する階に廊下

はじめに

日影許可諮問(熊野小学校)

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南部地区 地区の名称 南部地区建築物の用途の制限 ( ほなみ町 桜新町 ) 敷地面積の最低限度 ( 東原町 苗津町 長者町の各一部 ) 22.5ha 沿道業務地区 17.6ha 合計 40.1ha 建築物等の形態又は意匠の制限 沿道業務地区には 次に掲げる建物は建築してはならない マージャン屋 ぱち

藤沢市地区計画運用基準 施行平成 30 年 4 月 1 日 る 本運用基準は, 地区計画の届出に際しての審査の画一化及び円滑化を図るため, 必要な事項を定め 項目第 1 建築物等の用途の制限に関する事項第 2 建築物の容積率の最高限度に関する事項第 3 建築物の建蔽率の最高限度に関する事項第 4 建

区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

Microsoft Word _解説(H 改正).doc

建築基準法第 43 条第 1 項ただし書による包括許可基準 平成 23 年 3 月 4 日 焼津市建築審査会承認 1 趣旨次の基準に適合するものは 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 43 条第 1 項ただし書の規定に基づき 特定行政庁が交通上 安全上 防火上

良好な操業環境の創出のために 船形地区では 土地区画整理事業により道路 公園等の都市基盤施設の整備を行い 周辺環境との調和に配慮した良好な工業地の形成を進めています そこで地区の特性に応じた 適切な土地利用の誘導を図り 国道 16 号の利便性を生かした良好な操業環境を創出していきたいと考えています

第 1 章はじめに (1) 計画の目的西東京市耐震改修促進計画 ( 以下 本計画 という ) は 西東京市内の住宅 建築物の耐震診断及び耐震改修を計画的かつ総合的に促進することにより 西東京市民の生命と財産を保護し 災害に強いまちづくりを実現することを目的とする (2) 計画の位置づけ本計画は 建築

第4 避難施設

目次 1. 用語の説明 1 2. 既存建築物の用途変更のポイント ポイント1. 確認申請の手続き 2 ポイント2. 既存建築物の適法性 3 ポイント3. 用途変更部分の適法性 4 ポイント4. 既存不適格建築物への現行規定の適用 4 3. その他 1) 用途変更の流れ 7 2) 関係法令と手続き窓口

用語集

広島市都市計画関係手数料条例の一部改正について ( お知らせ ) 建築基準法施行令の改正に伴い, 小荷物専用昇降機に係る建築物に関する確認申請手数料等を定める とともに, 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の制定に伴い, 建築物エネルギー消費性能 向上計画認定申請手数料等を定める条例改正を

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

建築物の煙制計画指針 ( 案 ) はじめに 建築火災において避難者が死亡する場合, その原因の最大のものは火そのものではなく, 煙であることは広く知られている. これは火災時の煙が, 火に比較すれば危険度は低いものの, 火よりはるかに速く広範に建物内を伝播すること, および人体の恕限度が火災生成物に

消防法 ( 抄 ) ( 昭和 23 年 7 月 24 日法律第 186 号 ) 最終改正 : 平成 27 年 9 月 11 日法律第 66 号 第 17 条 ( 消防用設備等の設置 維持と特殊消防用設備等の適用除外 ) 学校 病院 工場 事業場 興行場 百貨店 旅館 飲食店 地下街 複合用途防火対象

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2 ヒューマックスパビリオン新宿アネックス ( 旧名地球会館 ) 歌舞伎町 -2-7 ホテル 5-6 一般財団法人日本建築防災協会による 既存鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 に定める 第 2 次診断法 及び 第 3 次診断法 (2009 年版 ) 非充腹材 Is/Iso.0 C TU S

2 都市計画法第 34 条第 11 号に係る区域指定の許可基準について 都市計画法の趣旨 施策の方針市街化調整区域において, 市街化区域に隣接又は近接し, 一体的な日常生活圏を構成している市街化の進行した一定の区域を条例で指定し, 予定建築物を周辺環境と調和する用途に制限することにより, 許可の対象

放置自転車 ( バイク ) のない安全で快適な住みよいまちづくりを 自転車は 通勤 通学 買物等のための手軽で便利な乗り物として 多くの人に愛用され 今や 日常の生活に欠くことのできない重要な交通手段となっております しかし 一方では 自転車の利用の増大は 大量の自転車の放置を引き起こし 歩行車 特

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市街化調整区域における都市計画法第 34 条第 12 号の規定による開発許可等の基準に関する条例 の審査基準 ( 趣旨 ) 第 1 条この条例は 市街化調整区域における都市計画法 ( 昭和 43 年法律第 100 号 以下 法 という ) 第 34 条第 12 号の規定による開発許可の基準及び都市計

教授 ) において 本件火災の発生状況や 今後の消防のあり方について検討が行われた 検討会での検討結果を踏まえてとりまとめられた報告書では 火災予防対策として 以下のように提言がなされた 延べ面積 150 m2未満の飲食店にあっては 一部の地方公共団体の火災予防条例により消火器の設置が義務付けられて

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建築基準法第43条第1項ただし書に係る一括同意基準

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第5 建築排煙

消防法施行令 昭和 36 年 3 月 25 日政令第 37 号最終改正平成 27 年 12 月 16 日政令第 421 号 ( 防炎防火対象物の指定等 ) 第 4 条の3 法第 8 条の3 第 1 項の政令で定める防火対象物は 別表第 1 協会注: 本紙は第 1 表を省略しております 防炎物品に係る

地区 の 区分 名称駅南口西街区地区駅南口東街区地区駅北口駅前広場地区 面積約 2.8 ha 約 0.6 ha 約 1.7 ha 用途地域による用途制限の他に 次の各号に掲げる建築物は 建築し てはならない 地区整備計画 建築物等に関する事項 建築物の 用途の制限 1. 指定道路 1 に面する敷地の

番号 特定共同住宅等の種類と必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等 二方向避難型特定共同住宅等である (1) 初期拡大抑制性能 ( その 2) 図面番 ア地階を除く階数が 5 以下のもの 消火器具屋外消火栓設備動力消防ポンプ設備 又は住戸用及び共同住宅用非常警報設備 イ地階を除く階数

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第 3 章建築基準法と消防法による排煙設備規定の違いについて 21

3.1 建築基準法の排煙設備規定について建築基準法の排煙設備 ( 以後 建築排煙という ) は 建築基準法上 避難施設等 ( 施行令第 5 章 ) として位置づけられている (1) 設置基準 施行令第 126 条の2 別表第 1( い ) 欄 (1) 項から (4) 項の特殊建築物で 延べ面積 500 m2以上 階数が3 以上で 延べ面積 500 m2以上 令 116 条の2 第 1 項第二号 ( 天井又は天井から下方 80cm 以内の開口部が 床面積の 1/50 未満のもの ) に該当する窓その他開口部を有しない居室 延べ面積 1,000 m2を超える建築物の居室で 床面積が 200 m2以上 施行令第 128 条の3 第 1 項第 6 号 地下街の地下道への設置 施行令第 123 条 特別避難階段付室への設置 施行令第 129 条の 13 の3 第 3 項第 2 号 非常用 EV 乗降ロビーへの設置 H12 建告示第 1436 号 排煙設備の設置を免除する規定 (2) 構造基準 一般居室部分に係わる構造基準 ( 施行令第 126 条の3) 特殊な構造の排煙設備の構造基準 ( 告示第 1437 号 ) 特別避難階段付室に設ける構造基準 ( 告示第 1728 号 ) 地下街の地下道に設ける構造基準 ( 告示第 1730 号 ) 非常用 EV 乗降ロビーに設ける構造基準 ( 告示第 1833 号 ) 3.2 消防法による排煙設備規定について消防法による排煙設備 ( 以後 消防排煙という ) は 消防法令上 消火活動上必要な施設 ( 施行令第 7 条 ) として位置づけられている (1) 設置基準 令 28 条第 1 項 別表第 1(16 の2) 項の地下街で 延べ面積 1,000 m2以上 別表第 1(1) 項の劇場 映画館などで 舞台部の床面積 500 m2以上 別表第 1(2) 項 (4) 項の物販店舗などや (10) 項及び (13) 22

項の駐車場などの地階又は無窓階で 床面積 1,000m2 以上 (2) 構造基準 則 30 条 消火活動拠点 建基法告示第 1728 号 ( 特別避難階段付室構造基準 ) 及び建基法告示第 1833 号 ( 非常用 EV 乗降ロビー構造基準 ) と異なる内容 また 告示第 1437 号の押出し排煙は含まれていない 拠点以外 建基法施行令 126 条の3( 一般排煙構造基準 ) と同様の内容 消火活動拠点については 特別避難階段の附室 非常用 EV 乗降ロビーその他これらに類する場所で消防隊の消火活動の拠点となる防煙区画 ( 則 30 条第 2 号イ ) という定義がある 3.3 建築排煙と消防排煙の排煙設備規定の設置要求対象建物建築排煙の設置対象となる建物は 基準法別表 1( 表 3.1) に区分される用途の特殊建築物の中から選定されるものの他に 階数が3 以上で 延べ面積 500 m2以上の建物や 無窓の居室 ( 天井又は天井から下方 80cm 以内の開口部が 床面積の 1/50 未満のもの ) 又は 200 m2以上の居室などが含まれる これに対して消防排煙の設置対象となる建物は 消防令別表 1( 表 3.2) に区分される用途の防火対象物の建物の中からのみ選定されている さらにその中から 主に 劇場の舞台部や煙の滞留しやすい地階や無窓階等に限定されおり 劇場の舞台部では 500 m2以上 地階や無窓階等および地下街では 1,000 m2以上の延べ面積や床面積のものとなっている 建築排煙の設置対象となる建物は 法別表 1から選定される用途の建物以外でも 建物規模による条件も加わることから 自動車車庫を除いて消防排煙が要求される建物の全てを包含している ( 図 3.1) 例えば 事務所用途の建物などは 用途上からは建築排煙及び消防排煙の対象とはなっていない しかし 建築排煙では階数が3 以上で 延べ面積 500 m2以上になると 排煙設備の設置対象となのである さらに建築排煙ではこのような建物用途と規模の他に 施行令第 123 条による特別避難階段の付室及び施行令第 129 条の 13 の3 第 3 項第 2 号による非常用 EV 乗降ロビーなどに見られるように 避難安全上重要と思われる室に対しても 異なる条文によって設置が義務づけられている 23

表 3.1 建築基準法の法別表第 1 による排煙設備の設置対象となる建物用途 法別表第 1 項目 (1) (2) (3) (4) (5) (6) 特殊建築物劇場 映画館 演芸場 観覧場 公会堂 集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの病院 診療所 ( 患者の収容施設があるものに限る ) ホテル 旅館 下宿 共同住宅 寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの博物館 図書館 美術館その他これらに類するもので政令で定めるもの ( 学校 体育館は適用除外 ) 百貨店 マーケット 展示場 キャバレー カフェー ナイトクラブ バー ダンスホール 遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの倉庫その他これらに類するもので政令で定めるもの自動車倉庫 自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの 下記条件の場合設置 延べ面積 500 m2 : 設置対象となる建築物 24

表 3.2 消防法の施行令別表第 1による排煙設備の設置対象となる建物用途排煙設備の構造令別表第 1 項目防火対象物下記条件の場合排煙設備を設置 (1) イ劇場等舞台部床面積 500m2ロ集会場等 (2) イキャハレー等ロ遊技場等地階又は無窓階床面積 1,000m2ハ風俗営業等二カラオケホックス (3) イ料理店等ロ飲食店 (4) 百貨店等地階又は無窓階床面積 1,000m2 (5) イ旅館等ロ共同住宅等 (6) イ病院等ロ福祉施設等ハ通所の福祉施設ニ特別支援学校等 (7) 学校等 (8) 図書館等 (9) イ蒸気浴場等ロ公衆浴場等 (10) 車両停車場等地階又は無窓階床面積 1,000m2 (11) 神社等 (12) イ工場等ロスタシオ等地階又は無窓階床面積 1,000m2 (14) 倉庫 (15) 前各号以外 (16) イ特定用途の複合用途防火対象物ロイ以外の複合用途 (16の2) 地下街延べ面積 1,000m2 (16の3) 準地下街 (17) 文化財 (18) ーケー (19) 山林 (20) 舟車 : 設置対象となる建築物 (13) イ自動車車庫等ロ飛行機格納庫 25

事務所共同住宅病院など 基準法の排煙設備設置対象 消防法の排煙設備設置対象 地下街物販店舗映画館など自動車車庫 消火活動の拠点になる : 特別避難階段付室など 図 3.1 基準法と消防法の排煙設備設置対象の包含関係 3.4 排煙設備の設置対象空間図 3.2 に示すように 建築排煙と消防排煙とでは 対象建物に対しての規定の関わり方が大きく異なっている 消防排煙に於ける排煙設備の設置基準である令第 28 条は 建物の用途と規模で設置対象となる建物の階全体に対して規定している また 排煙設備の構造方法を決めている規定である規則第 30 条も 設置基準と対になっており このため 排煙設備の方式は階全体で統一したシステムとして位置付けられることになる これに対し 建築排煙に於ける設置基準は 建物の用途及び規模で一般居室への設置対象となる令第 126 条の2の条文と 避難安全上重要であり かつ消防活動拠点としての利用が想定される場所である特別避難階段付室などにも設置することが求められている令第 123 条などの条文と 設置条文が2つ用意されている したがって 設置基準と対になっている排煙設備の構造方法を決めている規定も同様に 一般居室の令 126 条の3と特別避難階段付室などの告示第 1728 号などとに分かれている このような違いが生じるようになったのは 排煙設備規定の制定開始時の考え方の違いから起きたものと考えられる 昭和 36 年に建築基準法および消防法は 共に排煙設備の設置に関する規定の制定及び改正を行っている 建築基準法では 当初より特別避難階段の付室のみを対象とした排煙設備の設置を求めていたのに対し 消防法では 特定の室を対象としたものではなく 無窓階という表現で 建物の階全体の状況に応じて排煙設備の設置を求めていた その後 建築基準法の方は, 昭和 45 年の改正によって新たに一般居室にも排煙設備の設置を求めることになり 設置基準の令第 126 条の2を制定することになったが訳であるが 消防法の設置基準は 当初より特定の室を対象としていないため 新たに排煙設備が必要になった室については 排煙設備の構造方法を規定する規則第 30 条の中に追加することで済むことになる 26

令第 126 条の 2 ( 令第 126 条の 3 又は告示第 1437 号 ) 令第 123 条 ( 告示第 1728 号 ) 1 m3 / m2 / 分 4 m3 / 秒 売り場 廊下 付室 階段 設置規定の対象が各室ごとになっており 同じ排煙設備であるが役割も性能も違う 建築基準法の場合 令第 28 条第 1 項 ( 規則第 30 条 ) 1 m3 / m2 / 分 4 m3 / 秒 消火活動拠点以外の部分 消火活動拠点 階段 設置規定の対象が階全体となっているため 排煙 設備とは各室の煙制御方式の総称の意味である 消防法の場合 図 3.2 基準法と消防法の排煙設備規定の適用対象部分 3.5 建築排煙と消防排煙の煙制御方式建築排煙に於ける一般居室の煙制御方式は 令第 126 条の3に規定され 自然排煙方式と機械排煙方式が用いられ 消防排煙に於いても 規則第 30 条の中で消火活動拠点以外の煙制御方式として規定され 押出し排煙方式が無い以外 建築排煙の内容と同様のものとなっている ( 表 3.3 参照 ) 一方 特別避難階段の付室等の煙制御方式については 表 3.4 に示すように 建築排煙では告示第 1728 号等に規定され 窓 スモークタワー 機械排煙 押出排煙 加圧防排煙 27

などの方式が用いられるが 消防排煙では 窓と機械排煙方式のみとなっている 但し 機械排煙方式における給気風道に於いて 建築排煙は給気風道は外気からの自然空気を供給するのに対し 消防排煙では 給気風道への給気は給気機としており 仕様の一部が不整合となっている 尚 窓は建築排煙の規定では 付室等には 外気に向かって開くことができる窓若しくは排煙設備を設置すること となっており 排煙設備とは別物の扱いとなっている これに対して 消防排煙の規定では 窓は消火活動拠点に於ける自然排煙方式の排煙設備として位置付けられている 表 3.3 一般居室の煙制御方式 煙制御方式 自然排煙機械排煙押出し排煙 建築排煙 ( 令第 126 条の3) 一般居室消防排煙 ( 規則第 30 条 ) 消火活動拠点以外の部分 床面積の 1/50 以上 1m3 / m2 / 分 1m3 / m2 / 分 同上 同上 無し 表 3.4 付室等の煙制御方式 煙制御方式 窓 *1 スモーク タワー 機械 排煙 押出し 排煙 加圧 防排煙 建築排煙 ( 告示第 1728 号等 ) 付室等 消防排煙 ( 規則第 30 条 ) 消火活動拠点 *2 ルート B で対応 1. 窓は建築排煙では排煙設備には入らないが 消防排煙では排煙設備の方式の中に含まれている 2. 建築排煙と消防排煙とで 給気風道の仕様に一部不整合が見られる 28