群馬県農業技術センター研究報告第 14 号 (2017):15~22 検索語 : トマト 単為結果性 高糖度 F 1 系統 トマト新系統 群馬交 2 号 の育成 * 2* 2* 渡邉香 山田文典 祖父江順 小泉丈晴 多々木英男 湯谷譲 要 旨 2001 年に ラークナファースト と 群馬甘赤 2 号系統 を交配し 両親系統を固定した後 2013 年 に促成栽培向きトマト F 系統の 群馬交 2 号 を育成した 果実は 球型で果頂部が突出し 完熟果 1 の色は赤であり 果重は平均約 50g で 単為結果性を有する 2 月から 6 月上旬の収穫期間中におけ る果実糖度 (Brix %) は 8~11 度程度である 本系統は 萎凋病レース 1 に対し抵抗性を有する 緒 言 育成経過 近年 消費者の嗜好は 果実糖度の高い フルー ツトマト にシフトしており 需要が高まっている 1) フルーツトマトの生産は 少潅水栽培や根域制限 2) 栽培等の特別な管理によって栽培され 草勢管理 等 熟練の技術が必要であった そこで 群馬県農業技術センターでは 1994 年か ら品種育成に取組み 一般的な栽培管理で大玉トマ 3) トよりも2 度程度糖度が高くなる 甘しずく を2005 年に育成した 甘しずく は 通常の栽培方法で高 糖度の果実が収穫可能であり 果実が硬く 食味も 優れているが 冬季における果実糖度の低下 乱形 果および尻腐れ果による良果収量の低下が問題とな っており 栽培は一部の産地で生産されるにとどま っている そこで これらの問題点を改善するとともに さ らに省力化栽培が期待できる単為結果性を付与した 系統の育成に取り組んだ 単為結果性のトマトは 菅原らがロシア品種から導入し 1994 年に ラーク 4) 5) ナファースト 2000 年に ルネッサンス が育成 されている 尻腐れ果の発生が少ない ラークナフ ァースト を交雑親に供試することとし 2001 年か ら育成を開始し 目標とする特性を持つ新しい系統 を2013 年に育成できたため 群馬交 2 号 と命名し ここにこれを報告する * 現群馬県東部農業事務所 2* 元群馬県農業技術センター 2001 年に単為結果性を有する ラークナファース ト と高糖度の特性を持つ 群馬甘赤 2 号系統 (No.01 44) を交配後 自殖を繰り返し固定化を図った 20 12 年に種子親の 群馬甘赤 3 号 花粉親の 群馬甘赤 4 号 を育成し 両親系統の固定を確認後 2013 年に 両親系統を交配し 群馬交 2 号 の育成を完了した ( 図 1) 1 育成系統の特性 1) 生育特性 試験方法 生育特性の調査は 農林水産省品種登録の特性審 査基準を基に実施した 2014 年 8 月 18 日に供試系統 を播種し 10 月 14 日に農業技術センター内硬質フィ ルムハウスに定植した 試験区として 群馬交 2 号 の自根区と接ぎ木区のほか 対照品種に 甘しずく 接ぎ木区とし 試験規模は 1 区 9 株の4 反復とした 施肥量については 10a 当たり成分量で窒素 10kg リン酸 10kg カリ 10kg の全量基肥とした 畝幅 280 cm 条間 60cm 株間 45cmの2 条植えの栽植様式とし 栽植密度は 10a 当たり 1,587 株であった 着果ホル モン処理については トマトトーン (100 倍希釈 ) と ジベレリン (10ppm 希釈 ) の混合液を 甘しずく の み散布した その他の栽培管理については 甘し ずく の慣行法とした 単為結果性については 厳冬期である 12 月中旬か ら 2 月上旬にかけて開花した第 5~8 果房を対象とし 開花数と着果数を調査した - 15 -
群馬県農業技術センター研究報告第 14 号 (2017) ラークナファースト ( 単為結果性品種 ) F 1 S 3 S 10 群馬甘赤 3 号 F 1 群馬交 2 号 育成系統 No.0144 S 10 群馬甘赤 4 号 ( 高糖度系統 ) 図 1 群馬交 2 号 の育成図 2) 収量及び果実品質 2015 年 1 月 9 日から 6 月 24 日の期間中に収穫された 果実を対象に 果数 果重 不良果割合等を調査し た 果実品質調査の糖度については ポケット糖度 計 PAL-1(ATAGO 製 ) を用い 1 月から 6 月までの販売可 能な良果を対象として Brix 値を測定した 同様に酸 度については 日園連糖酸度分析装置 NH-1000(HORI BA 製 ) を用いて測定した 3) 果実の収穫適期 2015 年 3 月 24 日に収穫した 群馬交 2 号 の果実を ( 図 4) のように果色ごとに 5 段階に分類し その 段階ごとに果実の糖度 酸度 硬度をそれぞれ 3~5 果ずつ調査して カラーチャートによる収穫適期を 検討した 果実糖度および酸度については 上記と 同様の方法で調査し 果実硬度については 果実硬 度計 KM-5 型 ( 藤原製作所製 ) を用い 半球型の針頭 ( 1 2mm 10mm) を 2 回当て計測し その平均値とした 4) 果実の日持ち性 2015 年 4 月 10 日に収穫した 群馬交 2 号 と 甘しず く のそれぞれ完熟した 20 果を人工気象器 NC-350S ( 日本医科器械製作所製 ) 内にて 庫内温度 8 で通 風状態に静置した 同年 5 月 29 日まで 7 日おきに果実 の硬度を調査し 果実の日持ち性を検討した 果実 硬度の調査は 手で握って 5 段階に評価した 2 育成系統の土壌病害に対する病害抵抗性 群馬交 2 号 について 土壌病害抵抗性の有無を 調査するために 幼苗検定を 2015 年から 2016 年にか けて実施した 検定系統は 群馬交 2 号 および 両親系統の 群馬甘赤 3 号 群馬甘赤 4 号 とし 対 照品種には 大型福寿 桃太郎ヨーク 桃太郎 T 93 および台木品種 グリーンガード を使用した 供試菌は 萎凋病レース 1 レース 2 レース 3 青枯病 根腐萎凋病の 5 菌株で各菌株とも群馬県農 業技術センター保有菌株を用いた 接種菌の培養法については 青枯病菌は PS 液体培 地で 28 2 日振とう培養し その他の菌株は 同 培地で25 7 日間振とう培養した 得られた培養 7 8 菌液を4 重ガーゼでこして 約 10 ~10 cfu/mlに調 整した 本葉 3~4 枚の幼苗の根を水洗いした後 調 整した培養菌液に30 分間浸漬し 接種した その後 苗を 9cm ポリポットに定植し 約 45 日 ~60 日後に維 管束の発病程度を調査した 各病原菌の発病適温を 考慮して 高温期の 2015 年 8 月 13 日および 14 日に接 種し 9 月 29 日に調査した 根腐萎凋病の検定は 低温期の 2016 年 3 月 17 日に接種し 5 月 19 日に調査し た 試験規模は 1 区 7~12 株とした 1 育成系統の特性 1) 生育特性 結 群馬交 2 号 は 草姿が普通 葉の欠刻が 2 回羽状 花房の形は単一であり 花の色は黄色 果柄の離層 を有し また単為結果性を有する ( 表 1 ) 開花数 と着果数からその結実率は80% 程度である ( 表 1) 形質 群馬交 2 号 草姿 普通 葉の欠刻 2 回羽状 花房の形 単一 花の色 黄色 果柄の離層 有 単為結果性の有無 a 有 果実の大きさ b 中 縦断面の果形 球形 果頂部の形 突出 子室数の数 3 又は4 へた落ちの大きさ 小 果肩部のひだ 弱 花落ちの大きさ 弱 幼果期の果肩部の緑色の有無 有 完熟期の果色 赤色 果実糖度 高 果実酸度 高 a) 1 株あたり第 5~8 花房の着果数 / 開花数 :170/203=0.84 果 表 1 群馬交 2 号 の形態的及び果実特性 b) 第 2 果房から第 3 果房の 1 果重 :49g - 16 -
渡邉他 : トマト新系統 群馬交 2 号 の育成 a 葉長 a 葉幅 b 平均節間長 品種 系統 (cm) (cm) (cm) 群馬交 2 号 自根 8.75±0.22 c 39.7±1.0 52.3±1.2 8.0±0.2 接ぎ木区 - 53.8±1.6 65.8±2.2 7.9±0.1 甘しずく 接ぎ木区 - 47.2±1.3 59.8±1.1 6.0±0.1 調査日は2014 年 12 月 25 日 a) 第 2 果房の着色期以前における最大葉を測定 b) 第 1 果房 ~ 第 4 果房の平均節間長 c) 平均値 ± 標準誤差 (n=20) 表 2 群馬交 2 号 の生育特性 第一花房までの葉数 品種 系統 表 3 群馬交 2 号 の収量 総収量 良果収量 良果率 果数 / 株果重 (g)/ 株 果数 / 株果重 (g)/ 株 t/10a (%) 平均果重 (g) 群馬交 2 号 自根 59.8±3.1 2629±193 47.9±3.5 2194±211 3.5±0.3 80.0 45.6±1.4 群馬交 2 号 接ぎ木 68.6±1.8 3513±348 50.2±3.2 2821±247 4.5±0.4 73.2 56.3±4.0 甘しずく 接ぎ木 51.6±2.9 4969±323 28.7±1.0 2706±88 4.3±0.1 55.7 94.5±3.8 収穫期間は2015 年 1 月 9 日から6 月 24 日 a) 平均値 ± 標準誤差 (n=9 4 反復 ) 品種 系統 表 4 群馬交 2 号 の収量の不良果発生割合 (%) a b 小果 裂果空洞乱形花落ちチャック 尻腐れ 群馬交 2 号自根 9.8 0.3 0.0 0.6 0.0 4.9 2.7 1.6 群馬交 2 号接ぎ木 12.2 0.6 0.0 1.0 0.0 5.7 1.7 5.6 甘しずく接ぎ木 1.5 0.6 0.2 3.1 14.5 4.1 15.2 5.3 収穫期間は 2015 年 1 月 9 日から 6 月 24 日 a) 全収穫果に対する不良果の果数で算出 b) 30g 以下の収穫果 その他 12 1.6 10 1.4 1.2 糖度 Brix(%) 8 6 4 群馬交 2 号自根群馬交 2 号接ぎ木 酸度 ( 重量 %) 1.0 0.8 0.6 0.4 群馬交 2 号自根群馬交 2 号接ぎ木 2 甘しずく接ぎ木 0.2 甘しずく接ぎ木 0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 0.0 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 図 2 群馬交 2 号 の果実糖度と酸度 注 ) 収穫期間は 2015 年 1 月 9 日から 6 月 24 日 - 17 -
群馬県農業技術センター研究報告第 14 号 (2017) 11.0 2.5 11.0 2.5 10.5 2.0 10.5 2.0 糖度 (Brix%) 10.0 9.5 1.5 1.0 酸度 (Wt%) 糖度 (BriX%) 10.0 9.5 1.5 1.0 硬度 (N) 9.0 糖度酸度 0.5 9.0 糖度硬度 0.5 8.5 2 3 4 5 熟度 0.0 8.5 2 3 4 5 熟度 0.0 図 3 熟度別の 群馬交 2 号 の果実糖度 酸度および硬度 注 ) 収穫期間は 2015 年 1 月 9 日から 6 月 24 日 表 5 群馬交 2 号 と 甘しずく の日持ち性調査の硬度評価 調査日 貯蔵日数群馬交 2 号甘しずく ( 日 ) 供試個数平均硬度供試個数平均硬度 4 月 10 日 0 20 3.6 20 4.2 4 月 16 日 6 20 3.6 20 4.0 4 月 23 日 13 20 3.5 20 3.6 5 月 1 日 21 20 3.5 20 3.4 5 月 8 日 28 20 3.3 20 2.9 5 月 15 日 35 20 3.2 19 2.9 5 月 22 日 42 20 3.0 19 2.3 注 ) 硬度指数 5: 極硬 4: 硬 3: 中 2: 軟 1: 極軟 第 1 花房までの葉数は 8.8 枚で 平均の節間長は 8cm 葉長は41cm 葉幅は52cmである( 表 2 ) 台木 品種に接ぎ木した 群馬交 2 号 と自根を比較すると 葉長は長く 葉幅は広くなるが 節間長はほぼ同じ で変わらない 2) 果実特性 果実の大きさは中 果実の縦断面の形は球形であ るが 果頂部は突出している ( 表 1 図 5 図 6) へた落ちの大きさは小 果肩部のひだは弱で 花落 ちの大きさは小さい 果実の子室数は 3 または 4 で 幼果期の果肩部は緑色を有する 完熟期の果色は赤 色で 果実糖度は高い 3) 収量及び果実品質 群馬交 2 号 の収量は 自根区よりも接ぎ木区の 方が 一株あたりの果数及び果重も増加し 増収す る ( 表 3 ) 甘しずく との比較では 総収量では 甘しずく よりも低くなったが 良果収量では同等 となった ( 表 3 ) 不良果割合では 小果の発生が最も多く占めるが 甘しずく に多い尻腐れ果は少なかった( 表 4 ) 群馬交 2 号 の果実糖度は 自根区では 2 月から 6 月にかけて 8~11% 程度である 接ぎ木区で本系統 と 甘しずく を比較しても ほぼ同等の果実糖度を 収穫期間を通して維持できた ( 図 2 ) 果実酸度は 2 月から 6 月にかけて 1.6%~0.8% 程 度で推移した 自根区と接ぎ木区とも 3 月以降の 収穫果で 甘しずく に比べ酸度が低下する傾向があ った ( 図 2 ) 4) 果実の収穫適期 群馬交 2 号 の果実糖度は 熟期 2 から 3 にかけて 0.9% 増加し 一方で果実酸度については 0.65% 低下したが その後 糖度および酸度とも大きな増 減は認められなかった ( 図 3 ) 果実硬度については 熟期が進むごとに低下した ( 図 3 ) よって 群馬交 2 号 の収穫適期は果実糖度およ び硬度が確保されている熟期 3 が適すると推察され た - 18 -
渡邉他 : トマト新系統 群馬交 2 号 の育成 病原菌 萎凋病レース 1 萎凋病レース 2 萎凋病レース 3 青枯病 無接種区 表 6 供試品種および系統の萎凋病 青枯病発病度 品種 系統 供試株数発病指数別株数 ( 株 ) 発病株率 (%) ( 株 ) 0 1 2 3 発病度 群馬交 2 号 12 12 0 0 0 0 0 群馬甘赤 3 号 12 12 0 0 0 0 0 群馬甘赤 4 号 12 12 0 0 0 0 0 大型福寿 11 0 2 5 4 91 73 桃太郎 T-93 12 12 0 0 0 0 0 桃太郎ヨーク 12 11 1 0 0 8 3 グリーンガード 11 11 0 0 0 0 0 群馬交 2 号 12 0 2 5 5 100 75 群馬甘赤 3 号 12 0 0 3 9 100 92 群馬甘赤 4 号 12 0 0 2 10 100 94 大型福寿 12 0 0 0 12 100 100 桃太郎 T-93 12 0 0 0 12 100 100 桃太郎ヨーク 12 6 4 2 0 50 22 グリーンガード 12 12 0 0 0 0 0 群馬交 2 号 12 0 0 6 6 100 83 群馬甘赤 3 号 12 0 0 2 10 100 89 群馬甘赤 4 号 12 0 1 3 8 100 86 大型福寿 12 0 1 4 7 100 83 桃太郎 T-93 12 0 0 3 9 100 92 桃太郎ヨーク 11 1 0 3 7 91 82 グリーンガード 12 12 0 0 0 0 0 群馬交 2 号 12 0 3 1 8 100 81 群馬甘赤 3 号 12 0 3 1 8 100 81 群馬甘赤 4 号 12 2 3 1 6 83 64 大型福寿 12 3 3 0 6 75 58 グリーンガード 12 11 1 0 0 8 3 群馬交 2 号 9 9 0 0 0 0 0 群馬甘赤 3 号 12 12 0 0 0 0 0 群馬甘赤 4 号 12 12 0 0 0 0 0 大型福寿 12 12 0 0 0 0 0 桃太郎 T-93 12 12 0 0 0 0 0 桃太郎ヨーク 12 12 0 0 0 0 0 グリーンガード 12 12 0 0 0 0 0 注 ) 維管束の発病度については 指数 0 が褐変なし 1 が 1/3 未満の褐変 2 が 1/3~2/3 未満の褐変 3 が 2/3 以上の褐変維管束の発病度 =(3A+2B+1C)/(3 調査株数 ) 100 A B C は各指数別の株数 病原菌 品種 系統 表 7 供試品種および系統の根腐萎凋病発病度供試株数発病指数別株数 ( 株 ) 発病株率 (%) ( 株 ) 0 1 2 3 発病度 群馬交 2 号 10 1 3 2 4 90 60 群馬甘赤 3 号 10 0 6 3 1 100 50 根腐萎凋病群馬甘赤 4 号 10 0 4 1 5 100 70 大型福寿 10 0 3 3 4 100 70 グリーンガード 10 10 0 0 0 0 0 群馬交 2 号 7 7 0 0 0 0 0 群馬甘赤 3 号 7 7 0 0 0 0 0 無接種区群馬甘赤 4 号 7 7 0 0 0 0 0 大型福寿 7 7 0 0 0 0 0 グリーンガード 7 7 0 0 0 0 0 注 ) 維管束の発病度については 指数 0が褐変なし 1が1/3 未満の褐変 2が1/3~2/3 未満の褐変 3が2/3 以上の褐変 維管束の発病度 =(3A+2B+1C)/(3 調査株数 ) 100 A B Cは各指数別の株数 - 19 -
群馬県農業技術センター研究報告第 14 号 (2017) 5) 果実の日持ち性 収穫した 群馬交 2 号 と 甘しずく の完熟果の日 持ち性を調査したところ 収穫時から収穫 6 日後ま で 群馬交 2 号 は 甘しずく よりも軟らかい傾向で あったが 収穫後 20 日間は硬度を維持した ( 表 5) 一方で 甘しずく は収穫 13 日後から硬度が低下 し始め その 28 日後には 群馬交 2 号 よりも低くな った ( 表 5 ) 2 育成系統の土壌病害に対する病害抵抗性 萎凋病レース 1 については 群馬交 2 号 の発病 度は 0 に対し 対照品種で感受性の 大型福寿 が 73 であった 耐病性の対照品種 グリーンガード の発 病度は 0 であったことから 群馬交 2 号 は抵抗性を 有する ( 表 6 ) 萎凋病レース 2 については 群馬交 2 号 の発病 度は 75 と高く 大型福寿 は 92 と甚発生し グリ ーンガード は0であった この結果から 群馬交 2 号 は 感受性を示した ( 表 6 ) 萎凋病レース 3 については 群馬交 2 号 の発病 度は 83 で 大型福寿 と同等であり グリーンガー ド は 0 であった このことから 群馬交 2 号 は感 受性を示した ( 表 6 ) 青枯病については 群馬交 2 号 の発病度は81で 大型福寿 と同等以上となり グリーンガード は 3 であった このことから 群馬交 2 号 は感受性を 示した ( 表 6 ) 根腐萎凋病については 群馬交 2 号 発病度は 60 で 大型福寿 は 70 となり グリーンガード は 0 であった このことから 群馬交 2 号 は感受性を 示した ( 表 7 ) また 群馬交 2 号 の両親系統である 群馬甘赤 3 号 および 群馬甘赤 4 号 についても 萎凋病レース 1のみに抵抗性を有する結果となった ( 表 6 表 7 ) 考察 群馬交 2 号 の特性は 着果ホルモン無処理で結 実率 80% 以上であったことから 交配親の ラーク ナファースト と同様に単為結果性を有し 収穫期 間を通して果実糖度は 甘しずく と同等に高い さらに 乱形果や尻腐れ果の発生も少ないため良果 率が高い 日持ち性の調査からすると 収穫直後の 果実硬度はやや低いが 甘しずく と同等である 収穫適期の検討では 糖度を確保して硬さを維持す るためにも 完熟果よりもやや早穫りが適している - 20 - 群馬交 2 号 は果頂部が尖る果形のため 収穫後の 機械選別は不適と考えられるが 特徴的な果形であ るともいえる これらのことから 群馬交 2 号 は 現在市販されているトマト品種のなかでも 有用な 形質を持った系統であり 今後のトマト育種におい て貴重な遺伝子資源であると考える 本系統の留意点は 甘しずく と同様に草勢が弱 いため 栽培期後半には 30g 以下の小果の発生が 多くなり収量が低下する また 日射量が増大する 2 月ごろには 日中に生長点付近が萎れやすい性質 を持つため 遮光管理が必要となる これは 甘 しずく にも認められることから 系統間に由来す る特性であると考えられる さらに 群馬交 2 号 は 土壌病害の抵抗性について 萎凋病レース 1 のみ であることから それ以外の土壌病害の発生した圃 場での自根栽培は不適であり 抵抗性台木を用いた 接ぎ木栽培が必要となる 使用する台木は 群馬 交 2 号 が ToMV の抵抗性をもたないことから Tm-1 型 の台木に接ぐのが望ましい また 群馬交 2 号 の 作型は 夏秋栽培では果実糖度が上昇しないことか ら 促成栽培が適する 今後 本系統を活かした育種の方向性としては まず ToMVの抵抗性遺伝子 Tm-2aを付与することが挙げられる Tm-2 a型の台木品種は 保有する病害 6) 虫抵抗性の幅が広く 市販品種数も多いため 栽 培における汎用性が高い 上述のとおり 群馬交 2 号 は Tm-2 a型の台木品種に対して親和性を持たないため Tm-2aの獲得が望まれる 次に 群馬交 2 号 は平均果重が小さく 収穫果 の果実がやや軟らかいことから 大玉 (100g 以上 ) でかつ果実が硬い特性も付与する必要がある また 群馬交 2 号 の単為結果性は 交配親の ラークナフ ァースト が保有する pat-2遺伝子に起因している 7) が 本形質は劣性であるとの報告から 群馬交 2 号 との交配に用いる素材には 同じく pat-2遺伝子 を保有する系統が単為結果性の維持のためには望ま しい これらの点を踏まえて 本系統を育種素材に 活用することにより 実需者また消費者のニーズに 対応した実用品種の育成に寄与することができると 思われる
渡邉他 : トマト新系統 群馬交 2 号 の育成 謝辞育成にあたって 育種選抜のご助言をいただいたカネコ種苗株式会社の各位 本系統の現地試験の際にご尽力くださった前橋市農業協同組合員 中部農業事務所普及指導課 中部農業事務所伊勢崎地区農業指導センターの関係者には多大なご協力をいただいた ここに記して深く謝意を表する 引用文献 1) 早田保養ら.1998. 水分ストレスがミニトマト果実の発育と糖および窒素含量に及ぼす影響. 園芸学会雑誌.67(5):759-766 2) 馬西清徳ら.1996. 根域制限による水ストレス条件下でのトマトの生育と果実の品質に対する堆肥施用の影響. 日本土壌肥料科学雑誌.67(3):257-264 3) 山田文典ら.2010. トマトF1 新品種 甘しずく の育成. 群馬県農業技術センター研究報告.7:13-18 4) 菅原眞治ら.1995. 温室トマトへの単為結果性因子導入 ( 第 3 報 ) 単為結果性トマト新品種 ラークナファースト の育成. 愛知県農業総合試験場研究報告.27:167-173 5) 菅原眞治ら.2002. 完熟収穫型単為結果性トマト品種 ルネッサンス の育成経過と特性. 愛知県農業総合試験場研究報告.34:37-42 6) 農文協編.2015. トマト大事典. 農文協. 東京.385-387 7) 菅原眞治ら.1990. 温室トマトへの単為結果性因子導入 ( 第 1 報 ) 温室栽培での素材品種及びF1の単為結果性の発現. 愛知県農業総合試験場研究報告. 22:125-131 ( Key Words : Tomato, Parthenocarpy, High sugar content, F1 strain) Cultivation of a new tomato strain, Gunmakou2gou Kaori WATANABE, Fuminori YAMADA, Jun SOFUE, Takeharu KOIZUMI, Hideo TATAKI and Yuzuru YUTANI Summary Two tomato varieties, Rarkuna First and Gunmaamaaka2gou, were crossed and the parent strains were fixed in 2001. In 2013, an F1 tomato strain Gunmakou2gou suitable for forcing cultivation was cultivated. The characteristics of the fruits of Gunmakou2gou are as follows. It is spherical in shape, with a pointed top, and has a red color when ripe. The parthenocarpic fruits weigh approximately 50g. The fruit sugar content (Brix %) is approximately 8-11 during the harvest period between February and the beginning of June. This strain is resistant to Fusarium oxysporum Schlechtendahl race 1. - 21 -
群馬県農業技術センター研究報告第 14 号 (2017) 熟期 1 2 3 4 5 図 4 群馬交 2 号 の着色カラーチャート収穫日 2015 年 3 月 24 日 図 5 群馬交 2 号 の果実 図 6 群馬交 2 号 の果房 - 22 -