であった まず 全ての膝を肉眼解剖による解析を行った さらに 全ての膝の中から 6 膝を選定し 組織学的研究を行った 肉眼解剖学的研究 膝の標本は 8% のホルマリンで固定し 30% のエタノールにて保存した まず 軟部組織を残し 大腿骨遠位 1/3 脛骨近位 1/3 で切り落とした 皮膚と皮下の軟

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であった まず 全ての膝を肉眼解剖による解析を行った さらに 全ての膝の中から 6 膝を選定し 組織学的研究を行った 肉眼解剖学的研究 膝の標本は 8% のホルマリンで固定し 30% のエタノールにて保存した まず 軟部組織を残し 大腿骨遠位 1/3 脛骨近位 1/3 で切り落とした 皮膚と皮下の軟部組織を取り除いた後 膝蓋腱を脛骨側で切り落とし ACL と半月板が存在する脛骨の近位の表面を用いた ACL は大腿骨の付着部で切り落とし 後十字靭帯 側副靭帯を含む他の全ての支持組織を脛骨の付着部で切り落とした その後 ACL と LM の関連性を中心に観察した 組織学的研究 肉眼解剖学的研究後 さらに 8% のホルマリンで後固定を行い 組織学的研究を行った ACL の脛骨側 LM の前角 脛骨を含む箇所を 大型試料用トリミング機器であるダイアモンドバンドソー (BS-312 メイワフォーシス) で LM の外周の線維に対して平行に切断し 切り落とした部位を強酸性の迅速脱灰液 (Plank-rychlo 溶液 ) を用いて脱灰した後 脱水 パラフィン包埋を行った 組織を厚さ 5μm で ACL と LM の間の表面組織に対して平行に 骨表面に対して垂直に作成した 作成した組織は Masson s trichrome 染色にて染色を行った マイクロ CT を用いた解析 脛骨の表面構造を micro CT スキャナ (inspexio smx100-ct 島津製作所) を用いて評価した さらに micro CT で撮影したデータを用い 3 次元立体モデル構築ソフトウェア (VG Studio Max 2.0 ボリュームグラフィックス) を用いて脛骨の 3 次元立体モデルを作成し 骨構造の評価を行った また micro CT を使用して LM 後角からの線維の骨付着部を評価するため LM の後角のうち最も外側を走行する線維に沿うように X 線非透過性のシリコンマーカーを置き 線維の付着位置を評価した さらに ACL と LM の線維の付着部範囲を micro CT を使用して作成した 3 次元の脛骨のモデルに重ね 画像を作成した 結果 ACL と LM の前角との関連性 LM 前角から連続する線維は外周と内周で線維走行が異なっていた 肉眼的には LM 前角から連続する外周線維は ACL まで伸長し ACL の線維と混合していた しかし 組織学的には 外周線維と ACL の線維には明らかな境界が存在した LM 前角から連続する内周線維は 外側顆間結節の下方の側面を走行し 外側顆間結節に付着していた 肉眼的にも 内周線維と ACL との間には明らかな境界が存在した 内周線維は ACL の脛骨付着部の外側縁を構成していた - 2 -

ACL と LM の後角との関連性 LM 後角からの線維は前外側脚と後内側脚に分けることができた 前外側脚は LM 後角からの線維のうち前側の線維であり 外側顆間結節に付着するものである 後内側脚は LM 後角からの線維のうち後側の線維であり 内側顆間結節に付着するものである 前外側脚は外側顆間結節の後側の側面に付着していた 前外側脚は ACL の付着部のうち後部の外側縁を構成していた ACL は前後に広く外側顆間結節に付着していた 肉眼解剖により 後内側脚は ACL と PCL の間を走行し 内側顆間結節の後部に付着していた micro CT により 後内側脚が内側顆間結節の上後部に付着していることが確認された ACL は内側顆間結節に付着しているため LM の後外側脚は ACL の脛骨付着部の内側部における後縁を構成していた さらに 顆間隆起の間には血管孔が存在し それが ACL のすぐ後方に存在することも micro CT 像から明らかとなった 後内側脚の前方で ACL は顆間隆起の内側壁の外側面に付着していた さらに ACL は顆間隆起の外側壁の内側面に付着し 前外側脚の前方に付着していた つまり ACL は内側顆間結節と外側顆間結節の間に存在し LM からの線維の付着部を避けるように付着していた 考察 LM からの線維は ACL と解剖学的な関係性を持っていた 1 前角からの外周線維は ACL と隣接していた 2 前角からの内周線維は ACL の付着部の外側縁を構成していた 3 後角からの前外側脚の線維は ACL の付着部の後外側部を構成していた 4 後角からの後内側脚の線維は ACL の付着部の後内側部を構成していた LM の線維は肉眼解剖学では ACL と混合しているように見えたが 組織学的研究により ACL と LM の間には明確な境界が存在することが判明した 原らは ACL の脛骨付着部後方の中心部には ACL の線維は存在せず その部分に血管と脂肪組織が存在すると報告した (Hara et al. 2009) 本研究の micro CT の解析でも ACL 付着部の後方には血管孔が存在していた ACL の線維は内側と外側の顆間隆起の間に血管と脂肪組織を避けるように付着していた Siebold らは ACL の脛骨付着部に関する肉眼解剖学的研究を行い ACL と LM の前角からの線維が混ざり合うと報告した (Siebold et al. 2014) LaPrade らは LM の前角からの線維は ACL の付着部に重なっているとした (LaPrade et al. 2014) 本研究における組織学的解析において ACL と LM の線維には明瞭な境界があることが明らかとなった 本研究の臨床的意義は LM と ACL における解剖学的関連性が1ACL 不全患者の LM の弛緩についての病態の理解につながること 2 半月板移植術や ACL 再建術中の解剖学的指標となりうることである LM の弛緩は LM の損傷が原因によると考えられてきたが LM と ACL に解剖学的な関連性があることから ACL の損傷が LM の突出の原因になりうる 本研究では LM 前角からの外側線維は ACL に隣接しており LM 前角からの内側線維 後角からの前外側線維脚と後内側線維脚は ACL の付着部領域の境界を構成していた LM は解剖学的に ACL と密接な関連性があると考えられる 本研究では 断裂後の遺残組織を温存した ACL 再建術により LM 線維の損傷を回避できる可能性があるとした - 3 -

結論 LM 前角からの外周線維は ACL と隣接していた LM 前角からの内周線維 LM 後角からの線維は ACL 付着部の境界を構成していた このことから LM の線維は ACL 再建術などの関節鏡手術における解剖学的指標になりうる - 4 -

論文審査の要旨および担当者 報告番号甲第 4930 号藤代瞳 論文審査担当者 主査宗田大 副査星治 森田定雄 論文審査の要旨 1. 論文内容本論文は近年注目されている外側半月板の脛骨への付着部と前十字靭帯 (ACL) と後十字靭帯 (PCL) の付着部の解剖を組織所見と μct を組み合わせた解析で 外側半月板は前角 後角ともに 2 つの線維束に分かれて付着し 内側および外側顆間隆起と密接な関係にあることを明らかにした 2. 論文審査 1) 研究目的の先駆性 独創性肉眼解剖に μct を組み合わせて より骨組織との関係を正確に評価することは先駆的であり 手法として独創的と評価できる また論文申請者の肉眼解剖の手技の技術が高いことが本研究と過去の研究実績から示されている 2) 社会的意義本研究で得られた解剖学的な知見により スポーツ膝外傷として手術数の多い前十字靭帯再建術の解剖学的脛骨骨孔の形成の指標がより明瞭になった このことは解剖学的 ACL 再建術の成績向上につながる 一方外側半月板後角損傷の治療においても骨孔位置の正確な形成に役立つ知見である 3) 研究方法 倫理観申請者は 肉眼解剖の緻密な技術を持って これまでの肉眼解剖の報告で明らかになっていない外側半月板前角 後角の線維性付着を明らかにした さらに μct と組み合わせることにより より立体的でかつ正確な付着部の位置関係を示すことが可能になった 加えて組織学的検討を行うことにより 肉眼解剖所見をより確かなものとした 本研究は献体と系統解剖学の倫理にのっとり施行された 4) 考察 今後の発展性申請者は肉眼解剖手技と μct 組織学を組み合わせた 先駆的な肉眼解剖を実践したことにより これまでにない外側半月板の正確な脛骨への付着状態を明らかにしたことは 今後の膝手術の基盤となる大切な所見である ( 1 )

今後さらに軟骨の所見を加えることにより 実際に関節表面として見えている軟骨と靭帯や半 月板の付着様式がより詳細に明らかにされる 今後軟骨組織の描出を加えた解剖学的検討により 本研究はさらに実践的な手術解剖として意義が高まると期待される 3. その他 4. 審査結果 以上をふまえ 本論文は博士 ( 医学 ) の学位を申請するにあたり 十分な価値があると認めた ( 2 )