マネーマーケットマンスリー

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マネーマーケットマンスリー 2018年3月

国内短期金利

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

オーバルネクスト ETF 情報 2010 年 2 月 15 日号 ( 株 ) オーバルネクスト 東京都中央区日本橋兜町 13-2 TEL 03(5641)5777

経済金融・情勢資料  15年7月 

米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

2013 年 8 月 19 日号

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

今月の経済・金融情勢

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

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退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

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当ページは 各種の信頼できると考えられる情報源から取得した情報に基づき アクサ生命保険株式会社が作成し提供するものです 情報の内容に関しては万全を期しておりますが その正確性 完全性については これを保証するものではありません 日本株式市場 運用環境 [ 2015 年 4 月 ~2016 年 3 月

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株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

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米失業率と非農業部門雇用者数変化 ( 月次 25 年 1 月 ~214 年 11 月 ) 非農業部門雇用者数変化 ( 千人 前月比 左軸 ) 失業率 (% 右軸) /1 6/9 8/5 1/1 11/

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

平成30年度第1四半期における運用状況等

Invesco Premia Plus Fund

2012 年 10 月 15 日号

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

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定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

株式市場 米国株 新政権の政策期待による上昇も一服 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました ISM( 全米供給管理協会 ) 指数など月初に発表された経済統計がおおむね良好であったことを受け 月前半の株式市場は堅調に推移しました 月半ば以降は 高値警戒感な

目 次 1. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) における運用環境について 2. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) のポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 被保険者ポート

日本株市場を泳ぐ 5 頭のクジラ SMBC 日興証券株式会社投資情報部 2016 年 10 月 4 日更新版

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参考資料いちよし証券投資情報部 2019 年 10 月 7 日 極端な悲観相場の修正へ 業績の下方修正リスクも織り込み 日米経済指標に注目 最終ページに お客様にご確認いただきたい重要な注意事項を記載しております 必ずご確認ください

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

2011 年 1 月 17 日号

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株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

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株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

今月の経済金融情勢2018年11月30日号

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

Fidelity Charts & Graphs PowerPoint Template

株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

米労働市場は直近の回復基調に変化なし ~FRB出口政策への影響は限定的~

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

MONEXグローバル個人投資家サーベイ

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FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

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MONEX 個人投資家サーベイ 2016 年8 月調査

株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企


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MONEX 個人投資家サーベイ 2016年2月調査

目次 平成 29 年度 第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) P 2 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 1 P 3 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 2 P 4 平成 29 年度 退職等年金給付組合積立金の資産構成割合 P 5 平成 29 年度 退職等年金給付組合

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

MONEX 個人投資家サーベイ 2016年1月調査

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

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Outlook201501

MONEX 個人投資家サーベイ 2017年3月調査

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 FOMC後のスペシャルレポート(USHY).pptx

経済の見通し 欧州 欧州経済は グローバル経済の堅調さを背景とした外需セクターの回復 労働市場の回復を背景にした堅調な個人消費 従来に比べ拡張的な財政政策による成長押し上げ効果を背景に潜在成長率を上回る成長が続いています 物価については 労働市場や経済の回復を背景にコアインフレ率 賃金上昇率は今後緩

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

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経済学でわかる金融・証券市場の話③

ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

【No

調査結果の要約 1. グローバル調査結果調査対象 : 日本 中国 ( ) の個人投資家 (1-1) 世界の株式市場見通し DI ( 注 ) は 3 地域そろって大幅上昇 各地域の個人投資家に今後 3 ヶ月程度の世界の株式市場に対する見通しを尋ねたところ 各地域とも前回調査 (17 年 5 月 ~6

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

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平成23年11月1日

金融政策決定会合における主な意見

わが国の経済・物価情勢と金融政策

○ユーロ

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

今月の経済金融情勢2018年12月25日号

スライド 1

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日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

SERIまんすりー2月号 今月のみどころ

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Transcription:

Money Market Monthly マネーマーケットマンスリー 21 1 No.271 国内経済 回復は鈍い 金利 低水準でもみ合い 短期金利 株式 高値圏もみ合い J-REIT 外国為替 大幅円安後の調整に注意 米国金利日米主要経済指標 金利 株価 為替相場動向 ----------------------------------------- 日米の大型 IPO IPO とは株式新規公開のことを指し 今年は年後半にかけて日米で企業規模の大きい銘柄の上場が予定されており 注目を集めています まず米国では 9 月 19 日 中国の電子商取引最大手 アリババ集団 がニューヨーク証券取引所へ IPO として世界最大規模の上場を果たしました そして上場初日の時価総額は約 2,3 億ドル ( 約 2 兆円 ) と 日本で最大のトヨタ自動車 ( 約 22 兆円 ) を上回りました 日本の株式市場においては 1 月に外食大手 すかいらーく ( 上場時の想定時価総額約 2,8 億円 ) 人材派遣やメディア事業を手掛ける リクルートホールディングス ( 同約 1.6 兆円 ) が上場予定であり 今年の IPO の中でも最大級の規模になるとみられています そのため話題性がある反面 上場前に他の銘柄への換金売りや上場後に材料出尽くしの売りが大量に出た場合は 株式相場の重石になる可能性があります 参考までにアリババ集団の株価動向について 上場初日の終値は公開価格を約 38% 上回る 93.89 ドルとなりましたが その後は利益確定売りの動きをみせました 今後 日本の大型 IPO 銘柄がどのような値動きを見せるか注目したいと思います ( 折原 ) マネーマーケットマンスリーは経済 金利 為替 株価についての情報提供を目的として作成したもので 取引等の勧誘を目的としたものではありません また 金融商品取引契約の締結の勧誘に使用するものではありません 投資に関する最終決定は お客さまご自身の判断で行うようお願い申しあげます (21.9.2 作成 ) 資金証券部 TEL:2-26-77

国内経済 9 月 8 日に発表された-6 月期 GDP( 改定値 ) は 年率 7.1% となり 月の消費増税後の景気の落ち込みが事前に想定された以上に大きかったことが確認された 年末には さらに消費税率 1% への引き上げの判断を控えており 国内景気の先行きに対する警戒感は強いと思われる 一方で 直近では外国為替市場で円安が進み 加えて株高も進んでいることから 景況感や企業業績の回復も期待される そこで 個人消費と企業の生産動向を示す経済指標から 足元の国内景気を確認したい 商業販売統計 小売業と卸売業の販売額を集計した商業販売統計 (7 月 ) によれば 全体の販売額は前年比 +.1% とヶ月振りに小幅なプラスに転じた 月の大幅な落ち込みから 緩やかながら改善傾向にあることが見てとれる 今後の個人消費の動向を考えると 7 月の物価上昇分 ( 消費者物価指数 )+3.3% に対して 7 月の現金給与総額 ( 厚生労働省 ) によれば前年比 +2.% の増加となった 所得環境の改善が見られたものの 現状では依然として 実質所得の目減りが続いていることから 個人消費の大幅な回復は期待しにくい しかし 前述の通り直近の円安 株高による効果もあるため 今後も緩やかな回復基調が続くと思われる 鉱工業生産 製造業の生産の動向を示し 景気との連動性が高いといわれる鉱工業生産 (7 月 ) について見てみると 前年比で生産は.7% 在庫は +2.9% となった 生産の動向は 1 月の +1.6% をピークに減少傾向で推移している 在庫の動向を見ると 月以降プラスに転じていることから 製造業における在庫の積み上がりが顕著になっている 増税後の需要が想定以上に弱かったことで 在庫が積み上がってきていると考えられる 在庫の増加は 企業の生産を抑制させる可能性があり このまま在庫の増加が続くようであれば 国内景気を下振れさせる要因となりうるため 今後の動向に注意する必要があるだろう 以上 2つの経済指標からは 増税後の国内景気の回復は 非常に緩やかであると思われる 今後は 年末の再増税の判断に向けて その判断材料となる7-9 月期 GDP の動向や 再増税に向けた政府による景気対策等が注目されるだろう ( 網野 ) 1

国内金利 9 月の1 年国債利回り変動レンジ.9%~.8% 9 月の国内金利は小幅に上昇した 米国における早期利上げ観測が意識されたことから 海外市場において金利が上昇したこと等を受け 国内金利も.8% まで上昇する場面が見られた 一方 日銀が大規模な国債買い入れオペを継続していることから 月後半にかけてはもみ合いながら低下した 2 日の1 年国債利回りは.2% と8 月末の.9% から.3% 上昇した 1 月の見通し 1 月の予想レンジ 1 年国債利回り.%~.8% 1 月の国内長期金利は 低水準でもみ合う展開を想定する 国内では 消費増税後の景気回復が鈍く 追加緩和への期待が再燃していることから金利低下の要因として作用するだろう また 海外市場をみると 欧州の景気減速懸念への対策として 9 月に ECB( 欧州中央銀行 ) が政策金利の追加引き下げを実施した このことから 今後も ECB による追加緩和への期待が高まる場面では 国内金利にも低下要因として働くものと考えられる 一方 金利上昇の要因として米国における早期利上げ観測がある 9 月に開催された FOMC( 米連邦公開市場委員会 ) では米国の量的緩和が予定通り1 月に終了する見通しとなった 市場の関心は米国の政策金利の利上げの時期がいつになるかに移っており 早期利上げ観測が高まる場面では国内金利にも上昇圧力がかかるだろう 以上を踏まえると 今月の国内金利は米国金利の動向次第でやや上昇する可能性はあるものの 基本的には低水準でもみ合う展開となるだろう 短期金利 9 月の無担保コール翌日物は 日銀の政策金利の.1% を下回る水準での推移であった 短期国債市場において国庫短期証券 (TDB)3 カ月物はマイナス金利で取引される場面があった 9 月に入り日銀は短期金融市場において初めてマイナス金利で短期国債の買入れオペを実施し 金融緩和政策を一段と強めている 1 月においても短期金融市場の環境は変わらず 低下圧力が掛かりやすい状況が継続するだろう ( 伊澤 ) 2

212/ 21/3 2/29 213/3/3 213//29 213/7/28 213/9/26 21/2 2/2 21/3/2 21//2 21/7/23 21/9/21 212/ 2 213/2/12 213//13 213/6/12 213/8/11 213/ 22/9 21/2/7 21//8 21/6/7 21/8/6 株式市場 9 月の株式相場は上昇した 外国為替市場で円相場が 1ドル =19 円台前半と約 6 年ぶりの円安水準になったことを受けて 輸出採算が一段と改善するとの期待から輸出関連株中心に買いが集まった また 米国株式市場で史上最高値を更新したことも日本株の追い風となり 月を通して上昇基調で推移し 年初来高値を更新する場面も見られた 17, 16, 1, 1, 13, 12, 11, 1, 9, 8, 円 (C) 日本経済新聞社 日経平均株価 2 日の日経平均株価は 16,37 円とな り 8 月末から 99 円の上昇となった 1 月の見通し 1 月の株式相場はもみあう相場になるだろう 日本株が弱含む場面では 日銀の ETF 買い入れや 年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF) の運用改革に伴い 日本株の保有比率を引き上げるとの観測が相場を下支えすることで底堅い相場になるものと思われる また 外国為替市場で円安が進行したことを受けて 輸出関連企業に対する業績上振れへの期待が高まっていることや 日本株の売買シェアの高い海外投資家が買い越しに転じていることが 日本株の上昇をサポートする要因になるだろう ただ 日本株の上昇ピッチが速いことで 相場に短期的な過熱感が見られることや イスラム国への空爆拡大など地政学リスクがくすぶる中 一方向の上昇はしづらいものと思われ 高値圏でもみ合う相場になるものと思われる 1 月の日経平均株価予想レンジ 1, 円 ~ 17, 円 J-REIT 不動産投資信託 (J-REIT) で代表的な 指標の東証 REIT 指数は横ばいで推移した 引き続き配当利回りの高さを背景に資金流入が 見られ 底堅い推移が見られた ただ上昇する 場面では 利益確定売りの動きが見られたこと で上値は重く 方向感に乏しい狭いレンジでの 推移となった 1 月の見通し 1,7 1,6 1, 1, 1,3 1,2 1,1 1, 9 8 (C) 東京証券取引所 東証 REIT 指数 1 月の東証 REIT 指数は上昇するだろう 相場の下落する場面では 日本銀行による J-REIT 買い入れ が見られていることで 下値不安については乏しいものと思われる また 世界的な低金利の継続といった環境面 が追い風となる中 3% 前半と高い配当利回りに着目した買いが継続するだろう ( 森久保 ) 3

外国為替 9 月のドル円相場は 大幅に円安ドル高へ推移した 第 2 四半期 GDP の下方修正等により 日本の 景気減速が意識されたことや 日銀黒田総裁が追加緩和に踏み込んだ発言をしたことなどから 日銀の 追加緩和観測が高まり 円安ドル高基調が強まった 米国では 17 18 日の FOMC( 連邦公開市場 委員会 ) にて 各委員の政策金利見通しが上方修正された 量的緩和終了後の利上げが意識されたため 円安ドル高は加速し 約 6 年半ぶりに 19 円を上回る場面も見られた 2 日現在のドル円相場は 18 円 7 銭 ユーロ円相場は 138 円 67 銭となった NY 外国為替市場 : ドル円相場 9/1 円高値 (9/1) 円安値 (9/19) 9/2 1 円 3 銭 1 円 6 銭 19 円 6 銭 18 円 7 銭 1 月の見通し 1 月のドル円相場は もみ合う展開を予想する 米 FRB( 連邦準備制度理事会 ) は 1 月にも量的 緩和政策が終了となる見通しであり 市場では来年 の利上げが意識されつつある 一方で日本は消費増 税後の景気回復にもたついており 追加緩和観測が 再燃している このように 日米中央銀行の緩和姿 勢の差が明確となる状況は 中長期的な円安ドル高 トレンド形成の主因となろう 一方で 足元の円安ドル高の推移には過熱感があり 節目では投機的なポジションの利益確定の動き などから 円高ドル安へ推移する場面も予想される また 米国はイスラム国に関連し シリアでの空 爆に踏み切るなど 中東情勢は依然緊迫した状態にある 地政学リスクの高まりがきっかけとなり 円 高ドル安へ調整する場面も想定され 短期的な市場の変動には注意されたい 予想レンジドル円相場 16. 円 ~111. 円 ユーロ円相場 13. 円 ~11. 円 米国金利 9 月の米国長期金利は上昇した 米国は緩やかな景気拡大を続けており FOMCを控えた中 FRBの出口政策が意識されたため 金利は上昇基調での推移となった 1 月の見通し 1 月の米国長期金利はもみ合う展開が予想される 足元の雇用市場は堅調であり 賃金の上昇など雇用の質改善の動きも見られる FRBの金融政策が出口に向かう姿勢に変わりは無く 金利上昇要因となろう 一方で日欧中央銀行は今後緩和姿勢を強めることが予想される 相対的に高金利となる米国債需要の高まりも見込まれることから 米国長期金利は方向感の出にくい展開となろう ( 菊地 ) 予想レンジ 1 年国債利回り 2.3%~2.7%

/3 1/3 2/3 3/3 /3 /3 6/3 7/3 8/3 9/3 1/3 11/3 12/3 13/3 1/3 98/3 /3 2/3 /3 6/3 8/3 1/3 12/3 1/3 /3 1/3 2/3 3/3 /3 /3 6/3 7/3 8/3 9/3 1/3 11/3 12/3 13/3 1/3 日米主要経済指標 (1) 国内経済指標 平成 26 年 9 月 2 日現在 1 実質 GDP ( 前期比 年率 ) 出所 : 内閣府 2 日銀短観 大企業業況判断 DI 出所 : 日本銀行 1 1 - -1-1 -2 2-2 - -6-8 製造業 非製造業 3 鉱工業生産指数 ( 前年比 ) 出所 : 経済産業省 機械受注統計 ( 前年比 ) 出所 : 内閣府 2-2 - -6 6 2-2 - -6 家計調査 2 人世帯支出 ( 前年比 ) 出所 : 総務省 6 完全失業率 出所 : 総務省 1 - -1 6 3 (2) 米国経済指標 1 実質 GDP ( 前期比 年率 ) 出所 : 米商務省 2ISM 景況感指数 出所 : 全米供給管理協会 1 - -1 7 6 3 製造業 非製造業 3 非農業部門雇用者数 ( 前月比増減 ) 出所 : 米労働省 新築住宅販売 ( 前年比 ) 出所 : 米商務省 1 ( 千人 ) - -1 2-2 - -6

金利 株価 為替相場動向 平成 26 年 9 月 2 日現在 1 日経平均株価 21 年国債利回り 22 2 18 16 1 12 1 8 6 ( 円 ) 2.2 2. 1.8 1.6 1. 1.2 1..8.6..2. (C) 日本経済新聞社 3NY ダウ平均株価 米国 1 年国債利回り 18 16 1 12 1 8 6 7 6 3 2 1 為替ドル円相場 1 ( 円 ) 13 12 11 1 9 8 7 6 為替ユーロ円相場 18 ( 円 ) 16 1 12 1 8 7 為替豪ドル円相場 8NY WTI 原油先物 (1 バレル ) 12 ( 円 ) 11 1 9 8 7 6 16 1 12 1 8 6 2 ( ドル ) 6